(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基材又は剥離材上に、主成分として構成単位の主鎖に炭素原子を有する炭素原子含有樹脂を含む樹脂部分(X)と、シリカ粒子を含む微粒子からなる粒子部分(Y)とを含む樹脂層を有し、少なくとも前記基材又は剥離材が設けられた側とは反対側の前記樹脂層の表面(α)が粘着性を有する粘着シートであって、
表面(α)に、凹部及び平坦面が存在し、
表面(α)上の一辺5mmの正方形で囲まれた領域(P)を任意に選択し、当該正方形の2本の対角線のそれぞれを通り、表面(α)上の領域(P)に対して垂直となるような平面で厚さ方向に前記粘着シートを切断して得られる2つの断面のうち、少なくとも1つの断面(P1)において、
当該断面(P1)の表面(α)側に、前記樹脂層の総厚の40%以上の最大高低差を有する凹部と、領域(P)内に存在する前記平坦面の切断部分に相当し、前記基材又は剥離材の前記樹脂層と接触した表面と略平行な平坦部とが存在し、
当該断面(P1)に存在する一個の前記凹部の厚さ方向で下に位置する所定の領域(S)に対して、エネルギー分散型X線分析を用いて測定されるケイ素原子に由来のピーク強度(Si)と炭素原子に由来のピーク強度(C)との強度比Si/Cの値(SEDX)と、
当該断面(P1)に存在する一個の前記平坦部の厚さ方向で下に位置し、領域(S)と水平方向の長さが同じ所定の領域(T)に対して、エネルギー分散型X線分析を用いて測定される前記強度比Si/Cの値(TEDX)との比(SEDX/TEDX)の絶対値が0.005以上、0.150以下である、粘着シート。
基材又は剥離材上に、主成分として構成単位の主鎖に炭素原子を有する炭素原子含有樹脂を含む樹脂部分(X)と、シリカ粒子を含む微粒子からなる粒子部分(Y)とを含む樹脂層を有し、少なくとも前記基材又は剥離材が設けられた側とは反対側の前記樹脂層の表面(α)が粘着性を有する粘着シートであって、
表面(α)に、凹部及び平坦面が存在し、
表面(α)上の一辺5mmの正方形で囲まれた領域(P)を任意に選択し、当該正方形の2本の対角線のそれぞれを通り、表面(α)上の領域(P)に対して垂直となるような平面で厚さ方向に前記粘着シートを切断して得られる2つの断面のうち、少なくとも1つの断面(P1)において、
当該断面(P1)の表面(α)側に、前記樹脂層の総厚の40%以上の最大高低差を有する凹部と、領域(P)内に存在する前記平坦面の切断部分に相当し、前記基材又は剥離材の前記樹脂層と接触した表面と略平行な平坦部とが存在し、
当該断面(P1)に存在する一個の前記凹部の厚さ方向で下に位置する所定の領域(S)に対して、エネルギー分散型X線分析を用いて測定されるケイ素原子に由来のピーク強度(Si)と炭素原子に由来のピーク強度(C)との強度比Si/Cの値(SEDX)が0.01以下である、粘着シート。
断面(P1)の表面(α)側に、前記樹脂層の総厚の40%以上の最大高低差を有する凹部が複数有り、それぞれの形状が互いに異なる請求項1〜5のいずれか1項に記載の粘着シート。
前記断面(P1)において、表面(α)側に存在する前記複数の平坦部のそれぞれの前記基材又は剥離材までの距離が略同一である、請求項8又は9に記載の粘着シート。
前記樹脂層の表面(α)に、少なくとも直径100μmの円で囲まれた領域を選択可能な広さを有する平坦面(f1)が1個以上存在する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の粘着シート。
前記樹脂層が、基材又は剥離材が設けられた側から、主成分として構成単位の主鎖に炭素原子を有する炭素原子含有樹脂を含む樹脂部分(X)を主として含む層(Xβ)、シリカ粒子を含む微粒子からなる粒子部分(Y)を15質量%以上含む層(Y1)、及び主成分として構成単位の主鎖に炭素原子を有する炭素原子含有樹脂を含む樹脂部分(X)を主として含む層(Xα)をこの順で積層した多層構造体である、請求項1〜19のいずれか1項に記載の粘着シート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明において、例えば、「主成分としてXX成分を含むYY」や「主にXX成分からなるYY」との記載は、「YYに含まれる成分のうち、最も含有量が多い成分はXX成分である」ということを意味している。当該記載における具体的なXX成分の含有量としては、YYの全量(100質量%)に対して、通常50質量%以上、好ましくは65〜100質量%、より好ましくは75〜100質量%、更に好ましくは85〜100質量%である。
また、本発明において、例えば、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」と「メタクリル酸」の双方を示し、他の類似用語も同様である。
さらに、好ましい数値範囲(例えば、含有量等の範囲)について、段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、「好ましくは10〜90、より好ましくは30〜60」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10〜60」とすることもできる。
【0018】
なお、本発明において、「構成単位の主鎖に炭素原子を有する炭素原子含有樹脂(以下、単に「炭素原子含有樹脂」ともいう)」としては、構成単位の主鎖に炭素原子以外の原子を有する樹脂(例えば、ウレタン系樹脂等)は含まれるが、構成単位の主鎖に炭素原子を有さない樹脂(例えば、シリコーン系樹脂等)は含まれない。
【0019】
〔本発明の粘着シートの構成〕
本発明の粘着シートは、基材又は剥離材上に樹脂層を有し、少なくとも前記基材又は剥離材が設けられた側とは反対側の前記樹脂層の表面(α)が粘着性を有する粘着シートであって、表面(α)には、凹部及び平坦面が存在する。
【0020】
図1は、本発明の粘着シートの構成の一例を示す、当該粘着シートの断面模式図である。
本発明の一態様の粘着シートとしては、例えば、
図1(a)に示すような、基材11上に、樹脂層12を有する粘着シート1aや、
図1(b)に示すような、剥離材21上に、樹脂層12を有する粘着シート1bが挙げられる。
【0021】
本発明の粘着シートは、少なくとも基材11又は剥離材21が設けられた側とは反対側の樹脂層12の表面(α)12a(以下、単に「表面(α)」ともいう)は粘着性を有し、凹部13及び平坦面14が存在する。
そのため、取扱性の観点から、本発明の別の一態様の粘着シートとしては、
図1に示す粘着シート1a、1bに対して、樹脂層12の表面(α)12a上にさらに剥離材22を設けた、
図1(c)又は(d)に示すような、粘着シート2a、2bのような構成を有するものが好ましい。
【0022】
なお、本発明の一態様の粘着シートにおいて、
図1に示すように、樹脂層12が、主成分として炭素原子含有樹脂を含む樹脂部分(X)と、シリカ粒子を含む微粒子からなる粒子部分(Y)とを含むものであることが好ましい。
樹脂層12中に粒子部分(Y)を含むことで、貼付後の形状維持性を向上することができ、得られる粘着シートを高温下で使用した場合に、ブリスターの発生を効果的に抑制することができる。
主成分として炭素原子含有樹脂を含む樹脂部分(X)及び粒子部分(Y)の詳細は後述のとおりである。
【0023】
また、本発明の一態様である粘着シートにおいて、基材11又は剥離材21が設けられた側の樹脂層12の表面(β)12b(以下、単に「表面(β)」ともいう)も粘着性を有していてもよい。
表面(β)も粘着性を有することで、
図1(a)及び(c)に示す粘着シート1a、2aであれば、樹脂層12と基材11との密着性が良好となり、
図1(b)及び(d)に示す粘着シート1b、2bであれば、両面粘着シートとすることができる。
【0024】
〔表面(α)に存在する凹部及び平坦面に関する要件〕
本発明の粘着シートは、
図1(a)〜(d)に示すように、樹脂層12の表面(α)12aには凹部13及び平坦面14が存在する。
表面(α)に存在する凹部13は、本発明の粘着シートの樹脂層の表面(α)を被着体に貼付する際に生じる「空気溜まり」を外部へ逃すための空気排出通路としての役割を担うものである。
一方、表面(α)に存在する平坦面14は、被着体との貼り合わせ時に、被着体と直接接触して密着する面であり、粘着シートの粘着力に影響を及ぼす箇所である。
【0025】
図2は、本発明の粘着シートが有する樹脂層の表面(α)側から観察した際の表面(α)の平面模式図である。
樹脂層の表面(α)に存在する凹部は、
図2に示すような、不定形の凹部13であることが好ましいが、定形の凹部が存在していてもよい。
ただし、本発明の一態様において、
図2に示すように、樹脂層12の表面(α)12aに、不定形の凹部13が1個以上存在していることが好ましく、不定形の凹部13が複数存在していることがより好ましい。
樹脂層の表面(α)に不定形の凹部が存在していることで、エア抜け性及び粘着特性をバランス良く、更に向上させた粘着シートとすることができる。
また、不定形の凹部が複数存在することで、一定方向からの圧力が加えられ、表面(α)に存在する凹部の一部の形状が崩れた場合においても、表面(α)には形状が維持された凹部13が存在し易く、エア抜けの経路が消失することを防ぐことが出来る。
【0026】
なお、表面(α)に存在する凹部13を平面視した場合における当該凹部13の長さは、特に制限はない。つまり、凹部13は、比較的長い溝形状のものや、比較的短い窪み形状のものが含まれる。
【0027】
本発明の一態様において、
図2に示すように、樹脂層12の表面(α)12a側から観察した平坦面14の形状が不定形であることが好ましい。
なお、樹脂層の表面(α)に存在する平坦面は、不定形の平坦面14と共に、定形の平坦面が存在していてもよいが、不定形の
平坦面14が複数存在していることが好ましい。
樹脂層の表面(α)に不定形の平坦面が存在していることで、一般的なエンボスパターンを有する剥離シートを用いて形成された粘着剤層の表面と異なり、局所的に粘着力が弱い箇所やエア抜け性が劣る箇所の存在を限りなく少なくすることができる。その結果、樹脂層の表面(α)に対して、一様に優れたエア抜け性及び粘着特性を発現させることができる。
【0028】
なお、本発明において、「不定形」とは、円や楕円等の中心を作図可能な図形、及び多角形等といった定形の形状を有さず、形に規則性が無く、個々の形状に類似性が見られない形状を指し、具体的には、
図2に示す凹部13及び平坦面14の形状が該当する。
一方、「不定形」ではない「定形」のものとしては、円や楕円及び多角形等が挙げられる。なお、本明細書において、「多角形」とは、その内部に(外部にはみ出さずに)対角線を作図可能な図形であって、内角の和が180×n(度)(nは自然数)の直線で囲まれた図形を指す。当該多角形は、その角部がアール状の湾曲形状であるものも含まれる。
【0029】
また、本発明において、樹脂層の表面(α)に「不定形」の凹部又は平坦面が存在しているか否かの判断は、樹脂層の表面(α)側から、観察対象の平坦面又は凹部の形状を目視又はデジタル顕微鏡(倍率:30〜100倍)で観察して判断するのが原則である。
なお、デジタル顕微鏡を用いる場合には、例えば、
図6に示すように、表面(α)12a上の目視で平坦面が存在すると思われる箇所の上方からA方向へ徐々に焦点を移動し、初めて焦点があった部分を平坦面として観察するのが適当である。
また、上記の方法で焦点が定まらない場合には、
図6(b)のように、樹脂層の表面(α)12a上に平滑面100aを有する透光性被着体100を可能な限り荷重をかけないようにスキージを用いて貼り、W方向からデジタル顕微鏡を用いて透光性被着体100を介して樹脂層の表面(α)12aを観察し、凹部及び平坦面が存在しているか否かを確認する方法で判断してもよい。つまり、平滑面100aと接触する表面(α)の箇所を「平坦面」と判断し、平滑面100aと接触していない表面(α)の箇所を「凹部」と判断することができる。
【0030】
ただし、表面(α)上の任意に選択された縦8mm×横10mmの長方形で囲まれた領域(D)を1〜10領域選択し、選択した各領域(D)内に存在する凹部又は平坦面の形状を表面(α)側から目視又はデジタル顕微鏡(倍率:30〜100倍)で観察して判断してもよい。つまり、選択したいずれの領域においても、不定形の凹部又は平坦面が存在していれば、「表面(α)に、不定形の凹部又は平坦面が存在する」とみなすこともできる。同様に、選択したいずれの領域においても、不定形の凹部又は平坦面が複数存在していれば、「表面(α)に、不定形の凹部又は平坦面が複数存在する」とみなすこともできる。
領域(D)の観察に際しては、デジタル顕微鏡を用いて、低倍率で選択した領域(D)の全面を一度に観察してもよい。
また、デジタル顕微鏡を用いて、高倍率で、選択した領域(D)を観察してもよいが、高倍率で観察しているため、当該領域(D)が、デジタル顕微鏡の撮影可能領域より大きくなる場合がある。このような場合には、デジタル顕微鏡の画像連結機能を用いて、任意に選択した互いに隣り合わせの領域を撮影して隣接する複数の画像を取得し、当該複数の画像を連結し連結画像として、当該連結画像から任意に選択した縦8mm×横10mmの長方形で囲まれた部分を領域(D)として、上記の判断に用いてもよい。
なお、以下に記載において、ある要件を満たしているか否かの判断を行うために、選択した領域内をデジタル顕微鏡を用いて観察する場合においても、上記と同様に連結画像から、当該要件を満たしているか否かの判断をしてもよい。
【0031】
なお、本明細書の記載にて、各種形状の観察を行う際に使用するデジタル顕微鏡としては、例えば、キーエンス社製の製品名「デジタルマイクロスコープVHX−1000」や「デジタルマイクロスコープVHX−5000」等が挙げられる。
また、各種形状を観察する際には、表面(α)を上記倍率にて直接デジタル顕微鏡で観察する方法でもよく、上記倍率にてデジタル顕微鏡を用いて画像を取得し、当該画像に示された凹部及び平坦部の形状を目視で観察する方法でもよい。
【0032】
また、表面(α)に存在する不定形の凹部の形状が、表面(α)側から目視により視認できることが好ましい。
同様に、表面(α)に存在する不定形の平坦面の形状が、表面(α)側から目視により視認できることが好ましい。
なお、
図1(c)又は(d)に示すような、樹脂層12の表面(α)12a上に剥離材22が積層した粘着シート2a、2bにおいては、当該剥離材22を除去した際に、表出した表面(α)12aを目視で観察するものとする。
【0033】
本発明の一態様において、表面(α)には、不定形の凹部13と共に、定形の凹部が存在していてもよい。
ただし、表面(α)に存在する凹部の全面積100%に対する、表面(α)に存在する不定形の凹部が占める面積割合としては、好ましくは80〜100%、より好ましくは90〜100%、更に好ましくは95〜100%、より更に好ましくは100%である。
【0034】
また、本発明の一態様において、表面(α)の全面積100%に対する、表面(α)に存在する凹部が占める面積割合としては、好ましくは10〜80%、より好ましくは20〜70%、更に好ましくは30〜60%、より更に好ましくは35〜55%である。
【0035】
同様に、本発明の一態様において、表面(α)には、不定形の平坦面14と共に、定形の平坦面が存在していてもよい。
ただし、表面(α)に存在する平坦面の全面積100%に対する、表面(α)に存在する不定形の平坦面が占める面積割合としては、好ましくは80〜100%、より好ましくは90〜100%、更に好ましくは95〜100%、より更に好ましくは100%である。
【0036】
また、本発明の一態様において、表面(α)の全面積100%に対する、表面(α)に存在する平坦面が占める面積割合としては、好ましくは20〜90%、より好ましくは30〜80%、更に好ましくは40〜70%、より更に好ましくは45〜65%である。
【0037】
なお、上記の「凹部又は平坦面が占める面積割合」は、デジタル顕微鏡(倍率:30〜100倍)を用いて、表面(α)の画像を取得し、当該画像に対して画像処理(2値化処理)を行い算出することができる。
また、表面(α)上の任意に選択された縦8mm×横10mmの長方形で囲まれた領域(D)を1〜10領域選択し、デジタル顕微鏡(倍率:30〜100倍)を用いて、当該領域の画像を取得し、当該画像から各領域の「凹部又は平坦面が占める面積割合」の値を算出し、選択した1〜10領域の当該値の平均を、対象となる粘着シートの樹脂層の表面(α)に存在する「凹部又は平坦面が占める面積割合」とみなすこともできる。
【0038】
本発明の一態様において、よりエア抜けや粘着特性等の各種特性をバランス良く向上させた粘着シートとする観点から、樹脂層の表面(α)に存在する凹部及び平坦面の形状が、一定の繰り返し単位となる形状を有するものではないことが好ましい。
【0039】
また、本発明の一態様において、よりエア抜けや粘着特性等の各種特性をバランス良く向上させた粘着シートとする観点から、樹脂層の表面(α)に複数の凹部が存在し、当該複数の凹部の存在する位置が周期性を有さないことが好ましい。また、同様の観点から、樹脂層の表面(α)に複数の平坦面が存在し、当該複数の平坦面の存在する位置が周期性を有さないことが好ましい。
