特許第6892819号(P6892819)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6892819制御装置、ガスタービン、コンバインドサイクル発電プラント、制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6892819
(24)【登録日】2021年6月1日
(45)【発行日】2021年6月23日
(54)【発明の名称】制御装置、ガスタービン、コンバインドサイクル発電プラント、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   F01K 23/10 20060101AFI20210614BHJP
【FI】
   F01K23/10 C
【請求項の数】12
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-253218(P2017-253218)
(22)【出願日】2017年12月28日
(65)【公開番号】特開2019-120139(P2019-120139A)
(43)【公開日】2019年7月22日
【審査請求日】2020年7月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱パワー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 太一
(72)【発明者】
【氏名】牛嶋 麗夏
(72)【発明者】
【氏名】山本 圭介
(72)【発明者】
【氏名】竹中 竜児
【審査官】 高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−086810(JP,A)
【文献】 特開2003−056309(JP,A)
【文献】 特開2006−194550(JP,A)
【文献】 特開平08−200016(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0060065(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 17/20
F01K 23/10
F02C 6/00
F02C 9/28
F02C 9/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンと蒸気タービンを用いて発電を行うコンバインドサイクル発電プラントの負荷降下時における前記ガスタービンの目標出力を算出するガスタービン目標出力算出部と、
前記ガスタービン目標出力算出部が算出した前記目標出力に基づいて、前記ガスタービンの排ガスエネルギーを算出する排ガスエネルギー算出部と、
前記排ガスエネルギー算出部が算出した前記排ガスエネルギーに基づいて、前記負荷降下時における前記蒸気タービンの出力を推定する蒸気タービン出力推定部と、
前記ガスタービンの目標出力と前記蒸気タービンの出力推定値を加算して前記負荷降下時における前記コンバインドサイクル発電プラントの目標出力を算出する発電プラント目標出力算出部と、
を備える制御装置。
【請求項2】
前記負荷降下時における前記コンバインドサイクル発電プラントの目標出力と実際の出力の偏差に基づくフィードバック制御により、前記ガスタービンの出力を制御するガスタービン出力制御部と、
前記ガスタービンの目標出力に基づいて、前記負荷降下時における前記ガスタービンの出力の下限値を設定するガスタービン出力下限値設定部と、
をさらに備える請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記ガスタービン出力制御部は、前記フィードバック制御によって算出した出力制御指令値に基づいて前記ガスタービンの出力制御を行い、
前記ガスタービン出力下限値設定部は、前記ガスタービンの出力の下限値に対応する前記出力制御指令値の下限値を算出する、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記ガスタービン出力下限値設定部は、大気温度、大気湿度、大気圧力のうち少なくとも一つの値に応じて前記出力制御指令値の補正を行う、
請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記排ガスエネルギー算出部は、
前記ガスタービンの前記目標出力と、前記ガスタービンの圧縮機が吸入する大気流量と、大気温度とに基づいて排ガス流量を算出し、
前記ガスタービンの前記目標出力と、前記大気流量と、前記大気温度とに基づいて排ガスエンタルピーを算出し、
前記排ガス流量と前記排ガスエンタルピーとに基づいて前記排ガスエネルギーを算出する、
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記排ガスエネルギー算出部は、大気温度、大気湿度、大気圧力のうち少なくとも一つの値に応じて前記排ガス流量を補正する、請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記排ガスエネルギー算出部は、大気温度、大気湿度、大気圧力のうち少なくとも一つの値に応じて前記排ガスエンタルピーを補正する、請求項5または請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記負荷降下時における前記コンバインドサイクル発電プラントの出力の低下速度が、5%毎分以上である、
請求項1から請求項7の何れか1つに記載の制御装置。
【請求項9】
圧縮機と、
燃焼器と、
タービンと、
請求項1から請求項8の何れか1項に記載の制御装置と、
を備えたガスタービン。
【請求項10】
請求項9に記載のガスタービンと、
蒸気タービンと、
発電機と、
を備えたコンバインドサイクル発電プラント。
【請求項11】
ガスタービンと蒸気タービンを用いて発電を行うコンバインドサイクル発電プラントの負荷降下時における前記ガスタービンの目標出力を算出するステップと、
算出した前記ガスタービンの前記目標出力に基づいて、前記ガスタービンの排ガスエネルギーを算出するステップと、
算出した前記排ガスエネルギーに基づいて、前記負荷降下時における前記蒸気タービンの出力を推定するステップと、
前記ガスタービンの前記目標出力に前記蒸気タービンの出力推定値を加算して前記負荷降下時における前記コンバインドサイクル発電プラントの目標出力を算出するステップと、
を有する制御方法。
【請求項12】
ガスタービンと蒸気タービンを用いて発電を行うコンバインドサイクル発電プラントを制御するコンピュータを、
前記コンバインドサイクル発電プラントの負荷降下時における前記ガスタービンの目標出力を算出する手段、
算出された前記ガスタービンの前記目標出力に基づいて、前記ガスタービンの排ガスエネルギーを算出する手段、
