(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
−第1の実施形態−
以下、
図1〜
図8を参照して本発明の第1の実施形態を説明する。
図1は、扁平捲回形の二次電池の外観斜視図であり、
図2は、
図1に図示された二次電池の分解斜視図である。
二次電池100は、電池容器を形成する電池缶1および電池蓋6を備える。電池缶1は、扁平な箱型形状を有する角形二次電池であり、相対的に面積の大きい一対の対向する幅広側面1bと、相対的に面積の小さい一対の対向する幅狭側面1cと、底面1dを有し、その上方に開口部1aを有する。
電池缶1内には、捲回電極群3および電池蓋組立体106が収容され、電池缶1の開口部1aが電池蓋6によって封止されている。電池蓋6は略矩形の平板状であって、電池缶1の開口部1aを塞いで溶接され、外部に対し電池缶1を封止している。電池蓋6には、正極外部端子14と、負極外部端子12が設けられている。正極外部端子14、負極外部端子12は、バスバー(図示せず)を介して外部機器に接続される。正極外部端子14と負極外部端子12を介して捲回電極群3に充電され、また外部負荷に電力が供給される。電池蓋6には、ガス排出弁10が一体的に設けられている。電池容器内の圧力が上昇すると、ガス排出弁10が開いて内部からガスが排出され、電池容器内の圧力が低減される。これによって、扁平捲回形の二次電池100の安全性が確保される。電池蓋6には、注液孔9(
図2参照)を封止する注液栓11が設けられている。
【0009】
二次電池100の電池缶1内には、絶縁保護フィルム2を介して捲回電極群3が収容されている。
捲回電極群3は、負極電極32と正極電極34とを、両部材の間にセパレータ33、35を介して捲回して形成されている(
図3参照)。捲回電極群3は、扁平な平坦部36と、平坦部36の捲回方向の両端に形成された断面半円形状の湾曲部37を有する。捲回電極群3は、捲回軸方向が電池缶1の横幅方向に沿うように、一方の湾曲部37側から電池缶1内に挿入され、他方の湾曲部37側が、電池缶1の開口部1a側に配置される。
【0010】
詳細は後述するが、正極電極34は、正極箔露出部34cを有し、負極電極32は、負極箔露出部32cを有する。
捲回電極群3の正極箔露出部34cは、正極集電板44を介して電池蓋6に設けられた正極外部端子14に電気的に接続されている。また、捲回電極群3の負極箔露出部32cは、負極集電板24を介して電池蓋6に設けられた負極外部端子12に電気的に接続されている。これにより、正極集電板44および負極集電板24を介して捲回電極群3から外部負荷へ電力が供給され、正極集電板44および負極集電板24を介して捲回電極群3へ外部発電電力が供給され充電される。
【0011】
図4は、
図2に図示された電池蓋組立体外観斜視図であり、
図5は、
図4に図示された電池蓋組立体の分解斜視図である。
図4、
図5では負極側の構造を示しているが、負極側と正極側とは同様の構造であり、負極側の各部材の参照番号に相当する正極側の各部材の参照番号をかっこ書きで付している。
【0012】
電池蓋組立体106は、電池蓋6と、負・正極外部端子12、14と、一対のガスケット5と、一対の絶縁板7と、負・正極集電板24、44とを有する。電池蓋6には、負・正極側貫通孔26、46が設けられている。負・正極外部端子12、14には、それぞれ、下方に向かって突出する負・正極外部端子軸部12a、14aが形成されている。負・正極外部端子軸部12a、14aは、それぞれ、円柱形状を有している。
各絶縁板7には、貫通孔17が設けられている。また、負・正極集電板24、44には、それぞれ、負・正極側集電板貫通孔25、45が設けられている。負・正極側貫通孔26、46と、各貫通孔17と、負・正極側集電板貫通孔25、45とは、それぞれ、負・正極外部端子12、14の負・正極外部端子軸部12a、14aが挿通される大きさに形成されている。
【0013】
電池蓋6の一面側にガスケット5が取付けられ、正極外部端子14および負極外部端子12が、それぞれ、電池蓋6と絶縁される。また、電池蓋6の他面側に絶縁板7が取付けられ、正極集電板44および負極集電板24は、それぞれ、電池蓋6と絶縁される。
【0014】
電池蓋組立体106の組立は、下記の手順による。
電池蓋6の外面側(
