【実施例1】
【0021】
図1及び
図2は、本発明にかかる圧縮空気圧回路における温度及び湿度測定構造の実施形態を示す説明図であり、
図1は圧縮空気圧回路の全体概略を示し、
図2(a)は圧力容器30の正面図、
図2(b)は(a)のA−A´断面図である。
本発明にかかる圧縮空気圧回路における温度及び湿度測定構造は、圧縮空気が空気圧縮機により生成されてから配管路並びに各種機器を介して最終的に吐出口から吐出されるまでの圧縮空気圧回路において、圧縮空気の温度及び湿度を圧力下にて測定するための構造である。
【0022】
はじめに、本発明にかかる圧縮空気圧回路について説明する。
本発明にかかる圧縮空気圧回路は、主に空気圧縮機1と配管路2で構成されている。配管路2の末端には、最終的に圧縮空気を吐出するための吐出口3が備えられる。配管路2における空気圧縮機1から吐出口3までの所定中間箇所には、必要に応じて一乃至複数の各種機器が配設されている。
【0023】
空気圧縮機1は、空気を圧縮して所定気圧以上の圧縮空気を生成する機械であって、該圧縮空気を生成するための構造によって、往復式や回転式、遠心式など種々の方式が存在する。本発明で使用する空気圧縮機1の方式については、特に限定はなく、いずれの方式・構造のものでも使用することが可能である。該空気圧縮機1には、生成された圧縮空気を送気するための配管路2が接続される。
【0024】
配管路2は、圧縮空気を送気するための中空管から成り、空気圧縮機1から吐出口3まで圧縮空気を送気すべく配設される。尚、配管路2の所定中間箇所には一乃至複数の各種機器が配設されることから、具体的には、空気圧縮機1から各種機器へ圧縮空気を送気すべく配設されると共に、各種機器から先へ圧縮空気を送気すべく配設される。
【0025】
配管路2に配設される各種機器は、圧縮空気の用途によって種々決定されるもので、特に限定されるものではないが、常法的に配設される機器として、例えば圧縮空気を冷却するアフタークーラー4や、圧縮空気を貯留するためのエアタンク5、圧縮空気を乾燥させるためのエアドライヤ6、圧縮空気中の異物(油分やスラッジなど)を取り除くためのエアフィルタ7、圧縮空気中のドレンを取り除くための遠心分離機8などが存する。尚、説明の関係上、各種機器には吐出口3が含められる場合がある。
【0026】
アフタークーラー4は、空気圧縮機1で生成された高温の圧縮空気を冷却するための熱交換用の機器であって、冷却方式により、空冷式や水冷式などが存在する。本発明で使用するアフタークーラー4は、空冷式や水冷式のいずれかを問うものではなく、特に限定されるものではない。
【0027】
エアタンク5は、圧縮空気を一時的に貯留するための貯蔵庫であって、圧縮空気の脈動の平準化や、一時的に多量の圧縮空気が消費された場合の急激な圧力降下を抑制するために備えられるものである。
【0028】
エアドライヤ6は、圧縮空気を乾燥させ水分を取り除くための機器であって、水分の除去方式により、冷凍式や中空糸膜式、吸着式などが存在する。本発明で使用するエアドライヤ6は、冷凍式や中空糸膜式、吸着式のいずれかを問うものではなく、特に限定されるものではないが、一般に繁用されているのは、冷凍式のエアドライヤ6である。冷凍式のエアドライヤ6は、冷媒の蒸発潜熱を利用して、圧縮空気を冷却し、含有水分を凝縮して除去するための装置であって、比較的安価に導入することができる。
【0029】
エアフィルタ7は、圧縮空気中の水分や油分、スラッジや微生物を除去するためのフィルタであって、樹脂製若しくは紙製で網状乃至中空糸膜状のエアフィルタ、若しくは、活性炭を包んだエアフィルタが用いられる。該エアフィルタ7は、エアドライヤ6の後段に配設されるのが一般的である。
【0030】
遠心分離機8は、圧縮空気中の水分・油分を除去するための分離装置であって、ハウジング内に入った圧縮空気は、デフレクタを通ることによって発生した遠心力によって空気中の油水分や固形物をハウジング内壁に叩き付けて落下させ、エアのみ中央部に備えられるカートリッジを介して取り出される構造を有している。該遠心分離器8は、空気圧縮機1とエアドライヤ6とを繋ぐ配管路2の所定中間箇所に配設されたり、あるいは、エアドライヤ6とエアフィルタ7とを繋ぐ配管路2の所定中間箇所に配設される。