算出された前記排ガスエネルギーに基づいて、前記負荷降下時における前記蒸気タービンの出力を推定する手段、
前記ガスタービンの前記目標出力に前記蒸気タービンの出力推定値を加算して前記負荷降下時における前記コンバインドサイクル発電プラントの目標出力を算出する手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、ガスタービン、コンバインドサイクル発電プラント、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンと蒸気タービンとを用いたコンバインドサイクル発電プラントの様々な制御方法が提案されている。例えば、特許文献1には、コンバインドサイクル発電プラントにおけるガスタービンの制御方法について、発電機の全出力と蒸気タービン出力との差に基づいて算出されたガスタービン出力による全出力への寄与を表す信号と、ガスタービンの実際の回転速度とその基準速度との誤差に基づく信号とに比例応答するようにガスタービンへの燃料流量を決定する制御方法が開示されている。
【0003】
コンバインドサイクル発電プラントにおいて、急激に負荷を降下する制御を行う場合がある。このような負荷降下制御の一例を図15に示す。まず、発電プラントの制御装置は、タービン入口温度の目標値である目標T1Tに基づいて、ガスタービン出力の目標値である目標GT出力を算出する。一方、蒸気タービンの出力については、制御装置は、負荷降下制御の開始時における蒸気タービン出力であるST出力を算出する。そして、制御装置は、目標GT出力とST出力の合計を、コンバインドサイクル発電プラントの目標出力である目標CC出力として設定する。制御装置は、発電プラントの実際の出力が、この目標CC出力となるように制御を行う。なお、図15において、CCはコンバインドサイクル発電プラント、GTはガスタービン、STは蒸気タービンを意味している。以下参照する他の図についても同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表平8−509048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、蒸気タービンの排熱回収ボイラーの熱容量は大きく、急激に負荷を降下させるような場合、蒸気タービンの出力応答は遅れがちになる。すると、発電プラントの出力が目標CC出力に至った後も、ガスタービンからの排ガスエネルギーの低下に伴い、蒸気タービンの出力は低下し続ける。この様子を図16に示す。図16において、グラフL1はCC出力、グラフL2は目標CC出力、グラフL3はGT出力、グラフCU、CLはそれぞれ負荷降下制御時のGT出力に対して設定された上限値と下限値、グラフL4はST出力を示す。図示するようにCC出力は時刻t1に目標CC出力に到達する。ガスタービンの出力は時刻t0にグラフCU、CLで規定される許容範囲内に到達する。蒸気タービンの出力が変化しなければ、目標CC出力を維持しつつ、ガスタービンの出力も許容範囲内に制御することができるが、上記のとおり蒸気タービンの出力応答は遅れるため、グラフL4が示すように蒸気タービンの出力は徐々に低下する。すると、制御装置は、蒸気タービンの出力低下を補償するために、ガスタービン出力を上昇させて目標CC出力を維持する。すると、時刻t2以降、グラフL3が示すGT出力は、グラフCUが示す許容範囲の上限値を超えてしまう。
【0006】
このような許容範囲からの逸脱に対して、ガスタービンの出力が許容範囲内となるように、運転員が調整を行うことがある。しかし、調整が不調な場合、機器の破損、それに伴う発電プラントの停止などを招くおそれがある。このように従来の負荷降下制御では、蒸気タービン出力の応答遅れの影響を受け、ガスタービン出力を所定の許容範囲内に制御できない場合がある。
【0007】
そこで本発明は、上述の課題を解決することのできる制御装置、ガスタービン、コンバインドサイクル発電プラント、制御方法及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、制御装置は、ガスタービンと蒸気タービンを用いて発電を行うコンバインドサイクル発電プラントの負荷降下時における前記ガスタービンの目標出力を算出するガスタービン目標出力算出部と、前記ガスタービン目標出力算出部が算出した前記目標出力に基づいて、前記ガスタービンの排ガスエネルギーを算出する排ガスエネルギー算出部と、前記排ガスエネルギー算出部が算出した前記排ガスエネルギーに基づいて、前記負荷降下時における前記蒸気タービンの出力を推定する蒸気タービン出力推定部と、前記ガスタービンの目標出力と前記蒸気タービンの出力推定値を加算して前記負荷降下時における前記コンバインドサイクル発電プラントの目標出力を算出する発電プラント目標出力算出部と、を備える。
【0009】
また、本発明の第2の態様によれば、前記制御装置は、前記負荷降下時における前記コンバインドサイクル発電プラントの目標出力と実際の出力の偏差に基づくフィードバック制御により、前記ガスタービンの出力を制御するガスタービン出力制御部と、前記ガスタービンの目標出力に基づいて、前記負荷降下時における前記ガスタービンの出力の下限値を設定するガスタービン出力下限値設定部と、をさらに備える。
【0010】
また、本発明の第3の態様によれば、前記ガスタービン出力制御部は、前記フィードバック制御によって算出した出力制御指令値に基づいて前記ガスタービンの出力制御を行い、前記ガスタービン出力下限値設定部は、前記ガスタービンの出力の下限値に対応する前記出力制御指令値の下限値を算出する。
【0011】
また、本発明の第4の態様によれば、前記ガスタービン出力下限値設定部は、大気温度、大気湿度、大気圧力のうち少なくとも一つの値に応じて前記出力制御指令値の補正を行う。
【0012】
また、本発明の第5の態様によれば、前記排ガスエネルギー算出部は、前記ガスタービンの前記目標出力と、前記ガスタービンの圧縮機が吸入する大気流量と、大気温度とに基づいて排ガス流量を算出し、前記ガスタービンの前記目標出力と、前記大気流量と、前記大気温度とに基づいて排ガスエンタルピーを算出し、前記排ガス流量と前記排ガスエンタルピーとに基づいて前記排ガスエネルギーを算出する。
【0013】
また、本発明の第6の態様によれば、前記排ガスエネルギー算出部は、大気温度、大気湿度、大気圧力のうち少なくとも一つの値に応じて前記排ガス流量を補正する。
【0014】
また、本発明の第7の態様によれば、前記排ガスエネルギー算出部は、大気温度、大気湿度、大気圧力のうち少なくとも一つの値に応じて前記排ガスエンタルピーを補正する。
【0015】
また、本発明の第8の態様によれば、前記負荷降下時における前記コンバインドサイクル発電プラントの出力の低下速度が、5%毎分以上である。
【0016】
