特許第6892804号(P6892804)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許68928043次元(3D)の湾曲物体に印刷を行うためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6892804
(24)【登録日】2021年6月1日
(45)【発行日】2021年6月23日
(54)【発明の名称】3次元(3D)の湾曲物体に印刷を行うためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20210614BHJP
【FI】
   B41J2/01 109
   B41J2/01 301
   B41J2/01 401
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-163184(P2017-163184)
(22)【出願日】2017年8月28日
(65)【公開番号】特開2018-47689(P2018-47689A)
(43)【公開日】2018年3月29日
【審査請求日】2020年8月25日
(31)【優先権主張番号】15/269,048
(32)【優先日】2016年9月19日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・アイルランド
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド・スレッシュ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・エヌ・ソーレス
(72)【発明者】
【氏名】ジェームス・ディー・ヴァンボーテル
(72)【発明者】
【氏名】ブルース・エイチ・スミス
【審査官】 四垂 将志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−526866(JP,A)
【文献】 特開2015−202490(JP,A)
【文献】 特表2002−538022(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0302304(US,A1)
【文献】 特開2012−166167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷システムであって、
第1の端および第2の端を有する第1の部材と、
第1の端および第2の端を有し、前記第1の部材と平行に配置された第2の部材と、
第1の端および第2の端を有する第1の伸長性部材であって、前記第1の伸長性部材の前記第1の端が前記第1の部材に取り付けられた第1の伸長性部材と、
第1の端および第2の端を有する第2の伸長性部材であって、前記第2の伸長性部材の前記第1の端が前記第2の部材に取り付けられた第2の伸長性部材と、
前記第1の伸長性部材の前記第2の端に取り付けられた第1のグリッパと、
前記第2の伸長性部材の前記第2の端に取り付けられた第2のグリッパと、
前記第1の伸長性部材と前記第2の伸長性部材に動作可能に接続する第1のアクチュエータと、
前記第1のグリッパと前記第2のグリッパの間の空間に配置され、材料を吐出するよう構成された記録ヘッドと、
前記第1のアクチュエータと前記記録ヘッドに動作可能に接続する制御装置と、
を含み、
前記第1の伸長性部材と前記第2の伸長性部材は、前記第1のグリッパと前記第2のグリッパを共に貫いて延びる縦軸に対して交差する方向に沿って伸長性を有し、
前記制御装置が、
前記第1のアクチュエータを操作して前記第1の伸長性部材と前記第2の伸長性部材のうちの一方の前記第2の端を動かして前記第1の伸長性部材と前記第2の伸長性部材のうちの前記一方の前記第1の端に近づけ、前記第1の伸長性部材と前記第2の伸長性部材のうちの他方の前記第2の端を動かして前記他方の伸長性部材の前記第1の端から遠ざけて、前記第1のグリッパと前記第2のグリッパに保持される物体を枢動または回転させて当該物体の一部を前記記録ヘッドと平行な平面内の、前記記録ヘッドから所定の距離だけ離れた位置に配置し、
前記記録ヘッドを操作して前記第1のグリッパと前記第2のグリッパに保持される前記物体の前記一部に材料を吐出するよう構成されている、
印刷システム。
【請求項2】
前記第1のグリッパに動作可能に接続する第2のアクチュエータであって、前記第1のグリッパが、前記縦軸周りに回転するよう構成された、第2のアクチュエータをさらに含み、
