(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記外気導入機構による上記エンジンルーム内への外気の導入が行われていない場合、上記冷媒の温度や上記インタクーラの入口側の吸気温度を測定もしくは推定し、測定もしくは推定した上記冷媒の温度や上記インタクーラの入口側の吸気温度に応じて、上記冷媒の循環を許可することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御方法。
上記インタクーラの出口側の吸気温度が所定の第1温度未満の場合には、EGRガスを上記吸気通路に導入しないことを特徴とする請求項2または4に記載の内燃機関の制御方法。
上記冷媒の温度が所定の第2温度未満の場合には、EGRガスを上記吸気通路に導入せず、上記冷媒を循環させることを特徴とする請求項8または9に記載の内燃機関の制御方法。
上記冷媒を循環させた後に、上記インタクーラの出口側の吸気温度が上記第1温度以上であればEGRガスを上記吸気通路に導入することを特徴とする請求項10に記載の内燃機関の制御方法。
上記インタクーラの出口側の吸気温度は、上記インタクーラの上流側における吸気温度及び吸気圧力を用いて推定することを特徴とする請求項2、4〜10のいずれかに記載の内燃機関の制御方法。
上記インタクーラの出口側の吸気温度は、機関回転数と負荷と上記吸気通路の吸気導入口の吸気温度とを用いて推定することを特徴とする請求項2、4〜10のいずれかに記載の内燃機関の制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、第1実施例における内燃機関1の制御装置の概略を示す説明図である。
【0011】
この内燃機関1は、例えば筒内直噴型の構成であり、シリンダ内に燃料を噴射する燃料噴射弁(図示せず)を気筒毎に有している。
【0012】
内燃機関1は、駆動源として自動車等の車両に搭載されるものであって、吸気通路2と排気通路3とを有している。
【0013】
内燃機関1に接続された吸気通路2には、吸気中の異物を捕集するエアクリーナ4と、吸入空気量を検出するエアフローメータ5と、吸入空気量を調整する電動のスロットル弁6と、が設けられている。エアフローメータ5は、スロットル弁6の上流側に配置されている。エアフローメータ5は、温度センサを内蔵したものであって、吸気導入口の吸気温度を検出(測定)可能となっている。エアクリーナ4は、エアフローメータ5の上流側に配置されている。吸気通路2は、内燃機関1が収容されたエンジンルーム内に位置している。
【0014】
内燃機関1に接続された排気通路3には、三元触媒等の上流側排気触媒7と、三元触媒等の下流側排気触媒8と、排気音を低減する消音用のマフラー9と、が設けられている。下流側排気触媒8は、上流側排気触媒7の下流側に配置されている。マフラー9は、下流側排気触媒8の下流側に配置されている。
【0015】
また、この内燃機関1は、吸気通路2に設けられたコンプレッサ11と排気通路3に設けられたタービン12とを同軸上に備えた過給機としてのターボ過給機10を有している。コンプレッサ11は、スロットル弁6の上流側で、かつエアフローメータ5よりも下流側に配置されている。タービン12は、上流側排気触媒7よりも上流側に配置されている。なお、ターボ過給機10は、上記エンジンルーム内に位置している。
【0016】
また、吸気通路2には、スロットル弁6の下流側に、コンプレッサ11により圧縮(加圧)された吸気を冷却し、充填効率を良くするインタクーラ13が設けられている。
【0017】
インタクーラ13は、インタクーラ用のラジエータ(インタクーラ用ラジエータ)14及び電動ポンプ15とともにインタクーラ用冷却経路(サブ冷却経路)16に配置されている。インタクーラ13には、ラジエータ14によって冷却された冷媒(冷却水)が供給可能となっている。インタクーラ13は、上記エンジンルーム内に位置している。
【0018】
インタクーラ用冷却経路16は、経路内を冷媒が循環可能となるように構成されている。インタクーラ用冷却経路16は、内燃機関1のシリンダブロック17を冷却する冷却水が循環する図示しないメイン冷却経路とは独立した冷却経路である。
【0019】
ラジエータ14は、インタクーラ用冷却経路16内の冷媒を外気との熱交換で冷却する。
【0020】
電動ポンプ15は、駆動することによってラジエータ14とインタクーラ13との間で冷媒を矢印A方向に循環させるものである。
【0021】
排気通路3には、タービン12を迂回してタービン12の上流側と下流側とを接続する排気バイパス通路18が接続されている。排気バイパス通路18の下流側端は、上流側排気触媒7よりも上流側の位置で排気通路3に接続されている。排気バイパス通路18には、排気バイパス通路18内の排気流量を制御する電動のウエストゲート弁19が配置されている。
【0022】
