【文献】
BADER A.SALAMEH,1H-1,2,3-TRIAZOL-1-YL THIODIGALACTOSIDE DERIVATIVES AS HIGH AFFINITY GALECTIN-3 INHIBITORS,BIOORGANIC & MEDICINAL CHEMISTRY,英国,2010年 5月20日,VOL:18,PAGE(S):5367-5378,URL,https://doi.org/10.1016/j.bmc.2010.05.040
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
3,3’−ジデオキシ−3−[4−(モルホリン−4−イル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−3’−[4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−1,1’−スルファンジイル−ジ−β−D−ガラクトピラノシド、
3,3’−ジデオキシ−3−[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−3’−[4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−1,1’−スルファンジイル−ジ−β−D−ガラクトピラノシド、
3,3’−ジデオキシ−3−[4−(ピペリジン−4−イル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−3’−[4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−1,1’−スルファンジイル−ジ−β−D−ガラクトピラノシド、
3,3’−ジデオキシ−3−[4−(テトラヒドロピラン−4−イル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−3’−[4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−1,1’−スルファンジイル−ジ−β−D−ガラクトピラノシド、
3,3’−ジデオキシ−3−[4−(プロパン−2−イル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−3’−[4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−1,1’−スルファンジイル−ジ−β−D−ガラクトピラノシド、から選択される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
ヒトなどの哺乳動物におけるガレクチン−1およびガレクチン−3などのガレクチンのリガンドに対する結合に関係する障害を処置する方法における使用のための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物であって、前記障害は、炎症;肺線維症、肝線維症、腎線維症、眼線維症および心臓の線維症などの線維症;敗血症ショック;癌;自己免疫疾患;代謝障害;心疾患;心不全;眼球血管新生などの病的血管新生、または眼球血管新生に付随する疾患もしくは症状、例えば、癌に関連した血管新生;増殖性硝子体網膜症;ならびに加齢黄斑変性症および角膜血管新生などの眼疾患からなる群から選択される、化合物。
【背景技術】
【0002】
ガレクチンは、特徴的な糖鎖認識部位(CRD)を有するタンパク質である(Leffler et al.,2004)。これは、約130個のアミノ酸(約15kDa)からなる密に折り畳まれたβ−サンドイッチであり、2つの典型的な特徴、すなわち、1)β−ガラクトース結合部位を備え、および2)約7個のアミノ酸の配列モチーフが十分な類似性を有し、その内のほとんど(約6個の残基)がβ−ガラクトース結合部位を構成する。しかしながら、β−ガラクトース部位に隣接する部位は、天然糖類の堅固な結合が必要であり、これらの選択が異なると、天然糖類に対するガレクチンの特異性が微妙に異なる。
【0003】
ヒト、マウスおよびラットゲノム配列解析が最近完結したことによって、1つの哺乳動物のゲノムに約15種のガレクチンおよびガレクチン様タンパク質が存在し、種間の多様性はわずかであることが明らかになった(Leffler et al.,2004)。
【0004】
ガレクチンサブユニットは、単一のペプチド鎖内に1個または2個のCRDを含むことができる。第1のカテゴリのモノCRDガレクチンは、脊椎動物において単量体または二量体(2つのタイプ)として存在し得る。最も研究されているガレクチンは、二量体ガレクチン−1、および溶液中では単量体であるが、リガンドに遭遇すると凝集して多量体になり得るガレクチン−3である(Lepur et al.,2012)。これらは、最初に発見されたガレクチンであり、多くの組織に豊富に存在する。
【0005】
現在、PubMedではガレクチンに関する5700件を超える報告があり、大部分は、上述したように、ガレクチン−1(1400件超)およびガレクチン−3(2800件超)に関するものである。有力な証拠により、例えば、炎症および癌ならびに発生におけるガレクチンの役割が示唆されている(Blidner et al.,2015、Ebrahim et al.,2014)。
【0006】
ガレクチンは、遊離リボソーム上でシグナルペプチドなしに、細胞質タンパク質として合成される。それらのN末端は、細胞質タンパク質の典型的な修飾であるアセチル化を受け、それらはサイトゾル中に長時間存在する(分泌タンパク質の特徴を示さない)。そのため、それらは、特定のサイトゾル部位である核を標的にすることができ、またはまだ未解明ではあるが、恐らくは例えばIL−1の搬出に類似した非古典的(非ER−ゴルジ)経路によって分泌される(誘導される、または恒常的に)(Leffler et al.,2004;Arthur et al.,2015)。それらは、これらの区画すべてにおいて機能することもでき、ガレクチン−3の場合、評価の高い雑誌に発表された確実な証拠から、核におけるRNAスプライシング、サイトゾルにおけるアポトーシスの阻害、破壊されたベシクル周辺の蓄積、繊毛の微小管形成中心との連携、ならびに細胞シグナル伝達および接着に対する種々の細胞外効果における役割が裏づけられている(Elola et al.,2015,Funasaka et al.,2014,Aits et al.,2015,Clare et al.,2014)。その他のガレクチンも、特定の細胞においてアポトーシスを高め、細胞周期および分化を調節することによってサイトゾル中で作用し得る。大部分のガレクチンは、糖タンパク質(例えば、ラミニン、インテグリンおよびIgE受容体)を架橋し、場合によっては超分子秩序配列を形成することによって細胞外でも作用し(Elola et al.,2015)、それによって細胞接着を調節し、細胞内シグナルを誘導し得る。これに関連して、近年、膜内の微小ドメイン(格子)の形成を含むこれらのガレクチン機能の分子機構が明らかになり(Elola et al.,2015)、またこれは、糖タンパク質受容体の細胞内輸送および細胞表面提示に影響を及ぼす。これは、ヌル変異マウスおよびガレクチンまたはガレクチン阻害剤で処置した動物での細胞培養において実証された。
【0007】
ガレクチン−3阻害剤の治療上の使用可能性
ガレクチン−3は、多様な現象に関係し、したがって、阻害剤は複数の用途があり得る(Blanchard et al.,2014)。これは特異性の欠如または科学的視点の欠如と認識されやすい。したがって、アスピリンとシクロオキシゲナーゼ(COX−IおよびII)との類似性は有用である。COXは、多種多様なプロスタグランジンの前駆体を生成し、したがって、多様な一連の生物学的機序に関与する。それらの阻害剤であるアスピリンおよび他のNSAID(非ステロイド抗炎症薬)も広範で多様な効果を有する。これにもかかわらず、これらの阻害剤は、医学的に極めて有用であり、幾つかの異なる特異的有用性を有する。
【0008】
したがって、ガレクチンが、COXのように、(まだ不明ではあるが)何らかの基本的生物学的調節機構の一部である場合、それらは、異なる状況において異なる目的で「本来の性質として使用される」可能性がある。ガレクチン阻害剤は、NSAIDのように、系全体を一掃するとは予想されないが、バランスを少し偏らせると予想される。
【0009】
炎症の阻害
ガレクチン−3の炎症促進性の役割は、炎症部位の細胞におけるその誘導、免疫細胞に対する種々の効果(例えば、好中球における酸化バースト、および単球における化学走性)、およびヌル変異マウスにおける、主に好中球およびマクロファージにおける炎症反応の減少によって示される(Blidner et al.,2015,Arthur et al.,2015)。重要なことは、最近の研究では、ガレクチン−3が、マクロファージM2分化、および線維症の発生に影響を及ぼす筋線維芽細胞活性化における重要な律速因子であることが特定されたことである(Mackinnon et al.,2008;Mackinnon et al.,2012,Li et al.,2014)。
【0010】
炎症は、侵入微生物および組織傷害に対する体の防御反応である。しかしながら、バランスが崩れると、それは、破壊的にもなり、多数の疾患における症状の一部として起こることが多い。このため、炎症の薬理学的調節には大きな医学的関心がある。ガレクチン−3阻害剤は、このために利用可能な宝庫に重要な追加物を提供すると予想される。
【0011】
線維症関連状態の処置
線維症におけるガレクチン−3の可能な役割の考えは、マクロファージ分化の細胞および生体外研究(Mackinnon et al.,2008)、ならびにマクロファージ分化および筋線維芽細胞活性化の生体内研究(Mackinnon et al.,2012)に由来する。簡単に説明すると、仮説は以下の通りである。すなわち、ガレクチン−3は、細胞表面での滞在を延長し、したがってTGF−β受容体(MacKinnon,2012)などの特定の受容体の応答性を高めることが示され(Elola et al.,2015)、それはさらに、M2マクロファージへの選択的マクロファージ分化、および筋線維芽細胞活性化を調節する。
【0012】
したがって、ガレクチン−3は、TGF−βシグナル伝達および選択的マクロファージ分化および筋線維芽細胞活性化の内在エンハンサーの良好な候補であるので、ガレクチン−3阻害剤は、線維症および有害な組織リモデリングの処置に極めて有用であり得る。
【0013】
癌の処置
多数の免疫組織化学的研究により、癌における特定のガレクチンの発現の変化が示されており(Thijssen et al,2015;Ebrahim et al.,2014)、例えば、ガレクチン−3は、今では、甲状腺癌の確立された組織化学的マーカーである。癌におけるガレクチン−3の役割の直接的証拠は、主にマウスモデルに由来する。(ガレクチン−3の発現が減少または増加した)ペア腫瘍細胞株では、ガレクチン−3の誘導は、腫瘍および転移を増加させ、ガレクチン−3の抑制は、腫瘍および転移を減少させる。ガレクチン−3は、抗アポトーシス性であることによって腫瘍増殖を高め、血管新生を促進し、または細胞接着に作用することによって転移を促進することが提唱されている。さらに、最近の証拠により、ガレクチン−3は、腫瘍微小環境中で重要な役割を果たすことが示された(Ruvolo,2015)。ガレクチン−3はまた、腫瘍細胞と、Tリンパ球(T細胞)などの免疫細胞との間の相互作用を調節すると考えられており、ガレクチン−3の阻害は、T細胞活性を回復することが示された(Demotte et al.,2010,Kouo et al.,2015,Menero et al.,2015)。上記から、ガレクチン−3の阻害剤は有用な抗癌作用を有し得ることが明らかである。実際、ガレクチン−3を阻害すると主張されてはいるが証明されていない糖類が、抗癌作用を有することが報告された。本発明者ら自身の研究では、CRDを含むガレクチン−3の断片は、マウスモデルにおいてドミナントネガティブ阻害剤として作用することによって乳癌を阻害した(John et al.,2003)。さらに最近では、小分子を用いたガレクチン−3の阻害は、細胞アッセイおよびエクスビボでにおいて、放射線および標準アポトーシス促進薬に対する腫瘍細胞の感受性を実際に大きく高めることが示された(Blanchard et al.,2015)。
【0014】
また、その他のガレクチンは、低分化癌細胞中で過剰発現している、または特定の細胞型中で誘導されていることが多い(Thijssen et al.,2015;Ebrahim et al.,2014)。ガレクチン−1は、活性化T細胞のアポトーシスを誘導し、インビボ自己免疫疾患に対して著しい免疫抑制効果を有する(Blidner et al.,2015)。したがって、癌におけるこれらのガレクチンの過剰発現は、宿主により生じたT細胞応答に対して腫瘍が自己防御する助けになり得る。
【0015】
ガレクチン−1、−3、−7および−9に対するヌル変異マウスは確立されており、動物舎条件で健康であり、見かけ上は正常に繁殖する。しかし、さらなる研究により、異なる種類の刺激下で、主に免疫細胞の機能におけるわずかな表現型が現れた(Blidner et al.,2015)が、他の細胞型でも同様であった(Viguier et al.,2014)。発現部位、特異性および他の性質の相違から、異なるガレクチンが機能的に互換であるとは考えにくい。ヌル変異マウスの観察によれば、ガレクチンは、通常の動物舎条件において観察されるように基本的な生命維持機能に不可欠ではないことを示しているのであろう。その代わり、それらは、正常機能を最適化するものかもしれず、および/または動物舎条件には見られないストレス条件中では不可欠かもしれない。ヌル変異マウスにおいて強力な作用が無いことにより、ガレクチン阻害剤が薬物としてより好都合なものになり得る。ガレクチン活性が、上で示唆されたように病的状況の一因になるが、正常な状態にはさほど寄与しないとすれば、それらの阻害は、望ましくない副作用が少ないはずである。
【0016】
血管新生の処置
