(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、本実施形態を添付図面に基づいて説明する。まず、第1実施形態の放射線モニタリングシステムについて
図1から
図2を用いて説明する。
図1の符号1は、放射線モニタリングシステムである。
【0011】
放射線モニタリングシステム1は、原子力発電所または核燃料取扱施設などの放射性物質を取り扱う施設に設けられる。このような施設では、作業員の年間被ばく量を管理している。特に、アメリカ合衆国原子力規制委員会が発行した10CFR20によると、原子力発電所の中央制御室の作業員の年間被ばく量の管理を、作業員の周囲の放射性物質の濃度を監視することで実施するようにしている。
【0012】
放射性物質の濃度を監視の一例としては、中央制御室に空気を送るための配管からサンプルガスを抽出し、このサンプルガスに含まれる放射性物質から放たれる放射線を検出する。そして、検出された放射線の線量が高く、放射性物質の濃度が所定の閾値以上であると判定された場合に警報を出力し、作業員に放射能汚染を知らせるようにしている。
【0013】
従来技術では、放射線検出器を所定の流体が流れる配管の内部または近傍に配置する。そして、この放射線検出器を用いて配管を流れる流体から放たれる放射線を検出する。放射線を検出したときの検出信号は、放射線検出器または前置増幅器にてデジタル信号に変換される。このデジタル信号が放射線モニタに伝送される。この放射線モニタは、入力されたデジタル信号に基づいて放射線の線量を計数して出力する。
【0014】
また、放射線の線量を計測することに加えて、配管を流れる流体の流量、圧力、または温度を用いて、流体に含まれる放射性物質の濃度を正確に算出したいという要望がある。なお、流量とは、流体(液体または気体)が移動する量を表す物理量である。つまり、流量とは、単位時間当たりの移動量を示す。本実施形態の流量は、体積流量であって、単位時間当たりに流体Fが移動したときの体積を表す。
【0015】
放射性物質の濃度を算出するような複雑な処理を、デジタル機器を用いて実行することが可能である。デジタル機器では、CPUなどが事前に定められた命令セットに従って、論理演算および数値演算を行うようにしている。
【0016】
しかしながら、このようなデジタル機器の処理内容の全てを把握するためには、マイクロチップの回路構成およびソフトウェアのソースコードの全てを確認する必要がある。また、デジタル機器の処理内容の全てを把握しても、実際に使用したときに処理結果が変動する場合がある。特に、デジタル回路で実行されるデジタル処理は、基本的に離散値処理であるため、ソフトウェアまたはハードウェアの欠陥により、或る特定の条件で特異な出力が生じる場合がある。例えば、特定の値で大きく異なる結果を出力してしまう場合がある。また、デジタル回路の開発試験時に生じていない事象が、デジタル回路を現場に設置した後に生じる場合もある。このような、デジタル回路の機能がコーディングミス等の原因によって損なわれることによって、その処理結果を用いる複数の後段処理に対して故障要因になることを共通原因故障(Common Cause Failure)と称する。ソフトウェアに起因する共通原因故障が生じた場合、故障の原因特定が困難である。
【0017】
原子力発電所などで放射性物質の監視を行って安全を確保するシステムにデジタル機器を採用する場合には、共通原因故障を引き起こさないことを予め検証する必要がある。ここで、信号の処理の全てのケースにおいて正しく機能することを確認するためには、膨大な検証工数がかかる。また、規制当局に対する説明性を担保しなければ、システムを設置する許可がされないリスクがある。
【0018】
近年、こうしたデジタル機器を安全系に用いる場合の規制当局による規制が強化されている。このようなことを考慮すると、放射線モニタリングシステム1にデジタル機器を用いることにリスクがある。そこで、本実施形態では、デジタル機器を用いずに、アナログ信号の処理のみで放射性物質の濃度を測定することで、共通原因故障が生じないようにする。また、シンプルな処理を行うことで、規制当局に対する説明性を担保する。
【0019】
図1に示すように、原子力発電所などにおいて、所定の流体Fが流れる配管2が設けられる。この流体Fは、空気などの気体であっても良いし、水などの液体であっても良い。この流体Fに含まれる放射性物質の濃度を、放射線モニタリングシステム1を用いて測定する。
