(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
(1)しかしながら、従来の絞り装置900は、一のカム溝933に対して絞り羽根移動ボス913及び漏光防止羽根移動ボス923がそれぞれ嵌挿された構造となっており、一のカム溝933により2種類の羽根(絞り羽根910及び漏光防止羽根920)を駆動している。したがって、カム溝933の長さとしては、絞り羽根910を駆動させるための長さに加えて、漏光防止羽根920も駆動させるための長さも必要となる。
つまり、カム溝933においては、絞り羽根910を駆動するための溝の部分と漏光防止羽根920を駆動するための溝の部分とを設ける必要があり、いずれか一方の羽根のみを駆動するための溝のみを設ける構成に比べて、延べ長さが長いカム溝が必要となる。
このように、従来の絞り装置900によれば、一本のカム溝で2種類の羽根を駆動しているため長いカム溝が必要となることから、駆動環930の限られたスペースに設けることができるカム溝の数は増やし難く、ひいては絞り羽根の枚数を増やすことも難しくなる。
【0009】
(2)一般に絞り装置においては、複数対の絞り羽根及び漏光防止羽根は、それぞれの羽根が有する固定ボスが収容体に設けられた対応する孔に挿入され、絞り羽根及び漏光防止羽根が順番に上に重ねられるようにして収容体に収容されている。
例えば、従来の絞り装置900においては、「当該一対をなす当該絞り羽根910j及び当該漏光防止羽根920j」のうちの当該絞り羽根910j、「当該一対をなす当該絞り羽根910j及び当該漏光防止羽根920j」のうちの当該漏光防止羽根920j、当該一対をなす当該絞り羽根910j及び当該漏光防止羽根920jの隣に位置する「次の一対をなす絞り羽根910j+1及び漏光防止羽根920j+1」のうちの絞り羽根910j+1、並びに、「次の一対をなす絞り羽根910j+1及び漏光防止羽根920j+1」のうちの漏光防止羽根920j+1が、この順番で上に重ねられるようにして配置されている《
図14(d)を参照。なお、羽根が重ねられた様子の図示は省略している。》。
なお、第2方向を上と定義し、第1方向を下と定義するものとする。
【0010】
しなしながら、従来の絞り装置900においては、絞り開口の開口径を小さくしたり大きくしたりする過程(絞りを調節する過程)で、場合によっては、絞り羽根910及び漏光防止羽根920の重なり順が崩れ、それらの羽根の重なり順を維持することができなくなるという課題がある。
図15は、従来の絞り装置900において、絞り羽根910及び漏光防止羽根920の重なり順が崩れた一例を説明するために示す平面図である。
図15においては、当該一対をなす絞り羽根910j及び漏光防止羽根920jの両方の羽根と、当該一対をなす絞り羽根910j及び漏光防止羽根920jの隣に位置する次の一対をなす絞り羽根910j+1及び漏光防止羽根920j+1のうち絞り羽根910j+1と、を示しており、その他の羽根の図示は省略している。
【0011】
従来の絞り装置900においては、例えば
図15に示すように、本来、当該漏光防止羽根920jの上に重ねられているべき絞り羽根910j+1が、絞りを調節する過程で当該漏光防止羽根920jから外れ落ち、絞り羽根910j+1と当該漏光防止羽根920jとが同じ階層に属することとなってしまう場合がある。このような状態は、絞り羽根及び漏光防止羽根の重なり順が崩れ、それらの羽根の重なり順を維持することができなくなっている状態の1つである。
そして、この状態から更に開口径を大きくしようと絞り羽根及び漏光防止羽根を動作させると、例えば、絞り羽根910j+1の外側輪郭915の一部が当該漏光防止羽根920jの内周縁928に接触し、円滑な羽根の動きを阻害するという不具合が生じる。また、場合によっては、絞り羽根910j+1が当該漏光防止羽根920jの下に潜り込んでしまい、羽根の重なる順番が入れ替わってしまう。その状態から更に開口径を大きくしようと動作させると、絞り羽根910j+1の外側輪郭915が、当該漏光防止羽根920jの漏光防止羽根固定ボス922に当たる可能性もある。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、絞り羽根の枚数を増加させ易く、且つ、絞り羽根及び漏光防止羽根の重なり順を維持することができる絞り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
[1]本発明の第1の絞り装置は、複数の羽根を光軸に対して進退させることにより絞り開口の開口径を変化させる絞り装置であって、第1平面板からなり、当該絞り装置の開口に入射する光を遮る第1羽根部と、前記第1平面板の一方の面から前記光軸に沿った第1方向の側に突出した第1固定ボスと、前記第1平面板の他方の面から前記第1方向とは逆方向の第2方向の側に突出した移動ボスとを有する絞り羽根と、第2平面板からなり、当該絞り装置の前記絞り開口以外の漏光部を遮光する第2羽根部と、前記第2平面板の一方の面から前記第1方向の側に突出した第2固定ボスとを有し、前記絞り羽根と共に一対をなす漏光防止羽根と、前記移動ボスが嵌挿され、カム溝の周方向の位置により前記光軸との距離が異なる第1カム溝を有し、前記光軸を中心に回転することで、前記第1カム溝を、前記光軸を中心とする周方向に移動させる駆動環と、前記絞り羽根、前記漏光防止羽根及び前記駆動環を収容する収容体と、を備え、前記絞り装置は、一対をなす前記絞り羽根及び前記漏光防止羽根を複数対備え、前記駆動環には、前記移動ボス毎に対応して前記第1カム溝が複数形成され、前記収容体には、各前記一対をなす前記絞り羽根及び前記漏光防止羽根に対応して前記第1固定ボス及び前記第2固定ボスがそれぞれ挿入される一対の第1孔及び第2孔が前記絞り羽根及び前記漏光防止羽根の対数設けられ、前記漏光防止羽根には第2カム溝が更に設けられ、前記絞り羽根の前記移動ボスは、前記漏光防止羽根の前記第2カム溝に嵌挿され、且つ、前記駆動環の前記第1カム溝に嵌挿されており、前記漏光防止羽根の前記第2平面板において前記第2固定ボスからみて前記第2羽根部が位置する側を一方側としたときに、前記漏光防止羽根は、前記第2固定ボスよりも他方側に延びた漏光防止羽根延設部を更に有することを特徴とする。
【0014】
本発明の第1の絞り装置によれば、漏光防止羽根には第2カム溝が更に設けられ、絞り羽根の移動ボスが、漏光防止羽根の当該第2カム溝に嵌挿され、且つ、駆動環の第1カム溝に嵌挿されていることから、駆動環が回転すると、絞り羽根には駆動環の第1カム溝を通じて移動ボスに対して力が働き、第1固定ボスを支点(回動軸)として絞り羽根の第1羽根部が回動する。併せて、移動ボスが第1カム溝に沿って動くことに伴い、漏光防止羽根には移動ボスを通じて第2カム溝に対して力が働き、第2固定ボスを支点(回動軸)として漏光防止羽根の第2羽根部が回動する。このように、駆動環の第1カム溝に嵌挿されているボスは絞り羽根の移動ボスのみであるものの、絞り羽根を駆動する過程で連動するように漏光防止羽根も併せて駆動することができる。
このような第1の絞り装置によれば、第1カム溝には漏光防止羽根を駆動するためのカム溝パターンを形成する必要がないため、その分、当該第1カム溝の長さは、従来の絞り装置におけるカム溝の長さよりも短くすることができる。第1カム溝の長さを短くできるため、駆動環に設けることができる第1カム溝の数を増やすことが容易となる。また、駆動環に漏光防止羽根を駆動するための専用のカム溝を形成する必要もなくなるため、駆動環には絞り羽根を駆動するための第1カム溝のみを形成すれば良い。そのため、駆動環上に第1カム溝を形成する際のスペース上の制限が少なくなるため、第1カム溝の形状の設計自由度が向上する。かくして、本発明の第1の装置によれば、絞り羽根の枚数を増加させ易い絞り装置を提供することができる。
なお、[4]において後述する本発明の第2の絞り装置も、これと同様の作用・効果を奏する。よって、本段落における作用・効果の記載を、後述する[2]の作用・効果の段落において援用する。
【0015】
また、本発明の第1の絞り装置においては、当該漏光防止羽根の第2平面板において第2固定ボスからみて第2羽根部が位置する側を一方側としたときに、当該漏光防止羽根は、第2固定ボスよりも他方側に延びた漏光防止羽根延設部を更に有する。
このため、絞りを調節する過程全般に渡り、当該漏光防止羽根の漏光防止羽根延設部と、当該漏光防止羽根の上に重ねられた隣接する絞り羽根とを、重なり順を維持したままオーバーラップさせ続けることができる。したがって、上記絞り羽根が当該漏光防止羽根から外れ落ちて当該漏光防止羽根と同じ階層に属することとなったり、上記絞り羽根が当該漏光防止羽根の下に潜り込んで羽根の重なる順番が入れ替わることを防止できる。
このようにして本発明の第1の絞り装置によれば、絞り羽根及び漏光防止羽根の重なり順を維持することができる。
【0016】
[2]本発明の第1の絞り装置において、前記第2方向を上と定義したときに、当該一対をなす前記絞り羽根及び前記漏光防止羽根の当該絞り羽根、当該一対をなす前記絞り羽根及び前記漏光防止羽根の当該漏光防止羽根、当該一対をなす前記絞り羽根及び前記漏光防止羽根の隣に位置する次の一対をなす前記絞り羽根及び前記漏光防止羽根の前記絞り羽根、並びに、前記次の一対をなす前記絞り羽根及び前記漏光防止羽根の前記漏光防止羽根が、この順番で上に重ねられるようにして配置されており、前記絞り装置を前記光軸に沿って視たときに、前記次の一対をなす前記絞り羽根及び前記漏光防止羽根の前記絞り羽根の外側輪郭の一部は、当該一対をなす前記絞り羽根及び前記漏光防止羽根の当該漏光防止羽根と常に重なり合っており、前記絞り開口の前記開口径が最小となった際には、前記次の一対をなす前記絞り羽根及び前記漏光防止羽根の絞り羽根の前記外側輪郭の一部が、当該一対をなす前記絞り羽根及び前記漏光防止羽根の当該漏光防止羽根の前記漏光防止羽根延設部と重なり合うことが好ましい。
【0017】
本発明の第1の絞り装置においては、次の一対をなす絞り羽根及び漏光防止羽根の絞り羽根の外側輪郭の一部は、当該一対をなす絞り羽根及び漏光防止羽根の当該漏光防止羽根と常に重なり合うものとなっている。このため、絞り羽根の外側輪郭は当該漏光防止羽根の範囲内に留まり、絞り羽根が当該漏光防止羽根から外れ落ちて当該漏光防止羽根と同じ階層に属することとなったり、上記絞り羽根が当該漏光防止羽根の下に潜り込んで羽根の重なる順番が入れ替わることを防止できる。
また、羽根の順番が最も入れ替わり易い状態である絞り開口の開口径が最小となった際でも、本発明の第1の絞り装置では、次の一対をなす前記絞り羽根及び前記漏光防止羽根の絞り羽根の外側輪郭の一部が、当該一対をなす絞り羽根及び漏光防止羽根の当該漏光防止羽根の漏光防止羽根延設部と重なり合うものとなっている。このため、絞り羽根の外側輪郭が当該漏光防止羽根の漏光防止羽根延設部の範囲内に留まり、絞り羽根が当該漏光防止羽根から外れ落ちて当該漏光防止羽根と同じ階層に属することとなったり、上記絞り羽根が当該漏光防止羽根の下に潜り込んで羽根の重なる順番が入れ替わること防止できる。
