(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6892344
(24)【登録日】2021年5月31日
(45)【発行日】2021年6月23日
(54)【発明の名称】パワーコンディショナシステム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/38 20060101AFI20210614BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20210614BHJP
H02J 9/06 20060101ALI20210614BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20210614BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20210614BHJP
【FI】
H02J3/38 110
H02J3/38 130
H02J3/32
H02J9/06 120
H02J1/00 306L
H02M7/48 R
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-140868(P2017-140868)
(22)【出願日】2017年7月20日
(65)【公開番号】特開2019-22387(P2019-22387A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2020年1月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004606
【氏名又は名称】ニチコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 直久
(72)【発明者】
【氏名】小田 義雄
【審査官】
坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−050158(JP,A)
【文献】
特開2012−125055(JP,A)
【文献】
特開2011−160569(JP,A)
【文献】
特開2014−054025(JP,A)
【文献】
特開2015−198487(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0166013(US,A1)
【文献】
中国特許出願公開第104541428(CN,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0275201(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/38
H02J 1/00
H02J 3/32
H02J 9/06
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単相3線式の系統に接続される系統接続用端子と、負荷に接続される負荷接続用端子と、前記系統接続用端子および前記負荷接続用端子に接続された系統側フィルタ回路と、外部直流電源に接続される電源接続用端子と、前記電源接続用端子に接続された電源側フィルタ回路と、前記系統接続用端子および前記負荷接続用端子の反対側において前記系統側フィルタ回路に接続され、かつ前記電源接続用端子の反対側において前記電源側フィルタ回路に接続された電力変換回路とを備えたパワーコンディショナシステムであって、
前記電源側フィルタ回路は、
コモンモードチョークコイルと、
前記コモンモードチョークコイルよりも前記電力変換回路側に設けられた、当該パワーコンディショナシステムの筐体GNDに接続された第1Yコンデンサと、
前記コモンモードチョークコイルよりも前記電源接続用端子側に設けられた、前記系統接続用端子を構成する中性端子に接続された第2Yコンデンサと、
を含む
ことを特徴とするパワーコンディショナシステム。
【請求項2】
複数の前記外部直流電源に1対1に接続される複数の前記電源接続用端子と、前記複数の電源接続用端子に1対1に接続された複数の前記電源側フィルタ回路とを有し、
前記複数の外部直流電源は、蓄電システムと、太陽光発電システムとを含み、
前記複数の電源接続用端子は、前記蓄電システムに接続される蓄電池接続用端子と、前記太陽光発電システムに接続される太陽電池接続用端子とを含み、
前記複数の電源側フィルタ回路は、前記蓄電池接続用端子に接続された蓄電池側フィルタ回路と、前記太陽電池接続用端子に接続された太陽電池側フィルタ回路とを含む
ことを特徴とする請求項1に記載のパワーコンディショナシステム。
【請求項3】
前記複数の外部直流電源は、V2Hシステムをさらに含み、
前記複数の電源接続用端子は、前記V2Hシステムに接続されるV2H接続用端子をさらに含み、