図2、
図5では上方側)に各ガスケット5を配置する。ガスケット5は、負・正極外部端子12、14を収容する収容部5aと、電池蓋6の負・正極側貫通孔26、46内に嵌入する貫通孔嵌入部5bとを有する(
図6も参照)。貫通孔嵌入部5bを電池蓋6の負・正極側貫通孔26、46内に嵌入する。電池蓋6の内面側(
図2、
図5では下方側)に各々絶縁板を配置し、各絶縁板7の下方に、それぞれ、負・正極集電板24、44を配置する。各絶縁板7と負・正極集電板24、44とは、各絶縁板7の貫通孔17の軸心と、負・正極集電板24、44の負・正極側集電板貫通孔25、45の軸心とを、それぞれ、電池蓋6の負・正極側貫通孔26、46の軸心に一致するように位置決めする。この状態で、負極外部端子12の負極外部端子軸部12aを、ガスケット5の貫通孔5c、絶縁板7の貫通孔17および負極集電板24の負極側集電板貫通孔25に貫通して、後述する方法により負極外部端子12を電池蓋6に固定する。また、正極外部端子14の正極外部端子軸部14aを、ガスケット5、絶縁板7の貫通孔17および正極集電板44の正極側集電板貫通孔45に貫通して、後述する方法により正極外部端子14を電池蓋6に固定する。負極外部端子12と正極外部端子14の電池蓋6への固定は、どちらを先に行っても差し支えない。
【0015】
正極外部端子14および正極集電板44の形成素材としては、例えばアルミニウム合金が挙げられ、負極外部端子12および負極集電板24の形成素材としては、例えば、銅合金が挙げられる。また、絶縁板7およびガスケット5の形成素材としては、例えばポリブチレンテレフタレートやポリフェニレンサルファイド、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂等の絶縁性を有する樹脂材が挙げられる。
【0016】
電池容器内に注入される電解液としては、例えば、エチレンカーボネート等の炭酸エステル系の有機溶媒に6フッ化リン酸リチウム(LiPF
6)等のリチウム塩が溶解された非水電解液を適用することができる。電池容器内外の圧力を適切に調整すると、捲回電極群3内の空気と電解液の置換が促進されて、電池容器内に電解液を効率的に注入することができる。
【0017】
正極集電板44は、正極集電板基部41と、正極側接続部42とを有している。正極側接続端部は、正極集電板基部41の側端で折曲されて、電池缶1の幅広側面1bに沿って底面1d側に向かって延出される。正極集電板44の正極側接続部42は、捲回電極群3の正極箔露出部34cに対向して重ね合わされた状態で接続される。正極集電板基部41には、上述したように、正極外部端子軸部14aが挿通される正極側集電板貫通孔45が形成されている。
負極集電板24は、負極集電板基部21と、負極側接続部22とを有している。負極側接続部22は、負極集電板基部21の側端で折曲されて、電池缶1の幅広側面1bに沿って底面1d側に向かって延出される。負極集電板24の負極側接続部22は、捲回電極群3の負極箔露出部32cに対向して重ね合わされた状態で接続される。負極集電板基部21には、上述したように、負極外部端子軸部12aが挿通される負極側集電板貫通孔25が形成されている。
【0018】
正極箔露出部34cと正極集電板44、および負極箔露出部32cと負極集電板24は、それぞれ、例えば、超音波溶接により接合される。超音波溶接は、正・負極集電板44、24をアンビルで固定した状態で、正・負極箔露出部34c、32cにホーンを押し当てて、超音波振動により金属界面を接合する手法である。
なお、集電部の接合方法としては、抵抗溶接等の他の方法を適用しても良い。
【0019】
絶縁保護フィルム2は、捲回電極群3の平坦部36に沿う方向でかつ捲回電極群3の捲回軸方向に直交する方向を巻き付け中心として、捲回電極群3の周囲に巻き付けられている。絶縁保護フィルム2は、例えばPP(ポリプロピレン)などの合成樹脂製の一枚のシートまたは複数のフィルム部材からなり、捲回電極群3の平坦部36と平行な方向でかつ捲回軸方向に直交する方向を巻き付け中心として少なくとも1周以上巻き付けることができる長さを有している。
【0020】
図3は、
図2に図示された捲回電極群の分解斜視図である。
図3は、捲回電極群3の外周側を展開した状態で示している。
