【実施例1】
【0045】
本発明の薬剤分包機の実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。
図1(a),(b)は、薬剤分包機10の全体を右斜め上から左後方へ向けて見下ろした外観斜視図であり、そのうち(a)が薬剤フィーダ格納庫13を総て薬剤収納庫11に収めた状態を示し、(b)が隣接対の薬剤フィーダ格納庫13,13を手前に引き出した状態を示している。また、同図(c),(d)は、操作表示部材50の表示例であり、そのうち(c)が一個の薬剤フィーダ格納庫13に装着された多段多列の薬剤カセット15に係る表示例であり、(d)が薬剤フィーダ格納庫13における一段の棚に装着された一連なりの薬剤カセット15に係る表示例である。
【0046】
薬剤分包機10は(
図1(a),(b)参照)、上段の薬剤収納庫11と中段の下部薬剤収集機構31と下段の包装装置32とを一つの筐体に収めたものである。
それらのうち、格納位置のみ図示した下部薬剤収集機構31と包装装置32は、既述のものが採用されていて(例えば特許文献1〜7参照)、上段の薬剤収納庫11から落下した薬剤を下部薬剤収集機構31が収集して下方の包装装置32へ投入することで薬剤を分包するようになっているので、繰り返しとなる詳細な説明は割愛する。やはり格納位置のみ図示した制御装置34も、ハードウェアや薬剤排出制御ソフトウェアについては、既述のもので良いので(例えば特許文献1〜7参照)、その詳細な説明を割愛する。
【0047】
また、薬剤収納庫11が複数の薬剤フィーダ格納庫13を前方へ引出可能な状態で左右に並べて保持するようになっていることや、薬剤フィーダ格納庫13が多数の横向きカセットベース16を多列多段の配置で装備していること、横向きカセットベース16が薬剤カセット15を着脱可能に保持しうるものであること、薬剤カセット15が各種薬剤のうち何れか一種の薬剤を多数個ランダム収容しうるものであること、薬剤カセット15をカセットベース16に装着すると薬剤フィーダが構成されてそこから薬剤が制御装置34の制御に従って逐次排出されること、その排出薬剤を上部薬剤収集機構20が下方へ案内して下部薬剤収集機構31に落下させることについても、従来技術が踏襲されているので(例えば特許文献1〜7参照)、繰り返しとなる詳細な説明は割愛する。
【0048】
さらに、図示は割愛したが、バーコード等の識別情報を保持する識別情報担体が薬剤カセット15に付設されるとともに、その識別情報を読み取る情報読取装置が横向きカセットベース16に装備されていて、薬剤カセット15を横向きカセットベース16に装着すると、識別情報が読み取られ更に無線や有線のLAN等を介して図示しない調剤サーバ(ホストコンピュータ)等に送信されて照合や情報検索に供されることも、既述した技術の踏襲なので(例えば特許文献1,4,6参照)、やはり繰り返しとなる詳細な説明は割愛する。
【0049】
薬剤フィーダ格納庫13は、図示の例では四個が装備されているが(
図1(a),(b)参照)、何れにも、従来と同様に横向きカセットベース16が多段多列の配置で装備されている。上部薬剤収集機構20も、やはり従来と同様、薬剤フィーダ格納庫13と薬剤フィーダ格納庫13との間に配設されている。そして、それらのうち最も左方と最も右方の薬剤フィーダ格納庫13とその側面に付設された上部薬剤収集機構部分は、やはり従来同様、個々に、図示しない引出部材を介在させて薬剤収納庫11に取り付けられていて、図示しないロックを外して手前に引くと薬剤収納庫11から手前に引き出され、後ろへ押すと、薬剤収納庫11の中に押し込まれて収まるようになっている。
【0050】
これに対し(
図1(a),(b)参照)、薬剤収納庫11の中央に位置して隣り合っている一対の薬剤フィーダ格納庫13,13の前面・最前位置には、操作表示部材50(表示部材)が装備されている。操作表示部材50は、公知のタッチパネル等で良いが、隣接対の薬剤フィーダ格納庫13,13双方の前面に及ぶ大画面のものになっている。そして、隣接対の薬剤フィーダ格納庫13,13は、例えば取り外し容易な掛具などを用いて常態では連結されているので、何れかを手前に引くと隣接対が纏まって一緒に薬剤収納庫11から手前に引き出され、後ろへ押すとやはり隣接対が纏まって一緒に薬剤収納庫11の中に押し込まれて収まるようになっている。しかも、その際、操作表示部材50も、装着先の隣接対の薬剤フィーダ格納庫13,13と一緒に移動するようにもなっている。
【0051】
この操作表示部材50の画面を用いて行う操作指示や表示などは(
図1(c),(d)参照)、薬剤分包機10に専用の制御装置34と他の調剤機器にも併用される調剤サーバとの協動によって実行されるが、操作欄51に対する作業者等の操作指示に応じた分包動作の開始や停止といった装置動作の操作は基本的に制御装置34が担い、その動作状態などの情報は制御装置34によって装置動作状態表示欄52に表示されるとともに調剤サーバにもデータ送信されて他機器との調整やログ等に供され、処方箋に基づく調剤指示データなどは調剤サーバから制御装置34へ自動送信されるか手動操作で制御装置34に入力され、それに応じて制御装置34が自動分包の制御や管理を行うようになっている。
【0052】
また、その分包に必要な多数の薬剤カセット15の管理も制御装置34と調剤サーバとの協動によって行われるが、各々の薬剤カセット15に割り振られた識別情報を薬剤カセット15の識別情報担体から横向きカセットベース16の情報読取装置が読み取り、その識別情報を制御装置34さらには調剤サーバがデータ取得して、薬品マスタやカセット管理といった管理用データベースに反映させるとともに、識別情報を用いて各種の薬剤について該当する一つ又は複数の薬剤カセット15に係る在処および薬剤在庫状態たとえば最大収容数や現在収容数などを把握・管理するようになっている。
【0053】
さらに、そのようなデータベースに基づいて薬剤収納庫11における薬剤在庫状態も操作表示部材50に表示されるが、そのために操作表示部材50の表示画面にはカセット位置表示欄53とカセット群表示欄54も割り振られている(