本発明において、「複数の凹部又は平坦面の存在する位置が周期性を有さない」とは、樹脂層の表面(α)上において、複数の凹部又は平坦面の存在する位置が、同じ繰り返しパターンを持たずに、不規則(ランダム)である状態を意味する。
【0040】
なお、「凹部及び平坦面の形状が、一定の繰り返し単位となる形状を有するものではない」か否かの判断、並びに「複数の凹部又は平坦面の存在する位置が周期性を有さない」か否かの判断は、上述の「樹脂層の表面(α)に、不定形の凹部又は平坦面が存在しているか否か」の判断方法と同じ方法にて判断することができる。
【0041】
以下、表面(α)に存在する凹部及び平坦面に関する特有の要件について説明する。
【0042】
<表面(α)に存在する凹部に関する特有の要件>
本発明の一態様において、樹脂層の表面(α)上の任意に選択された一辺1mmの正方形で囲まれた領域(Q)内に、前記凹部が1個以上存在することが好ましく、前記凹部が複数存在していることがより好ましい。
上述の領域(Q)内に凹部が1個以上存在することで、エア抜け性や粘着特性等の各種特性をバランス良く向上させた粘着シートとすることができる。
【0043】
本発明の一態様において、樹脂層12の表面(α)12aに存在する凹部13は、0.5μm以上の最大高低差を有するものであることが好ましい。
ここで規定する「凹部」は、0.5μm以上の最大高低差を有する凹みを指し、0.5μm以上の高低差を有する箇所が凹部のいずれかの部分で存在していればよく、当該凹部の全領域にわたって、0.5μm以上の高低差を有している必要はない。
【0044】
図3は、本発明の粘着シートが有する樹脂層の表面(α)側の形状の一例を示す、該樹脂層の断面模式図である。
図3(a)に示された凹部13のように、通常の凹部の形状としては、2つの山部分(M
1)、(M
2)と、谷部分(N)とを有する。本発明において凹部の「最大高低差」とは、樹脂層12の厚さ方向に対して、2つの山部分(M
1)、(M
2)のうち最も高い位置(m)(
図3(a)では山部分(M
1)の極大点)と、最も低い位置(n)(
図3(a)では谷部分(N)の極小点)との差(h)の長さを意味する。
また、
図3(b)のような場合は、2つの山部分(M
11)、(M
12)と、谷部分(N
1)とを有する凹部131と、2つの山部分(M
12)、(M
13)と、谷部分(N
2)とを有する凹部132との2つの凹部を有していると考えられる。この場合、山部分(M
11)の極大点と谷部分(N
1)の極小点との差(h
1)の長さが凹部131の最大高低差を表し、山部分(M
13)の極大点と谷部分(N
2)の極小点との差(h
2)の長さが凹部132の最大高低差を表す。
【0045】
一個の凹部の最大高低差としては、粘着シートのエア抜け性の向上の観点、粘着シートの外観を良好に保つ観点、並びに、粘着シートの形状安定性の観点から、より好ましくは1.0μm以上樹脂層の厚さ以下であり、更に好ましくは3.0μm以上樹脂層の厚さ以下、より更に好ましくは5.0μm以上樹脂層の厚さ以下である。
【0046】
また、当該凹部の幅の平均値としては、粘着シートのエア抜け性の向上の観点、並びに粘着シートの粘着性を良好とする観点から、好ましくは1〜500μm、より好ましくは3〜400μm、更に好ましくは5〜300μmである。
なお、本発明において、当該凹部の幅とは、2つの山部分の極大点間の距離を意味し、
図3(a)に示された凹部13においては、山部分(M
1)と山部分(M
2)との距離Lを指す。また、
図3(b)に示された凹部131においては、山部分(M
11)と山部分(M
12)との距離L
1を指し、凹部132においては、山部分(M
13)と山部分(M
12)との距離L
2を指す。
また、本発明の粘着シートを平面視した際に(真上から見た際に)、凹部が長辺と短辺を有する場合は、短辺を幅という。
【0047】
当該一個の凹部の最大高低差と幅の平均値との比〔最大高低差/幅の平均値〕(
図3(a)に示された凹部13においては、「h/L」を指す)としては、粘着シートのエア抜け性の向上の観点、並びに粘着シートの粘着性を良好とする観点から、好ましくは1/500〜100/1、より好ましくは3/400〜70/3、更に好ましくは1/60〜10/1である。
【0048】
<表面(α)に存在する平坦面に関する特有の要件>
本発明の一態様において、樹脂層の表面(α)に、少なくとも直径100μm(好ましくは直径150μm、より好ましくは直径200μm)の円で囲まれた領域を選択可能な広さを有する平坦面(f1)が1個以上存在することが好ましく、当該平坦面(f1)が複数存在することがより好ましい。
表面(α)に平坦面(f1)が存在することで、表面(α)上の被着体との接着部分を十分であるため、被着体との密着性を向上させることができ、より粘着力が高い粘着シートとすることができる。
また、本発明の上記の実施態様において、樹脂層の表面(α)上の任意に選択された縦8mm×横10mmの長方形で囲まれた領域(D)において、平坦面(f1)が1個以上を存在することが好ましく、当該平坦面(f1)が複数存在することがより好ましい。
なお、上述の実施態様において、樹脂層の表面(α)もしくは領域(D)に存在する平坦面の全てが、平坦面(f1)に該当している必要はなく、表面(α)もしくは領域(D)に存在する平坦面が、平坦面(f1)を含むものであればよい。
【0049】
また、本発明の別の一態様において、前記樹脂層の表面(α)に、0.2mm
2以上(好ましくは0.3mm
2以上、より好ましくは0.4mm
2以上)の面積を有する平坦面(f2)が1個以上存在することが好ましく、当該平坦面(f2)が複数存在することがより好ましい。
表面(α)に平坦面(f2)が存在することで、表面(α)上の被着体との接着部分を十分であるため、被着体との密着性を向上させることができ、より粘着力が高い粘着シートとすることができる。
また、本発明の上記態様において、樹脂層の表面(α)上の任意に選択された縦8mm×横10mmの長方形で囲まれた領域(D)において、平坦面(f2)が1個以上を存在することが好ましく、当該平坦面(f2)が複数存在することがより好ましい。
なお、上述の上記態様において、樹脂層の表面(α)もしくは領域(D)に存在する平坦面の全てが、平坦面(f2)に該当している必要はなく、表面(α)もしくは領域(D)に存在する平坦面が、平坦面(f2)を含むものであればよい。
【0050】
また、樹脂層の表面(α)もしくは表面(α)上の任意に選択された縦8mm×横10mmの長方形で囲まれた領域(D)に、上述の平坦面(f1)及び(f2)の双方ともに該当する平坦面(f12)が1個以上存在すること好ましく、当該平坦面(f12)が複数存在することがより好ましい。
【0051】
なお、本発明において、表面(α)もしくは領域(D)に上述の平坦面(f1)、(f2)、(f12)が存在しているか否かの判断は、対象となる粘着シートの樹脂層の表面(α)もしくは領域(D)に存在する平坦面をデジタル顕微鏡(倍率:30〜100倍)を用いて観察した画像を取得し、当該画像を元に、画像解析ソフトを用いて、直径100μmの円で囲まれた領域を選択可能か否かの判断や、平坦面の面積の算出を行ってもよい。
【0052】
〔断面(P1)に関する要件〕
本発明の粘着シートは、樹脂層の表面(α)上の一辺5mmの正方形で囲まれた領域(P)を任意に選択し、当該正方形の2本の対角線のそれぞれを通り、表面(α)に対して垂直となるような平面で厚さ方向に前記粘着シートを切断して得られる2つの断面のうち、少なくとも1つの断面(P1)において、下記要件(I)を満たす凹部と、下記要件(II)を満たす平坦部とが存在する。
・要件(I):前記断面(P1)の表面(α)側に、前記樹脂層の総厚の40%以上の最大高低差を有する凹部が存在する。
・要件(II):前記断面(P1)の表面(α)側に、領域(P)内に存在する前記平坦面の切断部分に相当し、前記基材又は剥離材の前記樹脂層と接触した表面と略平行な平坦部が存在する。
【0053】
まず、
図4を適宜参照して、上述の「粘着シートの2つの断面」を取得するまでの流れについて説明する。
図4は、本発明で規定する「粘着シートの2つの断面」を取得する方法を説明するため図であって、本発明の一態様の粘着シートの斜視図である。
図4では、一例として、
図1(a)に示す粘着シート1aと同一の構成を有する粘着シート11aの斜視図を示しており、樹脂層12の表面(α)12aに存在する凹部及び平坦面の記載は省略している。
【0054】
最初に、樹脂層12の表面(α)12a上に、一辺5mmの正方形50で囲まれた領域(P)を任意に選択する。この際、選択する領域(P)について、表面(α)12a上での選択位置や選択した領域(P)を構成する正方形50の向き等の制限は無い。
そして、領域(P)を構成する正方形50の2本の対角線51、52のそれぞれを通り、表面(α)12aに対して垂直となるような平面で厚さ方向に前記粘着シートを切断して得られる2つの断面61、62を考える。
つまり、対角線51を通るように、厚さ方向Aに沿って、表面(α)12aに対して垂直となるような平面で、前記粘着シートを切断した場合には、断面61が得られる。
一方、対角線52を通るように、厚さ方向Aに沿って、表面(α)12aに対して垂直となるような平面で、前記粘着シートを切断した場合には、断面62が得られる。
【0055】
本発明では、このようにして取得された粘着シートの2つの断面61、62について、上記要件(I)を満たす複数の凹部と、上記要件(II)を満たす平坦部とが存在する断面を「断面(P1)」と表す。
つまり、本発明においては、断面61、62の少なくとも1つが、上記要件(I)を満たす凹部と、上記要件(II)を満たす平坦部とが存在する断面(P1)であることを要する。
なお、本発明の一態様において、2つの断面61、62のいずれもが、断面(P1)に該当することが好ましい。
【0056】
本発明において、2つの断面61、62が、上記要件(I)を満たす凹部と、上記要件(II)を満たす平坦部とが存在する断面(P1)に該当するか否かの判断、並びに、前記断面(P1)における、後述の各種要件を満たしているか否かの判断は、対象となる断面を走査型電子顕微鏡(倍率:100〜1000倍)を用いて取得した画像から判断する。
【0057】
図5は、本発明で規定する断面(P1)の模式図の一例である。
上記の方法により得られた断面(P1)60は、
図5に示すように、断面(P1)60の表面(α)12a側には、少なくとも凹部13aと、平坦部14aとが存在する。
なお、
図5に示すように、断面(P1)60の表面(α)12a側に、平坦部14aより盛り上がり、樹脂層12と接触する基材11(又は剥離材)の表面を通る直線e
βと略平行とはならない凸部15が存在していてもよい。
【0058】
前記断面(P1)60において、上記要件(I)のとおり、前記断面の表面(α)12a側には、前記樹脂層12の総厚の40%以上の最大高低差を有する凹部が存在する。
当該凹部は、複数存在することが好ましく、当該複数の凹部は、切断部分の形状が互いに異なることがより好ましい。
樹脂層12の総厚の40%以上の最大高低差を有する凹部13aは、粘着シートのエア抜け性に大きく影響を及ぼす、空気排出通路としての役割を担う箇所である。
このような複数の凹部13aの切断部分の形状が互いに異なることで、粘着シートの貼付前後に関わらず、一定の方向性のある力が粘着シートに加えられた際に、全ての凹部が同じように変形し、空気排出通路としての役割を果たす溝が消失してしまう状況を防ぐことができる。その結果、エア抜け性に非常に優れた粘着シートとすることができる。
【0059】
また、上記観点から、本発明の一態様において、前記断面(P1)60において、要件(I)で規定する、表面(α)12a側には、切断部分の形状が不定形である凹部が存在することが好ましく、断部分の形状が不定形である凹部が複数存在していることがより好ましい。
なお、ここでいう「不定形」とは、上記と同じ意味を示す。
【0060】
本発明において、「樹脂層12の総厚の40%以上の最大高低差を有する凹部に該当するか否か」の判断、「複数の凹部の切断部分の形状が互いに異なるか否か」、並びに、「切断部分の形状が不定形である凹部に該当するか否か」の判断は、上述のとおり、前記断面(P1)60をデジタル顕微鏡や走査型電子顕微鏡を用いて取得した画像から判断する。
なお、上記のうち、「複数の凹部の切断部分の形状が互いに異なるか否か」の判断は、例えば、上記画像に示された対象となる2個の凹部の幅の長さ及び最大高低差が互いに異なる場合、「この2個の凹部は切断部分の形状が互いに異なる」と判断してもよい。
【0061】
前記断面(P1)60において、上記要件(II)のとおり、前記断面の表面(α)12a側には、
図2に示すような領域(P)内に存在する前記平坦面14の切断部分に相当し、前記基材又は剥離材の前記樹脂層12と接触した表面と略平行な平坦部14aが存在する。
平坦部14aは、表面(α)に存在する平坦面14の切断面に相当し、断面(P1)60においては、前記基材又は剥離材の表面と略平行な部分に対応する。
つまり、
図5に示す断面(P1)60おいて、平坦部14aを通る直線e
αは、樹脂層12と接触する基材11の表面を通る直線e
βと略平行である。そのため、平坦部14aは、
図5に示すような、直線e
αに対して上方に盛り上がるように形成された凸部15とは区別される。
【0062】
なお、本発明でいう「略平行」とは、当該断面(P1)の表面(α)側に存在する平坦部14aを通る直線と、樹脂層と接触する基材又は剥離材の表面を通る直線とのなす角度が0度となる場合はもちろんのこと、当該なす角度が実質的に平行と見なせる程度の僅かな傾きを有する場合(例えば、当該なす角度が5度以下、好ましくは2度以下の場合)を含む。
【0063】
また、エア抜け性及び粘着特性をバランス良く向上させた粘着シートとする観点から、前記断面(P1)60において、前記平坦部14aが、当該断面(P1)60の表面(α)12a側に複数存在することが好ましく、表面(α)12a側に存在する前記複数の平坦部14aの位置が周期性を有さないことがより好ましい。
なお、「平坦部の位置が周期性を有さない」とは、複数の平坦部の存在する位置が、同じ繰り返しパターンを持たずに、不規則(ランダム)である状態を意味する。
【0064】
また、前記断面(P1)60において、当該断面(P1)60の表面(α)12a側に平坦部14aが複数存在する場合、表面(α)12a側に存在する前記複数の平坦部14aのそれぞれの前記基材又は剥離材までの距離が略同一であることが好ましい。
これは、
図5に示すように、複数の平坦部14aが一つの直線e
αで結ぶことができ、直線e
αと、樹脂層と接触する基材又は剥離材の樹脂層12と接触している表面を通る直線e
βとが略平行であることを示している。
このようにすることで、複数の平坦部14aの厚み方向における位置がほぼ同じとなるため、被着体の被着面に十分に接触させ、粘着力の向上に寄与するものとなり得る。
なお、本発明において、「複数の平坦部のそれぞれの前記基材又は剥離材までの距離が略同一」とは、対象となる2個の平坦部の基材又は剥離材までの距離の差が、当該距離の平均値に対して、5%未満(好ましくは2%未満)である範囲を含むものである。
【0065】
また、本発明の一態様において、エア抜け性及び粘着特性をバランス良く向上させた粘着シートとする観点から、前記断面(P1)を複数取得した際、それぞれの断面(P1)における表面(α)側に存在する平坦部の形成位置及び形成長さが、取得した複数の断面(P1)において互いに異なることが好ましい。
つまり、取得した断面(P1)において表面(α)側に存在する平坦部の形成位置及び形成長さは、他の断面(P1)のものとは異なるものであり、同一の断面(P1)とはならないことを示している。
【0066】
〔本発明に係る第1の粘着シート及び第2の粘着シートに関する要件〕
本発明の粘着シートとしては、例えば、下記要件(III)を満たす第1の態様(「第1の粘着シート」ともいう)と、下記要件(IV)を満たす第2の態様(「第2の粘着シート」ともいう)とが挙げられる。
なお、第1の粘着シートにおいて、下記要件(III)と共に、下記要件(IV)を満たすことが好ましい。また、第2の粘着シートにおいて、下記要件(IV)と共に、下記要件(III)を満たすことが好ましい。
・要件(III):前記断面(P1)に存在する一個の前記凹部の厚さ方向で下に位置する所定の領域(S)に対して、エネルギー分散型X線分析(以下、「EDX」と表記することがある)を用いて測定されるケイ素原子に由来のピーク強度(Si)と炭素原子に由来のピーク強度(C)との強度比Si/Cの値(S
EDX)と、当該断面(P1)に存在する一個の前記平坦部の厚さ方向で下に位置し、領域(S)と水平方向の長さが同じ所定の領域(T)に対して、エネルギー分散型X線分析を用いて測定される前記強度比Si/Cの値(T
EDX)との比(S
EDX/T
EDX)の絶対値が0.2以下である。
