特許第6892977号(P6892977)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6892977
(24)【登録日】2021年6月2日
(45)【発行日】2021年6月23日
(54)【発明の名称】プレート式空気熱交換器および冷却装置
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/00 20060101AFI20210614BHJP
   F24F 1/0063 20190101ALI20210614BHJP
   F24F 7/08 20060101ALI20210614BHJP
   F24F 13/30 20060101ALI20210614BHJP
   F28F 21/08 20060101ALI20210614BHJP
   F28F 13/18 20060101ALI20210614BHJP
   F28D 5/02 20060101ALI20210614BHJP
   F28D 9/00 20060101ALI20210614BHJP
【FI】
   F28F3/00 301Z
   F24F1/0063
   F24F7/08 101B
   F24F13/30
   F28F21/08 A
   F28F13/18 B
   F28D5/02
   F28D9/00
【請求項の数】6
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2020-81624(P2020-81624)
(22)【出願日】2020年5月2日
【審査請求日】2020年5月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】308033113
【氏名又は名称】株式会社GF技研
(74)【代理人】
【識別番号】100107102
【弁理士】
【氏名又は名称】吉延 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100164242
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 直人
(74)【代理人】
【識別番号】100172498
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】梅津 健児
【審査官】 西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−173864(JP,U)
【文献】 特開2004−132277(JP,A)
【文献】 特開2004−125196(JP,A)
【文献】 特開昭56−082394(JP,A)
【文献】 特開2018−021711(JP,A)
【文献】 特開平10−238967(JP,A)
【文献】 実開昭59−158499(JP,U)
【文献】 特開昭53−111652(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 3/00 − 3/14
F24F 1/0063
F24F 7/08
F24F 13/30
F28D 5/02
F28D 9/00
F28F 13/18
F28F 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝熱板が隣合った状態で配置され、交互に設けられた第1空気通路と第2空気通路が該伝熱板によって仕切られ、第1方向から該第1空気通路に冷却する空気を通過させ、第2方向から該第2空気通路に冷却される空気を通過させ、該伝熱板における伝熱面を通して、冷却する空気と冷却される空気との間で熱交換させるプレート式空気熱交換器において、
隣合う前記伝熱板の縁部どうしは重ね合わせられたものであり、
前記伝熱板の重ね合わせられた縁部と縁部の隙間にシール剤が充填されており、
第1伝熱板と、
前記第1伝熱板に隣合った第2伝熱板と、
前記第2伝熱板に隣合った第3伝熱板とを備え、
前記第1伝熱板は、伝熱面の中心部分に前記第2伝熱板の伝熱面に向かって突出した第1突出部が設けられたものであり、
前記第2伝熱板は、伝熱面の中心部分に前記第3伝熱板の伝熱面に向かって突出した第2突出部が設けられたものであり、
前記第1突出部は、前記第2突出部と形状が異なるものであり、
前記第1伝熱板と前記第2伝熱板を重ね合わせたときに前記第1突出部の形状と前記第2突出部の形状が異なることにより該第1突出部と該第2突出部が嵌まり合うことなく該第1伝熱板と該第2伝熱板の間隔が該第1突出部の突出長に維持されることを特徴とするプレート式空気熱交換器。
【請求項2】
伝熱板が隣合った状態で配置され、交互に設けられた第1空気通路と第2空気通路が該伝熱板によって仕切られ、第1方向から該第1空気通路に冷却する空気を通過させ、第2方向から該第2空気通路に冷却される空気を通過させ、該伝熱板における伝熱面を通して、冷却する空気と冷却される空気との間で熱交換させるプレート式空気熱交換器において、
隣合う前記伝熱板の縁部どうしは重ね合わせられたものであり、
前記伝熱板の重ね合わせられた縁部と縁部の隙間にシール剤が充填されており、
前記第1空気通路と前記第2空気通路のいずれか一方の空気通路は、このプレート式空気熱交換器の後面の上部からこのプレート式空気熱交換器の下面に連通した空気通路であり、他方の空気通路は、このプレート式空気熱交換器の前面の下部からこのプレート式空気熱交換器の上面に連通した空気通路であり、
前記後面は、下の部分がカバー板で覆われたものであり、
前記前面は、上下方向中央部分から上の部分の少なくとも一部がカバー板で覆われたものであることを特徴とするプレート式空気熱交換器。
【請求項3】
伝熱板が隣合った状態で配置され、交互に設けられた第1空気通路と第2空気通路が該伝熱板によって仕切られ、第1方向から該第1空気通路に冷却する空気を通過させ、第2方向から該第2空気通路に冷却される空気を通過させ、該伝熱板における伝熱面を通して、冷却する空気と冷却される空気との間で熱交換させるプレート式空気熱交換器において、
隣合う前記伝熱板の縁部どうしは重ね合わせられたものであり、
前記伝熱板の重ね合わせられた縁部と縁部の隙間にシール剤が充填されており、
前記第1空気通路と前記第2空気通路のいずれか一方の空気通路は、このプレート式空気熱交換器の前面における上部と下部のいずれか一方から他方に連通した空気通路であり、他方の空気通路は、このプレート式空気熱交換器の上面と下面のいずれか一方の面から他方の面に連通した空気通路であり、
このプレート式空気熱交換器の後面は、遮蔽板で全面が覆われたものであることを特徴とするプレート式空気熱交換器。
【請求項4】
前記伝熱板は、0.08mm以上0.12mm以下の厚さのアルミ板であることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項記載のプレート式空気熱交換器。
【請求項5】
前記伝熱面は、左右方向に延在した溝部が上下方向に複数並べられたものであり、
前記溝部は、傾斜面によって窪んだものであることを特徴とする請求項1からのうちいずれか1項記載のプレート式空気熱交換器。
【請求項6】
請求項1から3のうちいずれか1項記載のプレート式空気熱交換器と、
前記第2空気通路を通過した空気が流れ込む下方に向けて延在した下向きダクト通風路と、
前記第1空気通路を通過した空気が流れ込み、冷却される空気が発生するボックスよりも高い位置まで延在した上向きダクト通風路とを備え、
前記第2空気通路は、入口が、前記ボックスの最上部に接続されたものであり、
前記プレート式空気熱交換器が、前記ボックスの上下方向の中間位置よりも高い位置に配置されたものであり、
前記第2空気通路から前記下向きダクト通風路にかけて送風機が設置されておらず、
前記第1空気通路から前記上向きダクト通風路にかけても送風機が設置されていないことを特徴とする冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝熱板が隣合った状態で配置され、交互に設けられた第1空気通路と第2空気通路が該伝熱板によって仕切られ、第1方向から該第1空気通路に冷却する空気を通過させ、第2方向から該第2空気通路に冷却される空気を通過させ、該伝熱板における伝熱面を通して、冷却する空気と冷却される空気との間で熱交換させるプレート式空気熱交換器、およびそのプレート式空気熱交換器を備えた冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
室外空気等の冷却する空気で室内空気等の冷却される空気を冷媒などを介在させず、伝熱板の裏と表で冷却又は加熱するためのプレート式空気熱交換器として、平面状の伝熱面を多数枚数重ねたその間に空気通路を構成させる方式のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この方式の構造は、空気通路を内部に持たせた袋状のものが多く、アルミ平板、鉄板、樹脂等を伝熱板として用い、その伝熱板の縁部を重ねあわせて袋状に閉じるために、プレス圧着、溶接、接着、ロー付け、溶着などの加工が施され、さらにシール性を向上するために縁部にはシール剤が外側から塗られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−90136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、多数枚数の伝熱板の縁部にシール剤を塗る作業は手間がかかりコスト高になる。また、縁部にシール剤を外側から塗っても、シール剤が垂れてしまったり、シール剤が剥がれてしまうと、シール性が低下してしまう。
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、低コストで縁部のシール性を高めたプレート式空気熱交換器、およびそのプレート式空気熱交換器を備えた冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を解決する本発明の第1のプレート式空気熱交換器は、
伝熱板が隣合った状態で配置され、交互に設けられた第1空気通路と第2空気通路が該伝熱板によって仕切られ、第1方向から該第1空気通路に冷却する空気を通過させ、第2方向から該第2空気通路に冷却される空気を通過させ、該伝熱板における伝熱面を通して、冷却する空気と冷却される空気との間で熱交換させるプレート式空気熱交換器において、
隣合う前記伝熱板の縁部どうしは重ね合わせられたものであり、
前記伝熱板の重ね合わせられた縁部と縁部の隙間にシール剤が充填されており、
第1伝熱板と、
前記第1伝熱板に隣合った第2伝熱板と、
前記第2伝熱板に隣合った第3伝熱板とを備え、
前記第1伝熱板は、伝熱面の中心部分に前記第2伝熱板の伝熱面に向かって突出した第1突出部が設けられたものであり、
前記第2伝熱板は、伝熱面の中心部分に前記第3伝熱板の伝熱面に向かって突出した第2突出部が設けられたものであり、
前記第1突出部は、前記第2突出部と形状が異なるものであり、
前記第1伝熱板と前記第2伝熱板を重ね合わせたときに前記第1突出部の形状と前記第2突出部の形状が異なることにより該第1突出部と該第2突出部が嵌まり合うことなく該第1伝熱板と該第2伝熱板の間隔が該第1突出部の突出長に維持されることを特徴とする。
上記目的を解決する本発明の第2のプレート式空気熱交換器は、
伝熱板が隣合った状態で配置され、交互に設けられた第1空気通路と第2空気通路が該伝熱板によって仕切られ、第1方向から該第1空気通路に冷却する空気を通過させ、第2方向から該第2空気通路に冷却される空気を通過させ、該伝熱板における伝熱面を通して、冷却する空気と冷却される空気との間で熱交換させるプレート式空気熱交換器において、
隣合う前記伝熱板の縁部どうしは重ね合わせられたものであり、
前記伝熱板の重ね合わせられた縁部と縁部の隙間にシール剤が充填されており、
前記第1空気通路と前記第2空気通路のいずれか一方の空気通路は、このプレート式空気熱交換器の後面の上部からこのプレート式空気熱交換器の下面に連通した空気通路であり、他方の空気通路は、このプレート式空気熱交換器の前面の下部からこのプレート式空気熱交換器の上面に連通した空気通路であり、
前記後面は、下の部分がカバー板で覆われたものであり、
前記前面は、上下方向中央部分から上の部分の少なくとも一部がカバー板で覆われたものであることを特徴とする
上記目的を解決する本発明の第3のプレート式空気熱交換器は、
伝熱板が隣合った状態で配置され、交互に設けられた第1空気通路と第2空気通路が該伝熱板によって仕切られ、第1方向から該第1空気通路に冷却する空気を通過させ、第2方向から該第2空気通路に冷却される空気を通過させ、該伝熱板における伝熱面を通して、冷却する空気と冷却される空気との間で熱交換させるプレート式空気熱交換器において、
隣合う前記伝熱板の縁部どうしは重ね合わせられたものであり、
前記伝熱板の重ね合わせられた縁部と縁部の隙間にシール剤が充填されており、
前記第1空気通路と前記第2空気通路のいずれか一方の空気通路は、このプレート式空気熱交換器の前面における上部と下部のいずれか一方から他方に連通した空気通路であり、他方の空気通路は、このプレート式空気熱交換器の上面と下面のいずれか一方の面から他方の面に連通した空気通路であり、
このプレート式空気熱交換器の後面は、遮蔽板で全面が覆われたものであることを特徴とする
上記目的を解決する本発明の冷却装置は、
上記第1のプレート式空気熱交換器から上記第3のプレート式空気熱交換器のうちいずれか1つのプレート式空気熱交換器と、
前記第2空気通路を通過した空気が流れ込む下方に向けて延在した下向きダクト通風路と、
前記第1空気通路を通過した空気が流れ込み、冷却される空気が発生するボックスよりも高い位置まで延在した上向きダクト通風路とを備え、
前記第2空気通路は、入口が、前記ボックスの最上部に接続されたものであり、
前記プレート式空気熱交換器が、前記ボックスの上下方向の中間位置よりも高い位置に配置されたものであり、
前記第2空気通路から前記下向きダクト通風路にかけて送風機が設置されておらず、
前記第1空気通路から前記上向きダクト通風路にかけても送風機が設置されていないことを特徴とする。
【0007】
上記目的を解決するプレート式空気熱交換器は、
伝熱板が隣合った状態で配置され、交互に設けられた第1空気通路と第2空気通路が該伝熱板によって仕切られ、第1方向から該第1空気通路に冷却する空気を通過させ、第2方向から該第2空気通路に冷却される空気を通過させ、該伝熱板における伝熱面を通して、冷却する空気と冷却される空気との間で熱交換させるプレート式空気熱交換器において、
隣合う前記伝熱板の縁部どうしは重ね合わせられたものであり、
