(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る定水位弁装置の一実施形態について、
図1乃至
図7を参照して説明する。
本実施形態の定水位弁装置10は、
図1に示すように、略直方体形状に形成された貯水槽1に設置される。この貯水槽1は、オフィスビルやマンションなどに設置され、その上壁1aには、内部を保守、点検することを可能にするマンホール1Dが設けられている。なお、
図1では、貯水槽や定水位弁装置等の各構成要素を分かり易く示しており、実際の大きさと一致するものではない。
【0013】
前記定水位弁装置10は、貯水槽1内に貯留される水の水位を制御するのに用いられ、貯水槽1内の水が一定値(
図1の給水開始セット位置P1)まで減少すると給水が開始され、給水が一定値(
図1の給水停止セット位置P2)まで上昇すると給水を停止するように作動する。この場合、後述する副弁を構成するフロート43の水没防止のため、給水は、給水停止セット位置P2より約60mm下で停止するようにしている。
【0014】
上記した貯水槽1には、オーバーフロー管が設置されている。このオーバーフロー管は、貯水槽1の水がある一定量(予め定められた越流面)を超えると、その水を外部に流出させるために配設するものであり、排出管200を側壁1bに挿通させ、その端部を上向きに屈曲してホッパー201を設置して構成される。前記越流面は、ホッパー201の開口縁201aの位置となっており、水がこの越流面を超えると、その水はホッパー201から排出管200を介して外部に排出される。
【0015】
本実施形態の定水位弁装置10は、パイロット管11によって接続される主弁10Aと副弁10Bとを備えており、これらは、貯水槽1の外部(本実施形態では、貯水槽1の上壁1aの表面部分)に設置されている。主弁10Aは、貯水槽1の側壁1bに沿って配設された給水管2に接続されており、貯水槽1には、給水管2に接続された主弁10Aを介して水が供給され、貯水槽内に貯留された水は、揚水ポンプ(図示せず)へ送られて所定の消費箇所に供給されるようになっている。そして、貯水槽1内に貯留された水は、消費されるにしたがって水位が低下することから、一定量の水が貯留されるように、前記副弁10Bは、水の消費に伴って主弁10Aを解放し、貯水槽1内に水を供給する機能を備えている。
【0016】
前記主弁10Aは、垂直下方に延出する吐出管(吐出口)12を備えており、この吐出管12は、貯水槽1の上壁1aに形成された開口を挿通するように設置、固定されている。貯留槽1内への水の供給は、主弁の本体(主弁本体)10A´内に配設された弁機構14(
図6,7参照)が解放した際、吐出管12を通じて成される。
【0017】
また、前記副弁10Bは、貯水槽1内の水の水位が予め設定された水位に上昇したときに主弁10Aを閉鎖することで水位を制御する機能を備えている。前記副弁の本体(副弁本体)10B´は、パイロット管11を通じて送られてくる水を貯水槽1内に吐水する吐水部(吐水管)51と、吐水部51を開閉する開閉弁41とを具備している(
図4,
図5参照)。また、副弁本体10B´には、貯水槽1内の水に浮遊し、貯水量が所定値以下になったときに、開閉弁41を開放して前記パイロット管11内の内圧を下げて主弁10Aの弁機構14を開放し、給水管2内の水を吐出管12を介して貯水槽1内に吐出させ、貯水量が一定の水位に上昇したときに、開閉弁41を閉塞してパイロット管11内の内圧を上げて主弁10Aの弁機構14を閉塞し、給水管2内の水の吐出を停止させるフロート43が接続されている。
【0018】
具体的に、前記貯水槽1内に浮遊するフロート43は、貯水槽内の水位の低下と共に下がると、副弁本体10B´に設けられたリンク機構60を介して副弁内に設置されている開閉弁41を開放する。すると、主弁10Aと副弁10Bを接続するパイロット管11内に貯留されていた水は、開閉弁41及び吐水部51を介して貯水槽内に放出され、これによりパイロット管内の圧力が低下して主弁10A(弁機構14)が開放され、主弁10Aの吐出口12を介して貯水槽内に水が供給されるようになる。その後、水の供給に伴って貯水槽1内の水が上昇すると、フロート43も上昇し、前記リンク機構60を介して次第に開閉弁41を閉塞し、一定の水位(給水停止水位)に達すると開閉弁41を完全に閉塞する。このとき、パイロット管11内に満たされた水は高圧状態となり、これにより主弁10A(弁機構14)が閉塞して貯水槽内への水の供給を停止する。
【0019】
ここで、前記副弁10Bの構成について、
図2から
図5を参照して説明する。
