【文献】
増島 雅和,ブロックチェーンのビジネス応用について,月刊資本市場,2016年,p.4-10,(http://www.camri.or.jp/files/libs/271/201703251142015823.pdf)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の電子ファイル証明システムは、所定の情報を記載した電子ファイルと、それぞれ分散して配置されてネットワーク通信自在な複数のコンピュータとを備え、複数のコンピュータが、電子ファイルの内容について変更前に対する変更後の相違点を受信して相違点を各コンピュータの記憶部に情報として記憶するとともに、所定のルールに基づく複数のコンピュータ間の多数決によって同期して整合を取り、電子ファイルの内容の変更毎に変更前に対する変更後の相違点を、各コンピュータの記憶部に追加情報として追加して記憶する構成であることにより、電子ファイルの過去の内容についての改ざんを防止するものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0023】
電子ファイルは、所定の情報を記載したものであれば、如何なるものであっても構わない。
例えば、電子ファイルは、ユーザの勤怠状態や勤怠時間を記載したものでもよいし、作成者の情報を記載して確認者・承認者を追加して記載する会社内のビジネス文書でもよいし、契約書の内容を記載して契約者を追加して記載する契約書でもよい。
また、電子ファイルは、食品や家畜、赤ん坊、子供などの履歴情報を記載したものであって、食品や家畜、赤ん坊、子供に付随する電子タグに記憶されるものでもよい。
【実施例1】
【0024】
以下に、本発明の第1実施例である電子ファイル証明システム100について、
図1乃至
図3に基づいて説明する。
ここで、
図1は、本発明の第1実施例の電子ファイル証明システム100の概念を示す全体概念図であり、
図2は、本発明の第1実施例の電子ファイル証明システム100のタイムカード機能の例を示す図であり、
図3は、本発明の第1実施例の電子ファイル証明システム100のタイムカード機能の別の例を示す図である。
【0025】
本発明の第1実施例である電子ファイル証明システム100は、
図1に示すように、電子ファイル110と、複数のコンピュータ120A〜120Dとを備えている。
電子ファイル110は、所定の情報を記載自在に設けられている。
また、複数のコンピュータ120A〜120Dは、それぞれ分散して配置されてネットワーク通信自在に構成されている。
つまり、複数のコンピュータ120A〜120Dは、同じデータをそれぞれ記憶した分散型データベースを構成する。
【0026】
電子ファイル110の内容について変更があると、電子ファイル110から複数のコンピュータ120A〜120Dに対して、変更前に対する変更後の相違点について申請が、パーソナルコンピュータ端末などの端末を介してネットワーク通信で送られる。
各コンピュータ120A〜120Dは、受信した申請内容を、自己のコンピュータ120A〜120Dの記憶部に情報として記憶する。
ここで、各コンピュータ120A〜120Dは、所定のルールに基づく複数のコンピュータ間の多数決によって同期して整合を取るように構成されている。
【0027】
つまり、各コンピュータ120A〜120Dは、変更前に対する変更後の相違点を記憶部に情報として記憶する際、各コンピュータ間で合意を行う。合意ができない場合、データ改ざんや不正のある情報であると判断され、この情報は、弾かれる。
例えば、複数のうちの1つのコンピュータ120Aが、データベースを更新する権限をもつように所定のルールを定めてもよい。
【0028】
また、複数のコンピュータ120A〜120Dは、電子ファイル110の内容の変更毎に変更前に対する変更後の相違点を、各コンピュータ120A〜120Dの記憶部に追加情報として追加して記憶するように構成されている。変更毎に相違点が追加され、所謂、ブロックチェーンと呼ばれる。
これにより、電子ファイル110の内容の変更点である相違点が複数のコンピュータ120A〜120Dの記憶部に記憶されるとともに各コンピュータ間で整合が取られて各コンピュータ120A〜120Dによる監視が働く。
