(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記熱伝導性フィラーが、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、鉄、コバルト、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、カーボンブラック、カーボンフラーレン、片状黒鉛、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、またはこれらの組合せを含む、請求項4に記載のコンデンサ組立体。
前記熱伝導性フィラーが、ナノスケールの粒子およびマイクロスケールの粒子を含有し、ミクロンスケールのフィラー粒子の平均サイズ対ナノスケールのフィラー粒子の平均サイズの比率が、約50:1以上である、請求項3に記載のコンデンサ組立体。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本発明の明細書および図面における参照符号の反復使用は、本発明の同じまたは類似の特徴または要素を表すことが意図される。
【0005】
本考察は、代表的な実施形態のみの説明であり、本発明のより広い態様を制限するように意図されていないことが、当業者によって理解されるべきであり、本発明のより広い態様は、代表的な構築において、具体化される。
【0006】
一般的に言って、本発明は、その中に、少なくとも1個のコンデンサ素子が置かれ、密封されている筐体を含む、コンデンサ組立体を対象にする。熱伝導性材料は、筐体内に含有され、少なくとも部分的に、および実施形態によっては完全に、コンデンサ素子を封入している。例えば、熱伝導性材料は、ISO22007−2:2014に従って測定されるように、熱伝導率約1W/m・K以上、実施形態によっては約2〜約20W/m・K、および実施形態によっては約2.5〜約10W/m・Kを典型的に有する。熱伝導性材料は、熱伝導性であるにもかかわらず、一般的に電気伝導性ではなく、したがって、ASTM D257−14に従って測定されるように、比較的高い体積抵抗率、例えば、約1×10
12Ω・cm以上、実施形態によっては約1×10
13Ω・cm以上、および実施形態によっては約1×10
14Ω・cm〜約1×10
20Ω・cmを有する。本発明者らは、高い熱伝導率と低い電気伝導率との組合せによって、封入材料がコンデンサ組立体の筐体に使用される場合、多様な異なる利点をもたらすことができることを見出した。例えば、コンデンサ組立体が高いリップル電流に暴露される場合、熱伝導性封入材料は、筐体の表面へ熱を放散させる熱伝達シンクとして働くことができ、したがって、冷却効率およびコンデンサ組立体の寿命を向上させる。封入材料はまた、ASTM D570−98(2010)e−1に従って測定されるように、低い吸湿度、例えば、約1%以下、実施形態によっては約0.5%以下、および実施形態によっては約0.1%以下を示し得る。このように、封入材料は、筐体に入る可能性がある水との望まれない分解反応を抑制することができる。
【0007】
所望の特性を達成するのに役立つように、封入材料は、ポリマーマトリックス内に分散された1種または複数の熱伝導性フィラーを含有する。適切な熱伝導性フィラー材料としては、金属フィラー、例えば、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、鉄、コバルト等、およびこれらの組合せ(例えば、銀コーティングされた銅または銀コーティングされたニッケル);金属酸化物、例えば、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等、およびこれらの組合せ;窒化物、例えば、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素等、およびこれらの組合せ;ならびに炭素フィラー、例えば、炭化ケイ素、カーボンブラック、カーボンフラーレン、片状黒鉛、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー等、およびこれらの組合せが挙げられる。アルミニウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、および/または炭化ケイ素(silica carbide)粉末は、本発明における使用にとって特に適切であり得る。所望であれば、フィラーは、フィラーとポリマーマトリックスとの間の親和性を改善するために、機能性コーティングによってコーティングされてもよい。例えば、かかるコーティングは、不飽和または飽和脂肪酸、例えば、アルカン酸、アルケン酸、プロピオン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等;オルガノシラン、オルガノチタネート、オルガノジルコネート、イソシアネート、ヒドロキシル末端アルケンまたはアルカン等を含み得る。
【0008】
本発明において、所望の特性を達成するのに役立つように、熱伝導性フィラーのサイズを選択的に調節してもよい。例えば、適切なフィラー粒子は、約10ナノメートル〜約75マイクロメートル、実施形態によっては約15ナノメートル〜約50マイクロメートル、および実施形態によっては約20ナノメートル〜約40マイクロメートルの平均サイズ(例えば、直径)を有し得る。いくつかの実施形態において、ナノスケールのサイズ、例えば、約10ナノメートル〜約500ナノメートル、実施形態によっては約20ナノメートル〜約350ナノメートル、および実施形態によっては約50ナノメートル〜約200ナノメートルを有するフィラー粒子が使用されてもよく、一方で、その他の実施形態において、ミクロンスケールのサイズ、例えば、約1〜約50マイクロメートル、実施形態によっては約2〜約30マイクロメートル、および実施形態によっては約5〜約15マイクロメートルを有するフィラー粒子が使用されてもよい。封入材料はまた、ナノスケールとミクロンスケールの両方の熱伝導性フィラーの組合せを使用してもよい。かかる実施形態において、ミクロンスケールのフィラーの平均サイズ対ナノスケールのフィラーの大きさの粒子の平均サイズの比率は、高い充填密度を確実にするために、比較的大きい、例えば、約50:1以上、および実施形態によっては約70:1〜約150:1であってもよい。