図1(c),(d)参照)。そして、カセット位置表示欄53には、複数の薬剤フィーダ格納庫13が左右に並んでいる装置正面の略図や、そのうち何れかの薬剤フィーダ格納庫13にカセットベース搭載棚が上下に並んでいる格納庫右側面の略図などが表示されるとともに、薬剤在庫状態の表示対象に選出された薬剤フィーダ格納庫13やそのうちのカセットベース搭載棚が強調表示されるようになっている(図示の例ではハッチング及び散点で強調)。
【0054】
また、カセット群表示欄54においては、カセット毎表示欄55が個々の薬剤カセット15に一つずつ割り当てられるとともに、上記の強調表示された範囲に属する薬剤カセット15の配置と同じ配置で該当カセット15毎に薬剤在庫状態が表示されるので、薬剤在庫状態の表示が該当する薬剤カセットの装着位置に対応付けて行われることとなる。しかも、その際、カセット毎表示欄55が小さめにしか確保できないときには(
図1(c)参照)、薬剤名など最小限の薬剤情報と、円弧の長さで薬剤在庫率を示す円形状のグラフ表示56とを、カセット毎表示欄55に表示する一方、カセット毎表示欄55が大きめにできるときには(
図1(d)参照)、幾つかの薬剤情報と、丸剤やカプセル剤などの剤形を模していて見易い絵柄模様を薬剤在庫率に応じて並べた棒グラフ状のグラフ表示56とを、カセット毎表示欄55に表示するようになっている。
【0055】
この実施例1の薬剤分包機10について、その使用態様及び動作を説明するが、薬剤フィーダ格納庫13に係る部分の使い方や分包動作は従来と同様であり、隣接対の薬剤フィーダ格納庫13,13の間の上部薬剤収集機構20に係る清掃作業などは次の実施例2で詳述するので、ここでは、操作表示部材50に係る操作と表示とを説明する。
【0056】
それぞれの薬剤カセット15にランダム収容と逐次排出との可能な所定の薬剤を収容するとともに、その薬剤名などの薬剤情報に加えて最大収容数や補充数など薬剤在庫状態に関する情報を公知手法(例えば特許文献1,4,6参照)にて薬剤カセット15に付された識別情報と共に調剤サーバや制御装置34にデータ入力してから、薬剤カセット15を案内された横向きカセットベース16や適宜な横向きカセットベース16に装着する。
そうすると、その薬剤カセット15の識別情報が読み取られ、その識別情報に基づいて薬剤カセット15に係る在処と薬剤情報と薬剤在庫状態とが調剤サーバや制御装置34によって把握される。
【0057】
そして、薬剤分包機10の電源を投入すると、操作表示部材50の操作欄51には「空送り」といった動作指示用の操作ボタン等が表示され、装置動作状態表示欄52には「一時停止中」といった装置動作状態が表示され、カセット位置表示欄53には薬剤フィーダ格納庫の並びやカセットベース搭載棚の並びといった薬剤カセット装着領域の略図が表示される。それから、その略図のうち詳細を知りたい部位を指先等で押すと、例えば薬剤フィーダ格納庫のうち右から二番目に対応した部位を指定すると(
図1(c)のカセット位置表示欄53の左側の略図における右から二番目の縦長四角形を参照)、その部位が強調表示されるとともに、カセットベース搭載棚の並びを示す右側の略図は全体が強調表示される(
図1(c)のカセット位置表示欄53の右側の略図の全域を参照)。
【0058】
さらに、薬剤カセット15の在処の詳細表示と、夫々の薬剤カセット15の薬剤在庫状態の表示とが、カセット群表示欄54に対して行われる。すなわち、カセット群表示欄54には、右から二番目の薬剤フィーダ格納庫13に多段多列に装着されている多数の薬剤カセット15と同じ多段多列の配置状態で(
図1(c)では六行六列のマトリクス状配置で)カセット毎表示欄55が表示されるとともに、それぞれのカセット毎表示欄55には、多段多列の配置において位置の対応する薬剤カセット15に収容されている薬品の簡単な情報に加えて、その薬剤カセット15の薬剤在庫率を示す円形状のグラフ表示56が表示される。そのため、その表示を見れば、該当する薬剤フィーダ格納庫13における多数の薬剤カセット15に係る薬剤在庫状態を纏めて速やかに把握することができる。
【0059】
それから、カセット位置表示欄53の右側の略図のうち例えば上から二番目のカセットベース搭載棚に対応した部位を指先操作等にて指定すると(
図1(c)のカセット位置表示欄53の右側の略図における上から二番目の横長四角形を参照)、その略図に係る強調表示が該当部位に限定されるとともに(
図1(d)のカセット位置表示欄53を参照)、カセット群表示欄54における薬剤在庫状態の表示態様が多段多列から該当カセットベース搭載棚一つ分だけの配置状態に切り替えられ、その棚上の各薬剤カセット15の並びに対応した並びでカセット毎表示欄55が一行ずつ割り当てられる(
図1(d)のカセット群表示欄54における一列の表示例を参照)。
【0060】
この表示態様では、カセット毎表示欄55の表示領域が広くなっているので、該当する薬剤カセット15に収容されている薬剤について、薬剤名だけでなく使用期限や製造ロット番号など他の情報も加えた詳しい薬剤情報と、玉剤やカプセル剤といった該当薬剤に係る剤形模擬絵柄模様を薬剤在庫率に応じた個数だけ並べたグラフ表示56が表示される(
図1(d)のカセット群表示欄54の表示例を参照)。そのため、その表示を見れば、該当する薬剤フィーダ格納庫13における指定の棚一つ分の薬剤カセット15の並びに係る薬剤在庫状態を詳しく而も速やかに把握することができる。
【実施例2】
【0061】
本発明の薬剤分包機の実施例2について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。
図2は、(a)が薬剤分包機60の全体を右斜め上から左後方へ向けて見下ろした外観斜視図、(b)が薬剤フィーダ格納庫13+14の最前部分14の外観斜視図、(c)が薬剤フィーダ格納庫最前部分14のうちの棚一段分に係る縦断右側面図、(d)と(e)が薬剤フィーダ格納庫最前部分14のうちの棚一段分と薬剤カセット15一個分とに係る縦断右側面図である。
【0062】
また、
図3は、(a)が薬剤分包機60の全体を左斜め上から右後方へ向けて見下ろした外観斜視図、(b)が薬剤分包機60の全体を右斜め上から左後方へ向けて見下ろした外観斜視図、(c)と(d)が薬剤分包機60の要部を模式的に簡略表示した平面図であり、そのうち、
図3(c)は、薬剤フィーダ格納庫13+13+14,13+13+
50を総て薬剤収納庫61に押し込んだ状態を示し、
図3(d)は、薬剤フィーダ格納庫13+13+14,13+13+