前記第2のグリッパが、前記縦軸周りに回転するよう構成され、
前記制御装置が、前記第2のアクチュエータに動作可能に接続し、前記制御装置が、前記第2のアクチュエータを操作し、前記第2のアクチュエータに動作可能に接続する前記第1のグリッパを回転させて前記第1のグリッパと前記第2のグリッパに保持される前記物体を回転させ、前記物体が回転するとき、前記記録ヘッドを操作して前記物体に材料を吐出させるよう構成されている、
請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記第1の部材と前記第2の部材に動作可能に接続する第3のアクチュエータをさらに含み、
前記制御装置が、前記第1の部材と前記第2の部材に動作可能に接続する前記第3のアクチュエータを操作して前記第1の部材と前記第2の部材を前記記録ヘッドと平行な平面内で移動させ、前記第1の伸長性部材と前記第2の伸長性部材に動作可能に接続する前記第1のアクチュエータを操作して前記第1のグリッパと前記第2のグリッパに保持される前記物体の前記一部とは別の部分を前記記録ヘッドと平行な前記平面内の、前記記録ヘッドから前記所定の距離だけ離れた位置に配置させるようさらに構成されている、
請求項1に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記記録ヘッドから一定の距離だけ離れた位置に配置された、少なくとも1つの他の記録ヘッドと、
前記第1の部材と前記第2の部材に動作可能に接続する第3のアクチュエータと、
をさらに含み、
前記制御装置が、前記第1の部材と前記第2の部材に動作可能に接続する前記第3のアクチュエータを操作して前記第1の部材と前記第2の部材を前記記録ヘッドおよび前記少なくとも1つの他の記録ヘッドと平行な平面内に移動させ、前記第1の部材と前記第2の部材に動作可能に接続する前記第3のアクチュエータを操作して前記第1のグリッパと前記第2のグリッパに保持される前記物体を前記縦軸と垂直な線に沿って移動させて、前記第1のグリッパと前記第2のグリッパに保持される前記物体の前記一部を前記記録ヘッドと平行な前記平面内の前記少なくとも1つの他の記録ヘッドから前記所定の距離だけ離れた位置に配置するようさらに構成されている、
請求項1に記載の印刷システム。
【請求項5】
長円形物体への印刷を可能にする組立体であって
第1の端と第2の端を有する第1の部材と、
第1の端と第2の端を有し、前記第1の部材と平行に配置された第2の部材と、
第1の端と第2の端を有する複数の第1の伸長性部材であって、前記複数の第1の伸長性部材のそれぞれの前記第1の端が前記第1の部材に取り付けられた複数の第1の伸長性部材と、
第1の端と第2の端を有する複数の第2の伸長性部材であって、前記複数の第2の伸長性部材のそれぞれの前記第1の端が前記第2の部材に取り付けられた複数の第2の伸長性部材と、
前記第1の伸長性部材のそれぞれの前記第2の端に取り付けられた第1のグリッパと、
前記第2の伸長性部材のそれぞれの前記第2の端に取り付けられた第2のグリッパと、
前記第1の伸長性部材のそれぞれと第2の伸長性部材のそれぞれに動作可能に接続する第1のアクチュエータと、
前記第1のアクチュエータに動作可能に接続する制御装置と、
を含み、
前記制御装置が、前記第1のアクチュエータを操作して前記第1の伸長性部材と前記第2の伸長性部材のうちの一方の前記第2の端を動かして前記第1の伸長性部材と前記第2の伸長性部材のうちの前記一方の前記第1の端に近づけ、前記第1の伸長性部材と前記第2の伸長性部材のうちの他方の前記第2の端を動かして前記他方の伸長性部材の前記第1の端から遠ざけて、前記第1のグリッパと前記第2のグリッパに保持される物体の一部を記録ヘッドと平行な平面内の、前記記録ヘッドから所定の距離だけ離れた位置に配置するよう構成されている、
組立体。
【請求項6】
前記第1のグリッパに動作可能に接続する第2のアクチュエータであって、前記第1のグリッパが、前記第1のグリッパと前記第2のグリッパを共に貫いて延びる縦軸周りに回転するよう構成された、第2のアクチュエータをさらに含み、
前記第2のグリッパが、前記縦軸周りに回転するよう構成され、
前記制御装置が、前記第2のアクチュエータに動作可能に接続し、前記制御装置が、前記第2のアクチュエータを操作して前記第2のアクチュエータに動作可能に接続する前記第1のグリッパを回転させて、前記第1のグリッパと前記第2のグリッパに保持される前記物体を回転させて、前記物体が回転するとき、前記記録ヘッドが前記物体に材料を吐出できるようにするよう構成されている、