このようにして本発明の第1の絞り装置によれば、絞り羽根及び漏光防止羽根の重なり順を維持することができる。
【0018】
[3]本発明の第1の絞り装置において、前記絞り羽根は、全体として長軸を有する長尺状の前記第1平面板からなり、前記絞り羽根において、前記第1平面板の長軸方向の一方側には前記第1固定ボスが設けられ、他方側には絞り羽根延設部が設けられており、前記絞り羽根延設部は、前記絞り開口の前記開口径が最大となったときの前記絞り開口の形状の一部と略同一の形状にて形成された内周縁を有し、前記絞り羽根延設部のうち、少なくとも前記内周縁よりも外周側の一部は、常に前記収容体の内周縁である収容体内周縁又は、常に前記駆動環の内周縁である駆動環内周縁よりも外側に位置するように構成されており、前記絞り装置を前記光軸に沿って視たときに、当該絞り羽根の前記絞り羽根延設部の少なくとも一部は、当該絞り羽根の前記第1固定ボスからみて前記光軸を挟んだ反対側に位置する前記漏光防止羽根の上に常に重なっており、前記絞り開口の前記開口径が最大となった際には、当該絞り羽根の前記絞り羽根延設部の一部は、前記反対側に位置する前記漏光防止羽根の前記漏光防止羽根延設部の上に重なることが好ましい。
【0019】
本発明の第1の絞り装置では、絞り羽根において絞り羽根延設部が設けられており、当該絞り羽根の前記絞り羽根延設部の少なくとも一部は、当該絞り羽根の第1固定ボスからみて光軸を挟んだ反対側に位置する漏光防止羽根の上に常に重なっており、絞り開口の開口径が最大となった際には、当該絞り羽根の絞り羽根延設部の一部は、反対側に位置する漏光防止羽根の漏光防止羽根延設部の上に重なるように構成されている。
このため、絞り羽根延設部の先端側が、当該絞り羽根の第1固定ボスからみて光軸を挟んだ反対側に位置する漏光防止羽根の下に潜り込んで羽根の重なる順番が入れ替わることを防止できる。よって、絞り羽根及び漏光防止羽根の重なり順を維持することができる。
【0020】
また、本発明の第1の絞り装置では、絞り羽根延設部のうち、少なくとも内周縁よりも外周側の一部は、常に収容体の内周縁である収容体内周縁又は、常に前記駆動環の内周縁である駆動環内周縁よりも外側に位置するように構成されている。
このため、当該絞り羽根については、両持ち梁の如く、第1固定ボス側と絞り羽根延設部の先端側とで収容体内周縁又は、駆動環内周縁に架けるようにして収容体の開口を跨がせることができる。したがって、複数の絞り羽根の先端側が編み上がるようにして絞り開口に向けてせり上がるという現象(せり上がり現象)を防止することができる。よって、絞り装置の外観上の品位を向上させることができる。
【0021】
[4]本発明の第2の絞り装置は、複数の羽根を光軸に対して進退させることにより絞り開口の開口径を変化させる絞り装置であって、第1平面板からなり、当該絞り装置の開口に入射する光を遮る第1羽根部と、前記第1平面板の一方の面から前記光軸に沿った第1方向の側に突出した第1固定ボスと、前記第1平面板の他方の面から前記第1方向とは逆方向の第2方向の側に突出した移動ボスとを有する絞り羽根と、第2平面板からなり、当該絞り装置の前記絞り開口以外の漏光部を遮光する第2羽根部と、前記第2平面板の一方の面から前記第1方向の側に突出した第2固定ボスとを有し、前記絞り羽根と共に一対をなす漏光防止羽根と、前記移動ボスが嵌挿され、カム溝の周方向の位置により前記光軸との距離が異なる第1カム溝を有し、前記光軸を中心に回転することで、前記第1カム溝を、前記光軸を中心とする周方向に移動させる駆動環と、前記絞り羽根、前記漏光防止羽根及び前記駆動環を収容する収容体と、を備え、前記絞り装置は、一対をなす前記絞り羽根及び前記漏光防止羽根を複数対備え、前記駆動環には、前記移動ボス毎に対応して前記第1カム溝が複数形成され、前記収容体には、各前記一対をなす前記絞り羽根及び前記漏光防止羽根に対応して前記第1固定ボス及び前記第2固定ボスがそれぞれ挿入される一対の第1孔及び第2孔が前記絞り羽根及び前記漏光防止羽根の対数設けられ、前記漏光防止羽根には第2カム溝が更に設けられ、前記絞り羽根の前記移動ボスは、前記漏光防止羽根の前記第2カム溝に嵌挿され、且つ、前記駆動環の前記第1カム溝に嵌挿されており、前記絞り装置は、前記漏光防止羽根と前記絞り羽根との中間に配置される中間羽根を更に備え、前記第2方向を上と定義したときに、当該一対をなす前記絞り羽根及び前記漏光防止羽根の当該絞り羽根、当該一対をなす前記絞り羽根及び前記漏光防止羽根の当該漏光防止羽根、前記中間羽根、当該一対をなす前記絞り羽根及び前記漏光防止羽根の隣に位置する次の一対をなす前記絞り羽根及び前記漏光防止羽根の前記絞り羽根、並びに、前記次の一対をなす前記絞り羽根及び前記漏光防止羽根の前記漏光防止羽根が、この順番で上に重ねられるようにして配置されており、前記絞り装置を前記光軸に沿って視たときに、前記中間羽根と前記当該一対をなす前記絞り羽根及び前記漏光防止羽根の当該漏光防止羽根とは常に重なり合っており、且つ、前記中間羽根と前記次の一対をなす前記絞り羽根及び前記漏光防止羽根の前記絞り羽根とは常に重なり合っていることを特徴とする。
【0022】
本発明の第2の絞り装置においては、漏光防止羽根と絞り羽根との中間に配置される中間羽根を更に備えている。そして、中間羽根と、当該一対をなす絞り羽根及び漏光防止羽根の当該漏光防止羽根とが常に重なり合うように構成されている。このように中間羽根と当該漏光防止羽根とが重なり合う領域が確保されるため、中間羽根は必ず隣接している当該漏光防止羽根の上の階層に属することができる。
また、中間羽根と、次の一対をなす絞り羽根及び漏光防止羽根の絞り羽根とが常に重なり合うように構成されている。このように上記絞り羽根と中間羽根とが重なり合う領域が確保されるため、上記絞り羽根は必ず中間羽根の上の階層に属することができる。
こうして中間羽根を介し、上記絞り羽根は必ず当該漏光防止羽根の上方の階層に属することが約束されることから、本発明の第2の絞り装置によれば、絞り羽根及び漏光防止羽根の重なり順を維持することができる。
【0023】
[5]本発明の第2の絞り装置において、前記中間羽根は、前記絞り羽根及び前記漏光防止羽根の動きを干渉しないようにして前記収容体に対し固定されていることが好ましい。
【0024】
このような本発明の第2の絞り装置は、換言すると、絞り羽根を動作させるのに連動して中間羽根を動作させるものではない。したがって、羽根駆動のためのエネルギーを絞り羽根及び漏光防止羽根を動かす以外に費やすことがなく、3枚羽根(絞り羽根、漏光防止羽根及び中間羽根)でありながらエネルギー効率の高い絞り装置となる。
また、絞り羽根及び漏光防止羽根の動きを干渉しないようにして固定されていることから、絞り羽根及び漏光防止羽根を円滑に動作させることができる。
【0025】
[6]本発明の第2の絞り装置において、前記絞り羽根は、全体として長軸を有する長尺状の前記第1平面板からなり、前記絞り羽根において、前記第1平面板の長軸方向の一方側には前記第1固定ボスが設けられ、他方側には絞り羽根延設部が設けられており、前記絞り羽根延設部は、前記絞り開口の前記開口径が最大となったときの前記絞り開口の形状の一部と略同一の形状にて形成された内周縁を有し、前記絞り羽根延設部のうち、少なくとも前記内周縁よりも外周側の一部は、常に前記収容体の内周縁である収容体内周縁又は、常に駆動環の内周縁である駆動環内周縁よりも外側に位置するように構成されており、前記絞り装置を前記光軸に沿って視たときに、前記絞り開口の前記開口径が最小となった際には、当該絞り羽根の前記絞り羽根延設部の一部は、当該絞り羽根の前記第1固定ボスからみて前記光軸を挟んだ反対側に位置する前記漏光防止羽根の上に重なり、前記絞り開口の前記開口径が最小から最大に遷移する過程において、当該絞り羽根の前記絞り羽根延設部の一部は、当該絞り羽根の前記第1固定ボスからみて前記光軸を挟んだ反対側に位置する前記中間羽根の上に重なることが好ましい。
【0026】
本発明の第2の絞り装置では、絞り羽根において絞り羽根延設部が設けられており、絞り開口の開口径が最小(最小絞り状態)となった際には、当該絞り羽根の絞り羽根延設部の一部は、当該絞り羽根の第1固定ボスからみて光軸を挟んだ反対側に位置する漏光防止羽根の上に重なるように構成されている。
このため、絞り羽根延設部の先端側が、当該絞り羽根の第1固定ボスからみて光軸を挟んだ反対側に位置する漏光防止羽根の下に潜り込んで羽根の重なる順番が入れ替わることを防止できる。
また、絞り開口の開口径が最小から最大に遷移する過程において、当該絞り羽根の絞り羽根延設部の一部は、当該絞り羽根の第1固定ボスからみて光軸を挟んだ反対側に位置する前記中間羽根の上に重なるように構成されている。換言すると、絞り開口の開口径が最小から最大に遷移する過程において、当該絞り羽根の絞り羽根延設部の一部が、当該絞り羽根の第1固定ボスからみて光軸を挟んだ反対側に位置する漏光防止羽根の上から、当該絞り羽根の第1固定ボスからみて光軸を挟んだ反対側に位置する中間羽根の上に乗り移るようにして重なるように構成されている。
このため、絞り羽根延設部の先端側が、当該絞り羽根の第1固定ボスからみて光軸を挟んだ反対側に位置する中間羽根の更に下の階層の羽根、すなわち、かかる中間羽根の下の階層にある絞り羽根と同じ階層になること、又は、かかる絞り羽根の下に潜り込むことを防止できる。
このようにして、本発明の第2の絞り装置によれば、絞り羽根及び漏光防止羽根の重なり順を維持することができる。
【0027】
また、本発明の第2の絞り装置では、絞り羽根延設部のうち、少なくとも内周縁よりも外周側の一部は、常に収容体の内周縁である収容体内周縁又は駆動環内周縁よりも外側に位置するように構成されている。
このため、当該絞り羽根については、両持ち梁の如く、第1固定ボス側と絞り羽根延設部の先端側とで収容体内周縁又は駆動環内周縁に架けるようにして収容体の開口を跨がせることができる。したがって、複数の絞り羽根の先端側が編み上がるようにして絞り開口に向けてせり上がるという現象を防止することができる。よって、絞り装置の外観上の品位を向上させることができる。
【0028】
[7]本発明の第1の絞り装置又は第2の絞り装置において、前記絞り羽根は、全体として長軸を有する長尺状の前記第1平面板からなり、前記絞り羽根において、前記第1平面板の長軸方向の一方側には前記第1固定ボスが設けられ、他方側には絞り羽根延設部が設けられており、前記絞り羽根延設部は、前記絞り開口の前記開口径が最大となったときの前記絞り開口の形状の一部と略同一の形状にて形成された内周縁を有し、前記絞り羽根延設部には、常に前記収容体の内周縁である収容体内周縁よりも外側に位置して前記収容体内周縁に係合するように構成された係合用凸部が更に設けられていることが好ましい。
【0029】