また、内燃機関1は、排気通路3から排気の一部をEGRガスとして吸気通路2へ導入(還流)する排気還流(EGR)が実施可能なものであって、排気通路3から分岐して吸気通路2に接続されたEGR通路21を有している。EGR通路21は、その一端が上流側排気触媒7と下流側排気触媒8との間の位置で排気通路3に接続され、その他端がエアフローメータ5の下流側となりコンプレッサ11の上流側となる位置で吸気通路2に接続されている。このEGR通路21には、EGR通路21内のEGRガスの流量を制御する電動のEGR弁22と、EGRガスを冷却可能なEGRクーラ23と、が設けられている。EGR弁22の開閉動作は、制御部としてのコントロールユニット25によって制御される。EGR通路21、EGR弁22、EGRクーラ23は、上記エンジンルーム内に位置している。
【0023】
図2は、EGR弁22の動作条件の一例を示す説明図である。機関回転数及び負荷(内燃機関1の負荷)がそれぞれ所定の範囲にあるEGR領域においては、EGR弁22を開弁して、排気の一部を吸気通路2に還流させる。EGR領域以外となる非EGR領域においては、EGR弁22を閉じて、排気の一部が吸気通路2に還流しないようにする。すなわち、非EGR領域では、EGRガスが吸気通路2に導入されることはないように(EGRガス流量がゼロとなるように)、EGR弁22が制御される。なお、負荷は、後述するアクセル開度センサ27の検出値を用いて算出可能である。
【0024】
また、第1実施例においては、EGR領域内が、EGR率が低、中、高の3つの領域に分けられている。詳述すると、第1実施例のEGR領域は、相対的に高いEGR率が設定された高EGR領域と、中間のEGR率が設定された中EGR領域と、相対的に低いEGR率が設定された低EGR領域と、から構成されている。つまり、EGR領域においては、内燃機関1の運転状態に応じて異なるEGR率が設定されており、内燃機関1の運転状態に基づいて、EGR通路21内のEGRガス流量が調整可能となっている。
【0025】
なお、EGR領域及び非EGR領域の設定や、EGR領域内のEGR率の設定は、
図2の設定に限定されるものではなく、内燃機関1の仕様等に応じて適宜変更可能である。
【0026】
コントロールユニット25には、上述したエアフローメータ5の検出信号のほか、クランクシャフト(図示せず)のクランク角を検出するクランク角センサ26、アクセルペダル(図示せず)の踏込量を検出するアクセル開度センサ27、インタクーラ13の出口側の吸気温度(インタクーラ出口吸気温度Ta)を検出(測定)するインタクーラ出口側吸気温度センサ28、上記メイン冷却経路内の冷却水の温度(エンジン水温)を検出する水温センサ29、コンプレッサ11の下流側の吸気圧を検出する過給圧センサ30、インタクーラ用冷却経路16内の冷媒の温度を検出(測定)する冷媒温度センサ31、外気温を検出する外気温度センサ32等のセンサ類の検出信号が入力されている。
【0027】
なお、インタクーラ出口側吸気温度センサ28は、インタクーラ13の出口付近に配置されている。冷媒温度センサ31は、ラジエータ14で熱交換された冷媒の温度が検出できるように、ラジエータ14の出口付近に配置されている。
【0028】
そして、コントロールユニット25は、これらの検出信号に基づいて、内燃機関1の点火時期や空燃比等の制御や、EGR弁22の弁開度を制御して排気通路3から吸気通路2に排気の一部を還流する排気還流制御(EGR制御)等を実施する。また、コントロールユニット25は、電動ポンプ15の駆動や、スロットル弁6及びウエストゲート弁19の弁開度等も制御している。
【0029】
内燃機関1の運転点が非過給域にある場合においては、ウエストゲート弁19の開度を所定の一定開度として、機関要求トルクを実現するために必要な新気が筒内に供給されるようにスロットル弁6の開度を制御する。なお、「内燃機関1の運転点」とは、「内燃機関1の運転状態」ということもできる。
【0030】
内燃機関1の運転点が非過給域よりも高負荷側の過給域にある場合においては、スロットル弁6の開度を全開とし、機関要求トルクを実現するために必要な新気が筒内に供給されるようにウエストゲート弁19の開度を制御する。
【0031】
ここで、排気ガス中には、水蒸気(水分)が含まれている。そのため、EGRガスが冷却されると凝縮水が発生する。この凝縮水がインタクーラ13内で凍結すると、インタクーラ13が故障してしまう可能性がある。従って、内燃機関1の運転点がEGR領域であるというだけでEGRを実施すると、インタクーラ13内で凝縮水が凍結し、インタクーラ13の破損する可能性がある。
【0032】
インタクーラ13に供給される冷媒の温度が低いほど、インタクーラ13での吸気の冷却が促進される。しかしながら、インタクーラ13に導入される吸気の温度が異なれば、インタクーラ13に供給される冷媒の温度が同じでも、インタクーラ13を通過した吸気の温度は異なる値になるはずである。インタクーラ13に導入される吸気の温度が異なれば、インタクーラ13に供給される冷媒の温度が同じでも、インタクーラ13内で凝縮水が同じ状態になるとは限らない。冷媒の温度が低くても、インタクーラ13に冷媒を供給しない(冷媒を循環させない)場合や、外気温が高い場合、インタクーラ13内で凝縮水が凍結しない可能性もある。
【0033】
すなわち、冷媒の温度が低くても、インタクーラ13内の吸気温度が高ければ、インタクーラ13内で凝縮水は凍結していないはずである。
