(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のものでは、作動部材の下降によりエアシリンダの内部の空気を気液混合室へ圧送した後、作動部材が上昇するに伴い、前記内向きフランジの内縁と作動部材との間隙を含むエア導入路を介して前記エアシリンダの内部へ外気を導入するように構成されていた。従ってエア導入路の入口付近に水滴が付着していると、外気の吸い込みに伴って水分がエアシリンダ内へ引き込まれる可能性があった。
このようにしてエアシリンダ内に水が溜まることになると、エアシリンダ内の有効容積が低減し、これによりエアシリンダから気液混合室に送られる空気の量が減るため、気液の混合比率が変化する可能性がある。さらにエアシリンダ内に溜まる水の量が多くなると、エアシリンダから気液混合室へ送る流体に水が混じってしまうおそれもある。
【0005】
本発明の目的は、前述の不都合を低減し、装着部材と作動部材との間隙からの液体の浸入を有効に防止できる提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、本発明の基本的構成を説明する。
基本的構成は、容器体の口頸部に嵌合可能な装着筒部4を有するとともに、装着筒部4の上部から内向きフランジ8を内方突出させてなる装着部材2と、
この装着部材2より下方へ垂設させたシリンダ部材14と、
シリンダ部材14内に上方付勢状態で昇降可能に下部を嵌挿するとともに、吐出ヘッド34を含む上部を前記内向きフランジ8の内側より上方突出させた作動部材20と
を具備し、
前記シリンダ部材14は、大径のエアシリンダ14aから小径の液用シリンダ14bを垂設させてなり、作動部材20は、前記エアシリンダ14a内に嵌挿されたエアピストン32と前記液用シリンダ14b内に嵌挿された液用ピストン22とを有し、作動部材20の下降により、エアシリンダ14a内から圧送されるエアと液用シリンダ14bから圧送される液体を混合させ、起泡部30を介して泡として前記吐出ヘッド34から吐出可能に設けた泡吐出器において、
前記装着部材2の内面に、前記装着筒部4下方からエアシリンダ14a内へ至るエア導入路Aを穿設するとともに、
前記内向きフランジ8の内周から前記作動部材20の外周面を囲む案内筒部9を起立させ、この案内筒部9と作動部材20の外周面との間隙Bを周方向全体に亘って塞ぐ防水用シール手段Sを形成した。
【0007】
前記構成では、図1に示す如く、前記内向きフランジ8の内周から起立する案内筒部9と前記作動部材20の外周面との間隙Bを周方向全体に亘って塞ぐ防水用シール手段Sを形成している。これにより前記間隙Bからエアシリンダ14aへ水や異物が入ることを防止できる。しかしながら、単に前記間隙をシールすると、エアシリンダ14a内への外気の導入が不十分になるおそれがある。そこで前記装着部材2内にエア導入路Aを穿設した。
【0008】
「防水用シール手段」は、装着部材及び作動部材の間隙からの浸水を抑制するために当該間隙をシールする手段である。
「エア導入路」は、装着部材2及びエアシリンダ14aの周方向に少なくとも一箇所に設ければ良いが、複数箇所設けても構わない。
“エア導入路を穿設させて”とは、装着筒部4の内周面を凹設させて流路を形成するという程度の意味であり、例えば装着筒部4の内面に形成されたネジ部の周方向の一部を縦方向に欠除させることを含む。これにより材料である樹脂量を低減することができる。
【0009】
第
1の手段は、
前記基本的構成を有し、かつ前記防水用シール手段Sは、前記
案内筒部9の内周面から突出されるとともに作動部材20の外周面に液密に接するスカート状のシール片10として形成されて
おり、
前記シール片10は、前記案内筒部9の上端面に、周方向全体に亘って案内筒部9の上端部を内外2重に分割する環状の切溝9aを穿設することにより、その切溝9a内方の筒壁部分で形成された。
【0010】
本手段では、防水用シール手段Sとして、スカート状のシール片10を設けている。これにより、作動部材20や案内筒部9の成形誤差による寸法のばらつきをシール片10の変形によってカバーすることができる
。このシール片10は、
