(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の好適な実施形態を、図面を参照しながら以下に説明する。尚、図面において、左右方向がX軸方向であり、前後方向がY軸方向であり、上下方向がZ軸方向である。図面では、構成の一部が省略されて描かれていることがあり、描かれた各部の寸法比等は必ずしも正確ではない。
【0013】
(1)部品装着装置10の機械的構成
図1は、部品装着装置10が表された図である。部品装着装置10は、基板Sに対する電子部品の装着作業を実行するための装置である。部品装着装置10は、基板搬送装置12、部品採取装置14、リール部品供給装置16、ディップフラックスユニット18、及び制御装置20を備えている。尚、基板Sとしては、プリント配線板又はプリント回路板等が挙げられる。
【0014】
基板搬送装置12は、基板Sを搬送するための装置である。基板搬送装置12は、支持板22,22及びコンベアベルト24,24を備えている。支持板22,22は、間隔を前後方向に開けた状態で左右方向に延設されている。支持板22,22の間には、多数の支持ピン26が立設されている。コンベアベルト24,24は、支持板22,22の互いに対向する面に設けられている。コンベアベルト24,24は、支持板22,22の左右に設けられた駆動輪及び従動輪に無端状となるように架け渡されている。基板Sは、コンべアベルト24,24の上面に乗せられた状態で左から右へと搬送される。
【0015】
部品採取装置14は、電子部品を採取するための装置である。部品採取装置14は、装着ヘッド28、X軸スライダ30、及びY軸スライダ32を備えている。Y軸スライダ32は、ガイドレール34,34にスライド可能に取り付けられている。ガイドレール34,34は、前後方向に延びる左右一対のレールであり、部品装着装置10の内部に固定されている。これによって、Y軸スライダ32は、前後方向にスライド可能である。X軸スライダ30は、ガイドレール36,36にスライド可能に取り付けられている。ガイドレール36,36は、左右方向に延びる上下一対のレールであり、Y軸スライダ32の前面に設けられている。これによって、X軸スライダ30は、左右方向にスライド可能である。装着ヘッド28は、X軸スライダ30が左右方向に移動するのに伴って左右方向に移動し、Y軸スライダ32が前後方向に移動するのに伴って前後方向に移動する。尚、各スライダ30,32は、それぞれ図示しない駆動モータにより駆動される。更に、各スライダ30,32には、図示しない位置センサが装備されている。制御装置20は、それらの位置センサから入力された位置情報に基づいて、各スライダ30,32の駆動モータを制御する。
【0016】
装着ヘッド28は、マークカメラ37及びノズル保持部38を備えている。マークカメラ37は、下方を向いた状態で装着ヘッド28に取り付けられており、装着ヘッド28とともに移動させられる。これによって、マークカメラ37は、リール部品供給装置16の採取位置上及び基板S上等の任意の位置を撮像し、その撮像による画像データを制御装置20へ出力する。尚、リール部品供給装置16の採取位置とは、装着ヘッド28によって電子部品が採取される位置である。ノズル保持部38は、複数の吸着ノズル40(本実施形態では、8本の吸着ノズル40)を支持している。吸着ノズル40は、圧力を利用して、ノズル先端に電子部品を吸着したり、ノズル先端に吸着している電子部品を放したりするものである。ノズル保持部38は、Z軸と平行な軸線周りに回転可能に構成されている。吸着ノズル40がノズル保持部38によって特定の回転位相にまで回転すると、その吸着ノズル40がホルダ昇降装置と係合する。これによって、吸着ノズル40は、ホルダ昇降装置によって、X軸およびY軸方向と直交するZ軸方向(上下方向)に昇降される。尚、ホルダ昇降装置は、Z軸モータ42を駆動源とするものである。
【0017】
リール部品供給装置16は、部品装着装置10の前方において、取付ベース44に着脱可能に取り付けられている。リール部品供給装置16は、リール46及びフィーダ部48を備えている。リール46には、テープが巻き付けられている。テープには、電子部品が格納されている。テープは、リール46から巻きほどかれ、上記採取位置にまでフィーダ部48によって送り出される。
【0018】
部品装着装置10は、パーツカメラ50を備えている。パーツカメラ50は、取付ベース44の後方に配置されている。パーツカメラ50の撮像範囲は、パーツカメラ50の上方である。パーツカメラ50の上方を吸着ノズル40が通過すると、その吸着ノズル40に吸着された電子部品の状態がパーツカメラ50によって撮像される。その撮像による画像データは、パーツカメラ50によって制御装置20に出力される。