【0031】
空気圧縮機1や各種機器には、必要に応じて発生したドレンを排出するためのドレントラップ10が接続されている。ドレントラップ10は、その排出方法により電磁式やフロート式などが存在する。本発明で使用するドレントラップ10は、電磁式とフロート式とを問うものではなく、特に限定されるものでないが、スプリングスナップアクション方式、若しくは、マグネットスナップアクション方式のフロート式ドレントラップを採用することにより、所定量のドレンが貯留された段階で、該ドレンを機械的に自動で外部へ排出することが可能となり、ドレン排出の確実性が担保されることとなる。
【0032】
次に、本発明にかかる温度及び湿度測定構造について説明する。
各種機器間に配設された配管路2には、分岐管20および合流管22が接続されている。かかる分岐管20および合流管22は、三方向に分岐した圧縮空気を送気するための中空管であって、例えば略T字状や略Y字状に形成されている。分岐管20は、配管路2内の圧縮空気の一部を分岐して流入管24へ送気すべく配設される。また、合流管22は、流出管26を送気されてきた圧縮空気を配管路2へ戻すべく配設される。
【0033】
分岐管20および合流管22の配管路2に対する接続態様について、圧縮空気の分岐と合流の構成上、配管路2における上流側に分岐管20が接続されると共に、下流側に合流管22が接続される態様となる。但し、各種機器をまたいで分岐管20と合流管22を配設する態様は採用し得ない。仮に、各種機器の前段に分岐管20を接続し、後段に合流管22を接続した場合、分岐した圧縮空気が当該機器を経ずに配管路2へ合流することとなってしまうからである。
【0034】
分岐管20には流入管24の一端が接続されると共に、該流入管24の他端は圧力容器30の流入口32に接続される。すなわち、流入管24は、圧縮空気を送気するための中空管であって、配管路2から分岐管20を介して分岐された圧縮空気を圧力容器30へ送気すべく配設される。
【0035】
圧力容器30は、圧縮空気の温度及び湿度を測定するための中空容器であって、
図2に示す様に、流入管24から送気されてきた圧縮空気を流入するための流入口32、並びに、容器内の圧縮空気を流出管26へ流出するための流出口34が備えられている。該圧力容器30の形状について、特に限定はないが、圧縮空気の圧力への耐性等を考慮し、略円筒形状であることが好ましい。尚、図面では、圧力容器30の構造について、略円筒形状の中空筒体30aの両側端を閉塞蓋30bで閉塞して構成する態様について図示しているが、かかる構造態様に限定するものではなく、全てを一体成型する態様や、一方端が予め閉塞して成形された中空筒体30aの他方の開放された端部のみを閉塞蓋30bで閉塞する構造なども考え得る。
【0036】
圧力容器30の内部には、測定器具40が備えられている。かかる測定器具40は、配管路2から流入管24を介して圧力容器30内へ流入した圧縮空気の温度及び湿度を測定するためのものであって、具体的には、温度計及び湿度計が圧力容器30内に収容されている。かかる温度計及び湿度計は、別体で夫々収容される態様のほか、一体型の温湿度計が収容される態様であってもよい。また、
図1(a)の様な温度や湿度を示すメモリを目視で確認するアナログ式のほか、
図1(b)及び
図2の様なセンサで測定した値を表示パネルにデジタル表示するデジタル式のものであってもよい。
【0037】
ところで、圧力容器30の材質については、特に限定はないが、容器内部を目視可能とすべく、少なくとも一部が透明もしくは半透明のガラスや合成樹脂素材により形成されて成
る。容器内部を目視可能とすることで、温度及び湿度の測定値を即座に目視確認することができると共に、圧力容器30に流入した圧縮空気の状態や容器内の異変等を目視で直接確認することが可能となり、例えば容器内にドレンが発生している様な場合について、瞬時に判別し得ることとなる。
【0038】
圧力容器30内には、測定器具40と併せて、日付や時刻を知らせるデジタル時計などの日時を表示する媒体を備えることが好ましい。かかる態様を採ることで、測定日時と温度及び湿度の測定値を同時に目視確認可能であって、測定結果の記録及び管理が容易となる。このとき、測定器具40がデジタル式のものであれば、測定値と共に日付及び時刻を表示パネルにデジタル表示する態様が考え得る。