・要件(IV):前記断面(P1)に存在する一個の前記凹部の厚さ方向で当該凹部の下に位置する所定の領域(S)に対して、エネルギー分散型X線分析を用いて測定されるケイ素原子に由来のピーク強度(Si)と炭素原子に由来のピーク強度(C)との強度比Si/Cの値(S
EDX)が0.01以下である。
【0067】
要件(III)及び(IV)で規定のEDXにより測定される「強度比Si/C(S
EDX)」や「強度比Si/C(T
EDX)」は、領域(S)又は(T)における、粒子部分(Y)を構成するシリカ粒子と、樹脂部分(X)を構成する炭素原子含有樹脂との存在割合を間接的に示したものである。
つまり、強度比Si/Cの値が大きい程、当該領域内のシリカ粒子を含む微粒子からなる粒子部分(Y)の含有割合が多く、一方、強度比Si/Cの値が小さい程、当該領域内のシリカ粒子を含む微粒子からなる粒子部分(Y)の含有割合が少ない。
【0068】
本発明の第1及び第2の粘着シートは、樹脂層の表面(α)に存在する前記凹部の厚さ方向で下に位置する所定の領域(S)では、シリカ粒子を含む微粒子からなる粒子部分(Y)の含有割合が非常に少ないものであり、それを上記要件(III)及び(IV)で規定している。
なお、領域(S)の粒子部分(Y)の含有割合が非常に少なくなる理由としては、後述のような樹脂層の表面(α)に凹部が形成過程において、当該凹部の厚さ方向で下に位置する領域(S)に分布していたシリカ粒子が、凹部の形成が進行すると共に、当該凹部が形成されていない箇所(平坦部の厚さ方向で下に位置する領域)へ流動することに起因すると考えられる。
つまり、上記要件(III)及び(IV)で規定は、樹脂層の表面(α)に存在する凹部が、樹脂層の自己形成化によって形成されたものである旨を規定しているともいえる。
【0069】
要件(III)で規定する比(S
EDX/T
EDX)の絶対値は、凹部の下に位置する領域(S)と、平坦部の下に位置する領域(T)との、シリカ粒子を含む微粒子からなる粒子部分(Y)の含有割合の比率を間接的に示している。当該比(S
EDX/T
EDX)が小さい程、凹部の下に位置する領域(S)に存在する粒子部分(Y)は、平坦部の下に位置する領域(T)に存在する粒子部分(Y)に比べて少ないといえる。
なお、比(S
EDX/T
EDX)において絶対値をとる理由は下記のとおりである。すなわち、Siを含有しない場合、S
EDXおよびT
EDXのそれぞれがマイナスの値になることがあるが、これは装置の測定誤差に起因しているため、測定誤差の影響を排除するためである。
【0070】
要件(III)で規定する比(S
EDX/T
EDX)の絶対値は0.2以下であるが、好ましくは0.150以下、より好ましくは0.100以下、更に好ましくは0.080以下であり、また、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.002以上、更に好ましくは0.005以上である。
当該比(S
EDX/T
EDX)が0.2以下であれば、樹脂層の自己形成化により形成される領域(S)上の凹部は、空気排出通路として機能するために十分な深さを有するものとなり、得られる粘着シートのエア抜け性を良好とすることができる。また、領域(T)に存在する粒子部分(
Y)を構成する微粒子の割合も多いことで、領域(T)上に位置する平坦部の貼付後の形状維持性を向上することができ、得られる粘着シートを高温下で使用した場合に、ブリスターの発生を効果的に抑制することができる。
【0071】
また、要件(IV)で規定する領域(S)の強度比Si/Cの値(S
EDX)が0.01以下であるが、好ましくは0.008以下、より好ましくは0.007以下、更に好ましくは0.006以下であり、また、好ましくは−0.01以上、より好ましくは0.000001以上、更に好ましくは0.00001以上、より更に好ましくは0.0001以上である。
当該強度比Si/Cの値(S
EDX)が0.01以下であれば、樹脂層の自己形成化により形成される領域(S)上の凹部は、空気排出通路として機能するために十分な深さを有するものとなり、得られる粘着シートのエア抜け性を良好とすることができる。
【0072】
なお、領域(T)の強度比Si/Cの値(T
EDX)としては、通常0.01より大きく、好ましくは0.02以上、より好ましくは0.03以上、更に好ましくは0.04以上であり、また、通常1.00以下である。
【0073】
<領域(S)、領域(T)、強度比Si/Cの値の測定法>
ここで、
図7を参照して、上記EDXの測定方法を説明する。
要件(III)及び(IV)で規定する「前記断面(P1)に存在する一個の前記凹部の厚さ方向で下に位置する所定の領域(S)」は、
図7に示すような、対象となる凹部13aの最も低い位置(N
a)を通り、縦の長さ(鉛直方向の長さ)が樹脂層12の総厚hと凹部13aの最大高低差haとの差(h−ha)であり、横の長さ(鉛直方向と垂直である水平方向の長さ)がS
Lで表される長方形である。
【0074】
なお、本発明の粘着シートにおいては、断面(P1)の表面(α)側に、最大高低差haと樹脂層12の総厚hとの比〔ha/h〕が0.4以上となる凹部が存在する。
また、領域(S)を構成する長方形の横の長さS
Lは、対象となる凹部13aの最も低い位置である点N
aを通る鉛直方向に伸びる直線g
aから、鉛直方向と垂直である水平左方向に、凹部13aの幅L
aの10%の長さS
L1だけ離れた直線g
1と、直線g
aから、鉛直方向と垂直である水平右方向に、凹部13aの幅Laの10%の長さS
L2だけ離れた直線g
2との距離に対応する。
つまり、
図7中、長さS
Lは、凹部13aの幅L
aの20%の長さに相当する。また、領域(S)を構成する長方形は、凹部13aとは点N
aで接する。
このようにして、測定対象である選択した一個の凹部13aに対して、上記のようにして、領域(S)を決定することができる。
【0075】
一方、要件(III)で規定の比(S
EDX/T
EDX)を算出する際に選択される領域(T)については、以下のように選択される。
まず、断面(P1)に存在する一個の前記平坦部を任意に選択する。
そして、選択した平坦部の幅L
bの中点となる点N
Tを通り、厚さ方向で下に位置し、領域(S)と水平方向の長さが同じ領域(T)を定める。
図7に示すように、領域(T)は、縦の長さ(鉛直方向の長さ)が樹脂層12の表面(α)と表面(β)との距離(つまり、樹脂層12の総厚h)であり、横の長さ(鉛直方向と垂直である水平方向の長さ)が、比較対象となる凹部13aに対して上述の方法により規定した領域(S)の横の長さS
Lとなる長方形である。
なお、点N
Tが、領域(T)を構成する長方形の横の辺の中点に位置するように、領域(T)は選択される。
【0076】
このようにして選択された領域(S)及び(T)における強度比Si/Cの値は、当該領域の全面においてEDX測定を行うことで算出することができる。
EDXは例えば、オックスフォード・インストゥルメンツ株式会社製、製品名「INCAEnergy」、タイプ:E2Hを用いることができる。なお、具体的な測定条件としては、後述の実施例に沿って測定することが好ましい。
【0077】
本発明の一態様において、上述の断面において、前記要件(I)で規定の複数の凹部、及び前記要件(II)を満たす平坦部が存在し、前記比(S
EDX/T
EDX)やSi/Cの値(S
EDX)を所定値以下に調整した粘着シートとする観点から、前記凹部が、エンボスパターンを有する剥離材を用いて形成されたものではないことが好ましい。
なお、「エンボスパターンを有する剥離材を用いて形成された凹部」とは、例えば、以下のようなものが挙げられ、上記の態様の凹部とは区別される。
・粘着剤組成物から形成した粘着剤層が有する平坦な表面に、エンボスパターンが施された剥離シートを押し付け、エンボスパターンの転写により形成された凹部。
・剥離処理面にエンボスパターンが施された剥離シートを用いて、当該剥離処理面に粘着剤組成物を塗布して粘着剤層を形成した後、当該剥離シートを除去した際に当該粘着剤層の表面に表出する凹部。
このような凹部は、前述の特許文献1に記載された粘着シートに関する問題点として列挙したような数々の不具合が生じる。
【0078】
本発明の一態様において、樹脂層の表面(α)に上述の要件を満たす凹部及び平坦面を形成した粘着シートとする観点から、前記凹部は、上記樹脂層の自己形成化によって形成されたものであることが好ましい。
本発明において、「自己形成化」とは、樹脂層の自律的な形成過程において、自然に無秩序な形状を作り出す現象を意味し、より詳しくは、樹脂層の形成材料である組成物から形成された塗膜を乾燥して、樹脂層の自律的な形成過程において、自然に無秩序な形状を作り出す現象を意味する。
なお、このように樹脂層の自己形成化によって形成された凹部の形状は、乾燥条件や樹脂層の形成材料である組成物中の成分の種類や含有量を調整することで、ある程度の調整は可能ではあるものの、エンボスパターンの転写により形成される溝とは異なり、「全く同じ形状のものを再現することは事実上できない」といえる。そのため、樹脂層の自己形成化によって形成された凹部は不定形であるといえる。
また、不定形の凹部が形成されることで、平坦面の形状も不定形となる。
【0079】
樹脂層の自己形成化によって形成された凹部の形成過程は、以下のように考えられる。
まず、樹脂層の形成材料となる組成物からなる塗膜の形成時において、塗膜を乾燥させる工程にて、塗膜内部に収縮応力が発生して、樹脂の結合力が弱くなった部分で、塗膜内で割れが生じる。そして、この割れ部分の周辺の樹脂が、割れにより一時的に生じた空間に流入することで、樹脂層の表面(α)上に凹部が形成されると考えられる。
樹脂の含有量が異なる2層の塗膜を形成した後、当該2層の塗膜を同時に乾燥させることで、乾燥する際に塗膜内部に収縮応力差が発生し、塗膜の割れを生じ易くなると考えられる。
【0080】
なお、凹部を形成し易くする観点から、以下の事項を適宜考慮の上、調整することが好ましい。これらの事項による要因が複合的に作用して、凹部が形成し易くなるものと考えられる。ちなみに、凹部を形成し易くするための各事項の好適な態様は、後述の該当項目での記載のとおりである。
・塗膜の形成材料である組成物中に含まれる樹脂の種類、構成モノマー、分子量、含有量。
・塗膜の形成材料である組成物中に含まれる架橋剤の種類、溶媒の種類。
・塗膜の形成材料である組成物の粘度、固形分濃度。
・形成する塗膜の厚さ。(複層の場合は、各塗膜の厚さ)
・形成した塗膜の乾燥温度、乾燥時間。
【0081】
なお、一般的な粘着シートの粘着剤層の形成においては、平坦な表面を有する粘着剤層を形成することを目的とし、上記の事項を適宜設定している場合が多い。
一方、本発明では、粘着シートのエア抜け性の向上に寄与し得る凹部が意図的に形成されるように上記の事項を設定しており、一般的な粘着シートの粘着剤層の設計方法とは、全く異なる。
【0082】
上記の事項は、形成される塗膜中に含まれる樹脂の流動性等を考慮して、適宜設定されることが好ましい。
例えば、組成物中にシリカ粒子を含む場合、シリカ粒子を多く含む組成物からなる塗膜の粘度を適度な範囲に調整することで、塗膜中でのシリカ粒子の所定の流動性を維持しつつも、他の塗膜(樹脂を多く含む塗膜)との入り混じりを適度に抑制することができる。このように調整することで、樹脂を多く含む塗膜において、水平方向に割れが生じ、凹部が形成され易くなる傾向にある。
その結果、表面(α)上における、形成される凹部の占める割合を増やすことができると共に、互いに繋がっている凹部の割合も増やし、より優れたエア抜け性を有する粘着シートとすることができる。
【0083】
また、上記の事項の中でも、樹脂を多く含む塗膜に含まれる樹脂が適度な粘弾性を有するように、当該樹脂の種類、構成モノマー、分子量、樹脂の含有量を適宜調整することが好ましい。
つまり、塗膜の硬さ(樹脂の粘弾性、塗布液の粘度等の因子で決まる硬さ)を適度に硬くすることで、樹脂部分(X)の収縮応力が強くなり、凹部が形成し易くなる。当該塗膜の硬さが硬いほど収縮応力が強くなり、凹部が発生しやすくなるが、硬すぎると塗布適性が低下する。また、樹脂の弾性を上げ過ぎると、塗膜から形成される樹脂層の粘着力が低下する傾向にある。その点を考慮して、樹脂の粘弾性を適度に調整することが好ましい。
また、組成物や塗膜中にシリカ粒子を含む場合、シリカ粒子の分散状態を適切化することで、シリカ粒子による樹脂層の厚さの膨れ上がりの程度や、凹部の自己形成力を調節し、結果的に表面(α)上に凹部を形成し易く調整できるものと考えられる。
【0084】
さらに、形成した塗膜(もしくは形成材料である組成物)の架橋速度を考慮して、上記の事項を適宜設定することが好ましい。
つまり、塗膜の架橋速度が速すぎる場合には、凹部が形成される前に、塗膜が硬化してしまう恐れがある。また、塗膜の割れの大きさ及び凹部の大きさにも影響を及ぼす。
塗膜の架橋速度は、形成材料である組成物中の架橋剤の種類及び溶媒の種類や、塗膜の乾燥時間及び乾燥温度を適宜設定することで調整可能である。
【0085】
なお、樹脂層が、樹脂を含む樹脂部分(X)と、シリカ粒子を含む微粒子からなる粒子部分(Y)とを含む層である場合、上述の自己形成化により形成された樹脂層において、
図1(a)〜(d)や
図5、
図6に示すように、粒子部分(Y)は、表面(α)上に凹部が存在する箇所においては、粒子部分(Y)が占める割合が他に比べて少なくなるような分布となる傾向がある。
これは、樹脂層の自己形成化の過程において、樹脂層の表面(α)に凹部が形成される際に、凹部が形成された位置に存在していたシリカ粒子が移動することで、このような分布になったものと考えられる。
【0086】
以下、本発明の粘着シートの各構成について説明する。
〔基材〕
本発明の一態様で用いる基材としては、特に制限はなく、例えば、紙基材、樹脂フィルム又はシート、紙基材を樹脂でラミネートした基材等が挙げられ、本発明の一態様の粘着シートの用途に応じて適宜選択することができる。
紙基材を構成する紙としては、例えば、薄葉紙、中質紙、上質紙、含浸紙、コート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙等が挙げられる。
樹脂フィルム又はシートを構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリスチレン;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体;三酢酸セルロース;ポリカーボネート;ポリウレタン、アクリル変性ポリウレタン等のウレタン樹脂;ポリメチルペンテン;ポリスルホン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルスルホン;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルイミド、ポリイミド等のポリイミド系樹脂;ポリアミド系樹脂;アクリル樹脂;フッ素系樹脂等が挙げられる。
紙基材を樹脂でラミネートした基材としては、上記の紙基材を、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂でラミネートしたラミネート紙等が挙げられる。
【0087】
これらの基材の中でも、樹脂フィルム又はシートが好ましく、ポリエステル系樹脂からなるフィルム又はシートがより好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)から構成されるフィルム又はシートが更に好ましい。
また、本発明の粘着シートを耐熱性が要求される用途に使用する場合には、ポリエチレンナフタレート及びポリイミド系樹脂から選ばれる樹脂から構成されるフィルム又はシートが好ましく、耐候性が要求される用途に使用する場合には、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル樹脂、及びフッ素樹脂から選ばれる樹脂から構成されるフィルム又はシートが好ましい。
【0088】
基材の厚さは、本発明の粘着シートの用途に応じて適宜設定されるが、取扱性及び経済性の観点から、好ましくは5〜1000μm、より好ましくは10〜500μm、更に好ましくは12〜250μm、より更に好ましくは15〜150μmである。
なお、基材には、さらに紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、着色剤等の各種添加剤を含有していてもよい。
【0089】
また、本発明の一態様で用いる基材は、得られる粘着シートの耐ブリスター性向上の観点から、非通気性基材であることが好ましく、具体的には、上述の樹脂フィルム又はシートの表面上に金属層を有する基材が好ましい。
当該金属層に含まれる金属としては、例えば、アルミニウム、スズ、クロム、チタン等の金属光沢を有する金属等が挙げられる。
当該金属層の形成方法としては、例えば、上記金属を真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等のPVD法により蒸着する方法、又は、上記金属からなる金属箔を一般的な粘着剤を用いて貼付する方法等が挙げられるが、上記金属をPVD法により蒸着する方法が好ましい。
