【文献】
Han-Suh KOO, et.al.,"Motion Information Inferring Scheme for Multi-View Video Coding",IEICE Trans. Commun.,[online],2008年 4月,Vol.E91-B, No.4,pp.1247-1250,[平成25年11月13日検索],インターネット,URL,http://search.ieice.org/bin/pdf_link.php?category=B&lang=E&year=2008&fname=e91-b_4_1247&abst=
【文献】
Jungdong Seo, et.al.,"MOTION INFORMATION SHARING MODE FOR DEPTH VIDEO CODING",Proceedings of the 3DTV-CON 2010,2010年 6月,pp.1-4,ISBN:978-1-4244-6377-0
【文献】
Wen-Nung Lie, et.al.,"INTERMEDIATE VIEW SYNTHESIS FROM BINOCULAR IMAGES FOR STEREOSCOPIC APPLICATIONS",Proc. of The 2001 IEEE Int. Symp. on Circuits and Systems(ISCAS 2001),2001年,Vol.5,pp.287-290,ISBN:0-7803-6685-9
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1符号化ブロックは映像データを含み、かつ前記第2符号化ブロックからの1つ以上の符号化パラメータの第1サブセットに基づいて再構成される、請求項3に記載の復号器。
前記第1符号化ブロックは奥行きマップデータを含み、かつ前記第2符号化ブロックからの1つ以上の符号化パラメータの第2サブセットに基づいて再構成される、請求項4に記載の復号器。
前記第1符号化ブロックの動きパラメータが、第1視点の事前に再構成された部分の符号化パラメータから予測されるべきであるか、又は第2符号化ブロックから1つ以上の符号化パラメータを再使用するべきであると、前記第1情報が示している場合に、前記視点復号器はさらに前記第1符号化ブロックの動きパラメータに関連する予測誤差データを抽出するよう構成され、
前記生成は、前記第1符号化ブロックの予測された動きパラメータと前記予測誤差データとに少なくとも基づいて、第1符号化ブロックの予測を生成する、
請求項1に記載の復号器。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、多視点信号を符号化する、本発明の一実施形態に係る符号器のブロック図である。
図1の多視点信号は、説明上の参照番号10が付されており、2つの視点12
1及び12
2を含む。しかし、
図1の実施形態はより多数の視点を含む構成であっても良い。さらに、
図1の実施形態に従えば、各視点12
1及び12
2は映像14と奥行き/視差マップデータ16とを含む。しかし、
図1に示す実施形態の有益な原理の多くは、たとえ奥行き/視差マップデータを含まない視点からなる多視点信号において使用された場合でも、その有益性は変わらないであろう。本発明の実施形態のそのような一般法則化については、
図1〜
図3の説明に続いて後述する。
【0012】
各視点12
1及び12
2の映像14は、一つの共通場面の投影の異なる投影/視点方向に沿った時空間サンプリングを表す。好適には、各視点12
1及び12
2の映像14の時間的サンプリングレートは互いに等しいが、しかし、このような条件を必ずしも満足させる必要はない。
図1に示すように、好適には映像14の各々がフレームのシーケンスを含み、それらのフレームの各々がそれぞれの時間スタンプt,t-1,t-2,・・・に関連付けられている。
図1においては、映像フレームは、それぞれV
視点番号,時間スタンプ番号の形式で示す。各フレームV
i,tは、各時間スタンプtにおける各視点方向に沿った場面iの空間サンプリングを表す。各フレームV
i,tは、一つ又は複数のサンプルアレーを含み、複数のサンプルアレーの場合には、例えば輝度(luma)サンプルのための一つのサンプルアレーと彩度サンプルの二つのサンプルアレーとを含む場合や、複数の輝度(luminance)サンプルだけを含む場合や、例えばRGB色彩スペース又は同種の色彩要素のような、他の色彩要素のための複数のサンプルアレーだけを含む場合などがある。このような一つ又は複数のサンプルアレーの空間解像度は、一つの映像14内で異なっていても良いし、異なる視点12
1及び12
2の各映像14の内で異なっていても良い。
【0013】
同様に、奥行き/視差マップデータ16は、各視点12
1及び12
2のそれぞれの視点方向に沿って測定された、共通場面の場面オブジェクトの奥行きの時空間サンプリングを表す。この奥行き/視差マップデータ16の時間的サンプリングレートは、
図1に示すように、同一視点の関連付けられた映像の時間的サンプリングレートと同じであっても良く、又は異なっていても良い。
図1の場合には、映像フレームVの各々は、各視点12
1及び12
2の奥行き/視差マップデータ16の各々に関連付けられた奥行き/視差マップdを有する。換言すれば、
図1の例においては、視点i及び時間スタンプtの各映像フレームV
i,tは、それに関連付けられた奥行き/視差マップd
i,tを有する。この奥行き/視差マップdの空間解像度に関しても、映像フレームについて上述したことと同じことが当てはまる。即ち、空間解像度は異なる視点の奥行き/視差マップの間で異なっていても良い。
【0014】
多視点信号10を効率的に圧縮するために、
図1の符号器は視点12
1及び12
2をデータストリーム18へと並列的に符号化する。しかしながら、第1視点12
1を符号化するために使用された符号化パラメータは、第2視点12
2を符号化するために使用されるべき第2の符号化パラメータとして採用するか又はそれを予測するために、再使用される。このような方法で、
図1の符号器は本発明者らによって発見された事実を利用している。つまり、この事実に従い、視点12
1及び12
2の並列的な符号化が、これらの視点について符号器の中で符号化パラメータを決定する際に同様な結果を生じさせる。そのため、これら符号化パラメータ間の重複性を効率的に利用することで、圧縮レート又はレート/歪み比を増大させることができる(このときの歪みは、例えば両方の視点の平均歪みとして測定され、レートは全体のデータストリーム18の符号化レートとして測定される)。
【0015】
具体的には、
図1の符号器は、その全体が参照番号20で示され、多視点信号10を受け取るための入力と、データストリーム18を出力するための出力とを備える。
図2から分かるように、
図1の符号器20は、視点12
1及び12
2の各々について、二つの符号化分枝、即ち映像データ用の分枝と、奥行き/視差マップデータ用の分枝とを含む。つまり、符号器20は、視点1の映像データ用の符号化分枝22
v,1と、視点1の奥行き/視差マップデータ用の符号化分枝22
d,1と、第2視点の映像データ用の符号化分枝22
v,2と、第2視点の奥行き/視差マップデータ用の符号化分枝22
d,2とを含む。これらの符号化分枝22の各々は、同様に構成されている。符号器20の構成及び機能を説明する目的で、以下にまず分枝22
v,1の構成と機能とを説明する。この機能はすべての分枝22に共通するものである。分枝22の個別の特性については、その後で説明する。
【0016】
符号化分枝22
v,1は、多視点信号12の第1視点12
1の映像14
1を符号化するためのものであり、符号化分枝22
v,1は映像14
1を受け取る入力を有する。加えて、符号化分枝22
v,1は、減算器24と、量子化/変換モジュール26と、量子化/逆変換モジュール28と、加算器30と、追加処理モジュール32と、復号化済み画像バッファ34と、並列接続された二つの予測モジュール36及び38と、結合器又は選択器40とを、上述の順序で直列に接続された状態で含む。結合器又は選択器40は、予測モジュール36及び38の出力の間に接続される一方で、他方では、減算器24の反転入力へと接続されている。結合器40の出力は、加算器30の追加的入力へも接続されている。減算器24の非反転入力は、映像14を受け取る。
【0017】
符号化分枝22
v,1の要素24〜40は、協働して映像14
1を符号化する。この符号化においては、映像14
1を所定の部分からなるユニット単位で符号化する。例えば、映像14
1を符号化する際には、フレームV
1,kは、例えばブロックや他のサンプル群などのようなセグメントに分節(セグメント)される。この場合のセグメンテーションは、時間的に一定でも良いし、時間において変化しても良い。さらに、このセグメンテーションは、デフォルトによって符号器及び復号器に対して知らされても良く、又はデータストリーム18内で信号伝達されても良い。このセグメンテーションは、横列及び縦列において非オーバーラップ型に配置されたブロックへと分節するような、フレームからブロックへの規則的なセグメンテーションであっても良く、又は、可変サイズのブロックへと分節するクワッドツリー(quad-tree)・ベースのセグメンテーションであっても良い。以下の説明においては、映像14
1のセグメントであって、減算器24の非反転入力に入力され現時点で符号化されつつあるセグメントのことを、映像14
1の現在部分と呼ぶ。
【0018】
予測モジュール36と38とは、現在部分を予測するためのものであり、この目的のために、予測モジュール36と38とは、それぞれの入力が復号化済み画像バッファ34へと接続されている。実際に、予測モジュール36と38との両方は、映像14
1の事前に再構成された部分であって、復号化済み画像バッファ34内に存在している部分を使用して、減算器24の非反転入力に入力されつつある現在部分/セグメントを予測する。この観点から見ると、予測モジュール36は、映像14
1の同一フレームの空間的に近隣にあって既に再構成された部分から、映像14
1の現在部分を空間的に予測する、イントラ予測器(intra predictor)としての役割を果たしている。他方、予測モジュール38は、映像14
1の事前に再構成されたフレームから現在部分を時間的に予測する、インター予測器(inter predictor)としての役割を果たしている。予測モジュール36,38の両方は、所定の予測パラメータに従って、又は記述通りにそれぞれの予測を実行する。より詳細には、後者のパラメータは、例えば最大ビットレートのようないくつかの制限の下か、又は制限が全くない状態で、レート/歪み比を最適化するようなある最適化の目標に照準を定めた最適化の枠組みの中で、符号器20によって決定される。
【0019】
例えば、イントラ予測モジュール36は、予測方向(prediction direction)のような現在部分についての空間予測パラメータを決定しても良く、その場合、映像14
1の同一フレームの近隣にあって既に再構成された部分のコンテンツを、現在部分へと拡張/コピーすることで、現在部分についての予測とするように決定しても良い。インター予測モジュール38は、動き補償を用いて事前に再構成されたフレームから現在部分を予測しても良く、その際に関与するインター予測パラメータは、動き補償ベクトルと、参照フレームインデックスと、現在部分に関する動き補償サブ分割情報と、仮説数(hypothesis number)又はそれらの任意の組合せと、を含んでも良い。結合器又は選択器40は、モジュール36と38によって与えられた予測のうちの一つもしくは複数を結合しても良いし、又は単に一つを選択しても良い。結合器40は、結果として得られた現在部分の予測を、減算器24の反転入力と、加算器30の追加的入力とにそれぞれ伝送する。
【0020】
減算器24の出力においては、現在部分の予測の残余が出力され、量子化/変換モジュール26は、この残余信号を変換係数を量子化することで変換するよう構成されている。この変換は、DCTのような任意のスペクトル分解的な変換であっても良い。量子化によって、量子化/変換モジュール26の処理の結果は非可逆となる。即ち、符号化の損失が生じる。モジュール26の出力は、データストリームの中で伝送されるべき残余信号42
1である。残余信号42
1は、残余信号ができるだけ再構成されるように、即ち量子化ノイズにも関わらず減算器24によって出力された残余信号にできるだけ対応するように、モジュール28の中で逆量子化されかつ逆変換される。加算器30は、この再構成された残余信号と現在部分の予測とを合計により結合する。他の結合方法も使用可能である。例えば、他の方法では、減算器24は比における残余を測定する割算器として作動してもよく、加算器は現在部分を再構成する乗算器として構成されても良い。このようにして、加算器30の出力は、現在部分の事前の再構成を表している。モジュール32における追加処理は、その再構成を強化する目的で、任意ではあるが使用されても良い。そのような追加処理は、例えばデ・ブロッキング(deblocking)適応型フィルタ処理及び同種の処理などを含んでも良い。これまでに有効な再構成の全ては、復号化済み画像バッファ34においてバッファ処理される。つまり、復号化済み画像バッファ34は、映像14
1の事前に再構成されたフレームと、現在部分が帰属する現在フレームの事前に再構成された部分とをバッファ処理する。
【0021】
復号器がデータストリーム18から多視点信号を再構成できるようにするために、量子化/変換モジュール26は残余信号42