【0009】
多様な異なるポリマー樹脂が封入材料のマトリックス中に使用され得る一方で、硬化性の熱硬化性樹脂が本発明における使用にとって特に適切であることが分かった。かかる樹脂の例としては、例えば、シリコンポリマー、ビスフェノールAポリマーのジグリシダルエーテル、アクリレートポリマー、ウレタンポリマー等が挙げられる。特定の実施形態において、例えば、封入材料は、1種または複数のポリオルガノシロキサンを使用してもよい。これらのポリマーにおいて使用されるケイ素結合の有機基は、一価の炭化水素および/または一価のハロゲン化炭化水素基を含有してもよい。かかる一価の基は、1〜約20個の炭素原子、好ましくは1〜10個の炭素原子を典型的に有し、アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシル、およびオクタデシル);シクロアルキル(例えば、シクロヘキシル);アルケニル(例えば、ビニル、アリル、ブテニル、およびヘキセニル);アリール(例えば、フェニル、トリル、キシリル、ベンジル、および2−フェニルエチル);ならびにハロゲン化炭化水素基(例えば、3,3,3−トリフルオロプロピル、3−クロロプロピル、およびジクロロフェニル)を例とするが、これらに制限されない。典型的に、有機基の少なくとも50%、より望ましくは少なくとも80%は、メチルである。かかるメチルポリシロキサンの例としては、例えば、ポリジメチルシロキサン(「PDMS」)、ポリメチルハイドロジェンシロキサン等を挙げることができる。さらにその他の適切なメチルポリシロキサンとしては、ジメチルジフェニルポリシロキサン、ジメチル/メチルフェニルポリシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、メチルフェニル/ジメチルシロキサン、ビニルジメチル末端ポリジメチルシロキサン、ビニルメチル/ジメチルポリシロキサン、ビニルジメチル末端ビニルメチル/ジメチルポリシロキサン、ジビニルメチル末端ポリジメチルシロキサン、ビニルフェニルメチル末端ポリジメチルシロキサン、ジメチルヒドロ末端ポリジメチルシロキサン、メチルヒドロ/ジメチルポリシロキサン、メチルヒドロ末端メチルオクチルポリシロキサン、メチルヒドロ/フェニルメチルポリシロキサン等を挙げることができる。
【0010】
オルガノポリシロキサンはまた、もう1個のペンダントおよび/または末端の極性官能基、例えば、ヒドロキシル、エポキシ、カルボキシル、アミノ、アルコキシ、メタクリル、またはメルカプト基を含有してもよく、これらは、ポリマーにある程度の親水性を与える。例えば、オルガノポリシロキサンは、1分子当たり、少なくとも1個のヒドロキシ基、および平均少なくとも2個のケイ素結合のヒドロキシ基(シラノール基)を含有してもよい。かかるオルガノポリシロキサンの例としては、例えば、ジヒドロキシポリジメチルシロキサン、ヒドロキシ−トリメチルシロキシポリジメチルシロキサン等が挙げられる。アルコキシ変性オルガノポリシロキサン、例えば、ジメトキシポリジメチルシロキサン、メトキシ−トリメチルシロキシポリジメチルシロキサン、ジエトキシポリジメチルシロキサン、エトキシ−トリメチルシロキシ−ポリジメチルシロキサン等もまた使用してもよい。さらにその他の適切なオルガノポリシロキサンは、少なくとも1個のアミノ官能基で変性されたものである。かかるアミノ官能性ポリシロキサンの例としては、例えば、ジアミノ官能性ポリジメチルシロキサンが挙げられる。
【0011】
望ましくは、硬化の前の封入材料の粘度特性および流動特性を改善するために、オルガノポリシロキサンは比較的低い分子質量を有する。一実施形態において、例えば、オルガノポリシロキサン(例えば、ポリジメチルシロキサン)は、約100,000g/mol以下、実施形態によっては約60,000g/mol以下、および実施形態によっては約5,000〜約30,000g/molの分子質量を有する。封入材料の結果として得られる粘度(硬化の前)は、0.5mm間隔で設定された20mmの平行平板を備えたARES R550PS応力制御型レオメーターを使用して、25℃の温度で測定して、例えば、約500Pa・秒以下、実施形態によっては約100Pa・秒以下、および実施形態によっては約1〜約50Pa・秒であってもよい。
【0012】
熱伝導性フィラーおよびポリマーマトリックスの相対量は、所望の特性が達成されるように選択的に調節してもよい。例えば、封入材料は、約25体積%〜約95体積%、実施形態によっては約40体積%〜約90体積%、および実施形態によっては約50体積%〜約85体積%を典型的に含有する。同じように、ポリマーマトリックスは、封入材料の約5体積%〜約75体積%、実施形態によっては約10体積%〜約50体積%、および実施形態によっては約15体積%〜約40体積%を構成してもよい。所望であれば、その他の添加物、例えば、相溶化剤、硬化用薬剤、光開始剤、粘度調整剤、顔料、カップリング剤(例えば、シランカップリング剤)、安定剤等もまた、封入材料中に使用してもよい。
【0013】
上で述べたように、熱伝導性材料は、筐体内に、コンデンサ素子または複数のコンデンサ素子でさえも、少なくとも部分的に封入するように、本発明のコンデンサ組立体中で使用される。ここで、コンデンサ素子および筐体の構造の様々な実施形態をさらに詳細に説明しよう。
【0014】
I.
