特許第6892632号(P6892632)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サクサ株式会社の特許一覧

特許6892632通信システム、ネットワーク接続装置、接続処理プログラム及び接続応答プログラム
<>
  • 特許6892632-通信システム、ネットワーク接続装置、接続処理プログラム及び接続応答プログラム 図000002
  • 特許6892632-通信システム、ネットワーク接続装置、接続処理プログラム及び接続応答プログラム 図000003
  • 特許6892632-通信システム、ネットワーク接続装置、接続処理プログラム及び接続応答プログラム 図000004
  • 特許6892632-通信システム、ネットワーク接続装置、接続処理プログラム及び接続応答プログラム 図000005
  • 特許6892632-通信システム、ネットワーク接続装置、接続処理プログラム及び接続応答プログラム 図000006
  • 特許6892632-通信システム、ネットワーク接続装置、接続処理プログラム及び接続応答プログラム 図000007
  • 特許6892632-通信システム、ネットワーク接続装置、接続処理プログラム及び接続応答プログラム 図000008
  • 特許6892632-通信システム、ネットワーク接続装置、接続処理プログラム及び接続応答プログラム 図000009
  • 特許6892632-通信システム、ネットワーク接続装置、接続処理プログラム及び接続応答プログラム 図000010
  • 特許6892632-通信システム、ネットワーク接続装置、接続処理プログラム及び接続応答プログラム 図000011
  • 特許6892632-通信システム、ネットワーク接続装置、接続処理プログラム及び接続応答プログラム 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6892632
(24)【登録日】2021年6月1日
(45)【発行日】2021年6月23日
(54)【発明の名称】通信システム、ネットワーク接続装置、接続処理プログラム及び接続応答プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20210614BHJP
【FI】
   H04L12/28 200M
   H04L12/28 200A
【請求項の数】7
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-248649(P2017-248649)
(22)【出願日】2017年12月26日
(65)【公開番号】特開2019-114994(P2019-114994A)
(43)【公開日】2019年7月11日
【審査請求日】2020年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 徹也
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 孝
【審査官】 宮島 郁美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−236628(JP,A)
【文献】 特開2010−009346(JP,A)
【文献】 特開2007−293664(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0229520(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L12/28,12/44−12/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
広域ネットワークに接続される回線終端装置と、前記回線終端装置に接続される接続装置親機と、ローカルエリアネットワークを通じて前記接続装置親機に接続される1以上の接続装置子機及び保守用装置とからなる通信システムであって、
前記接続装置親機は、
1以上の前記接続装置子機のそれぞれに割り当てられている装置識別情報を記憶する記憶手段と、
前記保守用装置からの要求に応じて、前記記憶手段の前記装置識別情報に基づき1以上の前記接続装置子機の一覧リストを作成し、前記保守用装置に提供する子機一覧提供手段と、
前記保守用装置において前記一覧リストを通じて選択された保守対象の前記接続装置子機の前記装置識別情報を含む保守許可要求を1以上の前記接続装置子機に提供し、保守対象の前記接続装置子機からの許可を得て、前記保守用装置に接続用情報を提供する接続用情報提供手段と
を備え、
前記接続装置子機は、
前記接続装置親機からの自機の前記装置識別情報を含む保守許可要求を受け付けた場合に、保守許可応答を形成して前記接続装置親機に提供する許可応答形成手段
を備え、
前記保守用装置は、
1以上の前記接続装置子機の一覧リストの提供要求を形成し、前記接続装置親機に提供する一覧リスト要求手段と、
前記接続装置親機からの前記接続装置子機の一覧リストの提供を受けて、前記一覧リストを通じて保守対象の前記接続装置子機の選択入力を受け付ける受付手段と、
前記受付手段を通じて受け付けた選択入力に応じて、選択された前記接続装置子機に対する接続要求を形成して前記接続装置親機に提供する接続要求手段と、
前記接続装置親機からの前記接続用情報に基づいて、選択された前記接続装置子機にアクセスして通信回線を接続する接続実行手段と
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の通信システムであって、
前記接続装置親機は、
自機よりも上位に位置する上位装置より接続装置親機であることを示す情報の提供を受けていない場合であって、自機よりも下位に位置する下位装置から情報提供要求を受けた場合に、自機が接続装置親機であることを示す情報を含めて情報の提供を行う親機情報提供手段
を備え、
前記接続装置子機は、
自機よりも上位に位置する上位装置より接続装置親機であることを示す情報の提供を受けた場合には、自機が接続装置子機であることを示す情報を含む登録要求を形成して、前記上位装置に提供する子機情報登録手段
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項3】
広域ネットワークに接続される回線終端装置と、前記回線終端装置に接続される接続装置親機と、ローカルエリアネットワークを通じて前記接続装置親機に接続される1以上の接続装置子機及び保守用装置とからなる通信システムの前記接続装置親機であって、
1以上の前記接続装置子機のそれぞれに割り当てられている装置識別情報を記憶する記憶手段と、
前記保守用装置からの要求に応じて、前記記憶手段の前記装置識別情報に基づき1以上の前記接続装置子機の一覧リストを作成し、前記保守用装置に提供する子機一覧提供手段と、
前記保守用装置において前記一覧リストを通じて選択された保守対象の前記接続装置子機の前記装置識別情報を含む保守許可要求を1以上の前記接続装置子機に提供し、保守対象の前記接続装置子機からの許可を得て、前記保守用装置に接続用情報を提供する接続用情報提供手段と
を備えることを特徴とする接続装置親機。
【請求項4】
広域ネットワークに接続される回線終端装置と、前記回線終端装置に接続される接続装置親機と、ローカルエリアネットワークを通じて前記接続装置親機に接続される1以上の接続装置子機及び保守用装置とからなる通信システムの前記接続装置子機であって、
前記接続装置親機は、1以上の前記接続装置子機のそれぞれに割り当てられている装置識別情報を記憶する記憶手段と、前記保守用装置からの要求に応じて、前記記憶手段の前記装置識別情報に基づき1以上の前記接続装置子機の一覧リストを作成し、前記保守用装置に提供する子機一覧提供手段と、前記保守用装置において前記一覧リストを通じて選択された保守対象の前記接続装置子機の前記装置識別情報を含む保守許可要求を1以上の前記接続装置子機に提供し、保守対象の前記接続装置子機からの許可を得て、前記保守用装置に接続用情報を提供する接続用情報提供手段とを備えるものであり、
前記接続装置親機からの自機の前記装置識別情報を含む保守許可要求を受け付けた場合に、保守許可応答を形成して前記接続装置親機に提供する許可応答形成手段
を備えることを特徴とする接続装置子機。
【請求項5】
広域ネットワークに接続される回線終端装置と、前記回線終端装置に接続される接続装置親機と、ローカルエリアネットワークを通じて前記接続装置親機に接続される1以上の接続装置子機及び保守用装置とからなる通信システムの前記保守用装置であって、