絞り羽根において設けられた絞り羽根延設部において、常に収容体の内周縁である収容体内周縁又は、常に前記駆動環の内周縁である駆動環内周縁よりも外側に位置して収容体内周縁に係合するように構成された係合用凸部が更に設けられている。
このため、例えば、絞り開口の開口径が小さくなったときにおいても、絞り羽根については、両持ち梁の如く、第1固定ボス側と係合用凸部とで収容体内周縁又は、駆動環内周縁に架けるようにして収容体の開口を跨がせることができる。したがって、複数の絞り羽根の先端側が編み上がるようにして絞り開口に向けてせり上がるという現象を防止することができる。よって、絞り装置の外観上の品位を向上させることができる。
【0030】
[8]本発明のレンズ鏡筒は、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の絞り装置及びレンズが収容されていることを特徴とする。
【0031】
[9]本発明の撮像装置又は投影装置は、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の絞り装置又は上記[8]に記載のレンズ鏡筒を備えていることを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の絞り装置、レンズ鏡筒及び撮像装置又は投影装置について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
【0034】
[実施形態1]
1.実施形態1に係る絞り装置10の基本構造
図1〜
図2は、実施形態1に係る絞り装置10を説明するために示す図である。
図1(a)は、絞り装置10を分解した状態の斜視図である。
図1(b)は、組み立てた状態の絞り装置10の斜視図である。
図2は、絞り装置10を光軸OAに沿って平面視したときの平面図である。
図2(a)は、絞り羽根100及び漏光防止羽根200を収容体400の幅(光軸OAと直交する方向の幅)内に退避させた状態を示すものであり、絞り羽根100により形成される開口(絞り開口)の開口径を最大にした状態(フル開放状態)を示している。
図2(c)は、絞り開口の開口径を最小にした状態(最小絞り状態)を示す図である。
図2(b)は、絞り羽根100及び漏光防止羽根200をフル開放状態と最小絞り状態との間の位置に移動させた中間絞り状態を示す図である。なお、
図2(a)及び
図2(c)においては、一対をなす絞り羽根100及び漏光防止羽根200と、それらに対応する第1カム溝330を図示しており、他の絞り羽根、漏光防止羽根及び第1カム溝については図示を省略している。なお、カバー500は駆動環300の脱落防止目的で収容体400に取り付けられる。
【0035】
実施形態1に係る絞り装置10は、
図1及び
図2に示すように、光軸OAに沿って平面視したとき、開口413を有する円環の形状をなす。複数の羽根(ここでは絞り羽根100)を開口413の内側(光軸OAに向けて)に突出させることにより絞り開口の開口径ADが変更させられる。絞り開口の開口径ADが変更させられることで、絞り開口を通過する光の量が調節される。
絞り装置10は、絞り羽根100、漏光防止羽根200、駆動環300及び収容体400を備える。収容体400を受け皿として、その上に、複数の絞り羽根100及び複数の漏光防止羽根200が重ねられるように積層され、さらにその上に駆動環300が載置されている。さらに、その上には、カバー500が載置されている。
開口径ADは、
図2(a)〜
図2(c)に示すように、絞り羽根100の開口413内への突出量に応じて、絞りの開口径が、開口径ADf〜開口径ADm〜最小絞り状態の開口径というように遷移しながら変更される。
【0036】
2.実施形態1に係る絞り装置の詳細な構造
(1)第1カム溝330と共に第2カム溝230に嵌挿された移動ボス130
図3は、実施形態1に係る絞り装置10の要部を説明するために示す斜視図である。
図3においては、当該一対をなす絞り羽根100j及び漏光防止羽根200j、並びに、当該一対をなす絞り羽根100j及び漏光防止羽根200jの隣に位置する次の一対をなす絞り羽根100j+1及び漏光防止羽根200j+1を示している。また、駆動環300及び収容体400はこれらの羽根に対応する部分のみを取り出して示している。その他の構成要素については図示を省略している。なお、符号212は第2羽根部210の外周縁を示す。
なお、jはインデックス用の変数であり、1以上の整数が代入される。
以下の説明において、例えば、絞り羽根100j/100j+1を単に絞り羽根100と表記して、変数jを付すのを省略して説明することがある。漏光防止羽根200、第1孔401、第2孔402等についても同様である。
【0037】
図3に示すように、絞り羽根100(例えば絞り羽根100jに注目されたし。)は、第1平面板102からなり、開口413の内側に突出して絞り開口を形成し、絞り装置10の絞り開口に入射する光を遮る第1羽根部110と《
図2(a)〜
図2(c)を併せて参照。》、第1平面板102の一方の面F1から光軸OAに沿った第1方向の側に突出した第1固定ボス120と、第1平面板102の他方の面F2から第1方向とは逆方向の第2方向の側に突出した移動ボス130とを有する。
第1平面板102は、遮光性を有しており、他の構成要素(漏光防止羽根200、収容体400等)と合わせて滑らかに摺動することができる材料からなっている。第1固定ボス120及び移動ボス130は、一定の半径を有する円筒(円柱)の形状を有している。第1固定ボス120は、収容体400に形成される第1孔401に回転可能に挿入される。つまり、第1固定ボス120及び第1孔401が配置される位置は、絞り羽根100の回転軸が配置される位置である。第1固定ボス120の「固定」の意味は、収容体に対するボスの位置は移動せず固定的であるという意味であり、ボス単体では回転可能であるものとする。
【0038】
漏光防止羽根200(例えば
図3の漏光防止羽根200jに注目されたし。)は、第2平面板202からなり、当該絞り装置10の絞り開口以外の漏光部を遮光する第2羽根部210と《
図2(c)も併せて参照。》、第2平面板202の一方の面F3から第1方向の側に突出した第2固定ボス220とを有する。そして、かかる漏光防止羽根200は、上記した絞り羽根100と共に一対をなしている。
ここで「漏光部」とは、絞り開口以外の部分であって、複数の絞り羽根だけでは塞ぐことができない部分をいう。漏光部を「遮光する」とは、別言すれば漏光部を塞ぐともいえる。
第2平面板202も第1平面板102と同様に、他の構成要素(絞り羽根100、収容体400等)と合わせて滑らかに摺動することができる材料からなっている。また、第2固定ボス220は、一定の半径を有する円筒(円柱)の形状を有している。第2固定ボス220は、収容体400に形成される第2孔402jに回転可能に挿入される。つまり、第2固定ボス220及び第2孔402が配置される位置は、漏光防止羽根200の回転軸が配置される位置である。第2固定ボス220の「固定」の意味は、収容体に対するボスの位置は移動せず固定的であるという意味であり、ボス単体では回転可能であるものとする。
【0039】
駆動環300には、
図1〜
図3に示すように、第1カム溝330が形成されている。駆動環300は、内側が円形に開口した環状の平面板である。なお、円形の開口は駆動環300の内周縁である駆動環内周縁315により形成される。
第1カム溝330には、移動ボス130が嵌挿される。第1カム溝330は、カム溝の位置により光軸OAとの距離が異なるように構成されている。ただし、周方向に沿ってカム溝をみたときに光軸OAとの距離が同じ区間を一部有していても構わない。
かかる駆動環300が光軸OAを中心に回転すると、第1カム溝330は、光軸OAを中心とする周方向に移動する。このとき、第1カム溝330に嵌挿された移動ボス130は、第1孔401に挿入された第1固定ボス120を中心に回転させられる。つまり、移動ボス130は、駆動環300が回転する方向に応じて、第1固定ボス120を回転中心に開口413の内側に向かう方向(以下、−r方向とする。)、又は、開口413の外側に向かう方向(以下、r方向とする。)に移動させられる。
駆動環300に回転力を付与する方法はいかなる方法を採用してもよいが、ここでは、駆動環本体310と一体となって回転する回転レバー340を設け、当該回転レバー340に対して図示しない回転力付与手段から力を加える。
【0040】
収容体400は、
図1〜
図3に示すように、内側に開口413を有し全体として円環の形状をなしている。収容体400は、上記したとおり絞り羽根100、漏光防止羽根200及び駆動環300を収容する。なお、円形の開口413は収容体400の内周縁である収容体内周縁415により形成される。
また、収容体400には、上記した一対をなす絞り羽根100及び漏光防止羽根200に対応して第1固定ボス120及び第2固定ボス220がそれぞれ挿入される一対の第1孔401及び第2孔402が、nセット(絞り羽根100及び漏光防止羽根200の対数)設けられている(ただし、nは2以上の整数。)。
さらに、収容体400には、
図1(a)に示すように、駆動環300の回転レバー340が回転できるように外周壁410の一部を切り欠いた切欠部411を有している。
【0041】
絞り装置10全体としては、上記した一対をなす絞り羽根100及び漏光防止羽根200をnセット(複数対)備えている。駆動環300には、絞り羽根100毎に設けられている移動ボス130にそれぞれ対応するようにして第1カム溝330がn個(複数)形成されている。例えば、
図1〜3においては11セットとなっている。
上記した一対をなす絞り羽根100及び漏光防止羽根200は、
図2(a)、
図2(c)、
図3等に示すように、第2方向に向かって絞り羽根100及び漏光防止羽根200の順で積層されている。
すなわち、第2方向を上と定義し、第1方向を下と定義したときに、「当該一対をなす絞り羽根100j及び漏光防止羽根200j」の当該絞り羽根100j、「当該一対をなす絞り羽根100j及び漏光防止羽根200j」の当該漏光防止羽根200j、当該一対をなす絞り羽根100j及び漏光防止羽根200jの隣に位置する「次の一対をなす絞り羽根100j+1及び漏光防止羽根200j+1」の絞り羽根100j+1、並びに、「次の一対をなす絞り羽根100j+1及び漏光防止羽根200j+1」の漏光防止羽根200j+1が、この順番で上に重ねられるようにして配置されている(
図3参照。)。
【0042】
上記に加え、漏光防止羽根200には第2カム溝230が更に設けられている。第2カム溝230は、移動ボス130に対応した位置に配置される。
絞り羽根100の移動ボス130は、漏光防止羽根200の第2カム溝230に嵌挿され、且つ、駆動環300の第1カム溝330にも嵌挿されている。
なお、移動ボス130は第1カム溝330及び第2カム溝230に「嵌挿」されているとしているが、移動ボス130が、第1カム溝330の深さ(駆動環300の厚さ)の一部にだけ挿入されていてもよいし、第2カム溝230に加えて第1カム溝330を貫通していてもよい。なお、実施形態1においては、ほぼ貫通する程度の状態としている。
