(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6892938
(24)【登録日】2021年6月1日
(45)【発行日】2021年6月23日
(54)【発明の名称】接続体及び管状路用具
(51)【国際特許分類】
A47K 11/10 20060101AFI20210614BHJP
E03C 1/30 20060101ALI20210614BHJP
【FI】
A47K11/10
E03C1/30
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-20209(P2020-20209)
(22)【出願日】2020年2月7日
【審査請求日】2020年4月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000178583
【氏名又は名称】山崎産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095522
【弁理士】
【氏名又は名称】高良 尚志
(72)【発明者】
【氏名】松島 光
【審査官】
神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭62−192129(JP,A)
【文献】
特開2013−141572(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3105401(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2019/0345704(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0011643(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 11/10
E03C 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも吸引機能又は加圧機能を有する作動体と基端側において結合し、先端側から対象とする管状路の開口部又は管状路内に適用することにより、その管状路と前記作動体を気密状に接続するための接続体であって、
本体部と張出部を有し、
前記本体部は、弾力性を有する材料からなる筒状をなし、
前記本体部の外周部は、基端側から先端側に向かって縮小する部分を有し、基端部よりも先端部が縮小しており、
前記本体部の外周部における軸線方向の1又は2以上の箇所であって1以上は基端部以外の箇所に、弾力性を有する材料からなり、外方に張り出して変形し得る張出部を有し、
前記先端側から前記管状路の開口部を通じて管状路内に挿入された場合に、その開口部及び管状路に適合するように、前記本体部が変形し得ると共に、前記張出部が変形して前記管状路内又は開口部に密着し得、前記管状路と前記作動体を気密状に接続し得るものであることを特徴とする接続体。
【請求項2】
上記本体部の外周部における軸線方向の2以上の箇所に張出部を有し、前記本体部の外周部における2以上の箇所のうち何れかの箇所よりも他の箇所が縮小している請求項1記載の接続体。
【請求項3】
上記張出部が、上記本体部よりも柔軟に変形し得るものである請求項1又は2記載の接続体。
【請求項4】
上記本体部の外周部のうち基端側から先端側に向かって縮小する部分は、基端側から先端側に向かって段階的に縮小するものである請求項1乃至3の何れか1項に記載の接続体。
【請求項5】
上記本体部の外周部が、基端側から先端側に向かって縮小部と非縮小部が交互に繰り返すことにより段階的に縮小するものであり、上記張出部を前記縮小部の基端側又は前記非縮小部の先端側に有する請求項4記載の接続体。
【請求項6】
上記本体部の外周部のうち基端側から先端側に向かって縮小する部分は、基端側から先端側に向かって連続的に縮小するものである請求項1乃至3の何れか1項に記載の接続体。
【請求項7】
上記張出部が本体部の外周部から外方へ張り出す幅が、本体部の外周部における軸線方向の当該箇所の外周で囲まれた内側の横断面積をSとした場合に、(4S/π)の正の平方根の7%以上である請求項1乃至6の何れか1項に記載の接続体。