副弁本体10B´は、パイロット管11が接続されるように水平方向に延出した円筒状の接続管50と、接続管50を介して流入してくる水を吐水するように垂直方向に延出した吐水部(円筒状の吐水管)51とを備えている。接続管50と吐水部51との間の内部空間には、例えば水平方向で往復動(前後動)する前記開閉弁41が配設されている。この開閉弁41は、弁体45を備えており、弁体45(弁体45のパッキン45a)は、副弁本体10B´の内部に形成された弁座(シート面)45bに対して当て付くようになっている。
【0020】
前記副弁本体10B´には、前記弁座45bと一体的に円筒部45cが設けられており、接続管50を通じて送られてくる水は、円筒部45cの内部空間(流路)を通じて吐水部51に流入するようになっている。前記弁体45は、固定ナット部材47によってスピンドル46に固定されており、
図5の状態からスピンドルと共に左側(後側)へ移動することで弁座45bに当て付いて接続管50と吐水部51との連通状態を遮断する閉塞状態(閉塞位置;
図4参照)となり、
図4の状態から右側(前側)へ移動することで弁座45bから離間して接続管50と吐水部51とを連通させる開放状態(解放位置;
図5参照)となる。
【0021】
前記スピンドル46の一端部は、円筒部45cに取着されるキャップ48の開口から突出しており、突出部分にリンク機構60が設けられている。前記キャップ48と弁体45との間には、スプリング48aが配設されており、弁体45を常時、弁座45bに当て付くように付勢している。また、前記スピンドル46の他端部は、副弁本体10B´内に設けられたシリンダ室49内に突出しており、スピンドルに46には、Vリング54aを介在させてシリンダ室49内を摺動するピストン54が締め付けナット55によって取着されている。
【0022】
なお、スピンドル46には、シリンダ室49を大気圧の状態に維持する小孔が形成されている。また、本実施形態では、前記弁体45とピストン54に関し、その面積比が1:1.4以上を有する差圧方式を採用しており、一旦閉塞状態(
図4参照)になると、ピストン54の面積は弁体45の面積よりも大きいことから、閉塞方向に働く力は、後述するガイド部材82(ガイドロープ)に装着される錘86の重量に勝っており、錘86の重量によって弁体45が開かないようにしている。
【0023】
上記した開閉弁41は、以下の駆動体によって閉塞位置と解放位置との間で前後方向(図中左右方向)に駆動されるようになっている。この場合、駆動体は、開閉弁41に接続されて開閉弁(弁体45)を閉塞位置と解放位置との間で変位させるリンク機構60と、リンク機構60に連結される連結部材80(例えば、長尺なレバー部材)と、連結部材80の端部に垂直方向に垂下するように係止されたガイド部材82とを備えており、前記ガイド部材82には、前記フロート43が、ガイド部材82に沿って上下動できるように保持されている。
【0024】
ここで、リンク機構60の構成について説明する。
リンク機構60は、相互に回動可能に支持される複数の第1〜第4のアーム部材61,64,66,68を備えており、第4のアーム部材68がガイド部材82に連結され、第2のアーム部材64が開閉弁41(詳細には、開閉弁41を支持するスピンドル46)に接続されている。
【0025】
第1のアーム部材61は、副弁本体10B´の上端面に固定された一対の対向する支持プレートから成るブラケット69に回動可能に支持されている。具体的には、第1のアーム部材61は、その後端がブラケット69の一対の支持プレート間に位置されて略T形状(または略Y形状)のビス62(以下、全てのビスが同じ形状を有するものとする)により回動可能に支持される。また、第2のアーム部材64は、その一端(上端)が第1のアーム部材61の前端に回動可能に支持される。具体的には、第2のアーム部材64は、第1のアーム部材61の前端で二股状に分かれる支持部61aに挟持されてビス63により回動可能に支持される。
【0026】
また、第2のアーム部材64の中間部は、前記スピンドル46の前端に回動可能に支持される。具体的には、第2のアーム部材64は、互いに接合される一対の支持プレート64aによって形成されており、これらの支持プレート64aが互いに離間して第2のアーム部材64の中間部に形成する開口内にスピンドル46の前端が挿通されており、この挿通されたスピンドル46に対してビス65によって第2のアーム部材64は回動可能に支持される。
【0027】
