特許第6892104号(P6892104)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6892104
(24)【登録日】2021年5月31日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】樹脂成形品
(51)【国際特許分類】
   B65D 43/08 20060101AFI20210607BHJP
   B65D 1/34 20060101ALI20210607BHJP
   B65D 1/46 20060101ALI20210607BHJP
【FI】
   B65D43/08 200
   B65D1/34
   B65D1/46
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-34583(P2017-34583)
(22)【出願日】2017年2月27日
(65)【公開番号】特開2018-140787(P2018-140787A)
(43)【公開日】2018年9月13日
【審査請求日】2019年12月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】390041058
【氏名又は名称】シーピー化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】特許業務法人竹内・市澤国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】込山 和馬
【審査官】 武内 大志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−183551(JP,A)
【文献】 特開2013−39949(JP,A)
【文献】 特開2011−37510(JP,A)
【文献】 特開2014−108820(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3131449(JP,U)
【文献】 実開昭51−42704(JP,U)
【文献】 特開2001−322212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 43/02−43/12
B65D 1/34−1/36
B65D 1/40−1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂シートから成形され、容器本体又は蓋体となる樹脂成形品であって、
天面部又は底面部と、蓋体又は容器本体に被せた状態で開口縁部付近にて対面するフランジ部と、該天面部又は該底面部の外縁から下方又は上方に向かい、該天面部又は該底面部と該フランジ部との間に設けた周壁部と、該周壁部に少なくとも一つ備えた外方に膨らむ丸隅部と、該丸隅部と該天面部又は該底面部とが交わる角部と、該角部付近における、該天面部及び該周壁部の上半分内又は該底面部及び該周壁部の下半分内を凹曲面状に凹ませた凹曲面部と、を備えた樹脂成形品。
【請求項2】
該凹曲面部の底面に、該天面部から下方に向かい又は該底面部から上方に向かい半径が小さくなる階段状にした段状部を備えた請求項1に記載の樹脂成形品。
【請求項3】
該凹曲面部は、該周壁部における外縁形状が放物線状を呈する請求項1又は2に記載の樹脂成形品。
【請求項4】
該丸隅部の両側に、上下方向に延びる筋状溝部を設けた請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂シートから成形され、主に食品などを収容する容器本体又は蓋体となる樹脂成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、弁当、サラダ、惣菜、フルーツなどが薄肉の樹脂シートから成形された容器本体及び蓋からなる包装用容器に封入されて小売店などの店頭で販売されていることが見かけられる。
このような包装用容器は、複数段に段積みされて店頭に陳列されることが多く、段積みに耐え得る強度を必要とするものである。
【0003】
例えば、合成樹脂シートにより形成されて、各コーナー部が略角形状に形成された容器本体と、この容器本体の上端縁に形成した嵌合縁にて被嵌される蓋体とを有した包装用容器において、少なくとも前記容器本体あるいは蓋体の各コーナー部の頂部に、底面部あるいは平面部から側壁にわたって傾斜する略直線状の補強凹所を形成したことを特徴とする包装用容器のコーナー部構造が開発されており、容器本体又は蓋体の各コーナー部における剛性を確保できるようにしてある(下記特許文献1参照)。
【0004】
また、天面の略全体が平坦面で構成される天板部と、該天板部に連接され、下方に向かって拡開する傾斜面を有する蓋体側壁部と、該蓋体側壁部に連接される蓋体フランジ部とを備えた包装用容器の蓋体において、前記天板部は、略矩形の四隅が直線状に面取りされて略八角形状に構成され、この天板部に連接される前記蓋体側壁部は、少なくとも8つの傾斜面を備え、前記天板部の8つの角部を基点にして、前記蓋体側壁部の下端まで連続して延びる平面視略V字状の凹溝が設けられ、該凹溝は、下方へ向けて次第にその深さが浅く形成されていることを特徴とする包装用容器の蓋体が開発されており、優れた視認性及び十分な強度を確保できるようにしてある(下記特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平7−285531号公報
