特許第6892837号(P6892837)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社PFUの特許一覧

<>
  • 特許6892837-画像読取装置 図000002
  • 特許6892837-画像読取装置 図000003
  • 特許6892837-画像読取装置 図000004
  • 特許6892837-画像読取装置 図000005
  • 特許6892837-画像読取装置 図000006
  • 特許6892837-画像読取装置 図000007
  • 特許6892837-画像読取装置 図000008
  • 特許6892837-画像読取装置 図000009
  • 特許6892837-画像読取装置 図000010
  • 特許6892837-画像読取装置 図000011
  • 特許6892837-画像読取装置 図000012
  • 特許6892837-画像読取装置 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6892837
(24)【登録日】2021年6月1日
(45)【発行日】2021年6月23日
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20210614BHJP
   G03B 27/62 20060101ALI20210614BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20210614BHJP
【FI】
   H04N1/12 Z
   G03B27/62
   B65H5/06 F
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-52019(P2018-52019)
(22)【出願日】2018年3月20日
(65)【公開番号】特開2019-165356(P2019-165356A)
(43)【公開日】2019年9月26日
【審査請求日】2020年4月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 諒
【審査官】 花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−312323(JP,A)
【文献】 特開2010−045695(JP,A)
【文献】 特開2006−115294(JP,A)
【文献】 特開2012−216930(JP,A)
【文献】 特開昭59−194956(JP,A)
【文献】 特開平09−086701(JP,A)
【文献】 特開2012−158422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04 − 1/207
G03B 27/58 −27/64
B65H 5/02
5/06
5/22
29/12 −29/24
29/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームに回転可能に支持される第1ローラと、
前記フレームに回転可能に、かつ、前記第1ローラに接近したり前記第1ローラから離れたりする方向に並進可能に支持され、媒体を前記第1ローラに押し付ける第2ローラと、
駆動軸から前記第2ローラに回転を伝達するジョイント部と、
前記第1ローラと前記駆動軸との両方を回転させる駆動部と、
前記第1ローラと前記第2ローラとの両方が回転することにより搬送される搬送媒体の画像を読み取る読取部と、
ホッパに載置される複数の媒体から前記媒体を分離する分離部と、
第3ローラと、
前記媒体を前記第3ローラに押し付ける第4ローラとを備え
前記駆動部は、前記第3ローラと前記第4ローラとの両方をさらに回転させ、
前記媒体のうちの前記第1ローラに接触する部分は、前記媒体のうちの前記分離部に接触する部分と、前記媒体のうちの前記第3ローラに接触する部分との間に配置され、
前記第2ローラが前記媒体を前記第1ローラに押し付ける力は、前記第4ローラが前記媒体を前記第3ローラに押し付ける力より強い
画像読取装置。
【請求項2】
前記駆動部は、
前記第1ローラを回転させる駆動部本体と、
前記駆動部本体から前記駆動軸に回転を伝達することにより前記第2ローラを回転させる回転伝達機構とを有する
請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記フレームは、
前記第1ローラを回転可能に支持する第1フレームと、
前記第2ローラを回転可能に、かつ、並進可能に支持する第2フレームとを有し、
前記第2フレームは、第1位置または第2位置に配置されるように、移動可能に前記第1フレームに支持され、
前記第2ローラは、
前記第2フレームが前記第1位置に配置されるときに、前記媒体を前記第1ローラに押し付け、
前記第2フレームが前記第2位置に配置されるときに、前記媒体を前記第1ローラに押し付けないように前記第1ローラから離れる
請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記回転伝達機構は、
前記駆動部本体から回転が伝達される第1ギヤと、
前記駆動軸に回転が伝達される第2ギヤとを有し、
前記第2ギヤは、
前記第2フレームが前記第1位置に配置されるときに、前記駆動部本体から前記駆動軸に回転が伝達されるように、前記第1ギヤに噛み合い、
前記第2フレームが前記第2位置に配置されるときに、前記駆動部本体から前記駆動軸に回転が伝達されないように、前記第1ギヤから離れる
請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記回転伝達機構は、前記第2ローラの周速が前記第1ローラの周速より速くなるように形成される
請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
第1モードと第2モードとを切り替える制御部をさらに備え、
前記制御部は、
前記第1モードに切り替えられたときに、前記媒体が前記第1ローラから前記第3ローラに向かって搬送されるように、前記駆動部を制御し、
前記第2モードに切り替えられたときに、前記媒体が前記第3ローラから前記第1ローラに向かって搬送されるように、前記駆動部を制御する
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
媒体を搬送し、その搬送される媒体の画像を読み取る画像読取装置が知られている。このような画像読取装置は、フィードローラとプレッシャローラとを備え、媒体がプレッシャローラによりフィードローラに押し付けられているときにフィードローラが回転することにより、媒体を搬送する。
【0003】
特開昭59−194956号公報には、簡単な機構で単票から厚みのある用紙まで、確実に精度よく送ることの可能な用紙類送り機構が記載されている。特開2006−312323号公報には、部品数の増加による装置の大型化とならずに、媒体のセットし易くかつ搬送ジャムの発生しないプリンタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭59−194956号公報