前記接続装置親機は、1以上の前記接続装置子機のそれぞれに割り当てられている装置識別情報を記憶する記憶手段と、前記保守用装置からの要求に応じて、前記記憶手段の前記装置識別情報に基づき1以上の前記接続装置子機の一覧リストを作成し、前記保守用装置に提供する子機一覧提供手段と、前記保守用装置において前記一覧リストを通じて選択された保守対象の前記接続装置子機の前記装置識別情報を含む保守許可要求を1以上の前記接続装置子機に提供し、保守対象の前記接続装置子機からの許可を得て、前記保守用装置に接続用情報を提供する接続用情報提供手段とを備えるものであり、
前記接続装置子機は、前記接続装置親機からの自機の前記装置識別情報を含む保守許可要求を受け付けた場合に、保守許可応答を形成して前記接続装置親機に提供する許可応答形成手段を備えるものであり、
1以上の前記接続装置子機の一覧リストの提供要求を形成し、前記接続装置親機に提供する一覧リスト要求手段と、
前記接続装置親機からの前記接続装置子機の一覧リストの提供を受けて、前記一覧リストを通じて保守対象の前記接続装置子機の選択入力を受け付ける受付手段と、
前記受付手段を通じて受け付けた選択入力に応じて、選択された前記接続装置子機に対する接続要求を形成して前記接続装置親機に提供する接続要求手段と、
前記接続装置親機からの前記接続用情報に基づいて、選択された前記接続装置子機にアクセスして通信回線を接続する接続実行手段と
を備えることを特徴とする保守用装置。
【請求項6】
広域ネットワークに接続される回線終端装置と、前記回線終端装置に接続される接続装置親機と、ローカルエリアネットワークを通じて前記接続装置親機に接続される1以上の接続装置子機及び保守用装置とからなる通信システムの前記接続装置親機に搭載されたコンピュータで実行される接続処理プログラムであって、
前記保守用装置からの要求に応じて、1以上の前記接続装置子機のそれぞれに割り当てられている装置識別情報を記憶する記憶手段の前記装置識別情報に基づき1以上の前記接続装置子機の一覧リストを作成し、前記保守用装置に提供する子機一覧提供ステップと、
前記保守用装置において前記一覧リストを通じて選択された保守対象の前記接続装置子機の前記装置識別情報を含む保守許可要求を1以上の前記接続装置子機に提供し、保守対象の前記接続装置子機からの許可を得て、前記保守用装置に接続用情報を提供する接続用情報提供ステップと
を実行することを特徴とする接続処理プログラム。
【請求項7】
広域ネットワークに接続される回線終端装置と、前記回線終端装置に接続される接続装置親機と、ローカルエリアネットワークを通じて前記接続装置親機に接続される1以上の接続装置子機及び保守用装置とからなる通信システムの前記接続装置親機に搭載されたコンピュータで実行される接続応答プログラムであって、
前記接続装置親機に搭載されたコンピュータでは、前記保守用装置からの要求に応じて、1以上の前記接続装置子機のそれぞれに割り当てられている装置識別情報を記憶する記憶手段の前記装置識別情報に基づき1以上の前記接続装置子機の一覧リストを作成し、前記保守用装置に提供する子機一覧提供ステップと、前記保守用装置において前記一覧リストを通じて選択された保守対象の前記接続装置子機の前記装置識別情報を含む保守許可要求を1以上の前記接続装置子機に提供し、保守対象の前記接続装置子機からの許可を得て、前記保守用装置に接続用情報を提供する接続用情報提供ステップとが実行するようにされており、
前記接続装置親機からの自機の前記装置識別情報を含む保守許可要求を受け付けた場合に、保守許可応答を形成して前記接続装置親機に提供する許可応答形成ステップ
を実行することを特徴とする接続応答プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、パーソナルコンピュータなどのWebクライアント装置を通じて、上位のネットワークを通じて複数のWebサーバへの接続を適切に行えるようにするシステム、装置、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
後に記す特許文献1には、リダイレクト処理を利用することにより、適切なユーザインターフェースを提供する画像処理システム等に関する発明が開示されている。例えば、ウェブクライアント(パーソナルコンピュータ)からインターネット上の画像処理装置にHTTP(Hypertext Transfer Protocol)コマンドにより処理要求を出して画像処理をさせたとする。画像処理装置は画像処理の結果を要求元のウェブクライアントに返信するが、自機の保持している情報だけではウェブクライアントの使用者に対して分かりやすく充分な応答を返すことができない場合がある。
【0003】
そこで、特許文献1に記載の発明の場合、画像処理装置は、ウェブクライアントに対して、画像処理結果を提供すると共に表示処理サービス用ウェブサーバにリダイレクトするように指示を出す。これに応じて、ウェブクライアントは表示処理サービス用ウェブサーバにアクセスして、画像処理装置から画像処理結果を提供して、処理結果情報の提供を要求する。表示処理サービス用ウェブサーバは、画像処理結果に応じた処理結果情報を形成し、ウェブクライアントに提供する。
【0004】
これにより、リダイレクト先の表示処理サービス用ウェブサーバの機能を利用して、ウェブクライアントのユーザの使用形態や好みなどに応じて、ウェブクライアントに表示するユーザインターフェースを容易にカスタマイズできる。すなわち、ウェブクライアントの使用者に対して分かりやすく充分な応答を返すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−157552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の発明の場合、ウェブクライアントから画像処理装置にアクセスし、表示処理サービス用ウェブサーバにリダイレクトされる場合、表示処理サービス用ウェブサーバのURLを事前に画像処理装置へ設定しておく必要がある。近年においては、複数台のネットワーク接続装置を用いて、比較的に規模の大きな通信システムを構築する場合がある。ネットワーク接続装置は、ルータ機能、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバ機能等を備えたものである。
【0007】
ネットワーク接続装置は、上位に位置するDHCPサーバよりIPアドレスの割り当てを受けると共に、下位の装置に対してはIPアドレスを割り当てる処理を行う。一般に、割り当てられたIPアドレスは、例えば、所定時間ごとに再割り当てが行われたり、また、自機が電源の再立ち上げを行うごとに再割り当てが行われたりするなど、可変なものである場合が多い。このため、所定のネットワーク接続装置にアクセスし、他のネットワーク接続装置にリダイレクトを行うようにしたい場合には、他のネットワーク接続装置の最新のIPアドレスを当該所定のネットワーク接続装置に設定しなければならない。
【0008】
当該所定のネットワーク接続装置に他のネットワーク接続装置の最新のIPアドレスが設定されていない場合には、他のネットワーク接続装置へのリダイレクトは行えない。また、当該所定のネットワーク接続装置が他のネットワーク接続装置に対してIPアドレスを割り当てている場合であっても、可変のIPアドレスによってはユーザが目的とする他のネットワーク接続装置を特定することは難しい。このため、例えば、保守用に用いられる保守PC(Personal Computer)からIPアドレスを用いてWAN(Wide Area Network)側(上位側)より複数あるネットワーク接続装置を特定して接続し、目的とするネットワーク接続装置に対して保守を行うことは難しい。
【0009】
したがって、保守PCを用いて、複数のネットワーク接続装置のそれぞれの保守を行うためには、複数のネットワーク接続装置のそれぞれに対して、LAN(Local Area Network)側(下位側)より保守PCを接続し直す必要が生じる。このため、保守PCを用いた各ネットワーク接続装置の保守には、手間や時間がかかることになり、大規模な通信システム全体を適切に維持することが難しくなる。
【0010】
以上のことに鑑み、この発明は、可変なIPアドレス(URL)を持つ複数のネットワーク接続装置のそれぞれを上位側のネットワークよりアクセスして保守可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の通信システムは、
広域ネットワークに接続される回線終端装置と、前記回線終端装置に接続される接続装置親機と、ローカルエリアネットワークを通じて前記接続装置親機に接続される1以上の接続装置子機及び保守用装置とからなる通信システムであって、
前記接続装置親機は、