前記伝熱板の重ね合わせられた縁部と縁部の隙間にシール剤が充填されていることを特徴とする。
なお、前記伝熱面は、前記縁部よりも内側の面である。
【0008】
また、隣合う前記伝熱板の縁部どうしは、ヘミング加工、プレス圧着、溶接、接着、ロー付け、溶着等によって重ね合わせられている。
【0009】
また、前記伝熱板の重ね合わせられた縁部と縁部の隙間が完全にシール剤によって充填されていることが好ましいが、空気溜りによって一部が充填されていないものがあってもよい。
【0010】
このプレート式空気熱交換器によれば、液状のシール剤を縁部と縁部の隙間につながる間隙から流し込むだけで、縁部と縁部の隙間といった内部がシール剤で塞がれシール性が高められる。
【0011】
また、
前記伝熱面は、矩形状のものであり、
前記縁部は、前記伝熱面の各縁から外側に向かって突出し、隣合う前記伝熱板の縁部における突出方向先端側部分を挟み込むようにヘミング形状に加工されたものと、隣合う該伝熱板の縁部がヘミング形状に加工されることで突出方向先端側部分が該縁部に挟み込まれたものとがあり、
ヘミング形状の折り曲げ線部と、挟み込まれた前記突出方向先端側部分の先端縁との間にシール剤が充填されていることを特徴としてもよい。
【0012】
すなわち、ヘミング形状の折り曲げ線部の内側にシール剤が充填されている。
【0013】
縁部にヘミング加工を施すことで低コストでシール性を高めることができる。しかしながら、ヘミング加工を施しても僅かな隙間は残っており、その隙間をシール剤で塞ぐことで、より一層シール性が高められる。
【0014】
ここで、
隣合う前記伝熱板における伝熱面どうしの間隔を所定間隔に維持するスペーサを備え、
前記スペーサは、隣合う前記伝熱板における伝熱面の間で複数の厚さ調整部材が積み重ねられたものである態様であってもよい。
【0015】
また、前記厚さ調整部材は、周面が曲面あるいは下方へ傾斜した傾斜面で構成されたものであってもよい。
【0016】
また、前記厚さ調整部材は、円柱状あるいは円盤状のものであってもよい。
【0017】
また、前記スペーサは、隣合う前記伝熱板のうちの一方の伝熱板の伝熱面における中心部と、他方の伝熱板の伝熱面における中心部の間に配置されたものであってもよい。
【0018】
また、
第1伝熱板と、
前記第1伝熱板に隣合った第2伝熱板と、
前記第2伝熱板に隣合った第3伝熱板とを備え、
前記第1伝熱板は、伝熱面の中心又はその近傍部分に前記第2伝熱板の伝熱面に向かって突出した第1突出部が設けられたものであり、
前記第2伝熱板は、伝熱面の中心又はその近傍部分に前記第3伝熱板の伝熱面に向かって突出した第2突出部が設けられたものであり、
前記第1突出部は、前記第2突出部と形状が異なるものであり、
前記第1伝熱板と前記第2伝熱板を重ね合わせたときに前記第1突出部の形状と前記第2突出部の形状が異なることにより該第1突出部と該第2突出部が嵌まり合うことなく該第1伝熱板と該第2伝熱板の間隔が該第1突出部の突出長に維持されることを特徴としてもよい。
【0019】
あるいは
第1伝熱板と、
前記第1伝熱板に隣合った第2伝熱板と、
前記第2伝熱板に隣合った第3伝熱板とを備え、
前記第1伝熱板は、伝熱面の中心又はその近傍部分に前記第2伝熱板の伝熱面に向かって突出した第1突出部が設けられたものであり、
前記第2伝熱板は、伝熱面の中心又はその近傍部分に前記第3伝熱板の伝熱面に向かって突出した第2突出部が設けられたものであり、
前記第1突出部は、中心位置が前記第2突出部の中心位置からずれたものであり、
前記第1伝熱板と前記第2伝熱板を重ね合わせたときに前記第1突出部の中心位置と前記第2突出部の中心位置がずれていることにより該第1突出部と該第2突出部が嵌まり合うことなく該第1伝熱板と該第2伝熱板の間隔が該第1突出部の突出長に維持されることを特徴としてもよい。
【0020】
また、
第1伝熱板と、
前記第1伝熱板に隣合った第2伝熱板と、
前記第2伝熱板に隣合った第3伝熱板とを備え、
前記第1伝熱板は、伝熱面の中心部分に前記第2伝熱板の伝熱面に向かって突出した1又は複数の第1突出部が設けられたものであり、
前記第2伝熱板は、伝熱面の中心部分に前記第3伝熱板の伝熱面に向かって突出した1又は複数の第2突出部が設けられたものであり、
前記1又は複数の第1突出部の中心位置と、前記1又は複数の第2突出部の中心位置が一致している態様であってもよい。
【0021】
前記第1突出部によって、前記第1伝熱板の伝熱面と前記第2伝熱板の伝熱面は所定間隔に保たれ、前記第1突出部はスペーサとして機能する。また、前記第2突出部によって、前記第2伝熱板の伝熱面と前記第3伝熱板の伝熱面も所定間隔に保たれ、前記第2突出部もスペーサとして機能する。しかも、互いの中心位置が一致していることで、バランスが保たれ、伝熱面が歪まずに平坦を保ちやすくなり、プレート式空気熱交換器全体も歪まなくなる。
【0022】
例えば、前記第1突出部が一つだけ設けられたものであり、前記第2突出部も一つだけ設けられたものである場合には、前記第1突出部の中心位置と前記第2突出部の中心位置が一致している。この場合、前記第1突出部と前記第2突出部が同じ形状で同じ向きであると前記第2突出部に前記第1突出部が嵌まり込んでしまい、スペーサとしての機能しなくなるため、前記第1突出部は、前記第2突出部に嵌まり込まない形状のものである。例えば、前記第1突出部は、前記第2突出部よりも大きな径の部分を有するものであってもよい。あるいは、前記第1突出部は、前記第2突出部とは向きが異なるものであってもよい。
【0023】
また、前記第1突出部が複数設けられたものであり、前記第2突出部も複数設けられたものである場合には、複数の前記第1突出部が設けられた全領域における中心位置と複数の前記第2突出部が設けられた全領域における中心位置が一致している。
【0024】
さらに、前記第1突出部と前記第2突出部のうちいずれか一方のみが複数設けられたものであり、他方は一つだけ設けられたものである場合には、複数の突出部が設けられた全領域における中心位置と一つの突出部の中心位置が一致している。この場合、複数の突出部のいずれの位置からも一つの突出部の位置はズレている。
【0025】
なお、隣合う前記伝熱板の伝熱面どうしの間隔を所定間隔に維持するスペーサ部を備え、
前記スペーサ部は、隣合う前記伝熱板のうちの一方の伝熱板の伝熱面における一部が他方の伝熱板の伝熱面に向かって突出したものであってもよい。
【0026】
より具体的には、
隣合う前記伝熱板のうちの一方の伝熱板の伝熱面から他方の伝熱板の伝熱面に向かって突出した第1スペーサ部と、
前記他方の伝熱板の伝熱面から前記第1スペーサ部の突出先端面に向かって突出した第2スペーサ部とを備え、
前記第1スペーサ部と前記第2スペーサ部によって、前記一方の伝熱板の伝熱面と前記他方の伝熱板の伝熱面との間隔を所定間隔に維持する態様であってもよい。
【0027】
あるいは、
隣合う前記伝熱板のうちの一方の伝熱板の伝熱面から他方の伝熱板の伝熱面に向かって突出し、該一方の伝熱板の伝熱面と該他方の伝熱板の伝熱面との間隔を所定間隔に維持する第3スペーサ部と、
前記他方の伝熱板の伝熱面における、前記第3スペーサ部の突出先端面の位置からずれた位置から前記一方の伝熱板とは反対側の反対側伝熱板の伝熱面に向かって突出し、該他方の伝熱板の伝熱面と該反対側伝熱板の伝熱面との間隔を所定間隔に維持する第4スペーサ部とを備えた態様であってもよい。
【0028】
ここで、前記第4スペーサ部は、前記第3スペーサ部の突出先端面の位置から、該突出先端面の径の3倍以内の位置に設けられたものであることが、伝熱面の局部的な歪みが抑えられ好ましい。なお、前記第3スペーサ部の突出先端面の形状は円形に限らず楕円形であってもよいし多角形であってもよく、該突出先端面の径とは、楕円形であれば長い方の径であり、多角形であれば対角線の長さになる。
【0029】
また、前記第1〜第4スペーサ部はいずれも、周面が曲面あるいは下方へ傾斜した傾斜面で形成されたものであってもよい。
【0030】
また、前記第1〜第4スペーサ部はいずれも、前記伝熱板の伝熱面における中心部に設けられたものであってもよい。
【0031】
さらに、
前記伝熱板は、0.08mm以上0.12mm以下の厚さのアルミ板であることを特徴としてもよい。
【0032】
前記伝熱板が0.08mmより薄いと成型加工時に伝熱板が切れてしまいやすくなる。一方、0.12mmより厚くすると材料費が高くなり、製品重量も重くなってしまう。
【0033】
また、
前記伝熱面は、左右方向に延在した溝部が上下方向に複数並べられたものであり、
前記溝部は、傾斜面によって窪んだものであることを特徴としてもよい。
【0034】
なお、前記傾斜面は、平面であってもよいし、曲面であってもよい。
【0035】
また、前記溝部は、断面略円弧状の面を有するものであってもよい。
【0036】
また、前記伝熱面は、前記溝部と該溝部に隣合う溝部との間に平坦部を有するものであってもよい。
【0037】
また、前記伝熱面は、前記溝部と該溝部に隣合う溝部との間に突部を有し、該溝部と該突部が上下方向に連続した波状部が形成されたものであってもよい。
【0038】
また、
前記伝熱板における、前記第1空気通路側の伝熱面に向けて散水する散水手段を備え、
前記伝熱板における、前記第1空気通路側の伝熱面は、親水性塗膜で被覆されたものであることを特徴としてもよい。
【0039】
なお、前記第1空気通路側の伝熱面は、妨錆効果および潤滑性効果も有する塗膜で被覆されたものであることが好ましい。
【0040】
また、
前記伝熱板における、前記第1空気通路側の伝熱面に向けて散水する散水手段を備えたものであることを特徴としてもよい。
【0041】
さらには、
前記散水手段は、冷却用の水を散水する場合と、加熱用の温水を散水する場合とがあることを特徴としてもよい。
【0042】
前記散水手段が冷却用の水を散水する場合には、前記伝熱板における、前記第1空気通路側の伝熱面で該冷却用の水が蒸発し、該伝熱板における、前記第2空気通路側の伝熱面が冷却される。一方、前記散水手段が加熱用の温水を散水する場合には、前記伝熱板における、前記第2空気通路側の伝熱面の温度が上昇し、冷却される空気が加熱され暖房用の空気として利用することができるようになる。
【0043】
また、
前記第1空気通路と前記第2空気通路のいずれか一方の空気通路は、このプレート式空気熱交換器の後面の上部からこのプレート式空気熱交換器の下面に連通した空気通路であり、他方の空気通路は、このプレート式空気熱交換器の前面の下部からこのプレート式空気熱交換器の上面に連通した空気通路であり、
前記後面は、下の部分がカバー板で覆われたものであり、
前記前面は、上下方向中央部分から上の部分の少なくとも一部がカバー板で覆われたものであることを特徴としてもよい。
【0044】
このプレート式空気熱交換器では、前記第1空気通路を通過する空気と前記第2空気通路を通過する空気が対向流になっている。
【0045】
なお、前記前面は、上の部分が全てカバー板で覆われたものであってもよいし、散水される部分を残して上下方向中央部分から上の部分の一部がカバー板で覆われたものであってもよい。
【0046】
また、
前記第1空気通路と前記第2空気通路のいずれか一方の空気通路は、このプレート式空気熱交換器の前面と後面のいずれか一方の面から他方の面に連通した空気通路であり、他方の空気通路は、このプレート式空気熱交換器の上面と下面のいずれか一方の面から他方の面に連通した空気通路であることを特徴としてもよい。
【0047】
このプレート式空気熱交換器では、前記第1空気通路を通過する空気と前記第2空気通路を通過する空気が交差流になっている。
【0048】
また、
前記第1空気通路と前記第2空気通路のいずれか一方の空気通路は、このプレート式空気熱交換器の前面における上部と下部のいずれか一方から他方に連通した空気通路であり、他方の空気通路は、このプレート式空気熱交換器の上面と下面のいずれか一方の面から他方の面に連通した空気通路であり、
このプレート式空気熱交換器の後面は、遮蔽板で全面が覆われたものであることを特徴としてもよい。
【0049】
このプレート式空気熱交換器では、前記第1空気通路を通過する空気と前記第2空気通路を通過する空気が対向流になっている。
【0050】
上記目的を解決する第1の冷却装置は、
上記プレート式空気熱交換器と、
前記第2空気通路を通過した空気が流れ込む下方に向けて延在した下向きダクト通風路と、
前記第1空気通路を通過した空気が流れ込む上方に向けて延在した上向きダクト通風路とを備え、
前記第2空気通路から前記下向きダクト通風路にかけて送風機が設置されておらず、
前記第1空気通路から前記上向きダクト通風路にかけても送風機が設置されていないことを特徴とする。
【0051】
この冷却装置では、前記第2空気通路を通過した空気は、逆煙突効果で前記下向きダクト通風路内を下降し、前記第1空気通路を通過した空気は、煙突効果で前記上向きダクト通風路内を上昇する。
【0052】
また、この冷却装置は、前記第2空気通路の出口が下方に設けられるとともに前記第1空気通路の出口が上方に設けられる場合に好適である。
【0053】
上記目的を解決する第2の冷却装置は、
上記プレート式空気熱交換器と、
前記第2空気通路を通過した空気が流れ込む下方に向けて延在した下向きダクト通風路と、
前記第1空気通路を通過した空気が流れ込み、冷却される空気が発生するボックスよりも高い位置まで延在した上向きダクト通風路とを備え、
前記第2空気通路は、入口が、前記ボックスの最上部に接続されたものであり、
前記プレート式空気熱交換器が、前記ボックスの上下方向の中間位置よりも高い位置に配置されることを特徴とする。
【0054】
なお、前記第1空気通路は、入口が、前記ボックスとは異なる箇所に開口したものであり、例えば、外方に向けて開口したものであってもよい。すなわち、前記第1空気通路は、外気が通過する空気通路であってもよい。
【0055】
上記目的を解決する第3の冷却装置は、
上記プレート式空気熱交換器と、
冷却される空気が発生するボックスの最上部に入口が接続され前記第2空気通路の入口に出口が接続した取込通風路と、
前記第2空気通路の出口からつながった送風路と、
前記送風路に設けられた送風機とを備え、
前記プレート式空気熱交換器が、前記ボックスの上下方向の中間位置よりも低い位置に配置され、前記送風路が該ボックスの下方側に接続されることを特徴とする。
【0056】
なお、前記第1空気通路は、入口が、前記ボックスとは異なる箇所に開口したものであり、例えば、外方に向けて開口したものであってもよい。すなわち、前記第1空気通路は、外気が通過する空気通路であってもよい。
【発明の効果】
【0057】
