(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
(実施の形態1)
図1は液晶表示装置の1画素の構成例を示す平面図である。なお、液晶表示装置の全体は、
図21において液晶表示装置1000として示している。以下の図面において、実施の形態の液晶表示装置1000の画素の構成例を説明する図などでは、符号1000の図示を省略している。
図2は
図1におけるII−II線による断面図である。なお、
図1、
図2における、符号A、B、C、D、E、Fは、一点鎖線で示す断面線における位置を示す符号である。
【0011】
図1及び
図2に示すように、透明基板b1(
図2参照)には、複数のゲート線5と複数のソース線42が設けられている。隣接する2本のゲート線5と隣接する2本のソース線42とを境界とする領域を画素としている。各画素には、下層共通電極3(以下、下層電極3と記す)と、画素電極2と、上層共通電極1(以下、上層電極1と記す。)とが形成されている。下層電極3はゲート線5とソース線42とを覆っている。画素電極2は短冊形状である。画素電極2は各画素に1本設けられている。上層電極1は画素電極2の大部分を覆っている。画素電極2の長手方向一端部の下層にはソース電極41が形成されている。ソース電極41とソース線42とは、p−Si(poly silicon)パターン6にて、電気的に接続されている。上層電極1には、開口部11が設けられている。
【0012】
図2に示すように、透明基板b1の上に、p−Siパターン6、ゲート線5、ソース電極41及びソース線42、下層電極3、画素電極2、上層電極1が、この順で、積層されている。各層の間には、それぞれ絶縁層i1からi5が設けられている。上層電極1は配向膜7により全体が覆われている。配向膜7上に液晶層8が配置されている。また、
図1に示す白抜き矢印は、液晶分子のラビング方向(初期配向方向とも呼ぶ)を示している。本実施の形態においては、ラビング方向は画素電極2の長手方向である。すなわち、ラビング方向は、ソース線42の配線方向と平行又は右に傾いている。
【0013】
ソース線42とp−Siパターン6とは、コンタクトホールCH1により接続されている。p−Siパターン6とソース電極41とは、コンタクトホールCH2により接続されている。さらにソース電極41と画素電極2はコンタクトホールCH3により接続されている。
【0014】
図3は上層電極1と画素電極2との重なり状態を示す説明図である。上層電極1には、開口部11が設けられている。開口部11は、六角形状である。具体的には、開口部11は、中央部111と、2つの屈曲部112とを有する。中央部111は、平行四辺形状である。2つの屈曲部112は、三角形状である。この三角形は、中央部111の短辺を底辺とする。中央部111は、画素電極2の長手方向と平行な2つを長辺とする。中央部111は全体が画素電極2と重なっている。2つの屈曲部112は略同形状である。2つの屈曲部112の配置関係は、開口部11内の所定の点を対象とする点対称の関係である。
2つの屈曲部112の上記底辺に対向する頂点それぞれは、画素電極2の異なる長辺から飛び出た位置(画素電極に重ならない位置)にある。2つの屈曲部112それぞれは、重畳部113と非重畳部114とからなる。重畳部113は四角形状である。非重畳部114は三角形状である。この三角形の頂点は、P
1P
11P
12及びP
2P
21P
22である。
【0015】
次に、開口部11における重畳部113及び非重畳部114と画素電極2との重なり関係について、説明する。
図4は
図1の部分拡大図である。
図4は
図1において符号4Aを付した領域である。
図5は
図4のV−V線による断面図である。なお、
図5では、説明を簡略化するため、上層電極1、絶縁層i5、画素電極2、絶縁層i4、下層電極3の断面を図示している。
図4、
図5におけるA1、A2、A3、A4、A5は、一点鎖線で示す断面線における位置を示す符号である。
図4及び
図5に示すように、重畳部113は画素電極2と重なる。また、非重畳部114は画素電極2とは重ならない。また、重畳部113及び非重畳部114は下層電極3と重なる領域である。また、
図3を参照すると明らかのように、中央部111は重畳部113と同様に、下層電極3及び画素電極2と重なる領域である。
【0016】
ここで、
図3に示すように、中央部111と重畳部113とを合わせた領域を第1の領域115と呼ぶ。非重畳部114を第2の領域114とも呼ぶ。第1の領域115及び第2の領域114と、下層電極3及び画素電極2との重なり関係は、以下のように表現することも可能である。すなわち、第1の領域115は、下層電極3及び画素電極2と対向(対面)する領域である。
第2の領域114は、下層電極3とは対向するが画素電極2とは対向しない領域である。非重畳部114において、重畳部113との境界を底辺(線分P