【特許文献2】特開2006−312323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の一枚媒体が綴じられることにより形成される冊子は、一枚媒体より厚いことによりローラニップへの侵入性が悪く、搬送に不具合が発生することがある。画像読取装置は、搬送に不具合が発生することにより、媒体の画像を読み取るときに、画像伸びに例示される不具合が発生することがある。また、冊子が搬送されるときに、従動ローラが適切に回転しないことにより、めくれが発生することがある。画像読取装置は、めくれが発生することにより、画像を適切に読み取ることができないことがある。画像読取装置は、冊子がキャリアシートに挟まれた状態で搬送されることにより、めくれの発生を防止することができ、冊子の画像を適切に読み取ることができる。しかしながら、冊子をキャリアシートに挟む下準備が必要であり、操作性が悪いという問題がある。
【0006】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、搬送される冊子の画像を容易かつ適切に読み取る画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の態様では、画像読取装置は、第1ローラと第2ローラとジョイント部と駆動部と読取部と分離部と第3ローラと第4ローラとを備えている。前記第1ローラは、フレームに回転可能に支持されている。前記第2ローラは、前記フレームに回転可能に、かつ、前記第1ローラに接近したり前記第1ローラから離れたりする方向に並進可能に支持され、媒体を前記第1ローラに押し付ける。前記ジョイント部は、駆動軸から前記第2ローラに回転を伝達する。前記駆動部は、前記第1ローラと前記駆動軸との両方を回転させる。前記読取部は、前記第1ローラと前記第2ローラとの両方が回転することにより搬送される搬送媒体の画像を読み取る。分離部は、ホッパに載置される複数の媒体から前記媒体を分離する。第4ローラは、前記媒体を前記第3ローラに押し付ける。前記駆動部は、前記第3ローラと前記第4ローラとの両方をさらに回転させる。前記媒体のうちの前記第1ローラに接触する部分は、前記媒体のうちの前記分離部に接触する部分と、前記媒体のうちの前記第3ローラに接触する部分との間に配置されている。前記第2ローラが前記媒体を前記第1ローラに押し付ける力は、前記第4ローラが前記媒体を前記第3ローラに押し付ける力より強い。
【発明の効果】
【0008】
開示の画像読取装置は、搬送される冊子の画像を容易かつ適切に読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例1の画像読取装置を示す側面断面図である。
図2図2は、可動側フレームが開放位置に配置されたときの画像読取装置を示す側面断面図である。
図3図3は、搬送路切替用フラップがスイッチバック搬送位置に配置されたときの画像読取装置を示す側面断面図である。
図4図4は、搬送部を示す斜視図である。
図5図5は、媒体読取用搬送路に薄手媒体が配置されたときの搬送部を示す正面図である。
図6図6は、媒体読取用搬送路に厚手媒体が配置されたときの搬送部を示す正面図である。
図7図7は、画像読取装置を示すブロック図である。
図8図8は、画像読取装置の動作を示すフローチャートである。
図9図9は、厚手媒体が非分離口から合流点に向かって搬送されるときの画像読取装置を示す側面断面図である。
図10図10は、厚手媒体の後端が媒体検出位置を通過したときの画像読取装置を示す側面断面図である。
図11図11は、厚手媒体が合流点から非分離口に向かって搬送されるときの画像読取装置を示す側面断面図である。
図12図12は、実施例2の画像読取装置の第1フィードローラと第1プレッシャローラとを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願が開示する実施形態にかかる画像読取装置について、図面を参照して説明する。なお、以下の記載により本開示の技術が限定されるものではない。また、以下の記載においては、同一の構成要素に同一の符号を付与し、重複する説明を省略する。
【実施例1】
【0011】
図1は、実施例1の画像読取装置を示す側面断面図である。画像読取装置10は、図1に示されているように、フレーム1を備えている。フレーム1は、固定側フレーム2と可動側フレーム3とを備えている。固定側フレーム2は、画像読取装置10が設置される設置面5に載置され、設置面5に固定される。可動側フレーム3は、固定側フレーム2の上部に配置されている。可動側フレーム3は、閉鎖位置または開放位置に配置されるように、回転軸6を中心に回転可能に固定側フレーム2に支持されている。回転軸6は、設置面5が沿う平面に平行である。
【0012】
画像読取装置10は、分離口7と非分離口8と背面側口11と合流点12とが形成されている。分離口7は、画像読取装置10の後側に形成され、固定側フレーム2と可動側フレーム3との間に形成されている。非分離口8は、画像読取装置10のうちの分離口7が形成される後側の反対側の前側に形成され、固定側フレーム2と可動側フレーム3との間に形成されている。非分離口8は、分離口7が形成される位置より設置面5に近い下側の位置に形成されている。背面側口11は、画像読取装置10の後側のうちの分離口7より設置面5に近い側に形成され、設置面5から背面側口11までの距離が設置面5から非分離口8までの距離と等しくなるように、形成されている。合流点12は、非分離口8と背面側口11との間に形成され、固定側フレーム2と可動側フレーム3との間に形成されている。合流点12は、設置面5から合流点12までの距離が設置面5から非分離口8または背面側口11までの距離と等しくなるように、形成されている。
【0013】
画像読取装置10は、ホッパ14をさらに備えている。ホッパ14は、載置面15が形成されている。ホッパ14は、載置面15が斜め上方を向き、載置面15に沿う平面と設置面5に沿う平面とがなす角が55度に概ね等しくなるように、配置されている。ホッパ14は、さらに、載置面15に載置される媒体が重力により分離口7に向かって移動するように、分離口7の近傍に配置され、固定側フレーム2に固定されている。
【0014】
画像読取装置10は、媒体分離用搬送路16と媒体読取用搬送路17と媒体引込用搬送路18とがさらに形成されている。媒体分離用搬送路16は、固定側フレーム2と可動側フレーム3との間に形成されている。媒体分離用搬送路16は、分離口7と合流点12とを接続し、合流点12に近い側の端が分離口7に近い側の端より下側に配置されるように、設置面5が沿う平面に対して傾斜している。媒体読取用搬送路17は、設置面5が沿う平面に平行である他の平面に沿うように形成され、固定側フレーム2と可動側フレーム3との間に形成され、非分離口8と合流点12とを接続している。媒体引込用搬送路18は、媒体読取用搬送路17が沿う平面に沿うように形成され、固定側フレーム2の内部に形成され、背面側口11と合流点12とを接続している。