【特許文献2】特開2013−86852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1又は2に示されたように、合成樹脂シートから成形された包装用容器において、強度を確保するために様々な開発がなされている。
最近では、省資源の観点から薄肉の合成樹脂シートを用いることが好ましく、各企業などでは包装用容器の形状を改良することにより強度を高める開発がなされている。
本発明者は、鋭意研究した結果、従来にはない形状にすることにより包装用容器の強度を高めることができることを見出した。
【0007】
そこで、本発明の目的は、合成樹脂シートから成形され、段積みに耐え得る強度を確保できる、容器本体又は蓋体となる樹脂成形品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態の樹脂成形品は、合成樹脂シートから成形され、容器本体又は蓋体となる樹脂成形品であって、天面部又は底面部と、蓋体又は容器本体に被せた状態で開口縁部付近にて対面するフランジ部と、該天面部又は該底面部の外縁から下方又は上方に向かい、該天面部又は該底面部と該フランジ部との間に設けた周壁部と、該周壁部に少なくとも一つ備えた外方に膨らむ丸隅部と、該丸隅部と該天面部又は該底面部とが交わる角部と、該角部付近における、該天面部及び該周壁部の上半分内又は該底面部及び該周壁部の下半分内を凹曲面状に凹ませた凹曲面部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
上記形態の樹脂成形品は、丸隅部と天面部又は底面部とが交わる角部付近に凹曲面状に凹ませた凹曲面部を設けることにより、丸隅部と凹曲面部とが一体的に機能して樹脂成形品の強度を高めることができ、特に上下方向の荷重に対する強度を確保することができる。
【0010】
上記形態の樹脂成形品は、凹曲面部の底面に、該天面部から下方に向かい又は該底面部から上方に向かい半径が小さくなる階段状にした段状部を備えることができる。凹曲面部は、周壁部における外縁形状が放物線状を呈するように形成することができる。また、上記形態の樹脂成形品は、丸隅部の両側に、上下方向に延びる筋状溝部を設けることができる。
【0011】
このようにすることにより、樹脂成形品の強度がより一層高まり、段積みしても変形することのない容器本体や蓋体にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の樹脂成形品の一実施形態としての蓋体の斜視図である。
図2図1の蓋体の側面図である。
図3】本発明の樹脂成形品の他の実施形態としての容器本体の斜視図である。
図4図1の蓋体の凹曲面部付近の部分拡大斜視図である。
図5図1の蓋体の一変形例を示した側面図である。
図6図1の蓋体の他の変形例を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の樹脂成形品の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0014】
本発明の一実施形態の樹脂成形品は、図1又は図2に示すように、蓋体1としてある。蓋体1は、天面部2と、周壁部3と、丸隅部4と、凹曲面部5と、を備える。
以下、蓋体1について説明するが、本発明の樹脂成形品は、図3に示すように、容器本体11にすることもできる。この場合、蓋体1を上下反転させた構成になり、底面部12が蓋体1の天面部2に対応し、符号13が周壁部、符号14が丸隅部、符号15が凹曲面部になる。
【0015】
蓋体1は、特に限定するものではないが、弁当容器、惣菜、サラダ、フルーツ等を包装する容器など食品を収容する容器に用いるのが好ましい。
【0016】
蓋体1は、例えば、シート厚0.1mm〜3mm、好ましくは0.2mm〜2mmの合成樹脂シートを熱成形して製造することができる。
【0017】
合成樹脂シートとしては、特に限定するものではないが、発泡樹脂シート、非発泡樹脂シートのいずれでもよく、例えば、ポリエチレン系樹脂シートやポリプロピレン系樹脂シートなどのポリオレフィン系樹脂シート、ポリスチレン系樹脂シート、ポリエチレンテレフタレート系樹脂シートや耐熱性を付与した変性ポリエチレンテレフタレート系樹脂シートなどのポリエステル系樹脂シートなどの熱可塑性樹脂シートを挙げることができる。なかでも、電子レンジの加熱に耐え得るもの、例えば、耐熱性ポリスチレン系樹脂シート、ポリプロピレン系樹脂シート、耐熱性を付与した変性ポリエチレンテレフタレート系樹脂シートが好ましい。
また、合成樹脂シートとして積層シートを用いることもでき、積層シートとしては、例えば、合成樹脂シートにフィルムを熱ラミネートした積層シート、共押出法による積層シート、押出ラミネート法による積層シートなどを挙げることができる。
【0018】