11P
12及び線分P
21P
22)とした場合の頂角(角P
1及び角P
2)に相当する部分は、後記するように、微細加工の限界から角をなしていない。この頂角に相当する部分は、丸みを帯びた形状となっている。
【0017】
図6は第2の領域114の拡大図である。
図6は、
図4と同様に
図1及び
図3において符号4Aを付した領域である。
図1及び
図3において符号4Bを付した領域も同様であり、
図6を180度回転させると、領域4Bを表した図となる。
図1及び
図3に示すように、2つの第2の領域114は互いに、中央部111の所定の点を対称点とする点対称である。
図6において、重畳部113と非重畳部114との境界線(線分P
11P
12及び線分P
21P
22)を第1の線11aと呼ぶ。第1の辺11bは、重畳部113を形成する辺である。第1の辺11bは、第1の線11aと点P
11で交わる辺である。第1の辺11bは、換言すれば、重畳部113の辺であって、一端を点P
11とする辺である。第1の辺11bと第1の線11aとがなす角(第1の角)をθ
1とする。第1の線11aと交わる下側の辺、すなわち、画素電極2の長手方向、コンタクトホールCH3が設けられている端部側の
第1の領域の辺(点P
12を含む線分又は点P
22を含む線分)が第2の辺11cである。第2の辺11cと第1の線11aとがなす角(第2の角)をθ
2とする。θ
1は鋭角、θ
2は鈍角となる。
図6と併せて
図3を参照すると明らかなように、第1の線11aは、第1の領域115と第2の領域114とを区画する境界線とも言える。また、第1の辺11bは、第1の領域115を形成する辺でもある。
本実施の形態における開口部11の形状を作成する技術的理由について、
図7〜
図9を参照して説明する。
【0018】
図7は比較例を説明するための説明図である。
図7Aは比較例による1画素の構成例を示す平面図である。
図7においても、電極等の積層順は、
図2と同様である。透明基板(図示しない)には、複数のゲート線500と複数のソース線400が設けられている。隣接する2本のゲート線500と隣接する2本のソース線42とを境界とする領域が画素である。各画素には、下層共通電極300と、画素電極200と、上層共通電極100とが形成されている。下層共通電極300はゲート線500とソース線400とを覆っている。画素電極200は短冊形状をなす。画素電極200は各画素に1本設けられている。上層共通電極100には矩形状の開口部101が設けられている。上層共通電極100は開口部101の部分を除いて、画素電極200を覆っている。
【0019】
図7Bは
図7Aにおいて一点鎖線で囲んだ領域を示す平面図である。
図7Bに示す実線の両矢印は、平面視した場合のフリンジ電界の方向を示している。
図7Bに示す二点鎖線の両矢印は、ソース線400の配線方向を示している。白抜きの両矢印はラビング方向を示している。ソース線400の配線方向とラビング方向となす角はθである。
【0020】
ここで、θを設ける意義について説明する。画素電極200と上層共通電極100及び下層共通電極300との間に電位差を与える。そうすると、
図7Bに示した両矢印の方向にフリンジ電界が発生する。
図7Bにおいて、開口部101の周縁を横切るように示した両矢印f11〜f14は、平面視したときのフリンジ電界の方向を示している。フリンジ電界の方向は、開口部101の周縁に対して紙面内垂直方向になる。
ここで、液晶分子の回転方向は、液晶分子の初期配向方向と電界の方向との関係により規定される。換言すれば、発生したフリンジ電界により、液晶分子は、電界と液晶分子の初期配向方向(ラビング方向)の関係で、鋭角の回転により、液晶分子が電界の向きに近づくように向きを変える。
図7Bでは、大部分の箇所において、液晶分子は時計回りに回転する。液晶分子が大部分の箇所において回転する方向を順回転方向とする。液晶分子が順回転方向に回転することを順回転と呼ぶ。順回転と反対の方向に液晶分子が回転する場合を、逆回転と呼ぶ。
【0021】
図7Bでは、ソース線400の配線方向とラビング方向となす角θは0度よりも大きい。それにより、両矢印f11、f12で示す向きのフリンジ電界は、いずれも液晶分子が順回転するように作用する。θを0度と仮定した場合、すなわち、ソース線42の配線とラビング方向とを平行にした場合、フリンジ電界が液晶分子を逆回転させるように作用する可能性がある。
図7Bにおいて、θを0度と仮定した場合、両矢印f11で示す左右方向に発生するフリンジ電界の向きに近づくように、液晶分子が回転すると、順回転であっても、逆回転であっても、回転する角度は略90度である。したがって、逆回転が発生する可能性がある。それに対して、θを0度より大きくしてあれば、液晶分子が回転する角度は順回転の方が小さいので、逆回転は生じない。
【0022】
しかしながら、