本発明によれば、低コストで縁部のシール性を高めたプレート式空気熱交換器およびそのプレート式空気熱交換器を備えた冷却装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1】第1実施形態のプレート式空気熱交換器における伝熱板の構造を説明するための図である。
図2】縁部のシールについて説明するための図である。
図3】伝熱板の変形例を示す図である。
図4】スペーサの第1変形例を示す図である。
図5】スペーサの第2変形例を示す図である。
図6】第2実施形態のプレート式空気熱交換器における伝熱板の構造を説明するための図である。
図7】(a)は図6に示す伝熱板によって構成された第2実施形態のプレート式空気熱交換器1を示す斜視図であり、(b)は角柱部材の配置構造を模式的に示した図である。
図8】冷却装置と電気回路収納庫とを示す図である。
図9】プレート式空気熱交換器の内部構造を示す図である。
図10】積層されるアルミプレートの外周部の接合方法を示す図である。
図11】プレート式空気熱交換器を電気回路収納庫の冷却装置に組み込んだ例を示す図である。
図12】自然通風冷却装置を用いた例を示す図である。
図13】水蒸発冷却型のプレート式空気熱交換器の外観構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0060】
図1は、第1実施形態のプレート式空気熱交換器における伝熱板の構造を説明するための図である。
【0061】
本実施形態のプレート式空気熱交換器は、伝熱板が隣合った状態で配置されている。図1(a)には、一枚の伝熱板2を示す。図1(a)に示す伝熱板2は、加工前の状態であり、平板状である。伝熱板2としては、0.08mm以上0.12mm以下の厚さのアルミ板が用いられる。図1(a)に示す伝熱板2は、0.11mmの厚さのアルミ板である。この伝熱板2は、矩形状の伝熱面201と、その伝熱面201の各縁から外側に向かって突出した縁部を有する。以下、長辺の対向する縁部を第1縁部211、第2縁部212と称し、短辺の対向する縁部を第3縁部213、第4縁部214と称する。第1縁部211と第2縁部212には、1点鎖線で折り曲げ線が示され、第3縁部213と第4縁部214には、2点鎖線で折り曲げ線が示されている。以下の説明では、縁部211〜214における、折り曲げ線よりも外側の部分を、突出方向先端側部分211t,212t,213t,214tと称し、折り曲げ線よりも内側の部分を、伝熱面側部分211i,212i,213i,214iと称する。
【0062】
図1(b)は、第1実施形態のプレート式空気熱交換器の一部を示す斜視図である。この図1(b)では折り曲げ加工された縁部211〜214によって僅かしか見えないが、開口部分は灰色に塗りつぶしている。
【0063】
図1(b)には、4枚の伝熱板が示されており、一番手前の伝熱板2(伝熱面201が見えている伝熱板)を第1伝熱板2と称し、その隣の伝熱板を第2伝熱板2と称する。第1伝熱板2と第2伝熱板2によって第1空気通路101が形成されており、この第1伝熱板2と第2伝熱板2の組を1組目とする。1組目の第2伝熱板2に隣合うように2組目の第1伝熱板2が設けられており、1組目の第2伝熱板2と2組目の第1伝熱板2によって第2空気通路102が形成されている。さらに、2組目の第1伝熱板2に隣合うように2組目の第2伝熱板2が設けられており、2組目の第1伝熱板2と2組目の第2伝熱板2によって第1空気通路101が形成されている。
【0064】
図1(b)に一部を示すプレート式空気熱交換器では、第1空気通路101は上方と下方が開口した通路であり、この第1空気通路101には、冷却する空気(例えば、外気)が実線の太い矢印が示すように上方から下方に向かって通過する。すなわち、第1空気通路101は、長辺方向の空気通路になる。一方、第2空気通路102は左斜め奥側と右斜め手前側が開口した通路であり、この第2空気通路102には、冷却される空気(例えば、庫内の空気)が点線の太い矢印が示すように左斜め奥側から右斜め手前側に向かって通過する。すなわち、第2空気通路102は、短辺方向の空気通路になる。第1空気通路101と第2空気通路102は、伝熱板2によって仕切られ、交互に設けられている。プレート式空気熱交換器では、伝熱板2における伝熱面201を通して、冷却する空気と冷却される空気との間で熱交換が行われる。
【0065】
なお、冷却する空気を、第1空気通路101の下方から上方に向けて通過させてもよい。また、冷却される空気を、第2空気通路102の右斜め手前側から左斜め奥側に向けて通過させてもよい。さらには、第1空気通路101を短辺方向の空気通路にし、第2空気通路102を長辺方向の空気通路にしてもよい。
【0066】
以上説明した図1(b)に一部を示すプレート式空気熱交換器では、第1空気通路101と第2空気通路102のいずれか一方の空気通路は、このプレート式空気熱交換器の前面(右斜め手前側の面)と後面(左斜め奥側の面)のいずれか一方の面から他方の面に連通した空気通路であり、他方の空気通路は、このプレート式空気熱交換器の上面と下面のいずれか一方の面から他方の面に連通した空気通路であり、第1空気通路101を通過する空気と第2空気通路102を通過する空気が交差流になっている。
【0067】
続いて、各縁部211〜214の折り曲げ加工について説明する。以下の図1(b)を用いた説明では、1組目の第1伝熱板2における各縁部には末尾に_11を付け、1組目の第2伝熱板2における各縁部には末尾に_12を付け、2組目の第1伝熱板2における各縁部には末尾に_21を付け、2組目の第2伝熱板2における各縁部には末尾に_22を付けてそれぞれを区別する。
【0068】
図1(b)に示す1組目の第1伝熱板2では、第1縁部211_11(不図示)と第2縁部212_11が、伝熱面201との境界線で山折りにされ、図1(a)に1点鎖線で示す折り曲げ線で谷折りされている。第1縁部211_11(不図示)および第2縁部212_11それぞれの、谷折りされた突出方向先端側部分211t,212t(図1(a)参照)は、伝熱面201と平行な状態になる。1組目の第2伝熱板2は、第1縁部211_12が、その突出方向先端側部分211tを挟み込むように1点鎖線で示す折り曲げ線で折り曲げられヘミング形状に加工され、第2縁部212_12が、その突出方向先端側部分212tを挟み込むように1点鎖線で示す折り曲げ線で折り曲げられヘミング形状に加工されている。一方、1組目の第1伝熱板2における、第3縁部213_11は、ここでは不図示の伝熱板の第3縁部における突出方向先端側部分を挟み込むように折り曲げ線で折り曲げられヘミング形状に加工され、第4縁部214_11も、ここでは不図示の伝熱板の第4縁部における突出方向先端側部分を挟み込むように折り曲げ線で折り曲げられヘミング形状に加工されている。こうして、1組目の第1伝熱板2および第2伝熱板2は、第1縁部211どうしが重ね合わされるとともに第2縁部212どうしも重ね合わされ、長辺方向の両端それぞれが開口した第1空気通路101が形成されている。
【0069】
また、1組目の第2伝熱板2では、第3縁部213_12と第4縁部214_12(不図示)が、伝熱面201との境界線で山折りにされ、図1(a)に2点鎖線で示す折り曲げ線で谷折りされている。第3縁部213_12および第4縁部214_12(不図示)それぞれの、谷折りされた突出方向先端側部分213t,214t(図1(a)参照)は、伝熱面201と平行な状態になる。2組目の第1伝熱板2は、第3縁部213_21が、その突出方向先端側部分213tを挟み込むように2点鎖線で示す折り曲げ線で折り曲げられヘミング形状に加工され、不図示の第4縁部214_21が、その突出方向先端側部分214tを挟み込むように2点鎖線で示す折り曲げ線で折り曲げられヘミング形状に加工されている。こうして、1組目の第2伝熱板2および2組目の第1伝熱板2は、第3縁部213どうしが重ね合わされるとともに第4縁部214どうしも重ね合わされ、短辺方向の両端それぞれが開口した第2空気通路102が形成されている。
【0070】
図2は、縁部のシールについて説明するための図である。
【0071】
図2(a)には、2組目の第1伝熱板2における第4縁部214が、1組目の第2伝熱板2における第4縁部214の突出方向先端側部分214tを挟み込むようにヘミング形状に加工された様子が誇張して示されている。本来であれば、突出方向先端側部分214tどうしの隙間S4や、2組目の第1伝熱板2における第4縁部214の伝熱面側部分214iと1組目の第2伝熱板2における第4縁部214の突出方向先端側部分214tとの隙間S2は僅かである。この図2(a)には、図1(a)に2点鎖線で示した折り曲げ線で折り曲げられた折り曲げ線部214hが示されている。また、短辺方向に開口した第2空気通路102の開口1021も示されている。縁部のシールでは、この開口1021から、液状のシール剤を注ぎ込む。左端の図における灰色の矢印は、液状のシール剤を注ぎ込むことを表した矢印である。すなわち、図2の紙面の手前側から液状のシール剤を注ぎ込む。液状のシール剤としては、水性ラッカー、硝化綿ラッカー、液状エポキシ樹脂糖があげられ、薄め液の濃度で粘度を調整することができる。このシール剤は時間が経つと硬化するものである。図2では、シール剤を灰色で示す。
【0072】
図2(a)の中央に示す図のように、シール剤は、毛細管現象によって、2組目の第1伝熱板2における第4縁部214と伝熱面201の境目と、1組目の第2伝熱板2における第4縁部214の谷折りの折り曲げ線(図1(a)では2点鎖線で表した折り曲げ線)との間の間隙S1から、隙間S2に入り込み、折り曲げ線部214hと、挟み込まれた突出方向先端側部分214tの先端縁との間の隙間S3を埋める。さらに、シール剤は、隙間S4を上昇し、図2(a)の右端に示す図のように、隙間S4にもシール剤が充填される。シール剤は、図2(a)の右端に示す図のように、第2空気通路102の底部に貯まるほど供給され、各隙間S2〜S4にシール剤が行き渡るまで、図2(a)の右端に示す図の状態を維持する。そして、所定時間(例えば、30分)が経過すると、第2空気通路102の底部に貯まった余分なシール剤を開口1021から捨て、シール剤が完全に硬化するまで待つ。
【0073】
ここでは、第4縁部214のシールを例にあげて説明したが、第1縁部211〜第3縁部213のシールについても同様である。
【0074】
本実施形態のプレート式空気熱交換器1によれば、液状のシール剤を間隙S1から縁部と縁部の隙間S2〜S4に流し込むだけで、ヘミング加工により形成された内部をシール剤で容易に塞ぐことができ、シール性が高められる。
【0075】
なお、シール剤の供給方法は、以上説明した注ぎ込み方式の他、シール剤が貯留された槽に縁部を漬け込む方式であってもよい。ただし、漬け込む方式であると、シール剤を拭き取る手間が生じてしまう。
【0076】
図2(b)は、縁部(ここでは第4縁部214)の隙間S2〜S4がシール剤によって完全に充填された様子を示す図である。図2(b)に示す第4縁部214では、隙間S4を上昇してきてあふれ出たシール剤がきれいに硬化している。この図2(b)に示すように、隣合う伝熱板2の縁部214どうしは重ね合わせられたものであり、縁部214と縁部214の隙間S2〜S4にシール剤が充填されている。
【0077】
図2(c)は、隙間S2〜S4がシール剤によって完全に充填されているが、間隙S1からシール剤がはみ出し、隙間S4を上昇してきてあふれ出たシール剤が盛り上がった状態で硬化している。一方、図2(d)は、シール剤が硬化する際に収縮する等して、間隙S1には窪みが生じ、隙間S4を上昇してきてあふれ出たシール剤はわずかしか残っていない。しかしながら、隙間S4を上昇してきてあふれ出たシール剤が少しでも残っていれば、隙間S2〜隙間S4にシール剤が充填されている可能性が高いことを確認することができる。隙間S2〜隙間S4のうち、特に隙間S3にシール剤が充填されていることが、空気漏れを防ぐ意味では重要になる。そのため、隙間S3が完全にシール剤によって充填されていることが好ましいが、隙間S3では空気溜りが生じることがあり、空気溜りによって隙間S3の一部がシール剤によって充填されていない場合があってもよい。
【0078】
図2(d)には、折り曲げ線部214hと、挟み込まれた突出方向先端側部分214tの先端縁との間隔W1(隙間S3の長さ)の方が、2組目の第1伝熱板2における第4縁部214の先端縁と、1組目の第2伝熱板2における第4縁部214の伝熱面側部分214iとの間隔W2よりも短いことが示されている。間隔W1(隙間S3の長さ)を短くしておくと空気溜りが発生しにくくなる。また、間隔W2を長くしておくと、隙間S4を上昇してきてあふれ出たシール剤が残っている確率が高くなる。このため、間隔W1<間隔W2の関係は重要になる。
【0079】
なお、隣合う伝熱板2の縁部214どうしは、プレス圧着、溶接、接着、ロー付け、溶着等によって重ね合わせられたものであってもよい。
【0080】
図2(b)〜同図(d)には、スペーサ16も図示されている。図2に示すスペーサ16は、発泡樹脂製の円盤状のものである。このスペーサ16は、直径が10mm程度で伝熱面201の所望の間隔に合わせて高さは決まる。通常、伝熱面201の間隔は3mm〜5mm程度である。伝熱面201の間隔は、各縁部211〜214の伝熱面側部分211i〜214iによって決まるが、スペーサ16を設けておくことで、伝熱板2の撓み変形を防止することができる。特に、伝熱板2の厚さが薄くなるほど、また、伝熱板2が大きくなるほど、伝熱面201における中心部分では撓み変形を無視することができなくなり、スペーサ16が必要になる。図2(b)〜同図(d)には、1組目の第2伝熱板2と2組目の第1伝熱板2の一部が示されており、第4縁部214周辺と、長辺方向の中間部分との間は省略されている。スペーサ16は、伝熱板における長辺方向の中間部分かつ短辺方向の中間部分に配置されている。すなわち、スペーサ16は、1組目の第2伝熱板2の伝熱面201における中心部と2組目の第1伝熱板2の伝熱面201における中心部の間に配置されている。スペーサ16は、対向する2つの伝熱面201のうちいずれか一方の伝熱面に貼り付けられている。
【0081】
なお、スペーサ16を複数枚の厚さ調整部材を重ね合わせて構成し、伝熱面201の間隔の変更に合わせて、厚さ調整部材の枚数を変えることで対応するようにしてもよい。
【0082】
図3は、伝熱板の変形例を示す図である。
【0083】
以下の説明では、これまで説明した構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまでに用いた符号と同じ符号を付して説明する。
【0084】