1を符号器20のマルチプレクサ44へと伝送する。同時に、予測モジュール36はイントラ予測パラメータ46
1をマルチプレクサ44へと伝送し、インター予測モジュール38はインター予測パラメータ48
1をマルチプレクサ44へと伝送し、追加処理モジュール32は追加処理パラメータ50
1をマルチプレクサ44へと伝送する。マルチプレクサ44は、これらの情報の全てをデータストリーム18の中に多重化又は挿入する。
【0022】
図1の実施形態について上述した説明から分かるように、符号化分枝22
v,1による映像14
1の符号化方法は、その符号化が奥行き/視差マップデータ16
1からも他のいずれの視点12
2のデータからも独立しているという点において、自己充足的である。より一般的な観点から言えば、符号化分枝22
v,1による符号化とは、符号化パラメータを決定するステップと、映像14
1の事前に符号化された部分であって、現在部分の符号化よりも前に符号器20によってデータストリーム18の中へと符号化された部分から、第1の符号化パラメータに従って映像14
1の現在部分を予測するステップと、補正データ即ち上述した残余信号42
1を取得するために現在部分の予測における予測誤差を決定するステップとによって、映像14
1からデータストリーム18へと符号化する方法として認識されても良い。その符号化パラメータと補正データとがデータストリーム18へ挿入されている。
【0023】
符号化分枝22
v,1によってデータストリーム18の中に挿入された上述の符号化パラメータは、以下の記載事項のうちの一つか、組み合わせ又は全てを含んでも良い。
【0024】
−まず、映像14
1のための符号化パラメータは、前段で簡単に説明したような方法により、映像14
1のフレームのセグメンテーションを定義/信号化しても良い。
【0025】
−さらに、符号化パラメータは、イントラ予測、インター予測又はそれらの組合せなど、各セグメントを予測するためにどの符号化モードを使用すべきかを各セグメント又は現在部分について示す、符号化モード情報を含んでも良い。
【0026】
−符号化パラメータは、イントラ予測によって予測された部分/セグメントのためのイントラ予測パラメータや、インター予測された部分/セグメントのためのインター予測パラメータのような、上述の予測パラメータを含んでいても良い。
【0027】
−また、符号化パラメータは追加処理パラメータ50
1をさらに含んでいても良く、この追加処理パラメータ50
1は、映像14
1の現在部分又は後続の部分を予測するために映像14
1の既に再構成された部分を使用する前に、その映像14
1の既に再構成された部分をどのような方法で追加処理すべきかについて、復号器側に対して信号伝達するものである。それらの追加処理パラメータ50
1は、それぞれのフィルタ、フィルタ係数又は同種の情報を示すインデックスを含んでいても良い。
【0028】
予測パラメータ46
1、48
1と追加処理パラメータ50
1とは、サブ・セグメンテーション・データをさらに含んでいても良く、このサブ・セグメンテーション・データは、上述のセグメンテーションとの比較において更なるサブ・セグメンテーションを定義しており、上記モード選択の粒度(granularity)を定義するか、又は、追加処理の中でフレームの異なる部分のために異なる適応型フィルタを適用する場合などのように完全に独立したセグメンテーションを定義するものである。
【0029】
符号化パラメータは、残余信号の決定に対して影響を与えても良く、従って、残余信号42
1の一部であっても良い。例えば、量子化/変換モジュール26によって出力されるスペクトル変換係数レベルは補正用データとして認識されても良く、一方で量子化ステップサイズもデータストリーム18の中で信号伝達されても良く、更に、量子化ステップサイズ・パラメータは、以下に説明する意味において符号化パラメータとして認識されても良い。
【0030】
符号化パラメータは、上述した1回目の予測ステージの予測残余の次に、2回目の予測ステージを定義する予測パラメータをさらに定義しても良い。この点において、イントラ/インター予測が使用されても良い。
【0031】
符号化効率を高めるために、符号器20は符号化情報交換モジュール52を含み、このモジュール52は、例えばモジュール36、38及び32内における処理に対して影響を与えるか又はそれらモジュールの処理から影響を受ける、全ての符号化パラメータ及び更なる情報を受け取る。その様子は、
図1ではそれぞれのモジュールから下方の符号化情報交換モジュール52に向かって垂直方向に延びる矢印で示す。符号化情報交換モジュール52の役割は、符号化パラメータと任意ではあるが更なる符号化情報とを符号化分枝22の中で共有させることであり、これにより、各符号化分枝22が相互に符号化パラメータを予測又は採用できるようになる。
図1に示す実施形態では、この目的で、多視点信号10の視点12
1と12
2とのデータ・エンティティ、即ち映像と奥行き/視差マップデータとの間で、ある順序が定義されている。具体的には、第1視点12
1の映像14
1が先行し、第1視点の奥行き/視差マップデータ16
1が続き、次に第2視点12
2の映像14
2が続き、第2視点の奥行き/視差マップデータ16
2が続くという具合である。ここで留意すべきは、多視点信号10のデータ・エンティティ間におけるこのような厳密な順序は、多視点信号10の全体を符号化するに当たって厳密に適用される必要はないという点である。しかし、説明を簡単にするために、以下ではこの順序が一定であると仮定している。データ・エンティティ間におけるこのような順序は、当然ながらそれらに関連付けられている分枝22間の順序をも規定する。
【0032】
既に上述したように、符号化分枝22
d,1、符号化分枝22
v,2及び符号化分枝22
d,2のような符号化分枝22のさらなる符号化分枝も、符号化分枝22
v,1と同様に作動して、それぞれの入力16
1,14
2及び16
2をそれぞれ符号化する。しかし、視点12
1、12
2のそれぞれの映像及び奥行き/視差マップデータ間の上述したような順序と、それに対応して符号化分枝22間に定義される順序とによって、符号化分枝22
d,1は、例えば第1視点12
1の奥行き/視差マップデータ16
1の現在部分を符号化するために使用されるべき符号化パラメータを予測する際に、追加的な自由度を持つ。これは、異なる視点の映像及び奥行き/視差マップデータ間の上述したような順序に起因する。つまり、例えばこれらエンティティの各々は、それ自身の再構成された部分を使用して符号化されても良く、また、そのデータのエンティティであってこれらデータ・エンティティ間における上述した順序で前に位置するエンティティを使用して符号化されても良い。従って、奥行き/視差マップデータ16
1を符号化する際には、符号化分枝22
d,1は、対応する映像14
1の事前に再構成された部分から既知となる情報を使用することができる。以下に、分枝22
d,1がどのようにして映像14
1の再構成された部分を利用して奥行き/視差マップデータ16
1のある特性を予測し、それにより奥行き/視差マップデータ16
1の圧縮率を高めることができるかについて、より詳細に説明する。しかし、これに加えて、符号化分枝22
d,1は、映像14
1を符号化する際に使用される符号化パラメータを上述したように予測/採用することで、奥行き/視差マップデータ16
1を符号化するための符号化パラメータを取得することができる。採用の場合には、データストリーム18内の奥行き/視差マップデータ16
1に関するいかなる符号化パラメータの信号化をも抑制することができる。予測の場合には、単にこれらの符号化パラメータに関する予測残余/補正データをデータストリーム18内に信号化するだけでも良い。符号化パラメータのそのような予測/採用の例も、後段で説明する。
【0033】
後続のデータ・エンティティ、即ち第2視点12
2の映像14
2と奥行き/視差マップデータ16
2とについては、追加的な予測の可能性が存在する。これらの符号化分枝に関しては、インター予測モジュールは、時間的な予測を実行するだけでなく、視点間予測(inter-view prediction)も実行できる。対応するインター予測パラメータは、時間予測と比べて類似する情報を含む。即ち、視点間予測されたセグメント毎に、視差ベクトル、視点インデックス、参照フレームインデックス及び/又は仮説数についての指示、即ち、例えば合計によって視点間予測を形成する際に関与した視点間のインター予測の数の指示を含む。そのような視点間予測は、映像14
2に関する分枝22
v,2に有効であるだけでなく、奥行き/視差マップデータ16
2に関する分枝22
d,2のインター予測モジュール38に対しても有効である。当然ながら、これら視点間予測パラメータもまた、潜在的な第3の視点の後続の視点データのための採用/予測の基礎としての役割を果たすことができる符号化パラメータを表しているが、この潜在的な第3の視点については、
図1には図示していない。
【0034】
以上のような方法で、マルチプレクサ44によってデータストリーム18内へと挿入されるべきデータの量がさらに減少する。特に、符号化の分枝22
d,1と分枝22
v,2と分枝22
d,2の符号化パラメータの量は、先行する符号化分枝の符号化パラメータを採用するか、又はその先行する符号化分枝の符号化パラメータに対する予測残余をマルチプレクサ44によってデータストリーム18の中に単に挿入することで、大きく減少させることができる。時間的予測と視点間予測との間で選択可能であることから、符号化分枝22
v,2と符号化分枝22
d,2との各残余データ42
3、42
4の量も減少させることができる。残余データ量における削減は、時間的予測モードと視点間予測モードとの差別化に要する符号化演算量の増加を補償して余りある。
【0035】
符号化パラメータの採用/予測についてより詳細に説明するために、
図2を参照されたい。
図2は、多視点信号10のある例示的な部分を示す。
図2は、映像フレームv
1,tがセグメント又は部分60a,60b,60cへと分節される様子を示す。説明を簡単にするために、フレームv
1,tの3個の部分だけを示すが、セグメンテーションは、フレームを継ぎ目なくかつ切れ目なくセグメント/部分へと分割しても良い。上述したように、映像フレームv
1,tのセグメンテーションは一定でも良く、又は時間的に変化しても良い。さらに、このセグメンテーションはデータストリームの中で信号伝達されても良く、又はされなくても良い。
図2が示す例では、部分60aと60bとが、映像14
1の任意の参照フレームの再構成されたバージョンから、動きベクトル62aと62bとを用いて時間的に予測される。映像14
1の任意の参照フレームは、この場合は例示的にフレームv
1,t-1とする。当該技術分野では公知なように、映像14
1のフレーム間の符号化順序は、これらフレーム間の出現の順序と一致する必要はなく、従って、参照フレームは現在のフレームv
1,tよりも出現時間順序64において後ろであっても良い。例えば、部分60cはイントラ予測された部分であり、そのためのイントラ予測パラメータがデータストリーム18の中に挿入される。
【0036】
符号化分枝22
d,1は、奥行き/視差マップd
1,tを符号化する際に、以下に
図2を参照しながら例示的に説明する方法のうちの一つ又は複数の方法によって、上述の可能性を利用しても良い。
【0037】
−例えば、符号化分枝22
d,1は、奥行き/視差マップd
1,tを符号化する際に、符号化分枝22
v,1によって使用された映像フレームv
1,tのセグメンテーションを採用しても良い。そうすれば、もし映像フレームv
1,tのための符号化パラメータの中にセグメンテーション・パラメータが存在する場合には、そのパラメータを奥行き/視差マップデータd
1,tのために再送信することを省略できる。代替的に、符号化分枝22
d,1は、映像フレームv
1,tのセグメンテーションを奥行き/視差マップd
1,tについて使用すべきセグメンテーションのための基礎/予測として使用しても良く、その場合には、その使用すべきセグメンテーションの映像フレームv
1,tに対するずれがデータストリーム18を介して信号伝達される。
図2に示す場合には、符号化分枝22
d,1は、映像フレームv
1,tのセグメンテーションを奥行き/視差マップd
1,tの前セグメンテーション(pre-segmentation)として使用する。つまり、符号化分枝22
d,1は、映像v
1,tのセグメンテーションから前セグメンテーションを採用するか、又はそこから前セグメンテーションを予測する。
【0038】
−さらに、符号化分枝22
d,1は、映像フレームv
1,tの中の部分60a,60b,60cのそれぞれに割り当てられた符号化モードから、奥行き/視差マップd
1,tの各部分60a,60b,60cの符号化モードを採用又は予測しても良い。映像フレームv
1,tと奥行き/視差マップd
1,tとの間でセグメンテーションが異なる場合には、映像フレームv
1,tからの符号化モードの採用/予測は、その採用/予測が映像フレームv
1,tのセグメンテーションの共通位置部分(co-located portions)から得られるように制御されても良い。この共通位置を適切に定義すると、以下のようになる。即ち、奥行き/視差マップd
1,tの中の現在部分についての映像フレームv
1,tの中の共通位置部分とは、例えば奥行き/視差マップd
1,tの中の現在部分の上部左角に配置された共通位置を含む一つの部分であっても良い。符号化モードの予測の場合には、符号化分枝22
d,1は、データストリーム18内で明確に信号伝達された映像フレームv
1,tの中の符号化モードに対する、奥行き/視差マップd
