(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
道路を通行する車両から受けた圧力値を含む圧力情報を、前記道路において複数の信号機のそれぞれに対応する停止位置に設置された圧力センサから取得するデータサーバと、
前記データサーバから前記圧力情報を取得し、前記圧力情報に基づいて前記道路を通行する車両による急ブレーキ動作によって、所定の閾値よりも大きい前記圧力値を示す急ブレーキ情報を取得し、前記急ブレーキ情報に基づいて前記複数の信号機の表示を切り替えるタイミングを制御する制御信号を生成する制御サーバと、
を備え、
前記制御サーバは、前記急ブレーキ動作が検出されることによって、前記信号機の切り替えタイミングが設定される複数の制御モードのうちの所定の制御モードから青信号の期間をより短くする他の制御モードへ変更する
ことを特徴とする制御システム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例に係る制御システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。また、以下に示す実施例は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0016】
[第1実施形態]
<制御システムの構成>
制御システム1は、道路Rに設置される複数の信号機10を制御するものである。
図1は、本発明の第1実施形態に係る制御システム1の概略構成図である。なお、
図1では、道路Rに車両Mが通行する場合を例示しているが、人や自転車など(いずれも不図示)も通行可能であることは無論である。また、
図1において、左右方向が道路Rの通行方向RDであり、上下方向が、道路幅方向RWである。また、説明の簡略化のため、
図1では、道路Rは、車両Mが通行方向RDの一方向(左方向)にのみ通行可能なものを例示している。
【0017】
図1に示すように、制御システム1は、信号機10と、圧力センサ20と、データサーバ30と、制御サーバ40とを備える。
【0018】
信号機10は、青色(緑色)を点灯する青信号、黄色を点灯する黄信号、赤色を点灯する赤信号のそれぞれの表示形態を順番に遷移する表示動作を行う。例えば、青信号は、通行の許可を示す。赤信号は、通行の不許可を示す。黄信号は、青信号と赤信号との遷移状態を示し、通行の不許可が近づいていることを示す。
【0019】
信号機10は、信号機10aと信号機10bとを備える。信号機10aと信号機10bとは、道路Rにおいて互いに隣接して設置されている。なお、以下において、信号機10aと信号機10bとを、単に信号機10として適宜説明する。
【0020】
圧力センサ20は、道路Rの路面に設置されている。圧力センサ20は、道路Rにおいて複数の信号機10のそれぞれに対応する停止位置に設置されている。具体的に、信号機10aに対応する停止位置に圧力センサ20aが設置されており、信号機10bに対応する停止位置に圧力センサ20bが設置されている。なお、以下において、圧力センサ20aと圧力センサ20bとを、単に圧力センサ20として適宜説明する。
【0021】
ここで、停止位置とは、道路Rの路面において、信号機10に対応して規定されている車両Mの停止すべき位置であり、例えば、車両停止線の形成領域である。なお、停止位置は、車両停止線の形成領域に限定されない。例えば、停止位置は、通行方向RDにおいて、車両停止線から通行方向RDの前後方向に所定長さ(例えば、前2m後2mの4m)とし、道路幅方向RWにおいて、道路Rの両路肩間の幅(例えば、3.25m)として規定される領域であってもよい。
【0022】
圧力センサ20は、圧電素子(不図示)を備えており、道路Rを通行する車両Mから受けた圧力値を測定し、当該圧力値を含む圧力情報を出力する。具体的に、圧力センサ20は、車両Mから受けた圧力値を電圧値に変換するとともに、変換した電圧値を含む圧力情報を出力する。
【0023】
圧力センサ20から出力される圧力情報は、圧力値の経時変化を示す情報であり、圧力値を変換した電圧値と時間とにより圧力波形データとして示される(
図7参照)。
【0024】
また、圧力センサ20は、データサーバ30からの指示に応じて、圧力値を測定するとともに、アンテナなどの通信部(不図示)を介して、圧力情報をデータサーバ30に送信する。
