(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記音響エネルギー源は、前記ノズルの前記出口開口部と当該音響エネルギー源との間の距離、及び/又は、当該音響エネルギー源と前記ノズルの前記縦軸との間の角度を変化させるように調節可能である、請求項1に記載のノズルアセンブリ。
前記1つまたは複数の粒子ろ過システムが、少なくとも1つの高圧収集フィルタシステムと前記収集フィルタの下流に直列した少なくとも1つの低圧捕集フィルタシステムとを含む直列粒子ろ過システムを含む、請求項9に記載の粒子作製システム。
前記捕集装置内で捕集された1つまたは複数の粒子を測定するよう構成された試料採取システムをさらに含む、請求項9〜12のいずれか1項に記載の粒子作製システム。
(i)加圧チャンバを画定し、遠位端と近位端とを備えた容器と、(ii)前記容器の前記近位端にある前記加圧チャンバの第一の注入口と、(iii)前記加圧チャンバの内部に位置するノズルであって、前記加圧チャンバの前記第一の注入口と流体連通している注入管を備え、出口開口部を備え、前記容器の前記近位端と前記ノズルの前記出口開口部との間の距離を変化させるよう調節可能であり、前記容器の縦軸と前記ノズルの縦軸との間の距離を変化させるよう調節可能であるノズルと、(iv)前記加圧チャンバ内に位置し、かつ、前記ノズルの前記出口開口部から離れて位置する音響エネルギー源と、(v)前記容器の前記遠位端にある前記加圧チャンバの出口とを備えたノズルアセンブリを準備する段階と、
前記加圧チャンバ内の前記音響エネルギー源を前記ノズルの前記出口開口部に近接させて配置する段階と、
前記加圧チャンバ内で第一の流体および第二の流体を受け取る段階であって、前記第一の流体が前記ノズルの前記出口開口部を通って前記音響エネルギー源上に移動し、前記第二の流体が前記加圧チャンバの第二の注入口を通って移動し、それにより前記加圧チャンバ内に複数の粒子が生じる段階と、
前記加圧チャンバの前記出口から前記複数の粒子を受け取る段階と、
捕集装置内で前記複数の粒子を捕集する段階と、
前記複数の粒子のうちの1つまたは複数の粒子のサイズを求める段階と
を含む、粒子を形成する方法。
前記求めた差に応じて、前記容器の前記近位端と前記ノズルの前記出口開口部との間の距離および前記容器の縦軸と前記ノズルの縦軸との間の角度のうちの少なくとも一方を調節する段階をさらに含む、請求項15に記載の方法。
前記音響エネルギー源から前記音響エネルギー源の最大音響エネルギー出力の10%〜100%の振幅を有する音響エネルギーが発生する、請求項14〜17のいずれか1項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(発明の詳細な説明)
引用される参考文献はいずれも、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で使用される単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上そうでないことが明らかでない限り、複数形の指示対象を包含する。本明細書で使用される「および(ならびに」は、文脈上そうでないことが明らかでない限り、「または(もしくは、あるいは)」と互換的に使用される。本発明の任意の態様の実施形態はいずれも、文脈上そうでないことが明らかでない限り、組み合わせて用いることができる。
【0008】
本明細書で使用される「溶媒」という用語は、溶質を溶解させて溶質含有流体(プロセス流体)を形成する流体を指す。溶媒はこのほか、溶質含有溶媒を貧溶媒に入れることによって溶質が沈殿して粒子を形成するよう貧溶媒に対して可溶性または混和性でなければならない。溶媒は通常、有機溶媒である。適切な有機溶媒としては、エタノール、メタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジクロロメタン、クロロホルム、ヘキサフルオロイソプロパノール、ジエチルエーテル、ジメチルアミドおよびその混合物が挙げられる。
【0009】
本明細書で使用される「貧溶媒」という用語は、用いる条件下で超臨界流体を形成することが可能な圧縮流体を指す。適切な超臨界流体形成貧溶媒は、二酸化炭素、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、亜酸化窒素、キセノン、六フッ化硫黄およびトリフルオロメタンを含み得る。
【0010】
本明細書で使用される「容器の縦軸」は、容器の上面および底面と交わる軸を意味する。
【0011】
本明細書で使用される「ノズルの縦軸」は、ノズルの出口開口部の中間点と交わる軸を意味する。
【0012】
本明細書で使用される「比表面積」とは、ブルナウアー・エメット・テラー(「BET」)等温式(すなわち、BET SSA)によって測定される粒子質量単位当たりの粒子の総表面積のことである。
【0013】
本明細書で使用される「約」は、記載される数値の±5%を意味する。
【0014】
一態様では、本発明は、(a)加圧チャンバを画定し、遠位端と近位端とを備えた容器と、(b)容器の近位端にある加圧チャンバの注入口と、(c)加圧チャンバの内部に位置するノズルであって、加圧チャンバの注入口と流体連通している注入管を備え、出口開口部を備え、容器の近位端とノズルの出口開口部との間の距離を変化させるよう調節可能であり、容器の縦軸とノズルの縦軸との間の角度を変化させるよう調節可能であるノズルと、(d)容器の遠位端にある加圧チャンバの出口とを備えた、ノズルアセンブリを含む。
【0015】