【0015】
画像読取装置10は、搬送部20をさらに備えている。搬送部20は、分離部21と第1フィードローラ22と第2フィードローラ23と第1プレッシャローラ24と第2プレッシャローラ25とを備えている。分離部21は、媒体分離用搬送路16の途中に形成されている。分離部21は、分離口7から媒体分離用搬送路16に挿入される複数の媒体からホッパ14の載置面15に接触する1つの媒体を分離し、媒体分離用搬送路16を介して、その分離された1つの媒体を分離口7から合流点12に向けて搬送する。
【0016】
第1フィードローラ22は、円柱状に形成されている。第1フィードローラ22は、媒体読取用搬送路17の下側に配置され、回転可能に固定側フレーム2に支持されている。第1フィードローラ22は、正回転(図1で反時計回り)することにより、媒体読取用搬送路17に配置される媒体を合流点12から非分離口8に向けて搬送する。第2フィードローラ23は、媒体読取用搬送路17の下側のうちの第1フィードローラ22と非分離口8との間に配置され、回転可能に固定側フレーム2に支持されている。第2フィードローラ23は、正回転(図1で反時計回り)することにより、媒体読取用搬送路17に配置される媒体を合流点12から非分離口8に向けて搬送する。
【0017】
第1プレッシャローラ24は、円柱状に形成され、第1プレッシャローラ24の径が第1フィードローラ22の径に等しくなるように、形成されている。第1プレッシャローラ24は、媒体読取用搬送路17の上側に配置され、第1フィードローラ22の上側に配置されている。第1プレッシャローラ24は、設置面5に沿う平面に垂直である上下方向に並進可能に、かつ、回転可能に可動側フレーム3に支持されている。第1プレッシャローラ24は、媒体読取用搬送路17に配置される媒体を第1フィードローラ22に押し付け、正回転(図1で時計回り)することにより、媒体読取用搬送路17に配置される媒体を合流点12から非分離口8に向けて搬送する。
【0018】
第2フィードローラ23は、円柱状に形成され、第2フィードローラ23の径が第1フィードローラ22の径に等しくなるように、形成されている。第2フィードローラ23は、媒体読取用搬送路17の下側のうちの第1フィードローラ22と非分離口8との間に配置され、回転可能に固定側フレーム2に支持されている。第2フィードローラ23は、正回転(図1で反時計回り)することにより、媒体読取用搬送路17に配置される媒体を合流点12から非分離口8に向けて搬送する。
【0019】
第2プレッシャローラ25は、円柱状に形成され、第2プレッシャローラ25の径が第2フィードローラ23の径に等しくなるように、形成されている。第2プレッシャローラ25は、媒体読取用搬送路17の上側に配置され、第2フィードローラ23の上側に配置されている。第2プレッシャローラ25は、上下方向に並進可能に、かつ、回転可能に可動側フレーム3に支持されている。第2プレッシャローラ25は、媒体読取用搬送路17に配置される媒体を第2フィードローラ23に押し付け、正回転(図1で時計回り)することにより、媒体読取用搬送路17に配置される媒体を合流点12から非分離口8に向けて搬送する。
【0020】
画像読取装置10は、下側読取部26と上側読取部27とをさらに備えている。下側読取部26は、媒体読取用搬送路17の下側に配置され、第1フィードローラ22と第2フィードローラ23との間に配置されている。下側読取部26は、媒体読取用搬送路17を搬送される媒体の下側の面の画像を読み取る。上側読取部27は、媒体読取用搬送路17の上側のうちの下側読取部26の上側に配置され、第1プレッシャローラ24と第2プレッシャローラ25との間に配置されている。上側読取部27は、媒体読取用搬送路17を搬送される媒体の上側の面の画像を読み取る。
【0021】
画像読取装置10は、媒体位置検出センサ28をさらに備えている。媒体位置検出センサ28は、媒体読取用搬送路17の下側に配置され、第1フィードローラ22と下側読取部26との間に配置されている。媒体位置検出センサ28は、媒体読取用搬送路17のうちの第1フィードローラ22と下側読取部26との間の媒体検出位置に媒体が配置されているか否かを検出し、媒体の端が媒体検出位置を通過するタイミングを検出する。
【0022】
画像読取装置10は、搬送路切替用フラップ29をさらに備えている。搬送路切替用フラップ29は、合流点12に配置され、分離搬送位置とスイッチバック搬送位置とに配置されるように、回転可能に固定側フレーム2に支持されている。搬送路切替用フラップ29は、第1フィードローラ22が正回転することにより、分離搬送位置に移動し、第1フィードローラ22が逆回転することにより、スイッチバック搬送位置に移動する。搬送路切替用フラップ29は、分離搬送位置に配置されているときに、媒体引込用搬送路18を合流点12から遮断し、媒体分離用搬送路16を分離口7から合流点12に搬送される媒体を媒体読取用搬送路17に案内する。
【0023】
図2は、可動側フレーム3が開放位置に配置されたときの画像読取装置10を示す側面断面図である。第1プレッシャローラ24は、可動側フレーム3が開放位置に配置されたときに、図2に示されているように、第1フィードローラ22から離れている。第2プレッシャローラ25は、可動側フレーム3が開放位置に配置されたときに、第2フィードローラ23から離れている。
【0024】
図3は、搬送路切替用フラップ29がスイッチバック搬送位置に配置されたときの画像読取装置10を示す側面断面図である。搬送路切替用フラップ29は、スイッチバック搬送位置に配置されているときに、図3に示されているように、合流点12を媒体引込用搬送路18に接続し、媒体読取用搬送路17を非分離口8から合流点12に搬送される媒体を媒体引込用搬送路18に案内する。
【0025】
図4は、搬送部20を示す斜視図である。搬送部20は、図4に示されているように、第1軸受31と第1付圧ばね32と第2軸受33と第2付圧ばね34とをさらに備えている。第1軸受31は、上下方向に並進可能に可動側フレーム3に支持されている。第1プレッシャローラ24は、第1軸受31に回転可能に支持されている。すなわち、第1プレッシャローラ24は、第1軸受31を介して、上下方向に並進可能に、かつ、回転可能に可動側フレーム3に支持されている。第1付圧ばね32は、可動側フレーム3が閉鎖位置に配置されているときに、第1プレッシャローラ24が第1フィードローラ22に接近するように、弾性力を第1軸受31に与える。
【0026】
第2軸受33は、上下方向に並進可能に可動側フレーム3に支持されている。第2プレッシャローラ25は、第2軸受33に回転可能に支持されている。このため、第2プレッシャローラ25は、上下方向に並進可能に、かつ、回転可能に可動側フレーム3に支持されている。第2付圧ばね34は、可動側フレーム3が閉鎖位置に配置されているときに、第2プレッシャローラ25が第2フィードローラ23に接近するように、弾性力を第2軸受33に与える。第2付圧ばね34が第2軸受33に与える弾性力は、第1付圧ばね32が第1軸受31に与える弾性力より小さい。
【0027】
