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前記無線選択用設定情報は、前記無線クライアント端末と前記無線アクセスポイントとの間の本接続用の無線設定情報として前記無線クライアント端末側の利用者によりあらかじめ選択されて設定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線LANシステム。
前記無線選択用設定情報は、前記無線クライアント端末と前記無線アクセスポイントとの間の本接続用の無線設定情報として前記無線クライアント端末側の利用者によりあらかじめ選択されて設定されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の無線クライアント端末接続方法。
【背景技術】
【0002】
現状の技術の無線機器においては、通常、近距離無線通信用のRFID(Radio Frequency Identifier)の情報を設定するRFIDタグを利用することが可能になっている。しかし、現状の無線機器においては、一旦設定したRFIDの情報は、埋め込み値として固定されて、書き換えることは不可能である。
【0003】
一例として、無線機器として、無線LAN(Local Area Network)の親機である無線アクセスポイントに無線接続(Wi−Fi接続)して使用する無線クライアント端末を想定する。この無線クライアント端末として、例えば特許文献1の特開2012−105213号公報に記載の「無線LANアクセスポイントおよび無線端末の接続維持方法」を上げることができる。この種の無線クライアント端末には、通常、該無線アクセスポイントへの接続用の無線設定情報をRFID情報としてRFIDタグに設定している。したがって、前記の特許文献1等にも記載されているように、無線アクセスポイントの無線設定情報(SSID(Service Set Identifier)や暗号化パスワード等)が、初期値から変更された場合、初期値の無線設定において使用していたRFID情報をそのまま用いて、無線クライアント端末を変更後の該無線アクセスポイントに無線接続することが不可能になり、無線クライアント端末の利便性を損なっていた。
【0004】
さらに、無線アクセスポイントは、一般的に、管理者接続用無線設定情報とゲスト接続用無線設定情報との2つの無線設定情報を有している。しかし、現状のRFIDタグにおいては、前述した通り、一旦設定したRFID情報の書き換えが不可能になるので、一つの無線設定用のRFID情報しか有していない無線クライアント端末の場合は、接続可能な無線アクセスポイントの無線設定状態が固定されてしまう。そのため、管理者接続用無線設定とゲスト接続用無線設定とのうち、いずれか一方の無線設定の場合にのみ接続することができ、他方の無線設定がなされた場合には接続することができなくなってしまう。
【0005】
RFIDタグに一つの無線設定用のRFID情報しか有していない無線クライアント端末と、管理者接続用無線設定情報とゲスト接続用無線設定情報との2つの無線設定情報を有している無線アクセスポイントとからなる現状の技術における無線LANシステムの具体的な構成について、
図5を参照してさらに説明する。
図5は、現状の技術における無線LANシステムの具体的な構成の一例を示す構成図である。
【0006】
図5に示す無線LANシステム100Aにおいては、親機の無線アクセスポイント1AにWi−Fi接続(無線接続)される子機側の無線クライアント端末2AがRFIDタグ3Aと近距離無線通信を行うことが可能な状態で配置されている。そして、無線アクセスポイント1Aは、子機側の無線クライアント端末2AをWi−Fi接続させるための無線設定情報10A(SSIDや暗号化パスワード等)と、無線クライアント端末2Aとの間の無線接続および無線通信を行う無線通信部11Aと、を有している。ここで、無線設定情報10Aとしては、例えば、第1本接続用無線設定情報10Aaおよび第2本接続用無線設定情報10Abとの2つの無線設定情報を有している。該2つの無線設定情報は互いに異なった内容の情報であり、例えば、第1本接続用無線設定情報10Aaは、管理者接続用の無線設定情報であり、第2本接続用無線設定情報10Abは、ゲスト接続用の無線設定情報である。
【0007】
また、無線クライアント端末2Aは、RFIDタグ3Aとの間で近距離無線通信を行うことにより所望の情報を取得するアプリケーション20Aと、無線アクセスポイント1Aとの間の無線接続および無線通信を行う無線通信部21Aと、を有している。ここで、アプリケーション20Aは、RFIDタグ3Aに固定して書き込まれている無線設定情報30A、すなわち、無線アクセスポイント1AとのWi−Fi接続用の無線設定情報30Aを取得する。
【0008】
また、RFIDタグ3Aは、無線クライアント端末2Aに関し無線アクセスポイント1Aとの接続情報となる無線設定情報30AをRFID情報として書き込んでいるが、無線アクセスポイント1Aが有する2つの無線設定情報のうち、いずれか一方の無線設定情報を設定している。この無線設定情報は、
図5においては、無線アクセスポイント1Aにおける第1本接続用無線設定情報10Aaの設定内容と同一の情報からなる第1本接続用無線設定情報30Aaである。
【0009】
次に、
図5の無線LANシステム100Aの動作について説明する。
図5の無線LANシステム100Aにおいては、無線クライアント端末2Aが無線アクセスポイント1Aとの間の無線通信を行おうとする際に、まず、無線クライアント端末2Aのアプリケーション20Aによって、RFIDタグ3Aとの間の近距離無線通信を行って、該RFIDタグ3Aに設定されている第1本接続用無線設定情報30Aaを取得する。
【0010】
