(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0013】
〔第1の実施の形態〕
第1の実施の形態におけるタッチパネルについて説明する。本実施の形態は、タッチパネルにおける接触点が2点の場合の検出を行なうことができる5線式のタッチパネルである。
【0014】
図1に基づき、本実施の形態におけるタッチパネルについて説明する。本実施の形態におけるタッチパネルは、上部電極基板10と下部電極基板20とを有している。上部電極基板10は、ガラスや透明な樹脂材料により形成された4角形の形状の基板の表面に、ITO(Indium Tin Oxide)等により上部導電膜となる透明導電膜11が形成されている。また、下部電極基板20は、ガラスや透明な樹脂材料により形成された4角形の基板の表面に、ITO等により下部導電膜となる透明導電膜21が形成されている。上部電極基板10と下部電極基板20は、透明導電膜11と透明導電膜21が対向している状態で設置されている。
【0015】
下部電極基板20の4隅には、透明導電膜21の上に、第1の給電端子31、第2の給電端子32、第3の給電端子33、第4の給電端子34が設けられている。本実施の形態においては、第1の給電端子31と第2の給電端子32を結ぶ直線と第3の給電端子33と第4の給電端子34を結ぶ直線は、ともにY軸と平行になるように形成されている。また、第1の給電端子31と第3の給電端子33を結ぶ直線と第2の給電端子32と第4の給電端子34を結ぶ直線は、ともにX軸と平行になるように形成されている。
【0016】
第1の給電端子31は接地されており、0Vが印加されている。第2の給電端子32には、第1のスイッチSW1の一方の端子が接続されており、第1のスイッチSW1の他方の端子は接地電位に接続されている。第3の給電端子33には、第2のスイッチSW2の一方の端子が接続されており、第2のスイッチSW2の他方の端子は接地電位に接続されている。
【0017】
また、第2の給電端子32は、直列に接続された第3のスイッチSW3と第1の抵抗41とを介し、電源電位に接続されている。第3の給電端子33は、直列に接続された第6のスイッチSW6と第2の抵抗42とを介し、電源電位に接続されている。第4の給電端子34は、直列に接続された第4のスイッチSW4と第1の抵抗41とを介し、電源電位に接続されている。更に、第4の給電端子34は、直列に接続された第5のスイッチSW5と第2の抵抗42とを介し、電源電位に接続されている。
【0018】
即ち、第2の給電端子32は、第3のスイッチSW3の一方の端子と接続されており、第4の給電端子34は、第4のスイッチSW4の一方の端子と接続されており、第3のスイッチSW3の他方の端子と第4のスイッチSW4の他方の端子とは接続されている。更に、第3のスイッチSW3の他方の端子及び第4のスイッチSW4の他方の端子は、第1の抵抗41の一方の端子と接続されており、第1の抵抗41の他方の端子は、電源電位に接続されている。また、第3のスイッチSW3の他方の端子及び第4のスイッチSW4の他方の端子と第1の抵抗41の一方の端子との接続部分には、第1の電位測定部51が接続されている。
【0019】
また、第3の給電端子33は、第6のスイッチSW6の一方の端子と接続されており、第4の給電端子34は、第5のスイッチSW5の一方の端子と接続されており、第6のスイッチSW6の他方の端子と第5のスイッチSW5の他方の端子とは接続されている。更に、第6のスイッチSW6の他方の端子及び第5のスイッチSW5の他方の端子は、第2の抵抗42の一方の端子と接続されており、第2の抵抗42の他方の端子は、電源電位に接続されている。また、第6のスイッチSW6の他方の端子及び第5のスイッチSW5の他方の端子と第2の抵抗42の一方の端子との接続部分には、第2の電位測定部52が接続されている。
【0020】
本実施の形態におけるタッチパネルにおいて、X軸方向における測定を行なう場合には、第1のスイッチSW1を閉じ、第2のスイッチSW2を開き、第3のスイッチSW3及び第4のスイッチSW4を開き、第5のスイッチSW5及び第6のスイッチSW6を閉じる。これにより、