【0090】
さらに、基材として樹脂フィルム又はシートを用いる場合、これらの樹脂フィルム又はシート上に積層する樹脂層との密着性を向上させる観点から、樹脂フィルム又はシートの表面に対して、酸化法や凹凸化法等による表面処理、あるいはプライマー処理を施してもよい。
酸化法としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸処理(湿式)、熱風処理、オゾン、及び紫外線照射処理等が挙げられ、凹凸化法としては、例えば、サンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。
【0091】
〔剥離材〕
本発明の一態様で用いる剥離材としては、両面剥離処理をされた剥離シートや、片面剥離処理された剥離シート等が用いられ、剥離材用の基材上に剥離剤を塗布したもの等が挙げられる。
なお、当該剥離処理面は、凹凸形状が形成されておらず、平坦である剥離材(例えば、エンボスパターンが施されていない剥離材)が好ましい。
剥離材用の基材としては、例えば、本発明の一態様の粘着シートが有する基材として用いられる上述の紙基材、樹脂フィルム又はシート、紙基材を樹脂でラミネートした基材等が挙げられる。
剥離剤としては、例えば、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
剥離材の厚さは、特に制限ないが、好ましくは10〜200μm、より好ましくは25〜170μm、更に好ましくは35〜80μmである。
【0092】
〔樹脂層〕
図1に示すように、本発明の粘着シートが有する樹脂層12は、樹脂を含む樹脂部分(X)と、シリカ粒子を含む微粒子からなる粒子部分(Y)とを含むものであることが好ましい。
樹脂部分(X)は、樹脂層中に含まれるシリカ粒子以外の成分を含む部分を示す。つまり、樹脂層中に含まれる、樹脂だけでなく、粘着付与剤、架橋剤、汎用添加剤等の微粒子以外の成分は「樹脂部分(X)」に含まれる。
一方、粒子部分(Y)は、樹脂層中に含まれるシリカ粒子を含む微粒子からなる部分を示す。
【0093】
樹脂層中に粒子部分(Y)が含まれることで、貼付後の形状維持性を向上することができ、得られる粘着シートを高温下で使用した場合に、ブリスターの発生を効果的に抑制することができる。
樹脂層12中の樹脂部分(X)と粒子部分(Y)との分布の構成としては、樹脂部分(X)と粒子部分(Y)とがほぼ均等に分布した構成であってもよく、局所的に主に樹脂部分(X)からなる箇所と、主に粒子部分(Y)からなる箇所と、分けられるような構成であってもよい。
【0094】
本発明の一態様の粘着シートが有する樹脂層は、樹脂部分(X)及び粒子部分(Y)以外に、更に空隙部分(Z)を有することが好ましい。樹脂層中に空隙部分(Z)を有することで、粘着シートの耐ブリスター性を向上させることができる。
この空隙部分(Z)は、前記シリカ粒子同士の間に存在する空隙や、前記シリカ粒子が二次粒子である場合、当該二次粒子内に存在する空隙等も含まれる。
なお、当該樹脂層が多層構造を有する場合、樹脂層の形成過程や形成直後において、空隙部分(Z)が存在していたとしても、空隙部分(Z)に樹脂部分(X)が流入して、空隙が消失し、空隙部分(Z)が無い樹脂層となることもある。
しかしながら、このように樹脂層中に一時期存在していた空隙部分(Z)が消失した場合であっても、本発明の一態様である粘着シートは、樹脂層の表面(α)に凹部が存在するため、エア抜け性は良好であり、樹脂層が粒子部分(Y)を有するため、耐ブリスター性にも優れる。
【0095】
また、本発明の一態様の粘着シートが有する樹脂層の100℃における剪断貯蔵弾性率は、粘着シートのエア抜け性及び耐ブリスター性の向上の観点から、好ましくは9.0×10
3Pa以上、より好ましくは1.0×10
4Pa以上、更に好ましくは2.0×10
4Pa以上である。
なお、本発明において、樹脂層の100℃における剪断貯蔵弾性率は、粘弾性測定装置(例えば、Rheometrics社製、装置名「DYNAMIC ANALYZER RDA II」)を用いて、周波数1Hzで測定することにより測定した値を意味する。
【0096】
樹脂層の総厚は、好ましくは1〜300μm、より好ましくは5〜150μm、更に好ましくは10〜75μmである。
【0097】
本発明の粘着シートは、少なくとも基材又は剥離材が設けられた側とは反対側の当該樹脂層の表面(α)が粘着性を有しているが、基材又は剥離材が設けられた側の当該樹脂層の表面(β)も粘着性を有していてもよい。
【0098】
本発明の一態様の粘着シートの樹脂層の表面(α)における粘着力としては、好ましくは0.5N/25mm以上、より好ましくは2.0N/25mm以上、より好ましくは3.0N/25mm以上、更に好ましくは4.0N/25mm以上、より更に好ましくは7.0N/25mm以上である。
また、樹脂層の表面(β)も粘着性を有する場合、表面(β)における粘着力は、上記の範囲に属することが好ましい。
なお、粘着シートの当該粘着力の値は、実施例に記載の方法により測定された値を意味する。
【0099】
<樹脂層の多層構造体>
樹脂層としては、2種以上の層から構成された多層構造体であってもよい。
このような多層構造体である樹脂層としては、
図1の粘着シート1a等のような、基材又は剥離材が設けられた側から、主に樹脂部分(X)を含む層(Xβ)、粒子部分(Y)を15質量%以上含む層(Y1)、及び主に樹脂部分(X)を含む層(Xα)をこの順で積層した多層構造体が挙げられる。
なお、樹脂層の多層構造体の構成においては、積層する2つの層の境界が判別できずに、混層した状態であってもよい。
つまり、
図1の粘着シート1aが有する樹脂層12においては、層(Xβ)と層(Y1)との境界、及び/又は、層(Y1)と層(Xα)との境界が判別できずに、混層した構成であってもよい。
【0100】
以下、
図1の粘着シート1aが有する、層(Xβ)、層(Y1)、及び層(Xα)の3層から構成された樹脂層12を一例として、多層構造体である樹脂層の構成について説明する。
【0101】
層(Xβ)及び層(Xα)は、主に樹脂部分(X)を含む層であるが、粒子部分(Y)を含んでいてもよい。ただし、層(Xβ)及び層(Xα)中の粒子部分(Y)の含有量は、それぞれ独立に、層(Xβ)又は層(Xα)の全質量(100質量%)に対して、好ましくは15質量%未満であり、且つ層(Xβ)又は層(Xα)中の樹脂の含有量よりも少ない。
つまり、粒子部分(Y)の含有量の点において、層(Xβ)及び層(Xα)と、層(Y1)とは区別される。
なお、層(Xβ)及び層(Xα)は、樹脂部分(X)及び粒子部分(Y)以外に、更に上述の空隙部分(Z)を有してもよい。
【0102】
層(Xβ)及び層(Xα)中の樹脂部分(X)の含有量としては、それぞれ独立に、層(Xβ)又は層(Xα)の全質量(100質量%)に対して、通常85質量%超であり、好ましくは87〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%、更に好ましくは95〜100質量%、より更に好ましくは100質量%である。
なお、上記の「樹脂部分(X)の含有量」は、層(Xβ)又は層(Xα)中に含まれる樹脂部分(X)を構成する、樹脂、粘着付与剤、架橋剤、及び汎用添加剤等のシリカ粒子以外の成分の合計含有量を意味する。
【0103】
層(Xβ)及び層(Xα)中の粒子部分(Y)を構成するシリカ粒子の含有量としては、それぞれ独立に、層(Xβ)又は層(Xα)の全質量(100質量%)に対して、通常15質量%未満であるが、好ましくは0〜13質量%、より好ましくは0〜10質量%、更に好ましくは0〜5質量%、より更に好ましくは0質量%である。
なお、本発明において、「層(Xβ)及び層(Xα)中のシリカ粒子の含有量」は、当該層(Xβ)又は層(Xα)の形成材料である樹脂組成物の全量(100質量%(ただし、希釈溶媒を除く))中のシリカ粒子の含有量とみなすこともできる。
【0104】
層(Xα)中の樹脂の含有量としては、層(Xα)の全質量(100質量%)に対して、通常30〜100質量%、好ましくは40〜100質量%、より好ましくは50〜100質量%、更に好ましくは60〜100質量%である。
一方、層(Xβ)中の樹脂の含有量としては、層(Xβ)の全質量(100質量%)に対して、通常50〜100質量%、好ましくは65〜100質量%、より好ましくは75〜100質量%、更に好ましくは85〜100質量%である。
なお、本発明において、「層(Xβ)及び層(Xα)中の樹脂の含有量」は、当該層(Xβ)又は層(Xα)の形成材料である樹脂組成物の全量(100質量%(ただし、希釈溶媒を除く))中の樹脂の含有量とみなすことができる。
【0105】
層(Y1)は、粒子部分(Y)のみからなる層であってもよく、粒子部分(Y)と共に樹脂部分(X)を含む層であってもよく、更に空隙部分(Z)を有する層であってもよい。
層(Y1)中の粒子部分(Y)を構成するシリカ粒子の含有量としては、層(Y1)の全質量(100質量%)に対して、15質量%以上であるが、好ましくは20〜100質量%、より好ましくは25〜90質量%、更に好ましくは30〜85質量%、より更に好ましくは35〜80質量%である。
【0106】
層(Y1)中の樹脂の含有量としては、層(Y1)の全質量(100質量%)に対して、通常0〜85質量%、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは5〜75質量%、更に好ましくは10〜70質量%、より更に好ましくは20〜65質量%である。
【0107】
なお、本発明において、「層(Y1)中のシリカ粒子の含有量」及び「層(Y1)中の樹脂の含有量」は、当該層(Y1)の形成材料である組成物の全量(100質量%(ただし、希釈溶媒を除く))中の微粒子又は樹脂の含有量とみなすこともできる。
【0108】
本発明の一態様において、層(Xα)は、樹脂を含み、シリカ粒子の含有量が15質量%未満である組成物(xα)から形成された層であることが好ましい。
同様に、層(Xβ)も、樹脂を含み、シリカ粒子の含有量が15質量%未満である組成物(xβ)から形成された層であることが好ましい。
また、上記層(Y1)は、シリカ粒子を15質量%以上含む組成物(y)から形成された層であることが好ましい。
なお、組成物(xα)、組成物(xβ)、及び組成物(
y)の好適な態様(含有成分、含有量等)については、後述のとおりである。
【0109】
<樹脂部分(X)>
樹脂層を構成する樹脂部分(X)は、樹脂層中に含まれるシリカ粒子以外の成分を含む部分であって、その点で粒子部分(Y)とは区別される。
樹脂部分(X)は、樹脂と共に、粘着付与剤、架橋剤、汎用添加剤等が含まれていてもよい。
【0110】
樹脂部分(X)中の樹脂の含有量は、樹脂部分(X)の全量(100質量%)に対して、通常30質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、より更に好ましくは70質量%以上であり、また、好ましくは100質量%以下、より好ましくは99.9質量%以下である。
なお、本発明において、樹脂部分(X)の形成材料となる樹脂組成物中の樹脂の含有量の値を、上記「樹脂部分(X)中の樹脂の含有量」とみなすこともできる。
【0111】
樹脂部分(X)に含まれる前記樹脂としては、形成される樹脂層の表面(α)に粘着性を発現させる観点から、粘着性樹脂を含むことが好ましい。
特に、
図1(a)の粘着シート1a等のように、樹脂層が、基材又は剥離材が設けられた側から、層(Xβ)、層(Y1)、及び層(Xα)をこの順で積層した多層構造を有する場合には、上記観点から、少なくとも層(Xα)は、粘着性樹脂を含むことが好ましい。
また、両面粘着シートの構成とする観点、並びに、基材との密着性を向上させる観点から、少なくとも層(Xα)及び層(Xβ)が、粘着性樹脂を含むことが好ましい。
【0112】
当該粘着性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂等が挙げられる。
これらの粘着性樹脂の中でも、粘着特性及び耐候性が良好であり、樹脂層の表面(α)に凹部を形成しやすくする観点から、アクリル系樹脂を含むことが好ましい。
アクリル系樹脂の含有量は、樹脂部分(X)に含まれる前記樹脂の総量(100質量%)に対して、好ましくは25〜100質量%、より好ましくは50〜100質量%、更に好ましくは70〜100質量%、更に好ましくは80〜100質量%、より更に好ましくは100質量%である。
【0113】
また、樹脂層の表面(α)に凹部を形成しやすくする観点から、樹脂部分(X)が、官能基を有する樹脂を含むことが好ましく、官能基を有するアクリル系樹脂を含むことがより好ましい。
特に、
図1(a)の粘着シート1a等のように、樹脂層が、基材又は剥離材が設けられた側から、層(Xβ)、層(Y1)、及び層(Xα)をこの順で積層した多層構造体である場合には、上記観点から、少なくとも層(Y1)は、官能基を有する樹脂を含むことが好ましい。
当該官能基は、架橋剤との架橋起点となる基であって、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、エポキシ基、アミノ基、シアノ基、ケト基、アルコキシシリル基等が挙げられるが、カルボキシ基が好ましい。
【0114】
樹脂部分(X)は、前記官能基を有する樹脂と共に、さらに架橋剤を含有することが好ましい。特に、樹脂層が上述の多層構造体である場合には、少なくとも層(Y1)は、前記官能基を有する樹脂と共に、架橋剤を含有することが好ましい。
当該架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等が挙げられる。
【0115】
イソシアネート系架橋剤は、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート;並びに、これらの化合物のビウレット体、イソシアヌレート体、及び、低分子活性水素含有化合物(エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等)との反応物であるアダクト体;等が挙げられる。
【0116】
エポキシ系架橋剤としては、例えば、エチレングリコールグリシジルエーテル、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等が挙げられる。
【0117】
アジリジン系架橋剤としては、例えば、ジフェニルメタン−4,4'−ビス(1−アジリジンカーボキサミド)、トリメチロールプロパントリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタントリ−β−アジリジニルプロピオネート、トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカーボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)、トリス−1−(2−メチルアジリジン)フォスフィン、トリメチロールプロパントリ−β−(2−メチルアジリジン)プロピオネート等が挙げられる。
【0118】
金属キレート系架橋剤には、金属原子がアルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、鉄、スズ等であるキレート化合物が挙げられるが、樹脂層の表面(α)に凹部を形成しやすくする観点から、アルミニウムキレート系架橋剤が好ましい。
アルミニウムキレート系架橋剤としては、例えば、ジイソプロポキシアルミニウムモノオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムビスオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムモノオレエートモノエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノラウリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノステアリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノイソステアリルアセトアセテート等が挙げられる。
【0119】
なお、これらの架橋剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、樹脂層の表面(α)に凹部を形成しやすくする観点から、樹脂部分(X)が、金属キレート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤から選ばれる1種以上を含むことが好ましく、金属キレート系架橋剤を含むことがより好ましく、アルミニウムキレート系架橋剤を含むことが更に好ましい。
【0120】
樹脂部分(X)中の架橋剤の含有量は、樹脂部分(X)に含まれる官能基を有する樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01〜15質量部、より好ましくは0.1〜10質量部、更に好ましくは0.3〜7.0質量部である。
