特許第6892536号(P6892536)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6892536
(24)【登録日】2021年5月31日
(45)【発行日】2021年6月23日
(54)【発明の名称】整畦機
(51)【国際特許分類】
   A01B 35/00 20060101AFI20210614BHJP
【FI】
   A01B35/00 C
   A01B35/00 E
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-72306(P2020-72306)
(22)【出願日】2020年4月14日
(62)【分割の表示】特願2017-122942(P2017-122942)の分割
【原出願日】2017年6月23日
(65)【公開番号】特開2020-110182(P2020-110182A)
(43)【公開日】2020年7月27日
【審査請求日】2020年4月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】395008849
【氏名又は名称】株式会社富士トレーラー製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100092691
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 勇治
(74)【代理人】
【識別番号】100199543
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 隆史
(72)【発明者】
【氏名】皆川 功
(72)【発明者】
【氏名】皆川 俊男
(72)【発明者】
【氏名】飯岡 貴行
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅文
【審査官】 小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】 特許第3750086(JP,B2)
【文献】 実開昭54−027012(JP,U)
【文献】 特開平09−051704(JP,A)
【文献】 特開平10−042610(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−0397348(KR,B1)
【文献】 特開2009−183196(JP,A)
【文献】 特開平10−004711(JP,A)
【文献】 特開平09−172806(JP,A)
【文献】 実開昭54−025411(JP,U)
【文献】 特開昭61−005112(JP,A)
【文献】 特開2000−037104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B27/00−31/00
A01B35/00−49/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体に連結機構により機枠を連結し、該機枠に旧畦上に土を盛り上げる盛土機構を設け、該盛土機構は盛土ロータを備えてなり、該盛土機構の進行方向後方位置に盛土を回転整畦可能な整畦機構を設け、該整畦機構は畦の一方側面を回転整畦可能な側面整畦体及び畦の上面を回転整畦可能な上面整畦体、並びに該側面整畦体及び該上面整畦体を各別に回転させる回転機構を備えてなり、上記盛土機構の盛土ロータの回転軸線及び上記側面整畦体の回転軸線はそれぞれ畦の一方側面に略平行に配置され、該盛土ロータの外周部分に旧畦を削土して上記進行方向の前方位置から後方位置へと跳ね上げて旧畦上に土を盛り上げる複数個の掻上刃が突設され、該盛土ロータの回転軸線方向の縦寸法は機械仕様の整畦可能な最大高さと最小高さとの間の整畦範囲に応じて定められており、該側面整畦体の外周部分に複数個の圧締部が間隔を置いて配設され、該各圧締部に回転方向前方位置の圧締部から隣り合う回転方向後方位置の圧締部に至る長さの可撓弾性をもつ複数個の圧締板体の前部が配置され、該圧締板体の回転軸線方向の縦寸法は機械仕様の整畦可能な最大高さと最小高さとの間の整畦範囲に応じて定められており、上記回転機構として、上記盛土ロータは上記掻上刃をもつロータ胴体及びロータ縦軸からなり、上記側面整畦体は回転縦軸及び縦回転体からなり、上記機枠に整畦機体の前部を配設し、整畦機体の前部に該盛土ロータのロータ縦軸の上部を軸受すると共にロータ縦軸の下部を軸受し、かつ、整畦機体の後部に側面整畦体の回転縦軸の上部を軸受すると共に回転縦軸の下部を軸受して該ロータ縦軸及び該回転縦軸は上下両持状態に配設され、上記機枠に上記走行機体の動力取出軸により駆動される主軸を配設し、該整畦機体に該ロータ縦軸の上部及び該回転縦軸の上部間にして該ロータ縦軸及び該回転縦軸を回転させる共用回転軸を配設し、該主軸と該共用回転軸との間に側部伝動機構を装設して構成したことを特徴とする整畦機。
