【文献】
MEURET, A et al.,Do Unexpected Panic Attacks Occur Spontaneously?,Biological Psychiatry,2011年11月15日,Vol.70, No.10 ,pp.985-991,Author Manuscript, NIH Public Access
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
図において、同様の参照番号は同じ図要素を指す。
【0013】
以下の説明は、当業者が本発明を作製および使用可能なように提示され、特定の用途および要件の文脈において提供される。開示される実施形態への様々な修正が当業者に容易に明らかになり、本明細書に規定される一般的な原理は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、他の実施形態および用途に適用されてよい。したがって、本発明は図示される実施形態に限定されるのではなく、本明細書に開示される原理および特徴と一致する最も広い範囲に合致する。
【0014】
この詳細な説明に記載されるデータ構造およびコードは、典型的に、コンピュータシステムにより使用するためのコードおよび/またはデータを保存し得る任意のデバイスまたは媒体であってよい、コンピュータ可読保存媒体に保存される。コンピュータ可読保存媒体は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ディスクドライブ、磁気テープ、CD(コンパクトディスク)、DVD(デジタル多用途ディスクまたはデジタルビデオディスク)などの磁気および光保存デバイス、または、既知または今後に開発されるコンピュータ可読媒体を保存可能な他の媒体を含むが、それらに限定されない。
【0015】
概要
本発明の実施形態は、ユーザの生理学的な状態および状況を遠隔的に監視することにより健康の問題を管理するユーザを支援して、今後の健康状態を予測し個人的な介護管理の助言をリアルタイムに提供する問題を解決する。例えば、ユーザがパニック発現に悩まされ、予測された差し迫るパニック発現を管理するために支援の助言を受信してよい。双方向の遠隔的な健康監視システムは、複数のソースからデータを集めて、ユーザの生理学的データの正確な分析を容易にし、すぐに使用可能な助言を生成してユーザのモバイルデバイスへ送信し得る。健康監視システムは、現段階のモバイルベースの助言を配信するために、パニック発現が起こる前に迫り来るパニック発現を検出してよい。
【0016】
双方向の遠隔的な健康監視システムは、個人的なウェアラブルデバイスをモバイルデバイス(例えば、スマートホン)のアプリケーションと組み合わせて、ユーザがパニック発作に反応および対処するのを対話形式で助ける。ウェアラブルデバイスは、ユーザに関するリアルタイムの生理学的データを継続的に収集して、モバイルアプリケーションと通信してよい。システムは、ウェアラブルデバイスからデータを取得して、各ユーザの個人的な予測モデルを生成し、個人間の生理学的な差を処理してよい。さらに、システムは、ユーザの環境など状況的な要因を処理するために複数の他のソースから状況データを取得して、予測の精度を向上させてよい。一部の事例において、システムは、特定の生理学的な変化がパニック発作に起因するものではなく、ユーザの活動または状況(例えば、周囲の環境)に起因するものであると判定してよい。
【0017】
システムの1つの実装は、パニック障害を患い習慣的かつ突発的なパニック発作を経験している人々に向けられる。システムは、ユーザのバイタルサインの変化を監視することにより、差し迫るパニック発作を自動的に検出する。ユーザの生理機能の変化は、パニック発作が始まる1時間前までに起こり始める可能性があり、ユーザはパニック発作の「突発的な」症状を経験する(と感じる)まで、これらの変化が起こっていることに通常は気付かない。心拍数、呼吸数、心拍変動、および、体温などの生理学的データを継続的に監視することにより、システムは、パニック前および非パニックの間隔の差を区別することができる。
【0018】
システムは、直接的な医療管理下にない間、ユーザが自身の健康を管理するのを助け得る。これは、ユーザがパニック発現の症状に応答および対処するのを助け得る。そのようなシステムは、症状の重症度または強度を減少させることによりユーザの状態を管理し、合併症の可能性を削減し、さらに、ユーザの心の健康および健全性を向上させるのを助け得る。
【0019】
一部の実装において、システムは、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、心臓発作、および、他の慢性的な状態など、他の状態をユーザが管理するのを助け得る。さらに、一部の実装は、様々な職業において個人のストレス、疲労、または、眠気を検出するのを助け得る。そのような職業の例は、運転手、パイロット、外科医、ソフトウェア開発者、航空管制官、消防士、および、機械操作者を含んでよい。これらのシステムは、ユーザに目配りして、生産性および安全性の目標を達成するのを助けるために助言を送信し得る。さらに、一部のシステムは、助言を世界的なアスリートへ提供し、スポーツにおいて目標を達成するために食事、睡眠、または、飲水を制御するのを助け得る。
【0020】
調査
発明者は、データ収集調査を行い、パニック障害を患う個人に、日々の生活におけるバイタルサインを継続的に監視するウェアラブルデバイスを最長3週間に渡って使用するよう依頼した。調査の参加者は、モバイルアプリケーションを使用して、パニック発作を経験した際に報告した。さらに、調査の参加者は、発作中に経験した症状の重症度に関する情報を報告した。
【0021】
以下に、双方向の遠隔的な健康監視システムの例示的な実装および調査から生成された生理学的データセットの説明を示す。システムは、入力として、生理学的データを利用する予測モデルを訓練し、パニック前または非パニックのいずれかの二値分類を出力する。この記載は、どのようにシステムが生理学的データを使用してパニック予測モデルを訓練してよいか説明し、どのようにシステムが調査からのデータおよび収集されたデータセットの統計的な分析を行った結果を処理したかの具体的な例を提供する。