しかる後、無線クライアント端末2Aは、読み込んだ第1本接続用無線設定情報30Aaを無線通信部21Aによって無線アクセスポイント1Aに送信して、無線アクセスポイント1Aに対する無線接続(Wi−Fi接続)を試みる。無線アクセスポイント1Aは、無線クライアント端末2Aから送信されてきた第1本接続用無線設定情報30Aaを受け取ると、自無線アクセスポイント1Aが保持している無線設定情報30Aのうち、現時点で設定して使用している無線設定情報が、無線クライアント端末2Aから受け取った第1本接続用無線設定情報30Aaと同一の情報であるか否かを確認する。
【0011】
無線アクセスポイント1Aは、現時点で設定して使用している無線設定情報が受け取った第1本接続用無線設定情報30Aaと同一の情報からなる第1本接続用無線設定情報10Aaであった場合には、無線クライアント端末2Aからの無線接続(Wi−Fi接続)を許可する。その結果、無線クライアント端末2Aは、第1本接続用無線設定情報30Aa(すなわち無線アクセスポイント1A側の第1本接続用無線設定情報10Aa)を用いたWi−Fi接続を無線アクセスポイントとの間で無線設定を行うことができ、無線アクセスポイントとの間でWi−Fi通信を行うことができる。
【0012】
しかし、無線クライアント端末2Aが無線アクセスポイント1Aに対してWi−Fi接続を要求した際に、無線アクセスポイント1Aが、現時点で設定して使用している無線設定情報が、第1本接続用無線設定情報10Aaではなく、第2本接続用無線設定情報10Abに設定変更されている場合もある。かかる場合には、無線クライアント端末2Aが第1本接続用無線設定情報30Aaを用いて無線アクセスポイント1Aに対してWi−Fi接続(無線接続)を試みても、無線アクセスポイント1Aは、現時点で設定して使用している無線設定情報が、受け取った第1本接続用無線設定情報30Aaとは異なった情報になっている。
【0013】
したがって、無線アクセスポイント1Aは、無線クライアント端末2Aからの無線接続(Wi−Fi接続)要求を許可しない。その結果、無線クライアント端末2Aは、無線アクセスポイント1との間のWi−Fi接続用としてRFIDタグ3Aに書き込まれた第1本接続用無線設定情報30Aaを用いても、無線アクセスポイントとの間でWi−Fi接続を行うことはできなくなる。
【0014】
また、無線アクセスポイント1Aに現時点で設定して使用している無線設定情報が、第1本接続用無線設定情報10Aaから設定変更された場合だけでなく、現時点で使用している無線設定情報として第2本接続用無線設定情報10Abが設定されていた場合についても、同様であり、無線クライアント端末2Aは、第1本接続用無線設定情報30Aaを用いて無線アクセスポイント1AにWi−Fi接続を行うことはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
以上のように、本発明に関連する現状の技術においては、次に述べる解決するべき課題がある。
【0017】
つまり、RFIDの情報は書き換え不能な固有の情報であり、書き込み後はFRIDの情報の書き換えは不可能であるという解決するべき課題がある。
【0018】
すなわち、「無線LANの無線アクセスポイントに対するWi−Fi接続(無線接続)用の初期値として設定されている無線設定情報をRFIDタグに書き込んでいる無線クライアント端末において、該RFIDタグの情報を用いて無線アクセスポイントにWi−Fi接続する場合、現状の技術においては、無線アクセスポイントの無線設定(SSIDや暗号化パスワード等)を初期値から変更してしまうと、無線クライアント端末は、該RFIDタグに書き込んでいる情報を変更することができないので、無線アクセスポイントに無線接続を行うことが不可能になる。
【0019】
さらに、無線アクセスポイントは、一般的に、管理者接続用無線設定情報とゲスト接続用無線設定情報との2つ無線設定情報を有しているが、前述したように、無線アクセスポイントとのWi−Fi接続用の無線設定情報としてRFIDの情報を使用する無線クライアント端末は、無線アクセスポイントのいずれか一方の無線設定情報が設定されている場合にしか接続することができないという、解決するべき課題もある。
【0020】
(本開発の目的)
本開発の目的は、かかる課題に鑑み、無線アクセスポイントとのWi−Fi接続(無線接続)を行うための無線設定情報をRFIDタグに書き込んで使用する無線クライアント端末であっても、無線アクセスポイントが使用する無線設定情報の変更の有無に拘らず、該無線アクセスポイントと確実にWi−Fi接続(無線接続)を行うことが可能な無線LANシステム、無線クライアント端末接続方法および無線クライアント端末接続プログラムの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前述の課題を解決するため、本発明による無線LANシステム、無線クライアント端末接続方法および無線クライアント端末接続プログラムは、主に、次のような特徴的な構成を採用している。
【0022】
(1)本発明による無線LANシステムは、
無線アクセスポイントと無線クライアント端末との間を無線接続し、
前記無線アクセスポイントは、
前記無線クライアント端末との間を仮接続するための仮接続用無線設定情報と、
前記無線クライアント端末との間を本接続するための本接続用無線設定情報と、
前記無線クライアント端末と無線通信を行う手段と、
を有し、
一方、前記無線クライアント端末は、
前記仮接続用無線設定情報を書き込んだRFIDタグから前記仮接続用無線設定情報を読み出す手段と、
前記無線アクセスポイントと無線通信を行う手段と、
を有し、
前記無線クライアント端末は、
前記無線アクセスポイントと無線接続を行う際に、前記RFIDタグから前記仮接続用無線設定情報を読み出し、仮接続要求であることを示す情報としてあらかじめ定めたエレメントビットをさらに付加して、仮接続用無線設定要求(アソシエーション・リクエスト)として前記無線アクセスポイントに対して送信することにより、前記無線アクセスポイントとの間を仮接続し、
しかる後、仮接続した前記無線アクセスポイントから返送されてきた前記本接続用無線設定情報を用いて、前記無線アクセスポイントに対して本仮接続用無線設定要求(アソシエーション・リクエスト)を送信することにより、前記無線アクセスポイントとの間を本接続する、
