特許第6892106号(P6892106)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ NECエンベデッドプロダクツ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6892106-遊技機、制御方法及びプログラム 図000002
  • 特許6892106-遊技機、制御方法及びプログラム 図000003
  • 特許6892106-遊技機、制御方法及びプログラム 図000004
  • 特許6892106-遊技機、制御方法及びプログラム 図000005
  • 特許6892106-遊技機、制御方法及びプログラム 図000006
  • 特許6892106-遊技機、制御方法及びプログラム 図000007
  • 特許6892106-遊技機、制御方法及びプログラム 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6892106
(24)【登録日】2021年5月31日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】遊技機、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20210607BHJP
【FI】
   A63F7/02 304B
   A63F7/02 302A
   A63F7/02 320
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-42665(P2017-42665)
(22)【出願日】2017年3月7日
(65)【公開番号】特開2018-143563(P2018-143563A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2020年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】302069930
【氏名又は名称】NECエンベデッドプロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 幸樹
(72)【発明者】
【氏名】松田 淳
【審査官】 松谷 洋平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−237864(JP,A)
【文献】 特開2016−198176(JP,A)
【文献】 特開2007−319235(JP,A)
【文献】 特開2010−187956(JP,A)
【文献】 特開2014−004230(JP,A)
【文献】 特開2006−095189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自遊技機の盤面に不可視光線を照射する照射部と、
前記盤面を移動する遊技球を、可視光線を除外するフィルタを通して撮影する撮影部と、
前記撮影部が撮影した画像を用いて前記遊技球の前記盤面における位置を検出する位置検出部と、
前記遊技球が存在する候補の座標の各画素と、前記盤面において動かない部分の画像における前記遊技球が存在する候補の座標と同一の座標の各画素の輝度を比較し、当該比較の結果に基づいて、前記遊技球が存在する候補の座標に前記遊技球が存在するか否かを判定するマスク判定部と、
を備える遊技機。
【請求項2】
前記撮影部が撮影した前記盤面の画像と、予め記憶した前記遊技球の画像とに基づいて、前記盤面において前記遊技球が存在する候補を特定する遊技球検出判定部、
を備える請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記遊技球検出判定部は、
前記撮影部が撮影した前記盤面の画像と予め記憶した前記遊技球の画像の輝度に基づいて、前記盤面において前記遊技球が存在する候補を特定する、
請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記盤面の1フレームの画像における前記遊技球が存在する候補の座標の各画素と、1フレームの1つ前のフレームの画像における前記遊技球が存在する候補の座標と同一の座標の各画素の輝度を比較し、当該比較の結果に基づいて、前記遊技球が存在する候補の座標に前記遊技球が存在する可能性があるか否かを判定する動体判定部、
を備える請求項1から請求項3の何れか一項に記載の遊技機。
【請求項5】