【0020】
配管2から検出用の流体Fを抽出するための検出管3が分岐されている。この検出管3の一端と他端は、それぞれ配管2に接続される。この検出管3を通過した流体Fは、再び配管2に戻る。この検出管3には、流体Fに含まれる微量な物質を確保するためのフィルタが配置されるフィルタ部4が設けられている。なお、フィルタは、定期点検が行われる度に新しいものと交換される。また、フィルタに蓄積される物質の例としては、空気中のダストまたはヨウ素などがある。
【0021】
第1実施形態の放射線モニタリングシステム1は、流体Fに含まれる放射性物質から放たれる放射線を検出したときに検出信号を出力する放射線検出器5と、放射線の計数率を対数化したものに比例する検出対数値を出力するダイオードポンプ回路6と、検出管3を流れた流体Fの流量を積算した値を出力する積算流量伝送器7と、積算流量伝送器7が出力した値を対数化した流量対数値に変換して出力する対数変換回路8と、放射性物質の濃度の換算に用いる換算係数を出力する換算係数回路9と、流体Fに含まれる放射性物質の濃度を算出する濃度算出回路10と、算出された放射性物質の濃度が入力される管理装置11を備える。
【0022】
放射線検出器5は、フィルタ部4から放射される放射線を検出する。この放射線検出器5は、特定のエネルギー以上の放射線が入射したときにパルス状の検出信号を出力する。例えば、放射線検出器5に放射線が入射されると、放射線検出器5における放射線に有感な領域で失ったエネルギーの強度に応じた電圧が一定値以上である場合に、1パルスの信号が出力される。そして、この検出信号(アナログ信号)が、ダイオードポンプ回路6に入力される。このダイオードポンプ回路6(チャージポンプ回路)は、コンデンサとスイッチとを組み合わせることで電圧を上昇させる電子回路である。
【0023】
一般に、放射線の計数率の測定レンジは、6〜7decade(1.0×10−1cps〜1.0×106cps)程度である。幅広いレンジの測定には、ダイオードポンプ回路6を用いて対応することができる。放射線検出器5から出力されるパルス信号をダイオードポンプ回路6によって計数することで、ダイオードポンプ回路6から出力される値は、log(計数率)の電圧値となる。このダイオードポンプ回路6によって、アナログ回路であっても、精度よく広いレンジで計数率を演算することが可能となる。
【0024】
ダイオードポンプ回路6(特定回路)は、放射線検出器5から検出信号(パルス信号)が入力されたときに、放射線の計数率を対数化したものに比例する検出対数値を出力する。なお、本実施形態で用いる対数は、10を底とする常用対数である。
【0025】
積算流量伝送器7は、放射線検出器5を用いた検出の開始時から現在までの間に検出管3を流れた流体Fの流量を積算した値を出力する。この値は、アナログ信号として出力される。
【0026】
対数変換回路8は、アナログ信号を用いて入力された値を、対数化した値に変換して出力する回路である。この対数変換回路8には、積算流量伝送器7から出力された値が入力される。そして、対数変換回路8は、積算流量伝送器7から入力された値を対数化した流量対数値に変換して出力する。なお、流量対数値は、流体Fの体積流量を対数化した値であって、流体Fの体積に関する体積対数値である。
【0027】
この対数変換回路8には、マイクロチップなどのデジタル素子を使用しないようにする。しかしながら、回路構成が簡素なマイクロチップであれば、対数変換回路8に搭載しても良い。つまり、実際に使用したときに処理結果が変動するおそれがなく、既知のマイクロチップであれば、対数変換回路8に搭載しても良い。
【0028】
換算係数回路9は、放射性物質の濃度の換算に用いる換算係数を出力する。換算係数は、検出対数値(計数率)を濃度(ベクレル)に変換するための計数である。放射性物質の濃度を算出する場合に、放射線計数率(cps)に換算係数(Bq/cps)を乗じる。なお、換算係数回路9には、管理者が予め換算係数を設定するための操作を行う操作部12が設けられている。
【0029】
濃度算出回路10は、ダイオードポンプ回路6から入力される検出対数値と、対数変換回路8から入力される流量対数値との加算または減算の実行が可能である。さらに、濃度算出回路10は、検出対数値と流量対数値とを加算または減算した後の値に、換算係数を加算または減算することで、流体Fに含まれる放射性物質の濃度を算出することが可能である。