図2に示されるように、第1の給電端子31及び第2の給電端子32は接地され、第3の給電端子33及び第4の給電端子34は、第2の抵抗42を介し電源電位に接続される。これにより、下部電極基板20における透明導電膜21には、X方向に電位分布が発生する。
【0021】
また、Y軸方向における測定を行なう場合には、第1のスイッチSW1を開き、第2のスイッチSW2を閉じ、第3のスイッチSW3及び第4のスイッチSW4を閉じ、第5のスイッチSW5及び第6のスイッチSW6を開く。これにより、
図3に示されるように、第1の給電端子31及び第3の給電端子33は接地され、第2の給電端子32及び第4の給電端子34は、第1の抵抗41を介し電源電位に接続される。これにより、下部電極基板20における透明導電膜21には、Y方向に電位分布が発生する。
【0022】
本実施の形態におけるタッチパネルにおいては、
図2に示すように、X軸方向に電位分布を発生させて、第2の電位測定部52により、第2の抵抗42とタッチパネルの抵抗(第4の給電端子34及び第3の給電端子33と第2の給電端子32及び第1の給電端子31との間で測定される透明導電膜21のX軸方向の抵抗)による分圧値を検出して、タッチパネルに接触している2点のX軸方向における距離に応じたタッチパネルの抵抗の変化を検出する。
【0023】
また、
図3に示すように、Y軸方向に電位分布を発生させて、第1の電位測定部51により、第1の抵抗41とタッチパネルの抵抗(第4の給電端子34及び第2の給電端子32と第3の給電端子33第1の給電端子31との間で測定される透明導電膜21のY軸方向の抵抗)による分圧値を検出して、タッチパネルに接触している2点のY軸方向における距離に応じたタッチパネルの抵抗の変化を検出する。
【0024】
これにより、例えば、
図4、
図5に示される点A、Bのように、接触点が2点の場合においても、A−B間の抵抗変化に応じて2点の接触点における距離の変化の検出をすることができ、マルチタッチの操作の検出をすることができる。尚、
図4は、
図2に示すようにX軸方向に電位分布を発生させて、第2の電位測定部52により電位を検出する場合を示し、
図5は、
図3に示すようにY軸方向に電位分布を発生させて、第1の電位測定部51により電位を検出する場合を示す。
【0025】
〔第2の実施の形態〕
第2の実施の形態におけるタッチパネルについて説明する。本実施の形態におけるタッチパネルは、5線式のタッチパネルであり、上部電極基板10と下部電極基板20とを有しており、タッチパネルにおける接触点が2点の場合において、各々の接触点の位置を検出することのできるタッチパネルである。これにより、タッチパネルに接触点が2点の場合におけるゼスチャー操作の動きを識別することができる。
【0026】
図6に基づき、本実施の形態におけるタッチパネルについて説明する。本実施の形態におけるタッチパネルは、上部電極基板10は、ガラスや透明な樹脂材料により形成された4角形の形状の基板の表面に、ITO等により上部導電膜となる透明導電膜11が形成されている。また、下部電極基板20は、ガラスや透明な樹脂材料により形成された4角形の基板の表面に、ITO等により下部導電膜となる透明導電膜21が形成されている。上部電極基板10と下部電極基板20は、透明導電膜11と透明導電膜21が対向している状態で設置されている。
【0027】
下部電極基板20の4隅には、透明導電膜21の上に、第1の給電端子31、第2の給電端子32、第3の給電端子33、第4の給電端子34が設けられている。本実施の形態においては、第1の給電端子31と第2の給電端子32を結ぶ直線と第3の給電端子33と第4の給電端子34を結ぶ直線は、ともにY軸と平行になるように形成されている。また、第1の給電端子31と第3の給電端子33を結ぶ直線と第2の給電端子32と第4の給電端子34を結ぶ直線は、ともにX軸と平行になるように形成されている。
【0028】
第1の給電端子31は接地されており、0Vが印加されている。第2の給電端子32には、第1のスイッチSW1の一方の端子が接続されており、第1のスイッチSW1の他方の端子は接地電位に接続されている。第3の給電端子33には、第2のスイッチSW2の一方の端子が接続されており、第2のスイッチSW2の他方の端子は接地電位に接続されている。
【0029】