捲回電極群3は、負極電極32と正極電極34とを間にセパレータ33、35を介して扁平状に捲回することによって構成されている。セパレータ35は、負極電極32の一面と正極電極34の他面との間に介在している。セパレータ33は、正極電極34の一面と負極電極32の他面との間に介在している。負極電極32の最外周部およびセパレータ33の最外周部が、捲回電極群3の最外周になるように捲回されている。従って、捲回電極群3は、外周側から順に、セパレータ33、負極電極32、セパレータ35、正極電極34、セパレータ33、負極電極32、セパレータ35、正極電極34……を繰り返して捲回されている。セパレータ33、35は、正極電極34と負極電極32との間を絶縁する役割を有している。
【0021】
負極電極32の負極合剤層32bは、正極電極34の正極合剤層34bよりも幅方向に大きく、正極合剤層34bは、必ず負極合剤層32bの間に挟まれるように構成されている。すなわち、負極電極32は、正極合剤層34bよりも幅広の負極合剤層32bを有しており、負極合剤層32bの捲回軸方向に直交する方向(幅方向)の両側の端部が正極合剤層34bの捲回軸方向に直交する方向(幅方向)の両側の端部よりもそれぞれ突出した状態で、正極電極34と重ね合わされて捲回される。正極箔露出部34c、負極箔露出部32cは、相互に、幅方向の反対側に配置されている。
【0022】
正極箔露出部34c、負極箔露出部32cは、平面部分で厚さ方向に束ねられて溶接等により正極集電板44、負極集電板24に接続される。なお、セパレータ33、35は幅方向で負極合剤層32bよりも広いが、正極箔露出部34c、負極箔露出部32cで端部の金属箔面が露出する位置に捲回されるため、束ねて溶接する場合の支障にはならない。
必要に応じて、捲回電極群3の最内周に軸芯を配置することも可能である。軸芯としては例えば、正極金属箔、負極金属箔、セパレータ33、35のいずれよりも曲げ剛性の高い樹脂シートを捲回して構成したものを用いることができる。
【0023】
セパレータ33、35は、軟質な帯状のシート部材からなり、基材となる多孔質のポリオレフィン樹脂層の一方の面に、無機材料とバインダからなる耐熱層が積層されて設けられている。セパレータ33、35は、耐熱層が正極電極34に対向する向きに配置される。なお、二次電池の仕様によっては、この限りではなく、耐熱層を有していない樹脂層のみのセパレータを適用してもよい。
【0024】
負極電極32は、負極集電体である負極金属箔32aの両面に負極活物質を含む負極合剤を塗布して形成された負極合剤層32bが設けられている。そして、負極金属箔32aの幅方向一方側の端部には、負極合剤が塗布されていない未塗工部である負極箔露出部32cが設けられている。すなわち、負極電極32は、負極金属箔32aに塗工された負極合剤層32bと、負極金属箔32aが露出する負極箔露出部32cとを有している。負極箔露出部32cは、負極合剤層32bから負極金属箔32aが突出した領域であり、捲回電極群3の捲回軸方向に直交する方向(幅方向)の他方側の位置に配置される。
【0025】
負極電極32に関しては、負極活物質として天然黒鉛粉末100重量部に対して、結着剤として10重量部のスチレンブタジエンゴム(以下、SBRという。)を添加し、これに分散溶媒としてH
2Oの溶媒に、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)を添加、混練した負極合剤を作製した。この負極合剤を銅箔(負極金属箔32a)の両面に溶接部である負極箔露出部32c(負極未塗工部)を残して塗布した。その後、乾燥、プレス、裁断工程を経て、負極電極32を得た。
【0026】
上記では、負極活物質に天然黒鉛を用いる場合について例示したが、これに限定されるものではなく、リチウムイオンを挿入、脱離可能な非晶質炭素や、人造の各種黒鉛材、コークスなどの炭素質材料やSiやSnなどの化合物(例えば、SiO、TiSi
2等)、またはそれの複合材料でもよく、その粒子形状においても、鱗片状、球状、繊維状、塊状等、特に制限されるものではない。
【0027】