【0022】
以下の記載は、変化点を判定することを説明し、調査からのデータの変化点を判定することの例を提供する。システムは、生理学的データにおける重大な変化点の場所および大きさを特定し、この情報を管理された異常検出技術に使用して迫り来るパニック発現を予測してよい。変化点は、一連の観察の統計的な特徴が変化する時間における事例である。システムは、変化点検出を適用して、重大な変化が起こる時系列における点を特定してよい。一連の生理学的な変化は、個人がパニック発現と関連する任意の症状を経験する1時間前までに起こる。この期間中、個人は「突然の」パニック発作を経験する瞬間まで、いかなる症状にも気付かない。心拍数、pCO
2(血液中の二酸化炭素量)、換気量(肺の中または外へ移動する空気の量)、呼吸数および心拍変動など、バイタルサインの測定結果の全ては、報告されたパニック発現より前の時間における1つ以上の変化点を表す。対照的に、いかなるパニック発現も伴わない正常な測定結果は、変化点を全く表さないか、または、比較的に小数だけ表す。
【0023】
さらに、以下の記載は、調査における物理的な活動を処理する例を提供する。本開示は、生理学的な測定結果に影響を及ぼす、したがって、予測精度に影響を及ぼす、物理的な活動およびユーザの状況などの変数を、どのようにシステムが処理してよいか説明する。物理的な活動および状況を処理することにより、システムは誤判定を削減し得る。
【0024】
さらに、以下の記載はモデルを評価し、システムが調査からの保持されたテストデータにおいて達成した適合率/再現率の結果を提示する。クラスの適合率は、正のクラスに属するとしてラベル化された要素の総数(例えば、正判定および誤判定の総計)で割った正判定の数である。再現率は、正のクラスに実際に属する要素の総数で割った正判定の数である。平均して、今後のパニック発現を予測するには、システムは、全体的なF
1スコアが88.5%であったと仮定すると、93.8%の適合率および83.8%の再現率を達成することができた。F
1スコアは精度の測定基準であり、適合率および再現率の重量平均と解釈され得ることに、留意されたい。
【0025】
例示的な双方向の遠隔的な健康監視システム
図1は、本発明の実施形態にしたがって、例示的な双方向の遠隔的な健康監視システム100を図示する図を提示する。双方向の遠隔的な健康監視システム100は、ユーザが規則的な日常の習慣を行いながら場所を問わずに利用し得る、モバイルおよびウェアラブルシステムである。システム100は、個人のウェアラブルデバイスを、パニック発作などの健康の問題にユーザが対処できるようにするモバイルデバイスアプリケーションと組み合わせる。ウェアラブルデバイスは、ユーザに関するリアルタイムの生理学的データを収集し、モバイルアプリケーションと通信する。システムは、ユーザのバイタルサインの変化を監視することにより、差し迫るパニック発作を自動的に検出する。システムは、ユーザがパニック発作の症状を経験していることに気付く1時間前までに起こる生理学的な変化を監視してよい。
【0026】
システム100は、ウェアラブルデバイス102、モバイルデバイス104、および、サーバ106など、複数の計算デバイスを含む。ウェアラブルデバイス102は、ユーザの生理学的な状態を監視、検出、および/または、記録するセンサを備える、任意の種類のデバイスであり得る。ウェアラブルデバイスは、典型的に、胸部または手首に装着されるが、体の任意の部分に装着され得る。例えば、ウェアラブルデバイス102は、Zephyr BioPatch(商標)無線センサデバイスであり得る。一部の実装において、ウェアラブルデバイス102は、さらに、全地球測位システム(GPS)の位置座標データおよび日時を含む、ユーザの状況データの一部を生成し得る。システム100は、環境データを含むユーザの状況データを、データを提供する他のセンサおよび/または他の異なるソースから取得し得る。例えば、システム100は、気圧、空気中の酸素レベル、および、大気質(例えば、汚染レベル、スモッグレベル)など、ユーザを取り囲む環境状態を示すデータを取得してよい。システム100は、そのようなデータを、建物のセンサまたは他の利用可能な環境センサから取得してよい。
【0027】
ウェアラブルデバイス102は、ユーザ108に取り付けられ、ユーザ108に関するリアルタイムの生理学的データを継続的に収集し得る。パニック発作中、ユーザは、息切れ、心拍数の増加、めまい、胸痛、発汗、ほてり、震え、息苦しさ、吐き気、および、しびれを経験する可能性がある。さらに、ユーザは、非現実感、自制力喪失の恐怖、および、死の恐怖を有する可能性がある。これらの症状の大部分は、本質的に生理的であり、したがって、心拍数、呼吸数、発汗、および、皮膚体温など、生理学的な測定結果を介して検出可能である。これらの生理学的な測定結果は、ウェアラブルデバイス102を使用して検出可能である。
【0028】
ウェアラブルデバイス102は、モバイルデバイス104上で実行するモバイルアプリケーション110と通信し、ユーザ108に関する生理学的データをリアルタイムで提供する。ウェアラブルデバイス102は、心拍数、呼吸数、心拍変動、中核体温、および、活動を含む、ユーザの生理学的な状態を示すデータを提供してよい。さらに、一部のウェアラブルデバイスは、電気皮膚反応、1回換気量、および、pCO
2などのデータを提供してよい。1つの実装において、ウェアラブルデバイス102は、ユーザの生理学的な測定結果を約1Hzの割合でサンプリングし得る。さらに、他のサンプリングレートが、異なる実装において可能である。
【0029】
モバイルデバイス104は、スマートホン、携帯型情報端末(PDA)、または、タブレットなど、任意の種類のモバイル計算デバイスであり得る。さらに、モバイルデバイス104は、ブルートゥース(登録商標)を介してウェアラブルデバイス102と通信するモバイルアプリケーション110を含む。モバイルアプリケーション110は、生理学的データをサーバ106へネットワーク111を介して送信し、サーバ106はデータを処理する。一部の実装において、モバイルアプリケーション110は、サーバ通信モジュール112、生理学的データ受信モジュール114、および、助言管理モジュール116を含んでよい。
