【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、以下の(1)〜(3)から選ばれるいずれか1項の肺高血圧症を治療
及び/又は予防する医薬品の調製における用途に関する。
(1)カンナビジオール又はその薬学的に許容可能な塩又はエステル、
(2)カンナビジオールを含有する植物抽出物、好ましくは、大麻抽出物、たとえば産業
用大麻抽出物、及び
(3)カンナビジオール又はその薬学的に許容可能な塩又はエステル、及び1種以上の薬
学的に許容可能な補助材を含有する医薬品組成物。
【0010】
本発明の一実施態様では、前記用途において、前記肺高血圧症は、原発性肺高血圧症又は
二次性肺高血圧症、好ましくは、肺動脈性肺高血圧症(たとえば、特発性肺高血圧症、遺
伝性肺高血圧症、医薬品及び毒物により引き起こされる肺高血圧症又は新生児持続性肺高
血圧症)、左心疾患関連肺高血圧症(たとえば、収縮期心不全により引き起こされる肺高
血圧症、拡張機能障害により引き起こされる肺高血圧症、弁膜症により引き起こされる肺
高血圧症)、肺疾患により引き起こされる肺高血圧症(たとえば、慢性閉塞性肺疾患によ
り引き起こされる肺高血圧症、肺気腫により引き起こされる肺高血圧症又は間質性肺疾患
により引き起こされる肺高血圧症)、低酸素血症により引き起こされる肺高血圧症(たと
えば、睡眠時無呼吸症候群により引き起こされる肺高血圧症、慢性高山病により引き起こ
される肺高血圧症、たとえば高地心臓病)又は慢性血栓塞栓性肺高血圧症、より好ましく
は、低酸素血症により引き起こされる肺高血圧症である。
【0011】
カンナビジオール(Cannabidiol、 CBD)は、カンナビノイドのうちの1
種であり、その構造式が以下の式Iに示される。
式I
前記カンナビジオールである式I化合物は、市販品として購入でき(たとえば、Sigm
aなどから購入)又は市販原料を用いて従来技術により合成することができる。合成後、
カラムクロマトグラフィー法、液液抽出法、分子蒸留方法又は結晶化などの方法によりさ
らに精製し得る。また、カンナビジオールは、大麻、特に産業用大麻から抽出されてもよ
い。
【0012】
本発明では、実験により研究したところ、本発明の前記カンナビジオール及び上記化合物
は、低酸素症及び薬物誘導により引き起こされる肺高血圧症動物モデルに対して顕著な治
療作用を有する。
【0013】
カンナビジオールの薬学的に許容可能な塩は、有機アンモニウム塩、アルカリ金属塩(ナ
トリウム塩、カリウム塩)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩、ストロンチウム塩、
カルシウム塩)などを含むが、これらに制限されない。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態では、カンナビジオールの薬学的に許容可能な塩は、カンナ
ビジオール(CBD)と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸
化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化リチウム、水酸化亜鉛、水酸化バリウム、
アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルピリジン、エタノ
ールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、リジン、
アルギニン、オルニチン、コリン、N,N′−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロ
カイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチルアミン、N−メチル
グルコサミンピペラジン、トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタンなどとで形成され
る塩であってもよい。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態では、カンナビジオールの薬学的に許容可能なエステルは、
カンナビジオールと1つのC