【請求項2】
上記整畦機構に上記側面整畦体及び上記上面整畦体の進行方向前方位置の旧畦を削土可能な前処理機構を備えてなることを特徴とする請求項1記載の整畦機。
【請求項3】
上記整畦機構による回転整畦反力を受ける反力受部材を設け、該反力受部材に圃場面上の草や藁等の圃場散在物を圃場内に埋込可能な円盤部材を設けてなることを特徴とする請求項1又は2記載の整畦機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば畦の造成作業や修復作業等に用いられる整畦機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の整畦機として、走行機体に連結機構により機枠を連結し、機枠に旧畦上に土を盛り上げる盛土機構を設け、盛土機構の進行方向後方位置に盛土を回転整畦可能な整畦機構を設け、整畦機構は畦の一方側面を回転整畦可能な側面整畦体及び畦の上面を回転整畦可能な上面整畦体、並びに側面整畦体及び上面整畦体を各別に回転させる回転機構を備えてなる構造のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3750086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来構造の場合、地域や天候、土壌の性質等に応じた高さの畦の整畦作業が要求されたり、更に又、近年の圃場規模拡大に応じ、高い畦の整畦作業が要求されたりしているが、必ずしも、これら要求に応える高さの畦の整畦作業を行い得ないことがあるという不都合を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうち、請求項1記載の発明は、走行機体に連結機構により機枠を連結し、該機枠に旧畦上に土を盛り上げる盛土機構を設け、該盛土機構は盛土ロータを備えてなり、該盛土機構の進行方向後方位置に盛土を回転整畦可能な整畦機構を設け、該整畦機構は畦の一方側面を回転整畦可能な側面整畦体及び畦の上面を回転整畦可能な上面整畦体、並びに該側面整畦体及び該上面整畦体を各別に回転させる回転機構を備えてなり、上記盛土機構の盛土ロータの回転軸線及び上記側面整畦体の回転軸線はそれぞれ畦の一方側面に略平行に配置され、該盛土ロータの外周部分に旧畦を削土して上記進行方向の前方位置から後方位置へと跳ね上げて旧畦上に土を盛り上げる複数個の掻上刃が突設され、該盛土ロータの回転軸線方向の縦寸法は機械仕様の整畦可能な最大高さと最小高さとの間の整畦範囲に応じて定められており、該側面整畦体の外周部分に複数個の圧締部が間隔を置いて配設され、該各圧締部に回転方向前方位置の圧締部から隣り合う回転方向後方位置の圧締部に至る長さの可撓弾性をもつ複数個の圧締板体の前部が配置され、該圧締板体の回転軸線方向の縦寸法は機械仕様の整畦可能な最大高さと最小高さとの間の整畦範囲に応じて定められており、上記回転機構として、上記盛土ロータは上記掻上刃をもつロータ胴体及びロータ縦軸からなり、上記側面整畦体は回転縦軸及び縦回転体からなり、上記機枠に整畦機体の前部を配設し、整畦機体の前部に該盛土ロータのロータ縦軸の上部を軸受すると共にロータ縦軸の下部を軸受し、かつ、整畦機体の後部に側面整畦体の回転縦軸の上部を軸受すると共に回転縦軸の下部を軸受して該ロータ縦軸及び該回転縦軸は上下両持状態に配設され、上記機枠に上記走行機体の動力取出軸により駆動される主軸を配設し、該整畦機体に該ロータ縦軸の上部及び該回転縦軸の上部間にして該ロータ縦軸及び該回転縦軸を回転させる共用回転軸を配設し、該主軸と該共用回転軸との間に側部伝動機構を装設して構成したことを特徴とする整畦機にある。
【0006】