ことを特徴とする。
【0023】
(2)本発明による無線クライアント端末接続方法は、
無線LANシステムにおいて無線クライアント端末を無線アクセスポイントに無線接続し、
前記無線アクセスポイントは、
前記無線クライアント端末との間を仮接続するための仮接続用無線設定情報と、
前記無線クライアント端末との間を本接続するための本接続用無線設定情報と、
を保持するステップと、
前記無線クライアント端末と無線通信を行うステップと、
を有し、
一方、前記無線クライアント端末は、
前記仮接続用無線設定情報を書き込んだRFIDタグから前記仮接続用無線設定情報を読み出すステップと、
前記無線アクセスポイントと無線通信を行うステップと、
を有し、
前記無線クライアント端末は、
前記無線アクセスポイントと無線接続を行う際に、前記RFIDタグから前記仮接続用無線設定情報を読み出し、仮接続要求であることを示す情報としてあらかじめ定めたエレメントビットをさらに付加して、仮接続用無線設定要求(アソシエーション・リクエスト)として前記無線アクセスポイントに対して送信することにより、前記無線アクセスポイントとの間を仮接続し、
しかる後、仮接続した前記無線アクセスポイントから返送されてきた前記本接続用無線設定情報を用いて、前記無線アクセスポイントに対して本仮接続用無線設定要求(アソシエーション・リクエスト)を送信することにより、前記無線アクセスポイントとの間を本接続する、
ことを特徴とする。
【0024】
(3)本発明による無線クライアント端末接続プログラムは、
無線LANシステムにおいて無線クライアント端末を無線アクセスポイントに無線接続する処理をコンピュータにより実行し、
前記無線クライアント端末における処理は、
前記無線アクセスポイントから送信されてくる自無線クライアント端末との間を本接続するための本接続用無線設定情報を受け取る機能と、
前記無線アクセスポイントとの間を仮接続するための仮接続用無線設定情報を書き込んだRFIDタグから前記仮接続用無線設定情報を読み出す機能と、
前記無線アクセスポイントと無線通信を行う機能と、
を有し、
前記無線クライアント端末における処理は、
前記無線アクセスポイントと無線接続を行う際に、前記RFIDタグから前記仮接続用無線設定情報を読み出し、仮接続要求であることを示す情報としてあらかじめ定めたエレメントビットをさらに付加して、仮接続用無線設定要求(アソシエーション・リクエスト)として前記無線アクセスポイントに対して送信することにより、前記無線アクセスポイントとの間を仮接続する機能と、
しかる後、自無線クライアント端末との間を本接続するための本接続用無線設定情報が仮接続した前記無線アクセスポイントから返送されてきた際に、該本接続用無線設定情報を用いて、前記無線アクセスポイントに対して本仮接続用無線設定要求(アソシエーション・リクエスト)を送信することにより、前記無線アクセスポイントとの間を本接続するする機能と、
を有する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明の無線LANシステム、無線クライアント端末接続方法および無線クライアント端末接続プログラムによれば、無線LANシステムにおいて、無線クライアント端末は、無線アクセスポイントと一旦仮接続することにより本接続用の無線設定情報を取得して本接続を行うという2段階のWi−Fi接続(無線接続)を行う仕組みを有しているので、主に、以下のような効果を奏することができる。
【0026】
第1の効果は、無線アクセスポイントにて無線設定を変更した場合であっても、無線クライアント端末は、同一の無線設定情報を書き込んでいるRFIDタグをそのまま用いて、無線アクセスポイントとの間のWi−Fi接続(無線接続)を本接続用として設定して、無線通信を行うことができることである。
【0027】
第2の効果は、無線アクセスポイントが有している複数の無線設定情報のいずれの無線設定情報に対しても、無線クライアント端末は、同一の無線設定情報を書き込んでいるRFIDタグをそのまま用いて、無線アクセスポイントとの間のWi−Fi接続(無線接続)を本接続用として設定して、無線通信を行うことができることである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明による無線LANシステム、無線クライアント端末接続方法および無線クライアント端末接続プログラムの好適な実施形態について添付図を参照して説明する。なお、以下の説明においては、本発明による無線LANシステムおよび無線クライアント端末接続方法について説明するが、かかる無線クライアント端末接続方法をコンピュータにより実行可能な無線クライアント端末接続プログラムとして実施するようにしても良いし、あるいは、無線クライアント端末接続プログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録するようにしても良いことは言うまでもない。また、以下の各図面に付した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではないことも言うまでもない。
【0030】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。本発明においては、無線LANシステムにおいて、無線クライアント端末が、無線アクセスポイントと接続する無線接続情報を書き込む媒体として書き換えが不可能なRFIDタグを用いていても、無線アクセスポイントとの間を仮接続した後、無線アクセスポイントから取得した本接続用の情報に基づいて、無線アクセスポイントと本接続することを主要な特徴としている。
【0031】