【0025】
データサーバ30は、制御システム1における各種データを収集するとともに、収集した各種データを記憶する。
【0026】
制御サーバ40は、制御システム1の全体を制御する。制御サーバ40は、データサーバ30に記憶される各種データに基づいて、信号機10を制御する。
【0027】
次に、
図2を参照して、データサーバ30と40との構成について、具体的に説明する。
図2は、制御システム1の機能を示すブロック図である。
【0028】
図2に示すように、データサーバ30は、通信部31と、制御部32と、記憶部33とを備える。
【0029】
通信部31は、データサーバ30における通信インターフェースである。通信部31は、圧力センサ20と制御サーバ40との間で各種情報を送受信する。
【0030】
制御部32は、データサーバ30の各部の動作を制御する。制御部32は、CPU、RAM、ROM等を備えて構成される。制御部32は、制御プログラムを読込んだCPUにより制御する機能を実現する。
【0031】
制御部32は、圧力センサ20を制御する。また、制御部32は、圧力センサ20から送信された圧力情報を取得し、取得した圧力情報を記憶部33に記憶する。また、制御部32は、通信部31を介して、外部サーバ500等から、事故情報を取得し、取得した事故情報を記憶部33に記憶する。なお、事故情報の詳細は、後述する(
図3参照)。また、制御部32は、制御サーバ40からの指示により、記憶部33に記憶されている圧力情報、及び事故情報を制御サーバ40に送信する。
【0032】
記憶部33は、HDD(Hard Disk Drive)等からなる。記憶部33は、各種のプログラムやデータサーバ30の処理で用いられる各種情報等を記憶する。また、記憶部33は、圧力情報記憶部331と事故情報記憶部332とを備える。
【0033】
圧力情報記憶部331は、圧力情報を記憶する。具体的に、圧力情報記憶部331は、センサ20を識別するセンサIDと、センサIDによって識別されるセンサ20から送信された圧力情報とを関連付けて記憶する。
【0034】
事故情報記憶部332は、複数の信号機10が設置されるエリアにおいて過去に発生した事故件数を記憶する。具体的に、事故情報記憶部332は、事故件数を含む事故情報(後述の
図3参照)を記憶する。
【0035】
ここで、
図3には、事故情報を記憶する事故情報管理テーブルT1の一例が示されている。
図3に示すように、事故情報管理テーブルT1は、エリアID301に、エリア範囲302、事故件数303を関連付けて記憶する。
【0036】
エリアID301は、事故件数303を管理するために規定されるエリア(地域)を識別する情報である。
【0037】
エリア範囲302は、エリアの範囲を規定する情報である。
図3の例では、エリア範囲302は、中心座標と、中心座標からの半径とによって示されている。なお、エリア範囲302は、例えば、AA区又はAA区1丁目などのように、住所によって示されてもよい。
【0038】
事故件数303は、エリア内で過去(例えば、過去1年間)に発生した交通事故の件数を示す情報である。
【0039】
事故情報管理テーブルT1に記憶される事故情報は、制御部32によって、定期的に更新される。
【0040】
制御サーバ40は、通信部41と、記憶部42と、制御部43とを備える。
【0041】
通信部41は、制御サーバ40における通信インターフェースである。通信部41は、信号機10と制御サーバ40との間で各種情報を送受信する。
【0042】
記憶部42は、HDD(Hard Disk Drive)等からなる。記憶部42は、各種のプログラムや制御サーバ40の処理で用いられる各種情報等を記憶する。
【0043】
また、記憶部42は、信号機10を管理するための信号機管理テーブルT2と、圧力センサ20を管理するためのセンサ管理テーブルT3とを記憶する。
【0044】
ここで、
図4には、信号機管理テーブルT2の一例が示されている。
図4に示すように、信号機管理テーブルT2には、信号機ID401に、エリアID402、信号機位置情報403、道路ID404、グループID405、センサID406、及び制御モード407が関連付けて記憶されている。
【0045】