本発明のシステムおよび方法は、先行技術に開示されているものに大幅な改善をもたらす。本発明の方法は、比表面積(SSA)特性が大幅に改善され、ひいては治療利益が大幅に改善された本発明の粒子を作製することが可能である。特に、本発明者らは予想外にも、本明細書に記載される新規なノズルアセンブリおよび使用法を用いて、少なくとも18m
2/gの比表面積(SSA)を有する粒子を含む、組成物を作製することができた。ノズルアセンブリによって作製される粒子の比表面積が増大することにより、未加工粒子および比較用の粉砕製品に比して溶解速度が有意に増大する。溶解は固体/液体界面でのみ起こる。このため、比表面積が増大すると、溶解溶媒と接している粒子の表面の分子数が増加することによって溶解速度が増大する。これにより、例えば腫瘍治療へのこのような粒子の使用が大幅に改善される。
【0016】
新規なノズルアセンブリおよび使用法によってこのような大幅な改善がもたらされるのは、少なくとも部分的には、ノズル外部にありノズルの出口開口部から所与の距離にある音響エネルギー源を用いることにより、音響エネルギーが大幅に増大し、ノズルを出る溶媒/溶質流の破壊が促進されることによる。先行技術には、収束/発散ノズルを用いて音響エネルギーを発生させ圧縮貧溶媒沈殿法を用いて粒子を作製する例示的工程が記載されている。これに対し、本発明の方法は、ノズル外部にありノズルオリフィスのすぐ外側にある音響エネルギー源の使用を組み入れて音響エネルギーを大幅に増大させ、ノズルから出る溶媒/化合物流の破壊を促進するものであり、これによりSSA特性が大幅に増強された粒子が作製される。
【0017】
図面を参照すると、
図1Aに示されるように、本発明は、加圧チャンバ104を画定する容器102を備えたノズルアセンブリ100を含む。容器102は遠位端106と近位端108とを備えている。ノズルアセンブリ100はさらに、容器102の近位端108にある加圧チャンバ104の注入口110を備えている。ノズルアセンブリ100はさらに、加圧チャンバ104の内部に位置するノズル112を備えている。
図1Aに示されるように、ノズル112は、加圧チャンバ104の注入口110と流体連通している注入管114を備えている。さらに、ノズル112は出口開口部116を備えている。さらに、
図1Aに示されるように、ノズル112は、容器102の近位端108とノズル112の出口開口部116との間の距離118を変化させるよう調節可能になっている。
図1Bに示されるように、ノズル112はさらに、容器の縦軸122とノズルの縦軸124との間の角度120を変化させるよう調節可能になっている。さらに、ノズルアセンブリ100は、容器102の遠位端106にある加圧チャンバ104の出口126を備えている。
【0018】
ノズルアセンブリ100はさらに、第一のリザーバ128と第二のリザーバ130とを備えていてよい。第一のリザーバ128には溶媒が供給され、第二のリザーバ130には貧溶媒が供給され得る。加圧チャンバ104の注入口110は第一のリザーバ128と流体連通していてよく、加圧チャンバ104の第二の注入口132は第二のリザーバ130と流体連通していてよい。1つの例では、第一のリザーバ128がノズル112の注入管114と流体連通しているため、溶媒がノズル112を通って加圧チャンバ104に入る。これ以外の例も考えられる。
【0019】
ノズル112の出口開口部116は、ノズル112内に渦が生じて溶媒が乱流によりノズル112から出るよう複数の隆起部を備えていてよい。別の例では、ノズル112は、溶媒が乱流によりノズル112から出るようノズル112の内部に多孔性フリットを備えていてよい。また別の例では、ノズル112の出口開口部116は、溶媒が乱流によりノズル112から出るよう直径が小さくなっていてよい(のちにさらに詳細に述べる)。乱流を生じさせる上記の種々の実施形態は、加圧チャンバ104内での溶媒と貧溶媒の混合を補助し得るものである。さらに、ノズル112の注入管114は、約1.5875mm〜約6.35mmの範囲の内径を有し得る。
【0020】
他の種々の実施形態では、ノズル112の出口開口部116は、直径が約20μm〜約125μm、約20μm〜約115μm、約20μm〜約100μm、約20μm〜約90μm、約20μm〜約80μm、約20μm〜約70μm、約20μm〜約60μm、約20μm〜約50μm、約20μm〜約40μm、約20μm〜約30μm、約30μm〜約125μm、約30μm〜約115μm、約30μm〜約100μm、約30μm〜約90μm、約30μm〜約80μm、約30μm〜約70μm、約30μm〜約60μm、約30μm〜約50μm、約30μm〜約40μm、約40μm〜約125μm、約40μm〜約115μm、約40μm〜約100μm、約40μm〜約90μm、約40μm〜約80μm、約40μm〜約70μm、約40μm〜約60μm、約40μm〜約50μm、約50μm〜約125μm、約50μm〜約115μm、約50μm〜約100μm、約50μm〜約90μm、約50μm〜約80μm、約50μm〜約70μm、約50μm〜約60μm、約60μm〜約125μm、約60μm〜約115μm、約60μm〜約100μm、約60μm〜約90μm、約60μm〜約80μm、約60μm〜約70μm、約70μm〜約125μm、約70μm〜約115μm、約70μm〜約100μm、約70μm〜約90μm、約70μm〜約80μm、約80μm〜約125μm、約80μm〜約115μm、約80μm〜約100μm、約80μm〜約90μm、約90μm〜約125μm、約90μm〜約115μm、約90μm〜約100μm、約100μm〜約125μm、約100μm〜約115μm、約115μm〜約125μm、約20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、115μmまたは約120μmである。ノズル112は、この方法に使用する溶媒および圧縮流体の両方に対して不活性である。