図7Bにおいて、矢印f14で示すフリンジ電界の方向は、ソース線400の配線方向を基準にして、ラビング方向とは逆方向である。
図7Bの例では、矢印f14で示すフリンジ電界の方向は、ソース線400の配線方向を基準にして反時計回りの
方向である。そのため、このフリンジ電界(矢印f14参照)が作用する液晶分子は、逆回転する場合がある。すなわち、矢印f14で示す付近は、液晶分子が逆回転する逆回転ドメインとなる場合がある。しかし、このフリンジ電界が発生する領域は、直角なので1点部分であり、この領域面積は狭い。
【0023】
しかし、
図8で説明するように、角部が丸みを帯びた形状になると、逆回転ドメインの領域が広がる。そこで、開口部101の形状を変えることにより、逆回転ドメインの発生を抑制する。
【0024】
図8は、比較例における逆回転ドメインの発生を抑制する構成についての説明図である。
図9は、
図8の部分拡大図である。
図8Aに示すように、開口部101の端部を外側に屈曲させる。屈曲させることにより、開口部101の角部を鋭角にするものである。この角部は
図8Aにおいて、点線が囲んだ部分である。
【0025】
しかしながら、スリットを形成する加工精度を要因として、逆回転ドメインの領域が広がる可能性がある。以下に理由を説明する。電極にスリットを形成するのは微細な加工である。そして、スリットはレジストを使用したフォトリソグラフィー法によって形作る(パターンニングする)ので、露光工程で照射する露光光の波長よりも微細な加工は困難である。そのため、スリットの端部を設計上、鋭角としても、出来上がるスリットの端部は丸みを帯びた形状となってしまう。すなわち、
図8A、
図9Aに示したように角部が鋭角になるように設計したとしても、
図8B、
図9Bに示すように、角部の先端が丸みを帯びた形状になってしまう。
なお、角部の先端が丸みを帯びる形状になるのは、角部の角度を直角に設計した場合も同様である。
角部が丸みを帯びると、逆回転ドメインの領域が広がる。具体的に説明する。
図9Aのように角部が鋭角となれば、液晶分子を逆回転させる向きのフリンジ電界は、X印の領域のみである。その他の領域で発生するフリンジ電界は、両矢印f11からf16で示したとおりである。これらの向きのフリンジ電界は、液晶分子を順回転させる。X印の領域は非常に狭い領域である。そして、隣接する領域で発生するフリンジ電界は、液晶分子を順回転する向きである。液晶分子が回転する場合、周囲と同じ向きに回転しようとする特性がある。そのため、
図9Aにおいては、X印の領域の液晶分子の逆回転は、
図9Bで説明するスリットの端部が丸みを帯びた形状の場合よりも抑制される。
しかし、
図9Bのように角が丸くなることにより、液晶分子を逆回転させる向きのフリンジ電界は、点線で示した領域となる。すなわち、その他の領域で発生するフリンジ電界は、両矢印f11、f21からf27、f31からf34で示したとおりである。これらの向きのフリンジ電界は、液晶分子を順回転させる。しかし、
図9Aに示した理想的な形状の場合に比べて、
図9Bのように角が丸くなると、液晶分子を逆回転させる向きのフリンジ電界が発生する領域が広くなる。すなわち、逆回転ドメインの領域が広がる。それにより、点線で示した領域においては、逆回転ドメインが発生する可能性が高くなる。
【0026】
以上説明したように、スリットの端部を設計上、鋭角としても、出来上がるスリットの端部は丸みを帯びた形状になる。その結果、この丸みの部分において逆回転ドメインが発生する可能性が高くなり画質が低下する。そこで、本実施の形態では、逆回転ドメインの発生原因となる丸みを帯びた端部を、画素電極の端から所定の距離分離す。この所定の距離は、この端部において液晶が回転しない距離である。詳しく説明すれば、この距離は、第1の距離、又は、第2の距離である。第1の距離は、この端部と画素電極の間でフリンジ電界が発生しない距離である。第2の距離は、仮にこのフリンジ電界が発生したとしても、このフリンジ電界が、この端部において液晶を逆回転させない距離である。
具体的に説明すれば、開口部11に画素電極2と重ならない第2の領域114を設ける。
すなわち、
図1、
図3、
図4、
図6で示した平面視において、開口部11と画素電極2とが重なる部分により形成される図形の角部が90度以下(
図6の角度θ
1参照)になるように第2の領域114を設ける。
図6に示した、開口部11の第1の辺11bは、直線である。さらに、画素電極2(
図1、
図3、
図5参照)の辺部は、直線である。開口部11の直線部分の加工精度は、スリット端部の加工精度に比べて高いので、高精度な直線を形成することができる。
この高精度に形成された直線の第1の辺11bと画素電極2の辺とにより、平面視において、開口部11と画素電極2とが重なる領域の角部(
図6の角度θ