VEGF(血管内皮増殖因子)受容体−2(VEGFR−2)を介したVEGFシグナル伝達は、主要な血管新生経路によるものである。ガレクチン−1(Gal−1)とガレクチン−3(Gal−3)の両方がVEGF/VEGFR−2シグナル伝達経路の重要な調節物質であることを示す研究が報告された(Croci et al.,2014)。ガレクチン阻害剤TDXが病的血管新生に対して効果的であると予想されることも報告された(Chen 2012)。
【0017】
既知の阻害剤
天然リガンド
固相結合アッセイおよび阻害アッセイによって、ガレクチンに結合する能力を有するいくつかの糖類および複合糖質が確認された(Leffler et al.,2004;Elola et al.,2015)。すべてのガレクチンは、ラクトースに0.5〜1mMのK
dで結合する。D−ガラクトースの親和性は、1/50〜1/100である。N−アセチルラクトサミンおよび関連する二糖は、ラクトースとほぼ同様に結合するが、特定のガレクチンに対しては、結合がより劣る場合も、最高10倍良好である場合もある。ガレクチン−3に最適な小分子糖リガンドは、ラクトースまたはLacNAc残基に結合した血液型A決定因子を有するものであり、ラクトースよりも最高約50倍良好に結合することが判明した。ガレクチン−1は、これらの糖類に対する選択性がない。
【0018】
ポリラクトサミンタイプのより大きい糖類がガレクチンの好ましいリガンドとして提案された。溶液中で、ポリラクトサミンを有する糖ペプチドを用いて、ガレクチン−3ではこれの証拠が存在したが、ガレクチン−1では存在しなかった。明確化が不完全な混合物として単離された混合物である、改変植物ペクチン多糖類またはガラクトマンナンは、ガレクチンに結合する(Glinsky and Raz,2009)が、機序および親和性は、未確定のままである。
【0019】
ガレクチン−3リガンドとして同定された上記天然糖類は、胃で酸加水分解を受けやすく、また酵素分解を受けやすいので、医薬組成物の活性成分として使用するには不適切である。さらに、天然糖類は、本質的に親水性であり、経口投与後に消化管から容易に吸収されない。
【0020】
ガレクチン特異性
上記小分子天然糖類による阻害を使用したガレクチン特異性の研究によれば、すべてのガレクチンがラクトース、LacNAcおよび関連する二糖に結合したが、ガレクチン−3は、特定の種のより長鎖の糖類にはるかに良好に結合した(Leffler,2004,Elola et al.,2015)。これらのより長鎖の糖類は、延長型結合溝に結合した(例えば、ラクトースまたはLacNAcの)ガラクトースのC3位に付加した追加の糖残基を有することが特徴であった。この溝の形状は、ガレクチン間で異なり、異なるガレクチンが同じ延長部分に同等には結合しないことを示唆している。
【0021】
合成阻害剤
抗癌活性を有するアミノ酸に結合した糖類は、最初に血清中の天然化合物として同定されたが、その後、合成類似体が作製された(Glinsky et al.,1996)。とりわけ、ラクトースまたはガラクトースがアミノ酸に結合したものは、ガレクチンを阻害するが、対応する誘導体化されていない糖とほぼ同じ効力しか持たない。ガレクチン−3を阻害する柑橘ペクチンの改変型(Glinsky and Raz,2009)は、インビボで抗腫瘍活性を示す。
【0022】
複数のラクトース部分を有するクラスター分子は、ガレクチンに結合するときには強力な多価効果を示したが、他の場合には、そうではなかった(Wolfenden et al.,2015)。ガレクチン−3リガンドとして同定された上述の合成化合物は、本質的に親水性であり、経口投与後に消化管から容易に吸収されないので、医薬組成物の活性成分として使用するには不適切である。
【0023】
天然オリゴ糖、糖鎖クラスター、糖鎖デンドリマーおよび上記糖鎖高分子は、極性が高すぎ、大き過ぎて、吸収されず、場合によっては患者の免疫応答を生じるのに十分な大きさである。さらに、それらは、胃で酸加水分解を受け易く、酵素加水分解され易い。したがって、小さい合成分子が必要である。
【0024】
チオジガラクトシドは、N−アセチルラクトサミンとほぼ同じ効率であり、加水分解に安定であるが、まだ極性がある合成阻害剤であることが知られている。C−3’に芳香族アミドまたは置換ベンジルエーテルを有するN−アセチルラクトサミン誘導体は、ガレクチン−3の高効率阻害剤であることが示され、4.8μMという従来にない低いIC
50値を有し、天然N−アセチルラクトサミン二糖に比べて20倍改善されている(Sorme et al.,2002;Sorme et al.,2003b)。これらの誘導体は、芳香族アミド部分が存在するために、極性が全体的に低下し、したがって、インビボでのガレクチンの阻害剤としてより適切である。さらに、C3−トリアゾリルガラクトシドは、一部のガレクチンの対応するC3−アミドと同程度の強力な阻害剤であることが示された。したがって、適切な構造を有するガラクトースC3置換基は、向上したガレクチン親和性を与え得る。
【0025】
しかし、C3−アミドおよびC3−トリアゾリル誘導体化化合物は、ガラクトースおよびN−アセチルラクトサミン糖部分にグリコシド結合が存在するため、まだインビボで加水分解しやすく、ガレクチン−3の強力な小分子阻害剤ではあるが、さらに改善された親和性および安定性が望ましい。したがって、O−グリコシドの加水分解的および酵素的に不安定な結合のない、チオジガラクトシドの3,3’−ジアミドまたは3,3’−ジトリアゾリル誘導体化に基づく阻害剤が開発された(Cumpstey et al.,2005b;Cumpstey et al.,2008;Salameh et al.,2010;WO/2005/113569およびUS2007185041;WO/2005/113568、US7,638,623B2;T.Delaine et.al.,2016;WO2016005311;WO2016113335)。これらの阻害剤は、幾つかのガレクチンに対して優れた親和性も示す(低nM範囲のKdまで)。しかしながら、3,3’誘導体化チオジガラクトシドは、ガレクチンに対して高親和性を示すが、依然として、3−N誘導体化ガラクトース構成単位に至る2段階転化反応(double inversion reaction)を含むその多段階合成における欠点を含む。さらに、チオジガラクトシド中の1個のガラクトース環のシクロヘキサン置換は、ガラクトース環を模倣し、したがってジアミド−およびジトリアゾリル−チオジガラクトシド誘導体に近い効率をガレクチン−1および−3阻害剤に付与することが証明された(WO/2010/126435)。D−ガラクトピラノース単位を置換シクロヘキサンで置換すると、極性が低下し、代謝感受性も低下する可能性が高く、したがって薬物的な性質が改善する。
【0026】
いくつかのより早期に報告された化合物は、WO/2005/113568に記載のように、
【0027】
【化1】
【0028】
およびWO/2005/113569に記載のように、
【0029】
【化2】
【0030】
(式中、R
Iは、D−ガラクトースであり得る。)およびWO/2010/126435に記載のように、
【0031】
【化3】
【0032】
の一般式を有する。
【0033】
したがって、先行技術の化合物の複雑な保護されたD−ガラクトピラノース誘導体における2段階転化反応を含むガラクトース3−N誘導体化(ZおよびYは、好ましくは、窒素原子である。)に対する最適ではない製造プロセスのために、ガレクチン、特にガレクチン−1およびガレクチン−3に対する阻害剤の技術分野でまだかなりの必要性が存在する。
【0034】
最近公示されたUS20140099319、WO2014067986およびT.Delaine et.al.,2016は、トリアゾール環における両方のフェニル環のメタ位置にフッ素を有する、式
【0035】
【化4】
【0036】
の化合物を開示している。この化合物は、肺線維症の有望な薬物候補であることが示され、特にガレクチン−3に対して高親和性で極めて選択的である。
【0037】
近年、一般式
【0038】
【化5】
【0039】
の新しい種類の高親和性α−D−ガラクトピラノースがWO2016120403で開示された。これら化合物のいくつかは、高い経口バイオアベイラビリティに変換される、良好なインビトロPK特性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0069】
(式中、R
1〜R
5は、H;Cl;Br;I;F;フッ素(F)で任意に置換されてもよいメチル;R
7O−;およびFで任意に置換されてもよいOCH
3から独立に選択され;R
7は、Fで任意に置換されてもよいC
1-3アルキル;NH
2;OH;CN;NH
2−COR
8から選択され、R
8はFで任意に置換されてもよいC
1-3アルキルから選択される。)の基から選択され;および
Bは、式3
【0071】
(式中、R
6およびR
9は、H;Cl;Br;I;F;NR
10R
11;OR
12;C(=O)−R
13;CN;O(C=O)−R
16;NH(C=O)−R
17;OCH
3、OCF
3、NR
14R
15、CN、およびFから選択される基で任意に置換されてもよいC
1-10アルキル;Fで任意に置換されてもよいC
1-4アルキルで任意に置換されてもよいC
3-7シクロアルキル;Fで任意に置換されてもよいC
1-4アルキルで任意に置換されてもよい分岐C
3-10アルキル;Fで任意に置換されてもよいC
1-4アルキルで任意に置換されてもよい、1〜3個のヘテロ原子および3〜6個の炭素原子を有する飽和または不飽和4〜7員ヘテロ環基;オキソ;およびFで任意に置換されてもよいO−C
1-3アルキルから独立に選択され;
R
10、R
11、R
12、R
14、およびR
15は、H;F、CN、OCH
3、もしくはOCF
3から選択される基で任意に置換されてもよいC
1-10アルキル;F、CN、OCH
3、もしくはOCF
3から選択される基で任意に置換されてもよいC
3-7シクロアルキル;またはF、CN、OCH
3、もしくはOCF
3から選択される基で任意に置換されてもよい1〜3個のヘテロ原子および3〜6個の炭素原子を有する飽和または不飽和4〜7員ヘテロ環基から独立に選択され;
R
13は、H;F、CN、OCH
3、もしくはOCF
3から選択される基で任意に置換されてもよいC
1-10アルキル;F、CN、OCH
3、もしくはOCF
3から選択される基で任意に置換されてもよいC
3-7シクロアルキル;F、CN、OCH
3、もしくはOCF
3から選択される基で任意に置換されてもよい1〜3個のヘテロ原子および3〜6個の炭素原子を有する飽和または不飽和4〜7員ヘテロ環基;F、CN、OCH
3、もしくはOCF
3から選択される基で任意に置換されてもよいOC
1-10アルキル;F、CN、OCH
3、もしくはOCF
3から選択される基で任意に置換されてもよいOC
3-7シクロアルキル;F、CN、OCH
3、もしくはOCF
3から選択される基で任意に置換されてもよい1〜3個のヘテロ原子および3〜6個の炭素原子を有する飽和または不飽和4〜7員O−ヘテロ環基;F、CN、OCH
3、もしくはOCF
3から選択される基で任意に置換されてもよいNHC
1-10アルキル;F、CN、OCH
3、もしくはOCF
3から選択される基で任意に置換されてもよいNHC
3-7シクロアルキル;またはF、CN、OCH
3、もしくはOCF
3から選択される基で任意に置換されてもよい1〜3個のヘテロ原子および3〜6個の炭素原子を有する飽和または不飽和4〜7員NH−ヘテロ環基から選択され;
R
16は、F、CN、OCH
3、もしくはOCF
3から選択される基で任意に置換されてもよいC
1-10アルキル;F、CN、OCH
3、もしくはOCF
3から選択される基で任意に置換されてもよいC
3-7シクロアルキル;またはF、CN、OCH
3、もしくはOCF
3から選択される基で任意に置換されてもよい1〜3個のヘテロ原子および3〜6個の炭素原子を有する飽和または不飽和4〜7員ヘテロ環基から選択され;
R
17は、F、CN、OCH
3、もしくはOCF
3から選択される基で任意に置換されてもよいC
1-10アルキル;F、CN、OCH
3、もしくはOCF
3から選択される基で任意に置換されてもよいC
3-7シクロアルキル;またはF、CN、OCH
3、もしくはOCF
3から選択される基で任意に置換されてもよい1〜3個のヘテロ原子および3〜6個の炭素原子を有する飽和または不飽和4〜7員ヘテロ環基から選択される。)の基から選択される。)の1,1’−スルファンジイル−ジ−β−D−ガラクトピラノシド化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。
【0072】
ある実施形態では、R
1は、H;Cl;Br;I;F;CF
3;OCH
3;OCF
3;NH
2;OH;CN;NH
2−COCH
3;NH
2−COCF
3から選択される。さらなる実施形態では、R
1は、HまたはF、例えば、Hから選択される。
【0073】
さらなる実施形態では、R
2は、H;Cl;Br;I;F;CF
3;OCH
3;OCF
3;NH
2;OH;CN;NH
2−COCH
3;NH
2−COCF
3から選択される。またさらなる実施形態では、R
2は、HまたはF、例えば、Fから選択される。
【0074】
さらなる実施形態では、R
3は、H;Cl;Br;I;F;CF
3;OCH
3;OCF
3;NH
2;OH;CN;NH
2−COCH
3;NH
2−COCF
3から選択される。またさらなる実施形態では、R
3は、HまたはF、例えば、Fから選択される。
【0075】
さらなる実施形態では、R
4は、H;Cl;Br;I;F;CF
3;OCH
3;OCF
3;NH
2;OH;CN;NH
2−COCH
3;NH
2−COCF
3から選択される。またさらなる実施形態では、R
4は、HまたはF、例えば、Fから選択される。
【0076】
さらなる実施形態では、R
5は、H;Cl;Br;I;F;CF
3;OCH
3;OCF
3;NH
2;OH;CN;NH
2−COCH
3;NH
2−COCF
3から選択される。またさらなる実施形態では、R
5は、HまたはF、例えば、Hから選択される。
【0077】