また、第2のアーム部材64の他端(下端)は、第3のアーム部材66の前端に回動可能に支持される。具体的には、第3のアーム部材66は、一対の対向する支持プレート66aから成り、第2のアーム部材64の他端がこれらの支持プレート66a間に挟まれた状態でビス67により第3のアーム部材66に回動可能に支持される。また、第3のアーム部材66の後端は、その支持プレート66a間に挟まれるように位置される第4のアーム部材68の上端にビス69により回動可能に支持される。更に、第4のアーム部材68の中間部は、吐水部51から延びる断面コの字型のブラケット70に対してビス71により回動可能に支持される。すなわち、開閉弁41は、上記のように構成されるリンク機構60に接続されており、このリンク機構60を介してフロート43の浮動動作によって左右方向に駆動されるようになっている。
【0028】
上記したリンク機構60を備えた駆動体は、リンク機構60の第4のアーム部材68に連結される連結部材80の先端部から水中へ向けて垂下する前記ガイド部材(ガイドロープ)82およびフロート43を有しており、更にガイド部材82の上下に配設され、上下動するフロート43の上下位置を規制する一対のストッパ83,84を備えている。下側のストッパ84は、給水開始位置を設定する機能を備え、上側のストッパ83は、給水停止位置を設定する機能を備える。
【0029】
前記ガイド部材82に上下動可能に保持される浮動自在なフロート43は、一定の重量を具備しており、上側ストッパ83と下側ストッパ84(調整用のストッパ84a)との間で上下動自在(浮動自在)に配設されている。具体的には、フロート42は、中空の球状に形成されており、その中心を通って貫通する貫通孔にガイド部材82が通されることにより、上側ストッパ83と下側ストッパ84との間で移動可能に保持されている。前記フロート43の内部空間には、例えば砂や錘等、フロート42の浮力よりも小さい加重体を収容しており、フロート43は一定の重量を備えている。
【0030】
上記した駆動体は、貯水槽1内の水位が下がって、フロート43がストッパ84に当て付くと、連結部材80の先端には、ガイド部材82の下端に装着した錘86の重量に加え、次第にフロート43の重量も加わるようになり、前記連結部材80の先端側を下向きに回動させるようになる。この場合、連結部材80が下向きに回動すると、上記したリンク機構60を介して、スピンドル46がスプリング48aの付勢力に抗して、
図4から
図5に示すように、図中、右側に駆動され、これにより開閉弁41を開くようになる。また、貯水槽1内の水位が上昇し、フロート43がストッパ83に当て付くと、スピンドル46は、スプリング48の付勢力によって、
図5から
図4に示すように、図中、左側に駆動され、これにより開閉弁41を閉じるようになる。
【0031】
上記した上側ストッパ83および下側ストッパ84(調整用のストッパ84a)は、ガイド部材82に対してその位置を調整できるように構成されており、フロート43が自由に浮動できる浮動範囲を上下方向で規定できるようになっている。上記したように、本実施形態では、上側ストッパ83は、貯水槽1の給水停止位置に対応する位置でガイド部材82に固定され、一方、下側ストッパ84は、貯水槽1の給水開始位置に対応する位置でガイド部材82に固定されている。この場合、これらのストッパ83,84の取り付け位置を調整することで、給水開始位置及び給水停止位置を任意に設定することが可能であり、貯水槽1の構造、および、残留塩素の調整等に応じて、適宜、変更できるようになっている。
【0032】
上記したように構成される副弁10Bは、その副弁本体10B´が、貯水槽1に設置されるベース部材90によって貯水槽1の外部に設置されるようになっている。
本実施形態のベース部材90は、貯水槽1の上壁部分に設置されるようになっており、貯水槽1の上壁1aに形成される開口1Aと一致するように形成された開口部90aを具備し、上壁1aに対して装着される基板90Aと、基板90Aに一体形成され、副弁本体10B´を保持する保持板90Bとを具備したL字形の板状部材として構成されている。
【0033】
上壁1aに形成される開口1Aについては、既存の貯水槽1であれば、副弁10Bを取り付けるために、事後的に取付用の開口として新たに形成することが可能である。或いは、通常、貯水槽1には、漏水事故が起きた場合等の早期発見が可能となるように、警報装置の設置が義務付けられており、この警報装置を設置するために形成された開口を、副弁取付用の開口として兼用することも可能であり、副弁の設置を容易に行なうことも可能である。
具体的に、警報装置は、水位が給水停止セット位置P2とホッパー201の開口縁201aの位置(越流面)との間の範囲内における所定の位置(満水警報位置)になったときに作動するものであり、水位が満水警報位置を超えると外部に警報を発するように機能する。
