【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、樹状細胞が抗原を貪食する際に、ある種の薬物によって外部から樹状細胞に刺激を加えることで、Th2反応を促進し、それによって液性免疫の誘導を促進することができることを発見した。これは、樹状細胞内にシグナル伝達が発生し、それにより樹状細胞が活性化され液性免疫を誘導できるためと考えられ、TLRリガンドによるTLR刺激を介しない反応により、液性免疫の誘導を促進することが可能となった。
具体的には、上記ある種の薬物は、細胞内のシグナル伝達を担う環状AMP(cAMP)の合成を促進させるか、分解を低減させる薬物であってよく、あるいはホスホリパーゼC(PLC)への刺激を抑制する薬物であってよい。
即ち、本発明は、ある種のTh2反応を促進する薬物を、抗原と共に又は別々に、同じ部位に又は別の部位に、直接生体に投与することで、TLRリガンドによるTLR刺激を介しない反応により、抗原特異的な液性免疫を効果的に誘導可能であることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、Th2反応促進剤を含み、上記Th2反応促進剤は、プラゾシン、ピレンゼピン、オキシブチニン、トルテロジン、スコポラミン、
アゼラスチン、レボセチリジン、メキタジン、チオペラミド、サルポグレラート、クロピドグレル、チクロピジン、プラスグレル、アパファント、ナロキソン、ザフィルルカスト、モンテルカスト、プランルカスト、カンデサルタン及びそれらの薬理学的に許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする液性免疫誘導促進用組成物である。
また、本発明は液性免疫誘導のための抗原と、上記液性免疫誘導促進用組成物とを含むことを特徴とするワクチン医薬組成物である。
本発明のワクチン医薬組成物は、体表面上に投与されるものであることが好ましい。
本発明のワクチン医薬組成物は、皮内注射、皮下注射又は筋肉注射により投与されるものであることが好ましい。
以下本発明について詳述する。
【0010】
本発明の液性免疫誘導促進用組成物及びワクチン医薬組成物は、液性免疫誘導のために用いられるものである。
本発明のワクチン医薬組成物は、液性免疫を誘導するための抗原と液性免疫誘導促進用組成物とを組み合わせて用いることにより、効果的に液性免疫を誘導することができる。上記抗原及び上記液性免疫誘導促進用組成物は製剤中に共に含有されていてもよく、別製剤として組み合わせて用いられてもよい。
液性免疫誘導効果を定量的に測定する方法は特に限定されず、様々な方法が開発されているが、例えば、免疫評価用モデル動物を用いた免疫誘導実験及びELISA法(抗原特異的IgG抗体)により測定することができる。液性免疫を測定するためのサンプルとしては、例えば、免疫評価用モデル動物の血液が挙げられる。
【0011】
本明細書において使用するとき、用語「液性免疫誘導促進用組成物」は、共に投与された抗原の液性免疫を誘導する効率を、それなしでの効率と比較して、改善しうるあらゆる物質を意味するものであり、液性免疫誘導を促進する作用機構によって限定されないが、本願明細書で特定されたものを意味する。
【0012】
本明細書において使用するとき、用語「Th2反応促進剤」は、Th0細胞からTh2細胞への分化を誘導し、抗体産生へと導く一連のTh2反応全体を促進する作用を有する物質を意味し、具体的にはcAMPの増加もしくはPLCの抑制を示す効果のある薬物のことである。
【0013】
上記Th2反応促進剤は、ホスホジエステラーゼ阻害剤及び/又はGタンパク質共役型受容体リガンドであることが好ましい。本発明では、任意のGタンパク質共役受容体リガンドを用いうるが、好ましくはGタンパク質共役受容体作動薬及び/又はGタンパク質共役受容体拮抗薬を用いうる。細胞内のcAMP濃度を増加させる手段として、ホスホジエステラーゼ阻害剤もしくはGタンパク質共役受容体に対するリガンドを用いることができ、PLCを抑制する手段として、Gタンパク質共役受容体に対する拮抗薬を用いることができるためである。
【0014】
一つの好ましい態様において、上記液性免疫誘導促進用組成物は、環状AMP(cAMP)の合成を促進させる薬物が、アドレナリン受容体リガンド、ムスカリン受容体リガンド、ドパミン受容体リガンド、ヒスタミン受容体リガンド、セロトニン受容体リガンド及びバソプレシン受容体リガンドからなる群より選択される少なくとも一種であり、環状AMP(cAMP)の分解を低減させる薬物が、ホスホジエステラーゼ阻害剤、アドレナリン受容体リガンド、ムスカリン受容体リガンド、ドパミン受容体リガンド、ヒスタミン受容体リガンド、セロトニン受容体リガンド、PAF受容体リガンド、プリン受容体リガンド、オピオイド受容体リガンド、ロイコトリエン受容体リガンド及びアンジオテンシン受容体リガンドからなる群より選択される少なくとも一種であり、ホスホリパーゼC(PLC)への刺激を抑制させる薬物が、アドレナリン受容体リガンド、ムスカリン受容体リガンド、ヒスタミン受容体リガンド、セロトニン受容体リガンド、PAF受容体リガンド、バソプレシン受容体リガンド、ロイコトリエン受容体リガンド及びアンジオテンシン受容体リガンドからなる群より選択される少なくとも一種である上記Th2反応促進剤を含有する。
【0015】
本明細書において使用するとき、用語「ホスホジエステラーゼ阻害剤」は、cAMPを分解するホスホジエステラーゼ(PDE)の機能を阻害する物質を意味する。以下、「PDE阻害剤」とも称する。PDE阻害剤には、特定のホスホジエステラーゼ(例えばPDE1、PDE2等、複数のsubtypeが存在する)に選択的に作用するものや、選択性を有しないものがある。本発明において用いうるPDE阻害剤としては、アミノフィリン、テオフィリン、ペントキシフィリン、プロキシフィリン、カフェイン、IBMX、レスベラトロール、ビンポセチン、EHNA、アムリノン、ミルリノン、オロプリノン、シロスタゾール、エノキシモン、ピモベンダン、ベスナリノン、ブクラデシン、クアノジン、トレキンジン、アナグレリド、シロスタミド、シグアゾダン、ザルダベリン、KMUP−1、RPL−554、ロリプラム、ロフルミラスト、シロミラスト、アロフィリン、イブジラスト、デンブチリン、ドロタベリン、エタゾレート、フィラミナスト、グラウシン、イルソグラシン、メセンブリン、ピクラミラスト、OPC6535、R020‐1724、CP−80633、HT−0712、ICI−63197、RPL−554、YM−976、ASB16165、BRL50481、パパベリン、トフィソパム、SCH51866、ジピリダモール、Zaprinastおよびそれらの誘導体、ならびにそれらの薬理学的に許容される塩などが挙げられる。本発明の好ましい態様において、PDE阻害剤は、レスベラトロール、ビンポセチン、EHNA、シロスタゾール、ピモベンダン、BRL50481および/またはジピリダモールである。
【0016】
本明細書において使用するとき、用語「Gタンパク質共役受容体(GPCR)」は、細胞膜に局在する7回貫通型受容体であり、細胞外の神経伝達物質などを介して情報伝達を行う際に、細胞膜の内側に位置するGタンパク質と共役してシグナル伝達を行う物質を意味する。Gタンパク質はGα、Gβ、Gγの三量体タンパク質から成り、GPCRにリガンドが結合すると、GPCR、GαおよびGβγ複合体に分離する。このうちGαがcAMPの増加やPLCの活性化に関与している。Gαには大きく分けて3つのサブユニットがあり、アデニル酸シクラーゼを活性化してcAMPの合成を促進させるGs、もしくは抑制するGi、およびPLCを活性化させるGqが挙げられる。つまり、cAMPを増加させるためにはGs共役GPCRの作動薬、もしくはGi共役GPCRの拮抗薬を、PLC活性化を抑制するためにはGq共役GPCRの拮抗薬を用いることになる。
本発明において上記Gタンパク質共役受容体に対する作動薬及び上記Gタンパク質共役受容体に対する拮抗薬は、アドレナリン受容体作動薬、アドレナリン受容体拮抗薬、ムスカリン受容体作動薬、ムスカリン受容体拮抗薬、ドパミン受容体作動薬、ドパミン受容体拮抗薬、ヒスタミン受容体作動薬、ヒスタミン受容体拮抗薬、セロトニン受容体作動薬、セロトニン受容体拮抗薬、PAF受容体拮抗薬、プリン受容体拮抗薬、バソプレシン受容体作動薬、バソプレシン受容体拮抗薬、オピオイド受容体拮抗薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬及びアンジオテンシン受容体拮抗薬からなる群より選択される少なくとも一種である。Th2反応促進のためのGPCRの種類とサブタイプ、Gα、作動/拮抗薬との関係について表1に示した。
【0017】
【表1】
【0018】
本発明では、任意のアドレナリン受容体リガンドを用いうるが、好ましくはアドレナリン受容体作動薬及び/又はアドレナリン受容体拮抗薬を用いうる。本明細書において使用するとき、用語「アドレナリン受容体作動薬」は、当該物質自体がアドレナリン受容体に作用する機能を有する物質を意味し、例えばβ1受容体作動薬、β2受容体作動薬、β3受容体作動薬である。アドレナリン受容体のサブタイプのうち、β1、β2およびβ3はGsと共役している。
また、本明細書において使用するとき、用語「アドレナリン受容体拮抗薬」は、当該物質自体がアドレナリン受容体への作用を阻害する機能を有する物質を意味し、例えばα1受容体拮抗薬、α2受容体拮抗薬である。アドレナリン受容体のサブタイプのうち、α1はGq、α2はGiと共役している。
【0019】