1以上の前記接続装置子機のそれぞれに割り当てられている装置識別情報を記憶する記憶手段と、
前記保守用装置からの要求に応じて、前記記憶手段の前記装置識別情報に基づき1以上の前記接続装置子機の一覧リストを作成し、前記保守用装置に提供する子機一覧提供手段と、
前記保守用装置において前記一覧リストを通じて選択された保守対象の前記接続装置子機の前記装置識別情報を含む保守許可要求を1以上の前記接続装置子機に提供し、保守対象の前記接続装置子機からの許可を得て、前記保守用装置に接続用情報を提供する接続用情報提供手段と
を備え、
前記接続装置子機は、
前記接続装置親機からの自機の前記装置識別情報を含む保守許可要求を受け付けた場合に、保守許可応答を形成して前記接続装置親機に提供する許可応答形成手段
を備え、
前記保守用装置は、
1以上の前記接続装置子機の一覧リストの提供要求を形成し、前記接続装置親機に送信する一覧リスト要求手段と、
前記接続装置親機からの前記接続装置子機の一覧リストの提供を受けて、前記一覧リストを通じて保守対象の前記接続装置子機の選択入力を受け付ける受付手段と、
前記受付手段を通じて受け付けた選択入力に応じて、選択された前記接続装置子機に対する接続要求を形成して前記接続装置親機に提供する接続要求手段と、
前記接続装置親機からの前記接続用情報に基づいて、選択された前記接続装置子機にアクセスして通信回線を接続する接続実行手段と
を備えることを特徴とする。
【0012】
この請求項1に記載の発明の通信システムによれば、接続装置親機は、接続装置子機の装置識別情報の登録を受け付けて記憶手段に保持している。接続装置親機の子機一覧提供手段は、保守用装置からの要求を受けて、記憶手段の装置識別情報に基づき子機一覧リストを作成して保守用装置に提供する。そして、接続装置親機の接続用情報提供手段は、子機一覧リストから選択された接続装置子機に対して保守許可を申請する。この申請に応じて、保守許可を受けた場合には、接続用情報提供手段は、当該接続装置子機の上位側のIPアドレスを保守用装置に提供して、接続装置親機から当該接続装置子機へ接続できるようにする。
【0013】
一方、接続装置子機の許可応答形手段は、接続装置親機からの自機の装置識別情報を含む保守許可要求を受け付けた場合には、保守許可応答を形成して接続装置親機に提供する。また、保守用装置は、一覧リスト要求手段が、接続装置子機の一覧リストの提供要求を形成して接続装置親機に提供し、受付手段が、接続装置親機からの接続装置子機の一覧リストを通じて保守対象の前記接続装置子機の選択入力を受け付ける。
【0014】
そして、接続要求手段が、受付手段を通じて受け付けた選択入力に応じて、選択された接続装置子機に対する接続要求を形成して接続装置親機に提供する。この後、接続実行手段が、接続装置親機からの接続用情報に基づいて、選択された接続装置子機にアクセスすることによって、接続処理が完了する。これにより、保守用装置は、接続装置子機に接続して保守を行える。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、可変なIPアドレス(URL)を持つ複数のネットワーク接続装置のそれぞれに対して、上位側よりアクセスして保守を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施の形態の通信システムの構成例を説明するための図である。
図2】実施の形態の接続装置の構成例を説明するためのブロック図である。
図3】付与IPアドレステーブルの例を示す図である。
図4】子機テーブルの例を示す図である。
図5】保守PCの構成例を説明するためのブロック図である。
図6】子機一覧リストの表示例を説明するための図である。
図7】実施の形態の通信システムで行われる子機一覧リストからの子機への接続処理について説明するためのシーケンス図である。
図8】接続装置間で伝送されるパケットの構造の例を説明するための図である。
図9】親機情報を伝送するパケットのオプションの概要を説明するための図である。
図10】子機登録を行うための登録要求の例を説明するための図である。
図11】親機設定、子機設定を自動的に行う場合の処理を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図を参照しながら、この発明のシステム、装置、プログラムの実施の形態について説明する。
【0018】
[通信システムの構成例]
図1は、この実施の形態の通信システムの構成例を説明するための図である。図1において、回線終端装置1は、広域ネットワークの終端に接続され、ユーザ側の装置を広域ネットワークに接続する。回線終端装置には、ONU(Optical Network Unit:光回線終端装置)と呼ばれ、広域ネットワークである光通信ネットワークに接続されて、光信号と電気信号間の変換と光信号の多重/分離をするものがある。また、回線終端装置には、モデムと呼ばれ、例えばADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line:非対称デジタル加入者線)に接続され、デジタル信号とアナログ信号の変換を行うものがある。この実施の形態において、回線終端装置は、例えばOUNである。
【0019】
接続装置親機2(1)と接続装置子機2(2)〜2(5)とのそれぞれは、ネットワーク接続装置としての機能を実現する。すなわち、接続装置親機2(1)と接続装置子機2(2)〜2(5)とのそれぞれは、ルータ機能、DHCPサーバ機能などを備え、異なる通信ネットワーク間を接続すると共に、配下に接続された通信装置に対してプライベートIPアドレスを付与する。この実施の形態の通信システムでは、図1に示すように、回線終端装置1の直下に接続装置親機2(1)が接続されている。そして、接続装置親機2(1)に対して接続装置子機2(2)〜2(5)及び保守PC(Personal Computer)が、LAN4を介して接続されている。
【0020】
このように、この実施の形態の通信システムでは、接続装置親機2(1)が広域ネットワークにより近い上位の装置(親機)であり、接続装置子機2(2)〜2(5)及び保守PCは、接続装置親機2(1)の配下の装置(下位の装置(子機))となっている。このため、接続装置については、同じ機能を有するものであっても、親機と子機とを区別するようにしている。
【0021】
そして、図1においては、接続装置親機2(1)に対しては、例えば、ISP(Internet Service Provider)側よりグローバルIPアドレスとして「xxx.xxx.xxx.xxx」が割り当てられている。また、図1においては、接続装置親機2(1)が自機のDHCPサーバ機能により、自機と接続装置子機2(2)〜2(4)のそれぞれと、保守PC3とに対して、プライベートIPアドレスを割り当てた場合を示している。すなわち、接続装置親機2(1)には、IPアドレス「192.168.1.1」を割り当て、接続装置子機2(2)〜2(5)には、IPアドレス「192.168.1.2」〜「192.168.1.5」を割り当てている。また、保守PC3には、IPアドレス「192.168.1.50」を割り当てている。
【0022】
このように、接続装置親機2(1)は、自機と自機の配下に接続される装置に対しては、各IPアドレスにおいて下線を付して示したセグメントまでのネットワーク部が共通の「192.168.1」であるIPアドレスを割り当てている。そして、接続装置親機2(1)は、配下に接続される装置が交換されたり、取り外されたり、また、追加されたりするなどして接続構成が変更されることを考慮し、一定時間ごとにIPアドレスの再割り当て(割り当て直し)を行うようにしている。また、配下に接続される装置の電源が落とされ、再度電源投入された場合にも、IPアドレスの再割り当てを行う。このように、接続装置親機2(1)によって割り当てられるIPアドレスは、一度割り当てられたら変わらないものではなく、可変のものである。
【0023】
接続装置子機2(2)〜2(5)のそれぞれもまた、配下に接続される装置に対してプライベートIPアドレスを割り当てる機能を有している。図1においては下線を付して示したように、接続装置子機2(2)は、ネットワーク部が「192.168.2」となるIPアドレスを割り当て、接続装置子機2(3)は、ネットワーク部が「192.168.3」となるIPアドレスを割り当てる。同様に、接続装置子機2(4)は、ネットワーク部が「192.168.4」となるIPアドレスを割り当て、接続装置子機2(5)は、ネットワーク部が「192.168.5」となるIPアドレスを割り当てる。
【0024】