信号機ID401は、信号機10を識別する情報である。
【0046】
エリアID402は、信号機10が設置されているエリア(地域)を識別する情報である。なお、エリアID402は、上述した事故情報に含まれるエリア(地域)を識別するエリアIDと同様の情報である。
【0047】
信号機位置情報403は、信号機10を設置した位置を示す情報である。信号機位置情報403は、例えば、“緯度”と“経度”とによって示される。
【0048】
道路ID404は、信号機10が設置されている道路Rを識別する情報である。例えば、道路ID404は、信号機10が設置されている国道1号線などを識別する情報である。
【0049】
グループID405は、信号機10を制御するグループを識別する情報である。ここで、グループは、任意に規定できる。例えば、所定の道路(例えば、道路IDがL2の道路)に設置される複数の信号機10のうち、所定の信号機10を1つのグループに規定し、当該グループを識別するグループID405(例えば、グループIDがC2)を設定できる。
【0050】
センサID406は、信号機10に対応する停止位置に設置される圧力センサ20を識別する情報である。
【0051】
制御モード407は、信号機10の表示動作を示す情報である。具体的に、制御モード407は、信号機10の表示状態の時間を示す情報である。制御モード407は、“A”、“B”、“C”の3種類が規定されている。
【0052】
制御モード407の“B”は、基準として規定されるモードであり、青信号の時間Bt(例えば、120秒)と、黄信号の時間Yt(例えば、10秒)と、赤信号の時間Rt(例えば、130秒)と、青信号と黄信号と赤信号とが遷移する1周のサイクル期間Ct(例えば、260秒)とが規定されている。
【0053】
制御モード407の“A”は、“B”よりも青信号の時間Btを短く規定されるモードであり、青信号の時間Bt(例えば、110秒)と、黄信号の時間Yt(例えば、10秒)と、赤信号の時間Rt(例えば、140秒)と、青信号と黄信号と赤信号とが遷移する1周のサイクル期間Ct(例えば、260秒)とが規定されている。
【0054】
制御モード407の“C”は、“B”よりも青信号の時間Btを長く規定されるモードであり、青信号の時間Bt(例えば、130秒)と、黄信号の時間Yt(例えば、10秒)と、赤信号の時間Rt(例えば、120秒)と、青信号と黄信号と赤信号とが遷移する1周のサイクル期間Ct(例えば、260秒)とが規定されている。
【0055】
なお、本実施形態では、制御モード407の“A”、“B”、“C”のいずれにおいても、黄信号の時間Yt(例えば、10秒)とサイクル期間Ct(例えば、260秒)とは、変更しないものとする。
【0056】
また、
図5には、センサ管理テーブルT3の一例が示されている。
図5に示すように、センサ管理テーブルT3は、センサID501に、センサ位置情報502、及び道路ID503を関連付けて記憶する。なお、センサID501と道路ID503とは、上述したため、説明を省略する。
【0057】
センサ位置情報502は、センサ20を設置した停止位置の中心位置を示す情報である。
【0058】
制御部43は、制御サーバ40の各部の動作を制御する。制御部43は、CPU、RAM、ROM等を備えて構成される。制御部43は、制御プログラムを読込んだCPUにより制御する機能を実現する。
【0059】
また、制御部43は、圧力情報取得部431と、急ブレーキ情報取得部432と、信号機制御部433とを備える。
【0060】
圧力情報取得部431は、データサーバ30から、圧力情報を取得する。
【0061】
急ブレーキ情報取得部432は、圧力情報取得部431が取得した圧力情報に基づいて、道路Rを通行する車両Mによる急ブレーキ動作を示す急ブレーキ情報を取得する。なお、急ブレーキ情報の詳細については、後述する(ステップS102及び
図6参照)。
【0062】
信号機制御部433は、急ブレーキ情報取得部432が取得した急ブレーキ情報に基づいて、複数の信号機10を制御する制御信号を生成する。具体的に、信号機制御部433は、制御モード407の“A”、“B”、“C”のいずれかにより信号機10を制御する制御信号を生成し、当該制御信号を信号機10に送信する。
【0063】