コンデンサ素子
A.
アノード
コンデンサ素子は、一般的に、バルブ金属粉末から形成されるアノードを含有する。粉末は、約2,000マイクロファラッド*ボルト毎グラム(「μF*V/g」)〜約500,000μF*V/gの比電荷を有してもよい。当技術分野において知られているように、比電荷は、静電容量に、使用される陽極酸化電圧を掛け、次に、この積を陽極酸化の前の電極体の質量で割ることによって決定され得る。特定の実施形態において、粉末は、高い比電荷、例えば、約70,000μF*V/g以上、実施形態によっては約80,000μF*V/g以上、実施形態によっては約90,000μF*V/g以上、実施形態によっては約100,000〜約400,000μF*V/g、および実施形態によっては約150,000〜約350,000μF*V/gを有してもよい。もちろん、粉末はまた、低い比電荷、例えば、約70,000μF*V/g以下、実施形態によっては約60,000μF*V/g以下、実施形態によっては約50,000μF*V/g以下、実施形態によっては約2,000〜約40,000μF*V/g、および実施形態によっては約5,000〜約35,000μF*V/gを有してもよい。
【0015】
粉末は、個別の粒子および/または、かかる粒子の集塊を含有してもよい。粉末を形成するための化合物は、バルブ金属(すなわち、酸化可能な金属)またはバルブ金属ベースの化合物、例えば、タンタル、ニオブ、アルミニウム、ハフニウム、チタン、これらの合金、これらの酸化物、これらの窒化物などを含む。例えば、バルブ金属組成物は、ニオブの電気伝導性酸化物、例えば、ニオブ対酸素の原子比率1:1.0土1.0を有する酸化ニオブ、実施形態によっては1:1.0土0.3、実施形態によっては1:1.0土0.1、および実施形態によっては1:1.0土0.05を有する酸化ニオブを含有してもよい。例えば、酸化ニオブは、NbO
0.7、NbO
1.0、NbO
1.1、およびNbO
2であってもよい。かかるバルブ金属酸化物の例は、
Fifeに付与された米国特許第6,322,912号、
Fifeらに付与された第6,391,275号、
Fifeらに付与された第6,416,730号、
Fifeに付与された第6,527,937号、
Kimmelらに付与された第6,576,099号、
Fifeらに付与された第6,592,740号、および
Kimmelらに付与された第6,639,787号、および
Kimmelらに付与された第7,220,397号、ならびに
Schnitterに付与された米国特許出願公開第2005/0019581号、
Schnitterらに付与された第2005/0103638号、
Thomasらに付与された第2005/0013765号に記載されている。
【0016】
粉末は、当業者にとって既知の技術を使用して形成され得る。例えば、前駆体タンタル粉末は、還元剤(例えば、水素、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等)で、タンタル塩(例えば、カリウムフルオロタンタレート(K
2TaF
7)、ナトリウムフルオロタンタレート(Na
2TaF
7)、五塩化タンタル(TaCl
5)等)を還元することによって、形成され得る。かかる粉末は、多様な方法で、例えば、約700℃〜約1400℃、実施形態によっては約750℃〜約1200℃、および実施形態によっては約800℃〜約1100℃の温度での1つまたは複数の熱処理ステップによって、集塊化され得る。熱処理は、不活性または還元性雰囲気中で行ってもよい。例えば、熱処理は、水素または水素放出化合物(例えば、塩化アンモニウム、水素化カルシウム、水素化マグネシウム等)を含有する雰囲気中で行われて、粉末を部分的に焼結し、不純物(例えば、フッ素)の含有量を減少させ得る。所望であれば、集塊化はまた、マグネシウムなどのゲッター材料の存在下で実施されてもよい。熱処理後、高い反応性の粗集塊を、空気を段階的に入れることによって不動態化してもよい。その他の適切な集塊化技術はまた、