そして、接続装置親機2(1)と接続装置子機2(2)〜2(5)とは、自機の配下に構成されるネットワークと、自機の上位に存在するネットワークとを接続し、それらの異なるネットワークに接続されている装置間で通信を行えるようにする。また、接続装置親機2(1)と接続装置子機2(2)〜2(5)とのそれぞれとにおいては、自機が親機なのか子機なのかを、設置作業者が手動により設定することができるようにされている。この設定は、一般には下位側(LAN側)より例えば保守PC等を通じてアクセスして行われる。
【0025】
このように構成された通信システムにおいて、接続装置子機2(2)〜2(5)や保守PC3に割り当てられるIPアドレスは変わる可能性がある可変なものである。このため、保守PC3の使用者は、例え接続装置子機2(2)〜2(5)にIPアドレスが割り当てられていたとしても、そのそれぞれを確実に特定できない。そこで、この実施の形態の通信システムでは、接続装置子機2(2)〜2(5)のそれぞれの装置識別情報として、MACアドレス(Media Access Control Address)を予め接続装置親機2(1)に登録しておくようにする。
【0026】
保守PC3の使用者は、接続装置親機2(1)に登録されたMACアドレスを用いて、接続装置子機2(2)〜2(5)のそれぞれを特定する。そして、保守PC3の使用者は、保守PC3を通じて、接続装置子機2(2)〜2(5)のそれぞれごとに上位側(WAN側)から接続して保守(メンテナンス)できるようにしている。以下に、この実施の形態の通信システムを構成する接続装置親機2(1)、接続装置子機2(2)〜2(5)、保守PC3の構成例等について説明する。
【0027】
[接続装置2の構成例]
図2は、この実施の形態の接続装置親機2(1)と接続装置子機2(2)〜2(5)の構成例を説明するためのブロック図である。接続装置親機2(1)と接続装置子機2(2)〜2(5)とは、基本的な構成は同様のものである。このため、ここでは、接続装置親機2(1)と接続装置子機2(2)〜2(5)とを総称して接続装置2と記載する。
【0028】
この実施の形態の接続装置2は、大きく分けると、基本機能部、親機処理部220、子機処理部230からなる。基本機能部はルータとしての基本機能を実現する部分である。また、親機処理部220は、当該接続装置2が接続装置親機として機能する場合に動作する処理部であり、子機処理部230は当該接続装置2が接続装置子機として機能する場合に動作する処理部である。
【0029】
基本機能部は、上位ネットワークへの接続ポート201、上位側I/F202、アドレス付与部203、ルーティング処理部204、記憶装置205、下位ネットワークへの接続ポート206、下位側I/F207、制御部210からなる。制御部210は、図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリなどがバスを通じて接続されて構成されたマイクロプロセッサであり、接続装置2の各部を制御する。
【0030】
上位ネットワークへの接続ポート201は、上位ネットワークへの接続端である。上位側I/F202は、上位ネットワークを通じて送信されてきた自機宛てのパケットを、自機で処理可能な形式に変換して取り込んだり、自機から上位ネットワークに送出するパケットを送信用の形式に変換して送出したりする処理を行う。アドレス付与部203は、DHCPサーバ機能を実現する部分であり、自機の下位に位置する装置に対してプライベートIPアドレスを付与する機能を実現する。
【0031】
ルーティング処理部204は、後述する記憶装置205に格納されているルーティングテーブルに従って、自機から送出するパケットの転送先を決定する処理を行う。記憶装置205は、比較的に記憶容量の大きな半導体メモリなどの記録媒体とそのドライバとからなり、当該記録媒体へのデータの書き込み、読み出し、削除等を行う。この実施の形態において、記憶装置205には、ルーティングテーブル、付与IPアドレステーブル、子機テーブルなどが格納されている。
【0032】
ルーティングテーブルは、上述したルーティング処理部204により参照されるテーブルであり、ネットワーク上の様々な宛先に対する最も良い経路を決定するためのデータが記録されたものである。付与IPアドレステーブルは、配下の装置に付与したローカルIPアドレスを管理するものである。子機テーブルは、自機の配下に接続された接続装置子機を管理するものである。図3は、付与IPアドレステーブルの例を説明するための図であり、図4は、子機テーブルの例を説明するための図である。図3図4は、いずれも接続装置親機2(1)の記憶装置205に形成されている付与IPアドレステーブルの例と子機テーブルの例を示している。
【0033】
付与IPアドレステーブルは、図3に示したように、アドレス付与部203が、配下の装置に付与した(割り当てた)IPアドレスを管理する。これにより、同じIPアドレスを重複して付与するなどのことがないようにされる。子機テーブルは、図4に示したように、「MACアドレス」、「種別」、「アクセス日時」、「その他」の情報からなる。「MACアドレス」は、配下の装置の装置識別情報であり、例えば、通信ネットワークの設置作業者等によって予め設定される情報である。「種別」は、MACアドレスが登録された配下の装置が、どのような装置かを示す情報であり、例えば、通信ネットワークの設置作業者等によって予め設定される情報である。
【0034】
これら「MACアドレス」、「種別」は、例えば、保守PC3を通じて、接続装置親機2(1)に対して設定することができるようにされる。この例においては、図4に示したように、接続装置親機2(1)の配下には、接続装置子機が4台、PCが1台接続されていることが管理されている。
【0035】
「アクセス日時」は、保守PC3を通じて、当該MACアドレスで特定される装置にいつアクセスするようにしたのかを示す情報であり、接続装置親機2(1)の制御部210によって更新される情報である。「その他」としては、例えば、1階や2階、営業部や総務部、東西南北などといった接続装置子機の設置場所を示す情報等、必要となる情報を格納できる。なお、その他の情報として設置場所を示す情報を管理する場合には、設置場所を示す情報は、通信ネットワークの設置作業者等によって、保守PC3を通じて予め設定される。そして、図4に示した子機テーブルの情報は、接続装置2が接続装置親機として機能する場合において、子機一覧リストを形成する際に利用される。
【0036】
下位ネットワークへの接続ポート206は、下位ネットワークへの接続端である。下位側I/F207は、下位ネットワークを通じて送信されてきた自機宛てのパケットを、自機で処理可能な形式に変換して取り込んだり、自機から下位ネットワークに送出するパケットを送信用の形式に変換して送出したりする処理を行う。
【0037】
親機処理部220は、図2に示すように、子機一覧提供部221、接続用情報提供部222、親機情報提供部223を備える。子機一覧提供部221は、保守PC3からの要求に応じて、子機テーブル(図4)に基づき1以上の接続装置子機の一覧リスト(子機一覧リスト)を作成し、これを保守PC3に提供する処理を行う。
【0038】
接続用情報提供部222は、子機一覧リストの提供を受けた保守PC3からの要求に応じて、当該子機一覧リストを通じて選択された保守対象の接続装置子機のMACアドレスを含む保守許可要求を形成する。そして、接続用情報提供部222は、形成した保守許可要求を配下の1以上の接続装置子機に提供し、当該保守許可要求に含まれるMACアドレスにより特定される保守対象の接続装置子機からの許可を得て、保守PC3にリ接続用情報を提供する。これにより、保守PC3は、接続装置親機2(1)から保守対象の接続装置子機2(2)〜2(5)に接続することができるようにされる。
【0039】
なお、上述もしたように、接続装置2が接続装置親機として機能するのか、接続装置子機として機能するのかは、通信システムの設置作業者が予め設定するものとして説明した。しかし、これに限るものではなく、この実施の形態の接続装置2は、自動的に接続装置親機と接続装置子機との設定を行うこともできる。
【0040】
具体的、接続装置親機は自機が親機であることを示す特定の情報を、下位のネットワークに接続された配下の接続装置に送信する。また、配下の接続装置は、上位のネットワークを通じて親機であることを示す特定の情報を受信したときには、自機は接続装置子機であると判別し、接続装置親機に対して、子機登録を行うようにする。接続装置2の制御部210が、上位のネットワークを通じて、親機であることを示す特定の情報を受信していないと判別したとする。この場合に、制御部210の制御の下、親機情報提供部223は親機であると認識し、自機を親機として機能するように切り替えると共に、自機が親機であることを示す特定の情報を下位のネットワークに接続された配下の接続装置に送信する処理を行う。