自遊技機の盤面に不可視光線を照射する照射部と、前記盤面を移動する遊技球を、可視光線を除外するフィルタを通して撮影する撮影部と、を備える遊技機であって、
前記撮影部が撮影した画像を用いて前記遊技球の前記盤面における位置を検出することと、
前記遊技球が存在する候補の座標の各画素と、前記盤面において動かない部分の画像における前記遊技球が存在する候補の座標と同一の座標の各画素の輝度を比較し、当該比較の結果に基づいて、前記遊技球が存在する候補の座標に前記遊技球が存在するか否かを判定することと、
を含む遊技機の制御方法。
【請求項6】
自遊技機の盤面に不可視光線を照射する照射部と、前記盤面を移動する遊技球を、可視光線を除外するフィルタを通して撮影する撮影部と、を備える遊技機のコンピュータに、
前記撮影部が撮影した画像を用いて前記遊技球の前記盤面における位置を検出することと、
前記遊技球が存在する候補の座標の各画素と、前記盤面において動かない部分の画像における前記遊技球が存在する候補の座標と同一の座標の各画素の輝度を比較し、当該比較の結果に基づいて、前記遊技球が存在する候補の座標に前記遊技球が存在するか否かを判定することと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルを備え画像による演出を行うぱちんこやギミックを備え動きによる演出を行うなど、遊技者のためにさまざまな工夫が施されたぱちんこなどの遊技機がある。
特許文献1には、関連する技術として、弾球遊技機の1つであるぱちんこにおいて、俗にぱちんこ玉と呼ばれている遊技球を検出し、検出した遊技球に光を当てて視認しやすくする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−289633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、現在、ぱちんこなどの弾球遊技機を楽しむ遊技者は、減少している。そのため、例えば、ぱちんこ店などの娯楽施設では、遊技者の減少に伴い、1個の遊技球の貸出料金を4円以外に、1円や0.5円などに設定し、遊技者が遊技しやすくする取り組みが行われている。また、弾球遊技機としては、今まで以上に遊技者に楽しんでもらえるよう、ぱちんこの盤面における遊技球の移動に応じた更なる演出を実現する技術が求められている。そのため、遊技機の盤面において、遊技球の位置を特定する技術が求められている。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決することのできる遊技機、制御方法及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、自遊技機の盤面に不可視光線を照射する照射部と、前記盤面を移動する遊技球を、可視光線を除外するフィルタを通して撮影する撮影部と、前記撮影部が撮影した画像を用いて前記遊技球の前記盤面における位置を検出する位置検出部と、前記遊技球が存在する候補の座標の各画素と、前記盤面において動かない部分の画像における前記遊技球が存在する候補の座標と同一の座標の各画素の輝度を比較し、当該比較の結果に基づいて、前記遊技球が存在する候補の座標に前記遊技球が存在するか否かを判定するマスク判定部と、を備える遊技機である。
【0007】
また、本発明は、自遊技機の盤面に不可視光線を照射する照射部と、前記盤面を移動する遊技球を、可視光線を除外するフィルタを通して撮影する撮影部と、を備える遊技機であって、前記撮影部が撮影した画像を用いて前記遊技球の前記盤面における位置を検出することと、前記遊技球が存在する候補の座標の各画素と、前記盤面において動かない部分の画像における前記遊技球が存在する候補の座標と同一の座標の各画素の輝度を比較し、当該比較の結果に基づいて、前記遊技球が存在する候補の座標に前記遊技球が存在するか否かを判定することと、を含む遊技機の制御方法である。
【0008】
また、本発明は、自遊技機の盤面に不可視光線を照射する照射部と、前記盤面を移動する遊技球を、可視光線を除外するフィルタを通して撮影する撮影部と、を備える遊技機のコンピュータに、前記撮影部が撮影した画像を用いて前記遊技球の前記盤面における位置を検出することと、前記遊技球が存在する候補の座標の各画素と、前記盤面において動かない部分の画像における前記遊技球が存在する候補の座標と同一の座標の各画素の輝度を比較し、当該比較の結果に基づいて、前記遊技球が存在する候補の座標に前記遊技球が存在するか否かを判定することと、を実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、遊技機の盤面において、遊技球の位置を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態によるぱちんこの構成の一例を示す図である。