又、請求項2記載の発明は、上記整畦機構に上記側面整畦体及び上記上面整畦体の進行方向前方位置の旧畦を削土可能な前処理機構を備えてなることを特徴とするものであり、又、請求項3記載の発明は、上記整畦機構による回転整畦反力を受ける反力受部材を設け、該反力受部材に圃場面上の草や藁等の圃場散在物を圃場内に埋込可能な円盤部材を設けてなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は上述の如く、請求項1記載の発明にあっては、上記整畦機構は畦の一方側面を回転整畦可能な側面整畦体及び畦の上面を回転整畦可能な上面整畦体、並びに側面整畦体及び上面整畦体を各別に回転させる回転機構を備えてなるから、畦の一方側面及び畦の上面を良好に締圧整畦することができ、この際、上記盛土機構の盛土ロータの回転軸線及び上記側面整畦体の回転軸線はそれぞれ畦の一方側面に略平行に配置され、盛土ロータの外周部分に旧畦を削土して上記進行方向の前方位置から後方位置へと跳ね上げて旧畦上に土を盛り上げる複数個の掻上刃が突設されているから、回転軸線を軸線として回転する盛土ロータの掻上刃により旧畦上に上記進行方向の前方位置から後方位置へと跳ね上げて土を盛り上げることができると共に回転軸線を軸線として回転する側面整畦体により畦の一方側面を締圧整畦することができ、進行方向の前方位置から後方位置に跳ね上げられた土を側面整畦体により締圧整畦することができ、土の外方飛散を防いで締圧効率を向上することができ、さらに、上記盛土ロータ及び側面整畦体の配置構造を簡素な構造とすることができ、駆動系統の簡素化も可能となり、保守保全における利便性を向上することができ、さらに、上記盛土ロータの回転軸線方向の縦寸法は機械仕様の整畦可能な最大高さと最小高さとの間の整畦範囲に応じて定められており、上記側面整畦体の外周部分に複数個の圧締部が間隔を置いて配設され、各圧締部に回転方向前方位置の圧締部から隣り合う回転方向後方位置の圧締部に至る長さの可撓弾性をもつ複数個の圧締板体の前部が配置され、圧締板体の回転軸線方向の縦寸法は機械仕様の整畦可能な最大高さと最小高さとの間の整畦範囲に応じて定められているから、圧締板体の凹状弾性変形により盛土を挟み込むことができ、確実に締圧整畦することができ、しかも、予め定められた機械仕様における整畦可能な最大高さと最小高さとの間の整畦範囲において、上記盛土ロータの掻上刃により旧畦上への盛土がなされ、側面整畦体の複数個の圧締部及び圧締板体により畦の一方側面は締圧整畦され、上記盛土ロータの回転軸線は畦の一方側面に略平行に配置され、側面整畦体の回転軸線は畦の一方側面に略平行に配置されているから、盛土ロータ及び側面整畦体を低畦用や高畦用のものに交換する必要がなくなり、盛土ロータ及び側面整畦体を交換することなく最大高さと最小高さとの間の整畦範囲内の畦を整畦することができ、地域、天候、土壌の性質等の作業条件や近年の高畦作業に対応することができ、整畦作業の融通性を高めることができ、さらに、側面整畦体の回転軸線は畦の一方側面に略平行に配置され、上記圧締板体の回転軸線方向の縦寸法は上記整畦範囲に応じて定められているから、圧締板体及び圧締部を容易に製作することができ、側面整畦体を容易に製作することができると共に製作コストを低減することができ、上記回転機構として、上記盛土ロータは上記掻上刃をもつロータ胴体及びロータ縦軸からなり、上記側面整畦体は回転縦軸及び縦回転体からなり、上記機枠に整畦機体の前部を配設し、整畦機体の前部に盛土ロータのロータ縦軸の上部を軸受すると共にロータ縦軸の下部を軸受し、かつ、整畦機体の後部に側面整畦体の回転縦軸の上部を軸受すると共に回転縦軸の下部を軸受してロータ縦軸及び回転縦軸は上下両持状態に配設され、上記機枠に上記走行機体の動力取出軸により駆動される主軸を配設し、整畦機体にロータ縦軸の上部及び回転縦軸の上部間にしてロータ縦軸及び回転縦軸を回転させる共用回転軸を配設し、主軸と共用回転軸との間に側部伝動機構を装設しているから、上記側面整畦体を確実に支持することができ、側面整畦体による締圧整畦を確実に行うことができ、共用回転軸によりロータ縦軸及び回転縦軸をそれぞれ回転させることができ、駆動系統を簡素化することができ、側面整畦体を略円筒状又は略円柱状に形成することができ、側面整畦体を容易に製作することができると共に製作コストを低減することができる。
【0008】