また、第2の給電端子32は、直列に接続された第1の抵抗141と第3のスイッチSW13とを介し、電源電位に接続されている。第3の給電端子33は、直列に接続された第4の抵抗144と第6のスイッチSW16とを介し、電源電位に接続されている。第4の給電端子34は、直列に接続された第2の抵抗142と第4のスイッチSW14とを介し、電源電位に接続されている。第4の給電端子34は、直列に接続された第3の抵抗143と第5のスイッチSW15とを介し、電源電位に接続されている。
【0030】
即ち、第2の給電端子32は、第1の抵抗141の一方の端子と接続されており、第1の抵抗141の他方の端子は、第3のスイッチSW13の一方の端子と接続されており、第3のスイッチSW13の他方の端子は、電源電位に接続されている。更に、第2の給電端子32と第1の抵抗141の一方の端子との接続部分には、第1の電位測定部151が接続されている。従って、第1の電位測定部151により、第2の給電端子32における電位を検出することができる。
【0031】
また、第3の給電端子33は、第4の抵抗144の一方の端子と接続されており、第4の抵抗144の他方の端子は、第6のスイッチSW16の一方の端子と接続されており、第6のスイッチSW16の他方の端子は、電源電位に接続されている。更に、第3の給電端子33と第4の抵抗144の一方の端子との接続部分には、第4の電位測定部154が接続されている。従って、第4の電位測定部154により、第3の給電端子33における電位を検出することができる。
【0032】
また、第4の給電端子34は、第2の抵抗142の一方の端子と接続されており、第2の抵抗142の他方の端子は、第4のスイッチSW14の一方の端子と接続されており、第4のスイッチSW14の他方の端子は、電源電位に接続されている。更に、第4の給電端子34と第2の抵抗142の一方の端子との接続部分には、第2の電位測定部152が接続されている。従って、第2の電位測定部152により、第4の給電端子34における電位を検出することができる。
【0033】
また、第4の給電端子34は、第3の抵抗143の一方の端子と接続されており、第3の抵抗143の他方の端子は、第5のスイッチSW15の一方の端子と接続されており、第5のスイッチSW15の他方の端子は、電源電位に接続されている。更に、第4の給電端子34と第3の抵抗143の一方の端子との接続部分には、第3の電位測定部153が接続されている。従って、第3の電位測定部153により、第4の給電端子34における電位を検出することができる。
【0034】
本実施の形態において、X軸方向における測定を行なう場合には、第1のスイッチSW1を閉じ、第2のスイッチSW2を開き、第3のスイッチSW13及び第4のスイッチSW14を開き、第5のスイッチSW15及び第6のスイッチSW16を閉じる。これにより、
図7に示されるように、第1の給電端子31及び第2の給電端子32は接地され、第3の給電端子33は、第4の抵抗144を介し電源電位に接続され、第4の給電端子34は、第3の抵抗143を介し電源電位に接続される。これにより、下部電極基板20における透明導電膜21には、X方向に電位分布が発生する。この状態において、第3の電位測定部153及び第4の電位測定部154により電位を検出する。
【0035】
また、Y軸方向における測定を行なう場合には、第1のスイッチSW1を開き、第2のスイッチSW2を閉じ、第3のスイッチSW13及び第4のスイッチSW14を閉じ、第5のスイッチSW15及び第6のスイッチSW16を開く。これにより、
図8に示されるように、第1の給電端子31及び第3の給電端子33は接地され、第2の給電端子32は、第1の抵抗141を介し電源電位に接続され、第4の給電端子34は、第2の抵抗142を介し電源電位に接続される。これにより、下部電極基板20における透明導電膜21には、Y方向に電位分布が発生する。この状態において、第1の電位測定部151及び第2の電位測定部152により電位を検出する。
【0036】
この後、第3の電位測定部153及び第4の電位測定部154において検出された各々の電位と、第1の電位測定部151及び第2の電位測定部152において検出された各々の電位に基づき、タッチパネルに接触している2点の座標位置を算出する。これにより、接触点が2点の場合におけるゼスチャー操作の動きを識別することができる。