【0034】
そこで、上述した第1実施例においては、内燃機関1の運転状態及びインタクーラ13の出口側の吸気温度に基づいてEGR通路21内のEGRガス流量を調整する。
【0035】
図3は、第1実施例における内燃機関1の制御の流れ、すなわち第1実施例におけるEGR制御に関するフローチャートである。
【0036】
S1では、内燃機関1の運転点がEGR領域であるか、非EGR領域であるかを判定する。S1において内燃機関1の運転点がEGR領域にある場合には、S2へ進む。S1において内燃機関1の運転点が非EGR領域にある場合には、S3へ進む。
【0037】
S2では、インタクーラ出口側吸気温度センサ28で検出される吸気温度(インタクーラ出口吸気温度Ta)が、予め設定された第1温度T1よりも低いか否かを判定する。S2においてインタクーラ出口吸気温度Taが第1温度T1未満である場合には、S3へ進む。S2においてインタクーラ出口吸気温度Taが第1温度T1以上である場合には、S8へ進む。第1温度T1は、凝縮水の凍結を判定する吸気温度の閾値であり、インタクーラ13内で凝縮水が凍結しない温度(例えば、0℃)である。
【0038】
S3では、EGRをOFFにする。つまり、インタクーラ出口吸気温度Taが第1温度T1よりも低い場合や、内燃機関1の運転状態が非EGR領域にある場合は、EGRガスが吸気通路2に導入されないように(EGRガス流量がゼロとなるように)EGR弁22を制御する。EGRガスが吸気通路2に導入されている場合は、EGR弁22を閉じ、EGRガスの吸気通路2への導入を停止する。EGRガスの吸気通路2への導入が既に停止されている場合には、EGR弁22が閉じられた状態を継続し、EGRガスが吸気通路2へ導入されない状態を継続する。
【0039】
S4では、インタクーラ用冷却経路16内の冷媒を循環させる要求(冷媒循環要求)があるか否かを判定する。具体的には、インタクーラ13の入口側の吸気温度であるインタクーラ入口吸気温度が予め設定された所定温度以上の場合に、インタクーラ用冷却経路16内の冷媒を循環させる要求があるものとする。また、インタクーラ入口吸気温度が予め設定された所定温度未満の場合に、インタクーラ用冷却経路16内の冷媒を循環させる要求がないものとする。S4においてインタクーラ用冷却経路16内の冷媒を循環させる要求があると判定された場合は、S5へ進む。S4においてインタクーラ用冷却経路16内の冷媒を循環させる要求がないと判定された場合は、S7へ進む。
【0040】
インタクーラ入口吸気温度は、例えば、過給圧と外気温(吸気温)を用いて推定する。なお、インタクーラ入口吸気温度は、インタクーラ13の入口側に温度センサを配置して、この温度センサで検出(測定)するようにしてもよい。
【0041】
S5では、冷媒温度センサ31で検出される冷媒温度Tbが、予め設定された第2温度T2以上の温度であるか否かを判定する。S5において冷媒温度Tbが第2温度T2以上である場合には、S6へ進む。S5において冷媒温度Tbが第2温度T2未満である場合には、S7へ進む。第2温度T2は、凝縮水の凍結を判定する冷媒温度の閾値であり、インタクーラ13内で凝縮水が凍結しない温度(例えば、0℃)である。
【0042】
S6では、インタクーラ用冷却経路16内の冷媒の循環をONにする。インタクーラ用冷却経路16内の冷媒が循環していない場合は、電動ポンプ15を駆動して冷媒を循環させる。電動ポンプ15が既に駆動している場合には、電動ポンプ15の駆動を継続し、インタクーラ用冷却経路16内の冷媒の循環を継続する。
【0043】
S7では、インタクーラ用冷却経路16内の冷媒の循環をOFFにする。インタクーラ用冷却経路16内の冷媒が循環している場合は、電動ポンプ15を停止して、冷媒の循環を停止する。電動ポンプ15が既に停止している場合には、電動ポンプ15の停止を継続し、インタクーラ用冷却経路16内で冷媒が循環しない状態を継続する。
【0044】
S8では、S4と同じように、インタクーラ用冷却経路16内の冷媒を循環させる要求(冷媒循環要求)があるか否かを判定する。このS8においても、インタクーラ入口吸気温度が予め設定された所定温度以上の場合に、インタクーラ用冷却経路16内の冷媒を循環させる要求があるものとする。S8においてインタクーラ用冷却経路16内の冷媒を循環させる要求があると判定された場合は、S9へ進む。S8においてインタクーラ用冷却経路16内の冷媒を循環させる要求がないと判定された場合は、S16へ進む。
【0045】
S9では、冷媒温度センサ31で検出される冷媒温度Tbが、予め設定された第2温度T2以上の温度であるか否かを判定する。S9において冷媒温度Tbが第2温度T2以上である場合には、S10へ進む。S9において冷媒温度Tbが第2温度T2未満である場合には、S12へ進む。
【0046】
S10では、EGRをONにする。EGRガスが吸気通路2に導入されていない場合は、EGR弁22を開き、EGRガスの吸気通路2への導入を開始する。EGRガスが既に吸気通路2に導入されている場合には、EGR弁22が開かれた状態を継続し、EGRガスの吸気通路2への導入を継続する。EGRがONになっているときのEGR弁22の弁開度は、内燃機関1の運転状態に応じて決定される。つまり、S10では、内燃機関1の運転状態に応じた量のEGRガスが吸気通路2に導入されるようにEGR弁22を制御する。