【請求項8】
上記作動体と一体成形されたものである請求項1乃至7の何れか1項に記載の接続体。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載の接続体が、その基端側において、少なくとも吸引機能又は加圧機能を有する作動体と結合してなる管状路用具。
【請求項10】
上記作動体が、弾力性を有する材料により形成された椀形状体からなるものである請求項9記載の管状路用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも吸引機能又は加圧機能を有する作動体と結合し、開口部を有する管状路と前記作動体を気密状に接続するための接続体、及び、その接続体と前記作動体が結合した、排水管の閉塞解除等を行うための管状路用具に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2009−100879号公報には、柄棒2の先端にゴム状材料等からなるカップ部材4が取り付けられた通水カップ1として、カップ部材4が、柄棒2側に位置する部分球面状の第1部分4Aと、第1部分4Aから前方に向かって延出し先端に開口3を有する筒状の第2部分4Bとから構成され、第1部分4Aと第2部分4Bとの間の位置に外周方向に張り出すフランジ状の張出縁5が設けられ、張出縁5の前面5Aと後面5Bのうち少なくとも前面5Aは平坦に形成され、第2部分4Bが上記張出縁5より前方に突出して形成されたものが示されている。
【0003】
このカップ部材4を便器21の排水口22に押し付け、張出縁5を排水口22の周囲の壁部分23に密着させると、カップ部材4の第2部分4Bは先細りの筒状をしていて、しかも弾性変形可能であるため、様々な形態の便器における排水口の口径や形状等に程良く適合し、少なくともその先端部分が該排水口内に確実に嵌合する。また、張出縁5は、カップ部材4の外周方向にフランジ状に延出していて、前面5Aが平坦かつ平滑な面に形成されているため、排水口22の周囲の壁部分23の形状に倣ってスムーズに弾性変形し、全周が該壁部分23に良好に密接することになる。そのため、この通水カップ1によれば、便器に対して高い密着性を有することにより、排水管内に作用させる流体圧が容易に高められるものとされている。
【0004】
しかしながら、このような排水管の閉塞解除等を行うための管状路用具については、様々な便器の排水口及び排水管の形状に対応し得ることが求められ、このような点において更なる改善が要望されるところである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−100879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、少なくとも吸引機能又は加圧機能を有する作動体と、開口部を有する管状路を、効果的に気密状に接続し得る接続体、及び、その接続体と前記作動体が結合した、排水管の閉塞解除等を行うための管状路用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、例えば次のように表すことができる。
【0008】
(1) 少なくとも吸引機能又は加圧機能を有する作動体と基端側において結合し、先端側から対象とする管状路の開口部又は管状路内に適用することにより、その管状路と前記作動体を気密状に接続するための接続体であって、
本体部と張出部を有し、
前記本体部は、弾力性を有する材料からなる筒状をなし、
前記本体部の外周部は、基端側から先端側に向かって縮小する部分を有し、基端部よりも先端部が縮小しており、
前記本体部の外周部における軸線方向の1又は2以上の箇所であって1以上は基端部以外の箇所に、弾力性を有する材料からなり、外方に張り出して変形し得る張出部を有し、
前記先端側から前記管状路の開口部を通じて管状路内に挿入された場合に、その開口部及び管状路に適合するように、前記本体部が変形し得ると共に、前記張出部が変形して前記管状路内又は開口部に密着し得、前記管状路と前記作動体を気密状に接続し得るものであることを特徴とする接続体。