その結果、電子ファイル110の過去の内容についての改ざんを防止することができる。
【0029】
電子ファイル110に記載された所定の情報が、ユーザの勤怠情報である場合について説明する。
ユーザが、自身のICカードを、会社の出入り口に設置されたカードリーダにかざす。
カードリーダは、出勤時に使用するものと、退勤時に使用するものとを分けてもよい。
【0030】
図2に示すように、例えば、t=1のとき、社員Aが、自身のICカードをカードリーダにかざして出勤したとする。
すると、カードリーダの内部の電子ファイル110の内容について、「社員Aが出勤した」と記録され、この内容が、カードリーダを介して複数のコンピュータ120A〜120Dへ、ネットワーク通信で申請される。
各コンピュータ120A〜120Dは、受信した申請内容を、自己のコンピュータ120A〜120Dの記憶部に情報として記憶する。
各コンピュータ120A〜120Dは、所定のルールに基づく複数のコンピュータ間の多数決によって同期して整合を取る。
この場合、各コンピュータ120A〜120Dの記憶部には、t=1のブロックが記憶され、t=1のブロックには、t=1に社員Aが出勤した旨の情報が記載される。
【0031】
t=2のとき、社員Bおよび社員Cが、自身のICカードをカードリーダにかざして出勤したとする。
すると、カードリーダの内部の電子ファイル110の内容について、「社員Bおよび社員Cが出勤した」と記録され、この内容が、カードリーダを介して複数のコンピュータ120A〜120Dへ、ネットワーク通信で申請される。
【0032】
各コンピュータ120A〜120Dは、受信した申請内容を、自己のコンピュータ120A〜120Dの記憶部に情報として記憶する。
各コンピュータ120A〜120Dは、所定のルールに基づく複数のコンピュータ間の多数決によって同期して整合を取る。
t=2のブロックには、t=2に社員Bおよび社員Cが出勤した旨の情報と、所定のハッシュ関数によってブロック1の情報が圧縮された圧縮値である改ざん防止値とが記載される。
そして、各コンピュータ120A〜120Dの記憶部において、t=2のブロックは、t=1のブロックに追加される。
【0033】
t=3のとき、社員Dおよび社員Eが、自身のICカードをカードリーダにかざして出勤したとする。
すると、カードリーダの内部の電子ファイル110の内容について、「社員Dおよび社員Eが出勤した」と記録され、この内容が、カードリーダを介して複数のコンピュータ120A〜120Dへ申請される。
【0034】
各コンピュータ120A〜120Dは、受信した申請内容を、自己のコンピュータ120A〜120Dの記憶部に情報として記憶する。
各コンピュータ120A〜120Dは、所定のルールに基づく複数のコンピュータ間の多数決によって同期して整合を取る。
t=3のブロックには、t=3に社員Dおよび社員Eが出勤した旨の情報と、所定のハッシュ関数によってブロック2の情報が圧縮された圧縮値である改ざん防止値とが記載される。
そして、複数のコンピュータ120A〜120Dの記憶部において、t=3のブロックは、t=1およびt=2のブロックに追加される。
【0035】
このように、各ユーザの誰かが出勤・退勤する毎にカードリーダから複数のコンピュータ120A〜120Dへ申請が行われ、各コンピュータ120A〜120Dの記憶部において、新しいブロックが、従前のブロックに順次追加される。
これにより、ユーザの勤務中か否かの状態の変化が複数のコンピュータ120A〜120Dの記憶部に追加して記憶される。
その結果、信頼性のある勤務タイムカードの情報を複数のコンピュータ120A〜120Dの記憶部に残すことができる。
さらに、会社組織ぐるみによる会社従業員の勤務時間の改ざんを防止することができる。
【0036】
また、変更後の情報(ブロック)が、変更直前の情報(ブロック)を所定の関数を利用して圧縮した変更前圧縮値である改ざん防止値を有している。
本実施例では、例えば、t=2のブロックが、所定のハッシュ関数を利用して変更直前のt=1のブロックを圧縮した変更前圧縮値を改ざん防止値として有している。