【0047】
S11では、インタクーラ用冷却経路16内の冷媒の循環をONにする。つまり、S11では、S6と同じように電動ポンプ15を制御する。
【0048】
S12では、EGRをOFFにする。つまり、S12では、S3と同じようにEGR弁22を制御する。
【0049】
S13では、インタクーラ用冷却経路16内の冷媒の循環をONにする。つまり、S13では、S6と同じように電動ポンプ15を制御する。
【0050】
S14では、インタクーラ出口側吸気温度センサ28で検出される吸気温度(インタクーラ出口吸気温度Ta)が、第1温度T1よりも低いか否かを判定する。S14においてインタクーラ出口吸気温度Taが第1温度T1未満である場合には、EGRをOFFした状態で今回のルーチンを終了する。S14においてインタクーラ出口吸気温度Taが第1温度T1以上である場合には、S15へ進む。
【0051】
S15では、EGRをONにする。つまり、S15では、S10と同じようにEGR弁22を制御する。
【0052】
S16では、インタクーラ用冷却経路16内の冷媒の循環をOFFにする。つまり、S16では、S7と同じように電動ポンプ15を制御する。
【0053】
S17では、EGRをONにする。つまり、S17では、S10と同じようにEGR弁22を制御する。
【0054】
図4〜
図7は、第1実施例における内燃機関1の制御の一例を示したタイミングチャートである。なお、
図4〜
図7において、EGRがONになっているときのEGR弁22の弁開度は、そのときの内燃機関1の運転状態に応じて決定されている。
【0055】
図4は、インタクーラ出口吸気温度Taが第1温度T1よりも高く、冷媒温度Tbが第2温度T2よりも高い場合を示している。
図4においては、時刻t1から内燃機関1の運転点がEGR領域に入っている。そのため、時刻t1のタイミングでEGRをONにしている。また、時刻t2のタイミングでインタクーラ入口吸気温度が所定温度以上になっている。そのため、時刻t2のタイミングでインタクーラ用冷却経路16内の冷媒の循環をONにしている。
【0056】
図5は、インタクーラ出口吸気温度Taが第1温度T1よりも低く、冷媒温度Tbが第2温度T2よりも低い場合を示している。
図5においては、時刻t1から内燃機関1の運転点がEGR領域に入っている。しかしながら、インタクーラ出口吸気温度Taが第1温度T1は第1温度T1よりも低いため、時刻t1のタイミングでEGRがONとはならない。また、時刻t2のタイミングでインタクーラ入口吸気温度が所定温度以上になっている。そのため、時刻t2のタイミングでインタクーラ用冷却経路16内の冷媒の循環をONにしている。
【0057】
図6は、インタクーラ出口吸気温度Taが第1温度T1よりも高く、冷媒温度Tbが第2温度T2よりも低い場合を示している。
図6においては、時刻t1から内燃機関1の運転点がEGR領域に入っている。そのため、時刻t1のタイミングでEGRをONにしている。また、時刻t2のタイミングでインタクーラ入口吸気温度が所定温度以上になっている。しかしながら、冷媒温度Tbが第2温度T2よりも低くなっている。そこで時刻t2でEGRをOFFにし、時刻t2から所定時間経過した時刻t3のタイミングでインタクーラ用冷却経路16内の冷媒の循環をONにしている。そして、時刻t3から所定時間経過した時刻t4において、インタクーラ出口吸気温度Taが第1温度T1よりも高くなっているので、時刻t4のタイミングでEGRをONにしている。その後、時刻t5のタイミングでインタクーラ入口吸気温度が所定温度未満になっている。そのため、時刻t5のタイミングでインタクーラ用冷却経路16内の冷媒の循環をOFFにしている。
【0058】
図7は、インタクーラ出口吸気温度Taが第1温度T1を跨いで変動し、冷媒温度Tbが第2温度T2よりも低い場合を示している。
図7においては、時刻t1から内燃機関1の運転点がEGR領域に入っている。そのため、時刻t1のタイミングでEGRをONにしている。また、時刻t2のタイミングでインタクーラ入口吸気温度が所定温度以上になっている。しかしながら、冷媒温度Tbが第2温度T2よりも低くなっている。そこで時刻t2のタイミングでEGRをOFFにし、時刻t2から所定時間経過した時刻t3のタイミングでインタクーラ用冷却経路16内の冷媒の循環がONにしている。そして、時刻t3から所定時間経過した時刻t4において、インタクーラ出口吸気温度Taが第1温度T1よりも低くなっているので、時刻t4以降も引き続きEGRをOFFにしている。その後、時刻t5のタイミングでインタクーラ入口吸気温度が所定温度未満となっている。そのため、時刻t5のタイミングでインタクーラ用冷却経路16内の冷媒の循環をOFFにしている。そして、インタクーラ出口吸気温度Taが第1温度T1よりも高くなる時刻t6のタイミングでEGRをONにしている。
【0059】