図2】本発明の一実施形態による制御装置の構成の一例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態における座標の一例を示す図である。
図4】本発明の一実施形態によるぱちんこにおける演出の一例を示す図である。
図5】本発明の第1の実施形態によるぱちんこの処理フローを示す図である。
図6】本発明の実施形態によるぱちんこの最小構成を示す図である。
図7】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
本発明の一実施形態による遊技機について説明する。
なお、本発明の一実施形態による遊技機は、遊技球Bの動きに連動した演出を行う遊技機である。ここでは、遊技機がぱちんこであるものとして説明する。しかしながら、遊技機1は、ぱちんこに限定するものではなく、例えば、スマートボールやピンボールなど、球状の物体が不規則な経路を転がる遊技機全般を含むものである。
【0012】
本発明の一実施形態によるぱちんこ1は、図1に示すように、ぱちんこ盤面10と、上皿部20と、プロジェクタスクリーン30と、液晶パネル40と、プロジェクタ50と、液晶表示制御部60と、照射部70と、カメラ80(撮影部)と、制御装置90と、を備える。
【0013】
ぱちんこ盤面10は、遊技者が視認する表面において、複数の釘などの部材を含み、遊技球の経路を形成する。図1に示すぱちんこ1では、ぱちんこ盤面10の右側が表面側であり、ぱちんこ盤面10の左側が裏面側である。
【0014】
上皿部20は、スタートチャッカなどの入賞口に遊技球が入ったときに所定の数の遊技球が戻される皿である。上皿部20は、ぱちんこ盤面10の表面側の下方に設けられる。
【0015】
プロジェクタスクリーン30は、プロジェクタ50が映し出す映像を表示する。プロジェクタスクリーン30は、ぱちんこ盤面10の裏面に設けられる。プロジェクタスクリーン30は、リアプロジェクション用のスクリーンである。プロジェクタスクリーン30が設けられるぱちんこ盤面10の裏面の領域は、表面の演出を表示する領域の裏側の領域を少なくとも含む領域である。
【0016】
液晶パネル40は、液晶表示制御部60が映し出す映像を表示する。液晶パネル40は、液晶表示制御部60ぱちんこ盤面10の表面に設けられる。
【0017】
プロジェクタ50は、制御装置90の制御によって、プロジェクタスクリーン30に映像を映し出す。プロジェクタ50が映し出した映像は、プロジェクタスクリーン30を介して、ぱちんこ盤面10の表面に表示される。このぱちんこ盤面10の表面に表示される映像が、ぱちんこ1における新たな演出である。
【0018】
液晶表示制御部60は、制御装置90の制御によって、液晶パネル40に映像を映し出す。この液晶パネル40に表示される映像が、ぱちんこ1における新たな演出である。
【0019】
照射演出表示制御部70は、ぱちんこ盤面10の表面のうち演出が表示される領域を少なくとも含む領域に赤外線を照射する。照射部70は、例えば、赤外発光ダイオードである。なお、照射部70は、赤外線を照射するものに限定するものではない。例えば、照射部70は、紫外線などの不可視光線であってもよい。
【0020】
カメラ80は、可視光線を除外する可視光線除去フィルタを有する。カメラ80は、可視光線除去フィルタを通してぱちんこ盤面10の表面のうち演出が表示される領域を少なくとも含む領域を撮影する。カメラ80が撮影した画像は、可視光線が除去され、照射部70が照射した赤外線によって映し出される画像である。カメラ80は、演出が表示される領域を少なくとも含む領域を撮影できる位置(例えば、遊技球が発射される箇所付近の上皿部20の部分)に、その演出が表示される領域を少なくとも含む領域との相対的な位置関係が一定となるように固定されて設けられる。
【0021】
制御装置90は、図2に示すように、遊技球座標特定部90a(位置検出部)と、演出部90bと、を備える。
遊技球座標特定部90aは、遊技球検出判定部901と、動体判定部902と、マスク判定部903と、座標送信部904と、弾球制御部905と、記憶部906と、を備える。
【0022】
遊技球検出判定部901は、カメラ80が撮影したぱちんこ盤面10の表面の1フレームの画像において、予め記憶部906に記憶した遊技球の画像が存在する候補の座標を特定し、遊技球の候補の個数を特定する。