なお、上述した制御システム1において、外部サーバ500とデータサーバ30との間の通信、圧力センサ20とデータサーバ30との間の通信、データサーバ30と制御サーバ40との間の通信、及び制御サーバ40と信号機10との間の通信は、ネットワークを介して実行される。なお、ネットワークの回線は、専用回線であってもよいし、公衆回線であってもよく、特に限定されない。また、ネットワークの通信方式は、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。
【0064】
<制御システム1の動作>
次に、制御システム1の動作について説明する。
図4は、制御システム1が信号機10を制御する際の動作を示すフローチャートである。なお、以下では、制御部43による信号機10aと信号機10bとを制御する動作を例に挙げて説明する(信号機10a、10b、圧力センサ20a、及び20bの位置関係は、
図1を参照)。
【0065】
制御サーバ40では、圧力情報取得部431が、データサーバ30から圧力情報を取得する(ステップS101)。具体的に、圧力情報取得部431は、データサーバ30に対して、信号機10a〜10bに対応して設置されている圧力センサ20a〜20bからの圧力情報を送信するように指示する。
【0066】
この指示を受けたデータサーバ30は、圧力センサ20a〜20bから、圧力情報記憶部331に記憶されている所定期間(例えば、1分間)に測定された圧力値を含む圧力情報を、制御サーバ40に送信する。
【0067】
この様にして、圧力情報取得部431は、圧力情報記憶部331に記憶された圧力情報を取得する。
【0068】
急ブレーキ情報取得部432は、圧力情報取得部431が取得した圧力情報に基づいて、急ブレーキ動作を示す急ブレーキ情報を取得する(ステップS102)。具体的に、急ブレーキ情報取得部432は、圧力情報において所定閾値THp以上となる値の中で最も高いピーク値を、急ブレーキ情報として取得する。なお、所定閾値THpは、圧力情報から急ブレーキ動作を検出するための閾値であり、予め設定された値である。
【0069】
ここで、
図7には、信号機10aに対応して設置されている圧力センサ20aから出力された圧力情報が示されている。なお、
図7では、所定期間t1において測定された圧力値を含む圧力情報が例示されている。
【0070】
図7に示すように、急ブレーキ情報取得部432は、圧力情報を参照して、所定閾値THp以上となる波形部分Sw1〜Sw3を特定する。急ブレーキ情報取得部432は、それぞれの波形部分Sw1〜Sw3において最も高いピーク値P1を、信号機10aの急ブレーキ情報として取得する。
【0071】
同様に、急ブレーキ情報取得部432は、信号機10bに対応して設置されている圧力センサ20bから出力された圧力情報を参照して、所定閾値THp以上となる値の中で最も高いピーク値P2を、急ブレーキ情報として取得する。
【0072】
信号機制御部433は、ピーク値P1とピーク値P2とを乗算して、係数Tを算出する(ステップS103)。
【0073】
信号機制御部433は、係数Tが、所定閾値THt1よりも大きいか否かを判定する(ステップS104)。なお、所定閾値THt1は、予め設定された値である。
【0074】
信号機制御部433は、係数Tが所定閾値THt1よりも大きいと判定した場合(ステップS104“Yes”)、データサーバ30の事故情報記憶部332(事故情報管理テーブルT1)を参照して、事故件数303を取得する(ステップS105)。
【0075】
具体的に、信号機制御部433は、記憶部42に記憶される信号機管理テーブルT2を参照して、信号機10a〜10bのそれぞれの信号機ID401(例えば、“12”と“13”)に関連付けて記憶されているエリアID402(例えば、“A2”)を特定する。
【0076】
また、信号機制御部433は、データサーバ30の事故情報記憶部332に記憶される事故情報管理テーブルT1を参照して、エリアID301(例えば、“A2”)に関連付けて記憶されている事故件数303(例えば、5件)を取得する。
【0077】
そして、信号機制御部433は、取得した事故件数303(例えば、5件)が、所定件数THa以上であるか否かを判定する。なお、信号機制御部433は、取得した事故件数303が、所定件数THa以上でないと判定した場合(ステップS105“No”)、動作を終了する。すなわち、信号機制御部433は、信号機10を制御すべきでないと判定して、動作を終了する。