Raoに付与された米国特許第6,576,038号、
Wolfらに付与された第6,238,456号、
Pathareらに付与された第5,954,856号、
Reratに付与された第5,082,491号、
Getzに付与された第4,555,268号、
Albrechtらに付与された第4,483,819号、
Getzらに付与された第4,441,927号、および
Batesらに付与された第4,017,302号に記載されている。
【0017】
アノード体の構築を促進するために、特定の構成成分がまた、粉末中に含まれてもよい。例えば、アノード体を形成するために加圧されるとき、粒子が互いに十分接着することを確実にするために、粉末は、結合剤および/または潤滑剤と混合してもよい。適切な結合剤としては、例えば、ポリ(ビニルブチラール);ポリ(ビニルアセテート);ポリ(ビニルアルコール);ポリ(ビニルピロリドン);セルロース系ポリマー、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、およびメチルヒドロキシエチルセルロース;アタクチックポリプロピレン、ポリエチレン;ポリエチレングリコール(例えば、Dow Chemical Co.からのCarbowax);ポリスチレン、ポリ(ブタジエン/スチレン);ポリアミド、ポリイミド、およびポリアクリルアミド、高分子質量ポリエーテル;酸化エチレンと酸化プロピレンとのコポリマー;フルオロポリマー、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオリド、およびフルオロ−オレフィンコポリマー;アクリルポリマー、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリ(アクリル酸低級アルキル)、ポリ(メタクリル酸低級アルキル)およびアクリル酸低級アルキルとメタクリル酸低級アルキルとのコポリマー;ならびに脂肪酸およびワックス、例えば、ステアリン酸およびその他の石鹸脂肪酸、植物ワックス、マイクロワックス(精製パラフィン)等を挙げ得る。結合剤は、溶媒に溶解および分散させてもよい。代表的な溶媒としては、水、アルコールなどを挙げ得る。使用される場合、結合剤および/または潤滑剤のパーセンテージは、全質量の約0.1質量%から約8質量%まで様々であってもよい。しかし、結合剤および/または潤滑剤は、本発明において必ずしも必要とされないことが、理解されるべきである。
【0018】
結果として得られる粉末を、いずれかの従来の粉末プレスデバイス使用して、圧縮し、ペレットを形成してよい。例えば、ダイおよび1つまたは複数のパンチを含有するシングルステーション圧縮プレスである、プレス成形が、使用されてもよい。代替方法として、ダイおよび単一下方パンチのみを使用するアンビル型圧縮プレス成形が、使用されてもよい。シングルステーション圧縮プレス成形は、単動、複動、フローティングダイ、可動プラテン、対向カム、ねじ、インパクト、ホットプレス、コイニング、またはサイジングなどの多様な能力を有する、カム、トグル/ナックル、および偏心/クランク式のプレスなどのいくつかの基本タイプで利用可能である。粉末は、アノードリード(例えば、タンタルワイヤー)の周囲に圧縮されてもよい。代替方法として、アノードリードは、アノード体の加圧および/または焼結の後に、アノード体へ付着(例えば、溶接)されてもよいことが、さらに認識されるべきである。
【0019】
圧縮後、数分間、特定の温度(例えば、約150℃〜約500℃)で真空下、ペレットを加熱することによって、いずれの結合剤/潤滑剤も除去し得る。代替方法として、