同様に、t=3のブロックが、所定のハッシュ関数を利用して変更直前のt=2のブロックを圧縮した変更前圧縮値を改ざん防止値として有している。
これにより、仮に、過去の情報の一部が改ざんされるとその情報の圧縮値が変わり、変更後の情報に記載された変更前圧縮値と異なる値となる。
その結果、改ざんされた情報を容易に特定することができる。
【0037】
なお、
図2については、複数のユーザのデータを各ユーザのアクション単位でまとめた例を挙げて説明したが、ユーザ毎にデータを分けてもよい。
ユーザ毎にデータを分けた例について説明する。
ユーザが、自身のICカードを、会社の出入り口に設置されたカードリーダにかざす。
すると、
図3に示すように、勤務タイムカードとしてのカードリーダまたはICカードに記憶された電子ファイル110に、ユーザの出勤時から退勤時までの時間、または前回の退勤時から今回の出勤時までの時間が追加情報として追加される。
【0038】
例えば、1月26日に出勤したときにICカードをカードリーダにかざすと、前日の退勤時から当日の出勤時までの時間が記録される。
このとき、この情報(ブロック)が、従前の情報(ブロック)に追加される。
そして、カードリーダまたはICカードが、
図1で説明した複数のコンピュータ120A〜120Dに対して、変更前に対する変更後の相違点として追加したブロックの内容を、ネットワーク通信で申請する。
各コンピュータ120A〜120Dは、受信した申請内容を、自己のコンピュータ120A〜120Dの記憶部に情報として記憶する。
各コンピュータ120A〜120Dは、所定のルールに基づく複数のコンピュータ間の多数決によって同期して整合を取る。
【0039】
さらに、1月26日に退勤したときにICカードをカードリーダにかざすと、当日の出勤時から当日の退勤時までの時間が記録される。
このとき、この情報(ブロック)が、従前の情報(ブロック)に追加される。
そして、カードリーダまたはICカードが、複数のコンピュータ120A〜120Dに対して、変更前に対する変更後の相違点として追加したブロックの内容を、ネットワーク通信で申請する。
各コンピュータ120A〜120Dは、受信した申請内容を、自己のコンピュータ120A〜120Dの記憶部に情報として記憶する。
各コンピュータ120A〜120Dは、所定のルールに基づく複数のコンピュータ間の多数決によって同期して整合を取る。
【0040】
これにより、出勤時刻および退勤時刻ではなく勤務時間および勤務外時間が複数のコンピュータ120A〜120Dの記憶部に追加して記憶される。
仮に、勤務時間および勤務外時間の一方のみが改ざんされると、そもそも、つじつまが合わなくなり改ざん箇所が明白になる。
その結果、信頼性のある勤務タイムカードの情報を複数のコンピュータ120A〜120Dの記憶部に残すことができる。
さらに、会社組織ぐるみによる会社従業員の勤務時間の改ざんを防止することができる。
【0041】
また、変更後の情報(ブロック)が、変更直前の情報(ブロック)を所定の関数を利用して圧縮した変更前圧縮値を有している。
本実施例では、例えば、No.12Bのブロックが、所定のハッシュ関数を利用して変更直前のNo.12Aのブロックを圧縮した変更前圧縮値ZZZBを改ざん防止値として有している。
これにより、仮に、過去の情報の一部が改ざんされるとその情報の圧縮値が変わり、変更後の情報に記載された変更前圧縮値ZZZBと異なる値となる。
その結果、改ざんされた情報を容易に特定することができる。
【0042】
このようにして得られた本発明の第1実施例である電子ファイル証明システム100は、所定の情報を記載した電子ファイル110と、それぞれ分散して配置されてネットワーク通信自在な複数のコンピュータ120A〜120Dとを備え、複数のコンピュータ120A〜120Dが、電子ファイル110の内容について変更前に対する変更後の相違点を受信して相違点を各コンピュータ120A〜120Dの記憶部に情報として記憶するとともに、所定のルールに基づく複数のコンピュータ間の多数決によって同期して整合を取り、電子ファイル110の内容の変更毎に変更前に対する変更後の相違点を、各コンピュータ120A〜120Dの記憶部に追加情報として追加して記憶する構成であることにより、電子ファイル110の過去の内容についての改ざんを防止することができる。