【0121】
また、本発明の一態様としては、樹脂層の表面(α)に凹部を形成しやすくする観点から、樹脂部分(X)が、金属キレート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤を共に含むことが好ましい。
樹脂部分(X)が金属キレート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤を共に含む場合、上記観点から、樹脂部分(X)中の金属キレート系架橋剤とエポキシ系架橋剤との含有比[金属キレート系架橋剤/エポキシ系架橋剤]としては、質量比で、好ましくは10/90〜99.5/0.5、より好ましくは50/50〜99.0/1.0、更に好ましくは65/35〜98.5/1.5、より更に好ましくは75/25〜98.0/2.0である。
【0122】
樹脂部分(X)は、表面(α)の粘着特性をより向上させる観点から、粘着性樹脂と共に、さらに粘着付与剤を含有することが好ましい。特に、樹脂層が上述の多層構造体である場合には、層(Xα)が、粘着性樹脂及び粘着付与剤を含有することが好ましい。
【0123】
なお、本発明で用いる粘着付与剤は、粘着性樹脂の粘着力を補助的に向上させる成分であって、質量平均分子量(Mw)が通常1万未満のオリゴマーを指し、上述の粘着性樹脂とは区別されるものである。
粘着付与剤の質量平均分子量(Mw)は、好ましくは400〜8000、より好ましくは
500〜5000、より好ましくは800〜3500である。
【0124】
粘着付与剤としては、例えば、ロジン樹脂、ロジンエステル樹脂、ロジン変性フェノール樹脂等のロジン系樹脂;これらロジン系樹脂を水素化した水素化ロジン系樹脂;テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール系樹脂等のテルペン系樹脂;これらテルペン系樹脂を水素化した水素化テルペン系樹脂;α−メチルスチレン又はβ−メチルスチレン等のスチレン系モノマーと脂肪族系モノマーとを共重合して得られるスチレン系樹脂;これらスチレン系樹脂を水素化した水素化スチレン系樹脂;石油ナフサの熱分解で生成するペンテン、イソプレン、ピペリン、1
,3−ペンタジエン等のC5留分を共重合して得られるC5系石油樹脂及びこのC5系石油樹脂の水素化石油樹脂;石油ナフサの熱分解で生成するインデン、ビニルトルエン等のC9留分を共重合して得られるC9系石油樹脂及びこのC9系石油樹脂
の水素化石油樹脂;等が挙げられる。
本発明で用いる粘着付与剤は、単独で又は軟化点や構造が異なる2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0125】
粘着付与剤の軟化点としては、好ましくは80℃以上、より好ましくは80〜180℃、更に好ましくは83〜170℃、より更に好ましくは85〜150℃である。
なお、本発明において、粘着付与剤の「軟化点」は、JIS K 2531に準拠して測定した値を意味する。
また、2種以上の複数の粘着付与剤を用いる場合、それら複数の粘着付与剤の軟化点の加重平均が、上記範囲に属することが好ましい。
【0126】
樹脂部分(X)中に粘着付与剤を含有する場合における、粘着付与剤の含有量は、樹脂部分(X)に含まれる粘着性樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは1〜200質量部、更に好ましくは3〜150質量部、より更に好ましくは5〜90質量部である。
【0127】
また、樹脂部分(X)には、上述の架橋剤や粘着付与剤以外の汎用添加剤を含有していてもよい。
汎用添加剤としては、例えば、酸化防止剤、軟化剤(可塑剤)、防錆剤、顔料、染料、遅延剤、反応促進剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
なお、これらの汎用添加剤は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの汎用添加剤を含有する場合、それぞれの汎用添加剤の含有量は、樹脂100質量部に対して、好ましくは0.0001〜60質量部、より好ましくは0.001〜50質量部である。
【0128】
樹脂部分(X)に含まれる前記樹脂は、1種のみでもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の粘着シートが有する樹脂層の樹脂部分(X)の形成材料としては、官能基を有する粘着性樹脂を含む粘着剤であることが好ましく、官能基を有するアクリル系樹脂(A)(以下、単に「アクリル系樹脂(A)」ともいう)を含むアクリル系粘着剤であることがより好ましく、官能基を有するアクリル系樹脂(A)及び架橋剤(B)を含むアクリル系粘着剤であることが更に好ましい。
当該アクリル系粘着剤は、溶媒型、エマルション型のいずれであってもよい。
以下、樹脂部分(X)
の形成材料として好適な、上記のアクリル系粘着剤について説明する。
【0129】
当該アクリル系粘着剤中に含まれるアクリル系樹脂(A)としては、例えば、直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を有する重合体、環状構造を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を有する重合体等が挙げられる。
アクリル系樹脂(A)の質量平均分子量(Mw)としては、好ましくは5万〜150万、より好ましくは15万〜130万、更に好ましくは25万〜110万、より更に好ましくは35万〜90万である。
【0130】
アクリル系樹脂(A)としては、炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a1’)(以下、「モノマー(a1’)」ともいう)に由来する構成単位(a1)、及び官能基含有モノマー(a2’)(以下、「モノマー(a2’)」ともいう)に由来する構成単位(a2)を有するアクリル系共重合体(A1)を含むことが好ましく、アクリル系共重合体(A1)であることがより好ましい。
アクリル系共重合体(A1)の含有量は、アクリル系粘着剤中のアクリル系樹脂(A)の全量(100質量%)に対して、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、更に好ましくは80〜100質量%、より更に好ましくは90〜100質量%である。
なお、アクリル系共重合体(A1)の共重合の形態は、特に限定されず、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
【0131】
モノマー(a1’)が有するアルキル基の炭素数としては、粘着特性の向上の観点から、より好ましくは4〜12、更に好ましくは4〜8、より更に好ましくは4〜6である。
モノマー(a1’)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましく、ブチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0132】
構成単位(a1)の含有量は、アクリル系共重合体(A1)の全構成単位(100質量%)に対して、好ましくは50〜99.5質量%、より好ましくは60〜99質量%、更に好ましくは70〜95質量%、より更に好ましくは80〜93質量%である。
【0133】
モノマー(a2’)としては、例えば、ヒドロキシ基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、アミノ基含
有モノマー、シアノ基含有モノマー、ケト基含有モノマー、アルコキシシリル基含有モノマー等が挙げられる。
これらの中でも、カルボキシ基含有モノマーがより好ましい。
カルボキシ基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられ、(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0134】
構成単位(a2)の含有量は、アクリル系共重合体(A1)の全構成単位(100質量%)に対して、好ましくは0.5〜50質量%、より好ましくは1〜40質量%、更に好ましくは5〜30質量%、より更に好ましくは7〜20質量%である。
【0135】
なお、アクリル系共重合体(A1)は、上記モノマー(a1’)及び(a2’)以外のその他のモノマー(a3’)に由来する構成単位(a3)を有していてもよい。
その他のモノマー(a3’)としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート等の環状構造を有する(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等が挙げられる。
【0136】
構成単位(a3)の含有量は、アクリル系共重合体(A1)の全構成単位(100質量%)に対して、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、更に好ましくは0〜10質量%、より更に好ましくは0〜5質量%である。
なお、上述のモノマー(a1’)〜(a3’)は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0137】
アクリル系共重合体(A1)成分の合成方法については、特に限定されるものではなく、例えば、原料モノマーを溶媒中に溶解して、重合開始剤、連鎖移動剤等の存在下で溶液重合する方法や、乳化剤、重合開始剤、連鎖移動剤、分散剤等の存在下で、原料モノマーを用いて水系でエマルション重合する方法にて製造される。
【0138】
前記アクリル系粘着剤中に含まれる架橋剤(B)としては、上述のものが挙げられるが、粘着特性を良好とする観点、並びに、樹脂層の表面(α)に凹部を形成しやすくする観点から、金属キレート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤から選ばれる1種以上を含むことが好ましく、金属キレート系架橋剤を含むことがより好ましく、アルミニウムキレート系架橋剤を含むことが更に好ましい。
また、本発明の一態様としては、樹脂層の表面(α)に存在する複数の凹部の形状維持性を向上させる観点から、架橋剤(B)としては、金属キレート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤を共に含むことが好ましい。
【0139】
架橋剤(B)の含有量は、前記アクリル系粘着剤中のアクリル系樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.01〜15質量部、より好ましくは0.1〜10質量部、更に好ましくは0.3〜7.0質量部である。
【0140】
金属キレート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤を併用する場合、金属キレート系架橋剤とエポキシ系架橋剤との含有比[金属キレート系架橋剤/エポキシ系架橋剤]としては、質量比で、好ましくは10/90〜99.5/0.5、より好ましくは50/50〜99.0/1.0、更に好ましくは65/35〜98.5/1.5、より更に好ましくは75/25〜98.0/2.0である。
【0141】
本発明の一態様で用いるアクリル系粘着剤には、本発明の効果を損なわない範囲において、汎用添加剤を含有してもよい。汎用添加剤としては、上述のものが挙げられ、また、当該汎用添加剤の含有量も、上述のとおりである。
【0142】
また、本発明の一態様で用いるアクリル系粘着剤は、表面(α)の粘着特性をより向上させる観点から、さらに粘着付与剤を含有することが好ましい。粘着付与剤としては、上述のものが挙げられ、また、当該粘着付与剤の含有量も、上述のとおりである。
【0143】
本発明の一態様で用いるアクリル系粘着剤には、本発明の効果を損なわない範囲において、アクリル系樹脂(A)以外の粘着性樹脂(例えば、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂等)を含有していてもよい。
アクリル系粘着剤中のアクリル系樹脂(A)の含有量は、アクリル系粘着剤に含まれる粘着性樹脂の総量(100質量%)に対して、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、更に好ましくは80〜100質量%、より更に好ましくは100質量%である。
【0144】
<粒子部分(Y)>
本発明の一態様の粘着シートが有する樹脂層においては、シリカ粒子を含む微粒子からなる粒子部分(Y)を含む。
シリカ粒子の平均粒径としては、粘着シートのエア抜け性及び耐ブリスター性の向上の観点、並びに、樹脂層の表面(α)に凹部及び平坦面を形成しやすくする観点から、好ましくは0.01〜100μm、より好ましくは0.05〜25μm、更に好ましくは0.1〜10μmである。
【0145】
本発明の一態様で用いるシリカ粒子は、乾式シリカ及び湿式シリカのいずれであってもよい。
また、本発明の一態様で用いるシリカ粒子は、反応性官能基を有する有機化合物等で表面修飾された有機修飾シリカ、アルミン酸ナトリウムや水酸化ナトリウム等の無機化合物で表面処理された無機修飾シリカ、並びに、これらの有機化合物及び無機化合物で表面処理された有機無機修飾シリカ、シランカップリング剤等の有機無機ハイブリッド材料で表面処理された有機無機修飾シリカ等であってもよい。
なお、これらのシリカ粒子は、2種以上からなる混合物であってもよい。
【0146】
シリカ粒子中におけるシリカの質量濃度は、シリカ粒子の全量(100質量%)に対して、好ましくは70〜100質量%、より好ましくは85〜100質量%、更に好ましくは90〜100質量%である。
また、本発明の一態様で用いるシリカ粒子の体積平均二次粒子径は、粘着シートのエア抜け性及び耐ブリスター性の向上の観点、並びに、樹脂層の表面(α)に凹部及び平坦面を形成しやすくする観点から、好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは1〜8μm、更に好ましくは1.5〜5μmである。
なお、本発明において、シリカ粒子の体積平均二次粒子径の値は、マルチサイザー・スリー機等を用いて、コールターカウンター法による粒度分布の測定を行うことにより求めた値である。
【0147】
シリカ粒子以外の微粒子としては、例えば、酸化金属粒子、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ガラスビーズ、スメクタイト等の無機粒子や、アクリルビーズ等の有機粒子等が挙げられ、酸化金属粒子及びスメクタイトから選ばれる1種以上が好ましい。
【0148】
酸化金属粒子としては、例えば、酸化チタン、アルミナ、ベーマイト、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化銅、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化亜鉛、及びこれらの複合酸化物から選ばれる酸化金属からなる粒子等が挙げられ、これらの酸化金属からなるゾル粒子も含まれる。
【0149】
スメクタイトとしては、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト、ノントロナイト、ソーコナイト等が挙げられる。
【0150】
微粒子中のシリカ粒子の含有割合は、粒子部分(Y)を構成する微粒子の全量(100質量%)に対して、好ましくは60〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、更に好ましくは80〜100質量%、更に好ましくは90〜100質量%、より更に好ましくは100質量%である。
【0151】
本発明の一態様の粘着シートが有する樹脂層を800℃で30分間加熱した後の質量保持率は、好ましくは3〜90質量%、より好ましくは5〜80質量%、更に好ましくは7〜70質量%、より更に好ましくは9〜60質量%である。
当該質量保持率は、樹脂層中に含まれるシリカ粒子の含有量(質量%)を示すとみなすことができる。
当該質量保持率が3質量%以上であれば、エア抜け性及び耐ブリスター性に優れた粘着シートとなり得る。また、本発明の粘着シートの製造時において、樹脂層の表面(α)に凹部が形成されやすくなる。
一方、当該質量保持率が90質量%以下であれば、樹脂層の膜強度が高く、耐水性や耐薬品性が優れた粘着シートとなり得る。また、本発明の粘着シートの製造時において、樹脂層の表面(α)に平坦面が形成されやすくなる。
【0152】
〔粘着シートの製造方法〕
次に、本発明の粘着シートの製造方法について説明する。
本発明の粘着シートの製造方法としては、特に制限はないが、生産性の観点、並びに、樹脂層の表面(α)に凹部及び平坦面を形成しやすくする観点から、少なくとも下記工程(1)及び(2)を有する方法が好ましい。