搬送部20は、第1プレッシャローラ駆動軸35と第2プレッシャローラ駆動軸36と第1ジョイント部37と第2ジョイント部38とローラ駆動部39とをさらに備えている。第1プレッシャローラ駆動軸35は、回転可能に可動側フレーム3に支持されている。第2プレッシャローラ駆動軸36は、回転可能に可動側フレーム3に支持されている。第1ジョイント部37は、ユニバーサルジョイントから形成され、第1プレッシャローラ24の回転軸が第1プレッシャローラ駆動軸35の回転軸と重なっていない場合でも、第1プレッシャローラ駆動軸35の回転を第1プレッシャローラ24に伝達する。第2ジョイント部38は、ユニバーサルジョイントから形成され、第2プレッシャローラ25の回転軸が第2プレッシャローラ駆動軸36の回転軸と重なっていない場合でも、第2プレッシャローラ駆動軸36の回転を第2プレッシャローラ25に伝達する。
【0028】
ローラ駆動部39は、駆動部本体41と回転伝達機構42とを備えている。駆動部本体41は、フィードローラ軸43とモータ45とを備えている。フィードローラ軸43は、棒状に形成され、回転可能に固定側フレーム2に支持されている。モータ45は、固定側フレーム2に支持され、フィードローラ軸43を正回転させたり逆回転させたりする。第1フィードローラ22は、フィードローラ軸43に固定されることにより、回転可能に固定側フレーム2に支持されている。このため、第1フィードローラ22は、フィードローラ軸43が正回転するときに、正回転し、フィードローラ軸43が逆回転するときに、逆回転する。
【0029】
回転伝達機構42は、第1フィードギヤ51とアイドラギヤ52と第2フィードギヤ53と第1可動側ギヤ54と第2可動側ギヤ55とを備えている。第1フィードギヤ51は、円板状に形成され、外周に複数の歯が形成され、フィードローラ軸43に固定されている。アイドラギヤ52は、円板状に形成され、外周に複数の歯が形成され、回転可能に固定側フレーム2に支持されている。アイドラギヤ52の複数の歯は、第1フィードギヤ51の複数の歯に噛み合っている。このため、アイドラギヤ52は、フィードローラ軸43が回転することにより回転する。
【0030】
第2フィードギヤ53は、円板状に形成され、外周に複数の歯が形成され、第2フィードローラ23に固定されている。第2フィードギヤ53の複数の歯は、アイドラギヤ52の複数の歯に噛み合っている。このため、第2フィードギヤ53は、アイドラギヤ52が回転することにより回転し、フィードローラ軸43が回転することにより回転する。すなわち、第2フィードローラ23は、回転伝達機構42により、フィードローラ軸43が正回転するときに正回転し、フィードローラ軸43が逆回転するときに逆回転する。
【0031】
第1可動側ギヤ54は、円板状に形成され、外周に複数の歯が形成され、第1プレッシャローラ駆動軸35に固定されている。第1可動側ギヤ54は、可動側フレーム3が閉鎖位置に配置されているときに、第1可動側ギヤ54の複数の歯が第1フィードギヤ51の複数の歯に噛み合うように、第1フィードギヤ51に接触している。このため、第1可動側ギヤ54は、可動側フレーム3が閉鎖位置に配置されているときに、フィードローラ軸43が回転することにより回転する。すなわち、第1プレッシャローラ駆動軸35は、可動側フレーム3が閉鎖位置に配置されているときに、回転伝達機構42により、フィードローラ軸43が正回転するときに正回転し、フィードローラ軸43が逆回転するときに逆回転する。第1可動側ギヤ54は、可動側フレーム3が開放位置に配置されているときに、第1可動側ギヤ54の複数の歯が第1フィードギヤ51の複数の歯に噛み合わないように、第1フィードギヤ51から離れている。
【0032】
第2可動側ギヤ55は、円板状に形成され、外周に複数の歯が形成され、第2プレッシャローラ駆動軸36に固定されている。第2可動側ギヤ55は、可動側フレーム3が閉鎖位置に配置されているときに、第2可動側ギヤ55の複数の歯が第2フィードギヤ53の複数の歯に噛み合うように、第2フィードギヤ53に接触している。このため、第2可動側ギヤ55は、可動側フレーム3が閉鎖位置に配置されているときに、フィードローラ軸43が回転することにより回転する。すなわち、第2プレッシャローラ駆動軸36は、可動側フレーム3が閉鎖位置に配置されているときに、回転伝達機構42により、フィードローラ軸43が正回転するときに正回転し、フィードローラ軸43が逆回転するときに逆回転する。第2可動側ギヤ55は、可動側フレーム3が開放位置に配置されているときに、第2可動側ギヤ55の複数の歯が第2フィードギヤ53の複数の歯に噛み合わないように、第2フィードギヤ53から離れている。
【0033】
回転伝達機構42は、さらに、第2フィードローラ23の回転数が第1フィードローラ22の回転数に等しくなるように、フィードローラ軸43の回転を第2フィードローラ23に伝達している。回転伝達機構42は、さらに、第1プレッシャローラ24の回転数が第1フィードローラ22の回転数に等しくなるように、フィードローラ軸43の回転を第1プレッシャローラ駆動軸35に伝達している。回転伝達機構42は、さらに、第2プレッシャローラ25の回転数が第2フィードローラ23の回転数に等しくなるように、第2フィードローラ23の回転を第2プレッシャローラ駆動軸36に伝達している。このため、第2フィードローラ23の周速と第1フィードローラ22の周速と第1プレッシャローラ24の周速と第2プレッシャローラ25の周速とは、互いに等しい。ここで、周速は、単位時間当たりのローラの回転数にローラの径を乗算した値を示している。
【0034】
図5は、媒体読取用搬送路17に薄手媒体58が配置されたときの搬送部20を示す正面図である。第1プレッシャローラ24の回転軸は、薄手媒体58が媒体読取用搬送路17に配置されたときに、図5に示されているように、第1プレッシャローラ駆動軸35の回転軸より第1フィードローラ22に近い側に配置されることがある。薄手媒体58としては、1枚の用紙から形成される一枚媒体が例示される。第1プレッシャローラ24は、薄手媒体58が媒体読取用搬送路17に配置された場合でも、上下方向に並進可能であることにより、第1フィードローラ22に薄手媒体58を適切に押し付けることができる。また、第1プレッシャローラ24は、薄手媒体58が媒体読取用搬送路17に配置された場合でも、第1ジョイント部37を介して回転が第1プレッシャローラ駆動軸35から伝達されることにより、適切に回転することができる。すなわち、第1フィードローラ22と第1プレッシャローラ24とは、薄手媒体58が媒体読取用搬送路17に配置された場合でも、媒体読取用搬送路17で薄手媒体58を適切に搬送することができる。
【0035】