【0043】
さらに、変更後の情報(例えば、No.12Bのブロック)が、変更直前の情報(例えば、No.12Aのブロック)を所定の関数を利用して圧縮した変更前圧縮値(改ざん防止値ZZZB)を有していることにより、仮に、過去の情報の一部が改ざんされた場合、改ざんされた情報を容易に特定することができる。
【0044】
また、電子ファイル110が、ユーザの勤怠情報を有し、複数のコンピュータ120A〜120Dが、ユーザの勤務中か否かの状態の変化を追加情報として記憶部に追加して記憶する構成であることにより、信頼性のある勤務タイムカードの情報を複数のコンピュータ120A〜120Dの記憶部に残すことができ、会社組織ぐるみによる会社従業員の勤務時間の改ざんを防止することができる。
【0045】
同様に、電子ファイル110が、ユーザの勤怠情報を有し、複数のコンピュータ120A〜120Dが、ユーザの出勤時から退勤時までの時間、または前回の退勤時から今回の出勤時までの時間を追加情報として記憶部に追加して記憶する構成であることにより、信頼性のある勤務タイムカードの情報を複数のコンピュータ120A〜120Dの記憶部に残すことができ、会社組織ぐるみによる会社従業員の勤務時間の改ざんを防止することができるなど、その効果は甚大である。
【実施例2】
【0046】
続いて、本発明の第2実施例である電子ファイル証明システム100について、
図4に基づいて説明する。
ここで、
図4は、本発明の第2実施例の電子ファイル証明システム100のワークフローの例を示す図である。
第2実施例の電子ファイル証明システム100は、第1実施例の電子ファイル証明システム100の電子ファイル110の用途をビジネス文書にしたものであり、多くの要素について第1実施例の電子ファイル証明システム100と共通するので、共通する事項については詳しい説明を省略する。
【0047】
本発明の第2実施例である電子ファイル証明システム100の電子ファイル110は、
図4に示すように、会社内外で使用されるビジネス文書の一例として会社内文書テキストデータと、ブロックチェーンデータとを備えている。
このうち、ビジネス文書は、会社内外で使用されるものであり、会議資料、提案書、報告書、プロジェクト立案書などである。
ビジネス文書が、プロジェクト立案書である場合、会社内文書テキストデータには、プロジェクトの目的、プロジェクトの時期、プロジェクトの外注先候補、プロジェクトの予算などの情報が含まれる。
また、ブロックチェーンデータには、会社内文書テキストデータの作成者、承認者の名前や、作成時、承認時の情報が含まれる。
【0048】
例えば、F担当者が、プロジェクト立案書をパーソナルコンピュータ端末を用いて作成したとする。
F担当者は、日時VVVのときに複数のコンピュータ120A〜120Dに対して、プロジェクト立案書を作成した旨を、パーソナルコンピュータ端末を用いてネットワーク通信で申請する。
【0049】
各コンピュータ120A〜120Dは、受信した申請内容を、自己のコンピュータ120A〜120Dの記憶部に情報として記憶する。
各コンピュータ120A〜120Dは、所定のルールに基づく複数のコンピュータ間の多数決によって同期して整合を取る。
次に、プロジェクト立案書の電子ファイル110が、日時WWWのとき、F担当者からG課長へネットワーク上で提出されたとする。
【0050】
このとき、F担当者は、複数のコンピュータ120A〜120Dに対して、電子ファイル110をG課長へネットワーク上で渡した旨を、パーソナルコンピュータ端末を用いてネットワーク通信で申請する。
各コンピュータ120A〜120Dは、受信した申請内容を、自己のコンピュータ120A〜120Dの記憶部に情報として記憶し、同期して整合を取る。
【0051】
続いて、G課長が、プロジェクト立案書の内容を確認して電子ファイル上で承認する。
G課長は、日時XXXのときに複数のコンピュータ120A〜120Dに対して、承認した旨を、パーソナルコンピュータ端末を用いてネットワーク通信で申請する。