本明細書において使用するとき、用語「β1受容体作動薬」は、当該物質自体がβ1受容体に作用する機能を有する物質を意味する。用語「β2受容体作動薬」は、当該物質自体がβ2受容体に作用する機能を有する物質を意味する。用語「β3受容体作動薬」は、当該物質自体がβ3受容体に作用する機能を有する物質を意味する。β1受容体作動薬、β2受容体作動薬、および/またはβ3受容体作動薬としては、イソプレナリン、ドブタミン、エフェドリン、シマテロール、デノパミン、ジピベフリン、イソクスプリン、リトドリン、フェノテロール、オルシプレナリン、サルブタモール、テルブタリン、トリメトキノール、ツロブテロール、サルメテロール、ホルモテロール、クレンブテロール、プロカテロール、インダカテロール、メトキシフェナミン、クロルプレナリン、レバルブテロール、Zinterol、アミベグロン、ミラベグロン、リトベグロン、ソラベグロン、BRL 37344、CL 316243、ICI 215001、SR 58611A、ZD 2079、ZD 7114およびそれらの誘導体、ならびにそれらの薬理学的に許容される塩などが挙げられる。
【0020】
本明細書において使用するとき、用語「α1受容体拮抗薬」は、当該物質自体がα1受容体への作用を阻害する機能を有する物質を意味する。用語「α2受容体拮抗薬」は、当該物質自体がα2受容体への作用を阻害する機能を有する物質を意味する。α1受容体拮抗薬及び/又はα2受容体拮抗薬としては、タムスロシン、プラゾシン、インドラミン、トリマゾシン、ドキサゾシン、ウラピジル、ケタンセリン、フェントラミン、トラゾリン、ニセルゴリン、モキシシリト、イフェンプロジル、アルフゾシン、テラゾシン、シロドシン、エルゴタミン、リスペリドン、ミアンセリン、ブナゾシン、セチプチリン、BE 2254、2−MPMDQ、2−PMDQ、Rec 15/2615、RS 100329、RS 17053、SNAP 5089、WB 4101、イミロキサン、フェノキシベンザミン、ヨヒンビン、クロルプロマジン、アセナピン、ミルタザピン、アプタザピン、アチパメゾール、デレクァミン、セチプチリン、A 80426、ARC 239、BRL 44408、Efaroxan、Idazoxan、Imiloxan、JP 1302、Rauwolscine、RS 79948、RX 821002、SKF 86466、Spiroxatrineおよびそれらの誘導体、ならびにそれらの薬理学的に許容される塩などが挙げられる。
【0021】
本発明では、任意のムスカリン受容体リガンドを用いうるが、好ましくはムスカリン受容体拮抗薬を用いうる。
本明細書において使用するとき、用語「ムスカリン受容体拮抗薬」は、当該物質がムスカリン受容体への作用を阻害する機能を有する物質を意味し、例えばM1受容体拮抗薬、M2受容体拮抗薬、M3受容体拮抗薬、M4受容体拮抗薬、M5受容体拮抗薬である。ムスカリン受容体のサブタイプのうち、M1、M3およびM5はGq、M2およびM4はGiと共役している。
【0022】
本明細書において使用するとき、用語「M1受容体拮抗薬」は、当該物質自体がM1受容体への作用を阻害する機能を有する物質を意味する。用語「M2受容体拮抗薬」は、当該物質自体がM2受容体への作用を阻害する機能を有する物質を意味する。用語「M3受容体拮抗薬」は、当該物質自体がM3受容体への作用を阻害する機能を有する物質を意味する。用語「M4受容体拮抗薬」は、当該物質自体がM4受容体への作用を阻害する機能を有する物質を意味する。用語「M5受容体拮抗薬」は、当該物質自体がM5受容体への作用を阻害する機能を有する物質を意味する。M1受容体拮抗薬、M2受容体拮抗薬、M3受容体拮抗薬、M4受容体拮抗薬および/またはM5受容体拮抗薬としては、トリメブチン、ピペリドレート、プロパンテリン、メタンテリニウム、トリジヘキセチル、イソプロパミド、ヘキソシクリウム、メペンゾラート、チエモニウム、プリフィニウム、チメピジウム、スコポラミン、アトロピン、ヒヨスチアミン、フェントニウム、シメトロピウム、プロピベリン、トロスピウム、フェソテロジン、オルフェナドリン、トリヘキシフェニジル、メチキセン、プロシクリジン、プロフェナミン、デキセチミド、マザチコール、ベンツトロピン、エチベンズトロピン、イプラトロピウム、オキシトロピウム、シクロペントラート、ホマトロピン、アクリジニウム、ベンゼチミド、ブトロピウム、ダロトロピウム、ジフェニルピペリジノメチルジオキソラン、ジポニウム、エトミドリン、ユーカトロピン、フルトロピウム、メチルベナクチジウム、メチルオクタトロピン、オキサピウム、ピペタナート、ピロヘプチン、ウメクリジニウム、バレタメート、ピレンゼピン、ジシクロベリン、ジサイクロミン、アコチアミド、イミダフェナシン、ビペリデン、Nitrocaramiphen、Telenzepine、VU 0255035、オキシブチニン、エスオキシブチニン、トリピトラミン、ジメチンデン、AF−DX 116、AF−DX 384、AQ−RA 741、オキシフェンサイクリミン、カミロフィン、グリコピロニウム、トルテロジン、ソリフェナシン、ダリフェナシン、チオトロピウム、チキジウム、4−DAMP、DAU 5884 hydrochloride、J 104129 fumarate、Zamifenacin、トロピカミド、PD 102807およびそれらの誘導体、ならびにそれらの薬理学的に許容される塩などが挙げられる。
【0023】
本発明では、任意のドパミン受容体リガンドを用いうるが、好ましくはドパミン受容体作動薬及び/又はドパミン受容体拮抗薬を用いうる。
本明細書において使用するとき、用語「ドパミン受容体作動薬」は当該物質自体がドパミン受容体に作用する機能を有する物質を意味し、例えばD1受容体作動薬、D5受容体作動薬である。ドパミン受容体のサブタイプのうち、D1およびD5はGsと共役している。
また、本明細書において使用するとき、用語「ドパミン受容体拮抗薬」は、当該物質自体がドパミン受容体への作用を阻害する機能を有する物質を意味し、例えばD2受容体拮抗薬、D3受容体拮抗薬、D4受容体拮抗薬である。ドパミン受容体のサブタイプのうち、D2、D3およびD4はGiと共役している。
【0024】
本明細書において使用するとき、用語「D1受容体作動薬」は、当該物質自体がD1受容体に作用する機能を有する物質を意味する。用語「D5受容体作動薬」は、当該物質自体がD5受容体に作用する機能を有する物質を意味する。D1受容体作動薬および/またはD5受容体作動薬としては、フェノルドパム、アドロゴリド、A 68930 hydrochloride、A 77636 hydrochloride、CY 208−243、Dihydrexidine hydrochloride、SKF 81297 hydrobromide、SKF 83822 hydrobromideおよびそれらの誘導体、ならびにそれらの薬理学的に許容される塩などが挙げられる。
【0025】
本明細書において使用するとき、用語「D2受容体拮抗薬」は、当該物質自体がD2受容体への作用を阻害する機能を有する物質を意味する。用語「D3受容体拮抗薬」は、当該物質自体がD3受容体への作用を阻害する機能を有する物質を意味する。用語「D4受容体拮抗薬」は、当該物質自体がD4受容体への作用を阻害する機能を有する物質を意味する。D2受容体拮抗薬、D3受容体拮抗薬および/またはD4受容体拮抗薬としては、メトクロプラミド、ドンペリドン、ブロモプリド、アリザプリド、メトピマジン、クロルプロマジン、レボメプロマジン、プロマジン、トリフルプロマジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、チオリダジン、ハロペリドール、トリフルペリドール、モペロン、ピパンペロン、ブロムペリドール、ドロペリドール、モリンドン、セルチンドール、ジプラシドン、ピモジド、ロキサピン、クロザピン、オランザピン、クエチアピン、アセナピン、スルピリド、スルトプリド、チアプリド、レモキシプリド、レボスルピリド、リスペリドン、モサプラミン、ゾテピン、パリペリドン、オピプラモール、アプリドア、ビフェプルノクス、ブロナンセリン、カリプラジン、クロカプラミン、イロペリドン、マザペルチン、メトキシプロマジンマレアート、ネモナプリド、ペロスピロン、ピキンドン、スピペロン、チミペロン、チオスピロン、ラクロプリド、Eticlopride hydrochloride、GR 103691、Nafadotride、NGB 2904、PG 01037 dihydrochloride、PNU 177864 hydrochloride、SB 277011A dihydrochloride、U 99194 maleate、ファナンセリン、ソネピプラゾール、L−741,742 hydrochloride、L−745,870 trihydrochloride、PD 168568 dihydrochloride、PNU 96415Eおよびそれらの誘導体、ならびにそれらの薬理学的に許容される塩などが挙げられる。
【0026】
本発明では、任意のヒスタミン受容体リガンドを用いうるが、好ましくはヒスタミン受容体作動薬及び/又はヒスタミン受容体拮抗薬を用いうる。
本明細書において使用するとき、用語「ヒスタミン受容体作動薬」は、当該物質自体がヒスタミン受容体に作用する機能を有する物質を意味し、例えばH2受容体作動薬である。ヒスタミン受容体のサブタイプのうち、H2はGsと共役している。
また、本明細書において使用するとき、用語「ヒスタミン受容体拮抗薬」は、当該物質自体がヒスタミン受容体への作用を阻害する機能を有する物質を意味し、例えばH1受容体拮抗薬、H3受容体拮抗薬、H4受容体拮抗薬である。ヒスタミン受容体のサブタイプのうち、H1はGq、H3およびH4はGiと共役している。
