特許第6892330号(P6892330)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6892330サーバ制御システム、非常用発電設備、サーバの制御方法及び非常用発電設備の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6892330
(24)【登録日】2021年5月31日
(45)【発行日】2021年6月23日
(54)【発明の名称】サーバ制御システム、非常用発電設備、サーバの制御方法及び非常用発電設備の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/30 20060101AFI20210614BHJP
   G06F 1/3206 20190101ALI20210614BHJP
   G06F 1/324 20190101ALI20210614BHJP
   H02J 9/00 20060101ALI20210614BHJP
   G06F 1/04 20060101ALI20210614BHJP
【FI】
   G06F1/30
   G06F1/3206
   G06F1/324
   H02J9/00 150
   G06F1/04 570
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-115298(P2017-115298)
(22)【出願日】2017年6月12日
(65)【公開番号】特開2019-3279(P2019-3279A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2020年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】山崎 元明
(72)【発明者】
【氏名】笠井 一徳
(72)【発明者】
【氏名】林 隆浩
【審査官】 佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−236637(JP,A)
【文献】 特開2015−106313(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/040654(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/26− 1/3296
G06F 1/04
H02J 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源による電力の供給が停止された際一又は複数の非常用発電機から電力が供給されるサーバの制御を行うサーバ制御システムであり、
サーバを制御するサーバ制御部と、前記一又は複数の非常用発電機の発電容量に応じて予め決められた、前記サーバの設定クロック周波数が記憶された記憶部と、を有し、
商用電源による電力の供給が停止されことに伴い、前記サーバ制御部は、前記記憶部に記憶された設定クロック周波数を読み込み、前記サーバを稼働させるクロック周波数を前記設定クロック周波数に設定
とを特徴とするサーバ制御システム。
【請求項2】
前記サーバは、複数のサーバであり、前記複数のサーバを構成するサーバは各々、前記設定クロック周波数に設定されている
ことを特徴とする請求項1に記載のサーバ制御システム。
【請求項3】
前記複数のサーバを構成するサーバの各々、それぞれ異なる周波数の前記設定クロック周波数が設定されている
ことを特徴とする請求項に記載のサーバ制御システム。
【請求項4】
前記複数のサーバの消費電力の総計が前記発電容量以下となるように前記設定クロック周波数が設定されている
ことを特徴とする請求項2または3に記載のサーバ制御システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のサーバ制御システムと、
商用電源による電力の供給が停止されたことを検知する異常検知部と、
前記異常検知部が商用電源による電力の供給が停止されことを検知した場合に起動される、一又は複数の非常用発電機と、
を有することを特徴とする非常用発電設備。
【請求項6】
商用電源による電力の供給が停止された際、一又は複数の非常用発電から電力が供給されるサーバの制御方法であり、
商用電源による電力の供給が停止されことに伴いサーバ制御部は、前記一又は複数の非常用発電機の発電容量に応じて予め決められた前記サーバの設定クロック周波数を記憶部から読み込み、前記サーバを稼働させるクロック周波数を前記設定クロック周波数に設定する
ことを特徴とするサーバの制御方法。