各コンピュータ120A〜120Dは、受信した申請内容を、自己のコンピュータ120A〜120Dの記憶部に情報として記憶し、同期して整合を取る。
【0052】
さらに続いて、プロジェクト立案書の電子ファイル110が、日時YYYのとき、G課長からH部長へネットワーク上で提出されたとする。
このとき、G課長は、複数のコンピュータ120A〜120Dに対して、電子ファイル110をH部長へネットワーク上で渡した旨を、パーソナルコンピュータ端末を用いてネットワーク通信で申請する。
各コンピュータ120A〜120Dは、受信した申請内容を、自己のコンピュータ120A〜120Dの記憶部に情報として記憶し、同期して整合を取る。
【0053】
H部長が、プロジェクト立案書の内容を確認して電子ファイル上で承認する。
H部長は、日時ZZZのときに複数のコンピュータ120A〜120Dに対して、承認した旨を、パーソナルコンピュータ端末を用いてネットワーク通信で申請する。
各コンピュータ120A〜120Dは、受信した申請内容を、自己のコンピュータ120A〜120Dの記憶部に情報として記憶し、同期して整合を取る。
【0054】
これにより、確認者、承認者の名前が各コンピュータ120A〜120Dの記憶部に時系列の順でブロックチェーン形式で記憶される。
その結果、ワークフローの正式な流れで手続されたか否かを容易に判断することができる。
さらに、ビジネス文書に対して各コンピュータ120A〜120Dによる監視が働く。
その結果、確認・承認される前の内容の改ざんを防止することができる。
【0055】
このようにして得られた本発明の第2実施例である電子ファイル証明システム100は、所定の情報を記載した電子ファイル110が、ビジネス文書であり、複数のコンピュータ120A〜120Dが、ビジネス文書についての確認者・承認者の名前を追加情報として記憶部に追加して記憶する構成であることにより、ワークフローの正式な流れで手続されたか否かを容易に判断することができ、確認・承認される前の内容の改ざんを防止することができるなど、その効果は甚大である。
【実施例3】
【0056】
続いて、本発明の第3実施例である電子ファイル証明システム100について、
図5に基づいて説明する。
ここで、
図5は、本発明の第3実施例の電子ファイル証明システム100の契約書の例を示す図である。
第3実施例の電子ファイル証明システム100は、第1実施例の電子ファイル証明システム100の電子ファイル110の用途を契約書にしたものであり、多くの要素について第1実施例の電子ファイル証明システム100と共通するので、共通する事項については詳しい説明を省略する。
【0057】
本発明の第3実施例である電子ファイル証明システム100の電子ファイル110は、
図5に示すように、契約書テキストデータと、ブロックチェーンデータとを備えている。
このうち、契約書は、会社内外、広く社会で使用されるものである。
契約書テキストデータには、甲、乙、期限や履行内容などの情報が含まれる。
また、ブロックチェーンデータには、契約書作成者、契約書作成日時、甲の名前、甲の承認時、乙の名前、乙の承認時の情報が含まれる。
【0058】
例えば、弁護士Jが、契約書を作成したとする。
弁護士Jは、日時UUUのときに複数のコンピュータ120A〜120Dに対して、契約書を作成した旨をパーソナルコンピュータ端末を用いてネットワーク通信で申請する。
各コンピュータ120A〜120Dは、受信した申請内容を、自己のコンピュータ120A〜120Dの記憶部に情報として記憶する。
【0059】
各コンピュータ120A〜120Dは、所定のルールに基づく複数のコンピュータ間の多数決によって同期して整合を取る。
次に、契約書の電子ファイル110が、日時VVVのとき、弁護士Jから甲へネットワーク上で送付されたとする。
このとき、弁護士Jは、複数のコンピュータ120A〜120Dに対して、電子ファイル110を甲へネットワーク上で渡した旨を申請する。
各コンピュータ120A〜120Dは、受信した申請内容を、自己のコンピュータ120A〜120Dの記憶部に情報として追加して記憶し、同期して整合を取る。
