【実施例】
【0024】
以下の実施例において、本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【0025】
[実施例1]抗体の作製
抗体の作製に関しては、島根大学動物実験専門委員会に動物実験計画承認申請書を申請し、承認を受けたうえで施行した。
【0026】
活性型IL−18タンパク質のN末端配列に位置する37位〜44位のペプチドにシステイン(C)をC末端に付加したペプチド(配列番号1、YFGKLESKC)を常法に従い合成した。
【0027】
感作抗原としてkeyhole−limpet hemocyanin(以下、KLH)をImject Maleimide−Activated mcKLH spin Kit(Thermo Scientific)を用いて配列番号1のペプチドにクロスリンク後、常法に従いマウスに免疫した。
【0028】
同じペプチドを牛血清アルブミン(以下、BSA)にImject Maleimide−Activated BSA spin Kit(Thermo Scientific)を用いてクロスリンクし、これを用いてELISA法によりスクリーニングを行い、ハイブリドーマ9−10.2、及び8−4.1を選別樹立した。なお、ハイブリドーマ9−10.2、8−4.1が産生する抗体を、それぞれ9−10.2抗体、8−4.1抗体と称する。
【0029】
IsoStrip マウスモノクローナル抗体アイソタイピングキット(Sigma)を用いて、ハイブリドーマ9−10.2、及び8−4.1が産生する活性型IL−18を認識するモノクローナル抗体9−10.2、及び8−4.1のアイソタイプを確認したところ、共にIgG1,κであった。
【0030】
[実施例2]9−10.2抗体、及び8−4.1抗体の評価(キャピラリーウエスタンイムノアッセイ法)
認識部位の異なる抗IL−18抗体(11−4.1、エピトープ:IL−18の63位から68位の領域、配列番号2、RPLFED)との性能比較を行った。11−4.1抗体は、本発明者らが樹立したハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体であり、IL−18を高感度に検出することがすでに示されている抗体である。
【0031】
大腸菌で発現し精製した全長IL−18を、大腸菌で発現精製した活性型caspase−4
105−377(caspase−4の105位〜377位のペプチドを意味する。以下、N末端のアミノ酸位置、C末端のアミノ酸位置でペプチドを特定して記載することがある。)と混合し、活性型IL−18タンパク質(IL−18
37−193)を精製取得した。エドマン分解法により精製したタンパク質のN末端配列を決定したところ、予想通りYFGKLであった。これは活性型のIL−18のN末端である37位のチロシンから、41位のロイシンに該当する。
【0032】
また、開始コドンATG、及びC末端にHisタグを付加したIL−18タンパク質(37位〜193位)を大腸菌で発現精製した。この場合、合成開始メチオニン(Met)の次のアミノ酸がチロシン(
37Y)であるため、メチオニンアミノペプチダーゼが作用できないため合成開始メチオニンが脱離せず(非特許文献3、4)、Met−IL−18
37−193−Hisタンパク質となると考えられる。エドマン分解法により精製タンパク質のN末端配列を決定したところ、予想通り合成開始メチオニンが付加していた。
【0033】
これらタンパク質を用いて、認識部位の異なる抗IL−18抗体(11−4.1、エピトープ:IL−18の
63RPLFED
68)と9−10.2抗体、及び8−4.1抗体との比較を行った。
【0034】
活性型caspase−4
105−377で切断した200、100、50、25ng/mL濃度の活性型IL−18タンパク質、及び200、100ng/mL濃度のN末端に合成開始メチオニンが付加したMet−IL−18