【0021】
上記のように、また
図1Aに示されるように、ノズル112は、容器102の近位端108とノズル112の出口開口部116との間の距離118を変化させるよう調節可能なものであってよい。さらに、
図1Bに示されるように、ノズル112は、容器の縦軸122とノズルの縦軸124との間の角度120を変化させるよう調節可能なものであってよい。1つの例では、ノズル112の角度およびノズル112の垂直位置をともに使用者が手動で調節し得る。例えば、ノズル112は、容器102の近位端108とノズル112の出口開口部116との間の距離118を変化させるよう調節することができる垂直方向の支持体上に位置していてよい。さらに、ノズル112を手動で回転させて、容器の縦軸122とノズルの縦軸124との間の角度120を調節し得る。
【0022】
別の例では、ノズルアセンブリ100は、ノズル112に連結されたモータを備えていてよい。種々の例では、モータは、容器102の近位端108とノズル112の出口開口部116との間の距離118を変化させ、かつ/または容器の縦軸122とノズルの縦軸124との間の角度120を変化させるよう構成されていてよい。このようなモータは、電力によって作動する電気モータであっても、あるいはガス系燃料または太陽光発電などのいくつかの異なるエネルギー源によって作動するものであってもよい。モータは、作動時にその回転方向に応じて容器102の近位端108とノズル112の出口開口部116との間の距離118が増減するようノズル112に直接または間接的に連結されていてよい。モータは、容器102の近位端108とノズル112の出口開口部116との間の距離118を調節し、かつ/または容器の縦軸122とノズルの縦軸124との間の角度120を調節する一連のギアに連結されていてよく、あるいはモータは、容器102の近位端108とノズル112の出口開口部116との間の距離118を調節し、かつ/または容器の縦軸122とノズルの縦軸124との間の角度120を調節する滑車システムに連結されていてよい。これ以外の構成も可能である。
【0023】
別の例では、ノズル112アセンブリはノズル112に連結されたアクチュエータを備えていてよく、この場合、アクチュエータが容器120の近位端108とノズル112の出口開口部116との間の距離118を変化させ、かつ/または容器の縦軸122とノズルの縦軸124との間の角度120を変化させる。このようなアクチュエータは、連動システムを介して電気モータの回転運動を直線移動に変換する電気モータを備えた電気機械アクチュエータであり得る。ほかにも可能性のあるアクチュエータとして、例えば油圧アクチュエータ、空気圧式アクチュエータ、圧電アクチュエータ、リニアモータまたは伸縮型リニアアクチュエータなどが考えられる。
【0024】
さらなる例では、ノズルアセンブリ100は、それぞれが容器の縦軸とノズルの縦軸との間の角度および/またはノズルオリフィスと音響エネルギー源との間の距離が異なる位置にある、複数のノズルを備えていてよい。複数のノズルのうち、所与のSSAを有する特定の種類の粒子を作製する所与の作製工程に所与のノズルを選択し得る。これ以外の実施形態例も考えられる。
【0025】
1つの例では、
図1Aおよび1Bに示されるように、ノズルアセンブリはさらに、ノズル112の出口開口部116に近接した位置にある音響エネルギー源134を備えている。1つの例では、音響エネルギー源134は、加圧チャンバ104の内部に伸長している音響プローブを備えていてよい。別の例では、音響エネルギー源134は、加圧チャンバ104内に位置する音響表面を備えていてよい。音響エネルギー源134から生じた音波によって加圧チャンバ104内の液体が粉砕され、これにより溶媒/貧溶媒溶液の混合が促進されて、加圧チャンバ104の内部に粒子が生じる。1つの例では、音響エネルギー源134は、ノズルの縦軸124に対して45度の角度の位置にある。これ以外の角度も考えられる。1つの例では、音響エネルギー源134は、ノズル112の出口開口部116と音響エネルギー源134との間の距離を変化させるよう調節可能なものであり得る。さらに、音響エネルギー源134は、音響エネルギー源134とノズルの縦軸124との間の角度を変化させるよう調節可能なものであり得る。
【0026】
種々の実施形態では、ノズル112の出口開口部116は、音響エネルギー源134から約2mm〜約20mm、約2mm〜約18mm、約2mm〜約16mm、約2mm〜約14mm、約2mm〜約12mm、約2mm〜約10mm、約2mm〜約8mm、約2mm〜約6mm、約2mm〜約4mm、約4mm〜約20mm、約4mm〜約18mm、約4mm〜約16mm、約4mm〜約14mm、約4mm〜約12mm、約4mm〜約10mm、約4mm〜約8mm、約4mm〜約6mm、約6mm〜約20mm、約6mm〜約18mm、約6mm〜約16mm、約6mm〜約14mm、約6mm〜約12mm、約6mm〜約10mm、約6mm〜約8mm、約8mm〜約20mm、約8mm〜約18mm、約8mm〜約16mm、約8mm〜約14mm、約8mm〜約12mm、約8mm〜約10mm、約10mm〜約20mm、約10mm〜約18mm、約10mm〜約16mm、約10mm〜約14mm、約10mm〜約12mm、約12mm〜約20mm、約12mm〜約18mm、約12mm〜約16mm、約12mm〜約14mm、約14mm〜約20mm、約14mm〜約18mm、約14mm〜約16mm、約16mm〜約20mm、約16mm〜約18mmおよび約18mm〜約20mmの位置にある。
【0027】