また、本発明の第9の態様によれば、ガスタービンは、圧縮機と、燃焼器と、タービンと、上記の何れかに記載の制御装置を備える。
【0017】
また、本発明の第10の態様によれば、コンバインドサイクル発電プラントは、上記のガスタービンと、蒸気タービンと、発電機とを備える。
【0018】
また、本発明の第11の態様によれば、制御方法は、ガスタービンと蒸気タービンを用いて発電を行うコンバインドサイクル発電プラントの負荷降下時における前記ガスタービンの目標出力を算出するステップと、算出した前記ガスタービンの前記目標出力に基づいて、前記ガスタービンの排ガスエネルギーを算出するステップと、算出した前記排ガスエネルギーに基づいて、前記負荷降下時における前記蒸気タービンの出力を推定するステップと、前記ガスタービンの前記目標出力に前記蒸気タービンの出力推定値を加算して前記負荷降下時における前記コンバインドサイクル発電プラントの目標出力を算出するステップと、を有する。
【0019】
また、本発明の第12の態様によれば、プログラムは、ガスタービンと蒸気タービンを用いて発電を行うコンバインドサイクル発電プラントを制御するコンピュータを、前記コンバインドサイクル発電プラントの負荷降下時における前記ガスタービンの目標出力を算出する手段、算出された前記ガスタービンの前記目標出力に基づいて、前記ガスタービンの排ガスエネルギーを算出する手段、算出された前記排ガスエネルギーに基づいて、前記負荷降下時における前記蒸気タービンの出力を推定する手段、前記ガスタービンの前記目標出力に前記蒸気タービンの出力推定値を加算して前記負荷降下時における前記コンバインドサイクル発電プラントの目標出力を算出する手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、コンバインド発電プラントの負荷降下制御時に、コンバインド発電プラントの出力を所望の速度で目標値まで降下させつつ、ガスタービンの出力を所定の許容範囲内に整定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る第一実施形態におけるコンバインドサイクル発電プラントの系統図である。
図2】本発明に係る第一実施形態における制御装置のブロック図である。
図3】本発明に係る第一実施形態におけるコンバインドサイクル発電プラントの制御方法を説明する図である。
図4】本発明に係る第一実施形態における制御の結果の一例を示す図である。
図5】ガスタービンの出力制御指令値の算出方法の一例を示す図である。
図6】ガスタービンの負荷に関する制御指令値の算出方法を説明する図である。
図7】本発明に係る第一実施形態における負荷降下制御により制御指令値を算出した結果の一例を示す図である。
図8】本発明に係る第一実施形態におけるガスタービンの負荷に関する制御指令値の算出方法を説明する図である。
図9】本発明に係る第一実施形態の算出方法に基づいて出力制御指令値を算出した結果の一例を示す第1の図である。
図10】本発明に係る第一実施形態の算出方法に基づいて出力制御指令値を算出した結果の一例を示す第2の図である。
図11】本発明に係る第一実施形態における負荷降下制御の一例を示すフローチャートである。
図12】本発明に係る第二実施形態における制御装置のブロック図である。
図13】本発明に係る第二実施形態におけるコンバインドサイクル発電プラントの制御方法を説明する図である。
図14】本発明に係る第二実施形態におけるガスタービンの出力制御指令値の算出方法の一例を示す図である。
図15】従来の負荷降下制御を説明する図である。
図16】従来の負荷降下制御の結果の一例を示す図である。
図17】本発明の第一実施形態〜第二実施形態における制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第一実施形態>
以下、本発明の第一実施形態によるコンバインドサイクル発電プラントの負荷降下時の制御方法について図1図11を参照して説明する。
図1は、本発明に係る第一実施形態におけるコンバインドサイクル発電プラントの系統図である。
本実施形態のガスタービンコンバインドサイクル発電プラント1(以下、発電プラント1と記載する)は、図1に示すように、ガスタービン10と、ガスタービン10から排気される排ガスの熱で蒸気を発生する排熱回収ボイラー20と、排熱回収ボイラー20からの蒸気で駆動される蒸気タービン30(高圧蒸気タービン31、中圧蒸気タービン32及び低圧蒸気タービン33)と、各タービン10,31,32,33の駆動で発電する発電機34と、低圧蒸気タービン33から排気された蒸気を水に戻す復水器35と、これら各機器を制御する制御装置100と、を備えている。
【0023】
ガスタービン10は、外気を圧縮して圧縮空気を生成する圧縮機11と、燃料ガスに圧縮空気を混合して燃焼させ高温の燃焼ガスを生成する燃焼器12と、燃焼ガスにより駆動されるタービン13と、燃焼器12に供給する燃料流量を調節する燃料流量調節弁14と、を備えている。燃焼器12には、燃料供給源からの燃料を燃焼器12に供給する複数の燃料ラインが接続されている。各燃料ラインには、燃料流量調節弁14が設けられている。タービン13の排気口は排熱回収ボイラー20と接続されている。
【0024】
排熱回収ボイラー20は、高圧蒸気タービン31に供給する高圧蒸気を発生する高圧蒸気発生部21と、中圧蒸気タービン32に供給する中圧蒸気を発生する中圧蒸気発生部22と、低圧蒸気タービン33に供給する低圧蒸気を発生する低圧蒸気発生部24と、高圧蒸気タービン31から排気された蒸気を加熱する再加熱部23と、を備えている。
【0025】
排熱回収ボイラー20の高圧蒸気発生部21と高圧蒸気タービン31の蒸気入口とは、高圧蒸気を高圧蒸気タービン31に導く高圧主蒸気ライン41で接続され、高圧蒸気タービン31の蒸気出口と中圧蒸気タービン32の蒸気入口とは、高圧蒸気タービン31から排気された蒸気を排熱回収ボイラー20の再加熱部23を経て中圧蒸気タービン32の蒸気入口に導く中圧蒸気ライン44で接続され、排熱回収ボイラー20の低圧蒸気発生部24と低圧蒸気タービン33の蒸気入口とは、低圧蒸気を低圧蒸気タービン33に導く低圧主蒸気ライン51で接続されている。
【0026】
中圧蒸気タービン32の蒸気出口と低圧蒸気タービン33の蒸気入口とは、中圧タービン排気ライン54で接続されている。低圧蒸気タービン33の蒸気出口には、復水器35が接続されている。この復水器35には、復水を排熱回収ボイラー20に導く給水ライン55が接続されている。
排熱回収ボイラー20の中圧蒸気発生部22と中圧蒸気ライン44の再加熱部23より上流側部分とは、中圧主蒸気ライン61で接続されている。
【0027】
高圧主蒸気ライン41には、高圧蒸気止め弁42、高圧蒸気タービン31への蒸気の流入量を調整する高圧主蒸気加減弁43が設けられている。中圧蒸気ライン44には、中圧蒸気止め弁45、中圧蒸気タービン32への蒸気の流入量を調整する中圧蒸気加減弁46が設けられている。低圧主蒸気ライン51には、低圧蒸気止め弁52、低圧蒸気タービン33への蒸気の流入量を調整する低圧主蒸気加減弁53が設けられている。