Bishopらに付与された米国特許第6,197,252号に記載されているように、ペレットを水溶液と接触させることによっても、結合剤/潤滑剤を除去し得る。その後、ペレットは焼結されて、多孔質の一体化した塊を形成する。例えば、一実施形態において、ペレットは、真空または不活性雰囲気下で、約1200℃〜約2000℃、および実施形態によっては約1500℃〜約1800℃の温度で焼結されてもよい。焼結するとすぐ、ペレットは、粒子間の結合の成長に起因して、収縮する。焼結後のペレットの圧縮密度は、様々であってもよいが、典型的に、約2.0〜約7.0グラム毎立方メートル、実施形態によっては約2.5〜約6.5、および実施形態によっては約3.0〜約6.0グラム毎立方メートルである。圧縮密度は、材料の量を、加圧されたペレットの体積で割ることによって決定される。
【0020】
必須ではないが、アノード体の厚みは、コンデンサの電気性能を改善するように選択されてもよい。例えば、アノードの厚みは、約4ミリメートル以下、実施形態によっては約0.05〜約2ミリメートル、および実施形態によっては約0.1〜約1ミリメートルであってもよい。アノードの形状はまた、結果として得られるコンデンサの電気特性を改善するように選択されてもよい。例えば、アノードは、曲線、正弦曲線、長方形、U字形、V字形等の形状を有してもよい。アノードはまた、表面積対体積の比率を増加させて、ESRを最小化し、静電容量の周波数応答を拡張するために、1つまたは複数の畝、溝、凹部、または窪みを含有するという点で、「溝付き」の形状を有してもよい。かかる「溝付き」アノードは、例えば、
Webberらに付与された米国特許第6,191,936号、
Maedaらに付与された第5,949,639号、および
Bourgaultらに付与された第3,345,545号、ならびに
Hahnらに付与された米国特許出願公開第2005/0270725号に記載されている。
【0021】
アノードリードはまた、長軸方向に拡がるアノード体に接続されてもよい。アノードリードは、ワイヤー、シート等の形態であってもよく、バルブ金属化合物、例えば、タンタル、ニオブ、酸化ニオブ等から形成されてもよい。アノードリードの接続は、既知の技術を使用して、例えば、形成の間(例えば、圧縮および/または焼結前)に、リードをアノード体に溶接することまたはアノード体内にリードを包埋することによって、達成されてもよい。
【0022】
B.
誘電体
誘電体はまた、アノード体の上に重なる、または覆う。誘電体は、誘電体層がアノード体の上および/またはアノード体内に形成されるように、焼結されたアノードを陽極的に酸化すること(「陽極酸化すること」)によって形成してもよい。例えば、タンタル(Ta)アノード体は、五酸化タンタル(Ta
2O
5)に陽極酸化され得る。典型的には、陽極酸化は、最初に溶液をアノード体に適用すること、例えば、アノード体を電解質中に浸漬することによって実施される。溶媒、例えば、水(例えば、脱イオン水)が、一般的に使用される。イオン伝導率を高めるために、溶媒中で解離してイオンを形成することが可能である化合物を使用してもよい。例えば、酸(例えば、リン酸)は、陽極酸化溶液の約0.01質量%〜約5質量%、実施形態によっては約0.05質量%〜約0.8質量%、および実施形態によっては約0.1質量%〜約0.5質量%を構成し得る。所望であれば、酸のブレンドもまた、使用されてもよい。
【0023】
電流は、陽極酸化溶液を通過して、誘電体層を形成する。化成電圧の値は、誘電体層の厚さを管理する。例えば、必要とされる電圧に到達するまで、電源を、最初、定電流モードに設定してもよい。その後、所望の誘電体の厚みがアノード体の表面全体の上に形成されることを確実にするために、電源を定電位モードに切り替えてもよい。もちろん、パルスまたは段階定電位法などのその他の既知の方法もまた使用してもよい。アノードの酸化が起こる電圧は、典型的に、約4〜約400V、および実施形態によっては約9〜約200V、および実施形態によっては約20〜約150Vの範囲にある。酸化の間、陽極酸化溶液を、高温、例えば、約30℃以上、実施形態によっては約40℃〜約200℃、および実施形態によっては約50℃〜約100℃に維持することができる。アノードの酸化はまた、大気温度以下で行うことができる。結果として得られる誘電体層は、アノード体の表面上およびその孔内に形成されてもよい。
【0024】
C.