1参照)を形成している。かかる角部は、直線により形成しているので、かかる角部が丸みを帯びた形状になることを抑制できる。そのため、逆回転ドメインの発生を抑制できる。
特に、
図1で示したように、重畳部113を開口部11の左上と右下に形成しているので、開口部11全体として、逆回転ドメインの発生を抑制できる。
図10は、フリンジ電界の方向を示す説明図である。
図11は
図10におけるXI−XI線による断面図である。なお、
図10、
図11における、符号A1からA5は、一点鎖線で示す断面線における位置を示す符号である。
図11の断面構造は、
図5の断面構造に対応する。
図11に示す両矢印は、画素電極2と上層電極1との間で発生するフリンジ電界及び画素電極2と下層電極3との間で発生するフリンジ電界を示している。
【0027】
図11に示す点線の矢印f3は実線の矢印f1、f2よりも電界が弱いことを示している。
図11に示しているように、上層電極1の第1の部分と画素電極2との間でフリンジ電界が発生する(f1)。ここで、上層電極1の第1の部分は、例えば、符号A4で示す画素電極2に重なる部分付近である。
図10に示したように、その電界の方向は、液晶分子を順回転させる向きである。
また、画素電極2の第1の部分と下層電極3との間でフリンジ電界が発生する(f2)。ここで、画素電極2の第1の部分は、例えば、符号A3で示す、上層電極1が重ならない部分付近である。このフリンジ電界は、画素電極2と下層電極3との間に発生するフリンジ電界である。
図10では、このフリンジ電界(f2)を、画素電極2の端における、図面に対して左右方向の矢印で示す。この左右方向は、
図10において上下方向を示す2点鎖線の矢印に対して直角の方向である。
本実施の形態では、このフリンジ電界(f2)であっても、液晶分子を順方向に回転させるので、透過率が向上する。
さらにまた、上層電極1の第2の部分と画素電極2との間で電界が発生する(f3)。ここで、上層電極1の第2の部分は、例えばA2で示す画素電極2には重ならない部分である。この第2の部分は、画素電極2から距離が離れている。そのため、仮に電界が発生しても、発生した電界(f3)は弱い。そのため、この電界(f3)が、液晶分子を回転させることは、ほとんどない。
【0028】
上述した画素についての構成は、液晶表示装置1000のすべての画素にも共通である。以上のように、液晶表示装置1000は、平面上の第1の電極を備える。第1の電極は、例えば、下層電極3である。下層電極3の上面には第1の絶縁体が積層されている。第1の絶縁体は、例えば、絶縁層i4である。絶縁層i4の上面には平面上の画素電極2が積層されている。
さらに、画素電極2の上面には、第2の絶縁体が積層されている。第2の絶縁体は、例えば、絶縁層i5である。液晶表示装置1000は、画素電極2を覆い、絶縁層i5の上面に積層してある平面上の第2の電極を備える。第2の電極は、例えば、上層電極1である。さらに、液晶表示装置1000は、上層電極1の上面に配置された液晶層8を有する。上層電極1は、第1の領域115及び第2の領域114が一体に形成された開口部11を有している。第1の領域115は、下層電極3及び画素電極2と重なる領域である。第2の領域114は、下層電極3とは重なるが画素電極2とは重ならない領域である。そし
て、第1の領域115の第1の辺11bと、第1の領域115と第2の領域114とを区画する第1の線11aとが交わる第1の角の角度はθ
1である。角度θ
1は、90度以下である。なお、第2の領域114は、第1の領域115に対して、画素電極2の短手方向に突出し、その先端部が幅狭とされている。
【0029】
本実施の形態によれば、前記したように、高精度に形成された直線の第1の辺11bと画素電極2の辺とにより、平面視において、開口部11と画素電極2とが重なる領域の角部(
図6の角度θ
1参照)を形成している。そのため、回転ドメインの発生を抑制できる。換言すれば、鋭角となる第2の領域114の角部により、逆回転ドメインの発生に寄与するフリンジ電界の発生を抑制している。
【0030】
(実施の形態2)
図12は液晶表示装置1000の1画素の他の構成例を示す平面図である。本実施の形態は、上層電極1に設けた開口部11の形状を除いて、実施の形態1と同様であるので、以下では主として実施の形態1と異なる点について説明する。
【0031】
上層電極1に設けられている開口部11は平行四辺形状をなしている。開口部11の短辺は、画素電極2の短手方向と平行である。開口部11の鋭角を含む2つの角部は、画素電極2とは重ならない。この角部が第2の領域114である。この角部以外の領域が第1の領域115である。なお、開口部11の「鋭角を含む2つ角部」と記載したが、上述したように、厳密には微細加工の限界から、角部は丸みを帯びた形状となっている。
【0032】
図13は第2の領域114の拡大図である。
図13に示すのは、