具体的には、遊技球検出判定部901は、カメラ80が撮影したぱちんこ盤面10の表面の1フレームの画像における各画素の輝度を特定する。例えば、カメラ80が撮影したぱちんこ盤面10の表面の1フレームの画像が横640×縦480のおよそ30万画素からなる画像であるとする。また、予め記憶部906に記憶した遊技球の画像が例えば横10×縦10の100画素からなる画像であるとする。この場合、カメラ80が撮影したぱちんこ盤面10の表面の1フレームの画像における横10×縦10の各領域の画像と遊技球の画像の輝度のすべてを(すなわち、およそ30万回)比較する。そして、遊技球検出判定部901は、輝度の比較結果に基づいて、ぱちんこ盤面10の表面全体におけるすべての遊技球の候補の座標を特定する。遊技球検出判定部901は、特定した領域を中心とする周囲の領域を含む画素の輝度と、予め記憶部906が記憶する遊技球の画像を示す画素の輝度とを比較する。遊技球検出判定部901は、比較した結果、輝度の差が所定のしきい値を超える場合、その領域に遊技球は存在しないと判定する。遊技球検出判定部901は、比較した結果、輝度の差が所定のしきい値以下である場合、その領域に遊技球が存在すると判定する。これにより、遊技球検出判定部901は、カメラ80が撮影した1フレーム、すなわち、ぱちんこ盤面10の表面全体におけるすべての遊技球の候補の座標を特定したことになる。
なお、ここでの座標は、画像における各画素の位置と1対1で対応する座標である。例えば、座標は、図3に示すように、画像が例えば横640×縦480の画素で構成されている場合、画像の左上の画素の座標を例えば(1,1)とする。そして、この画像の左上の画素の座標(1,1)を基準に横方向に(1,1)〜(640,1)、縦方向に(1,1)〜(1,480)の合計およそ30万の座標がぱちんこ盤面10の表面の1フレームの画像において設定される。
また、遊技球検出判定部901が特定した座標は、ぱちんこ盤面10の表面における釘などを遊技球と誤検出した座標を含むものである。
遊技球検出判定部901は、特定したぱちんこ盤面10の表面全体におけるすべての遊技球の候補の座標の情報を動体判定部902に出力する。
【0023】
動体判定部902は、遊技球が発射されているか否かを判定する。
具体的には、例えば、動体判定部902は、弾球制御部905が遊技者の操作(例えば、遊技者がハンドルをひねる操作)に応じて遊技球をぱちんこ盤面10の表面に弾き出す制御を行っているか否かの情報を弾球制御部905から取得する。動体判定部902は、弾球制御部905が遊技者の操作に応じて遊技球をぱちんこ盤面10の表面に弾き出す制御を停止してから(すなわち、遊技者がハンドルをひねる操作を停止してから)所定の時間が経過したか否かを判定する。ここで、所定の時間とは、弾き出された遊技球がぱちんこ盤面10の表面を通過する最大の時間であって盤面上に存在しなくなる時間である。動体判定部902は、弾球制御部905が遊技者の操作に応じて遊技球をぱちんこ盤面10の表面に弾き出す制御を停止してから所定の時間が経過したと判定した場合、遊技球が発射されていないと判定する。また、動体判定部902は、弾球制御部905が遊技者の操作に応じて遊技球をぱちんこ盤面10の表面に弾き出す制御を停止してから所定の時間が経過していないと判定した場合、遊技球が発射されていると判定する。
【0024】
また、動体判定部902は、ぱちんこ盤面10の表面全体におけるすべての遊技球の候補の座標の情報を遊技球検出判定部901から受ける。動体判定部902は、受けた座標のすべての遊技球の候補について、順番に遊技球の可能性があるか否かを判定する。
具体的には、動体判定部902は、ぱちんこ盤面10の表面の1フレームの画像における候補のうちの1つの遊技球の候補の座標の各画素と、1つ前のフレームの画像におけるその1つの遊技球の座標と同一の座標の各画素の輝度を比較する。動体判定部902は、比較した結果、輝度の差が所定のしきい値以下である場合、その候補の座標に遊技球は存在しないと判定する。また、動体判定部902は、比較した結果、輝度の差が所定のしきい値を超える場合、その候補の座標に遊技球が存在する可能性があると判定する。
【0025】
マスク判定部903は、動体判定部902がその候補の座標に遊技球が存在する可能性があると判定した場合、その候補の座標がぱちんこ盤面10の表面において動かない部分であるか否かを判定する。