37−193−Hisタンパク質をWes(プロテインシンプル社)を用いてキャピラリーウエスタンイムノアッセイ法により検出した。1次抗体として、各精製抗体を0.4mg/mLに調整後、125倍希釈で使用した。露光時間、2次抗体など他の条件はすべて同一条件で行った。結果を
図1に示す。
【0035】
9−10.2抗体、及び8−4.1抗体は、活性型IL−18タンパク質IL−18
37−193は認識するにもかかわらず、活性型IL−18のN末端にメチオニンが付加されたMet−IL−18
37−193−Hisタンパク質は認識しなかった。一方、IL−18の63位〜68位をエピトープとする11−4.1抗体は、活性型IL−18(IL−18
37−193)、Met−IL−18
37−193−Hisタンパク質も同じように認識した。
【0036】
活性型IL−18もMet−IL−18
37−193−Hisタンパク質も、IL−18の37位から193位の領域を含んでいる。しかし、9−10.2抗体、及び8−4.1抗体は、Met−IL−18
37−193−Hisタンパク質を認識しなかった。すなわち、これら抗体は37位のチロシンのN末側にアミノ酸が付加しているペプチドは認識できず、IL−18
37−193タンパク質、すなわち、活性型IL−18に存在するネオエピトープを認識することを示している。
【0037】
[実施例3]臨床検体を用いた9−10.2抗体、及び8−4.1抗体の評価(キャピラリーウエスタンイムノアッセイ法)
成人スチル病(AOSD)は、IL−18タンパク質が高値を示すことが報告されている疾患である(非特許文献5)。島根大学医学部の倫理委員会の承認を受け、患者血清中のIL−18タンパク質を、キャピラリーウエスタンイムノアッセイ法により検出した。患者血清は10倍希釈し、1次抗体として、9−10.2抗体を0.4mg/mLに調整後、1:125倍希釈で使用した。内部標準タンパク質として、実施例2で用いた活性型IL−18タンパク質(IL−18
37−193)を用い、患者血清中に含まれる活性化型IL−18の量及び分子量を実施例2と同様にして解析を行った。結果を
図2に示す。10名の患者において活性型IL−18、すなわち標準タンパク質として用いたIL−18
37−193と同じサイズにバンドが検出された。また、
図2の下に患者血清中に存在した活性型IL−18の量を示しているが、極めて微量の活性化型IL−18も定量することができた。
【0038】
実施例3で示すように、活性型IL−18を認識する抗体である9−10.2、及び8−4.1抗体を用いれば、非常にシンプルな方法によって活性型IL−18を検出することができる。
【0039】
[実施例4]9−10.2抗体、及び8−4.1抗体の免疫沈降法への応用
免疫沈降法における有用性について、認識部位の異なる11−4.1抗体と比較し評価した。全長IL−18タンパク質を活性型caspase−4
105−377とともに293T細胞で発現させた。既存のFlagタグ抗体(M2)はネガティブコントロール抗体として使用した。免疫沈降産物は自家製の抗IL−18ウサギポリクローナル抗体でウエスタンブロット法により検出した。結果を
図3に示す。
【0040】
図3上段には、全長IL−18、活性型IL−18、各抗体が認識する部位を模式的に示している。293T細胞に全長IL−18、及び活性形caspase−4を発現させると、全長IL−18タンパク質は、活性型caspase−4で切断されるが、細胞内には切断されていない全長IL−18が存在している。11−4.1抗体で免疫沈降した結果は、全長IL−18タンパク質が多く免疫沈降されてきており、細胞内には切断されていないpro−IL−18が多く存在していることを示している。一方、8−4.1、9−10.2抗体で免疫沈降した場合には、全長IL−18は免疫沈降されておらず、より多くのIL−18
37−193が免疫沈降されている。つまり、9−10.2抗体、及び8−4.1抗体は細胞内でcaspase−4
105−377により切断された活性型IL−18
37−193タンパク質を特異的に認識し効率よく免疫沈降できるモノクローナル抗体であることが明らかとなった。