【0030】
サーバ通信モジュール112は、生理学的データをサーバ106へ送信してよい。生理学的データ受信モジュール114は、生理学的データをウェアラブルデバイス102から受信する。助言管理モジュール116は、助言をサーバ106から受信し、ユーザ108への助言をモバイルデバイス104上に表示する。助言管理モジュール116は、メッセージを表示し、および/または、ユーザ108へのメッセージを読み込む。さらに、助言管理モジュール116は、助言およびユーザの症状に関するユーザのフィードバックを受信してよく、サーバ通信モジュール112は、フィードバックをサーバ106へ送信してよい。サーバ106は、ユーザ108からのフィードバックを使用して予測モデルを改善してよい。さらに、ユーザ108はパニック発現を報告してよく、サーバ106はユーザ108からの報告に基づいて予測モデルを改善してよい。
【0031】
一部の実装において、サーバ106は、医療提供者、看護師、保護者、または、指導者など、第2のユーザにより動作され得る別個のモバイルデバイスへ助言を送信してよい。第2のユーザは、別個のモバイルデバイスを使用してユーザ108を監視および支援してよく、さらに、どのようにユーザ108を支援または指導するかに関してサーバ106から助言を受信してよい。
【0032】
一部の実装において、ユーザ108は、最も容易に行えると感じるモバイルベースの助言を受信するよう選択し得る。そのような助言の1つの例は、呼吸バイオフィードバックである。呼吸バイオフィードバックにおいて、システム100は、呼吸および弛緩運動の指示を、呼吸運動がユーザのバイタルサインに与える効果を視覚的に監視し得るユーザへユーザのモバイルデバイスを使用して配信する。一部の調査では、呼吸バイオフィードバックが短期間のパニック発作の症状を軽減するのに効果的であることが示されており、さらに、以降のパニック発作が少なくなる傾向がある可能性がある。ユーザは、バイオフィードバックのモバイルアプリケーションを使用し、助言を受信して呼吸および弛緩運動に従ってよい。
【0033】
ユーザ108が選択する助言の他の例は、音楽療法、運動療法、および、社会療法を含む。音楽療法では、ユーザは、発現が迫っている際に電話で聞くよう個人的な音楽プレイリストを事前に選択し得る。運動療法では、システム100は、事前に選択された運動習慣を行うようユーザを促し得る。一部の実装において、システムは、ユーザが眠いことを検出してよく、ユーザ(例えば、ソフトウェア開発者またはパイロット)に運動するよう助言を送信してよい。ユーザは休息を取って運動を行い、それにより、ソフトウェアに新しいバグを生じさせる可能性、または、飛行中に事故を起こす可能性、を削減し得る。社会療法では、システム100は、環境を変えるよう、または、話をする家族、友人、または、同僚を探すよう、ユーザに提案し得る。
【0034】
サーバ106は、生理学的な情報を分析し、リアルタイムの助言をユーザ108へ、助言をモバイルデバイス104へ送信することにより提供する。一部の実装において、サーバ106は、モバイル通信モジュール118、モデル生成モジュール120、モデル実行モジュール122、および、生理学的データストレージ124を含んでよい。モバイル通信モジュール118は、助言をモバイルデバイス104へ送信し、生理学的データをモバイルデバイス104から受信する。モデル生成モジュール120は、ユーザ108の予測モデルを、ユーザ108と関連付けられる生理学的データおよび活動データに基づいて生成する。モデル実行モジュール122は、生成されたモデルを使用してユーザの生理学的データおよび状況データを分析し、パニック発作を予測する。生理学的データストレージ124は、ユーザ108の生理学的データを保存する。
【0035】
サーバ106は、生理学的データを分析して、ユーザが次のパニック発作を経験するか検出してよい。生理学的データを分析する際、サーバ106は、物理的な活動およびユーザの状況が生理学的な測定結果に与える効果を処理してよい。ユーザがパニック発作を経験するとサーバ106が判定する場合、サーバ106は、ユーザ108のために生成された個人的なメッセージである助言を、モバイルアプリケーション110へ送信する。助言は、典型的に、パニック発作などユーザの生理学的な状態における差し迫る変化をユーザに通知する、実用的なメッセージである。サーバ106は、ユーザ108を含む複数のユーザへサービスを提供してよいことに、留意されたい。一部の実装において、サーバ106により行われる動作は、モバイルデバイス104において動作する1つ以上のモジュールにより行われる。
【0036】
予測モデルの生成
図2は、本発明の実施形態にしたがって、双方向の遠隔的な健康監視のためにモデルを生成する例示的なプロセスを図示するフローチャートを提示する。描写されるプロセスは、パニック発現に悩まされるユーザを監視することを目的としており、プロセスを適用して他の生理学的な状態のためにユーザを監視し得る。
【0037】
図2に描写されるように、システムは、最初にユーザの生理学的データおよび環境データを含む状況データを収集してよい(動作202)。システムは、生理学的データをユーザのウェアラブルデバイスから受信してよい。システムは、状況データを複数のセンサおよび/または他のソースから受信してよい。例えば、システムは、気圧、天候、空気汚染レベルを示すデータ、または、他の同様の環境データを異なるセンサから受信してよい。一部の実装において、ウェアラブルデバイスは、さらに、GPSまたは気圧などの状況データの一部を提供してよい。
【0038】
その後、システムは、パニック行列および非パニック行列を構築する(動作204)。システムは、報告されたパニック発現および非パニック発現を取り囲むタイムスライスを抽出してよい。システムは、1分間隔ごとの平均値を計算することによりロールアップを行い、欠損値を補間してよい。
【0039】
次に、システムは、パニック発現を伴わない回帰モデルを構築する(動作206)。システムは、ユーザがパニック発現を経験しないで一定の物理的な活動を行った際に収集されたデータから、ユーザの回帰モデルを構築する。その後、システムは、データ行列を計算する(動作208)。システムはデータ行列を使用して、モデルにおける物理的な活動を処理する。