具体的には、マスク判定部903は、記憶部906が記憶するぱちんこ盤面10の表面において動かない部分を撮影した1フレームの画像を読み出す。マスク判定部903は、ぱちんこ盤面10の表面の1フレームの画像における候補のうちの1つの遊技球の候補の座標の各画素と、読み出したぱちんこ盤面10の表面において動かない部分が撮影された1フレームの画像におけるその1つの遊技球の座標と同一の座標の各画素の輝度を比較する。
マスク判定部903は、比較した結果、輝度の差が所定のしきい値以下である場合、その候補の座標に遊技球は存在しないと判定する。また、マスク判定部903は、比較した結果、輝度の差が所定のしきい値を超える場合、その候補の座標に遊技球が存在すると判定する。そして、マスク判定部903は、遊技球が存在すると判定した座標の情報を座標送信部904に出力する。
【0026】
座標送信部904は、マスク判定部903から遊技球が存在すると判定した座標の情報を受ける。座標送信部904は、遊技球が存在すると判定した座標の情報を演出部90bに出力する。
弾球制御部905は、遊技者の操作(例えば、ハンドルをひねる操作)に応じて遊技球をぱちんこ盤面10の表面に弾き出す制御を行う。
【0027】
記憶部906は、赤外線で撮影された遊技球の画像を示す画素の輝度のデータを記憶する。また、記憶部906は、ぱちんこ盤面10の表面において動かない部分を赤外線で撮影された1フレームの画像のデータを各画素の座標データと共に記憶する。
【0028】
演出部90bは、演出表示制御部907と、記憶部908と、を備える。
演出表示制御部907は、座標送信部904からマスク判定部903が遊技球が存在すると判定した座標の情報を受ける。演出表示制御部907は、受けた遊技球が存在すると判定された座標の情報に基づいて、プロジェクタ50及び液晶表示制御部60を制御する。
例えば、演出表示制御部907は、プロジェクタ50に対して、座標送信部904から受信するマスク判定部903が1フレーム前の画像において遊技球が存在すると判定した座標に炎の画像を映し出す制御を行う。演出表示制御部907は、プロジェクタ50に対して、数フレームの画像において遊技球が存在すると判定した座標に炎の画像を映し出す制御を連続して行う。演出表示制御部907がこのような制御を行った場合、プロジェクタスクリーン30には、図4に示すような遊技球が移動した残像が表示される。なお、図4に示す例では、2フレーム前の画像において遊技球が存在すると判定した座標に炎の画像を映し出す例である。図4の(b)の部分が今回の1フレームの画像であり、図4の(a)の部分が1つ前のフレームの画像である。
また、例えば、演出表示制御部907は、液晶表示制御部60に対して、マスク判定部903が1フレーム前の画像において遊技球が存在すると判定した座標に応じた画像(例えば、スタートチャッカに近辺に遊技球が存在する場合に遊技球がスタートチャッカに入りそうになる画像を表示する)を映し出す制御を行う。
【0029】
次に、本発明の一実施形態によるぱちんこ1の処理について説明する。
ここでは、図5に示すぱちんこ1の処理フローについて説明する。
【0030】
ぱちんこ1に電源が投入されると、初期化された状態で起動する(ステップS1)。このとき、制御装置90も初期化される。初期化とは、予め記憶している情報以外の処理のために蓄積された情報を記憶部906及び記憶部908から削除した状態である。
【0031】
ぱちんこ1が起動すると、カメラ80は、可視光線除去フィルタを通してぱちんこ盤面10の表面のうち演出が表示される領域を少なくとも含む領域を撮影する。カメラ80は、撮影した1フレームの画像の画像データを遊技球検出判定部901に出力する。なお、カメラ80が遊技球検出判定部901に出力する画像データには、各画素の座標情報と、各画素の輝度の情報が含まれている。
【0032】
遊技球検出判定部901は、カメラ80から1フレームの画像の画像データを受ける(ステップS2)。遊技球検出判定部901は、記憶部906から赤外線で撮影された遊技球の画像を示す画素の輝度のデータを読み出す。
【0033】
遊技球検出判定部901は、カメラ80が撮影したぱちんこ盤面10の表面の1フレームの画像において、予め記憶部906に記憶した遊技球の画像が存在する候補の座標を特定し、遊技球の候補の個数を特定する(ステップS3)。
