【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム「人と知能機械との協奏メカニズム解明と協奏価値に基づく新しい社会システムを構築するための基盤技術の創出」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
三次元座標を示す座標点の集合により対象領域の三次元形状を表す第1地図データと、三次元座標を示す座標点の集合により前記対象領域の三次元形状を表し前記第1地図データと同一の第2地図データとの一致度を表す評価関数が収束するように、前記第1地図データに対して前記第2地図データを移動させて、前記第2地図データと前記第1地図データとが整合するときの位置として、前記評価関数が収束した収束位置を出力するように構成された収束整合部と、
位置偏差を確認する範囲となる予め設定された複数の初期探索位置に対して、前記収束整合部に前記第2地図データの前記第1地図データへの整合を実行させることにより、複数の前記初期探索位置のそれぞれに対応する前記収束位置を取得するように構成された収束位置取得部と、
前記収束位置取得部により取得された複数の前記収束位置の空間分布に基づいて、前記第1地図データの信頼度を評価するための評価指標を算出するように構成された指標算出部と
を備える地図評価装置。
三次元座標を示す座標点の集合により対象領域の三次元形状を表す第1地図データと、三次元座標を示す座標点の集合により前記対象領域の三次元形状を表し前記第1地図データと同一の第2地図データとの一致度を表す評価関数が収束するように、前記第1地図データに対して前記第2地図データを移動させて、前記第2地図データと前記第1地図データとが整合するときの位置として、前記評価関数が収束した収束位置を出力する収束整合手順と、
位置偏差を確認する範囲となる予め設定された複数の初期探索位置に対して、前記収束整合手順に前記第2地図データの前記第1地図データへの整合を実行させることにより、複数の前記初期探索位置のそれぞれに対応する前記収束位置を取得する収束位置取得手順と、
前記収束位置取得手順により取得された複数の前記収束位置の空間分布に基づいて、前記第1地図データの信頼度を評価するための評価指標を算出する指標算出手順と
を備える地図評価方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、地図全体にわたって事前に地図データの信頼性を評価する手法は知られていない。
本開示は、地図全体にわたって事前に地図データの信頼性を評価することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、収束整合部と、収束位置取得部と、指標算出部とを備える地図評価装置である。
収束整合部は、第1地図データと、第2地図データとの一致度を表す評価関数が収束するように、第1地図データに対して第2地図データを移動させて、第2地図データと第1地図データとが整合するときの位置として、評価関数が収束した位置を出力するように構成される。第1地図データは、三次元座標を示す座標点の集合により対象領域の三次元形状を表す。第2地図データは、三次元座標を示す座標点の集合により対象領域の三次元形状を表し第1地図データと同一または異なる。
【0007】
収束位置取得部は、位置偏差を確認する範囲となる予め設定された複数の初期探索位置に対して、収束整合部に第2地図データの第1地図データへの整合を実行させることにより、複数の初期探索位置のそれぞれに対応する収束位置を取得するように構成される。
【0008】
指標算出部は、収束位置取得部により取得された複数の収束位置の空間分布に基づいて、第1地図データの信頼度を評価するための評価指標を算出するように構成される。
このように構成された本開示の地図評価装置は、対象領域の三次元形状を表す地図データに対して上記信頼度を評価するための評価指標を算出することができ、地図データの対象領域全体にわたって事前に地図データの信頼性を評価することができる。
【0009】
本開示の一態様では、指標算出部は、複数の初期探索位置のそれぞれについて、対応する収束位置が、第2地図データが第1地図データに対して位置ズレのない正解の位置である中心位置に一致している場合には成功であり、中心位置に一致していない場合には失敗であると判断し、成功の数と、失敗の数とに基づいて、評価指標を算出するようにしてもよい。これにより、本開示の地図評価装置は、成功の数が多いほど信頼度が高くなり、失敗の数が多いほど信頼度が低くなるように、評価指標を算出することができる。
【0010】
本開示の一態様では、指標算出部は、複数の初期探索位置のそれぞれについて、初期探索位置と中心位置との間の距離に応じて、評価指標に対する寄与を変化させるようにしてもよい。一般的に位置ズレは正解位置を中心にピークを持つ分布となるため、位置ズレの分布を考慮した評価指標と考えられる。これにより、本開示の地図評価装置は、上記距離が長いほど評価指標に対する寄与が小さくなり、上記距離が短いほど評価指標に対する寄与が大きくなるように、評価指標を算出することができる。
【0011】
本開示の一態様では、一致度分布生成部と、第1主成分算出部と、統合指標算出部とを備えるようにしてもよい。
一致度分布生成部は、第1地図データが表す対象領域の範囲に含まれるように予め設定された複数の初期変換位置のそれぞれへ第2地図データを移動させ、複数の初期変換位置のそれぞれについて、第2地図データと第1地図データとのデータ一致度を算出することにより、データ一致度と複数の初期変換位置との対応関係を示す一致度分布を生成するように構成される。