【0040】
システムは、変化点の分析を行って変化点行列を構築してよい(動作210)。その後、システムは、変化点行列CP(D
k)から要約統計量を生成してよい(動作212)。システムは、特徴ラベルを作成し、クラスラベルを割り当ててよい(動作214)。その後、システムは、モデルを訓練、検証、および、選択して、異常を検出してよい(動作216)。
【0041】
続いて、システムは、ユーザをモデルで監視して差し迫る生理学的な状態を検出し、1つ以上の助言を送信する(動作218)。システムが生理学的な状態が差し迫っていること(または、現在ユーザが特定の生理学的な状態を有していること)を検出すると、システムは助言を選択して、助言をユーザへ送信する。例えば、システムは、ユーザが1時間以内にパニック発作を起こすと予測してよく、呼吸運動を行うよう助言を送信する。さらに、システムは、ユーザ(例えば、ソフトウェア開発者)が眠っていることを検出してよく、運動するようユーザへ助言を送信する。
【0042】
システムは、空気の汚染レベル、空気中の酸素のレベル、または、ユーザの現在の標高など、ユーザの状況を処理して予測を改善してよい。一部の事例において、システムは、ユーザの症状を引き起こす環境的な変化を検出してよい。例えば、システムは、スモッグレベルまたは花粉レベルが高いこと、および、環境要因がユーザの症状を引き起こすこと、を検出してよい。さらに、システムは、静止、ウォーキング、ランニング、または、登山など、ユーザの活動を処理し得る。さらに、システムは、時間、季節、および、他の状況および/または履歴データを処理してよい。システムは、ユーザの健康状態(例えば、健康障害)の再発がもたらす症状、または、外的要因またはユーザの活動に起因する症状を区別して、適切に助言を送信し得る。
【0043】
動作の各々の詳細は、調査からの特有の例と共に以下に記述される。
【0044】
モデルを訓練するためのデータ収集
データを取得してモデルを訓練するために、発明者は、パニック障害を患いデータ収集の調査に参加するユーザを探した。10人の調査参加者の各々は、パニック発現が起こった際に報告するためにユーザが使用する、対応するモバイルアプリケーションをダウンロードするための指示と共に、ウェアラブルデバイスを受け取った。発明者は、3週間の間できる限りデバイスを装着し、対応するモバイルアプリケーション/ウィジェットを使用してパニック発作を経験した際に報告するよう、ユーザに依頼した。ユーザのモバイル電話のホーム画面に常駐するウィジェットにより、パニック発現の報告が容易になった。参加者はウィジェットをタップして、パニック発現の症状を経験した記録を開始および停止した。発現の完了時に、発明者は、経験した症状の重症度を評価するようユーザに依頼した。全体で、発明者は15個の症状の重症度を、1が最も重症度が軽く5が最も重症度が重い、1〜5の重症度の区分を使用して評価するよう、ユーザに依頼した。
【0045】
図3Aおよび
図3Bは、発明者がユーザに、パニック発現が治まった後に報告するよう依頼した症状300のリストを、各重症度の値の説明のリスト302と共に提示する。リスト化された症状は、精神疾患の分類と診断の手引き(DSMIV)およびパニック障害重症度評価尺度の標準計器からのものである。調査は、パロアルト研究所の治験審査委員会およびインフォームドコンセント用紙に署名した全ユーザにより承認された。
【0046】
図4は、本発明の実施形態にしたがって、モバイル報告アプリケーションの例示的なスクリーンショット400を図示するブロック図を提示する。
図4に描写されるように、ユーザは、症状の重症度およびパニック発現の感情を、モバイルデバイス上で実行するモバイル記録アプリケーションを使用して評価し得る。ユーザは、不安、心配、息切れ、激しい/高鳴る鼓動、めまい/意識喪失、および、胸痛/不快感のレベルを示し得る。ユーザは、重症度上昇ボタン402または重症度降下ボタン404を押して、ユーザが感じる症状の重症度を示し得る。図示される実施形態において、重症度レベル4は重症度レベルが極度であることを示し、重症度レベル3は中度の重症度レベルを示す。重症度レベル1は、重症度レベルがないことを示す。
【0047】
データセットの要約
調査に参加した10人の内訳は、女性5人、男性4人、性転換者とされるユーザ1人であった。最低年齢は19歳、最高年齢は53歳であった。最初の10人の参加者のうち3人のユーザは、いかなる生理学的データも記録しなかった。残りの7人のユーザはデータを記録し、7人のうちの4人が、デバイスを装着中に少なくとも1回のパニック発現を報告した。全体で、システムは、19回のパニック発現を対応する生理学的データおよび症状の重症度情報と共に記録した。最小数の報告は、記録されたデータが1回のパニック報告であった任意の個人により作成された。最大数の報告は、1人の個人により作成された12回のパニック報告であった。平均して、各パニック発現は、おおよそ3分40秒続いた。全体で、発明者は623時間42分の生理学的データを収集した。これは、全体で1.26GBの保存領域を必要とした。
【0048】
システムは、Zephyr BioPatch(商標)を使用して、生理学的データをユーザから収集した。Zephyr BioPatch(商標)は、BioModuleおよび使い捨ての心電図(ECG)電極に取り付けられるホルダを含む、無線ウェアラブルデバイスである。デバイスにより、ユーザの生理学的な情報を継続的に監視できる。デバイスにより記録される測定結果は、心拍数、呼吸数、R−R間隔、活動レベル、姿勢を、未加工のECG波形および呼吸波形と共に含む。
【0049】
データ測定結果
双方向の遠隔的な健康監視システムは、分析のためにデータ測定結果の以下のサブセットを使用してよい:心拍数、呼吸数、心拍変動、中核体温、および、活動。ウェアラブルセンサデバイスは、1Hzの割合で各測定をサンプリングした。測定結果は、以下に詳細に説明される。
【0050】
1.心拍数。ユーザの心臓の1分ごとの拍数。
HR=60/RR interval
R−R間隔は心臓の鼓動間の時間であり、心電図信号からのQRS群におけるRピーク間の間隔により判定される。