前記複数の電源側フィルタ回路は、前記V2H接続用端子に接続されたV2H側フィルタ回路をさらに含む
ことを特徴とする請求項2に記載のパワーコンディショナシステム。
【請求項4】
前記蓄電池側フィルタ回路、前記太陽電池側フィルタ回路および前記V2H側フィルタ回路のうちの1つが前記第2Yコンデンサを含む
ことを特徴とする請求項3に記載のパワーコンディショナシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、系統から供給された電力、および蓄電池システム等の外部直流電源から供給された電力を負荷に供給するパワーコンディショナシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、系統から供給される電力と、需要家に設置された蓄電システムおよび太陽光発電システム等の外部直流電源から供給される電力とを併用することにより、1日における電力需要の平準化と、停電時における負荷(特に重要負荷)の継続的な稼働とを目指したシステムの普及が進められている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
図4に、上記のようなシステムにおいて中心的な役割を担うパワーコンディショナシステム100の一例を示す。同図に示すように、パワーコンディショナシステム100は、単相3線式の系統に接続される系統接続用端子Tu,To,Twと、重要負荷に接続される負荷接続用端子Tl,Tnと、これらの端子Tu,To,Tw,Tl,Tnに接続された系統側フィルタ回路Fと、蓄電システム11に接続される蓄電池接続用端子Tp1,Tn1と、これらに接続された蓄電池側フィルタ回路Faと、第1太陽光発電システム12に接続される第1太陽電池接続用端子Tp2,Tn2と、これらに接続された第1太陽電池側フィルタ回路Fbと、第2太陽光発電システム13に接続される第2太陽電池接続用端子Tp3,Tn3と、これらに接続された第2太陽電池側フィルタ回路Fcと、系統側フィルタ回路Fおよびフィルタ回路Fa,Fb,Fcの間に接続された電力変換回路CONV,CONV1,CONV2,CONV3と、フレームGND端子Tfgとを主に備えている。
【0004】
パワーコンディショナシステム100は、系統に停電等の異常が発生していない通常時においては、スイッチS1,S2が閉状態、スイッチS3,S4が開状態とされる。このとき、パワーコンディショナシステム100は、[動作1a]夜間の安価な系統電力をスイッチS2を介して重要負荷に供給しながら蓄電池を充電すること、[動作2a]昼間の高価な系統電力の購入量を削減するため、蓄電システム11の放電電力をスイッチS1,S2を介して重要負荷に供給すること、[動作3a]太陽光発電システム12,13の発電電力をスイッチS1,S2を介して重要負荷に供給すること、[動作4a]太陽光発電システム12,13の発電電力の余剰分をスイッチS1を介して系統に売電すること、等が可能である。なお、このとき、負荷接続用端子Tnは、スイッチS2を介して中性端子である系統接続用端子Toに接続されている。
【0005】
一方、パワーコンディショナシステム100は、停電時においては、スイッチS1,S2が開状態、スイッチS3,S4が閉状態とされる。このとき、パワーコンディショナシステム100は、[動作1b]蓄電システム11の放電電力をスイッチS3を介して重要負荷に供給すること、[動作2b]太陽光発電システム12,13の発電電力をスイッチS3を介して重要負荷に供給すること、等が可能である。なお、このとき、負荷接続用端子Tnは、安全の確保のためにスイッチS4を介してフレームGND端子Tfgに接続(接地)されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】“ニチコンの家庭用蓄電システム 家庭用蓄電システムの活用法”、[online]、ニチコン株式会社、[平成29年6月27日検索]、インターネット<URL http://www.nichicon.co.jp/products/ess/living.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、パワーコンディショナシステム100においては、スイッチング動作を行う電力変換回路CONV,CONV1,CONV2,CONV3から発せられるノイズが外部に漏れ出すのを防ぐために、上記の通り、電力変換回路CONV,CONV1,CONV2,CONV3を挟み込むように系統側フィルタ回路Fとフィルタ回路Fa,Fb,Fcとが配置されている。しかしながら、省スペース化のためにパワーコンディショナシステム100の筐体を小型化していくと、筐体GNDのノイズ吸収能力が低下し、上記のようにフィルタ回路F,Fa,Fb,Fcを配置しても外部に漏れ出すノイズを十分に防ぐことができないという問題が発生する。
【0008】
図5および