【0012】
ピーク方向特定部は、一致度分布においてピークが連続しているピーク連続方向を特定するように構成される。
統合指標算出部は、ピーク方向特定部による特定結果に基づいて、空間分布における収束位置がピーク連続方向に沿って連続する影響を評価指標から低減した統合評価指標を算出するように構成される。
【0013】
これにより、本開示の地図評価装置は、収束位置がピーク連続方向に沿って連続することに起因する影響を低減して地図データの信頼性を評価することができる。
本開示の別の態様は、収束整合手順と、収束位置取得手順と、指標算出手順とを備える地図評価方法である。
【0014】
収束整合手順は、第1地図データと、第2地図データとの一致度を表す評価関数が収束するように、第1地図データに対して第2地図データを移動させて、第2地図データと第地図データとが整合するときの位置として、評価関数が収束した位置を出力する。
【0015】
収束位置取得手順は、位置偏差を確認する範囲となる予め設定された複数の初期探索位置に対して、収束整合手順に第2地図データの第1地図データへの整合を実行させることにより、複数の初期探索位置のそれぞれに対応する収束位置を取得する。
【0016】
指標算出手順は、収束位置取得手順により取得された複数の収束位置の空間分布に基づいて、第1地図データの信頼度を評価するための評価指標を算出する。
本開示の別の態様は、一致度分布生成手順と、第1主成分算出手順と、統合指標算出手順とを備えるようにしてもよい。
【0017】
一致度分布生成手順は、第1地図データが表す対象領域の範囲に含まれるように予め設定された複数の初期変換位置のそれぞれへ第2地図データを移動させ、複数の初期変換位置のそれぞれについて、第2地図データと第1地図データとのデータ一致度を算出することにより、データ一致度と複数の初期変換位置との対応関係を示す一致度分布を生成する。
【0018】
ピーク方向特定手順は、一致度分布においてピークが連続しているピーク連続方向を特定する。
統合指標算出手順は、ピーク方向特定手順による特定結果に基づいて、空間分布における収束位置がピーク連続方向に沿って連続する影響を評価指標から低減した統合評価指標を算出する。
【0019】
本開示の地図評価方法は、本開示の地図評価装置にて実行される方法であり、当該方法を実行することで、本開示の地図評価装置と同様の効果を得ることができる。
本開示の更に別の態様は、コンピュータを、収束整合部、収束位置取得部、及び、指標算出部として機能させるための地図評価プログラムである。
【0020】
本開示の更に別の態様は、コンピュータを、更に、一致度分布生成部、第1主成分算出部、及び、統合指標算出部として機能させるようにしてもよい。
本開示の地図評価プログラムによって制御されるコンピュータは、本開示の地図評価装置の一部を構成することができ、本開示の地図評価装置と同様の効果を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1実施形態]
以下に本開示の第1実施形態を図面とともに説明する。
本実施形態の地図評価装置1は、
図1に示すように、表示部11と、操作入力部12と、データ記憶部13と、データ入出力部14と、制御部15とを備える。
【0023】
表示部11は、図示しない表示装置を備え、表示装置の表示画面に各種画像を表示する。
操作入力部12は、図示しないキーボードおよびマウスを介して使用者が行った入力操作を特定するための入力操作情報を出力する。
【0024】
データ記憶部13は、各種データを記憶するための記憶装置である。
データ入出力部14は、有線または無線で接続された外部機器との間でデータの入出力を行う。
【0025】
制御部15は、CPU、ROM、RAMおよびフラッシュメモリ等を備えたマイクロコンピュータを中心に構成される。マイクロコンピュータの各種機能は、CPUが非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行することにより実現される。この例では、ROMが、プログラムを格納した非遷移的実体的記録媒体に該当する。また、このプログラムの実行により、プログラムに対応する方法が実行される。なお、CPUが実行する機能の一部または全部を、一つあるいは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。また、制御部15を構成するマイクロコンピュータの数は1つでも複数でもよい。
【0026】
次に、制御部15が実行する地図評価処理の手順を説明する。地図評価処理は、地図評価処理を実行するために制御部15に記憶された地図評価プログラム20を使用者の入力操作により起動することで実行される。なお、地図評価プログラム20は、地図評価装置1に予めインストールされていてもよいし、記録媒体またはネットワークを介してインストールされるようにしてもよい。記録媒体としては、例えば光ディスク、磁気ディスクおよび半導体メモリなどが挙げられる。
【0027】
地図評価処理が実行されると、制御部15は、
図2に示すように、まず、評価対象となる地図(以下、対象地図)を選択するための画像(以下、対象地図選択画像)を表示部11の表示画面に表示する。
【0028】