請求項5に記載の組立体。
【請求項7】
前記第1の部材と前記第2の部材に動作可能に接続する第3のアクチュエータをさらに含み、
前記制御装置が、前記第1の部材と前記第2の部材に動作可能に接続する前記第3のアクチュエータを操作して前記第1の部材と前記第2の部材を前記記録ヘッドと平行な平面内で移動させ、前記第1の伸長性部材と前記第2の伸長性部材に動作可能に接続する前記第1のアクチュエータを操作して前記第1のグリッパと前記第2のグリッパに保持される前記物体の前記一部とは別の部分を前記記録ヘッドと平行な前記平面内の、前記記録ヘッドから前記所定の距離だけ離れた位置に配置するようにさらに構成されている、
請求項5に記載の組立体。
【請求項8】
前記第1の部材と前記第2の部材に動作可能に接続する第3のアクチュエータをさらに含み、
前記制御装置が、前記第1の部材と前記第2の部材に動作可能に接続する前記第3のアクチュエータを操作して前記第1の部材と前記第2の部材を前記記録ヘッドおよび少なくとも1つの他の記録ヘッドと平行な平面内で移動させ、前記第1の部材と前記第2の部材に動作可能に接続する前記第3のアクチュエータを操作して前記第1のグリッパと前記第2のグリッパに保持される前記物体を前記第1のグリッパと前記第2のグリッパを共に貫いて延びる縦軸と垂直な線に沿って移動させて、前記第1のグリッパと前記第2のグリッパに保持される前記物体の前記一部を前記記録ヘッドと平行な前記平面内の、前記他の記録ヘッドから前記所定の距離だけ離れた位置に配置するようにさらに構成されている、
請求項5に記載の組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に3次元(3D)物体に印刷を行うシステムおよび方法に関し、より具体的には、ほぼ筒状の3D物体に印刷を行うシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のプロダクションプリンティングでは、2次元(2D)印刷技術などの既知の技術を用いて、物体の上に画像コンテンツを印刷している。カスタマイズされる画像コンテンツを3D物体の部分に印刷するためには、印刷される物体の部分が記録ヘッドと平行な平面として提示されるよう記録ヘッドを巧みに操作しなければならない。既知のシステムの中には、3D物体のほうを動かして物体上での印刷を可能にするものもあるが、これでは物体に対する自由度が非常に制限されてしまう。それゆえ、こういった既知のシステムでは、数多くの物体(具体的には湾曲した物体)を印刷することができない。したがって、湾曲した3D物体の表面で印刷が可能なシステムが所望される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
3D物体上で印刷ができるよう構成された新しい印刷システムが開示される。この印刷システムは、第1の端と第2の端を有する第1の部材を含む。この印刷システムは、第1の端と第2の端を有する第2の部材もさらに含む。この第2の部材は、第1の部材と平行に配置される。この印刷システムは、第1の端と第2の端を有する第1の伸長性部材もさらに含む。第1の伸長性部材の第1の端は第1の部材に取り付けられる。この印刷システムは、また第1の端と第2の端を有する第2の伸長性部材も含む。第2の伸長性部材の第1の端は第2の部材に取り付けられる。この印刷システムは、第1のグリッパと第2のグリッパをさらに含み、第1のグリッパは第1の伸長性部材の第2の端に取り付けられ、第2のグリッパは第2の伸長性部材の第2の端に取り付けられる。この印刷システムは、第1の伸長性部材と第2の伸長性部材に動作可能に接続する第1のアクチュエータも含む。この印刷システムは、第1のグリッパと第2のグリッパの間の空間に配置され、材料を吐出するよう構成される記録ヘッドをさらに含む。この印刷システムは、第1のアクチュエータと記録ヘッドに動作可能に接続する制御装置をさらに含む。この制御装置は、第1のアクチュエータを操作して第1の伸長性部材と第2の伸長性部材のうちの一方の第2の端を動かして第1の伸長性部材と第2の伸長性部材のうちの一方の第1の端に近づけ、第1の伸長性部材と第2の伸長性部材のうちの他方の第2の端を動かして他方の伸長性部材の第1の端から遠ざけて、第1のグリッパと第2のグリッパに保持される物体の部分を記録ヘッドから所定の距離だけ離れた、記録ヘッドと平行な平面内に配置し、この記録ヘッドを操作して第1のグリッパと第2のグリッパに保持される物体の部分に材料を吐出するよう構成される。
【0004】