図8は、第1実施例におけるEGR実施領域と、内燃機関1の運転点がEGR領域にあっても外気温度が0℃以下の場合にはEGRを実施しない比較例におけるEGR実施領域と、を対比して示す説明図である。
【0060】
図8に示すように、第1実施例においては、外気温度が0℃以下であっても、インタクーラ出口吸気温度Taが第1温度T1(0℃)であれば、EGRがONとなるため、EGRがONとなるケースを相対的に増加させることができる。
【0061】
以上説明してきたように、上述した第1実施例においては、インタクーラ13の出口側の吸気温度(インタクーラ出口吸気温度Ta)からインタクーラ13内で凝縮水が凍結しない状況か否かを推定できる。そのため、内燃機関1の運転点(運転状態)がEGR領域にある場合に、必要以上にEGRガスの吸気通路2への導入が停止(禁止)されることがなくなり、EGR通路21内をEGRガスが流れる機会が相対的に増加する。すなわち、EGRが実施されるケースが相対的に増加する。従って、EGRによる燃費改善効果を得られる機会を相対的に増加させることができる。
【0062】
また、第1実施例においては、インタクーラ13の出口側の吸気温度(インタクーラ出口吸気温度Ta)を用いることで、インタクーラ13内で凝縮水が凍結することがないように、EGRガスの吸気通路2への導入の可否を精度良く判定することができる。
【0063】
次に、本発明の第2実施例について説明する。なお、上述した第1実施例と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0064】
図9は、第2実施例における内燃機関1の制御装置の概略を示す説明図である。この第2実施例における内燃機関1の制御装置は、上述した第1実施例と略同一構成となっているが、上記エンジンルームへの外気の導入量を調整すると外気導入機構41を有し、EGRを実施するにあたって、外気導入機構41による上記エンジンルーム内への外気導入の有無に応じてEGR流量を調整している。
【0065】
外気導入機構41は、ラジエータ(図示せず)の前面に配置されるラジエータシャッターであり、可動部であるルーバー42の開閉がコントロールユニット25により制御される。ルーバー42が開くと、上記ラジエータへの通風量が増加するとともに、上記エンジンルーム内へ外気が導入される。ルーバー42が閉じると、上記ラジエータへの通風量が減少するとともに、上記エンジンルーム内への外気の導入量が減少する。
【0066】
なお、外気導入機構41は、ラジエータシャッターに限定されるものではなく、開閉動作等により上記エンジンルーム内への外気の導入量を調整できるものであれば、例えば、ボンネットや車両のアンダフロアに設けられるものでもよい。
【0067】
過給圧センサ30は、スロットル弁6の下流側で、インタクーラ13の上流側となる位置に配置されている。
【0068】
また、この第2実施例においては、コントロールユニット25に、コンプレッサ11の出口側の吸気温度(コンプレッサ出口吸気温度Tcomex)を検出するコンプレッサ出口側吸気温度センサ43、コンプレッサ11の出口側の吸気圧を検出するコンプレッサ出口側吸気圧センサ44、スロットル弁6の入口側の吸気温度(スロットル弁入口吸気温度Tthin)を検出(測定)するスロットル弁入口側吸気温度センサ45、スロットル弁6の入口側の吸気圧を検出するスロットル弁入口側吸気圧センサ46、インタクーラ13の出口側の吸気圧を検出するインタクーラ出口側吸気圧センサ47及び内燃機関1が搭載された車両の車速を検出する車速センサ48からの検出信号も入力されている。
【0069】
図10は、外気温とEGR実施による燃費向上効果との相関を模式的に示した説明図である。横軸は外気温、縦軸はEGR実施による燃費向上効果を得られる度合(満足度)を示している。現状では、外気温が低くなるほどEGRを実施した際に凝縮水が発生しやすくなるため、外気温が低くなるほどEGRが実施されず、EGR実施による燃費向上効果が得られにくくなる。
【0070】
そこで、外気温が低くても凝縮水が発生しない場合を見極めてEGRを実施することで、外気温の低い状況(寒冷地等)であってもEGRによる燃費向上効果を得られるようにする。
【0071】
図11は、外気温が−10℃、一定速度(車速40km/h)での冷機状態からの車両の走行時間とインタクーラ出口吸気温度Taとの相関を模式的に示した説明図である。
図11中の実線は、外気導入機構41のルーバー42を閉じて上記エンジンルームへの外気導入が行われない場合のインタクーラ出口吸気温度Taの変化を示している。
図11中の破線は、外気導入機構41のルーバー42を開いて上記エンジンルームへの外気導入を行う場合のインタクーラ出口吸気温度Taの変化を示している。
【0072】
外気導入機構41のルーバー42を閉じた場合、外気導入機構41のルーバー42を閉じない場合に比べて、インタクーラ出口吸気温度Taが素早く上昇する。
【0073】
つまり、外気温が低い場合でも、外気導入機構41のルーバー42を閉じていれば、速やかにEGRが実施可能となり、EGRによる燃費向上効果を得ることが可能である。
【0074】
