特許第6892907号(P6892907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6892907
(24)【登録日】2021年6月1日
(45)【発行日】2021年6月23日
(54)【発明の名称】電池ボックス及び車両
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/20 20210101AFI20210614BHJP
   H01M 50/10 20210101ALI20210614BHJP
【FI】
   H01M50/20
   H01M50/10
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-196219(P2019-196219)
(22)【出願日】2019年10月29日
(65)【公開番号】特開2020-109742(P2020-109742A)
(43)【公開日】2020年7月16日
【審査請求日】2019年10月29日
(31)【優先権主張番号】201811652946.0
(32)【優先日】2018年12月29日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳天明
(72)【発明者】
【氏名】陳智明
【審査官】 儀同 孝信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−125617(JP,A)
【文献】 特開2017−059510(JP,A)
【文献】 特開2016−085914(JP,A)
【文献】 特開2004−192966(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/117681(WO,A1)
【文献】 独国特許発明第102013204670(DE,B3)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
H01M 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池ボックスであって、
筐体(1)と、複数の電池(2)と、絶縁膜(3)と、構造接着剤(4)とを備え、
複数の電池(2)は、縦方向(Y)に配列されて筐体(1)に収容され、各電池(2)は、ケーシング(21)を有し、
絶縁膜(3)は、各電池(2)のケーシング(21)の外部に被覆されて固定され、且つ、絶縁膜(3)には、開口(31)が設けられることにより、開口(31)の位置に対応するケーシング(2の部分を絶縁膜(3)から露出させ、
構造接着剤(4)は、電池(2)と筐体(1)との間に設けられ、各電池(2)を筐体(1)に固定するために用いられ、構造接着剤(4)は、一部が開口(31)において電池(2)のケーシング(21)を筐体(1)に接着し、もう一部が開口(31)の外側で絶縁膜(3)を筐体(1)に接着し、
電池(2)のケーシング(21)を構造接着剤(4)を介して筐体(1)に接着する接着強度をσ、絶縁膜(3)を構造接着剤(4)を介して筐体(1)に接着する接着強度をσ、開口(31)の面積をA、開口(31)に対応する側に位置するケーシング(2)の表面の総面積をAとしたときに、σ、σ、A及びAは、条件式
【数1】
を満たすことを特徴とする電池ボックス。
【請求項2】
条件式
【数2】
を満たすことを特徴とする請求項1に記載の電池ボックス。
【請求項3】
とAは、条件式A/A>50%を満たすことを特徴とする請求項1に記載の電池ボックス。
【請求項4】
条件式A/A≦70%を満たすことを特徴とする請求項1に記載の電池ボックス。
【請求項5】
絶縁膜(3)は、ポリプロピレン、ポリカーボネート又はポリエステル樹脂で製造され、
絶縁膜(3)を構造接着剤(4)を介して筐体(1)に接着する接着強度σは、条件式σ≦1.8Mpaを満たすことを特徴とする請求項1に記載の電池ボックス。
【請求項6】
電池(2)のケーシング(21)は、アルミニウムで製造され、
電池(2)のケーシング(21)を構造接着剤(4)を介して筐体(1)に接着する接着強度σは、条件式σ≧9Mpaを満たすことを特徴とする請求項1に記載の電池ボックス。
【請求項7】
構造接着剤(4)の材質は、単一成分ポリウレタン又は二成分ポリウレタンであることを特徴とする請求項1に記載の電池ボックス。
【請求項8】