【0043】
(2)第1固定ボス120及び第2固定ボス220の配置関係
図4は、実施形態1に係る絞り装置10における第1固定ボス120、第2固定ボス220、移動ボス130、第1カム溝330、第2カム溝230等の位置関係を説明するために示す平面図である。
図4(a)においては、当該一対をなす絞り羽根100j及び漏光防止羽根200j、それらに対応する第1カム溝330及び第2カム溝230、並びに、次の一対をなす絞り羽根100j+1及び漏光防止羽根200j+1のうちの絞り羽根100j+1を図示している。また、
図4においては、当該一対をなす絞り羽根100j及び漏光防止羽根200jの隣であって前の一対をなす絞り羽根100j−1及び漏光防止羽根200j−1のうち絞り羽根100j−1と、これに対応する移動ボス130’を図示している。その他の絞り羽根及び漏光防止羽根、並びに、それらに対応する構成要素については図示を省略している。
図4(b)においては、収容体400に、第1固定ボス120及び第2固定ボス220が挿入される、前の一対の第1孔401j−1及び第2孔402j−1、当該一対の第1孔401j及び第2孔402j、次の一対の第1孔401j+1及び第2孔402j+1等が複数対設けられている様子を図示している。他の構成要素については図示を省略している。
【0044】
実施形態1に係る絞り装置10は、
図4に示すように、第1固定ボス120と第2固定ボス220とは、互いに光軸OAからの距離が異なる位置に配置されている。言い換えると、第1固定ボス120及び第2固定ボス220を、互いに内周側と外周側とにずらすように配置している(
図3等も併せて参照。)。例えば
図4(a)を用いて説明すると、光軸OAからの第1固定ボス120の距離をR1とし、光軸OAからの第2固定ボス220の距離をR2としたとき、第1固定ボス120及び第2固定ボス220は、R2>R1の関係となるように配置されている。
第1固定ボス120及び第2固定ボス220の配置関係に対応するように、収容体400において、第1固定ボス120及び第2固定ボス220が挿入される一対の第1孔401j及び第2孔402jは互いに光軸OAからの距離が異なる位置に配置されている。
なお、
図4(a)では第1固定ボス120を内周側に配置した例を示したが、実施形態1の絞り装置10においてはこれに限定されるものではない。すなわち、第2固定ボス220が第1固定ボス120よりも内周側に配置されても構わない。
【0045】
(3)漏光防止羽根延設部250
漏光防止羽根200の第2平面板202において第2固定ボス220からみて第2羽根部210が位置する側を一方側としたときに、漏光防止羽根200は、第2固定ボス220よりも他方側に延びた漏光防止羽根延設部250を更に有する(
図3等参照。)。
すなわち、漏光防止羽根200は全体として長軸を有する長尺状の第2平面板202からなっており、長軸方向でみたときに中央付近に第2固定ボス220が配置されている。そして、第2固定ボス220よりも他方側に漏光防止羽根延設部250が設けられている。
漏光防止羽根延設部250は、その内側(光軸OA側)の内周縁の形状としては、絞り開口の開口径が最大となったときの絞り開口の形状の一部と略同一の形状となっていることが好ましい。極力内側の領域にまで漏光防止羽根延設部250を設けることにより、漏光防止羽根延設部250は、当該漏光防止羽根の上に重ねられた絞り羽根に対して、より一層オーバーラップさせ易くなるからである。
【0046】
3.実施形態1に係る絞り装置10の作用・効果
(1)第1カム溝330と共に第2カム溝230に嵌挿された移動ボス130
実施形態1に係る絞り装置10は、上記したように、複数の羽根を光軸に対して進退させることにより絞り開口の開口径を変化させる絞り装置であって、絞り羽根100と、この絞り羽根100と一対をなす漏光防止羽根200と、駆動環300と、収容体400とを備える。
絞り羽根100は、第1平面板102からなり、絞り装置10の絞り開口(絞り羽根100により形成される開口)に入射する光を遮る第1羽根部110と、第1平面板102の一方の面F1から光軸OAに沿った第1方向の側に突出した第1固定ボス120と、第1平面板102の他方の面F2から第1方向とは逆方向の第2方向の側に突出した移動ボス130とを有する。
漏光防止羽根200は、第2平面板202からなり、当該絞り装置10の絞り開口以外の漏光部を遮光する第2羽根部210と、第2平面板202の一方の面F3から第1方向の側に突出した第2固定ボス220とを有する。
駆動環300は、移動ボス130が嵌挿される第1カム溝330を有する。この第1カム溝330は、カム溝の位置により光軸OAとの距離が異なる。駆動環300は、光軸OAを中心に回転することができる。したがって、駆動環300が光軸OAを中心に回転すると、第1カム溝330が周方向に移動する。これにより、第1カム溝330に嵌挿された移動ボス130は、r方向または−r方向に移動させられる。
収容体400は、絞り羽根100、漏光防止羽根200及び駆動環300を収容する。
絞り装置10は、一対をなす絞り羽根100及び漏光防止羽根200をnセット(複数対)備える。駆動環300には、絞り羽根100毎に設けられている移動ボス130にそれぞれ対応するようにして第1カム溝330がn個(複数)形成されている。
収容体400には、一対をなす絞り羽根100及び漏光防止羽根200に対応して、第1固定ボス120及び第2固定ボス220がそれぞれ挿入される一対の第1孔401j及び第2孔402jが設けられている。第1孔401j及び第2孔402jは、nセット(絞り羽根100及び漏光防止羽根200の対数)設けられている。
漏光防止羽根200には第2カム溝230が設けられ、絞り羽根100の移動ボス130は、漏光防止羽根200の第2カム溝230に嵌挿され、且つ、駆動環300の第1カム溝330に嵌挿されている。
【0047】
実施形態1に係る絞り装置10は、上記したように、漏光防止羽根200には第2カム溝230が更に設けられている。絞り羽根100の移動ボス130が、漏光防止羽根200の当該第2カム溝230に嵌挿され、且つ、駆動環300の第1カム溝330に嵌挿されている。
このような構造を採ることにより、以下のような作用が働くこととなる。(1)図示しない回転力付与手段から回転力が加えられて駆動環300が回転する。(2)駆動環300が回転すると、絞り羽根100においては、駆動環300から第1カム溝330を通じて、移動ボス130に対して力が働く。つまり絞り羽根100は、移動ボス130を力点とし、第1固定ボス120を支点(回動軸)として回動することとなる。(3)移動ボス130が第1固定ボス120を中心に回転(−r方向に移動)することに伴い、漏光防止羽根200においては、移動ボス130から第2カム溝230に対して力が働く。つまり漏光防止羽根200は、移動ボス130から第2カム溝230に力が働いた箇所を力点とし、第2固定ボス220を支点(回動軸)として回動することとなる《
図2(c)、
図3等を参照。》。
このように実施形態1に係る絞り装置10では、駆動環300の第1カム溝330に嵌挿されているボスは絞り羽根100の移動ボス130のみであるものの、絞り羽根100の駆動に連動させて漏光防止羽根200も駆動することができる。
【0048】
したがって、第1カム溝330は、絞り羽根100を駆動するために必要な長さに形成すれば十分であり、漏光防止羽根200を駆動するためのカム溝を形成する必要がない。そのため、その分、第1カム溝330の長さは、従来の絞り装置におけるカム溝の長さよりも短くすることができる。また、絞り羽根100を駆動するためだけに第1カム溝330を形成すれば良いため、漏光防止羽根200の駆動を考慮する必要が無くなり、その分、第1カム溝330の設計自由度は向上する。このように、第1カム溝330の長さを短くでき、かつ、設計自由度を向上できるため、駆動環300に設けることができる第1カム溝330の数を増やすことが容易となる。これに対応して絞り羽根100の枚数を増やすことが容易となる。絞り羽根100と一対をなしている漏光防止羽根200の枚数も増やすことが容易となる。
【0049】
(2)第1固定ボス120及び第1孔401jと第2固定ボス220及び第2孔402jとの配置関係
実施形態に係る絞り装置10は上記したように、第1固定ボス120及び第1孔401jと第2固定ボス220及び第2孔402jとは、互いに光軸OAからの距離が異なる位置に配置されている。このため、光軸OAからの距離が互いに異なるそれぞれの周上に、複数の第1固定ボス120及び第1孔401jと複数の第2固定ボス220及び第2孔402jとをそれぞれ設けることができる。したがって、一対をなす第1固定ボス120及び第1孔401と第2固定ボス220及び第2孔402との対数を増やすことが容易となる。ひいては絞り羽根100の枚数を増やすことが容易となる。
【0050】
図5を用いて更に詳しく説明する。
図5は、実施形態1に係る絞り装置10の効果を説明するために示す平面図である。
図5(a)は従来の絞り装置900に対応する図であり、
図5(b)は実施形態1に係る絞り装置10に対応する図である。
図5(a)及び
図5(b)においては、収容体400の一部のみを示している。
図5(a)は、絞り羽根固定ボス912及び第1孔941j(jは1以上の整数。)と、漏光防止羽根固定ボス922及び第2孔942j(jは1以上の整数。)との配置関係を示している。
図5(b)は、第1固定ボス120及び第1孔401j(jは1以上の整数。)と、第2固定ボス220及び第2孔402j(jは1以上の整数。)との配置関係を示している。その他の構成要素については図示を省略している。
【0051】
(a)従来の絞り装置
従来の絞り装置900に基づく絞り装置においては、
図5(a)に示すように、絞り羽根固定ボス912及び第1孔941jと、漏光防止羽根固定ボス922及び第2孔942jとは、光軸OAからの距離が同一の位置に配置される。すなわち、絞り羽根固定ボス912及び第1孔941jと漏光防止羽根固定ボス922及び第2孔942jとは、同一の円周上に配置されている《
図14(d)も併せて参照。》。
したがって、絞り羽根910の枚数を増やすに当たっては、同一の円周上に配置する絞り羽根固定ボス及び第1孔、並びに、漏光防止羽根固定ボス及び第2孔からなる対の数を増やすこととなる。その際、絞り羽根固定ボス912及び第1孔941jと、漏光防止羽根固定ボス922及び第2孔942jとの間隔に配慮する必要があった。さらに、これら当該一対をなす絞り羽根固定ボス912及び第1孔941j、並びに、漏光防止羽根固定ボス922及び第2孔942jと、これらの隣に位置する一対をなす絞り羽根固定ボス912’及び第1孔941j+1(符号は一例であって、941j−1であってもよい。)、並びに、漏光防止羽根固定ボス922’及び第2孔942j+1(一例)と、の対同士の間隔にも配慮する必要があった。