50を一組ずつ薬剤収納庫61から引き出した状態を示している。さらに、
図2(a)と
図3(a)は、一組の薬剤フィーダ格納庫13+13+14を引き出した状態を示し、
図3(b)は予備庫部40を引き出した状態を示している。
【0063】
さらに、
図4は(a)は、薬剤分包機60が調剤サーバ80(ホストコンピュータ)の介助にて独立型の薬剤手撒き装置70と連携しているところの概要模式図であり、同図(b)は、その概要構成を示すブロック図である。
また、
図5(a)〜(c)は、何れも操作表示部材50の表示例であり、そのうち
図5(a)が、薬剤フィーダ格納庫13+14の最前部分14の前向きカセットベース17に前方から装着される薬剤カセット15と、薬剤フィーダ格納庫13+14の最前部分14の補充作業部62に前方から仮置きされる薬剤カセット15とに係る表示例である。これに対し、
図5(b)は、予備庫部40の薬剤カセット15に係る表示例であり、
図5(c)は、組込型の薬剤手撒き装置33の予備撒きカセット71と、独立型の予備撒きカセット70用の予備撒きカセット保管棚72の予備撒きカセット71とに係る表示例である。
【0064】
薬剤分包機60は、上述した実施例1の薬剤分包機10を拡張して実用性を高めたものであり、図示の例の場合(
図2(a),
図3(a),(b)参照)、薬剤収納庫11を拡大した薬剤収納庫61には、八個の薬剤フィーダ格納庫13が左右に並んで収まっており、それに応じて上部薬剤収集機構20も四個に増えている。操作表示部材50も増えて二つ装備されている。また、それらを格納している筐体の中段のうち下部薬剤収集機構31の上端の辺りには組込型の薬剤手撒き装置33が装備されており、その筐体の左側面には上下二段の予備庫部40が付設されている。
【0065】
さらに(
図2,
図3参照)、薬剤収納庫61における薬剤フィーダ格納庫13の装備態様や(
図2(a),
図3(a),(c),(d)参照)、薬剤フィーダ格納庫13の前端部の形態(
図2(a)〜(e),
図3(a)〜(d)参照)、上部薬剤収集機構20を挟んで隣り合っている隣接対の薬剤フィーダ格納庫13,13における上部薬剤収集機構20の構成(
図2(a),
図3(a),(c),(d)参照)については、改良が施されているので、また、予備庫部40は新規に追加されたものなので(
図2(a),
図3(a),(b)参照)、以下、それらについて詳述する。
【0066】
薬剤フィーダ格納庫13は、図示の例では八個が装備されているが(
図2,
図3参照)、何れも、従来と同様に横向きカセットベース16が装備されているのは、最前位置の前端部を除く、後方部分になっている。最前位置には、薬剤フィーダ格納庫最前部分14か、操作表示部材50の装着部分が、装備されている。しかも、これらの部材14,
50は、隣接対の薬剤フィーダ格納庫13,13に対して、一つずつ、設けられている。
図示の例では、最も左方と最も右方の隣接対の薬剤フィーダ格納庫13,13それぞれの最前位置には薬剤フィーダ格納庫最前部分14が装備され、中央寄りの二対の薬剤フィーダ格納庫13,13それぞれの最前位置には操作表示部材50と補充作業部62とが装備されている。
【0067】
それらの隣接対の薬剤フィーダ格納庫13,13は、何れも、引出部材12を介在させて薬剤収納庫61に取り付けられているが(
図3(d)参照)、やはり取り外し容易な図示しない掛具などを用いて常態では連結されているので、薬剤収納庫61に対する出し入れが隣接対で纏まって一緒になされるとともに、その際には薬剤フィーダ格納庫最前部分14や操作表示部材50も装着先の隣接対の薬剤フィーダ格納庫13,13と一緒に移動するようにもなっている(
図2(a),
図3参照)。
【0068】
薬剤フィーダ格納庫最前部分14は、薬剤フィーダ格納庫13を短くして縦軸回りに90゜回転させたかのようなものであり、図示の例では横に二列で縦に四段の配置で複数の前向きカセットベース17が装備されている(
図2(a)参照)。
このような最前位置の前向きカセットベース17が後方の横向きカセットベース16と相違するのは(
図2(a),(b)参照)、薬剤カセット15の着脱が横からでなく前から行われるようになっている点と、薬剤フィーダ格納庫13を薬剤収納庫61の中に収めても中に隠れることなく前方に露出している点である。薬剤カセット15を駆動して薬剤を逐次排出させることや、情報読取装置が付設されていること等は、同じままである。
【0069】
前向きカセットベース17に関する他の点たとえば薬剤カセット15からの薬剤の逐次排出や識別情報の読取といったカセットベース個体の機能やそれを具現化する構成などは同じままであるが、露出状態の前向きカセットベース17が天井の照明等に曝されるのを回避・軽減するために、従来は無かった遮光部材18が、前向きカセットベース17の手前で斜め上のところに(
図2(a)参照)、一つずつ、設けられている。そして、薬剤カセット15の着脱に随伴して揺動することで(
図2(c)〜(e)参照)、前向きカセットベース17上のカセット装着空間の前面を開閉するようになっている。
【0070】
遮光部材18は、例えば薄い不透明な板材などからなり、上端部が蝶番等で支持されていて、薬剤カセット15未装着状態では(
図2(c)参照)、前向きカセットベース17の奥の図示しない薬剤排出センサに天井照明が当たるのを阻止し、薬剤カセット15の着脱時には、その妨げにならないように揺動して逃げ(
図2(d)参照)、薬剤カセット15が前向きカセットベース17に装着されて薬剤排出センサが薬剤カセット15によって外乱光から保護されているときは、薬剤カセット15の上に乗ってそこにとどまるようになっている(
図2(e)参照)。
【0071】
操作表示部材50は、実施例1のものと同じくタッチパネルといった公知品で良く、隣接対の薬剤フィーダ格納庫13,13の前面に対して双方に及ぶ状態で装備されていることから(
図2(a),
図3(b)参照)、横幅が薬剤フィーダ格納庫13の横幅の二倍まで許容され、縦幅が縦長の薬剤フィーダ格納庫13の全長近くまで許容されるので、上述したように従来よりサイズの大きなものが採用されている。
しかも、薬剤フィーダ格納庫13の最下部やその下方でなく、薬剤フィーダ格納庫13の中段やそれより少し上のところに装備されて、従来より作業者の目線に近い高さ位置に来ているので、見やすいうえ操作もしやすいものとなっている。