図12において、符号13Aを付した領域である。
図10において符号13Bを付した領域も同様であり、
図11を180度回転させると、領域13Bを表した図となる。2つの第2の領域114は互いに、平行四辺形の重心を対称点として、点対称である。
図11において、第1の領域115と第2の領域114とを区画する境界線(線分P
11P
12)が第1の線11aである。第1の線11aと交わる上側の辺、すなわち、画素電極2の長手方向、コンタクトホールCH3のない端部側の第1の領域115の辺(線分P
11P
3)が第1の辺11bである。第1の辺11bと第1の線11aとがなす角をθ
1とする。第1の線11aと交わる下側の辺、すなわち、画素電極2の長手方向に平行な第1の領域115の辺(点P
12を一端とする線分)が第2の辺11cである。第2の辺11cと第1の線11aとがなす角をθ
2とする。θ
1は直角(角度90度)、θ
2は鈍角となる。
【0033】
図12を参照して、本実施の形態でのフリンジ電界について説明する。開口部11の長辺において、発生するフリンジ電界は、平面視、両矢印f41で示した方向である。
図12の白抜き両矢印は液晶分子のラビング方向である。したがって、両矢印41で示したフリンジ電界により、液晶分子は平面視で反時計回り方向が順回転方向となる。また、開口部11の左上角部、右下角部で発するフリンジ電界は、両矢印f42で示した方向である。このフリンジ電界も、ラビング方向との関係で、液晶分子を順回転させる。
図13で示した第1の辺11bに対応する開口部11の短辺で発生するフリンジ電界は両矢印f43で示した方向である。
図13で示した第1の線11aで発生するフリンジ電界は、
図12において両矢印f44で示した方向である。
平面視において、開口部11の辺と画素電極2の辺とにより形成される右上角、左下角の直角部分で発生するフリンジ電界は、
図7Bで説明したように(
図7Bの矢印f14参照)、この直角部における液晶分子を逆回転させる場合がある。しかし、この直角部分は、
図8で説明した例と異なり丸みを帯びた形状ではなく、逆回転ドメインの発生が抑制される。なお、右上角の直角部は、
図13の符号θ1で示す角である。
【0034】
実施の形態2は、以下の効果を奏する。平行四辺形状なす開口部11の右上及び左下の
角部を画素電極2の短手方向に突出させてある。そのため、この角部が微細加工の限界から丸みを帯びていても、第1の領域115の第1の辺11bと、第1の領域115及び第2の領域114を区画する第1の線11aとがなす角(θ
1)を直角とすることが可能となる。確かに、直角部分で発生するフリンジ電界は、逆回転にも寄与し得る。しかし、この直角部分は、
図8で説明した例と異なり丸みを帯びた形状ではないので、逆回転ドメインの発生が抑制される。よって、逆回転ドメインの発生を抑制することが可能となる。
【0035】
(実施の形態3)
図14は上層電極1に設けた開口部11と画素電極2との重なり状態を示す説明図である。本実施の形態は、上層電極1に設けた開口部11の形状と画素電極2の形状とを除いて、実施の形態1と同様であるので、以下では主として実施の形態1と異なる点について説明する。
【0036】
実施の形態3は、画素及び画素電極2を傾けている構成である。画素及び画素電極2の長手方向は、白抜き矢印で示したラビング方向(紙面上下方向)から所定の角度、傾いた向きである。また、上層電極1に設けた開口部11の形状は平行四辺形状である。
図14には開口部11の形状及び大きさが異なる2つの例が示されている。
図14Aは、画素電極2と重ならない開口部11の第2の領域114が三角形状(P
1P
11P
12又はP
2P
21P
22)とした場合である。
図14Bは、画素電極2と開口部11の第2の領域114が四角形状(P
1P
11P
12P
4及びP
2P
21P
22P
3)とした場合である。なお、開口部11の角部P1、P2は、上述したように、厳密には微細加工の限界から、丸みを帯びた形状となっている。
【0037】
図14Aに示す例では、開口部11の短辺(線分P
1P
3及び線分P
2P
4)は、画素電極2の短手方向と平行又は短手方向より傾きが急である。開口部11の長辺(線分P
1P
4及び線分P
2P
3)は、画素電極2の長手方向よりも傾きが緩やかである。開口部11の短辺それぞれは画素電極2の長手方向の辺と一箇所交差している。交差している点を交点P
11、P
21とする。開口部11の長辺それぞれは、画素電極2と長手方向の辺と一箇所交差している。交差している点をP
12、P
22とする。このような交差関係により、開口部11は画素電極2と重なる第1の領域115と、画素電極2と重ならない2つの第2の領域114が形成されている。第1の領域115は六角形状(P
11P
12P
4P
21P
22P
3)をなしている。第2の領域114は三角形状(P
1P
11P
12及びP