種々の実施形態では、音響エネルギー源134から、音響エネルギー源を用いて発生させ得る総出力の約1%〜約100%の振幅を有する音響エネルギーが発生する。当業者であれば、本明細書の教示を踏まえ、用いる特定の総出力を有するしかるべき音響エネルギー源を決定することができる。一実施形態では、音響エネルギー源は、総出力が約500〜約900ワットであり、種々のさらなる実施形態では、その総出力は約600〜約800ワット、約650〜750ワットまたは約700ワットである。
【0028】
種々のさらなる実施形態では、音響エネルギー源から、音響エネルギー源を用いて発生させ得る総出力の約5%〜約100%、約10%〜約100%、20%〜約100%、約30%〜約100%、約40%〜約100%、約50%〜約100%、約60%〜約100%、約70%〜約100%、約80%〜約100%、約90%〜約100%、約1%〜約90%、約5%〜約90%、約10%〜約90%、約20%〜約90%、約30%〜約90%、約40%〜約90%、約50%〜約90%、約60%〜約90%、約70%〜約90%、約80%〜約90%、約1%〜約80%、約5%〜約80%、約10%〜約80%、約20%〜約80%、約30%〜約80%、約40%〜約80%、約50%〜約80%、約60%〜約80%、約70%〜約80%、約1%〜約70%、約5%〜約70%、約10%〜約70%、約20%〜約70%、約30%〜約70%、約40%〜約70%、約50%〜約70%、約60%〜約70%、約1%〜約60%、約5%〜約60%、約10%〜約60%、約20%〜約60%、約30%〜約60%、約40%〜約60%、約50%〜約60%、約1%〜約50%、約5%〜約50%、約10%〜約50%、約20%〜約50%、約30%〜約50%、約40%〜約50%、約1%〜約40%、約5%〜約40%、約10%〜約40%、約20%〜約40%、約30%〜約40%、約1%〜約30%、約5%〜約30%、約10%〜約30%、約20%〜約30%、約1%〜約20%、約5%〜約20%、約10%〜約20%、約1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または約100%の出力で音響エネルギーが発生する。種々の実施形態では、音響エネルギー源から、音響エネルギー源を用いて発生させ得る総出力の約1%〜80%、20〜80%、30〜70%、40〜60%または約60%の総出力で音響エネルギーが発生する。
【0029】
当業者であれば、本明細書の教示を踏まえ、音響エネルギー源で用いるしかるべき周波数を決定することができる。一実施形態では、音響エネルギー源で約18〜約22kHzの周波数を用いる。種々の他の実施形態では、音響エネルギー源で約19〜約21kHz、約19.5〜約20.5の周波数または約20kHzの周波数を用いる。音響エネルギーの発生源には、特に限定されないが音響ホーン、音響プローブまたは音響プレートを含めた本発明の方法に適当する任意の適切な発生源を使用し得る。
【0030】
さらに、ノズルアセンブリ100の構成要素は、さらに大きい粒子作製システムの一部であってよい。このような粒子作製システムは、1つまたは複数の上記のようなノズルアセンブリ、各ノズルのオリフィスに近接した位置にある音響エネルギー源、1つまたは複数のノズルアセンブリと連通した1つまたは複数の粒子ろ過システムおよび1つまたは複数の粒子ろ過システムと連通した1つまたは複数の粒子捕集装置を備えていてよい。1つの例では、1つまたは複数の粒子ろ過システムは、少なくとも1つの高圧収集フィルタシステムと、その収集フィルタの下流に直列した少なくとも1つの低圧捕集フィルタシステムとを備えた直列粒子ろ過システムを含む。このような例では、粒子作製システムは、少なくとも2つの粒子収集フィルタと、2つの粒子捕集フィルタと、2つの捕集装置とを備え得る。
【0031】
1つの例では、このような粒子作製システムの粒子捕集装置は、チャンバを画定する捕集容器であって、遠位端および近位端と、捕集容器の近位端から伸長し、チャンバと流体連通している入口と、捕集容器の近位端から伸長し、チャンバと出口との間に位置する多孔性材料出口を備えた出口とを備えた、捕集容器を備えていてよい。捕集装置はさらに、遠位端と近位端とを有し、近位端が捕集容器の近位端から伸長しており、遠位端がチャンバ内に伸長している、試料採取管を備えていてよい。試料採取管は、ほかの粒子が形成されている粒子作製工程の間にチャンバから少量の粒子試料を取り出すよう構成されていてよい。試料採取管は、処理中、操作者がチャンバを開けたり試料採取管を捕集装置の残りの部分から取り外したりせずに少量の粒子試料を取り出すことを可能にする、試料採取器を備えていてよい。これにより、操作者が工程を続行しながら少量の粒子試料を試験し、製品が仕様の範囲内にあることを確認することが可能になる。例えば、試料に関して粒子径または残留溶媒の分析を実施し得る。測定した仕様が所望の仕様と合致しない場合、製品のバッチ全体が作製される前に、粒子形成工程を微調整してその状況を補正し得る。このような例では、ノズルアセンブリ100の出口126が捕集装置の入口と連結されていてよい。
【0032】
別の例では、粒子作製システムは、a)2つの粒子収集フィルタ、2つの粒子捕集フィルタおよび2つの捕集装置;b)2つの粒子収集フィルタ、1つの粒子捕集フィルタおよび1つもしくは複数の捕集装置;c)2つの粒子収集フィルタ、2つの粒子捕集フィルタおよび1つもしくは複数の捕集装置;d)2つの粒子収集フィルタ、1つの粒子捕集フィルタおよび1つもしくは複数の捕集装置;e)並列に配置された2つの直列フィルタ粒子収集および捕集装置;f)並列に配置された2つ以上の粒子収集フィルタ、1つの粒子捕集フィルタおよび並列に配置された2つ以上の捕集装置;g)2つ以上の沈殿チャンバ;h)少なくとも2つの直列フィルタ粒子ろ過システム;i)少なくとも2つの捕集装置;またはj)その組合せのうちの少なくとも1つを含む。