固体電解質
上に示されているように、固体電解質は、カソードとして一般的に機能する誘電体の上に重ねる。いくつかの実施形態において、固体電解質は、二酸化マンガンを含んでもよい。固体電解質が二酸化マンガンを含む場合、例えば、二酸化マンガン固体電解質は、硝酸マンガン(manganous nitrate)(Mn(NO
3)
2)の熱分解によって形成され得る。かかる技術は、例えば、
Sturmerらに付与された米国特許第4,945,452号に記載されている。
【0025】
その他の実施形態において、固体電解質は、導電性ポリマーを含有し、導電性ポリマーは、典型的にπ共役であり、酸化または還元の後、電気伝導率、例えば、少なくとも約1μS/cmの電気伝導率を有する。かかるπ共役導電性ポリマーの例としては、ポリ複素環(例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン等)、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン、ポリフェノラートなどが挙げられる。一実施形態において、例えば、ポリマーは、以下の一般構造を有するような置換ポリチオフェンである。
【0026】
【化1】
式中、
Tは、OまたはSであり、
Dは、置換されていてもよいC
1−C
5アルキレンラジカル(例えば、メチレン、エチレン、n−プロピレン、n−ブチレン、n−ペンチレン等)であり、
R
7は、置換されていてもよい、直鎖状または分枝状C
1−C
18アルキルラジカル(例えば、メチル、エチル、n−またはイソ−プロピル、n−、イソ−、sec−またはtert−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1−エチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル、等);置換されていてもよいC
5−C
12シクロアルキルラジカル(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル等);置換されていてもよいC
6−C
14アリールラジカル(例えば、フェニル、ナフチル等);置換されていてもよいC
7−C
18アラルキルラジカル(例えば、ベンジル、o−、m−、p−トリル、2,3−、2,4−、2,5−、2−6、3−4−、3,5−キシリル、メシチル等);置換されていてもよいC
1−C
4ヒドロキシアルキルラジカル、またはヒドロキシルラジカルであり、
qは、0〜8、実施形態によっては0〜2、および一実施形態においては0の整数であり、
nは、2〜5,000、実施形態によっては4〜2,000、および実施形態によっては5〜1,000である。ラジカル「D」または「R
7」のための置換基の例としては、例えば、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルコキシ、ハロゲン、エーテル、チオエーテル、ジスルフィド、スルホキシド、スルホン、スルホネート、アミノ、アルデヒド、ケト、カルボン酸エステル、カルボン酸、カルボネート、カルボキシレート、シアノ、アルキルシランおよびアルコキシシラン基、カルボキシルアミド基などが挙げられる。
【0027】
特に適切なチオフェンポリマーは、「D」が、置換されていてもよいC
2−C
3アルキレンラジカルであるチオフェンポリマーである。例えば、ポリマーは、置換されていてもよいポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)であってもよく、以下の一般構造を有する。
【化2】
【0028】
上に記載されている通り、導電性ポリマーを形成するための方法は、当技術分野においてよく知られている。例えば、
Merkerらに付与された米国特許第6,987,663号は、モノマーの前駆体から置換ポリチオフェンを形成するための様々な技術を記載している。例えば、モノマーの前駆体は、以下の構造を有してもよい。
【0029】
【化3】
式中、
T、D、R
7、およびqは、上に定義されている。特に適切なチオフェンモノマーは、「D」が、置換されていてもよいC
2−C
3アルキレンラジカルであってもよいチオフェンモノマーである。例えば、以下の一般構造を有する置換されていてもよい3,4−アルキレンジオキシチオフェンが、使用されてもよい。
【0030】
【化4】
式中、R
7およびqは、上に定義されている通りである。一つの特定の実施形態において、「q」は、0である。3,4−エチレンジオキシチオフェン(ethylenedioxthiophene)の一つの商業的に適切な例は、Clevios(商標)Mの名称でHeraeus Cleviosから入手可能である。その他の適切なモノマーはまた、
Blohmらに付与された米国特許第5,111,327号および
Groenendaalらに付与された第6,635,729号に記載されている。例えば、上のモノマーのダイマーまたはトリマーである、これらのモノマーの誘導体もまた、使用されてもよい。より高分子の誘導体、すなわち、このモノマーのテトラマー、ペンタマー等は、本発明における使用にとって適切である。誘導体は、同一のまたは異なるモノマースケールから構成されていてよく、純粋形態で、ならびに別のモノマーとのおよび/またはこのモノマーとの混合物として使用されてもよい。これらの前駆体の酸化または還元形態もまた、使用されてもよい。
