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特許6892893電子機器用の多層の構造および関連製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6892893
(24)【登録日】2021年6月1日
(45)【発行日】2021年6月23日
(54)【発明の名称】電子機器用の多層の構造および関連製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20210614BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20210614BHJP
   H01L 25/04 20140101ALI20210614BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20210614BHJP
   H01L 25/10 20060101ALI20210614BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20210614BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20210614BHJP
【FI】
   H05K1/02 A
   B32B27/00 Z
   H01L25/04 Z
   H01L25/10 Z
   H01L21/56 T
   H05K3/00 W
【請求項の数】20
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-99088(P2019-99088)
(22)【出願日】2019年5月28日
(62)【分割の表示】特願2018-534959(P2018-534959)の分割
【原出願日】2016年11月4日
(65)【公開番号】特開2019-192919(P2019-192919A)
(43)【公開日】2019年10月31日
【審査請求日】2019年6月18日
(31)【優先権主張番号】62/251,981
(32)【優先日】2015年11月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516089669
【氏名又は名称】タクトテク オーユー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100141025
【弁理士】
【氏名又は名称】阿久津 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ケラーネン,アンティ
(72)【発明者】
【氏名】サースキー,ヤルモ
(72)【発明者】
【氏名】ヘイッキネン,ミッコ
【審査官】 原田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/084540(WO,A1)
【文献】 特開平08−111132(JP,A)
【文献】 特開2006−108362(JP,A)
【文献】 特開昭55−058591(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0186214(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 3/00
B32B 27/00
H01L 21/56
H01L 25/04
H01L 25/10
H01L 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層の構造であって、
第1の面および第2の面を有するフレキシブルである、基材のフィルムであって、前記フィルムの前記第1の面上に、電子機器、導電性トレースおよびSMD(表面実装型デバイス)などの電子部品、を収容することができる、フィルムと、
フレキシブルである、前記基材のフィルムの前記第1の面上に成形されているプラスチック層であって、前記プラスチック層は、1つまたは複数の位置で、前記フレキシブルである、前記基材のフィルムを貫通して前記第2の面上へ突出し、前記第2の面上に、1つまたは複数の突出部を形成しており、前記突出部が所望の機能を有している、プラスチック層とを含み、
前記1つまたは複数の突出部の位置で、前記基材のフィルムは、薄くなった部分及び/又は非貫通切込みを含み、前記薄くなった部分及び/又は非貫通切込みは、前記基材のフィルムを介して前記基板のフィルムの前記第1の面から前記第2の面に、溶けた状態の前記プラスチック層のプラスチックがさらに突出し流れることを可能として、前記1つまたは複数の突出部を設けている、多層の構造。
【請求項2】
前記突出部の前記1つまたは複数は、光透過機能、受光機能、プリズム機能、光結合機能、光取出し機能、光取込み機能、光回析機能、光屈折機能、光指向機能、光拡散機能、光散乱機能、光コリメート機能、光学機能、レンズ機能、鏡機能、サンプリング機能、測定機能、検出機能、光サンプリング機能、取付け機能、実装機能、位置合わせ機能、吊下げ機能、ボスベース特徴、コネクタ、スナップコネクタまたはファスナ、およびクリップコネクタから成る群から選択される、少なくとも1つの特徴の少なくとも一部を実施するように構成されている、請求項1に記載の構造。
【請求項3】
前記フレキシブルである、前記基材のフィルムは、前記プラスチック層の溶融プラスチックが実質的に前記少なくとも1つの特徴の位置で、前記フレキシブルである、前記基材のフィルムを貫通して流動することを可能にする、少なくとも1つの要素を含み、前記少なくとも1つの要素は、切込み、スリット、貫通切込み、止まり切込み、穴部、貫通孔、および基板材料が局所的に除去されて薄くなった部分、から成る群から選択される、請求項2に記載の構造。
【請求項4】
前記少なくとも1つの要素は、前記基材の前記第1の面および/または前記第2の面上に配置されている、請求項3に記載の構造。
【請求項5】
前記プラスチック層の内部に少なくとも部分的に埋め込まれている、前記フレキシブルである、前記基材のフィルムの前記第1の面上の電子機器をさらに含み、前記電子機器は、トレース、プリンテッドトレース、接触パッド、構成要素、表面実装型デバイス(SMD)、集積回路(チップ)、発光素子、光検出デバイス、フォトダイオード、ダイオード、OLED(有機LED)、プリンテッド電子部品、アンテナ、加速度計、ジャイロスコープ、容量性スイッチまたはセンサ、および光電池、から成る群から選択される少なくとも1つの要素を含む、請求項1に記載の構造。
【請求項6】
前記成形プラスチック層上に設けられている、さらなるフィルムを含み、前記さらなるフィルムはグラフィックおよび/または電子機器を担持している、請求項1に記載の構造。
【請求項7】