具体的には、遊技球検出判定部901は、カメラ80が撮影したぱちんこ盤面10の表面の1フレームの画像における各画素の輝度を特定する。例えば、カメラ80が撮影したぱちんこ盤面10の表面の1フレームの画像が横640×縦480のおよそ30万画素からなる画像であるとする。また、予め記憶部906に記憶した遊技球の画像が例えば横10×縦10の100画素からなる画像であるとする。この場合、カメラ80が撮影したぱちんこ盤面10の表面の1フレームの画像における横10×縦10の各領域の画像と遊技球の画像の輝度のすべてを(すなわち、およそ30万回)比較する。そして、遊技球検出判定部901は、輝度の比較結果に基づいて、ぱちんこ盤面10の表面全体におけるすべての遊技球の候補の座標を特定する。遊技球検出判定部901は、特定した領域を中心とする周囲の領域を含む画素の輝度と、予め記憶部906が記憶する遊技球の画像を示す画素の輝度とを比較する。遊技球検出判定部901は、比較した結果、輝度の差が所定のしきい値を超える場合、その領域に遊技球は存在しないと判定する。遊技球検出判定部901は、比較した結果、輝度の差が所定のしきい値以下である場合、その領域に遊技球が存在すると判定する。これにより、遊技球検出判定部901は、カメラ80が撮影した1フレーム、すなわち、ぱちんこ盤面10の表面全体におけるすべての遊技球の候補の座標を特定したことになる。
遊技球検出判定部901は、特定したぱちんこ盤面10の表面全体におけるすべての遊技球の候補の座標の情報を動体判定部902に出力する。
【0034】
動体判定部902は、遊技球検出判定部901からぱちんこ盤面10の表面全体におけるすべての遊技球の候補の座標の情報を受ける。
動体判定部902は、ぱちんこ盤面10の表面全体におけるすべての遊技球の候補の座標の情報を受けると、遊技球が発射されているか否かを判定する(ステップS4)。
具体的には、例えば、動体判定部902は、弾球制御部905が遊技者の操作(例えば、遊技者がハンドルをひねる操作)に応じて遊技球をぱちんこ盤面10の表面に弾き出す制御を行っているか否かの情報を弾球制御部905から取得する。動体判定部902は、弾球制御部905が遊技者の操作に応じて遊技球をぱちんこ盤面10の表面に弾き出す制御を停止してから(すなわち、遊技者がハンドルをひねる操作を停止してから)所定の時間が経過したか否かを判定する。ここで、所定の時間とは、弾き出された遊技球がぱちんこ盤面10の表面を通過して盤面上に存在しなくなる時間である。動体判定部902は、弾球制御部905が遊技者の操作に応じて遊技球をぱちんこ盤面10の表面に弾き出す制御を停止してから所定の時間が経過したと判定した場合、遊技球が発射されていないと判定する。また、動体判定部902は、弾球制御部905が遊技者の操作に応じて遊技球をぱちんこ盤面10の表面に弾き出す制御を停止してから所定の時間が経過していないと判定した場合、遊技球が発射されていると判定する。
【0035】
動体判定部902は、遊技球が発射されていないと判定した場合(ステップS4においてNO)、カメラ80が撮影する1フレームの画像における各画素の輝度を座標と関連付けて記憶部908に記録する(ステップS5)。なお、このとき、動体判定部902が遊技球が発射されていないと判定した場合、弾き出された遊技球はぱちんこ盤面10の表面に存在しない。すなわち、記憶部908に記録されるデータは、ぱちんこ盤面10の表面において動かない部分が存在する座標を含むデータである。動体判定部902は、ステップS2の処理に戻す。
【0036】
動体判定部902は、遊技球が発射されていると判定した場合(ステップS4においてYES)、受けた座標のすべての遊技球の候補について、順番に遊技球の可能性があるか否かを判定する(ステップS6)。
具体的には、動体判定部902は、ぱちんこ盤面10の表面の1フレームの画像における候補のうちの第1の遊技球の候補の座標の各画素と、1つ前のフレームの画像における第1の遊技球の座標と同一の座標の各画素の輝度を比較する。動体判定部902は、比較した結果、輝度の差が所定のしきい値以下である場合、その候補の座標に遊技球は存在しないと判定する。また、動体判定部902は、比較した結果、輝度の差が所定のしきい値を超える場合、その候補の座標に遊技球が存在する可能性があると判定する。
【0037】
動体判定部902が1つ前のフレームの画像において第1の遊技球の候補の座標に遊技球は存在しないと判定し、動体判定部902がその候補の座標に遊技球が存在する可能性があると判定した場合(ステップS6においてNO)、マスク判定部903は、その候補の座標がぱちんこ盤面10の表面において動かない部分であるか否かを判定する(ステップS7)。