又、請求項2記載の発明にあっては、上記整畦機構に上記側面整畦体及び上記上面整畦体の進行方向前方位置の旧畦を削土可能な前処理機構を備えているから、前処理機構により旧畦面を予め削土することができ、削土された畦上に盛土機構により盛土することができ、旧畦土と盛土との土壌の結着性を高めることができ、それだけ強固な畦を得ることができ、さらに、請求項3記載の発明にあっては、上記整畦機構による回転整畦反力を受ける反力受部材を設け、反力受部材に圃場面上の草や藁等の圃場散在物を圃場内に埋込可能な円盤部材を設けているから、反力受部材は上記整畦機構による回転整畦反力を受けると共に円盤部材は回転円盤状に形成され、反力受部材及び円盤部材の進行方向前方位置に散在する圃場面上の藁や草等の圃場散在物を圃場内に埋め込みあるいは複数個の刃部により分断することができ、反力受部材及び円盤部材への圃場散在物の絡まりを防ぐことができ、反力受部材及び円盤部材の圃場穿入によって機枠の直進走行性を向上することができ、それだけ良好な整畦作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の第一形態例の全体側面図である。
図2】本発明の実施の第一形態例の部分拡大側面図である。
図3】本発明の実施の第一形態例の部分拡大平面図である。
図4】本発明の実施の第一形態例の部分前面図である。
図5】本発明の実施の第一形態例の部分後面図である。
図6】本発明の実施の第一形態例の部分拡大後断面図である。
図7】本発明の実施の第一形態例の部分拡大平断面図である。
図8】本発明の実施の第一形態例の部分拡大後断面図である。
図9】本発明の実施の第一形態例の部分拡大平断面図である。
図10】本発明の実施の第一形態例の部分拡大後断面図である。
図11】本発明の実施の第一形態例の部分拡大側断面図である。
図12】本発明の実施の第二形態例の部分拡大後断面図である。
図13】本発明の実施の第二形態例の部分拡大平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1乃至図13は本発明の実施の形態例を示し、図1乃至図11は第一形態例、図12図13は第二形態例である。
【0011】
図1乃至図11の本発明の実施の第一形態例において、1は走行機体であって、この場合、トラクタが用いられ、図1図2の如く、走行機体1の進行方向Eの後部に三点リンク式の連結機構2により機枠3を上下動自在に連結している。
【0012】
4は盛土機構であって、この場合、図3図4図6図7の如く、盛土ロータ5を備えてなり、盛土ロータ5は掻上刃5aをもつロータ胴体5b及びロータ縦軸5cから構成され、盛土ロータ5の回転軸線P方向の縦寸法Tは機械仕様の整畦可能な最大高さHMAXと最小高さHMINとの間の整畦範囲Rに応じて定められている。
【0013】
6は整畦機構であって、図2図3図4図5の如く、上記盛土機構4の進行方向後方位置に設けられ、整畦機構6は畦Wの一方側面Wを回転整畦可能な側面整畦体7及び畦Wの上面Wを回転整畦可能な上面整畦体8、並びに側面整畦体7及び上面整畦体8を各別に回転させる回転機構9を備えて構成している。
【0014】
この場合、図2図3図4図5図6図7図8の如く、上記盛土機構4の盛土ロータ5の回転軸線P及び上記側面整畦体7の回転軸線Pはそれぞれ畦Wの一方側面Wに略平行に配置され、盛土ロータ5の外周部分に旧畦Wの土を削土Nして上記進行方向Eの前方位置から後方位置へと跳ね上げて旧畦W上に土を盛り上げる複数個の上記掻上刃5a・・が突設されている。
【0015】
又、この場合、図2図3図4図5図8図9の如く、側面整畦体7の外周部分に複数個の圧締部K・・が間隔を置いて配設され、各圧締部Kに回転方向前方位置の圧締部Kから隣り合う回転方向後方位置の圧締部Kに至る長さの可撓弾性をもつ複数個の圧締板体G・・の前部がボルトBにより固定配置され、圧締板体Gの回転軸線P方向の縦寸法Lは機械仕様の整畦可能な最大高さHMAXと最小高さHMINとの間の整畦範囲Rに応じて定められており、この場合、例えば、機械仕様の整畦可能な最大高さHMAXは50cm、最小高さHMINは25cmとされ、整畦範囲R=25cmとされ、圧締板体Gの回転軸線P方向の縦寸法Lは整畦範囲R=25cmに応じて定められ、上記上面整畦体8を整畦範囲R、この場合、上下調節量25cmに調節可能な上下調節機構10を配設して構成している。
【0016】