構造接着剤(4)の材質は、単一成分エポキシ樹脂又は二成分エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の電池ボックス。
【請求項9】
各電池(2)のケーシング(21)は、底面を有し、
開口(31)は、上下方向(Z)に沿ってケーシング(21)の底面の下方に位置し、ケーシング(21)の一部の底面を絶縁膜(3)から露出させることを特徴とする請求項1に記載の電池ボックス。
【請求項10】
各電池(2)のケーシング(21)は、側面を有し、
開口(31)は、横方向(X)に沿ってケーシング(21)の側面の外側に位置し、ケーシング(21)の一部の側面を絶縁膜(3)から露出させることを特徴とする請求項1に記載の電池ボックス。
【請求項11】
請求項1から10の何れか一項に記載の電池ボックスを備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池技術分野に関し、特に、電池ボックス及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、多数の電池ボックスの内部において電池の底部が接着の方式で下筐体に直接固定されている。一般的に、下筐体と電池のケーシングが金属(例えば、アルミニウム)で製造されるので、電池のケーシングに対して絶縁処理を行うために、通常、ケーシングの周囲に絶縁膜を被覆する。しかしながら、絶縁膜が通常、PET、PCなどの高分子材料で製造され、且つこれらの高分子材料の表面エネルギーが低いため、構造接着剤で下筐体と電池ケーシングの外部の絶縁膜とを接着する時、その接着効果が良くない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
背景技術に存在する問題に鑑て、本発明は、電池ボックスの絶縁性能を保証するとともに、電池ボックスの接着強度を向上させ、電池ボックスの安全性を効果的に保証する電池ボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的に達成するために、本発明は電池ボックスを提供する。当該電池ボックスは、筐体と、複数の電池と、絶縁膜と、構造接着剤とを備える。複数の電池は、縦方向に配列されて筐体に収容され、各電池は、ケーシングを有する。絶縁膜は、各電池のケーシングの外部に被覆されて固定され、且つ、絶縁膜には、開口が設けられることにより、ケーシングの対応部分を絶縁膜から露出させる。構造接着剤は、電池と筐体との間に設けられ、各電池を筐体に固定するために用いられる。ここで、電池のケーシングを構造接着剤を介して筐体に接着する接着強度をσ、絶縁膜を構造接着剤を介して筐体に接着する接着強度をσ、開口の面積をA、開口に対応する側に位置するケーシングの表面の総面積をAとしたときに、σ、σ、A及びAは、条件式
【数1】
を満たす。
【0005】
一実施例では、条件式
【数2】
を満たす。
【0006】
一実施例では、AとAは、条件式A/A>50%を満たす。
【0007】
一実施例では、条件式A/A≦70%を満たす。
【0008】
一実施例では、絶縁膜は、ポリプロピレン、ポリカーボネート又はポリエステル樹脂で製造され、絶縁膜を構造接着剤を介して筐体に接着する接着強度σは、条件式σ≦1.8Mpaを満たす。
【0009】
一実施例では、電池のケーシングは、アルミニウムで製造され、電池のケーシングを構造接着剤を介して筐体に接着する接着強度σは、条件式σ≧9Mpaを満たす。
【0010】
一実施例では、構造接着剤の材質は、単一成分ポリウレタン又は二成分ポリウレタンである。
【0011】
一実施例では、構造接着剤の材質は、単一成分エポキシ樹脂又は二成分エポキシ樹脂である。
【0012】
一実施例では、各電池のケーシングは、底面を有し、開口は、上下方向に沿ってケーシングの底面の下方に位置し、ケーシングの一部の底面を絶縁膜から露出させる。
【0013】
一実施例では、各電池のケーシングは、側面を有し、開口は、横方向に沿ってケーシングの側面の外側に位置し、ケーシングの一部の側面を絶縁膜から露出させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、下記の有利な作用効果を有する。