【0009】
接続体の本体部の外周部は、基端側から先端側に向かって縮小する部分を有し、基端部よりも先端部が縮小している。
【0010】
また、接続体の本体部の外周部における軸線方向の1又は2以上の箇所であって1以上は基端部以外の箇所に、弾力性を有する材料からなり、外方に張り出して変形し得る張出部を有する。
【0011】
そのため、接続体が、その先端側から、管状路の開口部に挿入された場合に、その開口部及び管状路に適合するように、前記本体部が変形し得ると共に、本体部の外周部における軸線方向の1又は2以上の箇所であって1以上は基端部以外の箇所において外方に張り出した張出部が変形して管状路の開口部又は管状路内に密着し得、前記管状路と前記作動体を気密状に接続し得る。
【0012】
(2) 上記本体部の外周部における軸線方向の2以上の箇所に張出部を有し、前記本体部の外周部における2以上の箇所のうち何れかの箇所よりも他の箇所が縮小している上記(1)記載の接続体。
【0013】
(3) 上記張出部が、上記本体部よりも柔軟に変形し得るものである上記(1)又は(2)記載の接続体。
【0014】
(4) 上記本体部の外周部のうち基端側から先端側に向かって縮小する部分は、基端側から先端側に向かって段階的に縮小するものである上記(1)乃至(3)の何れか1項に記載の接続体。
【0015】
(5) 上記本体部の外周部が、基端側から先端側に向かって縮小部と非縮小部が交互に繰り返すことにより段階的に縮小するものであり、上記張出部を前記縮小部の基端側又は前記非縮小部の先端側に有する上記(4)記載の接続体。
【0016】
(6) 上記本体部の外周部のうち基端側から先端側に向かって縮小する部分は、基端側から先端側に向かって連続的に縮小するものである上記(1)乃至(3)の何れか1項に記載の接続体。
【0017】
(7) 上記張出部が本体部の外周部から外方へ張り出す幅が、本体部の外周部における軸線方向の当該箇所の外周で囲まれた内側の横断面積をSとした場合に、(4S/π)の正の平方根の7%以上である上記(1)乃至(6)の何れか1項に記載の接続体。
【0018】
(8) 上記作動体と一体成形されたものである上記(1)乃至(7)の何れか1項に記載の接続体。
【0019】
(9) 上記(1)乃至(8)の何れか1項に記載の接続体が、その基端側において、少なくとも吸引機能又は加圧機能を有する作動体と結合してなる管状路用具。
【0020】
(10) 上記作動体が、弾力性を有する材料により形成された椀形状体からなるものである上記(9)記載の管状路用具。
【発明の効果】
【0021】
本発明の接続体又は管状路用具によれば、接続体が、その先端側から、管状路の開口部に挿入された場合に、その開口部及び管状路に適合するように、接続体の本体部が変形し得ると共に、本体部の外周部における軸線方向の1又は2以上の箇所であって1以上は基端部以外の箇所に有する外方に張り出した張出部が、変形して管状路の開口部又は管状路内に密着し得、前記管状路と前記作動体を気密状に接続し得る。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[1] 本発明の実施の形態の一例としての接続体及び大便器等の排水管閉塞解除に用い得る管状路用具について、図面を参照しつつ説明する。
【0024】
この接続体Aは、その基端側において、少なくとも吸引機能又は加圧機能を有する作動体Bと一体的に結合して管状路用具Cを構成し、その接続体Aを、対象とする管状路である大便器の排水管状路の開口部又は排水管状路内に適用することにより、その管状路と前記作動体Bを気密状に接続する。
【0026】
作動体Bは、吸引機能及び加圧機能を有するものであり、弾力性を有する材料である合成ゴムにより底部を含む全体が形成された略半球殻形の椀形状をなし、その底部の中央部に、軸線が前記略半球殻形体の中心軸線と共通する(すなわち同軸状をなす)円筒状の柄結合部B1を外方(
図1における上方)に突起するように有する。
【0027】