2P
21P
22)をなしている。
【0038】
開口部11の短辺の一部、交点P
11又はP
12を含み画素電極2と重なる部分(線分P
11P
3及び線分P
21P
4)が、第1の領域115の第1の辺11bである。第1の辺11bと交わる画素電極2の辺縁の一部(線分P
11P
12及びP
21P
22)が、第1の領域115と第2の領域114とを区画する第1の線11aである。開口部11の長辺の一部、交点P
12又はP
22を含み画素電極2と重なる部分(線分P
12P
4及び線分P
22P
3)が、第1の領域115の第2の辺11cである。第1の辺11bと第1の線11aとがなす角をθ
1とする。第2の辺11cと第1の線11aとがなす角をθ
2とする。そうすると、θ
1は鋭角となる。θ
2は鈍角となる。
【0039】
図14Bに示す例では、開口部11の短辺(線分P
1P
3及び線分P
2P
4)は、画素電極2の短手方向と平行又は短手方向より傾きが急である。開口部11の長辺(線分P
1P
4及び線分P
2P
3)は、画素電極2の長手方向と平行又は長手方向よりも傾きが緩やかである。開口部11の短辺は、画素電極2の短手方向よりも十分長い。それにより、開口部11の短辺それぞれは画素電極2の長手方向の辺と二箇所交差している。交差している点を交点P
11及びP
22並びにP
12及びP
21とする。また、開口部11の長辺それぞれは、画素電極2と長手方向の辺とは交差していない。このような交差関係により、開口部11は画素電極2と重なる第1の領域115と、画素電極2と重ならない2つの第2の領域114が
形成されている。第1の領域115は四角形状(P
11P
12P
21P
22)をなしている。第2の領域114は四角形状(P
1P
11P
12P
4及びP
2P
21P
22P
3)をなしている。2つの第2の領域114は、平行四辺形の重心を対称点として、点対称である。
【0040】
開口部11の短辺の一部、交点P
11又はP
21を含み画素電極2と重なる部分(線分P
11P
22及び線分P
21P
12)が、第1の領域115の第1の辺11bである。第1の辺11bと交わる画素電極2の長辺(線分P
11P
12及びP
21P
22)が、第1の領域115と第2の領域114とを区画する第1の線11aである。第1の辺11bと第1の線11aとがなす角をθ
1とすると、θ
1は鋭角となる。なお、
図12Bに示す例では、第2の辺11cは存在しない。
【0041】
本実施の形態において、フリンジ電界は平面視で
図14に示す方向に発生する。
図14A及び
図14Bに示すように、このフリンジ電界は、大部分の箇所において液晶分子が平面視で反時計回りに回転(順回転)させる。第1の辺11bで発生するフリンジ電界はラビング方向と平行であるため、液晶分子の順回転又は逆回転に寄与しない。一方、第1の領域115の右上角P
11、左下角P
21は、液晶分子の逆回転に寄与し得る。しかし、右上角P
11、左下角P
21は、鋭角となっているため、液晶分子の逆回転に寄与し得るフリンジ電界を発生するのは、角の頂点部分のみである。このフリンジ電界の液晶分子の回転への寄与は少ない。したがって、頂点部分において、液晶分子の逆回転は抑制される。
【0042】
実施の形態3は、以下の効果を奏する。上層電極1に設けた開口部11は、画素電極2と重なる第1の領域115と、画素電極2とは重ならない第2の領域114とを有している。第2の領域114は、第1の領域115に対して、画素電極2の短手方向に突出する。そのため、第2の領域114の角部P1、P2が、微細加工の限界から丸みを帯びていても、第1の領域115の第1の辺11bと、第1の領域115及び第2の領域114を区画する第1の線11aとがなす角(θ
1)を鋭角とすることが、可能となる。この角で発生するフリンジ電界は液晶分子の逆回転に寄与し得るが、角の頂点部分のみである。したがって、頂点部分において、逆回転ドメインの発生を抑制することが可能となる。
【0043】
(実施の形態4)
図15は液晶表示装置1000のソース線42の配線方向に沿って隣接する2画素の構成例を示す平面図である。本実施の形態は、いわゆるマルチドメイン構造の液晶表示装置1000を示している。すなわち、液晶分子を回転する方向が一律ではなく、回転する方向が互いに逆向きとなる2つの画素が存在する構成である。
図15に示す2つの画素は互いに液晶分子の回転方向が異なる構成である。
図15に示す白抜き両矢印はラビング方向を示す。
図15に示す下側の画素の構成は、実施の形態1の画素の構成と同様である。下側の画素では、液晶分子の回転方向は平面視で時計回りである。
図15に示す上側の画素の構成は、実施の形態1の画素の構成と上層電極1に設けた開口部11Aの形状を除いて、同様な構成である。開口部11Aの形状と開口部11の形状とは、ゲート線5の配線方向に平行な線を対称軸とする線対称である。また、ゲート線5に沿う方向(紙面横方向)に隣接する2つの開口部をソース線42の配線方向に平行な線を対称軸として、線対称としてもよい。