0−C
6アルキルカルボン酸とで形成されるモノエステルで
あってもよく、カンナビジオールと同じ又は異なる2つのC
0−C
6アルキルカルボン酸
とで形成されるジエステルであってもよく、前記C
0−C
6アルキルカルボン酸は、直鎖
アルキルカルボン酸、分岐アルキルカルボン酸又は環状アルキルカルボン酸、たとえば、
HCOOH、CH
3COOH、CH
3CH
2COOH、CH
3(CH
2)
2COOH、C
H
3(CH
2)
3COOH、CH
3(CH
2)
4COOH、(CH
3)
2CHCOOH、
(CH
3)
3CCOOH、(CH
3)
2CHCH
2COOH、(CH
3)
2CH(CH
2
)
2COOH、(CH
3)
2CH(CH
3)CHCOOH、(CH
3)
3CCH
2COO
H、CH
3CH
2(CH
3)
2CCOOH、シクロプロパンカルボン酸、シクロブタンカ
ルボン酸、シクロペンタンカルボン酸であってもよい。
【0016】
前記大麻抽出物は、カンナビジオールを含有する大麻、特に産業用大麻的抽出物、たとえ
ば、エタノール抽出液、エキスなどであってもよい。ここで、カンナビジオールの含有量
について特に限定がなく、さらに、当業者が公知する手段、たとえば濃縮などにより大麻
抽出物中のカンナビジオールの含有量をさらに向上することができる。本発明の一実施態
様では、前記大麻抽出物は、エキスであり、好ましくは、カンナビジオールの含有量が1
8%−25%である。
【0017】
本発明の別の態様は、以下の(1)〜(3)から選ばれるいずれか1項の炎症を阻害する
医薬品、炎症性因子の発現を阻害する医薬品又は炎症誘発性遺伝子(たとえば、Mgl
2
遺伝子)の発現を阻害する医薬品の調製における用途に関する。
(1)カンナビジオール又はその薬学的に許容可能な塩又はエステル、
(2)カンナビジオールを含有する植物抽出物、好ましくは、大麻抽出物、及び
(3)カンナビジオール又はその薬学的に許容可能な塩又はエステル、及び1種以上の薬
学的に許容可能な補助材を含有する医薬品組成物。
【0018】
本発明の一実施態様では、前記用途において、前記炎症は、慢性低悪性度炎症である。
【0019】
本発明の一実施態様では、前記用途において、前記炎症性因子は、TNF−α及びIL−
6、特にヒトTNF−α及びヒトIL−6から選ばれる。
【0020】
本発明の別の態様は、カンナビジオール又はその薬学的に許容可能な塩又はエステルを含
み、又はカンナビジオール又はその薬学的に許容可能な塩又はエステルを含有する植物抽
出物(たとえば、大麻抽出物)、及び1種以上の薬学的に許容可能な補助材を含む医薬品
組成物に関する。
【0021】
本発明の一実施態様では、前記医薬品組成物において、カンナビジオールは、唯一の活性
成分である。本発明の別の実施態様では、カンナビジオールと肺高血圧症を予防及び治療
する他の1種以上の既知の活性成分とを併用する。
【0022】
本発明の一実施態様では、前記医薬品組成物において、前記医薬品組成物は、プロスタサ
イクリン類医薬品、エンドセリン受容体拮抗剤、ホスホジエステラーゼ−5阻害剤、可溶
性グアニル酸シクラーゼアゴニスト、5−セロトニン輸送体阻害剤、成長因子阻害剤及び
Rhoキナーゼ阻害剤から選ばれるいずれか1種又は複数種をさらに含む。
【0023】
本発明の一実施態様では、前記医薬品組成物において、
前記プロスタサイクリン類医薬品は、ベラプロスト(Benapnost)、トレプロス
チニル(Treprostinil)、イロプロスト(iloprost)及びベンテイ
ビス(Ventavis)から選ばれるいずれかの1種又は複数種であり、
前記エンドセリン受容体拮抗剤は、ボセンタン(Bosentan)であり、及び/又は
前記ホスホジエステラーゼ−5阻害剤は、シルデナフィル(Sildenafil)、バ
ルデナフィル(Vardenafil)及びタダラフィル(Tadalafil)から選
ばれる。
【0024】
前記医薬品組成物の製剤形態は、任意の薬学的に許容される剤形であってもよく、これら
剤形には、錠剤、糖コーティング錠剤、フィルムコーティング錠剤、腸溶性コーティング
錠剤、カプセル剤、ハードカプセル剤、ソフトカプセル剤、経口液剤、トローチ剤、顆粒
剤、沖剤、丸剤、散剤、膏剤、丹剤、懸濁剤、粉末剤、溶液剤、注射剤、座剤、軟膏剤、
硬膏剤、クリーム剤、噴霧剤、滴剤、貼付剤が含まれ、好ましい経口剤形は、たとえば、
カプセル剤、錠剤、経口液剤、顆粒剤、丸剤、散剤、丹剤、膏剤などである。前記経口剤
形は、一般的に使用されている賦形剤、たとえば粘着剤、充填剤、希釈剤、打錠剤、潤滑
剤、崩壊剤、着色剤、矯味剤及び湿潤剤を含むことができ、必要に応じて錠剤を包衣して
もよい。適切な充填剤には、セルロース、マンニトール、乳糖や他の類似した充填剤が含
まれ、適切な崩壊剤には、澱粉、ポリビニルピロリドン及び澱粉誘導体、たとえば、デン
プングリコール酸ナトリウムが含まれ、適切な潤滑剤には、たとえば、ステアリン酸マグ
ネシウムが含まれる。薬学的に許容可能な適切な湿潤剤には、ドデシル硫酸ナトリウムが
含まれる。
【0025】
好ましくは、前記医薬品組成物は、経口製剤である。本発明者は、試験した結果、前記カ
ンナビジオールを用いて調製される医薬品を肺高血圧症に罹患したマウスに強制経口投与
すると、明らかな治療効果を有する。
【0026】
本発明の前記医薬品組成物の治療及び/又は予防上有効用量は、0.1−200mg/k
g体重/日である。本発明の前記医薬品組成物の有効用量は、好ましくは、0.1−10
0mg/kg体重/日であり、より好ましくは、0.1−50mg/Kg体重/日である
。ヒトに用いられる前記医薬品組成物の推薦される有効用量は、好ましくは、0.1−5
0mg/kg体重/日、より好ましくは、0.5−30mg/Kg体重/日である。前記
「治療及び/又は予防上有効用量」は、関連疾患の単剤又は併用薬による治療に適用でき
る。
【0027】
前記肺高血圧症を治療する医薬品組成物(薬剤)の好適使用方法は、経口であり、好適投
与量は、1日0.5−30mg/Kgである。
【0028】
本発明の別の態様は、製品1及び製品2を含み、
前記製品1は、
(1)カンナビジオール又はその薬学的に許容可能な塩又はエステル、
(2)カンナビジオールを含有する植物抽出物、好ましくは、大麻抽出物、及び
(3)カンナビジオール又はその薬学的に許容可能な塩又はエステル、及び1種以上の薬
学的に許容可能な補助材を含有する医薬品組成物から選ばれるいずれか1項の製品であり
、
前記製品2は、プロスタサイクリン類医薬品、エンドセリン受容体拮抗剤、ホスホジエス
テラーゼ−5阻害剤、可溶性グアニル酸シクラーゼアゴニスト、5−セロトニン輸送体阻
害剤、成長因子阻害剤及びRhoキナーゼ阻害剤から選ばれるいずれか1種又は複数種で
あり、且つ
前記製品1及び製品2は、それぞれ単独で包装され、
好ましくは、前記製品1及び製品2は、いずれも経口製剤の形態である。
本発明の一実施態様では、前記複合製品において、
前記プロスタサイクリン類医薬品は、ベラプロスト(Benapnost)、トレプロス
チニル(Treprostinil)、イロプロスト(iloprost)及びベンテイ
ビス(Ventavis)から選ばれるいずれか1種又は複数種であり、
前記エンドセリン受容体拮抗剤は、ボセンタン(Bosentan)であり、及び/又は
前記ホスホジエステラーゼ−5阻害剤は、シルデナフィル(Sildenafil)、バ
ルデナフィル(Vardenafil)及びタダラフィル(Tadalafil)から選
ばれる。
【0029】
本発明のさらなる態様は、肺高血圧症の治療及び/又は予防するための以下の(1)〜(
3)から選ばれるいずれか1項の製品に関する。
(1)カンナビジオール又はその薬学的に許容可能な塩又はエステル、
(2)カンナビジオールを含有する植物抽出物、好ましくは、大麻抽出物、及び
(3)カンナビジオール又はその薬学的に許容可能な塩又はエステル、及び1種以上の薬
学的に許容可能な補助材を含有する医薬品組成物。
【0030】
本発明の一実施態様では、前記製品において前記肺高血圧症は、原発性肺高血圧症又は二
次性肺高血圧症、好ましくは、肺動脈性肺高血圧症(たとえば、特発性肺高血圧症、遺伝
性肺高血圧症、医薬品及び毒物により引き起こされる肺高血圧症又は新生児持続性肺高血
圧症)、左心疾患関連肺高血圧症(たとえば、収縮期心不全により引き起こされる肺高血
圧症、拡張機能障害により引き起こされる肺高血圧症、弁膜症により引き起こされる肺高
血圧症)、肺疾患により引き起こされる肺高血圧症(たとえば、慢性閉塞性肺疾患により
引き起こされる肺高血圧症、肺気腫により引き起こされる肺高血圧症又は間質性肺疾患に
より引き起こされる肺高血圧症)、低酸素血症により引き起こされる肺高血圧症(たとえ
ば、睡眠時無呼吸症候群により引き起こされる肺高血圧症、慢性高山病により引き起こさ
れる肺高血圧症、たとえば高地心臓病)又は慢性血栓塞栓性肺高血圧症、より好ましくは
、低酸素血症により引き起こされる肺高血圧症である。
【0031】
本発明のさらなる態様は、炎症、炎症性因子の発現又は炎症誘発性遺伝子(たとえば、M
gl
2遺伝子)の発現を阻害する以下の(1)〜(3)から選ばれるいずれか1項の製品
に関する。
(1)カンナビジオール又はその薬学的に許容可能な塩又はエステル、
(2)カンナビジオールを含有する植物抽出物、好ましくは、大麻抽出物、及び
(3)カンナビジオール又はその薬学的に許容可能な塩又はエステル、及び1種以上の薬
学的に許容可能な補助材を含有する医薬品組成物。
本発明の一実施態様では、前記製品において、前記炎症性因子は、TNF−α及びIL−
6、特にヒトTNF−α及びヒトIL−6から選ばれる。
【0032】
本発明のさらなる態様は、ニーズがある受検者に以下の(1)〜(3)から選ばれるいず
れか1項の製品を有効量で投与するステップを含む肺高血圧症を治療及び/又は予防する
方法に関する。
(1)カンナビジオール又はその薬学的に許容可能な塩又はエステル、
(2)カンナビジオールを含有する植物抽出物、好ましくは、大麻抽出物、及び
(3)カンナビジオール又はその薬学的に許容可能な塩又はエステル、及び1種以上の薬
学的に許容可能な補助材を含有する医薬品組成物。
【0033】
本発明の一実施態様では、前記方法において、前記受検者は、哺乳動物、特にヒトである
。
【0034】
本発明の一実施態様では、前記方法において、前記肺高血圧症は、原発性肺高血圧症又は
二次性肺高血圧症、好ましくは、肺動脈性肺高血圧症(たとえば、特発性肺高血圧症、遺
伝性肺高血圧症、医薬品及び毒物により引き起こされる肺高血圧症又は新生児持続性肺高
血圧症)、左心疾患関連肺高血圧症(たとえば、収縮期心不全により引き起こされる肺高
血圧症、拡張機能障害により引き起こされる肺高血圧症、弁膜症により引き起こされる肺
高血圧症)、肺疾患により引き起こされる肺高血圧症(たとえば、慢性閉塞性肺疾患によ
り引き起こされる肺高血圧症、肺気腫により引き起こされる肺高血圧症又は間質性肺疾患
により引き起こされる肺高血圧症)、低酸素血症により引き起こされる肺高血圧症(たと
えば、睡眠時無呼吸症候群により引き起こされる肺高血圧症、慢性高山病により引き起こ
される肺高血圧症、たとえば高地心臓病)又は慢性血栓塞栓性肺高血圧症、より好ましく
は、低酸素血症により引き起こされる肺高血圧症である。
【0035】
本発明のさらなる態様は、ニーズがある受検者に以下の(1)〜(3)から選ばれるいず
れか1項の製品を有効量で投与するステップを含む炎症、炎症性因子の発現又は炎症誘発
性遺伝子(たとえば、Mgl
2遺伝子)の発現を阻害する方法に関する。
(1)カンナビジオール又はその薬学的に許容可能な塩又はエステル、
(2)カンナビジオールを含有する植物抽出物、好ましくは、大麻抽出物、及び
(3)カンナビジオール又はその薬学的に許容可能な塩又はエステル、及び1種以上の薬
学的に許容可能な補助材を含有する医薬品組成物。
【0036】
本発明の一実施態様では、前記方法において、前記炎症は、慢性低悪性度炎症である。
【0037】
本発明の一実施態様では、前記方法において、前記炎症性因子は、TNF−α及びIL−
6から選ばれる。
なお、活性成分であるカンナビジオールの使用量及び使用方法は、患者の年齢、体重、性
別、自然健康状況、栄養状況、化合物の活性強度、投与時間、代謝速度、病症の重篤度及
び治療する医師の主観的判断を含める多数の要因による。カンナビジオールの投与量(有
効量)は、好ましくは、0.1−50mg/kg体重/日、より好ましくは、0.5mg
/kg−30mg/kg体重/日、0.5mg/kg−20mg/kg体重/日、5mg
/kg−30mg/kg体重/日又は5mg/kg−20mg/kg体重/日、さらに好
ましくは、0.5mg/kg−10mg/kg体重/日、特に好ましくは、0.5mg/
kg−5mg/kg体重/日である。好ましくは、経口により投与する。
【0038】
本発明では、用語「有効量」とは、受検者において本発明の前記疾患又は病症を治療、予
防、低減及び/又は緩和することができる投与量である。
【0039】
用語「受検者」とは、患者、又は本発明の組成物を受けて本発明の前記疾患又は病症を治
療、予防、低減及び/又は緩和する他の動物、特に哺乳動物、たとえば、ヒト、イヌ、サ
ル、ウシ、ウマなどであってもよい。
【0040】
用語「疾患及び/又は病症」とは、前記受検者の1つの身体状態であり、この身体状態は
、本発明の前記疾患及び/又は病症に関連する。
【0041】
本発明では、用語「肺高血圧症」は、普通の高血圧とは完全に異なる疾患である。人間の
心臓は、左心系と右心系に分けられ、一般的に言われている高血圧は、全身へ血液を供給
する左心系からの動脈圧が上昇することを意味し、一方、特に肺部へ血液を供給する右心
系からの動脈は、肺動脈と呼ばれ、この動脈圧の上昇は、肺高血圧症と呼ばれる。
【0042】
肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension、PA
H)は、既知又は未知の原因により引き起こされる肺動脈内の圧力が異常に上昇する疾患
又は病態生理学的な症候群であり、肺循環障害及び右心高負荷があり、右心不全、さらに
死亡を引き起こす可能性があり、さらに、PAHの患者は、末期に心臓駆出機能障害のた
めに低血圧を発症する可能性がある。
【0043】
用語「高血圧」(hypertension)とは、全身循環の動脈血圧(収縮期血圧及
び/又は拡張期血圧)の上昇を主な特徴(収縮期血圧≧140mmHg水銀柱、拡張期血
圧≧90mmHg水銀柱)とし、心臓、脳、腎臓などの器官の機能又は器質的損傷が伴い
得る臨床症候群である。
【0044】
用語「TNF−α」とは、腫瘍壊死因子(Tumor necrosis factor
−α)であり、全身性炎症に関するサイトカインであり、急性期反応を引き起こす多数の
サイトカインのうちの1つでもあり、主にマクロファージから分泌される。腫瘍壊死因子
αの主な作用は、免疫細胞の機能を調整することにある。本発明では、特に断らない限り
、TNF−αとは、GenBank登録番号:NP_038721.1に示されるタンパ
ク質、又はそのTNF−α機能を有するフラグメントである。本発明の一実施態様では、
TNF−α遺伝子の核酸配列は、Gene ID:21926又はその縮退配列に示され
るとおりである。
【0045】
用語「IL−6」とは、サイトカインの1種であるインターロイキン6(Interle
ukin 6)であり、インターロイキンの1種である。それは、線維芽細胞、単球/マ
クロファージ、Tリンパ球、Bリンパ球、上皮細胞、ケラチノサイト又は複数種の腫瘍細
胞から生成し得る。インターロイキン6は、免疫反応に関与する細胞を刺激して増殖、分
化を促進してその機能を高めることができる。本発明では、特に断らない限り、IL−6
とは、GenBank登録番号:NP_001300983.1のタンパク質、又はその
IL−6機能を有するフラグメントである。本発明の一実施態様では、IL−6遺伝子の
核酸配列は、Gene ID:16193又はその縮退配列に示されるとおりである。
【0046】
用語「Mgl
2」とは、マクロファージガラクトースN−アセチル−ガラクトサミン特異
的レクチン2(macrophage galactose N−acetyl−gal
actosamine specific lectin 2)である。本発明では、特
に断らない限り、Mgl
2とは、GenBank登録番号:NP_660119.1のタ
ンパク質、又はそのMgl
2機能を有するフラグメントである。本発明の一実施態様では
、Mgl
2遺伝子の核酸配列は、Gene ID:216864又はその縮退配列に示さ
れるとおりである。
【0047】
本発明では、特に断らない限り、前記製品1、製品2は、明瞭さのために過ぎず、順番を
示す意味がない。
【0048】
本発明では、特に断らない限り、大麻は、好ましくは、産業用大麻であり、大麻抽出物は
、好ましくは、産業用大麻抽出物である。