図1に示すように、案内筒部9の内周面から突出して作動部材20の外周面に接している
。シール片10は、これを付設する部材と一体に形成することが好適であるが、予め別体に成形しても、機能上問題はない。
【0012】
また本手段では、記案内筒部9の上端面に、周方向全体に亘って案内筒部9の上端部を内外2重に分割する環状の切溝9aを穿設することにより、その切溝9a内方の筒壁部分でシール片10を形成している。これにより、パーツ数を増やさずにシール片の機能を組み込むことができる。
【0013】
第
2の手段は、
前記基本的構成を有し、かつ
前記案内筒部9の内周面又は作動部材20の外周面の一方から作動部材20の横方向に動きを規制する環状リブ9bを突出した。
【0014】
本手段では、案内筒部9の内周面又は作動部材20の外周面の一方から作動部材20の横方向に動きを規制する環状リブ9bを突出している。これにより、作動部材20の操作時に作動部材の好ましくない横ブレを防止できる。環状リブ9bは、案内筒部9の内周面又は作動部材20の外周面のうち前記シール片10の付設箇所以外の場所に設けると良い。
【0015】
第
3の手段は、第1の手段
又は第2の手段に記載の泡吐出器1を、容器体100の口頸部に装着させてなる泡吐出容器であって、
前記装着筒部4下方からエアシリンダ14a内へ至るエア導入路Aとして、前記装着筒部4の内面に穿設されたエア導入路に代えて、前記口頸部101の外面に穿設させたエア導入路を形成した。
【0016】
本手段では、発明の対象物を泡吐出器と容器体とからなる泡吐出容器とするとともに、前記装着筒部4下方からエアシリンダ14a内へ至るエア導入路Aとして、前記装着筒部4の内面に穿設されたエア導入路に代えて、前記口頸部101の外面に穿設させたエア導入路を形成している。この構成によっても、装着部材2の下方から好適に外気を導入することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の基本的構成によれば、前記装着部材2の内面に、前記装着筒部4下方からエアシリンダ14a内へ至るエア導入路Aを穿設するとともに、前記内向きフランジ8の内周から前記作動部材20の外周面を囲む案内筒部9を起立させ、この案内筒部9と作動部材20の外周面との間隙Bを周方向全体に亘って塞ぐ防水用シール手段Sを形成したから、作動部材20と案内筒部9との間からエアシリンダ14a内への水や異物の進入を効果的に抑制できるともに、装着筒部4の下方からエアシリンダ14a内への所要の給気を確保できる。
第
1の手段に係る発明によれば、前記防水用シール手段Sは、前記
案内筒部9の内周面から突出されるとともに作動部材20の外周面に液密に接するスカート状のシール片10として形成されたから、案内筒部9へ作動部材20を挿入する際に、案内筒部9及び作動部材20の成形誤差をシール片10の変形によりカバーすることができ、良好なシール性を確保できる。
また第
1の手段に係る発明によれば、前記シール片10は、前記案内筒部9の上端面に、周方向全体に亘って案内筒部9の上端部を内外2重に分割する環状の切溝9aを穿設することにより、その切溝9a内方の筒壁部分で形成されたから、案内筒部9の構成にシール片10を一体的に取り入れることができ、部品数が増えることがない。
第
2の手段に係る発明によれば、前記案内筒部9の内周面又は作動部材20の外周面の一方から作動部材20の横方向に動きを規制する環状リブ9bを突出したから、作動部材20の操作時のガタツキを少なくすることができる。
第
3の手段に係る発明によれば、前記防水用シール手段Sを形成するとともに、前記装着筒部4の内面に穿設されたエア導入路に代えて、前記口頸部101の外面に穿設させたエア導入路を形成したから、エアシリンダ内への液体や異物の進入を防止できるとともに、エアシリンダ内への所要の給気を十分に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1から
図5は、本発明の泡吐出器を備えた泡吐出容器の第1実施形態を示す。
泡吐出容器は、泡吐出器1と、容器体100とを具備する。
泡吐出器1は、装着部材2と、シリンダ部材14と、作動部材20と、ポペット弁体38とを備えている。これら各部材は、例えば合成樹脂や金属で形成することができる。