そしてS20にて、制御部15は、使用者により選択された対象地図を特定する対象地図特定情報が操作入力部12から入力されたか否かを判断する。ここで、対象地図特定情報が入力されていない場合には、制御部15は、S20の処理を繰り返すことにより、対象地図特定情報が入力するまで待機する。そして、対象地図特定情報が入力されると、制御部15は、S30にて、対象地図特定情報により特定される対象地図の座標点群データ(以下、対象地図データ)と、対象地図に対応する領域を計測した例えばモービルマッピングシステム(以下、MMS)を利用して計測した入力スキャンデータとをデータ記憶部13から取得する。MMSは、Mobile Mapping Systemの略である。
【0029】
対象地図データおよび入力スキャンデータは、対象地図の三次元形状を表す複数地点の三次元座標の集合である。MMSでは、レーザスキャナを搭載した計測車両で対象領域を走行することにより、対象領域の座標点群を計測する。対象領域の座標点群は、計測車両の現在位置と、レーザスキャナがパルスレーザ光を照射した方向と、パルスレーザ光を照射してから反射レーザ光を検出するまでの時間に基づいて、レーザ光を反射した地点の三次元座標を計測することにより取得される。
【0030】
なお、対象地図の座標点群データおよび入力スキャンデータは、地図評価処理を開始する前に予めデータ記憶部13に記憶される。
次にS40にて、制御部15は、複数の初期探索位置の中から、今回の地図評価処理において選択されていない初期探索位置を1つ選択する。
【0031】
そしてS50にて、制御部15は、周知のNDTを用いて、S30で取得した対象地図データと入力スキャンデータとのスキャンマッチングを行う。NDTは、Normal Distribution Transformの略である。以下、S50で行うスキャンマッチングを、NDTスキャンマッチングという。
【0032】
NDTスキャンマッチングは、まず、対象地図の地図空間を一定の大きさのボクセルに分割に分割し、ボクセルに属する座標点群の三次元座標の平均および分散を計算することによって三次元地図を正規分布に近似する。次にNDTスキャンマッチングは、入力スキャンデータの各座標点に対して、対象地図データ内の対応ボクセルとの一致度を表す評価関数を最大にする座標変換をニュートン法により算出することで、スキャンマッチングを行う。すなわち、NDTスキャンマッチングは、評価関数が収束するように、対象地図データに対して入力スキャンデータを逐次移動させて、評価関数が収束した収束位置で入力スキャンデータを対象地図データに整合させる。
【0033】
以下に、三地点でNDTスキャンマッチングを実行した具体例を説明する。
図3は、特徴が多い場所の対象地図データを表す画像である。
図4は、
図3と同一の特徴が多い場所における入力スキャンデータを表す画像である。特徴が多い場所では、正しくスキャンマッチングができることが期待される。
【0034】
図5は、地図に誤差がある場所の対象地図データを表す画像である。
図6は、
図5と同一の場所における入力スキャンデータを表す画像である。地図に誤差がある場所では、スキャンマッチングにおいて誤収束する可能性がある。
【0035】
図7は、地形に連続性がある場所の対象地図データを表す画像である。
図8は、
図7と同一の場所における入力スキャンデータを表す画像である。地形に連続性がある場所では、計測に問題はないが、誤収束する可能性がある。
【0036】
図9は、
図3および
図4に示す対象地図データおよび入力スキャンデータを用いたNDTスキャンマッチングの結果を示す図である。
NDTスキャンマッチングでは、
図9に示すように、対象地図データと入力スキャンデータとが一致する位置を原点とし、横方向位置をX軸とし、縦方向位置をY軸とした二次元平面が設定される。そして、この二次元平面に対して、x=−3[m]からx=+3[m]までの間で0.5[m]毎に、且つ、y=−3[m]からy=+3[m]までの間で0.5[m]毎に、二次元格子状に、複数の初期探索位置が設定される。但し、原点(0,0)は、初期探索位置から除外される。以下、原点(0,0)を中心点P0または中心位置という。初期探索位置は、白抜きの丸で示される。NDTスキャンマッチングにより収束した点は、黒丸で示される。この黒丸で示される位置が、収束位置である。
【0037】
図9では、例えば、(x、y)=(+1,+3)に位置する点P1を初期探索位置としてNDTスキャンマッチングを行った場合に、正解位置である中心点P0に収束する。また、(x、y)=(−3,−3)に位置する点P2を初期探索位置としてNDTスキャンマッチングを行った場合に、中心点P0に収束する。一方、(x、y)=(+3,−3)に位置する点P3を初期探索位置としてNDTスキャンマッチングを行った場合に、(x、y)=(+2.5,−2.5)の付近に位置する点P4に収束する。なお、大多数の初期探索位置について、NDTスキャンマッチングによる収束位置は中心点P0である。
【0038】
図10は、
図5および
図6に示す対象地図データおよび入力スキャンデータを用いたNDTスキャンマッチングの結果を示す図である。
図10では、例えば、(x、y)=(+2.5,+0)に位置する点P11を初期探索位置としてNDTスキャンマッチングを行った場合に、中心点P0に収束する。また、(x、y)=(−2,+3)に位置する点P12を初期探索位置としてNDTスキャンマッチングを行った場合に、中心点P0に収束する。一方、(x、y)=(+1,−3)に位置する点P13を初期探索位置としてNDTスキャンマッチングを行った場合に、(x、y)=(0,−1)の付近に位置する点P14に収束する。また、(x、y)=(+3,+1.5)に位置する点P15を初期探索位置としてNDTスキャンマッチングを行った場合に、(x、y)=(+2,+1)の付近に位置する点P16に収束する。