【請求項7】
商用電源による電力の供給が停止されたことを検知する異常検知部と、
前記異常検知部が商用電源による電力の供給が停止されことを検知した場合に起動される、一又は複数の非常用発電機と、
サーバを制御するサーバ制御部と、前記一又は複数の非常用発電機の発電容量に応じて予め決められた、前記サーバの設定クロック周波数が記憶された記憶部と、を有するサーバ制御システムと、
を有する非常用発電設備の制御方法であり、
商用電源による電力の供給が停止されたことを前記異常検知部が検知したことに伴い、前記サーバ制御部は、前記一又は複数の非常用発電機の発電容量に応じて予め決められた前記サーバの設定クロック周波数を前記記憶部から読み込み、前記サーバを稼働させるクロック周波数を前記設定クロック周波数に設定する
ことを特徴とする非常用発電設備の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ制御システム、非常用発電設備、サーバ制御方法及び非常用発電設備の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
データセンターや電算センター(以下、DCと示す)の建物においては、サーバの配置されている居室、例えばサーバ室に対する電源の供給が、停電あるいは電源設備の故障などにより停止される場合がある。この電源の供給が停止された際、サーバ室内のサーバ及び空調機などの設備の稼働を継続させるため、例えば数千KVAクラスの大容量の非常用発電機を単数あるいは複数台設置している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一般的には、サーバ室に対する電源の供給が停止した際、全てのサーバの稼働率を100%に維持し、かつその際にサーバの発熱による温度上昇に対応した空調機の稼働を行えるだけの容量を有する発電機が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−238184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような、大容量の非常用発電機は極めて高価であり、広大な設置スペースも要求されるので、DCの施設などの建物を構築する際のイニシャルコスト低減の障害となっている。
また、大容量の非常用発電機はランニングコストやメンテナンスにかかる費用も極めて高価であり、設備管理運用にかかるコストの負担が大きい。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、非常用発電機の容量を低下させ、DCの施設などの建物を構築する際のイニシャルコスト、及び設備管理運用にかかるコストを低減することが可能なサーバ制御システム、非常用発電設備、サーバ制御方法及び非常用発電設備の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明のサーバ制御システムは、商用電源による電力の供給が停止された際一又は複数の非常用発電機から電力が供給されるサーバの制御を行うサーバ制御システムであり、サーバを制御するサーバ制御部と、前記一又は複数の非常用発電機の発電容量に応じて予め決められた、前記サーバの設定クロック周波数が記憶された記憶部と、を有し、商用電源による電力の供給が停止されことに伴い、前記サーバ制御部は、前記記憶部に記憶された設定クロック周波数を読み込み、前記サーバを稼働させるクロック周波数を前記設定クロック周波数に設定ることを特徴とする。
【0008】
本発明のサーバ制御システムは、前記サーバは、複数のサーバであり、前記複数のサーバを構成するサーバは各々、前記設定クロック周波数に設定されていることを特徴とする。
【0009】
本発明のサーバ制御システムは、前記複数のサーバを構成するサーバの各々、それぞれ異なる周波数の前記設定クロック周波数が設定されていることを特徴とする。
【0010】
本発明のサーバ制御システムは、前記複数のサーバの消費電力の総計が前記発電容量以下となるように前記設定クロック周波数が設定されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の非常用発電設備は、上記いずれかに記載のサーバ制御システムと、商用電源による電力の供給が停止されたことを検知する異常検知部と、前記異常検知部が商用電源による電力の供給が停止されことを検知した場合に起動される、一又は複数の非常用発電機と、を有することを特徴とする。