図3(a)に示す伝熱板2も、0.11mmの厚さのアルミ板であり、伝熱面201の中央部には厚さ調整部材160を2枚重ね合わせたスペーサ16が貼り付けられている。なお、伝熱面201の上下方向の長さが長い場合等には、1点鎖線で示すように、スペーサ16を伝熱面201の上部と下部(長辺方向の両側部分)に追加してもよい。
【0085】
また、図3(a)に示す伝熱面201には、左右方向に延在した溝部24が上下方向に間隔をあけて複数設けられている。図3(a)に示す伝熱板2の下には、1点鎖線で囲んだ部分が拡大して示されている。溝部24は平面視で左右方向の両端240が円弧状になっている。すなわち、溝部24は、平面視超細長い楕円形状のものであるといえる。隣合う溝部24どうしの間は平坦部25になっている。溝部24の幅W3は24mmであり、平坦部25の幅W4、すなわち隣合う溝部24どうしの間隔も、溝部24の幅W3と同じ24mmである。
【0086】
冷却する空気が通過する第1空気通路101側の伝熱面201に向けて散水を行い、その伝熱面201で水を蒸発させて第2空気通路102側の伝熱面を冷却する場合がある。このような散水を行う場合には、伝熱面201の上方から水を供給する。供給された水は伝熱面201を伝って下方へ向かって流れ落ちていく。この際、供給された水が水平方向に拡がり伝熱面201全体が薄い水膜で覆われることが好ましい。水膜の表面で水は蒸発し、伝熱面201の全体が冷やされ、引いては、反対側の第2空気通路102を通過する冷却される空気が、効率よく冷却される。溝部24は水平方向に延在しており、隣合う溝部24どうしの間の平坦部25も水平方向に延びる面であり、平坦部25の幅W4が広ければ広いほど、平坦部25で水が水平方向に拡がりやすくなる。また、第1空気通路101側の伝熱面201は、親水性被膜で被覆されている。すなわち、第1空気通路101側の伝熱面201は、二酸化チタンパルチタン薬剤あるいは水ガラス珪酸ソーダ等を混ぜた塗液が塗布され、親水性被膜で被覆されている。親水性被膜で被覆された伝熱面201では、水が水平方向により拡がりやすくなる。さらに、伝熱面201は、アルミの錆劣化を防ぐための防錆材も加えた塗液で塗布されることが好ましい。
【0087】
なお、平坦部25の幅W4>溝部24の幅W3とすることで、水が水平方向にさらに拡がりやすくなる。
【0088】
図3(b)は、図3(a)に示す伝熱面201を上下方向に断面したときの様子を部分的に拡大して示す部分拡大断面図である。
【0089】
この図3(b)に示すように溝部24は、傾斜面241によって窪んだものである。すなわち、溝部24は、平坦部25に対して90度折れ曲がった垂直面によって窪んだものではなく、平坦部25に対して90度未満の角度でなめらかに傾斜した曲面によって窪んだものである。溝部24はプレス成型によって形成される。溝部24が垂直面によって窪んだものであると、プレス成型において、垂直面における伸び率が、傾斜面241における伸び率よりも高くなる。板厚が0.11mmと薄いと、垂直面で割れが生じやすくなるが、傾斜面241であれば伸び率は抑えられ、割れが生じにくくなる。なお、伝熱面201は、プレス成型時に表面の滑り性を向上させて型とのなじみを良くするために表面円滑材も加えた塗液で塗布されることが好ましい。
【0090】
図3(c)は、溝部24の第1変形例を示す部分拡大断面図である。図3(c)に示す溝部24は傾斜面241が曲面でなく平面である。傾斜面241は平面であってもプレス成型による伸び率は抑えられ、割れが生じにくくなる。ただし、図3(c)に示す溝部24では面の角度が変化する点242に応力が集中しやすい。
【0091】
図3(d)は、溝部24の第2変形例を示す部分拡大断面図である。図3(d)に示す隣合う溝部24どうしの間は、平坦ではなく突出した突部26になっており、図3(d)に示す伝熱面201には、溝部24と突部26が上下方向に連続した波状部が形成されている。この波状部が、プレス成型時の割れには最も強い。また、突部26の上半分では、平坦部25よりも水が水平方向に拡がりやすい。
【0092】
図4は、スペーサの変形例を示す図である。
【0093】
図4(a)に示す伝熱板2でも、伝熱面201に左右方向に延在した溝部24が上下方向に間隔をあけて複数設けられている。しかしながら、図4(a)に示す伝熱板2では、伝熱面201の中央部分に溝部24は設けられておらず、代わりに2つの第1スペーサ部161が設けられている。第1スペーサ部161は、プレス成型によって形成されたものであり、伝熱面201(伝熱板2)の一部である。
【0094】
図4(b−1)は、同図(a)のA−A’断面を示す図である。この図4(b−1)には、同図(a)に示す伝熱板2の他、3枚の伝熱板が示されている。図4(a)に示す伝熱板2は、上から2枚目の伝熱板であり、以下、一方の伝熱板2と称する。この一方の伝熱板2の上に設けられた伝熱板を他方の伝熱板2’と称する。
【0095】
図4(b−2)は、図4(a)に示す伝熱板2の縁部をヘミング加工することによって形成されたプレート式空気熱交換器の一部を示す図である。
【0096】
図4(b−2)に示す他方の伝熱板2’の第2縁部212’は、伝熱面201’との境目を山折りにし、折り曲げ線(図1(a)に示す1点鎖線の折り曲げ線参照)で谷折りにされている。第2縁部212’の谷折りされた突出方向先端側部分212t’は、伝熱面201’と平行な状態になっている。図4(b−2)に示す一方の伝熱板2の第2縁部212は、伝熱面との境目を山折りにし、さらに谷折りにした上で、この突出方向先端側部分212t’を挟み込むように折り曲げられヘミング形状に加工されている。図4(b−2)では不図示の第1縁部についても同様にヘミング加工が施されている。一方、不図示の第3縁部及び第4縁部は開口した状態である。こうして、一方の伝熱板2と他方の伝熱板2’の組によって第1空気通路101が形成されている。
【0097】
一方の伝熱板2と他方の伝熱板2’の組の下には、同じように一方の伝熱板2と他方の伝熱板2’の組が設けられている。上の組の一方の伝熱板2の伝熱面と下の組の他方の伝熱板2’の伝熱面は間隔を開けずに接触した状態で配置されている。図4(b−2)に示す下の組の他方の伝熱板2’の第4縁部214’は、伝熱面との境目を山折りにし、折り曲げ線(図1(a)に示す2点鎖線の折り曲げ線参照)で谷折りにされている。第4縁部214’の谷折りされた突出方向先端側部分は、伝熱面と平行な状態になっている。図4(b−2)では、この突出方向先端側部分は紙面に対して垂直な方向に突出した状態になっている。図4(b−2)に示す一方の伝熱板2の第4縁部214は、伝熱面201との境目を山折りにし、さらに谷折りにした上で、この突出方向先端側部分を挟み込むように折り曲げられヘミング形状に加工されている。図4(b−2)では不図示の第3縁部についても同様にヘミング加工が施されている。一方、第2縁部及び第4縁部は開口した状態である。こうして、下の組では、一方の伝熱板2と他方の伝熱板2’によって第2空気通102が形成されている。
【0098】
上の組の一方の伝熱板2の伝熱面201には、同じ組(上の組)の他方の伝熱板2’の伝熱面201’に向かって突出した突出部である第1スペーサ部161が形成されている。2つの第1スペーサ部161の間には窪み部168が形成されている。また、上の組の他方の伝熱板2’の伝熱面201’には、第1スペーサ部161の突出先端面に向かって突出した突出部である第2スペーサ部162が形成されている。第1スペーサ部161の突出長は2.1mmであり、第2スペーサ部162の突出長も2.1mmである。第1スペーサ部161の突出先端面と第2スペーサ部162の突出先端面は接触しており、これら第1スペーサ部161と第2スペーサ部162によって、一方の伝熱板2の伝熱面201の中心部分と他方の伝熱板2’の伝熱面201’の中心部分における間隔は所定間隔(ここでは4.2mm)に維持されている。
【0099】
図4(b−1)の1点鎖線が示すように、2つの第1スペーサ部161の中間位置(窪み部168の中心位置)は、2つの第2スペーサ部162の中間位置と一致している。このため、対向する2つの伝熱面201の中心部においてバランスがとれ、伝熱板201に歪みや反りや曲がりが発生することが抑えられる。
【0100】
以上説明したことをもう一度まとめると、図4(a)におけるA−A’断面した箇所に示される三つの円(161、168)は凸凹凸を表すが、伝熱板によっては凹凸凹になる場合もある。両側の凸部が突き当てられて両伝熱面間の間隔が維持され、次の伝熱面間は中央の凸部が突き当てられて、スペースが維持され、これを繰り返す。それにより常に伝熱板同志は、三つの円のセンター部でバランスされて押されるため、伝熱板が歪まずに平坦を保ちやすくなり、プレート式空気熱交換器全体も歪まなくなる。且つ、三つの円の距離を短くすることで、局部的にも歪まなくなる。
【0101】
図4(c)は、スペーサ部の第1変形例を示す断面図である。
【0102】
この図4(c)には3枚の伝熱板が示されている。ここでの説明では、一番上の伝熱板を一方の伝熱板2と称し、その下の伝熱板を他方の伝熱板2’と称する。また、他方の伝熱板2’を基準にして、一方の伝熱板2とは反対側に位置する伝熱板を反対側伝熱板2’’と称する。図4(c)に示す一方の伝熱板2の伝熱面201と、他方の伝熱板2’の伝熱面201’の間隔は、いずれか一方の伝熱板における各縁部211〜214の伝熱面側部分211i〜214iよって決まるが、一方の伝熱板2の伝熱面201には、他方の伝熱板の伝熱面に向かって突出した突出部である第3スペーサ部163が2つ形成されている。また、他方の伝熱板2’の伝熱面201’には、第3スペーサ部163の突出先端面の位置からずれた位置から反対側伝熱板2’’の伝熱面201’’に向かって突出した突出部である第4スペーサ部164が1つ形成されている。なお、反対側伝熱板2’’の伝熱面201’’には、一方の伝熱板2の伝熱面201と同じく、2つの第3スペーサ部163が形成されている。
【0103】
第3スペーサ部163の突出先端面の径をrとし、第3スペーサ部163の抜け勾配分の長さをeとした場合、第4スペーサ部164は、第3スペーサ部163の突出先端面の中心位置から「2r+e」分離れた位置を中心に突出したものである。このように第3スペーサ部163と第4スペーサ部164をずらすのは、両スペーサ部163,164の位置が一致していると、第3スペーサ部163が第4スペーサ部164の中に嵌まり込んでしまい、スペーサ機能を果たさなくなってしまうからであり、両スペーサ部163,164のズレは、3r以内であることが好ましい。3rを超えて離れてしまうと、伝熱板2,2’どうしのガタつきが生じたり、歪みが生じる場合がある。
【0104】
第3スペーサ部163の突出長は4.2mmであり、第4スペーサ部164の突出長も4.2mmである。第3スペーサ部163にしても第4スペーサ部164にしても、図4(b)に示す第1スペーサ部161や第2スペーサ部162の突出長の倍の突出長であるため、絞り加工によって形成される。一方、第3スペーサ部163と第4スペーサ部164の方が、第1スペーサ部161と第2スペーサ部162よりもスペーサの数は少なくてすみ、空気通路を通過する空気の抵抗が減るといった利点がある。第3スペーサ部163によって、一方の伝熱板2の伝熱面201の中心部分と他方の伝熱板2’の伝熱面201’の中心部分における間隔は所定間隔(ここでは4.2mm)に維持され、第1空気通路101が確保される。また、第4スペーサ部164によって、他方の伝熱板2’の伝熱面201’の中心部分と反対側伝熱板2’’の伝熱面201’’の中心部分における間隔も所定間隔(ここでは4.2mm)に維持され、第2空気通路102が確保される。
【0105】
図4(c)の1点鎖線が示すように、2つの第3スペーサ部163の中間位置は、1つだけ設けられた第4スペーサ部164の中心位置に一致している。このため、この第1変形例でも、対向する2つの伝熱面2011,201’の中心部においてバランスがとれ、伝熱板201に歪みや反りや曲がりが発生することが抑えられる。
【0106】
以上説明した図4(c)に示す第1変形例では、伝熱板2どうしをr/2ずつズラして重ねることを繰り返しているため、第3スペーサ部163単体の中心位置と第4スペーサ部164単体の中心位置はズレているので、お互いに嵌まり込むことがなく、スペーサとしての役目を果たしている。また、伝熱面201,201’の形状は、1点鎖線で示した中心位置を通る線を基準に左右対称(線対称)になっており、中心位置に伝熱板2の積層圧力が正確にかかるようになる。
【0107】
なお、第1スペーサ部161、第2スペーサ部162、第3スペーサ部163、および第4スペーサ部164は、突出先端面が円形の突部であったが、突出先端面の形状は円形に限らず楕円形であってもよいし多角形であってもよい。
【0108】
図5は、スペーサの第2変形例を示す図である。
【0109】
図5の上方には、伝熱面201にプレス成型で設けられた第5スペーサ部165の突出先端面1651の平面視形状が実線で示されるとともに、その伝熱面201の下に位置する伝熱面にプレス成型で設けられた第6スペーサ部166の突出先端面1661の平面視形状が点線で示されている。第5スペーサ部165の突出先端面1651の平面視形状は円形であるのに対して、第6スペーサ部166の突出先端面1661の平面視形状は円を左右方向に長く伸ばした形状である。第5スペーサ部165の突出先端面1651の直径よりも、第6スペーサ部166の突出先端面1661の左右方向の長さの方が長い。
【0110】
図5の下方には、上方に示す伝熱面201のB−B’断面図が示されている。この下方には、4つの伝熱面201が示されている。すなわち、4枚の伝熱板を重ねた状態である。第5スペーサ部165は、第6スペーサ部166が設けられた2つ目の伝熱面201に向けて突出した突出部であり、第6スペーサ部166は、その下の3つ目の伝熱面201に向けて突出した突出部である。1つ目の伝熱面201と2つ目の伝熱面201の間隔は、第5スペーサ部165によって維持され、2つ目の伝熱面201と3つ目の伝熱面201の間隔は、第6スペーサ部166によって維持されている。なお、3つ目の伝熱面201には第5スペーサ部165が設けられ、4つ目の伝熱面201には第6スペーサ部166が設けられている。
【0111】
第5スペーサ部165の突出先端面1651は、第6スペーサ部166が設けられた伝熱面201の、第6スペーサ部166よりも上の部分と下の部分に接している。すなわち、第5スペーサ部165の突出先端面1651は、第6スペーサ部166を上方方向に挟むように第6スペーサ部166が設けられた伝熱面201に接する。一方、第6スペーサ部166の突出先端面1661は、第5スペーサ部165が設けられた伝熱面201の、第5スペーサ部165よりも左の部分と右の部分に接している。すなわち、第6スペーサ部166の突出先端面1661は、第5スペーサ部165を左右方向に挟むように第5スペーサ部165が設けられた伝熱面201に接する。