【0034】
この場合、警報装置は、例えば、2本の電極棒(図示せず)を備えており、一方の電極棒を貯水槽1の水の中に設置し、他方の電極棒を所定の満水警報位置となるように位置決めして設置することで、水位が上昇して他方の電極棒に達すると警報装置は通電状態となって、外部に警報を発するように構成されている。本実施形態では、このような警報装置の電極棒を設置するための開口1Aを利用して、上記したベース部材90の開口部90aを位置合わせし、開口1Aに形成された電極取付座1Bを利用してベース部材90を装着している。
【0035】
以下、ベース部材90に対する副弁10Bの取付構造、及び、設置例について説明する。
前記副弁10B(副弁本体10B´)は、ベース部材90の保持板90B部分に設置される。保持板90Bには、円形の開口部90bが形成されており、この部分に前記接続管50が挿通され、突出部分にナット95を螺合することで、副弁本体10B´は保持板90Bに保持される。また、前記パイロット管11の端部は、リング部材97を介在し、ナット96を締め付けることで、保持板90Bから突出した接続管50の端部に固定される。
【0036】
前記副弁本体10B´は、水平方向に延出する連結部材80が取り付けられ、連結部材の先端に、フロート43が配設されたガイド部材82が垂下するように係止される。ガイド部材82は、基板90Aの端部に形成された開口部90a及び貯水槽の開口1Aを介して垂下することから、前記副弁本体10B´の吐水部(吐水管)51には、前記開閉弁41が開いた際、パイロット管11内の水を、貯水槽1内に吐出させるための連結吐出構造が設けられている。
【0037】
この連結吐出構造は、例えば、吐水部51の側面に開口51aを形成し、この部分に吐水部材100を取り付け、吐水部材100にホース102を接続することで構成されている。ホース102の先端は、基板90Aの開口部90aに挿入されており、開閉弁41が開いた際、パイロット管11内の水を貯水槽1内に吐出する。
【0038】
前記基板90Aの開口部90aと、貯水槽1の開口1Aとの間には、両者を連結する連結構造100が設けられている。
この連結構造100は、開口部90aに挿通されて基板90Aの表面でナット105によって締め付け固定される管状体108と、管状体108に内嵌、螺合される連結管状体110とを有している。そして、連結管状体110の下端は、貯水槽1の上壁1aに形成された開口部1Aに対して、シール材111を介してナット112によって締め付け固定される前記電極取付座1Bに内嵌、螺合されており、これにより、基板90Aの開口部90aと貯水槽1の開口1Aは、垂直方向に一致した状態となり、連結部材80の先端に係止されたガイド部材82は、貯水槽内に垂下される。
【0039】
上記したベース部材90の構成により、副弁10Bが貯水槽1の外部(上壁の上方)に設置され、副弁10Bはパイロット管11を介して前記主弁10Aに接続される。すなわち、副弁10Bは、フロート43及びガイド部材82が貯水槽内に存在するだけであり、副弁本体10B´は貯水槽内に配設されることはない。
この場合、ベース部材90と副弁本体10B´は、ユニット化しておくことで、貯水槽に対する設置作業を効率化することが可能となる。また、上壁1aの上方に設置される主弁10A及び副弁10Bを覆うように、ケーシング(図示せず)を設置しても良い。特に、副弁は、その外部に、駆動されるリンク機構60や連結部材80が露出することから、ケーシング等によって覆うことが好ましい。
【0040】
前記主弁10Aは、上記したように、その主弁本体10A´内に、弁機構14が配設されており、この弁機構14が解放することで、給水管2内の水が吐出管12を通じて吐出され、弁機構14が閉塞することで、水の吐出が停止される。この弁機構14は、上記したパイロット管11の内圧が変わることで開閉駆動される。このような主弁の構造は一般的に公知であり、以下、
図6及び
図7を参照して、本実施形態の主弁の概略構成を説明する。
【0041】
主弁本体10A´には、前記給水管2と接続される接続部2Aと、前記パイロット管11が接続される接続部11Aと、前記吐出管12が接続される接続部12Aが形成されている。前記弁機構14は、中心部分に配設されるスピンドル130の下端側に設けられた弁体132と、スピンドル130の上端側に設けられたピストン134とを備えており、その内部は、前記ピストン134によってシリンダ室S1とシリンダ室S2に区分けされている。この場合、ピストン134は、Vリング134aによってシリンダ室S1とシリンダ室S2をシールすると共に、ピストン134に小孔134bが形成されることで、シリンダ室S2からシリンダ室S1に水が流れるようにしている。