すなわち、無線クライアント端末と近距離無線通信を行うRFIDタグに無線アクセスポイントの仮接続用無線設定情報を無線設定情報としてあらかじめ書き込んで設定しておき、無線クライアント端末が無線アクセスポイントとWi−Fi接続を行う際に、無線クライアント端末がRFIDタグに書き込まれている仮接続用無線設定情報を読み込んで、まず、無線アクセスポイントとの間を仮接続する。そして、仮接続した後に、無線アクセスポイントが、仮接続している無線クライアント端末に対して、本接続用の無線設定情報を送信することによって、無線クライアント端末を無線アクセスポイントに本接続させることを、本発明の主要な特徴としている。
【0032】
本発明の特徴をさらに説明すると、次の通りである。一意の仮接続用無線設定情報をRFIDタグ内にあらかじめ埋め込み、実際の通信において使用する本接続用の無線設定を行う前段階として、仮接続用の無線設定情報を使って、無線クライアント端末と無線アクセスポイントとの間の仮接続を行う。しかる後、無線アクセスポイントから無線クライアント端末へ本接続用の無線設定情報を送信させることにより、無線クライアント端末は、無線アクセスポイントからの該本接続用の無線設定情報を用いて、無線アクセスポイントと本接続を行うことを主要な特徴としている。
【0033】
而して、複数の無線設定情報を有するような無線アクセスポイントであっても、該無線アクセスポイントに対してWi−Fi接続(無線接続)する無線クライアント端末は、無線アクセスポイントが使用する無線設定情報の設定変更の有無に依らず、同一の無線設定情報が仮接続用無線設定情報として書き込まれているRFIDタグを用いて、無線アクセスポイントとの間の本接続を確実に行うことができる。つまり、無線アクセスポイントが現時点で使用する無線設定情報を変更した場合であっても、前段に無線アクセスポイントとの間の仮接続を行うことによって、無線クライアント端末は、無線アクセスポイントの無線設定の変更に応じて、本接続用の設定を変更することができ、一つ無線設定情報のみが埋め込まれているRFIDタグを用いても、無線アクセスポイントと確実にWi−Fi接続(無線接続)することができる。
【0034】
さらに、本発明は、次のような特徴も有している。すなわち、無線アクセスポイントとの間を仮接続する際に、無線クライアント端末が無線接続要求用の無線信号として無線アクセスポイントに送信する仮接続用無線設定要求(アソシエーション・リクエスト:Association Request)のあらかじめ定めた特定領域に、仮接続要求であることを示す情報として(言い換えると、仮接続後の本接続を実施するための本接続用無線設定情報の選択を指示する情報として)あらかじめ定めたエレメントビットを付加する。
【0035】
そして、該仮接続用無線設定要求(アソシエーション・リクエスト:Association Request)を受信した無線アクセスポイントにおいて、前記エレメントビットが付加されているか否かを分析して、付加されていた場合には、接続要求元の無線クライアント端末との本接続用の無線設定情報を、自無線アクセスポイントに選択無線設定情報としてあらかじめ設定されている無線設定情報を参照することにより取得することも、本発明の主要な特徴の一つである。
【0036】
而して、複数の無線プロファイルの中から該当する無線設定情報を、接続要求元の無線クライアント端末との間を本接続用として無線接続するために選択して自無線アクセスポイントに設定するとともに、該無線クライアント端末に対して送信することができる。つまり、無線アクセスポイントが複数の無線設定情報を有している場合であっても、無線クライアント端末の利用者は、無線アクセスポイントに接続可能になる任意の無線設定を行って、該無線アクセスポイントに接続することができる。
【0037】
(本発明の実施形態の構成例)
次に、本発明に係る無線LANシステムの構成例について
図1を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る無線LANシステムの具体的な構成の一例を示す構成図である。
【0038】
図1に示す無線LANシステム100においても、
図5に現状の技術として示した無線LANシステム100Aの場合と同様に、親機の無線アクセスポイント1にWi−Fi接続される子機側の無線クライアント端末2は、RFIDタグ3と近距離無線通信を行うことが可能な状態で配置されている。無線アクセスポイント1は、子機側の無線クライアント端末2をWi−Fi接続させるための無線設定情報10(SSIDや暗号化パスワード等)と、無線通信部11、無線設定選択実施判断部12、無線設定情報選択部13と、を有している。ここで、無線設定情報10としては、例えば、第1本接続用無線設定情報10aおよび第2本接続用無線設定情報10bとの2つの本接続用の無線設定情報の他に、仮接続用無線設定情報10cと無線選択用設定情報10dとをさらに有している。
【0039】
無線通信部11は、
図5に現状の技術として示した無線LANシステム100Aの場合と同様、無線クライアント端末2との間の無線接続および無線通信を行う機能を有している。
【0040】
また、無線設定選択実施判断部12は、無線クライアント端末2から無線接続要求用の無線信号として送信されてくる仮接続用無線設定要求(アソシエーション・リクエスト:Association Request)にRFIDタグ3の無線設定情報30(すなわち仮接続用無線設定情報30c)の他に、仮接続要求であることを示す情報としてエレメントビットが付加されているか否かを分析する。そして、該エレメントビットが付加されていた場合には、無線設定情報選択部13を起動する。無線設定情報選択部13は、本接続用無線設定情報選択処理を実施して、自無線アクセスポイント1の無線選択用設定情報10dに設定されている情報を参照して、仮接続用無線設定要求(アソシエーション・リクエスト:Association Request)の送信元の無線クライアント端末2との間の本接続用として指定されている無線設定情報を選択して、自無線アクセスポイント1に無線設定するとともに、要求元の無線クライアント端末2に対して送信する。
【0041】
なお、無線設定情報10における2つの本接続用の無線設定情報は、