3D物体に印刷を行うことができるよう構成された印刷システムを操作する方法も開示される。この方法には、制御装置を用いて第1のアクチュエータを操作して、第1の伸長性部材の第2の端を動かして第1の伸長性部材の第1の端に近づけ、第2の伸長性部材の第2の端を動かして第2の伸長性部材の第1の端から遠ざけて、第1の伸長性部材の第1の端に取り付けられた第1のグリッパと第2の伸長性部材の第1の端に取り付けられた第2のグリッパに保持される物体の部分を記録ヘッドから所定の距離だけ離れた、記録ヘッドと平行な平面内の位置に配置するステップが含まれる。この方法には、制御装置を用いて、記録ヘッドを操作して第1のグリッパと第2のグリッパに保持される物体の部分に材料を吐出するステップもさらに含まれる。
【0005】
続く記述では、添付図面に基づいて、3D物体に印刷を行うことができる印刷システムの前述の様態およびその他の特徴を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、3D物体に印刷を行うよう構成された例示的な印刷システム100を示す図である。
図2図2は、3D物体に印刷を行うよう構成された例示的な印刷システム100の別の実施形態200を示す図である。
図3図3は、3D物体に印刷を行う例示的な方法の流れ図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本実施形態を大まかに理解してもらうために図面を参照する。これらの図面では、全体を通して同様の参照符号を用いて同様の要素を指定している。
【0008】
図1には、3D物体に印刷を行うよう構成された例示的な印刷システム100が示されている。この印刷システム100は、第1の部材104と第2の部材108を含む。一例では、第2の部材108は、第1の部材104と平行に配置される。この印刷システム100は、第1の伸長性部材112と第2の伸長性部材116もさらに含む。第1の伸長性部材112の一端は第1の部材104に取り付けられ、第2の伸長性部材116の一端は第2の部材108に取り付けられている。第1の伸長性部材112の他端は第1のグリッパ130に取り付けられ、第2の伸長性部材116の他端は第2のグリッパ134に取り付けられている。一例では、複数の第1の伸長性部材112が第1の部材104の別々の位置から第1のグリッパ130に取り付けられる。同様に、複数の第2の伸長性部材116が第2の部材108の別々の位置から第2のグリッパ134に取り付けられる。例えば、図1に示される通り、六脚類に似たポジショナのように、3つの第1の伸長性部材112が第1の部材104から第1のグリッパ130に取り付けられ、3つの第2の伸長性部材116が第2の部材108から第2のグリッパ134に取り付けられている。この例では、制御動作完了後の3つの取付け位置の既知の配置により、物体142を既知の位置に配置することが可能となる。第1のグリッパ130と第2のグリッパ134は、物体142の一端を保持し物体の部分を特定の記録ヘッド138に提示するよう構成されている。一例では、物体142は、ほぼ筒状の物体142でよい。この図面に示されている通り、物体142は湾曲した壁を有して、アメリカンフットボールに似させている。このシステム100は、記録ヘッド138(例えば、カラー記録ヘッド138)のアレイも固定の記録ヘッドのアーキテクチャに含む。各記録ヘッド138は、第1のグリッパ130と第2のグリッパ134の間の空間に材料を吐出して、第1のグリッパ130と第2のグリッパ134の間で保持される物体142の部分に印刷を行うよう構成されている。
【0009】
図2には、例示的な印刷システム100の別の実施形態200が示されている。この実施形態では、記録ヘッド138の全長に沿った方向がX軸と見なされる。複数の記録ヘッド138の長さ(すなわち、最も低い記録ヘッド138から最も高い記録ヘッド138までの長さ)に沿った方向がY軸と見なされる。これらの記録ヘッド138を別の方法で構成し配置することも可能であることは言うまでもない。記録ヘッド138から物体142の距離に沿った方向がZ軸と見なされる。第1のベース部材104と第2のベース部材108により、この組立体は、Y軸に沿って、平行に並んで静止した記録ヘッド138を通過して垂直移動を行うことができる。一例では、第1のベース部材104と第2のベース部材108とは直接接続可能であり、Y軸に沿って物体142を移動させるために、アクチュエータ158により第1のベース部材104と第2のベース部材108を一動作で移動させることができる。
【0010】