【0039】
合流管22には流出管26の一端が接続されると共に、該流出管26の他端は圧力容器30の流出口34に接続される。すなわち、流出管26は、圧縮空気を送気するための中空管であって、圧力容器30から流出された圧縮空気を合流管22を介して配管路2へ戻すべく配設される。
【0040】
圧力容器30内の圧縮空気の圧力、より詳しくは、分岐管20から流入管24、圧力容器30、流出管26を経て合流管22に至るまでの圧縮空気の圧力を計測すべく、圧力容器30の所定箇所、あるいは、流入管24もしくは流出管24の所定中間箇所に、圧力計36が装備される態様が考え得る。かかる態様を採用することで、圧力容器30内の圧縮空気の圧力を監視することが可能となり、配管路2内の圧縮空気の圧力と圧力容器30内の圧縮空気の圧力とを均一に保つのに資する。圧力計36は、常法のものを使用すれば足り、特に限定はない。該圧力計36を装備する箇所は、分岐管20から流入管24、圧力容器30、流出管26を経て合流管22に至るまでの間であれば、特に限定するものではないが、取り付け容易性などに鑑み、例えば圧力容器30における流入口32や流出口34の近傍、流入管24の他端(流入口32)近傍、流出管24の他端(流出口34)近傍などが考え得る。
【0041】
圧力容器30において、ドレントラップ10を備える態様が考え得る。圧力容器30は、配管路2から分岐されているとはいえ、圧縮空気が送気される流路であることには変わりはなく、容器内にてドレンが発生し貯留することも想定される。容器内にドレンが貯留されたままであると、該容器内のセンサ42の誤作動を招いて正確な温度や湿度の測定が阻害される可能性があると共に、センサ42自体の故障の原因ともなりかねない。そこで、容器内にて発生したドレンを排出すべく、圧力容器30にもドレントラップ10を設ける態様が望ましい。
【0042】
尚、圧力容器30は、測定値を目視し易い様に、机上に載置するなどして使用される。このとき、図示の様に、圧力容器30の所定箇所に脚部38を備え、目視し易い高さ位置まで嵩上げする態様が考え得る。
【0043】
以上の各構成要素から、本発明にかかる圧縮空気圧回路における温度及び湿度測定構造は構成される。本発明における圧縮空気の本流の流れは、以下のとおりとなる。すなわち、空気圧縮機1により生成された圧縮空気は、まず配管路2を通ってアフタークーラー4やエアタンク5、エアドライヤ6、エアフィルタ7、遠心分離機8等の各種機器に送気される。その後、圧縮空気は、各種機器から配管路2を介して最終的に吐出口3へ送気され、各種用途に用いられる。
【0044】
本発明における圧縮空気の支流の流れは、以下のとおりである。すなわち、配管路2を通過する本流の圧縮空気は、該配管路2に接続されている分岐管20で一部が支流へ分岐され、流入管24を介して流入口32から圧力容器30内に流入する。そして、圧力容器30内を通過する際に温度及び湿度の測定が行われ、流出口34から流出管に流出し、その後合流管22を介して配管路2を通過する本流の圧縮空気へと戻される。
【0045】
以上のように、本発明にかかる圧縮空気圧回路における温度及び湿度測定構造によれば、配管路2を流れる圧縮空気を分岐させて圧力容器30にて温度と湿度を測定した後、再び配管路2に合流させる測定構造を採用することで、配管路2内の圧縮空気の圧力と圧力容器30内の圧縮空気の圧力とを均一に保って、圧縮空気の流れにストレスを与えずに圧縮空気中の温度及び湿度を正確に測定することが可能であり、その測定結果により圧縮空気についてドレンが発生し得る状態にあるか否かを容易に判別することができる、といった優れた作用効果を発揮するものである。
【0046】
尚、本発明にかかる分岐管20から流入管24、圧力容器30、流出管26を経て合流管22に至るまでの温度及び湿度測定構造については、一の圧縮空気圧回路に一乃至複数の温度及び湿度測定構造を配設し得るものである。
図1(a)では二基、