【0037】
尚、本実施の形態においては、第1の抵抗141は第2の給電端子32と第1の給電端子31の間で測定される抵抗値と同値、第2の抵抗142は第4の給電端子34と第3の給電端子33の間で測定される抵抗値と同値、第3の抵抗143は第4の給電端子34と第2の給電端子32の間で測定される抵抗値と同値、第4の抵抗144は第3の給電端子33と第1の給電端子31の間で測定される抵抗値と同値となるように形成してもよい。
【0038】
〔第3の実施の形態〕
第3の実施の形態におけるタッチパネルについて説明する。本実施の形態におけるタッチパネルは、第2の実施の形態のタッチパネルにおける抵抗、電位測定部、スイッチを減らしたものである。これにより、本実施の形態においては、第2の実施の形態におけるタッチパネルと同様の機能を有するタッチパネルを低コストで得ることができる。
【0039】
図9に基づき本実施の形態におけるタッチパネルについて説明する。本実施の形態におけるタッチパネルにおいては、第1の給電端子31は接地されており、0Vが印加されている。第2の給電端子32には、第1のスイッチSW1の一方の端子が接続されており、第1のスイッチSW1の他方の端子は接地電位に接続されている。第3の給電端子33には、第2のスイッチSW2の一方の端子が接続されており、第2のスイッチSW2の他方の端子は接地電位に接続されている。
【0040】
また、第2の給電端子32は、直列に接続された第1の抵抗241と第3のスイッチSW23とを介し、電源電位に接続されている。第3の給電端子33は、直列に接続された第3の抵抗243と第5のスイッチSW25とを介し、電源電位に接続されている。第4の給電端子34は、直列に接続された第2の抵抗242と第4のスイッチSW24とを介し、電源電位に接続されている。
【0041】
即ち、第2の給電端子32は、第1の抵抗241の一方の端子と接続されており、第1の抵抗241の他方の端子は、第3のスイッチSW23の一方の端子と接続されており、第3のスイッチSW23の他方の端子は、電源電位に接続されている。更に、第2の給電端子32と第1の抵抗241の一方の端子との接続部分には、第1の電位測定部251が接続されている。従って、第1の電位測定部251により、第2の給電端子32における電位を検出することができる。
【0042】
また、第3の給電端子33は、第3の抵抗243の一方の端子と接続されており、第3の抵抗243の他方の端子は、第5のスイッチSW25の一方の端子と接続されており、第5のスイッチSW25の他方の端子は、電源電位に接続されている。更に、第3の給電端子33と第3の抵抗243の一方の端子との接続部分には、第3の電位測定部253が接続されている。従って、第3の電位測定部253により、第3の給電端子33における電位を検出することができる。
【0043】
また、第4の給電端子34は、第2の抵抗242の一方の端子と接続されており、第2の抵抗242の他方の端子は、第4のスイッチSW24の一方の端子と接続されており、第4のスイッチSW24の他方の端子は、電源電位に接続されている。更に、第4の給電端子34と第2の抵抗242の一方の端子との接続部分には、第2の電位測定部252が接続されている。従って、第2の電位測定部252により、第4の給電端子34における電位を検出することができる。
【0044】
言い換えるならば、本実施の形態においては、第2の電位測定部252は、第2の実施の形態における第2の電位測定部152と第3の電位測定部153とが兼用されているものである。また、第2の抵抗242は、第2の実施の形態における第2の抵抗142と第3の抵抗143とが兼用されているものである。また、第4のスイッチSW24は、第2の実施の形態における第4のスイッチSW14と第5のスイッチSW15とが兼用されているものである。
【0045】
尚、本実施の形態においては、第1の抵抗241は第2の給電端子32と第1の給電端子31の間で測定される抵抗値と同値、第2の抵抗242は第4の給電端子34と第3の給電端子33の間で測定される抵抗値と同値、第3の抵抗243は第4の給電端子34と第2の給電端子32の間で測定される抵抗値と同値又は第3の給電端子33と第1の給電端子31の間で測定される抵抗値と同値となるように形成してもよい。
【0046】