図6に、夜間停電時における蓄電池接続用端子Tp1の平均雑音端子電圧を示す。測定条件は以下の通りである。
[
図5および
図6に共通する測定条件]
・スイッチS1,S2:開状態
・スイッチS3,S4:閉状態
・太陽光発電システム12,13:未発電
・重要負荷:定格負荷2.5kW
・電力変換回路CONV,CONV1のスイッチング動作:オン
・電力変換回路CONV2,CONV3のスイッチング動作:オフ
[
図5の測定条件]
・蓄電池側フィルタ回路として、
図4に示す蓄電池側フィルタ回路Faを3段直列接続したものを使用
[
図6の測定条件]
・蓄電池側フィルタ回路として、
図4に示す蓄電池側フィルタ回路Faを6段直列接続したものを使用
【0009】
図5および
図6のいずれにおいても、蓄電池接続用端子Tp1の平均雑音端子電圧は、特に0.15MHz近傍において太い実線で示された規格値に対してマージンが少なかった。また、
図5および
図6の測定結果は、ほとんど同一であった。このことは、筐体GNDがノイズに汚染されると、蓄電池側フィルタ回路Faの段数を増やしてもノイズの漏れ出しは低減されないことを示している。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、筐体を小型化した場合においても、外部に漏れ出すノイズを十分に低減することができるパワーコンディショナシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係るパワーコンディショナシステムは、単相3線式の系統に接続される系統接続用端子と、負荷に接続される負荷接続用端子と、系統接続用端子および負荷接続用端子に接続された系統側フィルタ回路と、外部直流電源に接続される電源接続用端子と、電源接続用端子に接続された電源側フィルタ回路と、系統接続用端子および負荷接続用端子の反対側において系統側フィルタ回路に接続され、かつ電源接続用端子の反対側において電源側フィルタ回路に接続された電力変換回路とを備えたパワーコンディショナシステムであって、電源側フィルタ回路が、コモンモードチョークコイルと、コモンモードチョークコイルよりも電力変換回路側に設けられた、当該パワーコンディショナシステムの筐体GNDに接続された第1Yコンデンサと、コモンモードチョークコイルよりも電源接続用端子側に設けられた、系統接続用端子を構成する中性端子に接続された第2Yコンデンサとを含むことを特徴とする。
【0012】
この構成では、電源側フィルタ回路に含まれる第1Yコンデンサおよび第2Yコンデンサのうち、コモンモードチョークコイルよりも電源接続用端子側に設けられた方が筐体GNDではなく系統接続用端子を構成する中性端子に接続されている。すなわち、この構成では、電源接続用端子の近傍に設けられた第2Yコンデンサが系統接続用端子を構成する中性端子に接続されている。したがって、この構成によれば、筐体GNDがノイズに汚染されている場合であっても、コモンモードチョークコイルおよび第2Yコンデンサの組み合わせにより、電源接続用端子から外部に漏れ出すノイズを効果的に低減することができる。この構成は、特に、パワーコンディショナの筺体が比較的小さく、筐体GNDのノイズ吸収力が脆弱な場合(筺体がノイズに汚染され易い場合)に有効である。
【0013】
ここで、複数の外部直流電源に1対1に接続される複数の電源接続用端子と、複数の電源接続用端子に1対1に接続された複数の電源側フィルタ回路とを有し、かつ複数の外部直流電源が蓄電システムと太陽光発電システムとを含むパワーコンディショナシステムでは、複数の電源接続用端子に、蓄電システムに接続される蓄電池接続用端子と、太陽光発電システムに接続される太陽電池接続用端子とが含まれる。この場合、複数の電源側フィルタ回路には、蓄電池接続用端子に接続された蓄電池側フィルタ回路と、太陽電池接続用端子に接続された太陽電池側フィルタ回路とが含まれる。
【0014】
また、複数の外部直流電源がV2Hシステムをさらに含むパワーコンディショナシステムでは、複数の電源接続用端子に、V2Hシステムに接続されるV2H接続用端子がさらに含まれる。この場合、電源側フィルタ回路には、V2H接続用端子に接続されたV2H側フィルタ回路がさらに含まれる。
【0015】
また、上記パワーコンディショナシステムは、系統接続用端子の中性端子から系統にノイズが漏れ出すことを極力抑えるために、蓄電池側フィルタ回路、太陽電池側フィルタ回路およびV2H側フィルタ回路のうちの1つが第2Yコンデンサを含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、筐体を小型化した場合においても、外部に漏れ出すノイズを十分に低減することができるパワーコンディショナシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係るパワーコンディショナシステムの回路図である。
【
図2】本発明に係るパワーコンディショナシステムの平均雑音端子電圧を示すグラフである。
