(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る電気的接続装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。また、以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0018】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る電気的接続装置1の概略構成を示す側面図である。
【0019】
図1に示すように、本発明の実施形態1に係る電気的接続装置1は、垂直動作式プローブカードと称され、昇降可能なチャック12の上方でフレーム(不図示)に保持される。チャック12上には、被検査体の一例として半導体ウエハ14が保持されている。半導体ウエハ14には多数の集積回路が組み込まれている。
【0020】
半導体ウエハ14は、集積回路の電的検査のために、該集積回路の多数の電極パッド14aを上方に向けて、チャック12上に配置されている。
【0021】
電気的接続装置1は、プローブ基板16と、プローブ支持体18とを備える。
【0022】
プローブ基板16は、例えば円形のリジッド配線基板からなる。プローブ基板16の下端部は、プローブ20の基端部20b(上端部)に接続される。
【0023】
プローブ基板16の一方の面(
図1に示す上面)の周縁部には、テスタ(不図示)への接続端となる多数のテスタランド16bが設けられている。各テスタランド16bは、プローブ基板16に設けられた配線16aに接続されている。
【0024】
また、プローブ基板16の一方の面(
図1に示す上面)には、プローブ基板16を補強する例えば金属製の補強板26が設けられている。該補強板は、プローブ基板16のテスタランド16bが設けられた周縁分を除く中央部に配置されている。また、プローブ基板16の他方の面(
図1に示す下面)には、プローブ支持体18が配置されている。
【0025】
プローブ支持体18は、プローブ基板16に保持されている。プローブ支持体18は、複数のプローブ20を有する。プローブ支持体18は、プローブ20の先端部20a(下端部)が半導体ウエハ14に押圧されたときに、プローブ20の相互間の干渉を防止する。
【0026】
プローブ20は、先端部20aと基端部20bとを有する。プローブ20の先端部20aは、半導体ウエハ14に対応して設けられている電極パッド14aに対向するように配置される。
【0027】
プローブ20の基端部20bは、プローブ基板16に対応して設けられている接続パッド16c(後述の
図2参照)に圧接された圧接状態で当接している。これにより、プローブ20の基端部20bは、プローブ基板16と電気的に接続されている。
【0028】
次に、
図2〜3を参照して、プローブ支持体18とプローブ20の構成について詳細に説明する。
図2は、本発明の実施形態1に係る電気的接続装置1の一部を拡大した一部拡大断面図である。
図3は、本発明の実施形態1に係るプローブ20の一部を拡大した一部拡大断面図である。
【0029】
なお、説明のため、図面において、上下方向Zと、上下方向Zに直交する左右方向Xと、上下方向Z及び左右方向Xに直交する前後方向Yを規定する。また、上下方向Zは、電気的接続装置1の厚み方向とも言い換えられる。
【0030】
図2に示すように、プローブ支持体18は、プローブ基板16の下方に配置される。プローブ支持体18は、複数のプローブ20を挿通するための複数のガイド穴を有するガイド板100を備える。ガイド板100は、ガイド穴に挿通されるプローブ20を所定位置に案内するように構成される。
【0031】
ガイド板100は、上方ガイド板110と、下方ガイド板120と、上方ガイド板110と下方ガイド板120との間に配置される中間ガイド板130とを有する。
【0032】
上方ガイド板110と中間ガイド板130と下方ガイド板120とのそれぞれは、例えば、セラミック板あるいはポリイミド合成樹脂板等の絶縁物質で形成される。上方ガイド板110と中間ガイド板130と下方ガイド板120とのそれぞれは、スペーサ部材34などの部材によって、互いに平行になるように配置されるとともに、ねじ部材(不図示)により相互に連結されている。
【0033】
