特許第6892170号(P6892170)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6892170
(24)【登録日】2021年5月31日
(45)【発行日】2021年6月23日
(54)【発明の名称】渡り板装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 3/04 20060101AFI20210614BHJP
   E04G 27/00 20060101ALN20210614BHJP
【FI】
   B60S3/04
   !E04G27/00
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-152460(P2020-152460)
(22)【出願日】2020年9月11日
【審査請求日】2021年4月13日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 [貸し出した場所] 株式会社長町建材 [貸し出し日] 令和1年10月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399040933
【氏名又は名称】大山 章博
(74)【代理人】
【識別番号】100142941
【弁理士】
【氏名又は名称】京和 尚
(72)【発明者】
【氏名】大山 章博
【審査官】 瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−44442(JP,A)
【文献】 特許第6229348(JP,B2)
【文献】 特開平6−206590(JP,A)
【文献】 特開2002−79921(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3020464(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0022017(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 3/06
B60R 3/00
B60S 3/04
B63B 27/14
B65G 69/28
E01C 9/04
E04G 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体の上面と他平面との間を連絡する渡り板装置であって、
当該渡り板装置は、
渡り板本体と、
箱体側面と渡り板本体側面とを係合する係合手段と、を備え、
当該係合手段は、
前記箱体側面の支承部と、
前記渡り板本体側面の移動部と、から構成され、
前記支承部と前記移動部のうち少なくとも一方が、前記箱体側面に平行な半径Rの円弧状係合部を有しており、
当該円弧状係合部を介して前記移動部が前記支承部に支承された状態で、さらに前記円弧状係合部にガイドされて前記移動部が移動することにより、前記渡り板本体が前記箱体に対し回動可能なことを特徴とする渡り板装置。
【請求項2】
前記支承部は、前記箱体側面に対し平行に配置される支承板であり、
前記移動部は、前記渡り板本体側面に対し平行に配置される移動板であり、
前記支承板の上辺と前記移動板の下辺のうち少なくとも一方が、前記円弧状係合部として構成され、
前記移動板の下辺が前記支承板の上辺によって支承されることを特徴とする、請求項1に記載の渡り板装置。
【請求項3】
前記渡り板本体の端部に軸着される接地板をさらに備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の渡り板装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱体の上面と他平面との間を連絡する渡り板装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤ洗浄装置等の箱体の上面と路面等の他平面との間を車両等が移動するために、渡り板が配置される場合がある。その際、箱体の上面と他平面との間に高低差があると、箱体の上面と他平面との間にスロープ板が配置される。
【0003】
以降、本明細書中においては、渡り板にはスロープ板を含むものとし、箱体の上面と他平面との間に配置されるものを、一括して「渡り板」と呼ぶこととする。