作動体Bと接続体Aは、合成ゴムにより、椀形状をなす作動体Bの開口側部B2と筒状の接続体Aの基端部が結合した同軸状の形態に一体状に成形されている。
【0028】
椀形状をなす作動体Bの底部に設けられた柄結合部B1には、操作用の円管状の柄Dの先端部が螺合により結合されている。
【0029】
作動体Bの開口側を接続体Aを介して対象に適用してその作動体Bの底部側から柄Dを用いて椀形状部を圧縮することにより対象に加圧力を作用させることができ、圧縮した椀形状部を、柄Dを用いて底部側へ引き戻して復元させることにより、対象に吸引力を作用させることができる。
【0031】
管状路(図示せず)は、大便器における排出口を有する孔部である排水管状路と、その排水管状路に連結された排水管により構成されるものである。
【0033】
(3-1) 接続体Aは、合成ゴムからなる筒状をなす。接続体Aは、その基端側において、作動体Bの開口側部B2と結合し、接続体Aと作動体Bは同軸状をなす。接続体Aは、開口端部A1を有する先端側から、管状路の開口部を通じてその管状路内に挿入する等して対象とする管状路の開口部又は管状路内に適用することにより、その管状路と作動体Bを気密状に接続するためのものである。
【0034】
(3-2) 接続体Aは、本体部AXと張出部を有し、本体部AXの基端部(
図1及び
図4における本体部AXの上端部)は、作動体Bの下端部である開口側部B2に結合している。
【0035】
本体部AXは、軸線方向[基端先端方向]の特定長さ部分毎に、先端側に位置するものほど外径が小さいほぼ一定半径の3つの略円筒状外周部を有する。
【0036】
第1の略円筒状外周部1a(非縮小部)は、本体部AXの基端部よりも外径が小さい。
【0037】
第2の略円筒状外周部2a(非縮小部)は、第1の略円筒状外周部1aよりも外径が小さい。
【0038】
第3の略円筒状外周部3a(非縮小部)は、第2の略円筒状外周部2aよりも更に外径が小さい。
【0039】
第1の略円筒状外周部1aの基端側には、本体部AXの基端部の外径と第1の略円筒状外周部1aの外径の間を構成する第1の円環状部1b(縮小部)を有し、軸線方向に隣り合う略円筒状外周部同士の間には、それぞれ、外方に向かってやや先端側向きに傾斜した円環状部(縮小部)を有する。すなわち、第1の略円筒状外周部1a(非縮小部)と第2の略円筒状外周部2a(非縮小部)の間には第2の円環状部2b(縮小部)、第2の略円筒状外周部2a(非縮小部)と第3の略円筒状外周部3a(非縮小部)の間には第3の円環状部3b(縮小部)をそれぞれ有する。このように、本体部AXの外周部は、基端側から先端側に向かって3段階に縮小している。
【0040】
接続体Aの本体部AXの内周面部AX1は、基端側から先端側に向かって径が連続的にほぼ一定の率で縮小する略円錐台形状をなす。
【0041】
接続体Aの本体部AXの基端部の外周で囲まれた内側の横断面積をSa、本体部AXの先端部の外周で囲まれた内側の横断面積をSbとした場合の[(4Sb/π)の正の平方根]/[(4Sa/π)の正の平方根](本体部AXの先端部の外径/本体部AXの基端部の外径)は約0.7であり、接続体Aの軸線方向の長さは[(4Sa/π)の正の平方根](本体部AXの基端部の直径)の約0.3倍である。
【0042】
(3-3) 接続体Aの本体部AXの外周部における、軸線方向の2箇所である基端部(第1の円環状部1b[縮小部]の基端側)及び先端部(第3の略円筒状外周部3a[非縮小部]の先端側)に、それぞれ、当該箇所の先端側及び基端側の何れよりも外方に張り出して柔軟に変形し得る鍔状の張出部F1及び張出部F2を有する。
【0043】
張出部は、作動体B及び接続体Aの本体部AXと共に、同じ合成ゴム材料により一体的に成形されている。
【0044】
張出部F1及び張出部F2は、本体部AXを構成する周壁部の厚さよりも薄く、本体部AXの外周部から外方へ張り出す幅は全周にわたり一定であり、本体部AXの外周部における軸線方向の当該箇所の外周で囲まれた内側の横断面積をSとした場合に、(4S/π)の正の平方根(外周の直径)の約8乃至10%であり、ほぼ8乃至10mmであるため、本体部AXよりも柔軟に変形し得る。