上方ガイド板110は、プローブ基板16に近接して配置される。上方ガイド板110は、上下方向Zに貫通する上方ガイド穴110aを有する。上方ガイド穴110aは、複数のプローブ20のそれぞれに対応して複数形成されている。上方ガイド穴110aには、プローブ20の上下方向Zの移動を許すようにプローブ20が挿通される。
【0034】
下方ガイド板120は、上方ガイド板110から上下方向Zに間隔をおいて配置される。下方ガイド板120は、上下方向Zに貫通する下方ガイド穴120aを有する。下方ガイド穴120aは、複数のプローブ20のそれぞれに対応して複数形成される。下方ガイド穴120aには、プローブ20の上下方向Zの移動を許すようにプローブ20が挿通される。
【0035】
中間ガイド板130は、上方ガイド板110と下方ガイド板120の間に配置される。中間ガイド板130は、上下方向Zに貫通する中間ガイド穴130aを有する。中間ガイド穴130aは、複数のプローブ20のそれぞれに対応して複数形成される。中間ガイド穴130aには、プローブ20が挿通される。中間ガイド穴130aに挿通されたプローブ20は、後述する係止部40により上下方向Zの移動が規制される。
【0036】
中間ガイド板130は、第1板部材131と、第1板部材131に積層され第2板部材132とを有する。第1板部材131には、第1開口穴131aが形成されており、第2板部材132には、第2開口穴132aが形成されている。第1板部材131と第2板部材132との少なくとも一方は、左右方向Xに移動可能に構成される。また、中間ガイド板130の中間ガイド穴130aは、第1開口穴131aの一部と第2開口穴132aの一部との重複部分により形成される。
【0037】
プローブ20は、上方ガイド板110の上方ガイド穴110aと、中間ガイド板130の中間ガイド穴130aと、下方ガイド板120の下方ガイド穴120aとに挿通する。これにより、プローブ20の基端部20bは、プローブ基板16の所定位置に形成される接続パッド16cに向けて案内される。プローブ20の基端部20bは、上方ガイド板110から所定長さで突出する。プローブ20の基端部20bは、プローブ基板16の接続パッド16cに、例えば、はんだを用いて固着されてもよい。
【0038】
また、プローブ20の先端部20aは、半導体ウエハ14の電極パッド14aに向けて案内される。プローブ20の先端部20aは、プローブ支持体18から上下方向Zの下方に所定長さで突出する。プローブ20の先端部20aは、下方ガイド板120から半導体ウエハ14の接続すべき電極パッド14aに対応する位置に配置される。
【0039】
プローブ20は、線状の本体部21と係止部40とを備える。本体部21は、線状の金属部材からなる。金属部材は、例えば、タングステンであってもよい。本体部21の上下方向Zの上方の端部は、プローブ20の基端部20bであり、下方の端部は、プローブ20の先端部20aである。
【0040】
プローブ20では、本体部21が、上方ガイド板110と下方ガイド板120との間において湾曲するように構成される。具体的に、本体部21は、上方ガイド板110と中間ガイド板130との間に形成される第1湾曲部20xと、中間ガイド板130と下方ガイド板120との間との間に形成される第2湾曲部20yとを有する。
【0041】
第1湾曲部20xと第2湾曲部20yは、上方ガイド穴110aと中間ガイド穴130aと下方ガイド穴120aとが、プローブ20を挿通した状態で左右方向Xに所定量ずらさせることにより形成される。
【0042】
また、第1湾曲部20xと第2湾曲部20yとを形成することで、中間ガイド板130の上面からプローブ20の基端部20bまでの上下方向Zにおける長さL1と、中間ガイド板130の下面からプローブ20の基端部20bまでの上下方向Zにおける長さL2とは、適宜調整可能である。
【0043】
第1湾曲部20xと第2湾曲部20yとは、複数のプローブ20において、同一の形状かつ同一姿勢の弾性変形となるように形成されている。これにより、プローブ20は、プローブ支持体18において、滑らかなクランクを描いた状態で配置される。
【0044】
例えば、プローブ支持体18とプローブ基板16との連結時には、プローブ支持体18をプローブ基板16に押し付ける(所謂、プリロードを与える)。そして、この押し付けによってプローブ20の基端部20bは、プローブ基板16の接続パッド16cに圧接されるとともに、上方ガイド板110の上方ガイド穴110aによって案内されながら、上下方向Zの下方へ直線的に移動する。
【0045】
また、プローブ20の基端部20bの移動に伴って、プローブ20の第1湾曲部20xは、左右方向Xの一方(例えば、