本発明のサーバ制御方法は、商用電源による電力の供給が停止された際、一又は複数の非常用発電から電力が供給されるサーバの制御方法であり、商用電源による電力の供給が停止されことに伴いサーバ制御部は、前記一又は複数の非常用発電機の発電容量に応じて予め決められた前記サーバの設定クロック周波数を記憶部から読み込み、前記サーバを稼働させるクロック周波数を前記設定クロック周波数に設定することを特徴とする。
本発明の非常用発電設備の制御方法は、商用電源による電力の供給が停止されたことを検知する異常検知部と、前記異常検知部が商用電源による電力の供給が停止されことを検知した場合に起動される、一又は複数の非常用発電機と、サーバを制御するサーバ制御部と、前記一又は複数の非常用発電機の発電容量に応じて予め決められた、前記サーバの設定クロック周波数が記憶された記憶部と、を有するサーバ制御システムと、を有する非常用発電設備の制御方法であり、商用電源による電力の供給が停止されたことを前記異常検知部が検知したことに伴い、前記サーバ制御部は、前記一又は複数の非常用発電機の発電容量に応じて予め決められた前記サーバの設定クロック周波数を前記記憶部から読み込み、前記サーバを稼働させるクロック周波数を前記設定クロック周波数に設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、停電発生の信号を受けた時には、各サーバのクロック周波数を低減させてサーバの総消費電力量を低減する仕組みを設けることで、施設に設置する非常用発電機の電気容量を低減させることができる。非常用発電機の電気容量を低減しても、停電時にサーバを停止させず、サーバの稼働を縮退運転にて継続させることができる。これにより、従来に比較してDCの施設を構築する際のイニシャルコスト、及び設備管理運用にかかるコストを低減することが可能なサーバ制御システム、非常用発電設備、サーバ制御方法及び非常用発電設備の制御方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態によるサーバ制御システムを用いた無停電サーバシステムの構成例を示す概略ブロック図である。
図2】パワーキャッピング機能におけるCPU負荷とサーバの消費電力との対応の一例を示す図である。
図3】商用電力(商用電源)の供給が有る状態から、一旦供給が無くなり(電源断)、その後商用電源供給が復旧した場合の、各々の状態のサーバにおけるパワーキャッピングの機能の動作(時系列変化)について説明する図である。
図4】サーバ室に配置されたサーバの消費電力に対応して、このサーバ室に設置する非常用発電機12が発電する電力の容量の算出の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態によるサーバ制御システムを用いた無停電サーバシステムの構成例を示す概略ブロック図である。この図1において、無停電サーバシステム10は、サーバ制御システム11、非常用発電機12、サーバ13_1、サーバ13_2、サーバ13_3、…、サーバ13_n、空調機14、電力異常検知器15、電力経路切替器16及び電力経路切替器17の各々を備えている。以下、サーバ13_1、サーバ13_2、サーバ13_3、…、サーバ13_nの全てを示す場合、サーバ13と記載する。本実施形態では、通常時はサーバ13に対しては、電力経路切替器16を介して商用電力が供給されている。電力異常検知器15が商用電源の停電を検知した場合には、非常用発電機12を起動し、電源系統を電力経路切替器16にて、商用電源から非常用発電機12に電源を切り替える。その結果、サーバ13への電源供給は非常用発電機12により継続される。
【0015】
非常用発電機12は、商用電力が供給されなくなる非常時において供給する電力を発電する非常用発電設備であり、停電時にサーバ13及び空調機14の各々を稼働させるための電力を発電する。
サーバ制御システム11は、電力異常検知器15からの停電検知信号が供給されると、サーバ13の各々に対して、パワーキャッピング機能による縮退運転で稼働するように指示信号を出す。
サーバ制御システム11は、異常検知部111、サーバ制御部112及び記憶部113の各々を備えている。
【0016】
異常検知部111は、電力異常検知器15から供給される停止信号を検出し、この停止信号が供給されたことを示す確認信号を、サーバ制御部112に対して出力する。
サーバ制御部112は、異常検知部111からの確認信号に基づき、CPUを稼働するクロックのクロック周波数(サーバ13を稼働させるクロックのクロック周波数)を低下させる制御信号を、予め設定されたクロック周波数の数値とともに、サーバ13に対して出力する。
【0017】