【0028】
制御装置100は、ガスタービン10の出力制御および蒸気タービン30の出力制御を行って発電機34による発電を行う。また、例えば、異常等によって発電機34の出力を急激に降下させる場合、制御装置100は、負荷降下制御を行う。発電機34の出力を急激に降下させる場合とは、例えば、発電機34の出力を1分間あたり100%の割合で降下させるような状況のことをいう。本実施形態における負荷降下制御は、100%/分の割合で降下させる場合に限定されず、発電機34の出力を5%/分より高速な低下速度で降下させるときの制御に好適である。本実施形態の負荷降下制御を適用する例としては、いわゆるランバック運転を挙げることができる。
【0029】
図2は、本発明に係る第一実施形態における制御装置のブロック図である。
図示するように制御装置100は、入力受付部101、センサ情報取得部102、ガスタービン目標出力算出部103、排ガスエネルギー算出部104、蒸気タービン出力推定部105、発電プラント目標出力算出部106、ガスタービン出力制御部107、ガスタービン出力下限指令値算出部108、蒸気タービン出力制御部109、記憶部110を備えている。制御装置100は、コンピュータによって構成される。
【0030】
入力受付部101は、ユーザからの指示操作の入力や、他装置からの各種信号の入力を受け付ける。入力受付部101は、例えば、負荷降下制御の実行を指示する信号(負荷降下指示信号)の入力を受け付ける。
センサ情報取得部102は、コンバインドサイクル発電プラントが備える出力計や温度センサなどからセンサの計測値を取得する。例えば、センサ情報取得部102は、発電機34の出力計16が計測した出力や圧縮機11の入口側に設けられた温度センサ15が計測する大気温度を取得する。同様にセンサ情報取得部102は、圧縮機11の入口側に設けられた図示しない圧力センサや湿度センサから大気圧力や大気湿度の計測値を取得してもよい。
【0031】
ガスタービン目標出力算出部103は、負荷降下制御時のガスタービン10の目標出力を算出する。
排ガスエネルギー算出部104は、ガスタービン10の目標出力に基づいて、ガスタービン10の排ガスエネルギーを算出する。具体的には、排ガスエネルギー算出部104は、ガスタービン10の目標出力に基づいて、ガスタービン10が排出する排ガスの流量とエンタルピーとを算出し、排ガス流量と排ガスエンタルピーとを乗じて排ガスエネルギーを算出する。
蒸気タービン出力推定部105は、排ガスエネルギー算出部104が算出した排ガスエネルギーに基づいて、負荷降下制御時の蒸気タービンの出力を推定する。
【0032】
発電プラント目標出力算出部106は、ガスタービン目標出力算出部103が算出したガスタービン10の目標出力と、蒸気タービン出力推定部105が推定した蒸気タービン出力の推定値とを加算して発電プラント1の目標出力を算出する。
ガスタービン出力制御部107は、負荷降下制御時のガスタービン出力の制御を行う。例えば、ガスタービン出力制御部107は、発電プラント目標出力算出部106が算出した発電プラント1の目標出力と発電プラント1の実際の出力との偏差に基づくフィードバック制御を行って偏差が0となるような出力制御指令値を算出する。ガスタービン出力制御部107は、算出した出力制御指令値に基づいて発電プラント1の出力が目標値となるように制御する。
【0033】
ガスタービン出力下限指令値算出部108は、負荷降下制御時におけるガスタービン10の出力の下限値に対応する出力制御指令値の下限値を算出する。
蒸気タービン出力制御部109は、高圧蒸気止め弁42の開閉の制御、高圧主蒸気加減弁43の弁開度の制御、中圧蒸気止め弁45の開閉の制御、中圧蒸気加減弁46の弁開度の制御、低圧蒸気止め弁52の開閉の制御、低圧主蒸気加減弁53の弁開度の制御等を行って蒸気タービン30の出力を制御する。
記憶部110は、種々の情報を記憶する。
なお、制御装置100は、発電プラント1の制御に関する他の様々な機能を備えているが、本実施形態に関係のない機能についての説明は省略する。
【0034】
次に図3を用いて本実施形態の負荷降下制御について説明する。
図3は、本発明に係る第一実施形態におけるコンバインドサイクル発電プラントの制御方法を説明する図である。
負荷降下制御は、入力受付部101が、負荷降下指示信号を取得すると実行される。まず、ガスタービン目標出力算出部103が、所定のタービン入口温度の目標値である目標T1Tに基づいて、ガスタービン10の目標出力を算出する。所定の目標T1Tは、例えば、負荷降下制御時のガスタービン出力の上限値(図16のグラフCU)と下限値(図16のグラフCL)に基づいて定められた値である。目標T1Tは、例えば、入力受付部101から負荷降下指示信号と共に入力されてもよし、記憶部110が予め記憶していてもよい。
【0035】
図示するようにガスタービン目標出力算出部103は、関数Fx1を備えている。関数Fx1は、目標T1Tと負荷降下制御時におけるガスタービン10の目標出力との関係を定めた関数やテーブルである。ガスタービン目標出力算出部103は、目標T1Tを関数Fx1に入力し、目標T1Tに応じたガスタービン10の目標出力を算出する。ガスタービン目標出力算出部103は、ガスタービン10の目標出力を、排ガスエネルギー算出部104、発電プラント目標出力算出部106へ出力する。
【0036】
次に排ガスエネルギー算出部104が、ガスタービン10から排出される排ガスの流量を算出する。排ガスエネルギー算出部104は、ガスタービン10の出力と圧縮機11の入口側に設けられた図示しないIGV(inlet guide vane)の開度との関係を定めた関数Fx2を備えている。排ガスエネルギー算出部104は、ガスタービン目標出力算出部103が算出した目標出力をFx2へ入力し、ガスタービン10の目標出力に応じたIGV開度を算出する。IGV開度は圧縮機11が吸入する大気流量に関係し、IGV開度が大きいほど、吸入する大気流量も増大する。排ガスエネルギー算出部104は、大気温度およびガスタービン10の出力およびIGVの開度から排ガス流量を算出する関数Fx3を備えている。排ガスエネルギー算出部104は、センサ情報取得部102が取得した温度センサ15による大気温度の計測値と、ガスタービン10の目標出力と、関数Fx2を用いて算出したIGV開度とを関数Fx3に入力して排ガス流量を算出する。
【0037】
また、排ガスエネルギー算出部104は、大気温度およびガスタービン10の出力およびIGVの開度から排ガスのエンタルピーを算出する関数Fx4を備えている。排ガスエネルギー算出部104は、センサ情報取得部102が取得した温度センサ15による大気温度の計測値と、ガスタービン10の目標出力と、関数Fx2を用いて算出したIGV開度とを関数Fx4に入力して排ガスエンタルピーを算出する。