【0030】
本実施形態では、放射性物質の濃度の算出に用いる値が対数化されているので、乗算または除算を行う必要がなく、加算または減算により放射性物質の濃度を算出することができる。つまり、対数変換後の数値の加算が対数変換前の数値の乗算に相当し、かつ対数変換後の数値の減算が対数変換前の数値の除算に相当する性質を利用する。このように、ダイオードポンプ回路6から対数値で出力される計数率をそのまま使用することができる。そのため、数値の変換誤差を最小にすることができる。
【0031】
なお、濃度算出回路10において所定の対数値の加算または減算を行うことで、log((検出対数値×換算係数)÷流量対数値)に対応する計算が成される。また、換算係数も対数化された値に対応しているので、放射性物質の濃度に換算する処理を対数化した値の加算または減算で行うことができる。
【0032】
管理装置11には、濃度算出回路10にて算出された放射性物質の濃度の値が入力される。この管理装置11では、放射性物質の濃度が予め定められた閾値以上であるか否かを判定する。ここで、管理装置11は、放射性物質の濃度が閾値以上である場合に警報を出力し、作業員に放射能汚染を知らせる。
【0033】
次に、放射線モニタリングシステム1が実行する放射線モニタリング方法について
図2のフローチャートを用いて説明する。なお、
図1を適宜参照する。以下のフローチャートの各ステップの説明にて、例えば「ステップS11」と記載する箇所を「S11」と略記する。
【0034】
図2に示すように、まず、放射線検出器5が放射線の検出を開始する。ここで、放射線検出器5は、特定のエネルギー以上の放射線が入射したときに検出信号を出力する(S11)。次に、放射線検出器5から出力される検出信号がダイオードポンプ回路6に入力される。ここで、ダイオードポンプ回路6は、検出信号の入力に基づいてカウントされる放射線の計数率を対数化したものに比例する検出対数値を出力する(S12)。
【0035】
次に、積算流量伝送器7は、検出管3を流れた流体Fの流量を積算した値を出力する(S13)。この値は、対数変換回路8に入力される。次に、対数変換回路8は、積算流量伝送器7から入力された値を、対数化した流量対数値に変換して出力する(S14)。
【0036】
次に、ダイオードポンプ回路6から出力される検出対数値が濃度算出回路10に入力される。さらに、対数変換回路8から出力される流量対数値が濃度算出回路10に入力される。ここで、濃度算出回路10は、検出対数値から流量対数値を減算する(S15)。
【0037】
次に、換算係数回路9は、換算係数を出力する(S16)。この換算係数は、濃度算出回路10に入力される。次に、濃度算出回路10は、検出対数値から流量対数値を減算した後の値に、換算係数を加算する(S17)。そして、濃度算出回路10は、流体Fに含まれる放射性物質の濃度を算出する(S18)。なお、濃度算出回路10にて算出された放射性物質の濃度は、管理装置11に入力される。
【0038】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の放射線モニタリングシステム1Aについて
図3から
図4を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0039】
図3に示すように、第2実施形態の放射線モニタリングシステム1Aは、前述の第1実施形態の構成に加えて、検出管3を流れる流体Fの圧力を測定した値を出力する圧力伝送器13と、検出管3を流れる流体Fの温度を測定した値を出力する温度伝送器14とを備える。
【0040】
圧力伝送器13は、検出管3を流れる流体Fの圧力を測定した値をアナログ信号として出力する。この値は、対数変換回路8に入力される。そして、対数変換回路8は、圧力伝送器13から入力された値を対数化した圧力対数値に変換して出力する。
【0041】
この圧力対数値は、濃度算出回路10に入力される。そして、濃度算出回路10は、検出対数値と圧力対数値とを加算または減算して放射性物質の濃度を補正する。このようにすれば、流体Fの圧力に基づく放射性物質の濃度の変動を補正することができる。
【0042】
温度伝送器14は、検出管3を流れる流体Fの温度を測定した値をアナログ信号として出力する。この値は、対数変換回路8に入力される。そして、対数変換回路8は、温度伝送器14から入力された値を対数化した温度対数値に変換して出力する。