図15に示す上側の画素では、液晶分子の回転方向は平面視で反時計回りである。上側の画素と下側の画素とは液晶分子の回転方向が異なる別のドメインである。マルチドメイン構造では、ゲート線5及びソース線42の配線方向に隣接する画素同士においては、液晶分子の回転方向が異なるため、上層電極1に設けた開口部11と開口部11Aとは互いに対称となる。
【0044】
図15において、下側の画素の構成は、実施の形態1の画素の構成と同様であるので、同一の符号を付し説明を省略する。上側の画素の構成は開口部11Aが開口部11と対称であるので、同様な構成には、ダッシュ(A)付きの符号を付し、以下に簡潔に説明する
。開口部11Aにおいて、11aAが第1の線、11bAが第1の辺、11cAが第2の辺である。第1の辺11bAと第1の線11aAとがなす角がθ
1Aである。第2の辺11cAと第1の線11aAとがなす角がθ
2Aである。θ
1Aは鋭角、θ
2Aは鈍角となる。本実施の形態は、実施の形態1の構成をマルチドメイン構造としたものである。したがって本実施の形態が奏する効果は、実施の形態1の奏する効果と同様である。
【0045】
すなわち、上層電極1に設けた開口部11及び11Aは、画素電極2と重なる第1の領域115、115Aと、画素電極2とは重ならない第2の領域114、114Aと有している。第2の領域114、114Aは、第1の領域115、115Aに対して、画素電極2の短手方向に突出している。第2の領域114、114Aは、その先端部が幅狭である。そのため、第2の領域114、114Aの先端が、微細加工の限界から丸みを帯びていても、第1の領域115、115Aの第1の辺11b、11bAと、第1の領域115、115A及び第2の領域114、114Aを区画する第1の線11a、11aAとがなす角(θ
1及びθ
1A)を鋭角とすることが、可能となる。つまり、高精度に形成された直線の第1の辺11b(11bA)と画素電極2の辺とにより、平面視において、開口部11(11A)と画素電極2とが重なる領域の角部を形成している。そのため、回転ドメインの発生を抑制できる。換言すれば、鋭角となる第2の領域114の角部により、逆回転ドメインの発生に寄与するフリンジ電界の発生を抑制している。
【0046】
なお、実施の形態4と同様に、実施の形態2及び実施の形態3の構成をマルチドメイン構造の液晶表示装置1000に適用することが可能である。
【0047】
(実施の形態5)
本実施の形態は実施の形態2の構成をマルチドメイン構造の液晶表示装置1000に適用した場合に関する。
図16は、液晶表示装置1000のソース線42の配線方向に沿って隣接する2画素の構成の他の例を示す平面図である。
図16の下側に示す画素の構成は、実施の形態2と同様である。また、
図16の上側に示す画素の構成は、開口部11Aを除いて、下側の画素と同様である。上側の画素の開口部11Aは、下側の画素の開口部11とは対称な形状である。
【0048】
上側の画素の開口部11Aは、第1の領域115Aと第2の領域114Aとからなる。第2の領域114Aは画素電極2と重なっていない。第2の領域114又は114Aに隣接する第1の領域115又は115Aの角部は直角となっている。実施の形態2で述べたように直角部分で発生するフリンジ電界は、逆回転にも寄与し得る。しかし、この直角部分は、
図8で説明した例と異なり丸みを帯びた形状ではないので、逆回転ドメインの発生が抑制される。
【0049】
(実施の形態6)
図17は、液晶表示装置1000のソース線の配線方向に沿って隣接する2画素の構成の他の例を示す平面図である。本実施の形態は画素電極2の形状を除いては、実施の形態5と同様である。本実施の形態では、画素電極2の長手方向がソース線42の配線方向と平行ではなく、傾いた方向となっている。本実施の形態は
図14Aに示した実施の形態3の一形態をマルチドメイン構造に適用したものである。
【0050】
本実施の形態においても、下側の画素の開口部11は、第1の領域115と第2の領域114とからなる。第2の領域114は画素電極2と重なっていない。また、上側の画素の開口部11Aは、第1の領域115Aと第2の領域114Aとからなる。第2の領域114Aは画素電極2と重なっていない。本実施の形態においては、実施の形態3と同様に、逆回転ドメインの発生を抑制することが可能となる。
【0051】
(実施の形態7)
図18は、液晶表示装置1000のソース線の配線方向に沿って隣接する2画素の構成の他の例を示す平面図である。本実施の形態は、本実施の形態は
図14Bに示した実施の形態3の一形態をマルチドメイン構造に適用したものである。
【0052】