図6は、媒体読取用搬送路17に厚手媒体59が配置されたときの搬送部20を示す正面図である。第1プレッシャローラ24の回転軸は、厚手媒体59が媒体読取用搬送路17に配置されたときに、図6に示されているように、第1プレッシャローラ駆動軸35の回転軸より第1フィードローラ22から遠い側に配置されることがある。厚手媒体59としては、複数の一枚媒体が綴じられることにより形成される冊子が例示される。第1プレッシャローラ24は、厚手媒体59が媒体読取用搬送路17に配置された場合でも、上下方向に並進可能であることにより、第1フィードローラ22に厚手媒体59を適切に押し付けることができる。また、第1プレッシャローラ24は、厚手媒体59が媒体読取用搬送路17に配置された場合でも、第1ジョイント部37を介して回転が第1プレッシャローラ駆動軸35から伝達されることにより、適切に回転することができる。すなわち、第1フィードローラ22と第1プレッシャローラ24とは、厚手媒体59が媒体読取用搬送路17に配置された場合でも、媒体読取用搬送路17で厚手媒体59を適切に搬送することができる。
【0036】
第2プレッシャローラ25の回転軸も、第1プレッシャローラ24と同様に、第2プレッシャローラ駆動軸36の回転軸と重ならないように、配置されることがある。第2プレッシャローラ25は、回転軸が第2プレッシャローラ駆動軸36の回転軸と重ならない場合でも、第2ジョイント部38が設けられていることにより、第1プレッシャローラ24と同様に、フィードローラ軸43の回転が適切に伝達されることができる。
【0037】
画像読取装置10は、フィードローラ軸43の回転を分離部21に伝達する分離用回転伝達機構(図示されていない)をさらに備えている。このため、分離部21は、フィードローラ軸43が正回転するときに、分離口7から媒体分離用搬送路16に挿入される複数の媒体から載置面15に接触する1つの媒体を分離する。分離部21は、フィードローラ軸43が正回転するときに、さらに、媒体分離用搬送路16を介して、その分離された1つの媒体を分離口7から合流点12に向けて搬送する。このとき、分離用回転伝達機構は、分離部21により搬送される媒体の速さが、第1フィードローラ22と第1プレッシャローラ24とにより搬送される媒体の速さに等しくなるように、形成されている。
【0038】
分離部21は、さらに、複数の媒体のうちのその分離される1つの媒体と異なる残りの媒体が1つの媒体とともに分離部21より合流点12に近い側に搬送されないように、合流点12に近い側に搬送する力に対抗する抵抗力を残りの媒体に与えている。分離部21により媒体が媒体分離用搬送路16を搬送される速さは、残りの媒体に抵抗力が与えられていることにより、第1フィードローラ22と第1プレッシャローラ24とが媒体を搬送する速さより遅くなることがある。
【0039】
図7は、画像読取装置10を示すブロック図である。画像読取装置10は、図7に示されているように、エンプティセンサ61と制御部62とをさらに備えている。エンプティセンサ61は、ホッパ14に媒体が載置されているか否かを検出する。
【0040】
制御部62は、コンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)63と記憶装置64と入出力装置65とを備えている。CPU63は、制御部62にインストールされるコンピュータプログラムを実行することにより、情報処理し、記憶装置64と入出力装置65とを制御する。記憶装置64は、そのコンピュータプログラムを記録し、CPU63により利用される情報を記録する。記憶装置64は、例えばRAM・ROM等のメモリ、ハードディスクのような固定ディスク装置、SSD(Solid State Drive)、および/または、光ディスク等を用いることができる。入出力装置65は、スキャンボタンを備え、ユーザに操作されることにより生成される情報をCPU63に出力し、CPU63により生成された情報をユーザに認識されることができるように出力する。たとえば、入出力装置65は、スキャンボタンを備え、スキャンボタンが押下されたか否かを検出し、検出結果をCPU63に出力する。
【0041】
制御部62は、そのコンピュータプログラムを実行することにより、さらに、モータ45とエンプティセンサ61と媒体位置検出センサ28と下側読取部26と上側読取部27とを制御する。すなわち、制御部62は、ホッパ14に媒体が載置されているか否かが検出されるように、エンプティセンサ61を制御する。制御部62は、さらに、画像読取装置10への操作に基づいて正回転モードと逆回転モードとを切り替える。制御部62は、正回転モードに切り替えられたときにフィードローラ軸43が正回転するように、かつ、逆回転モードに切り替えられたときにフィードローラ軸43が逆回転するように、モータ45を制御する。制御部62は、媒体読取用搬送路17のうちの媒体検出位置に媒体が配置されているか否かが検出されるように、また、媒体の端が媒体検出位置を通過するタイミングが検出されるように、媒体位置検出センサ28を制御する。制御部62は、媒体読取用搬送路17を搬送される媒体の両面の画像が読み取られるように、下側読取部26と上側読取部27とを制御する。
【0042】
[画像読取装置10の動作]
図8は、画像読取装置10の動作を示すフローチャートである。ユーザは、画像読取装置10を用いて複数の薄手媒体の画像を読み取りたいときに、ホッパ14に複数の薄手媒体を載置した後に、スキャンボタンを押下する。複数の薄手媒体の各々は、たとえば、一枚媒体から形成され、複数の薄手媒体は、綴じられておらず、互いに分離されることができる。複数の薄手媒体は、ホッパ14に載置されたときに、重力により分離口7に挿入され、分離部21に接触する。ユーザは、画像読取装置10を用いて厚手媒体の画像を読み取りたいときに、スキャンボタンを押下し、厚手媒体が第2フィードローラ23と第2プレッシャローラ25との間に挟まれるように、厚手媒体を非分離口8に挿入する。厚手媒体としては、複数の一枚媒体が綴じられることにより形成される冊子が例示される。
【0043】
制御部62は、画像読取装置10が起動しているときに、入出力装置65を制御することにより、スキャンボタンが押下されたか否かを検出する。制御部62は、スキャンボタンが押下されたことが検出されると、エンプティセンサ61を制御することにより、ホッパ14に媒体が載置されているか否かを検出する(ステップS1)。制御部62は、ホッパ14に媒体が載置されていることが検出されたときに(ステップS1、Yes)、正回転モードに切り替え、モータ45を制御することにより、フィードローラ軸43を正回転させる(ステップS2)。
【0044】
分離部21は、フィードローラ軸43が正回転することにより、ホッパ14に載置されている複数の薄手媒体のうちの載置面15に接触している1つの薄手媒体を複数の薄手媒体から分離する。分離部21は、フィードローラ軸43が正回転することにより、さらに、媒体分離用搬送路16を介して、その分離された1つの薄手媒体を分離口7から合流点12に向けて搬送する。搬送路切替用フラップ29は、フィードローラ軸43が正回転することにより、分離搬送位置に配置され、媒体分離用搬送路16を分離口7から合流点12に向かって搬送される1つの薄手媒体を媒体読取用搬送路17に案内する。このため、分離部21により分離口7から合流点12に向かって搬送された1つの薄手媒体は、媒体読取用搬送路17に搬送され、第1フィードローラ22と第1プレッシャローラ24との間に挟まれる。
【0045】