【0072】
この操作表示部材50や上述の薬剤フィーダ格納庫最前部分14を前端位置に装備した隣接対の薬剤フィーダ格納庫13,13は、何れにも、既述したように排出薬剤を下方へ案内して下部薬剤収集機構31へ落下させる上部薬剤収集機構20が具備されているが(
図2(a),
図3(a)参照)、上部薬剤収集機構20の薬剤落下経路は(
図3(c),(d)参照)、隣接対の薬剤フィーダ格納庫13,13の間に確保される上部薬剤落下経路後方部分21と、薬剤フィーダ格納庫最前部分14と薬剤フィーダ格納庫13,13との間に確保される上部薬剤落下経路前方部分24とに分かれている。
【0073】
上部薬剤落下経路後方部分21は、隣接対の薬剤フィーダ格納庫13,13のうち左方の薬剤フィーダ格納庫13の右側面に装備された上部薬剤落下経路後方部分囲繞部材左側部分22と、右方の薬剤フィーダ格納庫13の左側面に装備された上部薬剤落下経路後方部分囲繞部材右側部分23とが対向当接することで確立されて、後方部分である薬剤フィーダ格納庫13の横向きカセットベース16に装着された薬剤カセット15から排出された薬剤を下部薬剤収集機構31へ落下させるようになっている。
【0074】
上部薬剤落下経路前方部分24は、薬剤フィーダ格納庫最前部分14の後端面に装備された上部薬剤落下経路前方部分囲繞部材前側部分25と、隣接対の薬剤フィーダ格納庫13,13の前端面に装備されていて双方13,13に及んでいる上部薬剤落下経路前方部分囲繞部材後側部分26とが対向当接することで確立されて、前方部分である薬剤フィーダ格納庫最前部分14に装備されている前向きカセットベース17に装着された薬剤カセット15から排出された薬剤を下部薬剤収集機構31へ落下させるようになっている。
【0075】
また、隣接対の薬剤フィーダ格納庫13,13のうち左方の薬剤フィーダ格納庫13がその後端部を後方揺動支軸28によって支持されているので、隣接対の薬剤フィーダ格納庫13,13が薬剤収納庫61から引き出されて、その左方に干渉物が無くなった状態では、その隣接対の薬剤フィーダ格納庫13,13のうち左方のものを左へ揺動させることができるようになっている(
図3(d)参照)。そのため、図示しないロックを外して左方の薬剤フィーダ格納庫13を揺動させると、それに随伴して上部薬剤落下経路後方部分囲繞部材左側部分22も揺動して、それ22が上部薬剤落下経路後方部分囲繞部材右側部分23から離れるので、両部材の間の上部薬剤落下経路後方部分21が前開き状態で開くようになっている(
図3(d)参照)。逆向きに揺動させれば元に戻って上部薬剤落下経路後方部分21が閉じるようにもなっている(
図3(c)参照)。
【0076】
さらに、薬剤フィーダ格納庫最前部分14が後端部の左端を前側揺動支軸27によって支持されているので、その後方部分である隣接対の薬剤フィーダ格納庫13,13が薬剤収納庫61から引き出されて、薬剤フィーダ格納庫最前部分14の左方に干渉物が無くなった状態では、薬剤フィーダ格納庫最前部分14を左へ揺動させることができるようになっている(
図3(d)参照)。そのため、図示しないロックを外して薬剤フィーダ格納庫最前部分14を揺動させると、それに随伴して上部薬剤落下経路前方部分囲繞部材前側部分25も揺動して、それ25が上部薬剤落下経路前方部分囲繞部材後側部分26から離れるので、両部材の間の上部薬剤落下経路前方部分24が前開き状態で開くようになっている(
図3(d)参照)。逆向きに揺動させれば元に戻って上部薬剤落下経路前方部分24が閉じるようにもなっている(
図3(c)参照)。
【0077】
予備庫部40は(
図3(a),(b)参照)、図示の例では、薬剤収納庫61やその下部31,32を含んだ本体部の筐体の左側面に対して上下二段重ねの配置で付設されており、それらのうち上側の予備庫部40は、薬品庫部61の左方に位置し、下側の予備庫部40は、下部薬剤収集機構31と包装装置32との左方に位置している。そして、それらの予備庫部40は、何れも、右側面解放状態の箱体と、この箱体の中に多段に装備された棚部と、それぞれの棚部の上面に搭載されて前後方向に列なる多数のカセット着座部41とを具備したものであって、前方へ引き出せるようになっている。
【0078】
カセット着座部41は、何れにも、量産されている上述のカセットベース16,17からモータ等の駆動部材を省いて残る静的部材と同じものが採用されているので、何れも、既述の薬剤カセット15を着脱可能に保持しうるものであって、調達容易かつ低廉なものとなっている。また、予備庫部40を前方へ引き出すと、カセット着座部41が露出するので、薬剤カセット15の着脱を薬剤収納庫61等の本体部の手前で行うことができるものとなっている。
【0079】
さらに、上述したように予備庫部40が薬剤収納庫61等と並んではいても間は板材等で仕切られているので、カセット着座部41は、何れも、上部薬剤収集機構20及び下部薬剤収集機構31の薬剤収集範囲から外れている。その点に加え、薬剤カセット15を駆動する部材と薬剤を逐次排出させる機能を喪失した点でも、カセット着座部41はカセットベース16,17と相違するものになっているが、情報読取装置が付設されていることと、それで薬剤カセット15の識別情報担体から読み取った識別情報を無線や有線のLAN等を介して調剤サーバ80(ホストコンピュータ)等に送信するようになっていることについては、カセット着座部41はカセットベース16,17と同じものとなっている。
【0080】
補充作業部62は、薬剤補充対象の薬剤カセット15に係る補充作業などに一時的な仮置き場を提供するためのものであり、上述したカセット着座部41と同じか更に簡素化した台座部からなり、薬剤分包機60の前で作業者が操作表示部材50を見ながら楽な姿勢で薬剤カセット15への薬剤補充や薬剤カセット15の着脱などを行うことができるように、操作表示部材50の装備された隣接対の薬剤フィーダ格納庫13,13の前面・最前位置に装備されて、操作表示部材50の少し下方に位置しており、図示の例では操作表示部材50と同じく二つ設けられている(
図2(a),
図3(b)参照)。
【0081】