【0041】
[実施例5]9−10.2抗体、及び8−4.1抗体のヒトIL−18機能阻害活性
大腸菌で発現精製した活性型IL−18タンパク質を急性骨髄性白血病細胞株KG−1(JCRB0065)に添加するとIFN−γが産生されることが知られている(非特許文献6)。抗体がIL−18機能阻害抗体であれば、IL−18によるIFN−γ産生を阻害する(
図4上模式図参照)。
【0042】
KG−1細胞に活性型IL−18を0.5ng、9−10.2抗体、及び8−4.1抗体の濃度を変えて添加して、IFN−γの産生をIFN−γ検出ELISA法(Diaclone社、IFN−γELISAセット)により検出した。その結果、9−10.2、及び8−4.1抗体は量依存的にIFN−γの産生に対し阻害活性を示した(
図4下)。9−10.2、及び8−4.1抗体はいずれもヒトIL−18機能を阻害する抗体として作用することから、IL−18が過剰に発現することによって惹起される疾患や増悪する疾患の治療に用いることができる。特に、9−10.2はIC
50が2.8nMと非常に強い阻害活性を示した。
【0043】
[実施例6]9−10.2抗体、及び8−4.1抗体の細胞免疫染色法への応用
全長IL−18タンパク質(human IL−18)をG196タグ(DLVPR、配列番号3、特許文献11)が融合した活性型caspase−4
105−377(G196−Caspase−4
105−377)の存在下(
図5左)あるいは非存在下(
図5右)で293T細胞に発現させた。ホルマリン固定後、常法に従い9−10.2抗体を用いて細胞免疫染色を行った。
【0044】
活性型caspase−4
105−377の存在は、G196を認識するウサギポリクローナル抗体(G196 pAb)により検出した(
図5左、右上)。また、活性型caspase−4非存在下においてIL−18の存在は、IL−18を認識するウサギポリクローナル抗体(αIL−18 pAb)により検出した(
図5右、右上)。活性型caspase−4存在下(
図5左)では、9−10.2抗体によってIL−18の存在が確認されている。一方、caspase−4非存在下(
図5右)では、IL−18の存在がウサギポリクローナル抗体によって確認されているにもかかわらず、IL−18は9−10.2抗体によって検出されない。すなわち、9−10.2抗体は、細胞免疫染色法においても細胞内でcaspase−4
105−377により切断された活性型IL−18
37−193タンパク質を特異的に認識できるモノクローナル抗体であることを示している。
【0045】
[実施例7]9−10.2抗体、及び8−4.1抗体のエピトープの検討
上述のようにcaspaseなどのタンパク質分解酵素によりタンパク質が切断されると、通常のタンパク質には存在しないタンパク質断端、ネオエピトープが形成される。抗体作製に用いたネオエピトープペプチドにおいて、抗体認識に重要なネオエピトープ断端とは反対のN末端あるいはC末端のアミノ酸を起点に順次連続的にアラニンに置換したペプチドを作製し、抗体のネオエピトープ認識範囲を同定した。この抗体が認識するネオエピトープの範囲を決定する方法を「ネオエピトープ微分析法」と命名した。ネオエピトープ微分析法は、1アミノ酸ずつアラニンに置換するアラニンスキャニング法とは異なり、連続してアラニンに置換することにより抗体のエピトープを決定する方法である。ネオエピトープ微分析法は、ネオエピトープにおける抗体の結合領域を決定するのに優れた方法である。ここでは以下に示すようにELISAによって定量的な解析を行っているが、ELISAに限らず、SPR法などによっても解析が可能である。また、以下の実施例ではアラニンに置換して解析を行っているが、分子量が小さく、構造的に大きな変化をもたらさないアミノ酸、例えば、グリシンなどを用いることもできる。
【0046】