第1プレッシャローラ24は、1つの薄手媒体が第1フィードローラ22と第1プレッシャローラ24との間に挟まれたときに、その挟まれた1つの薄手媒体を第1フィードローラ22に押し付ける。フィードローラ軸43が正回転することにより、第1フィードローラ22は、正回転し、第1プレッシャローラ24は、正回転する。第1フィードローラ22と第1プレッシャローラ24とは、正回転することにより、第1プレッシャローラ24により第1フィードローラ22に押し付けられた1つの薄手媒体を、媒体読取用搬送路17を介して、非分離口8に向けて搬送する。
【0046】
第1フィードローラ22と第1プレッシャローラ24とにより媒体読取用搬送路17を非分離口8に向かって搬送される1つの薄手媒体は、媒体検出位置を通過した後に、下側読取部26と上側読取部27との間を搬送される。制御部62は、フィードローラ軸43が正回転しているときに、媒体位置検出センサ28を制御することにより、1つの薄手媒体の先端が媒体検出位置を通過する先端通過タイミングを検出し、1つの薄手媒体の後端が媒体検出位置を通過する後端通過タイミングを検出する。制御部62は、その検出された先端通過タイミングと後端通過タイミングとに基づいて算出される読取期間に、下側読取部26と上側読取部27とを制御することにより、1つの薄手媒体の両面の画像を読み取る(ステップS3)。第1フィードローラ22と第1プレッシャローラ24とにより非分離口8に向かって搬送される1つの薄手媒体は、下側読取部26と上側読取部27との間を通過した後に、第2フィードローラ23と第2プレッシャローラ25との間に挟まれる。
【0047】
第2プレッシャローラ25は、1つの薄手媒体が第2フィードローラ23と第2プレッシャローラ25との間に挟まれたときに、その挟まれた1つの薄手媒体を第2フィードローラ23に押し付ける。フィードローラ軸43が正回転していることにより、第2フィードローラ23は、正回転し、第2プレッシャローラ25は、正回転している。第2フィードローラ23と第2プレッシャローラ25とは、正回転することにより、第2フィードローラ23と第2プレッシャローラ25とに挟まれた1つの薄手媒体を、媒体読取用搬送路17を介して非分離口8に向かって搬送し、非分離口8から排出する。
【0048】
制御部62は、ホッパ14に媒体が載置されていることが検出されているときに(ステップS4、Yes)、複数の薄手媒体の個数と等しい回数だけステップS3の処理を繰り返し実行し、ホッパ14に載置されている複数の薄手媒体の全部の両面の画像を読み取る。制御部62は、ホッパ14に媒体が載置されていないことが検出されたときに(ステップS4、No)、複数の薄手媒体の全部が非分離口8を介して排出された後に、モータ45を制御することにより、フィードローラ軸43の回転を停止させる(ステップS5)。
【0049】
制御部62は、スキャンボタンが押下された直後にホッパ14に媒体が載置されていないことが検出されたときに(ステップS1、No)、逆回転モードに切り替え、モータ45を制御することにより、フィードローラ軸43を逆回転させる(ステップS6)。フィードローラ軸43が逆回転することにより、第2フィードローラ23は、逆回転し、第2プレッシャローラ25は、逆回転する。
【0050】
第2プレッシャローラ25は、厚手媒体が第2フィードローラ23と第2プレッシャローラ25との間に挟まれているときに、その挟まれた厚手媒体を第2フィードローラ23に押し付ける。第2フィードローラ23と第2プレッシャローラ25とは、逆回転することにより、第2プレッシャローラ25により第2フィードローラ23に押し付けられた厚手媒体を、媒体読取用搬送路17を介して合流点12に向けて搬送する。
【0051】
制御部62は、フィードローラ軸43が逆回転しているときに、媒体位置検出センサ28を制御することにより、フィードローラ軸43が逆回転を開始したタイミングから所定の期間の間に、媒体検出位置を厚手媒体が通過したか否かを検出する(ステップS7)。制御部62は、所定の期間に厚手媒体が媒体検出位置を通過することが検出されないときに(ステップS7、No)、モータ45を制御することにより、フィードローラ軸43の回転を停止させる(ステップS8)。ステップS7〜ステップS8の処理によれば、画像読取装置10は、媒体読取用搬送路17を厚手媒体が適切に搬送されないときに、フィードローラ軸43が逆回転し続けることを防止することができる。
【0052】
制御部62は、所定の期間に厚手媒体が媒体検出位置を通過したことが検出されたときに(ステップS7、Yes)、厚手媒体が媒体検出位置で検出されなくなるまでフィードローラ軸43の逆回転を継続させる(ステップS9)。第2フィードローラ23と第2プレッシャローラ25とにより媒体読取用搬送路17を合流点12に向かって搬送される厚手媒体は、媒体検出位置を通過した後に、第1フィードローラ22と第1プレッシャローラ24との間に挟まれる。第1プレッシャローラ24は、厚手媒体が第1フィードローラ22と第1プレッシャローラ24との間に挟まれたときに、その挟まれた厚手媒体を第1フィードローラ22に押し付ける。フィードローラ軸43が逆回転することにより、第1フィードローラ22は、逆回転し、第1プレッシャローラ24は、逆回転している。第1フィードローラ22と第1プレッシャローラ24とは、逆回転することにより、第1プレッシャローラ24により第1フィードローラ22に押し付けられた厚手媒体を、媒体読取用搬送路17を介して、合流点12に向けて搬送する。
【0053】
搬送路切替用フラップ29は、フィードローラ軸43が逆回転することにより、スイッチバック搬送位置に配置され、媒体読取用搬送路17を非分離口8から合流点12に向かって搬送される厚手媒体を媒体引込用搬送路18に案内する。図9は、厚手媒体67が非分離口8から合流点12に向かって搬送されるときの画像読取装置10を示す側面断面図である。非分離口8から合流点12に向かって搬送された厚手媒体67は、図9に示されているように、搬送路切替用フラップ29がスイッチバック搬送位置に配置されていることにより、媒体引込用搬送路18に案内される。厚手媒体67は、第1フィードローラ22と第1プレッシャローラ24とにより合流点12に向かって搬送されることにより、媒体引込用搬送路18に搬送され、後端68が第2フィードローラ23と第2プレッシャローラ25とから離れる。
【0054】
厚手媒体67は、図10に示されているように、第1フィードローラ22と第1プレッシャローラ24とにより合流点12に向かってさらに搬送されることにより、後端68が媒体検出位置を通過する。図10は、厚手媒体67の後端68が媒体検出位置を通過したときの画像読取装置10を示す側面断面図である。制御部62は、媒体位置検出センサ28を制御することにより、厚手媒体67のうちの後端68が媒体検出位置を通過した後端通過タイミングを検出する。制御部62は、モータ45を制御することにより、検出された後端通過タイミングの直後に、フィードローラ軸43の回転を停止させる。厚手媒体67は、後端通過タイミングの直後にフィードローラ軸43の回転が停止することにより、厚手媒体67が第1フィードローラ22と第1プレッシャローラ24とに挟まれた状態で、停止する。