図2の右方向)に弓状に大きく弾性変形する。この後、プローブ支持体18とプローブ基板16とが、例えば、ねじ部材(不図示)により連結される。
【0046】
一方、例えば、半導体ウエハ14の電気的検査では、チャック12の上昇によって、電極パッド14aが対応するプローブ20の先端部20aを上下方向Zの上方に押し上げる。そして、この押し上げによってプローブ20の先端部20aは、下方ガイド板120の下方ガイド穴120aによって案内されながら、上下方向Zの上方へ直線的に移動する。
【0047】
また、プローブ20の先端部20aの押し上げによって、プローブ20の第2湾曲部20yは、左右方向Xの一方に弓状に大きく弾性変形する。また、各プローブ20の先端部20aは、プローブ20の弾性による適正なしなやかさによって、対応する電極パッド14aに押圧されるため、電極パッド14aに確実に接続される。
【0048】
これにより、電極パッド14aは、プローブ基板16の対応するテスタランド16bを経てテスタ(不図示)に電気的に接続され、半導体ウエハ14の電気的検査が行われる。
【0049】
係止部40は、中間ガイド板130において本体部21の上下方向Zにおける移動を係止する。具体的に、係止部40は、中間ガイド穴130aに挿通する本体部21の移動を規制する。
【0050】
係止部40は、本体部21に固着される係止部材により形成される。すなわち、係止部40は、本体部21とは別体の係止部材により構成される。なお、係止部材は、金属であってもよいし、樹脂であってもよい。
【0051】
また、
図3に示すように、係止部40は、第1係止部41と第2係止部42とを備える。
【0052】
第1係止部41は、中間ガイド板130の上面に当接するように配置される。具体的に、第1係止部41は、第1板部材131の上面に当接するように配置される。
【0053】
また、第1係止部41は、中間ガイド板130よりも上方に配置され、中間ガイド穴130aよりも幅広に構成される。具体的に、第1係止部41は、中間ガイド穴130aの最大幅W1(直径)よりも大きい幅W2によって構成されており、本体部21の下方への移動を防止するストッパーとして機能する。なお、「幅広」とは、左右方向Xと前後方向Yとに平行なXY平面における最大幅(最大長さ)が大きいことを表す。
【0054】
第2係止部42は、中間ガイド板130の下面に当接するように配置される。具体的に、第2係止部42は、第2板部材132の下面に当接するように配置される。
【0055】
第2係止部42は、中間ガイド板130よりも下方に配置され、中間ガイド穴130aよりも幅広に構成される。具体的に、第2係止部42は、中間ガイド穴130aの最大幅W1よりも大きい幅W2に構成されており、本体部21の上方への移動を防止するストッパーとして機能する。
【0056】
このようにして、第1係止部41と第2係止部42とが、中間ガイド板130の上方と下方から本体部21を係止するため、本体部21が中間ガイド板130に固定される。
【0057】
なお、第1係止部41と第2係止部42とは、いずれも円柱形状又は楕円柱形状である。例えば、第1係止部41と第2係止部42とが、楕円柱形状である場合、第1係止部41の幅W2と第2係止部42の幅W2は、本体部21の軸線方向に直交する径方向における最大幅、すなわち楕円柱形状の長径を示す。
【0058】
また、第1係止部41の幅W2と第2係止部42の幅W2とは、必ずしも同一である必要はなく、中間ガイド穴130aの最大幅W1よりも大きければ、相違させてもよい。
【0059】
ここで、中間ガイド板130では、左右方向Xにおいて、第1板部材131の第1開口穴131aは、係止部40よりも幅広に開口し、かつ、第2板部材132の第2開口穴132aも、係止部40よりも幅広に開口する。
【0060】
また、第1板部材131と第2板部材132との少なくとも一方を左右方向Xに移動させることにより、第1開口穴131aの一部と第2開口穴132aの一部との重複部分が、第1係止部41及び第2係止部42の幅W2よりも幅狭な中間ガイド穴130aとして形成される。なお、「幅狭」とは、左右方向Xと前後方向Yとに平行なXY平面における最大幅(最大長さ)が小さいことを表す。
【0061】
<電気的接続装置の製造方法>