この場合、図8図10図11の如く、上記上面整畦体8の回転軸線Pは上記畦Wの上面Wに略平行に配置され、上面整畦体8の外周部分に複数個の圧締部K・・が間隔を置いて配設され、各圧締部Kに回転方向前方位置の圧締部Kから隣り合う回転方向後方位置の圧締部Kに至る長さの可撓弾性をもつ複数個の圧締板体G・・の前部がボルトBにより固定配置され、上面整畦体8を上記側面整畦体7の回転軸線Pと略平行に上下調節可能な上下調節機構10を設けて構成している。
【0017】
この場合、図2図3図4図5図8図10の如く、上記回転機構9として、上記側面整畦体7は回転縦軸7a及び縦回転体7bからなり、上記ロータ縦軸5c及び回転縦軸7aは上下両持状態に配設され、上記上面整畦体8は回転横軸8a及び横回転体8bからなり、回転横軸8aは片持状態に突出配設され、上記機枠3に上記走行機体1の動力取出軸1aにより駆動される主軸11を配設し、整畦機体20にロータ縦軸5cの上部及び回転縦軸7aの上部間にしてロータ縦軸5c及び回転縦軸7aを回転させる共用回転軸12を配設し、主軸11と共用回転軸12との間に側部伝動機構13を装設すると共に主軸11と回転横軸8aの基部との間に上部伝動機構14を装設して構成している。
【0018】
この場合、図2図3図4図5図6図7図8図9の如く、上記側部伝動機構13として、上記動力取出軸1aにより駆動される主軸11により変向用ギヤ列15及びチェーン機構16を介して中間軸17を回転させ、機枠3に突出機体18及び覆い部材19を突設し、突出機体18に整畦機体20の前部を取付け、整畦機体20の後部に取付部材21を取付け、整畦機体20の上部に上記共用回転軸12を進行方向に架設し、共用回転軸12と上記中間軸17との間にチェーン機構22を設け、整畦機体20の進行方向前部に上記盛土ロータ5のロータ縦軸5cの上部を軸受すると共にロータ縦軸5cの下部を上記突出機体18の下部の取付片18aに軸受し、上記共用回転軸12とロータ縦軸5cとの間に歯車機構23を介装し、ロータ縦軸5cの上方及び畦Wの上方を覆う形状のカバー部材5dを配置し、かつ、整畦機体20の進行方向後部に側面整畦体7の回転縦軸7aの上部を軸受すると共に回転縦軸7aの下部を上記取付部材21の取付片21aに軸受し、上記共用回転軸12と回転縦軸7aとの間に歯車機構24を介装し、側部伝動機構13及び共用回転軸12により歯車機構23・24を介して上記盛土ロータ5のロータ縦軸5c及び側面整畦体7の回転縦軸7aを図中矢印方向に回転させ、しかして、主軸11の回転により側面整畦体7を図中矢印方向に回転させ、上記盛土ロータ5の回転により盛土ロータ5の外周部分の複数個の掻上刃5a・・により旧畦Wを削土Nして進行方向Eの前方位置から後方位置へと跳ね上げて旧畦W上に土を盛り上げると共に側面整畦体7の回転により畦Wの一方側面Wを締圧整畦するように構成している。
【0019】
この場合、図8図9の如く、上記側面整畦体7の上記縦回転体7bは、六角穴をもつ内筒部材7cに複数個の突杆7d・・を放射状に突設し、複数個の突杆7d・・により複数個、この場合、三個の円環部材7e・7e・7eを配置し、円環部材7e・7e・7eに外筒部材7fを嵌着固定し、外筒部材7fに複数個の圧締部K・・としての取付桟7gを複数個、この場合、八個突設し、各圧締部K・・に各回転方向前方位置の圧締部Kから隣り合う回転方向後方位置の圧締部Kに至る長さの可撓弾性をもつ複数個の圧締板体G・・の前部をボルトBにより固定配置し、複数個の取付桟7g・・により外筒部材7fの外周面と圧締板体Gとの間に圧締板体Gの撓みを許容するための撓み空間Dが形成され、撓み空間Dの存在により無負荷時には板状に略平らとなり、外的負荷により弧状に撓み得ると共に負荷解除により自己弾性で略平らに復元変形して、畦Wの一方側面Wを締圧整畦することになり、図9の如く、圧締板体Gの凹状弾性変形により盛土を挟み込むことにより、畦Wの一方側面Wを締圧整畦することになり、かつ、側面整畦体7は縦回りの略円筒状又は略円柱状に形成され、側面整畦体7の複数個の圧締部K・・及び圧締板体G・・の接触回転により畦Wの一方側面Wを締圧整畦するように構成している。
【0020】