【0051】
2.呼吸数。ユーザが1分ごとに行う呼吸の数。圧力センサは、呼吸による胴部の膨張および収縮を検出する。
【0052】
3.心拍変動(HRV)。HRVは、心拍間隔標準偏差(SDNN)を計算することにより測定される。心拍間隔は、過去の300回のR−R間隔の集合により表される。したがって、以下が成り立つ:
【0054】
RR
iはローリングウィンドウ期間内の個々のR−R間隔を指す。
【0056】
は、ローリングウィンドウ内の平均的なR−R間隔の値を指す。Zephyr BioPatch(商標)は、ローリングウィンドウに対するN=300の値を使用する。
【0057】
4.中核体温。心拍データから計算された、予測された中核体温。Zephyr BioPatch(商標)は、中核体温を計算し、利用可能にする。
【0060】
システムは、重力gにおけるベクトルの大きさの単位を測定してよい。システムは、100Hzでサンプリングされた3個の軸方向加速度の大きさ(x、y、およびz)の事前の秒の平均値を取ってよい。これにより、活動の種類ごとに近似値が生じる。例えば、
【0065】
パニック発現の予測−データ処理
ユーザがセンサデバイスを装着すると、収集されたデータのセッションが生じ、コンマ区切り(CSV)ファイル形式で保存されてよい。システムは、症状の重症度のユーザ報告に基づいて、パニック発現を含むか含まないかでセッションをフラグ付けする。一部の実装において、システムは、パニック症状に関するユーザのフィードバックが1つ以上の所定の閾値を超える場合、パニック発現を含むとしてセッションをラベル付けしてよい。システムは、報告されたパニック発現の各々を取り囲むタイムスライスを抽出することにより、パニック発現を含む各セッションを処理してよい。一部の実装において、システムは、タイムスライスごとに71分の持続時間を設定してよく、これは、報告された発現の前の最長60分、発現の最初の1分、および、報告後の残りの10分を含む。システムが、ユーザがパニック発現を報告する前に、生理学的データに値する60分全部を記録しない場合、システムは71分未満のデータを使用してパニック発現を表してよい。
【0066】
システムは1Hzの割合で生理学的データをサンプリングするので、システムは、1分間隔ごとに平均値を計算することにより、ロールアップを行ってよい。さらに、システムは、センサのドロップアウトによる任意の欠損値を補完してよい。さらに、システムは、データを同等の71分のタイムスライスに分割して同じロールアップおよび補完動作を行うことにより、報告されたパニック発現がないセッションを処理してよい。これにより、システムがパニックまたは非パニックの時系列の各々を表すために使用してよい、行列の集合が生じる。
【0070】
全体で、システムは、19個のパニック行列および280個の非パニック行列を、調査から収集されたデータを使用して構築した。
【0071】
活動への対処
システムは生理学的な状態の情報を生理学的データから推測するので、システムは、物理的な活動を処理して、信号において観測された任意の変化が単に動きアーチファクトによるものではないことを確定する必要がある。物理的な活動を処理するために、システムは、ユーザがパニック発現を経験していない際に収集されたデータから、各ユーザの個々の回帰モデルを構築してよい。
【0073】
ユーザがパニックを経験しておらず、ユーザが一定量の物理的な活動x
actを行っていると仮定すると、各yは期待される値を表す。システムは、データの80/20分割を使用して訓練およびテストセットを作成してよい。一部の実装において、システムは、予測変数x
actの変形の範囲(例えば、log(x
act)および
【0075】
を含む)から選択してよい。システムは、サンプル外のテストセットのR
2値を最大化する回帰モデルを選択してよい。一部の実装において、システムは、Rにおける「Modern Applied Statistics with S」(MASS)パッケージからrlm関数(例えば、線形モデルのロバスト適合)を使用して、ロバスト回帰を使用して各ユーザの個々のモデルを適合させてよい。Rは、統計的計算およびグラフィックスのためのソフトウェア環境であることに、留意されたい。システムは、運動不足からアクティブまで各ユーザの物理的な活動の範囲全体で、各々のインタレストの生理学的な変数の期待値である結果を計算してよい。
【0076】
図5A〜
図5Dは、調査に関わる個々のユーザの生理学的な応答変数および学習された回帰モデルの例示的な散布図を図示する。散布図に示される値は、ユーザのテストセットからのものである。
図5Aは、縦軸に心拍数および横軸に活動レベルを伴う散布
図502を図示する。心拍数は、活動レベルの上昇に伴って上昇する。さらに、
図5Aは、回帰モデルのプロット504を含む。
【0077】
図5Bは、縦軸に呼吸数および横軸に活動レベルを伴う散布
図506を図示する。さらに、
図5Bは、関連付けられる回帰モデルのプロット508を含む。
【0078】
図5Cは、縦軸に心拍変動および横軸に活動レベルを伴う散布
図510を図示する。さらに、
図5Cは、関連付けられる回帰モデルのプロット512を含む。
【0079】
図5Dは、縦軸に体温および横軸に活動レベルを伴う散布
図514を図示する。さらに、
図5Dは、関連付けられる回帰モデルのプロット516を含む。
【0080】
図6は、回帰モデルの各々のサンプル外R
2の値を図示する表600を提示する。
図6に図示されるように、列602は生理学的な信号を表示し、列604は対応するサンプル外R
2の値を表示する。例えば、心拍数の生理学的な信号は、0.47のサンプル外R
2の値を有する。
【0081】
予測される非パニックの生理学的な変数の測定結果の個々の回帰モデル、および、パニックおよび非パニック発現の行列E
kにおけるオリジナル値、を考慮して、システムはデルタ行列D
kを計算してよい:
【0083】
上記の方程式において、kはパニックおよび非パニック行列の総数であり、y
iは時間iの回帰モデルから予測される値である。
【0085】
はデルタ行列における(i,j)エントリを指し、HR、BR、HRV、および、Tempは行列における個々の列を表す。各デルタ行列D