電池のケーシングの外部に被覆される絶縁膜により、電池ボックスの絶縁性能を保証し、また、絶縁膜に開口が設けられているため、構造接着剤は、一部が開口において電池のケーシングを筐体に接着し、一部が開口の外側で絶縁膜を筐体に接着することにより、電池と筐体との接着強度を向上させ、さらに、電池ボックスの全体強度を向上させる。また、電池ボックスのσ、σ、A及びAが上述した関係を満たすため、国家標準GB/T 31467.3の機械衝撃試験では、本発明に係る電池ボックスは、機械的衝撃に耐えられ、且つ接着故障が発生せず(即ち、本発明に係る電池ボックスは、機械衝撃試験を無事に通過することが可能である)、これによって電池ボックスの安全性を保証する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る電池ボックスの構成を示す模式図である。
図2図1に示される絶縁膜の開口と電池の位置を示す模式図である。
図3図2の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の目的、解決手段及び利点がより明瞭になるように、以下、図面及び実施例を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。なお、ここに記載した具体的な実施例は、あくまで本発明を解釈するためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0017】
本発明の記載において、特に明記しない限り、用語「複数」は、2つ又は2つ以上を意味するものであり、当業者にとって、具体的な状況に基づいて上記用語の本発明における具体的な意味を理解することができる。
【0018】
本明細書の記載において、本発明の実施例で説明した「上」、「下」等の方位語は、図面に示す角度で記述されたものであり、本発明の実施例を限定するものと解すべきではない。以下に図面を参照しながら本発明をさらに詳細に説明する。
【0019】
図1を参照すると、本発明に係る電池ボックスは、筐体1、複数の電池2、絶縁膜3及び構造接着剤4を備える。
【0020】
複数の電池2は、縦方向Yに配列されて筐体1に収容されている。各電池2はケーシング21を有し、また、ケーシング21は、横方向Xにおいて2つの側面を有し、縦方向Yにおいて2つの大きい面を有し、そして、上下方向Zにおいて1つの底面を有する。ケーシング21は、金属材料で製造することができる。
【0021】
絶縁膜3が電池2のケーシング21の外部に被覆されて接着されるように、絶縁膜3の電池2に向かう側に接着剤が設けられている。ケーシング2の対応部分が絶縁膜3に露出するように、絶縁膜3には、開口31が設けられている。具体的に、ケーシング21の一部の底面が絶縁膜3に露出するように(図2に示すように)、開口31は、上下方向Zに沿って絶縁膜3の電池2のケーシング21の底面を被覆する部分に貫通設置されてもよい(即ち、開口31はケーシング21の底面の下方に位置する)。選択的に、ケーシング21の一部の側面が絶縁膜3に露出するように(図3に示すように)、開口31は、横方向Xに沿って絶縁膜3の電池2のケーシング21の側面を被覆する部分に貫通設置されてもよい(即ち、開口31はケーシング21の側面の外側に位置する)。
【0022】
構造接着剤4は、電池2と筐体1との間に設けられ、各電池2を筐体1に固定するために用いられる。上記複数の電池2が筐体1に配置された後、構造接着剤4は、一部が絶縁膜3と筐体1との間に位置し、一部が電池2のケーシング21と筐体1との間に位置する(即ち、構造接着剤4が開口31に充填されている)。無論、隣り合う2つの電池2の間に構造接着剤4の一部が押し込まれることもある。
【0023】
電池ボックスが組み立てられた後、電池2のケーシング21が構造接着剤4を介して筐体1に接着され、絶縁膜3も構造接着剤4を介して筐体1に接着されることにより、各電池2は筐体1に固定される。
【0024】
本発明に係る電池ボックスにおいて、電池2のケーシング21を構造接着剤4を介して筐体1に接着する接着強度をσ(単位がMpa)、絶縁膜3を構造接着剤4を介して筐体1に接着する接着強度をσ(単位がMpa)、絶縁膜3における開口31の面積をA(単位がmm)、開口31に対応する側に位置するケーシング2の表面の総面積をA(単位がmm)としたときに、σ、σ、A及びAは、以下の条件式(1)を満たす。
【数3】
【0025】