【0045】
接続体Aの外周部における外径が異なる軸線方向の2箇所である基端部及び先端部に本体部AXよりも柔軟に変形し得る張出部F1及び張出部F2を有することにより、管状路の開口部又は管状路内のうち形状や寸法が異なり得る2箇所以上において、それぞれ接続体Aの外周部における外径が異なる箇所の別々の張出部が管状路の開口部又は管状路内に密着し得るので、管状路と作動体Bを接続体Aによって確実性高く気密状に接続し得る。そのように気密状に接続した状態で接続体Aの基端部に結合した作動体Bの吸引機能又は加圧機能等を発揮させることにより、排水管に対し吸引又は加圧等を作用させ、排水管の閉塞解除等を効果的に行うことができる。
【0046】
また、前記のように、本体部AXの外周部は基端側から先端側に向かって3段階に縮小しているため、管状路の開口部又は管状路内のうち形状や寸法が異なり得る箇所において、各段階の外周部が前記開口部又は管状路内に密着し得るので、張出部F1及び張出部F2が前記開口部又は管状路内に密着し得ることと相まって、管状路と作動体Bを接続体Aによって一層効果的に気密状に接続し得る。
【0047】
なお、張出部は、例えば、第2の円環状部2b[縮小部]の基端側、第3の円環状部3b[縮小部]の基端側及び第3の略円筒状外周部3a[非縮小部]の先端側(先端部)の3箇所のうち何れか1箇所にのみ設けること、或いは、これらの3箇所に第1の円環状部1b[縮小部]の基端側(基端部)を加えた4箇所のうち任意の2箇所若しくは3箇所又は4箇所全てに設けることもできる。
【0048】
[2] 本発明の実施の形態を、上記以外の形態を含めて更に説明する。
【0049】
本発明の接続体は、筒状をなし、少なくとも吸引機能又は加圧機能を有する作動体と基端側において結合し、開口端部を有する先端側から対象とする管状路の開口部又は管状路内に適用することにより、その管状路と前記作動体を気密状に接続するためのものであり、本発明の管状路用具は、前記接続体が、その基端側において、前記作動体と結合してなるものである。
【0051】
作動体は、少なくとも吸引機能又は加圧機能を有するものであり、例えば、吸引機能のみを有するもの、吸引及び復圧機能を有するもの、吸引及び加圧機能を有するものとすることができる。
【0052】
このような作動体の例としては、変形して吸引機能又は加圧機能を発揮するもの、例えば
弾力性を有する材料(例えば、合成ゴムや天然ゴムのようにゴム状弾性を有する材料、弾力性を有する合成樹脂材料等)により底部を含む全体が形成された椀形状体や、底部側が変形し難い金属や合成樹脂からなり側周部が弾力性を有する材料からなる椀形状体のように、作動体の開口側を接続体を介して対象に適用してその作動体の底部側から(例えば底部側に設けた操作棒又は柄を用いて)椀形状部を圧縮することにより対象に加圧力を作用させることができ、圧縮した椀形状部を(例えば前記操作棒又は柄を用いて)底部側へ引き戻して復元させることにより対象に吸引力を作用させることができるもの;
吸引機能及び加圧機能の両方又は一方を発揮し得るピストン部等を有するもの;
別の吸引装置(動力を利用するものを含む)に接続して吸引機能及び加圧機能の両方又は一方を発揮するもの
等を挙げることができるがこれらに限られるものではない。
【0054】
管状路は、例えば、管により構成されるもの及び管以外のものに形成された孔部により構成されるものの一方、又は、両方が連結したもの、とすることができる。
【0055】
管状路の例としては、開口部を有する排水管等の管により構成されるもの、器具・装置等における開口部を有する孔部(排水管状路)と、その孔部に連結された排水管等の管(例えば、大便器における排出口を有する孔部に連結された排水管)により構成されるものを挙げることができるが、これらに限るものではない。
【0056】
管状路は、例えば、水若しくはその他の液体、水等の液体と固体やゲルの混合物、粉粒状体等を流動させて輸送し得るものとすることができる。
【0058】