説明の都合上、本発明の構成及び作用のうちの一般的な事柄を先に解説する。
【0020】
装着部材2は、内面に第1ネジ部6を形成した装着筒部4を有し、この装着筒部4の上端縁より内向きフランジ8を延設している。図示例では、前記内向きフランジ8の内周部からは、案内筒部9を起立しており、前記内周部から垂下筒部11を垂設している。もっともこれらの構造は適宜変更することができる。前記案内筒部9は、間隙Bを介して作動部材20の外周面を囲んでいる。
【0021】
シリンダ部材14は、前記装着部材2裏面外周部へ上端部を固定させた大径のエアシリンダ14aを有し、このエアシリンダ14aの下部から小径の液用シリンダ14bを延設している。好適な図示例では、エアシリンダ14aの上端に付設した鍔部14cを、パッキン18を介して、前記口頸部101と内向きフランジ8との間に挟持させている。この構成についてはさらに後述する。
前記エアシリンダ14aの周壁上部には透孔15が開口されている。
前記液用シリンダ14bは、上側の直筒部分と連続する下端小径のテーパ状底部を有し、この底部の上面を第1液用弁座16としている。また前記底部から、吸上げ用パイプ19取付用のパイプ嵌合筒14eを一体に垂設させている。
前記テーパ状部から直筒部分の下端部に亘って、液用シリンダ14bの内周面からは、スプリング係止用の上向き段部を有する複数の係止リブ17が内方突設されている。
【0022】
作動部材20は、本実施形態では、液用ピストン22と、ステム24と、保持筒25と、エアピストン32と、吐出ヘッド34とを具備する。これらの構造は適宜変更することができる。
【0023】
前記液用ピストン22は、縦向きの嵌合筒部22aの下端からスカート状に拡開する摺動筒部22bを有し、かつ嵌合筒部22aの上端より、第3液用弁座22cである小径筒部を上方へ突設している。この小径筒部と前記係止リブ17の上向き段部との間にはコイルスプリングcが介装されている。また前記摺動筒部22bは液用シリンダ14b内面に摺動可能に嵌合されている。
【0024】
前記ステム24は、上下端を開口した筒体であり、その筒壁下方へ前記摺動筒部22bが突出されるように、筒体下半を液状ピストン22の嵌合筒部22a外面に組み付けるとともに、筒体上半に、エアシリンダ14内面を摺動する後述の空気ピストン32を連携させて、シリンダ部材4内を上下動可能に設けている。
前記ステム24の筒壁24a上半部内には、環状弁座24bが形成され、この弁座上に玉弁bを載置することで第2液用逆止弁VL2を形成している。
また、環状弁座24bと前記第3液用弁座22cとの間においてステムの内面には複数の第1縦突条24cが縦設されている。更に、外面上下方向中間部からは、第2エア用弁座24eを外向きフランジ状に突設させている。また、第2エア用弁座24eの上側では、ステム24の外周に複数の第2縦突条24dが形成されている。
【0025】
保持筒25は、前記ステム24の上端部内に下半筒部25aを嵌着させるとともに、ステム上方へ上半筒部25bを上方へ突出させている。この上半筒部25b内には、メッシュを筒口に張設させた単一又は複数の筒体からなる起泡部30が装着されている。前記下半筒部25aは、弁体押さえ手段として、前記玉弁bに接近している。下半筒部25aの外面には、後述の空気通路Pと連通する流路孔26が形成されている。
【0026】
前記エアピストン32は、ステム24を囲む筒状弁部32aを有し、この筒状弁部32a外周より階段状の隔壁32bを介して、筒状ピストン32cを延設している。前記筒状弁部32aの下端部と前述の第2エア用弁座24eとは第2エア用逆止弁VA2を形成している。
前記筒状ピストン32は、エアシリンダ14a内周へ摺動可能に嵌合させている。
前記筒状弁部32aは、ステム24の外周面上で第2エア用弁座24eと後述の取付用筒部35の段差eとの間の相対的に小さな幅で上下動するように設けられている。ステム24の外面には前述の第2縦突条24dが縦設されているため、ステム24と筒状弁部32aとの間には空気通路Pの一部である間隙gが形成されている。