【0041】
子機処理部230は、図2に示すように、許可応答形成部231と子機情報登録部232とからなる。許可応答形成部231は、接続装置親機からの自機のMACアドレスを含む保守許可要求を受け付けた場合に、保守許可応答を形成して接続装置親機に提供する。これにより、上述もしたように、接続装置親機は、保守対象の当該接続装置子機に接続するための接続用情報を保守PCに提供することができるようにされる。
【0042】
また、制御部210が、上述したように、上位のネットワークを通じて親機であることを示す特定の情報を受信したと判別したとする。この場合には、制御部210の制御の下、子機情報登録部232は、自機を子機として機能するように切替部を切り替えると共に、自機が子機であることを示す情報を接続装置親機に提供して、自機を子機として登録するようにする処理を行う。
【0043】
このように、接続装置2は、接続装置親機として機能する場合には、親機処理部220の子機一覧提供部221と接続用情報提供部222が機能し、接続装置子機として機能する場合には、子機処理部230の許可応答形成部231が機能する。これにより、保守PC3が目的とする接続装置子機へWAN側(上位側)より適切に接続できるようにしている。また、接続装置2は、接続装置親機として機能する場合には、親機処理部220の親機情報提供部223が機能し、接続装置子機として機能する場合には、子機処理部230の子機情報登録部232が機能して、親機/子機の切替制御を行うことができる。
【0044】
[保守PC3の構成例]
図5は、この実施形態の通信システムで用いられる保守PC3の構成例を説明するためのブロック図である。この実施の形態の保守PC3は、図5に示すように、LANポート301T、LANI/F301、ディスプレイコントローラ302、ディスプレイ303、音声出力処理部304、スピーカ305、接続実行部306を備える。
【0045】
さらに、保守PC3は、制御部320、ハードディスクドライバ(以下、HDDと記載する。)310、操作入力インターフェース(以下、操作入力I/Fと記載する。)308、操作部309を備える。制御部320は、CPU321、ROM322、RAM323がバスを通じて接続されて形成されたマイクロプロセッサである。制御部320は、保守PC3の各部を制御すると共に、種々のアプリケーションソフトウェアを実行するアプリケーション実行部としても機能する。HDD310は、ハードディスクと当該ハードディスクへのデータの書き込み/読み出し機構を備えたものである。
【0046】
ディスプレイコントローラ302とディスプレイ303とは表示出力インターフェースを構成し、音声出力処理部304とスピーカ305とは音声出力インターフェースを構成し、操作入力I/F308と操作部309とは入力インターフェースを構成する。すなわち、これらはユーザインターフェースを構成し、ディスプレイに表示された入力画面に対して操作部309を通じて情報の入力を行ったり、音声による入力ガイダンスや警告音の提供を受けたりすることができるようになっている。なお、操作部309はキーボードやマウスなどと呼ばれるポインティングデバイスなどである。
【0047】
保守PC3は、LANポート301Tを通じてLAN4に接続されることにより、図1を用いて説明したように、接続装置子機2(2)〜2(5)と同様に、接続装置親機2(1)の配下に接続される。保守PC3のLANI/F301は、LAN4を通じて送信されて来る自機宛てのパケットを自機において処理可能な形式に変換して取り込んだり、また、自機から送信するパケットを送信用の形式に変換して送信したりする。制御部320は、受信して取り込んだパケットを分解して利用できるようにしたり、送信用のパケットを生成したりするパケット処理部としても機能するものである。
【0048】
そして、保守PC3においては、主に制御部320と接続実行部306が機能することによって、接続装置親機2(1)からの情報に基づいて、接続装置子機2(2)〜2(5)に接続し、接続装置子機2(2)〜2(5)を保守できるようにしている。すなわち、制御部320は、操作部309を通じて受け付けた使用者からの指示入力に応じて、接続装置親機2(1)にアクセスし、子機一覧リストの提供を要求する。これに応じて、接続装置親機2(1)から子機一覧リストが提供されるので、制御部320は、当該子機一覧リストを、ディスプレイコントローラ302を通じてディスプレイ303に表示する。
【0049】
図6は、子機一覧リストのディスプレイ303への表示例を説明するための図である。図6に示すように、この例の子機一覧リストは、接続装置親機2(1)の配下に接続されている接続装置子機の一覧リストであり、MACアドレスとアクセス日とを有する。そして、保守PC3の使用者は、接続装置子機2(2)〜2(5)の内、これから保守しようとしている接続装置子機に対応するMACアドレスを含む行にカーソルCSを位置付ける。そして、ディスプレイ302の下端側に設けられておる「OK」ボタンを選択する操作を行うと、カーソルCSが位置付けられた接続装置子機を保守対象に選択できる。
【0050】
この実施の形態では、接続装置子機2(2)〜2(5)のMACアドレスは、保守PC3の使用者である通信ネットワークの設置作業者により接続装置親機2(1)に対して登録された情報である。このため、保守PC3の使用者は、接続装置子機2(2)〜2(5)のそれぞれのMACアドレスを把握しており、目的とする接続装置子機を選択できる。このようにして、保守対象の接続装置子機が選択されると、その選択された接続装置子機のMACアドレスを含む接続装置子機への接続要求を形成し、これを接続装置親機2(1)に送信する。
【0051】
接続装置への接続要求を受けた接続装置親機2(1)は、各接続装置子機2(2)〜2(5)に対して、保守対象の接続装置子機のMACアドレスを含む保守許可要求を提供して、当該MACアドレスで特定される接続装置子機からの許可応答を待つ。そして、接続装置親機2(1)は、保守対象の接続装置子機から保守許可応答を受け付けると、当該保守対象の接続装置子機のIPアドレスを含む保守接続応答を保守PC3に提供する。この後、保守PCの接続実行部306は、制御部320の制御の下、接続装置親機2(1)からの保守許可応答に含まれるIPアドレスを用いて、保守対象の接続装置子機に接続して、保守を実行することができるようにされる。
【0052】
このように、保守PC3の制御部320は、子機一覧リスト要求部としての機能や保守対象の接続装置子機への接続要求生成部としての機能を実現している。また、制御部320とディスプレイ302や操作部309を含むユーザインターフェースとによって、保守対象の接続装置子機の選択入力を受け付ける受付部としての機能を実現している。そして、制御部320の制御の下に機能する接続実行部が、接続処理を実行する機能を実現している。
【0053】
なお、図6に示したように、接続装置子機の一覧リストがディスプレイ303に表示されているときに、ディスプレイ302の下端側に設けられておる「終了」ボタンを選択する操作が行われたとする。この場合には、制御部320は、接続装置子機の選択処理を終了し、接続装置子機の一覧リストをディスプレイ303から消去して、接続装置子機の一覧リストの表示前の状態に戻るようにされる。
【0054】
また、図6に示した子機一覧リストでは、子機1、子機2、…といった子機に対応するシーケンス番号と、MACアドレスと、アクセス日とからなるものとして示したが、これに限るものではない。例えば、接続装置親機2(1)の子機テーブルのその他の情報に接続装置子機の設置場所を示す情報を表示するなどのこともできる。
【0055】
[接続装置子機の保守処理]
図7は、この実施の形態の通信システムで行われる子機一覧リストからの子機への接続処理について説明するためのシーケンス図である。すなわち、図7は、保守PC3が、接続装置親機2(1)からの情報に基づいて、接続装置子機2(2)〜2(5)に接続して、それらを保守する場合の処理について説明するためのシーケンス図である。図7に示すシーケンス図の処理を開始する前に、この実施の形態の通信システムにおいては、以下の準備が整えられているものとする。
【0056】
すなわち、(イ)回線終端装置1の直下に接続装置親機2(1)を接続する。(ロ)接続装置親機2(1)のLAN側(この例の場合にはIPアドレスのネットワーク部が「192.168.1側」)のネットワークから保守PC3を通じて接続装置親機2(1)に接続(アクセス)し、親機の設定を行う。(ハ)接続装置親機2(1)のLAN側から保守PC3を通じて接続装置親機2(1)に接続し、接続装置子機2(2)〜2(5)のMACアドレス等を登録する。(二)接続装置子機2(2)〜2(5)をIPアドレスのネットワーク部が「192.168.1側」のネットワーク(LAN4)に接続する。(ホ)接続装置親機2(1)が接続装置子機2(2)〜2(5)にIPアドレスを割り当てる。