【0039】
図11は、
図7および
図8に示す対象地図データおよび入力スキャンデータを用いたNDTスキャンマッチングの結果を示す図である。
図11では、例えば、(x、y)=(+2,+0.5)に位置する点P21を初期探索位置としてNDTスキャンマッチングを行った場合に、中心点P0に収束する。一方、(x、y)=(−1.5,−0.5)に位置する点P22を初期探索位置としてNDTスキャンマッチングを行った場合に、(x、y)=(−0.5,−2)の付近に位置する点P23に収束する。また、(x、y)=(+0.5,−1.5)に位置する点P24を初期探索位置としてNDTスキャンマッチングを行った場合に、(x、y)=(−0.5,−1)の付近に位置する点P25に収束する。
【0040】
S50の処理が終了すると、
図2に示すように、制御部15は、S60にて、S50のNDTスキャンマッチングで算出された収束位置を取得する。
そしてS70にて、制御部15は、S60で取得した収束位置が中心位置に一致しているか否かを判断する。ここで、収束位置が中心位置に一致している場合には、制御部15は、S80にて、成功評価値を算出する。具体的には、制御部15は、S40で選択した初期探索位置の横方向位置xおよび縦方向位置yを用いて、下式(1)により、成功評価値EVsを算出する。なお、下式(1)においてσ=1である。
【0042】
そしてS90にて、制御部15は、成功評価積算値を算出し、S120に移行する。具体的には、制御部15は、RAMに設けられた成功評価積算値ESsに格納された値と、S80で算出された成功評価値EVsとを加算した加算値を、成功評価積算値ESsに格納する。
【0043】
一方、S70にて、収束位置が中心位置に一致していない場合には、制御部15は、S100にて、失敗評価値を算出する。具体的には、制御部15は、S40で選択した初期探索位置の横方向位置xおよび縦方向位置yを用いて、下式(2)により、失敗評価値EVfを算出する。なお、下式(2)においてσ=1である。
【0045】
そしてS110にて、制御部15は、失敗評価積算値を算出し、S120に移行する。具体的には、制御部15は、RAMに設けられた失敗評価積算値ESfに格納された値と、S100で算出された失敗評価値EVfとを加算した加算値を、失敗評価積算値ESfに格納する。
【0046】
S120に移行すると、制御部15は、S40において全ての初期探索位置が選択されたか否かを判断する。ここで、全ての初期探索位置が選択されていない場合には、制御部15は、S40に移行する。一方、全ての初期探索位置が選択された場合には、制御部15は、S130にて、評価指標を算出する。具体的には、下式(3)により、評価指標EIを算出する。
【0047】
EI= ESf/(ESs+ESf) ・・・(3)
なお、
図9に示すNDTスキャンマッチングの結果では、評価指標EI=0.05であった。
図10に示すNDTスキャンマッチングの結果では、評価指標EI=29.01であった。
図11に示すNDTスキャンマッチングの結果では、評価指標EI=44.22であった。
【0048】
そしてS140にて、制御部15は、S130で算出した評価指標EIを、対象地図データおよび入力スキャンデータを識別する識別情報と対応付けて、例えばフラッシュメモリに記憶し、地図評価処理を終了する。
【0049】
このように構成された地図評価装置1は、対象地図データと、入力スキャンデータとの一致度を表す評価関数が収束するように、対象地図データに対して入力スキャンデータを移動させて、入力スキャンデータと対象地図データとが整合するときの位置として、評価関数が収束した位置を出力する。この計算法としてNDTスキャンマッチングなどが用いられる。対象地図データは、三次元座標を示す座標点の集合により対象領域の三次元形状を表す。入力スキャンデータは、計測車両に搭載されたレーザスキャナによってレーザスキャナと対象領域との間の距離を計測することにより取得されて座標点の集合により対象領域の三次元形状を表す。入力スキャンデータの近似として,地図データの対象領域のデータを用いてもよい。
【0050】
地図評価装置1は、既知の位置に対して位置ズレがあった場合でも正しい位置が推定できるか否かという点から地図の信頼性を判定するために、位置偏差を確認する範囲となる予め設定された複数の初期探索位置に対して、入力スキャンデータの対象地図データへの整合を実行することにより、複数の初期探索位置のそれぞれに対応する収束位置を取得する。
【0051】
地図評価装置1は、取得された複数の収束位置の空間分布に基づいて、入力スキャンデータを対象地図データに整合させることにより計測車両の位置を推定するときの信頼度を評価するための評価指標を算出する。
【0052】
このように地図評価装置1は、対象領域の三次元形状を表す対象地図データに対して上記信頼度を評価するための評価指標を算出することができ、対象地図データの対象領域全体にわたって事前に対象地図データの信頼性を評価することができる。
【0053】
例えば、地図評価装置1は、評価指標が予め設定された信頼性判定値(本実施形態では、例えば0.1)未満である場合には、信頼性が「良」であると判断し、評価指標が信頼性判定値(本実施形態では、例えば0.1)以上である場合には、信頼性が「不良」であると判断するようにしてもよい。
【0054】
図12に示すように、信頼性が「良」であるNDTスキャンマッチングの結果は、マッチング結果M1である。また、信頼性が「不良」であるNDTスキャンマッチングの結果は、マッチング結果M2,M3,M4,M5,M6である。