【0027】
本明細書において使用するとき、用語「H2受容体作動薬」は、当該物質自体がH2受容体に作用する機能を有する物質を意味する。H2受容体作動薬としては、塩酸インプロミジン、Amthamine dihydrobromide、Dimaprit dihydrochloride、HTMT dimaleateおよびそれらの誘導体、ならびにそれらの薬理学的に許容される塩などが挙げられる。
【0028】
本明細書において使用するとき、用語「H1受容体拮抗薬」は、当該物質自体がH1受容体への作用を阻害する機能を有する物質を意味する。用語「H3受容体拮抗薬」は、当該物質自体がH3受容体への作用を阻害する機能を有する物質を意味する。用語「H4受容体拮抗薬」は、当該物質自体がH4受容体への作用を阻害する機能を有する物質を意味する。H1受容体拮抗薬、H3受容体拮抗薬および/またはH4受容体拮抗薬としては、ケタンセリン、トンジルアミン、メピラミン、トリペレンナミン、プロメタジン、ジメチンデン、クレマスチン、バミピン、イソチペンジル、ジフェンヒドラミン、クロルフェノキサミン、ジメトチアジン、ヒドロキシジン、シンナリジン、レボカバスチン、アゼラスチン、アンタゾリン、オロパタジン、ジフェニルピラリン、カルビノキサミン、ドキシラミン、ブロムフェニラミン、デクスクロルフェニラミン、クロルフェナミン、フェニラミン、アリメマジン、メキタジン、シクリジン、メクロジン、オキサトミド、セチリジン、レボセチリジン、シプロヘプタジン、フェニンダミン、トリプロリジン、アザタジン、アステミゾール、ロラタジン、ケトチフェン、アクリバスチン、エバスチン、エピナスチン、フェキソフェナジン、デスロラタジン、ルパタジン、ビラスチン、エメダスチン、アルカフタジン、ベポタスチン、ジメンヒドリナート、ジオキソプロメタジン、ホモクロルシクリジン、イコチジン、ミゾラスチン、ノベラスチン、ロカスチン、テカステミゾール、テメラスチン、イルダビサント、ベタヒスチン、チオペラミド、BF 2649 hydrochloride、Burimamide oxalate、Carcinine ditrifluoroacetate、Clobenpropit dihydrobromide、Conessine、GT 2016、Impentamine dihydrobromide、Iodophenpropit dihydrobromide、JNJ 10181457 dihydrochloride、JNJ 5207852 dihydrochloride、ROS 234 dioxalate、SEN 12333、VUF 5681 dihydrobromide、A 943931 dihydrochloride、A 987306、JNJ 10191584 maleate、JNJ 7777120およびそれらの誘導体、ならびにそれらの薬理学的に許容される塩などが挙げられる。
【0029】
本発明では、任意のセロトニン受容体リガンドを用いうるが、好ましくはセロトニン受容体作動薬及び/又はセロトニン受容体拮抗薬を用いうる。
本明細書において使用するとき、用語「セロトニン受容体作動薬」は、当該物質自体がセロトニン受容体に作用する機能を有する物質を意味し、例えば、5−HT4受容体作動薬、5−HT6受容体作動薬、5−HT7受容体作動薬である。セロトニン受容体のサブタイプのうち、5−HT4、5−HT6、5−HT7はGsと共役している。
また、本明細書において使用するとき、用語「セロトニン受容体拮抗薬」は、当該物質自体がセロトニン受容体への作用を阻害する機能を有する物質を意味し、例えば、5−HT1受容体拮抗薬、5−HT2受容体拮抗薬、5−HT5受容体拮抗薬である。セロトニン受容体のサブタイプのうち、5−HT1および5−HT5はGi、5−HT2はGqと共役している。
【0030】
本明細書において使用するとき、用語「5−HT4受容体作動薬」は、当該物質自体が5−HT4受容体に作用する機能を有する物質を意味する。用語「5−HT6受容体作動薬」は、当該物質自体が5−HT6受容体に作用する機能を有する物質を意味する。用語「5−HT7受容体作動薬」は、当該物質自体が5−HT7受容体に作用する機能を有する物質を意味する。5−HT4受容体作動薬、5−HT6受容体作動薬および/または5−HT7受容体作動薬としては、テガセロド、プルカロプリド、シサプリド、モサプリド、ナロナプリド、レンザプリド、ベルセトラグ、ザコプリド、BIMU 8、benzothiazole、EMD 386088、EMDT、ST 1936、WAY 208466、AS 19、LP 12、LP 44およびそれらの誘導体、ならびにそれらの薬理学的に許容される塩などが挙げられる。
【0031】
本明細書において使用するとき、用語「5−HT1受容体拮抗薬」は、当該物質自体が5−HT1受容体への作用を阻害する機能を有する物質を意味する。用語「5−HT2受容体拮抗薬」は、当該物質自体が5−HT2受容体への作用を阻害する機能を有する物質を意味する。用語「5−HT5受容体拮抗薬」は、当該物質自体が5−HT5受容体への作用を阻害する機能を有する物質を意味する。5−HT1受容体拮抗薬、5−HT2受容体拮抗薬および/または5−HT5受容体拮抗薬としては、エルザソナン、レコゾタン、Alprenolol、Cyanopindolol、MM 77、NAD 299、NAN−190、Pindolol、SDZ 21009、Spiroxatrine、(S)−WAY 100135、WAY 100635、GR 127935、GR 55562、Isamoltane、LY 393558、NAS−181、SB 216641、SB 224289、BRL 15572、LY 310762、ジメトチアジン、レボメプロマジン、アセナピン、クロルプロマジン、ジプラシドン、オピプラモール、ミアンセリン、ミルタザピン、シナンセリン、グレマンセリン、メトレンペロン、ペランセリン、セチプチリン、トロパンセリン、ケタンセリン、ナフチドロフリル、ピゾチフェン、リスペリドン、ピパンペロン、セルチンドール、クロザピン、オランザピン、クエチアピン、モサプラミン、ゾテピン、パリペリドン、トラゾドン、ネファゾドン、アルタンセリン、アメセルギド、ブロナンセリン、エプリバンセリン、ファナンセリン、イロペリドン、ルバゾドン、ペロスピロン、ピマバンセリン、プルバンセリン、リタンセリン、サルポグレラート、スピペロン、テマノグレル、AT 1015、Dimethyltryptamine、DV 7028、EMD 281014、4F 4PP、MDL 11,939、Melperone、Mesulergine、ATC 0175、LY 266097、LY 272015、RS 127445、SB 200646、SB 204741、SB 206553、SB 221284、SB 228357、SDZ SER 082、メチセルジド、アゴメラチン、テダチオキセチン、RS 102221、S 32212、SB 242084、SB 243213およびそれらの誘導体、ならびにそれらの薬理学的に許容される塩などが挙げられる。
【0032】
本発明では、任意のPAF受容体リガンドを用いうるが、好ましくはPAF受容体拮抗薬を用いうる。
本明細書において使用するとき、用語「PAF受容体拮抗薬」は、当該物質自体がPAF(血小板活性化因子、Platelet−Activating Factor)受容体への作用を阻害する機能を有する物質を意味する。PAF受容体拮抗薬としてはアパファント、イスラパファント、レキシパファント、Ginkgolide B、PCA 4248およびそれらの誘導体、ならびにそれらの薬理学的に許容される塩などが挙げられる。PAF受容体はGiおよびGqと共役している。
【0033】
本発明では、任意のプリン受容体リガンドを用いうるが、好ましくはプリン受容体拮抗薬を用いうる。
本明細書において使用するとき、用語「プリン受容体拮抗薬」は、当該物質自体がプリン受容体への作用を阻害する機能を有する物質を意味し、例えばP2Y12受容体拮抗薬である。プリン受容体のサブタイプのうち、P2Y12はGiと共役している。
【0034】
本明細書において使用するとき、用語「P2Y12受容体拮抗薬」は、当該物質自体がP2Y12受容体への作用を阻害する機能を有する物質を意味する。P2Y12受容体拮抗薬としてはクロピドグレル、チクロピジン、プラスグレル、チカグレロル、カングレロール、エリノグレルおよびそれらの誘導体、ならびにそれらの薬理学的に許容される塩などが挙げられる。
【0035】
本発明では、任意のバソプレシン受容体リガンドを用いうるが、好ましくはバソプレシン受容体作動薬及び/又はバソプレシン受容体拮抗薬を用いうる。
本明細書において使用するとき、用語「バソプレシン受容体作動薬」は、当該物質自体がバソプレシン受容体に作用する機能を有する物質を意味し、例えばV2受容体作動薬である。バソプレシン受容体のサブタイプのうち、V2はGsと共役している。
また、本明細書において使用するとき、用語「バソプレシン受容体拮抗薬」は、当該物質自体がバソプレシン受容体への作用を阻害する機能を有する物質を意味し、例えばV1受容体拮抗薬である。バソプレシン受容体のサブタイプのうち、V1はGqと共役している。
【0036】
本明細書において使用するとき、用語「V2受容体作動薬」は、当該物質自体がV2受容体に作用する機能を有する物質を意味する。V2受容体作動薬としては、バソプレシン、デスモプレシン、ライプレシン、テルリプレシン、オルニプレシン、アルギプレシンおよびそれらの誘導体、ならびにそれらの薬理学的に許容される塩などが挙げられる。