1,tの部分60a〜60cの符号化モードのずれを、信号伝達しても良い。
【0039】
−予測パラメータに関する限り、符号化分枝22
d,1は、同じ奥行き/視差マップd
1,tの中の近隣の部分を符号化するために使用された予測パラメータを空間的に採用/予測するか、又は、映像フレームv
1,tの共通位置部分60a〜60cを符号化するために使用された予測パラメータからそれらを採用/予測するか、の自由度を持つ。例えば
図2は、奥行き/視差マップd
1,tの部分66aがインター予測された部分であり、さらに、対応する動きベクトル68aが映像フレームv
1,tの共通位置部分60aの動きベクトル62aから採用又は予測されたものであっても良いことを示している。予測の場合には、動きベクトルの差が、インター予測パラメータ48
2の一部として、データストリーム18内へと挿入されるだけで良い。
【0040】
符号化効率を向上させる目的で、符号化分枝22
d,1が所謂ウェッジレット分割線70を使用して奥行き/視差マップd
1,tの前セグメンテーションのセグメントをサブ分割する能力を有し、データストリーム18の中でこのウェッジレット分割線70の位置を復号器に対して信号伝達することが望ましい。この方法により、
図2に示す例においては、奥行き/視差マップd
1,tの部分66cが二つのウェッジレット形状(wedgelet-shaped )部分72a及び72bへとサブ分割される。符号化分枝22
d,1は、これらのサブセグメント72a及び72bを別々に符号化するよう構成されても良い。
図2に示す例においては、サブセグメント72a及び72bの両方は、例示的に、それぞれの動きベクトル68c及び68dを用いてインター予測される。サブセグメント72a及び72bの両方に対してイントラ予測を用いる場合には、各セグメントのための各DC値が近隣の関係するセグメントのDC値から補外法により導出されても良い。この場合、任意ではあるが、対応する精製DC値をイントラ予測パラメータとして復号器に伝送することで、これらの導出されたDC値の各々を精製しても良い。奥行き/視差マップの前セグメンテーションをサブ分割するために符号器が使用したウェッジレット分割線を、復号器が決定できるようにする可能性は、いくつか存在する。符号化分枝22
d,1は、それらの可能性のうちの任意のものを排他的に使用しても良い。代替的に、符号化分枝22
d,1は、以下に記載するような符号化の選択枝の中から選択し、その選択をデータストリーム18内でサイド情報として復号器へ信号伝達する自由度を持っていても良い。
【0041】
ウェッジレット分割線70は、例えば直線であっても良い。この分割線70の位置の復号器側への信号化は、セグメント66cの境界に沿った一つの交点を、傾斜もしくは勾配情報と共に、又は、ウェッジレット分割線70とセグメント66cの境界との二つの交点の指示と共に、信号化することを含んでも良い。ある実施形態においては、ウェッジレット分割線70とセグメント66cの境界との二つの交点を指示することで、ウェッジレット分割線70がデータストリーム内で明確に信号化されても良く、この場合、可能性のある交点を指示するグリッドの粒度、即ち交点の指示の粒度又は解像度は、セグメント66cのサイズ又は量子化パラメータのような符号化パラメータに依存しても良い。
【0042】
代替的な実施形態においては、前セグメンテーションは、例えばダイアディック・スクエア・ブロック(dyadic square blocks)を用いたクワッドツリー・ベースのブロック分割によって実行され、各ブロックサイズについての交点の許容可能なセットは、ルックアップテーブル(LUT)により与えられ、ここで、各交点の信号化は対応するLUTインデックスの信号化を含んでいる。
【0043】
しかし、さらに他の実施形態によれば、符号化分枝22
d,1は、復号化済み画像バッファ34の中で、映像フレームv
1,tの再構成された部分60cを使用して、ウェッジレット分割線70の位置を予測し、さらに、もしセグメント66cを符号化する際に実際に使用されるべきウェッジレット分割線70にずれがあった場合には、そのずれを復号器に対してデータストリーム内で信号伝達する。特に、モジュール52は、奥行き/視差マップd
1,tの中の部分66c位置に対応する位置における映像フレームv
1,tについてのエッジ検出を実行しても良い。例えば、その検出は映像フレームv
1,tの中のエッジに対して敏感であっても良く、このエッジとは、鮮やかさ、輝度要素、彩度要素もしくはクロミナンス、又はそれらと同種の特徴などのような段階的にスケールされた特徴の空間的勾配が、ある最小閾値を超えるような場所である。モジュール52は、このエッジ72の位置に基づいてウェッジレット分割線70を決定することができ、その場合、そのウェッジレット分割線がエッジ72に沿って延びるように決定する。復号器も再構成された映像フレームv
1,tに対してアクセスするために、復号器もまた同様の方法で、部分66cをウェッジレット形状部分72a及び72bへとサブ分割するためのウェッジレット分割線70を決定することができる。その結果、ウェッジレット分割線70を信号伝達するための信号伝達容量を節約できる。ウェッジレット分割線の位置を表現するために、部分66cのサイズに依存する解像度を持つという態様は、分割線70の位置をエッジ検出によって決定する本発明の態様にも適用することができ、さらに、予測位置からの任意のずれを送信するためにも適用することができる。
【0044】
映像14
2を符号化する際には、符号化分枝22
v,2は、符号化分枝22
v,1に有効な符号化モードの選択枝に加え、視点間予測という選択肢をも有している。
【0045】
図2は、例えば、映像フレームv
2,tのセグメンテーションの部分74bが、第1視点の映像14
1の時間的に対応する映像フレームv
1,tから、視差ベクトル76を用いて視点間予測される様子を表している。
【0046】
このような差異とは別に、符号化分枝22
v,2は、映像フレームv
1,tと奥行き/視差マップd
1,tとの符号化から使用可能となる全ての情報、特に、これら符号化において使用された符号化パラメータのような情報を、追加的に利用しても良い。そのため、符号化分枝22
v,2は、映像フレームv
2,tの時間的にインター予測された部分74aについて、時間的に整列された映像フレームv
1,tの共通位置部分60aの動きベクトル62aと、奥行き/視差マップd
1,tの共通位置部分66aの動きベクトル68aとのいずれか、又はそれらの組合せから、動きベクトル78を含む動きパラメータを採用又は予測しても良い。部分74aについてのインター予測パラメータに関して、もし予測残余が存在する場合には、その予測残余が信号化されても良い。この点において、動きベクトル68aには、動きベクトル62aそれ自体からの予測/採用が既に適用されていても良いことに留意すべきである。
【0047】
奥行き/視差マップd
1,tの符号化に関して上述したように、映像フレームv
2,tを符号化するために符号化パラメータを採用/予測する他の可能性もまた、符号化分枝22
v,2による映像フレームv
2,tの符号化のために適用することができる。しかしその場合には、映像フレームv
1,tの符号化パラメータと、対応する奥行き/視差マップd
1,tの符号化パラメータとの両方が使用可能となるため、モジュール52により提供される使用可能な共通データは増加する。
【0048】
次に、符号化分枝22
d,2は、符号化分枝22
d,1による奥行き/視差マップd
1,tの符号化と類似的な方法で、奥行き/視差マップd
2,tを符号化する。このことは、例えば同一の視点12
2の映像フレームv
2,tから符号化パラメータを採用/予測する全ての場合についても真実である。しかし、符号化分枝22
d,2はさらに、先行する視点12
1の奥行き/視差マップd
1,tを符号化するために使用された符号化パラメータから、符号化パラメータを採用/予測するという機会も有している。さらには、符号化分枝22
d,2は、符号化分枝22
v,2に関して説明したように、視点間予測を使用することもできる。
【0049】
符号化パラメータの採用/予測に関して言えば、符号化分枝22
d,2がその符号化パラメータを採用/予測する可能性を、多視点信号10の以前に符号化されたエンティティの符号化パラメータの中から、同じ視点12
2の映像14
2と、近隣でかつ以前に符号化された視点12
1の奥行き/視差マップデータ16
1とに、制限しておくことが有意義であるかもしれない。その結果、奥行き/視差マップd
2,tの各部分についての採用/予測のソースを、復号器側に対してデータストリーム18の中で信号伝達する必要性から生じる、信号伝達用オーバーヘッドを低減することができる。例えば、符号化分枝22
d,2が、奥行き/視差マップd
2,tの視点間予測された部分80aについて、映像フレームv
2,tの共通位置部分74bの視差ベクトル76からの視差ベクトル82を含む、予測パラメータを予測しても良い。この場合には、採用/予測が行われる元になるデータ・エンティティ、即ち
図2においては映像14
2の指示は省略されても良い。なぜなら、奥行き/視差マップd
2,tのための視差ベクトルの採用/予測に関して、唯一の可能性のあるソースは映像14
2しかないからである。しかし、時間的にインター予測された部分80bのインター予測パラメータを採用/予測するに際し、符号化分枝22
d,2は、対応する動きベクトル84を動きベクトル78,68a及び62aの中のいずれか一つから採用/予測しても良く、従って、符号化分枝22
d,2は、動きベクトル84のための採用/予測のソースをデータストリーム18の中に信号化するよう構成されても良い。このとき、可能性のあるソースを映像14
2と奥行き/視差マップデータ16
1とに制限しておくことで、オーバーヘッドを低減することができる。
【0050】
ウェッジレット分割線に関して言えば、符号化分枝22
d,2は、上述した方法に加えて以下のような選択枝も有する。
【0051】
ウェッジレット分割線を用いて視点12
2の奥行き/視差マップd
2,tを符号化するために、エッジ検出及びそれに対応するウェッジレット分割線の暗示的な導出などの方法で、信号d
1,tの奥行き補正済みの対応する部分を使用することができる。ここで、奥行き補正は、奥行き/視差マップd
1,tの中の検出された分割線を奥行き/視差マップd
2,tへと変換するために使用される。奥行き補正のために、奥行き/視差マップd
1,tの中でそれぞれ検出されたエッジに沿った前景(foreground)の奥行き/視差値が使用されても良い。
【0052】
代替的に、ウェッジレット分割線を用いた視点12
2の奥行き/視差マップd
2,tの符号化の方法として、信号d
1,tの視差補正済み部分内の所定のウェッジレット分割線を使用すること、即ち、信号d
1,tの共通位置にある部分を符号化する際に既に使用されたウェッジレット分割線を予測値(predictor)として使用するか、又はそれを採用することで、信号d
1,tの対応する視差補正済み部分を利用しても良い。
【0053】
図1の符号器20を説明した後であるが、この符号器は、ソフトウエア、ハードウエア、又はファームウエア即ちプログラム可能なハードウエアにおいて構成可能である点に留意すべきである。
図1のブロック図では、符号器20が並列的な符号化分枝を含む構造を持つように表されている、即ち、多視点信号10の各映像及び奥行き/視差データごとに一つの符号化分枝を持つように表されているが、この点は必須要件ではない。例えば、各構成要素24〜40の作業をそれぞれ実行するよう構成されたソフトウエア・ルーチン、回路部分又はプログラム可能な論理部分が、符号化分枝のそれぞれの作業を実行するようにシーケンシャルに使用されても良い。並列処理においては、並列符号化分枝の処理は、並列プロセッサ・コアや並列作動回路などにおいて実行されてもよい。
【0054】
図3は、データストリーム18を復号化できる復号器の一例を示し、その復号器は、データストリーム18からの多視点信号により表現された場面に対応する一つ又は複数の視点映像を再構成するものである。
図3に示す復号器の構成及び機能は、
図1の符号器の構成及び機能にかなりの程度似ている。従って、
図1の参照符号をできるだけ多く再使用することで、上述した
図1に関する機能説明が
図3にも適用できることを示している。
【0055】
図3の復号器は、その全体を参照符号100で示し、データストリーム18のための入力と、上述した一つ又は複数の視点の再構成102を出力するための出力とを有する。復号器100は、デマルチプレクサ104と、データストリーム18によって表現される多視点信号10の各データ・エンティティ(
図1参照)のための復号化分枝106のペアと、視点抽出器108と、符号化パラメータ交換器110とを含む。
図1の符号器の場合と同様に、これら復号化分枝106は、同じ相互接続の中で同じ復号化要素を備えており、それらの様子を第1視点12
1の映像14
1を復号化する役割を担う復号化分枝106
v,1に関して代表的に説明する。具体的には、各復号化分枝106は、マルチプレクサ104の出力にそれぞれ接続された入力と、視点抽出器108の入力にそれぞれ接続された出力であって、復号化分枝106
v,1の場合では映像14