【0004】
一般に渡り板は平面視長方形のものが多い。渡り板の長方形の一方の辺は箱体の上面の縁部に載置され、長方形の他方の辺は他平面上に載置される。
【0005】
箱体の上面と他平面とが平行である場合は問題無いが、箱体の上面と他平面とが平行でなく、進行方向に向かって両者が互いに左右に傾斜している場合もありうる。この時には、箱体の上面又は他平面に対し、渡り板の長方形の一方の辺は線接触するが他方の辺はどちらかの端点のみが点接触する。そして、その辺の反対側の端点は浮き上がってしまう。
【0006】
言い換えると、長方形の3点の角部で渡り板が支えられる状態となる。そのために、渡り板に車両等が乗り込めない場合もありうる。また、仮に渡り板に車両等が乗り込めたとしても、車両等が渡り板を走行すると、渡り板の長方形の2つの対角線のうちの1つの対角線を中心とする揺動運動が生じる。
【0007】
その際、浮き上がっていた渡り板の角部が降下すると、箱体の上面又は他平面に衝突し騒音が発生する。また、その状態で長期間使用すると、繰り返される衝突により渡り板の取り付け部が摩耗し損傷する。
【0008】
このような課題を解決する先行技術として、路面と乗降口の床面とが平行でない場合にも車椅子が乗降できるバス乗降用スロープ板が提案されている(特許文献1)。
【0009】
特許文献1のスロープ板では、スロープ板をバスの乗降口の床面の縁部に回動自在に連結するヒンジの取り付け板を、クッション材を介して縁部に取り付けるようにしている。そのため、バスの床面と路面が平行でなくてもクッション材の弾性変形によってスロープ板の先端を路面に合わせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第6229348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献1のスロープ板は、スロープ板の先端を路面(他平面)に合わせることができる角度の範囲が、クッション材に許容される弾性変形の大きさによって制限されてしまう。
【0012】
また、クッション材には負荷できる荷重の大きさに制限があり、スロープ板としての許容荷重の大きさが制限される。そのため、特許文献1のスロープ板は、重量が大きな車両等への適用が困難である。さらに、長期の使用に対しクッション材では耐久性の面で不安が残る。
【0013】
そこで、本発明は、渡り板で連絡しようとする箱体の上面と他平面との間が進行方向に向かって左右への角度差がある場合であってもその角度差を吸収することができ、大型車両にも使用できるとともに、耐久性に優れた渡り板装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1発明の渡り板装置は、箱体の上面と他平面との間を連絡する渡り板装置であって、当該渡り板装置は、渡り板本体と、箱体側面と渡り板本体側面とを係合する係合手段と、を備え、当該係合手段は、前記箱体側面の支承部と、前記渡り板本体側面の移動部と、から構成され、前記支承部と前記移動部のうち少なくとも一方が、前記箱体側面に平行な半径Rの円弧状係合部を有しており、当該円弧状係合部を介して前記移動部が前記支承部に支承された状態で、さらに前記円弧状係合部にガイドされて前記移動部が移動することにより、前記渡り板本体が前記箱体に対し回動可能なことを特徴とする。
【0015】
第1発明の渡り板装置は、箱体の上面と他平面との平行の角度のズレが大きい場合にも、渡り板本体が箱体側面に平行な円弧状係合部にガイドされて回動することで渡り板本体が他平面に沿って接地する。そのため、車両等の乗り降りに伴う渡り板本体のガタツキが発生しないので、長期間使用しても渡り板装置が損傷しない。
【0016】
第2発明の渡り板装置は、前記支承部は、前記箱体側面に対し平行に配置される支承板であり、前記移動部は、前記渡り板本体側面に対し平行に配置される移動板であり、前記支承板の上辺と前記移動板の下辺のうち少なくとも一方が、前記円弧状係合部として構成され、前記移動板の下辺が前記支承板の上辺によって支承されることを特徴とする。
【0017】