【0057】
上記の(イ)〜(ホ)に示した準備が整えられた後に、保守PC3は、接続装置親機2(1)からの情報に基づいて、目的とする接続装置子機2(2)〜2(5)に接続して、保守(メンテナンス)を行うことができるようにされる。つまり、保守PC3は、接続装置子機2(2)〜2(5)のLAN側(下位側)から接続するのではなく、WAN側(上位側)より接続して保守をすることができる。
【0058】
図7を参照しながら具体的に説明する。接続装置子機2(2)〜2(5)の内、例えば接続装置子機2(5)について、保守PC3を通じて保守を行う必要が生じたとする。この場合、保守PC3の使用者は、保守PC3を用いてLAN側(この例の場合にはIPアドレスのネットワーク部が「192.168.1側」)のネットワークから接続装置親機2(1)のメンテナンスページへ接続する(ステップS1)。図1を用いて説明したように、保守PC3は接続装置親機2(1)の配下の装置としてLAN4を通じて装置親機2(1)に接続されているので、LAN4を通じて接続装置親機2(1)に接続できる。
【0059】
そして、保守PC3の制御部320は、子機一覧リスト提供要求を形成し、これを接続装置親機2(1)に送信する(ステップS2)。子機一覧リスト提供要求を受信した接続装置親機2(1)は、子機一覧提供部221が機能して記憶装置205の子機テーブル(図4)に基づき子機一覧リストを作成し、これを要求元の保守PC3に提供する(ステップS3)。子機一覧リストの提供を受けた保守PC3の制御部320は、ディスプレイコントローラ302を通じてディスプレイ303に子機一覧リストを表示し、保守対象の接続装置親機の選択入力を受け付ける(ステップS4)。
【0060】
ここで、保守PC3の使用者が、例えば図6を用いて説明したように、表示された子機一覧リストを通じて接続装置子機2(5)のMACアドレスを含む行を選択したとする。この場合、保守PC3の制御部320は、選択された接続装置子機2(5)のMACアドレスを含む接続装置子機への接続要求を形成し、これを接続装置親機2(1)に送信する(ステップS5)。接続装置親機2(1)の接続用情報提供部222は、保守PC3からの当該接続要求に含まれる接続装置子機2(5)のMACアドレスを含むメンテナンス許可要求を形成し、配下の接続装置子機2(2)〜2(5)にブロードキャスト送信する(ステップS6)。
【0061】
接続装置子機2(2)〜2(5)のそれぞれにおいては、接続装置親機からのメンテナンス許可要求を受信すると、制御部210が自機のMACアドレスを含む自機宛てのメンテナンス許可要求か否かを確認する(ステップS7)。ステップS7の確認処理において、自機宛てのメンテナンス許可要求でないことを確認した時には、制御部210はこれを無視(スルー)する。
【0062】
また、ステップS7の確認処理において、この例では、接続装置子機2(5)の制御部210が、自機のMACアドレスを含む自機宛てのメンテナンス許可要求であると確認したとする。この場合、接続装置子機2(5)では、制御部210の制御の下、許可応答形成部231が機能し、自機に割り当てられているWAN側(上位側)のIPアドレスを含むメンテナンス許可応答を形成し、これを接続装置親機2(1)に送信する(ステップS8)。
【0063】
接続装置親機2(1)の接続用情報提供部222は、受信したメンテナンス許可応答に含まれるIPアドレスを含むメンテナンス接続応答を形成し、これを接続要求元の保守PC3に提供する(ステップS9)。保守PC3は、メンテナンス接続応答を受信すると、接続実行部306が機能して、当該メンテナンス接続応答に含まれるIPアドレスを用いて、保守対象の接続装置子機2(5)のメンテナンスページに接続(ログイン)する(ステップS10)。すなわち、ステップS10の処理は、接続装置親機2(1)から提供される情報に基づいて、保守PC3が目的とする保守対象の接続装置子機2(5)に接続する処理である。
【0064】
これにより、保守PC3を通じて、保守対象の接続装置子機、この例の場合には接続装置子機2(5)にWAN側(上位側)より接続して保守をすることができる。そして、保守対象の接続装置子機2(5)は、保守PC3から保守の終了指示を受け付けたり、あるいは、保守PC3からのログイン後、保守PC3からの操作を一定時間以上受けていなかったりすることにより、保守が終了したか否かを確認する(ステップS11)。
【0065】
ステップS11の確認処理において、保守は終了していないと確認したときには、ステップS11からの処理を繰り返し、保守の終了を待つ。ステップS11の確認処理において、保守は終了したと確認できたときには、保守PC3の接続を自機から切り離すログアウト処理を実行し(ステップS12)。保守PC3を用いた接続装置子機2(5)への保守を終了する。ここでは、接続装置子機2(5)をメンテナンスする場合について説明したが、他の接続装置子機2(2)〜2(4)に対しても、同様にして接続装置親機2(1)から接続して保守(メンテナンス)することができる。
【0066】
[親機と子機の自動設定]
この実施の形態の通信システムにおいては、回線終端装置1の直下に接続されている接続装置親機2(1)に対して、下位側のネットワークであるLAN4を通じて、保守PC3が接続して親機の設定を行うようにした。そして、接続装置子機2(2)〜2(5)についは、初期状態で子機となる設定をしておけば、親機の設定がなければ子機のままとされるので、通信システムにおける親機と子機の区別は適切に行える。
【0067】
しかし、保守PC3の使用者の手を煩わせることなく、通信システムに用いられる接続装置のそれぞれについて、親機/子機の設定を自動的に行うこともできる。そして、子機として設定された接続装置(接続装置子機)から親機として設定された接続装置(接続装置親機)に対して必要な情報を提供し、子機登録を自動的に行うようにすることもできる。この場合の親機/子機の自動設定は、例えば、DHCPフレームのDHCPメッセージ部に設けられているオプションを利用して行う。
【0068】
図8は、DHCPフレームのメッセージ部の構成を説明するための図である。DHCPフレームは、イーサネット(登録商標)ヘッダ部(14バイト)、IPヘッダ部(20バイト)、UPDヘッダ部(8バイト)に続き、図8に示したDHCPメッセージ部がある。イーサネット(登録商標)ヘッダ部とIPヘッダ部には、宛先のMACアドレスやIPアドレス、発信元のMACアドレスやIPアドレスが格納され、UPDヘッダ部には、発信元ポート番号や宛先ポート番号、UPDデータ長、チェックサムなどが格納される。そして、DHCPメッセージ部には、図8の下端側に示したように可変長のオプションの領域が設けられており、このオプションの領域を用いて、必要な情報を相手先に提供する構成になっている。
【0069】
図9は、DHCPメッセージ部のオプションの概要について説明するための図であり、オプションを通じて相手先に通知する情報のいくつかの例を示している。図9において、コードはタグ値とも呼ばれる10進数の数値であり、オプション(タグ)として通知する情報(データ)のそれぞれを特定する情報である。そして、図9に示すように、コード「0」は、「Pad」とよばれ、オプションデータを一定サイズまで埋めるのに使用する。コード「1」は、「サブネット・マスク」であり、サブネット・マスク・アドレスを示す。コード「3」は、ルータのアドレスであり、デフォルト・ゲートウェイ・アドレスを示す。このように、DHCPフレームのオプションは、コードによって特定される種々の情報を相手先に提供する場合に使用される。
【0070】
そして、図9において、コード「126」は、拡張(Extension)情報を提供するものである。この実施の形態の通信システムにおいて、各接続装置2(1)〜2(5)は、上位の接続装置などのDHCPサーバに対して、IPアドレスの割り当てを要求する。この場合に、上位のDHCPサーバから提供されるDHCPフレームのオプションのコード「126」の拡張情報に、提供元のDHCPサーバが接続装置親機であることを示す情報が存在しない場合には、自機は接続装置親機であると認識する。逆に、上位のDHCPサーバから提供されるDHCPフレームのオプションのコード「126」の拡張情報に、提供元のDHCPサーバが接続装置親機であることを示す情報が存在する場合には、自機は接続装置子機であると認識する。
【0071】