【0055】
マッチング結果M1では、正解の収束位置ピークのみが存在する。マッチング結果M2,M3では、正解を含む複数の収束位置ピークが規則的に分布している。マッチング結果M4では、正解ではない収束位置ピークのみが存在する。マッチング結果M5では、収束位置ピークが存在しない。マッチング結果M6では、正解を含む複数の収束位置ピークが存在するが、収束位置ピークが不規則に分布している。
【0056】
また地図評価装置1は、複数の初期探索位置のそれぞれについて、対応する収束位置が、入力スキャンデータが対象地図データに対して位置ズレのない正解の位置である中心位置に一致している場合には成功であり、中心位置に一致していない場合には失敗であると判断し、成功の数と、失敗の数とに基づいて、評価指標を算出する。これにより、地図評価装置1は、成功の数が多いほど信頼度が高くなり、失敗の数が多いほど信頼度が低くなるように、評価指標を算出することができる。
【0057】
また地図評価装置1は、複数の初期探索位置のそれぞれについて、初期探索位置と中心位置との間の距離に応じて、評価指標に対する寄与を変化させる。一般的に位置ズレは正解位置を中心にピークを持つ分布となるため、位置ズレの分布を考慮した評価指標と考えられる。これにより、地図評価装置1は、上記距離が長いほど評価指標に対する寄与が小さくなり、上記距離が短いほど評価指標に対する寄与が大きくなるように、評価指標を算出することができる。
【0058】
以上説明した実施形態において、S50は収束整合部および収束整合手順としての処理に相当し、S40,S60,S120は収束位置取得部および収束位置取得手順としての処理に相当し、S70〜S110,S130は指標算出部および指標算出手順としての処理に相当する。
【0059】
また、対象地図データは第1地図データに相当し、入力スキャンデータは第2地図データに相当する。
[第2実施形態]
以下に本開示の第2実施形態を図面とともに説明する。
【0060】
本実施形態の地図評価装置101は、
図13に示すように、表示部111と、操作入力部112と、データ記憶部113と、データ入出力部114と、制御部115とを備える。
【0061】
表示部111は、図示しない表示装置を備え、表示装置の表示画面に各種画像を表示する。操作入力部112は、図示しないキーボードおよびマウスを介して使用者が行った入力操作を特定するための入力操作情報を出力する。データ記憶部113は、各種データを記憶するための記憶装置である。データ入出力部114は、有線または無線で接続された外部機器との間でデータの入出力を行う。
【0062】
制御部115は、CPU、ROM、RAMおよびフラッシュメモリ等を備えたマイクロコンピュータを中心に構成される。マイクロコンピュータの各種機能は、CPUが非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行することにより実現される。この例では、ROMが、プログラムを格納した非遷移的実体的記録媒体に該当する。また、このプログラムの実行により、プログラムに対応する方法が実行される。なお、CPUが実行する機能の一部または全部を、一つあるいは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。また、制御部115を構成するマイクロコンピュータの数は1つでも複数でもよい。
【0063】
次に、制御部115が実行する地図評価処理の手順を説明する。地図評価処理は、地図評価処理を実行するために制御部115に記憶された地図評価プログラム120を使用者の入力操作により起動することで実行される。なお、地図評価プログラム120は、地図評価装置101に予めインストールされていてもよいし、記録媒体またはネットワークを介してインストールされるようにしてもよい。
【0064】
地図評価処理が実行されると、制御部115は、
図14に示すように、まずS210にて、評価対象となる計測データ(以下、対象計測データ)を選択するための画像(以下、対象データ選択画像)を表示部11の表示画面に表示する。
【0065】
S220にて、制御部115は、使用者により選択された対象計測データを特定する対象データ特定情報が操作入力部112から入力されたか否かを判断する。ここで、対象データ特定情報が入力されていない場合には、制御部115は、S220の処理を繰り返すことにより、対象データ特定情報が入力するまで待機する。そして、対象データ特定情報が入力されると、制御部115は、S230にて、対象データ特定情報により特定される計測データをデータ記憶部113から取得する。計測データは、所定の地点の三次元形状を表す三次元座標の集合であり、例えばMMSを利用して計測される。なお、計測データは、地図評価処理を開始する前に予めデータ記憶部113に記憶される。
【0066】
S240にて、制御部115は、S230で取得した計測データをコピーして、移動用計測データを生成する。そして制御部115は、S230で取得した計測データを固定用計測データとする。
【0067】
S250にて、制御部115は、S40と同様にして、複数の初期探索位置の中から、今回の地図評価処理において選択されていない初期探索位置を1つ選択する。
S260にて、制御部115は、S50と同様にして、周知のNDTを用いて、固定用計測データと移動用計測データとのNDTスキャンマッチングを行う。
【0068】
S270にて、制御部115は、S60と同様にして、S260のNDTスキャンマッチングで算出された収束位置を取得する。