【
図3】本発明の変形例に係るパワーコンディショナシステムの回路図である。
【
図4】従来のパワーコンディショナシステムの回路図である。
【
図5】従来のパワーコンディショナシステム(蓄電池側フィルタ回路が3段直列接続の場合)の平均雑音端子電圧を示すグラフである。
【
図6】従来のパワーコンディショナシステム(蓄電池側フィルタ回路が6段直列接続の場合)の平均雑音端子電圧を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明に係るパワーコンディショナシステムの一実施形態について説明する。
【0019】
図1に、本発明に係るパワーコンディショナシステム10Aを示す。同図に示すように、パワーコンディショナシステム10Aは、単相3線式の系統に接続される系統接続用端子Tu,To,Twと、負荷(特に重要負荷)に接続される負荷接続用端子Tl,Tnと、これらの端子Tu,To,Tw,Tl,Tnに接続された系統側フィルタ回路Fと、蓄電システム11に接続される蓄電池接続用端子Tp1,Tn1と、これらに接続された蓄電池側フィルタ回路F1と、第1太陽光発電システム12に接続される第1太陽電池接続用端子Tp2,Tn2と、これらに接続された第1太陽電池側フィルタ回路F2と、第2太陽光発電システム13に接続される第2太陽電池接続用端子Tp3,Tn3と、これらに接続された第2太陽電池側フィルタ回路F3と、系統側フィルタ回路Fおよびフィルタ回路F1,F2,F3の間に接続された電力変換回路CONV,CONV1,CONV2,CONV3とを備えている。
【0020】
パワーコンディショナシステム10Aは、フレームGND端子Tfgと、コイルLとをさらに備えている。コイルLは、フレームGND端子Tfgと筺体GNDとを繋ぐ配線に設けられている。
【0021】
また、パワーコンディショナシステム10Aは、スイッチS1,S2,S3,S4をさらに備えている。このうち、スイッチS1は、系統接続用端子Tuと系統側フィルタ回路Fを繋ぐ配線、および系統接続用端子Twと系統側フィルタ回路Fを繋ぐ配線に設けられている。スイッチS2は、系統接続用端子Tuと負荷接続用端子Tlとを繋ぐ配線、および系統接続用端子Toと負荷接続用端子Tnとを繋ぐ配線に設けられている。スイッチS3は、負荷接続用端子Tlと系統側フィルタ回路Fを繋ぐ配線、および負荷接続用端子Tnと系統側フィルタ回路Fを繋ぐ配線に設けられている。また、スイッチS4は、負荷接続用端子TnとフレームGND端子Tfgを繋ぐ配線に設けられている。
【0022】
蓄電池側フィルタ回路F1は、コモンモードチョークコイルL11,L12と、コモンモードチョークコイルL11,L12よりも電力変換回路CONV1側に設けられたXコンデンサC11およびYコンデンサC12,C13と、コモンモードチョークコイルL11,L12よりも蓄電池接続用端子Tp1,Tn1側に設けられたXコンデンサC14およびYコンデンサC15,C16とを含んでいる。
【0023】
YコンデンサC12,C13は、本発明の「第1Yコンデンサ」に相当する。
図1に示すように、YコンデンサC12,C13(C12とC13との接続点)は、筐体GNDに接続されている。一方、YコンデンサC15,C16は、本発明の「第2Yコンデンサ」に相当する。
図1に示すように、YコンデンサC15,C16(C15とC16との接続点)は、筐体GNDではなく中性端子である系統接続用端子Toに接続されている。
【0024】
電力変換回路CONV1は、双方向に動作するDC/DCコンバータからなる。電力変換回路CONV1は、蓄電池側フィルタ回路F1によってノイズが除去された蓄電システム11の放電電力を昇圧または降圧し、電力変換回路CONVに出力する。また、電力変換回路CONV1は、電力変換回路CONVが出力した直流の電力を昇圧または降圧し、蓄電池側フィルタ回路F1を介して蓄電システム11に出力する。後者の動作により、蓄電システム11の蓄電池は充電される。
【0025】
第1太陽電池側フィルタ回路F2は、コモンモードチョークコイルL21,L22と、コモンモードチョークコイルL21,L22よりも電力変換回路CONV2側に設けられたXコンデンサC21およびYコンデンサC22,C23と、コモンモードチョークコイルL21,L22よりも第1太陽電池接続用端子Tp2,Tn2側に設けられたXコンデンサC24とを含んでいる。
【0026】
YコンデンサC22,C23は、本発明の「第1Yコンデンサ」に相当する。
図1に示すように、YコンデンサC22,C23(C22とC23との接続点)は、筐体GNDに接続されている。一方、第1太陽電池側フィルタ回路F2には、本発明の「第2Yコンデンサ」に相当するコンデンサ(すなわち、コモンモードチョークコイルL21,L22よりも第1太陽電池接続用端子Tp2,Tn2側に設けられたYコンデンサ)は存在しない。
【0027】