kは、物理的な活動の量x
actを考慮した生理学的な信号の期待値および観測される実際の生理学的な値の間の差を表す。
【0086】
変化点分析
物理的な活動が処理されてデルタ行列が構築されると、システムは変化点分析を適用して、以下の生理学的な変数の各々の時系列データ内で重大な変化を検出する場合がある:
【0088】
システムは、時間点t
cの位置付けを試みることにより単一の変化点検出を行ってよく、それにより、時間点t
cまでの結果変数u
0の平均値は、時間点t
cに続く結果変数u
1の平均値と大幅に異なる。
【0089】
図7は、単一の変化点検出を伴う例示的なグラフ700を図示する。
図7に描写されるように、縦軸702は結果を示し、横軸704は時間を示す。t
cは、時系列データの分布における重大な変化の最尤推定値である。
【0090】
システムは、時系列データの集合内で複数の変化点を、データのセグメントt∈0〜aを開始して第1の変化点を位置付けることにより検出し得る(例えば、最小の変化点持続時間a=5を選択してよい)。セグメント0〜a内で変化点が検出されない場合、システムはaを1増やし、変化点が見つかるまで、または、変化点がない事例では時系列全体が評価されるまで、手順を繰り返す。システムがセグメント内で変化点を見つけると、システムは時間点aから始まる手順を繰り返してよい。変化点分析を適用した結果、システムは、時系列データにおける重大な変化点の位置および大きさを簡潔に捉える変化点行列を構築してよい。
【0091】
システムは、デルタ行列における生理学的な変数の各々に変化点分析を行ってよい。調査におけるように、これにより、パニック発現の前または非パニック間隔
【0093】
中のいずれかにおける最長1時間分の変化点の情報を捉える行列が導き出されてよい。ここで、j∈{HR,BR,HRV,Temp}である。
【0094】
変化点検出を行った後、システムは、変化点行列CP(D
k)から要約統計量を生成してよい。
図8は、変化点行列から要約統計量を生成することを図示する。各時系列を表す要約統計量は、以下であってよい:
【0096】
上記の値は、各測定結果の種類HR、BR、HRV、および、Tempに対する要約統計量を捉える。ここでμは平均値を指し、σは標準偏差であり、ρは変化点の数を指し、
【0098】
は変化点が起こる平均的な位置である。ユーザごとに、システムは、上記の要約統計量の組み合わせを使用して特徴ベクトルを構築してよい。システムは、パニック発作の前の期間に特徴ベクトルがデータを捉えるか、または、パニック発作が報告されない時にベクトルがデータを捉えるか、に依存して、クラスラベルを各特徴ベクトルへ割り当ててよい。
【0099】
異常検出
調査において、正のクラスラベル(例えば、パニック発作が報告された)と比較して、負のクラスラベル(例えば、パニック発作が報告されなかった)のインスタンスが多くあった。これは、収集されたデータセットが負のインスタンス側へ歪められたことを意味する。発明者は、歪められたクラスを取り扱うのに異常検出が適しているため、標準的な分類技術の代わりに異常検出を行うことを選択した。
【0100】
異常検出は、期待される(例えば、通常)パターンと適合しないデータセット内で観察を特定するよう試みる。異常検出を行うために、監視されない学習手法または監視される学習手法を使用し得る。ラベル付けされたデータで、システムは、予測されたガウス分布および通常の訓練例の集合を伴う監視される異常検出手法を使用してよい。ガウス分布への適合を判定した後、システムは、十分に低い(例えば、閾値εに満たない)確率値を生成した任意のインスタンスを、通常の分布から外れた異常値と特定してよい。
【0101】
監視される異常検出モデルの選択
システムは、各々のユーザに別個のデータセットを構築してよく、さらに、データセットを、訓練、検証、および、テストセットに分割してよい。
図9は、モデルを訓練すること、閾値パラメータを選択すること、モデルを選択すること、および、訓練、検証、および、テストセットを使用して、選択されたモデルを評価すること、の手順の高レベルな概要を描写する。
【0102】
図9は、実施形態にしたがって、監視される異常検出モデルを選択することの概要を図示するブロック図を提示する。動作中、システムは、要約統計量の全ての可能な組み合わせを列挙することにより、最初にモデルの集合を生成および評価してよい(動作902)。その後、システムは、訓練データセットを使用して通常モデルを構築してよい(動作904)。システムは、検証セットを使用して、εパラメータを選択し(動作906)、モデル選択を行ってよい(動作908)。最終的に、システムは、新規の観測されていないインスタンスを含む保持テストデータセットを使用して、選択されたモデルM*を評価してよい(動作910)。各ステップは、以下に詳細に説明される。
【0103】
通常モデル
システムは、訓練データセットを使用してガウス分布のパラメータを評価することにより、通常モデルを学習してよい。システムは、最尤推定値を使用してガウス分布の平均および分散パラメータを判定してよい。
【0105】
システムは、モデルμ∈R
nに含まれる各変数の平均および分散パラメータを予測してよく、共分散行列Σ∈R
nxnを構築してよい。ここで、対角エントリはσ
2の値であり、非対角エントリはゼロである。その後、システムは、これらのパラメータを使用して、多変数ガウス分布の確率密度関数を計算してよい。
【0107】
確率密度関数を判定した後、新しいインスタンスxは、p(x;μ;Σ)<εの場合、外れ値と見なされる。この事例において、システムは、新しいインスタンスを迫り来るパニック発現としてラベル付けしてよい。p(x;μ;Σ)>εの場合、システムは、新しいインスタンスを迫り来るパニック発現ではないとしてラベル付けしてよい。
【0108】
閾値の選択
システムは、検証セットを使用してパラメータεを選択してよい。最初に、システムは、検証セット内の全てのインスタンスのp(x;μ;Σ)の値を判定する。その後、システムは、予測の精度を評価することにより、パラメータεを選択する。システムは、min(p)からmax(p)へ進んでよく、検証セットデータのF
1スコアを最大化するεを選択してよい。F
1スコアは、
【0110】