また、負極電極32における塗工部の結着剤としてSBRを用いる場合について例示したが、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ブチルゴム、ニトリルゴム、多硫化ゴム、ニトロセルロース、シアノエチルセルロース、各種ラテックス、アクリロニトリル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、フッ化プロピレン、フッ化クロロプレン、アクリル系樹脂などの重合体およびこれらの混合体などを用いることができる。
【0028】
また、負極電極32における塗工部の分散溶媒としてH
2Oの溶媒に、増粘剤としてCMCを添加した場合について例示したが、これに限られたものではなく、例えばH
2Oの溶媒に、分散溶媒としてN−メチルピロリドン(NMP)を添加したものを用いてもよい。
【0029】
正極電極34は、正極集電体である正極金属箔34aの両面に正極活物質を含む正極合剤を塗布して形成された正極合剤層34bが設けられている。そして、正極金属箔34aの幅方向一方側の端部には、正極合剤が塗布されていない未塗工部である正極箔露出部34cが設けられている。すなわち、正極電極34は、正極金属箔34aに塗工された正極合剤層34bと、正極金属箔34aが露出する正極箔露出部34cとを有している。正極箔露出部34cは、正極合剤層34bから正極金属箔34aが突出した領域であり、捲回電極群3の捲回軸方向に直交する方向(幅方向)の一方側の位置に配置される。
【0030】
正極電極34に関しては、正極活物質としてマンガン酸リチウム(化学式LiMn
2O
4)100重量部に対し、導電材として10重量部の鱗片状黒鉛と、結着剤として10重量部のPVDFとを添加し、これに分散溶媒としてNMPを添加、混練してスラリ状の正極合剤を作製した。このスラリ状の正極合剤をアルミニウム箔(正極金属箔)の両面に溶接部である正極箔露出部34c(正極未塗工部)を残して塗布した。その後、乾燥、プレス、裁断工程を経て正極電極34を得た。
【0031】
本実施形態では、正極活物質にマンガン酸リチウムを用いる場合について例示したが、スピネル結晶構造を有する他のマンガン酸リチウムや一部を金属元素で置換又はドープしたリチウムマンガン複合酸化物や層状結晶構造を有すコバルト酸リチウムやチタン酸リチウムやこれらの一部を金属元素で置換またはドープしたリチウム-金属複合酸化物を用いるようにしてもよい。
【0032】
また、本実施形態では、正極合剤における結着剤としてPVDFを用いる場合について例示したが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ブチルゴム、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、多硫化ゴム、ニトロセルロース、シアノエチルセルロース、各種ラテックス、アクリロニトリル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、フッ化プロピレン、フッ化クロロプレン、アクリル系樹脂などの重合体およびこれらの混体などを用いることができる。
【0033】
図6〜
図8を参照して、電池組立体の電池蓋に外部端子を固定する方法を説明する。
図6は、外部端子を集電板にかしめた状態を示す断面図であり、
図7は、
図6に続く工程を説明するための断面図であり、
図8は、
図7に続く工程を説明するための断面図である。
上述した通り、電池蓋組立体106を構成するには、ガスケット5の貫通孔嵌入部5bを電池蓋6の負・正極側貫通孔26、46内に嵌入する。そして、電池蓋6の外面側に負・正極外部端子12、14を配置し、電池蓋6の内面側に絶縁板7と負・正極集電板24、44の負・正極集電板基部21、41を配置する。そして、負・正極外部端子12、14の負・正極外部端子軸部12a、14aを、それぞれ、ガスケット5の貫通孔5c、絶縁板7の貫通孔5c、絶縁板7の貫通孔17および負・正極集電板24、44の負・正極集電板基部21、41に形成された負・正極側集電板貫通孔25、45を挿通する。
【0034】
負・正極外部端子12、14は、それぞれ、上部に負・正極外部端子出力部12c、14cを有している。負・正極外部端子軸部12a、14aは、負・正極外部端子出力部12c、14cの幅より小さい軸部材である。