図1に示したこの実施の形態の通信システムにおいては、接続装置親機2(1)は、回線終端装置1の直下に接続されるため、上位のネットワークは広域ネットワークである。このため、接続装置親機2(1)に対してIPアドレスを割り当てるのは外部のDHCPサーバであり、DHCPフレームのオプションのコード「126」の拡張情報で接続装置親機である旨を通知するといったいわゆるローカルルールは適用されない。従って、外部のDHCPサーバから提供されるDHCPフレームのオプションのコード「126」の拡張情報に、提供元のDHCPサーバが接続装置親機であることを示す情報が付加されていることはない。このため、接続装置親機2(1)は、自機が自機の属する通信システムにおける接続装置親機であることを認識する。
【0072】
そして、接続装置親機2(1)においては、この通信システムにおいて適用される上述したローカルルールに従う。この場合、接続装置親機2(1)の親機情報提供部223が機能して、配下の装置にIPアドレスを割り当てるDHCPフレームにおいて、DHCPメッセージ部のオプションのコード「126」の拡張情報に自機が親機であることを示す情報を付加して提供する。一方、接続装置子機2(2)〜2(5)のそれぞれは、LAN4を通じて接続装置親機2(1)に接続されている。接続装置子機2(2)〜2(5)のそれぞれから見て、より広域ネットワークに近いWAN側のネットワークはLAN4である。従って、接続装置子機2(2)〜2(5)のそれぞれは、接続装置親機2(1)からLAN4を通じてIPアドレスの割り当てを受けることになる。
【0073】
上述したように、接続装置親機2(1)は、配下の装置にIPアドレスを割り当てるDHCPフレームにおいて、DHCPメッセージ部のオプションのコード「126」の拡張情報に自機が親機であることを示す情報を付加して提供する。このため、接続装置子機2(2)〜2(5)のそれぞれは、自機が子機であることを認識する。そして、接続装置子機2(2)〜2(5)のそれぞれにおいては、子機情報登録部232が機能して、自機が子機であることを接続装置親機2(1)に対して登録することを要求する登録要求「REGISTER」を形成し、これを接続装置親機2(1)に提供する。当該登録要求には、送信元のMACアドレスやIPアドレスなどの情報が含まれているので、これに基づき、接続装置親機2(1)においては、図4を用いて説明した子機テーブルを作成できる。
【0074】
図10は、接続装置子機2(2)〜2(5)のそれぞれにおいて形成される登録要求「REGISTER」に含まれる送信元の装置が接続装置子機であることを示す情報の例を説明するための図である。図10に示すように、子機登録を要求する登録要求のユーザエージェント「User−Agent」に、自機(送信元)が接続装置子機であることを示す情報として、例えば「IPTU behindv01.00」という情報を記録する。ここで、「IPTU」は、自機がネットワーク接続装置(Internet Protocol Transmission Unit)であることを示す情報であり、「behindv01.00」は、自機が子機であることを示す情報である。
【0075】
この他にも、子機登録を要求する登録要求「REGISTER」には、送信元の装置、すなわち、接続装置子機2(2)〜2(5)のMACアドレスやIPアドレスなどの種々の情報も含まれる。このため、登録要求「REGISTER」の提供を受ける接続装置親機2(1)では、受信した登録要求「REGISTER」に応じて、子機登録を行うことができる。
【0076】
次に、親機/子機の自動設定に係る処理について具体的に説明する。図11は、この実施の形態の通信システムで行われる接続装置親機と接続装置子機の自動設定を行う場合の処理を説明するための図である。図11に示す処理は、図1に示したように、各装置が所定のケーブルにより接続された状態で実行される処理である。上述もしたように、接続装置親機2(1)は、回線終端装置1の直下に接続されている。このため、広域ネットワーク側から接続装置親機2(1)に提供されるDHCPフレームのメッセージ部にあるオプションのコード「126」の拡張情報には親機であることを示す情報を含まれない。従って、接続装置親機2(1)は、自機を親機であると認識し、自機が親機であることの設定を例えば制御部210の不揮発性メモリに行う(ステップS20)。
【0077】
次に、保守PC3の制御部320は、LAN4を通じてDHCPの「DISCOVER」フレームをブロードキャスト送信し、上位のDHCPサーバに対して自機に割り当てられるIPアドレスなどの情報の提供を要求する(ステップS21、ステップS22、…)。この場合、LAN4に接続されている接続装置2(1)〜2(5)の内、配下の装置にIPアドレスを割り当てられるのは接続装置親機2(1)である。このため、接続装置親機2(1)の制御部210は、DHCPの「OFFER」フレームを形成し、これを保守PC3に提供する(ステップS23)。当該「OFFER」フレームは、提案情報として、割り当て可能なIPアドレスなどを含むものである。
【0078】
当該「OFFER」フレームを受信した保守PC3の制御部320は、接続装置親機2(1)からの提案(OFFER)を受け入れることを通知する「REQUEST」フレームを形成して、これを接続装置親機2(1)に送信する(ステップS24)。これに応じて、接続装置親機2(1)では、制御部210の制御の下、親機情報提供部223が機能して、「PACK」フレームを形成し、これを保守PC3に提供する(ステップS25)。この「PACK」フレームは、保守PC3に割り当てるIPアドレスを含み、DHCPメッセージ部のオプションのコード「126」の拡張情報に自機が親機であることを示す情報を付加したものである。
【0079】
保守PC3の制御部320は、自機に割り当てられたIPアドレスを設定し、接続装置親機2(1)を親機として認識する(ステップS26)。これにより、保守PC3は、接続装置子機を保守(メテナンス)する場合には、接続装置親機2(1)を介して行うことになる。
【0080】
そして、接続装置子機2(2)〜2(5)もまた、保守PC3と同様の処理を行う。更に、接続装置子機2(2)〜2(5)の場合には、自機が子機であることを接続装置親機2(1)に登録する処理も行う。ここでは、説明を簡単にするため、接続装置子機2(2)と接続装置親機2(1)との間で行われる処理として説明するが、接続装置子機2(3)〜接続装置子機2(5)においても同様の処理が行われる。
【0081】
具体的に、接続装置子機2(2)の制御部210は、LAN4を通じてDHCPの「DISCOVER」フレームをブロードキャスト送信し、上位のDHCPサーバに対して自機に割り当てられるIPアドレスなどの情報の提供を要求する(ステップS27、ステップS28、…)。上述したように、LAN4に接続された装置の内、配下の装置にIPアドレスを割り当てられるのは接続装置親機2(1)である。このため、接続装置親機2(1)においては、制御部210の制御の下、親機情報提供部223が機能して、DHCPの「OFFER」フレームを形成し、これを接続装置子機2(2)に提供する(ステップS29)。当該「OFFER」フレームは、提案情報として、割り当て可能なIPアドレスなどを含むものである。
【0082】
当該「OFFER」フレームを受信した接続装置子機2(2)の制御部210は、接続装置親機2(1)からの提案(OFFER)を受け入れることを通知する「REQUEST」フレームを形成して、これを接続装置親機2(1)に通知する(ステップS30)。これに応じて、接続装置親機2(1)では、制御部210の制御の下、親機情報提供部223が機能して、「PACK」フレームを形成し、これを接続装置子機2(2)に提供する(ステップS31)。当該「PACK」フレームは、接続装置子機2(2)に割り当てるIPアドレスを含み、DHCPメッセージ部のオプションのコード「126」の拡張情報に自機が親機であることを示す情報が付加されたものである。これにより、接続装置子機2(2)は、「PACK」フレームにより自機に割り当てられたIPアドレスを設定する。
【0083】
また、当該「PACK」フレームのDHCPメッセージ部のオプションのコード「126」の拡張情報に親機であることを示す情報が付加されている。このため、接続装置子機2(2)の制御部210は、接続装置親機2(1)が親機であり、自機は子機であることを認識し、自機が子機であることを例えば制御部210の不揮発性メモリに設定する(ステップS32)。この後、接続装置子機2(2)では、制御部210の制御の下、子機情報登録部232が機能して、自機のMACアドレスや自機に割り当てられたIPアドレスを含み、図10に示した「User−Agent」を含む子機登録を要求する「REGISTER」フレームを形成し、これを接続装置親機2(1)に提供する。