第2発明の渡り板装置は、大きな面積を取ることができる支承板と移動板とによって係合手段を構成できるので、係合手段の強度を大きくできる。また、円弧状係合部での係合面積を大きくできるので、係合手段で支承できる荷重を大きくできる。そのため、車両総重量が大きな車両も通行可能な渡り板装置となる。
【0018】
第3発明の渡り板装置は、前記渡り板本体の端部に軸着される接地板をさらに備えることを特徴とする。
【0019】
第3発明の渡り板装置は、渡り板本体に対し接地板が揺動できるので、箱体の上面と他平面との高低差に対応できる。また、接地板に発生する面圧を均一にすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る渡り板装置は、連絡しようとする箱体の上面と他平面との間で進行方向に向かって左右の傾斜が大きい場合であってもその傾斜を吸収して設置でき、大型車両にも使用できるとともに、耐久性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1の実施の形態に係る渡り板装置の全体平面図である。
図2図1に示した渡り板装置の全体側面図である。
図3図2のA−A矢視断面図であって、係合手段の詳細を説明する図である。
図4図3に示した係合手段の移動板が支承板によって支承された状態を示している。
図5図4のB−B矢視断面詳細図である。
図6図4に示した状態から渡り板装置が箱体側面の垂直線を中心として角度Θ回動した状態を説明する図である。
図7】第2の実施の形態に係る渡り板装置の係合手段の詳細を説明する図である。
図8】タイヤ洗浄装置の全体側面図である。
図9図8に示したタイヤ洗浄装置の全体平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る渡り板装置1の全体平面図である。図2は、図1に示した渡り板装置1の全体側面図である。以降、第1の実施の形態に係る渡り板装置1の構成を図1及び図2を用いて説明する。なお、これ以降、渡り板装置1における前後、左右、上下の方向については、図中に記載された矢印の方向に従って説明する。
【0023】
図2に示すように、渡り板装置1は、箱体2の上面8と他平面3(路面等)との間を連絡する。図2に示した本実施の形態では、箱体2の上面8が他平面3よりも上方に位置しているが、箱体2の上面8と他平面3が同じ高さであっても良い。さらに、箱体2の上面8が他平面3よりも下方に位置していても本発明に係る渡り板装置1は適用可能である。
【0024】
渡り板装置1は、箱体2の上面8と他平面3との間を連絡する渡り板本体4を備える。図1に示すように、渡り板本体4は、その前後の全長に渡って左右に離れて平行に配置される2本の角パイプ5を有している。角パイプ5の上面には、複数の等辺山形鋼6が平行かつ等間隔に配列されている。等辺山形鋼6の左右方向の長さは、渡り板装置1の左右方向の長さとなっている。等辺山形鋼6は、断面の直角角部が上方を向いた状態で角パイプ5と組み合わされている。等辺山形鋼6と角パイプ5との接触部は溶接される。
【0025】
図1に示されるように、左右の角パイプ5の間には、角パイプ5とほぼ同じ長手方向(前後方向)の長さを有する帯鋼(平鋼)7が2つ配置されている。帯鋼(平鋼)7と等辺山形鋼6との接触部も溶接されている。図1に示されるように、渡り板本体4は、平面視、全体としては略長方形に構成される。
【0026】
本実施の形態では、渡り板本体4を、角パイプ5、等辺山形鋼6、帯鋼(平鋼)7等を格子状に組み合わせて構成する例を説明する。このような格子状の渡り板本体4は、その上面を通過する車両のタイヤがスリップしにくいという特徴を有する。また、タイヤに付着した土、小石等が渡り板本体4に残りにくいという特徴も有する。なお、その他の実施の形態として、渡り板本体4全体を平面視長方形の板材で構成しても良いことはもちろんである。
【0027】
図1及び図2に示した本実施の形態に係る渡り板本体4は、等辺山形鋼6の上方の角部に等辺山形鋼6の長手方向長さと同じ長さのステンレス丸棒24が溶接されている。これは、渡り板本体4の上面を通過する車両のタイヤによって等辺山形鋼6の角部の塗装が剥がれ錆が生じるのを防止するためである。すなわち、タイヤがステンレス丸棒24を踏むことで、タイヤが直接等辺山形鋼6の角部に触れないようになっている。
【0028】