また前記隔壁32bには、外気導入弁である第1エア用逆止弁VA1が形成されている。図示例の第1エア用逆止弁は、前記隔壁に穿設した弁孔とこの弁孔を裏側から閉塞する弾性弁板とで形成されているが、その構成は適宜変更することができる。
【0027】
前記吐出ヘッド34は、頂板34a裏面より、ステム24の外周上端部に嵌合させた取付用筒部35を垂設し、この取付用筒部35の上部からノズル34cを側方へ突設している。前記頂板34aの外周部からは、ノズルの突出箇所を除いて、ヘッド周壁34bが垂下されている。
取付用筒部35は、図示例では、小内径の上方筒部35aから中間筒部35bを経て大内径の下方筒部35cを垂下している。中間筒部35bと下方筒部35cとの間の段差eは前述の筒状弁部32aの摺動範囲を制限している。
下方筒部35cは筒状弁部32aの上部の外面へ嵌合されている。
前記中間筒部35bの内周面には、環状凹部と連続させて上方へ延びる複数の縦溝37が形成されている。
縦溝37の上端部は、径方向の内側に開口して、ステム24の上部内に形成される気液混合室Rに連通している。この縦溝37と間隙gとは空気通路Pを構成する。
前記上方筒部35aの下部には、前記保持筒25の上半筒部25bが嵌着されている。この上半筒部より上方において、上方筒部35aの内面には複数の縦リブrが縦設されており、起泡部30の上方抜け出しを防止している。
【0028】
ポペット弁体38は、その下端部に設けた複数の係止突部38aと、その上端側に形成されたテーパ状弁体38bとを有する。
前記各係止突部38aは、液用シリンダ14bの係止リブ17の間へ、コイルスプリングC下面と当接可能な位置まで突設されている。これにより、ポペット弁体38は、係止突部がコイルスプリングに当接する位置と、ポペット弁体38の下面が第1液用弁座16に当接する位置との間で上下動することが可能である。ポペット弁体38の下端部と第1液用弁座16とで第1液用逆止弁VL1が形成されている。
前記テーパ状弁体38bは、前記第3液用弁座22cに係止されている。これらテーパ状弁体38bと第3液用弁座22cとで第3液用逆止弁VL3が形成されている。
【0029】
図1の状態から吐出ヘッド34を押し下げると、ステム24及び液用ピストン22が下降するので、ポペット弁体38も下がって第1液用弁座16に着座することで、第1液用逆止弁VL1が閉じる。さらにポペット弁体38に対して液用ピストン22が下降することで第3液用逆止弁VL3及び第2液用逆止弁VL2が開く。そして液用シリンダ内の高圧液体が気液混合室R内へ流入する。また吐出ヘッド34の押下げにより、ステム24がエアピストン32に対して相対的に下降するため、第2エア用逆止弁VA2が開き、エアシリンダ14a内の空気が空気通路Pを経て気液混合室R内へ流入する。そして気液混合室R内で空気と液体とが混合した後に起泡部30を通過して、泡がノズル34cから放出される。
前記吐出ヘッド34の押し下げを解放すると、コイルスプリングCの上方付勢力により作動部材20が上昇して、液圧が低下することにより、第2液用逆止弁VL2が閉じるとともに、コイルスプリングCで上方付勢される液用ピストン22と接するポペット弁体38が引き上げられて、第1液用逆止弁VL1が開き、液用シリンダ14b内が負圧化して容器体100内の液体が吸い込まれる。また前記液用ピストン22に組み付けられたステム24がエアピストン32に先行して上昇することで第2エア用逆止弁VA2が閉じ、その後にステム24とともにエアピストン32が上昇することにより、エアシリンダ14a内が負圧化され、外気が導入される。外気導入の仕組みについては後述する。
【0030】
容器体100は、胴部から起立する口頸部101を有し、この口頸部の外面に前記第1ネジ部6とのかみ合いが可能な第2ネジ部102を有する。
【0031】
本発明においては、装着部材と作動部材との間に防水用シール手段Sが形成され、さらに装着部材2の装着筒部4下方側からエアシリンダ14a内へ至るエア導入路Aが設けられている。
【0032】
防水用シール手段Sは、
図1に示す装着部材2の案内筒部9の内周面と作動部材20の外周面との間隙Bを水密に閉塞する手段である。“防水”とは、本発明の容器を例えば浴室で使用する場合に、シャワーなどの水が前記間隙Bから入ることを防止する手段である。これにより、エアシリンダ14aの内部のうちエアピストン32の上側の空間に水が溜まることを防止する。