工程(1):樹脂を含み、シリカ粒子の含有量が15質量%未満の組成物(x)からなる塗膜(x’)、及びシリカ粒子を15質量%以上含む組成物(y)からなる塗膜(y’)を形成する工程
工程(2):工程(1)で形成した塗膜(x’)及び塗膜(y’)を同時に乾燥させる工程
【0153】
<工程(1)>
工程(1)は、樹脂を含み、シリカ粒子の含有量が15質量%未満の組成物(x)からなる塗膜(x’)、及びシリカ粒子を15質量%以上含む組成物(y)からなる塗膜(y’)を形成する工程である。
組成物(x)は、樹脂部分(X)の形成材料であり、上述の樹脂と共に、架橋剤を含有することが好ましく、さらに粘着付与剤や上述の汎用添加剤を含有してもよい。
また、組成物(y)は、粒子部分(Y)の形成材料となるが、さらに樹脂や架橋剤、粘着付与剤、及び上述の汎用添加剤が含まれていてもよい。これらの樹脂等のシリカ粒子以外の成分が含まれている組成物(y)は、粒子部分(Y)の形成材料であると共に、樹脂部分(X)の形成材料ともなる。
【0154】
(組成物(x))
組成物(x)中に含有する樹脂としては、上述の樹脂部分(X)を構成する樹脂が挙げられ、官能基を有する粘着性樹脂が好ましく、上述の官能基を有するアクリル系樹脂(A)がより好ましく、上述のアクリル系共重合体(A1)が更に好ましい。
【0155】
組成物(x)中の樹脂の含有量は、組成物(x)の全量(100質量%(ただし、希釈溶媒を除く))に対して、通常30質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、より更に好ましくは70質量%以上であり、また、好ましくは100質量%以下、より好ましくは99.9質量%以下、更に好ましくは95質量%以下である。
【0156】
また、組成物(x)中に含有する架橋剤としては、上述の樹脂部分(X)中に含有する架橋剤が挙げられるが、組成物(x)が、金属キレート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤から選ばれる1種以上を含むことが好ましく、金属キレート系架橋剤を含むことがより好ましい。
さらに、本発明の一態様としては、樹脂層の表面(α)に存在する複数の凹部の形状維持性を向上させる観点から、組成物(x)が、金属キレート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤を共に含むことが好ましい。
組成物(x)が金属キレート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤を共に含む場合、組成物(x)中の金属キレート系架橋剤とエポキシ系架橋剤との含有比[金属キレート系架橋剤/エポキシ系架橋剤]としては、質量比で、好ましくは10/90〜99.5/0.5、より好ましくは50/50〜99.0/1.0、更に好ましくは65/35〜98.5/1.5、より更に好ましくは75/25〜98.0/2.0である。
【0157】
架橋剤の含有量は、組成物(x)中に含有する樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01〜15質量部、より好ましくは0.1〜10質量部、更に好ましくは0.3〜7.0質量部である。
【0158】
組成物(x)としては、上述の官能基を有するアクリル系樹脂(A)及び架橋剤(B)を含むアクリル系粘着剤であることが好ましく、上述のアクリル系共重合体(A1)及び架橋剤(B)を含むアクリル系粘着剤であることがより好ましい。また、当該アクリル系粘着剤は、さらに粘着付与剤や汎用添加剤を含有してもよい。
なお、上記アクリル系粘着剤の詳細は、上述のとおりである。
【0159】
組成物(x)は、上述のシリカ粒子を含有していてもよい。
ただし、組成物(x)中の当該シリカ粒子の含有量は、15質量%未満であり、且つ組成物(x)中に含まれる樹脂の含有量よりも少ない。
具体的な組成物(x)中のシリカ粒子の含有量としては、組成物(x)の全量(100質量%(ただし、希釈溶媒を除く))に対して、15質量%未満であるが、好ましくは0〜13質量%、より好ましくは0〜10質量%、更に好ましくは0〜5質量%、より更に好ましくは0質量%である。
【0160】
(組成物(y))
組成物(y)は、粒子部分(Y)の形成材料であり、少なくとも上述のシリカ粒子を15質量%以上含むが、シリカ粒子の分散性の観点から、シリカ粒子と共に、樹脂を含有することが好ましく、さらに当該樹脂と共に架橋剤を含有することがより好ましい。また、組成物(y)は、さらに粘着付与剤や汎用添加剤を含んでもよい。
なお、組成物(y)中に含まれる、シリカ粒子以外の成分(樹脂、架橋剤、粘着付与剤及び汎用添加剤)は、樹脂部分(X)の形成材料となる。
【0161】
組成物(y)には、上述のシリカ粒子以外の微粒子を含むことができる。
組成物(y)中のシリカ粒子の含有量は、樹脂層の表面(α)上に、樹脂層の自己形成化によって形成される不定形の凹部及び平坦面を形成しやすくする観点から、組成物(y)の全量(100質量%(ただし、希釈溶媒を除く))に対して、15質量%以上であるが、好ましくは20〜100質量%、より好ましくは25〜90質量%、更に好ましくは30〜85質量%、より更に好ましくは35〜80質量%である。
【0162】
組成物(y)中に含まれる樹脂としては、上述の組成物(x)に含まれる樹脂と同じものが挙げられ、組成物(x)と同じ樹脂を含むことが好ましい。なお、これらの樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、組成物(y)中に含まれるより具体的な樹脂としては、官能基を有する樹脂が好ましく、上述の官能基を有するアクリル系樹脂(A)がより好ましく、上述のアクリル系共重合体(A1)が更に好ましい。
【0163】
組成物(y)中の樹脂の含有量は、組成物(y)の全量(100質量%(ただし、希釈溶媒を除く))に対して、通常0〜85質量%、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは5〜75質量%、更に好ましくは10〜70質量%、より更に好ましくは20〜65質量%である。
【0164】
また、組成物(y)中に含有する架橋剤としては、上述の樹脂部分(X)中に含有する架橋剤と同じものが挙げられる。これらの中でも、組成物(y)は、金属キレート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤から選ばれる1種以上を含むことが好ましく、金属キレート系架橋剤を含むことがより好ましい。さらに、本発明の一態様としては、組成物(y)が、金属キレート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤を共に含むことが好ましい。
なお、組成物(y)が金属キレート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤を共に含む場合、組成物(y)中の金属キレート系架橋剤とエポキシ系架橋剤との好適な含有比(質量比)の範囲は、上述の組成物(x)と同じである。
【0165】
組成物(y)中の架橋剤の含有量は、組成物(y)中に含有する樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01〜15質量部、より好ましくは0.1〜10質量部、更に好ましくは0.3〜7.0質量部である。
【0166】
(塗膜(x’)、(y’)の形成方法)
なお、塗膜を形成する際に、塗膜を形成しやすくするため、組成物(x)及び(y)に、溶媒を配合し、組成物の溶液の形態とすることが好ましい。
このような溶媒としては、水や有機溶媒等が挙げられる。
当該有機溶媒としては、例えば、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブタノール、s−ブタノール、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。なお、これらの溶媒は、単独で又は2種以上を併用してもよい。
【0167】
本工程で形成される塗膜(x’)及び(y’)の積層する順序は特に限定されないが、塗膜(y’)上に塗膜(x’)が積層するように形成されることが好ましい。
塗膜(x’)及び(y’)の形成方法としては、塗膜(y’)を形成した後、塗膜(y’)上に、塗膜(x’)を逐次形成する方法でもよく、また、生産性の観点から、塗膜(y’)及び塗膜(x’)を多層コーターで同時塗布し形成する方法でもよい。
逐次形成する際に用いるコーターとしては、例えば、スピンコーター、スプレーコーター、バーコーター、ナイフコーター、ロールコーター、ナイフロールコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、ダイコーター等が挙げられる。
多層コーターで同時塗布する際に用いるコーターとしては、例えば、カーテンコーター、ダイコーター等が挙げられるが、これらの中でも、操作性の観点から、ダイコーターが好ましい。
【0168】
なお、本工程(1)において、塗膜(x’)及び塗膜(y’)の少なくとも一方の形成後に、工程(2)に移る前に、当該塗膜の硬化反応が進行しない程度のプレ乾燥処理を施してもよい。
本工程(1)における、当該プレ乾燥処理を行う際の乾燥温度としては、通常は、形成した塗膜の硬化が進行しない程度の温度範囲に適宜設定されるが、好ましくは工程(2)での乾燥温度未満である。「工程(2)での乾燥温度未満」との規定が示す具体的な乾燥温度としては、好ましくは10〜45℃、より好ましくは10〜34℃、更に好ましくは15〜30℃である。
【0169】
<工程(2)>
工程(2)は、工程(1)で形成した塗膜(x’)及び塗膜(y’)を同時に乾燥させる工程である。
本工程にて、形成した塗膜(x’)及び塗膜(y’)を同時に乾燥させることで、樹脂部分(X)と粒子部分(Y)とを含む樹脂層が形成されると共に、当該樹脂層の表面(α)には、複数の凹部及び平坦面が形成される。
【0170】
本工程における乾燥温度としては、樹脂層の表面(α)に凹部及び平坦面を形成しやすくする観点から、好ましくは35〜200℃、より好ましくは60〜180℃、更に好ましくは70〜160℃、より更に好ましくは80〜140℃である。
当該乾燥温度が35℃以上であれば、エア抜け性が良好な粘着シートを得ることができる。一方、当該乾燥温度が200℃以下であれば、粘着シートが有する基材や剥離材が収縮するといった不具合を抑えることができる。
なお、当該乾燥温度が低いほど、形成される凹部の高低差が大きくなるが、形成される凹部の数が減少する傾向がある。
【0171】
なお、本工程により形成される樹脂層の粒子部分(Y)の周辺において、空隙部分(Z)が形成されやすい。
空隙部分(Z)は、上述の組成物(y)中に含有するシリカ粒子によって、容易に形成することができる。
【0172】
また、
図1(a)の粘着シート1a等のように、主に樹脂部分(X)を含む層(Xβ)、粒子部分(Y)を15質量%以上含む層(Y1)、及び主に樹脂部分(X)を含む層(Xα)をこの順で積層した多層構造体を形成してなる樹脂層を有する粘着シートを製造する場合には、以下に示す第1及び第2の態様の製造方法が好ましい。
【0173】
なお、以下の第1及び第2の態様の製造方法の記載において、「組成物(xβ)」及び「組成物(xα)」は、特に断りが無い限り、上述の組成物(x)と同じであり、組成物(xβ)又は(xα)中に含まれる各成分(樹脂、架橋剤、粘着付与剤、汎用添加剤、希釈溶媒等)の詳細(各成分の具体的な例示、好適な成分、成分の含有量、固形分濃度等)も、上述の組成物(x)と同じである。また、「組成物(y)」も、上述のとおりである。
【0174】
〔第1の態様の製造方法〕
第1の態様の製造方法としては、少なくとも下記工程(1A)及び(2A)を有する。
工程(1A):基材又は剥離材上に、樹脂を含み、シリカ粒子の含有量が15質量%未満の組成物(xβ)からなる塗膜(xβ’)、前記シリカ粒子を15質量%以上含む組成物(y)からなる塗膜(y’)、及び樹脂を含み、シリカ粒子の含有量が15質量%未満の組成物(xα)からなる塗膜(xα’)をこの順で積層して形成する工程
工程(2A):工程(1A)で形成した塗膜(xβ’)、塗膜(y’)、及び塗膜(xα’)を同時に乾燥させる工程
【0175】
工程(1A)においても、組成物(xβ)、組成物(y)、及び組成物(xα)には、上述の溶媒を配合し、組成物の溶液の形態とした後、塗布することが好ましい。
塗膜(xβ’)、塗膜(y’)、及び塗膜(xα’)の形成方法としては、基材又は剥離材上に、塗膜(xβ’)を形成した後、塗膜(xβ’)上に塗膜(y’)を形成し、さらに塗膜(y’)上に塗膜(xα’)を形成するというように、上述のコーターを用いて逐次形成する方法でもよく、塗膜(xβ’)、塗膜(y’)及び塗膜(xα’)を、上述の多層コーターを用いて同時塗布し形成する方法でもよい。
【0176】
なお、本工程(1A)において、塗膜(xβ’)、塗膜(y’)、及び塗膜(xα’)の1層以上の塗膜を形成後に、工程(2A)に移る前に、当該塗膜の硬化反応が進行しない程度のプレ乾燥処理を施してもよい。
例えば、塗膜(xβ’)、塗膜(y’)、及び塗膜(xα’)のそれぞれの塗膜の形成後に、その都度上記のプレ乾燥処理を行ってもよく、塗膜(xβ’)及び塗膜(y’)の形成後に、まとめて上記のプレ乾燥処理を行った後、塗膜(xα’)を形成してもよい。
本工程(1A)における、当該プレ乾燥処理を行う際の乾燥温度としては、通常は、形成した塗膜の硬化が進行しない程度の温度範囲で適宜設定されるが、好ましくは工程(2A)での乾燥温度未満である。「工程(2A)での乾燥温度未満」との規定が示す具体的な乾燥温度としては、好ましくは10〜45℃、より好ましくは10〜34℃、更に好ましくは15〜30℃である。
【0177】
工程(2A)は、工程(1A)で形成した塗膜(xβ’)、塗膜(y’)、及び塗膜(xα’)を同時に乾燥させる工程であるが、本工程における乾燥温度の好適範囲は、上述の工程(2)と同じである。本工程により、樹脂部分(X)と粒子部分(Y)とを含む樹脂層が形成される。
【0178】
〔第2の態様の製造方法〕
第2の態様の製造方法としては、少なくとも下記工程(1B)及び(2B)を有する。
工程(1B):基材又は剥離材上に設けられた、主に樹脂部分(X)を含む層(Xβ)上に、前記シリカ粒子を15質量%以上含む組成物(y)からなる塗膜(y’)、及び
構成単位の主鎖に炭素原子を有する組成物(xα)からなる塗膜(xα’)をこの順で積層して形成する工程
工程(2B):工程(1B)で形成した塗膜(y’)及び塗膜(xα’)を同時に乾燥させる工程
【0179】
工程(1B)において、「主に樹脂部分(X)を含む層(Xβ)」は、上述の主成分として樹脂を含む組成物(xβ)からなる塗膜(xβ’)を乾燥させて形成することができる。
層(Xβ)が組成物(xβ)から形成されるため、層(Xβ)には、樹脂以外にも、架橋剤や汎用添加剤等が含有していてもよい。層(Xβ)中の樹脂部分(X)の含有量としては、上述のとおりである。
【0180】
層(Xβ)の形成方法としては、基材又は剥離材上に、主成分として樹脂を含む組成物(xβ)からなる塗膜(xβ’)を形成し、該塗膜(xβ’)を乾燥させて形成することができる。
このときの乾燥温度としては、特に制限はなく、好ましくは35〜200℃、より好ましくは60〜180℃、更に好ましくは70〜160℃、より更に好ましくは80〜140℃である。
【0181】
なお、本態様においては、塗膜(xβ’)上ではなく、乾燥後に得られた層(Xβ)上に、塗膜(y’)及び塗膜(xα’)をこの順で形成する点で、上述の第1の態様とは異なる。
工程(1B)においても、組成物(y)及び組成物(xα)には、上述の溶媒を配合し、組成物の溶液の形態とした後、塗布することが好ましい。
塗膜(y’)及び塗膜(xα’)の形成方法としては、層(Xβ)上に、塗膜(y’)を形成した後、塗膜(y’)上に塗膜(xα’)を形成するというように、上述のコーターを用いて逐次形成する方法でもよく、塗膜(y’)及び塗膜(xα’)を、上述の多層コーターを用いて同時塗布し形成する方法でもよい。
【0182】
なお、本工程(1B)において、塗膜(y’)の形成後、もしくは塗膜(y’)及び塗膜(xα’)の形成後に、工程(2B)に移る前に、当該塗膜の硬化反応が進行しない程度のプレ乾燥処理を施してもよい。
本工程(1B)における、当該プレ乾燥処理を行う際の乾燥温度としては、通常は、形成した塗膜の硬化が進行しない程度の温度範囲に適宜設定されるが、好ましくは工程(2B)での乾燥温度未満である。「工程(2B)での乾燥温度未満」との規定が示す具体的な乾燥温度としては、好ましくは10〜45℃、より好ましくは10〜34℃、更に好ましくは15〜30℃である。
【0183】
工程(2B)は、工程(1B)で形成した塗膜(y’)及び塗膜(xα’)を同時に乾燥させる工程であるが、本工程における乾燥温度の好適範囲は、上述の工程(2)と同じである。本工程により、樹脂部分(X)と粒子部分(Y)とを含む樹脂層が形成される。
【実施例】
【0184】