しかるに、従来の絞り装置は、絞り羽根910の枚数を増やすことが難しかった。
【0052】
(b)実施形態1に係る絞り装置
一方で、実施形態1に係る絞り装置10においては、第1固定ボス120及び第1孔401jと第2固定ボス220及び第2孔402jとは、互いに光軸OAからの距離が異なる位置に配置されている。言い換えると、第1固定ボス120及び第1孔401jと第2固定ボス220及び第2孔402jとを、互いに内周側と外周側とにずらすように配置している。
このため、
図5(b)に示すように、光軸OAからの距離が互いに異なるそれぞれの周上に(内周上及び外周上に)、第1固定ボス120及び第1孔401jと、第2固定ボス220及び第2孔402jとを設けることができる。
したがって、設計の自由度が増すこととなり、一対をなす第1固定ボス120及び第1孔401jと、第2固定ボス220及び第2孔402jと対数を増やすことが容易となる。ひいては絞り羽根100の数を増やすことが容易となる。
なお、同一周上に配置された例えば当該第1固定ボス120及び第1孔401jとそれと隣接する第1固定ボス120’及び第1孔401j−1(符号は一例であって、401j+1であってもよい。)との離間距離を考慮しなければならない場合がある。しかし、内径R1と外径R2《
図4(a)も併せて参照。》との差が、当該第1固定ボス120及び第1孔401jとそれと隣接する第1固定ボス120’及び第1孔401j−1(一例)との離間距離に対して十分に大きければ、設計上、
図5(b)に示すように、当該第1固定ボス120及び第1孔401jとそれと隣接する第1固定ボス120’ 及び第1孔401j−1(一例)との間に所与のマージンθmを確保しておけばよい。
【0053】
このようにして、実施形態1に係る絞り装置によれば、第1カム溝の数、第1固定ボス及び第1孔の数等を増やすことが容易となるため、絞り羽根の枚数を増加させ易い絞り装置を提供することができる。
【0054】
(3)漏光防止羽根延設部250による作用・効果
図6は、実施形態1に係る絞り装置10の作用・効果を説明するために示す平面図である。
図6(a)は、絞り開口の開口径を最大にした状態(フル開放状態)を示しており、
図6(b)は、絞り開口の開口径を最小にした状態(最小絞り状態)を示している。なお、
図6(a)及び
図6(b)においては、当該一対をなす絞り羽根100j(#1)及び漏光防止羽根200j(#2)、並びに、当該一対をなす絞り羽根100j(#1)及び漏光防止羽根200j(#2)の隣に位置する次の一対をなす絞り羽根100j+1(#3)及び漏光防止羽根200j+1のうちの絞り羽根100j+1(#3)のみを図示しており、他の絞り羽根、漏光防止羽根等については図示を省略している。
【0055】
実施形態1に係る絞り装置10においては、
図6に示すように、当該漏光防止羽根200jの第2平面板202において第2固定ボス220からみて第2羽根部210が位置する側を一方側としたときに、当該漏光防止羽根200jは、第2固定ボス220よりも他方側に延びた漏光防止羽根延設部250を更に有する(
図3も併せて参照。)。
この漏光防止羽根延設部250により、
図6(b)に示すように、例えば絞り装置10を最小絞り状態としたときにも、絞り羽根100j+1(#3)の一部を、漏光防止羽根200jの漏光防止羽根延設部250においてオーバーラップさせることができる。
この結果、絞り羽根100j(#1)とその上の階層に属する漏光防止羽根200j(#2)とは第1領域RG1においてオーバーラップし、漏光防止羽根200j(#2)とその上の階層に属する絞り羽根100j+1(#3)とは第2領域RG2においてオーバーラップすることとなる。したがって、下から上に、絞り羽根100j(#1)、漏光防止羽根200j(#2)及び絞り羽根100j+1(#3)の順で重ねられた羽根の重なり順(#1~#3)が崩れることがない。
上記したオーバーラップは、
図6(a)に示すようなフル開口状態から
図6(b)に至る過程においても、その逆の過程においても同様に保証される。このため、絞りを調節する過程全般に渡り、当該漏光防止羽根200jの漏光防止羽根延設部250と、当該漏光防止羽根200jの上に重ねられた絞り羽根100j+1とをオーバーラップさせ続けることができる。
したがって、絞り羽根100j+1(#3)が当該漏光防止羽根200j(#2)から外れ落ちて当該漏光防止羽根200j(#2)と同じ階層に属することとなったり、絞り羽根100j+1(#3)が当該漏光防止羽根200j(#2)の下に潜り込んで羽根の重なる順番が入れ替わることを防止できる。
このようにして実施形態1に係る絞り装置10によれば、絞り羽根100及び漏光防止羽根200の重なり順を維持することができる。
【0056】
4.実施形態1に係る絞り装置10のその他の詳細な構造
(1)第1固定ボス120を内周側に配置する構造
図3及び
図4に示すように、実施形態1に係る絞り装置10において、第1固定ボス120及び第1孔401jは、光軸OAとの距離が、第2固定ボス220及び第2孔402jの光軸OAとの距離よりも短い位置に配置されている。すなわち、第1固定ボス120及び第1孔401jの方が、第2固定ボス220及び第2孔402jよりも内周側に配置されている。
【0057】
第1固定ボス120及び第1孔401jが配置される位置は、換言すると、絞り羽根100の回転軸が配置される位置である。
ここで、フル開放状態の位置と最小絞り状態との間を回転する絞り羽根100の回転角に注目する。かかる回転角は、一般に、絞り羽根100の回転軸を光軸OAに近づけて配置するほど大きくなる。絞り羽根100の回転角が大きくなると、絞り羽根100の駆動にあたっては、一般に、第1固定ボス120、第1孔401、移動ボス130、駆動環300の第1カム溝330等の位置・寸法等の製造上のバラツキの影響を受けづらくなる。
こうしたことから、第1固定ボス120及び第1孔401jを、光軸OAとの距離が、第2固定ボス220及び第2孔402jの光軸OAとの距離よりも短い位置に配置すること、すなわち、絞り羽根100の回転軸を光軸OAに近づけて配置することにより、全体として精度の高い絞り開口を実現することができる。
【0058】
また、一般に、絞り羽根100の回転軸を配置する位置を、光軸OAから遠くすればするほど、絞り羽根100の長さは長くする必要がある。
こうしたことから、絞り羽根100の回転軸を光軸OAに近づける(第1固定ボス120及び第1孔401jを、第2固定ボス220及び第2孔402jよりも光軸OAに近い位置に配置する)ことにより、絞り羽根100の長さの短縮化を図ることができる。絞り羽根100の長さの短縮化を図ることにより、絞り羽根100の回転時の慣性を小さくでき、回転精度や速度を向上できる。また、絞り装置10の小型化を図ることができる。
【0059】
(2)第1固定ボス120及び第1孔401jと、第2固定ボス220及び第2孔402jとを同一径方向に配置する構造
図3及び
図4に示すように、実施形態1に係る絞り装置10において、第1固定ボス120及び第1孔401jと、第2固定ボス220及び第2孔402jとは、光軸OAから径方向(r方向)に延びる同一直線上に配置されている。すなわち、光軸OA、第1固定ボス120及び第1孔401jと、第2固定ボス220及び第2孔402jとは同一直線上に配置されている。
【0060】
このような構成によれば、一対の第1固定ボス及び第1孔401jと、第2固定ボス及び第2孔402jとが占有する角度(第1固定ボス及び第1孔401jと光軸OAとを結ぶ線と第2固定ボス及び第2孔402jと光軸OAとを結ぶ線との間でなす角度。)を最小とすることができる。つまり、かかる占有する角度を0°とすることができる。
上記した占有する角度が最小となるため、光軸OAの周囲上に、より多くの対数の第1固定ボス120及び第1孔401j並びに第2固定ボス220及び第2孔402jを配置することが可能となり、設計の自由度を高めることができる。
また、このような構成となっているため、絞り装置10の加工及び検査を行い易い絞り装置を提供することができる。例えば、収容体400に、光軸OAを基準として、第1孔401j及び第2孔402jの加工を行う場合、第1孔401jを加工した後、光軸OAを中心とした角度を変更せずに径方向のみを変更して(加工用のヘッド等をr方向にシフトして。)第2孔402jの加工を行えばよく、角度の変更というステップを行わずに加工を続けることができる。検査においても同様の作用・効果を奏することができる。
【0061】
(3)絞り羽根100の外周縁を切り欠いた凹部114
図3及び
図4に示すように、実施形態1に係る絞り装置10において、絞り羽根100の外側輪郭115には、絞り羽根100が絞り開口の開口径を最大とする位置に移動させられたときに、前の一対をなす絞り羽根100j−1《
図4(a)の二点鎖線参照。》及び漏光防止羽根200j−1(図示を省略。)についての移動ボス130’を内側に配置するように切り欠いた凹部114が設けられている。
【0062】
絞り羽根100の幅をどのように設定するかは絞り装置の設計にも依る。設計の仕方に依っては、当該絞り羽根100の外側輪郭115が、隣接する別の一対をなす絞り羽根及び漏光防止羽根についての移動ボスと、平面的なレイアウトにおいて干渉する場合がある。このような干渉が起きそうな場合には、移動ボスを外側輪郭115から逃がすようにして、移動ボスを更に径方向(r方向)にシフトさせた位置に配置するという設計も検討できる。しかし、この場合には移動ボスをシフトさせた分、絞り装置は大型化することとなる。
一方、実施形態1においては、絞り羽根100の外側輪郭115において凹部114を設けることにより、当該一対をなす絞り羽根100j及び漏光防止羽根200jのうちの当該絞り羽根100と、前の一対をなす絞り羽根100j−1及び漏光防止羽根200j−1(図示を省略。)についての移動ボス130’と、の干渉を避けることができる。ひいては絞り装置の大型化を抑えることができる。ちなみに、絞り羽根100に形成する凹部114の大きさは、複数の絞り羽根100の協働により絞り開口の開口径を最も絞った際に、絞り羽根100と隣接する次の一対をなす絞り羽根100の凹部114との間に隙間が生じない程度の大きさにすることが好ましい。仮に凹部114を大きくすると、絞り開口の開口径を絞った際に、絞り羽根100と次の一対を成す絞り羽根100の凹部114との間に隙間が生じると、漏光の発生源となる。また、凹部114が漏光の原因となった場合、その隙間を埋めるために漏光防止羽根200を巨大化させる必要が生じ、スペース上の制約により成り立たない可能性が生じるためである。
【0063】
(4)第1カム溝330の傾斜方向
実施形態1に係る絞り装置10において、
図4(a)に示すように、第1カム溝330は、光軸OAを中心とした円周方向に対して、絞り回転方向ROTに向かうにつれて光軸OAから離れる方向に傾斜する角度に形成されている。