【0033】
別の態様では、本発明は、粒子を単離する方法であって、(a)(i)加圧チャンバを画定し、遠位端と近位端とを備えた容器と、(ii)容器の近位端にある加圧チャンバの第一の注入口と、(iii)加圧チャンバの内部に位置するノズルであって、加圧チャンバの第一の注入口と流体連通している注入管を備え、出口開口部を備え、容器の近位端とノズルの出口開口部との間の距離を変化させるよう調節可能であり、容器の縦軸とノズルの縦軸との間の角度を変化させるよう調節可能であるノズルと、(iv)容器の遠位端にある加圧チャンバの出口とを備えたノズルアセンブリを準備する段階、(b)加圧チャンバ内の音響エネルギー源をノズルの出口開口部に近接させて配置する段階、(c)加圧チャンバ内で第一の流体および第二の流体を受け取る段階であって、第一の流体がノズルの出口開口部を通って音響エネルギー源上に移動し、第二の流体が加圧チャンバの第二の注入口を通って移動し、それにより加圧チャンバ内に複数の粒子が生じる段階、(d)加圧チャンバの出口から複数の粒子を受け取る段階、(e)捕集装置内で複数の粒子を捕集する段階ならびに(f)複数の粒子のうちの1つまたは複数の粒子のサイズを求める段階を含み、段階(c)、(d)および(e)を第一の流体および第二の流体の超臨界温度/圧力下で実施する、方法を提供する。
【0034】
本発明の方法では、少なくとも1つの目的化合物(特に限定されないが、活性医薬品成分を含む)を分散させた溶媒を含む溶液と圧縮流体とを圧縮流体の超臨界条件下で接触させて溶媒を枯渇させ、化合物を微小な粒子として沈殿させる。具体的には、超臨界条件は31.1℃以上、1071psi(約7384kPa)である。1つの例では、温度は約31.1℃〜約60℃の範囲であり得、圧力は約1071psi(約7384kPa)〜約1800psi(約12410kPa)の範囲であり得る。
【0035】
本発明の方法は、圧縮流体をしかるべき溶媒と組み合わせて使用し、化合物をサイズ分布が狭い微粒子として再現可能に沈殿させて、米国特許第5,833,891号;同第5,874,029号;同第6,113,795号;および同第8,778,181号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている方法などに大幅な改善をもたらすものである。本発明の方法は、SSAおよび溶解特性が大幅に改善され、ひいては治療利益が大幅に改善された本発明の粒子を作製することが可能なものである。この方法によってこのような大幅な改善がもたらされるのは、少なくとも部分的には、ノズルの外部にありノズルオリフィスから記載の距離にある音響エネルギー源を用いることにより、音響エネルギーが大幅に増大し、収束/発散ノズルを用いて音響エネルギーを発生させる米国特許第5,833,891号および同第5,874,029号に開示されている方法に比して、ノズルを出る溶媒/溶質流の破壊が促進されることによる。
【0036】
図2は、一実施形態例による方法200のブロック図である。
図2に示される方法200は、例えばノズルアセンブリ100とともに用いることが可能な方法の一実施形態を示している。方法200は、ブロック202〜212のうちの1つまたは複数によって示される1つまたは複数の操作、機能または作用を含み得る。ブロックは順番に示されているが、場合によっては、これらを並行して、かつ/または本明細書に記載されるものとは異なる順序で実施してよい。このほか、所望の実施に基づき、種々のブロックを組み合わせてブロックの数を減らし、追加のブロックに分割し、かつ/または除外してもよい。
【0037】
さらに、本明細書に開示される方法200をはじめとする工程および方法に関して、この流れ図は、本発明の実施形態の1つの可能な実施の機能および操作を示すものである。この点に関して、各ブロックは、モジュール、セグメント、製造工程もしくは操作工程の一部分または工程の特定の論理機能もしくは段階を実施するためのプロセッサによって実行可能な1つもしくは複数の命令を含むプログラムコードの一部分を表し得る。プログラムコードは、任意のタイプのコンピュータ読取り可能媒体、例えばディスクまたはハードドライブを含めた記憶装置などに保存してよい。コンピュータ読取り可能媒体としては、一時的でないコンピュータ読取り可能媒体、例えば、レジスタメモリ、プロセッサキャッシュおよびランダムアクセスメモリ(RAM)のようにデータを短期間保存するコンピュータ読取り可能媒体が挙げられる。コンピュータ読取り可能媒体としてはほかにも、例えば読取り専用メモリ(ROM)、光学ディスク、磁気ディスク、コンパクトディスク読取り専用メモリ(CD−ROM)のような二次的または永続的な長期記憶装置などの一時的でない媒体が挙げられる。コンピュータ読取り可能媒体はこのほか、任意の他の揮発性または不揮発性の記憶システムであってよい。コンピュータ読取り可能媒体は、例えばコンピュータ読取り可能記憶媒体または有形記憶装置であるとも考えられる。
【0038】
さらに、本明細書に開示される方法200をはじめとする工程および方法に関して、
図2の各ブロックは、工程の特定の論理機能を実行するよう配線された回路を表し得る。
【0039】
ブロック202では、方法200は、(i)加圧チャンバを画定し、遠位端と近位端とを備えた容器と、(ii)容器の近位端にある加圧チャンバの第一の注入口と、(iii)加圧チャンバの内部に位置するノズルであって、加圧チャンバの注入口と流体連通している注入管を備え、出口開口部を備え、容器の近位端とノズルの出口開口部との間の距離を変化させるよう調節可能であり、容器の縦軸とノズルの縦軸との間の角度を変化させるよう調節可能であるノズルと、(iv)容器の遠位端にある加圧チャンバの出口とを備えたノズルアセンブリを準備する段階を含む。米国特許第5,833,891号および同第5,874,029号に開示されているものを含めた任意の適切な加圧チャンバを使用し得る。