本発明について、以下の実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の製造例及び実施例における物性値は、以下の方法により測定した値である。
【0185】
<質量平均分子量(Mw)>
ゲル浸透クロマトグラフ装置(東ソー株式会社製、製品名「HLC−8020」)を用いて、下記の条件下で測定し、標準ポリスチレン換算にて測定した値を用いた。
(測定条件)
・カラム:「TSK guard column HXL−L」「TSK gel G2500HXL」「TSK gel G2000HXL」「TSK gel G1000HXL」(いずれも東ソー株式会社製)を順次連結したもの
・カラム温度:40℃
・展開溶媒:テトラヒドロフラン
・流速:1.0mL/min
【0186】
<シリカ粒子の体積平均二次粒子径の測定>
シリカ粒子の体積平均二次粒子径は、マルチサイザー・スリー機(ベックマン・コールター社製)を用いて、コールターカウンター法による粒度分布の測定を行うことにより求めた。
【0187】
<樹脂層の厚さの測定>
株式会社テクロック製の定圧厚さ測定器(型番:「PG−02J」、標準規格:JIS K6783、Z1702、Z1709に準拠)を用いて測定した。
具体的には、測定対象の粘着シートの総厚を測定した上で、予め測定した基材もしくは剥離シートの厚みを差し引いた値を「樹脂層の厚さ」とした。
【0188】
製造例x−1〜x−4
(樹脂組成物の溶液(xβ−1)〜(xβ−2)及び(xα−1)〜(xα−2)の調製)
表1に記載の種類及び固形分量の粘着性樹脂であるアクリル系樹脂の溶液に対して、表1に記載の種類及び配合量の架橋剤、及び粘着付与剤を添加した。そして、表1に記載の希釈溶媒を用いて希釈し、表1に記載の固形分濃度を有する樹脂組成物の溶液(xβ−1)〜(xβ−2)及び(xα−1)〜(xα−2)をそれぞれ調製した。
【0189】
なお、樹脂組成物の溶液(xβ−1)〜(xβ−2)及び(xα−1)〜(xα−2)の調製に使用した表1に記載の各成分の詳細は以下のとおりである。
<アクリル系樹脂の溶液>
・溶液(i):アクリル系樹脂(x−i)(BA/AA=90/10(質量%)からなる原料モノマーに由来の構成単位を有するアクリル系共重合体、Mw:63万)を含有する固形分濃度34.0質量%のトルエンと酢酸エチルとの混合溶液。
・溶液(ii):アクリル系樹脂(x−ii)(BA/AA=90/10(質量%)からなる原料モノマーに由来の構成単位を有するアクリル系共重合体、Mw:47万)を含有する固形分濃度37.0質量%のトルエンと酢酸エチルとの混合溶液。
・溶液(iii):アクリル系樹脂(x−iii)(2EHA/VAc/AA=75/23/2(質量%)からなる原料モノマーに由来の構成単位を有するアクリル系共重合体、Mw:66万)を含有する固形分濃度37.0質量%のトルエンとイソプロピルアルコール(IPA)との混合溶液。
・溶液(iv):アクリル系樹脂(x−iv)(BA/AA/HEA=94/3/3(質量%)からなる原料モノマーに由来の構成単位を有するアクリル系共重合体、Mw:100万)を含有する固形分濃度37.0質量%の酢酸エチルの溶液。
なお、上記のアクリル系共重合体の構成する原料モノマーの略称は、以下のとおりである。
・BA:n−ブチルアクリレート
・2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
・AA:アクリル酸
・VAc:酢酸ビニル
・HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
【0190】
<架橋剤>
・Al系架橋剤:製品名「M−5A」、綜研化学株式会社製、アルミニウムキレート系架橋剤、固形分濃度=4.95質量%。
・エポキシ系架橋剤:「TETRAD−C」(製品名、三菱ガス化学株式会社製)をトルエンで希釈し、固形分濃度5質量%としたエポキシ系架橋剤の溶液。
【0191】
<粘着付与剤>
・ロジンエステル系TF:ロジンエステル系重合体、Mw:1万未満、軟化点:85℃。
・スチレン系TF:スチレン系モノマーと脂肪族系モノマーとの共重合体、Mw:1万未満、軟化点:95℃
【0192】
<希釈溶媒>
・混合溶媒(1):トルエン/イソプロピルアルコール(IPA)=65/35(質量比)で混合してなる混合溶媒。
・混合溶媒(2):酢酸エチル/IPA=86/14(質量比)で混合してなる混合溶媒。
【0193】
【表1】
【0194】
製造例f−1
(微粒子分散液(f−1)の調製)
上述のアクリル系樹脂(x−i)を含むアクリル系樹脂の溶液(i)(ブチルアクリレート(BA)及びアクリル酸(AA)に由来する構成単位を有するアクリル系共重合体、BA/AA=90/10(質量%)、Mw:63万)を含有する固形分濃度34.0質量%のトルエンと酢酸エチルとの混合溶液100質量部(固形分:34.0質量部)に対して、微粒子として、シリカ粒子(製品名「ニップシール E−200A」、東ソー・シリカ社製、体積平均二次粒子径:3μm)を51.0質量部(固形分:51.0質量部)及びトルエンを添加して、微粒子を分散させて、アクリル系樹脂及びシリカ粒子を含む固形分濃度27質量%の微粒子分散液(f−1)を調製した。
【0195】
製造例f−2
(微粒子分散液(f−2)の調製)
溶液(i)に代えて、上述のアクリル系樹脂(x−ii)を含む溶液(ii)(ブチルアクリレート(BA)及びアクリル酸(AA)に由来する構成単位を有するアクリル系共重合体、BA/AA=90/10(質量%)、Mw:47万)を含有する固形分濃度37.0質量%のトルエンと酢酸エチルとの混合溶液100質量部(固形分:37.0質量部)に対して、微粒子として、シリカ粒子(製品名「ニップシール E−200A」、東ソー・シリカ社製、体積平均二次粒子径:3μm)を55.5質量部(固形分:55.5質量部)及びトルエンを添加して、微粒子を分散させて、アクリル系樹脂及びシリカ粒子を含む固形分濃度30質量%の微粒子分散液(f−2)を調製した。
【0196】
製造例y−1〜y−2
(塗膜(y’)形成用塗布液(y−1)〜(y−2)の調製)
表2に記載の種類及び配合量の微粒子分散液、アクリル系樹脂の溶液、架橋剤、及び希釈溶媒を添加して、表2に記載の固形分濃度の塗膜(y’)形成用塗布液(y−1)〜(y−2)をそれぞれ調製した。
【0197】
なお、塗膜(y’)形成用塗布液(y−1)〜(y−2)の調製に使用した表2に記載の各成分
の詳細は以下のとおりである。
<微粒子分散液>
・分散液(f−1):製造例f−1で調製した、アクリル系樹脂(x−i)及びシリカ粒子を含む固形分濃度27質量%の微粒子分散液(f−1)。
・分散液(f−2):製造例f−2で調製した、アクリル系樹脂(x−ii)及びシリカ粒子を含む固形分濃度30質量%の微粒子分散液(f−2)。
<アクリル系樹脂の溶液>
・溶液(i):アクリル系樹脂(x−i)(BA/AA=90/10(質量%)からなる原料モノマーに由来の構成単位を有するアクリル系共重合体、Mw:63万)を含有する固形分濃度34.0質量%のトルエンと酢酸エチルとの混合溶液。
・溶液(ii):アクリル系樹脂(x−ii)(BA/AA=90/10(質量%)からなる原料モノマーに由来の構成単位を有するアクリル系共重合体、Mw:47万)を含有する固形分濃度37.0質量%のトルエンと酢酸エチルとの混合溶液。
<架橋剤>
・Al系架橋剤:製品名「M−5A」、綜研化学株式会社製、アルミニウムキレート系架橋剤、固形分濃度=4.95質量%。
・エポキシ系架橋剤:「TETRAD−C」(製品名、三菱ガス化学株式会社製)をトルエンで希釈し、固形分濃度5質量%としたエポキシ系架橋剤の溶液。
<希釈溶媒>
・IPA/CHN:イソプロピルアルコール(IPA)及びシクロヘキサノン(CHN)からなる混合溶媒(IPA/CHN=95/5(質量比))。
【0198】
【表2】
【0199】
実施例1〜2
(1)塗膜の形成
第1の剥離材である剥離フィルム(リンテック株式会社製、製品名「SP−PET381031」、厚み38μm、PETフィルムの片面にシリコーン系剥離剤層を設けたもの)の剥離剤層上に、表3のとおり、記載の製造例x−1で調製した樹脂組成物の溶液(xβ−1)と、製造例y−1で調製した塗膜(y’)形成用塗布液(y−1)と、塗膜(xα’)形成用として、製造例x−1で調製した樹脂組成物の溶液(xβ−1)とを、剥離剤層上からこの順で多層ダイコーター(幅:250mm)を用いて同時に塗布し、塗膜(xβ’)、塗膜(y’)及び塗膜(xα’)の順で同時に形成した。
なお、塗膜(xβ’)、塗膜(y’)及び塗膜(xα’)を形成するための各溶液(塗布液)の塗布速度及び各塗膜の塗布量は、表3に記載のとおりである。
【0200】
(2)乾燥処理
そして、3層の塗膜(xβ’)、塗膜(y’)及び塗膜(xα’)を、乾燥温度100℃にて2分間、同時に乾燥させて、樹脂部分(X)と粒子部分(Y)とを含む、表3に示す厚さの樹脂層を形成した。
なお、実施例1〜2のいずれにおいても、形成した樹脂層の表面(α)には、複数の凹部と平坦面が目視によっても確認された。
【0201】
(3)基材無し粘着シート及び基材付き粘着シートの作製
形成した樹脂層の表面(α)に、第2の剥離材である剥離フィルム(リンテック株式会社製、製品名「SP−PET386040」)の剥離剤層の表面と貼合するようにラミネートし、基材無し粘着シートを作製した。
また、同様に作製した、上記の基材無し粘着シートを23℃環境下で1週間静置した後、第1の剥離材を除去し、表出した樹脂層の表面(β)と、基材である、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ株式会社製、製品名「ルミラーT60 #50」、厚さ50μm)と貼合するようにラミネートし、基材付き粘着シートを作製した。
【0202】
実施例3〜4
(1)塗膜の形成
片面にアルミ蒸着層を設けたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(リンテック株式会社製、「FNSケシN50」、厚さ50μm)のアルミ蒸着層の表面上に、表3に記載のとおり、製造例x−2で調製した樹脂組成物の溶液(xβ−2)と、製造例y−2で調製した塗膜(y’)形成用塗布液(y−2)と、製造例x−3〜x−4で調製した樹脂組成物の溶液(xα−1)又は(xα―2)とを、アルミ蒸着層上からこの順で多層ダイコーター(幅:250mm)を用いて同時に塗布し、塗膜(xβ’)、塗膜(y’)及び塗膜(xα’)の順で同時に形成した。
なお、塗膜(xβ’)、塗膜(y’)及び塗膜(xα’)を形成するための各溶液(塗布液)の塗布速度及び各塗膜の塗布量は、表3に記載のとおりである。
【0203】
(2)乾燥処理
そして、3層の塗膜(xβ’)、塗膜(y’)及び塗膜(xα’)を、乾燥温度100℃にて2分間、同時に乾燥させて、樹脂部分(X)と粒子部分(Y)とを含む、表3に示す厚さの樹脂層を形成した。
なお、実施例3〜4のいずれにおいても、形成した樹脂層の表面(α)には、複数の凹部と平坦面が目視によっても確認された。
【0204】
(3)基材付き粘着シートの作製
剥離フィルム(リンテック株式会社製、製品名「SP−PET381031」)の剥離剤層の表面と貼合するようにラミネートし、基材付き粘着シートを得た。
【0205】
【表3】
【0206】
比較例1〜4
(1)エンボス剥離紙の作製
上質紙の片面に、低密度ポリエチレン樹脂(住友化学株式会社製、製品名「スミカセン(L705)」、融点106°)からなる厚さ25μmの樹脂膜を形成した。そして、当該樹脂膜の表面に、金属彫刻板の凹凸形成面を密着させ、その状態で、115℃に加熱した2つの回転するシリコンゴムローラー間に差し込み、当該樹脂膜の表面にエンボス加工を行った。
エンボス加工後の樹脂膜の表面上に、シリコーン系剥離材(リンテック社製、製品名「SP−PET1031と同じ剥離材」)を塗布した後、100℃で1分間乾燥して、厚さ110μmのエンボス剥離紙を作製した。
なお、金属彫刻板の凹凸形成面は、比較例1〜4で作製する粘着シートの樹脂層の表面(α)に、それぞれの形状の凹部及び平坦面が形成されるように加工されたものを使用した。
(2)基材付き粘着シートの作製
上記(1)で作製したエンボス剥離紙の剥離剤層上に、表1に記載の製造例x−1で調製した樹脂組成物の溶液(xβ−1)を、アプリケータを用いて塗布し、その後100℃にて1分間乾燥して、表3の実施例1に記載の塗布速度及び各塗膜の塗布量となるように樹脂層を形成した。そして、樹脂層の表面(α)にPETフィルム(東レ株式会社製、製品名「ルミラーT60 #50」、厚さ50μm)を貼合するようにラミネートし、基材付き粘着シートを作製した。
【0207】
実施例及び比較例で作製した基材無し粘着シート又は基材付き粘着シートを用いて、当該粘着シートが有する樹脂層及び当該粘着シートの特性について、以下の方法により、測定又は観察を行った。これらの結果を表4に示す。
【0208】
(1)測定サンプルの作製
図6(a)に示すように、粘着シートのうねり等の影響を排除するため、平滑面を有する被着体101である無アルカリガラス(製品名「イーグルXG」、コーニング株式会社製)と、実施例及び比較例で作製した粘着シートの基材とを、両面テープを介して貼付した。
そして、当該粘着シートの樹脂層の表面(α)上に積層している剥離材を除去し、樹脂層の表面(α)が表出したものを測定サンプルとした。
【0209】
<凹部及び平坦面を目視で確認できるか否か>
・評価項目(a):上記の測定サンプルの表出している樹脂層の表面(α)を目視で観察し、表面(α)上の凹部及び平坦面の存在が目視により確認できるか否かを、以下の基準により評価した。
A:表面(α)上の凹部及び平坦面の存在が、目視により確認できる。
F:表面(α)上の凹部及び平坦面の存在が、目視によっては確認できない。
【0210】
(2)表面(α)上の領域(D)及び領域(Q)の画像の取得
上記の測定サンプルの表出している樹脂層の表面(α)を、デジタル顕微鏡(倍率50倍)を用いて、表面(α)上の任意に選択した互いに隣り合わせの範囲を、
図6(a)のA方向から撮影し、隣接する複数の画像を、デジタル顕微鏡の画像連結機能により連結した連結画像を取得した。
なお、当該撮影に際し、より具体的には、
図6(a)のA方向から目視にて平坦面だと判断した部位の上方から順に焦点を移動し、初めに焦点があった部分を平坦面として撮影した。
そして、取得した連結画像において、縦8mm×横10mmの長方形で囲まれた領域(D)を1領域任意に選択し、これを「領域(D)の画像」とした。
また、取得した連結画像において、一辺1mmの正方形で囲まれた領域(Q)を1領域任意に選択し、これを「領域(Q)の画像」とした。
【0211】
なお、上記(2)におけるデジタル顕微鏡の撮影条件は以下のとおりである。
(測定機器)
株式会社キーエンス製、製品名「デジタルマイクロスコープVHX−5000」、高解像度ズームレンズVHX−ZST100倍
(測定条件)
・落射照明:ON
・ステージ透過照明:OFF
・照明きりかえ:同軸落射
・エッジ強調:OFF
【0212】
<凹部及び平坦面の形状等に関する評価>
上記(2)で取得した「領域(D)の画像」又は「領域(Q)の画像」から、以下の評価項目(b1)〜(b4)及び(c1)〜(c4)に関する観察を行い、それぞれの基準による評価を行った。これらの評価の結果を表4に示す。
【0213】
(領域(D)に存在する平坦面の形状及び位置に関する評価項目)
・評価項目(b1):取得した「領域(D)の画像」から、当該領域(D)に不定形の平坦面が存在するか否かを、以下の基準により評価した。
A:不定形の平坦面が複数存在する。
B:不定形の平坦面が1個のみ存在する。
C:不定形の平坦面が存在しない。
【0214】
・評価項目(b2):取得した「領域(D)の画像」から、当該領域(D)に直径100μm以上の円で囲まれた領域を選択可能な広さを有する平坦面が存在するか否かを、以下の基準により評価した。
A+:領域(D)に、直径200μmの円で囲まれた領域を選択可能な広さを有する平坦面が存在する。
A:領域(D)に、直径150μmの円で囲まれた領域を選択可能な広さを有する平坦面が存在する。
B:領域(D)に、直径100μmの円で囲まれた領域を選択可能な広さを有する平坦面が存在する。
C:領域(D)に、直径100μmの円で囲まれた領域を選択可能な広さを有する平坦面が存在しない。
【0215】
・評価項目(b3):取得した「領域(D)の画像」から、当該領域(D)の複数の平坦面が存在する位置が周期性を有するか否かを、以下の基準により評価した。
A:複数の平坦面が存在する位置が周期性を有しない。
F:複数の平坦面が存在する位置が周期性を有する、もしくは、領域(D)に複数の平坦面が存在しない。
【0216】
・評価項目(b4):取得した「領域(D)の画像」から、当該領域(D)に存在する平坦面の形状が、一定の繰り返し単位となるような形状を有するか否かを、以下の基準により評価した。
A:平坦面の形状が、一定の繰り返し単位となるような形状を有しない。
F:平坦面の形状が、一定の繰り返し単位となるような形状を有する。
【0217】
(領域(D)に存在する凹部の形状及び位置に関する評価項目)