【0060】
続いて、甲は、契約内容について確認・承認し、日時WWWのときに複数のコンピュータ120A〜120Dに対して、契約内容について確認・承認した旨をパーソナルコンピュータ端末を用いてネットワーク通信で申請する。
各コンピュータ120A〜120Dは、受信した申請内容を、自己のコンピュータ120A〜120Dの記憶部に情報として追加して記憶し、同期して整合を取る。
次に、契約書の電子ファイル110が、日時XXXのとき、甲から弁護士Jへネットワーク上で送付されたとする。
【0061】
このとき、甲は、複数のコンピュータ120A〜120Dに対して、電子ファイル110を弁護士Jへネットワーク上で渡した旨をパーソナルコンピュータ端末を用いてネットワーク通信で申請する。
各コンピュータ120A〜120Dは、受信した申請内容を、自己のコンピュータ120A〜120Dの記憶部に情報として追加して記憶し、同期して整合を取る。
【0062】
また、契約書の電子ファイル110が、日時YYYのとき、弁護士Jから乙へネットワーク上で送付されたとする。
このとき、弁護士Jは、複数のコンピュータ120A〜120Dに対して、電子ファイル110を乙へネットワーク上で渡した旨をパーソナルコンピュータ端末を用いてネットワーク通信で申請する。
各コンピュータ120A〜120Dは、受信した申請内容を、自己のコンピュータ120A〜120Dの記憶部に情報として追加して記憶し、同期して整合を取る。
【0063】
続いて、乙は、契約内容について確認・承認し、日時ZZZのときに複数のコンピュータ120A〜120Dに対して、契約内容について確認・承認した旨をパーソナルコンピュータ端末を用いてネットワーク通信で申請する。
各コンピュータ120A〜120Dは、受信した申請内容を、自己のコンピュータ120A〜120Dの記憶部に情報として追加して記憶し、同期して整合を取る。
【0064】
これにより、契約書の作成情報、契約者の情報、契約締結時の情報などが各コンピュータ120A〜120Dの記憶部に時系列の順でブロックチェーン形式で記憶され、契約書に対して各コンピュータ120A〜120Dによる監視が働く。
その結果、契約が締結される前の内容の改ざんを防止することができる。
【0065】
このようにして得られた本発明の第3実施例である電子ファイル証明システム100は、所定の情報を記載した電子ファイル110が、契約書であり、複数のコンピュータ120A〜120Dが、契約書について契約者の名前を追加情報として記憶部に追加して記憶する構成であることにより、契約が締結される前の内容の改ざんを防止することができるなど、その効果は甚大である。
【実施例4】
【0066】
続いて、本発明の第4実施例である電子ファイル証明システム100について、
図6に基づいて説明する。
ここで、
図6は、本発明の第4実施例の電子ファイル証明システム100の履歴・ログサービスの例を示す図である。
第4実施例の電子ファイル証明システム100は、第1実施例の電子ファイル証明システム100の電子ファイル110の用途を履歴・ログサービスにしたものであり、多くの要素について第1実施例の電子ファイル証明システム100と共通するので、共通する事項については詳しい説明を省略する。
【0067】
本発明の第4実施例である電子ファイル証明システム100の電子ファイル110は、ものに付随する電子タグに記憶されている。
一例として、牛に付随する電子タグに記憶されているとする。
まず、この牛が生まれたとき、生産者が、生まれた日時VVVおよび牛の出生地について、ICタグ読み書き込み端末を用いて牛に付けられた電子ダグに書き込みをするとともにネットワーク通信で複数のコンピュータ120A〜120Dに対して申請する。
各コンピュータ120A〜120Dは、受信した申請内容を、自己のコンピュータ120A〜120Dの記憶部に情報として記憶し、同期して整合を取る。
【0068】
次に、生産者が、牛に飼料を与えた日時WWWおよび飼料の内容について、ICタグ読み書き込み端末を用いて牛に付けられた電子ダグに書き込みをするとともにネットワーク通信で複数のコンピュータ120A〜120Dに対して申請する。