ネオエピトープペプチド(37位〜44位)のC末端のアミノ酸(44位のリシン(K44))を起点に順次連続的にアラニンに置換したペプチドにクロスリンク用CysをC末端に付加したペプチドを常法に従い合成した。各ペプチドにBSAをImject Maleimide−Activated BSA spin Kitによりクロスリンクし、ELISA法により9−10.2抗体、及び8−4.1抗体の認識部位の解析を行った。
図6(A)のELISAプレート写真の右には、プレートリーダーで取得した吸光度を野生型のペプチドを100として標準偏差と共に示した。
【0047】
40位のリシンから44位のリシンまでをアラニンに置換したペプチドに対しては、どちらの抗体もほとんど反応性を示さないが、40位のリシンが存在することにより、野生型のペプチドの1/4程度の反応性を示す。さらに、41位から43位まで置換するアラニンの数が減っても抗体の反応性にはさほど変化はない。
【0048】
次に、アラニンスキャニング法により、エピトープ解析を行った。活性型IL−18タンパク質のN末端配列ペプチド(37位〜44位)にクロスリンク用にシステインをC末端に付加したペプチド(YFGKLESKC、配列番号1)の各アミノ酸のアラニン変異体を常法に従い合成した。上記と同様に、BSAをクロスリンクした各ペプチドを用いたELISA法により9−10.2抗体、及び8−4.1抗体の認識部位解析を行った(
図6(B))。
【0049】
9−10.2、及び8−4.1抗体は共に、活性型IL−18タンパク質のN末端配列ペプチドの一番目のアミノ酸(37位のチロシン(Y)をアラニン(A)に変えたペプチド(Y37A)、G39Aペプチド及びK40Aペプチドをほとんど認識できなかった。また、L41A、E42Aの変異体に対しては弱い結合を示し、F38A、S43A、及びK44Aの変異体に対しては、50%程度の結合を示した。
【0050】
さらに、同じペプチドを用い表面プラズモン共鳴解析を行った。ネオエピトープペプチド(37位〜44位)のC末端のアミノ酸(44位のリシン(K44))を起点に順次連続的にアラニンに置換したペプチドにクロスリンク用CysをC末端に付加した各ペプチドをリガンドチオールカップリング法によりセンサーチップCM5(GE Healthcare、BR100012)に固定化した。精製抗体9−10.2を50nMの濃度で、Biacore X100(GE Healthcare)を用いてsingle−cycleで測定し「ネオエピトープ微分析」を行なった(
図7(A))。
【0051】
40位のリシンから44位のリシンまでをアラニンに置換したペプチドに対しては、まったく結合しなかったが、40位のリシンが存在することにより、結合がみられるようになった。さらに、40位のリシンが存在することにより、ペプチドからの乖離については41位から43位まで置換するアラニンの数が減っても抗体の反応性にはさほど変化はなかった。
【0052】
次に、活性型IL−18タンパク質のN末端配列ペプチド(37位〜44位)にクロスリンク用にシステインをC末端に付加したペプチド(YFGKLESKC、配列番号1)の各アミノ酸のアラニン変異体をリガンドチオールカップリング法によりセンサーチップCM5に固定化した。精製抗体9−10.2を50nMの濃度で、Biacore X100を用いてsingle−cycleで測定し「アラニンスキャニング分析」を行なった(
図7(B))。
【0053】
9−10.2抗体は、活性型IL−18タンパク質のN末端配列ペプチドの三番目のアミノ酸(39位のグリシン(G))をアラニン(A)に変えたペプチド(G39A)をまったく認識できなかった。Y37A、K40A変異体に対しては乖離しやすくなっており、F38A、L41A、E42A、S43A、及びK44Aの変異体に対しては、乖離には影響していないことが明らかとなった。
【0054】
表面プラズモン共鳴解析によっても、
図6に示したELISAによる解析と同様の結果を得ることができた。「ネオエピトープ微分析」によって結合に重要となるコア領域を、「アラニンスキャニング分析」によって、結合に重要なアミノ酸の情報を得ることができる。
【0055】
既知のヒトIL−18のNMR構造解析(PDB:1J0S、