さらなる実施形態では、R
6は、NH
2;OH、CN;Fで任意に置換されてもよいC
1-6アルキル;Fで任意に置換されてもよいC
1-4アルキルで任意に置換されてもよいC
3-7シクロアルキル;Fで任意に置換されてもよいC
1-4アルキルで任意に置換されてもよい分岐C
3-10アルキル;Fで任意に置換されてもよいC
1-4アルキルで任意に置換されてもよい、1〜3個のヘテロ原子および3〜6個の炭素原子を有する飽和または不飽和4〜7員ヘテロ環基;オキソ;Fで任意に置換されてもよいO−C
1-3アルキルから選択される。
【0078】
またさらなる実施形態では、R
6は、Fで任意に置換されてもよいC
1-6アルキル;Fで任意に置換されてもよいメチルで任意に置換されてもよいC
3-7シクロアルキル;Fで任意に置換されてもよいメチルで任意に置換されてもよい分岐C
3-6アルキル;Fで任意に置換されてもよいメチルで任意に置換されてもよい、1〜3個のヘテロ原子および3〜6個の炭素原子を有する飽和または不飽和4〜7員ヘテロ環基;オキソ;およびFで任意に置換されてもよいOCH
3から選択される。
【0079】
さらなる実施形態では、R
6は、イソプロピルなどの分岐C
3-6から選択される。
【0080】
またさらなる実施形態では、R
6は、1〜2個のヘテロ原子および3〜5個の炭素原子を有する、C
1-4アルキルで任意に置換されてもよい飽和6員ヘテロ環基から選択される。
【0081】
さらなる実施形態では、R
6は、メチルなどのC
1-4アルキルで任意に置換されてもよい、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、およびテトラヒドロピラニルから選択される。
【0082】
またさらなる実施形態では、R
9は、H;NH
2;OH、CN;Fで任意に置換されてもよいC
1-6アルキル;Fで任意に置換されてもよいC
1-4アルキルで任意に置換されてもよいC
3-7シクロアルキル;Fで任意に置換されてもよいC
1-4アルキルで任意に置換されてもよい分岐C
3-10アルキル;Fで任意に置換されてもよいC
1-4アルキルで任意に置換されてもよい、1〜3個のヘテロ原子および3〜6個の炭素原子を有する飽和または不飽和4〜7員ヘテロ環基;オキソ;Fで任意に置換されてもよいO−C
1-3アルキルから選択される。好ましい実施形態では、R
9はHである。
【0083】
またさらなる実施形態では、式(1)の化合物は下記から選択される。
3,3’−ジデオキシ−3−[4−(モルホリン−4−イル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−3’−[4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−1,1’−スルファンジイル−ジ−β−D−ガラクトピラノシド、
3,3’−ジデオキシ−3−[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−3’−[4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−1,1’−スルファンジイル−ジ−β−D−ガラクトピラノシド、
3,3’−ジデオキシ−3−[4−(ピペリジン−4−イル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−3’−[4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−1,1’−スルファンジイル−ジ−β−D−ガラクトピラノシド、
3,3’−ジデオキシ−3−[4−(テトラヒドロピラン−4−イル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−3’−[4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−1,1’−スルファンジイル−ジ−β−D−ガラクトピラノシド、
3,3’−ジデオキシ−3−[4−(プロパン−2−イル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−3’−[4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−1,1’−スルファンジイル−ジ−β−D−ガラクトピラノシド。
【0084】
さらなる態様では、本発明は、薬物として使用するための本発明の式1の化合物に関する。
【0085】
またさらなる態様では、本発明は、本発明の式1の化合物および必要に応じて、担体、賦形剤などの薬学的に許容される添加剤を含む医薬組成物に関する。
【0086】
さらなる態様では、本発明は、ヒトなどの哺乳動物におけるガレクチン−1およびガレクチン−3などのガレクチンのリガンドに対する結合に関連する障害を処置する方法に使用するための本発明の式1の化合物に関する。
【0087】
ある実施形態では、障害は、炎症;肺線維症、肝線維症、腎線維症、眼線維症および心臓の線維症などの線維症;敗血症ショック;癌;自己免疫疾患;代謝障害;心疾患;心不全;眼球血管新生などの病的血管新生、または眼球血管新生に付随する疾患もしくは症状、例えば、癌に関連した血管新生;ならびに加齢黄斑変性症および角膜血管新生などの眼疾患からなる群から選択される。別の実施形態では、疾患は、増殖性硝子体網膜症から選択される。
【0088】
またさらなる態様では、本発明は、ヒトなどの哺乳動物におけるガレクチン−1およびガレクチン−3などのガレクチンのリガンドに対する結合に関連する障害を処置するための方法に関し、治療有効量の少なくとも1種類の本発明の式1の化合物が前記処置を必要とする哺乳動物に投与される。
【0089】
ある実施形態では、障害は、炎症;肺線維症、肝線維症、腎線維症、眼線維症および心臓の線維症などの線維症;敗血症ショック;癌;自己免疫疾患;代謝障害;心疾患;心不全;眼球血管新生などの病的血管新生、または眼球血管新生に付随する疾患もしくは症状、例えば、癌に関連した血管新生;ならびに加齢黄斑変性症および角膜血管新生などの眼疾患からなる群から選択される。式(1)の化合物の投与により治療、管理および/または予防され得る癌の例として挙げられる癌の非限定群には、結腸癌、乳癌、膵臓癌、卵巣癌、前立腺癌、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ血管肉腫、リンパ血管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原生癌、腎細胞癌、肝細胞腫、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胚性癌腫、ビルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、膠芽腫、ニューロノーマ、頭蓋咽頭腫、神経鞘腫、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣細胞腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽腫、網膜芽細胞腫、白血病およびリンパ腫、急性リンパ性白血病および急性骨髄球性真性赤血球増加症、多発性骨髄腫、ワルデンストロームマクログロブリン血症、および重鎖病、急性非リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、直腸癌、泌尿器癌、子宮癌、口腔癌、皮膚癌、胃癌、脳腫瘍、肝臓癌、喉頭癌、食道癌、乳腺腫瘍、小児null急性リンパ性白血病(ALL)、胸腺ALL、B細胞ALL、急性骨髄性白血病、骨髄単球様白血病、急性巨核球様白血病、バーキットリンパ腫、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、およびT細胞白血病、小および大非小細胞肺癌、急性顆粒球性白血病、生殖細胞腫瘍、子宮内膜癌、胃癌、頭頸部の癌、慢性リンパ性白血病、有毛細胞白血病および甲状腺癌が含まれる。これらの障害のそれぞれは単一の実施形態と考えられ、このような疾患または障害が具体的にクレームの対象となり得る。
【0090】
本発明の別の態様は、本発明の式(1)の化合物を、式(1)の化合物とは異なる治療的に活性な化合物(「異なる治療的に活性な化合物」と同義)と一緒に投与することを含む併用療法に関する。一実施形態では、本発明は、哺乳動物におけるガレクチン−3のリガンドに対する結合に関連する障害を処置するための、式(1)の化合物と異なる治療的に活性な化合物との組み合わせに関する。このような障害は以降で記載される。
【0091】
本発明のある実施形態では、少なくとも1種の、本発明の式(1)の化合物の治療有効量が、異なる治療的に活性な化合物と組み合わせて、それを必要としている哺乳動物に投与される。さらなる実施形態では、異なる治療的に活性な化合物と組み合わせた、式(1)の化合物の前記組み合わせが、炎症;肺線維症、肝線維症、腎線維症、眼科線維症ならびに皮膚および心臓の線維症などの線維症;瘢痕化;ケロイド形成;異常な瘢痕形成;外科的癒着;敗血性ショック;癌腫、肉腫、白血病およびリンパ腫、例えばT細胞リンパ腫などの癌;転移癌;乾癬、関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、強直性脊椎炎、全身性紅斑性狼瘡などの自己免疫疾患;代謝障害;心疾患;心不全;眼球血管新生または眼球血管新生に関連する疾患もしくは病態などの病的血管新生、例えば、癌に関連する新生血管形成;ならびに加齢黄斑変性および角膜新生血管形成などの眼疾患;アテローム性動脈硬化症;糖尿病などの代謝疾患;喘息、およびハーマンスキー・パドラック症候群を含むその他の間質性肺疾患、中皮腫;非アルコール性脂肪性肝炎などの肝障害からなる群より選択される障害を患っている哺乳動物に投与される。
【0092】
異なる治療的に活性な化合物と組み合わせた式(1)の化合物の投与により治療、管理および/または予防され得る癌の例として挙げられる癌の非限定群には、結腸癌、乳癌、膵臓癌、卵巣癌、前立腺癌、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ血管肉腫、リンパ血管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原生癌、腎細胞癌、肝細胞腫、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胚性癌腫、ビルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、膠芽腫、ニューロノーマ、頭蓋咽頭腫、神経鞘腫、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣細胞腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽腫、網膜芽細胞腫、白血病およびリンパ腫、急性リンパ性白血病および急性骨髄球性真性赤血球増加症、多発性骨髄腫、ワルデンストロームマクログロブリン血症、および重鎖病、急性非リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、直腸癌、泌尿器癌、子宮癌、口腔癌、皮膚癌、胃癌、脳腫瘍、肝臓癌、喉頭癌、食道癌、乳腺腫瘍、小児null急性リンパ性白血病(ALL)、胸腺ALL、B細胞ALL、急性骨髄性白血病、骨髄単球様白血病、急性巨核球様白血病、バーキットリンパ腫、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、およびT細胞白血病、小および大非小細胞肺癌、急性顆粒球性白血病、生殖細胞腫瘍、子宮内膜癌、胃癌、頭頸部の癌、慢性リンパ性白血病、有毛細胞白血病および甲状腺癌から選択される。
【0093】
本発明のいくつかの態様では、本発明の少なくとも1種の式(1)の化合物および少なくとも1種の追加の治療薬の投与は、治療相乗効果を示す。本発明の方法のいくつかの態様では、本発明の少なくとも1種の式(1)の化合物および追加の治療薬の両方の投与後に観察される治療に対する反応の測定は、本発明の少なくとも1種の式(1)の化合物または追加の治療薬のそれぞれ単独の投与後に観察される同じ測定に比較して改善されている。
【0094】
本発明のさらなる態様は、本発明の式(1)の化合物を、式(1)の化合物とは異なる抗線維化化合物と一緒に、それを必要としている哺乳動物に投与することを含む併用療法に関する。さらなる実施形態では、このような抗線維化化合物は、次の抗線維化化合物の非限定群から選択し得る:ピルフェニドン、ニンテダニブ、シムツズマブ(GS−6624、AB0024)、BG00011(STX100)、PRM−151、PRM−167、PEG−FGF21、BMS−986020、FG−3019、MN−001、IW001、SAR156597、GSK2126458、およびPBI−4050。
【0095】
本発明のまたさらなる態様は、本発明の式(1)の化合物を、さらなる化学療法剤または放射線療法などの従来の癌療法、または免疫賦活性物質を用いた処置、遺伝子治療、抗体を用いた処置および樹状細胞を使った処置と組み合わせて、それを必要としている哺乳動物に投与することを含む併用療法に関する。
【0096】
ある実施形態では、式(1)の化合物は、抗悪性腫瘍化学療法剤から選択される少なくとも1種の追加の治療薬と一緒に投与される。さらなる実施形態では、抗悪性腫瘍化学療法剤は、オールトランスレチノイン酸、アクチミド、アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、カルボプラチン、カペシタビン、シスプラチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、シタラビン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、エトポシド、フルダラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イリノテカン、レナリドマイド、ロイコボリン、メクロレタミン、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、レブリミド、テモゾロミド、テニポシド、チオグアニン、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシンおよびビノレルビンから選択される。一実施形態では、本薬剤の組合せで使用するための化学療法剤はそれ自体、異なる化学療法剤の組合せであってよい。好適な組合せには、FOLFOXとIFLが含まれる。FOLFOXは、5−フルオロウラシル(5−FU)、ロイコボリン、およびオキサリプラチンを含む組合せである。IFL治療薬は、イリノテカン、5−FU、およびロイコボリンを含む。
【0097】
本発明のさらなる実施形態では、さらなる従来の癌治療には放射線療法が含まれる。いくつかの実施形態では、放射線療法には、腫瘍に送達される局所放射線療法が含まれる。いくつかの実施形態では、放射線療法には、全身照射が含まれる。
【0098】
本発明の他の実施形態では、さらなる癌治療薬は、例えば、サイトカインおよび抗体などの免疫賦活物質群から選択される。例えば、サイトカインは、限定されるものではないが、GM−CSF、I型IFN、インターロイキン21、インターロイキン2、インターロイキン12およびインターロイキン15からなる群から選択され得る。抗体は好ましくは、抗CD40または抗CTLA−4抗体などの免疫賦活抗体である。免疫賦活物質はまた、免疫抑制細胞(例えば、制御性T細胞)または因子の枯渇能を有する物質であってもよく、前記物質は例えばE3ユビキチンリガーゼであってよい。E3ユビキチンリガーゼ(HECT、RINGおよびUボックスタンパク質)は、免疫細胞機能の重要な分子制御因子として浮上したものであり、それぞれタンパク質分解性の破壊に関する特異的阻害分子を標的化することにより、感染時の免疫応答の調節に関与し得る。数種のHECTおよびRING E3タンパク質は、現在、免疫自己寛容の誘導および維持にも関連付けられており、c−Cbl、Cbl−b、GRAIL、ItchおよびNedd4はそれぞれT細胞増殖因子の産生および増殖の負の調節を行う。
【0099】
本発明のいくつかの実施形態では、式(1)の化合物は、チェックポイント阻害剤から選択される少なくとも1種類の追加の治療薬とともに投与される。本発明のいくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤は、以下の非限定標的群のうち1つまたは複数に作用する:CEACAM1、ガレクチン−9、TIM3、CD80、CTLA4、PD−1、PD−L1、HVEM、BTLA、CD160、VISTA、B7−H4、B7−2、CD155、CD226、TIGIT、CD96、LAG3、GITF、OX40、CD137、CD40、IDO、およびTDO。これらは既知の標的であり、これらの標的のいくつかは、Melero et al.,Nature Reviews Cancer(2015)に記載されている。
【0100】
本発明のいくつかの実施形態では、式(1)の化合物は、インドールアミン−2,3−ジオキシゲナーゼ(IDO)の阻害剤から選択される少なくとも1種類の追加の治療薬とともに投与される。
【0101】
本発明のいくつかの実施形態では、式(1)の化合物は、CTLA4経路の1種または複数の阻害剤から選択される少なくとも1種類の追加の治療薬とともに投与される。いくつかの実施形態では、CTLA4経路の阻害剤は、CTLA4に対する1種または複数の抗体から選択される。
【0102】
本発明のいくつかの実施形態では、式(1)の化合物は、PD−1/PD−L経路の1種または複数の阻害剤から選択される少なくとも1種類の追加の治療薬とともに投与される。いくつかの実施形態では、PD−1/PD−L経路の1種または複数の阻害剤は、PD−1、PD−L1、および/またはPD−L2に対する1種または複数の抗体から選択される。
【0103】
さらなる態様では、本発明は、ヒトなどの哺乳動物におけるガレクチン−3などのガレクチンのリガンドに対する結合に関係する障害の処置方法に関し、該方法は、治療有効量の請求項1〜11のいずれか1項に記載の少なくとも1種の化合物による前記処置を必要とする哺乳動物に投与する方法である。ある実施形態では、障害は、炎症;肺線維症、肝線維症、腎線維症、眼線維症および心臓の線維症などの線維症;敗血症ショック;癌;自己免疫疾患;代謝障害;心疾患;心不全;眼球血管新生などの病的血管新生、または眼球血管新生に付随する疾患もしくは症状、例えば、癌に関連した血管新生;ならびに加齢黄斑変性症および角膜血管新生などの眼疾患からなる群から選択される。さらなる実施形態では、疾患は、増殖性硝子体網膜症から選択される。
【0104】
またさらなる態様では、本発明は、下記ステップa1を含む、式1の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を調製するプロセスに関する。
【0106】
a1)式1の化合物(WO2009139719に記載のようにして得られる)と式IIの化合物を、ジイソプロピルアミンなどの塩基を用いた、DMFなどの不活性溶媒中でCuI触媒作用により反応させるステップ。W
1は、式1で定義されたR
1〜R
5で任意に置換されてもよいフェニルである。次に、このような反応の生成物を、ジイソプロピルアミンなどの塩基を用いて、DMFなどの不活性溶媒中、CuIの触媒作用下でIIIとさらに反応させて、式IVの化合物を得る。W
2は、式1においてR
6として定義されている。代替手法は、式Iの化合物を式(III)の化合物と反応させ、続けて、上記と類似の条件を用いて、式(II)の化合物と反応させることであろう。
【0107】
またさらなる態様では、本発明は、下記ステップa2を含む、式1の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を調製するプロセスに関する。
【0109】
a2)式Vの化合物と式VIの化合物を反応させるステップ。VIの硫黄は非置換型であってもまたはチオ尿素、トリイソプロピルシラン(TIPS)などのシリル保護基、またはその他の保護基として保護されてもよい。チオ尿素として保護される場合、カップリングはトリエチルアミンなどの弱有機塩基を用いて行い得る。テトラブチルアンモニウムフルオリドなどの試薬の存在下でシリル保護基を用いて保護する場合、その後、生成物をナトリウムメトキシドなどの塩基でさらに処理して、アセテート保護基を除去し、式1の化合物を得る。
【0110】
またさらなる態様では、本発明は、下記ステップa3を含む、式1の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を調製するプロセスに関する。
【0112】
a3)式VIIの化合物を、ジイソプロピルアミンなどの塩基を用いて、DMFなどの不活性溶媒中、CuIによる触媒作用下で、式IIIの化合物と反応させて、式VIIIの化合物を得るステップ。
【0113】
なおさらなる態様では、本発明は、下記ステップa4〜a6:を含む、式XI、XIIおよびXIIIの化合物の調製プロセスに関する。
【0115】
a4)式IXの化合物を、DMFなどの不活性溶媒中で、ジイソプロピルアミンなどの塩基を用いて、CuIの触媒作用下で、式Xの化合物と反応させて、式XIの化合物を得るステップ。Zは、W
1またはW
2のいずれかとして定義される。
【0116】
a5)式XIの化合物をTiBr
4と反応させて、NaHCO
3水溶液で洗浄し、式XIIの化合物を得るステップ。Lは、Brなどの脱離基である。
【0117】
a6)式XIIの化合物を、アセトンなどの不活性溶媒中で、トリイソプロピルシランチオールと反応させて、式XIIIの化合物を得るステップ。式XIIIの硫黄はトリイソプロピルシランで保護されている。必要に応じ、式XIIの化合物を、必要に応じ高温下で、アセトニトリルなどの不活性の溶媒中でチオ尿素と反応させて式XIIIの化合物を得ることも可能である。
【0118】
またさらなる態様では、本発明は、下記ステップa7〜a8を含む、式XIVおよびXVの化合物を調製するプロセスに関する。
【0120】
a7)式IXの化合物をTiBr
4と反応させて、NaHCO
3水溶液で洗浄し、式XIVの化合物を得るステップ。Lは、Brなどの脱離基である。
【0121】
a8)式XIVの化合物と式XIIIの化合物とを反応させるステップ。XIIIの硫黄は非置換型であってもまたはチオ尿素、トリイソプロピルシラン(TIPS)などのシリル保護基、またはその他の保護基として保護されてもよい。チオ尿素として保護される場合、カップリングはトリエチルアミンなどの有機塩基を用いて行い得る。式XVの化合物を得るために、テトラブチルアンモニウムフルオリドなどの試薬の存在下でシリル保護基を用いて保護する場合。
【0122】
またさらなる態様では、本発明は、下記ステップa9を含む、式Xの化合物を調製するプロセスに関する。
【0124】
a9)式XVIIの化合物(式中、Zは、W
1として定義され、Lは、臭素などの脱離基として定義される)を、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム−(II)−クロリドなどのパラジウム触媒およびジイソプロピルアミンなどの塩基を使って、THFなどの不活性溶媒中でトリメチルシラン−アセチレンと反応させて、式Xの化合物を得るステップ。
【0125】
またさらなる態様では、本発明は、下記ステップa10を含む、式Xの化合物を調製するプロセスに関する。
【0127】
a10)式XVIIIの化合物を、THFなどの不活性溶媒中でBuLiなどの塩基と反応させ、続いて、トリクロロエチレンなどの試薬と反応させるステップ。この反応の生成物を、BuLiなどの塩基、続けてトリメチルシリルクロリドとさらに反応させて、式XIVの化合物を得るステップ。
【0128】
当業者ならば、プロセスのステップa1〜a10の順序を調整または変更することが必要な場合があり、このような順序の変更も反応スキームおよび付随するプロセスステップの説明における上記のようなプロセスの態様に包含されることを理解するであろう。
【0129】
さらに、当業者ならば、上記および下記のプロセスにおいて、中間化合物の官能基を保護基で保護することが必要となる場合があることを理解するであろう。
【0130】
保護することが望ましい官能基には、ヒドロキシ、アミノおよびカルボン酸が含まれる。ヒドロキシの好適な保護基には、場合により置換および/または不飽和であるアルキル基(例えば、メチル、アリル、ベンジルまたはtert−ブチル)、トリアルキルシリルまたはジアリールアルキルシリル基(例えば、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリルまたはトリメチルシリル)、AcO(アセトキシ)、TBS(t−ブチルジメチルシリル)、TMS(トリメチルシリル)、PMB(p−メトキシベンジル)、およびテトラヒドロピラニルが挙げられる。カルボン酸の好適な保護基には、(C
1−C
6)−アルキルまたはベンジルエステルが挙げられる。アミノの好適な保護基には、t−ブチルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、2−(トリメチルシリル)−エトキシ−メチルまたは2−トリメチルシリルエトキシカルボニル(Teoc)が挙げられる。Sの好適な保護基には、S−C(=N)NH
2、TIPSが挙げられる。
【0131】
官能基の保護および脱保護は、上述のプロセスにおけるいずれの反応の前または後に行ってもよい。
【0132】
さらに、当業者は、本発明の化合物を別の方法で、時にはより好都合な方法で得るために、上記個々のプロセスステップを異なる順序で行うことができ、および/または個々の反応を経路全体における異なる段階で行うことができる(すなわち、特定の反応に関連して上記とは異なる中間体に置換基を付加することができ、および/または化学変換を行うことができる)ことを理解するであろう。これは保護基を不要にすることもあり、または必要とすることもある。
【0133】
またさらなる実施形態では、式1の化合物は遊離型である。一実施形態では、遊離型は無水物である。別の実施形態では、遊離型は水和物などの溶媒和物である。
【0134】
さらなる実施形態では、化合物は結晶形態である。当業者は多形を見つけるために試験を行い得、このような多形体は、本明細書で使用される「結晶形態」という用語に包含されることが意図されている。
【0135】
本明細書で開示される化合物および医薬組成物が上記の処置に使用される場合、治療有効量の少なくとも1種の化合物が前記処置を必要とする哺乳動物に投与される。
【0136】
代替製剤
2種の小分子ガレクチン−3阻害剤、3,3’−ジデオキシ−3,3’−ビス−[4−(3−フルオロフェニル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−1,1’−スルファンジイル−ジ−β−D−ガラクトピラノシド(GB1A)および3,3’−ジデオキシ−3,3’−ビス−[4−(5−フルオロ−2−ピリジニル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−1,1’−スルファンジイル−ジ−β−D−ガラクトピラノシド(GB1B)を、増殖性硝子体網膜症(PVR)のウサギモデルで、抗線維化潜在能力の有効性研究に関し、HEC含有液体組成物を用いて試験した。
この結果、HECの使用は、PBSおよび/またはDMSOに比べて、角膜血管新生および線維症を顕著に低減させることが示された。2種のガレクチン−3阻害剤は、網膜下グリア性瘢痕の大きさおよび数ならびに分裂細胞の数の低減に極めて効果的であり、ヒトなどの哺乳動物における病的血管新生および線維症、特にPVRに関連する眼障害の処置のための新規治療戦略の可能性をもたらした。
【0137】
さらなる態様では、本発明はまた、眼疾患、障害または状態の処置のためのヒドロキシエチルセルロース(HEC)および薬物を含む組成物に関する。またさらなる態様では、組成物は、増殖性硝子体網膜症の処置などの、眼球血管新生または眼線維症の処置の方法で使用するためのものである。さらなる実施形態では、薬物は、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤である。さらなる実施形態では、薬物は、α−D−ガラクトピラノース、β−D−ガラクトピラノース、C3−[1,2,3]−トリアゾール−1−イル−置換 α−D−ガラクトピラノース、C3−[1,2,3]−トリアゾール−1−イル−置換 β−D−ガラクトピラノース、チオ−ジガレクトシド、またはC3−[1,2,3]−トリアゾール−1−イル−置換 チオ−ジガレクトシドを含む構造から選択される。さらなる実施形態では、薬物は、治療有効量で存在する。さらなる実施形態では、薬物は、US10/466,933で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。
【0138】
さらなる実施形態では、薬物は、US11/561,124で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、薬物は、US11/561,465で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、薬物は、US12/992,328で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、薬物は、US13/266,960で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、薬物は、US14/364,169で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、薬物は、PCT/EP2015/065313で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、薬物は、PCT/EP2016/050633で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、薬物は、PCT/EP2016/051836で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、薬物は、本明細書の請求項1〜15に開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。
【0139】
またさらなる態様では、本発明はまた、増殖性硝子体網膜症の処置などの、眼球血管新生または眼線維症の処置方法で使用するためのヒドロキシエチルセルロース(HEC)およびガレクチン阻害剤を含む組成物に関する。ある実施形態では、組成物は、増殖性硝子体網膜症の処置方法で使用するためのヒドロキシエチルセルロース(HEC)およびガレクチン阻害剤を含む。さらなる実施形態では、ガレクチン阻害剤は、ガレクチン−3阻害剤から選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、治療有効量で存在する。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、US10/466,933で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、US11/561,124で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、US11/561,465で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、US12/992,328で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、US13/266,960で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、US14/364,169で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、PCT/EP2015/065313で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、PCT/EP2016/050633で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、PCT/EP2016/051836で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、本明細書の請求項1〜15に開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。
【0140】
またさらなる態様では、本発明はまた、増殖性硝子体網膜症の処置方法で使用するためのガレクチン阻害剤に関する。さらなる実施形態では、ガレクチン阻害剤は、ガレクチン−3阻害剤から選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、治療有効量で存在する。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、US10/466,933で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、US11/561,124で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、US11/561,465で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、US12/992,328で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、US13/266,960で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、US14/364,169で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、PCT/EP2015/065313で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、PCT/EP2016/050633で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、PCT/EP2016/051836で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、本明細書の請求項1〜15に開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。
【0141】
またさらなる態様では、本発明はまた、HECおよびガレクチン阻害剤を含む水性組成物に関する。ある実施形態では、水性組成物は、増殖性硝子体網膜症の処置のためなどの、眼内血管新生または眼線維症の処置方法で使用するためのものである。さらなる実施形態では、ガレクチン阻害剤は、ガレクチン−3阻害剤から選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、治療有効量で存在する。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、US10/466,933で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、US11/561,124で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、US11/561,465で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、US12/992,328で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、US13/266,960で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、US14/364,169で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、PCT/EP2015/065313で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、PCT/EP2016/050633で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、PCT/EP2016/051836で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、本明細書の請求項1〜15に開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。このような水性組成物は、哺乳動物の眼への局所または注射投与に好適し得る。したがって、さらなる実施形態では、水性組成物は、哺乳動物の眼に局所投与するための点眼懸濁液または溶液から選択される。別の実施形態では、水性組成物は、哺乳動物の眼に注射投与するための懸濁液または溶液から選択される。点眼懸濁液または溶液は、さらなる実施形態では、ゲル剤であってもよい。
【0142】
またさらなる態様では、本発明は、ヒトなどの哺乳動物における増殖性硝子体網膜症の処置などの、眼球血管新生または眼線維症の処置方法に関し、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)および治療有効量の、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤を含む組成物は、前記処置を必要としている哺乳動物に投与される。ある実施形態では、組成物は、溶液または懸濁液などの水性組成物である。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、US10/466,933で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、US11/561,124で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、US11/561,465で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、US12/992,328で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、US13/266,960で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、US14/364,169で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、PCT/EP2015/065313で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、PCT/EP2016/050633で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、PCT/EP2016/051836で開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。さらなる実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、本明細書の請求項1〜15に開示される構造および実施形態のいずれか1つから選択される。
【0143】
ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤が上記態様および実施形態で使用される場合、それは、治療する眼に対し最適な条件を与える治療有効量で適宜存在する。したがって、ある実施形態では、ガレクチン−3阻害剤などのガレクチン阻害剤は、0.01mg/ml〜100mg/ml、より好ましくは0.05mg/ml〜50mg/ml、さらにより好ましくは0.1mg/ml〜20mg/ml、通常は0.5mg/ml〜10mg/mlの量で存在する。
【0144】
HECが上記態様および実施形態で使用される場合、それは、治療する眼に対し最適な条件を与える量で適宜存在する。したがって、ある実施形態では、HECは、0.1重量%〜5重量%、より好ましくは0.25重量%〜4重量%、さらにより好ましくは0.5重量%〜3重量%、通常は0.5重量%〜2重量%の量で存在する。
【0145】
定義
本明細書で使用される場合、「C
1-10アルキル」という用語は、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基、例えば、C
1-5またはC
1-6などの、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルなどを意味する。
【0146】
本明細書で使用される場合、「分岐C
3-10アルキル」という用語は、3〜10個の炭素原子を含有する分岐アルキル基、例えば、イソプロピル、イソブチル、tert−ブチル、イソペンチル、3−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、2−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチルなどの3〜6炭素原子を含むものなどを意味する。
【0147】
本明細書で使用される場合、用語の「1〜3個のヘテロ原子および3〜6個の炭素原子を有する飽和または不飽和4〜7員ヘテロ環基」は、1〜3個のN、S、またはO原子を有し、場合により環内に1、2または3個の二重結合を含む環状基、例えば、ピペラジニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、チアゾリジニル、オキサゾリジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ピリダジニル、アゼパニル、オキセパニル、ジオキセパニル、ジアゼパニル、またはオキサゼパニルを意味する。
【0148】
本明細書で使用される場合、用語の「C
3-7シクロアルキル」は、3〜7個の炭素原子を含有する環状アルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、および1−メチルシクロプロピルを意味する。
【0149】
用語「オキソ」は、本明細書で使用される場合、二重結合を有する酸素原子を意味し、=Oとしても示される。
【0150】
本明細書で使用される場合、用語の「処置(treatment)」および「処置(treating)」は、疾患または障害などの状態を抑えることを目的とした患者の管理およびケアを意味する。この用語は、症状もしくは合併症を緩和するための、疾患、障害もしくは状態の進行を遅らせるため、症状および合併症を緩和もしくは軽減するため、および/または疾患、障害もしくは状態を治癒させるもしくは除去するため、ならびに病態を予防するための有効成分の投与など、患者が患っている所与の状態に対する全域の処置を含むものとし、ここで、予防は、疾患または障害などの状態を抑えることを目的とした患者の管理およびケアと理解されるべきであり、症状または合併症の発症防ぐための活性化合物の投与を含む。処置は即時的方法または長期的方法のいずれかで実施され得る。処置される患者は好ましくは哺乳動物、特に人間であるが、イヌ、ネコ、雌ウシ、ヒツジおよびブタなどの動物も含み得る。
【0151】
本明細書で使用される場合、本発明の式(1)の化合物の「治療有効量」という用語は、所与の疾患およびその合併症の臨床症状を治癒させる、緩和するまたは部分的に阻止するために十分な量を意味する。これを達成するための適切な量が「治療有効量」と定義される。各目的の有効量は疾患または傷害の重篤度ならびに対象の体重および健康状態によって異なる。適切な用量の決定は、値のマトリックスを構成し、そのマトリックス内の種々の点を試験することにより、通常の実験を行って達成することができ、これは全て訓練を受けた医師または獣医師の通常の技量の範囲内にあると理解される。
【0152】
なおさらなる態様では、本発明は、式(1)の化合物および必要に応じて担体または賦形剤などの薬学的に許容される添加剤を含む医薬組成物に関する。
【0153】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される添加剤」は、当業者が本発明の化合物を処方する際に医薬組成物を作製するために使用を考える、限定されるものではないが、担体、賦形剤、希釈剤、アジュバント、着色剤、芳香剤、保存剤などを含むことが意図されている。
【0154】
本発明の組成物中に使用され得るアジュバント、希釈剤、賦形剤および/または担体は、式(1)の化合物およびその医薬組成物の他の成分と適合し、そのレシピエントに有害でないという意味で薬学的に許容されなければならない。本組成物はアレルギー反応などの有害な反応を引き起こし得るどのような材料も含有しないことが好ましい。本発明の医薬組成物に使用し得るアジュバント、希釈剤、賦形剤および担体は、当業者によく知られている。
【0155】
前述のように、本明細書で開示されるような組成物、特に医薬組成物は、本明細書で開示される化合物に加えて、少なくとも1種類の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、賦形剤および/または担体をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1〜99重量%の上記少なくとも1種類の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、賦形剤および/または担体と1〜99重量%の本明細書で開示の化合物を含む。有効成分と薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、賦形剤および/または担体を合わせた量は、組成物、特に医薬組成物の100重量%を越えることはあり得ない。
【0156】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の1種類のみの化合物が上述の目的で使用される。
【0157】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示の2種またはそれを超える化合物が上記目的のために組み合わせて使用される。
【0158】
本明細書に示される化合物を含む組成物、特に医薬組成物は、経口、静脈内、局所的、腹腔内、鼻腔、口内、舌下、もしくは皮下投与に、または例えばエアゾールもしくは空中浮遊微粉の形態での気道を経た投与に適合させ得る。従って、医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、ナノ粒子、結晶、非晶質物質、溶液、懸濁液、凍結乾燥粉末、ゲル、クリーム剤、ローション、軟膏、ペースト、経皮貼付剤または坐剤の形態であってよい。
【0159】
プロセスのさらなる実施形態は、本明細書の実験の項に記載し、それぞれ個別のプロセスならびに各出発材料は実施形態の一部を形成し得る実施形態を構成する。
【0160】
上記の実施形態は、本明細書に記載の態様(例えば、「処置方法」、「医薬組成物」、「薬物として使用するための化合物」、または「方法で使用するための化合物」)のいずれか1つならびに、ある実施形態が本発明の特定の態様(単一または複数)に関連することが明示されなければ、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つを指すと見なすべきである。
【0161】
刊行物、特許出願および特許を含め、本明細書に引用される全ての参考文献は、各参考文献が個々に、具体的にその全体が参照により組み込まれることが示され、また、その全体が本明細書に記載されているのと同じ程度に、参照により組み込まれる。
【0162】
見出しおよび小見出しは全て本明細書では単に便宜上使用され、本発明を何ら限定すると解釈されるべきでない。
【0163】
別段の指示がない限り、別の理由で文脈上明らかに矛盾するということがない限り、全ての可能性な変形例における上記要素のいずれの組み合わせも本発明に包含される。
【0164】
用語「a」および「an」および「the」および類似の指示対象は、本発明の説明に関連して使用する場合、本明細書で別段の指示がない限り、または文脈上明らかに矛盾するということがない限り、単数および複数の両方を包含すると解釈されるべきである。
【0165】
本明細書において値の範囲の列挙は、単に、本明細書で別段の指示がない限り、その範囲内に入る個別の各値を個々に表すことの簡略法として用いることを意図したものであり、個別の各値は、それが本明細書に個々に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。別に定める場合を除き、本明細書で提供される全ての正確な値は、対応する近似値を代表するものである(例えば、特定の因子または測定値に関して提供される全ての正確な例示的値は、適切な場合には、「約」で修飾される対応する近似の測定値も与えること考えることができる)。
【0166】
本明細書で記載の全ての方法は、本明細書で別段の指示がない限り、または文脈上明らかに矛盾することがない限り、任意の好適な順序で実施することができる。
【0167】
本明細書に示される任意のおよび全ての例または例示的表現(例えば「などの」)の使用は、本発明をより明らかにすることを単に意図したものであり、別段の指示がない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中の文言は、明示的に示されない限り、任意の要素が本発明の実施に不可欠であることを示すと解釈すべきではない。
【0168】
本明細書での特許文献の引用および組み込みは単に便宜上行われるものであり、このような特許文献の妥当性、特許性および/または実施可能性のいずれをも反映するものではない。
【0169】
1つまたは複数の要素に関して「含む(comprising)」、「有する(having)」、「包含する(including)」または「含有する(containing)」などの用語を用いての、本発明の態様または実施形態の本明細書における記載は、本明細書にそうではないことが述べられない限りまたは文脈が明らかに矛盾しない限り、その特定の1つまたは複数の要素「からなる(consist of)」、「から本質的になる(consist essentially of)」、または「を実質的に含む(substantially comprise)」本発明の類似の態様または実施形態に支持を与えることを意図する(例えば、特定の要素を含むと本明細書に記載される組成物は、そうではないことが述べられない限りまたは文脈が明らかに矛盾しない限り、その要素からなる組成物もまた記載すると理解されるべきである)。
【0170】
本発明は、本明細書に示される態様または特許請求の範囲に列挙される主題のすべての修正物および等価物を適用法令が許す最大の限度で含む。
【0171】
本発明を以下の実施例によりさらに説明するが、それらの実施例は保護の範囲を限定するものと解釈されるべきでない。上記記載および以下の実施例に開示される特徴は、単独およびそれらの任意の組合せにより、本発明をその多様な形態で実現するための用具であり得る。
【0172】
実験手順
Kd値の評価
実施例1〜5のガレクチンに対する親和性を蛍光偏光測定アッセイにより決定した。このアッセイでは、Sorme,P.,Kahl−Knutsson,B.,Huflejt,M.,Nilsson,U.J.,and Leffler H.(2004)Fluorescence polarization as an analytical tool to evaluate galectin−ligand interactions.Anal.Biochem.334:36−47,(Sorme et al.,2004)およびMonovalent interactions of Galectin−1 By Salomonsson,Emma;Larumbe,Amaia;Tejler,Johan;Tullberg,Erik;Rydberg,Hanna;Sundin,Anders;Khabut,Areej;Frejd,Torbjorn;Lobsanov,Yuri D.;Rini,James M.;et al,From Biochemistry(2010),49(44),9518−9532,(Salomonsson et al.,2010)に記載されているように、化合物をガレクチンとフルオレセインタグを付けた糖プローブの間の相互作用の阻害剤として使用した。このアッセイはまた、低濃度のガレクチン−3(10nM)の使用を可能とする、ガレクチン−3に対して高い親和性を有するように構築された以下のプローブを使用することにより、ガレクチン−3に対する化合物の高い親和性を測定できるように構成した。このような低濃度ガレクチンでのタンパク質の損失を避けるために100nMのアルブミンを担体として含めた。
【0176】
一般手順
核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、400MHz Varianまたは500MHz Bruker AVANCE III 500装置を用いて25℃で記録した。化学シフトは、残留溶媒を内部標準として用いてppm(δ)で報告する。ピークの多重度は次のように表す:s、一重線;d、二重線;dd、二重の二重線;t、三重線;dt、二重の三重線;q、四重線;m、多重線;br s、ブロード一重線。
【0177】
LC−MSは、ES(+)イオン化モードで動作するAgilent MSD質量分析計と接続したAgilent 1100またはAgilent 1200 HPLCで取得した。カラム:Waters symmetry 2.1×30mm C18、Chromolith RP−18 2×50mmまたはXBridge C18(4.6×50mm、3.5μm)またはSunFire C18(4.6×50mm、3.5μm)。溶媒A 水+0.1%TFAおよび溶媒B アセトニトリル+0.1%TFA。波長:254nM。
【0178】
分取HPLCは、Gilsonシステムで実施した。A)流速:10ml/分 カラム:kromasil 100−5−C18カラム。波長:254nM。溶媒A 水+0.1%TFAおよび溶媒B アセトニトリル+0.1%TFA。B)Gilson 215を用いた。流速:25ml/分 カラム:XBrige prep C18 10μm OBD(19×250mm)カラム。波長:254nM。溶媒A 水(10mM炭酸水素アンモニウム)および溶媒B アセトニトリル。
【0179】
フラッシュクロマトグラフィーは、Biotage SP1自動システムで、Biotage Snap KP−Sil 25gまたは50gカートリッジを用いて実施した。
【0180】
実施例1〜5の合成
実施例1
3,3’−ジデオキシ−3−[4−(モルホリン−4−イル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−3’−[4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−1,1’−スルファンジイル−ジ−β−D−ガラクトピラノシド
【0182】
4−[2−(トリメチルシリル)エチニル]モルホリン(117μL)を、MeCN(5mL、乾燥)中に溶解し、トリエチルアミントリヒドロフルオリド(36μL)を加え、混合物を窒素下、室温で撹拌した。1時間後、混合物をMeCN(5mL)中に溶解したi2(121mg)に加え、銅(I)ヨージド(40mg)を加え、続けて、ヒューニッヒ塩基(78μL)を加えた。18時間後、温度を40℃に上げ、さらに24時間後に温度を50℃に上げ、銅(I)ヨージド(40mg)を加えた。さらに4時間後、4−[2−(トリメチルシリル)エチニル]モルホリン(100μL)、TBAF(161mg)、およびヒューニッヒ塩基(80μL)を加えた。18時間後、混合物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(SiO