【0078】
一方、信号機制御部433は、取得した事故件数303(例えば、5件)が所定件数THa(例えば、4件)以上であると判定した場合(ステップS105“Yes”)、信号機10a〜10bを制御する(ステップS106)。
【0079】
具体的に、信号機制御部433は、信号機管理テーブルT2を参照して、信号機10a〜10bのそれぞれの信号機ID401(例えば、“12”と“13”)に関連付けて記憶されている制御モード407(例えば、制御モード“B”)を、青信号の期間を短くする制御モード(例えば、制御モード“A”)に変更して、信号機10a〜10bのそれぞれを制御する。すなわち、信号機制御部433は、車両Mの通行の許可期間を短くすることで交通量を抑制させるように信号機10a〜10bを制御する。
【0080】
また、信号機制御部433は、係数Tが、所定閾値THt1よりも大きくないと判定した場合(ステップS104“No”)、係数Tが、所定閾値THt2よりも小さいか否かを判定する(ステップS107)。なお、所定閾値THt2は、予め設定された値であり、所定閾値THt1よりも小さい値である。
【0081】
また、信号機制御部433は、係数Tが、所定閾値THt2よりも小さくないと判定した場合(ステップS107“No”)、動作を終了する。すなわち、信号機制御部433は、信号機10を制御すべきでないと判定して、動作を終了する。
【0082】
一方、信号機制御部433は、係数Tが、所定閾値THt2よりも小さいと判定した場合(ステップS107“Yes”)、信号機管理テーブルT2を参照して、信号機10a〜10bのそれぞれの信号機ID401(例えば、“12”と“13”)に関連付けて記憶されている制御モード407(例えば、制御モード“B”)を、青信号の期間を長くする制御モード407(例えば、制御モード“C”)に変更して、信号機10a〜10bのそれぞれを制御する(ステップS108)。すなわち、信号機制御部433は、車両Mの通行の許可期間を長くすることで交通量を増加させるように信号機10a〜10bを制御する。
【0083】
このようにして、制御システム1は、信号機10を制御する。なお、制御システム1は、上述した動作を所定周期(例えば、1月毎)で実行してもよいし、管理者の入力指示に応じて実行してもよい。
【0084】
<作用及び効果>
以上のように、本発明の第1実施形態に係る制御システム1において、制御サーバ40では、圧力情報取得部431が、圧力センサ20から出力された圧力情報を取得し、急ブレーキ情報取得部432が、圧力情報に基づいて急ブレーキ情報を取得する。そして、信号機制御部433が、急ブレーキ情報に基づいて、道路Rに設置される複数の信号機10(例えば、信号機10a〜10b)を制御する。
【0085】
ここで、道路Rにおいて、車両Mによって急ブレーキ動作がなされると、車両Mの路面に対する圧力値が急激に高まる。また、道路Rを通行する車両Mにより急ブレーキ動作がなされることは、交通事故の発生する危険性があったと推定される。すなわち、制御システム1は、交通事故の発生する危険性を示す情報として、実際に発生した急ブレーキ動作を示す急ブレーキ情報を用いて、信号機10を制御する。
【0086】
これにより、交通事故の発生する危険性のあった実際の車両Mの運転動作を考慮して、信号機10を制御することができるため、交通事故の発生を一層抑制することができる。
【0087】
さらに、必要以上に信号機10を制御してしまうことも防止できるため、必要以上に交通量を抑制してしまうことも防止できる。すなわち、円滑な交通を確保することもできる。
【0088】
また、発明の第1実施形態に係る制御システム1では、事故情報記憶部332が、事故件数303を記憶し、信号機制御部433が、事故件数303が所定件数THa以上である場合に、複数の信号機10を制御する。
【0089】
これにより、信号機制御部433は、過去に発生した事故件数303が所定件数THa以上である場合に、信号機10を制御するため、交通事故が発生する危険性の高いエリアに設置される信号機10を区別して制御することができる。
【0090】
[変形例1]