電池2のケーシング21の外部に被覆される絶縁膜3により、電池ボックスの絶縁性能を保証し、また、絶縁膜3に開口31が設けられているため、構造接着剤4は、一部が開口31において電池2のケーシング21を筐体1に接着し、一部が開口31の外側で絶縁膜3を筐体1に接着することにより、電池2と筐体1との接着強度を向上させ、電池ボックスの全体強度を向上させる。また、電池ボックスのσ、σ、A及びAが上述した関係を満足するため、国家標準GB/T 31467.3の機械衝撃試験では、本発明に係る電池ボックスは、機械的衝撃に耐えられ、且つ接着故障が発生しないことにより(即ち、本発明に係る電池ボックスは、機械衝撃試験を無事に通過することが可能である)、電池ボックスの安全性を保証する。
【0026】
条件式(1)について、
【数4】
とし、即ち、T≧7.2Mpaとなる。なお、Tの値が大きいほど、電池ボックスの接着強度が大きくなり、より高い接着強度の要求を満足するために、Tの値が大きくなるように、条件式(1)によりσ、σ、A及びAの大きさを合理的に設定することができ、電池ボックスの安全性をさらに向上させる目的に達成するとともに、設計のコストを大幅に低下させて、生産効率を向上させることができる。具体的に、T≧7.7Mpaであり、即ち、
【数5】
である。
【0027】
電池2のケーシング21が構造接着剤4を介して筐体1に接着される接着強度σは構造接着剤4の量に関連し、構造接着剤4の量は絶縁膜3における開口31の面積Aに関連するため、電池ボックスの接着強度の要求を満足するために、AとAがA/A>50%を満たすことが必要である。
【0028】
なお、電池2自体の構成から(即ち、電池2の底部の4つの角位置に丸みが存在する)、絶縁膜3における開口31の面積Aが大きすぎると、隣り合う2つの電池2の底部の丸みの間に絶縁故障が生じるリスクを増大させる。従って、電池2の絶縁故障のリスクを低下させるために、好ましくは、AとAがA/A≦70%を満たすことが必要である。
【0029】
本発明に係る電池ボックスにおいて、絶縁膜3は、可採用ポリプロピレン(Polypropylene、PPと略称される)、ポリカーボネート(Polycarbonate、PCと略称される)又はポリエステル樹脂(Polyethylene terephthalate、PETと略称される)などの高分子材料を用いて製造されることができる。この場合、絶縁膜3は、自体の材料によって制限され、それが構造接着剤4によって筐体1に接着される接着強度σはσ≦1.8Mpaを満たす。
【0030】
一実施例では、電池2のケーシング21は、アルミニウムで製造されることができ、この場合、電池2のケーシング21が構造接着剤4によって筐体1に接着される接着強度σはσ≧9Mpaを満たす。無論、電池2のケーシング21は、鋼で製造されることもでき、この場合、電池2のケーシング21が構造接着剤4によって筐体1に接着される接着強度σはより大きく(電池2のケーシング21がアルミニウムで製造される場合と比較する)、同じ大きさのσ、A及びAの場合、Tの値はより大きく、電池ボックスの接着強度はより高くなる。
【0031】
構造接着剤4と電池2のケーシング21及び絶縁膜3との接着強度を保証するために、一実施例では、構造接着剤4の材質は、単一成分ポリウレタン又は二成分ポリウレタンであってもよい。
【0032】
単一成分ポリウレタンで製造される構造接着剤4は、湿気硬化又は加熱硬化などによって接着強度を実現することができる。二成分ポリウレタンで製造される構造接着剤4は、化学結合と分子間の作用力によって接着強度を実現することができ、また、二成分ポリウレタンの接着原理について、以下のように説明する。
【0033】
二成分ポリウレタンは、−NCO基を含有する成分(例えば、イソシアネート又はポリイソシアネート)及びーOH基を含有するポリオール成分を含み、両者が触媒と混合して二成分ポリウレタンを形成する。ここで、二成分ポリウレタンが硬化を実現する方式は以下のとおりである。
【0034】
【化1】
【0035】
二成分ポリウレタンの分子間の作用力とは、硬化後の―NH―基、―OH基と基材(電池2のケーシング21及び絶縁膜3を含む)との間に水素結合を形成するファンデルワールス力及び分子間のファンデルワールス力を指す。化学結合とは、架橋ネットワークに硬化されていないOCN−R−NCOと基材表面の微量の水及び金属酸化物が形成する共有結合を指す。なお、構造接着剤4の接着強度を実現することには、二成分ポリウレタンの分子間の作用力が主な作用を果たし、化学結合が補助的な作用を果たす。
【0036】