【0112】
図5の1点鎖線が示すように、第5スペーサ部165(突出先端面1651)の中心位置は第6スペーサ部166(突出先端面1661)の中心位置に一致している。すなわち、この第2変形例では、複数の伝熱板2が重ねられた場合に、伝熱面201の中心位置に第5スペーサ部165(突出先端面1651)の中心位置と第6スペーサ部166(突出先端面1661)の中心位置が一致する。このため、この第2変形例でも、対向する2つの伝熱面201の中心部においてバランスがとれ、伝熱板201に歪みや反りや曲がりが発生することが抑えられる。
【0113】
なお、第5スペーサ部165の突出先端面1651の平面視形状と、第6スペーサ部166の突出先端面1661の平面視形状の関係は、中心位置を一致させた円と楕円の関係であってもよいし、円を左右方向に長く伸ばした形状と円を上下方向に長く伸ばした形状の関係であってもよい。こうすることでも、第5スペーサ部165と第6スペーサ部166の嵌まり込みを防止しながら、伝熱面201の中心部分に面圧を受けて、伝熱面201どうしの間隔を保ち、伝熱板2のそりや曲りを最小に抑えることが可能になる。
【0114】
続いて、第2実施形態のプレート式空気熱交換器について説明する。
【0115】
図6は、第2実施形態のプレート式空気熱交換器における伝熱板の構造を説明するための図である。以下の説明では、第1実施形態のプレート式空気熱交換器における伝熱板の構造との相違点を中心に説明し、重複する説明は省略する場合がある。
【0116】
第2実施形態のプレート式空気熱交換器も、図1(a)に示す伝熱板2の縁部211〜214を折り曲げ加工することで形成されたものである。
【0117】
図6(a)には、4枚の伝熱板が示されており、一番手前の伝熱板2(伝熱面201が見えている伝熱板)を第1伝熱板2と称し、その隣の伝熱板を第2伝熱板2と称する。第1伝熱板2と第2伝熱板2によって第1空気通路101が形成されており、この第1伝熱板2と第2伝熱板2の組を1組目とする。1組目の第2伝熱板2に隣合うように2組目の第1伝熱板2が設けられており、1組目の第2伝熱板2と2組目の第1伝熱板2によって第2空気通路102(図6(b)参照)が形成されている。さらに、2組目の第1伝熱板2に隣合うように2組目の第2伝熱板2が設けられており、2組目の第1伝熱板2と2組目の第2伝熱板2によって第1空気通路が形成されている。
【0118】
第1空気通路101は右斜め手前側と上方が開口した通路であるが、右斜め手前側の面(第2縁部212側の面)には上下方向中間部分から上側を覆う遮蔽板231(図7参照)が設けられており、この第1空気通路101には、冷却する空気(例えば、外気)が実線の太い矢印が示すように右斜め手前側の下部から上方に向かって通過する。
【0119】
図6(b)は、同図(a)に示す一番手前の伝熱板2(1組目の第1伝熱板2)を取り外した状態を示す図であり、1組目の第2伝熱板2が一番手前に示され、その奥に、2組目の第1伝熱板2、一番奥に2組目の第2伝熱板2がそれぞれ示されている。第2空気通路102は左斜め奥側と下方が開口した通路であるが、左斜め奥側の面(第1縁部211側の面)には上下方向中間部分から下側を覆う遮蔽板232(図8参照)が設けられており、この第2空気通路102には、冷却される空気(例えば、庫内の空気)が点線の太い矢印が示すように左斜め奥側の上部から下方に向かって通過する。
【0120】
なお、冷却する空気を、第1空気通路101の上方から右斜め手前側の下部に向けて通過させてもよい。また、冷却される空気を、第2空気通路102の下方から左斜め奥側の上部に向けて通過させてもよい。さらには、第1空気通路101を点線の太い矢印が示す空気通路にし、第2空気通路102を実線の太い矢印が示す空気通路にしてもよい。
【0121】
続いて、各縁部211〜214の折り曲げ加工については説明する。以下の図6を用いた説明では、1組目の第1伝熱板2における各縁部には末尾に_11を付け、1組目の第2伝熱板2における各縁部には末尾に_12を付け、2組目の第1伝熱板2における各縁部には末尾に_21を付け、2組目の第2伝熱板2における各縁部には末尾に_22を付けてそれぞれを区別する。
【0122】
図6(a)では、1組目の第1伝熱板2における第2縁部212_11と第3縁部213_11が図示省略されているが、2組目の第1伝熱板2における第2縁部212_21や第3縁部213_21と同じく、第2縁部212_11は図1(a)に示す1点鎖線の折り曲げ線で手前側に折り返され、第3縁部213_11は図1(a)に示す2点鎖線の折り曲げ線で手前側に折り返されている。また、1組目の第1伝熱板2における第4縁部214_11は、図6(a)では見えていないが、伝熱面201との境界線で山折りにされ、図1(a)に2点鎖線で示す折り曲げ線で谷折りされている。第4縁部214_11の谷折りされた突出方向先端側部分214t(図1(a)参照)は、伝熱面201と平行な状態になる。
【0123】
1組目の第2伝熱板2では、第2縁部212_12と第3縁部213_12が、伝熱面201との境界線で山折りにされ、第2縁部212_12は図1(a)に示す1点鎖線の折り曲げ線で折り返され、第3縁部213_12は図1(a)に示す2点鎖線の折り曲げ線で折り返されている。また、第4縁部214_12は、1組目の第1伝熱板2における第4縁部214_11の突出方向先端側部分214tを挟み込むように折り曲げられヘミング形状に加工されている。さらに、1組目の第1伝熱板2における第1縁部211_11は、1組目の第2伝熱板2の第1縁部211_12(不図示)における突出方向先端側部分211tを挟み込むように折り曲げ線で折り曲げられヘミング形状に加工されている。こうして、1組目の第1伝熱板2および1組目の第2伝熱板2は、第1縁部211どうしが重ね合わされるとともに第4縁部214どうしも重ね合わされ、第2縁部212の位置に相当する右斜め手前側と第3縁部213の位置に相当する上方が開口した第1空気通路101が形成されている。
【0124】
2組目の第1伝熱板2では、第2縁部212_21が、1組目の第2伝熱板2における第2縁部212_12の突出方向先端側部分212tを挟み込むように折り曲げられヘミング形状に加工され、第3縁部213_21が、1組目の第2伝熱板2における第3縁部213_12の突出方向先端側部分213tを挟み込むように折り曲げられヘミング形状に加工されている。こうして、1組目の第2伝熱板2および2組目の第1伝熱板2は、第2縁部212どうしが重ね合わされるとともに第3縁部213どうしも重ね合わされ、第1縁部211の位置に相当する左斜め奥側と第4縁部214の位置に相当する下方が開口した第2空気通路102が形成されている。
【0125】
4つある縁部211〜214のうち、いずれの縁部を開口し、いずれの縁部をヘミング加工によって閉じるかは任意に選択することができ、図1(b)に示す伝熱板の構造や図5に示す伝熱板の構造に限られない。
【0126】
図7(a)は、図6に示す伝熱板によって構成された第2実施形態のプレート式空気熱交換器1を示す斜視図である。
【0127】
図7(a)に示すプレート式空気熱交換器1では、各縁部211〜214は図示省略されているが、紙面左斜め奥側が第1縁部211側になり、紙面右斜め手前側が第2縁部212側になり、上側が第3縁部側になり、下側が第4縁部側になる。また、紙面左斜め手前側を伝熱板2のおもて面側とし、紙面右斜め奥側を伝熱板2の裏面側とする。
【0128】
このプレート式空気熱交換器1では、縁部の折り曲げ加工が施された伝熱板2の四隅に角柱部材28が配置されている。
【0129】
図7(b)は、角柱部材の配置構造を模式的に示した図である。
【0130】
この図7(b)には、ヘミング形状に加工された第2縁部212と第3縁部213が示されている。上述のごとく、ヘミング形状に加工された第2縁部212の隙間にはシール剤が充填されているとともに、ヘミング形状に加工された第3縁部213の隙間にもシール剤が充填されている。
【0131】
角柱部材28は、発泡樹脂製の部材であり、例えば、5mm角の部材になる。角柱部材28の、伝熱板2の縁部に対向する面282,283には、ゲル状のシール剤が塗布されている。このシール剤は、縁部211〜214の隙間に流し込んだ液状のシール剤とは異なるものであって、液状のシール剤よりも粘性が高いシール剤である。例えば、シリコン製のシール剤が用いられる。
【0132】
ゲル状のシール剤が塗布された4本の角柱部材28それぞれを、伝熱板2における四隅において縁部211〜214に押しつける。図7(b)には、左下がりのハッチングでゲル状のシール剤を表している。ゲル状のシール剤が硬化すると、角柱部材28は、伝熱板2と一体になり、伝熱板2の四隅の矩形状の切り欠きを埋めた状態になる。
【0133】
その後、図7(b)に示すアルミニウム製のフレーム部材29を、角柱部材28を完全に覆うように外側からあてがい、ボルト止めしたり、伝熱板のおもて面側となる一番端の伝熱板2の全面をアルミニウム製の覆い板(不図示)で覆ったり、伝熱板の裏面側となる一番端の伝熱板2の全面もアルミニウム製の覆い板(不図示)で覆ったりしてもよい。
【0134】
図8は、冷却装置と電気回路収納庫とを示す図である。
【0135】
図8に示す冷却装置3は、本発明の冷却装置の一実施形態に相当する冷却装置であって、図7(a)に示すプレート式空気熱交換器1が組み込まれたものである。この冷却装置3は、電気回路収納庫4(キュービクル等)に取り付けられている。電気回路収納庫4は、本発明のボックスの一例に相当する。電気回路収納庫4では、キュービクル等の高圧電源(6600V)を実使用圧電源(220V)に変換する。この変換の際に変換ロスによりボックス内(以下、庫内と称する)の温度が上昇し、電力機器の耐熱温度を超えるため冷却が必要になる。このため、従来では、室外空気を電動ファンにより強制的にボックス内に導入して機器の冷却を行う。しかしながら、電力回路の容量がアップすることで温度がさらに上昇する傾向にある。また、室外空気導入に起因してゴミ、水分、塩分、不純ガス等が侵入することから、不良や寿命の低下の原因になってきている。これらの問題を解決するために、図8に示す冷却装置3が用いられる。
【0136】
図8に示す冷却装置3では、図7(a)に示すプレート式空気熱交換器1が、電気回路収納庫4の上下方向の中央部より下側に寄せて設置されている。
【0137】
この冷却装置3では、図7(a)に示すプレート式空気熱交換器1の他に、取込通風路31と、第1送風路32と、第2送風路33と、庫内吹き出しファン17を備えている。取込通風路31は、電気回路収納庫4の最上部に入口が接続されており、電気回路収納庫4内の暖まった空気をその入口から取り入れる。図8に示すように、プレート式空気熱交換器1の庫内側の面(第1縁部211側の面)には上下方向中間部分から下側を覆う遮蔽板232が設けられている。図8に示すプレート式空気熱交換器1では、第1空気通路が、庫内側とは反対側の外気側の面(第2縁部212側の面)の下部から上方へ抜ける通路であり、第2空気通路が、庫内側の面(第1縁部211側の面)の上部から下方へ抜ける通路である。取込通風路31の出口はこの第2空気通路の入口に接続されており、第2空気通路の出口には第2送風路33が接続されている。第2送風路33は、電気回路収納庫4の下部に出口が接続した送風路である。この第2送風路33には、庫内の下部に向けて送風するための庫内吹き出しファン17が設けられている。また、第1空気通路の出口には第1送風路32が接続されている。第1送風路32は、上方へ向かって延在した送風路であり、出口は開放されている。第1送風路32は、充分な長さがあり、煙突効果による送風量を確保している。
【0138】
第1空気通路では、冷却する空気(外気)9が、黒い実線の矢印で示すように外気側の面の下部から取り込まれ上方に向かって通過し、第1送風路32を通って、外気吹き出し空気10として放出される。
【0139】
また、冷却される空気(庫内の空気)11が、灰色の点線の矢印で示すように、取込通風路31の入口から取り込まれ、第2空気通路では、庫内側の面の上部から下方に向かって通過する。庫内吹き出しファン17は、庫内吹き出し空気12を送風冷却が必要な方向に向けて吹き出して冷却効果を向上させている。こうして、第2空気通路を通過した空気は、庫内吹き出し空気12として庫内に戻される。
【0140】
ここで、図7(a)に示すプレート式空気熱交換器1についてさらに詳述すると、このプレート式空気熱交換器1では、第2縁部側の面が外気側側面5になり、第1縁部側の面が庫内側側面8になる。また、第3縁部側の面が外気側上面6になり、第4縁部側の面が庫内側下面7になる。プレート式空気熱交換器1では、伝熱板2が隣合った状態で配置され、交互に設けられた第1空気通路と第2空気通路が伝熱板2によって仕切られ、外気側(第2縁部側)から第1空気通路に冷却する空気(外気)9を通過させ、庫内側(第1縁部側)から第2空気通路に冷却される空気11を通過させ、伝熱板2における伝熱面を通して、冷却する空気と冷却される空気との間で熱交換が行われ、冷却する空気(外気)9は外気吹き出し空気10として放出され、冷却される空気11は庫内吹き出し空気12として放出される。
【0141】
以上説明した図7(a)に示すプレート式空気熱交換器1は、第1空気通路101と第2空気通路102のいずれか一方の空気通路は、このプレート式空気熱交換器の後面(左斜め奥側の面)の上部からプレート式空気熱交換器1の下面に連通した空気通路であり、他方の空気通路は、プレート式空気熱交換器1の前面(右斜め手前側の面)の下部からプレート式空気熱交換器1の上面に連通した空気通路であり、前記後面は、下の部分が図8に示す遮蔽板232であるカバー板で覆われたものであり、前記前面は、上下方向中央部分から上の部分の少なくとも一部が遮蔽板231であるカバー板で覆われたものであることを特徴とする。なお、前記前面は、図7(a)に示すように上の部分が全て遮蔽板231で覆われたものであってもよいし、後述する図13に示すように散水される部分を残して上下方向中央部分から上の部分の一部が遮蔽板233で覆われたものであってもよい。
【0142】