【0055】
制御部62は、フィードローラ軸43の回転が停止した後に、正回転モードに切り替え、モータ45を制御することにより、フィードローラ軸43を正回転させる(ステップS10)。第1フィードローラ22と第1プレッシャローラ24とは、正回転することにより、第1プレッシャローラ24により第1フィードローラ22に押し付けられた厚手媒体67を、媒体読取用搬送路17を介して、非分離口8に向けて搬送する。図11は、厚手媒体67が合流点12から非分離口8に向かって搬送されるときの画像読取装置10を示す側面断面図である。厚手媒体67は、媒体読取用搬送路17を非分離口8に向かって搬送されることにより、媒体検出位置を通過した後に、下側読取部26と上側読取部27との間を搬送される。制御部62は、フィードローラ軸43が正回転しているときに、さらに、媒体位置検出センサ28を制御することにより、厚手媒体67の両端が媒体検出位置をそれぞれ通過する先端通過タイミングと後端通過タイミングとを検出する。制御部62は、その検出された先端通過タイミングと後端通過タイミングとに基づいて算出される読取期間に、下側読取部26と上側読取部27とを制御することにより、厚手媒体67の両面の画像を読み取る(ステップS11)。厚手媒体67は、第1フィードローラ22と第1プレッシャローラ24とにより非分離口8に向かって搬送されることにより、下側読取部26と上側読取部27との間を通過した後に、第2フィードローラ23と第2プレッシャローラ25との間に挟まれる。
【0056】
第2プレッシャローラ25は、厚手媒体67が第2フィードローラ23と第2プレッシャローラ25との間に挟まれたときに、厚手媒体67を第2フィードローラ23に押し付ける。フィードローラ軸43が正回転していることにより、第2フィードローラ23は、正回転し、第2プレッシャローラ25は、正回転している。第2フィードローラ23と第2プレッシャローラ25とは、正回転することにより、厚手媒体67を、媒体読取用搬送路17を介して非分離口8に向かって搬送し、非分離口8から排出する。制御部62は、厚手媒体67が非分離口8を介して排出された後に、モータ45を制御することにより、フィードローラ軸43の回転を停止させる(ステップS5)。
【0057】
このような動作によれば、厚手媒体67は、分離部21を通過しないことにより、めくれに例示される不具合の発生を防止することができる。さらに、厚手媒体67は、媒体読取用搬送路17と媒体引込用搬送路18とを搬送されることにより、搬送されるときに屈曲される程度を低減することができる。さらに、厚手媒体67は、第1フィードローラ22と第1プレッシャローラ24とにより搬送されているときに、第1フィードローラ22と第1プレッシャローラ24とが両輪駆動していることにより、不具合の発生が防止される。厚手媒体67は、さらに、第2フィードローラ23と第2プレッシャローラ25とにより搬送されているときに、第2フィードローラ23と第2プレッシャローラ25とが両輪駆動していることにより、不具合の発生が防止される。その不具合としては、めくれが例示される。画像読取装置10は、厚手媒体67に発生する不具合を防止することにより、厚手媒体67の画像を適切に読み取ることができる。
【0058】
[画像読取装置10の効果]
実施例1の画像読取装置10は、第1フィードローラ22と第1プレッシャローラ24と第1ジョイント部37とローラ駆動部39と下側読取部26と上側読取部27とを備えている。第1フィードローラ22は、フレーム1に回転可能に支持されている。第1プレッシャローラ24は、フレーム1に回転可能に、かつ、並進可能に支持され、媒体を第1フィードローラ22に押し付ける。第1ジョイント部37は、第1プレッシャローラ駆動軸35から第1プレッシャローラ24に回転を伝達する。ローラ駆動部39は、第1フィードローラ22と第1プレッシャローラ駆動軸35との両方を回転させる。下側読取部26と上側読取部27とは、第1フィードローラ22と第1プレッシャローラ24との両方が回転することにより搬送される媒体の画像を読み取る。画像読取装置10は、第1フィードローラ22により搬送される媒体に第1プレッシャローラ24が従動して回転する他の画像読取装置に比較して、冊子を適切に搬送することができ、冊子の画像を適切に読み取ることができる。
【0059】
また、実施例1の画像読取装置10のローラ駆動部39は、駆動部本体41と回転伝達機構42とを備えている。駆動部本体41は、第1フィードローラ22を回転させる。回転伝達機構42は、駆動部本体41から第1プレッシャローラ駆動軸35に回転を伝達することにより第1プレッシャローラ24を回転させる。画像読取装置10は、第1フィードローラ22を回転させる駆動源と、第1プレッシャローラ24を回転させる駆動源とが別個である他の画像読取装置に比較して、部品点数を低減することができ、容易に作製されることができる。
【0060】
ところで、実施例1の画像読取装置10は、1つのモータ45を用いて第1フィードローラ22と第1プレッシャローラ24とを回転させているが、第1フィードローラ22と第1プレッシャローラ24とをそれぞれ回転させる2つのモータが設けられてもよい。実施例1の画像読取装置10は、2つのモータが設けられている場合でも、冊子を適切に搬送することができ、冊子の画像を適切に読み取ることができる。
【0061】
また、実施例1の画像読取装置10のフレーム1は、第1フィードローラ22を回転可能に支持する固定側フレーム2と、第1プレッシャローラ24を回転可能に、かつ、並進可能に支持する可動側フレーム3とを備えている。可動側フレーム3は、閉鎖位置または開放位置に配置されるように、移動可能に固定側フレーム2に支持されている。第1プレッシャローラ24は、可動側フレーム3が閉鎖位置に配置されるときに、媒体を第1フィードローラ22に押し付ける。第1プレッシャローラ24は、可動側フレーム3が開放位置に配置されるときに、媒体を第1フィードローラ22に押し付けないように第1フィードローラ22から離れる。画像読取装置10は、可動側フレーム3が固定側フレーム2に対して移動可能であることにより、第1フィードローラ22と第1プレッシャローラ24とのメンテナンスを容易化することができる。
【0062】
また、実施例1の画像読取装置10の回転伝達機構42は、駆動部本体41から回転が伝達される第1フィードギヤ51と、第1プレッシャローラ駆動軸35に回転が伝達される第1可動側ギヤ54とを備えている。第1可動側ギヤ54は、可動側フレーム3が閉鎖位置に配置されるときに、駆動部本体41から第1プレッシャローラ駆動軸35に回転が伝達されるように、第1フィードギヤ51に噛み合っている。第1可動側ギヤ54は、可動側フレーム3が開放位置に配置されるときに、駆動部本体41から第1プレッシャローラ駆動軸35に回転が伝達されないように、第1フィードギヤ51から離れている。画像読取装置10は、第1フィードギヤ51と第1可動側ギヤ54とが設けられていることにより、可動側フレーム3が固定側フレーム2に対して移動可能であり、かつ、可動側フレーム3が閉鎖位置に配置されるときに、第1フィードギヤ51と第1プレッシャローラ駆動軸35とを適切に回転させることができる。画像読取装置10は、第1フィードギヤ51と第1可動側ギヤ54とが離れるように、回転可能に可動側フレーム3が固定側フレーム2に支持されていることにより、第1フィードギヤ51と第1可動側ギヤ54とのメンテナンスを容易化することができる。