により所与される調和平均である。ここで、Pは適合率であり、Rは再現率である。
【0111】
検証セットが正のインスタンスを包含しない事例においては、正判定を生じないため、F
1測定値を最適化することは意味をなさない。代わりに、この事例では、システムはεの値をmin(p)として選択してよい。
【0112】
モデルの選択
パラメータの選択および通常モデルを判定することに加えて、システムは、さらに、訓練および検証セットを使用して、自動的なモデル選択を行ってよい。システムは、上記の13個の要約統計量の全ての組み合わせを考慮することにより、モデルを選択し得る。全体で、システムは、訓練および検証データで2
13−1個のモデルを評価してよい。システムは、保持テストセットを使用する評価のF
1スコアを最大化するモデルM*を選択してよい。
【0113】
調査結果
以下に、調査のために生理学的データを記録した7人のユーザの各々の適合率および再現率の結果を記載する。システムは、ユーザごとに個々のモデルを構築した。ユーザのうち4人が、デバイスを装着している間にパニック発現を報告した。以下の分析は、報告の前に少なくとも15分間の生理学的データを有する全てのパニック発現を含む。この要件は、分析から除去される2つのパニック発現をもたらした。ユーザのうちの3人は、生理学的データを収集したが、パニック発現を報告しなかったか、または、デバイスを装着していない間に発現を報告したか、のいずれかであった。
図10は、各ユーザの分析に含まれる非パニックおよびパニックインスタンスの総数を図示する表1000を提示する。
図10における全体的なインスタンスから、システムは、訓練、検証、および、保持テストセットを以下のように構築した。
【0114】
訓練セット:システムは、80%の非パニック(例えば、通常)発現を使用して、通常モデルを構築した。
【0115】
検証セット:システムは、50%の報告されたパニック発現を検証セットに含んだ。システムは、訓練および検証セットを組み合わせて、閾値(ε)の選択を行った。パニック発現が報告されなかった事例において、システムは、システム自体により訓練セットを使用して、閾値の選択を行った。
【0116】
保持テストセット:システムは、残りの20%の非パニック発現および50%のパニック発現を保持して、学習モデルを評価した。
【0117】
可能な場合、システムは、検証およびテストセットの間で報告された50%のパニック発現をシステムがスワッピングした、2つの別個の実行を行った。これにより、別個の訓練検証データでモデルを訓練しながら、全てのパニック発現を保持テストセットに含むことにより、全てのパニック発現に評価される機会が与えられた。2つの実行により行われる分類の累計が報告される。
【0118】
以下の説明では、各ユーザの混同行列を、適合率、再現率、および、F
1スコアと共に提示する。混同行列の行はモデルの予測であり、列は実際の結果である。混同行列の対角エントリは、開示される技術がテストセットにおいて正しくラベル付けしたパニックおよび非パニック発現の数、すなわち、正判定および判定網羅の数、を捉える。非対角エントリは、技術により推測されるテストセットにおいて誤ってラベル付けされた発現の数、すなわち、誤判定および判定漏れの数、を捉える。ユーザごとに、以下の説明は、さらに、自動的に選択されるモデルM*を報告する。説明は、システムが開示されたプロセスの両方の実行中に同じM*を選択した事例において、各ユーザに単一のM*を報告する。
【0119】
図11は、ユーザ1の混同行列1102および適合率/再現率の結果を図示する。混同行列1102は、システムがテストセットのインスタンスの全てを正確にラベル付けしたことを示す。ユーザ1は、1回だけパニック発現を報告しており、システムは正確に分類した(例えば、左上のボックス1104)。ユーザ1の100%の適合率および再現率を考慮すると、システムは誤判定または判定漏れを生成しなかった。自動的に選択されたモデルは、以下であった:
M*={μ
BR}
【0120】
図12は、ユーザ2の混同行列1202および適合率/再現率の結果を図示する。混同行列は、システムがテストセットのインスタンスの1つ(例えば、左下のボックス1204)を除いた全てを正確にラベル付けしたことを示す。システムは100%の適合率を有し、ユーザ2の誤判定を生成しなかった。システムは、75%の再現率スコアを考慮すると、パニック発現のうちの1つを非パニックとして不正確にラベル付けした。ユーザ2の選択モデルは、呼吸数および体温の測定結果における変化点の数であった。
M*={ρ
BR,ρ
Temp}
【0121】
図13は、ユーザ3の混同行列1302および適合率/再現率の結果を図示する。ユーザ3のために収集されたデータセットのサイズが制限された一方で、結果は、開示される手法が、適合率、再現率およびF
1スコアの100%の値を考慮すると、テストセットにおける全てのパニックおよび非パニック発現を正確に分類したことを示す。ユーザ3に対して、異常検出手順が自動的に選択したモデルは、平均的な心拍数のみを含んだ:
M*={μ
HR}
【0122】
図14は、ユーザ4の混同行列1402および適合率/再現率の結果を図示する。ユーザ4は、データセットにおいて最大数の正のインスタンスを有した。全般的に見れば、75%の適合率を考慮すると、システムは6回のパニック発現を正確にラベル付けし、2つの誤判定を有した。システムは、60%の再現率の割合を考慮すると、残りの4回のパニック発現を非パニック発現として誤分類した。ユーザ4の全体的なF
1スコアは、67%であった。ユーザ4のためにシステムが選択したモデルは、心拍数、体温の測定結果、平均的な呼吸数、および、心拍変動における変化点の数を含んだ:
M*={ρ
HR,μ
BR,μ
HRV,ρ
Temp}
【0123】
図15は、パニック発現を報告した4人のユーザ全員のマクロ結果を提示する。全般的に見れば、生理学的な入力変数からパニック発作を予測するための開示される手法は、93.8%の適合率および83.8%の再現率を達成した。これは、88.5%のマクロ調和平均スコアを生成した。
【0124】
図16は、ユーザ5、6、および7の混同行列の各々の結果1602、1604、および1606を図示する。