【0019】
(2)ディップフラックスユニット18の機械的構成
ディップフラックスユニット18は、部品装着装置10の前方かつリール部品供給装置16の右方において、取付ベース44に着脱可能に取り付けられている。
図2に表されたように、ディップフラックスユニット18では、ベースプレート60上において、ディップ皿62、モータ64、供給ノズル66、スキージ68、電磁切換弁69、及び残量センサ70が設けられている。
【0020】
図3に表されたように、ベースプレート60には、モータ64の後方において、回転台71が設けられている。回転台71には、ディップ皿62が載せられている。ディップ皿62は、鉄系材料等の磁性材料で皿状に形成されたものである。回転台71の上面には、磁石72が設けられている。磁石72は、ディップ皿62を回転台71に吸着保持するものである。これによって、ディップ皿62は、回転台71に着けたり、回転台71から外したりすることが可能である。
【0021】
回転台71は、回転軸74を備えている。回転軸74は、その上端部が回転台71の上面よりも少しだけ上方に突出する状態で、回転台71に対して上下方向に取り付けられている。回転軸74の上端部には、ディップ皿62の嵌合穴76が嵌め込まれている。嵌合穴76は、ディップ皿62の下面中心部に設けられている。これによって、ディップ皿62の中心は、回転台71の回転中心に一致する。
【0022】
更に、回転台71は、回り止めピン78を備えている。回り止めピン78は、回転台71の上面の偏心位置において、上向きに設けられている。回り止めピン78には、ディップ皿62の回り止め穴80が嵌め込まれている。回り止め穴80は、ディップ皿62の下面の偏心位置に設けられている。これによって、ディップ皿62は、回転台71に対して回り止めされている。
【0023】
ベースプレート60には、モータ64が下向きに設けられている。モータ64は、ディップ皿62を回転させるための駆動源である。モータ64の回転軸の下端部には、プーリ82が嵌着されている。同様にして、回転台71の回転軸74の下端部には、プーリ84が嵌着されている。各プーリ82,84には、ベルト86が無端状となるように架け渡されている。これによって、モータ64の回転力が回転台71の回転軸74に伝達される。そのため、モータ64が回転すると、回転台71の回転軸74が回転して、ディップ皿62が回転台71の回転軸74と一体的に回転する。
【0024】
ディップ皿62上には、フラックスMが供給されている。フラックスMには、電子部品Bの端子がディップされる。本実施形態では、電子部品Bの端子がフラックスMにディップされる際には、8つの吸着ノズル40のうち、互いに隣り合う2つの吸着ノズル40によって、電子部品Bが1つずつ吸着されている。そのようにして吸着されている2つの電子部品Bは、それぞれの端子がフラックスMに同時にディップされる。但し、本開示は、これに限定されるものではなく、例えば、3つ以上の吸着ノズル40にそれぞれ吸着された電子部品Bの端子が、同時に、フラックスMにディップされてもよい。あるいは、1つの吸着ノズル40に吸着された電子部品Bの端子のみが、フラックスMにディップされてもよい。
【0025】
更に、電子部品Bの端子がフラックスMにディップされる際には、
図2に表されたように、ディップ皿62は、モータ64の駆動力によって、平面視で反時計回りに回転している。そのように回転しているディップ皿62には、供給ノズル66を介して、フラックスMが供給される。供給ノズル66は、電磁切換弁69の流路切換によって、図示しないタンク内のフラックスMをディップ皿62に吐出するものである。
【0026】
ディップ皿62の上方、つまり
図2の紙面の手前側には、スキージ68がディップ皿62の半径方向に沿って配置されている。スキージ68は、ディップ皿62の半径とほぼ同じ長さである。スキージ68は、ディップ皿62の回転を利用してディップ皿62上のフラックスMを掻き取ることによって、フラックスMをディップ皿62上で均一に押し広げるものである。これによって、ディップ皿62上には、フラックスMの膜が形成される。スキージ68は、高さ調節機構68Aを介して、ベースプレート60上に設けられている。高さ調節機構68Aは、スキージ68とディップ皿62の底面との間のギャップを調節するものである。
【0027】
尚、スキージ68は、高さ調節機構68Aに対して、着脱自在に設けられている。よって、ディップ皿62が回転台71に対して着脱される際には、スキージ68が高さ調節機構68Aから、つまりベースプレート60から外される。
【0028】