図7(C))も併せて考えると、9−10.2抗体、及び8−4.1抗体は、構造表面に露出している37位のチロシン(Y37)から44位のリシン(K44)までの8アミノ酸が認識には重要であると考えられる。
【0056】
さらに、上記ネオエピトープ微積分法による結果から、9−10.2抗体、及び8−4.1抗体が認識するためには、37位から40位までのペプチドが特に重要であることが明らかとなった。すなわち、9−10.2抗体、及び8−4.1抗体はともにエピトープとしてYFGKLESK(配列番号4)、ミニマムエピトープとしてYFGK(配列番号5)を認識することが明らかとなった。
【0057】
ペプチドYFGKLESK、あるいはYFGKは、活性化型IL−18を認識する抗体が結合するエピトープである。したがって、これら配列を含むペプチドを免疫原とするワクチン、あるいはこのペプチドを含む領域とともに、IL−18受容体と結合するIL−18の他の領域のペプチドとを組み合わせて治療薬として使用できる可能性がある。
【0058】
また、IL−18BPのうち構造解析されている3F62(poxvirusのIL−18BP)、及び4EEE(yatapovirusのIL−18BP)のIL−18結合部位は、Y37、F38、G39の領域が含まれている(非特許文献7、8)。ヒトIL18BPの構造解析はまだ行われていないが、一次配列が類似しており、同じ領域に結合する可能性が高い。IL−18BPが結合したIL−18には、9−10.2抗体、及び8−4.1抗体は結合しないものと考えられる。したがって、これら抗体を使用することによって、IL−18BPが結合していないフリーのIL−18を測定することができる。
【0059】
具体的には、9−10.2抗体、あるいは8−4.1抗体を基板にコートし、血清と反応させる。IL−18BPが結合したIL−18には9−10.2抗体や8−4.1抗体は結合することができず、ネオエピトープが露出している活性化型IL−18のみを捕捉することができる。捕捉されたIL−18を別の部位を認識する抗体と反応させ、測定を行えばよい。これまで、煩雑な方法で測定していたIL−18BPと結合していないフリーのIL−18もELISAによって簡便に測定することが可能となる。
【0060】
[実施例8]9−10.2抗体とIL−18
37−44ペプチドとの親和性解析(表面プラズモン共鳴解析)
活性型IL−18タンパク質のネオエピトープペプチド(37位〜44位)にクロスリンク用にシステインをC末端に付加したペプチド(YFGKLESKC、配列番号1)をリガンドチオールカップリング法によりセンサーチップCM5に固定化した。精製抗体9−10.2を0.4nM〜250nMの範囲で5濃度、5倍希釈系列でBiacore X100を用いてsingle−cycleで測定した(
図8)。解析はbivalent analysisで行った。
【0061】
結果は、K
D:1.9x10
−10M、K
a:2.1x10
5M
−1s
−1、K
d:4.0x10
−5s
−1であった。9−10.2抗体は、非常に高い親和性で、活性型IL−18タンパク質のN末端配列ペプチドに結合していることが明らかとなった。
【0062】
[実施例9]モノクローナル抗体9−10.2、及び8−4.1の競合実験解析
実施例7のエピトープ解析からモノクローナル抗体9−10.2、及び8−4.1は同じエピトープを認識していると考えられる。さらに、実施例8の結果から、9−10.2抗体は非常に高い親和性でネオエピトープに結合していることが明らかになった。そこで、モノクローナル抗体9−10.2、及び8−4.1の競合実験を行い、9−10.2抗体、8−4.1抗体が同一のエピトープを認識し、競合するか解析を行った(
図9)。
【0063】
配列番号1のペプチド(YFGKLESKC)にBSAをクロスリンクさせ、50mM NaHCO