具体的には、マスク判定部903は、記憶部906が記憶するぱちんこ盤面10の表面において動かない部分が撮影された1フレームの画像を読み出す。マスク判定部903は、第1の遊技球の候補の座標の各画素と、読み出したぱちんこ盤面10の表面において動かない部分が撮影された1フレームの画像におけるその候補の遊技球の座標と同一の座標の各画素の輝度を比較する。マスク判定部903は、比較した結果、輝度の差が所定のしきい値以下である場合、その候補の座標がぱちんこ盤面10の表面において動かない部分である、すなわち、その候補の座標に遊技球は存在しないと判定する。また、マスク判定部903は、比較した結果、輝度の差が所定のしきい値を超える場合、その候補の座標がぱちんこ盤面10の表面において動かない部分ではない、すなわち、その候補の座標に遊技球が存在すると判定する。
【0038】
マスク判定部903は、その候補の座標がぱちんこ盤面10の表面において動かない部分ではないと判定した場合(ステップS7においてNO)、遊技球が存在すると判定した座標の情報を座標送信部904に出力する。
【0039】
座標送信部904は、マスク判定部903から遊技球が存在すると判定した座標の情報を受ける。座標送信部904は、遊技球が存在すると判定した座標の情報を受けると、遊技球の候補の個数分のループが完了したか否かを判定する(ステップS9)。
【0040】
また、動体判定部902が1つ前のフレームの画像において第1の遊技球の候補の座標に遊技球が存在すると判定し、動体判定部902がその候補の座標に遊技球が存在しない可能性があると判定した場合(ステップS6においてNO)、座標送信部904は、遊技球の候補の個数分のループが完了したか否かを判定する(ステップS9)。
【0041】
また、マスク判定部903がその候補の座標がぱちんこ盤面10の表面において動かない部分であると判定した場合(ステップS7においてYES)、座標送信部904は、遊技球の候補の個数分のループが完了したか否かを判定する(ステップS9)。
【0042】
座標送信部904は、遊技球の候補の個数分のループが完了していないと判定した場合(ステップS9においてNO)、ステップS6の処理に戻す。なお、座標送信部904がステップS9で行う判定に応じて、ステップS6の処理に戻す処理を行った場合、ステップS6からステップS8までの処理は、ぱちんこ盤面10の表面の1フレームの画像における候補のうちの未処理の遊技球の候補について行われる。
【0043】
座標送信部904は、遊技球の候補の個数分のループが完了したと判定した場合(ステップS9においてYES)、遊技球が存在すると判定されたすべての座標の情報を演出表示制御部907に出力する。
【0044】
演出表示制御部907は、座標送信部904からマスク判定部903が遊技球が存在すると判定した座標の情報を受ける。演出表示制御部907は、受けた遊技球が存在すると判定された座標の情報に基づいて、プロジェクタ50及び液晶表示制御部60を制御する(ステップS10)。
例えば、演出表示制御部907は、プロジェクタ50に対して、座標送信部904から受信するマスク判定部903が1フレーム前の画像において遊技球が存在すると判定した座標に炎の画像を映し出す制御を行う。演出表示制御部907は、プロジェクタ50に対して、数フレームの画像において遊技球が存在すると判定した座標に炎の画像を映し出す制御を連続して行う。演出表示制御部907がこのような制御を行った場合、プロジェクタスクリーン30には、図4で示したような遊技球が移動した残像が表示される。
また、例えば、演出表示制御部907は、液晶表示制御部60に対して、マスク判定部903が1フレーム前の画像において遊技球が存在すると判定した座標に応じた画像(例えば、スタートチャッカに近辺に遊技球が存在する場合に遊技球がスタートチャッカに入りそうになる画像を表示する)を映し出す制御を行う。
演出表示制御部907は、ステップS2の処理に戻す。
【0045】
以上、本発明の一実施形態によるぱちんこ1について説明した。
本発明の第1の実施形態によるぱちんこ1は、照射部70と、カメラ80(撮影部)と、遊技球座標特定部90a(位置検出部)と、を備える。照射部70は、ぱちんこ1の盤面に赤外線を照射する。カメラ80は、ぱちんこ1の盤面を移動する遊技球を、可視光線を除外するフィルタを通して撮影する。遊技球座標特定部90aは、カメラ80が撮影した画像を用いて遊技球のぱちんこ1の盤面における位置を検出する。
このようにすれば、ぱちんこ1は、遊技機の盤面において、遊技球の位置を特定することができる。
【0046】