スキージ68の近傍には、残量センサ70が配設されている。残量センサ70は、光電センサである。残量センサ70の投光部及び受光部は、ディップ皿62上でスキージ68によって掻き取られるフラックスMの盛り上がり部分に向けられている。これによって、ディップ皿62上のフラックスMの残量が、残量センサ70の検出信号によって監視される。
【0029】
残量センサ70及び供給ノズル66は、ベースプレート60に対して、着脱自在に設けられている。従って、オペレータは、ディップ皿62を回転台71に対して着脱する際には、上述したスキージ68に加えて、残量センサ70及び供給ノズル66をベースプレート60から外すことによって、ディップ皿62の着脱作業のためのスペースを確保する。もっとも、そのようなスペースを確保するためには、ベースプレート60上において、スキージ68、残量センサ70、及び供給ノズル66が、ディップ皿62の上方、つまり
図2の紙面の手前側へ向けて跳ね上がるような回動機構を設けてもよい。
【0030】
ディップ皿62上には、ディップ位置Aが設定されている。ディップ位置Aは、電子部品Bの端子がフラックスMにディップされる際の電子部品Bの位置を示している。具体的には、ディップ位置Aは、8つの吸着ノズル40のうち、互いに隣り合う2つの吸着ノズル40によって1つずつ吸着されている電子部品Bについて、それぞれの電子部品Bの端子がフラックスMに同時にディップされる位置に設定されている。更に、ディップ位置Aは、そのように吸着されている2つの電子部品Bのうち、いずれかの電子部品Bの位置を表すように設定されている。もっとも、ディップ位置Aは、そのような2つの電子部品Bの相対位置(例えば、中間位置等)を表すように設定されてもよい。ディップ位置Aは、X軸、Y軸、及びZ軸の3次元座標で表される。以下、ディップ位置Aが表された3次元座標をディップ座標と記載する。
【0031】
(3)部品装着装置10(及びディップフラックスユニット18)の電気的構成
部品装着装置10は、制御装置20によって制御される。
図4に表されたように、制御装置20は、CPU(Central Processing Unit)90を中心とするコンピュータシステ
ムとして構成されている。制御装置20は、処理プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)92、各種データを記憶するHDD(Hard Disc Drive)94、作業領域と
して用いられるRAM(Random Access Memory)96、外部装置と電気信号のやり取りを行うための入出カI/F(インタフェース)98等を備えており、これらはバス100を介して接続されている。尚、HDD94には、後述するID対応テーブル101が記憶されている。また、ROM92には、後述する
図7及び
図9のフローチャートを実現するための処理プログラムが記憶されている。
【0032】
制御装置20は、上述した基板搬送装置12、部品採取装置14、リール部品供給装置16、及びディップフラックスユニット18に加えて、画像処理装置102と双方向通信可能に接続されている。画像処理装置102は、上述したマークカメラ37及びパーツカメラ50と双方向通信可能に接続されている。画像処理装置102は、マークカメラ37及びパーツカメラ50の撮像によって得られた画像データを処理するものである。制御装置20は、画像処理装置102で処理された画像データから各種情報を取得する。
【0033】
ディップフラックスユニット18は、コントローラ103を備えている。コントローラ103は、CPU、ROM、及びRAM等で構成され、コンピュータを主体とするものであり、ディップフラックスユニット18を制御するものである。コントローラ103のROMには、後述する
図7及び
図9のフローチャートを実現するための処理プログラムが記憶されている。コントローラ103には、上述したモータ64、電磁切換弁69、及び残量センサ70に加えて、着座センサ104、原点センサ106、及びリーダ108が接続されている。更に、ディップフラックスユニット18は、RFタグ110を備えている。RFタグ110は、リーダ108の読取対象である。
【0034】
図5に表されたように、RFタグ110は、ディップ皿62の側面に埋め込まれている。RFタグ110には、ディップ皿62のID(Identification number)が記憶されて
いる。リーダ108は、回転台71に着けられた状態にあるディップ皿62の側面に向けられている。つまり、リーダ108は、そのアンテナがディップ皿62の側面に向けられた状態でディップフラックスユニット18に設けられている。従って、RFタグ110とリーダ108とが対向する位置にディップ皿62が停止すれば、リーダ108によってRFタグ110内のIDを読み取ることが可能である。