【0031】
導電性ポリマー層を形成するために、様々な方法が使用されてもよい。例えば、その場重合層は、酸化触媒の存在下でモノマーを化学的に重合することによって形成され得る。酸化触媒は、典型的に、遷移金属カチオン、例えば、鉄(III)、銅(II)、クロム(VI)、セリウム(IV)、マンガン(IV)、マンガン(VII)、またはルテニウム(III)カチオン等を含む。導電性ポリマーに過剰電荷を供給し、ポリマーの導電率を安定化させるために、ドーパントもまた使用されてもよい。ドーパントは、典型的に、無機または有機アニオン、例えば、スルホン酸のイオンを含む。特定の実施形態において、酸化触媒は、カチオン(例えば、遷移金属)およびアニオン(例えば、スルホン酸)を含む点で、触媒とドーピングとの両方の機能性を有する。例えば、酸化触媒は、鉄(III)カチオンを含む遷移金属塩、例えば、ハロゲン化鉄(III)(例えば、FeCl
3)またはその他の無機酸の鉄(III)塩、例えば、Fe(ClO
4)
3もしくはFe
2(SO
4)
3、ならびに有機酸および有機ラジカルを含む無機酸の鉄(III)塩であってもよい。有機ラジカルを有する無機酸の鉄(III)塩の例としては、例えば、C
1−C
20アルカノールの硫酸モノエステルの鉄(III)塩(例えば、ラウリルサルフェートの鉄(III)塩)が挙げられる。同じように、有機酸の鉄(III)塩の例としては、例えば、C
1−C
20アルカンスルホン酸(例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、またはドデカンスルホン酸)の鉄(III)塩;脂肪族パーフルオロスルホン酸(例えば、トリフルオロメタンスルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸、またはパーフルオロオクタンスルホン酸)の鉄(III)塩;脂肪族のC
1−C
20カルボン酸(例えば、2−エチルヘキシルカルボン酸)の鉄(III)塩;脂肪族パーフルオロカルボン酸(例えば、トリフルオロ酢酸またはパーフルオロオクタン酸)の鉄(III)塩;C
1−C
20アルキル基によって置換されてもよい芳香族スルホン酸(例えば、ベンゼンスルホン酸、o−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、またはドデシルベンゼンスルホン酸)の鉄(III)塩;シクロアルカンスルホン酸(例えば、カンファースルホン酸)の鉄(III)塩などが挙げられる。これらの上述の鉄(III)塩の混合物もまた、使用されてもよい。鉄(III)−p−トルエンスルホネート、鉄(III)−o−トルエンスルホネート、およびこれらの混合物は、特に適切である。鉄(III)−p−トルエンスルホネートの一つの商業的に適切な例は、Clevios(商標)Cの名称でHeraeus Cleviosから入手可能である。
【0032】
酸化触媒およびモノマーを、順次または一緒にのいずれかで塗布して、重合反応を開始させてもよい。これらの構成成分を塗布するための適切な塗布技術としては、シルクスクリーン、浸漬、電気泳動塗装、および噴霧が挙げられる。一例として、モノマーを、最初に酸化触媒と混合させて、前駆体溶液を形成してもよい。混合物は、形成してすぐ、アノード部分に塗布され、次に、導電性コーティングが表面上に形成されるように、重合させてもよい。代替方法として、酸化触媒およびモノマーを、順次、塗布してもよい。一実施形態において、例えば、酸化触媒を、有機溶媒(例えば、ブタノール)中に溶解し、次に、浸漬溶液として塗布する。次に、アノード部分を、乾燥させて、そこから溶媒を除去してもよい。その後、アノード部分を、モノマーを含有する溶液中に浸漬してもよい。とにかく、重合は、使用される酸化剤および所望の反応時間に応じて、約−10℃〜約250℃、実施形態によっては約0℃〜約200℃の温度で、典型的に実施される。上に記載されているような適切な重合技術は、
Bilerに付与された米国特許第7,515,396号に、より詳細に記載されている可能性がある。かかる導電性コーティングを塗布するためのさらなるその他の方法は、
Sakataらに付与された米国特許第5,457,862号、
Sakataらに付与された第5,473,503号、
Sakataらに付与された第5,729,428号、および
Kudohらに付与された第5,812,367号に、記載されている可能性がある。
【0033】
その場塗布に加えて、導電性ポリマー固体電解質はまた、導電性ポリマー粒子の分散系の形態で塗布されてもよい。分散系を使用する一つの利点は、分散系が、その場重合の間に生成されるイオン種(例えば、Fe
2+またはFe
3+)の存在を最小化し得ることであり、その場重合は、イオン移動に起因して、高電場下、誘電破壊を引き起こし得る。したがって、むしろその場重合を通じて、分散系として導電性ポリマーを塗布することによって、結果として得られるコンデンサは、比較的高い「破壊電圧」を示し得る。アノードの良好な含浸を可能にするために、分散系中に使用される粒子は、小さいサイズ、例えば、約1〜約150ナノメートル、実施形態によっては約2〜約50ナノメートル、および実施形態によっては約5〜約40ナノメートルの平均サイズ(例えば、直径)を、典型的に有する。粒子の直径は、既知の技術を使用して、例えば、超遠心分離機、レーザー回析等によって、測定され得る。粒子の形状は、同じように様々であってもよい。一つの特定の実施形態において、例えば、粒子の形状は、球状である。しかし、その他の形状、例えば、平板、桿状体、円盤、棒、管、不規則な形状等もまた、本発明によって検討されていることも理解されるべきである。分散系中の粒子の濃度は、分散系の所望の粘度、および分散系をコンデンサに塗布する予定の特定の方法に応じて、様々であってもよい。しかし、典型的には、粒子は、分散系の約0.1〜約10質量%、実施形態によっては約0.4〜約5質量%、および実施形態によっては約0.5〜約4質量%を構成する。