図16は、生理学的データを記録したが、デバイスを装着している間にパニック発作を全く報告しなかった3人のユーザの結果を表示する。ユーザ5に対する両方の実行において、システムは、全体で2つの誤判定を考慮すると、1つのインスタンスをパニック発現として不正確にラベル付けした。システムは、ユーザ5の他の全てのインスタンスを非パニック発現として正しくラベル付けした。ユーザ6および7に対して、システムは、テストセットにおける全てのインスタンスを非パニック発現として正しくラベル付けした。
【0125】
図17は、実施形態にしたがって、双方向の遠隔的な健康監視を容易にする例示的なサーバ装置1700を図示する。装置1700は、有線または無線通信チャネルを介して相互に通信してよい複数のモジュールを備え得る。装置1700は、1つ以上の集積回路を使用して実現されてよく、
図17に示されるものより少数または多数のモジュールを含んでよい。さらに、装置1700は、コンピュータシステムに統合されてよく、または、他のコンピュータシステムおよび/またはデバイスと通信可能な別個のデバイスとして実現されてよい。具体的には、装置1700は、モバイル通信モジュール1702、モデル生成モジュール1704、モデル実行モジュール1706、および、生理学的データストレージ1708を備え得る。
【0126】
モバイル通信モジュール1702は、生理学的データをモバイルデバイスから受信し、助言をモバイルデバイスへ送信する。モデル生成モジュール1704は、ユーザの予測モデルを、ユーザと関連付けられる生理学的データおよび活動データに基づいて生成する。モデル実行モジュール1706は、生成されたモデルを使用してユーザの生理学的データおよび状況データを分析し、パニック発作を予測する。生理学的データストレージ1708は、ユーザの生理学的データを保存する。
【0127】
例示的なモバイルデバイス
図18は、本発明の実施形態にしたがって、双方向の遠隔的な健康監視システムにおける例示的なモバイルデバイス1800を提示する。
図18において、モバイルデバイス1800は、プロセッサ1802、メモリ1804、および、ストレージデバイス1806を含む。ストレージデバイス1806は、プロセッサ1802により実行されるプログラムを保存する。具体的には、ストレージデバイス1806は、サーバ通信モジュール1808、助言管理モジュール1810、および、生理学的データ受信モジュール1812を、アプリケーション1814および1816など他のアプリケーションと共に保存する。
【0128】
サーバ通信モジュール1808は、生理学的データをサーバへ送信してよい。助言管理モジュール1810は、助言をサーバから受信し、ユーザへの助言をモバイルデバイスディスプレイ1818上に表示する。助言管理モジュール1810は、メッセージを表示してよく、および/または、ユーザへのメッセージを読み込んでよい。さらに、助言管理モジュール1810は、助言およびユーザの症状に関するユーザのフィードバックを受信してよく、サーバ通信モジュール1808は、フィードバックをサーバへ送信してよい。生理学的データ受信モジュール1812は、生理学的データをウェアラブルデバイスから受信する。
【0129】
動作中、サーバ通信モジュール1808、助言管理モジュール1810、および、生理学的データ受信モジュール1812は、ストレージデバイス1806からメモリ1804内へロードされ、その後、プロセッサ1802により実行される。プログラムを実行する間、プロセッサ1802は前述の機能を行う。
【0130】
図19は、本発明の実施形態にしたがって、双方向の遠隔的な健康監視システムにおける例示的なサーバ1900を提示する。
図19において、サーバ1900は、プロセッサ1902、メモリ1904、および、ストレージデバイス1906を含む。ストレージデバイス1906は、プロセッサ1902により実行されるプログラムを保存する。具体的には、ストレージデバイス1906は、モバイル通信モジュール1908、モデル生成モジュール1910、モデル実行モジュール1912、および、生理学的データストレージ1914を、アプリケーション1916および1918など他のアプリケーションと共に保存する。
【0131】
モバイル通信モジュール1908は、生理学的データをモバイルデバイスから受信し、助言をモバイルデバイスへ送信する。モデル生成モジュール1910は、ユーザの予測モデルをユーザと関連付けられる生理学的データおよび活動データに基づいて生成する。モデル実行モジュール1912は、生成されたモデルを使用してユーザの生理学的データおよび状況データを分析し、パニック発作を予測する。生理学的データストレージ1914は、ユーザの生理学的データを保存する。動作中、モバイル通信モジュール1908、モデル生成モジュール1910、モデル実行モジュール1912、および、生理学的データストレージ1914は、ストレージデバイス1906からメモリ1904内へロードされ、その後、プロセッサ1902により実行される。プログラムを実行する間、プロセッサ1902は、前述の機能を行う。サーバ1900は、選択的なディスプレイ1926、キーボード1928、および、ポインティングデバイス1930と結合される。
【0132】
詳細な説明の項に記載される方法およびプロセスは、上述されるように、コンピュータ可読保存媒体に保存され得る、コードおよび/またはデータとして具現化され得る。コンピュータシステムは、コンピュータ可読保存媒体に保存されたコードおよび/またはデータを読み込んで実行し、コンピュータシステムは、データ構造およびコードとして具現化されてコンピュータ可読保存媒体内に保存される、方法およびプロセスを行う。
【0133】
さらに、以下に記載される方法およびプロセスは、ハードウェアモジュールに含まれ得る。例えば、ハードウェアモジュールは、特定用途向け集積回路(ASIC)チップ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および、既知または今後に開発される他のプログラマブル論理デバイスを含み得るが、それらに限定されない。ハードウェアモジュールが起動されると、ハードウェアモジュールは、ハードウェアモジュール内に含まれる方法およびプロセスを行う。