1であるような多視点信号10のそれぞれのデータ・エンティティを視点抽出器108に対して出力するための出力と、を含む。この入力と出力との間に、各復号化分枝106は、逆量子化/逆変換モジュール28と加算器30と追加処理モジュール32と復号化済み画像バッファ34とを含み、これら要素はマルチプレクサ104と視点抽出器108との間に直列に接続されている。加算器30と追加処理モジュール32と復号化済み画像バッファ34とは、並列接続された予測モジュール36及び38とその後続の結合器/選択器40と共に、閉回路を形成している。並列接続された予測モジュール36及び38と結合器/選択器40とは、前述した順序で、復号化済み画像バッファ34と加算器30の追加的な入力との間に接続されている。
図1の場合と同じ参照符号を使用して示すように、復号化分枝106の構成要素28〜40の構成及び機能は、
図1の符号化分枝の対応する要素の構成及び機能と類似している。つまり、復号化分枝106の各構成要素は、データストリーム18内で伝送された情報を使用して、符号化処理における処理に似た作業を実行する。当然ながら、各復号化分枝106は、符号器20によって最終的に選択された各符号化パラメータに関して符号化手順を単純に逆転させるものである。一方、
図1の符号器20は、場合によっては例えば最大ビットレート又は同様の制限などのような所定の制限の下で、例えばレート/歪みコスト機能を最適化する符号化パラメータのように、最適化の意味における1つの最適な符号化パラメータのセットを発見しなければならない。
【0056】
デマルチプレクサ104は、データストリーム18を様々な復号化分枝106へと供給する。例えば、デマルチプレクサ104は、量子化/逆変換モジュール28に対しては残余データ42
1を供給し、追加処理モジュール32に対しては追加処理パラメータ50
1を供給し、イントラ予測モジュール36に対してはイントラ予測パラメータ46
1を供給し、インター予測モジュール38に対してはインター予測パラメ―タ48
1を供給する。符号化パラメータ交換器110は、
図1内の対応するモジュール52と同様の役割を果たし、共通の符号化パラメータと他の共通のデータとを様々な復号化分枝106へと供給する。
【0057】
視点抽出器108は、並列的な復号化分枝106により再構成された多視点信号を受け取り、外部から提供された中間視点抽出制御データ112によって規定された視点角度又は視点方向に対応する一つ又は複数の視点102を、その多視点信号から抽出する。
【0058】
復号器100の構成は符号器20の対応する部分の構成と似ていることから、視点抽出器108に対するインターフェイスまでの機能は、上述の説明と同様にして容易に説明できる。
【0059】
実際、復号化分枝106
v,1と106
d,1とが協働してデータストリーム18から多視点信号10の第1視点12
1を再構成するが、この場合、データストリーム18内に含まれる第1の符号化パラメータ(例えば42
1の中のスケーリングパラメータ、パラメータ46
1,48
1,50
1及び対応する非採用パラメータと、第2の分枝106
d,1の符号化パラメータの予測残余、即ち42
2及びパラメータ46
2,48
2,50
2など)に基づいて、多視点信号10の事前に再構成された部分、即ち第1視点12
1の現在部分の再構成よりも前にデータストリーム18から再構成された部分から、視点12
1の現在部分を予測し、かつ、第1の補正データ、即ちデータストリーム18内に含まれた42
1及び42
2内のデータを使用して、第1視点12
1の現在部分の予測の予測誤差を補正することで、この再構成が実行される。復号化分枝106
v,1が映像14
1を復号化する役割を担う一方で、復号化分枝106
d,1が奥行き/視差マップデータ16
1を再構成する役割を担う。例えば、
図2を参照されたい。この図では、復号化分枝106
v,1がデータストリーム18から第1視点12
1の映像14
1を再構成するが、この再構成は、データストリーム18から読み出された対応する符号化パラメータ、即ち42
1の中のスケーリングパラメータ及びパラメータ46
1,48
1,50
1に基づいて、多視点信号10の事前に再構成された部分から60a,60b又は60cのような映像14
1の現在部分を予測し、かつ、データストリーム18から、即ち42
1内の変換係数レベルから得られる対応する補正データを使用して、その予測の予測誤差を補正することで、実行される。例えば、復号化分枝106
v,1は、映像14
1をセグメント/部分のユニット単位で処理するが、その場合、映像フレーム間の符号化順序を使用して処理し、さらに、フレーム内のセグメントを復号化するために、それらフレームのセグメント間の符号化順序を使用して、符号器の対応する符号化分枝のやり方と同様にして処理する。このように、映像14
1の事前に再構成された全ての部分が現在部分の予測のために使用できる。現在部分のための符号化パラメータは、一つ又は複数のイントラ予測パラメータ50、インター予測パラメータ48
1、追加処理モジュール32のためのフィルタパラメータなどを含んでいても良い。予測誤差を補正するための補正データは、残余データ42
1内のスペクトル変換係数レベルによって表されても良い。これら全ての符号化パラメータが、全部に亘って送信される必要はない。符号化パラメータのうちの幾つかは、映像14
1の近隣のセグメントから空間的に予測されたものであっても良い。例えば、映像14
1のための動きベクトルは、映像14
1の近隣の部分/セグメントの動きベクトル間のベクトル差として、ビットストリーム内で伝送されても良い。
【0060】
第2の復号化分枝106
d,1に関して説明すれば、この復号化分枝106
d,1は、残余データ42
2と対応する予測及びフィルタパラメータとのように、データストリーム18内で信号化されかつデマルチプレクサ104によって個々の復号化分枝106
d,1に供給されたパラメータ、即ち視点間境界を越えて予測されたものではないパラメータに対するアクセスを有するだけではなく、デマルチプレクサ104を介して復号化分枝106
v,1に供給された符号化パラメータ及び補正データ、又は符号化情報交換モジュール110を介して供給されるような、それら情報から導出可能ないかなる情報に対する間接的なアクセスも有している。そのため、復号化分枝106
d,1は、奥行き/視差マップデータ16
1を再構成するための符号化パラメータを、第1視点12
1のためにデマルチプレクサ104を介して復号化分枝106
v,1と106
d,1とのペアに対して送られた複数の符号化パラメータの一部分から決定する。それら符号化パラメータは、復号化分枝106
v,1のために特別に選択されかつ伝送された符号化パラメータの部分と部分的に重複する。例えば、復号化分枝106
d,1は、動きベクトル68aを、一方では例えばフレームv
1,tの別の近隣の部分に対する動きベクトル差として48
1の中で明示的に伝送された動きベクトル62aから決定し、他方では48
2の中で明示的に伝送されたある動きベクトル差からも決定する。追加的に又は代替的に、復号化分枝106
d,1は、ウェッジレット分割線の予測に関して上述したように映像14
1の再構成された部分を使用して、奥行き/視差マップデータ16
1を復号化するための符号化パラメータを予測しても良い。
【0061】
より詳細には、復号化分枝106
d,1は、データストリームから第1視点12
1の奥行き/視差マップデータ16
1を符号化パラメータを使用して再構成するが、これらの符号化パラメータは、少なくとも部分的には、復号化分枝106
v,1によって使用された符号化パラメータから予測された(又は採用された)ものであり、及び/又は、復号化分枝106
v,1の復号化済み画像バッファ34の中の映像14
1の再構成された部分から予測されたものである。符号化パラメータの予測残余は、デマルチプレクサ104を介してデータストリーム18から取得されても良い。復号化分枝106
d,1のための他の符号化パラメータは、データストリーム18の中で完全な形で伝送されても良いし、他の基準との関連において伝送されても良い。即ち、奥行き/視差マップデータ16
1自身の事前に再構成された部分のいずれかを符号化するために既に使用された符号化パラメータを参照する形で伝送されても良い。これらの符号化パラメータに基づいて、復号器分枝106
d,1は、奥行き/視差マップデータ16
1の現在部分を、奥行き/視差マップデータ16
1の事前に再構成された部分から、即ち奥行き/視差マップデータ16
1の現在部分の再構成よりも前に復号化分枝106
d,1によってデータストリーム18から再構成された部分から、予測し、かつそれぞれの補正データ42
2を使用して、奥行き/視差マップデータ16
1の現在部分の予測の予測誤差を補正する。
【0062】
従って、データストリーム18は、例えば奥行き/視差マップデータ16
1の部分66aについて、以下の項目を含んでもよい。
−現在部分についての符号化パラメータが、例えば映像14
1の共通位置にありかつ時間的に整列された部分の対応する符号化パラメータから(又はウェッジレット分割線を予測するための映像14
1の再構成されたバージョンのような、映像14
1の他の特定のデータから)、採用もしくは予測されるべきか否か、又はどの部分が採用もしくは予測されるべきかについての指示
−採用もしくは予測されるべきである場合に、予測においては符号化パラメータの残余
−採用もしくは予測されるべきでない場合に、現在部分についての全ての符号化パラメータであって、奥行き/視差マップデータ16
1の事前に再構成された部分の符号化パラメータと比較された予測残余として信号化されても良い、符号化パラメータ
−必ずしも全ての符号化パラメータが上述のように予測/採用されるべきではない場合に、現在部分についての符号化パラメータの残りの部分であって、奥行き/視差マップデータ16
1の事前に再構成された部分の符号化パラメータと比較された予測残余として信号化されても良い、符号化パラメータの残りの部分。
【0063】
例えば、もし現在部分が部分66aのようにインター予測された部分である場合には、動きベクトル68aは、動きベクトル62aから採用又は予測されたものとして、データストリーム18の中で信号化されても良い。さらに、復号化分枝106
d,1は、上述したように映像14
1の再構成された部分の中で検出されたエッジ72に依存して、ウェッジレット分割線70の位置を予測しても良く、かつこのウェッジレット分割線を、データストリーム18内で信号化せずに適用するか、又は、データストリーム18内の個々のアプリケーション信号化に依存して適用しても良い。換言すれば、現在部分に対するウェッジレット分割線予測の使用は、データストリーム18内における信号化のために抑制又は許可されても良い。さらに換言すれば、復号化分枝106
d,1は、奥行き/視差マップデータの現在再構成中の部分の周辺を効果的に予測することができる。
【0064】
第2視点12
2についての復号化分枝のペア106
v,2、106
d,2の機能は、符号化に関して上述したように、第1視点12
1についての復号化分枝のペアと類似している。両復号化分枝は、それ自身の符号化パラメータを使用して、多視点信号10の第2視点12
2をデータストリーム18から協働して再構成する。これらの符号化パラメータのうち、視点12
1と12
2との間の視点境界を越えて採用/予測されたものではない部分だけが、2つの復号化分枝106
v,2と106
d,2の何れかに対してデマルチプレクサ104を介して伝送及び分配される必要があり、さらに任意ではあるが、視点間予測された部分の残余も伝送及び分配されても良い。第2視点12
2の現在部分は、多視点信号10の事前に再構成された部分、即ち第2視点12
2の各現在部分の再構成よりも前に復号化分枝106のうちのいずれかによってデータストリーム18から再構成された部分、から予測され、さらに補正データ、即ちデマルチプレクサ104によってこれら復号化分枝のペア106
v,2と106
d,2とに提供された42
3と42
4とを使用して、予測誤差が適切に補正される。
【0065】
復号化分枝106
v,2は、その符号化パラメータを、復号化分枝106
v,1と106
d,1とのいずれかによって使用された符号化パラメータから、少なくとも部分的に採用又は予測するよう構成されている。符号化パラメータの以下の情報が映像14
2の現在部分のために存在しても良い。
−現在部分についての符号化パラメータが、例えば映像14
1の共通位置にありかつ時間的に整列された部分の対応する符号化パラメータから、採用もしくは予測されるべきか否か、又はどの部分が採用もしくは予測されるべきかについての指示
−採用もしくは予測されるべき場合に、予測においては符号化パラメータの残余
−採用もしくは予測されるべきでない場合に、現在部分についての全ての符号化パラメータであって、映像14
2の事前に再構成された部分の符号化パラメータと比較された予測残余として信号化されても良い、符号化パラメータ
−必ずしも全ての符号化パラメータが上述のように予測/採用されるべきではない場合に、現在部分についての符号化パラメータの残りの部分であって、映像14
2の事前に再構成された部分の符号化パラメータと比較された予測残余として信号化されても良い、符号化パラメータの残りの部分
−データストリーム18内での信号化は、現在部分74aについて、例えば動きベクトル78のようなその部分のための対応する符号化パラメータが、データストリームから全く新たに読み込まれるべきか、空間的に予測されるべきか、又は第1視点12
1の映像14
1もしくは奥行き/視差マップ16
1の共通位置部分の動きベクトルから予測されるべきか、について信号化されても良く、それに応じて、復号化分枝106
v,2がデータストリーム18から動きベクトル78を全部抽出するか、採用するか、又は予測することによって作動してもよく、予測する場合には、さらにデータストリーム18から現在部分74aのための符号化パラメータに関する予測誤差データを抽出してもよい。