S280にて、制御部115は、S70と同様にして、S270で取得した収束位置が中心位置に一致しているか否かを判断する。ここで、収束位置が中心位置に一致している場合には、制御部115は、S290にて、S80と同様にして、成功評価値を算出する。
【0069】
S300にて、制御部115は、S90と同様にして、成功評価積算値を算出し、S330に移行する。
一方、収束位置が中心位置に一致していない場合には、制御部115は、S310にて、S100と同様にして、失敗評価値を算出する。
【0070】
S320にて、制御部115は、S110と同様にして、失敗評価積算値を算出し、S330に移行する。
S330に移行すると、制御部115は、S250において全ての初期探索位置が選択されたか否かを判断する。ここで、全ての初期探索位置が選択されていない場合には、制御部115は、S250に移行する。一方、全ての初期探索位置が選択された場合には、制御部115は、S340にて、S130と同様にして、評価指標EIを算出する。
【0071】
以下に、三地点でNDTスキャンマッチングを実行した具体例を説明する。
図15は、三次元点群の位置精度が高い場所の計測データと、この計測データを用いたNDTスキャンマッチングの結果とを示す図である。
【0072】
図16は、壁が二重になり位置精度が低い場所の計測データと、この計測データを用いたNDTスキャンマッチングの結果とを示す図である。
図17は、地物に連続性がある場所であるトンネルの計測データと、この計測データを用いたNDTスキャンマッチングの結果とを示す図である。
【0073】
図15に示すNDTスキャンマッチングの結果では、評価指標EI=0.34であった。
図16に示すNDTスキャンマッチングの結果では、評価指標EI=45.11であった。
図17に示すNDTスキャンマッチングの結果では、評価指標EI=1.69であった。
【0074】
具体的には、
図15における評価指標EIは、0に近い値であり、三次元点群の位置精度が高いことを示している。
図16における評価指標EIは、0より十分に大きい値であり、三次元点群の位置精度が低いことを示している。
図17に示すNDTスキャンマッチングの結果では、道路の進行方向に沿って収束点が並んでいる。このため、評価指標EIに基づいて三次元点群の位置精度を判断することは困難である。しかし、
図17に示す計測データは、三次元点群の位置精度の評価としては、良好な場所として判断されることが望ましい。
【0075】
S340の処理が終了すると、
図14に示すように、制御部115は、S350にて、S240で取得した計測データのTP分布を算出する。TPは、Transformation Probabilityの略である。
【0076】
TP分布では、固定用計測データと移動用計測データとが一致する位置を原点とし、横方向位置をX軸とし、縦方向位置をY軸とした二次元平面が設定される。そして、この二次元平面に対して、例えば、x=−3[m]からx=+3[m]までの間で0.2[m]毎に、且つ、y=−3[m]からy=+3[m]までの間で0.2[m]毎に、二次元格子状に、複数の初期変換位置が設定される。
【0077】
S350では、制御部115は、複数の初期変換位置の中から、今回の地図評価処理において選択されていない初期変換位置を1つ選択する。次に制御部115は、移動用計測データの原点が、選択した初期変換位置に一致するようにして、移動用計測データを移動させる。そして制御部115は、固定用計測データと、選択された初期変換位置へ移動した移動用計測データとの一致度を示すTPを算出する。これにより、選択された初期変換位置におけるTPが確定する。TPは、固定用計測データの点群をNDTにより正規分布で表現し、移動した移動用計測データの点群とで最近傍探索をすることで算出される指標であり、点群同士がどれくらい一致しているかを示す。なお、TPの算出手法については、非特許文献、Martin Magnusson “The Three-Dimensional Normal-Distributions Transform an Efficient Representation for Registration, Surface Analysis, and Loop Detection”, p60:Equation 6.9, Doctoral_Thesis , 2009、等に詳述されているため、ここでは説明を省略する。但し、固定用計測データと移動用計測データとの一致度を算出する手法は、TPに限定されるものではなく他の手法を用いてもよい。
【0078】
制御部115は、TPの算出を、全ての初期変換位置において実行することによって、初期変換位置とTPとの対応関係を示すTP分布を得る。
図18は、
図15の計測データと、この計測データを用いたTP分布とを示す図である。
図19は、
図16の計測データと、この計測データを用いたTP分布とを示す図である。
図20は、
図17の計測データと、この計測データを用いたTP分布とを示す図である。
【0079】
図18に示すTP分布では、計測データに地物の連続性がなく三次元点群の位置精度が高いため、TPのピークが顕著に現れる。
図19に示すTP分布では、計測データに地物の連続性がないものの三次元点群の位置精度が低いため、高いTPピークの他に低いTPピークも現れる。
図20に示すTP分布では、計測データに地物の連続性があるため、道路の進行方向に沿ってTPピークが延びている。
【0080】
S350の処理が終了すると、
