【実施例1】
【0015】
以下、本発明を成形品取出し機に実施した実施例を示す図に従って説明する。
図1に示すように、成形品取出し機1の第1フレーム3は、樹脂成形機(図示せず)の中心軸線と直交方向に延出し、その基台が樹脂成形機の固定プラテン5上面に固定される。該第1フレーム3の上面には該第1フレーム3の長手方向へ延出する第1直動案内装置の一部を構成する一対の第1直線レール7が固定される。該第1直線レール7には第1可動体9が第1直動案内装置の一部を構成する第1直動ガイド11を介して第1直線レール7の長手方向(中心軸線の直交方向)へ往復移動するように支持される。
【0016】
上記第1フレーム3には上記中心軸線方向へ延出する第2フレーム13の基端部が固定され、該第2フレーム13には第2直動案内装置の一部を構成する一対の第2直線レール15が固定される。該第2直線レール15には第2可動体17が第2直動案内装置の一部を構成する第2直動ガイド19を介して第2直線レール15の長手方向(中心軸線方向)へ往復移動するように支持される。
【0017】
上記第2可動体17には下部にチャック21が設けられた第3可動体としての昇降ユニット23が第3直動案内装置の一部を構成する第3直動ガイド25を介して昇降するように支持される。該昇降ユニット23には上下方向へ延出する第3直動案内装置の一部を構成する第3直線レール27が固定され、該第3直線レール27が上記第3直動ガイド25に対して昇降するように支持される。
【0018】
なお、第1及び第2可動体9,17と昇降ユニット23をそれぞれの方向へ移動する駆動手段としては、サーボモータ等の数値制御可能な電動モータ(図示せず)に連結された従来公知の送りねじ機構、ラック・ピニオン機構、ベルト機構等の回転-直線運動機構を採用することにより実現できる。
【0019】
また、上記第1及び第2フレーム3、13と昇降ユニット23は、成形品を取出す際にチャック21を高い位置精度で、かつ高速度で移動させる必要から剛性が高い鋼材(鋼合金を含む)により形成される。
【0020】
第1乃至第3直動案内装置を構成する第1乃至第3直線レール7、15、27及び第1乃至第3直動ガイド11、19.25は、以下のように構成される。なお、説明の都合上、第1直動案内装置を構成する第1直線レール7及び第1直動ガイド11に付いて説明するが、第2及び第3直動案内装置を構成する第2及び第3直線レール15.27と第2及び第3直動ガイド19,25に付いては第1直動案内装置の第1直線レール7及び第1直動ガイド11と同様の構成であるため、その説明を省略する。
【0021】
図2乃至
図4に示すように、上記第1直線レール7は、所定の長さで、長手直交方向断面が方形状からなり、上記第1フレーム3より剛性が低く、従って変形し易く、軽量のアルミニウム材(アルミ合金を含む。)、合成樹脂材、マグネシウム合金等の押出材により形成される。該第1直線レール7の両側面には、長手直交方向断面が半円形状の取付け溝7aが長手方向に亘って形成される。
【0022】
上記第1直線レール7の取付け溝7aには該第1フレーム7より剛性が高く、耐摩耗性に優れた鋼材(鋼合金を含む)の材質で、長手直交方向断面が円形状からなる軌道としての軸材29が、最大で半周分の外周面が長手方向に亘って露出するように挿嵌されて固定される。
【0023】
一方、第1可動体9におけるベース9aの移動方向両端部(移動方向上手側及び下手側)には一対のスタッド31が第1直線レール7を挟んでそれぞれ取り付けられ、相対する各スタッド31にはガイドローラ33が上記軸材29に圧接し、かつ回転可能に軸支される。各ガイドローラ33は、第1フレーム7より剛性が高く、耐摩耗性に優れた鋼材(鋼合金を含む)の材質で、その外周面には第1直線レール7の各側面から露出した上記軸材29の一部外周面に対して少なくとも3点にて当接する縦断面U字状の転動面33aが軸線回りに形成され、各転動面33aが第1直線レール7の各側面から露出した軸材29の一部外周面に圧接される。
【0024】
また、各転動面33aの軸線方向両側に位置するガイドローラ33の外周面には突刺部としての食込み爪33bが軸材29近傍の第1直線レール7側面に突刺するように軸線周りに設けられる。
【0025】
次に、直動案内装置の作用を説明に先立って成形品取出し機1による成形品の取出し作用を説明すると、第1フレーム3に対して第1可動体9を中心軸線と一致する位置に、また第2フレーム13に対して第2可動体17を金型の上方位置に、更に第2可動体17に対して昇降ユニット23が、そのチャック21が上記金型上方にそれぞれ位置するように移動待機される。
【0026】