【0037】
本明細書において使用するとき、用語「V1受容体拮抗薬」は、当該物質自体がV1受容体への作用を阻害する機能を有する物質を意味する。V1受容体拮抗薬としては、OPC 21268、SR 49059およびそれらの誘導体、ならびにそれらの薬理学的に許容される塩などが挙げられる。
【0038】
本発明では、任意のオピオイド受容体リガンドを用いうるが、好ましくはオピオイド受容体拮抗薬を用いうる。
本明細書において使用するとき、用語「オピオイド受容体拮抗薬」は、当該物質自体がオピオイド受容体への作用を阻害する機能を有する物質を意味し、例えばμ受容体拮抗薬、κ受容体拮抗薬、δ受容体拮抗薬である。オピオイド受容体のサブタイプのうち、μ、κ、δはGiと共役している。
【0039】
本明細書において使用するとき、用語「μ受容体拮抗薬」は、当該物質自体がμ受容体への作用を阻害する機能を有する物質を意味する。本明細書において使用するとき、用語「κ受容体拮抗薬」は、当該物質自体がκ受容体への作用を阻害する機能を有する物質を意味する。本明細書において使用するとき、用語「δ受容体拮抗薬」は、当該物質自体がδ受容体への作用を阻害する機能を有する物質を意味する。μ受容体拮抗薬、κ受容体拮抗薬および/またはδ受容体拮抗薬としては、アルビモパン、ナルブフィン、ナルトレキソン、ナロルフィン、ナロキソン、シクラゾシン、エプタゾシン、ナルデメジン、クァダゾシン、Clocinnamox、Cyprodime、β−Funaltrexamine、Naloxonazine、Binaltorphimine、DIPPA、GNTI、ML 190、リムカゾール、Benzylnaltrindole、BNTX、Naltriben、Naltrindole、SDM25Nおよびそれらの誘導体、ならびにそれらの薬理学的に許容される塩などが挙げられる。
【0040】
本発明では、任意のロイコトリエン受容体リガンドを用いうるが、好ましくはロイコトリエン受容体拮抗薬を用いうる。
本明細書において使用するとき、用語「ロイコトリエン受容体拮抗薬」は、当該物質自体がロイコトリエン受容体への作用を阻害する機能を有する物質を意味し、例えばBLT受容体拮抗薬、CysLT受容体拮抗薬である。ロイコトリエン受容体のサブタイプのうち、BLT、CysLTはGiおよびGqと共役している。
【0041】
本明細書において使用するとき、用語「BLT受容体拮抗薬」は、当該物質自体がBLT受容体への作用を阻害する機能を有する物質を意味する。本明細書において使用するとき、用語「CysLT受容体拮抗薬」は、当該物質自体がCysLT受容体への作用を阻害する機能を有する物質を意味する。BLT受容体拮抗薬、および/またはCysLT受容体拮抗薬としては、LY 255283、ザフィルルカスト、プランルカスト、モンテルカスト、アブルカスト、ポビルカストエダミン、リトルカスト、スルカスト、チペルカスト、トメルカスト、ベルルカストおよびそれらの誘導体、ならびにそれらの薬理学的に許容される塩などが挙げられる。
【0042】
本発明では、任意のアンジオテンシン受容体リガンドを用いうるが、好ましくはアンジオテンシン受容体拮抗薬を用いうる。
本明細書において使用するとき、用語「アンジオテンシン受容体拮抗薬」は、当該物質自体がアンジオテンシン受容体への作用を阻害する機能を有する物質を意味し、例えばAT1受容体拮抗薬、AT2受容体拮抗薬である。アンジオテンシン受容体のサブタイプのうち、AT1はGq、AT2はGiと共役している。
【0043】
本明細書において使用するとき、用語「AT1受容体拮抗薬」は、当該物質自体がAT1受容体への作用を阻害する機能を有する物質を意味する。本明細書において使用するとき、用語「AT2受容体拮抗薬」は、当該物質自体がAT2受容体への作用を阻害する機能を有する物質を意味する。AT1受容体拮抗薬、および/またはAT2受容体拮抗薬としてはロサルタンカリウム、エプロサルタン、バルサルタン、イルベサルタン、カンデサルタン、テルミサルタン、オルメサルタン、アジルサルタン、フォラサルタン、酢酸サララシン、PD 123319 およびそれらの誘導体、ならびにそれらの薬理学的に許容される塩などが挙げられる。
【0044】
本発明のワクチン医薬組成物は、少なくとも一種類の抗原と上記液性免疫誘導促進用組成物とを含有する。
本明細書において使用するとき、用語「抗原」は、免疫応答を誘導しうるあらゆる物質を意味する。上記抗原は特に限定されず、例えば、感染症由来抗原等が挙げられる。
【0045】
本明細書において使用するとき、用語「感染症由来抗原」は、感染性病原体若しくはその構成成分又はそれらに由来する物質であって、免疫応答(例えば、免疫担当細胞の成熟、サイトカイン産生量の増加、抗体産生の促進等)を誘導しうるあらゆる物質を意味する。本発明の医薬組成物により、上記感染症由来抗原を、液性免疫誘導促進用組成物と共に対象に投与することで、感染症疾患を処置、例えば治療又は予防することができる。
【0046】
本明細書において使用するとき、用語「感染症疾患」は、感染性病原体の感染、増殖などにより引き起こされる疾患を意味する。
上記感染症疾患としては特に限定されず、例えば、アデノウイルス(例えばヒトアデノウイルス)、ヘルペスウイルス(例えば単純ヘルペスウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス、ヒトヘルペスウイルスまたはカポジ肉腫関連ヘルペスウイルス)、ピコルナウイルス(例えばポリオウイルス、風邪ウイルスまたはA型肝炎ウイルス)ポックスウイルス(例えば痘瘡ウイルス、ワクシニアウイルスまたは伝染性軟属腫ウイルス)、ピコルナウイルス(例えばライノウイルスまたはエンテロウイルス)、オルソミクソウイルス(例えばインフルエンザウイルス)、パラミクソウイルス(例えばパラインフルエンザウィルス、おたふく風邪ウイルス、はしかウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)またはニューカッスル病ウイルス)、パルボウイルス(例えばアデノ随伴ウイルス)、トガウイルス(例えば風疹ウイルス)、コロナウイルス(例えばSARSコロナウイルス)、ヘパドナウイルス(例えばB型肝炎ウイルス)、フラビウイルス(例えば日本脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス、デング熱ウイルス、西ナイル熱ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、マレーバレー脳炎ウイルス、C型肝炎ウイルスまたはG型肝炎ウイルス)、ヘペウイルス(例えばE型肝炎ウイルス)、パピローマウイルス(例えばヒト乳頭腫ウイルス)、カリシウイルス(例えばノロウイルス)、ラブドウイルス(例えば狂犬病ウイルスまたは水疱性口内炎ウイルス)、フィロウイルス(例えばエボラ出血熱ウイルス)、アレナウイルス(例えばラッサウイルスまたはD型肝炎ウイルス)、ブニヤウイルス(例えばカリフォルニア脳炎ウイルスまたはリフトバレー熱ウイルス)、レオウイルス(例えばロタウイルス)またはレトロウィルス(例えばヒト免疫不全ウイルス(HIV)または成人T細胞白血病ウイルス)による感染から罹る疾患などのウイルス疾患、エシェリキア属、エンテロバクター、サルモネラ、ブドウ球菌、赤痢菌、リステリア、アエロバクター、ヘリコバクター、クレブシエラ、プロテウス、シュードモナス、連鎖球菌、クラミジア、マイコプラズマ、肺炎球菌、ナイセリア、クロストリジウム、バシラス、コリネバクテリウム、マイコバクテリウム、カンピロバクター、ビブリオ、セラチア、プロビデンシア、クロモバクテリウム、ブルセラ、エルシニア、ヘモフィルス、またはボルデテラなどの細菌感染から罹る疾患などの細菌疾患、クラミジア、カンジダ症、アスペルギルス症、ヒストプラスマ症、クリプトコックス髄膜炎をはじめとするがこれに限定されるものではない真菌疾患と、またはマラリア、ニューモシステイスカリニ肺炎、レーシュマニア症、クリプトスポリジウム症、トキソプラズマ症、およびトリパノソーマ感染等が挙げられる。
【0047】
本発明の液性免疫誘導促進用組成物における上記Th2反応促進剤の含有量は特に限定されないが、組成物の総重量に基づき、好ましくは0.0001〜100重量%、より好ましくは0.001〜80重量%、更に好ましくは0.01〜50重量%、最も好ましくは0.05〜20重量%含む。
【0048】
本発明のワクチン医薬組成物における上記抗原の含有量は特に限定されないが、組成物の総重量に基づき、好ましくは0.000001〜50重量%、より好ましくは0.00001〜20重量%である。
本発明のワクチン医薬組成物における上記Th2反応促進剤の含有量は特に限定されないが、上記抗原1重量部に対して、好ましくは0.001〜10000重量部、より好ましくは0.01〜10000重量部である。
上記含有量が0.001重量部未満であると、免疫誘導効果が充分に得られないことがある。上記含有量が10000重量部を超えると、安全性が問題となることがある。
【0049】
本発明の液性免疫誘導促進用組成物及びワクチン医薬組成物は、必要に応じて、添加剤を含有していてもよい。上記添加剤は、基材の主成分、上記抗原及び液性免疫誘導促進用組成物との適合性、意図する投与レジメン等に応じて、例えば、等張化剤、防腐殺菌剤、酸化防止剤、溶解剤、溶解補助剤、懸濁化剤、充填剤、pH調節剤、安定化剤、吸収促進剤、放出速度制御剤、着色剤、可塑剤、架橋剤、粘着剤等が挙げられる。これら添加剤は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0050】