渡り板装置1は、箱体側面11に対し渡り板本体側面25を係合する係合手段12を備えている。実施の形態に係る係合手段12は、分離可能となっている。図1及び図2示された係合手段12は、箱体側面11に対し渡り板本体側面25が分離した状態となっている。なお、箱体側面11に対し渡り板本体側面25が分離しない構造の係合手段12とすることも可能である。
【0029】
なお、図1に示すように、前後両端の等辺山形鋼6の右半分には1サイズ断面が大きなステンレス製の等辺山形鋼26が取り付けられている。これは、渡り板装置1を通行する際に左右方向の位置を確認するための目印である。ステンレス製としたのは、タイヤが踏んでも錆びないためである。さらに、渡り板本体4を構成する角パイプ5も通行する際の左右方向の位置を知るための目印とすることができる。
【0030】
図3図2のA−A矢視断面図であって、係合手段12の詳細を説明する図である。係合手段12は、箱体側面11の支承部と、渡り板本体側面の移動部とから構成される。移動部として、移動板14が渡り板本体4の側面に対し平行に配置されている。移動板14は、下辺13が下方向に向いて凸形状の円弧状係合部として形成される。また、支承部として、支承板16が箱体側面11に対し平行に配置されている。支承板16は、凹形状の円弧状係合部として形成される上辺15を有する。図3に示す、移動板14の円弧状係合部の円弧と、支承板16の円弧状係合部の円弧は、共に同じ半径で構成される。
【0031】
図3に示す実施の形態に係る支承板16は、凹形状のものが上向きとなっており、左支承板18と右支承板19とに分離された構造となっている。左支承板18と右支承板19とは、中心線17を中心とした左右対称形となっている。このように中央の凹部が下方に向け開放された形状となっているので、屋外で使用される渡り板装置1において、支承板16の凹部での水、砂等の堆積を防止できる。また、箱体側面11に左支承板18と右支承板19とを取り付ける際の溶接による歪みを極力小さくすることができる。
【0032】
図2及び図3に示されるように、支承板16には、円弧状係合部を構成する上辺15をはさんで箱体側面11と平行なフランジ部20が形成されている。フランジ部20は、移動板14と支承板16が組み合わされた状態において、移動板14の前後方向への移動を規制するためのものである。
【0033】
図1及び図2に示されるように、渡り板装置1は、渡り板本体4の端部に連結ピン21で軸着される接地板22を備えている。接地板22は、渡り板本体4と同じ左右方向の寸法となっている。図2に示すように、接地板22が他平面3に接地した状態で、渡り板本体4の係合手段12側の端部が上下に揺動可能に構成されている。
【0034】
図4は、図3に示した係合手段12の移動板14(移動部)が支承板16(支承部)によって支承された状態を示している。なお、図4では説明の都合から図3で説明したフランジ部20を省略して示している。このとき、移動板14の下辺の円弧状係合部が支承板16の上辺の円弧状係合部によって支承されている。また、渡り板本体4の上面は箱体2の上面8とほぼ同じ高さとなっている。
【0035】
このように、大きな面積を有する移動板14と支承板16とによって係合手段12を構成できるので、係合手段12の強度を大きくできる。また、移動板14の円弧状係合部と支承板16の円弧状係合部との接触面積を大きくできるので、係合手段12で支承できる荷重を大きくできる。そのため、渡り板装置1は、車両総重量の大きな車両も通行できる。
【0036】
図5は、図4のB−B矢視断面詳細図である。移動板14の下辺13(円弧状係合部)が支承板16の上辺15(円弧状係合部)によって支承されている。図5に示されるように、実施の形態に係る支承板16の板厚は、移動板14の板厚よりも大きいものとなっている。そのため、箱体側面11とフランジ部20との間に配置された移動板14は、前後方向に隙間を持っている。このように構成することで、係合手段12によって箱体側面11と渡り板本体側面25が係合している状態において、渡り板本体4の後ろ側(他平面側)は、上下に移動可能となっている。言い換えると、渡り板本体4は係合手段12を中心として図5の面内で回動可能となっている。この回動可能な構造により、箱体2の上面8と他平面3との高低差に変化があっても対応することができる。