【0035】
本実施形態では、ディップ条件(例えば、フラックスMの供給量、フラックスMにディップされる部品の大きさ、個数、種類、又は配置等)を鑑みて、サイズが異なる2つ以上のディップ皿62が用意されている。例えば、本実施形態のように、複数個の電子部品BがフラックスMにディップされる場合には、比較的大きなサイズのディップ皿62が回転台71に着けられる。また、1個の部品がフラックスMにディップされる場合であっても、そのディップされる部品が大型であるときは、同様にして、比較的大きなサイズのディップ皿62が回転台71に着けられる。これに対して、コスト等の観点からフラックスMの供給量が少量に抑えられる場合には、比較的小さなサイズのディップ皿62が回転台71に着けられる。
【0036】
各ディップ皿62の側面には、RFタグ110が埋設されている。RFタグ110には、ディップ皿62のIDが記憶されている。従って、例えば、
図5の二点鎖線で表されたように、ディップ皿62が比較的小さなサイズのものに取り替えられた場合でも、そのように取り替えられたディップ皿62が、そのRFタグ110とリーダ108とが対向する位置で停止すれば、リーダ108によってRFタグ110内のIDが読み取られる。この点は、ディップ皿62が比較的大きなサイズのものに取り替えられた場合でも、同様である。尚、RFタグ110は、ディップ皿62の側面を構成する壁面の外側に貼付されてもよい。
【0037】
着座センサ104は、光電センサであって、ディップフラックスユニット18に設けられている。着座センサ104の投光部及び受光部は、回転台71に着けられた状態にあるディップ皿62の側面に向けられている。そのため、コントローラ103は、着座センサ104の検出信号によって、ディップ皿62が回転台71に着けられているか否かを判定することが可能である。
【0038】
原点センサ106は、光電センサであって、ディップフラックスユニット18に設けられている。原点センサ106は、回転軸74に設けられたドッグ112を検出するものである。そのため、原点センサ106は、その投光部及び受光部の間を回転軸74のドッグ112が通過するように配設されている。原点センサ106でドッグ112が検出されると、その検出された位置がディップ皿62の原点位置とされる。
【0039】
次に、ID対応テーブル101について説明する。ID対応テーブル101は、上述したように、制御装置20のHDD94に記憶されている。
図6に表されたように、ID対応テーブル101は、ディップ皿62のIDとディップ座標との対応関係が示されたデータテーブルである。つまり、
図6のID対応テーブル101によれば、本実施形態においては、3台以上のディップ皿62が用意されており、例えば、IDが101のディップ皿62には、X1,Y1,Z1のディップ座標が対応している。IDが102のディップ皿62には、X2,Y2,Z2のディップ座標が対応している。IDが103のディップ皿62には、X3,Y3,Z3のディップ座標が対応している。各ディップ座標の設定には、ディップ皿62のサイズ及び上記ディップ条件等が配慮されている。
【0040】
(4)電子部品Bの実装動作
部品装着装置10では、上述した構成によって、基板Sに対する電子部品Bの実装作業が行われる。具体的には、基板Sが、基板搬送装置12によって作業位置まで搬送される。次に、マークカメラ37が、基板Sの上方に移動し、基板Sを撮像する。これによって、基板Sの作業位置等に関する情報が得られる。また、リール部品供給装置16が、採取位置において、電子部品Bを供給する。そして、装着ヘッド28が、リール部品供給装置16の採取位置の上方に移動し、吸着ノズル40の吸着によって電子部品Bを保持する。更に、装着ヘッド28が、電子部品Bを保持した状態で、パーツカメラ50の上方に移動する。次に、パーツカメラ50が、装着ヘッド28に保持されている電子部品Bを撮像する。これによって、電子部品Bの保持位置等に関する情報が得られる。
【0041】
続いて、装着ヘッド28に保持されている電子部品Bが、装着ヘッド28の移動制御によって、ディップ皿62のディップ位置Aの上方に移動した後で下降し、ディップ皿62のディップ座標で示された位置に一旦停止する。これによって、電子部品Bの端子がディップ皿62上のフラックスMにディップされる。その後は、装着ヘッド28の移動制御によって、装着ヘッド28が基板Sの上方に移動すると、基板Sの保持位置の誤差及び電子部品Bの保持位置の誤差等が補正される。そして、装着ヘッド28の吸着ノズル40が電子部品Bを離脱することによって、基板Sに電子部品Bが実装される。
【0042】
(5)ディップ皿62のIDを取得するための第1動作