本発明の液性免疫誘導促進用組成物及びワクチン医薬組成物は、皮内、皮下又は筋肉内に投与されてもよく、体表面上に投与されてもよく、体表面上に投与される場合、経皮投与又は経粘膜投与とすることができる。即ち、本発明の液性免疫誘導促進用組成物及びワクチン医薬組成物は、皮内、皮下又は筋肉内投与用ワクチン医薬組成物であってもよく、経皮投与用又は経粘膜投与用ワクチン医薬組成物であることもできる。また、経皮投与の場合は、非侵襲的な投与でも低侵襲的な投与でもよい。
【0051】
注射には、痛み、恐怖心、注射痕およびそれに続く瘢痕化等が患者の心身的負担になることや、繰り返し投与が必要な場合は通院が患者生活の負担になることが、患者のQOLの観点からさらに考慮を要する点となっている。さらに、注射行為が医療従事者にしか許されていないこと、免疫効果の高い皮内注射は投与手技が難しいこと、医療従事者の針刺し感染事故のリスクがあること、注射針等の特殊廃棄が必要な医療廃棄物が生じること等が考慮を要する点となっている。この点に鑑みれば、体表面上に投与される液性免疫誘導促進用組成物及びワクチン医薬組成物が好ましい。
【0052】
本明細書において使用するとき、用語「対象」は、実用段階においてワクチン医薬組成物を投与して免疫応答を誘導しうるいずれかの動物、典型的にはヒトを含む哺乳類、例えばマウス、ラット、イヌ、ネコ、ウサギ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、サル、チンパンジー等を意味する。特に好ましい対象は、ヒトである。
【0053】
<皮内、皮下、筋肉内投与用ワクチン医薬組成物>
本発明の皮内、皮下、筋肉内投与用ワクチン医薬組成物は、対象における種々の抗原の皮内、皮下、筋肉内への投与において高い液性免疫誘導効果を発揮するものである。特に、感染症予防のための免疫の場合、通常、微生物やウイルスは、そのサイズの為に皮膚からの侵入が阻止されているため、ワクチンは、侵襲的に体内に投与することが容易である。
【0054】
本明細書において使用するとき、用語「皮内、皮下、筋肉内投与用」医薬組成物は、例えば液剤、懸濁剤、クリーム剤のような注射投与可能なある程度の流動性を有する様態であればよい。これらの組成物の区分、定義、性質、製法等は、当該技術分野において周知であり、例えば日本薬局方第16版を参照されたい。
【0055】
例えば液剤用溶媒としては、適量の水又は生理食塩水、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール等の溶媒を用いることができ、当該溶媒に成分を分散または溶解させて液剤を調製する事ができる。
【0056】
例えば水溶性懸濁剤用基材としては、ヒドロゲル基材としてのカルボキシビニルポリマー、ゲルベース、無脂肪性軟膏、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、デンプン、キサンタンガム、カラヤガム、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、トラガント、アラビアゴム、タラガム、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、寒天、ジェランガム、グルコマンナン、ローカストビーンガム、グアーガム、カラギーナン、デキストリン、デキストラン、アミロース、カルボキシメチルセルロースカリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、プルラン、キトサン、カルボキシメチルスターチナトリウム、プランタゴ種皮、ガラクトマンナン、オイドラギット、カゼイン、アルギン酸アルキルエステル、ゼラチン、ポリエチレングリコール、等を用いることができる。これらの基材を溶媒に溶解し流動性のある懸濁剤を調製する事ができる。溶媒としては、好ましくは生理食塩水であるが、グリセリンやプロピレングリコールも用いる事ができる。
【0057】
例えば疎水性懸濁剤用基材としては、親水軟膏、バニシングクリーム等の水/油型基材;親水ワセリン、精製ラノリン、アクアホール、オイセリン、ネオセリン、加水ラノリン、コールドクリーム、親水プラスチベース等の油/水型基材が挙げられる。これらの基材を油脂系溶媒または水に入れ、ホモジナイザー等で高速攪拌させる事により油脂系懸濁剤を調製する事ができる。
【0058】
<皮内、皮下、筋肉内投与用液性免疫誘導促進用組成物>
本発明の皮内、皮下、筋肉内投与用液性免疫誘導促進用組成物は、対象における種々のTh2反応促進剤の皮内、皮下、筋肉内への投与において、共に又は別々に投与される種々の抗原が誘導する液性免疫をより効果的に発揮するものである。
【0059】
本明細書において使用するとき、用語「皮内、皮下、筋肉内投与用」液性免疫誘導促進用組成物は、例えば液剤、懸濁剤、クリーム剤のような注射投与可能なある程度の流動性を有する様態であればよい。これらの組成物の区分、定義、性質、製法等は、当該技術分野において周知であり、例えば日本薬局方第16版を参照されたい。
また、上記製剤としては、上記皮内、皮下、筋肉内投与用ワクチン医薬組成物の調製において用いる材料と同様の材料を用いることができる。
【0060】
<粘膜投与用ワクチン医薬組成物>
本発明の粘膜投与用ワクチン医薬組成物は、対象における種々の抗原の粘膜投与において高い液性免疫誘導効果を発揮するものである。
【0061】
本明細書において使用するとき、用語「粘膜投与用」医薬組成物は、粘膜投与、例えば舌下、経鼻、頬側、直腸または膣投与に通常使用されるいずれかの製剤、例えばゲル剤(ゼリー剤)、クリーム剤、軟膏剤、硬膏剤などの半固形剤、液剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、フィルム剤や錠剤、口腔内崩壊錠等の固形製剤、エアゾール剤のような粘膜用スプレー剤、吸引剤等であってよい。これらの組成物の区分、定義、性質、製法等は、当該技術分野において周知であり、例えば日本薬局方第16版を参照されたい。
【0062】
例えば液剤用溶媒としては、適量の水又はエタノール、グリセリン、プロピレングリコール等の溶媒を用いることができ、当該溶媒に成分を分散または溶解させて液剤を調製する事ができる。
【0063】
例えばゲル剤(ゼリー剤)用基材としては、ヒドロゲル基材としてのカルボキシビニルポリマー、ゲルベース、無脂肪性軟膏、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、デンプン、キサンタンガム、カラヤガム、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、トラガント、アラビアゴム、タラガム、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、寒天、ジェランガム、グルコマンナン、ローカストビーンガム、グアーガム、カラギーナン、デキストリン、デキストラン、アミロース、カルボキシメチルセルロースカリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、プルラン、キトサン、カルボキシメチルスターチナトリウム、プランタゴ種皮、ガラクトマンナン、オイドラギット、カゼイン、アルギン酸アルキルエステル、ゼラチン、ポリエチレングリコール等を用いることができる。これらの基材を溶媒に溶解し流動性のあるゲル剤や成形性があるゲル剤を調製する事ができる。溶媒としては、好ましくは水であるが、グリセリンやプロピレングリコールも用いる事ができる。
【0064】
例えばクリーム剤用基材としては、親水軟膏、バニシングクリーム等の水/油型基材;親水ワセリン、精製ラノリン、アクアホール、オイセリン、ネオセリン、加水ラノリン、コールドクリーム、親水プラスチベース等の油/水型基材が挙げられる。これらの基材を油脂系溶媒または水に入れ、ホモジナイザー等で高速攪拌させる事によりクリーム剤を調製する事ができる。
【0065】
例えばフィルム剤用基材としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、デンプン、キサンタンガム、カラヤガム、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、カンテン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、トラガント、アラビアゴム、ローカストビーンガム、グアーガム、カラギーナン、デキストリン、デキストラン、アミロース、カルボキシメチルセルロースカリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、プルラン、キトサン、カルボキシメチルスターチナトリウム、プランタゴ種皮、ガラクトマンナン、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマーLD、メタクリル酸コポリマーS、メチルアクリレート・メタクリル酸・メチルメタアクリレートコポリマー、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、カゼイン、アルギン酸アルキルエステル等が挙げられる。これらの基材を水又はエタノール等の極性有機溶媒に溶解し、薄膜塗工後、乾燥させる事によりフィルム剤を調製する事ができる。一つの好ましい態様において、本発明の粘膜投与用ワクチン医薬組成物は、フィルム状製剤の形態である。
【0066】