そこで、この第2実施例においては、吸気通路2の吸気導入口の吸気温度(吸気導入口吸気温度Tair)と、外気導入機構41による外気導入の有無と、に応じてEGRガス流量を調整する。詳述すると、第2実施例においては、吸気導入口吸気温度Tairが所定温度(例えば0℃)よりも低い場合に、外気導入機構41による外気導入の有無と、EGRを実施する際の許可条件とを協調させる。なお、この第2実施例では、吸気導入口吸気温度Tairとして、エアフローメータ5で検出(測定)された吸気温度を使用している。
【0075】
なお、吸気導入口吸気温度Tairは、例えば、外気温度から推定する他、公知の各種推定方法を用いて推定してもよい。
【0076】
外気導入機構41は、車載のエアコンディショナー(図示せず)がONされる場合、
図12に示す比較例のように、低速時で、上記エンジン水温が低い状況において、外気導入機構41のルーバー42を開くことが望ましい。
図12は、外気導入機構41のルーバー開閉条件の比較例を示す説明図である。
【0077】
しかしながら、この第2実施例では、EGRが許可される機会を増加させるため、外気導入機構41のルーバー42が、
図13に示すような条件で開閉制御される。
図13は、この第2実施例における外気導入機構41のルーバー開閉条件を示す説明図である。
【0078】
この第2実施例おいて、外気導入機構41のルーバー42は、上記エンジン水温が低く、車速が遅い状況では閉じられる。つまり、上記エンジン水温が低く、車速が遅い状況では、外気導入機構41による上記エンジンルーム内への外気導入が行われない。また、外気導入機構41のルーバー42は、上記エンジン水温が所定温度以上となる高温時、または車速が所定速度以上になると開かれる。つまり、上記エンジン水温が所定温度以上となる高温時、または車速が所定速度以上になると、外気導入機構41による上記エンジンルーム内への外気導入が行われる。
【0079】
外気導入機構41による上記エンジンルーム内への外気の導入量が少ない状態では、上記エンジンルーム内の温度が上昇しやすくなり、内燃機関1の始動からEGRが許可されるまでに要する時間を短縮できる。
【0080】
そのため、例えば、外気温が低い寒冷地において、上記エンジンルーム内の温度を早期に上昇させてEGRを早期に許可することが可能となり、外気温が低い寒冷地においても、EGRを実施することにより得られる燃費向上効果を得る機会を拡大させることができる。
【0081】
図14は、第2実施例における内燃機関1の制御の流れ、すなわち第2実施例におけるEGR制御に関するフローチャートである。
【0082】
S31では、内燃機関1の運転点がEGR領域であるか、非EGR領域であるかを判定する。S31において内燃機関1の運転点がEGR領域にある場合には、S32へ進む。S31において内燃機関1の運転点が非EGR領域にある場合には、S35へ進む。
【0083】
S32では、エアフローメータ5で検出される吸気温度(吸気導入口吸気温度Tair)が、所定温度である0℃よりも低いか否かを判定する。
【0084】
S32において、吸気導入口吸気温度Tairが0℃未満である場合には、S33へ進む。S32において、吸気導入口吸気温度Tairが0℃以上である場合には、S40へ進む。
【0085】
S33では、外気導入機構41のルーバー42が開いているか否かを判定する。S33において、ルーバー42が開いていると判定された場合にはS34へ進む。S33において、ルーバー42が閉じていると判定された場合にはS40へ進む。ルーバー42は、上述した
図13に示すような条件で開閉制御されることから、上記エンジン水温と車速からルーバー42の開閉状態が判別できる。
【0086】
S34では、インタクーラ出口側吸気温度センサ28で検出される吸気温度(インタクーラ出口吸気温度Ta)が、予め設定された第1温度T1よりも低いか否かを判定する。S34においてインタクーラ出口吸気温度Taが第1温度T1未満である場合には、S35へ進む。S34においてインタクーラ出口吸気温度Taが第1温度T1以上である場合には、S40へ進む。第1温度T1は、凝縮水の凍結を判定する吸気温度の閾値であり、インタクーラ13内で凝縮水が凍結しない温度(例えば、0℃)である。
【0087】
S35では、EGRをOFFにする。つまり、インタクーラ出口吸気温度Taが第1温度T1よりも低い場合や、内燃機関1の運転状態が非EGR領域にある場合は、EGRガスが吸気通路2に導入されないように(EGRガス流量がゼロとなるように)EGR弁22を制御する。EGRガスが吸気通路2に導入されている場合は、EGR弁22を閉じ、EGRガスの吸気通路2への導入を停止する。EGRガスの吸気通路2への導入が既に停止されている場合には、EGR弁22が閉じられた状態を継続し、EGRガスが吸気通路2へ導入されない状態を継続する。
【0088】