記憶部113には、サーバ13の消費電力を低減する際に用いる、サーバ13を稼働させるCPUのクロック周波数の数値(上記予め設定されたクロック周波数の数値、以下、設定クロック周波数と示す)が予め書き込まれて記憶されている。
【0018】
ここで、設定クロック周波数は、上述したようにサーバ13の各々の消費電力を低下させるため、通常のクロック周波数に対して低く設定されている。また、設定クロック周波数は、サーバ13の各々の消費電力が、サーバ室に対応して設けられる非常用発電機12の発電する電力の電力容量の合計に対応した消費電力となるように適時設定される。
また、サーバ制御部112は、上記制御信号を出力する際、記憶部113から設定クロック周波数を読み出し、制御信号に付加してサーバ13の各々に対して出力する。
【0019】
ここで、サーバ13の各々は、パワーキャッピング(電力制限)機能を有していることが前提である。このパワーキャッピング機能とは、本実施形態において、サーバ内のCPUを稼働させるクロックのクロック周波数を低減し、サーバによる電力消費の上限を設定する機能を示している。そのため、サーバ13の各々は、サーバ制御部112からの制御信号を受信すると、正常時におけるクロック周波数から制御信号に付加されている設定クロック周波数に、CPUのクロックのクロック周波数を変更し、サーバ消費電力を低減する。
【0020】
図2は、パワーキャッピング機能におけるCPU負荷とサーバの消費電力との対応の一例を示す図である。図2においては、縦軸がCPU負荷(%)を示し、横軸がサーバの消費電力(W)を示している。この図2は、CPU負荷の数値に対応したサーバの消費電力の変化の一例を示している。このCPU負荷は、例えば、CPUに供給されるクロックのクロック周波数が仕様における最大値の場合を100%として示している。
【0021】
図2の例において、CPUのクロックのクロック周波数が最大値、すなわちCPU負荷100%の場合、サーバの消費電力が340(W)である。
そして、CPUのクロックが設定クロック周波数とされた際、この設定クロック周波数の周波数値に対応してCPU負荷が90%の場合、サーバの消費電力が260(W)となり、また、CPU負荷が46%の場合、サーバの消費電力が140(W)となる。このように、CPU負荷を46%とすることにより、サーバの消費電力をCPU負荷100の場合に比較して140W/340W=約41%程度に低下させることができる。
このCPU負荷をどの程度とするかは、このサーバ室に設置する非常用発電機12の発電する電力の電力容量に対応させるか、サーバ13の各々で動作させるアプリケーションの処理能力をどの程度に低下させるかにより設定する必要がある。
【0022】
また、サーバ13_1、サーバ13_2、サーバ13_3_、…、サーバ13_nの各々には、それぞれ異なる周波数の数値の設定クロック周波数を設定してもよい。
また、記憶部113には、非常時において、予めクロック周波数を設定クロック周波数に変更するサーバ13を指定し、非常時においては、記憶部113に予め指定されたサーバ13のクロック周波数を設定クロック周波数に変更し、他のサーバ13のクロック周波数の変更は行わないというような運用もできる。
上述のように、サーバ13の各々を異なる設定クロック周波数で稼働させた際、サーバ室のサーバ13それぞれの消費電力の総計が、非常用発電機12が発電する電力電力以下、すなわち発電する電力容量以下(非常用発電機12の発電する電力で稼働可能な電力容量)となるように、サーバ13それぞれの設定クロック周波数を予め算出して設定する。
【0023】
図3は、商用電力(商用電源)の供給が有る状態から、一旦供給が無くなり(電源断)、その後商用電源供給が復旧した場合の、各々の状態のサーバにおけるパワーキャッピングの機能の動作(時系列変化)について説明する図である。
図3において、施設電源の項目は、サーバ室に対する商用電源の供給状態を示している。商用電源有りは、サーバ室に対して商用電源が供給されている通常の状態を示している。電源断は、停電などにより、サーバ室に対して商用電源が供給されない非常時の状態を示している。この非常時の状態においては、非常用発電機12からサーバ室に対して電力が供給される。商用電源復旧は、停電が回復して電源が復旧された状態、すなわち通常の状態に戻ったことを示している。
【0024】
サーバのパワーキャッピングの項目は、サーバ13におけるパワーキャッピングが機能しているか否かを示している。この項目がOFFの場合は、パワーキャッピング機能が働いていない状態を示している。この項目がONの場合は、パワーキャッピング機能が働いている状態を示している。このとき、サーバ13は縮退運転により処理能力が低下、すなわちCPU負荷が低下し、サーバ13の消費電力が低下する。