・評価項目(c1):取得した「領域(D)の画像」から、当該領域(D)に不定形の凹部が存在するか否かを、以下の基準により評価した。
A:不定形の凹部が複数存在する。
B:不定形の凹部が1個のみ存在する。
C:不定形の凹部が存在しない。
【0218】
・評価項目(c2):取得した「領域(D)の画像」から、当該領域(D)に複数の凹部が存在し、複数の凹部が存在する位置が周期性を有するか否かを、以下の基準により評価した。
A:複数の凹部が存在する位置が周期性を有しない。
F:複数の凹部が存在する位置が周期性を有する、もしくは、領域(D)に複数の凹部が存在しない。
【0219】
・評価項目(c3):取得した「領域(D)の画像」から、当該領域(D)に存在する凹部の形状が、一定の繰り返し単位となるような形状を有するか否かを、以下の基準により評価した。
A:凹部の形状が、一定の繰り返し単位となるような形状を有しない。
F:凹部の形状が、一定の繰り返し単位となるような形状を有する。
【0220】
(領域(Q)における不定形の凹部の存在の有無に関する評価項目)
・評価項目(c4):取得した「領域(Q)の画像」から、当該領域(Q)に不定形の凹部が存在するか否かを、以下の基準により評価した。
A:領域(Q)に、不定形の凹部が複数存在する。
B:領域(Q)に、不定形の凹部が1個のみ存在する。
C:領域(Q)に、不定形の凹部が存在しない。
【0221】
(3)領域(D)に存在する凹部及び平坦面の面積の測定
上記(2)で取得した「領域(D)の画像」を基に、上記と同じデジタル顕微鏡を用いて、自動面積計測を行い、領域(D)に存在する各凹部及び各平坦面の面積をそれぞれ得た。
なお、自動面積計測は、領域(D)に存在する平坦面と凹部とを、デジタル顕微鏡及び必要に応じて目視による画像処理にて2値化した後、得られた2値化画像の数値(面積)の計測を行い、各凹部及び各平坦面の面積をそれぞれ測定した。凹部と平坦面がそれぞれ複数存在する場合には、それぞれの凹部と平坦面の面積の計測を行った。
自動面積計測の条件は、以下のとおりである。
(自動面積計測条件)
・抽出モード:輝度(ノイズ除去弱)
・抽出領域:数値指定(矩形)にて縦8mm×横10mmの長方形を抽出
・抽出領域の整形:粒除去(面積100μm
2以下除去)
また、画像の目視にて、平坦面であるかどうかを判断出来ない場合は、樹脂層の表面(α)に平滑面を有する透光性被着体を可能な限り荷重をかけないようにスキージ−にて手貼りし、
図6(b)のW方向から、透光性被着体100の平滑面100aと樹脂層12の表面(α)12aとの界面を撮影し、表面(α)12aのうち、平滑面100aと貼付された部分を平坦面であると判断した。
なお、平滑面100aを有する透光性被着体100は、「平滑面を有する被着体」と同様に、無アルカリガラス(製品名「イーグルXG」、コーニング株式会社製)を使用した。
得られた各凹部の面積及び各平坦面の面積のデータから、グラフソフト(日本マイクロソフト株式会社製、エクセル)を用いて、各種測定値(平均値、標準偏差、最大値、最小値等)を算出した。
【0222】
<平坦面又は凹部が占める面積割合>
領域(D)の全面積に対する、「平坦面が占める面積割合(%)」及び「凹部が占める面積割合(%)」を算出した。当該評価の結果を表4に示す。
また、以下の評価項目(d1)〜(d2)及び(e1)〜(e2)に関する物性値の算出又は評価も行った。これらの評価の結果を表4に示す。
【0223】
<領域(D)に存在する平坦面及び凹部の面積に関する評価>
・評価項目(d1):領域(D)に面積が0.2mm
2以上の平坦面が存在するか否かを、以下の基準により評価した。
A+:面積が0.4mm
2以上の平坦面が複数存在する。
A:面積が0.4mm
2以上の平坦面が1個存在し、別に面積が0.2mm
2以上0.4mm
2未満の平坦面が複数存在する。
B+:面積が0.2mm
2以上0.4mm
2未満の平坦面が複数存在する。
B:面積が0.2mm
2以上0.4mm
2未満の平坦面が1個存在する。
C:領域(D)に存在する平坦面の面積の最大値が0.2mm
2未満である。
【0224】
・評価項目(d2):領域(D)に存在する平坦面の全面積に対する、領域(D)に存在する不定形の平坦面が占める面積割合を算出し、以下の基準により評価した。
A+:不定形の平坦面が占める面積割合が100%である。
A:不定形の平坦面が占める面積割合が90%以上100%未満である。
B:不定形の平坦面が占める面積割合が80%以上90%未満である。
C:不定形の平坦面が占める面積割合が80%未満である。
【0225】
・評価項目(e1):領域(D)に存在する凹部の全面積に対する、領域(D)内で最大面積を有する凹部が占める面積割合を下記式から算出した。
[最大面積を有する凹部が占める面積割合(%)]=[最大面積を有する凹部の面積]/[凹部の総面積]×100
【0226】
・評価項目(e2):領域(D)に存在する凹部の全面積に対する、領域(D)に存在する不定形の凹部が占める面積割合を算出し、以下の基準により評価した。
A+:不定形の凹部が占める面積割合が100%である。
A:不定形の凹部が占める面積割合が90%以上100%未満である。
B:不定形の凹部が占める面積割合が80%以上90%未満である。
C:不定形の凹部が占める面積割合が80%未満である。
【0227】
<領域(P)の断面に関する評価>
図4に示すように、実施例及び比較例で作製し、剥離材を除去した基材付き粘着シートの樹脂層12の表面(α)12a上の一辺5mmの正方形50で囲まれた領域(P)を任意に選択した。
そして、
図4に示すように、領域(P)の正方形50の2本の対角線51、52のそれぞれを通り、表面(α)12a上の領域(P)に対して垂直となるような平面で、厚さ方向に粘着シートを切断して得られた2つの断面61、62を、走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、製品名「S−4700」)を用いて、加速電圧5kV、倍率500倍の条件で観察し、2つの断面画像を取得した。
この2つの断面画像を用いて、以下の評価項目(f)、(g1)〜(g2)、及び(h1)〜(h3)の評価を行った。これらの結果を表4に示す。
【0228】
・評価項目(f):上記(4)で取得した2つの断面画像の表面(α)側に、下記要件(I)で規定の複数の凹部、並びに、下記要件(II)で規定の平坦部が存在しているか否かを、以下の基準により評価した。
・要件(I):取得した断面画像の表面(α)12a側に、樹脂層12の総厚の40%以上の最大高低差を有し、切断部分の形状が互いに異なる複数の凹部が存在する。
・要件(II):取得した断面画像の表面(α)12a側に、領域(P)内に存在する前記平坦面の切断部分に相当し、基材11の前記樹脂層12と接触した表面と略平行な平坦部が存在する。
(評価基準)
A:取得した2つの断面画像のいずれもが、要件(I)及び(II)を共に満たすものであった。
B:取得した2つの断面画像の一つのみが、要件(I)及び(II)を共に満たすものであった。
C:取得した2つの断面画像のうち、要件(I)及び(II)を共に満たす断面画像は確認できなかった。
【0229】
なお、上記評価項目(f)で「A」評価もしくは「C」評価であった粘着シートについて、2つの断面画像から一つの断面画像を選択して、以下の評価項目(g)、及び(h1)〜(h3)の評価を行っている。一方、上記評価項目(f)で「B」評価であった粘着シートにおいては、要件(I)及び(II)を共に満たす断面画像を用いて、評価を行った。
【0230】
(断面の表面(α)側に存在する凹部に関する要件)
・評価項目(g1):
図5に示すように、取得した断面画像において、表面(α)12a側の樹脂層12の水平方向の幅(E
α)100に対する、表面(α)12aに存在する前記凹部13aの幅の合計が占める割合(%)を算出した。
【0231】
・評価項目(g2):取得した断面画像において、表面(α)12a側に、0.5μm以上の最大高低差を有する凹部が存在するか否かを、以下の基準により評価した。
A:0.5μm以上の最大高低差を有する凹部が存在する。
F:0.5μm以上の最大高低差を有する凹部が存在しない。
【0232】
(断面の表面(α)側に存在する平坦部に関する要件)
・評価項目(h1):
図5に示すように、取得した断面画像において、表面(α)12a側の樹脂層12の水平方向の幅(E
α)100に対する、表面(α)12aに存在する前記平坦部14aが占める割合(%)を算出した。
【0233】
・評価項目(h2):取得した断面画像において、表面(α)12a側に複数の平坦部14aが存在するか否か、及び、複数の平坦部14aが存在する位置が周期性を有するか否かを、以下の基準により評価した。
A:複数の平坦部が存在すると共に、複数の平坦部が存在する位置が周期性を有しない。
B:複数の平坦部が存在するが、複数の平坦部が存在する位置が周期性を有する。
C:複数の平坦面が存在しない。
【0234】
・評価項目(h3):取得した断面画像において、表面(α)12a側に複数の平坦部14aが存在するか否か、及び、複数の平坦部14aのそれぞれの基材11までの距離が略同一か否かを、以下の基準により評価した。
A:複数の平坦部が存在すると共に、複数の平坦部のそれぞれの基材までの距離が略同一である。
B:複数の平坦部が存在するが、複数の平坦部のそれぞれの基材までの距離が互いに異なる。
C:複数の平坦面が存在しない。
【0235】
<樹脂層における強度比〔Si/C〕の測定>
(1)測定試料について
実施例及び比較例で作製した基材付き粘着シートの表面(α)上の剥離材を除去したものを測定試料として使用した。
【0236】
(2)樹脂層におけるS
EDX、T
EDX、これらの比(S
EDX/T
EDX)の測定装置、測定条件
走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、製品名「S−4700」)を用いて、測定試料の厚さ方向における断面を観察し、エネルギー分散型X線分析装置(オックスフォード・インストゥルメンツ株式会社製、製品名「INCA Energy」、タイプ:E2H)を用いて、上記測定試料の領域(S)と領域(T)について、エリア分析により各原子のピーク強度を検出し、各所定の強度比〔Si/C〕を算出した。
以下に、測定手順を示す。
【0237】
(i)領域(S)の決定
図7に示すような、最大高低差haと樹脂層12の総厚hとの比〔ha/h〕が0.4以上となる凹部13aを選択し、最も低い位置(N
a)を通り、縦の長さ(鉛直方向の長さ)が樹脂層12の総厚hと凹部13aの最大高低差haとの差(h−ha)であり、横の長さ(鉛直方向と垂直である水平方向の長さ)がS
Lで表される長方形の領域を、領域(S)とした。
なお、領域(S)を構成する長方形の横の長さS
Lは、対象となる凹部13aの最も低い位置である点N
aを通る鉛直方向の伸びる直線g
aから、鉛直方向と垂直である水平左方向に、凹部13aの幅L
aの10%の長さS
L1だけ離れた直線g
1と、直線g
aから、鉛直方向と垂直である水平右方向に、凹部13aの幅Laの10%の長さS
L2だけ離れた直線g
2との距離に対応している。
【0238】
(ii)領域(T)の決定
図7で示すとおり、領域(S)に対応する凹部13aに隣接しており選択した平坦部の幅L
bの中点となる点N
Tを通り、厚さ方向で下に位置し、領域(S)と水平方向の長さが同じ領域(T)を定めた。
図7に示すように、領域(T)は、縦の長さ(鉛直方向の長さ)が樹脂層12の表面(α)と表面(β)との距離(つまり、樹脂層12の総厚h)であり、横の長さ(鉛直方向と垂直である水平方向の長さ)が、比較対象となる凹部13aに対して上述の方法により規定した領域(S)の横の長さS
Lとなる長方形である。
なお、点N
Tが、領域(T)を構成する長方形の横の辺の中点に位置するように、領域(T)は選択した。
【0239】
(iii)S
EDX、T
EDX、これらの比(S
EDX/T
EDX)
上記のようにして決定した領域(S)及び領域(T)のそれぞれについて、エネルギー分散型X線分析を用いて測定されるケイ素原子に由来のピーク強度(Si)と炭素原子に由来のピーク強度(C)との強度比Si/Cの値である、S
EDX及びT
EDXを求めた。また、求めたS
EDXとT
EDXとから、これらの比(S
EDX/T
EDX)の絶対値を求めた。
以下にエネルギー分散型X線分析の具体的な測定条件を示す。
なお、測定は各領域において各2回行い、各回の測定において、領域Sと領域Tの領域ごとに測定された各原子のピーク強度から算出した前記強度比〔Si/C〕比の2回の測定の平均値を表4には記載している。
【0240】
(測定条件)
・倍率:500倍
・対物可動絞り:2
・コンデンサーレンズ1:使用・2
・コンデンサーレンズ2:使用
・加速電圧:10kV
・エミッション電流:10.5μA
・ワーキングディスタンス:12.5mm
(エネルギー分散型X線分析条件)
・プロセスタイム:5
・ラインスキャンデュエルタイム:2000μs
・プリセット:エンドレス
・測定時間:180s
【0241】
<粘着シートの樹脂層の質量保持率>
粘着シートから樹脂層の単体を得た後、加熱前の樹脂層の質量を測定した。そして、当該樹脂層をマッフル炉(デンケン株式会社製、製品名「KDF−P90」)内に投入し、800℃にて30分間加熱した。そして、加熱後の樹脂層の質量を測定し、下記式により、樹脂層の質量保持率を算出した。その値を表4に示す。
樹脂層の質量保持率(%)=[加熱後の樹脂層の質量]/[加熱前の樹脂層の質量]×100
【0242】
<エア抜け性>
縦50mm×横50mmの大きさとした基材付き粘着シートを、空気溜まりが生じるように、被着体であるメラミン塗装板に貼付し、スキージにて空気溜り周辺を強く圧着した場合と、弱く圧着した場合の2通りのものを作製した。そして、スキージを用いて空気溜まりを除去しようと貼付した後の空気溜まりの有無を観察し、以下の基準により、各粘着シートのエア抜け性を評価した。その評価結果を表4に示す。
5:弱く圧着した場合、及び、強く圧着した場合のいずれにおいても、空気溜まりが消失する。
4:弱く圧着した場合には、空気溜まりが消失する。強く圧着した場合には、空気溜まりの大半が消失し、残った空気溜まりも再度圧着すれば消失する。
3:弱く圧着した場合には、空気溜まりが消失する。一方、強く圧着した場合には、一部空気溜まりが残っている箇所が存在する。
2:弱く圧着した場合には、空気溜まりの大半が消失し、残った空気溜まりも再度圧着すれば消失する。一方、強く圧着した場合には、空気溜まりが残っている。
1:弱く圧着した場合、及び、強く圧着した場合のいずれにおいても、空気溜まりが残っている。
【0243】
<粘着力>
実施例及び比較例で作製した基材付き粘着シートを縦25mm×横300mmの大きさに切断した後、当該粘着シートの樹脂層の表面(α)を、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、ステンレス板(SUS304、360番研磨)に貼付し、同じ環境下で24時間静置した。静置後、JIS Z0237:2000に基づき、180°引き剥がし法により、引っ張り速度300mm/分にて、各粘着シートの粘着力を測定した。その測定結果を表4に示す。
【0244】
<耐ブリスター性>
縦50mm×横50mmの大きさとした基材付き粘着シートを、縦70mm×横150mm×厚さ2mmのポリメチルメタクリレート板(三菱レイヨン株式会社製、製品名「アクリライトL001」)に貼付し、スキージーを用いて強く圧着し、試験サンプルを作製した。
この試験サンプルを、23℃で12時間静置した後、80℃の熱風乾燥機内に1.5時間静置し、さらに90℃の熱風乾燥機内に1.5時間静置して、加熱促進後のブリスターの発生状態を目視により観察し、以下の基準により、各粘着シートの耐ブリスター性を評価した。その評価結果を表4に示す。
A:ブリスターが全く確認されなかった。
B:部分的にブリスターが確認された。
C:全面にブリスターが確認された。
【0245】
【表4】
【0246】
実施例1〜4では、S
EDX、及び(S
EDX/T
EDX)が所定の範囲にあることで、優れたエア抜け性を有すると共に、耐ブリスター性及び粘着特性も良好であった。
なお、比較例1〜4は樹脂層にシリカを含有しないにも関わらず、S
EDXおよびT
EDXが算出されたが、これは装置の測定誤差に起因するものである。
【0247】
図8(a)及び
図9〜15は、それぞれ、実施例1〜4及び比較例1〜4で作製した粘着シートの樹脂層の表出している表面(α)の任意に選択した縦8mm×横10mmの長方形で囲まれた領域(D)を、デジタル顕微鏡を用いて表面(α)側から撮影して得た画像の2値化画像である。
つまり、
図8(a)及び
図9〜15の長方形の画像の縦が「8mm」、横が「10mm」にあたる。
また、これらの2値化画像において、黒色部分が平坦面であり、白色部分が凹部に該当する。
【0248】
図8(b)は、実施例1で作製した粘着シートの断面を走査型顕微鏡を用いて観察して取得した断面画像である。なお、実施例2〜4の粘着シートの断面についても、
図5の断面画像と類似する。