上記状態にて樹脂成形機から樹脂成形作業の終了に伴って金型の型開動作が完了した際の型開完了信号が成形品取出し機1の制御手段(図示せず)に出力されると、第2フレーム13に対して第2可動体17を型開した金型のパーティング面に相対する前進位置へ移動させると共に第2可動体17の前進動作完了後、または該第2可動体17の前進動作と並行して第2可動体17に対して昇降ユニット23を下降してチャック21を金型のパーティング面に相対させる。
【0027】
第2可動体17が前進位置への移動完了と共に昇降ユニット23が下降完了されると、樹脂成形機の突き出し機構により金型内の成形品をチャック21に向かって突き出して保持させる。該動作後、第2フレーム13に対して第2可動体17を型開した金型のパーティング面から離間する後退位置へ移動して金型内から成形品を抜き出すと共に第2可動体17の後退動作完了後、または該第2可動体17の後退動作と並行して第2可動体17に対して昇降ユニット23を上昇して上方位置へ移動させて成形品を保持したチャック21を金型間から抜き出させる。
【0028】
上記動作後、第1フレーム3に対して第1可動体9を中心軸線と直交する方向へ移動して成形品を保持したチャック21を樹脂成形機の操作側又は反操作側に設定された開放位置へ移動した後に、必要に応じて昇降ユニット23を所定の高さ位置へ下降させた後にチャック21による成形品の保持を解除して取出し動作を終了する。
【0029】
次に、直動案内装置の作用を説明する。なお、以下においては、第1フレーム3に対する第1可動体9の直動案内作用に付いてのみ説明し、第2フレーム13に対する第2可動体17及び第2可動体17に対する昇降ユニット23の直動案内作用に付いては、同様であるため、その説明を省略する。
【0030】
第1フレーム3に対して第1可動体9を、第1直線ガイド11における相対する各一対のガイドローラ33が第1直線レール7の軸材29に圧接するように取り付ける。このとき、ガイドローラ33の食込み爪33bは軸材29の長手直交方向の両側で、取付け溝7a近傍の第1直線レール7側面に圧接して突刺される。
【0031】
上記状態にて、先ず、第1フレーム3に対して第1可動体9が第1フレーム3の長手方向へ移動されると、軸材29に対するガイドローラ33の転動に伴って第1可動体9が直動案内される。このとき、
図5に示すように第1可動体9の移動に伴って転動するガイドローラ33の食込み爪33bが第1直線レール7の側面に突刺した状態で長手方向へ移動して軸材29の長手直交方向両側の取付け溝7a近傍を加圧変形させながら長手方向へ延出する規制溝7bを形成する。これにより取付け溝7aにおける軸材29のかしめ状態を強固にさせる。
【0032】
そして以降の第1可動体9の直線移動時においては、軸材29に対するガイドローラ33の圧接により規制溝7bと取付け溝7a間における第1直線レール7部分が取付け溝7aを拡大させる方向へ変形して取付け溝7a内における軸材29のかしめ状態を弛めようとするが、本例においては、ガイドローラ33の転動時においては規制溝7b内を摺動する食込み爪33bにより軸材29の長手直交方向両側の第1直線レール7部分が取付け溝7aを拡大する方向へ変形するのを規制し、取付け溝7a内における軸材29のかしめ状態を維持し、軸材29が外れるのを規制する。
【0033】
これにより第1フレーム3に対して第1可動体9を高速移動させる場合であっても、長期に亘って高い位置精度で直線移動するように案内することができる。
【0034】
上記説明は、成形品取出し機1において直交三軸方向へ移動する第1及び第2可動体9・17と昇降ユニット29を直動案内する直動案内装置を例に説明したが、本発明は、成形品取出し機に限定されず、可動体を直線移動させる各種直動機構の直動案内装置として実施可能である。
【0035】
上記説明においては、ガイドローラ33の転動面33aを断面U字形とし、軸材29に対して3点で圧接する例を示したが、該転動面としては、断面が半円弧状で、軸材29に対してほぼ全体で圧接する構成としてもよい。
【0036】
上記説明においては、軸材29を長手直交方向断面が円形状としたが、方形状であってもよい。この場合にあっては、ガイドローラ33の転動面33aを断面U字形とすればよい。
【0037】
上記説明は、直線レールの両側面に1本の軸材29をそれぞれ設けると共に外周面に1条の転動面33aが設けられた一対のガイドローラ33を、直線レールを挟んで対向配置する構成としたが、直線レールの両側面に2本以上の軸材29を直線レールの長手直交方向へ適宜の間隔をおいて設けると共に各軸材29に対応する2条以上の転動面33aが設けられた一対のガイドローラ33を、直線レールを挟んで対向配置した構成としてもよい。