前記フレキシブルである、前記基材のフィルムは、前記プラスチック層の溶融プラスチックが、前記薄くなった部分及び/又は非貫通切込みの位置で、前記フレキシブルである、前記基材のフィルムを貫通して流動することを可能にする、請求項1に記載の構造。
【請求項8】
電子デバイス用の多層の構造を製造する方法であって、
電子機器を収容することができる基材のフィルムを得るステップであって、前記基材のフィルムは第1の面および第2の面を有し、印刷技術の利用により、いくつかの導電性トレースおよび少なくとも1つの電子部品を、前記基材の前記第1の面上に設けて、所定の回路設計を構築する、基材のフィルムを得るステップと、
プラスチック層の少なくとも部分が前記基材のフィルムを貫通して前記第2の面上に突出し、かつ所望の機能を有する1つまたは複数の突出部をその場所で形成するように、前記基材の前記第1の面上に前記プラスチック層を成形するステップとを含み、
前記1つまたは複数の突出部の位置で、前記基材のフィルムは、薄くなった部分及び/又は非貫通切込みを含み、前記薄くなった部分及び/又は非貫通切込みは、前記基材のフィルムを介して前記基のフィルムの前記第1の面から前記第2の面に、溶けた状態の前記プラスチック層のプラスチックがさらに突出し流れることを可能として、前記1つまたは複数の突出部を設けている、方法。
【請求項9】
実質的に前記突出部の目標位置に対応する位置に陥凹部を備えた金型が得られる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの特徴を含むために前記基材のフィルムを用意するステップをさらに含み、前記特徴は、実質的に前記特徴の位置で、前記基材のフィルムの前記第2の面への前記プラスチック層の溶融プラスチックの浸透を促進するものであり、前記特徴は、切込み、スリット、貫通切込み、止まり切込み、穴部、貫通孔、および基板材料が局所的に除去されて薄くなった部分、から成る群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記成形するステップは、射出成形を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
所定の実質的に3次元の形状を達成するように前記基材のフィルムを形成するステップを含み、前記形成するステップは、熱成形、または加圧成形を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの特徴を含むために前記基材のフィルムを用意するステップをさらに含み、前記少なくとも1つの特徴は、実質的に前記特徴の位置で、前記基材のフィルムの前記第2の面への前記プラスチック層の溶融プラスチックの浸透を促進するものであり、前記特徴は、切込み、スリット、貫通切込み、止まり切込み、穴部、貫通孔、および基板材料が局所的に除去されて薄くなった部分から成る群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記成形するステップは、射出成形を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
所定の実質的に3次元の形状を達成するように前記基材のフィルムを形成するステップを含み、前記形成するステップは、熱成形、または加圧成形を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記成形するステップは、射出成形を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項17】
所定の実質的に3次元の形状を達成するように前記基材のフィルムを形成するステップを含み、前記形成するステップは、随意に、熱成形または加圧成形を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
所定の実質的に3次元の形状を達成するように前記基材のフィルムを形成するステップを組み込み、前記形成するステップは熱成形または加圧成形を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項19】
前記基材の前記3次元による形成は、前記基材のフィルム上に前記いくつかの導電性トレースおよび前記少なくとも1つの電子部品を設ける前記ステップの後に実行される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記基材のフィルムは、前記薄くなった部分及び/又は非貫通切込みを含むように成形するステップの前に用意され、実質的に前記薄くなった部分及び/又は非貫通切込みの位置で前記基材のフィルムの前記第2の面への前記プラスチック層の溶融プラスチックの浸透を促進する、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
全般的に、本発明は、多層の構造、電子機器、関連デバイス、および製造方法に関する
。詳細には、しかし排他的にではなく、本発明は、上記の関連で、成形プラスチックから
の様々な機能的形態の提供に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子機器および電子工学製品との関連で、様々な積重ねアセンブリおよび積重
ね構造が存在する。
【0003】
電子機器と関連製品との統合の背後にある動機は、関連使用状況と同様に多様である可
能性がある。もたらされる解決策が最終的に多層性質を示す場合、小型化、軽量化、コス
ト節減、またはまさに部品の効果的な統合が探求されることが比較的多い。そして、関連
使用状況は、製品パッケージまたは食品ケーシング、デバイスハウジングのビジュアルデ
ザイン、ウェアラブル電子機器(wearable electronics)、個人用電子デバイス、ディス
プレー、検出器またはセンサ、車両用内装、アンテナ、ラベル、車両用電子機器等に関連
する可能性がある。
【0004】
電子部品などの電子機器、例えば、集積回路(IC:integrated circ
uit)、および導体が、一般に、複数の異なる技術により、基板要素上に設けられても
よい。例えば、様々な表面実装型デバイス(SMD:surface mount de
vice)などの既製電子機器が、多層の構造の内側界面層または外側界面層を最終的に
形成する基板表面上に実装されてもよい。さらに、用語「プリンテッドエレクトロニクス
」に該当する技術が、関連基板に直接かつ付加的に電子機器を実際に作り出すのに適用さ
れてもよい。用語「プリンテッド」は、この場合、実質的に付加的な印刷工程により、ス
クリーン印刷、フレキソ印刷、およびインクジェット印刷を含むがそれらに限定されない
、印刷物から電子機器/電気素子を作り出すことができる様々な印刷技術を指す。使用さ
れる基板はフレキシブルでありかつ印刷物は有機である可能性があるが、必ずしもそうと
は限らない。
【0005】
プラスチック基材フィルムなどの基板が、(熱)形成および成形のような処理を受ける
可能性がある。実際、例えば射出成形を用いて、プラスチック層がフィルム上に設けられ
てもよく、次いで、フィルム上に最初に設けられる電子部品などのいくつかの要素を埋め
込む可能性がある。プラスチック層は、様々な機械的特性、光学特性、電気特性等を有し
得る。プラスチック層は、単に、下部要素を安全にするかまたは保護し、色などの、製品
に対する所望の感触または外観を提供する可能性がある。成形プラスチック層は、例えば
IML/IMD技術により得られるグラフィックパターンを含有し得る、さらなる要素ま
たは例えばフォイルもしくはフィルムによりさらに覆われていてもよい。
【0006】
得られる多層の構造または積重ね構造は、電子機器などの含まれている特徴および意図
されている使用状況および関連使用環境によって決まる様々な目的のために構成されてい
てもよい。様々な光学機能、検出機能、または例えば取付け機能が必要とされる可能性が
ある。通常、そのような機能は、構造内に具体的に含まれている専門要素により提供され
る。積重ね内の要素の総数を増やすことが、関連製造工程の複雑さ、期間、およびコスト
を増大させる傾向があり、一方、統合レベルを低下させ、全体構造の大きさおよび重量を
増大させる傾向がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、一体多層の構造およびそこに埋め込まれている電子機器の観点から、
既存の解決策と関連している上記の欠点の1つまたは複数を少なくとも軽減することであ
る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本目的は、本発明による多層の構造および関連製造方法の様々な実施形態により達成さ
れる。
【0009】
本発明の一態様によれば、電気デバイスまたは光学デバイス用の多層の構造が、
その第1の面上の、導電性トレースおよび随意にSMD(表面実装型デバイス)などの電
子部品などの電子機器を収容することができる好ましくはフレキシブルである、基材フィ
ルムであり、前記フィルムは第1の面および第2の面を有する、好ましくはフレキシブル
である、基材フィルムと、
基材の第1の面上に成形されており、1つまたは複数の位置で基材を貫通して第2の面上
へ突出しており、所定の機能を有する、第2の面上の1つまたは複数の突出部を形成して
いる、プラスチック層と
を含む。
【0010】
1つまたは複数のプラスチック突出部は、それらが一緒に第2の面および関連表面の部
分のみを覆うように、基材の第2の面におよびそこから延出していることが好ましい。第
2の面/表面の一部が、このように、成形プラスチックから依然として自由のままである
。第1の面および関連(第1の)表面は、プラスチックにより完全にまたは部分的に覆わ
れていていてもよい。
【0011】
一実施形態では、突出部の1つまたは複数が、光透過機能、受光機能、プリズム機能、
光結合機能、光取出し機能、光取込み機能、光回析機能、光屈折機能、光指向機能、光拡
散機能、光散乱機能、光コリメート(light collimation)機能、光学機能、レンズ機能
、鏡機能、サンプリング機能、光サンプリング機能、測定機能、検出機能、取付け機能、
実装機能、位置合わせ機能、吊下げ機能、ボスベース(boss-base)特徴、コネクタ、ス
ナップコネクタまたはファスナ、およびクリップコネクタから成る群から選択される少な
くとも1つの特徴または機能の少なくとも一部を実施するように構成されている。光の代
わりにまたはそれに加えて、他のタイプ(例えば、波長)の放射を考慮して、対応する機
能が実施されてもよい。突出部が、このように、ボスベース、ファスナ、サンプルボウル
(sample bowl)、コリメータ、拡散器、レンズ、プリズム、窓、タワー灯の少なくとも
一部を構築してもよい。
【0012】
1つの補足的または代替的どちらかの実施形態では、基材は、切込み、スリット、貫通
切込み、止まり(非貫通)切込み、穴部、貫通孔、基板材料が局所的に除去されて薄くな
った部分、および随意に基板材料が除去されずに弱くなった部分から成る群から選択され
る所を通して、溶融プラスチックを案内する少なくとも1つの要素を含有する。基材は、
このように、例えば成形時に一定のまたは変化する厚さであってもよい。要素は、基材の
どちらかの面(すなわち、溶融プラスチックに直接向いている第1の面、および/または
その後プラスチックが基材を貫通して伝播することになっている第2の面)にあってもよ
い。
【0013】
あるいはまたはさらに、基材は、それの選択された部分を強化して、プラスチックが通
って浸透することを防止する特徴を含有し得ると考えられる。該特徴は、基材のさらなる
材料層および/または他の、随意により耐久性のある(例えば、硬いまたは剛性の)材料
を含み得ると考えられる。
【0014】
いくつかの実施形態では、成形プラスチックの送り込み点としての機能を果たす基材の
位置は、いかなる方法でも実質的に隣接した部分と異ならない。代わりに、該送り込み位
置は、基材の第2の面上の適切な金型形状により、空間的に(単独で)構成されていても
よい。例えば、基材に対する所望の位置の陥凹部または穴部または何らかの他の適用可能
な金型特徴が、その場所での基材に対する受け金型による支持の欠如に因り、その特定の
位置で基材を貫通してプラスチックを押す可能性がある。金型形態の形状および寸法(例
えば、凸状、凹状、円形、角のある、細長い等)は、このように、構築される機能的突出
部の対応する寸法を画定し、それは基本的に、例えば射出成形が利用されて、金型表面に
当接して基材を貫通してプラスチックを押す各実施形態に適用され、また、上述の要素(
切込み、穴部等)が使用される実施形態を含む。
【0015】
さらにまたはあるいは、いくつかの実施形態では、所定の、潜在的に先の尖った要素(
例えば、釘型、ねじ型、または棒型の要素)および/または中空要素(例えば、ブッシュ
型要素)が、成形中に溶融プラスチックにより導入される基材への圧力に因り、基材を貫
通して浸透するように成形する前に、基材の第1の面/表面上に配置され得ると考えられ
る。したがって、要素の浸透された部分および突出したプラスチックは、次いで、所望の
機能的突出部を構築し得ると考えられる。例えば、突出部の芯要素または縁要素がそのよ
うな要素から構築され得ると考えられる。該要素は、このように、基材の所望の位置に送
り込み部を構築するのに寄与し得ると考えられる。
【0016】
1つの補足的または代替的どちらかの実施形態では、基材の第1の面および好ましくは
第1の表面は、成形プラスチック中に随意に埋め込まれているグラフィックおよび/また
は電子機器を含有し、前記電子機器は、トレース、プリンテッドトレース、接触パッド、
構成要素、集積回路(チップ)、発光素子、光検出デバイス、フォトダイオード、ダイオ
ード、OLED(有機LED)、プリンテッド電子部品、アンテナ、加速度計、ジャイロ
スコープ、容量性スイッチまたはセンサ、および光電池から成る群から選択される少なく
とも1つの特徴を含む。電子機器が、プリンテッドエレクトロニクス技術(例えば、スク
リーン印刷もしくはインクジェット、または他のさらなる方法)により印刷されてもよい
かつ/または実装されてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、基材は成形の前に形成されている。基材は、好ましくは熱成
形により、所望の実質的に3次元(非平面)形状に形成されてもよい。電子機器の少なく
ともいくつかが、形成の前にかつ/または後に、基材に設けられてもよい。
【0018】
基材の第1の面およびしたがって関連する第1の表面は、したがって関連表面領域を考
慮して、プラスチック材料、好ましくはかつ通常は熱可塑性プラスチック材料により、少
なくとも部分的に外側被覆される。随意に、いくつかの外側被覆が適用可能な材料が利用
されて、1つまたは複数の成形層、例えば基材の第1の面上に左右に置かれている隣接層
、を構築してもよく、かつ/またはその上に複数の重ね合わされた層の積重ねを形成して
もよい。成形された材料の少なくとも1つが、少なくとも部分的に、第2の面上に構築さ
れる突出部を画定する。
【0019】
随意に、さらなる層または例えばフィルムが成形層の他方の面上に設けられている。し
たがって、グラフィック、ならびに/または電子部品および/もしくはトレースなどの電
子機器のための基板としての機能をさらに果たすフィルムなどのこの層は、一次基材と反
対の方向から成形層に対向している。第2のフィルムは、第1のフィルムと共に金型内に
配置されており、すなわち挿入されており、プラスチック材料がそれらの間に射出される
ことを可能にしてもよい。あるいは、第2のフィルムは、例えば接着剤、昇温、および/
または圧力ベースの結合を用いる実行可能な積層技術により、成形層上に薄片を重ね合わ
せて作られていてもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、成形層および突出部の少なくとも一部を構築するのに使用さ
れる(熱可塑性)プラスチック材料は、光学的に実質的に不透明な、透明な、または半透
明な材料を含み、例えば、可視光線がごくわずかな損失でそれを通過することを可能にす
る。所望の波長での十分な透過率は、例えば約85%、約90%、または約95%以上で
あってもよい。可能性があるさらなる成形(熱可塑性)プラスチック材料は実質的に不透
明または半透明である可能性がある。いくつかの実施形態では、さらなる材料は透明であ
る可能性がある。
【0021】
さらなる補足的または代替的どちらかの実施形態では、プラスチックフィルム、金属フ
ィルム、織物フィルム、または全体的に繊維のフィルムなどの、含まれる(基材)フィル
ムの1つまたは複数が、例えば可視スペクトル内の所定の波長を考慮して、少なくとも部
分的に、光学的に実質的に不透明、または少なくとも半透明であってもよい。フィルムは
、最初に、その上のもしくはその中のグラフィックパターンおよび/もしくは色などの、
視覚的に区別できる装飾的/美的かつ/または情報伝達的特徴を設けられていてもよい。
電子機器もまた、関連外側被覆手順によりプラスチック材料により封止されるように、該
特徴は、電子機器を有するフィルムの同じ面上に設けられていてもよい。したがって、イ
ンモールドラベリング(IML:in−mold labeling)/インモールド加
飾(IMD:in−mold decoration)技術が適用可能である。フィルム
は、その上に電子機器により発射される可視光線などの放射線に対して、少なくとも部分
的にすなわち少なくとも所々、光学的に透明または半透明であってもよい。透過率は、例
えば約85%、約90%、約95%以上であってもよい。
【0022】
多層の構造の実施形態を含む電子デバイスなどのデバイスが設けられてもよい。該デバ
イスは、流体、液体または気体の検出機能もしくはサンプリング機能などの、検出機能ま
たはサンプリング機能を実施してもよい。デバイスは光透過機能または受光機能などの放
射を有し得る。デバイスは媒体であるかまたはそれを組み込んでいてもよい。あるいは、
多層の構造は、インフラストラクチャおよび例えば建造物の様々な要素において用途を見
つけてもよい。
【0023】
1つの他の実施形態によれば、電子デバイス用の多層の構造を製造する方法が、
電子機器を収容することができる基材フィルムを得るステップであり、前記フィルムは第
1の面および第2の面を有する、得るステップと、
基材の第1の面上に、いくつかの導電性トレースおよび随意に電子部品を好ましくは印刷
して、所定の回路設計を構築するステップと、
基材を貫通して第2の面上に突出しかつ少なくとも1つ所定の機能を好ましくは有する1
つまたは複数の突出部をその場所で形成するように、基材の第1の面上にプラスチック層
を成形するステップと
を含む。
【0024】
層厚さなどの好適な特性を有するプラスチック材料により所望の部分が外側被覆される
ように、成形動作が、金型を製造することおよび/もしくは基材を金型内の所定の位置内
に配置することなどのさらなる準備的活動または関連の活動を、当然含み得る。該基材は
、プラスチックの外側被覆の前に所望の3次元(実質的に非平面の)形状を示すように形
成されてもよい。
【0025】
一実施形態では、本方法は、切込み、スリット、貫通切込み、止まり(非貫通)切込み
、穴部、貫通孔(随意に非常に小さい穴部すなわち「ピンホール」)、基板材料が局所的
に除去されて薄くなった部分、および随意に基板材料が除去されずに弱くなった部分から
成る群から選択される、特徴の位置で/そこを通って成形プラスチックが実質的に基材の
第2の面へ浸透することを可能にする少なくとも1つの特徴を含有するために、基材を用
意するステップをさらに含む。
【0026】
当業者に理解されているように、該特徴は、ドリル穿孔、彫刻、鋸引き、エッチング、
(例えば、レーザもしくは機械刃を用いた)切削により、または任意の他の実行可能な処
理方法を用いて、設けられてもよい。
【0027】
該特徴は、所望の形状すなわち実質的に円形のもしくは角のある穴部、または平坦なか
つ/もしくは狭いスリットを有していてもよく、構築されてもよい。該特徴は、実質的に
、例えば平行四辺形の(側面)横断面を有していてもよく、またはそれは、実際には狭い
スリットとして説明される可能性がある。該特徴は丸い形状を持っており、フレキシブル
なコネクタが、付加的な緩みなしで、それと接触して曲がることを可能にしてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、本方法は、プラスチックの圧力が、基材を少なくとも部分的
に通して要素をそれの第2の面へ方向付けるように、基材の第1の面上に、例えばそれの
対応する第1の表面上に、潜在的に先の尖った要素を配置するステップを含む。以上に検
討されているように、該要素は、このように、随意に、第2の面への貫通孔またはスリッ
トの構築を少なくとも補助してもよい。
【0029】
前述の要素または特徴は、溶融プラスチックが基材の第2の面に進入しかつ所定の特質
の突出部を構築するための空間が存在するような所望の寸法および形状を有する陥凹部な
どの、適合する成形特徴と位置合わせされることが好ましい。
【0030】
突出部の形状は、実施形態に応じて、例えば円錐、切頂円錐、立方体形状、ピラミッド
形状、錘台、角柱、ドーム、棒、かかり/鋭い突起、フック、錨爪等を含んでいてもよい
かまたは画定していてもよい。
【0031】
以上に言及されている通り、また、基材のある領域を介したプラスチックの送り込みを
防止するためにそれらを強化する特徴が設けられ得ると考えられる。
【0032】
いくつかの実施形態では、本方法は、例えば中に導入されるかまたは中で拡大される貫
通孔の幾何学的形状および他の特性に影響を及ぼす可能性がある所定の目標角度で、プラ
スチックが基材の第1の面を打つように、プラスチックの成形を制御するステップを含む
。また、該所定の目標角度は、構築された突出部の特性に影響を及ぼす可能性がある。
【0033】
いくつかの電子部品が、基材フィルムの第1の面上に、例えばプリントおよび/または
実装により設けられ、その上に所望の回路を構築してもよく、該回路は制御目的、測定/
検出目的、サンプリング目的、UI目的、データ処理目的、格納目的等を有していてもよ
い。
【0034】
随意に、さらなる第2のフィルムが、本明細書の前段で述べられている成形プラスチッ
クの他方の面上に設けられてもよい。第2のフィルムは、プラスチック材料を間に射出す
ることにより積重ね構造が得られるように、フラップを担持している一次の第1の基材と
共に、同様に金型内に配置されてもよく、または第2のフィルムは、成形プラスチック層
上に直接製造されないとしたら、適切な積層技術を用いて後に設けられてもよい。第2の
フィルムは、その任意の面に電子機器、および例えばグラフィック(したがって、IMD
/IML技術の適用が可能である)を有していてもよい。さらに、第2のフィルムは、保
護目的、および/または所望の光透過率、外観(例えば、色)、もしくは感触などの他の
技術特徴を有していてもよい。
【0035】
実行可能な成形方法は、例えば射出成形を含む。いくつかのプラスチック材料の場合に
は、それらは、2ショット成形法または一般にマルチショット成形(multi-shot molding
)法を用いて成形されてもよい。複数の成形ユニットを備えた成形機が利用されてもよい
。あるいは、複数の機械または単一の再設定可能な機械が、いくつかの材料を連続的に供
給するために使用され得ると考えられる。
【0036】
当業者には当然のことながら、本構造またはホスティングデバイスの様々な実施形態に
関する、以前に提示された検討事項は、変更すべき所は変更して、本方法の実施形態に柔
軟に適用されてもよく、逆の場合も同じである。
【0037】
本発明の実用性は、実施形態によって決まる複数の問題に起因する。
【0038】
提案されている方法により、基材に対してプラスチックの成形面と反対側の面上の成形
プラスチックの突出部により、1つまたは複数の所望の機能が少なくとも部分的に配置さ
れている、所望の機能を備えた、高度に統合された、耐久性のある、小型の、薄い、複雑
な、手頃な価格の、かつ/または軽量の多層の構造が製造され得る。突出部の機能は実施
形態間で変化し得るが、一般に、それらは、例えば、様々な検出目的、測定目的、透過目
的、受け目的、および取付け目的もしくは位置合わせ目的に適用可能である。突出部を用
意するさらなる方法ステップが不要であり、かつ既に存在する製造機器が、殆どの場合、
高価な特別な道具に投資する必要なく利用され得るので、製造工程は効率的である。
【0039】
実際、溶融プラスチックがそれらの位置に対応して基材を貫通して突出しかつ最終的に
陥凹部を満して突出部を作り出すように、製造工程の用意が、いくつかの実施形態のみに
おいてまたは主に、金型にいくつかの陥凹部を構築することを含んでいてもよい。より多
くの異なる処理手段および工程ステップを修正するかまたは利用する必要の代わりに金型
が修正を必要とするだけなので、様々な製品および製品変形体を製造することが楽になる
【0040】
プラスチック流を基材を貫通して案内する/促進するために、溝部などの(非貫通)切
込みが基材に形成されても、切込みを用意するのに十分な、簡単で容易に修正可能な切削
工具の代わりにやはりより複雑な道具を使用する必要がある、厳重な寸法要件および形状
精度要件を有する貫通孔などの、基板材料中のより複雑な形状を構築することと対照的に
、該手順は依然としていくらか都合が良い(簡単であり、急速である)ままである。
【0041】
形成する前に貫通孔が基材において回避され得る場合、また、加圧成形などの非常に効
率的で正確な形成方法がそれらの最大の可能性まで利用され得る。さもなければ、圧力は
穴部を通って容易に逃げる可能性がある。
【0042】
一般に、得られる多層の構造は、ホストデバイスあるいは一般に、インテリジェントガ
ーメント(intelligent garment)(例えば、シャツ、ジャケット、もしくはズボン、ま
たは例えば圧縮ガーメント(compression garment))、ウェアラブル電子機器(例えば
、リストップデバイス、ヘッドウェア、またはフットウェア)の他の部品、乗り物、個人
用通信装置(例えば、スマートフォン、ファブレット、またはタブレット)、測定装置、
または他の電子機器/デバイスなどの要素内に、所望のデバイスあるいはモジュールを構
築するのに使用されてもよい。得られる構造の統合レベルは高く、その厚さなどの所望の
寸法は小さい可能性がある。
【0043】
使用されるフィルムは、その上にグラフィックおよび他の視覚的かつ/または触覚的に
検出可能な特徴を含有していてもよく、そして該フィルムは、電子機器のホストとなり(
hosting)、保護することに加えて、美的効果および/または情報伝達的効果を有してい
てもよい。フィルムは、少なくとも所々、半透明または不透明であってもよい。それらは
所望の色であってもよく、または所望の色の部分を含んでいてもよい。したがって、得ら
れる多層の構造は、テキスト、写真、符号、パターン等のグラフィックを随意に決定する
1つまたは複数の色/着色層を含んでいてもよい。これらの層は、例えばある色の専用フ
ィルムにより実施されてもよいか、あるいは既存のフィルム、成形層、および/または他
の表面上に被覆(例えば、プリントすることにより)として設けられてもよい。
【0044】
フィルムは、関連製品の外面および/または内面の少なくとも部分を構築するように構
成されている。
【0045】
パターンまたは着色などの視覚的特徴は、特徴が分離したままであり、したがって少な
くともフィルムの厚さにより環境影響から保護されているように、例えば第1のフィルム
および/または成形プラスチックに対向している第2のフィルムの面上に、内層を介して
設けられてもよい。したがって、例えば塗面特徴に容易に損傷を与え得ると考えられる様
々な衝撃、摩擦、化学薬品等が、通常はそれらに到達しない。フィルムは、容易に製造さ
れるかまたは処理され、成形材料などの内在する特徴を露出するためにかつ/またはフィ
ルムを貫通する溶融プラスチックの浸透を促進するために、穴部または切欠きなどの必要
な特性を備えた所望の形状に随意に切削されてもよい。
【0046】
成形熱可塑性プラスチック材料は、成形工程の観点から電子機器を固定することを含む
様々な目的のために最適化され得る。さらに、該材料は、例えば湿気、熱、寒冷、汚れ、
衝撃等の環境条件から電子機器を保護するように構成されていてもよい。材料は、例えば
、光線透過率、浸透性および/または弾性の観点から所望の特性をさらに有していてもよ
い。埋込み電子機器が発光部品もしくは受光部品または他の放射線放射部品もしくは放射
線受射部品を含む場合、材料は、それを通る光透過を可能にするのに十分な透過率を有す
る可能性がある。
【0047】
表現「いくつかの(a number of)」は、本明細書において、1から始まる
任意の正の整数を指してもよい。
【0048】
表現「複数の(a plurality of)」は、それぞれ、2から始まる任意の
正の整数を指してもよい。
【0049】
用語「第1の」および「第2の」は、本明細書において、1つの要素を他の要素と区別
するために用いられており、特に明記されない限り、それらに特に優先順位を付けるかま
たはそれらを順序付けるものではない。
【0050】
特段の明確な指示がない限り、用語「フィルム」および「フォイル」は、本明細書にお
いて略交換可能に用いられている。
【0051】
本発明の様々な実施形態が添付の独立請求項において開示されている。
【0052】
次に、本発明は、添付図面を参照して極めて詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】成形前の、本発明による多層の構造の一実施形態の図である。
図2】成形後の、図1の実施形態の図である。
図3】構築された突出部の様々な実施形態が提供するように構成されていてもよい様々な形状および機能の図である。
図4】本発明による方法の実施形態を開示している流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図1は、横断面側面図により、少なくとも基板要素102と金型(半片)118とを本
質的に含む成形前の多層の構造すなわち未完成の多層の構造の実施形態100を示す。仕
上がった多層の構造は、それ自体の最終製品、例えば電子デバイスまたは電子的要素を構
築することができ、または集合部またはモジュールとして、ホストデバイス内に配設され
てもよい。
【0055】
構造100は、スクリーン印刷、フレキソ印刷、またはインクジェットなどのプリンテ
ッドエレクトロニクス技術により、その第1の面および各表面上にプリントされている、
(例えば、導体線、接触パッド、関連パターン等を画定している)導電性トレース108
、および好ましくは部品106などの、電子機器を収容するフレキシブルプラスチックフ
ィルムなどの(第1の)基材フィルム102を含む。少なくともトレース108を含んで
いるプリンテッド要素は、所望の回路設計を構築するために構成されている。また、加飾
印刷または指示印刷がフィルム102上に設けられてもよい。
【0056】
プリンテッドバージョンに加えてまたはその代わりに、部品は、いわゆる表面実装要素
などの、基材102上に(表面)実装されている既製の部品を含んでいてもよい。例えば
、電子機器108を基材上に機械的に固定するために接着剤が利用されてもよい。導電接
着剤および/またははんだなどの導電性材料が、電気的接続およびまた機械的接続を構築
するために適用されてもよい。
【0057】
基材102および電子機器106、108は、図2に示されている少なくとも1つの成
形プラスチック層204により、少なくとも部分的に覆われ、多層の構造200を形成す
る。
【0058】
第1のフィルム102と同一材料または異なる材料の随意の第2のフィルム110が、
同様に、多層積重ね内に存在していてもよい。フィルム110は、電子機器112、グラ
フィック111、および/または有利と思われる他の特徴を収容していてもよい。さらな
るフィルム、被覆等が、例えば美的目的、保護/絶縁目的、または他の目的のために、第
2のフィルム110上に、随意に設けられていてもよい。
【0059】
参照番号114および114Bが、溶融プラスチックが第1の実際の成形面(図の上側
)から反対側の第2の面(図の下側)まで基材を貫通して進む2つの目標位置を示す。実
施形態に応じて、以上に記載されているように、位置114および114Bは、溶融プラ
スチックが基材102(例えば、切込み、スリット、穴部)を貫通して伝播するかつ/ま
たは(金属)ブッシュ、芯、または支持体などの結果として得られる突出部(例えば、基
材102の第1の面/表面上に最初に配置される要素117)の内部のまたは可視の特徴
を構築するのを促進する要素117、115を随意に設けられてもよい。
【0060】
金型118は、成形中に基材102を通して浸透させられて、成形プラスチックから所
望の突出部218を構築する溶融プラスチックを収容し得る陥凹部などのいくつかの表面
特徴116を設けられていることが好ましい。金型118および例えばその中の陥凹部1
16は、潜在的に螺合可能な突出様要素などの随意に取外し可能なサブ要素を設けられて
、接触している溶融プラスチックからより複雑な突出形態218を構築してもよい。例え
ば金型陥凹部の中央にある中心突出部が、製造された多層の構造の成形突出部218内に
中心陥凹部を構築してもよい。
【0061】
突出部218は、(機能性)被覆などの付加的特徴をさらに設けられていてもよい。
【0062】
突出部218は、そのうちのいくつかが図3に簡単に示されている多種多様な異なる機
能を実施してもよい。目標表面に対する多層の構造の機械的取付けおよび/または位置合
わせのために、突出部218は、金型形状116等の正確な設計により、成形され、特定
の大きさに合わせられていてもよく、その結果、結果として得られる形態は、所望の方法
で目標表面の幾何学的形状に適合する。例えば、突出部218は、目標表面の整合陥凹部
または適合陥凹部(図示されていないが、一般に、目標表面の陥凹部などの形状は、この
ように、金型118のものを思い出させる可能性がある)に適合するように配置されてい
てもよい。
【0063】
図3は、構築された突出部の様々な実施形態が、美的可能性、装飾的可能性または純粋
に機械的な可能性(固定、整合等)に加えてまたはそれらの代わりに実施し得る様々な機
能を示す。
【0064】
302において、突出部は、例えばその中に埋め込まれているLEDまたは他の光源な
ど、多層の構造の内部からの光などの電磁放射線を透過するレンズなどの光学的特徴を構
築する。
【0065】
304において、突出部は、光を受けまたは「捕捉」しかつ随意にフォトダイオードな
どの感光素子に、構造の内部でそれを送る/結合するレンズなどの光学的特徴を構築する
【0066】
306において、突出部は、所望の液体などの流体307を保持するサンプルボウルの
一部を構築する。該一部は、光などの外部放射のための光学的サンプル流路としての機能
を果たし、例えば測定目的または処理目的のために相互作用するかつ/または通過する可
能性がある。
【0067】
308において、多層の構造内の源から環境への、発光する灯塔または他の光取出し構
造、または他の波長の放射が、突出部を利用して確立される。
【0068】
310において、取出し時に光を屈折させるプリズム形状が構築されている。
【0069】
312において、プリズムが構築されて、例えば多層の構造内の要素による関連測定目
的のために、気体314などの流体を通過させられた入射光を取り込み/捕捉する。
【0070】
また、プリズムが突出部から用意され、光を色に分け、光を反射するかまたは光を(偏
光)成分に分けるのに使用され得ると考えられる。
【0071】
前述のかつ他の実施形態では、突出部は、様々な所定の波長を考慮して、光学的に実質
的に透明、半透明、またはさらには不透明であってもよい。
【0072】
適用可能な材料選択のわずかな例を考慮して、フィルム102、110は、実質的に、
ポリマー、熱可塑性プラスチック材料、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、ポリカ
ーボネート(PC)、ポリイミド、メチルメタクリレートとスチレン(MS樹脂)の共重
合体、ガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、および金属から成る群から選択
される少なくとも1つの材料で構成されているかまたはそれを含んでいてもよい。
【0073】
いくつかの実施形態では、フィルム102、110は、例えば環境(すなわち電子機器
106、108、112および成形材料104ではなく)に向いている面上に、さらなる
材料/金属層を含んでいてもよいか、またはそれらにより被覆されていてもよいかもしく
は覆われていてもよい。例えば織物材料または生物学的物質またはバイオ素材(例えば、
皮、木、紙、ボール紙)が、より従来の層に加えてまたはその代わりに、設けられていて
もよい。また、例えばゴムまたは略ゴム製の材料が使用されてもよい。そのような層は、
保護機能、所望の感触を特徴付けること、美的機能もしくは特定の所望の光透過機能およ
び/または反射機能および/または指示機能などの、様々な機能を有し得る。これらの層
は、陥凹部、穴部等の突出部218と空間的にかつ/または機能的に整合する/適合する
特徴を設けられていてもよい。
【0074】
外側被覆手続きにより設けられているプラスチック層104は、一般に、例えば弾性樹
脂を含んでいてもよい。より詳細には、該層104は、PC、PMMA、ABS、PET
、ナイロン(PA、ポリアミド)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(GPPS)
、およびMS樹脂から成る群から選択される少なくとも1つの材料を含む1つまたは複数
の熱可塑性プラスチック材料を含んでいてもよい。
【0075】
電子機器106、112は、受動部品、能動部品、IC(集積回路)、および/または
サブアセンブリ(最初に別個の基材上に設けられており、その後全体として目標基材10
2、110に取り付けられる1つまたは複数の構成要素)などの1つまたは複数の構成要
素を含み得る。
【0076】
より詳細には、電子機器106、112は、光電子工学部品、マイクロコントローラ、
マイクロプロセッサ、シグナルプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP:di
gital signal processor)、センサ、プログラム可能な論理チッ
プ、メモリ、トランジスタ、レジスタ、コンデンサ、インダクタ、メモリアレイ、メモリ
チップ、データインターフェース、トランシーバ、無線トランシーバ、送信機、受信機、
無線送信機、および無線受信機から成る群から選択される少なくとも1つの要素を含んで
いてもよい。
【0077】
上で言及されているように、構造により担持されている電子部品は、少なくとも1つの
光電子工学部品を含んでいてもよい。該少なくとも1つの光電子工学部品は、例えば、L
ED(発光ダイオード)、OLED(有機LED)、または何らかの他の発光部品を含ん
でいてもよい。該部品は側面発光(「側面発射(side shooting)」)であってもよい。
あるいはまたはさらに、部品は、フォトダイオード、フォトレジスタ、他の光検出器、も
しくは例えば光電池などの受光部品または感光部品を含んでいてもよい。OLEDなどの
光電子工学部品は、プリンテッドエレクトロニクス技術の好適な方法を用いて、基材フィ
ルム102、110上にプリントされていてもよい。
【0078】
例えば、様々な検知/測定機能、発光機能、受け機能および/または他の機能が、埋込
みIC、専用部品、または共用IC/電子機器(多目的電子機器)により実施されてもよ
い。
【0079】
フィルム102、110は、各使用状況により設定される要件に基づいて成形され得る
。それら102、110は、例えば矩形の、円形の、または四角形の全体形状を示しても
よい。それら102、110は、他の要素への取付け、電子機器もしくは他の部品の嵌合
、光もしくは他の放射線、流体等のための通路の提供などの様々な目的のために、陥凹部
、切欠き、切れ目、または開口部をさらに含有していてもよい。
【0080】
図4は、本発明による方法の実施形態を開示している流れ図400を含む。
【0081】
多層の構造を製造するための本方法の開始時に、開始段階402が実行され得る。開始
402の間に、材料、部品および道具の選択、取得、較正、および他の構成などの必要な
作業が行われてもよい。個々の要素および材料の選択が協働し、選択された製造設置工程
を耐え抜くことに、特定の注意が払われなければならず、該工程は、当然、例えば、製造