なお、駆動環300の回転方向のうち、駆動環300を回転させて第1カム溝330を移動させることによって、絞り羽根100を光軸OAに向けて移動せしめる方向を絞り回転方向ROTとする。
【0064】
実施形態1に係る絞り装置10では、このような傾斜をもつ第1カム溝330となっているため、駆動環300が絞り回転方向ROTに回転すると、駆動環300の第1カム溝330に嵌挿された移動ボス130の位置は、光軸OAに近づく方向に移動することとなる。このように構成した場合には、第1カム溝330の傾斜方向を逆の傾斜にする構成に比べて第1カム溝330の長さを短くすることができる。
このため、第1カム溝330の数を増やすことがより容易となる。したがって、絞り羽根の枚数を更に増加させやすい絞り装置を提供することができる。
【0065】
(5)第1カム溝330及び第2カム溝230の円周方向との間でなす角度
実施形態1に係る絞り装置10は、
図2(a)、
図4(a)等に示すように、第2カム溝230は、円周方向に対してなす角度を、第1カム溝330の円周方向に対してなす角度に比べて大きく形成されている。すなわち、第2カム溝230は円周方向に対して角度が大きく(深く)、第1カム溝330は円周方向に対して角度が小さく(浅く)形成されている。
【0066】
このため、第2カム溝230のトラック(移動ボス130の移動経路)を、第1固定ボス120を中心に移動ボス130が回動する際に描く円弧に、より近似させることができる。したがって、第2カム溝230が円周方向に対して角度が小さい(浅い)場合(第1カム溝330の円周方向に対してなす角度以下である場合)に比べ、第2カム溝230と移動ボス130とが互いに円周方向で当接し合う力を小さくでき、絞り羽根100および漏光防止羽根200の回動を円滑に行わせることができる。
【0067】
(6)第1カム溝330及び第2カム溝230の長さ
実施形態1に係る絞り装置10は、
図4に示すように、第2カム溝230を延べた長さは、第1カム溝330を延べた長さよりも短い。
このような構成をとることにより、第1カム溝330を可能な限り駆動環300の幅一杯に近いほどに設けることができ、狭い幅の駆動環300を有効に用いながら羽根を内側方向に移動させる量(ストローク量)を可能な限り稼ぐことができる。
また、上記のような絞り装置10によれば、必要最小限の長さの第2カム溝230を設けることで足りるため、漏光防止羽根200もコンパクトに形成することができ、絞り装置10の小型化に資することができる。
【0068】
(7)絞り羽根100の外側輪郭115と漏光防止羽根200との重なり合い
第2方向を上と定義したときに、「当該一対をなす絞り羽根100j及び漏光防止羽根200j」の当該絞り羽根100j、「当該一対をなす絞り羽根100j及び漏光防止羽根200j」の当該漏光防止羽根200j、当該一対をなす絞り羽根100j及び漏光防止羽根200jの隣に位置する「次の一対をなす絞り羽根100j+1及び漏光防止羽根200j+1」の絞り羽根100j+1、並びに、「次の一対をなす絞り羽根100j+1及び漏光防止羽根200j+1」の漏光防止羽根200j+1が、この順番で上に重ねられるようにして配置されている(
図3、
図6等参照。)。
そして、絞り装置を光軸OAに沿って視たときに、「次の一対をなす絞り羽根100j+1及び漏光防止羽根200j+1」の絞り羽根100j+1の外側輪郭115の一部が、「当該一対をなす絞り羽根100j及び漏光防止羽根200j」の当該漏光防止羽根200jと常に重なり合うように絞り装置10は構成されている。
例えば
図6においても、絞り羽根100の外側輪郭115が漏光防止羽根200と「常に重なり合う」ものであることが把握できる。すなわち、絞り装置がフル開放状態の際には、外側輪郭115のうち絞り羽根100j+1の先端側(第1固定ボス120とは反対側)が漏光防止羽根200jと重なり合っており、最小絞り状態の際には、外側輪郭115のうち絞り羽根100j+1の第1固定ボス120の側が漏光防止羽根200jと重なり合っており、それらの中間状態のときにも絞り羽根100は漏光防止羽根200と重なり合っている。
なお、絞り羽根100の「外側輪郭115」とは、絞り開口の開口径を最大(フル開放状態)にして絞り羽根100を光軸OAに沿って視たとき、絞り羽根100の輪郭のうち光軸OAからの距離が遠い側の輪郭をいう。
【0069】
また、絞り開口の開口径ADが最小となった際には、絞り羽根100j+1の外側輪郭115の一部が、「当該一対をなす絞り羽根100j及び漏光防止羽根200j」の当該漏光防止羽根200jの漏光防止羽根延設部250と、重なり順を維持したまま重なり合うように絞り装置10は構成されている《
図6(b)参照。》。
【0070】
実施形態1に係る絞り装置10においては、「次の一対をなす絞り羽根100j+1及び漏光防止羽根200j+1」の絞り羽根100j+1の外側輪郭115の一部は、「当該一対をなす絞り羽根100j及び漏光防止羽根200j」の当該漏光防止羽根200jと常に重なり合うものとなっている。このため、絞り羽根100j+1の外側輪郭115は当該漏光防止羽根200jの範囲内に留まり、絞り羽根100j+1が当該漏光防止羽根200jから外れ落ちて当該漏光防止羽根200jと同じ階層に属することとなったり、絞り羽根100j+1が当該漏光防止羽根200jの下に潜り込んで羽根の重なる順番が入れ替わることを防止できる。
また、羽根の順番が最も入れ替わり易い状態である絞り開口の開口径が最小となった際(最小絞り羽根状態)でも、実施形態1に係る絞り装置10では、絞り羽根100j+1の外側輪郭115の一部が、「当該一対をなす絞り羽根100j及び漏光防止羽根200j」の当該漏光防止羽根200jの漏光防止羽根延設部250と重なり合うものとなっている。このため、絞り羽根100j+1の外側輪郭115が当該漏光防止羽根200jの漏光防止羽根延設部250の範囲内に留まり、絞り羽根100j+1が当該漏光防止羽根200jから外れ落ちて当該漏光防止羽根200jと同じ階層に属することとなったり、絞り羽根100j+1が当該漏光防止羽根200jの下に潜り込んで羽根の重なる順番が入れ替わること防止できる。
このようにして実施形態1に係る絞り装置10によれば、絞り羽根100及び漏光防止羽根200の重なり順を維持することができる。
【0071】
[実施形態2]
次に実施形態2に係る絞り装置10aを、
図7及び
図8を用いて説明する。
図7は、実施形態2に係る絞り装置10aの要部を説明するために示す斜視図である。
図7においては、「当該一対をなす絞り羽根100j及び漏光防止羽根200j」、「当該一対をなす絞り羽根100j及び漏光防止羽根200j」の隣に位置する次の一対をなす絞り羽根100j+1及び漏光防止羽根200j+1、並びに、中間羽根280jを示している。また、駆動環300及び収容体400はこれらの羽根に対応する部分のみを取り出して示している。その他の構成要素については図示を省略している。なお、符号212は第2羽根部210の外周縁を示す。
図8は、実施形態2に係る絞り装置10aの作用・効果を説明するために示す平面図である。
図8(a)は、絞り開口の開口径を最大にした状態(フル開放状態)を示しており、
図8(b)は、絞り開口の開口径を最小にした状態(最小絞り状態)を示している。
なお、
図8(a)及び
図8(b)においては、「当該一対をなす絞り羽根100j及び漏光防止羽根200j」、「当該一対をなす絞り羽根100j及び漏光防止羽根200j」の隣に位置する「次の一対をなす絞り羽根100j+1及び漏光防止羽根200j+1」のうちの絞り羽根100j+1、並びに、中間羽根280jのみを図示しており、他の絞り羽根、漏光防止羽根等については図示を省略している。
【0072】
実施形態2に係る絞り装置10aは、基本的には実施形態1に係る絞り装置10と同様の構成を有するが、漏光防止羽根延設部250に代えて/加えて中間羽根280を備える点において実施形態1に係る絞り装置10とは異なる。
【0073】
1.実施形態2に係る絞り装置10aの構成
(1)中間羽根280j
実施形態2に係る絞り装置10aは、
図7に示すように、漏光防止羽根200jと絞り羽根100j+1との中間に配置される中間羽根280jを更に備える(jはインデックス用の変数であり、1以上の整数が代入される。以下の説明において、中間羽根280jを単に中間羽根280と表記して、変数jを付すのを省略して説明することがある。)。
なお、ここでの「中間」とは第2方向に沿った羽根の重ね合わせの順番の観点でみたときの中間を指す。
中間羽根280は、如何なる材料で構成してもよいが、他の構成要素(絞り羽根100及び漏光防止羽根200)と合わせて滑らかに摺動することができる材料からなっている滑りやすいものが好ましい。
【0074】
中間羽根280は、絞り羽根100及び漏光防止羽根200の動きを干渉しないようにして収容体400に対し固定されている。
中間羽根280は、少なくとも絞り装置10aがフル開口状態の際には、光軸OAに沿って視て、収容体400の幅の内に収められている必要がある。絞り開口が絞り方向に向かう過程においては、絞り口径を阻害しない範囲で収容体400の幅の外に飛び出していても構わない。しかしながら、中間羽根280は収容体400に対して固定されていることがより好ましい。
【0075】
次に中間羽根280の固定方法について説明する。
例えば、
図7に示すように、まず、中間羽根280において、第3平面板282に対し絞り羽根100j+1の第1固定ボス120に対応した位置に第1固定ボス120の直径よりも十分に大きい内径を有するバカ穴281を開けつつ、絞り羽根100jの移動ボス130の移動経路(軌道)が描く曲線/直線に対応するように移動ボス130の軌道と同一の形状を有する第3カム溝285を設ける。
そうした上で、絞り羽根100j+1の第1固定ボス120、中間羽根280のバカ穴281及び収容体400の第1孔401j+1に、より共締めするようにして、中間羽根280を収容体400に対し一端を固定する。複数の羽根が組上げられる過程で、絞り羽根100jの移動ボス130は、漏光防止羽根200jの第2カム溝230のみならず、中間羽根280の第3カム溝285にも嵌挿される。中間羽根280の第3カム溝285が上記移動ボス130によって規制されるため、中間羽根280の他端も実質的に収容体400に固定されることとなる。
上記のような構成によれば、追加的なボス、ネジ等を用いることなく、既存の構成要素(第1固定ボス120及び移動ボス130)を活用して実質的に中間羽根280を収容体400に対して固定することができる。
なお、ここでの中間羽根280の固定は、概ね固定されていれば足り、多少のガタ(寸法上のマージン)があってもよい。例えば、第3カム溝285に若干のガタを設けることにより、移動ボス130の移動経路(軌道)がばらついたとしても、第3カム溝285が移動ボス130の動きを干渉したりデッドロックを惹き起すことを防止することができる。
【0076】
(2)全体構成