図5に現状の技術として示した無線LANシステム100Aの場合と同様、互いに異なった内容の情報であり、例えば、第1本接続用無線設定情報10aは、管理者接続用の無線設定情報であり、第2本接続用無線設定情報10bは、ゲスト接続用の無線設定情報である。
【0042】
また、仮接続用無線設定情報10cは、自無線アクセスポイント1と無線クライアント端末2との間を仮接続する際に使用される無線設定情報であり、1個のみで十分である。
【0043】
また、無線選択用設定情報10dは、無線アクセスポイント1が複数有している無線設定情報のうち、無線クライアント端末2の利用者がいずれの無線設定情報を自無線クライアント端末2との間の本接続用としてあらかじめ選択しているのかを示す情報が設定されている。
【0044】
また、無線クライアント端末2は、
図5に現状の技術として示した無線クライアント端末2Aの場合と同様、RFIDタグ3との間で近距離無線通信を行うことができ、かつ、無線アクセスポイント1との間の無線接続設定処理を行うアプリケーション20と、無線アクセスポイント1との間の無線接続および無線通信を行う無線通信部21と、を有している。ここで、アプリケーション20は、RFIDタグ3に書き込まれて設定されている無線設定情報30、すなわち、無線アクセスポイント1とのWi−Fi接続用の無線設定情報30を取得する。
【0045】
さらに、アプリケーション20は、
図5に示したアプリケーション20Aの場合とは異なり、次のような機能も有している。すなわち、自無線クライアント端末2を無線アクセスポイント1と仮接続するために無線アクセスポイントに送信する仮接続用無線設定要求(アソシエーション・リクエスト:Association Request)のあらかじめ定めた特定領域例えばデータ領域に、仮接続要求であることを示す情報として(言い換えると、仮接続後の本接続を実施するための本接続用無線設定情報の選択を指示する情報として)あらかじめ定めたエレメントビットを付加する機能も有している。
【0046】
そして、無線通信部21は、無線アクセスポイント1に対して無線接続要求用の無線信号として送信する仮接続用無線設定要求(アソシエーション・リクエスト:Association Request)には、アプリケーション20において取得したRFIDタグ3の無線設定情報30とともに、アプリケーション20においてさらに付加したエレメントビットも含めて送信する。なお、エレメントビットについては、後述の本実施形態の動作の説明において詳細に説明することとし、ここでの詳細な説明は割愛する。
【0047】
また、RFIDタグ3は、無線クライアント端末2の無線アクセスポイント1との接続情報となる無線設定情報30をRFID情報として書き込んでいる。なお、RFIDタグ3には、
図5に現状の技術として示したRFIDタグ3Aの場合とは異なり、無線アクセスポイント1が有する本接続用無線設定情報(第1本接続用無線設定情報10aや第2本接続用無線設定情報10b)のいずれか一方の設定内容と同一の情報ではなく、無線アクセスポイント1が有する仮接続用無線設定情報10cの設定内容と同一の情報からなる仮接続用無線設定情報30cが設定されている。
【0048】
(本発明の実施形態の動作の説明)
次に、本発明の一実施形態として
図1に示した無線LANシステム100の動作の一例について、
図2および
図3のシーケンスチャートを参照しながら詳細に説明する。
図2は、
図1に示した無線LANシステム100における信号の流れの前半部分の一例を示すシーケンスチャートであり、無線アクセスポイント1と無線クライアント端末2との間を仮接続するまでの信号シーケンスの一例を示している。また、
図3は、
図1に示した無線LANシステムにおける
図2に引き続く後半部分の信号の流れの一例を示すシーケンスチャートであり、無線アクセスポイント1と無線クライアント端末2との間を仮接続した時点から本接続するまでの信号シーケンスの一例を示している。
【0049】
まず、
図2のシーケンスチャートを用いて、無線アクセスポイント1と無線クライアント端末2との間を仮接続するまでの信号の流れについて説明する。
【0050】
無線アクセスポイント1との間をWi−Fi接続しようとする際に、無線クライアント端末2は、アプリケーション20を起動して、近距離無線通信を用いて、RFIDタグ3から、仮接続用無線設定情報30cの読み込みを指示する(シーケンスSeq1)。その結果、無線クライアント端末2は、RFIDタグ3に設定されている仮接続用無線設定情報30cを取得する(シーケンスSeq2)。ここで、仮接続用無線設定情報30cは、無線アクセスポイント1と無線クライアント端末2との間の無線接続に関し、仮接続を行うための設定情報として、無線アクセスポイント1の無線設定情報10に設定されている仮接続用無線設定情報10cと全く同一の情報である。
【0051】
無線クライアント端末2は、RFIDタグ3から仮接続用無線設定情報30cを取得すると、仮接続用無線設定情報30cによる認証を得るために、仮接続用オーセンティケーション(Authentication)に関する情報を、無線アクセスポイント1との間で交換し合うことにより、無線クライアント端末2と無線アクセスポイント1との間で仮接続用無線設定情報による認証を行う(シーケンスSeq3)。ここでの認証動作は、通常の無線LANシステムにおいて実施されている一般的な無線接続におけるオーセンティケーション(Authentication)と同一のもので構わない。
【0052】
無線アクセスポイント1との間の仮接続用無線設定情報による認証が得られると、無線クライアント端末2は、アプリケーション20により特定のエレメントビットを付加した仮接続用無線設定要求(アソシエーション・リクエスト:Association Request)を、無線接続要求として、無線アクセスポイント1に対して送信する(シーケンスSeq4)。本実施形態において、特定のエレメントビットとは、仮接続要求であることを示す情報として(言い換えると、仮接続後の本接続を実施するための本接続用無線設定情報の選択を指示する情報として)、仮接続用無線設定要求(アソシエーション・リクエスト:Association Request)のデータ領域のあらかじめ定めたいずれかのビットを“1”に設定することを意味している。