3を用い5ng/100μlに調整し、ELISAプレートに、4℃で一晩コーティングした。常法によりELISAプレートはブロッキング、洗浄を行い、0、100、300、1000ng/100μlに調整した9−10.2、あるいは8−4.1抗体溶液を添加し、25℃で1時間反応を行った。なお、抗体を入れないウェルには洗浄液のみを添加している(
図9、HRPを付加していない1次抗体参照。)。
【0064】
次に、HRPラベルした各抗体(0.5μg/μl)を洗浄液にて100倍希釈し、一次抗体として8−4.1抗体をペプチドに結合させたウェルには、HRP標識した9−10.2抗体を、9−10.2抗体をペプチドに結合させたウェルにはHRP標識した8−4.1抗体を100μlずつ添加し、25℃ 1時間インキュベートした(
図9、HRPを付加した2次抗体参照。)。その後、洗浄を行い、発色させ、吸光度を測定した(
図9、吸光度 450nm−620nm参照。)。
【0065】
1次抗体として8−4.1抗体を、2次抗体としてHRP標識した9−10.2抗体を用いると、9−10.2抗体が1次抗体である8−4.1抗体と競合した結果、ペプチドに結合することが示された。したがって、9−10.2、8−4.1抗体は互いに競合し、9−10.2抗体は8−4.1抗体と比較して、活性形IL−18に高い親和性を有することが明らかとなった。
【0066】
[実施例10]抗体遺伝子の解析
次に、各抗体の遺伝子解析を行った。ハイブリドーマ9−10.2、8−4.1よりRNAを抽出後、oligo−dTプライマーを用いて逆転写しcDNAを作成した。合成したcDNAを、H鎖及びL鎖のプライマーセットを用いて、ダイレクトシークエンス法により超可変領域の抗体遺伝子の配列、及びアミノ酸配列を決定した。
【0067】
用いたH鎖及びL鎖のプライマーの配列は以下のとおりである。
H鎖プライマー
VH1−1S:5′-gg
ggatcc ag gts mar ctg cag sag tcw gg-3′(配列番号6)
s=g+c、m=a+c、r=a+g、w=a+t
IgG2−1AS:5’-gg
gaattc ctt gac cag gca tcc tag agt ca-3’(配列番号7)
L鎖プライマー
VK−1S:5′-gg
ggatcc gay att gtg mts acm car wct mca -3(配列番号8)
y=c+t、m=a+c、s=g+c、r=a+g、w=a+t
CK−2AS:5’-gg
gaattc gaa gat gga tac agt tgg
tgc-3’(配列番号9)
なお、下線部は制限酵素の認識サイトを示す。
【0068】
H鎖の遺伝子解析によって、9−10.2抗体のH鎖の塩基配列(配列番号10)、アミノ酸配列(配列番号11)、8−4.1抗体のH鎖の塩基配列(配列番号12)、アミノ酸配列(配列番号13)を決定した。また、L鎖の遺伝子解析によって、9−10.2抗体のL鎖の塩基配列(配列番号14)、アミノ酸配列(配列番号15)、8−4.1抗体のL鎖の塩基配列(配列番号16)、アミノ酸配列(配列番号17)を決定した。
【0069】
9−10.2抗体、8−4.1抗体の各相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列、遺伝子配列について以下にまとめる。
[表1]
【0070】
[表2]
【0071】
[表3]
【0072】
[表4]
【0073】
本実施例で示したように、上記CDRを有する抗体は、感度、特異度良く活性型IL−18を特異的に認識する抗体である。したがって、ELISAなど臨床現場でも簡便に実施できる方法によって、活性型のIL−18を検出することが可能となる。その結果、臨床現場においてIL−18関連疾患か否かを簡便に判断することできることが可能となり、治療方針の策定に役立てることができる。また、ウエスタンブロッティング、キャピラリーウエスタンイムノアッセイ法、免疫沈降法、細胞免疫染色法など様々な方法に応用することができるので、研究用試薬としても広く応用することができる。さらに、IL−18の機能を阻害することができることが明らかになっており、IL−18関連疾患を治療する薬剤としても非常に有用な抗体である。