次に、実施形態1に係る電気的接続装置1の製造方法について説明する。具体的には、上方ガイド板110と中間ガイド板130と下方ガイド板120とにプローブ20を挿通させてプローブ支持体18を製造する際の製造方法について説明する。当該製造方法は、挿通工程と、穴形成工程と、湾曲形成工程を含む。
【0062】
ここで、
図4(a)〜(b)は、挿通工程を説明するための概念図である。
図5(a)〜(b)は、穴形成工程を説明するための概念図である。なお、
図4(a)と
図5(a)は、概略断面図であり、
図4(b)と
図5(b)は、概略平面図である。
【0063】
まず、挿通工程において、上方ガイド板110の上方ガイド穴110aと、中間ガイド板130の中間ガイド穴130aと、下方ガイド板120の下方ガイド穴120aとの左右方向X及び前後方向Yにおける位置(XY平面における位置)を揃える。
【0064】
このとき、中間ガイド板130において、第1板部材131の位置と第2板部材132との位置を調整して、第1開口穴131aの位置と第2開口穴132aの位置とを揃えておく。
【0065】
具体的に、
図4(a)〜(b)に示すように、第1開口穴131aと第2開口穴132aとの左右方向X及び前後方向Yにおける位置(XY平面における位置)を揃えるようにする。これにより、第1開口穴131aと第2開口穴132aとによって形成される中間ガイド穴130aの幅W0は、第1係止部41と第2係止部42との幅W2よりも大きくなる。
【0066】
そして、プローブ20の本体部21の軸線方向CLと上下方向Zと平行にさせながら、上方ガイド穴110aと下方ガイド穴120aと中間ガイド穴130aとにプローブ20を挿通する。このとき、
図4(a)〜(b)に示すように、上下方向Zにおいて、第1係止部41と第2係止部42との間に中間ガイド穴130aを配置する。
【0067】
次に、穴形成工程において、第1板部材131と第2板部材132との少なくとも一方を左右方向Xに移動させて、第1開口穴131aの一部と第2開口穴132aの一部との重複部分を、第1係止部41及び第2係止部42の幅W2よりも幅狭な中間ガイド穴130aとして形成する。
【0068】
例えば、
図5(a)〜(b)に示すように、第1板部材131を右方向に移動させるとともに、第2板部材132を左方向に移動させる。そして、第1開口穴131aの一部と第2開口穴132aの一部との重複部分を中間ガイド穴130aとして形成する。このとき、中間ガイド穴130aの最大幅W1が第1係止部41及び第2係止部42の幅W2よりも小さくなるように、第1板部材131と第2板部材132とを左右方向Xに移動させる。
【0069】
なお、穴形成工程では、第1板部材131と第2板部材132とをプローブ20の本体部21に当接するように移動させてもよい。すなわち、第1板部材131と第2板部材132とによってプローブ20の本体部21を狭持してもよい。
【0070】
次に、湾曲形成工程において、上方ガイド板110と中間ガイド板130と下方ガイド板120との左右方向Xにおける位置を相違させて、プローブ20の本体部21に第1湾曲部20xと第2湾曲部20yとを形成する。
【0071】
例えば、
図2に示すように、中間ガイド板130を基準として、上方ガイド板110を左方向に移動させるとともに、下方ガイド板120を右方向に移動させて、プローブ20の本体部21に第1湾曲部20xと第2湾曲部20yとを形成してもよい。
【0072】
或いは、中間ガイド板130を基準として、上方ガイド板110と下方ガイド板120とを左右方向の一方(例えば、右方向)に移動させて、プローブ20の本体部21に第1湾曲部20xと第2湾曲部20yとを形成してもよい。
【0073】
このようにして、プローブ支持体18が製造される。なお、この後、プローブ支持体18は、プローブ基板16に連結する等の工程を経て、電気的接続装置1が製造されるが、詳細な説明は省略する。
【0074】
<実施形態1の作用及び効果>
以上のように、本発明の実施形態1に係る電気的接続装置1は、上方ガイド板110と、中間ガイド板130と、下方ガイド板120と、上方ガイド板110と中間ガイド板130と下方ガイド板120とに挿通されるプローブ20とを備える。また、プローブ20は、線状の本体部21と、中間ガイド板130において本体部21の上下方向Zおける移動を係止する係止部40とを備える。中間ガイド板130は、第1開口穴131aが形成された第1板部材131と、第1板部材131に積層され、第2開口穴132aが形成された第2板部材132とを有する。第1板部材131と第2板部材132との少なくとも一方は、左右方向Xに移動可能に構成される。また、中間ガイド板130の中間ガイド穴130aは、第1開口穴131aの一部と第2開口穴132aの一部との重複部分として係止部40よりも幅狭に形成される。