(3-1) 接続体は、少なくとも吸引機能又は加圧機能を有する作動体と結合(例えば、一体成形により又は別体として結合)し、対象とする管状路の開口部又は管状路内に適用(例えば先端側から管状路の開口部を通じて管状路内に挿入)することにより、その管状路と作動体を気密状に接続するためのものである。尤も、作動体以外に接続体も吸引機能又は加圧機能を発揮し得るものとすることもできる。
【0059】
(3-2) 接続体は本体部と張出部を有し、本体部は、弾力性を有する材料(例えば、合成ゴムや天然ゴムのようにゴム状弾性を有する材料、弾力性を有する合成樹脂材料等)からなる筒状(例えば、略円筒状、略楕円筒状、略多角形筒状、略円錐台形筒状等、好ましくは略円筒状)をなす。
【0060】
(3-3) 接続体の本体部の外周部は、基端側から先端側に向かって、一定の率若しくは変化する率で連続的に(例えば円錐台外周面状に一定の率で、又は基端側から先端側に向かって放物線面状に若しくはその他の変化する率で)又は非連続的に(例えば、一定規則に従って若しくは従わずに段階的に)縮小する部分を有する。この縮小する部分は、例えば、接続体の軸線方向[基端先端方向]の全長にわたるものとすることができるほか、軸線方向の基端側、先端側又は中間部の70乃至80%にわたるものとすることができるが、これらに限るものではない。
【0061】
接続体の本体部の外周部が基端側から先端側に向かって非連続的に縮小する部分の、より具体的な形状の例としては、本体部の軸線方向[基端先端方向]の一定長さ又は種々の長さ毎に、先端側に位置するものほど半径が小さい複数のほぼ一定半径の略円筒状外周部(非縮小部)と、軸線方向において隣り合う略円筒状外周部同士の間を構成する縮径部である円環状部(縮小部)からなる形状やこれに類する形状を挙げることができる。
【0062】
接続体の本体部の外周部は基端部よりも先端部が縮小している。例えば、本体部の基端部の外周で囲まれた内側の横断面積をSa、本体部の先端部の外周で囲まれた内側の横断面積をSbとした場合の[(4Sb/π)の正の平方根]/[(4Sa/π)の正の平方根](円の場合、先端部の外径/基端部の外径)は0.4乃至0.9、好ましくは0.5乃至0.8とすることができ、接続体の軸線方向の長さは、例えば[(4Sa/π)の正の平方根](円の場合、基端部の外径)の0.15乃至1倍、好ましくは0.25乃至0.7倍とすることができる。
【0063】
(3-4) 接続体の本体部の外周部における軸線方向の1又は2以上の箇所に、弾力性を有する材料(例えば、合成ゴムや天然ゴムのようにゴム状弾性を有する材料、弾力性を有する合成樹脂材料等)からなり、外方に張り出して変形し得る張出部を有する。この張出部は、接続体の本体部の外周部における軸線方向の1又は2以上の箇所であって1以上は基端部以外の箇所(すなわち、基端部以外の1又は2以上の箇所、又は、基端部を含む2以上の箇所)に有するものとすることが好ましい。張出部は、当該箇所の先端側及び基端側の何れよりも外方に張り出すものとすることができる。
【0064】
接続体の本体部の外周部が、基端側から先端側に向かって縮小部と非縮小部が交互に繰り返すことにより非連続的に(例えば、一定規則に従って若しくは従わずに段階的に)縮小するものである場合、張出部は、例えば、縮小部の基端側又は非縮小部の先端側に有するものとすることができる。より具体的には、本体部の外周部が、本体部の軸線方向[基端先端方向]の一定長さ又は種々の長さ毎に、先端側に位置するものほど半径が小さい複数のほぼ一定半径の略円筒状外周部(非縮小部)と、軸線方向において隣り合う略円筒状外周部同士の間を構成する縮径部である円環状部(縮小部)からなる形状の場合、縮小部である円環状部の基端側又は非縮小部である略円筒状外周部の先端側に張出部を有するものとすることができるが、これに限るものではない。
【0065】
接続体が、開口端部を有する先端側から、管状路の開口部に挿入された場合に、その開口部及び管状路に適合するように、前記本体部が変形し得ると共に、外方に張り出した張出部が変形して管状路の開口部又は管状路内に密着し得、前記管状路と前記作動体を接続体により気密状に接続し得る。そのように気密状に接続した状態で接続体の基端部に結合した作動体の吸引機能又は加圧機能等を発揮させることにより、管状路に対し吸引又は加圧等を作用させ、管状路の閉塞解除等を効果的に行うことができる。