【0066】
復号化分枝106
d,2も同様に作動しても良い。つまり、復号化分枝106
d,2は、復号化分枝106
v,1と106
d,1と106
v,2とのいずれかによって使用された符号化パラメータ、再構成された映像14
2、及び/又は第1視点12
1の再構成された奥行き/視差マップデータ16
1から、少なくとも部分的に採用/予測することで、その符号化パラメータを決定しても良い。例えば、データストリーム18は、奥行き/視差マップデータ16
2の現在部分80bに関して、その現在部分80bについての符号化パラメータが、映像14
1、奥行き/視差マップデータ16
1、もしくは映像14
2の共通位置部分から、又はそれらの適切なサブセットから採用もしくは予測されるべきか否か、又はどの部分が採用もしくは予測されるべきかについて信号化しても良い。これら符号化パラメータ内の重要な部分は、例えば84のような動きベクトル、又は82のような視差ベクトルを含んでいても良い。さらに、ウェッジレット分割線に関するような他の符号化パラメータは、映像14
2内のエッジ検出を使用して、復号化分枝106
d,2によって導出されても良い。代替的に、エッジ検出は、所定の再投影を使用しながら再構成された奥行き/視差マップデータ16
1に対して適用されても良く、その再投影とは、奥行き/視差マップd
1,t内の検出されたエッジの位置を奥行き/視差マップd
2,t内へと変換することで、ウェッジレット分割線の位置の予測の基礎としての役割を果たすものである。
【0067】
いずれの場合でも、多視点信号10の再構成された部分は視点抽出器108に到達し、ここでそれら再構成された部分に含まれる視点が新たな視点の視点抽出の基礎、つまり新たな視点に関連する映像の基礎となる。このような視点抽出は、映像14
1及び映像14
2を、それらに関連する奥行き/視差マップデータを用いて再投影することを含むか又は伴っていても良い。率直に言えば、ある映像を他の中間視点へと再投影する際に、観察者(viewer)に近い位置にある場面部分に対応するその映像の部分は、その観察者の位置から遠い位置にある場面部分に対応するその映像の部分よりも、視差方向、即ち視線方向差ベクトルの方向に沿って大きくシフトされる。視点抽出器108により実行される視点抽出の一例を、以下に
図4〜
図6及び
図8を参照しながら説明する。オクルージョン補償処理(disocclusion handling)が視点抽出器によって実行されても良い。
【0068】
後段では他の実施形態を説明するが、その前に、上述した実施形態に関連していくつかの変更がなされても良いことにも留意すべきである。例えば、多視点信号10は、奥行き/視差マップデータを必ずしも各々の視点について持つ必要はない。多視点信号10の視点のいずれもが、それに関連付けられた奥行き/視差マップデータを持たない可能性もあり得る。しかしながら、上述したような多視点の中における符号化パラメータの再利用及び共有は、符号化効率の向上をもたらす。さらに、いくつかの視点については、奥行き/視差マップデータは、データストリーム内で伝送されるようオクルージョン補償領域(disocclusion areas)、即ち、多視点信号の他の視点から再投影された視点内でのオクルージョン補償された領域(disoccluded areas)を満たすべき領域、に制限されても良い。奥行き/視差マップデータは、そのマップの残りの領域内においては影響のない値に設定されてもよい。
【0069】
上述したように、多視点信号10の視点12
1と12
2とは、異なる空間解像度を有していても良い。つまり、これら二つの視点は、データストリーム18内で異なる解像度を使用して伝送されても良い。換言すれば、視点12
1の後に視点12
2が続く視点間の上述した順序においては、符号化分枝22
v,1と22
d,1とが視点12
1の予測符号化を実行する空間解像度は、符号化分枝22
v,2と22
d,2とが視点12
2の予測符号化を実行する空間解像度に比べて、より高くても良い。本発明の発明者らは、この点が、合成された視点102の品質を考慮する場合に、レート/歪み比をさらに改善することを発見した。例えば、
図1の符号器は、最初に多視点信号10の視点12
1と視点12
2とを同一の空間解像度で受け取り、その後に、視点12
2の映像14
2と奥行き/視差マップデータ16
2とについては、それらがモジュール24〜40による予測符号化の処理を受ける前に、低い空間解像度へとダウンサンプリングすることもできる。しかしながら、上述したような視点境界を越える符号化パラメータの採用及び予測の手法は、原視点(source view)と目的視点(destination view)との異なる解像度間の比に従った採用又は予測の基礎を成す、符号化パラメータのスケーリングによって実行されることも可能である。例えば
図2を参照されたい。もし符号化分枝22
v,2が、動きベクトル62a及び68aのいずれかから動きベクトル78を採用又は予測しようとする場合には、符号化分枝22
v,2は、原視点である視点12
1の高い解像度と目的視点である視点12
2の低い解像度との比に対応する値によって、その動きベクトル62a及び68aのいずれかをダウンスケールすることができる。当然ながら、復号器及び復号化分枝106にも同様の処理を適用できる。つまり、復号化分枝106
v,2と106
d,2とは、復号化分枝106
v,1と106
d,1とに比べて低い空間解像度で予測復号化を実行できる。その場合、再構成の後で、かつ視点抽出器108に到達する前に、復号化分枝106
v,2と106
d,2との復号化済み画像バッファ34から出力され再構成された映像及び奥行き/視差マップを、低い空間解像度から高い空間解像度へと変換するために、アップサンプリングが使用されても良い。各々のアップ・サンプラーは、各復号化済み画像バッファ34と視点抽出器108の各入力との間に配置されても良い。上述したように、一つの視点12
1又は12
2の中では、映像と関連する奥行き/視差マップデータとは同じ空間解像度を持っていても良い。しかし、追加的又は代替的に、これらの映像と奥行き/視差マップデータのペアが異なる空間解像度を持ち、上述した方法が空間解像度の境界を越えて、即ち奥行き/視差マップデータと映像との間に亘って実行されても良い。さらに、他の実施形態によれば、説明の便宜上
図1〜
図3に示されていない視点12
3を含む、3つの視点が存在しても良く、その場合、第1及び第2視点が同じ空間解像度を持つ一方で、第3視点12
3がより低い空間解像度を持っても良い。さらに、上述した実施形態に従って、12
2のような後続のいくつかの視点は、符号化の前にダウンサンプルされ、復号化の後でアップサンプルされても良い。このようなダウンサンプリングとアップサンプリングとは、符号化/復号化分枝の一種の前処理又は後処理をそれぞれ表しており、任意の後続の(目的)視点の符号化パラメータを採用/予測するために使用される符号化パラメータは、原視点及び目的視点の空間解像度のそれぞれの比に従ってスケールされる。上述したように、中間視点抽出器108内の処理によって、12
2のような後続の視点が伝送され予測的に符号化されたより低い品質が、中間視点抽出器108の中間視点出力102の品質に対して重大な影響を与えることはない。視点抽出器108は、中間視点への再投影と、その再投影された映像サンプル値から中間視点のサンプルグリッドへの必要な再サンプリングとによって、映像14
1と14
2とに対して一種の補間/低域通過フィルタリングを施している。第1視点12
1が近隣の視点12
2よりも高い空間解像度で伝送されて来たという事実を利用して、それら視点の間の中間視点は主として視点12
1から取得されても良く、その場合、低い空間解像度の視点12
2とその映像14
2とを単に補足的な視点として使用しても良い。つまり、例えば単に映像14
1の再投影されたバージョンのオクルージョン補償領域を満たすために視点12
2とその映像14
2とを使用しても良く、又は、視点12
1を一方とし視点12
2を他方とした映像の再投影されたバージョン間のある平均化を実行する際の、小さな重み付けファクタとして使用しても良い。このようにして、低い空間解像度における伝送のために第2視点12
2の符号化レートが有意に低くされた場合でも、視点12
2の低い空間解像度が補償される。
【0070】
上述した実施形態は、符号化/復号化分枝の内部構成に関しても補正可能であることに留意すべきである。例えば、イントラ予測モードが存在しない、即ち空間予測モードが使用できない場合もある。同様に、視点間及び時間的な予測モードが使用できない場合もある。更に、任意の追加処理の全てが選択可能である。他方では、ループ外の後処理モジュールが復号化分枝106の出力側に存在し、例えば適応型フィルタリング又は他の品質向上の手法、及び/又は上述したアップサンプリングを実行しても良い。更に、残余の変換が実行されなくても良い。むしろ、残余が周波数ドメインよりも空間ドメインで伝送されても良い。さらに一般的な意味では、
図1と
図3とに示すハイブリッド型の符号化/復号化の設計は、例えばウェーブレット変換に基づくような他の符号化/復号化の概念によって置換されても良い。
【0071】
さらに、復号器が必ずしも視点抽出器108を含む必要はない点にも留意すべきである。むしろ、抽出器108は存在しなくても良い。その場合には、復号器100は、単に視点12
1や12
2のうちの任意の数、例えば一つ、複数又は全てを再構成する。個々の視点12
1や12
2についての奥行き/視差マップデータがない場合でも、視点抽出器108は、互いに隣接する視点の対応する部分に関連する視差ベクトルを利用して、中間視点抽出を実行しても良い。これらの視差ベクトルを、近隣の視点の映像に関連づけられた視差ベクトル場の補助的な視差ベクトルとして使用して、視点抽出器108は、隣接する視点12
1と12
2とのそのような映像から、この視差ベクトル場を適用することで中間視点映像を形成しても良い。例えば映像フレームv
2,tは、その部分/セグメントの50%が視点間予測されていると仮定する。つまり、その部分/セグメントの50%については、視差ベクトルが存在することになる。残りの部分については、各視差ベクトルは、空間的な意味における補間法/補外法(interpolation/extrapolation)を用いて、視点抽出器108によって決定することができる。映像14
2のフレームの事前に再構成された部分/セグメントについての視差ベクトルを使用する、時間的な補間もまた使用されても良い。次に、映像フレームv
2,t及び/又は参照映像フレームv
1,tが、これら視差ベクトルに従って歪みを与えられることで、中間視点が取得されても良い。この目的で、第1視点12
1と第2視点12
2との視点位置間の中間視点の中間視点位置に従って、視差ベクトルがスケールされる。この手順についての詳細を、後段でより詳細に説明する。
【0072】
映像の再構成された現在のフレーム内で検出されたエッジに沿って延びるようにウェッジレット分割線を決定するという、上述した選択肢を使用することで、符号化効率の利得が得られる。つまり、既に説明したように、上述のウェッジレット分割線の位置予測が、各々の視点について、即ち全ての視点又は視点のうちの適切なサブセットだけについて、使用されても良い。
【0073】
これまでの
図3の説明から、次のようなことが明らかである。即ち、復号器は、データストリーム18から映像14
1の現在フレームv
1,tを再構成する復号化分枝106
v,1と、復号化分枝106
d,1とを有する。復号化分枝106
d,1は、データストリーム18から、現在フレームv
1,t内のエッジ72を検出し、そのエッジ72に沿って延びるようにウェッジレット分割線70を決定し、さらに、現在フレームv
1,tに関連する奥行き/視差マップd
1,tを、奥行き/視差マップd
1,tのセグメンテーションのセグメントのユニット66a,66b,72a,72b単位で再構成するものであり、その奥行き/視差マップd
1,tにおいては、セグメンテーションの二つの隣接するセグメント72aと72bとがウェッジレット分割線70によって互いに分離されている。復号器は、映像の現在フレームv
1,tに関連する奥行き/視差マップd
1,t、又は映像の以前に復号化された任意のフレームv
1,t-1に関連する奥行き/視差マップd
1,t-1の事前に再構成されたセグメントから、そのセグメントについての予測パラメータの個別のセットを使用して、奥行き/視差マップd
1,tをセグメント単位で予測しても良い。復号器は、ウェッジレット分割線70を直線とするように構成されても良く、さらに復号器は、奥行き/視差マップd
1,tのブロック・ベースの前セグメンテーションからのセグメンテーションを決定するように構成されても良く、その際には、ウェッジレット分割線70に沿って前セグメンテーションのブロック66cが分割され、その結果、二つの隣接するセグメント72aと72bは、一緒に前セグメンテーションのブロック66cを構成するウェッジレット形セグメントである。
【0074】
上述した実施形態のいくつかを要約すれば、これらの実施形態は、多視点映像と補足的データとを共有して復号化することから、視点抽出を可能にする。「補足的データ」とは、以下においては奥行き/視差マップデータの意味で使用される。これらの実施形態によれば、多視点映像と補足的データとは、一つの圧縮された表現の中に埋め込まれる。補足的データは、画素毎の奥行きマップ、視差データ又は3Dワイヤフレームを含んでも良い。抽出された視点102は、圧縮された表現又はビットストリーム18の中に含まれる視点12
1と12