【0040】
ブロック204では、方法200は、加圧チャンバ内の音響エネルギー源をノズルの出口開口部に近接させて配置する段階を含む。ブロック206では、方法200は、加圧チャンバ内で第一の流体および第二の流体を受け取る段階であって、第一の流体がノズルの出口開口部を通って音響エネルギー源上に移動し、第二の流体が加圧チャンバの第二の注入口を通って移動し、それにより加圧チャンバ内に複数の粒子が生じる段階を含む。1つの例では、第一の流体は、少なくとも1種類の溶媒を含む溶液と、目的化合物を含む少なくとも1種類の溶質とを含み、第二の流体は、超臨界温度/圧力下の圧縮流体を含む。任意の適切な溶媒および溶質を使用してよく、このような溶質および溶媒の例が米国特許第5,833,891号および同第5,874,029号に開示されている。他の種々の非限定的な実施形態では、溶媒は、アセトン、エタノール、メタノール、ジクロロメタン、酢酸エチル、クロロホルム、アセトニトリルおよびその適切な組合せを含み得る。一実施形態では、溶質/化合物はパクリタキセルであり、溶媒はアセトンである。別の実施形態では、溶質/化合物はドセタキセルであり、溶媒はアセトンである。溶媒は、溶液全体の少なくとも約80重量%、85重量%または90重量%を占めるべきである。圧縮流体は、用いる条件下で超臨界流体を形成することが可能であり、粒子を形成する溶質は、圧縮流体に難溶性または不溶性である。当業者に公知のように、超臨界流体とは、臨界点を超える温度および圧力下にある任意の物質のことであり、この場合、明確な液相および気相は存在しない。本発明の方法の段階(c)、(d)および(e)は、これらの処理段階において圧縮流体が超臨界流体として存在するよう圧縮流体の超臨界温度/圧力下で実施する。
【0041】
圧縮流体は、貧溶媒としての役割を果たし得るほか、粒子中の不必要な成分を除去するのに使用し得る。本発明の方法には任意の適切な圧縮流体を使用してよく、このような圧縮流体の例が米国特許第5,833,891号および同第5,874,029号に開示されている。非限定的な一実施形態では、超臨界流体を形成する適切な圧縮流体は、二酸化炭素、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、亜酸化窒素、キセノン、六フッ化硫黄およびトリフルオロメタンを含み得る。好ましい実施形態では、圧縮流体は超臨界二酸化炭素である。
【0042】
いずれの場合も、圧縮流体は実質的に溶媒と混和可能なものであるべきであり、沈殿させる化合物は実質的に圧縮流体に不溶性のものであるべきである、すなわち、化合物は、選択する溶媒/圧縮流体接触条件下で、圧縮流体に約5重量%以下が溶解し、好ましくは実質的に完全に不溶性である。
【0043】
所与の圧縮流体の臨界温度および臨界圧力の決定は、当業者のレベル内に十分収まるものである。一実施形態では、圧縮流体は超臨界二酸化炭素であり、臨界温度は最低で31.1℃、最高で約60℃であり、臨界圧力は最低で1071psi(約7384kPa)、最大で約1800psi(約12410kPa)である。別の実施形態では、圧縮流体は超臨界二酸化炭素であり、臨界温度は最低で31.1℃、最高で約55℃、臨界圧力は最低で1070psi(約7377kPa)、最高で約1500psi(約10342kPa)である。当業者には、具体的な臨界温度および臨界圧力が処理過程の段階によって異なり得ることが理解されよう。
【0044】
ブロック208では、方法200は、加圧チャンバの出口から複数の粒子を受け取る段階を含む。ブロック210では、方法200は、捕集装置内で複数の粒子を捕集する段階を含む。ブロック212では、方法200は、複数の粒子のうちの1つまたは複数の粒子のサイズを求める段階を含む。
【0045】
生産量を最適化するため、流速を可能な限り速く、ただしノズルオリフィスを含めた装置の圧力限界を下回るよう、調節することができる。別の実施形態では、ノズルを通る溶液の流速は約0.5mL/分〜約30mL/分の範囲である。種々のさらなる実施形態では、流速は、約0.5mL/分〜約25mL/分、0.5mL/分〜約20mL/分、0.5mL/分〜約15mL/分、0.5mL/分〜約10mL/分、約1mL/分〜約30mL/分、約1mL/分〜約25mL/分、約1mL/分〜約20mL/分、1mL/分〜約15mL/分、約1mL/分〜約10mL/分、約2mL/分〜約30mL/分、約2mL/分〜約25mL/分、約2mL/分〜約20mL/分、約2mL/分〜約15mL/分または約2mL/分〜約10mL/分である。
【0046】
このシステムはさらに、加圧チャンバ内に生じた粒子のサイズおよび/またはサイズ分布(例えば、平均値、最頻値、サイズ階級の割合)を求める粒子径分析器を含み得る。1つの例では、粒子径分析器は、加圧チャンバ内に生じた粒子のサイズおよび/またはサイズ分布を測定するよう構成された機器であり得る。このような構成は、測定技術として動的光回折を用いるものであり得る。別の例では、粒子のサイズおよび/またはサイズ分布を粒子計数法によって測定し得る。この技術は、粒子からの光散乱によって粒子を追跡するものである。このような散乱を一定時間にわたって追跡し、移動経路および時間を用いて拡散係数を算出し、次いでこれを用いて粒子のサイズおよび/またはサイズ分布を算出する。これ以外の粒子径分析器も考えられる。
【0047】