また、本実施の形態における第1の抵抗241は、第2の実施の形態における第1の抵抗141と同様のものであり、第3の抵抗243は、第2の実施の形態における第4の抵抗144と同様のものである。また、本実施の形態における第3のスイッチSW23は、第2の実施の形態における第3のスイッチSW13と同様のものであり、第5のスイッチSW25は、第2の実施の形態における第6のスイッチSW16と同様のものである。また、本実施の形態における第1の電位測定部251は、第2の実施の形態における第1の電位測定部151と同様のものであり、第3の電位測定部253は、第2の実施の形態における第4の電位測定部154と同様のものである。
【0047】
よって、本実施の形態においては、1つの第2の抵抗242により、第2の実施の形態におけるタッチパネルの第2の抵抗142と第3の抵抗143とが兼用されている。また、1つの第2の電位測定部252により、第2の実施の形態におけるタッチパネルの第2の電位測定部152と第3の電位測定部153とが兼用されている。また、1つの第4のスイッチSW24により、第2の実施の形態のタッチパネルにおける第4のスイッチSW14と第5のスイッチSW15とが兼用されている。
【0048】
尚、上記以外の内容については、第2の実施の形態と同様である。
【0049】
〔第4の実施の形態〕
一般的な5線式タッチパネルでは、ガラス側の透明導電膜21の周囲へ低抵抗のパターンを形成することで、均一な電位分布が得られる構造をしている。タッチパネルにおいて2カ所を押下した場合、透明導電膜11と透明導電膜21によって並列抵抗が形成され、2カ所の押下された位置に応じて抵抗値が変化する。しかしながら、この抵抗値変化は低抵抗パターンとの合成抵抗として外部からは測定されるため、変化幅が非常に小さく数Ω以下となる。(パネル抵抗は数十〜数百Ω)
この変化を固定抵抗との分圧変化として検出する場合には、分圧自体が最大でも数mVしか変化せず測定が困難である。そのため、分圧値を測定可能な範囲まで増幅する必要がある。しかし、仮に固定抵抗:パネル抵抗=1:1の分圧は電源5Vにおいては2.5Vであり、そのまま増幅した場合、数十〜数百V以上の値となってしまい、これもまた扱いが困難となる。そのため、2.5Vを基準の電圧として保持し、2.5Vからの変化分だけを差動増幅により得られるようにする。ここで分圧値2.5Vはパネルや固定抵抗のバラつき等によって変化する値であるため、サンプル/ホールド回路により環境毎に取り込む構造とする。
【0050】
次に、第4の実施の形態について説明する。本実施の形態は、タッチパネルにおける給電端子と抵抗との間にサンプルホールド回路及び差動増幅器を設け、差動増幅器からの出力を電位測定部において測定する構造のタッチパネルである。これにより、検出された微弱な電位変動を増幅し、接触点の位置やジェスチャー操作の動きを正確に検出することができる。
【0051】
図10に基づき、本実施の形態におけるタッチパネルについて説明する。本実施の形態においては、第2の実施の形態におけるタッチパネルにサンプルホールド回路及び差動増幅器を設ける場合について説明するが、第1または第3の実施の形態におけるタッチパネルについても適用可能である。尚、
図10においては、一例として、下部電極基板20に設けられた第2の給電端子32と第1の抵抗141との間にサンプルホールド回路と差動増幅器とを接続する場合について説明するが、第3の給電端子33と第4の抵抗144との間、第4の給電端子34と第2の抵抗142との間、第4の給電端子34と第3の抵抗143との間においても同様である。
【0052】
本実施の形態においては、下部電極基板20に設けられた第2の給電端子32と第1の抵抗141との間には、サンプルホールド(S/H)回路360の入力端子及び作動増幅器370の入力端子の一方が接続されている。サンプルホールド回路360には、サンプルホールド(S/H)スイッチ361が設けられており、不図示の制御部等に設けられサンプルホールド(S/H)制御部362によりスイッチ361の制御がなされる。サンプルホールド回路360は、タッチパネルに指等が接触していない状態における電位を保持する機能を有している。即ち、タッチパネルに指等が接触していない状態において、サンプルホールドスイッチ361が閉じることにより、サンプルホールド回路360の入力端子より、この状態における電位を入力して保持する。これにより、サンプルホールド回路360において、タッチパネルに指等が接触していない状態における電位を保持することができる。この後、サンプルホールドスイッチ361を開き、タッチパネルの操作は、サンプルホールドスイッチ361が開かれた状態のままで行なう。この際、サンプルホールド回路360の出力端子からは、タッチパネルに指等が接触していない状態における電位が出力される。