ここで、第2方向を上と定義したときに、「当該一対をなす絞り羽根100j及び漏光防止羽根200j」の当該絞り羽根100j、「当該一対をなす絞り羽根100j及び漏光防止羽根200j」の当該漏光防止羽根200j、中間羽根280j、「当該一対をなす絞り羽根100j及び漏光防止羽根200j」の隣に位置する「次の一対をなす絞り羽根100j+1及び漏光防止羽根200j+1」の絞り羽根100j+1、並びに、「次の一対をなす絞り羽根100j+1及び漏光防止羽根200j+1」の漏光防止羽根200j+1が、この順番で上に重ねられるようにして配置されている。
そして、絞り装置10aを光軸OAに沿って視たときに、中間羽根280jが、「当該一対をなす絞り羽根100j及び漏光防止羽根200j」の当該漏光防止羽根200jと常に重なり合うように、絞り装置10aは構成されている。且つまた、中間羽根280jが、「次の一対をなす絞り羽根100j+1及び漏光防止羽根200j+1」の絞り羽根100j+1と常に重なり合うように、絞り装置10aは構成されている《
図8(a)及び
図8(b)も併せて参照。》。
なお、実施形態2に係る絞り装置10aにおいても、実施形態1の絞り羽根100、第2カム溝230を含む漏光防止羽根200、駆動環300、収容体400等を同様に備える。よって、[実施形態1]におけるこれらの構成要素の説明をここで援用し、[実施形態2]における説明を省略する。
【0077】
2.実施形態2に係る絞り装置10aの作用・効果
実施形態2に係る絞り装置10aにおいては、漏光防止羽根200jと絞り羽根100j+1との中間に配置される中間羽根280を更に備えており、中間羽根280は、「当該一対をなす絞り羽根100j及び漏光防止羽根200j」の当該漏光防止羽根200jと常に重なり合うように構成されている。
この中間羽根280を導入することにより、
図8(b)に示すように、例えば絞り装置10aを最小絞り状態としたときにおいても、「当該一対をなす絞り羽根100j(#1)及び漏光防止羽根200j(#2)」の当該漏光防止羽根200j(#2)とその上の階層に属する中間羽根280(#3)とは、第3領域RG3においてオーバーラップすることとなる。このように、中間羽根280j(#3)と当該漏光防止羽根200j(#2)とが重なり合う領域が確保されるため、中間羽根280j(#3)は必ず当該漏光防止羽根200j(#2)の上の階層に属することができる。
また、中間羽根280j(#3)は、「次の一対をなす絞り羽根100j+1(#4)及び漏光防止羽根200j+1」の絞り羽根100j+1(#4)と常に重なり合うように構成されている。
例えば絞り装置10aを最小絞り状態としたときにおいても、中間羽根280j(#3)とその上の階層に属する絞り羽根100j+1(#4)とは、第4領域RG4においてオーバーラップすることとなる《
図8(b)参照。》。このように絞り羽根100j+1(#4)と中間羽根280j(#3)とが重なり合う領域が確保されるため、絞り羽根100j+1(#4)は必ず中間羽根280j(#3)の上の階層に属することができる。
このようにして、下から上に絞り羽根100j(#1)、漏光防止羽根200j(#2)、中間羽根280j(#3)、絞り羽根100j+1(#4)の順で重ねられた羽根の重なり順(#1〜#4)を維持することができる。
【0078】
上記したオーバーラップは、
図8(a)に示すようなフル開口状態から
図8(b)に至る過程においても、その逆の過程においても同様に保証される。
このように中間羽根280j(#3)を介して、絞り羽根100j+1(#4)は必ず当該漏光防止羽根200j(#2)の上方の階層に属することが約束されることから、実施形態2に係る絞り装置10aによれば、絞り羽根100及び漏光防止羽根200の重なり順を維持することができる。
【0079】
なお、実施形態2に係る絞り装置10aは、漏光防止羽根延設部250に代えて/加えて中間羽根280を備える点以外の構成においては、実施形態1に係る絞り装置10と同様の構成を有する。そのため、実施形態1に係る絞り装置10が有する効果のうち該当する効果を同様に有する。
【0080】
[実施形態3]
図9は、実施形態3に係るレンズ鏡筒20及び実施形態4に係る撮像装置30又は投影装置35を説明するために示す模式図である。
【0081】
実施形態3に係るレンズ鏡筒20は、
図9に示すように、実施形態1に係る絞り装置10と、複数のレンズ24とが収容されている。
実施形態3に係るレンズ鏡筒20は、実施形態1に係る絞り装置10を備えているため、大型化が抑えられると共に、撮像状態が好適なレンズ鏡筒20の提供が可能となる。
なお、実施形態3において、実施形態1に係る絞り装置10に替えて、実施形態2に係る絞り装置10aを適用してもよい。
【0082】
[実施形態4]
実施形態4に係る撮像装置30は、
図9に示すように、実施形態1に係る絞り装置10、又は、実施形態3に係るレンズ鏡筒20と、撮像装置本体32とを備える。実施形態4に係る撮像装置30は、例えばカメラ等に適用することができる。
また、実施形態4に係る投影装置35は、
図9に示すように、実施形態1に係る絞り装置10、又は、実施形態3に係るレンズ鏡筒20と、投影装置本体37とを備える。実施形態4に係る投影装置35は、例えばプロジェクタ等に適用することができる。
【0083】
実施形態4に係る撮像装置30又は投影装置35は、実施形態1に係る絞り装置10、又は、実施形態3に係るレンズ鏡筒20を備えているため、大型化が抑えられると共に、撮像状態が好適な撮像装置30、又は、投影状態が好適な投影装置35の提供が可能となる。
なお、実施形態4において、実施形態1に係る絞り装置10に替えて、実施形態2に係る絞り装置10aを適用してもよい。
【0084】
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0085】
(1)上記実施形態において記載した構成要素の数、材質、形状、位置、大きさなどは例示であり、本発明の効果を損なわない範囲において変更することが可能である。
【0086】
(2)実施形態1に係る絞り装置10及び実施形態2に係る絞り装置10aは、応用先としてカメラ等の撮像装置を念頭に置いて説明したが、これに限られるものではない。例えばプロジェクタ等の投影装置においても応用可能である。
【0087】
(3)実施形態1及び実施形態2において、第1固定ボス120、第2固定ボス220及び移動ボス130として挙げられた「ボス」は、一定の半径を有する円筒(円柱)状をなしているがこれに限られるものではない。第1固定ボス120及び第2固定ボス220にあっては回動の軸となりうる形状であればよく、また、移動ボス130は第1カム溝330及び第2カム溝230に嵌挿し力を伝えうるものであればよく、例えば、半径がほぼ0のリード線状のもの、円錐状のもの、きのこ状のもの等であってもよい。
【0088】
(4)実施形態1の絞り羽根100については、
図1〜
図6のように、最小絞り状態になった際に、絞り羽根100の先端が絞り装置10の開口413内に位置するような構成の絞り羽根100を例に示して説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、全体として長軸を有する長尺状をなし、長軸方向の他方側に絞り羽根延設部が設けられた絞り羽根100bであってもよい(変形例1)。
【0089】
図10は、変形例1に係る絞り装置10bを説明するために示す平面図である。
図10(a)は、絞り開口の開口径を最大にした状態(フル開放状態)の当該絞り羽根100b及び当該漏光防止羽根200bを示しており、
図10(c)は、絞り開口の開口径を最小にした状態(最小絞り状態)の当該絞り羽根100b、当該漏光防止羽根200b及び「当該絞り羽根100bの第1固定ボス120からみて光軸OAを挟んだ反対側に位置する」漏光防止羽根200bkを示している。
図10(b)は、フル開放状態と最小絞り状態と中間状態における、絞り羽根100bを示している。これらの他の絞り羽根、漏光防止羽根等については図示を省略している。
【0090】
変形例1に係る絞り装置10bの絞り羽根100bは、
図10に示すように、全体として長軸を有する長尺状の第1平面板102からなる。
絞り羽根100bにおいて、第1平面板102の長軸方向の一方側には第1固定ボス120が設けられ、他方側には絞り羽根延設部150が設けられている。
絞り羽根延設部150は、絞り開口の開口径が最大となったときの絞り開口の形状《略円形。例えば、
図1(b)参照。》の一部と略同一の形状にて形成された内周縁152を有する。
絞り羽根延設部150のうち、少なくとも内周縁152よりも外周側の一部は、常に収容体400の内周縁である収容体内周縁415又は、常に駆動環300の内周縁である駆動環内周縁315よりも外側に位置するように構成されている《
図10(b)における第5領域RG5及び
図10(c)における第6領域RG6参照。》。なおここでは、光軸OAから遠ざかる方向を「外」とする(以下の変形例2及び変形例3においても同様。)。
絞り装置10bを光軸OAに沿って視たときに、当該絞り羽根100bの絞り羽根延設部150の少なくとも一部は、当該絞り羽根100bの第1固定ボス120からみて光軸OAを挟んだ反対側に位置する漏光防止羽根200bkの上に常に重なるよう構成されている《
図10(c)における第7領域RG7参照。》。
また、絞り開口の開口径が最大となった際には、当該絞り羽根100bの絞り羽根延設部150の一部は、上記した反対側に位置する漏光防止羽根200bkの漏光防止羽根延設部250の上に重なるよう構成されている。
ここでいう「第1固定ボス120からみて光軸OAを挟んだ反対側」は、厳密な意味での光軸OAを中心に第1固定ボス120の180°反対の側である必要はなく、90°を超える反対側の領域であればよい(以下の変形例2及び変形例3においても同様。)。
【0091】
上記したように変形例1に係る絞り装置10bにおいては、絞り羽根100bに絞り羽根延設部150が設けられており、当該絞り羽根100bの絞り羽根延設部150の少なくとも一部は、当該絞り羽根100bの第1固定ボス120からみて光軸OAを挟んだ反対側に位置する漏光防止羽根200bkの上に常に重なっており、絞り開口の開口径が最大となった際には、当該絞り羽根100bの絞り羽根延設部150の一部は、反対側に位置する漏光防止羽根200bkの漏光防止羽根延設部250の上に重なるように構成されている。
このため、絞り羽根延設部150の先端116側が、当該絞り羽根100bの第1固定ボス120からみて光軸OAを挟んだ反対側に位置する漏光防止羽根200bkの下に潜り込んで羽根の重なる順番が入れ替わることを防止できる。よって、絞り羽根100及び漏光防止羽根200の重なり順を維持することができる。
【0092】
また、上記したように変形例1に係る絞り装置10bでは、絞り羽根延設部150のうち、少なくとも内周縁152よりも外周側の一部は、常に収容体400の内周縁である収容体内周縁415又は、駆動環内周縁315よりも外側に位置するように構成されている。