【0042】
前記シリンダ室S1は、連通路140を介してパイロット管11に連結されており、シリンダ室S2には、チャッキ弁136が設けられたシリンダ蓋135が配設されることで、給水管2が接続される空間部S3と区分けされている。なお、前記スピンドル130は、シリンダ蓋135のガイド孔を通じて上下動するように配設されている。また、チャッキ弁136には、チャッキ弁駒136aが配設されており、ウォーターハンマーを防止するようにしている。
【0043】
前記弁体132とピストン134の面積比は、1:1.4以上に設定されており、この差圧を利用して弁体132を開閉するようにしている。具体的には、前記パイロット管11の内圧が高い場合(貯水槽1の水量が十分である場合)、
図6に示すように、シリンダ室S1に作用する内圧によって、ピストン134が押し下げられており、弁体132は吐出管12(接続部12A)を閉塞している。
【0044】
貯水槽1の水量が減少し、これに伴って前記パイロット管11の内圧が低くなって行き、空間部S3に作用している内圧(給水管2内の水によって作用している内圧)よりも低くなると、チャッキ弁136を介して水が空間部S3からシリンダ室S2に流れ込み、ピストン134を押圧してスピンドル130を押し上げる。このとき、弁体132が開き、空間部S3内の水は、吐出管12に流れ、貯水槽1内に水が供給される(
図7参照)。
【0045】
なお、この状態では、シリンダ室S2に流れ込んだ水の一部は、ピストン134に形成された小孔134bを介してパイロット管11内に流れ込む。パイロット管11内に流れ込んだ水は、副弁10Bが閉塞するまでは、前記ホース102を介して貯水槽内に流れる。
【0046】
そして、前記フロート43が上昇して、副弁10Bの開閉弁41が閉塞すると、パイロット管11内の水が流れなくなり(内圧が高まって行く)、シリンダ室S1の内圧も高まって行く、そして、シリンダ室S2と同圧になって、弁体132にかかる流圧とピストン134の重量によってピストン134は下降する。この際、チャッキ弁136に内蔵されたチャッキ弁駒136aは、シリンダ室S1とシリンダ室S2が同圧になると下降し、シリンダ室S2への水の流入が徐々に止まり、水は小孔134bを介してシリンダ室S1に流れ込むのみとなる。シリンダ室S2内の水が徐々に少なくなるることで、それに伴いピストン134及び弁体132も徐々に下降して弁機構を閉塞することから、ウオーターハンマー現象が防止される。
【0047】
上記したように構成される定水位弁装置10によれば、副弁10Bを貯水槽1内に設置しない構成としているため、塩素の気化に晒されることはなく、特に、副弁を青銅鋳物で形成する場合、緑青の錆による作動不良などの不具合を解消することができる。具体的には、耐用年数が3〜4年程度であった従来の副弁と比較すると、耐用年数が10年以上となり、これにより、貯水槽内に入り込んでメンテナンス作業を行なう頻度も減り、衛生的になる。また、貯水槽内に副弁用の配管も設置する必要がないので、メンテナンス作業も容易に行えるようになる。さらに、貯水槽の内部に副弁を設置しないことから、フロート43の上下動の範囲を大きく確保することができ、水位の検知差を従来よりも多く確保することが可能となる。
【0048】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記した実施形態以外にも、適宜変形することが可能である。本発明は、定水位弁装置を構成する副弁を貯水槽の外部に設置することに特徴があることから、主弁や副弁の具体的な構造については、上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。また、主弁と副弁の設置個所や、副弁を保持するベース部材の構成については、適宜変形することが可能であり、給水管やパイロット管の配置を適宜、変形することで、これらを貯水槽の側壁に設置する等、適宜変形することが可能である。
【解決手段】本発明の定水位弁装置10は、貯水槽1の外部に設置され、給水管2に接続されると共に貯水層1に水を吐出する吐出口12を備えた主弁10Aと、パイロット管11を通じて主弁10Aに接続され、貯水槽内の水位に応じて開閉する副弁10Bと、有する。主弁10Aは、給水管2から送られてくる水を貯水槽1内に吐水/停止する弁機構を有しており、副弁10Bは、パイロット管11を通じて送られてくる水を貯水槽1内に吐水する吐水部を開閉する開閉弁を具備した副弁本体を有している。この副弁10Bの副弁本体は、貯水槽1に設置されるベース部材90によって貯水槽の外部に設置されている。