【0053】
サンプルホールド回路360の出力端子は、作動増幅器370の入力端子の他方と接続されており、作動増幅器370の入力端子の一方には、第2の給電端子32と第1の抵抗141との間の電位が入力している。よって、作動増幅器370においては、入力端子の他方に入力されている電位と入力端子の一方に入力されている電位の差が増幅されて、作動増幅器370の出力端子より出力される。作動増幅器370の出力端子より出力された情報は、第1の電位測定部151に入力する。
【0054】
本実施の形態においては、作動増幅器370の出力端子より出力された情報は、作動増幅器370において、入力端子の他方に入力されている電位と入力端子の一方に入力されている電位の差を増幅したものである。従って、第1の電位測定部151においては、電位の変動が増幅された変化の大きな情報が検出されるため、タッチパネルにおける接触点が複数の場合においても、接触点の位置や、ジェスチャー操作の動きをより一層正確に検出することができる。
【0055】
尚、本実施の形態においては、他のサンプルホールド回路360及び作動増幅器370は、第3の給電端子33と第4の抵抗144との間にも設けられており、第3の給電端子33と第4の抵抗144との間に設けられている作動増幅器370の出力は第4の電位測定部154に入力している。また、更に他のサンプルホールド回路360及び作動増幅器370は、第4の給電端子34と第2の抵抗142との間にも設けられており、第4の給電端子34と第2の抵抗142との間に設けられている作動増幅器370の出力は第2の電位測定部152に入力している。また、更に他のサンプルホールド回路360及び作動増幅器370は、第4の給電端子34と第3の抵抗143との間にも設けられており、第4の給電端子34と第3の抵抗143との間に設けられている作動増幅器370の出力は第3の電位測定部153に入力している。
【0056】
〔第5の実施の形態〕
次に、第5の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第2の実施の形態におけるタッチパネルにおいて、タッチパネルにおける接触点が1点の場合における検出機能を設けた構造のタッチパネルである。尚、本実施の形態においては、第2の実施の形態におけるタッチパネルについて説明するが、第1または第3の実施の形態におけるタッチパネルについても同様に適用することが可能である。
【0057】
本実施の形態におけるタッチパネルは、接触点が2点以上のマルチタッチの場合における検出を行なうマルチタッチ検出回路部401と、接触点が1点の場合における検出を行なう1点タッチ検出回路部402とが設けられている。本実施の形態においては、マルチタッチ検出回路部401は、第2の実施の形態におけるタッチパネルと同様の回路である。
【0058】
また、1点タッチ検出回路部402には、第7のスイッチSW47、第8のスイッチSW48、第9のスイッチSW49、第10のスイッチSW50が設けられている。
【0059】
具体的には、下部電極基板20の第2の給電端子32には、第7のスイッチSW47の一方の端子が接続されており、第7のスイッチSW47の他方の端子は電源電位に接続されている。よって、第1のスイッチSW1の一方の端子と第7のスイッチSW47の一方の端子とが接続されており、電源電位と接地電位との間において、第1のスイッチSW1と第7のスイッチSW47は直列に接続されている。
【0060】
また、第3の給電端子33には、第8のスイッチSW48の一方の端子が接続されており、第8のスイッチSW48の他方の端子は電源電位に接続されている。よって、第2のスイッチSW2の一方の端子と第8のスイッチSW48の一方の端子とが接続されており、電源電位と接地電位との間において、第2のスイッチSW2と第8のスイッチSW48は直列に接続されている。