S36では、インタクーラ用冷却経路16内の冷媒を循環させる要求(冷媒循環要求)があるか否かを判定する。具体的には、インタクーラ13の入口側の吸気温度であるインタクーラ入口吸気温度が予め設定された所定温度以上の場合に、インタクーラ用冷却経路16内の冷媒を循環させる要求があるものとする。また、インタクーラ入口吸気温度が予め設定された所定温度未満の場合に、インタクーラ用冷却経路16内の冷媒を循環させる要求がないものとする。S36においてインタクーラ用冷却経路16内の冷媒を循環させる要求があると判定された場合は、S37へ進む。S36においてインタクーラ用冷却経路16内の冷媒を循環させる要求がないと判定された場合は、S39へ進む。
【0089】
インタクーラ入口吸気温度は、例えば、過給圧と外気温(吸気温)を用いて推定する。なお、インタクーラ入口吸気温度は、スロットル弁6の出口側で、かつインタクーラ13の入口側となる位置に温度センサを配置して、この温度センサで検出するようにしてもよい。また、インタクーラ入口吸気温度として、スロットル弁入口側吸気温度センサ45の検出値を代用することも可能である。
【0090】
S37では、冷媒温度センサ31で検出される冷媒温度Tbが、予め設定された第2温度T2以上の温度であるか否かを判定する。S37において冷媒温度Tbが第2温度T2以上である場合には、S38へ進む。S37において冷媒温度Tbが第2温度T2未満である場合には、S39へ進む。第2温度T2は、凝縮水の凍結を判定する冷媒温度の閾値であり、インタクーラ13内で凝縮水が凍結しない温度(例えば、0℃)である。
【0091】
S38では、インタクーラ用冷却経路16内の冷媒の循環をONにする。インタクーラ用冷却経路16内の冷媒が循環していない場合は、電動ポンプ15を駆動して冷媒を循環させる。電動ポンプ15が既に駆動している場合には、電動ポンプ15の駆動を継続し、インタクーラ用冷却経路16内の冷媒の循環を継続する。
【0092】
S39では、インタクーラ用冷却経路16内の冷媒の循環をOFFにする。インタクーラ用冷却経路16内の冷媒が循環している場合は、電動ポンプ15を停止して、冷媒の循環を停止する。電動ポンプ15が既に停止している場合には、電動ポンプ15の停止を継続し、インタクーラ用冷却経路16内で冷媒が循環しない状態を継続する。
【0093】
S40では、S36と同じように、インタクーラ用冷却経路16内の冷媒を循環させる要求(冷媒循環要求)があるか否かを判定する。このS40においても、インタクーラ入口吸気温度が予め設定された所定温度以上の場合に、インタクーラ用冷却経路16内の冷媒を循環させる要求があるものとする。S40においてインタクーラ用冷却経路16内の冷媒を循環させる要求があると判定された場合は、S41へ進む。S40においてインタクーラ用冷却経路16内の冷媒を循環させる要求がないと判定された場合は、S48へ進む。
【0094】
S41では、冷媒温度センサ31で検出される冷媒温度Tbが、予め設定された第2温度T2以上の温度であるか否かを判定する。S41において冷媒温度Tbが第2温度T2以上である場合には、S42へ進む。S41において冷媒温度Tbが第2温度T2未満である場合には、S44へ進む。
【0095】
S42では、EGRをONにする。EGRガスが吸気通路2に導入されていない場合は、EGR弁22を開き、EGRガスの吸気通路2への導入を開始する。EGRガスが既に吸気通路2に導入されている場合には、EGR弁22が開かれた状態を継続し、EGRガスの吸気通路2への導入を継続する。EGRがONになっているときのEGR弁22の弁開度は、内燃機関1の運転状態に応じて決定される。つまり、S42では、内燃機関1の運転状態に応じた量のEGRガスが吸気通路2に導入されるようにEGR弁22を制御する。
【0096】
S43では、インタクーラ用冷却経路16内の冷媒の循環をONにする。つまり、S43では、S38と同じように電動ポンプ15を制御する。
【0097】
S44では、EGRをOFFにする。つまり、S44では、S35と同じようにEGR弁22を制御する。
【0098】
S45では、インタクーラ用冷却経路16内の冷媒の循環をONにする。つまり、S45では、S38と同じように電動ポンプ15を制御する。
【0099】
S46では、インタクーラ出口側吸気温度センサ28で検出される吸気温度(インタクーラ出口吸気温度Ta)が、第1温度T1よりも低いか否かを判定する。S46においてインタクーラ出口吸気温度Taが第1温度T1未満である場合には、EGRをOFFした状態で今回のルーチンを終了する。S46においてインタクーラ出口吸気温度Taが第1温度T1以上である場合には、S47へ進む。
【0100】
S47では、EGRをONにする。つまり、S47では、S42と同じようにEGR弁22を制御する。
【0101】
S48では、インタクーラ用冷却経路16内の冷媒の循環をOFFにする。つまり、S48では、S39と同じように電動ポンプ15を制御する。
【0102】
S49は、EGRをONにする。つまり、S49では、S42と同じようにEGR弁22を制御する。
【0103】
以上説明してきた第2実施例においても、上述した第1実施例と同様に、インタクーラ13の出口側の吸気温度(インタクーラ出口吸気温度Ta)からインタクーラ13内で凝縮水が凍結しない状況か否かを推定できる。そのため、内燃機関1の運転点(運転状態)がEGR領域にある場合に、必要以上にEGRガスの吸気通路2への導入が停止(禁止)されることがなくなり、EGR通路21内をEGRガスが流れる機会が相対的に増加する。すなわち、EGRが実施されるケースが相対的に増加する。従って、EGRによる燃費改善効果を得られる機会を相対的に増加させることができる。