本実施の形態においても、下側の画素の開口部11は、第1の領域115と第2の領域114とからなる。第2の領域114は画素電極2と重なっていない。また、上側の画素の開口部11Aは、第1の領域115Aと第2の領域114Aとからなる。第2の領域114Aは画素電極2と重なっていない。本実施の形態では、実施の形態3と同様に、逆回転ドメインの発生を抑制することが可能となる。
【0053】
(実施の形態8)
図19は、液晶表示装置1000のソース線の配線方向に沿って隣接する2画素の構成の他の例を示す平面図である。本実施の形態はソース線42の形状を除いては、実施の形態6と同様である。本実施の形態では、ソース線42の配線は直線ではなく、折れ線状となっている。ソース線42は画素電極2の長手方向に沿う辺縁と平行となるように配線されている。
【0054】
本実施の形態においても、下側の画素の開口部11は、第1の領域115と第2の領域114とからなる。第2の領域114は画素電極2と重なっていない。また、上側の画素の開口部11Aは、第1の領域115Aと第2の領域114Aとからなる。第2の領域114Aは画素電極2と重なっていない。本実施の形態においても、第1の領域115、115Aの周縁にて発生するフリンジ電界は平面視では、
図19に示した向きとなる。実施の形態3(
図14A)と同様に、下側の第1の領域115では大部分の箇所で発生するフリンジ電界は、液晶分子を順回転(反時計回り)するのに寄与する。鋭角となる右上角、左下角では、液晶分子を逆回転するのに寄与するフリンジ電界が発生し得る。このフリンジ電界が発生するのは、角の頂点部分のみである。したがって、実施の形態2で説明したように、逆回転ドメインの発生を抑制することが可能となる。
【0055】
(実施の形態9)
図20は、液晶表示装置1000のソース線の配線方向に沿って隣接する2画素の構成の他の例を示す平面図である。本実施の形態はソース線42の形状を除いては、実施の形態6と同様である。本実施の形態では、ソース線42の配線は直線ではなく、折れ線状となっている。ソース線42は画素電極2の長手方向に沿う辺縁と平行となるように配線されている。
【0056】
本実施の形態においても、下側の画素の開口部11は、第1の領域115と第2の領域114とからなる。第2の領域114は画素電極2と重なっていない。また、上側の画素の開口部11Aは、第1の領域115Aと第2の領域114Aとからなる。第2の領域114Aは画素電極2と重なっていない。本実施の形態においても、第1の領域115、115Aの周縁にて発生するフリンジ電界は平面視では、
図19に示した向きとなる。実施の形態3(
図14B)と同様に、第1の領域115では大部分の箇所で発生するフリンジ電界は、液晶分子を順回転(反時計回り)するのに寄与する。鋭角となる右上角、左下角では、液晶分子を逆回転するのに寄与するフリンジ電界が発生し得る。このフリンジ電界が発生するのは、角の頂点部分のみである。したがって、実施の形態2で説明したように、逆回転ドメインの発生を抑制することが可能となる。
【0057】
次に、液晶表示装置1000の駆動回路9について説明する。
図21は液晶表示装置における駆動回路9の構成例を示す説明図である。駆動回路9は上層電極1、画素電極2、下層電極3、ソース線42、ゲート線5、ソースドライバ91、ゲートドライバ92、原
画像信号源93、タイミングコントローラ94を含む。
液晶表示装置1000において、複数のゲート線5と複数のソース線42とにより、画素がマトリクス状に形成されている。各画素に1本の画素電極2(
図1等参照)が設けられている。したがって、画素電極2はマトリクス状に配置されている。
【0058】
タイミングコントローラ94は、ソースドライバ91、ゲートドライバ92が駆動できるように、原画像信号源93より得た画像データやタイミング信号を処理し、ソースドライバ91、ゲートドライバ92にデータや制御信号を送出する。ソースドライバ91は、タイミングコントローラ94から入力されたデータを変換し、画素を駆動するために必要な画像データ電圧をソース線42に印可する。ゲートドライバ92は、画素を構成するTFT(図示せず)をON/OFFするための制御電圧をゲート線5に印可する。ゲート線5により1行分の画素が選択され、ソース線42によってデータが書き込まれる。ソース線42によって書き込まれたデータに応じた、フリンジ電界が画素電極2と上層電極1との間及び画素電極2と下層電極3との間に発生し、発生した電界により液晶分子が駆動される。
【0059】
各実施の形態で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものでは無いと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味では無く、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。