前記防水用シール手段Sは、水自体だけでなく、水に含まれる異物の進入も防止することができる。
本実施形態では、前述の防水用シール手段Sを、
図2に示す如く、スカート状のシール片10として形成している。スカート状としたのは、作動部材20或いは装着部材2の成形誤差による寸法のバラツキをカバーし、シール性を担保するためである。通常の容器の素材に用いられる材料(合成樹脂など)で形成して前記成形誤差による寸法のバラツキをカバーできる程度の可変形性を実現できるように、シール片10の厚さ及び強度を設計するものとする。作動部材のブレに対応してシール片が弾性変形するように設けると、よりシール性能が高まる。
図示例では、前記案内筒部9の上端面に、案内筒部9の内縁から一定の距離を存して環状の切溝9aを一定の深さで穿設することにより、案内筒部9の上端部を2重筒状に形成している。そして切溝9aの内側の筒壁部分を、上端小径のテーパ状に形成して、前記シール片10としている。このシール片10の上端部は、作動部材20の外周面に摺動可能にかつ水密に圧接されている。
図示の切溝9aの内側の筒壁部分は、切溝9aの外側の筒壁部分より薄肉に形成されており、前記寸法のバラツキに対応して、より変形し易い形状になっている。
本実施形態の構成によれば、容器のパーツ数を増やすことなく、装着部材2においてシール片10の構造を採用することができる。
もっとも、この構成は必ずしも必須ではない。シール片10は、例えば案内筒部9の内面側にインサート成形により取付筒部を埋設させるとともに、この取付筒部から先端小径のスカート状部を突出した構造としてもよい。この場合には、シール片10の設置箇所は、案内筒部9の上部に限定されない。
図示例のシール片10は、
図2に示す如く、直筒状の下方筒壁部10aと、上側が窄まるテーパ状の中間筒壁部10bと、直筒状の上側筒壁部10cとで形成されているおり、この上側筒壁部10cの内周面を作動部材20の外周面に対して上下方向に一定の幅を設けて面接されるので、シール片10は装着部材2全体に比較して小さな部分でありながら、十分な水密性を実現できる。もっともこの構造は適宜変更することができる。
また本実施形態では、取付用筒部35の上部において、下面を下向き段部36aとするストッパ36が形成されており、
図3に示す如く作動部材20が装着部材2に対して下限位置まで降下したときに、前記ストッパ36の下向き段部36aとシール片10の上端面とが突き当たるように形成している(
図4参照)。
【0033】
前記エア導入路Aは、縦通路A1と横通路A2とで形成している。
前記縦通路A1は、装着筒部4の内面の第1ネジ部6の少なくとも周方向の一部を欠除させてなる欠除部6aを含む。図示例では、この欠除部の形成箇所をさらに薄肉化するために装着筒部4の内面に縦溝部6bを穿設している。もっともこの構造は適宜変更できるものとし、例えば縦溝部6bは省略しても構わない。
前記欠除部6aは第1ネジ部6の上下方向全体に亘って形成されている。図示例では、
図3に示す如く、第1ネジ部の周方向4箇所を等間隔で間欠させているが、間欠箇所の数は適宜変更することができ、また一箇所のみを欠除しても構わない。
欠除部6aの数と周方向の巾は、ネジとしての機能を損なわない範囲で、エアシリンダ14a内に十分な外気を導入できるように設計するものとする。またネジ部の欠除部に対応して装着筒部の内面に縦溝部を穿設することで縦通路の流路を拡大させてもよい。
また図示例では、装着筒部4の上部を大内径部5に形成するとともに、この大内径部の周方向の一部を溝状に切欠いて前記欠除部6aと横通路A2とを連通させている。
横通路A2は、縦通路A1の上端側からエアシリンダ14aに内部へ連通している。