このため、当該絞り羽根100bについては、両持ち梁の如く、第1固定ボス120側と絞り羽根延設部150の先端116側とで収容体内周縁415又は、駆動環内周縁315に架けるようにして収容体400又は、駆動環300の開口を跨がせることができる。したがって、複数の絞り羽根の先端側が編み上がるようにして絞り開口に向けてせり上がるという現象を防止することができる。よって、絞り装置の外観上の品位を向上させることができる。
【0093】
(5)実施形態2の絞り羽根100については、
図7〜
図8のように、最小絞り状態になった際に、絞り羽根100の先端が絞り装置10aの開口413内に位置するような構成の絞り羽根100を例に示して説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、全体として長軸を有する長尺状をなし、長軸方向の他方側に絞り羽根延設部が設けられた絞り羽根100cであってもよい(変形例2)。
【0094】
図11は、変形例2に係る絞り装置10cを説明するために示す平面図である。
図11(a)は、絞り開口の開口径を最大にした状態(フル開放状態)を示しており、
図11(b)は、絞り開口の開口径を最小にした状態(最小絞り状態)を示している。
図11(c)は、当該絞り羽根100cが、最小絞り状態からフル開放状態に向かう途上の状態を示している。
図11(d)は、当該絞り羽根100cが、
図11(c)の状態から更にフル開放状態に向かった状態を示している。図において、説明に必要な羽根のみを示しており、他の絞り羽根、漏光防止羽根等については図示を省略している。
【0095】
変形例2に係る絞り装置10cの絞り羽根100c及び絞り羽根100ckは、
図11に示すように、全体として長軸を有する長尺状の第1平面板102からなる。
絞り羽根100c及び絞り羽根100ckにおいて、第1平面板102の長軸方向の一方側には第1固定ボス120が設けられ、他方側には絞り羽根延設部150が設けられている。
絞り羽根延設部150は、絞り開口の開口径が最大となったときの絞り開口の形状《略円形。例えば、
図1(b)参照。》の一部と略同一の形状にて形成された内周縁152を有する。
絞り羽根延設部150のうち、少なくとも内周縁152よりも外周側の一部は、常に収容体400の内周縁である収容体内周縁415又は、常に駆動環300の内周縁である駆動環内周縁315よりも外側に位置するように構成されている《
図11(b)における第8領域RG8及び
図11(c)における第10領域RG10参照。》。
絞り装置10cを光軸OAに沿って視たときに、絞り開口の開口径が最小となった際には、当該絞り羽根100cの絞り羽根延設部150の一部は、当該絞り羽根100cの第1固定ボス120からみて光軸OAを挟んだ反対側に位置する漏光防止羽根200ckの上に重なるように構成されている《
図11(b)における第9領域RG9参照。》。
また、絞り開口の開口径が最小から最大に遷移する過程《
図11(b)〜
図11(d)》において、当該絞り羽根100cの絞り羽根延設部150の一部は、当該絞り羽根100cの第1固定ボス120からみて光軸OAを挟んだ反対側に位置する中間羽根280ckの上に重なるように構成されている《
図11(d)における第11領域RG11参照。》。
【0096】
上記したように変形例2に係る絞り装置10cにおいては、絞り羽根100cにおいて絞り羽根延設部150が設けられており、絞り開口の開口径が最小(最小絞り状態)となった際には、当該絞り羽根100cの絞り羽根延設部150の一部は、当該絞り羽根100cの第1固定ボス120からみて光軸OAを挟んだ反対側に位置する漏光防止羽根200ckの上に重なるように構成されている。
このため、絞り羽根延設部150の先端116側が、当該絞り羽根100cの第1固定ボス120からみて光軸OAを挟んだ反対側に位置する漏光防止羽根200ckの下に潜り込んで羽根の重なる順番が入れ替わることを防止できる。
また、上記したように絞り開口の開口径が最小から最大に遷移する過程において、当該絞り羽根100cの絞り羽根延設部150の一部は、当該絞り羽根100cの第1固定ボス120からみて光軸OAを挟んだ反対側に位置する中間羽根280ckの上に重なるように構成されている。換言すると、絞り開口の開口径が最小から最大に遷移する過程において、当該絞り羽根100cの絞り羽根延設部150の一部が、当該絞り羽根100cの第1固定ボス120からみて光軸OAを挟んだ反対側に位置する漏光防止羽根200ckの上から《
図11(c)における第10領域RG10参照。》、当該絞り羽根100cの第1固定ボス120からみて光軸OAを挟んだ反対側に位置する中間羽根280ckの上に乗り移る《
図11(d)における第11領域RG11参照。》ようにして重なるように構成されている。
このため、絞り羽根延設部150の先端116側が、当該絞り羽根100cの第1固定ボス120からみて光軸OAを挟んだ反対側に位置する中間羽根280ckの更に下の階層の羽根、すなわち、かかる中間羽根280ckの下の階層にある絞り羽根100ck(図示を省略。)と同じ階層になること、又は、かかる絞り羽根100ck(図示を省略。)の下に潜り込むことを防止できる。
このようにして、変形例2に係る絞り装置10cによれば、絞り羽根100及び漏光防止羽根200の重なり順を維持することができる。
【0097】
また、上記したように変形例2に係る絞り装置10cでは、絞り羽根延設部150うち、少なくとも内周縁152よりも外周側の一部は、常に収容体400の内周縁である収容体内周縁415又は、常に駆動環300の内周縁である駆動環内周縁315よりも外側に位置するように構成されている。
このため、当該絞り羽根100cについては、両持ち梁の如く、第1固定ボス120側と絞り羽根延設部の先端116側とで収容体内周縁415又は、駆動環内周縁315に架けるようにして収容体400又は、駆動環300の開口を跨がせることができる。したがって、複数の絞り羽根の先端側が編み上がるようにして絞り開口に向けてせり上がるという現象を防止することができる。よって、絞り装置の外観上の品位を向上させることができる。
【0098】
(6)実施形態1及び実施形態2において、先端側が先細りとなっている絞り羽根100を例に示して説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、先端側に凸部を有する形状の絞り羽根100dであってもよい(変形例3)。
【0099】
図12は、変形例3に係る絞り装置10dを説明するために示す平面図である。
図12(a)、絞り開口の開口径を最大にした状態(フル開放状態)の絞り羽根100dを示しており、
図12(b)は、絞り装置10dをフル開放状態と最小絞り状態との間の中間の状態にしたときの絞り羽根)の絞り羽根100dを示している。その他の絞り羽根、漏光防止羽根等については図示を省略している。
【0100】
変形例3に係る絞り装置10dの絞り羽根100dは、
図12に示すように、全体として長軸を有する長尺状の第1平面板102からなる。
絞り羽根100dにおいて、第1平面板102の長軸方向の一方側には第1固定ボス120が設けられ、他方側には絞り羽根延設部150が設けられている。
絞り羽根延設部150は、絞り開口の開口径が最大となったときの絞り開口の形状の一部と略同一の形状にて形成された内周縁152を有する。
絞り羽根延設部150には、常に収容体400の内周縁である収容体内周縁415又は、常に駆動環300の内周縁である駆動環内周縁315よりも外側に位置して収容体内周縁415又は、駆動環内周縁315に係合するように構成された係合用凸部154が更に設けられている。
【0101】
変形例3によれば、絞り羽根100dにおいて設けられた絞り羽根延設部150において、常に収容体400の内周縁である収容体内周縁415又は、常に駆動環300の内周縁である駆動環内周縁315よりも外側に位置して収容体内周縁415又は、駆動環内周縁315に係合するように構成された係合用凸部154が更に設けられている。
このため、例えば、絞り開口の開口径が小さくなったときにおいても、絞り羽根100dについては、両持ち梁の如く、第1固定ボス120側と係合用凸部154とで収容体内周縁415に架けるようにして収容体400又は、駆動体300の開口を跨がせることができる。したがって、複数の絞り羽根の先端側が編み上がるようにして絞り開口に向けてせり上がるという現象を防止することができる。よって、絞り装置の外観上の品位を向上させることができる。
【0102】
(7)実施形態2においては、中間羽根280にバカ穴281及び第3カム溝285を設けた上で、中間羽根280を収容体400に固定する方法を例に示して説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、中間羽根自体に固定用のボスを設けるという方法を採ることもできる(変形例4及び変形例5)。
【0103】
図13は、変形例4の中間羽根280a及び変形例5の中間羽根280bの固定方法を説明するために示す平面図である。
図13(a)は変形例4の中間羽根280aを、
図13(b)は変形例5の中間羽根280bをそれぞれ示している。図において説明に必要な中間羽根及び収容体のみ示しており、他の絞り羽根、漏光防止羽根等については図示を省略している。
【0104】
図13(a)に示すように、中間羽根280aにおいて、第3平面板282aの一方側に第3固定ボス283を設けつつ、当該中間羽根280aの下の階層に位置することとなる絞り羽根100の移動ボス130の移動経路(軌道)が描く曲線/直線に対応するように第3カム溝285を設ける。一方で、収容体400aにおいても第3孔403jを開けておく。そうした上で、第3固定ボス283を第3孔403jに挿入しつつ、第3カム溝285に対し、当該中間羽根280aの下の階層に位置することとなる絞り羽根100の移動ボス130を嵌挿させる。このようにして、実質的に中間羽根280aを収容体400aに対して固定することができる(変形例4)。
【0105】
また、
図13(b)に示すように、中間羽根280bにおいて、第3平面板282bに第3固定ボス283及び第4固定ボス284を設ける。一方で、収容体400bにおいても第3孔403j及び第4孔404jを開けておく。そうした上で、第3固定ボス283を第3孔403jに、第4固定ボス284を第4孔404jに、それぞれ挿入して、中間羽根280bを収容体400bに対して固定することができる(変形例5)。なお、固定ボスは3個以上設けるものであってもよい。
変形例5によれば、第3カム溝を導入せずに中間羽根280bを固定することができるため、他の絞り羽根の移動ボスによる第3カム溝を介した中間羽根の規制(実質的な固定)をしなくて済むため、他の絞り羽根の動作上の負荷を軽減することができる。このため、より円滑なより省エネルギーな羽根の駆動を実現することが期待できる。