図6は、負・正極外部端子軸部12a、14aはかしめられた状態の図であるが、かしめる前は、負・正極外部端子軸部12a、14aは負・正極外部端子出力部12c、14cから、軸方向に直線状に延在されている。負・正極外部端子軸部12a、14aの下端部には、底面12b、14bを有する凹部12e、14eが形成されている。
【0035】
負・正極外部端子12、14を負・正極集電板24、44にかしめ・接合により固定する。負極外部端子12を負極集電板24に固定する方法と正極外部端子14を正極集電板44に固定する方法は、同様である。従って、以下においては、負極外部端子12を負極集電板24に固定する方法を説明することとする。
負極外部端子12の負極外部端子軸部12aを、ガスケット5の貫通孔5c、絶縁板7の貫通孔17および負極集電板基部21に形成された負極側集電板貫通孔25を挿通する。そして、負極外部端子12の負極外部端子出力部12cの下面を、ガスケット5の収容部5aの底部5dに当接させる。この状態で、負極外部端子軸部12aの下端部は、負極集電板基部21の下面21aの下方に突出する。このとき、負極外部端子軸部12aの下端部に設けられた凹部12eの底面12bは、負極集電板基部21の、負極外部端子出力部12cとは反対側の面である下面21aと、ほぼ同一の高さに位置している。
【0036】
この状態で、負極外部端子軸部12aと負極集電板基部21とをかしめる。
かしめはかしめ機のヘッドにより、負極外部端子12の負極外部端子軸部12aを押圧することにより行われる。かしめ機のヘッドにより、負極外部端子軸部12aの負極集電板基部21の下面21aより突出する部分を外側に押し広げることにより負極外部端子軸部12aと負極集電板基部21がかしめられる。
図6は負極外部端子軸部12aと負極集電板基部21とが負極外部端子軸部12aのかしめ部12dでかしめられた状態を示している。かしめ機は、ヘッドが負極外部端子軸部12aの凹部12eの底面12bの位置まで下降可能なように設定する。それにより、負極外部端子軸部12aの負極集電板基部21の下面21aより突出する部分を外側に十分に押し広げることができる。
【0037】
外側に押し広げられた負極外部端子12の負極外部端子軸部12aは、負極集電板24に設けられた負極側集電板貫通孔25に接触する。さらに、負極外部端子軸部12aは、負極外部端子軸部12aが負極集電板24に設けられた負極側集電板貫通孔25との接触部28を起点として、さらに外側に押し広げられる。これにより、負極外部端子12の負極外部端子軸部12aと負極集電板24に設けられた負極集電板基部21とがかしめられる。
【0038】
負極外部端子軸部12aと負極集電板基部21とがかしめられることにより、負極外部端子出力部12cの底面と負極側集電板貫通孔25の周縁部の接触部28との間に、負極集電板基部21と、絶縁板7と、電池蓋6と、ガスケット5とが挟持される。この際、樹脂からなるガスケット5の収容部5aの底部5dが圧迫され、電池蓋6に設けられた負極側貫通孔26を封止する。また、負極外部端子12は、電池蓋6の上面と負極外部端子出力部12cとの間に介在されたガスケット5の収容部5aの底部5dにより絶縁され、かつ、電池蓋6の負極側貫通孔26の周縁部と負極外部端子軸部12aとの間に介在されたガスケット5の貫通孔嵌入部5bにより絶縁される。これにより、負極外部端子12は、電池蓋6から絶縁された状態で、電池蓋6に固定される。
【0039】
次に、
図7に図示されるように、負極外部端子軸部12aと負極側集電板貫通孔25との接触部28を接合して、この接触部28に接合部29を形成する。上述したように、負極外部端子軸部12aは、負極集電板24の負極側集電板貫通孔25との接触部28を起点として、さらに外側に押し広げられる。このため、負極外部端子軸部12aと負極集電板24の負極側集電板貫通孔25との接触部28には、空間が形成されていない。この空間が形成されていない接触部28を接合部29とするため、負極外部端子軸部12aと負極集電板24との接触抵抗が低減され、かつ、接合強度が大きい安定した高品質の接合が得られる。なお、負極外部端子軸部12aと負極側集電板貫通孔25との接合としては、例えば、レーザ溶接等の溶接を用いることができる。
【0040】