次に、第1動作について説明する。第1動作では、ディップ皿62のIDが取得される。第1動作が行われる際には、
図7のフローチャートを実現するための処理プログラムが、部品装着装置10の制御装置20及びディップフラックスユニット18のコントローラ103によって実行される。
【0043】
当該処理プログラムが実行されると、ディップフラックスユニット18のコントローラ103は、所定タイミングであるか否かを判定する(ステップS10)。この判定では、ディップフラックスユニット18の電源がオンされたとき、又は回転台71にディップ皿62が着けられたときを所定タイミングとする。回転台71にディップ皿62が着けられたか否かは、着座センサ104の検出信号に基づいて判定される。ここで、所定タイミングでない場合には(ステップS10:NO)、ディップフラックスユニット18のコントローラ103は、当該処理プログラムを終了する。
【0044】
これに対して、所定タイミングである場合には(ステップS10:YES)、ディップフラックスユニット18のコントローラ103は、原点処理を行う(ステップS12)。この処理では、ディップフラックスユニット18のコントローラ103は、モータ64を回転させることによって、ディップ皿62を回転させる。更に、ディップフラックスユニット18のコントローラ103は、原点センサ106が回転軸74のドッグ112を検知したときに、モータ64の回転を停止させることによって、ディップ皿62の回転を停止させる。これによって、ディップ皿62は、その原点位置に停止した状態になる。
【0045】
ディップ皿62が原点位置で停止すると、ディップフラックスユニット18のコントローラ103は、回転処理を行う(ステップS14)。この処理では、ディップフラックスユニット18のコントローラ103は、モータ64を回転させることによって、ディップ皿62を回転させる。更に、ディップフラックスユニット18のコントローラ103は、ディップ皿62が原点位置から第1所定角度まで回転したときに、モータ64の回転を停止させることによって、ディップ皿62の回転を停止させる。これによって、ディップ皿62のRFタグ110がリーダ108と対向する。
【0046】
尚、上記第1所定角度は、コントローラ103のROMに記憶されている。サイズが異なるいずれのディップ皿62においても、嵌合穴76を中心とするRFタグ110の設置箇所と回り止め穴80(つまり、回転軸74のドッグ)との相対角度は同一にされている。そのため、上記第1所定角度は、サイズが異なるいずれのディップ皿62においても、同一である。但し、上記第1所定角度が0度である場合には、上記第1所定角度の記憶及び回転処理(ステップS14)は、行われなくてもよい。
【0047】
ディップ皿62のRFタグ110がリーダ108と対向すると、ディップフラックスユニット18のコントローラ103は、読取処理を行う(ステップS16)。この処理では、ディップフラックスユニット18のコントローラ103は、ディップ皿62のRFタグ110をリーダ108で読み取ることによって、回転台71に着けられているディップ皿62のIDを取得する。
【0048】
ディップ皿62のIDが取得されると、ディップフラックスユニット18のコントローラ103は、算出処理を行う(ステップS18)。この処理では、ディップフラックスユニット18のコントローラ103は、ディップ皿62のIDを部品装着装置10の制御装置20に送信する。これによって、部品装着装置10の制御装置20は、ディップ皿62のIDを受信する。
【0049】
ディップ皿62のIDが受信されると、部品装着装置10の制御装置20は、HDD94のID対応テーブル101に基づいて、ディップ皿62のディップ座標を算出する。具体的には、
図6のID対応テーブル101によれば、例えば、ディップ皿62のIDが101の場合には、X1,Y1,Z1のディップ座標が算出される。そのようにして算出されたディップ座標は、ディップ皿62上のフラックスMに電子部品Bの端子がディップされる際において、装着ヘッド28等の移動制御で使用される。
【0050】
(6)ディップ皿62のIDを取得するための第2動作
次に、第2動作について説明する。第2動作では、ディップ皿62のIDが取得される。第2動作が行われる場合には、
図8に表されたように、ディップ皿62の周縁の上面62Aにラベル114が貼付されている。ラベル114には、バーコード116が印刷されている。バーコード116は、ディップ皿62のIDを示しており、マークカメラ37によって撮像される。これによって、ディップ皿62のIDが取得される。尚、バーコード116の撮像にあたっては、マークカメラ37がディップ皿62の周縁の外側からディップ皿62の中心Cに向かって移動する。以下、そのようなマークカメラ37の移動経路を読取経路118と記載する。