排ガスエネルギー算出部104は、乗算器P1を備えている。排ガスエネルギー算出部104は、乗算器P1を用いて排ガス流量と排ガスエンタルピーの積を算出して排ガスエネルギーを算出する。なお、排ガスエネルギー算出部104は、以下の式(1)により排ガスエネルギーを推定してもよい。
排ガスエネルギー=a×(排ガス流量×排ガスエンタルピー)+b ・・・(1)
a、bは所定の定数である。排ガスエネルギー算出部104は、算出した排ガスエネルギーの値を、蒸気タービン出力推定部105へ出力する。
【0038】
蒸気タービン出力推定部105は、排ガスエネルギーと蒸気タービンの出力との関係を定めた関数Fx5を備えている。蒸気タービン出力推定部105は、排ガスエネルギー算出部104が算出した排ガスエネルギーの値を関数Fx5に入力し、蒸気タービン30の出力を推定する。蒸気タービン出力推定部105は、蒸気タービン30の出力推定値を、発電プラント目標出力算出部106へ出力する。
次に発電プラント目標出力算出部106が、ガスタービン10の目標出力と、蒸気タービン30の出力推定値とを合計して、発電プラント1の目標出力を算出する。
【0039】
図15図16を用いて説明したように、従来の負荷降下制御の場合、蒸気タービン出力に負荷制御開始時の出力を設定することで発電プラント1の目標出力を算出する。この制御方法では、蒸気タービン30の出力が遅れて低下した分を、ガスタービン10の出力を上昇させることにより補償する。その為、蒸気タービン30の出力の低下が止まり、出力が安定した時間帯では、ガスタービン10の出力が目標とする所定の許容範囲から逸脱し、上限値を上回る可能性がある。これに対し、図3で説明した本実施形態の負荷降下制御によれば、ガスタービン10の目標出力に応じて蒸気タービンの出力を推定する。これにより、応答遅れを考慮した最終的な蒸気タービン30の出力推定値とガスタービン10の目標出力とを合計した発電プラント1の目標出力を算出することができるので、蒸気タービン30の出力が安定した後であっても、ガスタービン10の出力を、所定の許容範囲内に整定させることができる。
【0040】
次に本実施形態の負荷降下制御の効果を図4を用いて説明する。
図4は、本発明に係る第一実施形態における制御の結果の一例を示す図である。
図16と同様にグラフL1は発電プラント1の出力、グラフL2は発電プラント1の目標出力、グラフL3はガスタービン10の出力、グラフCU、CLはそれぞれ負荷降下制御時におけるガスタービン10の出力の上限値と下限値、グラフL4は蒸気タービン30の出力を示す。図示するように発電プラント1の出力は時刻t1´に発電プラント1の目標出力に到達する。ガスタービン10の出力は時刻t2´以降、グラフCU、CLが示す許容範囲内に整定する。これは、本実施形態の負荷降下制御により、発電プラント1の目標出力を、蒸気タービン30の出力予測値に応じて調整したことによる効果である。
【0041】
一方、負荷降下制御を開始して時刻t2´までの間、ガスタービン10の出力が許容範囲から逸脱している。このように上記の蒸気タービン30の出力を推定してガスタービン10の出力を制御するだけでは、発電プラント1の目標出力や負荷降下速度、あるいは、その他の運転条件に次第で、ガスタービン10の出力が許容範囲内に整定するまでに時間を要する場合がある。これに対し、制御装置100は、ガスタービン10の出力がグラフCLより低下することを防止する制御をさらに行ってもよい。
【0042】
ここで、ガスタービン10の出力制御に関係する出力制御指令値について説明する。
図5は、ガスタービンの出力制御指令値の算出方法の一例を示す図である。ガスタービン出力制御部107は、図5に示す各制御を行って、ガスタービン10の出力を制御する。例えば、ガスタービン出力制御部107は、負荷制御を実行して実際の負荷を目標負荷に近づける制御指令値LDCSO(load limit control signal output)を算出し、回転数制御を実行して実際の回転数を目標回転数に近づける制御指令値GVCSO(govenor control signal output)を算出し、排ガス温度制御を実行して排ガス温度が許容範囲内に収まるような制御指令値EXCSO(exhaust control signal output)を算出し、ブレードパス温度制御を実行して、ブレードパス温度(燃焼ガスの温度)が許容範囲内に収まるような制御指令値BPCSO(blade pass control signal output)を算出する。ガスタービン出力制御部107は、これらの制御指令値(LDCSO、GVCSO、EXCSO、BPCSO)の中から最小値を選択し、選択した値を全燃料流量指令値CSO(control signal output)に設定する。CSOは出力制御指令値である。
【0043】
また、ガスタービン出力制御部107は、燃焼負荷演算を実行してT1T等に基づき制御指令値CLCSO(combustion load control signal output)を算出し、各燃料系統への燃料供給量の配分比を示す燃料配分指令値を算出する。ガスタービン出力制御部107は、全燃料流量指令値CSOに各燃料系統への燃料配分指令値を乗じて、パイロット系統、メイン系統、トップハット系統の各燃料系統の各々に対する燃料流量指令値を算出する。そして、ガスタービン出力制御部107は、算出した燃料流量指令値に基づいて各燃料ラインに設けられた燃料流量調節弁14を制御して各燃料系統への燃料流量を調整する。
【0044】
図6は、ガスタービンの負荷に関する制御指令値の算出方法を説明する図である。
図6に負荷制御によるLDCSOの算出方法を示す。ガスタービン出力制御部107は、発電プラント1の実際の出力と目標出力の偏差に基づいて、PI制御によりその偏差を解消し0に近づけるようなLDCSOを算出する。例えば、ガスタービン出力制御部107は、ガスタービン出力とLDCSOの関係を定める関数を備えており、この関数によってLDCSOを算出する。図4で結果を例示した負荷降下制御においても、ガスタービン出力制御部107は、LDCSOを図6に示す方法で算出する。
【0045】
図7に負荷降下制御時の各制御指令値LDCSO、GVCSO、EXCSO、BPCSOの推移の例を示す。
図7は、本発明に係る第一実施形態における負荷降下制御時により制御指令値を算出した結果の一例を示す図である。
図示するようにBPCSOとEXCSOが近しい挙動を示し、LDCSOとCSOの挙動が一致する。つまり、負荷降下制御時においては、LDCSOが制御指令値の中の最小値となり、LDCSOの値がCSOとして選択される。ここで、図4を参照すると、負荷降下制御が開始してしばらくの間は、発電プラント1の実際の出力が、目標出力を上回っている。図6に示す制御方法によれば、この間、LDCSOの値は低下し続ける。すると、全燃料流量指令値CSO(図7よりCSOはLDCSOと同値)の値も低下し、その結果、図4で指摘したようにガスタービン10の出力が、グラフCLによって示される下限値を下回る場合が生じる。