図2にさらに示される通り、第1の伸長性部材112と第2の伸長性部材116により、物体142はいくつかの軸で移動することができる。一例では、第1の伸長性部材112と第2の伸長性部材116は、物体142の両端または一端を記録ヘッド138に近づけて、あるいは、遠ざけて配置させることができる。この例では、アクチュエータ146により、第1の伸長性部材112と第2の伸長性部材116をZ軸に沿って一緒に移動させることができる。第1の伸長性部材112と第2の伸長性部材116が別々に動けば、このシステム200は、物体142の軸をY軸の周りで枢動させたり、回転させたりして、物体142の狭い端または物体142の一部を記録ヘッド138に近づけて配置させることができる。
【0011】
図2にさらに示される通り、第1の伸長性部材112と第2の伸長性部材116により、物体142の一端または両端をベースの第1の部材104および第2の部材108の垂直移動済の位置よりも高く、あるいは、低く配置させることができ、かつ記録ヘッド138(静止可能な)対しても高く、あるいは、低く配置させることができる。この例では、第1の伸長性部材112と第2の伸長性部材116が、物体142をY軸に沿って移動させ、これにより、このシステム200は、物体142の軸をZ軸周りに回転させることができる。
【0012】
図2にさらに示される通り、第1の伸長性部材112と第2の伸長性部材116により、物体142の一端または両端を記録ヘッド138と隣り合わせに配置させることができる。物体142の一端または両端を記録ヘッドと隣り合わせに配置させることにより、このシステム200は、記録ヘッド138に物体142を提示し、幅の狭いヘッドからより広い印刷の帯を提供することができる。この例では、第1の伸長性部材112と第2の伸長性部材116は、物体142をX軸に沿って移動させることができる。
【0013】
別の例では、第1の伸長性部材112、第2の伸長性部材116、第1のグリッパ130、および第2のグリッパ134の動作を連携させて、物体に不均一な回転をさせることができる。これらの動作により、このシステム200は、例えば、物体142をスピンさせたり、外側に突起物を有する物体142を提示したり、カム形状を有する物体142を提示したり、あるいは、物体142の外側の突起が記録ヘッド138の前に来る場合には、記録ヘッド138から物体142を遠ざけたりすることができるがこれらには限定されない。
【0014】
一実施形態では、第1のアクチュエータ146は、第1の伸長性部材112と第2の伸長性部材116に動作可能に接続する。この第1のアクチュエータ146は、第1の伸長性部材112もしくは第2の伸長性部材116または両方のアームを伸ばしたり縮めたりして、物体142の一部を傾け、記録ヘッド138に近づけたり遠ざけたりして、記録ヘッド138から所定の距離だけ離して、その部分を提示するよう構成され得る。この印刷システム100は、記録ヘッド138と平行な平面内に物体142を配置することができる。例えば、アクチュエータを操作して第1の伸長性部材112のアームを伸ばし、第1のグリッパ130に取り付けられた第1の伸長性部材112の端を移動させ、第1の部材104に取り付けられた端から遠ざける。別の例では、このアクチュエータを操作して第1の伸長性部材112のアームを縮め、第1のグリッパ130に取り付けられた第1の伸長性部材112の端を動かして第1の部材104に取り付けられた端に近づける。制御装置150は、第1のアクチュエータ146に動作可能に接続してアクチュエータ146を操作し、第1の伸長性部材112のアームと第2の伸長性部材116のアームを伸ばしたり縮めたりする。一般に、アクチュエータ146を操作して一方の伸長性部材のアームを縮め、他方の伸長性部材のアームを伸ばして物体の湾曲壁を傾け、記録ヘッドとほぼ平行な平面として物体の一部を提示する。このように傾けることにより、物体142の一部を印刷可能な間隙で記録ヘッドに提示することができる。この制御装置150は、記録ヘッド138に動作可能に接続して、物体142の部分に向かい合う記録ヘッド138を操作してその物体142部分に材料を吐出する。
【0015】