【0104】
また、第2実施例においても、インタクーラ13の出口側の吸気温度(インタクーラ出口吸気温度Ta)を用いることで、インタクーラ13内で凝縮水が凍結することがないように、EGRガスの吸気通路2への導入の可否を精度良く判定することができる。
【0105】
そして、寒冷地等で外気温が低い場合であっても、上記エンジンルーム内の温度を早期に上昇させることで、EGRを早期に許可することが可能となり、EGRを実施することにより得られる燃費向上効果を得る機会が拡大し、総じて燃費を向上させることができる。
【0106】
インタクーラ13は、内燃機関1からの放熱や過給による圧縮で温度上昇した吸気から受熱する。そのため、外気導入機構41により上記エンジンルーム内への外気の導入が行われていないのであれば、インタクーラ13の温度は上昇しやすくなる。しかしながら、インタクーラ用冷却経路16内の冷媒が循環していると、熱交換によりインタクーラ13が冷却されてしまう。
【0107】
そこで、インタクーラ用冷却経路16内の冷媒の温度やインタクーラ13の入口側の吸気温度に応じて、インタクーラ用冷却経路16内の冷媒の循環を許可することで、外気温が低い場合でも、EGRをより早期に実施可能となり、燃費改善に寄与することになる。
【0108】
また、外気導入機構41が上記エンジンルーム内に外気を導入しない状態のときに、インタクーラ用冷却経路16内の冷媒の循環が停止していれば、外気温が低い場合でも、上記エンジンルーム内の温度上昇が促進されるので、EGEをより一層早期に実施可能となる。
【0109】
なお、上述した各実施例において、インタクーラ出口吸気温度Taは、吸気導入口吸気温度Tairを用いて推定することも可能である。詳述すると、インタクーラ13の上流側にあるセンサ類の検出値を利用して、インタクーラ出口吸気温度Taを推定することも可能である。
【0110】
例えば、吸気導入口吸気温度Tair、インタクーラ出口側の吸気圧力、インタクーラ入口側の吸気圧力、インタクーラ入口側の吸気温度と、を用いて、気体の状態方程式からインタクーラ出口吸気温度Taを推定してもよい。
【0111】
また、インタクーラ出口吸気温度Taは、機関回転数と、内燃機関1の負荷と、吸気導入口吸気温度Tairを用いて推定することも可能である。詳述すると、インタクーラ出口吸気温度Taは、実機評価による相関性に基づく
図15に示すようなTa算出用のマップ図(ΔTマップ)を利用することで、機関回転数と内燃機関1の負荷と吸気導入口吸気温度Tairから推定することも可能である。Ta算出用のマップ図は、外気温毎に作成されるものであり、吸気導入口吸気温度Tairとインタクーラ出口吸気温度Taとの差分であるΔTと、内燃機関1の負荷と機関回転数との相関を示すものである。
図15中における円弧状の複数の曲線がそれぞれ異なる値のΔTを示している。機関回転数が高くなるほど、また内燃機関1の負荷が大きくなるほど、吸気量が多くなり、ΔTは小さくなっている。
【0112】
Ta算出用のマップ図は、外気温毎に複数枚用意してもよいが、例えば、外気温の異なる2種類程度のTa算出用のマップ図を用意するだけでもよい。外気温毎にTa算出用のマップ図を用意しない場合、外気温が用意しているマップ図と異なっていれば、用意しているTa算出用のマップ図を利用した補間によりインタクーラ出口吸気温度Taを推定可能である。
【0113】
このように、インタクーラ出口吸気温度Taを推定する場合には、インタクーラ13の出口側にインタクーラ出口側吸気温度センサ28を設けなくてもよいため、システムを簡略化することができ、原価低減を図ることができる。
【0114】
また、上述した各実施例においては、スロットル弁6の入口側の吸気温度、すなわちコンプレッサ11とスロットル弁6との間の吸気温度が低くなると、スロットル弁6にて凝縮水が凍結する可能性がある。
【0115】
そこで、スロットル弁6の入口側の吸気温度であるスロットル弁入口吸気温度Tthinに基づいて、EGRガス流量を調整すれば、凝縮水の凍結によるスロットル弁6の固着や故障を防止することができる。例えば、スロットル弁入口吸気温度Tthinが所定温度以下の場合には、EGRを実施しないようにすれば、スロットル弁6での凝縮水の凍結が防止可能となり、システムの機能信頼性を向上させることができる。
【0116】
スロットル弁入口吸気温度Tthinは、例えば、インタクーラ出口吸気温度Taと同様に、吸気導入口吸気温度Tairを用いて推定する他、公知の各種推定方法を用いて推定してもよい。
【0117】
上述した各実施例において、冷媒の温度は、例えば、インタクーラ入口吸気温度、インタクーラ出口吸気温度Ta、機関回転数、内燃機関1の負荷からインタクーラ13での吸気との熱交換に基づいて推定する他、公知の各種推定方法を用いて推定することも可能である。
【0118】
また、上述した各実施例は、内燃機関1の制御方法及び制御装置に関するものである。