【0084】
当該「REGISTER」フレームを受信した接続装置親機2(1)では、制御部210が当該「REGISTER」フレームに含まれるMACアドレスを用いて、図4を用いて説明した子機テーブルを作成することにより、子機登録を行う(ステップS34)。なお、この場合、「REGISTER」フレームには、送信元の接続装置子機2(2)に割り当てられたIPアドレスも存在するので、MACアドレスとIPアドレスとを対応付けて管理するようにしてもよい。
【0085】
この後、接続装置親機2(1)の制御部210は、子機登録が正常に完了したことを通知する「200OK」フレームを形成し、これを接続装置子機2(2)に送信する(ステップS35)。これにより、接続装置子機2(2)における、自機が子機であることに認識と、接続装置親機2(1)に対して自機を子機登録する処理が完了する。なお、「200OK」フレームが送信されてこない場合には、例えば、接続装置子機2(2)は、再度、「REGISTER」フレームを送信して、子機登録を行うようにする処理が繰り返される。
【0086】
そして、ここで接続装置子機2(2)と接続装置親機2(1)との間で行われるものとして説明した処理は、接続装置子機2(3)〜2(5)と接続装置親機2(1)との間でも行われる。このため、接続装置子機2(2)〜2(5)から接続装置親機2(1)に対して一斉に「REGISTER」フレームが送信されて、子機登録が要求される場合もあるが、この場合には、接続装置親機2(1)では、先着優先で子機登録を行う。これにより、接続装置2(1)〜2(5)のそれぞれについて、自動的に親機、子機の登録ができると共に、子機であると認識した接続装置子機2(2)〜2(5)のそれぞれはMACアドレスを接続装置親機2(1)に提供し、子機登録も自動的に行える。
【0087】
そして、接続装置親機2(1)では、接続装置子機2(2)〜2(5)からのMACアドレスを用いて子機テーブル(図4)を自動的に形成することができる。なお、子機テーブルにおいて、その他の情報として例えば各接続装置子機の設置場所を示す情報を入力するときには、保守PC3から接続装置親機2(1)に接続して、子機テーブルの保守を行うようにすればよい。
【0088】
このようにして、親機/子機の設定や子機テーブルの形成が自動的になされた後においては、図7のシーケンス図を用いて説明したように、保守PC3が接続装置親機2(1)から提供される情報に基づいて、目的とする接続装置子機2(2)〜2(5)に接続できる。従って、保守PC3の使用者の手をほとんど煩わせることなく、接続できる環境を整えて、接続装置子機2(2)〜2(5)のそれぞれに接続して必要な保守(メンテナンス)を行うことができる。
【0089】
なお、自動的に子機テーブルを形成する場合には、接続装置子機2(2)〜2(5)のそれぞれのMACアドレスと割り当てられたIPアドレスとを対応付けて管理できる。このため、図7のシーケンス図のステップS8のメンテナンス許可応答において、各接続装置子機2(2)〜2(5)は、MACアドレスを通知すればIPアドレスを通知する必要はない。
【0090】
また、接続装置子機2(2)〜2(5)のそれぞれが、IPアドレスの再割り当てを受けるごとに、接続装置親機2(1)に対して子機登録を行うようにすることにより、MACアドレスとIPアドレスとの対応付けも最新の状態を管理することができる。
【0091】
[実施の形態の効果]
この実施の形態の通信システムにおいては、接続装置親機2(1)からIPアドレスの割り当てを受ける接続装置子機2(2)〜2(5)のそれぞれについて、接続装置親機2(1)から提供される情報に基づいて接続して保守(メンテナンス)をすることができる。すなわち、保守PC3は、接続装置子機2(2)〜2(5)のそれぞれに対して、下位側(図1のLAN5〜8側)から接続してメンテナンスするのではなく、上位側(WAN側)のネットワーク(LAN4)を介して接続してメンテナンスできる。
【0092】
[変形例]
接続装置子機の台数は1台以上であれば何台でもよい。また、複数の接続装置親機を設けることも可能である。この場合には、接続装置子機が、どの接続装置親機からの情報を用いるのかを選択するようにすればよい。また、保守PC3も複数設けることももちろん可能である。
【0093】
また、上述した実施の形態では、接続装置(子機)2(2)〜2(5)のそれぞれのMACアドレスを用いて区別するようにしたが、これに限るものではない。接続装置(子機)2(2)〜2(5)のそれぞれに固有の識別情報、例えば製造番号や当該電話システムにおいて各接続装置(子機)に付与するようにした管理番号などがあれば、これを用いることができる。
【0094】
また、上述した実施の形態では、接続装置親機は、DHCPフレームのメッセージ部のオプションのコード126の拡張情報を用いて、当該DHCPフレームの送信元が接続装置親機であることを通知するようにしたが、これに限るものではない。当該DHCPフレームの送信元が接続装置親機であることを通知することができ、受信側の装置でそれを適切に認識することができれば、他のエリアを用いて接続装置親機であることの通知を行うようにしてもよい。
【0095】
[その他]
上述した実施の形態の説明からも分かるように、請求項における接続装置親機の記憶手段、子機一覧提供手段、接続用情報提供手段の各機能は、実施の形態の接続装置2の記憶装置205、子機一覧提供部221、接続用情報提供部222が実現している。また、請求項における接続装置親機の親機情報提供手段の機能は、実施の形態の接続装置2の親機情報提供部223が実現している。
【0096】
また、請求項における接続装置子機の許可応答形成手段、子機情報登録手段の各機能は、実施の形態の接続装置2の許可応答形成部231、子機情報登録部232が実現している。
【0097】
また、請求項における保守用装置の一覧リスト要求手段、接続要求手段の各機能は、実施の形態の保守PC3の制御部320が実現している。また、請求項における保守用装置の接続実行手段の機能は、実施の形態の保守PC3の接続実行部306が実現している。
【0098】
なお、図7のシーケンス図を用いて説明した接続装置親機2(1)で行われる処理が、この発明の接続処理プログラムの一実施の形態が適用されたものである。具体的には、保守PC3からの要求に応じて、1以上の前記接続装置子機のそれぞれに割り当てられているMACアドレスを記憶する子機テーブルのMACアドレスに基づき1以上の接続装置子機の一覧リストを作成し、保守PC3に提供する子機一覧提供ステップと、保守PC3において接続装置子機の一覧リストを通じて選択された保守対象の接続装置子機のMACアドレスを含む保守許可要求を1以上の接続装置子機に提供し、保守対象の接続装置子機からの許可を得て、保守PC3に接続用情報を提供する接続用情報提供ステップを実行するものである。
【0099】
また、図7のシーケンス図を用いて説明した接続装置子機2(2)で行われる処理が、この発明の接続応答プログラムの一実施の形態が適用されたものである。具体的には、続装置親機からの自機のMACアドレスを含む保守許可要求を受け付けた場合に、保守許可応答を形成して接続装置親機に提供する接続応答ステップを実行するものである。
【0100】
また、図2の親機処理部220の子機一覧提供部221、接続用情報提供部222、親機情報提供部223の各機能は、制御部210で実行されるソフトウェアによって、制御部210の機能として実現することもできる。同様に、子機処理部230の許可応答形成部231、子機情報登録部232の各機能もまた、制御部210で実行されるソフトウェアによって、制御部210の機能として実現することもできる。
【符号の説明】
【0101】
1…回線終端装置、2…接続装置、2(1)…接続装置親機、2(2)〜2(5)…接続装置子機、201…接続ポート、202…上位側I/F、203…アドレス付与部、204…ルーティング処理部、205…記憶装置、206…接続ポート、207…下位側I/F、210…制御部、220…親機処理部、221…子機一覧提供部、222…接続用情報提供部、223…親機情報提供部、230…子機処理部、231…許可応答形成部、232…子機情報登録部、3…保守PC、301T…LANポート、301…LANI/F、302…ディスプレイコントローラ、303…ディスプレイ、304…音声出力処理部、305…スピーカ、306…接続実行部、308…操作入力I/F、309…操作部、310…HDD、320…制御部、321…CPU、322…ROM、323…RAM、4〜8…LAN
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11