【0053】
無線アクセスポイント1は、無線クライアント端末2から仮接続用無線設定要求(アソシエーション・リクエスト:Association Request)を受け取ると、無線設定選択実施判断部12を起動して、受け取った仮接続用無線設定要求(アソシエーション・リクエスト:Association Request)に特定のエレメントビットが付加されているか否かを確認する(シーケンスSeq5)。無線アクセスポイント1は、無線設定選択実施判断部12において、受け取った仮接続用無線設定要求(アソシエーション・リクエスト:Association Request)に特定のエレメントビットが付加されていると判断した場合には、本接続用の無線設定情報を選択する本接続用無線設定選択処理を実施する(シーケンスSeq6)。
【0054】
本接続用無線設定情報選択処理においては、無線アクセスポイント1は、無線設定情報選択部13を起動して、自無線アクセスポイント1の無線選択用設定情報10dを参照する。そして、当該仮接続用無線設定要求(アソシエーション・リクエスト:Association Request)の送信元の無線クライアント端末2に関して本接続用としてあらかじめ設定されている無線設定情報を選択する。
【0055】
なお、無線選択用設定情報10dには、無線アクセスポイント1が複数有している無線設定情報のうち、無線クライアント端末2の利用者がいずれの無線設定情報を本接続用として指定しているかということを示す情報があらかじめ設定されている。
図1に示す本実施形態においては、第1本接続用無線設定情報10aと第2本接続用無線設定情報10bとの2つの本接続用の無線設定情報のうちいずれか一方の無線設定情報を、無線クライアント端末2の利用者が、本接続用の無線設定情報として事前に選択することにより、無線アクセスポイント1の無線選択用設定情報10dに設定している。
【0056】
しかる後、無線アクセスポイント1は、仮接続用無線設定要求(アソシエーション・リクエスト:Association Request)に対する応答として、該仮接続用無線設定要求(アソシエーション・リクエスト:Association Request)の送信元の無線クライアント端末2に対して、仮接続用無線設定応答(アソシエーション・レスポンス:Association Response)を送信して(シーケンスSeq7)、仮接続用無線設定情報による無線アクセスポイント1と無線クライアント端末2との間のWi−Fi接続(無線接続)を完了する。
【0057】
なお、該仮接続用無線設定応答(アソシエーション・レスポンス:Association Response)には、仮接続用無線設定要求(アソシエーション・リクエスト:Association Request)に付加されてきた特定のエレメントビットがそのまま付加された状態になっている。したがって、特定のエレメントビットが付加された状態の仮接続用無線設定応答(アソシエーション・レスポンス:Association Response)を受け取ると、無線クライアント端末2は、本接続用無線設定待受状態遷移処理に移行して(シーケンスSeq8)、無線アクセスポイント1から本接続用の無線設定情報が送信されてくるのを待ち受ける状態になる。
【0058】
次に、
図3のシーケンスチャートを用いて、仮接続状態になっている無線アクセスポイント1と無線クライアント端末2との間を本接続にするまでの信号の流れについて説明する。
【0059】
図2のシーケンスチャートにおいて前述したように、無線アクセスポイント1と無線クライアント端末2との間を仮接続用無線設定情報による無線接続を終了させた後は、無線クライアント端末2は、無線アクセスポイント1から本接続用の無線設定情報が送信されてくるのを待ち受ける状態になっている。かかる待ち受け状態において、
図3のシーケンスチャートに移ると、無線アクセスポイント1は、本接続用無線設定情報を無線クライアント端末2に対して送信する(シーケンスSeq9AまたはシーケンスSeq9B)。
【0060】
ここで、無線アクセスポイント1が送信する本接続用無線設定情報は、
図2のシーケンスSeq6の本接続用無線設定情報選択処理において無線設定情報選択部13により選択された本接続用無線設定情報である。
図1に示す本実施形態においては、本接続用無線設定情報選択処理にて第1本接続用無線設定情報10aが選択されていた場合には、無線アクセスポイント1は、第1本接続用無線設定情報10aを本接続用無線設定情報として無線クライアント端末2に対して送信する(シーケンスSeq9A)。一方、本接続用無線設定情報選択処理にて第2本接続用無線設定情報10bが選択されていた場合には、無線アクセスポイント1は、第2本接続用無線設定情報10bを本接続用無線設定情報として無線クライアント端末2に対して送信する(シーケンスSeq9B)。
【0061】
無線アクセスポイント1から送信されてきた本接続用無線設定情報を受け取ると、無線クライアント端末2は、受け取った本接続用無線設定情報を用いて、本接続用オーセンティケーション(Authentication)を無線アクセスポイント1との間で実施する(シーケンスSeq10)。ここでの認証動作についても、
図2のシーケンスSeq3における仮接続用オーセンティケーション(Authentication)の場合と同様、通常の無線LANシステムにて実施されている一般的な無線接続におけるオーセンティケーション(Authentication)と同一のもので構わない。
【0062】