又、上記上部伝動機構14として、図2図3図5図10図11の如く、上記動力取出軸1aにより駆動される主軸11により変向用ギヤ列25及び自在継手26を介して駆動軸27を回転させ、駆動軸27は軸受筒部28により回転自在に軸受され、駆動軸27に上記上面整畦体8の六角軸からなる回転横軸8aが片持状態に突出配設され、これにより上面整畦体8は横回りの略円筒状又は略円柱状に形成され、しかして、主軸11の回転により上面整畦体8を図中矢印方向に回転させ、上面整畦体8の回転により畦Wの上面Wを締圧整畦するように構成している。
【0021】
この場合、図10図11の如く、上記上面整畦体8の上記横回転体8bは、六角穴をもつ内筒部材8cに複数個の突杆8d・・を放射状に突設し、複数個の突杆8d・・により複数個、この場合、二個の円環部材8e・8eを配置し、円環部材8e・8eに複数個の圧締部K・・としての取付桟8fを複数個、この場合、八個突設し、各圧締部K・・に各回転方向前方位置の圧締部Kから隣り合う回転方向後方位置の圧締部Kに至る長さの可撓弾性をもつ複数個の圧締板体G・・の前部をボルトBにより固定配置し、円環部材8eに畦Wの角部Wを締圧整畦可能な円錐筒状の角整畦部Sを突設し、上面整畦体8は横回りの略円筒状又は略円柱状に形成され、しかして、上面整畦体8の複数個の圧締部K・・及び圧締板体G・・の接触回転により畦Wの上面W及び角部Wを締圧整畦するように構成している。
【0022】
又、この場合、図10の如く、上記上下調節機構10として、上記取付部材21に基部材10aを取付け、基部材10aに二本のガイド軸10b・10bを軸架し、ガイド軸10b・10bにスライド部10cを摺動自在に架設し、基部材10aに螺軸10dを架設し、螺軸10dをスライド部10cに螺着し、螺軸10dにハンドル10eを固着し、ハンドル10eの正逆回動操作によりスライド部10cを上下進退自在に設け、スライド部10cに上記軸受筒部28を取付け、しかして、上記上下調節機構10により上記上面整畦体8を上記側面整畦体7の回転軸線Pと略平行に整畦範囲Rで上下調節可能に配設して構成している。
【0023】
29は前処理機構であって、この場合、図2図3図4の如く、上記覆い部材19の進行方向前方に保持アーム29aを上記中間軸17と同心上に上下揺動自在に枢着し、保持アーム29aの先端部にロータ軸29bを回転自在に取付け、ロータ軸29bに複数個のナギナタ状の刃体をもつ削土ロータ29cを取付け、保持アーム29aに削土ロータ29cの上方を覆うカバー29dを取付け、上記中間軸17とロータ軸29bとの間にチェーン機構29eを架設し、側面整畦体7及び上記上面整畦体8の進行方向前方位置の旧畦Wを削土J可能に構成している。
【0024】
30は反力受部材であって、下部は圃場面Mに穿入配置され、この場合、図2図3図4図5の如く、上記取付部材21の後面に取付板30aを取付け、取付板30aに圃場面Mに穿入可能な反力受部材30をボルト30bにより上下位置調節自在に設け、反力受部材30の下部を圃場面Mに穿入配置し、上記整畦機構6による回転整畦反力を受けるように構成している。
【0025】
31は円盤部材であって、図2図3図4図5の如く、上記反力受部材30に回転自在に設けられ、下部は圃場面Mに穿入配置され、この場合、回転円盤状に形成され、外周部に複数個の刃部31a・・が形成され、上記反力受部材30に車軸31bを軸受31cにより回転自在に横設し、車軸31bに円盤部材31を取付け、円盤部材31の下部を圃場面Mに穿入配置し、反力受部材30及び円盤部材31の進行方向前方位置に散在する圃場面M上の藁や草等の圃場散在物Qを圃場面M内に埋め込みあるいは複数個の刃部31a・・により分断し、反力受部材30及び円盤部材31への圃場散在物Qの絡まりを防いで反力受部材30及び円盤部材31の圃場面M穿入によって機枠3の直進走行性を向上することになる。
【0026】
この実施の第一形態例は上記構成であるから、走行機体1を畦Wに沿って走行し、動力取出軸1aを回転すると一方では盛土機構4の盛土ロータ5が畦W際の圃場泥土を旧畦W上に連続的に跳ね上げて盛り上げ、カバー部材5dは盛土ロータ5の上方及び畦W側方への泥土飛散を防止し、他方では整畦機構6が駆動され、側面整畦体7及び上面整畦体8は回転機構9によりそれぞれ各別に回転し、畦Wの一方側面W及び畦Wの上面Wを締圧整畦することができ、側面整畦体7及び上面整畦体8の回転接触により畦Wの一方側面W及び畦Wの上面Wを円滑に締圧整畦することができ、かつ、上記整畦機構6は畦Wの一方側面Wを回転整畦可能な側面整畦体7及び畦Wの上面Wを回転整畦可能な上面整