【0075】
これにより、係止部40が、中間ガイド板130においてプローブ20の上下方向Zへの移動を係止できるため、プローブ20の先端部20aに作用する押圧力が、プローブ20の基端部20bに伝達されることを抑制できるとともに、プローブ20の基端部20bに作用する押圧力が、プローブ20の先端部20aに伝達されることを抑制できる。すなわち、プローブ20の両端部の一方に作用する押圧力が他方に影響を及ぼすことを抑制できる。
【0076】
更に、プローブ20の先端部20aの高さとプローブ20の基端部20bの高さとを別々に揃えるよう加工する等の調整が可能になるため、複数のプローブ20の先端部20aの高さ位置や、複数のプローブ20の基端部20bの高さ位置を容易に揃えることもできる。
【0077】
これにより、半導体ウエハ14の電極パッド14aとプローブ20の先端部20aとの間に作用する接触圧を均一にできるため、オーバードライブ時における接触圧のバラツキに起因するプローブ20の接触不具合を抑制することができる。また、プローブ基板16の接続パッド16cとプローブ20の基端部20bとの間に作用する接触圧も均一にできるため、プリロード時における接触圧のバラツキに起因するプローブ20の接触不具合も抑制することができる。
【0078】
また、本発明の実施形態1に係る電気的接続装置1では、係止部40は、中間ガイド板130よりも上方に配置される第1係止部41と、中間ガイド板130よりも下方に配置される第2係止部42とを備える。
【0079】
これにより、第1係止部41が、プローブ20の本体部21の下方への移動を防止し、第2係止部42がプローブ20の本体部21の上方への移動を防止するため、プローブ20の本体部21の上下方向Zへの移動をより確実に防止できる。すなわち、プローブ20の両端部の一方に作用する押圧力が他方に影響を及ぼすことをより確実に抑制できる。
【0080】
また、本発明の実施形態1に係る電気的接続装置1では、プローブ20は、上方ガイド板110と下方ガイド板120との間において湾曲する湾曲部(第1湾曲部20x及び第2湾曲部20y)を有する。これにより、プローブ20の先端部20aに上方向への押圧力が作用した場合やプローブ20の基端部20bに下方向への押圧力が作用した場合に、湾曲部は、弾性変形することにより適度な反発力を発生させる。この反発力は、プリロード時における接触圧やオーバードライブ時における接触圧として作用し、プリロード時のプローブ20の接触不具合やオーバードライブ時のプローブ20の接触不具合を抑制する。
【0081】
また、本発明の実施形態1に係る電気的接続装置1では、中間ガイド板130において、第1板部材131と第2板部材132との少なくとも一方は、左右方向Xに移動可能に構成される。
【0082】
これにより、第1板部材131と第2板部材132との少なくとも一方を左右方向Xに移動させれば、第1開口穴131aの一部と第2開口穴132aの一部との重複部分として形成される中間ガイド穴130aの幅を調整できる。このため、電気的接続装置1の製造時において、第1係止部41と第2係止部42との間に中間ガイド板130を容易に配置できるとともに、中間ガイド板130の中間ガイド穴130aの最大幅W1を、第1係止部41の幅W2と第2係止部42の幅W2よりも容易に小さくできる。よって、電気的接続装置1の生産性を高められる。
【0083】
[本発明のその他の実施形態]
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。
【0084】
例えば、上述した実施形態では、係止部40は、第1係止部41と第2係止部42とが互いに分離された構成である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。
図6に示すように、係止部40は、第1係止部41と第2係止部42とを連結する連結部43を更に有してもよい。
【0085】
すなわち、係止部40が、第1係止部41と第2係止部42と連結部43とによって一体として構成されていてもよい。また、連結部43の幅は、第1係止部41の幅W2及び第2係止部42の幅W2よりも小さくなるように構成される。
【0086】
従って、