一実施形態では、この方法はさらに、1つまたは複数の粒子の所望のサイズと1つまたは複数の粒子について求めたサイズとの間の差を求め、その差に応じて、容器の近位端とノズルの出口開口部との間の距離および容器の縦軸とノズルの縦軸との間の角度のうちの少なくとも一方を調節する段階を含む。
【0048】
さらに、上記のシステムは、さらに大きい粒子作製システムの構成要素であってよい。このような粒子作製システムは、1つまたは複数の上記のようなノズルアセンブリ、各ノズルのオリフィスに近接した位置にある音響エネルギー源、1つまたは複数のノズルアセンブリと連通した1つまたは複数の粒子ろ過システムおよび1つまたは複数の粒子ろ過システムと連通した1つまたは複数の粒子捕集装置を備えていてよい。1つの例では、1つまたは複数の粒子ろ過システムは、少なくとも1つの高圧収集フィルタシステムと、その収集フィルタの下流に直列した少なくとも1つの低圧捕集フィルタシステムとを備えた直列粒子ろ過システムを含む。このような例では、粒子作製システムは、少なくとも2つの粒子収集フィルタと、2つの粒子捕集フィルタと、2つの捕集装置とを備え得る。
【0049】
別の態様では、本発明は、本発明の任意の実施形態または諸実施形態の組合せの方法によって調製される化合物粒子を提供する。
【実施例】
【0050】
材料および方法
Phyton Biotech社(ブリティッシュコロンビア州、カナダ)からロット番号がそれぞれFP2−15004およびDT7−14025の未加工のパクリタキセルおよびドセタキセルを購入した。ともに未加工形態で特徴を明らかにした。Deco−PBM−V−0.41ミル(Deco社)を用いて両薬の粉砕を実施した。粉砕条件は両化合物とも以下の通りであった:
ボールサイズ=5mm
RPM=600
処理時間=60分
室温。
【0051】
パクリタキセル粒子の調製
アセトンでパクリタキセルの65mg/ml溶液を調製した。晶析チャンバ内にBETE MicroWhirl(登録商標)フォグノズル(BETE Fog Nozzle社)と音響プローブ(Qsonica社、型番Q700)を約8mm離して配置した。沈殿したパクリタキセルナノ粒子を捕集するため、約100nmの穴を有するステンレス鋼メッシュフィルタを晶析チャンバに取り付けた。製造装置の晶析チャンバに超臨界二酸化炭素を入れ、約38℃、流速24kg/時で約1200psi(約8273kPa)にした。音響プローブを周波数20kHzで総出力の60%に調節した。パクリタキセルを含有するアセトン溶液を流速4.5mL/分で約36時間、ノズルから送り込んだ。作製されたパクリタキセルナノ粒子は、別個に3回実施した平均で、個数基準平均径が0.81μm、標準偏差が0.74μmであった。
【0052】
ドセタキセル粒子の調製
エタノールでドセタキセルの79.32mg/ml溶液を調製した。加圧チャンバ内にノズルと音響プローブを約9mm離して配置した。沈殿したドセタキセルナノ粒子を捕集するため、約100nmの穴を有するステンレス鋼メッシュフィルタを加圧チャンバに取り付けた。製造装置の加圧チャンバに超臨界二酸化炭素を入れ、約38℃、流速68slpmで約1200psi(約8273kPa)にした。音響プローブを周波数20kHzで総出力の60%に調節した。ドセタキセルを含有するエタノールを流速2mL/分で約95分間、ノズルから送り込んだ。次いで、混合物をステンレス鋼メッシュフィルタに送り込み、沈殿したドセタキセルの凝集物および粒子を超臨界二酸化炭素から捕集した。ドセタキセルのナノ粒子の入ったフィルタを開け、生じた生成物をフィルタから回収した。
【0053】
作製されたドセタキセルナノ粒子は、エタノールで別個に3回実施した平均で、個数基準平均径が0.82μm、標準偏差が0.66μmであった。
【0054】
粒子径解析
光遮蔽法およびレーザー回折法の両方により粒子径を解析した。光遮蔽法にはParticle Sizing Systems AccuSizer 780 SISシステムを用い、レーザー回折法にはShimadzu SALD−7101を用いた。水に溶かした0.10%(w/v)ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を分散剤に用いてパクリタキセルナノ粒子を解析した。isopar Gを分散剤に用いてドセタキセルナノ粒子を解析した。
【0055】
約4mgのパクリタキセル粒子を入れたガラスバイアルにろ過済みの分散剤を約7mL加えることによりパクリタキセル懸濁液を調製した。バイアルを約10秒間ボルテックスした後、超音波浴で約1分間、超音波処理した。試料が既に懸濁していれば、パクリタキセル懸濁液と0.1%SDS溶液の1:1溶液を作製し、10秒間ボルテックスし、超音波浴で約1分間、超音波処理した。
【0056】
約4mgのドセタキセル粒子を入れたプラスチックバイアルにろ過済みの分散剤を約7mL加えることによりドセタキセル懸濁液を調製した。バイアルを約10秒間ボルテックスした後、超音波浴で約2分間、超音波処理した。この懸濁液をレーザー回折解析に用いた。パーティクルフリーの125mLプラスチックボトルに未使用の懸濁液を注入し、次いで、これにろ過済みの分散剤を入れて約100mLにした。懸濁液を約10秒間ボルテックスした後、超音波浴で約2分間、超音波処理した。この希釈懸濁液を光遮蔽解析に用いた。
【0057】
最初にバックグラウンド試験を実施した後、AccuSizer 780 SISで粒子を解析した。蠕動ポンプを用いてリザーバから0.22μm Milliporeフィルタに通してボトル内に送り込むことにより、新たなパーティクルフリーのプラスチックボトルをブランク懸濁溶液で満たした。バックグラウンド解析を実施して、1mL当たりの粒子カウント数が1mL当たり100個未満であることを確認した。溶液の濃度に応じて5〜100μLの少量のパクリタキセル懸濁液をバックグラウンド試験からピペットでプラスチックボトルに入れ、約100mLの分散剤で満たし、解析を開始した。カウント数をモニターし、解析全体を通じて1mL当たりの粒子カウント数が6000〜8000に達し、かつ/または維持されるようパクリタキセル溶液を加えた。解析終了後、バックグラウンドデータを除外し、カウント数が4に満たない測定値をすべて除外した。