補充作業部62に仮置きされた薬剤カセット15についても、識別情報の読取が行われて、その識別情報が制御装置34や調剤サーバ80へ送信されるようになっている。その識別情報の読取は、公知の遣り方で良く(例えば特許文献1,4,6参照)、例えばカセットベース16,17やカセット着座部41のように一つずつ情報読取装置が付設されていても良く、識別情報読取機能付き携帯端末81(
図4(b)参照)の手動操作にて読み取るようになっていても良く、そのような自動読取と手動読取とを任意に使い分けることができるように携帯端末81や適宜な情報読取装置が補充作業部62に着脱されるようになっていても良い。
【0082】
薬剤分包機60に薬剤手撒き装置33が組み込まれていることは上述したが(
図2(a),
図3(b)参照)、薬剤手撒き装置33は、公知のもので良く(例えば特許文献2〜5,7参照)、多数の区画室の形成された予備撒きカセット71を着脱するために、カセット保持部が筐体から前方へ進退するようになっている(
図4(a)参照)。また、薬剤分包機60は、独立型の薬剤手撒き装置70とも調剤サーバ80を介して連携するようになっており、その連携は、薬剤手撒き装置33や薬剤手撒き装置70に付設された図示しない情報読取装置が、予備撒きカセット71付設の図示しない識別情報担体から予備撒きカセット71の識別情報を読み取って、上述の薬剤カセット15の識別情報の送信と同様の公知手法にて、制御装置34や調剤サーバ80へ送信することで実現されている。
【0083】
しかも(
図4(a)参照)、薬剤手撒き装置70の作業台を兼ねる予備撒きカセット保管棚72が、予備撒きカセット71を多段収納しておけるようになっており、図示の予備撒きカセット保管棚72には上下5段の一時保管用棚が組み込まれている。それらの棚にも一つずつ図示しない情報読取装置が付設されていて、そこに保持されている予備撒きカセット71の識別情報が、上述した薬剤手撒き装置33や薬剤手撒き装置70に保持されている予備撒きカセット71と同様に、読み取られて、調剤サーバ80に送信され、調剤サーバ80と制御装置34の連携によるデータ管理などに供されるようになっている。
【0084】
調剤サーバ80は、制御装置34と連携して、他の制御装置もあればそれとも連携して、識別情報に基づいて予備撒きカセット71の装着先を案内する等の他、手撒き途中か完了後か、逐次排出中か完了後か、逐次排出中なら排出済み区画室の全区画室に占める割合は幾らか、といったことも管理するようになっている。これは公知手法の適用対象の拡大で具現化されているので(例えば特許文献1,6参照)、簡潔に述べると、調剤サーバ80は(
図4(b)参照)、上述した横向きカセットベース16と前向きカセットベース17と補充作業部62と薬剤手撒き装置33とカセット着座部41と予備撒きカセット保管棚72と携帯端末81とから識別情報を収集してデータ管理し、各カセット15,71の状態表示や装着先案内などに要する情報を制御装置34へ提供するようになっている。
【0085】
制御装置34がそのような情報と薬剤分包機60自体の情報とに基づいて調剤サーバ80と連携しながら操作表示部材50への画面表示や操作指示受付を行うことや、操作表示部材50の画面が操作欄51と装置動作状態表示欄52とカセット位置表示欄53とカセット群表示欄54とに分けて使用されること、カセット群表示欄54に複数・多数のカセット毎表示欄55が配置状態を反映した並びで表示されること、カセット毎表示欄55に該当する薬剤カセット15の薬剤収容状態がグラフ表示56で表示されることは、カセット個数の多寡といった細かな違いはあっても概ね上述した薬剤分包機10と同様なので、再度の図示や繰り返しとなる詳細な説明は割愛するが、薬剤分包機60でも、横向きカセットベース16を搭載した薬剤フィーダ格納庫13については同様に装置動作状態に加えて薬剤在庫状態も表示されるようになっている(
図1(c),(d)参照)。
【0086】
また、薬剤フィーダ格納庫最前部分14に係る表示の場合(
図5(a)参照)、二つ有る操作表示部材50の一方たとえば左の操作表示部材50に概要表示が行われ(
図5(a)の左半分を参照)、そのカセット位置表示欄53には、左右に並んでいる薬剤フィーダ格納庫最前部分14に加えて操作表示部材50や補充作業部62も視認しうる装置正面の略図が表示されるとともに、二つの補充作業部62に対応してカセット毎表示欄57が二つ確保されており、補充作業部62に薬剤カセット15が置かれていれば、対応するカセット毎表示欄57には、その薬剤カセット15の薬剤在庫状態が円形状のグラフで表示されるようになっている。
【0087】
また、その操作表示部材50(左)のカセット群表示欄54には、薬剤フィーダ格納庫最前部分14の前向きカセットベース17が六行四列であることに対応して、六行四列の配置で多数のカセット毎表示欄55が表示され、そのうち薬剤カセット15が装着されている前向きカセットベース17に対応しているカセット毎表示欄55には、その薬剤カセット15の薬剤在庫状態が円形状のグラフで表示されるようになっている。
【0088】
さらに、そのうちの何れか(図示の例では二行目・四列目の所)を指押し操作などで選択すると、そこが強調されるとともに(
図5(a)の左半分を参照)、二つ有る操作表示部材50の他方たとえば右の操作表示部材50に(
図5(a)の右半分を参照)、該当する薬剤カセット15の薬剤在庫状態が詳細表示されるようになっている。例えば、その操作表示部材50(右)の画面にはカセット位置表示欄53とカセット群表示欄54とが確保され、そのうちカセット位置表示欄53には、選択された薬剤カセット15の位置を示す略図が表示され、カセット群表示欄54には、選択された薬剤カセット15に収容されている薬剤に係る幾つかの薬剤情報と、剤形を模した絵柄模様を薬剤在庫率に応じて並べた棒グラフ状のグラフ表示56とが表示されるようになっている。
【0089】
また、同様の説明になるので簡潔に述べるが、予備庫部40の薬剤在庫状態の表示は(
図5(b)参照)、カセット位置表示欄53に、選択された予備庫部40の所を強調した装置前面略図が表示され、カセット群表示欄54には、該当する予備庫部40に装備されている多数のカセット着座部41の配置に対応した配置で多数のカセット毎表示欄55が確保され、それぞれのカセット毎表示欄55には、対応するカセット着座部41に装着された薬剤カセット15(予製カセット)の薬剤在庫状態が円形状のグラフ表示56で表示されるようになっている。図示は割愛したが、絵柄模様のグラフ表示も可能である。