また、以上説明した図8に示す冷却装置3は、多数枚数のアルミプレートを重ねて、一つ置きのプレート間に2種の空気を流して相互に熱交換させるプレート式空気熱交換器1を用いた冷却装置3であって、電気回路収納庫4(ボックス)内の高温度の空気を該電気回路収納庫4(ボックス)外の空気で冷却するために、前記双方の空気を熱交換させるプレート式空気熱交換器1の上下方向の中間位置が前記電気回路収納庫4(ボックス)の中間より低い位置になるように設置し、冷却される前記電気回路収納庫4(ボックス)内の高温度の空気を該電気回路収納庫4(ボックス)スの最上部より取り込んで前記プレート式空気熱交換器1の上部から該プレート式空気熱交換器1に導入して下方から前記電気回路収納庫4(ボックス)内の下方部に向けて庫内吹き出しファン17により送風し流出させ、前記電気回路収納庫4(ボックス)外の冷却する空気を前記プレート式空気熱交換器1の下部から導入して高温度にした後に前記プレート式空気熱交換器1の上部から流出させて上方に延長された第1送風路32内における煙突効果により自然循環させる様にしたことを特徴とする。すなわち、図8に示す冷却装置3は、図6図7(a)等に示すプレート式空気熱交換器1と、冷却される空気が発生する電気回路収納庫4(ボックス)の最上部に入口が接続され第2空気通路102の入口に出口が接続した取込通風路31と、前記第2空気通路102の出口からつながった第2送風路33である送風路と、前記送風路に設けられた庫内吹き出しファン17である送風機とを備え、前記プレート式空気熱交換器1が、前記電気回路収納庫4(ボックス)の上下方向の中間位置よりも低い位置に配置され、前記送風路が該電気回路収納庫4(ボックス)の下方側に接続されることを特徴とする。
【0143】
以上の説明したことをもう一度まとめると、冷却装置3に組みこまれているプレート式空気熱交換器1は、外気吸い込み空気である冷却する空気9と、庫内吸い込み空気である冷却される空気11が熱交換され、庫内空気は冷却されて庫内下部から庫内吹き出し空気12となって吹き出され、庫内の電力機器を冷却する。この両方の空気は遮蔽板231,232によってガイドされ、冷却する空気9はプレート式空気熱交換器1の下方側面から、冷却される空気11はプレート式空気熱交換器1の上方側面から吸い込まれプレート式空気熱交換器1内を対向流状態で熱交換する。
【0144】
プレート式空気熱交換器1の内部構造を図9に示す。図9に示した伝熱面2は、図10の様に外周の4辺にへミング加工部41を設けたものである。
【0145】
図10は、積層されるアルミプレートの外周部の接合方法を示す図である。
【0146】
アルミプレートを一体の型でプレス成型すれば容易に製造できるが、アルミプレートのサイズ寸法、プレート間ピッチの異なる要求毎に成型型の製造対応が必要になる。これを解決する方法は、周囲4辺を別々に折り曲げ成型してへミング加工で組みあわせる方法がアルミプレートのサイズが異なる熱交換器を製造するには、有力な解決策である。
【0147】
図10は、隣り合う2枚の伝熱面2をへミング加工で結合した図である。伝熱面の間の伝熱面間ピッチ15は4辺のへミング加工と伝熱面間に挿入したスペーサ16により適性に保たれている。
【0148】
伝熱面201は薄い(0.1mm)アルミ平板で、隣接する伝熱平板端面同士の合わせ部は、折り曲げ加工とへミング(かしめ)加工で固着、シールしている。一方上面と下面も2枚の伝熱平板をへミング加工して接合してある。
【0149】
また、伝熱平板間の隙間寸法(ピッチ)を適正に保つため、側辺部をピッチ高さだけ折り曲げ又は絞り加工をした後にへミング加工して結合してもよい。同様に上面と下面も伝熱面間ピッチ寸法分の折り曲げ加工とへミング加工を行って、上述した通風路を構成する工夫がなされている。へミング加工は伝熱壁面の4辺の壁面同士の直線状の端面を直線的に加工して接合している。薄くて強度の弱い0.1mm厚の接合組み立てには直線の辺をへミング加工して辺同士を接合して強度を保つ接合の仕方が好適であるからである。この様な辺のへミング加工では、直線部は良いが、伝熱面のコーナー部は隙間が生じて空気シールを達成できない。この隙間を無くすためにホットメルト充填剤や接着剤を塗りつけて固めると共に空気シール性を確実にしている。冷却する及びされる空気の空気圧が高くへミング加工のみでは空気シールが不充分な場合は、ヘミング加工の合わせ部に浸透性の高い接着材(シール剤)を塗布して流しこみ、シール性を高めている。
【0150】
更に、薄板のアルミ板を伝熱面に用いたプレート式空気熱交換器のコスト改善、生産性を高めるため、アルミ板厚を好適化することが重要である。各種試作検討では0.08mm以下の極薄板では、熱交換器全体、へミング加工部、スペーサ周囲などの強度が不足し、成型した伝熱面の平坦度が保ちにくく、外周部のカシメなどの加工によるシール性が不足し、双方の通風空気の圧力差に耐えられないという問題が発生した。一方、0.1mmに比べ0.25mm以上に厚くした場合、材料費は50%以上上昇し、熱交換器全体の重さが2倍以上になり、その結果商品性は大きく劣化する。市場で使われているプレート式空気熱交換器のアルミ板の肉厚は0.3mm以上であるが、0.25mm以下の肉厚を実現することが必要である。
【0151】
薄肉厚のアルミ材を利用するための最大の問題は、空気圧に耐えるプレート式空気熱交換器の実現である。冷却する空気と冷却される空気の空気圧、風速による風圧などに耐えるには、プレート間ピッチに合わせた、図2(b)〜同図(d)に示すスペーサ16の利用が有効である。すなわち、アルミプレートとは別部材のスペーサ16を張り付ける。スペーサ16は樹脂製、金属製のスペーサ部材を接合、貼り付け、又は成型溝にはめて固定する。こうすればプレート間ピッチが変更になった場合はスペーサ寸法変更により容易に対応可能である。また、図4を用いて説明したように、ピッチスペース相当分の出っ張りをプレート式空気熱交換器のアルミプレートに突き合わせの出っ張り部を成型して付き合わせてピッチを保持するようにしてもよい。
【0152】
アルミプレート(伝熱平板)には通常、性能向上の為に凸凹状に成型して通風空気の伝熱性能を上げることが行われるが、伝熱平板が薄くなると成型時の亀裂破断、風圧に対する強度の低下が問題になる。それを回避するには、図3を用いて説明したように、凸凹をなだらかな波板状に成型することが有効である。また、散水冷却の方式では、伝熱面は冷却空気に噴霧する水の表面での広がりを助けるため波板形状は水平方向は平坦で垂直方向の断面を波板形状にする。プレス成型時に表面の滑り性を良くして型とのなじみを良くするために表面円滑材と、前記噴霧する水の表面全体への広がりを促進するための親水性塗料とアルミの錆劣化を防ぐための防錆材を塗膜処理をする。
【0153】
以上説明したように、4辺のへミング加工部の合わせ目、即ち伝熱面2のコーナー部はシリコン製のシール部材をへミング加工後に塗り固めることにより双方の空気はシールされて混ざり合わない構造になっている。また、へミング加工部41の空気のシールは、液状の接着材を流し込むことによりシール性はより完全となる。
【0154】
図11は、以上説明したプレート式空気熱交換器1を電気回路収納庫4の冷却装置3に組み込んだ例を示す図である。
【0155】
装置は収納庫の側面に設置され、冷却される空気(庫内の空気)11は、庫内吹き出しファン17に吸い込まれて、庫内に庫内吹き出し空気12として吹き出されている。冷却する空気(外気)9は、外気吹き出しファン18に吸い込まれて、外気吹き出し空気10として吹き出されている。その間に双方の空気はプレート式空気熱交換器1を通過して熱交換される。
【0156】
この図11に示す冷却装置3では、冷却される空気と冷却する空気に夫々ファン(庫内吹き出しファン17、外気吹き出しファン18)が設置される。この場合、ファンと供に電源回路及び制御装置が必要であり設備費用が増加するばかりでなく、消費電力費用も増大し、ファンの寿命や不良による交換費用も生じる。そこで、ファンを使用しないで、自然通風による方法が検討される。その場合、プレート式空気熱交換器1の流路方向長さを短縮し、流路幅を拡大して通風抵抗を減らすなどが検討される。一方、この場合の通風の原動力は、空気の温度差による浮力を利用した煙突効果である。
【0157】
庫内吹き出しファン17や外気吹き出しファン18といったファンを使うことなく同等の冷却性能を発揮できるようにした冷却装置3を図12に示す。
【0158】
図12は、自然通風冷却装置を用いた例を示す図である。
【0159】
両方のファンの代わりに、外部空気とダクト内空気の温度差による空気密度から生じる浮力の差を利用した煙突効果により得られる送風駆動力を利用する。プレート式空気熱交換器1を出た空気の下流に、煙突状ダクト44と煙突状庫内ダクト45の形で設置されている。この二つのダクトはその中の空気が煙突効果で上昇又は下降する様に充分な長さがあり、又空気の流動抵抗が大きくならない様に充分な流路面積を持つ様に構成されている。すなわち、図12に示す冷却装置3では、電気回路収納庫4内の60℃程度の高温度の冷却される空気11をプレート式空気熱交換器1で冷却して低温度にし、逆煙突効果で庫内に戻し循環させる。冷却する空気(外気)9は逆に高温度になり、煙突効果で煙突状ダクト44から排気される。ファンが不要になれば、ファン用電源、ファンケーシングなどが不用になり、設備コストの軽減になるばかりでなく、ファンの消費電力の削減になる効果が大きい。また、二つの煙突効果を発揮させるには冷却器であるプレート式空気熱交換器1の上下の設置位置が極めて重要である。プレート式空気熱交換器1の上面位置を電気回路収納庫4の庫内の最上部位置とほぼ同じにすることにより、煙突状ダクト44と煙突状庫内ダクト45双方のダクト長を長くでき、2つの煙突効果による2つの空気の循環を促すことが可能になる。
【0160】
以上説明した図12に示す冷却装置3は、プレート式空気熱交換器1を利用し、冷却される空気11が前記プレート式空気熱交換器1で冷却された後に下方に延長された煙突状庫内ダクト45(ダクト通風路)を通過するときの逆煙突効果で下降し、冷却する空気9が前記プレート式空気熱交換器1で加熱された後に上方に延長されたれた煙突状ダクト44(ダクト通風路)を通過するときの煙突効果で上昇し、前記冷却される空気11と冷却する空気9は送風機によること無しに通風させて熱交換させることを特徴とする。すなわち、図12に示す冷却装置3は、図6図7(a)等に示すプレート式空気熱交換器1と、前記第2空気通路102を通過した空気が流れ込む下方に向けて延在した煙突状庫内ダクト45である下向きダクト通風路と、前記第1空気通路101を通過した空気が流れ込む上方に向けて延在した煙突状ダクト44である上向きダクト通風路とを備え、前記第2空気通路102から前記下向きダクト通風路にかけて送風機が設置されておらず、前記第1空気通路101から前記上向きダクト通風路にかけても送風機が設置されていないことを特徴とする。
【0161】
また、図12に示す冷却装置3は、多数枚数のアルミプレートを重ねて、一つ置きのプレート間に2種の空気を流して相互に熱交換させるプレート式空気熱交換器1を用いた冷却装置3であって、電気回路収納庫4(ボックス)内の高温度の空気を該電気回路収納庫4(ボックス)外の空気で冷却するために、冷却される空気11と冷却する空気9を熱交換させるプレート式空気熱交換器1の上下方向の中間位置が該電気回路収納庫4(ボックス)の中間位置より高い位置になるように設置し、前記冷却される空気11を前記電気回路収納庫4(ボックス)の最上部より取り込んで前記プレート式空気熱交換器1の上部側面から下面にむけて下方に延長された煙突状庫内ダクト45(ダクト通風路)に流し、前記冷却する空気9を前記プレート式空気熱交換器1の下部側面から取り込んで前記電気回路収納庫4(ボックス)の上面より上方に延長された煙突状ダクト44(前記ダクト通風路)に流す様にしたことを特徴とする。すなわち、図12に示す冷却装置3は、図6図7(a)等に示すプレート式空気熱交換器1と、第2空気通路102を通過した空気が流れ込む下方に向けて延在した下向きダクト通風路である煙突状庫内ダクト45と、第1空気通路101を通過した空気が流れ込み、冷却される空気11が発生する電気回路収納庫4(ボックス)よりも高い位置まで延在した上向きダクト通風路である煙突状ダクト44とを備え、前記第2空気通路102は、入口が、前記電気回路収納庫4(ボックス)の最上部に接続されたものであり、前記プレート式空気熱交換器1が、前記電気回路収納庫4(ボックス)の上下方向の中間位置よりも高い位置に配置されることを特徴とする。
【0162】
図13は、水蒸発冷却型のプレート式空気熱交換器の外観構造を示す図である。
【0163】
プレート式空気熱交換器の冷却性能を向上させる方法の一つに、冷却空気側の伝熱面201の表面に水道水を散水噴霧させる方法が有効である。図13に示すプレート式空気熱交換器1は、図7(a)に示すプレート式空気熱交換器1を改良したものであり、重複する説明は省略し、相違点についてのみ説明する。図13に示すプレート式空気熱交換器1では、外気側側面5を覆う遮蔽板233を、上下方向中央部分に設け、上部には、散水ノズル42を設置する。この散水ノズル42は、伝熱板2における、第1空気通路側の伝熱面201に向けて散水する。散水ノズル42から散水された水43は霧状になって伝熱面201にかけられる。第1空気通路側の伝熱面201に水膜を形成することで、冷却空気側の空気温度は乾球温度から湿球温度まで温度降下し、その分冷却効果は増強する。一方、冷却空気の流れを止めて、水道水の代わりに温水を散水させることにより冷却される空気を加熱することが可能になる。冷却、冷房だけでなく加熱、暖房に利用することが可能になる。
【0164】
これまで説明した熱交換する2つの空気を流す方式には、双方を対向する方向(逆方向)に流す対向流方式(図6図7(a)、図9図11図13)と、交差する方向に流す交差流方式(図1(b))がある。一般的に同一風量なら対向流方式の方が、伝熱性能は高いが、交差流方式の方が大風量化には向いている。このため、冷却装置の全体の空気の流れに適した方式を選ぶ必要がある。図1(b)と図6を比較すると明らかなように、交差流方式と対向流方式では、4辺の曲げ方向は異なるものになる。このため、流れの方式に合わせて4辺の曲げ方向を変えることができるようにする必要があるが、伝熱板を一体で型成形する方式では別々の成型型が必要になる。一方、4辺を折り曲げ加工する方式では成型する型は不要であり、作業工数は増加して加工コストは増加するが、プレート式空気熱交換器全体としての製造コストは低減が可能であり、さらに、各種のプレート式空気熱交換器を製造するときの総製造コストも低減が可能である。
【0165】
なお、対向流方式のプレート式空気熱交換器として、図示はしていないが、第1空気通路101と第2空気通路102のいずれか一方の空気通路は、プレート式空気熱交換器1の前面における上部と下部のいずれか一方から他方に連通した空気通路であり、他方の空気通路は、プレート式空気熱交換器1の上面と下面のいずれか一方の面から他方の面に連通した空気通路であり、プレート式空気熱交換器1の後面は、遮蔽板で全面が覆われたものであることを特徴とするプレート式空気熱交換器であってもよい。