2とから、視点番号及び空間位置において異なっていても良い。圧縮された表現18は、符号器20によって事前に生成されたものであり、その符号器20は、映像データの符号化を改善させるためにも補足的データを使用することができる。
【0075】
現状の技術の方法とは対照的に、ジョイント復号化が実行され、そこでは、映像及び補足的データの復号化が共通の情報によって支持されかつ制御されても良い。例として、動き又は視差ベクトルの共通のセットが挙げられ、これらは映像と補足的データとを復号化するために使用される。最後に、復号化された映像データ、補足的データ及び可能な結合データから視点が抽出され、このとき、抽出された視点の番号と位置とは受信装置における抽出制御によって制御される。
【0076】
更に、上述した多視点圧縮の概念は、視差ベースの視点合成に関連して使用可能である。視差ベースの視点合成とは、仮に、場面コンテンツが映像14
1と14
2のように多数のカメラでキャプチャーされた場合、このコンテンツの3次元認識を観察者に提供できるものである。そのため、左右の眼のための、わずかに異なる視線方向を持つステレオ・ペアを提供する必要がある。同一コンテンツの同一時刻についての両方の視点におけるシフトは、視差ベクトルによって表現される。同様に、一つのシーケンス内の異なる時刻同士におけるコンテンツシフトは、動きベクトルであり、これについては、
図4において二つの時刻における二つの視点について説明する。
【0077】
通常、視差は直接的に推定されるか、又は場面の奥行きとして推定されるものであり、外部的に提供されるか、又は特別なセンサーもしくはカメラを用いて記録されている。動き推定は、標準的な符号器によって既に実行されている。もし多数の視点が一緒に符号化される場合には、符号化の間に時間的にも視点間方向にも動き推定が実行されるように、時間的及び視点間方向の動き推定は同様に処理される。この点については、
図1及び
図2に関して既に説明した通りである。視点間方向の推定された動きベクトルは、視差ベクトルである。そのような視差ベクトルは、
図2において、参照番号82と76とで例示的に示した通りである。このように、符号器20は暗黙のうちに視差推定をも実行しており、視差ベクトルは符号化されたビットストリーム18の中に含まれる。これらのベクトルは、復号器側、即ち視点抽出器108内における、追加的な中間視点合成にも使用することができる。
【0078】
仮に、同一の輝度値を持つ、視点1内の位置(x
1,y
1)にある画素p
1(x
1,y
1)と、視点2内の位置(x
2,y
2)にある画素p
2(x
2,y
2)とを想定する。ここで、
p
1(x
1,y
1)=p
2(x
2,y
2) (1)
この場合、二つの画素の位置(x
1,y
1)と(x
2,y
2)とは、例えば視点2から視点1への二次元の視差ベクトル、即ち成分d
x,21(x
2,y
2)と成分d
y,21(x
2,y
2)とを有するd
21(x
2,y
2)によって接続される。従って、次式が成り立つ。
(x
1,y
1)=(x
2+d
x,21(x
2,y
2),y
2+d
y,21(x
2,y
2)) (2)
式(1)と(2)を組み合わせると、次式(3)となる。
p
1(x
2+d
x,21(x
2,y
2),y
2+d
y,21(x
2,y
2))=p
2(x
2,y
2) (3)
【0079】
図5の右下に示すように、同一のコンテンツを持つ二つの点は、視差ベクトルによって接続することができる。このベクトルをp
2の座標に加えることで、イメージ座標内のp
1の位置が得られる。もし、視差ベクトルd
21(x
2,y
2)がファクタK=[0...1]によりスケールされるならば、位置(x
1,y
1)と(x
2,y
2)との間のあらゆる中間位置もアドレス可能となる。このように、視点1及び/又は視点2のイメージコンテンツを、スケールされた視差ベクトルによってシフトすることで、中間視点を生成することができる。中間視点についての例は、
図6で示す。
【0080】
以上のように、視点1と視点2との間のあらゆる位置について、新たな中間視点を生成することができる。
【0081】
更には、視差についてスケーリングファクタK<0及びK>1を使用することで、視点補外をも達成できる。
【0082】
これらのスケーリング法はまた、時間的な方向にも適用することができ、動きベクトルをスケーリングすることで、新たなフレームを抽出可能となる。この点は、より高いフレームレート映像シーケンスの生成に繋がる。
【0083】
次に、
図1〜
図3に関して説明した実施形態に戻ると、これらの実施形態は、特に、複数の復号化分枝を持つ並列的な復号化構造を示すものであり、それらの復号化分枝は、映像と奥行きマップなどの補足的データとを処理し、共通情報モジュール、即ちモジュール110を含む。このモジュールは、符号器によって生成された両方の信号からの空間的情報を使用する。共通情報の例として、動きベクトル又は視差ベクトルの1セットであって、例えば映像データの符号化処理の中で抽出されたものであり、例えば奥行きデータのためにも使用できるものが挙げられる。復号器側では、この共通情報は、映像及び奥行きデータの復号化を進め、各復号化分枝に対して必要な情報を提供し、かつ任意ではあるが、新たな視点を抽出するために使用される。この情報があれば、例えばN視点ディスプレイのために必要な全ての視点が、映像データから並列的に抽出できる。個々の符号化/復号化分枝の間で共有されるべき共通情報又は符号化パラメータには、以下のようなものがある。
−補足的データのためにも使用される、例えば映像データからの、共通の動きベクトル及び視差ベクトル
−補足的データのためにも使用される、例えば映像データ分割(partitioning)からの、共通のブロック分割構造
−予測モード
−例えばある輝度ブロック内の直線のような、輝度及び/又は色度情報における、エッジ及び輪郭データ。このデータは、補足的データの非矩形ブロック分割のために使用される。その分割はウェッジレットと呼ばれ、所定の角度と位置とを有する一つの直線によって、一つのブロックを二つの領域へと分割する。
【0084】
共通情報は、(例えば映像用の)一つの復号化分枝からの予測値であって、(例えば補足的データ用の)他の分枝において精製されるべき予測値として使用されても良く、又はその逆の予測値として使用されても良い。この共通情報は、具体的には、動きベクトル又は視差ベクトルの精製、補足的データ内のブロック構成を映像データのブロック構成によって初期化すること、一つの映像ブロックから輝度もしくは色度のエッジ又は輪郭情報に基づいて直線を抽出すること、及びこの線をウェッジレット分割線予測のために使用すること(同一の角度を持つが、その角度を保持しながらも、対応する奥行きブロック内では異なる位置を持つことも可能)を含んでも良い。共通情報モジュールはさらに、部分的に再構成されたデータを一つの復号化分枝から他の復号化分枝へと伝送しても良い。最後に、このモジュールからのデータは視点抽出モジュールに送られても良く、その視点抽出モジュールでは、例えば一つのディスプレイ(2D,二眼立体視、N視点自動立体視でも良い)に必要な全ての視点が抽出される。
【0085】
一つの重要な点は、もし映像と奥行き/補足的信号との2つ以上のペアが、上述の符号化/復号化構成を用いて符号化/復号化される場合には、各時刻tについて、色彩視点V
Color_1(t)とV
Color_2(t)とのペアと、それに対応する奥行きデータV
Depth_1(t)とV
Depth_2(t)とを一緒に伝送する必要があるような、アプリケーション・シナリオを考慮しても良い。上述した実施形態は、以下のような点を提案するものである。即ち、最初に、信号V
Color_1(t)を例えば従来の動き補償予測を用いて符号化/復号化する。次に、第2のステップでは、対応する奥行き信号V
Depth_1(t)を符号化/復号化するために、符号化/復号化された信号V
Color_1(t)からの情報を上述したように再使用できる。その後、V
Color_1(t)及びV
Depth_1(t)からの蓄積された情報は、V
Color_2(t)及び/又はV
Depth_2(t)を符号化/復号化するためにさらに利用することができる。このようにして、異なる視点及び/又は奥行きの間で共通情報を共有しかつ再利用することで、重複性を大幅に活用することができる。
【0086】
図3に示す復号化と視点抽出との構成について、代替的に
図7をも参照して説明する。
【0087】
図7に示す復号器の構成は、色彩及び補足的データのための、二つの並列化された従来型の映像復号化構成に基づいている。加えて、この実施形態は共通情報モジュールを含む。この共通情報モジュールは、共有された任意の情報を、両方の復号化構成の任意のモジュールから及び任意のモジュールに対して、送信、処理及び受信することができる。復号化された映像と補足的データは、最終的には映像抽出モジュールの中で結合されて、必要数の視点が抽出される。ここで、上述の新規なモジュールからの共通情報も使用することができる。本発明が新たに提案する復号化の新規なモジュールと視点抽出方法とは、
図7において斜線のボックスによって強調されている。
【0088】
復号化プロセスは、共通の圧縮された表現又はビットストリームを受信することから開始する。この共通ビットストリームは映像データと補足的データとを含んでおり、さらに、一つ又は複数の視点からの両方の復号化プロセスに共通の情報、例えば動き又は視差ベクトル、制御情報、ブロック分割情報、予測モード、輪郭データなどを含んでいる。
【0089】
最初に、ビットストリームに対してエントロピー復号化が適用され、映像及び補足的データのための量子化済み変換係数が抽出される。これらの変換係数は、
図7においてはそれぞれ「映像データ処理」及び「補足的データ処理」と記載され、点線で囲まれたボックスで強調された二つの別個の復号化分枝へと供給される。さらに、このエントロピー復号化は、共有された又は共通のデータをも抽出し、そのデータを新規な共通情報モジュールへと供給する。
【0090】
エントロピー復号化の後は、両方の復号化分枝は類似的に作動する。受信された量子化済み変換係数はスケールされ、逆変換が適用されて差分信号が取得される。これに対して、時間的又は空間的に近隣の視点からの事前に復号化されたデータが加算される。加算されるべき情報のタイプは、特別な制御データによって制御される。イントラ符号化された映像又は補足的データの場合には、以前の又は近隣の情報が有効でないため、イントラ・フレーム再構成が適用される。インター符号化された映像又は補足的データの場合には、時間的に先行するか又は近隣の視点からの以前に復号化されたデータが有効となる(
図7の現在のスイッチ設定を参照)。以前に復号化されたデータは、動き補償ブロック内で関連する動きベクトルによってシフトされ、差分信号に対して追加されて、初期フレームが生成される。もし、以前に復号化されたデータが近隣の視点のものである場合には、動きデータは視差データを表している。これらの初期フレーム又は視点は、デブロッキングフィルタや例えばエッジの平滑化などのような可能な強化法によってさらに処理されることで、視覚的品質が改善される。
【0091】
このような改善ステージの後で、再構成されたデータは復号化済み画像バッファへと供給される。このバッファは、復号化されたデータの順序を整え、各時刻について正確な時間的順序で復号化済みの画像を出力する。記憶されたデータはまた、次の処理サイクルのためにも使用され、スケーラブルな動き/視差ベクトル補償に対する入力として役立てられる。
【0092】
上述したような映像及び補足的データの分離した復号化に加え、新規な共通情報モジュールが使用される。このモジュールは、映像及び補足的データに共通するあらゆるデータを処理するものである。共通情報の例としては、共有された動き/視差ベクトル、ブロック分割情報、予測モード、輪郭データ、制御情報だけではなく、共通の変換係数又はモード、視点強化データなども挙げられる。個別の映像及び補足的データのモジュールにおいて処理されるいかなるデータも、共通モジュールのデータの一部にもなることができる。そのため、共通モジュールと、個別の復号化分枝の全ての部分と、の間を往復する接続が存在しても良い。更には、共通情報モジュールが十分なデータを含んでいてもよいため、個別の復号化分枝のうちの一つの分枝と共通モジュールだけで、全ての映像及び補足的データを復号化できるようにしても良い。そのような場合の例は、圧縮された表現であって、その内のいくつかの部分は映像データだけを持ち、他の全ての部分は共通の映像及び補足的データを持つ場合である。その場合、映像データは映像の復号化分枝内で復号化される一方で、全ての補足的データは共通モジュール内で処理され、視点合成へと出力される。従って、この例においては、別個の補足的データの分枝は使用されない。更に、別個の復号化分枝の各モジュールからの個々のデータは、例えば部分的に復号化されたデータの形で共通情報処理モジュールへと送り返され、そこで使用されるか又は他の復号化分枝に伝送されても良い。そのような例としては、変換係数、動きベクトル、モード又は設定などのような復号化済み映像データであって、適切な補足的な復号化モジュールへと伝送されるデータが挙げられる。
【0093】
復号化の後で、再構成された映像及び補足的データが、別個の復号化分枝又は共通情報モジュールから、視点抽出器へと伝送される。
図3内で参照番号110で示すような視点抽出モジュールの中で、例えば多視点ディスプレイのような受信装置に必要な視点が抽出される。この工程は、視点シーケンスの必要数や位置を設定する、中間視点抽出制御によって制御される。この視点抽出の例は視点合成である。つまり、