【0090】
予備撒きカセット71の薬剤在庫状態の表示も同様であり(
図5(c)参照)、カセット位置表示欄53には、組込型の薬剤手撒き装置33の装着位置を示す略図と、予備撒きカセット保管棚72における予備撒きカセット71の保持位置を示す略図とが表示されるようになっている。また、カセット群表示欄54には、薬剤手撒き装置33に装着された予備撒きカセット71の薬剤在庫状態と、その下方で一括移載された薬剤を逐次落下させる作動部の薬剤在庫状態とが、円形状などのグラフ表示56で表示されるとともに、予備撒きカセット保管棚72に保持されている予備撒きカセット71それぞれの薬剤在庫状態が、やはり円形状などのグラフ表示56で表示されるようになっている。
【0091】
なお、予備撒きカセット71の薬剤在庫状態については、手撒き対象の区画室の総数に占める手撒き済み区画室数の割合とするのが典型的であるが、手撒きする薬剤の種類が複数のことも多々あるので手撒き対象の剤種の総数に占める手撒き済み剤種数の割合とすることも、選択できるようになっている。
また、操作欄51や装置動作状態表示欄52の表示等は、上述した予備庫部40や予備撒きカセット71の薬剤在庫状態の表示の説明では割愛したが、薬剤フィーダ格納庫13や薬剤フィーダ格納庫最前部分14の薬剤在庫状態の表示等のときと大概同じである。
【0092】
この実施例2の薬剤分包機60について、その使用態様及び動作を説明するが、薬剤フィーダ格納庫13に係る部分の使い方や分包動作は従来と同様なので簡潔に述べる。
【0093】
先ず、多数の薬剤カセット15に各種の薬剤を収容して、それらを薬剤フィーダ格納庫13の多数の横向きカセットベース16に一つずつ装着しておき、薬剤フィーダ格納庫13を総て薬剤収納庫61に収めてから、操作表示部材50を操作して、図示しない制御部に分包実行の調剤指示を出す。
そうすると、その指示に応じて制御部が調剤対象薬剤の薬剤フィーダ13の横向きカセットベース16に排出動作を行わせるので、分包対象薬剤が、それを収容している薬剤カセット16から排出され、それから上部薬剤落下経路後方部分21と下部薬剤収集機構31とを介して落下し、投入先の包装装置17によって分包紙に区分封入される。
【0094】
また、そのような作業と並行する又は先行する適宜な時に、使用量が多くて補充の頻度が高い薬剤などについては、他の一つ又は複数の薬剤カセット15に予め収容しておく。そして、該カセット15を速やかに自動分包に供したい場合は、該カセット15を薬剤フィーダ格納庫最前部分14の前向きカセットベース17に装着する。これに対し、該カセット15を直ちに自動分包に供するのでなく後の使用に備えておきたい場合は、該カセット15を予製カセットとして予備庫部40のカセット着座部41に保持させておく。
【0095】
薬剤カセット15を何れ16,17,41に装着した場合でも、薬剤カセット15に予め割り振られた識別情報は、薬剤カセット15に付設された識別情報担体から、カセット装着先16,17,41の情報読取装置によって読み取られ、調剤サーバに送信されて、薬品マスタ等の管理用データベースに反映されるので、薬剤カセット15の在処や収容薬剤の種類などが調剤サーバによって一括管理される(例えば特許文献1,6参照)。
そして、薬剤フィーダ格納庫13の横向きカセットベース16に装着された薬剤カセット15が空になると、同じ薬剤を収容した薬剤カセット15が薬剤フィーダ格納庫13の他の横向きカセットベース16か或いは薬剤フィーダ格納庫最前部分14の前向きカセットベース17に装着されていれば、それに薬剤排出担当の薬剤カセット15が切り替えられて、自動分包が継続される。
【0096】
そのような薬剤カセット15が何れ13,14のカセットベース16,17にも装着されていなかった場合や、そのような薬剤カセット15までもが空になった場合には、自動分包が中断されるので、中断後すみやかに、あるいはそのような中断に備えて薬剤排出中の薬剤カセット15が空になりそうなときには中断前に予め、同じ薬剤を収容した薬剤カセット15(予製カセット)が予備庫部40のカセット着座部41に保持されているか否かが調剤サーバによって調べられ、該当するものが有れば、その薬剤カセット15を使用に備えて予備庫部40から取り出しておくようにという作業指示が操作表示部材50に自動表示される。
【0097】
すると、自動分包の再開や継続のために、その指示に従って、作業者が、予備庫部40を引き出して(
図3(b)参照)、該当する薬剤カセット15(予製カセット)をカセット着座部41から取り外し、予備庫部40を押し戻すのと前後して(
図3(a)参照)、その薬剤カセット15を薬剤フィーダ格納庫最前部分14の前向きカセットベース17のうち空いているものに装着することになるが、そのときのカセット装着作業は(
図2(c)〜(e)参照)、前向きカセットベース17の手前上方にぶら下がっている遮光部材18を薬剤カセット15で軽く押しながら、薬剤カセット15を前向きカセットベース17の所まで押し込んで前向きカセットベース17に取り付けることで行えるので、容易かつ迅速に済ませることができる。
【0098】
なお、空いている前向きカセットベース17が無いときは、使用中でない薬剤カセット15を前向きカセットベース17から取り外して、そこへ使用予定の薬剤カセット15を付け替えれば良く、そのときのカセット取り外し作業も、薬剤カセット15を前向きカセットベース17から外して引く抜くだけなので、容易かつ迅速に済ませることができる。薬剤カセット15が取り外されると、その薬剤カセット15の上に乗って横向きに近い状態になっていた遮光部材18が、自由な鉛直状態に戻って、前向きカセットベース17の前方の開口を少なくとも上側部分は塞ぐので、天井からの強い照明光は、大部分が前向きカセットベース17の手前で遮られ、前向きカセットベース17の奥側に付設されている薬剤排出センサには殆ど到達しないので、前向きカセットベース17がカセット未装着状態であっても、薬剤排出センサが外乱光で誤作動することは滅多にない。
【0099】
そして、一連の分包動作が完了して薬剤分包機60が自動分包を停止した後、空になった薬剤カセット15を装着している横向きカセットベース16を装備している薬剤フィーダ格納庫13を含む隣接対の薬剤フィーダ格納庫13,13を薬剤収納庫61から引き出し(