【0046】
発電プラント1の実際の出力が,目標出力を上回っている場合、図7に示すようにLDCSOが低下し続ける。このとき、図4で指摘したようにガスタービン10の出力が、グラフCLによって示される下限値を下回る場合が生じる。そこで、本実施形態では、ガスタービン出力下限指令値算出部108が、グラフCLが示す値以上の値を、負荷降下制御時のガスタービン10の出力下限値として設定し、ガスタービン出力制御部107は、ガスタービン10の出力が、この出力下限値を下回らないよう制御する。
図8は、本発明に係る第一実施形態におけるガスタービンの負荷に関する制御指令値の算出方法を説明する図である。
図8に本実施形態の負荷降下制御によるLDCSOの算出方法を示す。ガスタービン出力制御部107は、発電プラント1の実際の出力と目標出力の偏差を算出する。ガスタービン出力制御部107は、この偏差を0とするようなLDCSOを算出する。
また、ガスタービン出力下限指令値算出部108が、目標T1Tからガスタービン目標出力を算出する。例えば、ガスタービン出力下限指令値算出部108は、図3のFx1を備えており、Fx1によってガスタービン目標出力を算出する。次にガスタービン出力下限指令値算出部108は、ガスタービン目標出力に見合うCSOを算出する。例えば、ガスタービン出力下限指令値算出部108は、ガスタービン出力とCSOの関係を定める関数を備えており、この関数によって全燃料流量指令値CSOを算出する。このCSOが、負荷降下制御時のガスタービン10の出力下限値に対応する出力制御指令値の下限値である。
【0047】
ガスタービン出力制御部107は、CSOを取得し、LDCSO下限値とする。ガスタービン出力制御部107は、PI制御によって算出したLDCSOと、LDCSO下限値とを比較し、PI制御によって算出したLDCSOがLDCSO下限値以上であれば、PI制御によって算出したLDCSOを出力する。ガスタービン出力制御部107は、PI制御によって算出したLDCSOがLDCSO下限値未満であれば、LDCSO下限値を出力する。そして、図5を用いて説明したようにガスタービン出力制御部107は、LDCSO等制御指令値の中から最小値を選択してCSOとし(本実施形態で例示した制御によれば、LDCSOが最小値)、各燃料系統への燃料供給量を決定する。
なお、図5を用いて説明したように本実施形態で例示した制御では、LDCSO下限値が負荷降下制御時における全燃料流量指令値CSOの下限値として選択される構成となっているが、この構成に限定されない。例えば、ガスタービン出力下限指令値算出部108は、ガスタービン出力制御部107が算出したCSOに対して、下限値を設定するように構成されていてもよい。
【0048】
次に、図8で説明したLDCSOの下限値を設定する処理を追加したときの負荷降下制御の結果を図9図10に示す。
図9は、本発明に係る第一実施形態の算出方法に基づいて出力制御指令値を算出した結果の一例を示す第1の図である。
図示するようにLDCSOの下限値を図8に示す方法で設定した場合、図7に例示した場合とは異なり、発電プラント1の実際の出力が目標出力を上回っていても、LDCSOが、LDCSO下限値を下回ることが無い。その為、CSOの値もLDCSO下限値より低下することが無い。
【0049】
図10は、本発明に係る第一実施形態の算出方法に基づいて出力制御指令値を算出した結果の一例を示す第2の図である。
図4と同様にグラフL1は発電プラント1の出力、グラフL2は発電プラント1の目標出力、グラフL3はガスタービン10の出力、グラフCU、CLはそれぞれ負荷降下制御時におけるガスタービン10の出力の上限値と下限値、グラフL4は蒸気タービン30の出力を示す。図示するようにガスタービン10の出力は、時刻t1´´にグラフCU、CLが示す許容範囲内の値となり、その後も許容範囲に制御される。これは、ガスタービン出力下限指令値算出部108により、ガスタービン10の出力を決定するCSOに下限値を設定したことによる効果である。
図10に示すように、本実施形態によれば、蒸気タービン30の出力推定値に基づく発電プラント1の目標出力値と、ガスタービン10の出力下限値とを設定して負荷降下制御を実行することにより、ガスタービン10の出力を許容範囲内に制御しつつ、発電プラント1の出力を所望の速度で目標出力まで降下させることができる。
【0050】
次に本実施形態の負荷降下制御の流れについて説明する。
図11は、本発明に係る第一実施形態における負荷降下制御の一例を示すフローチャートである。
まず、入力受付部101が負荷降下指示信号を取得する(ステップS11)。すると、ガスタービン目標出力算出部103は、所定の目標T1Tと関数Fx1とに基づいて、ガスタービン10の目標出力を算出する(ステップS12)。次にセンサ情報取得部102が、温度センサ15から大気温度の計測値を取得する(ステップS13)。次に排ガスエネルギー算出部104が、ステップS102で算出したガスタービン10の目標出力と関数Fx2とに基づいて、IGV開度を算出する(ステップS14)。次に排ガスエネルギー算出部104が、ステップS12で算出したガスタービン10の目標出力と、ステップS13で取得した大気温度の計測値と、ステップS14で算出したIGV開度と、関数Fx3とに基づいて、排ガス流量を算出する(ステップS15)。また、排ガスエネルギー算出部104が、ステップS12で算出したガスタービン10の目標出力と、ステップS13で取得した大気温度の計測値と、ステップS14で算出したIGV開度と、関数Fx4とに基づいて、排ガスエンタルピーを算出する(ステップS16)。次に排ガスエネルギー算出部104が、排ガス流量と排ガスエンタルピーとを乗じて排ガスエネルギーを算出する。次に蒸気タービン出力推定部105は、排ガスエネルギーと関数Fx5とに基づいて、蒸気タービン30の出力を推定する(ステップS17)。次に発電プラント目標出力算出部106が、ステップS12で算出されたガスタービン10の目標出力と、ステップS17で算出された蒸気タービン30の出力推定値とを合計して、発電プラント1の目標出力を算出する(ステップS18)。発電プラント目標出力算出部106は、発電プラント1の目標出力をガスタービン出力制御部107へ出力する。
【0051】
一方、ステップS12において、ガスタービン10の目標出力が算出されると、ガスタービン出力下限指令値算出部108が、出力制御指令値の下限値を算出する(ステップS19)。ガスタービン出力下限指令値算出部108は、LDCSO下限値をガスタービン出力制御部107へ出力する。