【0066】
接続体の本体部の外周部における軸線方向の2以上の箇所に張出部を有し、前記本体部の外周部における2以上の箇所のうち何れかの箇所よりも他の箇所が縮小している場合、管状路の開口部又は管状路内のうち形状や寸法が異なり得る2箇所以上において、それぞれ本体部における外径等の大きさが異なる外周部に有する別々の張出部が管状路の開口部又は管状路内に密着し得るので、管状路と作動体を接続体によって確実性高く気密状に接続し得る。
【0067】
本体部の外周部が基端側から先端側に向かって一定規則に従って若しくは従わずに段階的に(好ましくは3段階以上に)縮小する部分を有する場合、管状路の開口部又は管状路内のうち形状や寸法が異なり得る箇所において、各段階の外周部が前記開口部又は管状路内に密着し得るので、張出部が前記開口部又は管状路内に密着し得ることと相まって、管状路と作動体を接続体によって一層効果的に気密状に接続し得る。
【0068】
張出部は、柔軟に変形し得るものであること、例えば、本体部よりも柔軟に変形し得るものであることが、張出部が管状路の開口部又は管状路内に密着して管状路と作動体を接続体によってより確実に気密状に接続する上で望ましい。
【0069】
張出部を本体部よりも柔軟に変形し得るものとするには、例えば、
本体部の軸線方向に対し直交する平面に沿った形状(例えば鍔状)をなすものとすること;
張出部の厚さ(接続体の軸線方向の厚さ)を本体部の厚さよりも薄くする(例えば70%以下、好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下)こと(この場合は、張出部と本体部が同じ材料からなるものとすることができるが、必ずしもこれに限るものではない。);
張出部を構成する弾力性を有する材料(例えば、合成ゴムや天然ゴムのようにゴム状弾性を有する材料、弾力性を有する合成樹脂材料等)を、本体部を構成する材料よりも柔軟に変形し得る材料として例えば一体成形又は別体の張出部を接合して接続体とすること;
或いはこれらの2以上の組み合わせ
とすることができる。
【0070】
張出部が接続体の本体部の外周部から外方へ張り出す幅は、本体部の外周部における軸線方向の当該箇所の外周で囲まれた内側の横断面積をSとした場合に、(4S/π)の正の平方根の7%以上とすることができる。好ましくは8%以上、より好ましくは9%以上又は10%以上である。大便器等の排水管閉塞解除に用い得る管状路用具においては、例えば8mm以上とすることができる。好ましくは9mm以上、より好ましくは10mm以上である。
【0071】
張出部は、本体部の全周にわたり張り出すものとすることができる。張出部の張り出し幅は、全周にわたり一定とすることができるが必ずしもこれに限るものではない。
【符号の説明】
【0072】
1a 第1の略円筒状外周部
1b 第1の円環状部
2a 第2の略円筒状外周部
2b 第2の円環状部
3a 第3の略円筒状外周部
3b 第3の円環状部
A 接続体
A1 開口端部
AX 本体部
AX1 内周面部
B 作動体
B1 柄結合部
B2 開口側部
C 管状路用具
D 柄
F1 張出部
F2 張出部
【要約】
【課題】 少なくとも吸引機能又は加圧機能を有する作動体と、開口部を有する管状路を、効果的に気密状に接続し得る接続体、及び、その接続体と前記作動体が結合した、排水管の閉塞解除等を行うための管状路用具の提供。
【解決手段】 椀形状の作動体Bの開口部B2と筒状の本体部AXの基端部が結合した接続体Aを合成ゴムにより一体成形し、柄Dの先端部を作動体Bの底部に結合させる。本体部AXは、先端側に位置するものほど外径が小さいほぼ一定半径の3つの略円筒状外周部、すなわち、作動体Bの開口部B2に結合した本体部AXの基端部よりも外径が小さい第1の略円筒状外周部1aと、それよりも外径が小さい第2の略円筒状外周部2aと、更に外径が小さい第3の略円筒状外周部3aを有する。本体部AXの外周部における基端部及び先端部に、外方に張り出して柔軟に変形し得る鍔状の張出部を有する。
【選択図】
図1