この後、負極外部端子軸部12aのかしめ部12dを、さらに、外側に押し広げる、再かしめを行う。つまり、負極外部端子軸部12aと負極側集電板貫通孔25との接触部28に接合部29を形成した後、再度、かしめ機のヘッドにより、負極外部端子軸部12aのかしめ部12dの軸方向端面を押圧して、負極外部端子軸部12aのかしめ部12dを、さらに、外側に押し広げる。これにより、接合部29における負極外部端子軸部12aとの負極外部端子軸部12aとの接触面積が増大し、負極外部端子軸部12aと負極集電板24との接触抵抗が、さらに、低減される。
【0041】
図8は、負極外部端子軸部12aのかしめ部12dに再かしめを行った後の状態を示す。
図8に図示されるように、再かしめを行った後でも、負極外部端子軸部12aのかしめ部12dの外周面31は、軸方向に対して傾斜しており、軸方向に直交するほどにまで屈曲されていない。つまり、負極外部端子軸部12aのかしめ部12dの外周面31と負極集電板基部21の下面21aとの間には隙間Sが形成されている。このように、接合部29の外面側に隙間Sが形成されているため、この隙間Sを介して、接合部29の接合状態を確認することができる。
【0042】
本発明の第1の実施形態によれば、下記の効果を奏する。
(1)捲回電極群3と、正・負極集電板44、24と、電池容器と、正・負極外部端子14、12とを備え、正・負極外部端子14、12は、正・負極集電板44、24の正・負極集側貫通孔46、26に貫通された正・負極外部端子軸部14a、12aを有し、正・負極外部端子軸部14a、12aは、正・負極外部端子軸部14a、12aにかしめられたかしめ部14d、12dを有し、正・負極外部端子軸部14a、12aのかしめ部12dと正・負極集電板44、24の正・負極側集電板貫通孔45、25との接触部28に接合部29が設けられている。正・負極外部端子軸部14a、12aのかしめ部12dと正・負極集電板44、24の正・負極側集電板貫通孔45、25との接触部28を接合部29としたことで、正・負極外部端子軸部14a、12aと正・負極集電板44、24との接触抵抗が低減され、かつ、接合強度が大きい安定した高品質の接合を得ることができる。
【0043】
(2)正・負極外部端子軸部14a、12aのかしめ部14d、12dの外周面31と正・負極集電板44、24との間に隙間Sを有している。このため、隙間Sを介して、接合部29の接合状態を確認することができる。
【0044】
(3)正・負極外部端子軸部14a、12aの前記かしめ部14d、12dの軸方向端部に凹部14e、12eが設けられている。このため、正・負極外部端子軸部14a、12aのかしめ部14d、12dは、凹部14e、12eを中心に周囲に平均的に加圧し、正・負極集電板44、24との接合強度を高めることができる。
【0045】
−第2の実施形態−
図9は、本発明の第2の実施形態を示す断面図である。
図9は、第1の実施形態の
図6に相当する図であり、最初のかしめが完了した状態を示す。
第2の実施形態では、負極外部端子軸部12aの凹部12eの底面12bは、負極集電板基部21の下面21aより上方に位置している。換言すれば、負極外部端子軸部12aの凹部12eの底面12bの高さ位置は、負極集電板基部21の下面21aより、軸方向における負極集電板基部21の下面21の反対面側に引っ込んだ位置に配置されている。また、負極外部端子軸部12aと負極集電板基部21の負極側集電板貫通孔25との寸法関係は、圧入寸法となっている。
第2の実施形態における他の構成は、第1の実施形態と同様であり、対応する部材に同一の符号を付して説明を省略する。
なお、第2の実施形態においても、
図9に示す最初のかしめを行った後、第1の実施形態と同様、接触部28を接合し、この後、再かしめを行う。
【0046】
従って、第2の実施形態でも、第1の実施形態と同様な効果を奏する。
また、負極外部端子軸部12aの凹部12eの底面12bが、負極集電板基部21の下面21aより上方に位置するため、負極外部端子軸部12aの凹部12eの周壁を、より、確実かつ容易に外方に押し広げることができる。これにより、負極外部端子軸部12aと負極集電板基部21の負極側集電板貫通孔25の周縁部との接触をより確実とすることができる。
さらに、負極外部端子軸部12aは負極集電板基部21の負極側集電板貫通孔25に圧入されるので、接触部28における、負極外部端子軸部12aと負極集電板基部21の負極側集電板貫通孔25の周縁部との接触はより確実となる。
【0047】