【0043】
この温度対数値は、濃度算出回路10に入力される。そして、濃度算出回路10は、検出対数値と温度対数値とを加算または減算して放射性物質の濃度を補正する。このようにすれば、流体Fの温度に基づく放射性物質の濃度の変動を補正することができる。
【0044】
なお、濃度算出回路10において所定の対数値の加算または減算を行うことで、log((検出対数値×換算係数)÷(流量対数値×圧力対数値×温度対数値))に対応する計算が成される。
【0045】
また、積算流量伝送器7から出力される値は、同じ値の信号であっても、圧力および温度に応じて実際に流れている流体Fの物質量が異なる。例えば、流れている流体Fの物質量は、状態方程式に従い変動する(PV=nRT)。そのため、第2実施形態では、放射性物質の濃度を正確に算出するために、圧力および温度に基づく補正を行うようにしている。
【0046】
次に、放射線モニタリングシステム1Aが実行する放射線モニタリング方法について
図4のフローチャートを用いて説明する。なお、
図3を適宜参照する。
【0047】
図4に示すように、まず、放射線検出器5が放射線の検出を開始する。ここで、放射線検出器5は、特定のエネルギー以上の放射線が入射したときに検出信号を出力する(S21)。次に、放射線検出器5から出力される検出信号がダイオードポンプ回路6(特定回路)に入力される。ここで、ダイオードポンプ回路6は、検出信号の入力に基づいてカウントされる放射線の計数率を対数化したものに比例する検出対数値を出力する(S22)。
【0048】
次に、積算流量伝送器7は、検出管3を流れた流体Fの流量を積算した値を出力する(S23)。この値は、対数変換回路8に入力される。次に、対数変換回路8は、積算流量伝送器7から入力された値を、対数化した流量対数値に変換して出力する(S24)。
【0049】
次に、圧力伝送器13は、検出管3を流れた流体Fの圧力を測定した値を出力する(S25)。この値は、対数変換回路8に入力される。次に、対数変換回路8は、圧力伝送器13から入力された値を、対数化した圧力対数値に変換して出力する(S26)。
【0050】
次に、温度伝送器14は、検出管3を流れた流体Fの温度を測定した値を出力する(S27)。この値は、対数変換回路8に入力される。次に、対数変換回路8は、温度伝送器14から入力された値を、対数化した温度対数値に変換して出力する(S28)。
【0051】
次に、ダイオードポンプ回路6から出力される検出対数値が濃度算出回路10に入力される。さらに、対数変換回路8から出力される流量対数値、圧力対数値、および温度対数値が濃度算出回路10に入力される。ここで、濃度算出回路10は、流量対数値と圧力対数値と温度対数値とを加算した値を、検出対数値から減算する(S29)。
【0052】
次に、換算係数回路9は、換算係数を出力する(S30)。この換算係数は、濃度算出回路10に入力される。次に、濃度算出回路10は、検出対数値から流量対数値と圧力対数値と温度対数値とを加算した値を減算した後の値に、換算係数を加算する(S31)。そして、濃度算出回路10は、流体Fに含まれる放射性物質の濃度を算出する(S32)。なお、濃度算出回路10にて算出された放射性物質の濃度は、管理装置11に入力される。
【0053】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の放射線モニタリングシステム1Bについて
図5から
図6を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0054】
前述の実施形態では、検出管3に設けられたフィルタ部4のフィルタに蓄積される放射性物質を監視するようにしているが、第3実施形態の放射線モニタリングシステム1Bでは、フィルタを用いずに放射性物質の濃度を算出する。この第3実施形態では、放射性の希ガスを含む流体が検出管3を流れる場合に、一定のサンプリング体積を有する容器内に蓄積される流体Fが放出する放射線を検出し、このサンプリング体積による除算を実施することで放射性物質の濃度を算出する。
【0055】
図5に示すように、第3実施形態の放射線モニタリングシステム1Bは、検出管3に設けられて流体Fを一時的に蓄えるサンプラ容器15と、サンプラ容器15の内部の体積(サンプラ体積)を対数化した体積対数値を出力する体積対数値回路16とを備える。