2/石油エーテル:EtOAc 100:0→0:100)で精製した。残留物をMeOH(20mL、乾燥)に溶解し、NaOMe(MeOH中の1M、1.0mL)を加え、混合物を室温で撹拌した。2時間後、HOAc(2mL)を加え、混合物を濃縮した。残留物をHPLC(C
18/MeCN:H
2O:0.1%TFA)により精製した。凍結乾燥させて標記化合物(107mg)を白色固体として得た。
1H NMR(400MHz,メタノール−d
4)δ 8.57(s,1H),7.64(s,1H),7.64−7.56(m,2H),4.93−4.72(m,4H),4.74−4.68(m,2H),4.12(bs,2H),3.89−3.76(m,8H),3.74−3.65(m,2H),3.18−3.10(m,4H)。[C
26H
33F
3N
7O
9S]
+(M+H)
+のESI−MS m/z 計算値:676.19;実測値:676.20。
【0183】
実施例2
3,3’−ジデオキシ−3−[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−3’−[4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−1,1’−スルファンジイル−ジ−β−D−ガラクトピラノシド
【0185】
メチルピペラジン(8.5mL)をTHF(30mL)中に溶解し、−60℃に冷却した。n−BuLi(48mL、ヘキサン中の1.6M)を加えた。混合物を室温まで温めた後、1時間撹拌した。−50℃で、この混合物を、滴下漏斗を介してTHF(30mL)中のトリクロロエチレン(6.85mL)溶液に加えた。得られた混合物を室温まで温めた後、1時間撹拌した。それを再度冷却し、温度を−50℃より低い温度に保持しながら、n−BuLi(100mL、ヘキサン中の1.6M)を加えた。混合物をゆっくりと室温に上げ、一晩撹拌した。混合物を−60℃に冷却し、トリメチルシリルクロリド(10mL)を滴加した。混合物を室温まで温めた後、3時間撹拌した。これを、セライトプラグを通して濾過し、減圧下で濃縮した。褐色の液体残留物を減圧蒸留した。トリメチル−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチニル]シラン(6.30g)を沸点50〜65℃の透明油として収集した。
1H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δ 3.09−3.01(m,4H),2.40−2.29(m,4H),2.23(s,3H),0.08(s,9H)。
【0186】
トリメチル−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチニル]シラン)100μLを、窒素をバブリングしながら、MeCN(2mL)に溶解した。フッ化セシウム(75mg)を添加した。2分後、アセトニトリル(5mL)中のi2(40mg)および銅(I)ヨージド(6mg)を加え、混合物を5分間撹拌した。ヒューニッヒ塩基(200mL)を加え、バイアルを密閉し、室温で4時間撹拌した。混合物を濃縮し、残留物を、フラッシュクロマトグラフィー(SiO
2/EtOAc:MeOH 100:0→80:20)で精製した。これにより、淡黄色油48mgを得た。これをMeOH(15mL)に溶解し、NaOMe(MeOH中の1M、1mL)を加え、混合物を2時間撹拌した。TFA(0.2ml)を添加し、混合物を減圧下で濃縮した。残留物をHPLC(C
18/MeCN:H
2O:0.1%TFA)により精製した。凍結乾燥により、生成物として白色粉末(25mg)を得た。
1H NMR(400MHz,メタノール−d
4)δ 8.55(s,1H),7.70(s,1H),7.61(dd,J=8.5,6.6Hz,2H),4.89(t,J= 8.9Hz,2H),4.77−4.54(m,4H),4.13(dd,J=11.5,2.8Hz,2H),3.91−3.76(m,4H),3.75−3.66(m,2H),3.44(s,4H),3.33(d,J=8.9Hz,4H),2.89(s,3H)。[C
27H
36F
3N
8O
8S]
+(M+H)
+のESI−MS m/z 計算値:689.23;実測値:689.25。
【0187】
実施例3
3,3’−ジデオキシ−3−[4−(ピペリジン−4−イル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−3’−[4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−1,1’−スルファンジイル−ジ−β−D−ガラクトピラノシド
【0189】
i1(40mg)およびtert−ブチル 4−エチニルピペリジン−1−カルボキシレート(35mg)をアセトニトリル(4mL)に溶解し、脱気した(アルゴン)。銅(I)ヨージド(4mg)、続いてヒューニッヒ塩基(100μl)を添加した。混合物を室温で一晩攪拌した後、減圧下で濃縮した。残留物をCH
2Cl
2(10mL)中に溶解した。TFA(1mL)を加え、混合物を30℃で3時間攪拌した。混合物を減圧下で濃縮し、残留物を、HPLC(C
18/MeCN:H
2O:0.1%TFA)で精製した。凍結乾燥により白色のふわふわした固体(43mg)を得た。
1H NMR(400MHz,メタノール−d
4)δ 8.55(s,1H),8.03(s,1H),7.66−7.57(m,2H),4.95−4.79(m,2H),4.67−4.52(m,2H),4.13(dd,J=14.0,2.8Hz,2H),3.91−3.76(m,4H),3.70(dd,J=11.2,4.4Hz,2H),3.47(d,J=13.0Hz,2H),3.15(t,J=12.1Hz,3H),2.26(d,J=14.6Hz,4H),1.94(q,J=12.9Hz,4H)。[C
27H
35F
3N
7O
8S]
+(M+H)
+のESI−MS m/z 計算値:674.21;実測値:674.25。
【0190】
実施例4
3,3’−ジデオキシ−3−[4−(テトラヒドロピラン−4−イル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−3’−[4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−1,1’−スルファンジイル−ジ−β−D−ガラクトピラノシド
【0192】
i1(40mg)および4−エチニルテトラヒドロ−2H−ピラン(35mg)をアセトニトリル(4mL)に溶解し、脱気した(アルゴン)。銅(I)ヨージド(4mg)、続いてDIEA(100μl)を添加した。混合物を室温で一晩攪拌した後、減圧下で濃縮し、HPLC(C
18/MeCN:H
2O:0.1%TFA)で精製した。凍結乾燥により白色のふわふわした固体(45mg)を得た。
1H NMR(400MHz,メタノール−d
4)δ 8.56(s,1H),8.00(s,1H),7.60(dd,J=8.5,6.5Hz,2H),4.93−4.85(m,2H),4.85−4.65(m,4H),4.12(dd,J=8.5,2.7Hz,2H),3.99(d,J=11.8Hz,2H),3.83(ddt,J=18.0,11.0,6.4Hz,4H),3.70(dd,J=11.1,4.0Hz,2H),3.56(t,J=11.4Hz,2H),3.02(s,1H),1.95(d,J=13.1Hz,2H),1.84−1.73(m,2H)。[C
27H
34F
3N
6O
9S]
+(M+H)
+のESI−MS m/z 計算値:675.20;実測値:675.15。
【0193】
実施例5
3,3’−ジデオキシ−3−[4−(プロパン−2−イル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−3’−[4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−1,1’−スルファンジイル−ジ−β−D−ガラクトピラノシド
【0195】
i2(50mg)を、MeCN(7mL、乾燥)中に溶解し、3−メチルブタ−1−イン(20μL)を加え、混合物をアルゴン下、室温で撹拌した。銅(I)ヨージド(14mg)、続けて、ヒューニッヒ塩基(25μL)を加え、混合物を27℃に加熱した。18時間後、混合物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(SiO
2/石油エーテル:EtOAc 95:5→5:95)で精製した。残留物をMeOH(10mL、乾燥)に溶解し、NaOMe(MeOH中の1M、0.5mL)を加え、混合物を室温で撹拌した。2時間後、HOAc(1mL)を加え、混合物を濃縮した。残留物をHPLC(C
18/MeCN:H
2O:0.1%TFA)により精製した。凍結乾燥により白色のふわふわした固体(8mg)を得た。
1H NMR(400MHz,メタノール−d
4)δ 8.56(s,1H),7.97(s,1H),7.64−7.57(m,2H),4.93−4.64(m,6H),4.12(dd,J=5.4,2.8Hz,2H),3.91−3.76(m,4H),3.70(dd,J=10.8,3.7Hz,2H),3.07(p,J=6.8Hz,1H),1.31(dd,J=6.9,2.6Hz,6H)。[C
25H
32F
3N
6O
8S]
+(M+H)
+のESI−MS m/z 計算値:633.19;実測値:633.15。
【0196】
ステップb1〜b2を経由した中間体i1およびi2の合成;
b1)3−アジド−3,3’−ジデオキシ−3’−[4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−1,1’−スルファンジイル−ジ−β−D−ガラクトピラノシド(i1)
2,2’,4,4’,5,5’,6,6’−ヘキサ−O−アセチル−3,3’−ジアジド−3,3’−ジデオキシ−1,1’−スルファンジイル−ジ−β−D−ガラクトピラノシド(131mg)およびトリメチル−[2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)エチニル]シラン(45μl)をアセトニトリル(5mL)中で混合し、脱気した(アルゴン)。フッ化セシウム(30mg)を添加し、混合物を5分間撹拌した。銅(I)ヨージド(4mg)、続いてヒューニッヒ塩基(100μl)を添加した。混合物を室温で一晩攪拌した後、減圧下で濃縮した。次にこれをシリカ上で蒸発させ、フラッシュクロマトグラフィー(SiO
2/石油エーテル:EtOAc 95:5→5:95)で精製した。適切な画分を濃縮し、残留物をメタノール(10ml)に溶解した。メタノール中の1Mのナトリウムメトキシド(1.5ml)を添加し、反応混合物を2時間撹拌した。TFA(0.2ml)を加え、混合物を減圧下で濃縮した。残留物をHPLC(C
18/MeCN:H
2O:0.1%TFA)により精製した。凍結乾燥により中間体1(i1)(61mg)を白色固体として得た。
【0197】
b2)2,2’,4,4’,5,5’,6,6’−ヘキサ−O−アセチル−3−アジド−3,3’−ジデオキシ−3’−[4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−1,1’−スルファンジイル−ジ−β−D−ガラクトピラノシド(i2)
i1(150mg)をピリジン(5ml)に溶解した。無水酢酸(0.5mL)を加え、混合物を一晩撹拌した後、減圧下で濃縮した。残留物をCH
2Cl
2に溶解し、シリカ(2g)を通して濾過し、DCM中の2%MeOHで溶出した。濾液を減圧下で濃縮して中間体2(i2)(209mg)を白色固体として得た。
1H NMR(400MHz,メタノール−d
4)δ 8.58(d,J=1.2Hz,2H),7.60(dd,J=8.5,6.5Hz,4H),4.90(d,J=3.3Hz,4H),4.72(t,J=10.1Hz,2H),4.16(d,J=2.8Hz,2H),3.94−3.78(m,4H),3.72(dd,J=11.3,4.4Hz,2H)。
【0198】
i2は、必要に応じ、ステップb3〜b7を経由して作製し得る;
b3)2,4,6−トリ−O−アセチル−3−アジド−3−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシルブロミド
1,2,4,6−テトラ−O−アセチル−3−アジド−3−デオキシ−β−D−ガラクトピラノシド(1.99g)およびチタンテトラブロミド(2.7g)をEtOAc(100ml)中で混合し、27℃で48時間撹拌した。5%NaHCO
3水溶液(100ml)およびブライン(100ml)で洗浄した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO
2/石油エーテル:EtOAc 95:5→5:95)による精製により、2.01gの2,4,6−トリ−O−アセチル−3−アジド−3−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシルブロミドを得た。
1H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δ 6.71(d,J=3.8Hz,1H),5.50(d,J=2.5Hz,1H),4.95(dd,J=10.6,3.8Hz,1H),4.42(t,J=6.4Hz,1H),4.22−4.03(m,3H),2.18(s,3H),2.17(s,3H),2.08(s,3H)。
【0199】
b4)トリ−イソプロピルシリル 2,4,6−トリ−O−アセチル−3−アジド−3−デオキシ−1−チオ−β−D−ガラクトピラノシド
2,4,6−トリ−O−アセチル−3−アジド−3−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシルブロミド(370mg)を、MeCN(15mL、乾燥)中に溶解し、アルゴン下、室温で5分間撹拌した。K
2CO
3(390mg、乾燥)、続けてTIPSSH(305μL)を加えた。200分後、混合物を濃縮し、CH
2Cl
2に再溶解し、水で2回洗浄した。水相をCH
2Cl
2で1回抽出し、合わせた有機相を乾燥し(相分離器)、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO
2/石油エーテル:EtOAc 100:0→50:50)による精製により、312mgのトリ−イソプロピルシリル 2,4,6−トリ−O−アセチル−3−アジド−3−デオキシ−1−チオ−β−D−ガラクトピラノシドを得た。
1H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δ 5.45(d,J=2.5Hz,1H),5.23(t,J=9.8Hz,1H),4.63(d,J=9.5Hz,1H),4.14(dd,J=11.5,5.5Hz,1H),4.03(dd,J=11.5,7.2Hz,1H),3.82(t,J=6.3Hz,1H),3.56(dd,J=10.1,3.3Hz,1H),2.18(s,3H),2.15(s,3H),2.05(s,3H),1.32−1.23(m,3H),1.18−1.06(m,18H)。
【0200】
b5)1,2,4,6−テトラ−O−アセチル−3−デオキシ−3−[4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−β−D−ガラクトピラノシド
トリメチル−[2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)エチニル]シラン(1120μL)を、MeCN(50mL、乾燥)中に溶解し、アルゴン下、室温で撹拌し、トリエチルアミントリヒドロフルオリド(435μL)を加えた。25分後、1,2,4,6−テトラ−O−アセチル−3−アジド−3−デオキシ−β−D−ガラクトピラノシド(1025mg)、続けて、銅(I)ヨージド(138mg)およびヒューニッヒ塩基(2.00mL)を加えた。18時間後、ブラインを加え、混合物をエーテルで3回抽出した。有機相をブラインで1回洗浄し、乾燥(Na
2SO
4)して、濃縮した。EtOHからの再結晶化により、1.19gの1,2,4,6−テトラ−O−アセチル−3−デオキシ−3−[4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−β−D−ガラクトピラノシドを得た。
1H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δ 7.80(s,1H),7.47−7.38(m,2H),5.86(d,J=9.1Hz,2H),5.58(s,1H),5.19(d,J=9.2Hz,1H),4.30−4.08(m,3H),2.18(s,3H),2.08(s,3H),2.06(s,3H),1.91(s,3H)。[C
22H
23F
3N
3O
9]
+(M+H)
+のESI−MS m/z 計算値:530.1;実測値:530.1。
【0201】
b6)2,4,6−トリ−O−アセチル−3−デオキシ−3−[4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−α−D−ガラクトピラノシルブロミド
1,2,4,6−テトラ−O−アセチル−3−デオキシ−3−[4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−β−D−ガラクトピラノシド(273mg)をCH
2Cl
2/AcOH(1:1、4mL)中に懸濁し、室温で撹拌した。無水酢酸(1mL)、続けて、HBr(AcOH中の33%、2mL)を加えた。20時間後、過剰HBrをアルゴンで除去し、混合物を濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO
2/石油エーテル:EtOAc 95:5→5:95)による精製により、263mgの2,4,6−トリ−O−アセチル−3−デオキシ−3−[4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−α−D−ガラクトピラノシルブロミドを得た。
1H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δ 7.79(s,1H),7.49−7.40(m,2H),6.89(d,J=3.8Hz,1H),5.82(dd,J=11.4,3.9Hz,1H),5.63(s,1H),5.32(d,J=11.2Hz,1H),4.65(t,J=6.5Hz,1H),4.25(dd,J=11.7,6.3Hz,1H),4.15(dd,J=11.9,6.4Hz,1H),2.07(s,6H),1.97(s,3H)。[C
20H
20BrF
3N
3O
7]
+(M+H)
+のESI−MS m/z 計算値:550.0;実測値:550.0。
【0202】
b7)2,2’,4,4’,5,5’,6,6’−ヘキサ−O−アセチル−3−アジド−3,3’−ジデオキシ−3’−[4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−1,1’−スルファンジイル−ジ−β−D−ガラクトピラノシド(i2)
トリ−イソプロピルシリル 2,4,6−トリ−O−アセチル−3−アジド−3−デオキシ−1−チオ−β−D−ガラクトピラノシド(308mg)を、MeCN(10mL、乾燥)中に溶解し、アルゴン下、室温で撹拌した。MeCN(10mL、乾燥)中に溶解した2,4,6−トリ−O−アセチル−3−デオキシ−3−[4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−α−D−ガラクトピラノシルブロミド(405mg)を加えた。5分後、MeCN(5mL、乾燥)に溶解したTBAF(235mg)を加えた。2分後、混合物を0℃に冷却し、さらに3分後、混合物を濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO
2/石油エーテル:EtOAc 100:0→0:100)による精製により、262mgの2,2’,4,4’,5,5’,6,6’−ヘキサ−O−アセチル−3−アジド−3,3’−ジデオキシ−3’−[4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−1,1’−スルファンジイル−ジ−β−D−ガラクトピラノシドを得た。
1H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δ 7.83(s,1H),7.47−7.41(m,2H),5.74(t,J=10.4Hz,1H),5.62(d,J=2.4Hz,1H),5.51(d,J=2.3Hz,1H),5.24(t,J=10.0Hz,2H),5.17(dd,J=10.9,3.1Hz,1H),4.97(d,J=9.8Hz,1H),4.83(d,J=9.9Hz,1H),4.21(dt,J=21.3,5.6Hz,6H),4.15−4.07(m,2H),3.92(t,J=6.4Hz,1H),3.68(dd,J=10.0,3.3Hz,1H),2.20(s,3H),2.17(s,3H),2.12(s,3H),2.09(s,3H),2.07(s,3H),1.93(s,3H)。[C
32H
36F
3N
6O
14S]
+(M+H)
+のESI−MS m/z 計算値:817.2;実測値:817.2。
【0203】
ウサギの眼線維症の調査
30匹のニュージーランド白ウサギを、動物保護法および実験動物の管理と使用に関する指針に記載の基準に準拠した金属ケージに収容した。動物居住空間の推奨基準は、PHSポリシーおよびAWAに従った。
【0204】
動物には、新しい、口当たりの良い、栄養が十分な食物を自由に摂取させた。濾過水道水または天然水(非酸性化)を自由に与えた。
【0205】
環境制御は、相対湿度50±20%で、温度を18±2℃(65±2°F)に維持するように設定した。12時間の明暗周期を維持した。
【0206】
調査に先立って、到着後、動物を少なくとも5日間施設に慣れさせた。
【0208】
ビークルゲル剤製剤は、NaCl中1.65%(w/v)HECとした。ビークル製剤は適切な量のHECを、0.9%のNaClの必要な体積の75%に加えることにより調製した。得られた製剤を20〜25分間撹拌した後、0.9%NaClの最終容積になるように適量を加えて(調節して)、室温でさらに2〜3時間撹拌した。その後、ゲル剤製剤を0.2μmセルロースフィルターで濾過した。
【0209】
供試製剤を、適切な量のGB1AまたはGB1Bを、0.9%のNaClの必要体積の75%に加えることにより調製した。得られた製剤を20〜25分間撹拌した後、溶液のpHを測定し、必要に応じて0.01MのNaOHを用いて6〜6.5に調節した。必要量のHECを供試溶液に加え、製剤を20〜25分間撹拌した。その後、製剤を最終体積になるようにNaClで調節し、室温でさらに2〜3時間撹拌した。最終的ゲル剤製剤を0.2μmセルロースフィルターで濾過した。
【0210】
ヒーロンの希釈溶液(0.25%)を、ニュージーランド白ウサギの右目の網膜下腔に注入することにより、網膜剥離を形成した。50μLのGB1A(0.05mg/mL)、GB1B(1.5mg/mL)、またはビークル(HEC)製剤を、全動物の右目の剥離手術の直後に硝子体内に注入した(それぞれのビークル/供試品のそれぞれの時点で、n=5)。左目は、未処置対照としての役割を果たす。安楽死は、耳静脈を介して「ユサゾール」IVを投与することにより実施し、網膜剥離後3日目に、群1〜3の動物(n=15)を安楽死させて、増殖に与える効果を調べ、さらに、網膜剥離後7日目に、群4〜6の動物(n=15)を安楽死させて、瘢痕形成に与える効果を調べた。
【0211】
安楽死後、網膜を4%パラホルムアルデヒドで24時間固定した。3つの約3mm平方の領域を、剥離網膜ならびに対照網膜からそれぞれサンプリングした網膜をアガロース中に埋め込み、ビブラトームで100ミクロン厚に切断した。抗体を用いて、切片の中間径フィラメントタンパク質(ビメンチン)および増殖細胞(Ki67)に免疫標識した。免疫細胞に対するマーカー(イソレクチンB4)および核染色(DAPI)も使用した。同じ切片に対し、全部で4つのプローブを付加した(すなわち、4重標識)。
【0212】
切片をOlympus FV1000共焦点顕微鏡を使って撮像した。デジタル画像を取得し、これを使って、1)網膜下グリア性瘢痕の数および寸法、2)例えば、免疫またはグリア起源の分裂細胞数およびそれらの細胞型、3)ミクログリアが「活性化」されているかどうか、および4)マクロファージが存在するかどうか、を判定した。動物を投与前および安楽死時に秤量した。全動物は、予測通り重量が少し増えた。手術後、実験の終了まで、眼を1日1回調査した。
【0213】
動物を、ケタミン/キシラジン(約35mg/kg/約5mg/kgのIM注射)による麻酔後に、200〜500mg/kgの用量レベルのナトリウムペントバルビタール(ユサゾール(登録商標))の(耳カテーテルを介してまたは耳翼辺縁静脈に直接)IV注射投与により安楽死させた。一般に認められているアメリカ獣医学会(AVMA)のガイドラインに従って、少なくとも60秒間の心拍の非存在、ならびに眼および足反射神経の欠如のモニタリングを実施した。
【0214】
安楽死後、前記眼を除核し、角膜および水晶体を取り出し、眼杯をPBS中の4%パラホルムアルデヒドで24時間固定した。それぞれの剥離網膜内から約3mm
2の3つの網膜部位を切開し、上記のように切り出すためにアガロースに埋め込んだ。免疫標識後、切片をスライドガラス上に取り付け、カバーガラスで覆った。デジタル画像を、それぞれの3つの網膜領域から収集したそれぞれの切片の長さに沿って、FV1000共焦点顕微鏡を用いて取得した。瘢痕長さおよび数ならびに分裂細胞の数の定量化を、「BioImage」(UCSB、大学院工学研究科から無料ダウンロードで入手可能なソフトウエア)で観察したデジタル画像を用いて実施した。さらに、実験計画で記載した免疫細胞の存在に留意し、それぞれの動物についてまとめた。
【0215】
網膜剥離の7日後、対照(HEC処置)網膜は、網膜mm当たり1.26個の瘢痕があり、網膜mm当たり平均長さ175ミクロンであった。GB1Bで処置後、その数は、網膜mm当たり0.43個の瘢痕に減少し(p=0.0071)、その長さは、網膜mm当たり28.8ミクロンに減少した(p=0.0165)。GB1Aで処置後、その数は、網膜mm当たり0.45個の瘢痕に減少し(p=0.0143)、その長さは、網膜mm当たり25.83ミクロンに減少した(p=0.0142)。両方の供試品で、処置群は、対照とは有意差があった。
【0216】
網膜剥離の3日後、対照(HEC処置)網膜は、網膜mm当たり9.57個のKi67標識ミューラーグリア細胞があった。GB1Bで処置後、この数は、網膜mm当たり2.73個に減少し(P=0.0052)、一方、GB1Aでの処置は、3.01個に低減した(P=0.009)。
【0217】
網膜剥離の1日以内に、ミューラーグリア細胞は増殖を始め、ウサギ網膜の剥離後3日目にこの応答はピークに達し、その後、極めて低いレベルにまで低下するということが以前に示されている(S.F Geller et al.,1995,IOVS,36:737−744、参照)。この応答と同時に、ミューラーグリア細胞はまた、肥大化を開始し、中間径フィラメントタンパク質(例えば、GFAPまたはビメンチン)に対し抗体を使って可視化できるように、それらの細胞質領域を増殖させる。この肥大化は、ウサギ網膜中に、3日目には網膜下瘢痕を生じないが、7日目までには、ミューラーグリア細胞の網膜下腔中への増殖を生じる。この瘢痕形成は、視力の回復には極めて有害である。理由は、これが、再接合手術後の、視細胞外節の再生およびRPEに対する再付着成長を阻害するためである。
【0218】
HEC製剤中のGB1AおよびGB1Bの両方は、網膜下グリア性瘢痕の寸法と数ならびに分裂細胞の数の低減において極めて効果的であり、眼の瘢痕形成に対する新しい治療戦略の道を開くものであることが実証された。実際に、ミューラーグリア細胞の増殖および肥大化から生じた瘢痕は、ヒトの網膜下線維症および網膜上膜形成などの状態において、ならびにAMD、網膜色素変性症、および糖尿病性網膜症などの疾患において、認めることができる。
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