【0037】
図6は、図4に示した状態から移動板14が支承板16に支承された状態で半径Rの円弧状係合部にガイドされることで、渡り板装置1が箱体側面11の延長面上に存在する垂直線23を中心として角度Θだけ回動した状態を示している。図6では、分かり易くするため、移動板14と渡り板本体4とにハッチングを施している。回動中心となる垂直線23は、係合手段12の中心線17上にあって、円弧状係合部(移動板14の下辺、あるいは支承板16の上辺)から円弧の半径Rだけ上方に位置している。
【0038】
以上のように、箱体2の上面8と他平面3との前後方向での平行のズレが大きい場合にも、渡り板本体4が箱体側面11の垂直線23回りに回動できるので渡り板装置1が他平面3に沿って接面できる。それにより、車両等がスムーズに渡り板装置1に乗り込むことができる。さらに、車両等の乗り降りに伴う渡り板本体4のガタツキが無いので騒音が発生せず、長期間使用しても渡り板装置1が損傷しない。また、本発明の渡り板装置によれば、円弧状係合部に沿って移動板14(移動部)と支承板16(支承部)との間に大きな摩擦力が生じるため、特段の回動規制手段を設けなくても、意図しない回動が生じることは無い。
【0039】
また、図2に示すように、箱体2の上面8と他平面3との間に平行のズレだけでなく高低差があっても、接地板22が連結ピン21を中心として渡り板本体4に対し揺動できるので、箱体2の上面8と他平面3との高低差に対応できる。また、接地板22と他平面3との間に発生する面圧を接地板22全面に渡って均一にすることができる。そのため、他平面3となる地盤が軟弱な場合であっても、渡り板本体4を安定して支えることができる。
【0040】
(第2の実施の形態)
図7は、第2の実施の形態に係る渡り板装置30の係合手段31の詳細を説明する図である。図3で説明した第1の実施の形態に係る係合手段12との相違点を中心として、第2の実施の形態を説明する。
【0041】
係合手段31は、渡り板本体4に下辺32が凹形状の円弧状係合部が形成される移動板33(移動部)を備えている。また、係合手段31は、箱体側面11に移動板33の円弧状係合部に沿う凸形状の円弧状係合部として形成される上辺34を有する支承板35(支承部)を備えている。このように、第2の実施の形態に係る係合手段31は、第1の実施の形態に係る係合手段12とは凹凸の向きが上下方向で逆となっている。
【0042】
移動板33が渡り板本体側面に対し平行に配置される点、及び支承板35が箱体側面11に対し平行に配置される点は、第1の実施の形態に係る渡り板装置1と同じである。また、支承板35は、係合手段31の中心線17を中心として左右対称な形状に構成され、左支承板36と右支承板37とに分けられている点も同じである。なお、第2の実施の形態においても、支承板35は、左支承板36と右支承板37とが連結された一体構造のものとしてもよい。
【0043】
図7に示した第2の実施の形態に係る渡り板装置30は、箱体2の上面8と他平面3とが進行方向に向かって左右の傾きが大きい場合にも、渡り板本体4が箱体側面11の垂直線38を中心として回動するので渡り板装置30が他平面3に沿って接地できる。そのため、車両等の乗り降りに伴う渡り板本体4のガタツキが無いので騒音が発生せず、長期間使用しても渡り板装置30が損傷しない。
【0044】
このように、第2の実施の形態においても、大きな面積を有する移動板33と支承板35とによって係合手段31を構成できるので、係合手段31の強度を大きくできる。また、円弧状係合部での接触面積を大きくできるので、係合手段31での支持荷重を大きくできる。そのため、車両総重量の大きな車両も通行できる渡り板装置30とすることができる。
【0045】
(タイヤ洗浄装置での使用例)
本発明に係る渡り板装置を、タイヤ洗浄装置の水槽(箱体に該当)への乗降に使用する例を以下に説明する。図8は、渡り板装置が装着されたタイヤ洗浄装置40の全体側面図である。また、図9は、図8に示したタイヤ洗浄装置40の全体平面図である。使用例に係るタイヤ洗浄装置40は、図示するような大型のダンプトラック42のタイヤ43を洗浄することができる。なお、タイヤ洗浄装置40は、もっと小型のダンプトラックのタイヤの洗浄も可能である。以下、図8図9を用いて、タイヤ洗浄装置40に使用した渡り板装置を説明する。