図6に示すように、もし2つの元の視点1と2との間に新たな視点を合成しようとする場合には、まず、視点1からのデータが新たな位置へとシフトされても良い。しかし、この視差シフトは、前景オブジェクトと背景オブジェクトとに対して異なるものとなる。なぜなら、このシフトは、元の場面の奥行き(カメラからの前方の距離)に対して反比例するからである。このようにして、視点1では見えなかった新たな背景領域が、合成された視点の中では可視となる。このとき、視点2を、この情報を満たすために使用しても良い。更に、空間的に近隣のデータ、例えば隣接する背景情報なども使用されても良い。
【0094】
一例として、
図8に示すような設定を考慮されたい。この例では、復号化されたデータは、色彩データV
Color1及びV
Color2と、奥行きデータV
Depth1及びV
Depth2と、をそれぞれ有する二つの視点シーケンスを含む。このデータから、視点V
D1,視点V
D2,...,視点V
D9を持つ、9視点ディスプレイのための視点が抽出されることになる。ディスプレイは、中間視点抽出制御を介して、視点の個数や空間位置を信号伝達する。ここで、9視点には0.25の空間的距離が求められており、隣接するディスプレイ視点(例えばV
D2とV
D3)が、空間位置及び立体視知覚において、ビットストリーム内の視点と比較して互いに4倍近づいた状態となっている。従って、視点抽出ファクタ{K
1,K
2,・・・,K
9}は、{−0.5,−0.25,0,0.25,0.5,0.75,1,1.25,1.5}に設定されている。つまり、復号化された色彩の視点V
Color1及びV
Color2が、それらの空間位置においては、(K
3=0であり、K
7=1であることから)ディスプレイの視点V
D3及びV
D7と一致することになる。更に、V
D4とV
D5とV
D6とは、V
Color1とV
Color2との間で補間される。最後に、V
D1及びV
D2と、V
D8及びV
D9とは、それぞれビットストリームのペアV
Color1及びV
Color2の各サイドにおいて補外される。視点抽出ファクタのセットを用いて、奥行きデータV
Depth1及びV
Depth2が視点抽出ステージにおける画素毎の変位情報へと変換され、かつ適切にスケールされることで、復号化された色彩データの9個の異なる方法でシフトされたバージョンが取得される。
【0095】
これまで装置を説明する文脈で幾つかの態様を示してきたが、これらの態様は対応する方法の説明でもあることは明らかであり、そのブロック又は装置が方法ステップ又は方法ステップの特徴に対応することは明らかである。同様に、方法ステップを説明する文脈で示した態様もまた、対応する装置の対応するブロックもしくは項目又は特徴を表している。方法ステップの幾つか又は全ては、例えばマイクロプロセッサ、プログラム可能なコンピュータ、又は電子回路等のハードウエアにより(を使用して)実行されても良い。幾つかの実施形態においては、最も重要な方法ステップの内の1つ又は複数のステップは、そのような装置によって実行されても良い。
【0096】
本発明の符号化された多視点信号は、デジタル記憶媒体に記憶されても良く、インターネットのような無線伝送媒体や有線伝送媒体などによって伝送されても良い。
【0097】
所定の構成要件にも依るが、本発明の実施形態は、ハードウエア又はソフトウエアにおいて構成可能である。この構成は、その中に格納される電子的に読み取り可能な制御信号を有し、本発明の各方法が実行されるようにプログラム可能なコンピュータシステムと協働する(又は協働可能な)、デジタル記憶媒体、例えばフレキシブルディスク,DVD,ブルーレイ,CD,ROM,PROM,EPROM,EEPROM,フラッシュメモリなどを使用して実行することができる。従って、そのデジタル記憶媒体はコンピュータ読み取り可能であっても良い。
【0098】
本発明に従う実施形態の幾つかは、上述した方法の1つを実行するようプログラム可能なコンピュータシステムと協働可能で、電子的に読み取り可能な制御信号を有するデータキャリアを含んでも良い。
【0099】
一般的に、本発明の実施例は、コンピュータプログラム製品として構成することができ、このプログラムコードは当該コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で作動するときに、本発明の方法の一つを実行するよう作動する。そのプログラムコードは例えば機械読み取り可能なキャリアに記憶されても良い。
【0100】
本発明の他の実施形態は、上述した方法の1つを実行するための、機械読み取り可能なキャリアに記憶されたコンピュータプログラムを含む。
【0101】
換言すれば、本発明の方法のある実施形態は、そのコンピュータプログラムがコンピュータ上で作動するときに、上述した方法の1つを実行するためのプログラムコードを有する、コンピュータプログラムである。
【0102】
本発明の他の実施形態は、上述した方法の1つを実行するために記憶されたコンピュータプログラムを含む、データキャリア(又はデジタル記憶媒体又はコンピュータ読み取り可能な媒体)である。そのデータキャリア、デジタル記憶媒体又は記憶された媒体は、典型的には有形及び/又は非遷移的である。
【0103】
本発明の他の実施形態は、上述した方法の1つを実行するためのコンピュータプログラムを表現するデータストリーム又は信号シーケンスである。そのデータストリーム又は信号シーケンスは、例えばインターネットを介するデータ通信接続を介して伝送されるように構成されても良い。
【0104】
他の実施形態は、上述した方法の1つを実行するように構成又は適用された、例えばコンピュータ又はプログラム可能な論理デバイスのような処理手段を含む。
【0105】
他の実施形態は、上述した方法の1つを実行するためのコンピュータプログラムをインストールされたコンピュータを含む。
【0106】
本発明の他の実施形態は、上述した方法の1つを実行するためのコンピュータプログラムを受信器に対して(例えば電子的に又は光学的に)伝送するよう構成された、装置又はシステムを含む。その受信器は、例えばコンピュータ、モバイル装置、メモリ装置又はその類似物であっても良い。その装置又はシステムは、コンピュータプログラムを受信器に対して伝送するためのファイルサーバーを含んでも良い。
【0107】
幾つかの実施形態においては、(例えば書換え可能ゲートアレイのような)プログラム可能な論理デバイスは、上述した方法の幾つか又は全ての機能を実行するために使用されても良い。幾つかの実施形態では、書換え可能ゲートアレイは、上述した方法の1つを実行するためにマイクロプロセッサと協働しても良い。一般的に、そのような方法は、好適には、任意のハードウエア装置によって実行される。
【0108】
上述した実施の形態は、本発明の原理を単に例示的に示したにすぎない。本明細書に記載した構成及び詳細について、修正及び変更が可能であることは、当業者にとって明らかである。従って、本発明は、本明細書に実施形態の説明及び解説の目的で提示した具体的詳細によって限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
[請求項1]
データストリーム(18)から得られた第1符号化パラメータ(46
1,48
1,50
1)に従って、多視点信号(10)の第1の事前に再構成された部分から第1視点(12
1)の現在部分を予測し、かつ前記データストリーム(18)に含まれた第1補正データ(42
1,42
2)を使用して前記第1視点(12
1)の現在部分の予測の予測誤差を補正することによって、前記データストリーム(18)から前記多視点信号(10)の前記第1視点(12
1)を再構成する手段(106
v,1,106
d,1)であって、前記第1の事前に再構成された部分は前記第1視点(12
1)の現在部分の再構成よりも前に復号器によって前記データストリーム(18)から再構成されたものである、手段(106
v,1,106
d,1)と、
前記第1符号化パラメータから第2符号化パラメータを少なくとも部分的に採用し又は予測する手段と、
前記第2符号化パラメータに従って、多視点信号(10)の第2の事前に再構成された部分から第2視点の現在部分を予測し、かつ前記データストリーム(18)に含まれた第2補正データ(42
3,42
4)を使用して前記第2視点(12
2)の現在部分の予測の予測誤差を補正することによって、前記データストリーム(18)から前記多視点信号(10)の前記第2視点(12
2)を再構成する手段(106
v,2,106
d,2)であって、前記第2の事前に再構成された部分は前記第2視点(12
2)の現在部分の再構成よりも前に前記復号器によって前記データストリーム(18)から再構成されたものである、手段(106
v,2,106
d,2)と、
を備える復号器。
[請求項2]
請求項1に記載の復号器において、
前記第1視点と前記第2視点とから中間視点(102)を抽出する手段(108)をさらに備える復号器。
[請求項3]
請求項1又は2に記載の復号器において、
前記第1視点(12
1)と前記第2視点(12
2)のそれぞれが、個別のカメラ位置からキャプチャーされた映像(14
1,14
2)と、関連する奥行き/視差マップデータ(16
1,16
2)とを備える復号器。
[請求項4]
請求項3に記載の復号器において、
前記第1符号化パラメータの第1部分(46
1,48
1,50
1)に従って、前記多視点信号(10)の第3の事前に再構成された部分から前記第1視点(12
1)の前記映像(14
1)の現在部分を予測し、かつ前記データストリーム(18)に含まれた第1補正データ(42
1,42
2)の第1サブセット(42
1)を使用して前記第1視点(12
1)の前記映像(14
1)の現在部分の予測の予測誤差を補正することによって、前記データストリーム(18)から前記第1視点(12
1)の前記映像(14
1)を再構成する手段(106
v,1)であって、前記第3の事前に再構成された部分は前記第1視点(12
1)の前記映像(14
1)の現在部分の再構成よりも前に前記復号器によって前記データストリーム(18)から再構成されたものである、手段(106
v,1)と、
前記第1符号化パラメータの前記第1部分から前記第1符号化パラメータの第2部分を少なくとも部分的に採用し又は予測する手段と、
前記第1符号化パラメータの前記第2部分に従って、前記多視点信号(10)の第4の事前に再構成された部分から前記第1視点(12
1)の前記奥行き/視差マップデータ(16
1)の現在部分を予測し、かつ前記第1補正データの第2サブセット(42
2)を使用して前記第1視点(12
1)の前記奥行き/視差マップデータ(16
1)の現在部分の予測の予測誤差を補正することによって、前記データストリーム(18)から前記第1視点(12
1)の前記奥行き/視差マップデータ(16
1)を再構成する手段(106
d,1)であって、前記第4の事前に再構成された部分は前記第1視点(12
1)の前記奥行き/視差マップデータ(16
1)の現在部分の再構成よりも前に前記復号器によって前記データストリーム(18)から再構成されたものである、手段(106
d,1)と、
を備える復号器。
[請求項5]
請求項4に記載の復号器において、
前記第1符号化パラメータは前記第1視点(12
1)の前記映像(14
1)のフレームのセグメンテーションを定義し、前記復号器は、前記第1視点(12
1)の前記奥行き/視差マップデータ(16
1)を再構成するに際して、前記第1視点(12
1)の前記映像(14
1)のフレームのセグメンテーションを前記第1視点(12
1)の前記奥行き/視差マップデータ(16
1)の前セグメンテーションとして使用することを特徴とする、復号器。
[請求項6]
請求項4に記載の復号器において、
前記復号器は、前記第1視点(12
1)の前記映像の現在フレーム(v
1,t)の再構成された部分を使用して、ウェッジレット分割線(70)の位置を予測し、
前記データストリーム(18)から前記第1視点の前記奥行き/視差マップデータ(16
1)を再構成するに当り、前記ウェッジレット分割線と合致するように、前記第1視点の前記映像の現在フレーム(v
1,t)と関連した前記第1視点の前記奥行き/視差マップデータ(16
1)の奥行き/視差マップの現在部分(d
1,t)の境界を設定する、ことを特徴とする復号器。
[請求項7]
請求項4〜6のいずれかに記載の復号器において、
前記第1視点(12
1)の前記映像の第1の事前に再構成された部分(v
1,t-1)から前記第1視点(12
1)の前記映像の現在部分(60a)を予測する手段であって、前記第1の事前に再構成された部分(v
1,t-1)は前記第1視点の前記映像の現在部分の再構成よりも前に前記復号器によって前記データストリーム(18)から再構成されたものである、手段と、
前記第1視点(12
1)の前記奥行き/視差マップデータの第1の事前に再構成された部分(d
1,t-1)から前記第1視点(12
1)の前記奥行き/視差マップデータの現在部分(66a)を予測する手段であって、前記第1の事前に再構成された部分(d
1,t-1)は前記第1視点(12
1)の前記奥行き/視差マップデータの現在部分(66a)の再構成よりも前に前記復号器によって前記データストリーム(18)から再構成されたものである、手段と、
を備える復号器。
[請求項8]
請求項3〜7のいずれかに記載の復号器において、
前記第1符号化パラメータから前記第2符号化パラメータの第1部分を少なくとも部分的に採用し又は予測する手段と、
前記第2符号化パラメータの第1部分に従って、前記多視点信号(10)の第5の事前に再構成された部分から前記第2視点(12