図1(b)では一基の温度及び湿度測定構造を配設した場合について示している。すなわち、圧縮空気圧回路に装備される各種機器の数によって、該機器間に存する配管路2の数も決定され、何れの機器間においても本発明にかかる温度及び湿度測定構造を配設することが可能であると共に、圧縮空気の流れにストレスを与えることなく配設し得ることから、複数の温度及び湿度測定構造を配設しても、圧縮空気圧回路全体に及ぼす影響はほとんどない。
【実施例2】
【0047】
次に、
図3及び
図4により、本発明にかかる圧縮空気圧回路における温度及び湿度測定構造の他の実施形態について説明する。上記実施例1と同様の部分は説明を省略する。
図3及び
図4は、本発明にかかる圧縮空気圧回路における温度及び湿度測定構造の実施形態を示す説明図であり、
図3は圧縮空気圧回路の全体概略を示し、
図4は圧力容器30の正面図を示している。
【0048】
上記実施例1では、測定器具40について、温度や湿度を示すメモリを目視で確認するアナログ式の温度計や湿度計、あるいは、センサで測定した値を表示パネルにデジタル表示するデジタル式の温度計や湿度計を採用し、かかる測定器具40を圧力容器30の内部に収容する態様について説明した。しかしながら、圧力容器30内は、絶えず圧縮空気による圧力が存する状態であり、温度計や湿度計によっては、耐圧性の問題から故障や不具合が生じかねず、正確な測定が阻害されることも想定し得る。
【0049】
そこで、圧力容器30の内部に温度計や湿度計をそのまま収容する態様ではなく、温度や湿度を測定し得るセンサ42のみを測定器具40として収容し、該センサ42で測定した温度及び湿度を圧力容器30の外部で表示する態様が考え得る。
【0050】
すなわち、本実施形態にかかる圧力容器30の内部には、測定器具40としてセンサ42が備えられている。かかるセンサ42は、配管路2から流入管24を介して圧力容器30内へ流入した圧縮空気の温度及び湿度を測定するためのものであって、その測定値は、センサコード44を介して圧力容器30の外部に存する表示部46に送られ、該表示部46にてデジタル表示される。
【0051】
表示部46は、センサ42における温度及び湿度の測定値をデジタル表示する機能だけでなく、日付及び時刻を表示する機能を備えていることが望ましい。かかる日付及び時刻を温度及び湿度の測定値と共に表示することで、測定日時と測定値を同時に目視確認可能であって、測定結果の記録及び管理が容易となる。
【0052】
図示してはいないが、センサ42における圧力容器30内部の圧縮空気の温度及び湿度の測定値について、自動で記録するための記録部を備える態様が考え得る。該記録部は、ハードディスクなどの記録媒体であって、センサ42による測定値をはじめ、表示部46に表示される内容をそのまま記録することが可能であり、日付及び時刻と共にセンサコード44を介して送られてくる温度及び湿度の測定値が、所定時間ごとに自動記録される態様となっている。また、圧力計36による圧力容器30内の圧縮空気の圧力についても、同時に記録される態様とすることも可能である。かかる構成態様を採用することで、管理者の記録及び管理負担の軽減に資する。
【0053】
尚、表示部46への表示内容や記録部への記録内容に基づき、圧縮空気の正常や異常、状況変化等を監視し、ドレン発生確率を自動計算して、必要に応じて警報や通知を発する監視制御部を備える態様も考え得る。かかる警報や通知の手段は、音によるものや識別灯の変化、メール送信など、あらゆる手段を採り得る。
【0054】
以上のように、本発明にかかる圧縮空気圧回路における温度及び湿度測定構造によれば、圧力容器30の内部に温度と湿度を測定し得るセンサ42を備えることで、圧力下における機器の故障や不具合といった問題が生じることなく、圧縮空気中の温度及び湿度を正確且つ確実に測定することが可能である、といった優れた作用効果を発揮するものである。
【0055】
尚、本発明にかかる分岐管20から流入管24、圧力容器30、流出管26を経て合流管22に至るまでの温度及び湿度測定構造については、上記実施例1と同様、一の圧縮空気圧回路に一乃至複数の温度及び湿度測定構造を配設し得るものであり、
図3では、四基の温度及び湿度測定構造を配設した場合について示している。