例えば散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤用添加剤としては、乳糖やコーンスターチ、結晶セルロースといった賦形剤、ヒドロキシプロピルセルロース、アラビアゴム等の結合剤、さらに適量の水又はエタノール等の溶媒を用い、混合攪拌した後、造粒、乾燥、打錠といった工程を組み合わせて調製する事ができる。必要であればステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤、ヒドロキシプロピルセルロース、ショ糖等のコーティング剤を添加してもよい。
【0067】
例えば口腔内崩壊錠(凍結乾燥型)用基材としては、ゼラチンやプルラン等の多糖類が挙げられる。また成形剤としてマンニトール、トレハロース、ソルビトール、グリシン等を用いても良い。これら添加剤を水に溶解し、分注後凍結乾燥させる事により口腔内崩壊錠(凍結乾燥型)を調製する事ができる。一つの好ましい態様において、本発明の粘膜投与用ワクチン医薬組成物は、口腔内崩壊錠の形態である。
【0068】
例えばエアゾール剤としては、内容物として液剤や流動性が高いゲル剤、クリーム剤、散剤等の微粉末が挙げられる。これらを、噴霧デバイスを用いて気体中に固体または液体の微粒子を分散させる事により、効率良く口腔粘膜、経鼻粘膜といった投与部位に投与する事が可能である。
【0069】
<粘膜投与用液性免疫誘導促進用組成物>
本発明の粘膜投与用液性免疫誘導促進用組成物は、対象における種々のTh2反応促進剤の粘膜投与において、共に又は別々に投与される種々の抗原が誘導する液性免疫をより効果的に発揮するものである。
【0070】
本明細書において使用するとき、用語「粘膜投与用」液性免疫誘導促進用組成物は、粘膜投与、例えば舌下、経鼻、頬側、直腸または膣投与に通常使用されるいずれかの製剤、例えばゲル剤(ゼリー剤)、クリーム剤、軟膏剤、硬膏剤などの半固形剤、液剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、フィルム剤や錠剤、口腔内崩壊錠等の固形製剤、エアゾール剤のような粘膜用スプレー剤、吸引剤等であってよい。これらの組成物の区分、定義、性質、製法等は、当該技術分野において周知であり、例えば日本薬局方第16版を参照されたい。
また、上記製剤としては、上記粘膜投与用ワクチン医薬組成物の調製において用いる材料と同様の材料を用いることができる。
【0071】
<経皮投与用ワクチン医薬組成物>
本明細書において使用するとき、用語「経皮投与用」医薬組成物は、経皮投与に通常使用されるいずれかの製剤、例えばリニメント剤もしくはローション剤のような外用液剤、エアゾール剤のような外用スプレー剤、軟膏剤、硬膏剤、クリーム剤、ゲル剤またはテープ剤もしくはパップ剤のような貼付剤であってよい。これらの組成物の区分、定義、性質、製法等は、当該技術分野において周知であり、例えば日本薬局方第16版を参照されたい。
【0072】
例えばリニメント剤用基材としては、水、エタノール、脂肪油、例えば硬パラフィン、軟パラフィン、液パラフィン、グリセリン、パラフィン油、蜜蝋、金属石鹸;粘液(mucilage);天然油[例:アーモンド油、コーン油、ピーナッツ油、ヒマシ油、オリーブ油、またはそれらの誘導体(例えば、ポリオキシルヒマシ油)];羊脂若しくはその誘導体、脂肪酸及び/又はエステル(例:ステアリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸イソプロピル)が挙げられる。
ローション剤は、活性成分を水性の液中に微細に均質分散した製剤であり、懸濁性ローション剤と、乳濁性ローション剤とがある。懸濁化剤としては、例えばアラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ベントナイン等が挙げられる。乳化剤としては、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0073】
例えば軟膏剤用基材としては、一般に疎水性基材としての油脂類、ロウ、炭化水素化合物等を用いることができる。具体的には、軟膏剤用基材としては、黄色ワセリン、白色ワセリン、パラフィン、流動パラフィン、プラスチベース、シリコーン等の鉱物性基材、ミツロウ、動植物性油脂等の動植物性基材等が挙げられる。
例えばクリーム剤用基材としては、親水軟膏、バニシングクリーム等の水/油型基材;親水ワセリン、精製ラノリン、アクアホール、オイセリン、ネオセリン、加水ラノリン、コールドクリーム、親水プラスチベース等の油/水型基材が挙げられる。
例えばゲル基材としては、ヒドロゲル基材としてのカルボキシビニルポリマー、ゲルベース、無脂肪性軟膏、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、デンプン、キサンタンガム、カラヤガム、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、トラガント、アラビアゴム、タラガム、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、寒天、ジェランガム、グルコマンナン、ローカストビーンガム、グアーガム、カラギーナン、デキストリン、デキストラン、アミロース、カルボキシメチルセルロースカリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、プルラン、キトサン、カルボキシメチルスターチナトリウム、プランタゴ種皮、ガラクトマンナン、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマーLD、メタクリル酸コポリマーS、メチルアクリレート・メタクリル酸・メチルメタアクリレートコポリマー、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、カゼイン、アルギン酸アルキルエステル、ゼラチン、ポリエチレングリコール等を用いることができる。
【0074】
例えばパップ剤用基材としては、ゼラチン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、カオリン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、グリセリン、プロピレングリコール、水等が挙げられる。
例えばテープ剤は、アクリル系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤(合成イソプレンゴム、ポリイソブチレン(PIB)、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ゴムなどのゴム系エラストマーを含む)、シリコーン系粘着剤、ビニルエステル系粘着剤、ビニルエーテル系粘着剤等を含む粘着剤層と、粘着剤層を支持する支持体とを含む。所望により、使用前に粘着剤層を露出させず、使用時に粘着剤層から容易に剥離できる剥離ライナーをさらに含んでいてもよい。
【0075】
本発明のテープ剤の粘着剤層を形成すべき粘着剤は特に限定されず、例えば、アクリル系重合体からなるアクリル系粘着剤;スチレン−ジエン−スチレンブロック共重合体(例えばスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等)、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ブチルゴム、ポリブタジエン等のゴム系エラストマーを含むゴム系粘着剤;シリコーンゴム、ジメチルシロキサンベース、ジフェニルシロキサンベース等のシリコーン系粘着剤;ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル系粘着剤;酢酸ビニル−エチレン共重合体等のビニルエステル系粘着剤;ジメチルテレフタレート、ジメチルイソフタレート、ジメチルフタレート等のカルボン酸成分と、エチレングリコール等の多価アルコール成分とからなるポリエステル系粘着剤等が挙げられる。特に好ましい粘着剤は、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤である。これらの粘着剤はその固形分として、粘着剤層中に、粘着剤層の総重量に基づき、好ましくは10〜90重量%、より好ましくは20〜80重量%含まれる。
【0076】
アクリル系粘着剤の例としては、(メタ)アクリル酸C2〜18アルキルエステルを第1の単量体として含む重合体を主成分とするアクリル酸エステル系粘着剤が挙げられる。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(第1の単量体)の例としては、アルキル基の炭素数が1〜18の直鎖状、分岐鎖状又は環状アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、へキシル、シクロヘキシル、へプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシルなど)である(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられ、アルキル基の炭素数が4〜18の直鎖状、分岐鎖状又は環状アルキル基(例えば、ブチル、ペンチル、へキシル、シクロヘキシル、へプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシルなど)である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。さらに、常温で粘着性を与えるために、重合体のガラス転移温度を低下させるモノマー成分の使用がさらに好適であることから、アルキル基の炭素数が4〜8の直鎖状、分岐鎖状又は環状アルキル基(例えば、ブチル、ペンチル、へキシル、シクロヘキシル、へプチル、オクチル、2−エチルヘキシルなど、好ましくは、ブチル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシル、特に好ましくは2−エチルヘキシル)である(メタ)アクリル酸アルキルエステルがより好ましい。具体的にはアクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸シクロへキシル、メタクリル酸シクロへキシルなどがより好ましく、中でも、アクリル酸2−エチルへキシルが最も好ましい。これら(メタ)アクリル酸アルキルエステル(第1単量体成分)は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0077】