2)の前記映像(14
2)の現在部分を予測し、かつ前記データストリーム(18)に含まれた第2補正データの第1サブセット(42
3)を使用して前記第2視点(12
2)の前記映像(14
2)の現在部分の予測の予測誤差を補正することによって、前記データストリーム(18)から前記第2視点(12
2)の前記映像(14
2)を再構成する手段(106
v,2)であって、前記第5の事前に再構成された部分は前記第2視点(12
2)の前記映像(14
2)の現在部分の再構成よりも前に前記復号器によって前記データストリーム(18)から再構成されたものである、手段(106
v,2)と、
前記第1符号化パラメータから、及び/又は前記第2符号化パラメータの前記第1部分から、前記第2符号化パラメータの第2部分を少なくとも部分的に採用し又は予測する手段と、
前記第2符号化パラメータの前記第2部分に従って、前記多視点信号(10)の第6の事前に再構成された部分から前記第2視点(12
2)の前記奥行き/視差マップデータ(16
2)の現在部分を予測し、かつ前記第2補正データの第2サブセット(42
4)を使用して前記第2視点(12
2)の前記奥行き/視差マップデータ(16
2)の現在部分の予測の予測誤差を補正することによって、前記データストリーム(18)から前記第2視点(12
2)の前記奥行き/視差マップデータ(16
2)を再構成する手段(106
d,2)であって、前記第6の事前に再構成された部分は前記第2視点(12
2)の前記奥行き/視差マップデータ(16
2)の現在部分の再構成よりも前に前記復号器によって前記データストリーム(18)から再構成されたものである、手段(106
d,2)と、
を備える復号器。
[請求項9]
請求項8に記載の復号器において、
前記復号器は、
前記データストリーム(18)から前記第1視点(12
1)の前記奥行き/視差マップデータ(16
1)を再構成(106
d,1)するに当り、前記第1視点の前記奥行き/視差マップデータ(16
1)における第1のウェッジレット分割線(70)を使用し、
前記第2視点の前記奥行き/視差マップデータ(16
2)における第2のウェッジレット分割線のための予測値として前記第1のウェッジレット分割線(70)を使用し、又は前記第1のウェッジレット分割線(70)を第2のウェッジレット分割線として採用し、
前記データストリーム(18)から前記第2視点の前記奥行き/視差マップデータ(16
2)を再構成するに当り、前記第2のウェッジレット分割線と合致するように、前記第2視点の前記映像の現在フレーム(v
2,t)と関連した前記第2視点の前記奥行き/視差マップデータ(16
2)の奥行き/視差マップ(d
2,t)の現在部分の境界を設定する、ことを特徴とする復号器。
[請求項10]
請求項8又は9に記載の復号器において、
前記第2視点(12
2)の前記映像(14
2)の第1の事前に再構成された部分(v
2,t-1)から、又は前記第1視点(12
1)の前記映像(14
1)の第2の事前に再構成された部分(v
1,t)から、前記第2視点(12
2)の前記映像(14
2)の現在部分(74a;74b)を予測する手段であって、前記第1の事前に再構成された部分(v
2,t-1)は前記第2視点(12
2)の前記映像(14
2)の現在部分の再構成よりも前に前記復号器によって前記データストリーム(18)から再構成されたものであり、前記第2の事前に再構成された部分(v
1,t)は前記第2視点(12
2)の前記映像(14
2)の現在部分の再構成よりも前に前記復号器によって前記データストリーム(18)から再構成されたものである、手段と、
前記第2視点(12
2)の前記奥行き/視差マップデータ(16
2)の第1の事前に再構成された部分(d
2,t-1)から、又は前記第1視点(12
1)の前記奥行き/視差マップデータ(16
1)の第2の事前に再構成された部分(d
1,t)から、前記第2視点(12
2)の前記奥行き/視差マップデータ(16
2)の現在部分(80a;80b)を予測する手段であって、前記第1の事前に再構成された部分(d
2,t-1)は前記第2視点(12
2)の前記奥行き/視差マップデータ(16
2)の現在部分の再構成よりも前に前記復号器によって前記データストリーム(18)から再構成されたものであり、前記第2の事前に再構成された部分(d
1,t)は前記第2視点の前記奥行き/視差マップデータの現在部分の再構成よりも前に前記復号器によって前記データストリーム(18)から再構成されたものである、手段と、
を備える復号器。
[請求項11]
請求項8〜10のいずれかに記載の復号器において、
前記第2視点(12
2)の前記映像の現在フレーム(v
2,t)におけるエッジ(72)を検出し、前記エッジ(72)に沿って延びるようにウェッジレット分割線(70)を決定する手段と、
前記データストリーム(18)から前記第2視点の前記奥行き/視差マップデータ(16
2)を再構成するに当り、前記ウェッジレット分割線と合致するように、前記第2視点の前記映像の現在フレーム(v
2,t)と関連した前記第2視点の前記奥行き/視差マップデータ(16
2)の奥行き/視差マップの現在部分(d
2,t)の境界を設定する手段と、を備える復号器。
[請求項12]
請求項11に記載の復号器において、
前記データストリーム(18)から前記第2視点の前記奥行き/視差マップデータ(16
2)を再構成する際に、前記現在部分が所属するセグメントのユニット内でセグメント毎に、前記セグメントのために予測パラメータの個別のセットを使用して、予測を実行することを特徴とする、復号器。
[請求項13]
請求項11又は12に記載の復号器において、
前記ウェッジレット分割線(70)は直線であり、前記復号器は、前記第2視点の前記奥行き/視差マップデータ(16
2)の前セグメンテーションのブロック(66c)を前記ウェッジレット分割線(70)に沿って分割するものであり、2つの隣接するセグメント(72a,72b)は、前セグメンテーションのブロック(66c)を同時に形成するウェッジレット形セグメントである、ことを特徴とする復号器。
[請求項14]
請求項1〜13のいずれかに記載の復号器において、
前記第1と第2の符号化パラメータはそれぞれ、前記第1視点の現在部分の予測と前記第2視点の現在部分の予測とを制御する、第1と第2の予測パラメータであることを特徴とする復号器。
[請求項15]
請求項1〜14のいずれかに記載の復号器において、
前記現在部分とは、それぞれ前記第1視点と前記第2視点との前記映像のフレームのセグメンテーションのセグメントであることを特徴とする復号器。
[請求項16]
請求項1〜15のいずれかに記載の復号器において、
前記復号器は、
前記第1視点(12
1)の現在部分を第1の空間解像度で予測しかつ補正することによって、前記データストリームから前記多視点信号(10)の前記第1視点(12
1)を再構成し、
前記第2視点(12
2)の現在部分を前記第1の空間解像度より低い第2の空間解像度で予測しかつ補正し、しかる後に前記第2視点(12
2)の再構成された現在部分を前記第2の空間解像度から前記第1の空間解像度へとアップサンプリングすることによって、前記データストリームから前記多視点信号(10)の前記第2視点(12
2)を再構成する、ことを特徴とする復号器。
[請求項17]
請求項16に記載の復号器において、
前記第1符号化パラメータから前記第2符号化パラメータを少なくとも部分的に採用し又は予測する際に、前記第1の空間解像度と第2の空間解像度との比率にしたがって前記第1符号化パラメータをスケーリングすることを特徴とする復号器。
[請求項18]
次の(1)〜(3)を実行することによって多視点信号の第1視点をデータストリームへ符号化する手段と、
(1)第1符号化パラメータを決定すること、
(2)前記第1符号化パラメータに従って、前記多視点信号の第1の事前に符号化された部分から前記第1視点の現在部分を予測すること、及び第1補正データを得るために前記第1視点の現在部分の予測の予測誤差を決定することであって、前記第1の事前に符号化された部分は前記第1視点の現在部分の符号化よりも前に前記符号器によって前記データストリーム内に符号化されたものである、
(3)前記第1符号化パラメータと前記第1補正データとを前記データストリーム内へ挿入すること、
次の(4)〜(6)を実行することによって前記多視点信号の第2視点を前記データストリームへ符号化する手段と、
(4)前記第1符号化パラメータから第2符号化パラメータを採用し又は予測することによって前記第2符号化パラメータを決定すること、
(5)前記第2符号化パラメータに従って、前記多視点信号の第2の事前に符号化された部分から前記第2視点の現在部分を予測すること、及び前記データストリーム内に含まれた第2補正データを得るために前記第2視点の現在部分の予測の予測誤差を決定することであって、前記第2の事前に符号化された部分は前記第2視点の現在部分の符号化よりも前に前記符号器によって前記データストリーム内に符号化されたものである、
(6)前記第2補正データを前記データストリーム内へ挿入すること、
を含む符号器。
[請求項19]
第1部分と第2部分とを含むデータストリームであって、
前記第1部分はその中へ多視点信号の第1視点が符号化されたものであり、前記第1部分は第1補正データと第1符号化パラメータとを含み、前記第1符号化パラメータに従って、前記第1視点の現在部分が前記多視点信号の第1の事前に符号化された部分から予測可能であり、前記第1の事前に符号化された部分は前記第1視点の前記現在部分の符号化よりも前に前記データストリーム内へ符号化されたものであり、前記第1視点の現在部分の予測の予測誤差は前記第1補正データを使用して補正可能であり、
前記第2部分はその中へ多視点信号の第2視点が符号化されたものであり、前記第2部分は第2補正データを含み、前記第1符号化パラメータから予測可能又は採用可能な第2符号化パラメータに従って、前記第2視点の現在部分が前記多視点信号の第2の事前に符号化された部分から予測可能であり、前記第2の事前に符号化された部分は前記第2視点の前記現在部分の符号化よりも前に前記データストリーム内へ符号化されたものであり、前記第2視点の現在部分の予測の予測誤差は前記第2補正データを使用して補正可能である、データストリーム。
[請求項20]
データストリーム(18)から得られた第1符号化パラメータ(46
1,48
1,50
1)に従って、多視点信号(10)の第1の事前に再構成された部分から第1視点(12
1)の現在部分を予測し、かつ前記データストリーム(18)に含まれた第1補正データ(42
1,42
2)を使用して前記第1視点(12
1)の現在部分の予測の予測誤差を補正することによって、前記データストリーム(18)から前記多視点信号(10)の前記第1視点(12
1)を再構成するステップ(106
v,1,106
d,1)であって、前記第1の事前に再構成された部分は前記第1視点(12)の現在部分の再構成よりも前に復号器によって前記データストリーム(18)から再構成されたものである、ステップ(106
v,1,106
d,1)と、
前記第1符号化パラメータから第2符号化パラメータを少なくとも部分的に採用し又は予測するステップと、
前記第2符号化パラメータに従って、多視点信号(10)の第2の事前に再構成された部分から第2視点の現在部分を予測し、かつ前記データストリーム(18)に含まれた第2補正データ(42
3,42
4)を使用して前記第2視点(12
2)の現在部分の予測の予測誤差を補正することによって、前記データストリーム(18)から前記多視点信号(10)の前記第2視点(12
2)を再構成するステップ(106
v,2,106
d,2)であって、前記第2の事前に再構成された部分は前記第2視点(12
2)の現在部分の再構成よりも前に前記復号器によって前記データストリーム(18)から再構成されたものである、ステップ(106
v,2,106
d,2)と、
を備える復号化方法。
[請求項21]
次の(1)〜(3)を実行することによって多視点信号の第1視点をデータストリームへ符号化するステップと、
(1)第1符号化パラメータを決定すること、
(2)前記第1符号化パラメータに従って、前記多視点信号の第1の事前に符号化された部分から前記第1視点の現在部分を予測すること、及び第1補正データを得るために前記第1視点の現在部分の予測の予測誤差を決定することであって、前記第1の事前に符号化された部分は前記第1視点の現在部分の符号化よりも前に前記符号器によって前記データストリーム内に符号化されたものである、
(3)前記第1符号化パラメータと前記第1補正データとを前記データストリーム内へ挿入すること、
次の(4)〜(6)を実行することによって前記多視点信号の第2視点を前記データストリームへ符号化するステップと、
(4)前記第1符号化パラメータから第2符号化パラメータを採用し又は予測することによって前記第2符号化パラメータを決定すること、
(5)前記第2符号化パラメータに従って、前記多視点信号の第2の事前に符号化された部分から前記第2視点の現在部分を予測すること、及び前記データストリーム内に含まれた第2補正データを得るために前記第2視点の現在部分の予測の予測誤差を決定することであって、前記第2の事前に符号化された部分は前記第2視点の現在部分の符号化よりも前に前記符号器によって前記データストリーム内に符号化されたものである、
(6)前記第2補正データを前記データストリーム内へ挿入すること、
を含む符号化方法。
[請求項22]
コンピュータ上で作動するときに、請求項20又は21に記載の方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラム。