特許第6893008号(P6893008)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6893008組織がパフ化して、フワフワ、サクサクとした食感である事を特徴とする大根の薄切りフライ及びその製法。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6893008
(24)【登録日】2021年6月2日
(45)【発行日】2021年6月23日
(54)【発明の名称】組織がパフ化して、フワフワ、サクサクとした食感である事を特徴とする大根の薄切りフライ及びその製法。
(51)【国際特許分類】
   A23L 19/00 20160101AFI20210614BHJP
【FI】
   A23L19/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2019-189070(P2019-189070)
(22)【出願日】2019年10月16日
(65)【公開番号】特開2020-89357(P2020-89357A)
(43)【公開日】2020年6月11日
【審査請求日】2019年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】511012145
【氏名又は名称】宮崎食研有限会社
(72)【発明者】
【氏名】坂元 浩一
【審査官】 飯室 里美
(56)【参考文献】
【文献】 サクッジュワ!フライド大根♪byおたまりん[クックパッド]簡単おいしいみんなのレシピが339万品 [online],インターネット,2016年11月 5日,[検索日:2020.10.1],URL,https://cookpad.com/recipe/4163894
【文献】 フライド大根レシピが話題で皮の人気急上昇!-50kgダイエットした港区芝浦IT社長ブログ[online],インターネット,2016年 2月 8日,[検索日:2020.10.1],URL,https://www.50kgdiet.com/entry/2016/02/08/202458
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A23G
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus(STN)
FSTA(STN)
Google
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1mmスライスした大根漬物の端材を凍結、解凍後乳糖溶液に投入し水気が
無くなるまで加熱し、米粉をまぶしフライし脱油して大根の薄切りフライを
得る製造方法。
【請求項2】
2mmスライスした生大根を0.3%のクエン酸水溶液に一夜浸漬し、
凍結・解凍・搾りの順番で一連の工程を二回行い、乳糖溶液に投入し水気が
無くなるまで加熱し、米粉をまぶしフライし脱油して大根の薄切りフライを
得る製造方法。
【請求項3】
請求項1並びに請求項2で得られる大根の薄切りフライで、乳糖溶液のお湯
をかつおだし等の調味液にして味付けする、若しくは脱油後に調味料等で味
付けする製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織がパフ化して、フワフワ、サクサクとした食感である事を特徴とする大根の薄切りフライ及びその製造方法に関するものである。
【0002】
この大根の薄切りフライは、極めて小さな多数の気泡を有するスポンジ状の組織(所謂パフの状態)で、また、フワフワ、サクサクとした食感が特徴である、従来に無い全く新規の美味しく手軽に喫食出来る食品を提供する事を目的として開発された。
【背景技術】
【0003】
ポテトチップスに代表される従来の野菜の薄切りフライは、大部分の物で緻密な組織若しくは大きな気泡を含んだ組織をしており、パリパリ、サクサクとした食感をしている。
【0004】
従来の野菜の薄切りフライの製造方法は、野菜をスライスや短冊切り等の薄切りにして、そのまま若しくは加熱して調味や糖置換等の前処理後に常圧若しくは減圧でフライする方法である。また、フライ後に調味料等で味付けをする薄切りフライもある。
【0005】
ポップコーンやポン菓子に代表される従来のパフ系の菓子類は、パフ化した組織で、フワフワとした食感をしている。
【0006】
従来のパフ系の菓子類の製造方法は、乾燥したトウモロコシ、米、玄米並びに小麦等の穀物を原料にして、油脂で炒ったり、パフガンやエクストルーダー等で加圧加熱しパフ化させ、その後味付けや整形して作られている。
【0007】
鋭意研究の結果、従来には無い、全く新規の大根の薄切りフライを発明する事に成功した。この大根の薄切りフライは、野菜類の薄切りフライであるにも関わらず組織がパフ化しており、また、フワフワ、サクサクとした食感を特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
見当たらず。
【非特許文献】
【0009】
見当たらず。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
まず、野菜を美味しく手軽に喫食出来ないかと検討し、そこで野菜のスナック菓子を調査し、既存にポテトチップスのような薄切りフライ品やポン菓子類があると分かった。
【0011】
宮崎県は、全国でも有数の大根の産地で、漬物や干し大根も多く生産されている。そこで、大根漬物の端材や生大根を原料にして美味しく手軽に喫食出来る食品を開発しようと研究を実施した。
【課題を解決するための手段】
【0012】
鋭意研究の結果、大根漬物の端材や生大根を原料にした薄切りフライで、パフ化した組織で、フワフワ、サクサクとした食感の美味しく手軽に喫食出来る新規の食品を発明するに至った。
【発明の効果】
【0013】
この大根の薄切りフライは、野菜類の薄切りフライであるにも関わらず組織がフワフワ、サクサクとした食感で、美味しく手軽に喫食出来る事を特徴とする。
【実施例1】
【0014】
代表的な大根漬物の一つである沢庵漬けは、一般的に大根→塩漬け→洗浄→脱塩→圧搾→冷凍保管→整形→本漬け→カット→包装の工程等で製造されている。この工程の整形時に大根の細い部分等の規格外の部分が切除される。
【0015】
整形工程で切除された端材を四つ割り後1mmスライスの銀杏切りにして、凍結した物を原料に供する。
【0016】
上記の冷凍原料100gを加温解凍する。
【0017】
お湯62gに乳糖6〜12gを溶かす。
【0018】
上記の乳糖溶液に原料100gを投入し、加熱混合しながら水気が無くなるまで加熱する。
【0019】
上記の加熱した物に米粉8〜12gを混合する。
【0020】
上記の米粉を混合した物を1リットルの約140℃の植物油で揚げる。
【0021】
上記の揚げた物を遠心分離機で脱油し、完成品40gが得られる。
【0022】
尚、0017のお湯がかつおだし等の調味液でも良く、また、0021の完成品に調味料をまぶして仕上げても構わない。
【実施例2】
【0023】
生大根600gを四つ割り後2mmスライスの銀杏切りにする。
【0024】
上記の銀杏切りにした大根を0.3%のクエン酸水溶液1リットルに一夜浸漬する。
【0025】
上記の浸漬した大根を水切りし、凍結する。
【0026】
上記の冷凍大根を水に入れ解凍し、大根を搾り水気を切り再度凍結する。
【0027】
上記の冷凍大根を水に入れ再度解凍し、大根を搾り水気を切り100gを得る。
【0028】
お湯62gに乳糖6〜12gを溶かす。
【0029】
上記の乳糖溶液に0027で得られた大根100gを投入し、加熱混合しながら水気が無くなるまで加熱する。
【0030】
上記の加熱した物に米粉8〜12gを混合する。
【0031】
上記の米粉を混合した物を1リットルの約140℃の植物油で揚げる。
【0032】
上記の揚げた物を遠心分離機で脱油し、完成品54gが得られる。
【0033】
尚、0028のお湯がかつおだし等の調味液でも良く、また、0032の完成品に調味料をまぶして仕上げても構わない。
【実施例3】
【0034】
生大根を四つ割りにし1mmスライスの銀杏切りにした後、米粉をまぶし植物油で揚げ、脱油した物を対照区にした。
【0035】
対照区と実施例1並びに実施例2で出来た区を三名のモニターで官能比較した。
【0036】
その結果、対照区は緻密な組織でパリパリした硬い食感であったが、実施例1と実施例2で得られた物は、極めて小さな多数の気泡を有する組織でフワフワ、サクサクとした、対照区とは全く異なる組織、食感である事が確認できた。