【0051】
第2動作が行われる際には、
図9のフローチャートを実現するための処理プログラムが、部品装着装置10の制御装置20及びディップフラックスユニット18のコントローラ103によって実行される。
【0052】
当該処理プログラムが実行されると、ディップフラックスユニット18のコントローラ103は、所定タイミングであるか否かを判定する(ステップS20)。この判定は、上述した
図7の判定処理(ステップS10)と同様である。つまり、所定タイミングとは、ディップフラックスユニット18の電源がオンされたとき、又は回転台71にディップ皿62が着けられたときである。ここで、所定タイミングでない場合には(ステップS20:NO)、ディップフラックスユニット18のコントローラ103は、当該処理プログラムを終了する。
【0053】
これに対して、所定タイミングである場合には(ステップS20:YES)、ディップフラックスユニット18のコントローラ103は、原点処理を行う(ステップS22)。この処理が行われると、上述した
図7の原点処理(ステップS12)と同様にして、ディップ皿62が、その原点位置に停止した状態になる。
【0054】
ディップ皿62が原点位置で停止すると、ディップフラックスユニット18のコントローラ103は、回転処理を行う(ステップS24)。この処理では、ディップフラックスユニット18のコントローラ103は、モータ64を回転させることによって、ディップ皿62を回転させる。更に、ディップフラックスユニット18のコントローラ103は、ディップ皿62が原点位置から第2所定角度まで回転したときに、モータ64の回転を停止させることによって、ディップ皿62の回転を停止させる。これによって、マークカメラ37が移動する読取経路118の下方(つまり、
図8の紙面の奥側)において、ディップ皿62のラベル114(のバーコード116)が配置される。
【0055】
尚、上記第2所定角度は、コントローラ103のROMに記憶されている。サイズが異なるいずれのディップ皿62においても、嵌合穴76を中心とするラベル114(のバーコード116)の貼付箇所と回り止め穴80(つまり、回転軸74のドッグ)との相対角度は同一にされている。そのため、上記第2所定角度は、サイズが異なるいずれのディップ皿62においても、同一である。但し、上記第2所定角度が0度である場合には、上記第2所定角度の記憶及び回転処理(ステップS24)は、行われなくてもよい。
【0056】
読取経路118の下方にディップ皿62のラベル114(のバーコード116)が配置されると、移動読取処理が行われる(ステップS26)。この処理では、ディップフラックスユニット18のコントローラ103は、読取経路118の下方にディップ皿62のラベル114(のバーコード116)が配置された旨の情報を、部品装着装置10の制御装置20に送信する。部品装着装置10の制御装置20は、上記情報を受信すると、読取経路118上において、マークカメラ37をディップ皿62の周縁の外側からディップ皿62の中心Cにまで移動させる。更に、部品装着装置10の制御装置20は、マークカメラ37が所定間隔移動する毎に、マークカメラ37による撮像を行う。そのような撮像によって、ラベル114(のバーコード116)の画像データが取得されると、部品装着装置10の制御装置20は、その画像データを画像処理装置102で画像処理する。これによって、部品装着装置10の制御装置20は、バーコード116を認識して、バーコード116で示されたディップ皿62のIDを取得する。
【0057】
ディップ皿62のIDが取得されると、部品装着装置10の制御装置20は、算出処理を行う(ステップS28)。この処理が行われると、上述した
図7の算出処理(ステップS18)と同様にして、HDD94のID対応テーブル101に基づいて、ディップ皿62のディップ座標が算出される。そのようにして算出されたディップ座標は、ディップ皿62上のフラックスMに電子部品Bの端子をディップする際において、装着ヘッド28等の移動制御で使用される。
【0058】
(7)まとめ
以上詳細に説明した通り、本実施形態の部品装着装置10では、回転台71にディップ皿62が着けられることによって、ディップ皿62がサイズの異なるものに取り替えられると(ステップS10:YES、ステップS20:YES)、その取り替えられたディップ皿62のRFタグ110をリーダ108で読み取る(ステップS16)。あるいは、その取り替えられたディップ皿62のラベル114のバーコード116をマークカメラ37で撮像する(ステップS26)。これらによって、本実施形態の部品装着装置10では、その取り替えられたディップ皿62から、当該ディップ皿62のID、ひいては当該ディップ皿62のディップ座標を取得することが可能である(ステップS18、ステップS28)。