図6に示すように、係止部40は、第1係止部41と第2係止部42とを連結する連結部43において幅狭となるくびれ形状(所謂、ひょうたん形状)となる。このように、係止部40が連結部43を備えることにより、第1係止部41と第2係止部42とが連結されるため、第1係止部41と第2係止部42との強度が高まるため、プローブ20の本体部21の上下方向Zへの移動をより確実に防止できる。
【0087】
また、例えば、上述した実施形態では、係止部40の形状は、円柱形状又は楕円柱形状である場合を例に挙げて説明したが、多角柱形状であってもよく、例えば、四角柱形状や六角柱形状などでもよい。このように、係止部40の形状は、中間ガイド穴130aの最大幅W1よりも幅広であれば、様々な形状を適用できる。
【0088】
また、例えば、
図7に示すように、第1係止部41が、中間ガイド板130に当接する第1当接面41aを有し、第2係止部42が、中間ガイド板130に当接する第2当接面42aを有してもよい。そして、第1当接面41aと第2当接面42aとは、プローブ20の本体部21の軸線方向に対して傾斜するように構成されてもよい。
【0089】
これにより、第1当接面41aと第2当接面42aとが本体部21の軸線方向に対して直交する場合に比べて、プローブ20の本体部21が傾斜し易くなるため、プローブ20の本体部21に第1湾曲部20xと第2湾曲部20yとを形成し易くなる。
【0090】
また、
図7に示すように、第1係止部41が第1当接面41aにおいてより広い範囲で中間ガイド板130に当接するとともに、第2係止部42も第2当接面42aにおいてより広い範囲で中間ガイド板130に当接する。
【0091】
これにより、第1係止部41によるプローブ20の本体部21の下方への移動をより確実に防止するとともに、第2係止部42によるプローブ20の本体部21の上方への移動をより確実に防止できるため、プローブ20の本体部21の上下方向Zへの移動をより確実に係止できる。なお、第1当接面41aと第2当接面42aとの離間距離は、中間ガイド板130の上下方向Zにおける厚さと同等に設定することが好ましい。
【0092】
また、上述した実施形態では、係止部40は、本体部21に係止部材を固着することにより形成されていたが、これに限定されない。係止部40は、本体部21の一部を太くすることにより形成されてもよい。
【0093】
この場合、係止部40が本体部21の一部により形成できるため、係止部40が本体部21とは別の係止部材により形成される場合に比べて、製造コストを抑制できる。なお、係止部40は、本体部21の一部を溶解させることにより形成されてもよいし、本体部21の一部をつぶすことにより形成されてもよい。
【0094】
また、上述した実施形態では、中間ガイド板130が、第1板部材131と第2板部材132との2枚によって構成される場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。中間ガイド板130は、係止部40よりも幅広の開口穴が形成されている3枚以上の板部材により構成されてもよい。
【0095】
例えば、
図8に示すように、中間ガイド板130は、第1板部材131と第2板部材132と第3板部材133との3枚を有していてもよい。第3板部材133は、第2板部材132に積層される。なお、この場合、第3板部材133には、左右方向Xにおいて係止部40よりも幅広に開口する第3開口穴133aが形成されている。また、
図8に示す中間ガイド板130において、第1板部材131と第2板部材132と第3板部材133との少なくとも一つは、左右方向Xに移動可能に構成される。そして、中間ガイド穴130aは、第1開口穴131aの一部と第2開口穴132aの一部と第3開口穴133aの一部との重複部分として係止部40よりも幅狭に形成される。
【0096】
また、上述した実施形態では、電気的接続装置1は、垂直動作式プローブカードである場合を例に挙げて説明したが、これに限定されず、様々な種類の針形状を有するプローブカードに適用できる。
【0097】
また、上述した実施形態では、電気的接続装置1は、プローブ基板16と、プローブ支持体18とを備える場合を例に挙げて説明したが、必ずしもプローブ基板16を備えなくてもよい。すなわち、電気的接続装置1は、プローブ支持体18のみを備える構成であってもよい。
【0098】
このように、本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。