【0166】
以上説明した各実施形態や変形例によれば、アルミプレートの伝熱面201を多数枚重ねたプレート式空気熱交換器1において、プレート式空気熱交換器における異なる冷却性能を実現するためのサイズの変更、さらには空気の流し方を変えることが容易になり、変化に対応しやすい構造であるといえる。また、アルミプレートの伝熱面201を0.25mm以下の薄い板厚にしてコストを下げて軽量化させることも可能である。また、当該伝熱面では、親水性効果、妨錆効果、および潤滑性効果が高められ、生産性、信頼性が向上する。さらには、二つの空気がプレート式空気熱交換器内を通風する通風方式として、対向流方式を採用することも交差流方式を採用することも低コストで実現することができる。
【0167】
また、二つの空気の通風を、温度差を利用した煙突効果により、送風機を使わずに可能にすることもできる。一方、その時に冷却される空気のみをファンで通風させ、冷却する空気の送風はファンを使わないこともできる。またさらに、冷却する空気側に散水を行い、冷却性能を向上させることもできる。
【0168】
以上により、プレート式空気熱交換器を用いた、高性能で、各種要請される機能を満たした冷却装置を実現できるようになり、空気対空気または気体対気体の間で必要とされる高性能で低コストな熱交換装置を実現し、冷媒を使わない空調装置や、高信頼度確保のために密閉型が求められる電力変換装置や電源装置の冷却など、従来はコスト面や構造面で不可能であった重要な環境優位機器の大幅な改善が可能になり、さらなる市場展開を可能にすることができる。
【0169】
なお、本発明は上述の実施の形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。例えば、伝熱板2はアルミ板に限られず、その他の金属製の板であってもよいし、さらには樹脂製の板であってもよい。
【0170】
以下、これまで説明したことを含めて付記する。
【0171】
(付記1)
伝熱板が隣合った状態で配置され、交互に設けられた第1空気通路と第2空気通路が該伝熱板によって仕切られ、第1方向から該第1空気通路に冷却する空気を通過させ、第2方向から該第2空気通路に冷却される空気を通過させ、該伝熱板における伝熱面を通して、冷却する空気と冷却される空気との間で熱交換させるプレート式空気熱交換器において、
隣合う前記伝熱板における伝熱面どうしの間隔を所定間隔に維持するスペーサを備え、
前記スペーサは、隣合う前記伝熱板における伝熱面の間で複数の厚さ調整部材が積み重ねられたものであることを特徴とするプレート式空気熱交換器。
【0172】
(付記2)
伝熱板が隣合った状態で配置され、交互に設けられた第1空気通路と第2空気通路が該伝熱板によって仕切られ、第1方向から該第1空気通路に冷却する空気を通過させ、第2方向から該第2空気通路に冷却される空気を通過させ、該伝熱板における伝熱面を通して、冷却する空気と冷却される空気との間で熱交換させるプレート式空気熱交換器において、
隣合う前記伝熱板の伝熱面どうしの間隔を所定間隔に維持するスペーサを備え、
前記スペーサは、隣合う前記伝熱板のうちの一方の伝熱板の伝熱面における一部が他方の伝熱板の伝熱面に向かって突出したものであることを特徴とするプレート式空気熱交換器であってもよい。
【0173】
(付記3)
隣合う前記伝熱板のうちの一方の伝熱板の伝熱面から他方の伝熱板の伝熱面に向かって突出した第1スペーサ部と、
前記他方の伝熱板の伝熱面から前記第1スペーサ部の突出先端面に向かって突出した第2スペーサ部とを備え、
前記第1スペーサ部と前記第2スペーサ部によって、前記一方の伝熱板の伝熱面と前記他方の伝熱板の伝熱面との間隔を所定間隔に維持することを特徴とする付記2記載のプレート式空気熱交換器
(付記4)
隣合う前記伝熱板のうちの一方の伝熱板の伝熱面から他方の伝熱板の伝熱面に向かって突出し、該一方の伝熱板の伝熱面と該他方の伝熱板の伝熱面との間隔を所定間隔に維持する第3スペーサ部と、
前記他方の伝熱板の伝熱面における、前記第3スペーサ部の突出先端面の位置からずれた位置から前記一方の伝熱板とは反対側の反対側伝熱板の伝熱面に向かって突出し、該他方の伝熱板の伝熱面と該反対側伝熱板の伝熱面との間隔を所定間隔に維持する第4スペーサ部とを備えたことを特徴とする付記2記載のプレート式空気熱交換器
(付記5)
伝熱板が隣合った状態で配置され、交互に設けられた第1空気通路と第2空気通路が該伝熱板によって仕切られ、第1方向から該第1空気通路に冷却する空気を通過させ、第2方向から該第2空気通路に冷却される空気を通過させ、該伝熱板における伝熱面を通して、冷却する空気と冷却される空気との間で熱交換させるプレート式空気熱交換器において、
第1伝熱板と、
前記第1伝熱板に隣合った第2伝熱板と、
前記第2伝熱板に隣合った第3伝熱板とを備え、
前記第1伝熱板は、伝熱面の中心又はその近傍部分に前記第2伝熱板の伝熱面に向かって突出した第1突出部が設けられたものであり、
前記第2伝熱板は、伝熱面の中心又はその近傍部分に前記第3伝熱板の伝熱面に向かって突出した第2突出部が設けられたものであり、
前記第1突出部は、前記第2突出部と形状が異なるものであり、
前記第1伝熱板と前記第2伝熱板を重ね合わせたときに前記第1突出部の形状と前記第2突出部の形状が異なることにより該第1突出部と該第2突出部が嵌まり合うことなく該第1伝熱板と該第2伝熱板の間隔が該第1突出部の突出長に維持されることを特徴とするプレート式空気熱交換器。
【0174】
(付記6)
伝熱板が隣合った状態で配置され、交互に設けられた第1空気通路と第2空気通路が該伝熱板によって仕切られ、第1方向から該第1空気通路に冷却する空気を通過させ、第2方向から該第2空気通路に冷却される空気を通過させ、該伝熱板における伝熱面を通して、冷却する空気と冷却される空気との間で熱交換させるプレート式空気熱交換器において、
第1伝熱板と、
前記第1伝熱板に隣合った第2伝熱板と、
前記第2伝熱板に隣合った第3伝熱板とを備え、
前記第1伝熱板は、伝熱面の中心又はその近傍部分に前記第2伝熱板の伝熱面に向かって突出した第1突出部が設けられたものであり、
前記第2伝熱板は、伝熱面の中心又はその近傍部分に前記第3伝熱板の伝熱面に向かって突出した第2突出部が設けられたものであり、
前記第1突出部は、中心位置が前記第2突出部の中心位置からずれたものであり、
前記第1伝熱板と前記第2伝熱板を重ね合わせたときに前記第1突出部の中心位置と前記第2突出部の中心位置がずれていることにより該第1突出部と該第2突出部が嵌まり合うことなく該第1伝熱板と該第2伝熱板の間隔が該第1突出部の突出長に維持されることを特徴とするプレート式空気熱交換器。
【0175】
(付記7)
伝熱板が隣合った状態で配置され、交互に設けられた第1空気通路と第2空気通路が該伝熱板によって仕切られ、第1方向から該第1空気通路に冷却する空気を通過させ、第2方向から該第2空気通路に冷却される空気を通過させ、該伝熱板における伝熱面を通して、冷却する空気と冷却される空気との間で熱交換させるプレート式空気熱交換器において、
第1伝熱板と、
前記第1伝熱板に隣合った第2伝熱板と、
前記第2伝熱板に隣合った第3伝熱板とを備え、
前記第1伝熱板は、伝熱面の中心部分に前記第2伝熱板の伝熱面に向かって突出した1又は複数の第1突出部が設けられたものであり、
前記第2伝熱板は、伝熱面の中心部分に前記第3伝熱板の伝熱面に向かって突出した1又は複数の第2突出部が設けられたものであり、
前記1又は複数の第1突出部の中心位置と、前記1又は複数の第2突出部の中心位置が一致していることを特徴とするプレート式空気熱交換器。
【0176】
(付記8)
前記伝熱板は、0.08mm以上0.12mm以下の厚さのアルミ板であることを特徴とする付記1から付記7のうちいずれか1記載のプレート式空気熱交換器。
【0177】
(付記9)
伝熱板が隣合った状態で配置され、交互に設けられた第1空気通路と第2空気通路が該伝熱板によって仕切られ、第1方向から該第1空気通路に冷却する空気を通過させ、第2方向から該第2空気通路に冷却される空気を通過させ、該伝熱板における伝熱面を通して、冷却する空気と冷却される空気との間で熱交換させるプレート式空気熱交換器において、
前記伝熱面は、左右方向に延在した凹部が上下方向に複数並べられたものであり、
前記凹部は、傾斜面によって凹んだものであることを特徴とするプレート式空気熱交換器。
【0178】
なお、前記傾斜面は、平面であってもよいし、曲面であってもよい。
【0179】
(付記10)
前記傾斜面は、曲面であり、
前記伝熱面は、前記凹部と該凹部に隣合う凹部との間に平坦部を有するものであることを特徴とする付記9記載のプレート式空気熱交換器。
【0180】
(付記11)
前記伝熱面は、前記凹部と該凹部に隣合う凹部との間に凸部を有し、該凹部と該凸部が上下方向に連続した波状部が形成されたものであることを特徴とする付記9記載のプレート式空気熱交換器。
【0181】
(付記12)
前記伝熱板における、前記第1空気通路側の伝熱面に向けて散水する散水手段を備え、
前記伝熱板における、前記第1空気通路側の伝熱面は、親水性塗膜で被覆されたものであることを特徴とする付記9から付記11のうちいずれか1記載のプレート式空気熱交換器。
【0182】
(付記α)
多数平行して平面視超細長い楕円形の溝部(溝部24)が形成された、(熱交換流路面となる)矩形面の四辺縁に、山折り立ち下がり面と同面縁に続く谷折りハゼ巻き込まれ面とを突出させた辺と、谷折りハゼ巻き込まれ受け面と同面縁に続く谷折りハゼ折り巻き込み面とを突出させた辺とを、90度づつ交互に形成した、概略十字状のアルミプレートを(基に)、山折り立ち下がり面を90度に山折り曲げ、谷折りハゼ巻き込まれ面と谷折りハゼ折り巻き込み面とを90度にそれぞれ谷折りした上で、多数のアルミプレートを、交互に90度ずつ回転させて(位相をズラして)、前記矩形面を山折り立ち下がり面の幅だけ隔離しながら、重ね合わされた状態の谷折りハゼ巻き込まれ面を、そこに対向位置する隣接アルミプレートの谷折りハゼ巻き込まれ受け面上において谷折りハゼ折り巻き込み面をハゼ折りして挟持し、多数のアルミプレートを一体化しつつ、隣接する矩形面間にて交差する貫通空気流路を形成するようにしたことを特徴とするプレート式空気熱交換器。
【0183】

プレートを薄板化すれば、軽量化され、小型で取り回しも容易になるが、薄板のまま強度を得ようとすると、複雑な形状と組み立て構造と方法になってしまい、結局、コスト高となってしまう。逆に、板厚を厚くすれば、強度は出し易いが、重くなり取り回しが容易でなくなり、材料費でコストアップしてしまう。他方、プレート式空気熱交換器は、冷やす空気と冷やされる空気との間でプレートを介して熱交換しようとするものである為、その温度差(温度勾配)は冷媒による熱交換と比べて遥かに小さい。このため、できるだけ冷やす空気と冷やされる空気の有利な取り回しを行う必要があり、熱交換する風(冷やす空気)と熱交換される風(冷やされる空気)とを、施工現場の諸事情に合わせ、対向させたり、あるいは、交差させたり、適宜判断して行いたくなる。
【0184】
付記α記載のプレート式空気熱交換器等のヘミング加工を用いたプレート式空気熱交換器によれば、軽量であっても(薄板から形成されても)、風圧等に負けて容易に変形しない、平面強度と全体強度とを備えた上で、施工現場の諸状況から、熱交換する風(冷やす空気)と熱交換される風(冷やされる空気)とをプレートを介して、対向させる場合と、交差させる場合との)その両方に応えられるような基本的な空気流路の開口を有した、熱交換器を提供することができる。すなわち、熱交換流路面となる矩形面自体は、同面に施した超細長い楕円形の溝部によりその平面性が確保され、その四方縁は、2つの対向する辺では、そこが山折り部分として、(それらと90度位相する)残りの2つの対向する辺では、谷折りハゼ巻き込まれ面が隣接アルミプレートの谷折りハゼ巻き込まれ受け面上において谷折りハゼ折り巻き込み面のハゼ折りにより三重層になっているので、結果、(熱交換流路面たる)矩形面の全周において平面性が保たれるようになっている。
【0185】
(付記β)
谷折りハゼ巻き込まれ面が隣接アルミプレートの谷折りハゼ巻き込まれ受け面上において谷折りハゼ折り巻き込み面をハゼ折りして挟持した面部分の両各端面において形成される角入隅部を枠材(角柱部材28)及び/又はコーキング材(シリコン製のシール剤)にて固定したことを特徴とする付記α記載のプレート式空気熱交換器。
【0186】
プレートの重なり方向において、その角隅部は枠材及び/又はコーキング材にて固定されているので、全体として補強、強化されている。それでいて、プレートは、熱交換流路面となる矩形面とその四方縁におけるハゼ折り面程度の大きさのみであるため、軽量化できる。
【0187】
(付記A)
平面状の多数枚数の伝熱平板を、その間に空気通路ができる様に間隔を開けて重ね合わせて全体で二つの空気通路を構成し、冷却する空気と冷却される空気を夫々前記二つの空気通路の中を通過させ、前記伝熱平板を通して前記二つの空気間で熱交換させるプレート空気熱交換器に於いて、
前記伝熱平板として4つの辺をもつ外形が長方形のアルミニウムの薄板を用い、隣り合わせの前記伝熱平板の4辺の端面同士を折り曲げへミング加工に依り空気漏れの無い様に接合して組みたてると共に、前記4つの辺のコーナー部は空気漏れの無い様に接着材乃至は補填材を塗り固めたことを特徴としたアルミプレート空気熱交換器。
【0188】
(付記B)
前記伝熱平板として0.08mmより厚肉で0.25mmより薄肉のアルミニウム製の平板を用い、該平板間の隙間を保持させるスペーサを挿入させたことを特徴とした付記Aに記載のアルミプレート空気熱交換器。
【0189】
前記伝熱板が0.08mmより薄いと成型加工時に伝熱板が切れてしまいやすくなる。一方、0.12mmより厚くするとしても成型スピードを上げることができるといった利点もなく、作動空気の作動圧を高くできる利点も少なく、材料費が高くなり、製品重量も重くなってしまう。
【0190】
(付記C)
表面に妨錆効果、親水性効果及び潤滑性効果のある塗膜を塗布し、垂直方向の断面が凸凹で水平方向に直線的な形状に成型した波板状の成型を施した前記伝熱平板を用いたことを特徴とした付記A、Bの何れか一に記載のアルミプレート空気熱交換器。
【0191】
(付記D)
前記アルミプレート空気熱交換機内を流れる前記空気通路を、前記冷却する空気と前記冷却される空気用に2通路とし、一つの通路は前記アルミプレート空気熱交換機の前面の上部から前記アルミプレート空気熱交換機の下面に連通させ、他の一通路を前記プレート熱交換器の後面の下部から前記アルミプレート空気熱交換機の上面に連通させ、且つ前記前面は下の部分をカバー板で覆い且つ前記後面は上の部分をカバー板で覆うことにより構成し、この前記2通路を通風する空気が対向流となる様に構成したことを特徴とした付記A、B、Cの何れか一に記載のアルミプレート空気熱交換器。