【0059】
ちなみに、本実施形態において、部品装着装置10は、基板実装機の一例である。装着ヘッド28は、実装ヘッドの一例である。マークカメラ37は、カメラの一例である。ディップ皿62のIDは、個別情報の一例である。RFタグ110は、識別媒体の一例である。ラベル114は、識別媒体の一例である。バーコード116は、コードの一例である。電子部品Bは、部品及び対象物の一例である。フラックスMは、粘性材料の一例である。
【0060】
(8)変更例
尚、本開示は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0061】
例えば、本実施形態において、ディップ皿62のRFタグ110には、当該ディップ皿62のIDに代えて、当該ディップ皿62のディップ座標が記憶されてもよい。同様にして、ディップ皿62のラベル114のバーコード116には、当該ディップ皿62のIDに代えて、当該ディップ皿62のディップ座標が示されてもよい。それらの場合には、HDD94のID対応テーブル101が不要となる。更に、ディップ皿62のRFタグ110に当該ディップ皿62のディップ座標が記憶される場合では、ディップフラックスユニット18のコントローラ103と部品装着装置10の制御装置20との間で、当該ディップ皿62のディップ座標が送受信される(ステップS18)。
【0062】
また、本実施形態において、ディップ皿62のRFタグ110は、ディップ皿62の底面に埋設されてもよい。そのような場合には、リーダ108は、回転台71に着けられた状態にあるディップ皿62の底面に向けられる。つまり、リーダ108は、そのアンテナがディップ皿62の底面に向けられた状態でディップフラックスユニット18に設けられる。あるいは、ディップ皿62のRFタグ110は、ディップ皿62の底面を構成する壁面の下側(以下、ディップ皿62の底面下側という。)に貼付されてもよい。そのような場合には、リーダ108は、回転台71に着けられた状態にあるディップ皿62の下方からディップ皿62の底面下側に向けられる。つまり、リーダ108は、そのアンテナがディップ皿62の下方からディップ皿62の底面下側に向けられた状態でディップフラックスユニット18に設けられる。尚、ディップ皿62の底面にRFタグ110が埋設又は貼付される場合には、RFタグ110及びリーダ108は、ディップ皿62の中心に対して一層近くに配設されることが望ましい。なぜなら、そのような配設が行われると、ディップ皿62がいずれのサイズのものに取り替えられても、リーダ108によってRFタグ110を読み取ることが可能となるからである。
【0063】
また、本実施形態において、電子部品Bは、BGA(Ball grid array)等であってよ
い。そのような場合には、BGAのバンプがディップ皿62上のフラックスMにディップされる。
【0064】
また、本実施形態では、対象物の一例として、転写ピンがディップ皿62上のフラックスMにディップされてもよい。そのような場合であっても、転写ピンに関するディップ条件(大きさ、本数、種類、又は配置等)を鑑みて、サイズが異なる2つ以上のディップ皿62が用意される。尚、転写ピンは、基板S上の所定位置にフラックスMを転写するものである。そのような転写が行われるためには、転写ピンの上端部が装着ヘッド28に着脱可能に保持される。続いて、装着ヘッド28が移動制御されることによって、転写ピンの下端部がフラックスMにディップされる。これによって、転写ピンの下端部には、フラックスMが付着される。その付着されたフラックスMは、更に装着ヘッド28が移動制御されることによって、基板S上の所定位置に転写される。
【0065】
また、本実施形態では、フラックスMに代えて、銀ペースト等がディップ皿62上に供給されてもよい。尚、銀ペーストがディップ皿62上に供給される場合には、銀ペーストがフラックスMと比べ高価であることから、ディップ皿62が比較的小さなサイズのものに取り替えられるケースが多い。
【0066】
また、本実施形態では、バーコード116に代えて、2次元コードをラベル114に印刷してもよい。そのような場合には、2次元コードには、ディップ皿62のID又はディップ座標が示される。
【0067】
また、本実施形態では、ディップフラックスユニット18のコントローラ103に代えて、部品装着装置10の制御装置20によって、ディップフラックスユニット18を制御してもよい。そのような場合には、
図7の第1動作及び
図9の第2動作は、部品装着装置10の制御装置20によって実行される。