図14に示すように、制御部115は、S360にて、S350で算出したTP分布に対して主成分分析を行い、第1固有ベクトルv1、第2固有ベクトルv2および第3固有ベクトルv3と、第1固有ベクトルv1、第2固有ベクトルv2および第3固有ベクトルv3の寄与率とを算出する。なお、寄与率が高い順に、第1固有ベクトルv1、第2固有ベクトルv2および第3固有ベクトルv3が設定される。
【0081】
図18のTP分布において、第1固有ベクトルv1、第2固有ベクトルv2および第3固有ベクトルv3の寄与率はそれぞれ、0.554,0.412および0.034である。
【0082】
図19のTP分布において、第1固有ベクトルv1、第2固有ベクトルv2および第3固有ベクトルv3の寄与率はそれぞれ、0.748,0.226および0.026である。
【0083】
図20のTP分布において、第1固有ベクトルv1、第2固有ベクトルv2および第3固有ベクトルv3の寄与率はそれぞれ、0.818,0.14および0.043である。以下、第1固有ベクトルv1の寄与率を第1主成分の寄与率という。
【0084】
図18、
図19および
図20における第1主成分の寄与率を比較すると、計測データに地物の連続性がなくTPピークが顕著である場合には、第1主成分の寄与率が相対的に低くなる。一方、計測データに地物の連続性がある場合には、第1主成分に対してTP分布が延びている状態になるため、第1主成分の寄与率が相対的に高くなる。なお、
図19に示すように、TP分布のピークが一つではなく複数存在する場合には、主成分分析の結果に大きな影響を与えていない。以上の結果より、三次元点群間のマッチングの確からしさを示すTP分布に対して主成分分析を行った分析結果を地物の連続性の指標とすることが確認できた。
【0085】
S360の処理が終了すると、
図14に示すように、制御部115は、S370にて、統合評価指標NCAを算出する。
具体的には、制御部115は、まず、第1主成分の寄与率zに応じて変化する関数g(z)を下式(3)により算出する。次に制御部115は、第1固有ベクトルv1の傾きSL1を、XY成分のみを用いて算出する。
【0086】
そして制御部115は、
図21に示すように、NDTスキャンマッチングの結果を用いて、全ての初期探索位置のそれぞれについて、収束点と傾きSL1との距離Lを算出し、上向き凸関数H(L)を下式(4)により算出する。なお、傾きSL1は、原点(0,0)を通る直線である。
【0087】
さらに制御部115は、全ての初期探索位置のそれぞれについて、第1主成分の寄与率zと距離Lとに応じて変化する下向き凸関数G(L,z)を下式(5)により算出する。
【数3】
【0088】
そして制御部115は、下式(6),(7),(8)により、統合評価指標NCAを算出する。
下式(6),(7),(8)における(x,y)は、初期探索位置の座標を示す。下式(6)は、初期探索位置のそれぞれについて、収束点が原点(0,0)である場合にはf(x,y)=1であり、収束点が原点(0,0)でない場合にはf(x,y)=0であることを示す。
【0089】
下式(7)は、二次元正規分布であり、初期探索位置が原点(0,0)付近である場合には確率が高く、初期探索位置が原点(0,0)から離れている場合には確率が低くなることを示す。
【0090】
下式(8)は、各初期探索位置におけるf(x,y)×h(x、y)×G(L,z)の総和を、各初期探索位置におけるh(x、y)の総和で除算することを示す。
【0092】
図22は、
図17の計測データと、この計測データを用いたNDTスキャンマッチングの結果と、この計測データを用いたTP分布と、評価指標EIと、統合評価指標NCAとを示す図である。
【0093】
図23は、三次元点群の位置精度が低く且つ地物の連続性がある場所の計測データと、この計測データを用いたTP分布と、評価指標EIと、統合評価指標NCAとを示す図である。
【0094】
図22に示すTP分布および評価指標EIより、収束性の評価のみでは,地物に連続性がある場所において、三次元点群の位置誤差を検出することは困難であったことが確認できる。一方、収束性と連続性の両方を考慮することで、指標(すなわち、統合評価指標NCA)が小さくなり、三次元点群の位置誤差が無いことを検出することができた。
【0095】
図23に示す計測データは三次元点群の位置誤差があるため、地物に連続性があっても統合評価指標NCAが大きくなることが望ましい。
図23に示すように、
図23に示す計測データにおける統合評価指標NCAは大きい。これは、下向き凸関数G(L,z)が、評価指標EIから第1主成分の方向の影響のみを低減するためである。
【0096】
従って、統合評価指標NCAは、三次元点群の位置誤差と地物の連続性の両方がある場所においても、三次元点群を評価することが可能な指標である。
S370の処理が終了すると、
図14に示すように、制御部115は、S380にて、S370で算出した統合評価指標NCAを、計測データを識別する識別情報と対応付けて、例えばフラッシュメモリに記憶し、地図評価処理を終了する。
【0097】
次に、本実施形態の地図評価装置101により計測データを評価した結果を示す。
図24は、評価に用いた4つの計測データを示す図である。
図24の計測データMD1,MD2,MD3,MD4は、MMSを利用して計測された。計測データMD1は、三次元点群に位置ずれがない一般道のデータである。計測データMD2は、三次元点群に位置ずれがない高速道路のデータである。計測データMD3は、三次元点群に位置ずれがある一般道のデータである。計測データMD4は、三次元点群に位置ずれがある高速道路のデータである。