【0052】
ガスタービン出力制御部107は、発電プラント1の出力が、蒸気タービンの最終的な出力の推定値を考慮して定められた目標出力となるように、PI制御によりガスタービン10の出力を制御する(ステップS20)。これにより、発電プラント1の急激な負荷降下に対して、蒸気タービン30の出力応答が遅延する状況でもガスタービン10の出力を許容範囲内に整定させることができる。また、ガスタービン出力制御部107は、LDCSO下限値に相当する出力よりガスタービン10の出力が低下することがないように、ガスタービン10の出力を制御する。これにより、負荷降下制御を通じて、ガスタービン10の出力を所定の許容範囲内に制御することができる。
【0053】
また、負荷降下制御時に整定時の蒸気タービン出力を推定し、発電プラント1の目標出力を設定することにより、ガスタービン10の出力を許容範囲内に制御するための運転員による調節が不要となる。従って、調整の手間を省くとともに、調整ミスに起因するトラブルの未然防止が可能となる。
【0054】
なお、図2で例示した制御装置100は、ガスタービン出力下限指令値算出部108を備えない構成としてもよい。その場合の制御装置100は、図11のフローチャートのステップS19を除いた処理によって負荷降下制御を実行する。
【0055】
<第二実施形態>
以下、本発明の第二実施形態による負荷降下制御について図12図14を参照して説明する。
図12は、本発明に係る第二実施形態における制御装置のブロック図である。
本発明の第二実施形態に係る構成のうち、第一実施形態に係る制御装置100を構成する機能部と同じものには同じ符号を付し、それぞれの説明を省略する。
図示するように制御装置100Aは、入力受付部101、センサ情報取得部102、ガスタービン目標出力算出部103A、排ガスエネルギー算出部104A、蒸気タービン出力推定部105、発電プラント目標出力算出部106、ガスタービン出力制御部107、ガスタービン出力下限指令値算出部108A、蒸気タービン出力制御部109、記憶部110を備えている。
【0056】
ガスタービン目標出力算出部103Aは、ガスタービンの出力に影響を与える種々のパラメータの値に応じて補正を行ったガスタービン10の目標出力を算出する。ガスタービンの出力に影響を与える種々のパラメータとは、例えば、大気温度、大気湿度、大気圧力などのガスタービン10が吸入する空気に関するパラメータである。
排ガスエネルギー算出部104Aは、排ガスエネルギーに影響を与える種々のパラメータの値に応じて補正を行った排ガスエネルギーを算出する。排ガスエネルギーに影響を与える種々のパラメータは、ガスタービンの出力に影響を与える種々のパラメータと同様である。
【0057】
ガスタービン出力下限指令値算出部108Aは、ガスタービンの出力に影響を与える種々のパラメータの値に応じて補正を行ったLDCSO下限値を算出する。
なお、ガスタービンの出力や排ガスエネルギーに影響を与えるパラメータは、上記例の他、燃料ガスカロリー、燃料の種類・組成、燃料温度、燃料密度、メタン濃度、ウォッベ指数などであってもよい。
【0058】
図13は、本発明に係る第二実施形態におけるコンバインドサイクル発電プラントの制御方法を説明する図である。
図13を用いて本実施形態の負荷降下制御の説明を行う。図3と同様の処理については説明を省略する。また、ガスタービンの出力や排ガスエネルギーに影響を与えるパラメータとして大気温度を例に説明を行う。
まず、ガスタービン目標出力算出部103Aが、ガスタービン10の目標出力を算出する。次にガスタービン目標出力算出部103Aが、大気温度に応じたゲインを、所定の関数等により算出し、ガスタービン10の目標出力にゲインを乗じる(S101)。同様にガスタービン目標出力算出部103Aは、所定の関数等によって大気湿度に応じたゲインを算出し、大気湿度に応じたゲインを目標出力に乗じてもよい。同様にガスタービン目標出力算出部103Aは、所定の関数等によって大気圧力に応じたゲインを算出し、大気湿度に応じたゲインを目標出力に乗じてもよい。これら大気温度等に応じたゲインを算出する関数は記憶部110に記憶されている。
【0059】
次に排ガスエネルギー算出部104Aが、図3と同様の処理を行って排ガス流量を算出する。排ガスエネルギー算出部104Aは、さらに所定の関数等によって大気温度に応じたゲインを算出し、このゲインを排ガス流量に乗じる(S102)。排ガスエネルギー算出部104Aは、大気圧力に応じたゲイン、大気湿度に応じたゲインを算出し、それぞれのゲインを排ガス流量に乗じてもよい。
【0060】
また、排ガスエネルギー算出部104Aは、図3と同様の処理を行って排ガスエンタルピーを算出する。排ガスエネルギー算出部104Aは、さらに所定の関数等によって大気温度に応じたゲインを算出し、このゲインを排ガスエンタルピーに乗じる(S103)。排ガスエネルギー算出部104Aは、大気圧力に応じたゲインや大気湿度に応じたゲインを算出し、それぞれのゲインを排ガスエンタルピーに乗じてもよい。
【0061】
排ガスエネルギー算出部104Aは、大気温度等についてゲインを乗じて補正した排ガス流量と排ガスエンタルピーとを積算して排ガスエネルギーを算出する。以降の処理は、第一実施形態と同様である。つまり、蒸気タービン出力推定部105が、排ガスエネルギーの値と関数Fx5から蒸気タービン30の出力を推定し、発電プラント目標出力算出部106が、ガスタービン10の目標出力と、蒸気タービン30の出力推定値とを合計して、発電プラント1の目標出力を算出する。
【0062】
ガスタービン10の出力には大気条件が大きく影響することが知られている。本実施形態によれば、大気温度等によりガスタービン目標出力、排ガスエネルギーを補正する。大気温度等の影響を考慮に入れることにより、蒸気タービンの出力の推定精度が向上し、ガスタービン10の出力が許容範囲から逸脱する可能性を更に低減することができる。
また、大気条件だけでなく、燃料ガスカロリー、燃料の種類・組成、燃料温度、燃料密度等に応じたゲインで補正を行うようにしてもよい。
【0063】
次に図14を用いて本実施形態のLDCSO下限値の算出方法の説明を行う。
図14は、本発明に係る第二実施形態におけるガスタービンの出力制御指令値の算出方法の一例を示す図である。
図8と同様の処理については説明を省略する。また、ガスタービンの出力や排ガスエネルギーに影響を与えるパラメータとして大気温度を例に説明を行う。
ガスタービン出力制御部107は、発電プラント1の出力と目標出力の偏差を0とするようなLDCSOを算出する。