畦体8、並びに側面整畦体7及び上面整畦体8を各別に回転させる回転機構9を備えてなるから、側面整畦体7及び上面整畦体8の回転を例えば各別に異なる回転数に設定することができ、それだけ畦Wの一方側面W及び畦Wの上面Wを良好に締圧整畦することができ、この際、上記盛土機構4の盛土ロータ5の回転軸線P及び上記側面整畦体7の回転軸線Pはそれぞれ畦Wの一方側面Wに略平行に配置され、盛土ロータ5の外周部分に旧畦Wを削土Nして上記進行方向Eの前方位置から後方位置へと跳ね上げて旧畦W上に土を盛り上げる複数個の掻上刃5a・・が突設されているから、回転軸線Pを軸線として回転する盛土ロータ5の掻上刃5a・・により旧畦W上に上記進行方向Eの前方位置から後方位置へと跳ね上げて土を盛り上げることができると共に回転軸線Pを軸線として回転する側面整畦体7により畦Wの一方側面Wを締圧整畦することができ、進行方向Eの前方位置から後方位置に跳ね上げられた土を側面整畦体7により締圧整畦することができ、土の外方飛散を防いで締圧効率を向上することができ、さらに、上記盛土ロータ5及び側面整畦体7の配置構造を簡素な構造とすることができ、駆動系統の簡素化も可能となり、保守保全における利便性を向上することができる。
【0027】
又、さらに、図6の如く、上記盛土ロータ5の回転軸線P方向の縦寸法Tは機械仕様の整畦可能な最大高さHMAXと最小高さHMINとの間の整畦範囲Rに応じて定められており、図8の如く、上記側面整畦体7の外周部分に複数個の圧締部K・・が間隔を置いて配設され、各圧締部K・・に回転方向前方位置の圧締部Kから隣り合う回転方向後方位置の圧締部Kに至る長さの可撓弾性をもつ複数個の圧締板体G・・の前部が配置され、圧締板体Gの回転軸線P方向の縦寸法Lは機械仕様の整畦可能な最大高さHMAXと最小高さHMINとの間の整畦範囲Rに応じて定められており、上記上面整畦体8を整畦範囲Rで上下調節可能な上下調節機構10を配設して構成しているから、図9の如く、圧締板体Gの凹状弾性変形により盛土を挟み込むことができ、確実に締圧整畦することができ、しかも、予め定められた機械仕様における整畦可能な最大高さHMAXと最小高さHMINとの間の整畦範囲Rにおいて、上記盛土ロータ5の掻上刃5a・・により旧畦W上への盛土がなされ、側面整畦体7の複数個の圧締部K・・及び圧締板体G・・により畦Wの一方側面Wは締圧整畦されると共に上下調節機構10により上記上面整畦体8を上下調節することにより畦Wの上面Wは締圧整畦され、上記盛土ロータ5の回転軸線Pは畦Wの一方側面Wに略平行に配置され、側面整畦体7の回転軸線Pは畦Wの一方側面Wに略平行に配置されているから、盛土ロータ5及び側面整畦体7を低畦用や高畦用のものに交換する必要がなくなり、盛土ロータ5及び側面整畦体7を交換することなく最大高さHMAXと最小高さHMINとの間の整畦範囲R内の畦Wを整畦することができ、地域、天候、土壌の性質等の作業条件や近年の高畦作業に対応することができ、整畦作業の融通性を高めることができ、さらに、側面整畦体7の回転軸線Pは畦Wの一方側面Wに略平行に配置され、上記圧締板体Gの回転軸線P方向の縦寸法Lは上記整畦範囲Rに応じて定められているから、側面整畦体7は縦回りの略円筒状又は略円柱状に形成され、例えば、圧締板体G・・は略四角板状に形成することができ、圧締部K・・は回転軸線P方向に延びる桟部材とすることができ、略四角板状及び桟部材と同様な部材により形成することができ、圧締板体G・・及び圧締部K・・を容易に製作することができ、側面整畦体7を容易に製作することができると共に製作コストを低減することができる。
【0028】
この場合、上記上下調節機構10として、上記上面整畦体8の回転軸線Pは上記畦Wの上面Wに略平行に配置され、上面整畦体8を上記側面整畦体7の回転軸線Pと略平行に上下調節自在に設けて構成しているから、上面整畦体8を容易に製作することができると共に製作コストを低減することができ、又、この場合、上記回転機構9として、上記盛土ロータ5は上記掻上刃5a・・をもつロータ胴体5b及びロータ縦軸5cからなり、上記側面整畦体7は回転縦軸7a及び縦回転体7bからなり、ロータ縦軸5c及び回転縦軸7aは上下両持状態に配設され、上記上面整畦体8は回転横軸8a及び横回転体8bからなり、回転横軸8aは片持状態に突出配設され、上記機枠3に上記走行機体1の動力取出軸1aにより駆動される