【0192】
(付記E)
前記アルミプレート空気熱交換機内の前記空気通路を、前記冷却する空気と前記冷却される空気用に2通路とし、一つの通路を前記アルミプレート空気熱交換機の前面から後面に連通させ、他の一つの通路を前記アルミプレート空気熱交換機の下面から上面に連通させ、二つの通路を通風する空気が交差流となる様に構成したことを特徴とした付記A、B、Cの何れか一に記載のアルミプレート空気熱交換器
(付記F)
前記アルミプレート空気熱交換機内の前記空気通路を、前記冷却する空気と前記冷却される空気用に2通路とし、一つの通路は前記アルミプレート空気熱交換機の前面の上部から前面の下部に又はその反対に連通させ、他の一つの通路を前記プレート熱交換器の下面から上面に又はその反対に連通させ、且つ前記アルミプレート空気熱交換機の後面は遮蔽板で全面を覆うことに依り構成し、前記2通路を通風する空気が対向流となる様に構成したことを特徴とした付記A、B、Cの何れか一に記載のアルミプレート空気熱交換器。
【0193】
(付記F)
付記A、B、C、D、Fの何れか一に記載の前記アルミプレート空気熱交換器を利用し、前記冷却される空気が前記アルミプレート空気熱交換器で冷却された後に下方に延長されたダクト通風路を通過するときの逆煙突効果で下降し、前記冷却する空気が前記アルミプレート空気熱交換器で加熱された後に上方に延長されたれたダクト通風路を通過するときの煙突効果で上昇し、前記冷却される空気と冷却する空気は送風機に依ること無しに通風させて熱交換させることを特徴としたアルミプレート空気熱交換装置。
【0194】
(付記G)
多数枚数のアルミプレートを重ねて、一つ置きのプレート間に2種の空気を流して相互に熱交換させるアルミプレート空気熱交換器を用い、
ボックス内の高温度の空気をボックス外の空気で冷却するために、前記双方の空気を熱交換させる前記アルミプレート空気熱交換器の上下方向の中間位置が前記ボックスの中間位置よりたかい位置になるように設置し、
前記冷却される空気を前記ボックスの最上部より取り込んで前記アルミプレート空気熱交換器の上部側面から下面にむけて下方に延長されたダクト通風路に流し、前記冷却する空気を前記プレート熱交換器の下部側面から取り込んで前記ボックスの上面依り上方に延長された前記ダクト通風路に流す様にしたことを特徴としたアルミプレート空気熱交換装置。
【0195】
(付記H)
多数枚数のアルミプレートを重ねて、一つ置きのプレート間に2種の空気を流して相互に熱交換させるアルミプレート空気熱交換器を用い、
ボックス内の高温度の空気をボックス外の空気で冷却するために、前記双方の空気を熱交換させる前記アルミプレート空気熱交換器の上下方向の中間位置が前記ボックスの中間より低い位置になるように設置し、
冷却される前記ボックス内の高温度の空気を前記ボックスの最上部より取り込んで前記プレート熱交換器の上部から熱交換器に導入して下方から前記ボックス内の下方部に向けてファンに依り送風し流出させ、前記ボックス外の冷却する空気を前記プレート熱交換器の下部から導入して高温度にした後に前記プレート熱交換器の上部から流出させて上方に延長されたダクト通風路内における煙突効果により自然循環させる様にしたことを特徴とした強制及びアルミプレート空気熱交換装置。
【0196】
(付記I)
平面状の多数枚数の伝熱平板を、その間に空気通路ができる様に間隔を開けて重ね合わせて二つの空気通路を構成し、冷却する空気とボックス内乃至は室内の冷却される空気を夫々前記二つの空気通路の中を通過させ、前記伝熱平板を通して前記二つの空気を相互に熱交換させるアルミプレート空気熱交換器を前記伝熱平板の壁面が垂直状態になる様に組み込み、前記ボックス乃至は室内の外壁面に設置する冷却装置に於いて、
前記冷却する空気の通る前記空気通路にはその前記伝熱平板表面を濡らす様に水道水などの水を散水させてその表面で蒸発させて該伝熱面を冷却し、該伝熱平板の裏面を流れる前記冷却される空気を該伝熱平板を通して冷却する方式の熱交換器として付記A、B、C、D、E、Fの何れか一項に記載のアルミプレート空気熱交換器を用いたことを特徴とした水蒸発式冷却装置。
【0197】
(付記J)
平面状の多数枚数の伝熱平板を、その間に空気通路ができる様に間隔を開けて重ね合わせて二つの空気通路を構成し、冷却する空気とボックス内乃至は室内の冷却される空気を夫々前記二つの空気通路の中を通過させ、前記伝熱平板を通して前記二つの空気を相互に熱交換させるアルミプレート空気熱交換器を前記伝熱平板の壁面が垂直状態になる様に組み込み、前記ボックス乃至は室内の外壁面に設置する装置に於いて、
前記冷却する空気の通る前記空気通路にはその前記伝熱平板表面を濡らす様に水道水などの水を散水させてその表面で蒸発させて該伝熱面を冷却するモードと、
前記冷却する空気の通風を停止するとともに、前記散水する水を、温水に切り替えることに依り前記冷却される空気を加熱することに依り暖房用として作動させることを特徴とした冷暖房装置。
【0198】
(付記a)
肉厚が0.12mmより薄いアルミ板製の長方形又は四角形の平板を伝熱板として用い、隣接する前記伝熱板の間が一定の隙間ピッチになる様に多数枚を積み重ね、前記伝熱板の辺の端部を前記隙間ピッチ寸法に一致する段差寸法に折り曲げ、他方、前記伝熱板に隣接する伝熱板の相対する一辺の端部を折り返してヘミング形状として前記段差状に折り曲げた辺の端部を挟み込んだ状態で圧接して結合させて、隣接する2枚の伝熱板を前記隙間ピッチを保持して結合し、全体を適宜箇所を同様に結合することにより、その内部に二つの独立した通風路を設けた熱交換器体となし、前記熱交換器体の4つの外側面から該通風路を流れる二つの空気を導入及び排気させるように構成させ、且つ前記二つの空気の間で前記伝熱板を通して熱交換を行う方式としたプレート式空気熱交換器において、
前記二つの空気が導入乃至は排気する前記熱交換器体の前記4つの外側面に於いて、隣接する伝熱板間の隙間ピッチに前記熱交換器体の外側から前記ピッチ寸法に合わせた寸法のスペーサを挿入して固定することにより、前記伝熱板と隣接する前記伝熱板間の隙間ピッチを所定の設定値に保ったことを特徴としたプレート式空気熱交換器。
【0199】
(付記b)
前記伝熱板間に外側から挿入する前記スペーサを二つ以上のスペーサが連結された一体のスペーサ組立とし、隣接する伝熱板間に挿入させて前記伝熱板間の間隔ピッチを適正範囲に保ったことを特徴とした付記aに記載のプレート式空気熱交換器。
【0200】
(付記c)
アルミ板製の長方形の又は四角形の平板を伝熱板として用い、隣接する伝熱板の間が一定の隙間ピッチをもって多数枚積み重ね、前記伝熱板の端辺を前記隙間ピッチの1/2の寸法になる様に段差状に折り曲げ、他方前記隣接する伝熱板の相対する一辺を前記隙間ピッチの1/2の寸法になる様に逆段差状に折り曲げて、さらにその先端をヘミング形状となして相対する前記伝熱板の段差状に折り曲げた辺の端辺を挟み込んだ状態で圧接して結合させて、隣接する2枚の前記伝熱板の間を前記隙間ピッチとなる様に保持して結合し、この結合を必要な全ての辺に適宜展開させることにより全体をその内部に二つの独立した通風路を設けた熱交換器体となし、前記熱交換器体の4つの外側面から該通風路を流れる二つの空気を導入及び排気させるように構成させ、且つ前記二つの空気の間で前記伝熱板を通して熱交換を行う方式のプレート式空気熱交換器において、
前記ヘミング形状で結合した伝熱板における伝熱面の中央位置又はその近傍位置の一部を互いに接触させたことを特徴とするプレート式空気熱交換器。
【0201】
(付記d)
薄いアルミ板製の長方形又は四角形の平板を伝熱板として用い、隣接する前記伝熱板の間が一定の隙間ピッチをもって多数枚積み重ね、前記伝熱板の端辺を前記隙間ピッチ寸法に一致する段差寸法に折り曲げ、他方、前記伝熱板に隣接する伝熱板の相対する端辺を適宜寸法で折り返してヘミング形状として前記段差状に折り曲げた端辺を挟み込んだ状態で圧接して結合させて、隣接する2枚の前記伝熱板を前記隙間ピッチを保持して結合し、全体をその内部に二つの独立した通風路を設けた熱交換器体となし、前記熱交換器体の4つの外側面から該通風路を流れる二つの空気を導入及び排気させるように構成させて且つ前記二つの空気の間で前記伝熱板を通して熱交換を行う方式としたプレート式空気熱交換器において、
前記ヘミング形状の結合部分の空気シール性を確実にさせるべく、前記熱交換器体の空気を導入及び排気させる前記4つの面のうち一面が外側が下向きで且つ水平になるように前記熱交換器体を保持し、当該面の全ての前記ヘミング形状の結合部分をシール液が満たすように液槽に浸漬させて、前記ヘミング加工で圧接した面同士の隙間に染み込ませた後に、前記液槽から引き上げて、余分な前記シール液を廃棄させ、その後に、該接合隙間に残ったシール液を乾燥させるなどの硬化させる処理を行って、前記4つの面に渡り同様の処理を行って、全ての前記ヘミング形状の結合部分の空気又は水のシール性を強化させて完成させたことを特徴としたプレート式空気熱交換器。
【0202】
(付記e)
薄いアルミ板製の長方形又は四角形の平板を伝熱板として用い、隣接する前記伝熱板の間が一定の隙間ピッチをもって多数枚積み重ね、前記伝熱板の辺を前記隙間ピッチ寸法に一致する段差寸法に折り曲げ、他方、前記伝熱板に隣接する伝熱板の相対する一辺の端部を適宜寸法で折り返してヘミング形状として前記段差状に折り曲げた辺の端部を挟み込んだ状態で圧接して結合させて、隣接する2枚の伝熱板を前記隙間ピッチを保持して結合し、全体をその内部に二つの独立した通風路を設けた熱交換器体となし、前記熱交換器体の4つの外側面から該通風路を流れる二つの空気を導入及び排気させるように構成させて且つ前記二つの空気の間で前記伝熱板を通して熱交換を行う方式としたプレート式空気熱交換器において、
前記ヘミング形状の結合部分の空気シール性を強化させるべく、前記熱交換器体の空気を導入及び排気させる前記4つの面のうち一面を外側が下向きで、水平になるように前記熱交換器体を保持し、当該面の全ての前記ヘミング形状の結合部分の隙間内面に行きわたる様に内面までシール液を補給して満たし、前記ヘミング加工で圧接した面同士の隙間に内側から染み込ませた後に、余分な前記シール液を排出させ、その後に、該隙間に残ったシール液を乾燥させるなどの硬化させる処理を行い、前記4つの面に渡り同様の処理を行って、全ての前記ヘミング形状の結合部分の空気又は水のシール性を強化させて完成させたことを特徴としたプレート式空気熱交換器。
【0203】
(付記f)
水性ラッカー、硝化綿ラッカー、液状エポキシなど、液状で大気中に放置して10時間以内に固まる塗料乃至は充填液を前記シール液の材料として用いたことを特徴とした付記d、eに記載のプレート式空気熱交換器。
【0204】
(付記g)
前記伝熱板として、表裏の全表面に渡り、前記ヘミング加工、シール液塗膜加工を後から追加施工可能な、剛体膜状になる親水性と耐食性塗膜を事前に表面に塗布処理をしたアルミ薄板製で、前記伝熱板の表面の中央部に水保持性と伝熱特性を高めるため又は前記伝熱板間の隙間ピッチを得るための凹凸形状をプレス加工で成形し、前記伝熱面外周部には当該凸凹の形状の成型は行わずに平坦面のままとし、多数枚数を積み重ね、前記平坦面の部分を使って前記ヘミング加工を行って、前記シール液浸漬により接合強度と空気漏れ水漏れシール性を十分に確保したことを特徴とした付記aからjのうちいずれか1に記載のプレート式空気熱交換器。
【0205】
(付記h)
付記aからgのうちいずれか1に記載のプレート式空気熱交換器を用いて、作動させる2つの空気を、冷却する側の空気に散水させて水の蒸発潜熱でもう一方の冷却される側の空気を冷却させ、冷却される空気の冷却された後の空気の一部を分離して、前記プレート式空気熱交換器において冷却される空気の流出する出口側部分へと、送風機を追加することなく、冷却される空気の送風圧乃至は、及び冷却される空気の誘引により、冷却する空気に追加して流しこんで、前記冷却される空気の吹き出し温度の低温化に貢献させるべく活用させたことを特徴とした冷却装置。
【0206】
(付記i)
付記aからgのうちいずれか1に記載のプレート式空気熱交換器を、作動させる前記2つの空気を内部に流し、前記冷却する側の空気に散水させて水の蒸発潜熱でもう一方の前記冷却される側の空気を冷却させる交差流形式の空気対空気熱交換器として利用し、前記2つの空気のうち、排気出力された前記冷却された空気を人間、家畜、電子機器などの冷房冷却用に用い、散水した水の蒸発潜熱を利用して前記冷却された空気を冷却した前記冷却する空気の排気空気を天井、壁面、などその他の冷却用に用い、双方の空気を対象とする全体の空間、機器の冷房冷却に利用することにより、冷却性能の有効利用に活用させたことを特徴とした冷却装置。
【0207】
なお、以上説明した実施形態や変形例や付記の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を、他の実施形態や他の変形例や付記に適用してもよい。
【符号の説明】
【0208】
1 プレート式空気熱交換器
101 第1空気通路
102 第2空気通路
16 スペーサ
161 第1スペーサ部
162 第2スペーサ部
163 第3スペーサ部
164 第4スペーサ部
165 第5スペーサ部
166 第6スペーサ部
160 厚さ調整部材
2 伝熱板
201 伝熱面
211 第1縁部
212 第2縁部
213 第3縁部
214 第4縁部
211i,212i,213i,214i 伝熱面側部分
211t,212t,213t,214t 突出方向先端側部分
214h 折り曲げ線部
24 溝部
241 傾斜面
25 平坦部
26 突部
9 冷却する空気
10 外気吹き出し空気
11 冷却される空気
12 庫内吹き出し空気
3 冷却装置
4 電気回路収納庫
【要約】
【課題】伝熱板が隣合った状態で配置され、該伝熱板における伝熱面を通して、冷却する空気と冷却される空気との間で熱交換させるプレート式空気熱交換器に関し、低コストで縁部のシール性を高めたプレート式空気熱交換器、およびそのプレート式空気熱交換器を備えた冷却装置を提供する。
【解決手段】交互に設けられた第1空気通路101と第2空気通路102が伝熱板2によって仕切られ、第1方向から第1空気通路101に冷却する空気を通過させ、第2方向から第2空気通路102に冷却される空気を通過させるプレート式空気熱交換器1において、隣合う伝熱板2の縁部211〜214どうしは重ね合わせられたものであり、伝熱板2の重ね合わせられた縁部と縁部の隙間にシール剤が充填されていることを特徴とする。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13