電力変換回路CONV2は、一方向にのみ動作するDC/DCコンバータからなる。電力変換回路CONV2は、第1太陽電池側フィルタ回路F2によってノイズが除去された第1太陽光発電システム12の発電電力を昇圧または降圧し、電力変換回路CONVに出力する。
【0028】
第2太陽電池側フィルタ回路F3は、第1太陽電池側フィルタ回路F2と同様、コモンモードチョークコイルL31,L32と、コモンモードチョークコイルL31,L32よりも電力変換回路CONV3側に設けられたXコンデンサC31およびYコンデンサC32,C33と、コモンモードチョークコイルL31,L32よりも第2太陽電池接続用端子Tp3,Tn3側に設けられたXコンデンサC34とを含んでいる。
【0029】
YコンデンサC32,C33は、本発明の「第1Yコンデンサ」に相当する。
図1に示すように、YコンデンサC32,C33(C32とC33との接続点)は、筐体GNDに接続されている。一方、第2太陽電池側フィルタ回路F3には、本発明の「第2Yコンデンサ」に相当するコンデンサ(すなわち、コモンモードチョークコイルL31,L32よりも第2太陽電池接続用端子Tp3,Tn3側に設けられたYコンデンサ)は存在しない。
【0030】
電力変換回路CONV3は、電力変換回路CONV2と同様、一方向にのみ動作するDC/DCコンバータからなる。電力変換回路CONV3は、第2太陽電池側フィルタ回路F3によってノイズが除去された第2太陽光発電システム13の発電電力を昇圧または降圧し、電力変換回路CONVに出力する。
【0031】
電力変換回路CONVは、双方向に動作するDC/ACコンバータからなる。電力変換回路CONVは、電力変換回路CONV1,CONV2,CONV3のうちの1つ以上から出力される直流電力をAC200Vの系統電力に相当する交流電力に変換し、系統側フィルタ回路Fを介して系統または重要負荷に出力する。また、電力変換回路CONVは、系統側フィルタ回路Fを介して入力された系統電力を適当な直流電力に変換し、電力変換回路CONV1に出力する。この直流電力は、蓄電池の充電に利用される。
【0032】
系統側フィルタ回路Fは、コモンモードチョークコイルおよび1つ以上のコンデンサからなる公知の形式のフィルタ回路である。
【0033】
パワーコンディショナシステム10Aは、平滑コンデンサCをさらに備えている。平滑コンデンサCは、電力変換回路CONVおよび電力変換回路CONV1,CONV2,CONV3の間における直流電力の変動を低減させる役割を担っている。
【0034】
このように、本発明に係るパワーコンディショナシステム10Aは、蓄電池側フィルタ回路F1が、コモンモードチョークコイルL11,L12よりも蓄電池接続用端子Tp1,Tn1側に設けられたYコンデンサC15,C16(第2Yコンデンサ)を有し、YコンデンサC15,C16(C15とC16との接続点)が、筐体GNDではなく中性端子である系統接続用端子Toに接続されている点において従来のパワーコンディショナシステム100と相違しているが、これ以外の点においては構成が共通している。
【0035】
本発明に係るパワーコンディショナシステム10Aは、系統に停電等の異常が発生していない通常時においては、スイッチS1,S2が閉状態、スイッチS3,S4が開状態とされる。このとき、パワーコンディショナシステム10Aは、従来のパワーコンディショナシステム100と同様、[動作1a]夜間の安価な系統電力をスイッチS2を介して重要負荷に供給しながら蓄電池を充電すること、[動作2a]昼間の高価な系統電力の購入量を削減するため、蓄電システム11の放電電力をスイッチS1,S2を介して重要負荷に供給すること、[動作3a]太陽光発電システム12,13の発電電力をスイッチS1,S2を介して重要負荷に供給すること、[動作4a]太陽光発電システム12,13の発電電力の余剰分をスイッチS1を介して系統に売電すること、等が可能である。なお、系統連系時には系統接続用端子Toは系統側で接地される。
【0036】
一方、本発明に係るパワーコンディショナシステム10Aは、停電時においては、スイッチS1,S2が開状態、スイッチS3,S4が閉状態とされる。このとき、パワーコンディショナシステム10Aは、従来のパワーコンディショナシステム100と同様、[動作1b]蓄電システム11の放電電力をスイッチS3を介して重要負荷に供給すること、[動作2b]太陽光発電システム12,13の発電電力をスイッチS3を介して重要負荷に供給すること、等が可能である。
【0037】
図2に、夜間停電時における蓄電池接続用端子Tp1の平均雑音端子電圧を示す。測定条件は以下の通りである。
[測定条件]
・スイッチS1,S2:開状態
・スイッチS3,S4:閉状態
・太陽光発電システム12,13:未発電
・重要負荷:定格負荷2.5kW
・電力変換回路CONV,CONV1のスイッチング動作:オン
・電力変換回路CONV2,CONV3のスイッチング動作:オフ