そして、互いの認証が得られると、無線クライアント端末2は、本接続用無線設定情報を用いて、本接続用無線設定要求(アソシエーション・リクエスト:Association Request)を、無線アクセスポイント1に送信する(シーケンスSeq11)。その結果、無線アクセスポイント1は、送信元の無線クライアント端末2との無線接続状態を、仮接続状態から本接続状態に設定し直す。なお、ここでの本接続用無線設定要求(アソシエーション・リクエスト:Association Request)については、本接続用であるので、
図2のシーケンスSeq4における仮接続用無線設定要求(アソシエーション・リクエスト:Association Request)の場合とは異なり、特定のエレメントビットを付加することがなく、通常の無線LANシステムにて実施されている一般的な無線接続と同一のもので構わない。
【0063】
しかる後、無線アクセスポイント1は、本接続用無線設定要求(アソシエーション・リクエスト:Association Request)の送信元の無線クライアント端末2に対して、本接続用無線設定応答(アソシエーション・レスポンス:Association Response)を送信して(シーケンスSeq12)、本接続用無線設定情報による無線アクセスポイント1と無線クライアント端末2との間のWi−Fi接続(無線接続)動作を完了する。
【0064】
(本発明の実施形態の効果の説明)
以上に詳細に説明したように、本実施形態においては、無線LANシステム100において、無線クライアント端末2は、無線アクセスポイント1と一旦仮接続することにより本接続用の無線設定情報を取得して本接続を行うという2段階のWi−Fi接続(無線接続)を行う仕組みを有しているので、主に、次のような効果が得られる。
【0065】
第1の効果は、無線アクセスポイント1にて無線設定を変更した場合であっても、無線クライアント端末2は同一の無線設定情報を書き込んでいるRFIDタグ3をそのまま用いて、無線アクセスポイント1との間のWi−Fi接続(無線接続)を本接続用として設定して、無線通信を行うことができることである。
【0066】
第2の効果は、無線アクセスポイント1が有している複数の無線設定情報のいずれの無線設定情報に対しても、無線クライアント端末2は同一の無線設定情報を書き込んでいるRFIDタグ3をそのまま用いて、無線アクセスポイント1との間のWi−Fi接続(無線接続)を本接続用として設定して、無線通信を行うことができることである。
【0067】
(本発明の他の実施形態)
次に、本発明に係る無線LANシステム100の前述の実施形態とは異なる他の実施形態についてさらに説明する。前述の実施形態においては、
図2のシーケンスSeq6に示したように、本接続用無線設定情報選択処理を、無線アクセスポイント1側の無線設定情報選択部13によって実施する場合について説明したが、該本接続用無線設定情報選択処理を、無線クライアント端末2側のアプリケーション20によって実施するようにしても良い。
【0068】
図4は、
図1に示した無線LANシステム100における信号の流れの
図2、
図3とは異なる一例を示すシーケンスチャートである。
図4のシーケンスチャートは、紙面の大きさの制限から、
図4Aおよび
図4Bに分けて描いてある。
図4Aの下端に○で囲んだAは、
図4Bの上端に○で囲んだAに繋がっている。したがって、
図4Aに描いてある縦方向の3本の線は、
図4Bに描いてある縦方向の3本の線に直接繋がっている。以下では、
図4は、
図4Aと
図4Bとが繋がった図を指している。
図4のシーケンスチャートは、無線クライアント端末2側のアプリケーション20によって本接続用無線設定情報選択処理を実施する場合の一例を示している。なお、
図4のシーケンスチャートにおいて、
図2、
図3と同じ処理を行うシーケンスについては、
図2、
図3と同じシーケンス番号を付して、ここでの重複する説明は割愛する。すなわち、
図4においては、シーケンスSeq1〜シーケンスSeq4、シーケンスSeq9A、Seq9B〜シーケンスSeq12の各シーケンスにおける処理は、
図2、
図3の場合と全く同一であり、ここでは重複する説明を行わない。
【0069】
まず、
図4のシーケンスチャートにおいて、無線アクセスポイント1は、仮接続用無線設定要求(アソシエーション・リクエスト:Association Request)を無線クライアント端末2から受け取ると(シーケンスSeq4)、無線設定選択実施判断部12を起動するが、
図2の場合のシーケンスSeq5の場合とは異なり、無線設定選択実施判断部12においては、無線設定選択実施判断処理ではなく、本接続用無線設定情報リスト作成判断処理を行い、無線クライアント端末2から受け取った仮接続用無線設定要求(アソシエーション・リクエスト:Association Request)に特定のエレメントビットが付加されているか否かを確認する(シーケンスSeq5A)。
【0070】
そして、該仮接続用無線設定要求(アソシエーション・リクエスト:Association Request)に特定のエレメントビットが付加されていた場合には、
図2の場合と同様、無線アクセスポイント1は、無線設定情報選択部13を起動する。しかし、
図4においては、無線設定情報選択部13は、
図2のシーケンスSeq6の場合とは異なり、無線アクセスポイント1側において本接続用無線設定情報選択処理を行うのではなく、無線クライアント端末2側において本接続用無線設定情報選択処理を行わせるための準備動作を行う。
【0071】
すなわち、無線アクセスポイント1側の無線設定情報選択部13は、自無線アクセスポイント1において使用することが可能な無線設定情報のうち、該仮接続用無線設定要求(アソシエーション・リクエスト:Association Request)の送信元の無線クライアント端末2において本接続用として使用することが可能なすべての無線設定情報を抽出したリストを本接続用無線設定情報リストとして作成する(シーケンスSeq6A)。
【0072】