次いで、本発明の第1実施形態の変形例1に係る制御システム1について説明する。なお、以下では、変形例1に係る制御システム1について、第1実施形態との相違点に着目して説明する。
【0091】
ここで、上述した第1実施形態では、
図3に示すように、事故情報は、エリアID301と、エリア範囲302と、事故件数303とを含み、事故情報管理テーブルT1は、これらの情報を関連付けて記憶していた。
【0092】
変形例1では、
図8に示すように、事故情報は、更に時期304を含み、事故情報管理テーブルT4は、時期304を含む情報を関連付けて記憶する。
【0093】
図8に示すように、時期304は、事故件数303に示される事故が発生した時期を示す情報である。時期304は、月304aと時間帯304bとを含む。
【0094】
月304aは、例えば、春の季節に相当する“4−6月”などのように、3ヶ月単位での期間を示す。なお、月304aは、3ヶ月単位に限定されず、例えば、1月単位で示されてもよい。
【0095】
時間帯304bは、“7−9時”などのように、2時間単位での期間を示す。なお、時間帯304bは、2時間単位に限定されず、例えば、1時間単位で示されてもよい。
【0096】
また、変形例1に係る制御システム1は、ステップS105〜S106において、次の動作を行う。
【0097】
具体的に、信号機制御部433は、現在日時に相当する時期304に関連付けて記憶されている事故件数303が所定件数THa以上であるかを判定し(ステップS105)、事故件数303が所定件数THa以上である場合、複数の信号機10を制御する(ステップS106)。
【0098】
ここで、上述したステップS105において、信号機制御部433は、記憶部42に記憶される信号機管理テーブルT2を参照して、信号機10a〜10bのそれぞれの信号機ID401(例えば、“12”と“13”)に関連付けて記憶されているエリアID402(例えば、“A2”)を特定する。更に、信号機制御部433は、内部時計から、現在日時(例えば、“5月5日8時”)を取得する。
【0099】
また、信号機制御部433は、データサーバ30の事故情報記憶部332に記憶される事故情報管理テーブルT4を参照して、エリアID301(例えば、“A2”)と、現在日時(例えば、“5月5日8時”)に相当する時期304(例えば、“4−6月”“7−9時”)とに関連付けて記憶されている事故件数303(例えば、5件)を取得する。そして、信号機制御部433は、取得した事故件数303(例えば、5件)が、所定件数THa以上であるか否かを判定する。
【0100】
また、信号機制御部433は、取得した事故件数303が所定件数THa以上である場合(ステップS105“Yes”)、信号機10を制御する(ステップS106)。すなわち、信号機制御部433は、交通量を抑制するように信号機10a〜10bを制御する。
【0101】
以上のように、変形例1に係る制御システム1では、事故情報記憶部332が、事故件数303と、事故が発生した時期304とを関連付けて記憶し、信号機制御部433が、現在日時に相当する時期304に関連付けて記憶されている事故件数303が所定件数THa以上である場合、信号機10を制御する。
【0102】
これにより、信号機制御部433は、事故が発生した時期304において事故件数303が所定件数THa以上である場合に、信号機10を制御するため、交通事故が発生する時期304と事故件数303とに基づいて、交通事故が発生する危険性の高い信号機10をより正確に区別して制御することができる。
【0103】
[変形例2]
次いで、本発明の第1実施形態の変形例2に係る制御システム1について説明する。なお、以下では、変形例2に係る制御システム1について、第1実施形態との相違点に着目して説明する。
【0104】
ここで、上述した第1実施形態では、急ブレーキ情報取得部432は、圧力情報において所定閾値THp以上となる値の中で最も高いピーク値を、急ブレーキ情報として取得していた。
【0105】
変形例2に係る制御システム1では、急ブレーキ情報取得部432は、圧力情報において所定閾値THp以上となる積分値を、急ブレーキ情報として取得する。
【0106】
図9は、変形例2に係る制御システム1が信号機10を制御する際の動作を示すフローチャートである。
【0107】
制御サーバ40では、圧力情報取得部431が、データサーバ30から圧力情報を取得する(ステップS201)。