−第3の実施形態−
図10は、本発明の第3の実施形態を示す断面図である。
図9は、第1の実施形態の
図8に相当する図である。
第3の実施形態では、負極外部端子軸部12aは、軸方向端部に凹部12eを有しておらず、軸方向の全長に亘り、中実なっている。
第3の実施形態においても、負極外部端子軸部12aと負極集電板基部21とのかしめは、かしめ機のヘッドを負極外部端子軸部12aの軸方向の端面に押し当てて、軸方向に押圧することにより行う。
【0048】
負極外部端子軸部12aと負極集電板基部21の負極側集電板貫通孔25の関係寸法は、圧入寸法であっても、すきま代が設けられていてもよい。
第3の実施形態における他の構成は第1の実施形態と同様であり、対応する部材に同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0049】
従って、第3の実施形態のおいても、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
また、第3の実施形態では、負極外部端子軸部12aに凹部12eを形成しないので、負極外部端子軸部12aの構造が簡素となり、安価にすることができる。
【0050】
なお、上記各実施形態では、正・負極外部端子軸部14a、12aと正・負極集電板基部41、21との固定は、かしめ、接合の後、再かしめを行うこととして例示した。しかし、再かしめを行わず、かしめ、接合により、正・負極外部端子軸部14a、12aと正・負極集電板基部41、21との固定を終了するようにしてもよい。
【0051】
上記各実施形態では、正・負極外部端子軸部14a、12aと正・負極集電板基部41、21とが固定された状態で、正・負極外部端子軸部14a、12aのかしめ部14d、12dの外周面31と正・負極集電板基部21の下面41a、21aとの間に隙間Sが形成されている構造として例示した。しかし、正・負極外部端子軸部14a、12aのかしめ部14d、12dの外周面31が正・負極集電板基部21の下面41a、21に接触するように、かしめ部14d、12dの外周面31が軸方向にほぼ垂直になるようにかしめてもよい。
【0052】
上記各実施形態では、正・負極集電板44、24は、それぞれ、正・負極集電板基部41、21および正・負極側接続部42、22を有し、正・負極外部端子軸部14a、12aは、正・負極集電板基部41、21に固定する構造として例示した。しかし、正・負極集電板は、任意な構造とすることが可能であり、本発明は、この任意な構造の正・負極集電板と正・負極外部端子軸部14a、12aとを一体化する構造に適用することができる。
【0053】
上記各実施形態では、正・負極外部端子14、12の正・負極外部端子出力部14c、12cをほぼ直方体形状として例示した。しかし、正・負極外部端子出力部の形状は、任意とすることができる。
【0054】
上記各実施形態では、正・負極外部端子14、12を、電池缶1の開口部1aを塞ぐ電池蓋6に固定する構造として例示した。しかし、正・負極外部端子14、12を、電池缶1の側壁に取付けるようにしてもよい。
【0055】
上記各実施形態では、正・負極外部端子14、12の正・負極外部端子軸部14a、12aは、正・負極外部端子出力部14c、12cとは反対側の端部に凹部14e、12eを有するか、全長に亘り中実であるとして、例示した。しかし、正・負極外部端子軸部14a、12aは、ほぼ全長に亘り、軸心部が中空とされた中空軸としてもよい。
【0056】
上記各実施形態では、正極電極34と負極電極32とが、セパレータ33、35を介して捲回された捲回電極群3を有する二次電池100として例示した。しかし、本発明は、矩形シート状の正極電極と矩形シート状の負極電極とを、セパレータを介して平坦状に積層した電極群を備える二次電池に適用することができる。
【0057】
上記各実施形態ではリチウムイオン二次電池を蓄電素子の一例として説明したが、ニッケル水素電池などその他の二次電池にも本発明を適用できる。さらに、電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタを蓄電素子とした場合にも本発明を適用できる。
【0058】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。