【0061】
また、第4の給電端子34には、第9のスイッチSW49の一方の端子が接続されており、第9のスイッチSW49の他方の端子は電源電位に接続されている。第1の給電端子31には、第10のスイッチSW50の一方の端子が接続されており、第10のスイッチSW50の他方の端子は電源電位に接続されている。
【0062】
本実施の形態におけるタッチパネルにおいて、位置検出等を行なう場合について、
図12に基づき説明する。
【0063】
最初に、マルチタッチの位置検出を行なう場合について、
図12(a)に基づき説明する。この場合、第7のスイッチSW47、第8のスイッチSW48、第9のスイッチSW49は開かれており、第10のスイッチSW50は閉じられている。
【0064】
この場合において、X軸方向における測定を行なう際には、第1のスイッチSW1を閉じ、第2のスイッチSW2を開き、第3のスイッチSW13及び第4のスイッチSW14を開き、第5のスイッチSW15及び第6のスイッチSW16を閉じる。
【0065】
また、Y軸方向における測定を行なう際には、第1のスイッチSW1を開き、第2のスイッチSW2を閉じ、第3のスイッチSW13及び第4のスイッチSW14を閉じ、第5のスイッチSW15及び第6のスイッチSW16を開く。
【0066】
次に、1点タッチの位置検出と2点タッチ時の中点の位置検出を行なう場合について、
図12(b)に基づき説明する。この場合、第3のスイッチSW13、第4のスイッチSW14、第5のスイッチSW15及び第6のスイッチSW16は開かれている。
【0067】
この場合において、X軸方向における測定を行なう際には、第1のスイッチSW1を閉じ、第2のスイッチSW2を開き、第7のスイッチSW47を開き、第8のスイッチSW48及び第9のスイッチSW49を閉じ、第10のスイッチSW50を閉じる。各々のスイッチをこの状態とすることにより、第3の給電端子33と第4の給電端子34は電源と同電位の印加状態、第1の給電端子31と第2の給電端子32はGNDへの接地状態となり、透明導電膜21においてX軸方向への電位分布が形成される。よってタッチパネルへの押下により透明導電膜11と透明導電膜21とが接触し、X軸方向の入力位置に応じた透明導電膜21の電位を透明導電膜11に接続された検出部から検出することができる。
【0068】
また、Y軸方向における測定を行なう際には、第1のスイッチSW1を開き、第2のスイッチSW2を閉じ、第7のスイッチSW47を閉じ、第8のスイッチSW48を開き、第9のスイッチSW49を閉じ、第10のスイッチSW50を閉じる。各々のスイッチをこの状態とすることにより、第2の給電端子32と第4の給電端子34は電源と同電位の印加状態、第1の給電端子31と第3の給電端子33はGNDへの接地状態となり、透明導電膜21においてY軸方向への電位分布が形成される。よってタッチパネルへの押下により透明導電膜11と透明導電膜21とが接触し、Y軸方向の入力位置に応じた透明導電膜21の電位を透明導電膜11から検出することができる。
【0069】
次に、第4の実施の形態におけるタッチパネルに指等が接触していない状態の電位をサンプルホールドする場合について、
図12(c)に基づき説明する。この場合には、マルチタッチの位置検出を行なう場合と同様にスイッチが設定されるため、第7のスイッチSW47、第8のスイッチSW48、第9のスイッチSW49は開かれており、第10のスイッチSW50は閉じられている。
【0070】
この場合において、X軸方向におけるサンプルホールドを行なう際には、第1のスイッチSW1を閉じ、第2のスイッチSW2を開き、第3のスイッチSW13及び第4のスイッチSW14を開き、第5のスイッチSW15及び第6のスイッチSW16を閉じる。
【0071】
また、Y軸方向におけるサンプルホールドを行なう際には、第1のスイッチSW1を開き、第2のスイッチSW2を閉じ、第3のスイッチSW13及び第4のスイッチSW14を閉じ、第5のスイッチSW15及び第6のスイッチSW16を開く。
【0072】
以上、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。