【0108】
急ブレーキ情報取得部432は、圧力情報を参照して、所定閾値THp以上となる波形部分Sw1〜Sw3を特定する。また、急ブレーキ情報取得部432は、
図7に斜線で示すように、波形部分Sw1〜Sw3のそれぞれの積分値S1a〜S1cを算出し、算出した積分値S1a〜S1cの総和である第1積分値S1を、急ブレーキ情報として取得する(ステップS202)。
【0109】
同様に、急ブレーキ情報取得部432は、信号機10bに対応して設置されている圧力センサ20bから出力された圧力情報を参照して、所定閾値THp以上となる波形部分の積分値を算出し、算出した積分値の総和である第2積分値S2を、急ブレーキ情報として取得する(ステップS202)。
【0110】
信号機制御部433は、第1積分値S1と第2積分値S2とを乗算して、総乗算値S12を算出する(ステップS203)。
【0111】
信号機制御部433は、第1積分値S1>所定閾値TH1と、第2積分値S2>所定閾値TH2と、総乗算値S12>所定閾値THs1との関係を満たすか否かを判定する(ステップS204)。なお、所定閾値TH1と所定閾値TH2と所定閾値THs1とは、予め設定された値である。
【0112】
信号機制御部433は、上記の関係を満たすと判定した場合(ステップS204“Yes”)、データサーバ30の事故情報記憶部332を参照して、事故件数303を取得する(ステップS205)。なお、ステップS205〜S206の動作は、上述したステップS105〜S106の動作と同様であるため、説明を省略する。
【0113】
一方、信号機制御部433は、上記の関係を満たさないと判定した場合(ステップS204“No”)、次の関係を満たすか否かを判定する(ステップS207)。具体的に、信号機制御部433は、第1積分値S1<所定閾値TH3と、第2積分値S2<所定閾値TH4と、総乗算値S12<所定閾値THs2との関係を満たすか否かを判定する。
【0114】
なお、所定閾値TH2と所定閾値TH3と所定閾値THs2とは、予め設定された値である。また、所定閾値TH3は、所定閾値TH1よりも小さい値であり、所定閾値TH4は、所定閾値TH2よりも小さい値であり、所定閾値THs2は、所定閾値THs1よりも小さい値である。
【0115】
また、信号機制御部433は、上記の関係を満たさないと判定した場合(ステップS207“No”)、動作を終了する。
【0116】
一方、上記の関係を満たすと判定した場合(ステップS207“Yes”)、ステップS208の動作を行う。なお、ステップS208における動作は、上述したステップS108の動作と同様であるため、説明を省略する。
【0117】
以上のように、変形例2に係る制御システム1によれば、急ブレーキ情報取得部432は、圧力情報に基づいて、所定閾値THp以上となる波形部分の積分値の総和を、急ブレーキ情報として取得する。そして、取得した急ブレーキ情報に基づいて、交通事故の発生する危険性のあった実際の車両Mの運転動作を考慮して、信号機10を制御できるため、交通事故の発生を一層抑制することができる。
【0118】
[本発明のその他の実施形態]
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。
【0119】
例えば、上述した実施形態では、制御システム1は、データサーバ30と制御サーバ40との2つのサーバを備えていたが、1つのサーバを備える構成であってもよい。例えば、制御サーバ40にデータサーバ30の機能を設けて、1つのサーバを備える構成であってもよい。
【0120】
また、例えば、上述した実施形態において、ステップS105及びステップS205の動作は、必ずしも必要ない。制御システム1では、信号機制御部433は、事故件数303が所定件数以上であるか否かを判定せずに、信号機10を制御してもよい。
【0121】
例えば、上述した実施形態では、制御モード407の“A”、“B”、“C”の3種類のモードが規定されていたが、青信号の時間Btと黄信号の時間Ytと赤信号の時間Rtとの少なくとも一つを変更させた更に多くのモードを規定してもよい。
【0122】
このように、本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。