なお、二成分ポリウレタンの配合時に、以下の2点を注意する必要があり、(1)―NCOは、水と反応してウレア基を生成する際に、一部が消費されるため、―NCOの含有量が―OHの含有量よりも高いことが必要であり、(2)―NCOの含有量が高いほど、形成される金属間の共有物が多くなり、結合強度が良くなるが、―NCOの含有量が高すぎると、コロイドが硬化しすぎて脆くなり、ひいては、硬化しない状態となる恐れがある。そのため、二成分ポリウレタンの配合時に、―NCOと―OHとのモル比を一定の割合に保つ必要がある。
【0037】
構造接着剤4と電池2のケーシング21及び絶縁膜3との接着強度を保証するために、他の実施例では、構造接着剤4の材質は、単一成分エポキシ樹脂又は二成分エポキシ樹脂であってもよい。
【0038】
単一成分エポキシ樹脂で製造される構造接着剤4は、湿気硬化又は加熱硬化などによって接着強度を実現することができる。二成分エポキシ樹脂で製造される構造接着剤4は、化学結合と分子間の作用力によって接着強度を実現することができ、また、二成分エポキシ樹脂の接着原理について、以下のように説明する。
【0039】
二成分エポキシ樹脂は、エポキシ基を含有する成分及び−OH基、―NH基を含有する成分を含み、両者が触媒と混合して二成分エポキシ樹脂を形成する。ここで、二成分エポキシ樹脂が硬化を実現する方式は以下のとおりである。
【0040】
【化2】
【0041】
二成分エポキシ樹脂の分子間の作用力とは、エポキシ基、―OH基、―NH基、―O―エーテル基と基材との間に水素結合を形成するファンデルワールス力及び分子間のファンデルワールス力を指す。化学結合とは、―NH基を含む成分と基材表面の微量の水及び金属酸化物が形成する共有結合、エポキシ基を含む成分が開環過程で基材表面の金属酸化物及び微量の水と形成する共有結合を指す。
【0042】
なお、エポキシ樹脂の分子は、架橋の過程で付加反応であってもよく、水が生成せず、且つ揮発生成物がないため、その全体硬化収縮率が低く、本体強度が高く、大きな接着強度を実現することができる。
【0043】
本発明に係る電池ボックスの安全性が要求を満たすことを検証するために、国家標準GB/T 31467.3第7.2機械衝撃試験の要求に従って、電池ボックスに対して機械衝撃試験を行い(即ち、電池ボックスに25g、15msの半正弦波衝撃波形を加え、z軸方向に衝撃を3回行い、2h観察する)、対応する試験結果を得た。
【0044】
機械衝撃試験では、3種の構造接着剤4(番号が1、2、3)を用いてそれぞれ5種の絶縁膜3の開口31の大きさと組み合わせて15グループの試験群を構成し、それぞれの試験群に対して機械衝撃試験を行い、且つ、異なる試験群に対応するσ、σの値は以下の表S−1に示される。
【0045】
【表S-1】
【0046】
上記の表に記載の15グループの試験群で得た試験結果は以下の表S−2に示される。
【0047】
【表S-2】
【0048】
1番の構造接着剤で構成される5グループの試験群(即ち、1−1、1−2、1−3、1−4、1−5)について、表S−1からわかるように、σの平均値は11.87Mpaであり、σの平均値は1.52Mpaであり、表S−2からわかるように、A/Aが50%であるとき、
【数6】
であり、電池ボックスは衝撃によって故障し、機械衝撃試験を通過しなかった。A/Aが60%以上になると、
【数7】
であり、電池ボックスは衝撃によって故障せず、即ち、いずれも衝撃試験を通過することができる。
【0049】
2番の構造接着剤で構成される5グループの試験群(即ち、2−1、2−2、2−3、2−4、2−5)について、表S−1からわかるように、σの平均値は9.59MPaであり、σの平均値は1.52Mpaである。表S−2からわかるように、A/Aが70%以下であるとき、
【数8】
であり、電池ボックスはいずれも衝撃によって故障し、機械衝撃試験を通過しなかった。A/Aが80%以上になると、
【数9】
であり、電池ボックスは衝撃によって故障せず、即ち、いずれも衝撃試験を通過することができる。
【0050】
3番の構造接着剤で構成される5グループの試験群(即ち、3−1、3−2、3−3、3−4、3−5)、表S−1からわかるように、σの平均値は7Mpaであり、σの平均値は1.52Mpaである。表S−2からわかるように、A/Aが50%以上であるとき、
【数10】
であり、電池ボックスはいずれも衝撃によって故障し、機械衝撃試験を通過しなかった。
【符号の説明】
【0051】
1 筐体
2 電池
21 ケーシング
3 絶縁膜
31 開口
4 構造接着剤
X 横方向
Y 縦方向
Z 上下方向
図1
図2
図3