【0063】
ところで、実施例1の画像読取装置10の可動側フレーム3は、回転可能に固定側フレーム2に支持されているが、固定側フレーム2に固定されてもよい。画像読取装置10は、可動側フレーム3が固定側フレーム2に固定された場合でも、冊子を適切に搬送することができ、冊子の画像を適切に読み取ることができる。
【0064】
また、実施例1の画像読取装置10は、ホッパ14に載置される複数の媒体から媒体を分離する分離部21と、第2フィードローラ23と、媒体を第2フィードローラ23に押し付ける第2プレッシャローラ25とをさらに備えている。ローラ駆動部39は、第2フィードローラ23と第2プレッシャローラ25との両方をさらに回転させる。第2フィードローラ23は、媒体のうちの第1フィードローラ22に接触する部分が、媒体のうちの分離部21に接触する部分と、媒体のうちの第2フィードローラ23に接触する部分との間に配置されるように、配置されている。また、第1フィードローラ22は、媒体のうちの第1フィードローラ22に接触する部分が、媒体のうちの分離部21に接触する部分と、媒体のうちの下側読取部26と上側読取部27とに接触する部分との間に配置されるように、配置されている。このとき、第1プレッシャローラ24が媒体を第1フィードローラ22に押し付ける力は、第2プレッシャローラ25が媒体を第2フィードローラ23に押し付ける力より強い。分離部21により媒体が搬送される速さは、分離部21が複数の媒体から1つの媒体を分離することにより、変動することがある。画像読取装置10は、第1プレッシャローラ24が媒体を第1フィードローラ22に押し付ける力を強くすることにより、分離部21が媒体を搬送する速さの変動が、画像を読み取られる媒体が搬送される速さに及ぼす影響を低減することができる。画像読取装置10は、媒体が下側読取部26と上側読取部27との間を搬送される速さが変動することを防止することにより、下側読取部26と上側読取部27とを用いて媒体の画像を適切に読み取ることができる。
【0065】
また、実施例1の画像読取装置10は、正回転モードと逆回転モードとを切り替える制御部62をさらに備えている。制御部62は、正回転モードに切り替えられたときに、媒体が第1フィードローラ22から第2フィードローラ23に向かって搬送されるように、ローラ駆動部39を制御する。制御部62は、逆回転モードに切り替えられたときに、媒体が第2フィードローラ23から第1フィードローラ22に向かって搬送されるように、ローラ駆動部39を制御する。画像読取装置10は、媒体の搬送方向を切り替えることにより、厚手媒体67をスイッチバック搬送することができる。画像読取装置10は、厚手媒体67をスイッチバック搬送することにより、厚手媒体67が分離部21を通過しないようにしたり、厚手媒体67の屈曲を低減したりすることができ、厚手媒体67に発生する不具合を防止することができる。画像読取装置10は、厚手媒体67に発生する不具合を防止することにより、厚手媒体67の画像を適切に読み取ることができる。
【実施例2】
【0066】
実施例2の画像読取装置は、既述の実施例1の画像読取装置10の第1プレッシャローラ24と回転伝達機構42とが他の第1プレッシャローラ71と他の回転伝達機構とにそれぞれ置換され、他の部分は同じである。図12は、実施例2の画像読取装置の第1フィードローラ22と第1プレッシャローラ71とを示す側面図である。第1プレッシャローラ71は、図12に示されているように、第1プレッシャローラ24と同様に円柱状に形成され、第1プレッシャローラ71の径が第1フィードローラ22の径より大きくなるように、形成されている。このとき、実施例2の画像読取装置の回転伝達機構は、第1プレッシャローラ71の周速が第1フィードローラ22の周速に等しくなるように、フィードローラ軸43の回転を第1プレッシャローラ駆動軸35に伝達している。
【0067】
実施例2の画像読取装置も、既述の実施例1の画像読取装置10と同様に、厚手媒体67に発生する不具合を防止することができ、厚手媒体67の画像を適切に読み取ることができる。実施例2の画像読取装置は、第1プレッシャローラ71の径が大きいことにより、厚手媒体が搬送されるときに、既述の実施例1の画像読取装置10に比較して、第1プレッシャローラ71を適切に上昇させることができ、厚手媒体を適切に搬送することができる。また、実施例2の画像読取装置は、第2プレッシャローラ25に関しても、第2フィードローラ23の径より大きい径を有する他の第2プレッシャローラに置換されてもよい。
【0068】
ところで、実施例1の画像読取装置10の第1プレッシャローラ24は、回転伝達機構42と第1ジョイント部37とに形成されているガタにより、第1プレッシャローラ24に接触する媒体に従動して回転することがある。媒体は、第1プレッシャローラ24が媒体に従動して回転するときに、めくれに例示される不具合が発生することがある。このため、回転伝達機構42は、第1プレッシャローラ24の周速が第1フィードローラ22の周速と異なるように、たとえば、第1プレッシャローラ24の周速が第1フィードローラ22の周速より速くなるように、形成されてもよい。このとき、画像読取装置10は、第1プレッシャローラ24が媒体に従動して回転することを防止することができ、搬送される媒体に不具合が発生することを防止することができる。また、実施例1の画像読取装置10は、第1フィードローラ22の径または第1プレッシャローラ24の径を変更することにより、第1プレッシャローラ24の周速と第1フィードローラ22の周速とを異ならせてもよい。
【0069】
以上、実施例を説明したが、前述した内容により実施例が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、実施例の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0070】
10 :画像読取装置
1 :フレーム
2 :固定側フレーム
3 :可動側フレーム
11 :背面側口
21 :分離部
22 :第1フィードローラ
23 :第2フィードローラ
24 :第1プレッシャローラ
25 :第2プレッシャローラ
26 :下側読取部
27 :上側読取部
35 :第1プレッシャローラ駆動軸
36 :第2プレッシャローラ駆動軸
37 :第1ジョイント部
38 :第2ジョイント部
39 :ローラ駆動部
41 :駆動部本体
42 :回転伝達機構
43 :フィードローラ軸
45 :モータ
51 :第1フィードギヤ
52 :アイドラギヤ
53 :第2フィードギヤ
54 :第1可動側ギヤ
55 :第2可動側ギヤ
58 :薄手媒体
59 :厚手媒体
62 :制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12