図2(a),
図3(a)参照)、空の薬剤カセット15を脱着しながらそれに薬剤を補充するか、予め薬剤を収容しておいた薬剤カセット15が有ればそれを付け替えてから、次の自動分包に備えて、薬剤フィーダ格納庫13を薬剤収納庫61に押し戻す。
【0100】
また、継続的に使用して上部薬剤収集機構20の清掃時期が来たときには、隣接対の薬剤フィーダ格納庫13,13を一対ずつ順に或いは一対以上離隔したものを並行して薬剤収納庫61から引き出し(
図3(d)参照)、揺動可能な薬剤フィーダ格納庫13を揺動させて上部薬剤落下経路後方部分21を開き、上部薬剤落下経路後方部分囲繞部材左側部分22と上部薬剤落下経路後方部分囲繞部材右側部分23とを露出させて、両部材の薬剤落下経路囲繞面を清掃する。上部薬剤落下経路後方部分21の両面が一度に露出して纏めて処理できるので、素早く清掃することができる。
【0101】
さらに、隣接対の薬剤フィーダ格納庫13,13を薬剤収納庫61から引き出した状態では(
図3(d)参照)、それら13,13の前端に装備されている薬剤フィーダ格納庫最前部分14も干渉物が無くて揺動可能になるので、その薬剤フィーダ格納庫最前部分14を揺動させて上部薬剤落下経路前方部分24を開き、上部薬剤落下経路前方部分囲繞部材前側部分25と上部薬剤落下経路前方部分囲繞部材後側部分26とを露出させて、両部材の薬剤落下経路囲繞面を清掃する。上部薬剤落下経路前方部分24の両面も一度に露出して纏めて処理できるので、やはり素早く清掃することができる。
【0102】
こうして、上部薬剤落下経路後方部分21や上部薬剤落下経路前方部分24の清掃が済んだら、薬剤フィーダ格納庫最前部分14を逆向き揺動させて上部薬剤落下経路前方部分24を閉じ、更に薬剤フィーダ格納庫13を逆向き揺動させて上部薬剤落下経路後方部分21を閉じて、前後方向において直線上になった隣接対の薬剤フィーダ格納庫13,13及び薬剤フィーダ格納庫最前部分14を、次の自動分包に備えて薬剤収納庫61に押し戻す(
図3(c)参照)。操作表示部材50を前端部に装備した隣接対の薬剤フィーダ格納庫13,13についても、同様にして、上部薬剤落下経路後方部分21を清掃する。
【0103】
上述の説明では、薬剤収納庫61や予備庫部40に装着した薬剤カセット15を用いるときの状況を中心に説明したが、予備撒きカセット71や補充作業部62を用いるときの状況についても説明する。
薬剤カセット15に収容されていない薬剤を分包対象に含めたいときに予備撒きカセット71を使用することは、従来より行われてきており、自動分包に先立って対象の薬剤を予備撒きカセット71に手撒きしておくことも、従来と同様に行われる。
【0104】
また、予め手撒きしておく場合は独立型の薬剤手撒き装置70を用いて手撒き済み予備撒きカセット71をストックしておき自動分包の前に薬剤手撒き装置33にセットすること、予め手撒きしておく余裕が無いときには空の予備撒きカセット71を組込型の薬剤手撒き装置33にセットしてそれに手撒きすること等も、やはり従来と同様に行われる。
さらに、調剤指示に応じた手撒き作業の案内等や、識別情報に基づいた手撒き済み予備撒きカセット71の薬剤手撒き装置33への装着の案内等も、調剤サーバ80や制御装置34又は薬剤手撒き装置70の連携等によって、従来と同様に行われる。
【0105】
空になった薬剤カセット15への薬剤補充作業も、机上等で行える他、補充作業部62に薬剤カセット15を一時的に置いて行うことができる。何れにしても、携帯端末81や補充作業部62に付設された情報読取装置にて薬剤カセット15の識別情報が読み取られて、識別情報に基づく補充作業の案内等が操作表示部材50に表示されるとともに、操作表示部材50の操作等にて薬剤補充量などを入力するとそれに応じて調剤サーバ80のデータベースのうち識別情報に基づいて該当するデータについて更新等が行われる(例えば特許文献1,6参照)。
【0106】
補充作業部62や他の場所たとえば机上等で薬剤を補充し終えた薬剤カセット15は、薬剤フィーダ格納庫13か薬剤フィーダ格納庫最前部分14か予備庫部40のうち何れかに装備されているカセットベース16,17又はカセット着座部41に装着されるが、その装着に際しても、識別情報の読取と、それに応じた調剤サーバ80のデータベースの更新とが、行われる。予備撒きカセット71の薬剤手撒き装置33や薬剤手撒き装置70さらには予備撒きカセット保管棚72への着脱に際しても、同様に、識別情報の読取と、それに応じた調剤サーバ80のデータベースの更新とが、行われる。
【0107】
そして、そのデータベースを用いて識別情報に基づく画面表示が、操作表示部材50の操作等にて切り替えられ、薬剤フィーダ格納庫13に保持されている多数の薬剤カセット15の薬剤在庫状態については(
図1(c),(d)参照)、複数の薬剤フィーダ格納庫13の並んだ装置正面の略図等がカセット位置表示欄53に表示され、その略図のうち強調された部位に該当する薬剤カセット15のカセット毎表示欄55が装着先のカセットベース16の配置と同様の配置でカセット群表示欄54に配置され、それぞれのカセット群表示欄54に該当カセット15の薬剤在庫状態が円形状や剤形模擬絵柄模様のグラフ表示56で表示される。このように薬剤在庫状態がカセット装着位置に対応付けてグラフ表示されるので、補充等の必要な薬剤カセット15を容易に見つけ出すことができる。
【0108】
また、薬剤収納庫61の前面に常に露出していて薬剤収納庫61から引き出すことなく分包動作中であっても薬剤カセット15を着脱することができる薬剤フィーダ格納庫最前部分14に保持されている薬剤カセット15の薬剤在庫状態については(
図5(a)参照)、複数の薬剤フィーダ格納庫最前部分14の並んだ装置正面の略図等が左右の操作表示部材50双方のカセット位置表示欄53に表示されるとともに、一方(左)の操作表示部材50のカセット群表示欄54に、複数の前向きカセットベース17の配置に対応した配置でカセット群表示欄54が配置され、それぞれのカセット群表示欄54に該当カセット15の薬剤在庫状態が円形状のグラフ表示56で表示される。
【0109】
補充作業部62に薬剤カセット15が仮置きされているときには、その薬剤在庫状態も円形状のグラフで表示されるが、そのカセット毎表示欄57は、配置の分かり易さと画面領域の割り振り等の関係から、表面領域カセット位置表示欄53に確保される。