【0058】
SALD−7101にバッチセルを用いて粒子を解析するため、Manual Measurementを選択して解析を開始した。屈折率は1.5〜1.7に設定した。バッチセルに刻まれた線をわずかに越えるまでろ過済みの分散剤を満たした。ブランク測定を実施した。必要に応じて、全般的には1mL未満、溶液の濃度によっては100μLまでの少量のAPI(パクリタキセルまたはドセタキセル)懸濁液を吸光度単位0.15〜0.2の許容される吸光度に達するまでピペットでバッチセルに入れた。測定を実行し、得られたグラフのうち最も信頼度の高いものを選択し、バックグラウンドを自動で考慮に入れた。
【0059】
BET解析
200〜300mgの質量既知の分析物を30mLの試料管に加えた。次いで、充填した試料管をPorous Materials社のSORPTOMETER(登録商標)、BET−202Aモデルに装填した。次いで、BETWIN(登録商標)ソフトウェアパッケージを用いて自動試験を実施した後、各試料の表面積を算出した。
【0060】
かさ密度分析物
パクリタキセルまたはドセタキセルの粒子調製物をプラスチック秤量用漏斗から風袋を測定した10mLメスシリンダーに室温で加えた。薬物の質量を0.1mgの位まで測定し、体積を0.1mLの位まで測定し、密度を算出した。
【0061】
溶解試験
パクリタキセル
約50mgの原料(すなわち、未加工パクリタキセル、粉砕パクリタキセルまたはパクリタキセル粒子)と約1.5グラムの1mmガラスビーズをバイアル内で約1時間転がすことによってビーズを原料で覆った。ビーズをステンレス鋼メッシュ容器に移し、37℃、pH7、50/50(v/v)のメタノール/水溶媒の入った溶解浴および75rpmで稼働するUSP装置II(パドル)に入れた。10分後、20分後、30分後、60分後および90分後、5mL量を取り出し、0.22μmフィルタでろ過し、U(V/V)is分光光度計を用いて227nmで分析した。試料の吸光度値を溶解溶媒で調製した標準溶液のものと比較して、溶解した原料の量を求めた。
【0062】
ドセタキセル
約50mgの原料(すなわち、未加工ドセタキセル、粉砕ドセタキセルまたはドセタキセル粒子)を37℃、pH7、15/85(v/v)のメタノール/水溶媒の入った溶解浴および75rpmで稼働するUSP装置II(パドル)に直接入れた。5分後、15分後、30分後、60分後、120分後および225分後、5mL量を取り出し、0.22μmフィルタでろ過し、UV/VIS分光光度計を用いて232nmで分析した。試料の吸光度値を溶解溶媒で調製した標準溶液のものと比較して、溶解した原料の量を求めた。
【0063】
結果
上記のプロトコルおよびその変形形態(すなわち、ノズル、フィルタ、音響エネルギー源、流速などを変えたもの)を用いて作製した粒子のBET表面積は、22〜39m
2/gの範囲であった。
図1に、本発明の方法を用いて作製した例示的粒子を示す。比較により、未加工パクリタキセルのBET表面積は7.25m
2/gと測定され(
図2)、米国特許第5833891号および同第5874029号の方法に従って作製したパクリタキセル粒子は11.3〜15.58m
2/gの範囲であった。本発明の方法を用いて得られた例示的粒子径を表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
未加工薬、粉砕薬物粒子および本発明の方法によって作製した薬物粒子のかさ密度、SSAおよび溶解速度に関する比較試験(上記の通りに実施したもの)を下の表2および3に記載する。パクリタキセル原料およびドセタキセル原料の溶解経時変化全体をそれぞれ表4および5に記載する。
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】
【表5】
【0070】
本明細書に記載される構成は単に例示を目的とするものであることを理解するべきである。したがって、当業者には、代わりにほかの構成およびほかの要素(例えば、機械、インターフェース、機能、順序および機能のグループ分けなど)を用いることが可能であり、所望の結果に応じて一部の要素を完全に削除し得ることが理解されよう。さらに、記載されている要素の多くは、別個のもしくは分散した構成要素として、または任意の適切な組合せおよび位置でほかの構成要素とともに実施され得る機能的実体であり、また、独立した構造物として記載されているほかの構造要素を組み合わせてもよい。
【0071】
ここまで種々の態様および実施形態を本明細書に開示してきたが、当業者にはこれ以外の態様および実施形態も明らかになるであろう。本明細書に開示される種々の態様および実施形態は説明を目的とするものであって、限定することを意図するものではなく、正確な範囲は、のちの請求項およびその請求項に権利が与えられる均等物の全範囲によって示される。このほか、本明細書で使用される用語は、単に特定の実施形態の説明を目的とするものであり、限定的なものではないことが理解されるべきである。
【0072】
記載されている例には細部に多数の修正、変更および改変を施すことが可能であることから、上に記載されている事柄および添付図面に示されている事柄はいずれも、例示的なものであって、限定する意味を有するものではないと解釈されるべきであるものとする。さらに、以下の条項(および条項の任意の組合せ)が本記載の諸態様をさらに説明することが理解されるものとする。