図示例では、シリンダの鍔部14cの外端から一定の高さの筒状スペーサ14dを起立するとともに、この筒状スペーサの上端部の周方向の一部を切り欠いて通気孔acを形成するとともに、内向きフランジ8の裏面に半径方向の横溝部8aを形成し、これら透孔15及び横溝部8aが、横通路A2の出口である通気口ap及び縦通路A1に連通するように設けている。もっとも横溝部8a及び透孔15付きの筒状スペーサ14dの何れか一方は省略してもよい。図示例では、シリンダ部材14の上端面と内向きフランジ8の裏面とが離間するようにシリンダ部材14を設計し、これら両面の間に前記通気口apが開口するようにしているが、この構造も適宜変更することができる。
このエア導入路Aにより、エアシリンダ14a内に対して装着筒部4の下方から十分に外気を導入することができる。
【0034】
前記構成によれば、泡吐出器1を容器体100の口頸部101に取り付けた状態において、装着部材2の案内筒部9及び作動部材20の外周面の間隙Bは、防水用シール手段Sにより塞がっているので、外部の水が前記隙間を通ってエアシリンダ14a内に溜まることを規制している。
この状態から、吐出ヘッド34を押し下げると、作動部材20のステム24に追従してエアピストン32が下降し、
図5に示す如く、外気がエア導入路Aを介してエアシリンダ14aの内部のうちエアピストン32の上側へ入る。エアピストン32が透孔15より下がると、外気は容器体内に入って容器体内の負圧を解消する。
作動部材を下限位置まで押下げ、次にこの押下げを解放すると、作動部材のステム24とともにエアピストン32が上昇するために、エアピストン32とエアシリンダ14aとで画成される空間(空気室)が負圧化される。これにより、第1エア用逆止弁VA1が開き、外気が、エア導入路A及び第1エア用逆止弁VA1を通って、上記空気室に入る。
【0035】
以下、本発明の他の実施形態を説明する。これらの説明において、第1実施形態と同じ構成については、解説を省略する。
【0036】
図6は、本発明の第2実施形態に係る吐出容器を示している。この実施形態では、案内筒部9の内周面から環状リブ9bを内方突出している。これにより、作動部材20の不意の横ブレを規制し、作動部材の安定的な昇降が可能となる。図示例では、環状リブ9bの内端と作動部材20の外周面との間に隙間が生ずるように環状リブ9bの突出長を設定している。
【0037】
図7は、本発明の第3実施形態に係る吐出容器を示している。この実施形態では、装着筒部4の第1ネジ部6に欠除部6aを設ける代わりに、容器体100の口頸部101の外面に形成された第2ネジ部102に欠除部102aを設けることで、エア導入路Aを形成している。更に欠除部に対応させて口頸部に縦溝部101aを設けてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1…泡吐出器
2…装着部材 4…装着筒部 5…大内径部
6…第1ネジ部 6a…欠除部 6b…縦溝部
8…内向きフランジ 8a…横溝部
9…案内筒部 9a…切溝 9b…環状リブ 10…シール片 10a…下方筒壁部
10b…中間筒壁部 10c…上側筒壁部 11…垂下筒部
14…シリンダ部材 14a…エアシリンダ 14b…液用シリンダ
14c…鍔部 14d…筒状スペーサ 14e…パイプ嵌合筒 15…透孔
16…第1液用弁座 17…係止リブ 18…パッキン 19…吸上げ用パイプ
20…作動部材 22…液用ピストン 22a…嵌合筒部
22b…摺動筒部 22c…第3液用弁座
24…ステム 24a…筒壁 24b…環状弁座 24c…第1縦突条
24d…第2縦突条 24e…第2エア用弁座
25…保持筒 25a…下半筒部 25b…上半筒部 26…流路孔
30…起泡部
32…エアピストン 32a…筒状弁部 32b…階段状の隔壁
32c…筒状ピストン
34…吐出ヘッド 34a…頂板 34b…ヘッド周壁 34c…ノズル
35…取付用筒部 35a…上方筒部 35b…中間筒部 35c…下方筒部
36…ストッパ 37…縦溝
38…ポペット弁体 38a…係止突部、38b…テーパ状弁体
100…容器体 101…口頸部 101a…縦溝部 102…第2ネジ部
102a…欠除部
A…エア導入路 A1…縦通路 A2…横通路 ac…通気孔 ap…通気口
B…間隙 b…玉弁 c…コイルスプリング g…間隙 P…空気流路
R…気液混合室 r…縦リブ S…シール手段
VA1…第1エア用逆止弁 VA2…第2エア用逆止弁
VL1…第1液用逆止弁 VL2…第2液用逆止弁 VL3…第3液用逆止弁