【0025】
サーバ最大消費電力の項目は、CPU負荷の状態と、そのCPU負荷に対応した消費電力が示されている。
図3において、商用電源が有りの場合は、通常状態のため、サーバ13のパワーキャッピング機能が働かない。このとき、サーバ最大消費電力はCPU負荷が100%であり、消費電力は340Wである。
一方、商用電源が電源断となった場合、非常状態のため、非常用発電機12が発電を開始し、サーバ制御部112の制御により、サーバ13のパワーキャッピング機能が働き、CPUのクロックが通常のクロック周波数から設定クロック周波数に変更される。このとき、消費電力が設定クロック周波数により120Wに低下するため、CPU負荷は35%に低減する。CPU負荷が35%に低下することにより、340W−120W=220Wの消費電力が低下する。
また、商用電源が有りに戻った場合は、非常状態から通常状態に戻るため、サーバ制御部112の制御により、サーバ13のパワーキャッピング機能が働かない状態に戻す。これにより、サーバ最大消費電力はCPU負荷が100%であり、消費電力は340Wである。
【0026】
図4は、サーバ室に配置されたサーバの消費電力に対応して、このサーバ室に設置する非常用発電機12が発電する電力の容量の算出の一例を示す図である。
図4(a)は、CPU負荷を100%(稼働率100%)とした場合における非常用発電機12で必要となる設備容量(発電する電力の容量)を求める図である。
サーバ室におけるサーバ13全体においては1500ラック(例えば、1ラックがサーバ一台として換算)があり、ラック毎に6kWの消費電力が必要である。したがって、6kWのサーバが1500個あるため、サーバ室全体におけるサーバ13の消費電力は、9000kWとなる。ここで、PUE(Power Usage Effectiveness)を1.5として、空調等のサーバ以外の電力も考慮すると、考慮すると、DCの施設全体としては13500kWの電力が必要となる。この結果、非常用発電機12は、一台4500kWの発電機を準備する場合、3台が必要となる。さらに、非常用発電機12のいずれかの故障を想定すると、予備(ヨビ)の非常用発電機12を一台設置するため、全体で4500kWの発電機を4台設置することになる。
【0027】
図4(b)は、1500のラックのなかで、半分の750ラックをパワーキャッピング機能により、CPUのクロックを設定クロック周波数に変更し、CPU負荷を33%として消費電力を2kWに低下させ、残りの半分を通常のクロック周波数で動作させ、CPU負荷を100%のままとする。
これにより、サーバ全体では、6kW×750+2kW×750=6000kWの消費電力となる。そして、図4(a)の場合と同様に、PUE(空調機14や照明設備などを含めたDC全体の消費電力に対応した係数)を1.5として考慮すると、DCの施設全体としては9000kWの電力が必要となる。この結果、非常用発電機12は、一台4500kWの発電機を準備する場合、2台が必要となる。さらに、非常用発電機12のいずれかの故障を想定すると、予備(ヨビ)に非常用発電機12を一台設置するため、全体で4500kWの発電機を3台設置することになる。
上述したように、非常時において、サーバのパワーキャッピング機能を利用することにより、1台の非常用発電機12を低減することができる。
【0028】
上述したように、本実施形態によれば、サーバ制御システム11が、商用電源が供給されなくなる非常時において、サーバ室に配置されているサーバの全てあるいは一部の各々に対しパワーキャッピング機能を働かせ、CPUのクロックのクロック周波数を低下させ、CPU負荷を低減させるため、停電などの非常時にサーバの稼働を継続させた状態でサーバ全体の消費電力を低減させることが可能となり、非常用発電機の発電する電力の容量を低下させることができる。この結果、本実施形態によれば、非常用発電機の個数あるいは容量を低下させることにより、DCの施設を構築する際のイニシャルコスト、及び設備管理運用にかかるコスト、及び設置スペースを低減することができる。
【0029】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0030】
10…無停電サーバシステム
11…サーバ制御システム
12…非常用発電機12
13,13_1,13_2,13_3,13_n…サーバ
14…空調機
15…電力異常検知器
16…電力経路切替器
111…異常検知部
112…サーバ制御部
113…記憶部
図1
図2
図3
図4