【0056】
放射線検出器5は、サンプラ容器15の内部に蓄えられた流体Fから放射される放射線を検出する。なお、体積対数値は、サンプラ容器15の内部の体積を対数化したものであって、サンプラ容器15に対応する一定の値(固定的な値)である。また、体積対数値回路16には、管理者が予め体積対数値を設定するための操作を行う操作部17が設けられている。なお、操作部17を設けずに、予め一定の体積対数値が体積対数値回路16に記憶されていても良い。
【0057】
体積対数値回路16から出力される体積対数値は、濃度算出回路10に入力される。この濃度算出回路10では、ダイオードポンプ回路6から入力される検出対数値と、体積対数値回路16から入力される体積対数値との加算または減算が成される。なお、濃度算出回路10において所定の対数値の加算または減算を行うことで、log((検出対数値×換算係数)÷(体積対数値×圧力対数値×温度対数値))に対応する計算が成される。
【0058】
次に、放射線モニタリングシステム1Bが実行する放射線モニタリング方法について
図6のフローチャートを用いて説明する。なお、
図5を適宜参照する。
【0059】
図6に示すように、まず、放射線検出器5が放射線の検出を開始する。ここで、放射線検出器5は、特定のエネルギー以上の放射線が入射したときに検出信号を出力する(S41)。次に、放射線検出器5から出力される検出信号がダイオードポンプ回路6(特定回路)に入力される。ここで、ダイオードポンプ回路6は、検出信号の入力に基づいてカウントされる放射線の計数率を対数化したものに比例する検出対数値を出力する(S42)。
【0060】
次に、体積対数値回路16は、サンプラ容器15の内部の体積(サンプラ体積)に対応する体積対数値を出力する(S43)。次に、圧力伝送器13は、検出管3を流れた流体Fの圧力を測定した値を出力する(S44)。この値は、対数変換回路8に入力される。次に、対数変換回路8は、圧力伝送器13から入力された値を、対数化した圧力対数値に変換して出力する(S45)。
【0061】
次に、温度伝送器14は、検出管3を流れた流体Fの温度を測定した値を出力する(S46)。この値は、対数変換回路8に入力される。次に、対数変換回路8は、温度伝送器14から入力された値を、対数化した温度対数値に変換して出力する(S47)。
【0062】
次に、ダイオードポンプ回路6から出力される検出対数値が濃度算出回路10に入力される。さらに、対数変換回路8から出力される体積対数値、圧力対数値、および温度対数値が濃度算出回路10に入力される。ここで、濃度算出回路10は、体積対数値と圧力対数値と温度対数値とを加算した値を、検出対数値から減算する(S48)。
【0063】
次に、換算係数回路9は、換算係数を出力する(S49)。この換算係数は、濃度算出回路10に入力される。次に、濃度算出回路10は、検出対数値から体積対数値と圧力対数値と温度対数値とを加算した値を減算した後の値に、換算係数を加算する(S50)。そして、濃度算出回路10は、流体Fに含まれる放射性物質の濃度を算出する(S51)。なお、濃度算出回路10にて算出された放射性物質の濃度は、管理装置11に入力される。
【0064】
なお、本実施形態のフローチャートにおいて、各ステップが直列に実行される形態を例示しているが、必ずしも各ステップの前後関係が固定されるものでなく、一部のステップの前後関係が入れ替わっても良い。また、一部のステップが他のステップと並列に実行されても良い。
【0065】
なお、本実施形態では、特定回路としてダイオードポンプ回路6を例示しているが、特定回路は、ダイオードポンプ回路6以外の回路であっても良い。例えば、放射線検出器5がパルス状の検出信号を出力する場合に、このパルス数をカウントし、対数計数率を得る回路を特定回路としても良い。また、放射線検出器5が電流の増減で所定の値を示す検出信号を出力する場合に、この電流の値を対数アンプで増幅する回路を特定回路としても良い。
【0066】
以上説明した実施形態によれば、検出対数値と所定の対数値とに基づいて前記流体に含まれる前記放射性物質の濃度を算出する濃度算出回路を備えることにより、アナログ信号の状態で処理を行うことができ、充分な信頼性と精度を確保することができる。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。