【0098】
本評価で利用したパラメータを表1に示す。
【0100】
図25は、計測データMD1,MD2,MD3,MD4の評価結果を示す図である。この図は、第1主成分の寄与率を縦軸とし、統合評価指標NCAを横軸として、計測データMD1,MD2,MD3,MD4の分布を示す。
【0101】
図25に示すように、三次元点群に位置ずれがある計測データ(すなわち、計測データMD3,MD4)では、統合評価指標NCAが大きくなる。また、地物に連続性があり且つ位置ずれがある場所の計測データ(すなわち、計測データMD4)では、第一主成分の方向の影響を低減することで、「位置ずれがある場所である」と検出可能であることが確認できる。
【0102】
このように構成された地図評価装置101は、対象計測データと、移動用計測データとの一致度を表す評価関数が収束するように、対象計測データに対して移動用計測データを移動させて、移動用計測データと対象計測データとが整合するときの位置として、評価関数が収束した位置を出力する。対象計測データは、三次元座標を示す座標点の集合により対象領域の三次元形状を表す。移動用計測データは、三次元座標を示す座標点の集合により対象領域の三次元形状を表し対象計測データと同一である。
【0103】
地図評価装置101は、位置偏差を確認する範囲となる予め設定された複数の初期探索位置に対して、移動用計測データの対象計測データへの整合を実行することにより、複数の初期探索位置のそれぞれに対応する収束位置を取得する。
【0104】
地図評価装置101は、取得された複数の収束位置の空間分布に基づいて、対象計測データの信頼度を評価するための評価指標EIを算出する。
このように地図評価装置101は、対象領域の三次元形状を表す対象計測データに対して上記信頼度を評価するための評価指標EIを算出することができ、対象計測データの対象領域全体にわたって事前に対象計測データの信頼性を評価することができる。
【0105】
また地図評価装置101は、対象計測データが表す対象領域の範囲に含まれるように予め設定された複数の初期変換位置のそれぞれへ移動用計測データを移動させ、複数の初期変換位置のそれぞれについて、移動用計測データと対象計測データとのTPを算出することにより、TPと複数の初期変換位置との対応関係を示すTP分布を生成する。
【0106】
地図評価装置101は、TP分布においてピークが連続しているピーク連続方向を特定する。具体的には、地図評価装置101は、TP分布に対して主成分分析を実行して、第一主成分の方向を特定する。
地図評価装置101は、主成分分析により特定された第一主成分の方向に基づいて、上記の空間分布における収束位置が第1主成分の方向(すなわち、ピーク連続方向)に沿って連続する影響を評価指標EIから低減した統合評価指標NCAを算出する。
【0107】
これにより、地図評価装置101は、収束位置が第1主成分の方向に沿って連続することに起因する影響を低減して対象計測データの信頼性を評価することができる。
以上説明した実施形態において、S260は収束整合部および収束整合手順としての処理に相当し、S250,S270,S330は収束位置取得部および収束位置取得手順としての処理に相当し、S280〜S320,S340は指標算出部および指標算出手順としての処理に相当する。
【0108】
また、対象計測データは第1地図データに相当し、移動用計測データは第2地図データに相当する。
また、S350は一致度分布生成部および一致度分布生成手順としての処理に相当し、S360はピーク方向特定部およびピーク方向特定手順としての処理に相当し、S370は統合指標算出部および統合指標算出手順としての処理に相当し、第一主成分の方向はピーク連続方向に相当する。
【0109】
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、種々変形して実施することができる。
例えば上記第1実施形態では、NDTを用いて、計測データを地図データに整合させる形態を示したが、NDTに限定されるものではなく、評価関数が収束するように計測データを地図データに整合させる手法であればよい。
【0110】
上記実施形態では、成功の数が多いほど評価指標の値が小さくなる形態を示したが、成功の数が多いほど評価指標の値が大きくなるようにしてもよい。
上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0111】
上述した地図評価装置1,101の他、当該地図評価装置1,101を構成要素とするシステム、当該地図評価装置1,101としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実態的記録媒体、地図評価方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【解決手段】本開示の地図評価装置は、収束整合部と収束位置取得部と指標算出部とを備える。収束整合部は、第1地図データと第2地図データとの一致度を表す評価関数が収束するように、第1地図データに対して第2地図データを移動させて、第2地図データと第1地図データとが整合するときの位置として、評価関数が収束した位置を出力する。収束位置取得部は、複数の初期探索位置に対して、第2地図データの第1地図データへの整合を実行させることにより、複数の初期探索位置のそれぞれに対応する収束位置を取得する。指標算出部は、取得された複数の収束位置の空間分布に基づいて、評価指標を算出する。