工程明細書および部品データシートに基づいて、または作り出された試作品を調査し、試
験することより、前もって確認されることが好ましい。したがって、とりわけ成形/IM
D(インモールド加飾)、積層、結合、熱成形、切削、ドリル穿孔、および/またはプリ
ント機器などの使用される機器は、この段階で稼動状態まで増強されてもよい。金型が、
必要な表面形状等を備えて用意されてもよい。
【0082】
404において、少なくとも1つの、電子機器を収容するための、好ましくはフレキシ
ブルである、基材フィルムまたは他の好ましくは平面基板が得られる。基板材料の既製の
要素、例えばプラスチックフィルムの巻いたもの、が取得されてもよい。いくつかの実施
形態では、基材フィルム自体は、所望の開始材料から、成形または他の方法により、社内
で最初に作り出される。随意に、基材フィルムは加工される。それは、本明細書の前段で
検討されているように、例えば開口部、切欠き、陥凹部、切れ目等を備えて被覆されても
および/または設けられてもよい。
【0083】
406において、電子部品を電気的に連結するために、例えば導体線、接触パッド(ま
たは他の接触領域)等を画定しているいくつかの導電性トレースが、好ましくは関連する
付加的科学技術に関連してプリンテッドエレクトロニクスの1つまたは複数の技術により
、フィルム上に設けられる。例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷、フレキソ印
刷、グラビア印刷、またはオフセットリソグラフ印刷が利用されてもよい。また、例えば
フィルム上でのグラフィック、視覚的標識等の印刷を含む、フィルムを高めるさらなる処
置が、ここで行われてもよい。
【0084】
成形プラスチックに付着しない、さらなる電子機器および/または材料が、随意にプリ
ントにより、基材上に配置されてもよい。
【0085】
様々なSMDなどの既製の部品が、はんだおよび/または接着剤により、接触領域に取
り付けられてもよい。あるいはまたはさらに、プリンテッドエレクトロニクス技術が、O
LEDなどの部品の少なくとも一部を、直接フィルム上に実際に製造するのに適用されて
もよい。
【0086】
408において、基材は、成形時にプラスチックの送り込みの生成に影響を及ぼす要素
/特徴を随意に設けられる。以上に検討されている通り、それらは基材の第1の表面およ
び/または第2の表面に導入されてもよい。例えば、非貫通切込みが、基材の、成形プラ
スチックが通って進まなければならない位置に形成されていてもよい。項目408が、項
目406と関係してまたはそれの前に光学的に実行され得ると考えられる。
【0087】
いくつかの実施形態では、プラスチック最上層の成形の前に、トレースおよび/または
取り付けられた構成要素(例えば、チップ)などの、406において設けられた電子機器
を随意に既に含有している基材フィルムは、好ましくは真空成形または加圧成形などの熱
成形418により、所望の3d形状に形成されてもよい。熱成形材料を含有する基材は、
目標環境/デバイスまたは目標用途により良く適合するように成形されてもよい。さらに
またはあるいは、熱成形が、既に構築されている多層の積重ねがそのような処理を切り抜
けるように設計されている場合、成形後でも起こり得ると考えられる。
【0088】
形成技術を考慮して、例えば加圧成形が、非常に精密で鋭い細部などの好適な特性を備
えた基板を設けるのに適用されてもよい。加圧成形は、一般に、基板が不要な流動および
それらにより結果として生じる圧力降下を可能にし得ると考えられる(貫通)孔を欠いて
いる場合に好適である。
【0089】
いくつかの実施形態では、409において、電子機器/サブ基板のいくつかのサブアセ
ンブリがそのようなものとして一次基板に設けられていてもよく、例えば接着剤により固
定されてもよい。
【0090】
410において、熱可塑性プラスチック層が基材フィルムの第1の面ならびにその上の
トレースおよびいくつかの電子部品などの電子機器上に成形される。実際には、基材フィ
ルムは射出成形工程における挿入物として使用されてもよい。基板要素の第1の面および
関連する表面は、いくつかの実施形態では、成形プラスチックから自由な1つまたは複数
の領域を備えたままになっていてもよい。溶融プラスチックが基材の第2の面へ制御可能
に浸透すると、所望の特性を備えたいくつかの関連する突出部が作り出される。
【0091】
2つのフィルムが使用されている場合、プラスチック層がそれらの間に射出されるよう
に、それらの両方がそれら自体の金型半片内に挿入され得る。あるいは、第2のフィルム
は、その後、適切な積層技術により、第1のフィルムとプラスチック層との集合体に取り
付けられることが可能であると考えられる。
【0092】
得られた積重ね構造の、結果として生じる全厚に関して、それは、製造およびその後の
使用の観点から必要な強度をもたらす、使用された材料および関連する最小材料厚に大き
く依存する。これらの態様は個別的に考慮されなければならない。例えば、構造の全厚は
約1mmとすることができると考えられるが、かなりより厚いまたはより薄い実施形態も
また実行可能である。
【0093】
項目412は、可能性がある後処理の作業を指す。さらなる層が、積層手続きまたは適
切な被覆(例えば、蒸着)手続きにより、多層の構造、および例えば突出部内に加えられ
てもよい。該層は、指示的価値または美的価値(グラフィック、色、図、テキスト、数値
データ等)である可能性があり、さらなるプラスチックの代わりにまたはそれに加えて、
例えば織物、皮、ゴム材料を含有する。電子機器などの付加的要素が、基材または突出部
の外面などの、構造の外表面に設置されてもよい。成形/切削が行われてもよい。
【0094】
414において、方法の実行が終了される。
【0095】
本発明の範囲は、その同等物と共に添付の特許請求の範囲により決定される。開示され
ている実施形態が例示目的のためにのみ構成されたこと、および上記原理の多くを適用し
ている他の装置は、各可能性がある使用状況に最適であるように容易に用意され得ると考
えられることは、当業者には当然のことである。例えば、プリンテッドトレースの代わり
に、トレースは、別の方法で作り出され得る/設けられ得ると考えられる。例えばエッチ
ングを利用して製造される導体フィルムが適用され得ると考えられる。
【符号の説明】
【0096】
100 多層の構造の実施形態
102 基材フィルム、基板要素、フィルム、基材、目標基材
106 電子機器
108 トレース、電子機器
110 目標基材、フィルム
112 電子機器
114、114B 位置、目標位置
115、117 要素
116 表面特徴、陥凹部、金型形状
118 金型(半片)
200 多層の構造
204 プラスチック層、成形プラスチック層
218 突出部、突出形態、成形突出部
307 流体
314 気体
図1
図2
図3
図4