また、アクリル系粘着剤は、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な第2の単量体を含有してもよく、このような第2の単量体としては、架橋剤を用いる際の架橋点となりうる官能基を有する単量体が挙げられる。架橋反応に関与できる官能基としては、水酸基、カルボキシル基、ビニル基などが挙げられ、水酸基及びカルボキシル基が好ましい。当該単量体(第2単量体成分)の具体例としては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルエステル、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸などが挙げられる。これらのうち、入手の容易性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸ヒドロキシエチルエステル(特に、アクリル酸2−ヒドロキシエチル)が好ましく、アクリル酸が最も好ましい。これらの単量体(第2単量体成分)は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0078】
さらに、アクリル系粘着剤は、所望により、第2の単量体以外に第3の単量体を含有してもよい。第3の単量体(第3単量体成分)としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタムなどのビニルアミド類;(メタ)アクリル酸メトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシエステル;ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、α−ヒドロキシメチルアクリレートなどの水酸基含有モノマー(第3単量体成分としての使用なので架橋点とはしない);(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどのアミド基を有する(メタ)アクリル酸誘導体;(メタ)アクリル酸アミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルエステルなどの(メタ)アクリル酸アミノアルキルエステル;(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシジエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールエステルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキレングリコールエステル;(メタ)アクリロニトリル;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸、アクリルアミドメチルスルホン酸などのスルホン酸を有するモノマー;ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリンなどのビニル基含有モノマーなどが挙げられる。これらの中でも、ビニルエステル類、ビニルアミド類が好ましく、ビニルエステル類は酢酸ビニルが好ましく、ビニルアミド類はN−ビニル−2−ピロリドンが好ましい。これらの単量体(第3単量体成分)は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0079】
当該アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(第1単量体成分)と、架橋反応に関与できる官能基を有するビニルモノマー(第2単量体成分)との共重合体である場合、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、架橋反応に関与できる官能基を有するビニルモノマーとは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル:架橋反応に関与できる官能基を有するビニルモノマー=99〜85:1〜15の重量比で配合して共重合させることが好ましく、99〜90:1〜10の重量比がより好ましい。
【0080】
また、当該アクリル系粘着剤が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(第1単量体成分)と、架橋反応に関与できる官能基を有するビニルモノマー(第2単量体成分)と、これら以外の他のモノマー(第3単量体成分)との共重合体である場合、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、架橋反応に関与できる官能基を有するビニルモノマーと、これら以外の他のモノマーとは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル:架橋反応に関与できる官能基を有するビニルモノマー:これら以外の他のモノマー=40〜94:1〜15:5〜50の重量比で配合して共重合させることが好ましく、50〜89:1〜10:10〜40の重量比がより好ましい。
【0081】
重合反応は、自体公知の方法で行えばよく特に限定されないが、例えば、上記のモノマーを、重合開始剤(例えば、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリルなど)を添加して、溶媒(例えば、酢酸エチルなど)中で、50〜70℃で5〜48時間反応させる方法が挙げられる。
【0082】
本発明における特に好ましいアクリル系粘着剤としては、例えば、アクリル酸2−エチルへキシルエステル/アクリル酸/N−ビニル−2−ピロリドンの共重合体、アクリル酸2−エチルへキシルエステル/N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド/N−ビニル−2−ピロリドンの共重合体、アクリル酸、2−エチルへキシルエステル/アクリル酸2−ヒドロキシエチルエステル/酢酸ビニルの共重合体、アクリル酸2−エチルへキシルエステル/アクリル酸の共重合体等であり、より好ましくは、アクリル酸2−エチルへキシルエステル/アクリル酸/N−ビニル−2−ピロリドンの共重合体である。
【0083】
所望により、これらのアクリル系粘着剤に、紫外線照射や電子線照射などの放射線照射による物理的架橋、三官能性イソシアネートなどのイソシアネート系化合物や有機過酸化物、有機金属塩、金属アルコラート、金属キレート化合物、多官能性化合物(多官能性外部架橋剤やジアクリレートやジメタクリレートなどの多官能性内部架橋用モノマー)などの各種架橋剤を用いた化学的架橋処理を施してもよい。
【0084】
ゴム系粘着剤としては、ゴム系エラストマーとして例えば、ポリイソブチレン・ポリブテン系、スチレン・ジエン・スチレンブロック共重合体、スチレン・ブタジエン系、ニトリル系、クロロプレン系、ビニルピリジン系、ポリイソブチレン系、ブチル系、イソプレン・イソブチレン系等のエラストマーが配合されたゴム系粘着剤が挙げられる。中でも、抗原およびその液性免疫誘導促進用組成物に対する溶解性および皮膚接着性の点から、ポリイソブチレン(PIB)、スチレン・ジエン・スチレンブロック共重合体〔例えば、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)等〕等が好ましく使用され、これらは混合して用いてもよい。
【0085】
また、ゴム系粘着剤は、適度な粘着力および薬剤溶解性をうるために、同一成分または異なる成分で平均分子量の異なるゴム系エラストマーを混合して使用することができる。例えば、ポリイソブチレンを例に挙げて説明すると、平均分子量150,000〜5,500,000の高分子量のポリイソブチレンと、平均分子量10,000〜150,000の中分子量のポリイソブチレンおよび/または平均分子量500〜4,000の低分子量のポリイソブチレンとの混合物が好ましい。ここで、ポリイソブチレンの全体量に対して、高分子量のポリイソブチレンの配合量は10〜80重量%であり、好ましくは20〜70重量%である。ポリイソブチレンの全体量に対して、中分子量のポリイソブチレンの配合量は0〜90重量%であり、好ましくは10〜80重量%である。ポリイソブチレンの全体量に対して、低分子量のポリイソブチレンの配合量は0〜80重量%であり、好ましくは10〜60重量%である。
【0086】
本発明における平均分子量とは、Floryの粘度式から計算される粘度平均分子量を意味し、シュタウディンガーインデックス(J