それに加えて、または、あるいは、この印刷システム100は、第1のグリッパ130と第2のグリッパ134に動作可能に接続する第2のアクチュエータ154をさらに含む。この第2のアクチュエータ154は、第1のグリッパ130と第2のグリッパ134の間の縦軸を中心に物体142を回転させるために第1のグリッパ130もしくは第2のグリッパ134またはそれら両方を回転させるよう構成され得る。このような構成により、このシステム100は、第1のグリッパ130と第2のグリッパ134の間に取り付けられる物体142をスピンさせ、これにより、記録ヘッド138と向かい合う物体142の一部にリングまたは部分リングを印刷することができる。この制御装置150は、記録ヘッド138とアクチュエータ154に動作可能に接続して記録ヘッド138を操作し、記録ヘッド138に向かい合う物体142が回転するとき、その物体142の一部に材料を吐出する。
【0016】
それに加えて、または、あるいは、このシステム100は、第1の部材104と第2の部材108に接続する第3のアクチュエータ158を含む。制御装置150は、この第3のアクチュエータ158を操作して第1の部材104に取り付けられた伸長性部材112の端と第2の部材108に取り付けられた伸長性部材116の端を記録ヘッド138と平行な平面に移動させ、記録ヘッドのアレイ内の異なる記録ヘッドと向かい合うよう物体142を配置するよう構成されている。一例では、第1の部材104と第2の部材108は垂直トラックを有し、このトラックには、記録ヘッド138を通過して移動するよう、第1の伸長性部材112の端と第2の伸長性部材116の端が取り付けられている。
【0017】
上記に説明した、システム100内の制御装置150は、第1のアクチュエータ146、第2のアクチュエータ154、および第3のアクチュエータ158、またはそれらの全ての組合せを操作して、どの記録ヘッド138とも向かい合うよう物体142の任意の部分を巧みに操作して、その部分に画像を印刷することができる。例えば、システム100は、好適な印刷間隙で印刷を行うため、物体142を移動、スピン、あるいは傾けて、表面の任意の部分を少なくとも1つの記録ヘッド138に向かい合うよう配置することができる。この動作により、固定した記録ヘッド138のアレイのアーキテクチャにおいて、ほぼ筒状の物体などの物体にフルカラーの印刷を行うことができる。このシステム100を用いると、既存のシステムの2Dの印刷技術を活用して、プロダクションプリンティングのカスタマイゼーションを3D物体(例えば、ほぼ筒状の3D物体142)まで広げることができる。
【0018】
図3には、3D物体に印刷を行うための例示的な方法の流れ図が示されている。この方法300は、第1の伸長性部材112の一端を動かして第1の伸長性部材112の他端に近づけ(ブロック304)、第2の伸長性部材116の一端を動かして伸長性部材116の他端から遠ざけて(ブロック308)物体を傾け、物体の壁の特定の部分が印刷するための好適な間隙で記録ヘッドに向かい合うようにする(ブロック312)ことで始まる。例えば、この制御装置150は、第1のアクチュエータ146を操作して第1のグリッパ130に接続する第1の伸長性部材112の端を第1の部材104に接続する第1の伸長性部材112の他端に近づけ、第2のグリッパ134に接続する第2の伸長性部材116の端を動かして第2の部材108に接続する第2の伸長性部材116の他端に近づけることができる。この方法300には、物体の一部が記録ヘッドに向かい合って適切に配置された後、制御装置150を用いて記録ヘッド138を操作し、物体142に材料を吐出するステップがさらに含まれる。この処理には、制御装置150を用いて第2のアクチュエータ154操作して第1のグリッパ130もしくは第2のグリッパ134またはそれらの両方を回転させて、物体142を回転させるステップも含まれる(ブロック316)。このように回転させることにより、記録ヘッドは物体の周りにリングまたは部分リングを印刷することができる。この伸長性アームの操作は、条件が満たされるまで続けられる(ブロック320)。一例では、グリッパに保持された物体の一端から他端まで物体にリングまたは部分リングが印刷されたときに条件が満たされる。リングまたは部分リングが物体に印刷された後、この方法300は継続され、制御装置150で第3のアクチュエータ158を操作して第1の伸長性部材112の端と第2の伸長性部材116の端を記録ヘッド138と平行な平面に移動させる(ブロック324)。この動作により、1つ以上の記録ヘッドの別のセットの向かい側に物体を移動させることができ、異なる材料を吐出する記録ヘッドが物体の表面を印刷できるようにする。例えば、1つ以上の記録ヘッドの次のセットは、異なる色の材料を物体に吐出することができる。記録ヘッドの次のセットに到達した後、ブロック304からブロック324までの処理を繰り返し、これにより、異なる材料で物体を印刷することができる。
図1
図2
図3