主軸11を配設し、整畦機体20にロータ縦軸5cの上部及び回転縦軸7aの上部間にしてロータ縦軸5c及び回転縦軸7aを回転させる共用回転軸12を配設し、主軸11と共用回転軸12との間に側部伝動機構13を装設すると共に主軸11と回転横軸8aの基部との間に上部伝動機構14を装設して構成しているから、上記側面整畦体7を確実に支持することができ、側面整畦体7による締圧整畦を確実に行うことができ、かつ、上記上面整畦体8を畦Wの上面Wの進行方向に直交する幅に応じて容易に取替交換することができ、整畦の融通性を向上することができ、共用回転軸12によりロータ縦軸5c及び回転縦軸7aをそれぞれ回転させることができ、駆動系統を簡素化することができ、側面整畦体7及び上面整畦体8を略円筒状又は略円柱状に形成することができ、側面整畦体7及び上面整畦体8を容易に製作することができると共に製作コストを低減することができ、さらに、この場合、上記整畦機構6に上記側面整畦体7及び上記上面整畦体8の進行方向前方位置の旧畦Wを削土J可能な前処理機構29を備えているから、前処理機構29により旧畦W面を予め削土Jすることができ、削土Jされた畦W上に盛土機構4により盛土することができ、旧畦W土と盛土との土壌の結着性を高めることができ、それだけ強固な畦Wを得ることができ、さらに、この場合、上記整畦機構6による回転整畦反力を受ける反力受部材30を設け、反力受部材30に圃場面M上の草や藁等の圃場散在物Qを圃場内に埋込可能な円盤部材31を設けているから、反力受部材30は上記整畦機構6による回転整畦反力を受けると共に円盤部材31は回転円盤状に形成され、反力受部材30及び円盤部材31の進行方向前方位置に散在する圃場面M上の藁や草等の圃場散在物Qを圃場内に埋め込みあるいは複数個の刃部31a・・により分断することができ、反力受部材30及び円盤部材31への圃場散在物Qの絡まりを防ぐことができ、反力受部材30及び円盤部材31の圃場穿入によって機枠3の直進走行性を向上することができ、それだけ良好な整畦作業を行うことができる。
【0029】
図12図13の第二形態例は整畦機構6の側面整畦体7の別例構造を示し、この場合、上記第一形態例の側面整畦体7における外筒部材7fを設けない構造となっており、すなわち、複数個の圧締部K・・間に通穴Fが存在する構造とすることにより圧締板体Gの撓みを許容するための撓み空間Dに代えて通穴Fとする構造を採用している。
【0030】
しかして、この第二形態例にあっても、複数個の圧締部K・・間に通穴Fが存在する構造とすることにより、上記通穴Fの存在により無負荷時には板状に略平らとなり、外的負荷により弧状に撓み得ると共に負荷解除により自己弾性で略平らに復元変形することができ、畦Wの一方側面Wを確実に締圧整畦することができ、図12図13の如く、圧締板体Gの凹状弾性変形により盛土を挟み込むことができ、畦Wの一方側面Wを確実に締圧整畦することができる。
【0031】
尚、本発明は上記実施の形態例に限られるものではなく、例えば、上面整畦体8の回転軸線Pは上記畦Wの上面Wに略平行に配置されているが、上面整畦体8を畦W側に向くに従って次第に径小となる略円錐台形状に形成したり、その逆に畦W側に向くに従って次第に径大となる略円錐台形状に形成したり、上面整畦体8の回転軸線Pを上記畦Wの上面Wに対して傾斜配置したりすることがあり、その他、整畦機構6、側面整畦体7、上面整畦体8、回転機構9、上下調節機構10の構造等は適宜変更して設計されるものである。
【0032】
以上の如く、所期の目的を充分達成することができる。
【符号の説明】
【0033】
E 進行方向
W 畦
上面
一方側面
回転軸線
回転軸線
K 圧締部
G 圧締板体
L 縦寸法
MAX 最大高さ
MIN 最小高さ
R 整畦範囲
M 圃場面
Q 圃場散在物
T 縦寸法
N 削土
J 削土
1 走行機体
1a 動力取出軸
2 連結機構
3 機枠
4 盛土機構
5 盛土ロータ
5a 掻上刃
5b ロータ胴体
5c ロータ縦軸
6 整畦機構
7 側面整畦体
7a 回転縦軸
7b 縦回転体
8 上面整畦体
9 回転機構
10 上下調節機構
11 主軸
12 共用回転軸
13 側部伝動機構
20 整畦機体
29 前処理機構
30 反力受部材
31 円盤部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13