ガスタービン出力下限指令値算出部108Aが、目標T1Tからガスタービン目標出力を算出する。ガスタービン出力下限指令値算出部108Aは、大気温度ごとにガスタービン出力とCSOとの関係を定めた関数にガスタービン目標出力と大気温度とを入力し、ガスタービン目標出力と大気温度に応じたCSOを算出する(S104)。大気温度が低いほどCSOは大きくなり(a1)、大気温度が高いほどCSOは小さくなる(a2)関係がある。図14に例示した大気温度ごとにガスタービン出力とCSOとの関係を定めた関数は、この関係性を示している。補正処理S104で算出したCSOがLDCSO下限値である。ガスタービン出力下限指令値算出部108Aは、さらに大気圧力、大気湿度、燃料ガスカロリー等に応じたゲインを算出する関数等によってゲインを算出し、S104の結果得られたCSOにそのゲインを乗じて補正を行ってもよい。
ガスタービン出力制御部107は、PI制御によって算出したLDCSOに基づいて出力制御を行うが、PI制御によるLDCSOが、LDCSO下限値未満であれば、大気温度に応じて補正されたLDCSO下限値に基づいてガスタービン10の出力制御を行う。
【0064】
ガスタービン10の出力には大気条件が大きく影響することが知られている。大気温度等に応じたCSOを算出し、このCSO(LDCSO下限値)に見合う出力を、負荷降下正常時におけるガスタービン10の下限値に設定することで、例えば、所定の基準温度を大気温度として仮定してガスタービン10の下限値を設定する場合に比べ、ガスタービン10の出力が許容範囲から逸脱する可能性を更に低減することができる。
なお、図13図14で説明した補正処理S101〜S104は全て行うことが望ましいが、何れか1つまたは2つの補正処理だけを行うように構成されていてもよい。
【0065】
次に本実施形態の処理の流れについて、図11を参照しつつ説明する。
まず、入力受付部101が負荷降下指示信号を取得する(ステップS11)。次にガスタービン目標出力算出部103Aが、大気温度等のガスタービン出力に影響を与えるパラメータの値により補正を行ったガスタービン10の目標出力を算出する(ステップS12)。次にセンサ情報取得部102が、大気温度の計測値を取得する(ステップS13)。次に排ガスエネルギー算出部104Aが、IGV開度を算出する(ステップS14)。次に排ガスエネルギー算出部104Aが、大気温度等の排ガスエネルギーに影響を与えるパラメータの値により補正を行った排ガス流量を算出する(ステップS15)。また、排ガスエネルギー算出部104Aが、大気温度等の排ガスエネルギーに影響を与えるパラメータの値により補正を行った排ガスエンタルピーを算出する(ステップS16)。次に排ガスエネルギー算出部104Aが、排ガス流量と排ガスエンタルピーとに基づいて排ガスエネルギーを算出する。次に蒸気タービン出力推定部105が、蒸気タービン30の出力を推定する(ステップS17)。次に発電プラント目標出力算出部106が、発電プラント1の目標出力を算出する(ステップS18)。
一方、ガスタービン出力下限指令値算出部108Aは、大気温度等のガスタービン出力に影響を与えるパラメータの値により補正を行ったLDCSO下限値を算出する(ステップS19)。
ガスタービン出力制御部107は、PI制御によりガスタービン10の出力を制御する(ステップS20)。
【0066】
図17は、本発明の第一実施形態〜第二実施形態における制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、入出力インタフェース904、通信インタフェース905を備える例えばPC(Personal Computer)やサーバ端末装置である。上述の制御装置100、100Aは、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、記憶部110に対応する記憶領域を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置903に確保する。
【0067】
なお、少なくとも1つの実施形態において、補助記憶装置903は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、入出力インタフェース904を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行しても良い。また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0068】
入力受付部101、センサ情報取得部102、ガスタービン目標出力算出部103,103A、排ガスエネルギー算出部104,104A、蒸気タービン出力推定部105、発電プラント目標出力算出部106、ガスタービン出力制御部107、ガスタービン出力下限指令値算出部108,108A、蒸気タービン出力制御部109の全て又は一部は、マイコン、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0069】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。図1に1軸のGTCC(Gas Turbine Combined Cycle)を例示したが、制御装置100、100Aは多軸のGTCCに適用することができる。
IGV開度は、圧縮機が吸入する大気流量の一例である。ガスタービン出力下限指令値算出部108、108Aは、ガスタービン出力下限値設定部の一例である。
【符号の説明】
【0070】
10・・・ガスタービン
11・・・圧縮機
12・・・燃焼器
13・・・タービン
14・・・燃料流量調節弁
15・・・温度センサ
16・・・出力計
20・・・排熱回収ボイラー
21・・・高圧蒸気発生部
22・・・中圧蒸気発生部
23・・・再加熱部
24・・・低圧蒸気発生部
30・・・蒸気タービン
31・・・高圧蒸気タービン
32・・・中圧蒸気タービン
33・・・低圧蒸気タービン
34・・・発電機
35・・・復水器
41・・・高圧主蒸気ライン
42・・・高圧蒸気止め弁
43・・・高圧主蒸気加減弁
44・・・中圧蒸気ライン
45・・・中圧蒸気止め弁
46・・・中圧蒸気加減弁
51・・・低圧主蒸気ライン
52・・・低圧蒸気止め弁
53・・・低圧主蒸気加減弁
54・・・中圧タービン排気ライン
55・・・給水ライン
61・・・中圧主蒸気ライン
100、100A・・・制御装置
101・・・入力受付部
102・・・センサ情報取得部
103,103A・・・ガスタービン目標出力算出部
104,104A・・・排ガスエネルギー算出部
105・・・蒸気タービン出力推定部
106・・・発電プラント目標出力算出部
107・・・ガスタービン出力制御部
108,108A・・・ガスタービン出力下限指令値算出部
109・・・蒸気タービン出力制御部
110・・・記憶部
900・・・コンピュータ
901・・・CPU
902・・・主記憶装置
903・・・補助記憶装置
904・・・入出力インタフェース
905・・・通信インタフェース
図1
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