【0046】
図8図9に示されるように、タイヤ洗浄装置40は、水槽41と、水槽41の上面(箱体2の上面8)と他平面3(路面)との間を連絡する4つの渡り板装置(左後渡り板装置51、右後渡り板装置52、左前渡り板装置53、右前渡り板装置54)とから構成される。なお、実施の形態に係るタイヤ洗浄装置40では、左後渡り板装置51と右前渡り板装置54とは同一のものとなっている。また、右後渡り板装置52と左前渡り板装置53とは同一のものとなっている。
【0047】
図9に示すように、水槽41は、左水槽44、右水槽45、及び中間水槽46とから構成されている。水槽41は、全体として平らで、左右方向に対し前後方向がやや長い直方体となっている。タイヤ洗浄装置40は、タイヤ洗浄の際の水槽41を通過する方向が決まっている。ダンプトラックの左側のタイヤは、左後渡り板装置51、左水槽44、左前渡り板装置53の順に通過する。ダンプトラックの右側のタイヤは、右後渡り板装置52、右水槽45、右前渡り板装置54の順に通過する。
【0048】
左水槽44と右水槽45の後ろの側面47、47が、第1の実施の形態に係る渡り板装置1の係合手段12が配置される箱体側面11に該当している。同様に、左水槽44と右水槽45の前の側面48、48が、第1の実施の形態に係る渡り板装置1の係合手段12が配置される箱体側面11に該当している。その他の係合手段12の構成は、図1図4で説明した第1の実施の形態に係る渡り板装置1と共通するので、その詳細な説明を省略する。
【0049】
図8に示すように、水槽41の上面(箱体2の上面8)と4つの渡り板装置(51〜54)が接地する他平面3(路面)とが平行でない場合であっても、渡り板本体4が水槽41側面(後ろの側面47、47及び前の側面48、48)に垂直な軸回りに回動するので渡り板装置(51〜54)が他平面3(路面)に沿って接地することができる。そのため、ダンプトラック42の乗り降りに伴う渡り板本体4のガタツキが無いので騒音が発生せず、長期間使用しても渡り板装置(51〜54)が損傷しない。なお、図8に示すように、タイヤ洗浄装置40が設置される建設現場では、接地板22の下に敷鉄板55が敷かれる場合が多い。
【0050】
図8に示すように、水槽41(箱体2)の上面8と他平面3(路面)との間に高低差があっても、渡り板本体4と接地板22が連結ピン21を中心として相互に揺動できるので、水槽41(箱体2)の上面8と、他平面3(路面)との高低差に対応できる。また、接地板22に発生する面圧を接地板22全面に渡って均一にすることができる。
【0051】
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はこれら実施の形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によって定められる。
【符号の説明】
【0052】
1:渡り板装置
2:箱体
3:他平面(路面)
4:渡り板本体
8:箱体の上面
11:箱体側面
12:係合手段
13:下辺
14:移動板
15:上辺
16:支承板
22:接地板
30:渡り板装置
31:係合手段
32:下辺
33:移動板
34:上辺
35:支承板
【要約】
【課題】 渡り板で連絡しようとする箱体の上面と他平面と間における進行方向に向かって左右の傾きを吸収することができ、大型車両にも使用できるとともに、耐久性に優れた渡り板装置を提供する。
【解決手段】 箱体2の上面8と他平面3との間を連絡する渡り板装置1であって、当該渡り板装置1は、渡り板本体4と、箱体側面11と渡り板本体側面とを係合する係合手段12と、を備え、当該係合手段12は、前記箱体側面11の支承部と、前記渡り板本体側面の移動部と、から構成され、前記支承部と前記移動部のうち少なくとも一方が、前記箱体側面11に平行な半径Rの円弧状係合部を有しており、当該円弧状係合部を介して前記移動部が前記支承部に支承された状態で、さらに前記円弧状係合部にガイドされて前記移動部が移動することにより、前記渡り板本体4が前記箱体2に対し回動可能なことを特徴とする。
【選択図】 図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9