本発明の実施形態による最小構成のぱちんこ1(遊技機)について説明する。
本発明の実施形態による最小構成のぱちんこ1は、図6に示すように、照射部70と、カメラ80(撮影部)と、遊技球座標特定部90a(位置検出部)と、を備える。
【0047】
照射部70は、ぱちんこ1の盤面に赤外線を照射する。
カメラ80は、ぱちんこ1の盤面を移動する遊技球を、可視光線を除外するフィルタを通して撮影する。
遊技球座標特定部90aは、カメラ80が撮影した画像を用いて遊技球のぱちんこ1の盤面における位置を検出する。
【0048】
このようにすれば、ぱちんこ1は、遊技機の盤面において、遊技球の位置を特定することができる。
【0049】
なお、本発明の実施形態における処理フローは、適切な処理が行われる範囲において、処理の順番が入れ替わってもよい。
【0050】
本発明の実施形態における記憶部906、908のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲においてどこに備えられていてもよい。また、記憶部906、908のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲において複数存在しデータを分散して記憶していてもよい。
【0051】
本発明の実施形態について説明したが、上述のぱちんこ1、制御装置90、その他の制御装置のそれぞれは内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータがそのプログラムを実行するようにしてもよい。
【0052】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるファイル、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0053】
図7は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ5は、図7に示すように、CPU6、メインメモリ7、ストレージ8、インターフェース9を備える。
例えば、上述のぱちんこ1、制御装置90、その他の制御装置のそれぞれは、コンピュータ5に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ8に記憶されている。CPU6は、プログラムをストレージ8から読み出してメインメモリ7に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU6は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ7に確保する。
【0054】
ストレージ8の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ8は、コンピュータ5のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース9または通信回線を介してコンピュータ5に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ5に配信される場合、配信を受けたコンピュータ5が当該プログラムをメインメモリ7に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ8は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例であり、発明の範囲を限定しない。これらの実施形態は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、追加、種々の省略、置き換え、変更を行ってよい。
【符号の説明】
【0056】
1・・・ぱちんこ(遊技機)
5・・・コンピュータ
6・・・CPU
7・・・メインメモリ
8・・・ストレージ
9・・・インターフェース
10・・・ぱちんこ基盤
20・・・上皿部
30・・・プロジェクタスクリーン
40・・・液晶パネル
50・・・プロジェクタ
60・・・液晶表示制御部
70・・・照射部
80・・・カメラ(撮影部)
90・・・制御装置
90a・・・遊技球座標特定部(位置検出部)
90b・・・演出部
901・・・遊技球検出判定部
902・・・動体判定部
903・・・マスク判定部
904・・・座標送信部
905・・・弾球制御部
906、908・・・記憶部
907・・・演出表示制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7