これに対し、他方(右)の操作表示部材50のカセット群表示欄54には、選択操作等にて特定された薬剤カセット15の薬剤在庫状態が剤形模擬絵柄模様のグラフ表示56等で詳細に表示される。
このように薬剤在庫状態がカセット装着位置に対応付けてグラフ表示されるとともに、概要表示と詳細表示とが左右の操作表示部材50の分担によって同時に表示されるので、補充等の必要な薬剤カセット15を一層容易に見つけ出すことができる。
【0110】
さらに、予備庫部40に保持されている多数の薬剤カセット15(予製カセット)の薬剤在庫状態については(
図5(b)参照)、上下二段の予備庫部40を含む装置正面の略図等がカセット位置表示欄53に表示され、その略図のうち強調された予備庫部40に該当する薬剤カセット15のカセット毎表示欄55が装着先のカセット着座部41の配置と同様の配置でカセット群表示欄54に配置され、それぞれのカセット群表示欄54に該当カセット15の薬剤在庫状態が円形状や剤形模擬絵柄模様のグラフ表示56で表示される。このように予備庫部40についても薬剤在庫状態がカセット装着位置に対応付けてグラフ表示されるので、交換に好適な薬剤カセット15を容易に見つけ出すことができる。
【0111】
また、薬剤手撒き装置33や予備撒きカセット保管棚72に保持されている予備撒きカセット71の薬剤在庫状態については(
図5(c)参照)、薬剤手撒き装置33を含む装置正面の略図や予備撒きカセット保管棚72の略図がカセット位置表示欄53に表示され、その略図のうち強調されたカセット保持位置に該当する予備撒きカセット71のカセット毎表示欄55が装着先の棚等の配置と同様の配置でカセット群表示欄54に配置され、それぞれのカセット群表示欄54に該当カセット71の薬剤在庫状態が円形状や剤形模擬絵柄模様のグラフ表示56で表示される。
このように薬剤手撒き装置33や予備撒きカセット保管棚72についてもそこの予備撒きカセット71の薬剤在庫状態がカセット装着位置に対応付けてグラフ表示されるので、所望の予備撒きカセット71を容易に見つけ出すことができる。
【0112】
[その他]
上記実施例1では一つの操作表示部材50が一つの隣接対の薬剤フィーダ格納庫13,13に装備され、上記実施例2では二つの操作表示部材50が二つの隣接対の薬剤フィーダ格納庫13,13に分散して装備されていたが、操作表示部材50の装備は、隣接対の薬剤フィーダ格納庫13,13と一対一である必要は無く、一つの隣接対の薬剤フィーダ格納庫13,13に複数の操作表示部材50が装備されていても良い。薬剤フィーダ格納庫最前部分14や補充作業部62の装備についても同様に種々の変形が可能である。
【0113】
上記実施例では、
図5(a)の右半分に示した一つの詳細表示例を除いて、操作欄51や装置動作状態表示欄52の配置や内容が総て同じになっていたが(
図1(c),(d),
図5(a)左半分,
図5(b),(c)参照)、それらの表示内容や操作内容は具体的な事案に応じて適宜構成されるものであり、同じである必要や必然性は無い。操作欄51と装置動作状態表示欄52とカセット位置表示欄53の画面領域の分割状態や有無についても、図示の例に限定されるものでなく、適宜再構成や変更等されても良い。
【0114】
上記実施例では、グラフ表示56が円形状のときも剤形模擬絵柄模様のときも薬剤在庫状態が三段階で表示されるようになっていたが、グラフ表示56による薬剤在庫状態の表示段階は、三段階に限定される訳で無く、二段階でも良く、四段階以上でも良く、円形状のグラフ表示にて概要表示するときと、剤形模擬絵柄模様のグラフ表示にて詳細表示するときとで、段階数が異なっていても良い。
上記実施例で操作表示部材50のカセット位置表示欄53やカセット群表示欄54に表示された内容が、そのまま或いは適宜変形してから、他の表示器たとえば携帯端末81や調剤サーバ80の操作卓などにも表示されるようにしても良い。
【0115】
上記実施例では、前向きカセットベース17を装備した薬剤フィーダ格納庫最前部分14と、操作表示部材50を装備した薬剤フィーダ格納庫最前部分とが、四対の薬剤フィーダ格納庫13,13のうち二対ずつになっていたが、それらの装備比率は、上例に限定される訳でなく任意なので、他の比率でも良い。例えば、総ての隣接対13,13に薬剤フィーダ格納庫最前部分14を装備しても良く、総ての隣接対13,13に操作表示部材50を装備しても良く、一部の隣接対13,13には薬剤フィーダ格納庫最前部分14も操作表示部材50も装備しない構成であっても良い。
【0116】
上記実施例2では、遮光部材18が上端を中心に揺動するようになっていたが、遮光部材18の設置態様は、それに限られる訳でなく、例えば外乱光の発出位置等によって閉塞部位や移動態様を変更させても良く、例えば暖簾のように容易に変形するものでも良い。
また、そのような外乱光の影響軽減にとどまらず、粉塵等による外乱の影響も排除・軽減するために、前向きカセットベース17の上方に送風して粉塵等の進入を防止したり、空気吸引にて粉塵等を回収するようにするのも良い。
【0117】
上記実施例2では、隣接対の薬剤フィーダ格納庫13,13のうち左方のものだけが後方揺動支軸28で揺動可能に支持されていたが、右方のものだけが揺動可能になっていても良く、左右のもの双方とも揺動可能になっていても良い。
薬剤フィーダ格納庫最前部分14も、左端でなく右端を中心にして揺動するようになっていても良い。
【0118】
上記実施例では、上部薬剤収集機構20と下部薬剤収集機構31との間などに他の部材が存在しうることについて言及しなかったが、上部薬剤収集機構20と下部薬剤収集機構31と間に一時貯留機構(例えば特許5388907号の一時貯留部や特許5557822号の単列貯留部および複列同時駆動機構)などの介在物が設けられていても良い。
また、そのような介在物は、上部薬剤収集機構20の下部に付設されていても良く、下部薬剤収集機構31の上部に付設されていても良く、上部薬剤収集機構20と下部薬剤収集機構31との中間に設置されていても良く、付設先機構に随伴して引き出されて清掃されるようになっていても良く、単独で引き出されて清掃されるようになっていても良く、引き出さないで清掃されるようになっていても良い。