0)を、20℃にてウベローデ粘度計のキャピラリー1のフロータイムからSchulz−Blaschke式により算出し、このJ
0値を用いて下記式により求めるものである。
【数1】
【0087】
当該ゴム系粘着剤には、適度な粘着性を付与するために、例えば、ロジン系樹脂、ポリテルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油系樹脂、テルペン−フェノール樹脂、キシレン樹脂、脂環族飽和炭化水素樹脂等の粘着付与剤が配合されていてもよい。粘着付与剤は、これら1種または2種以上をゴム系粘着剤の総重量に基づいて、50重量%以下、好ましくは5〜40重量%の割合で配合することができる。
【0088】
シリコーン系粘着剤としては、ポリオルガノシロキサン系、ポリジメチルシロキサン系、又はポリジメチルジフェニル−シロキサン系等からなるシリコーン系粘着剤が挙げられる。中でも、Dow Corning CorporationからのBIO PSAのような商業的に入手可能なシリコーン系粘着剤等が好ましく使用される。
【0089】
粘着剤層を支持する支持体としては特に限定されるものではないが、実質的に抗原や液性免疫誘導促進用組成物に対して不透過性を有するもの、即ち粘着剤層中に含まれる抗原、液性免疫誘導促進用組成物、添加剤等が支持体中を通って背面から失われて含有量の低下を引き起こさないものが好ましい。
【0090】
支持体としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、アイオノマー樹脂、金属箔等の単独フィルム又はこれらの積層フィルム等を用いることができる。これらのうち、支持体と粘着剤層との接着性(投錨性)を良好とするために、支持体を上記材質からなる無孔のプラスチックフィルムと、多孔質フィルムとの積層フィルムとすることが好ましい。この場合、粘着剤層は多孔質フィルム側に形成することが望ましい。このような多孔質フィルムとしては、粘着剤層との投錨性が向上するものが採用されるが、具体的には紙、織布、不織布、編布、機械的に穿孔処理を施したシート等が挙げられる。これらのうち、取り扱い性等の観点から、特に紙、織布、不織布が好ましい。多孔質フィルムは、投錨性向上、テープ剤の柔軟性及び貼付操作性等の点から、厚み1〜200μmの範囲のものが採用される。また、多孔質フィルムとして織布や不織布を用いる場合、目付量を好ましくは5〜30g/m
2、より好ましくは6〜15g/m
2とするのがよい。
【0091】
最も好適な支持体としては、厚さ1.5〜6μmのポリエステルフィルム(好ましくは、ポリエチレンテレフタレートフィルム)と、目付量6〜15g/m
2のポリエステル(好ましくは、ポリエチレンテレフタレート)製不織布との積層フィルムが挙げられる。
【0092】
本発明のテープ剤は、使用時まで粘着剤層の粘着面を保護するために、粘着面に剥離ライナーを積層することが望ましい。剥離ライナーとしては、剥離処理され、充分に軽い剥離力を確保できれば特に限定されるものではないが、例えば、粘着剤層との接触面にシリコーン樹脂、フッ素樹脂等を塗布することによって剥離処理が施された、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート等のフィルム、上質紙、グラシン紙等の紙、又は上質紙若しくはグラシン紙等とポリオレフィンとのラミネートフィルム等が用いられる。剥離ライナーの厚みは、好ましくは10〜200μm、より好ましくは25〜100μmである。剥離ライナーとしては、バリアー性、価格等の点から、ポリエステル(特に、ポリエチレンテレフタレート)樹脂からなるものが好ましい。
さらに、この場合、取り扱い性の点から、25〜100μm程度の厚みを有するものが好ましい。
【0093】
また、本発明の医薬組成物は、必要に応じて、添加剤を含んでいてもよい。添加剤は、基材の主成分、抗原および液性免疫誘導促進用組成物との適合性、意図する投与レジメン等に応じて、例えば、等張化剤、防腐・殺菌剤、酸化防止剤、溶解剤、溶解補助剤、懸濁化剤、充填剤、pH調節剤、安定化剤、吸収促進剤、放出速度制御剤、着色剤、可塑剤、架橋剤、粘着剤等、あるいはそれらの2種以上の組合せから選択されうる。また、本発明の医薬組成物がテープ剤の形態である場合、該テープ剤は添加剤として皮膚透過性増強剤を含みうる。
【0094】
本明細書において使用するとき、用語「皮膚透過性増強剤」は、経皮投与される抗原が皮膚を透過する効率を、それなしでの効率と比較して、改善しうるあらゆる物質を意味する。皮膚透過性増強剤としては、室温(25℃)で液状、すなわち流動性を有するもの、または2種以上を混合して用いる場合には、最終的に混合物が室温(25℃)で液状となり、吸収促進効果を有するものであれば特に限定されない。かかる有機液状成分としては粘着剤層との相溶性の観点から疎水性液状成分が好ましい。
かかる皮膚透過性増強剤としては例えば、オレイルアルコール、オクチルドデカノールなどの高級アルコール;グリセリン、エチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの多価アルコール;オレイン酸、カプリル酸などの高級脂肪酸;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸エチルなどの脂肪酸エステル;セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピルなどの多塩基酸エステル;トリイソステアリン酸ジグリセリル、モノオレイン酸ソルビタン、ジカプリル酸プロピレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットなどの多価アルコール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル;スクアラン、流動パラフィンなどの炭化水素;オリーブ油、ヒマシ油などの植物油;シリコーン油;N−メチルピロリドン、N−ドデシルピロリドンのようなピロリドン類;デシルメチルスルホキシドのようなスルホキシドなどが挙げられ、これらは1種で、または2種以上を混合して使用することができる。
【0095】
ゴム系またはアクリル系の粘着剤を用いる場合、第二の皮膚透過性増強剤を用いることができる。具体的な第二の皮膚透過性増強剤は、例えば、ポリビニルピロリドン、クロスポビドン、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース等またはそれらの混合物を含むが、これらに限定されない、好ましい態様において、本発明の第二の皮膚透過性増強剤は、ポリビニルピロリドン、クロスポビドンおよび/またはポリプロピレングリコールである。
【0096】
抗原の皮膚透過性増強の観点から、皮膚透過性増強剤としては、高級アルコール、より具体的には、炭素数8〜18(好ましくは8〜14)の高級アルコール、脂肪酸エステル、より具体的には、炭素数8〜18(好ましくは12〜16)の脂肪酸と炭素数が1〜18の1価アルコールとの脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステルなど、特に脂肪酸エステル、特にミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、またはセバシン酸ジエチルが好ましく用いられる。かかる皮膚透過性増強剤の量は、粘着剤層の総重量に基づいて、好ましくは0.1重量%〜70重量%、より好ましくは1重量%〜65重量%、さらに好ましくは5重量%〜60重量%である。皮膚透過性増強剤の割合が0.1重量%以上である場合、高い経皮吸収促進効果が得られる。70重量%以下である場合、粘着剤層全体の粘着力、凝集力の低下を抑制しつつ、高い経皮吸収性が得られるので有利である。
【0097】
<経皮投与用液性免疫誘導促進用組成物>
本発明の経皮投与用液性免疫誘導促進用組成物は、対象における種々のTh2反応促進剤の投与において、共に又は別々に投与される種々の抗原が誘導する液性免疫をより効果的に発揮するものである。
【0098】
本明細書において使用するとき、用語「経皮投与用」液性免疫誘導促進用組成物は、経皮投与に通常使用される製剤、例えばリニメント剤もしくはローション剤のような外用液剤、エアゾール剤のような外用スプレー剤、軟膏剤、硬膏剤、クリーム剤、ゲル剤またはテープ剤もしくはパップ剤のような貼付剤であってよい。これらの組成物の区分、定義、性質、製法等は、当該技術分野において周知であり、例えば日本薬局方第16版を参照されたい。
また、上記製剤としては、上記経皮投与用ワクチン医薬組成物の調製において用いる材料と同様の材料を用いることができる。
【0099】
本明細書において使用するとき、本発明の医薬組成物に含有させうる「薬理学的に許容される塩」とは、投与対象に有害な作用を及ぼさず、かつ、該医薬組成物中の成分の薬理活性を消失させない塩を意味する。無機酸塩(例えば、塩酸塩やリン酸塩等)、有機酸塩(例えば、酢酸塩やフタル酸塩、TFA塩、メシル酸塩、酒石酸塩等)、金属塩(アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩等)、アルミニウム塩等)、アミン塩(トリエチルアミン塩、ベンジルアミン塩、ジエタノールアミン塩、t−ブチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、アルギニン塩、ジメチルアンモニウム塩、アンモニウム塩等)を含むが、これらに限定されない。