各コンピュータ120A〜120Dは、受信した申請内容を、自己のコンピュータ120A〜120Dの記憶部に情報として追加して記憶し、同期して整合を取る。
【0069】
続いて、生産者が、牛を出荷した日時XXXおよび出荷元の牧場名について、ICタグ読み書き込み端末を用いて牛に付けられた電子ダグに書き込みをするとともにネットワーク通信で複数のコンピュータ120A〜120Dに対して申請する。
各コンピュータ120A〜120Dは、受信した申請内容を、自己のコンピュータ120A〜120Dの記憶部に情報として追加して記憶し、同期して整合を取る。
【0070】
さらに、牛を入荷した精肉店が、牛を入荷した日時YYYおよび精肉店名について、ICタグ読み書き込み端末を用いて牛に付けられた電子ダグに書き込みをするとともにネットワーク通信で複数のコンピュータ120A〜120Dに対して申請する。
各コンピュータ120A〜120Dは、受信した申請内容を、自己のコンピュータ120A〜120Dの記憶部に情報として追加して記憶し、同期して整合を取る。
【0071】
また、精肉店から入荷した販売店が、牛を入荷した日時ZZZおよび販売店について、ICタグ読み書き込み端末を用いて牛肉に付けられた電子ダグに書き込みをするとともにネットワーク通信で複数のコンピュータ120A〜120Dに対して申請する。
各コンピュータ120A〜120Dは、受信した申請内容を、自己のコンピュータ120A〜120Dの記憶部に情報として追加して記憶し、同期して整合を取る。
【0072】
これにより、牛の出生から消費者に届くまでの情報などが各コンピュータ120A〜120Dの記憶部に時系列の順でブロックチェーン形式で記憶され、電子タグが取り付けられた牛、牛肉についての履歴情報に対して各コンピュータ120A〜120Dによる監視が働く。
その結果、電子タグが取り付けられた牛、牛肉についての履歴の内容の改ざんを防止することができる。
つまり、信頼性のある履歴・ログサービスを提供することができる。
【0073】
なお、牛、牛肉について説明したが、他のものでもよい。
例えば、他の食品に電子タグを取り付けて、他の食品についての履歴・ログサービスを提供してもよい。
また、人間の新生児のリストバンドに電子タグを設けて、新生児についての履歴・ログサービスを提供してもよい。例えば、新生児の体重、食事、薬などの情報が各コンピュータ120A〜120Dの記憶部に時系列の順でブロックチェーン形式で記憶され、電子タグが取り付けられた新生児についての履歴情報に対して各コンピュータ120A〜120Dによる監視が働く。
新生児のリストバンドの電子タグに、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)機能を加えて、位置情報もブロックチェーン形式で記憶されると、新生児の取り違いを回避できる。
【0074】
自動車の一部に電子タグを設けて、自動車についての履歴・ログサービスを提供してもよい。例えば、自動車の生産場所、生産時期、販売履歴、整備履歴などの情報が各コンピュータ120A〜120Dの記憶部に時系列の順でブロックチェーン形式で記憶され、電子タグが取り付けられた自動車についての履歴情報に対して各コンピュータ120A〜120Dによる監視が働く。
自動車の電子タグに、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)機能を加えて、位置情報もブロックチェーン形式で記憶されると、盗難の履歴も確認できる。
【0075】
本実施例のブロックチェーンデータの構成に、上述した実施例の改ざん防止値の構成を加えてもよいのは勿論である。
【0076】
このようにして得られた本発明の第4実施例である電子ファイル証明システム100は、所定の情報を記載した電子ファイル110が、ものに付随する電子タグに記憶され、複数のコンピュータ120A〜120Dが、ものについての履歴を追加情報として記憶部に追加して記憶する構成であることにより、電子タグが取り付けられたものについての履歴の内容の改ざんを防止して、信頼性のある履歴・ログサービスを提供することができるなど、その効果は甚大である。