熱成形としては、例えば、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、熱板成形などを挙げることができる。
【0019】
蓋体1は、透明、半透明、黒色や白色などの有色のいずれでもよいが、内部が視認できるように、透明乃至半透明にすることが好ましい。
【0020】
天面部2は、図1に示すように、平面視丸隅長方形状の水平面状に形成してある。本実施形態では平面視丸隅長方形状としてあるが、これに限定されるものではなく、平面視において少なくとも一つの丸隅部4を有する形状であればよく、例えば、平面視丸隅三角形状、平面視丸隅正方形状、平面視丸隅六角形状、平面視丸隅八角形状などにすることもできる。また、天面部2は、水平面状ではなく、段積みする際に邪魔にならない程度の凹凸を設けてもよい。
【0021】
周壁部3は、図1又は図2に示すように、天面部2の縁部から下方に向かい拡開するように傾斜させた傾斜面としてあり、周壁部3の下端部には、外方に水平状に張り出すフランジ部31が形成してある。
周壁部3は、垂直状の垂直面に形成してもよい。
【0022】
フランジ部31の外縁には、図1又は図2などに示すように、垂下する垂下面部32が形成してあり、垂下面部32の所定位置に形成した係合部33により容器本体に外嵌合できるようにしてある。本実施形態では、外嵌合できるように形成してあるが、これに限定されるものではなく、内嵌合や内外嵌合できるように形成してもよい。また、垂下面部32を設けず、ステープラや粘着テープなどで容器本体と固定できるようにしてもよい。
【0023】
丸隅部4は、図1又は図4などに示すように、周壁部3の一部を成し、外方に円弧状に膨らむように形成してあり、天面部2とフランジ部31との間で、やや傾いて上下方向に延びるようにしてある。
丸隅部4は、特に限定するものではないが、平面視において半径3mm〜50mm、特に半径5mm〜30mmの曲線に形成するのが好ましい。なお、この半径は、丸隅部4の下端部における半径であり、丸隅部4は、下端部から上端部に向かい半径が徐々に小さくなるように形成してもよく、また、下端部から上端部に向かい半径が徐々に大きくなるように形成してもよい。
【0024】
凹曲面部5は、図4などに示すように、丸隅部4と天面部2とが交わる角部付近を、底面が凹曲面状になるように凹ませて形成してある。凹曲面部5は、上端部(天面部2側)から下端部に向かい半径が徐々に小さくなるように形成し、周壁部2と交わる外縁形状が放物線状を呈するようにするのが好ましい。
【0025】
凹曲面部5は、底面を階段状にした段状部51を形成することができ、本実施形態では段状部51を6段としてある。このようにすることにより、上下方向の強度を高めることができる。段状部51は、図5に示すように4段や図6に示すように9段にすることもでき、3段〜50段、特に3段〜10段の階段状にすることが好ましい。
【0026】
凹曲面部5は、特に限定するものではないが、平面視において半径3mm〜50mm、特に半径5mm〜30mmの曲線に形成するのが好ましい。なお、この半径は、凹曲面部5の上端部(天面部2側)における半径であり、凹曲面部5は、上記したとおり、下端部から上端部に向かい半径が徐々に小さくなるように形成してもよく、また、下端部から上端部に向かい半径が徐々に大きくなるように形成してもよい。
【0027】
凹曲面部5は、上端部から下端部までの高さ(図2の寸法X)を、凹曲面部5の上端部から丸隅部4の下端部までの高さ(図2の寸法Y)に対して、1:2〜1:30(X:Y)にすることが好ましい。なお、これら高さは垂直方向の高さである。
【0028】
周壁部3には、図1又は図2などに示すように、丸隅部4の両側に、上下方向に延び、周壁部3を若干凹ませた筋状溝部6を設けることができる。このようにすることにより、丸隅部4が歪みにくくなり強度を高めることができる。
筋条溝部6の高さ(図2の寸法A)は、本実施形態では、周壁部2の下端部から周壁部3の垂直方向の高さ(図2の寸法B)に対して約70%の高さにしてある。筋条溝部6の高さは、特に限定されるものではなく、周壁部3の全高に渡る長さとしてもよい。
【0029】
蓋体1は、丸隅部4と天面部2とが交わる角部付近に凹曲面部5を設けてあるため、丸隅部4と凹曲面部5とが一体的に機能して蓋体1の強度を高めることができ、特に上下方向の荷重に対する強度を確保することができる。
また、凹曲面部5の底面に段状部51を備えることにより、より強度を高めることができる。
さらに、凹曲面部5の周壁部3との外縁形状を放物線状に呈する形状にすること、丸隅部4の両側に、上下方向に延びる筋状溝部6を設けることなどによっても蓋体1の強度を高めることができ、段積みしても変形しにくいものになる。
【0030】
上記実施形態の構成態様は、本発明を限定するものとして挙げたものではなく、技術目的を共通にするかぎり変更は可能であり、本発明はそのような変更を含むものである。例えば、蓋体と容器本体をヒンジ部で連結した、いわゆるフードパックなども含むものである。
【符号の説明】
【0031】
1蓋体
2天面部
3周壁部
31フランジ部
32垂下面部
33係合部
4丸隅部
5凹曲面部
51段状部
6筋条溝部
図1
図2
図3
図4
図5
図6