そして、無線アクセスポイント1側の無線設定情報選択部13は、該仮接続用無線設定要求(アソシエーション・リクエスト:Association Request)の送信元の無線クライアント端末2に対して、まず、特定のエレメントビットが付加されている仮接続用無線設定応答(アソシエーション・レスポンス:Association Response)を送信する (シーケンスSeq7)。その結果、無線アクセスポイント1と無線クライアント端末2との間が仮接続された状態になる。
【0073】
ここで、
図4においては、無線クライアント端末2は、シーケンスSeq7において仮接続用無線設定情報による無線アクセスポイント1と無線クライアント端末2との間のWi−Fi接続(無線接続)を完了すると、
図2のシーケンスSeq8のような本接続用無線設定情報待受状態遷移処理を実施して、無線アクセスポイント1から本接続用の無線設定情報が送信されてくるのを待ち受けるのではなく、本接続用無線設定情報選択処理を無線クライアント端末2側のアプリケーション20によって実施するか否かを判断するために、アプリケーション20を起動する。
【0074】
つまり、
図4のシーケンスチャートにおいては、無線クライアント端末2は、シーケンスSeq7において無線アクセスポイント1からエレメントビットが付加された仮接続用無線設定応答(アソシエーション・レスポンス:Association Response)を受け取ると、アプリケーション20を起動して、まず、
図2において無線アクセスポイント1側の無線設定選択実施判断部12における無線設定選択実施判断処理と同様の処理を実行する。すなわち、アプリケーション20は、無線アクセスポイント1から受け取った仮接続用無線設定応答(アソシエーション・レスポンス:Association Response)に特定のエレメントビットが付加されているか否かを確認する(シーケンスSeq21)。
【0075】
無線クライアント端末2は、アプリケーション20の無線設定選択実施判断処理において、無線アクセスポイント1からの該仮接続用無線設定応答(アソシエーション・レスポンス:Association Response)に特定のエレメントビットが付加されていると判断した場合には、本接続用無線設定情報選択処理を無線クライアント端末2側において実施する必要があると判断する。そして、次に、無線アクセスポイント1から本接続用無線設定情報リスト(自無線クライアント端末2において本接続用として使用することが可能なすべての無線設定情報に関する本接続用無線設定情報リスト)が送信されてきているか否かを確認する。
【0076】
一方、無線アクセスポイント1側においては、仮接続用無線設定要求(アソシエーション・リクエスト:Association Request)の送信元の無線クライアント端末2に対して、特定のエレメントビットが付加されている仮接続用無線設定応答(アソシエーション・レスポンス:Association Response)を送信して、該無線クライアント端末2との間を仮接続する(シーケンスSeq7)。しかる後、無線アクセスポイント1は、該無線クライアント端末2側において本接続用無線設定情報選択処理を実施させるために、シーケンスSeq6Aにおいて作成した本接続用無線設定情報リストを、該無線クライアント端末2に対して送信している(シーケンスSeq22)。
【0077】
無線クライアント端末2のアプリケーション20は、無線アクセスポイント1から本接続用無線設定情報リストが送信されてきたことを確認すると、本接続用無線設定選択処理を実施することにより、無線アクセスポイント1から受け取った接続用無線設定情報リストの中から、いずれか任意の無線設定情報を無線アクセスポイント1との間を本接続するための選択無線設定情報として選択する(シーケンスSeq23)。ここで、該本接続用無線設定選択処理においては、無線アクセスポイント1から受け取った本接続用無線設定情報リストを無線クライアント端末2のディスプレイ上に画面表示させて、本接続用の無線設定情報を選択無線設定情報として無線クライアント端末2の利用者に選択させる等の利用者操作を伴う選択動作であっても良い。
【0078】
しかる後、無線クライアント端末2は、該本接続用無線設定選択処理による本接続用に関する無線設定情報の選択結果を、選択無線設定情報として、無線アクセスポイント1に対して送信する(シーケンスSeq24)。無線アクセスポイント1は、無線クライアント端末2から本接続用無線設定情報の選択結果である選択無線設定情報を受け取ると、シーケンスSeq9AまたはシーケンスSeq9Bに移行して、受け取った該選択結果に従った本接続を実施するために、該選択結果の選択無線設定情報と全く同じ本接続用無線設定情報を無線クライアント端末2に対して送信する(シーケンスSeq9AまたはシーケンスSeq9B)。
【0079】
しかる後、
図2のシーケンスSeq10〜シーケンスSeq12と全く同様、一般的な通常のオーセンティケーション(Authentication)とアソシエーション(Association)との動作を行って、本接続用無線設定情報による無線アクセスポイント1と無線クライアント端末2との間のWi−Fi接続(無線接続)を完了する。すなわち、無線クライアント端末2は、無線アクセスポイント1から受け取った本接続用無線設定情報を用いて、本接続用オーセンティケーション(Authentication)を無線アクセスポイント1との間で実施する(シーケンスSeq10)。認証が得られると、無線クライアント端末2は、本接続用無線設定要求(アソシエーション・リクエスト:Association Request)を、無線アクセスポイント1に送信し(シーケンスSeq11)、無線アクセスポイント1から本接続用無線設定応答(アソシエーション・レスポンス:Association Response)を返信させる(シーケンスSeq12)。その結果、本接続用無線設定情報による無線アクセスポイント1と無線クライアント端末2との間のWi−Fi接続(無線接続)を完了させることができる。
【0080】
以上、本発明の好適な実施形態の構成を説明した。しかし、かかる実施形態は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。