【0038】
同図に示すように、蓄電池接続用端子Tp1の平均雑音端子電圧は、測定を行った全ての周波数において太い実線で示された規格値に対して十分なマージンがあった。これは、蓄電池側フィルタ回路F1にYコンデンサC15,C16を追加したことにより、蓄電池接続用端子Tp1の平均雑音端子電圧、すなわち蓄電池接続用端子Tp1,Tn1から外部に漏れ出すノイズが大幅に低減されたことを示している。
【0039】
以上、本発明に係るパワーコンディショナシステムの一実施形態について説明してきたが、本発明の構成はこれに限定されるものではない。
【0040】
例えば、本発明に係るパワーコンディショナシステムは、
図3に示すパワーコンディショナシステム10Bのように、車載大容量バッテリを充放電させるV2H(Vehicle to Home)システム14に接続されるV2H接続用端子Tp4,Tn4と、これらに接続されたV2H側フィルタ回路F4とをさらに備えていてもよい。V2H側フィルタ回路F4は、太陽電池側フィルタ回路F2,F3と同様、コモンモードチョークコイルL41,L42と、コモンモードチョークコイルL41,L42よりも電力変換回路CONV側に設けられたXコンデンサC41およびYコンデンサC42,C43と、コモンモードチョークコイルL41,L42よりもV2H接続用端子Tp4,Tn4側に設けられたXコンデンサC44とを含んでいる。そして、YコンデンサC42,C43(C42とC43との接続点)は、筐体GNDに接続されている。
【0041】
このパワーコンディショナシステム10Bによれば、[動作5a]通常時に車載大容量バッテリの放電電力をスイッチS1,S2を介して重要負荷に供給すること、[動作3b]停電時に車載大容量バッテリの放電電力をスイッチS3を介して重要負荷に供給すること、も可能である。
【0042】
この場合、筐体GNDへ流出するノイズがさらに増加するが、前述の通り、コモンモードチョークコイルL11,L12よりも蓄電池接続用端子Tp1,Tn1側にYコンデンサC15,C16(第2Yコンデンサ)を設けるとともに、YコンデンサC15,C16(C15とC16との接続点)を中性端子である系統接続用端子Toに接続しておけば、蓄電池接続用端子Tp1の平均雑音端子電圧を効果的に低減することができる。
【0043】
また、本発明に係るパワーコンディショナシステムは、蓄電システム11、第1太陽光発電システム12、第2太陽光発電システム13およびV2Hシステム14から選ばれた3つ以下の外部直流電源に接続されるよう構成されていてもよいし、これらの幾つかを含む5つ以上の外部直流電源に接続されるよう構成されていてもよい。さらに、本発明に係るパワーコンディショナシステムは、外部直流電源としての燃料電池システムに接続されるよう構成されていてもよい。
【0044】
また、例えば、V2H接続用端子Tp4,Tn4からV2Hシステム14に漏れ出すノイズを低減したい場合は、V2H側フィルタ回路F4に第2Yコンデンサに相当するコンデンサ(筺体GNDではなく中性端子である系統接続用端子Toに接続されたYコンデンサ)を追加すればよい。
【0045】
さらに、例えば、第1太陽電池接続用端子Tp2,Tn2から第1太陽光発電システム12に漏れ出すノイズ、および第2太陽電池接続用端子Tp3,Tn3から第2太陽光発電システム13に漏れ出すノイズの両方を低減したい場合は、第1太陽電池側フィルタ回路F2および第2太陽電池側フィルタ回路F3の両方に第2Yコンデンサに相当するコンデンサ(筺体GNDではなく中性端子である系統接続用端子Toに接続されたYコンデンサ)を追加すればよい。ただし、第2Yコンデンサに相当するコンデンサの数を増やすと、中性端子である系統接続用端子Toがノイズに汚染され、かえって十分なノイズ漏れ出し抑制効果が得られなくなるので、効果を見極めた上で追加の要否を決定する必要がある。
【符号の説明】
【0046】
10A,10B パワーコンディショナシステム
11 蓄電システム
12 第1太陽光発電システム
13 第2太陽光発電システム
14 V2Hシステム
CONV 電力変換回路(双方向DC/ACコンバータ)
CONV1 電力変換回路(双方向DC/DCコンバータ)
CONV2 電力変換回路(DC/DCコンバータ)
CONV3 電力変換回路(DC/DCコンバータ)
F 系統側フィルタ回路
F1 蓄電池側フィルタ回路(外部直流電源)
F2 第1太陽電池側フィルタ回路(外部直流電源)
F3 第2太陽電池側フィルタ回路(外部直流電源)
F4 V2H側フィルタ回路(外部直流電源)
Tu,To,Tw 系統接続用端子
Tl,Tn 負荷接続用端子
Tfg フレームGND端子
Tp1,Tn1 蓄電池接続用端子(電源接続用端子)
Tp2,Tn2 第1太陽電池接続用端子(電源接続用端子)
Tp3,Tn3 第2太陽電池接続用端子(電源接続用端子)
Tp4,Tn4 V2H接続用端子(電源接続用端子)