【0034】
分散系はまた、粒子の安定性を高める対イオンを一般的に含有する。つまり、導電性ポリマー(例えば、ポリチオフェンまたはその誘導体)は、中性または陽性(カチオン性)である、ポリマー主鎖上の電荷を典型的に有する。例えば、ポリチオフェン誘導体は、ポリマー主鎖に陽電荷を、典型的に帯びている。場合によっては、ポリマーは、構造スケール中に陽および陰電荷を持ち得て、陽電荷は主鎖に位置し、陰電荷はラジカル「R」の置換基、例えば、スルホネートまたはカルボキシレート基に位置してもよい。主鎖の陽電荷は、ラジカル「R」上に存在してもよいアニオン性基で部分的にまたは全体的に飽和させられ得る。全体的に見れば、ポリチオフェンは、これらの場合において、カチオン性、中性、またはアニオン性にすら成り得る。にもかかわらず、ポリチオフェン主鎖が陽電荷を有しているので、ポリチオフェンは全て、カチオン性ポリチオフェンと見なされる。
【0035】
対イオンは、導電性ポリマーの電荷を相殺する、モノマーまたはポリマーのアニオンであってもよい。例えば、ポリマーアニオンは、ポリマーカルボン酸(例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸等);ポリマースルホン酸(例えば、ポリスチレンスルホン酸(「PSS」)、ポリビニルスルホン酸等)などのアニオンであることができる。酸はまた、コポリマー、例えば、ビニルカルボン酸およびビニルスルホン酸とその他の重合可能なモノマー、例えば、アクリル酸エステルおよびスチレンとのコポリマーであってもよい。同じように、適切なモノマーアニオンとしては、例えば、C
1−C
20アルカンスルホン酸(例えば、ドデカンスルホン酸);脂肪族パーフルオロスルホン酸(例えば、トリフルオロメタンスルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸、またはパーフルオロオクタンスルホン酸);脂肪族C
1−C
20カルボン酸(例えば、2−エチル−ヘキシルカルボン酸);脂肪族パーフルオロカルボン酸(例えば、トリフルオロ酢酸またはパーフルオロオクタン酸);C
1−C
20アルキル基によって置換されていてもよい芳香族スルホン酸(例えば、ベンゼンスルホン酸、o−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、またはドデシルベンゼンスルホン酸);シクロアルカンスルホン酸(例えば、カンファースルホン酸、またはテトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、パークロレート、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロアルセネート、もしくはヘキサクロロアンチモネート);などのアニオンが挙げられる。特に適切な対アニオンは、ポリマーアニオン、例えば、ポリマーカルボン酸またはスルホン酸(例えば、ポリスチレンスルホン酸(「PSS」)である。かかるポリマーアニオンの分子質量は、典型的に、約1,000〜約2,000,000、および実施形態によっては約2,000〜約500,000の範囲である。
【0036】
使用される場合、分散系および結果として得られる層中のかかる対イオン対導電性ポリマーの質量比は、典型的に、約0.5:1〜約50:1、実施形態によっては約1:1〜約30:1、および実施形態によっては約2:1〜約20:1である。完全な変換が重合の間に起こると想定して、電気伝導性ポリマーの質量は、計量された使用モノマーの一部を参照し、上記の質量比を参照して対応する。導電性ポリマーおよび対イオンに加えて、分散系はまた、1種または複数の結合剤、分散剤、フィラー、接着剤、架橋剤等を含有してもよい。
【0037】
ポリマー分散系は、多様な既知の技術を使用して、例えば、スピンコーティング、含浸、注液、滴状塗布、噴射、噴霧、ドクターブレード、刷毛塗り、印刷(例えば、インクジェット、スクリーン、またはパッド印刷)、または浸漬によって塗布されてもよい。分散系の粘度は、使用される塗布技術に応じて様々であってもよいが、典型的に、約0.1〜約100,000mPa・秒(100秒
-1のせん断速度で測定される)、実施形態によっては約1〜約10,000mPa・秒、実施形態によっては約10〜約1,500mPa・秒、および実施形態によっては約100〜約1000mPa・秒である。塗布してすぐ、層は、乾燥および/または洗浄されてもよい。1つまたは複数の追加の層がまた、この方法で形成されて、所望の厚みを達成し得る。典型的に、この粒子分散系によって形成された層の全厚みは、約1〜約50μm、および実施形態によっては約5〜約20μmである。対イオン対導電性ポリマーの質量比は、同じように、約0.5:1〜約50:1、実施形態によっては約1:1〜約30:1、および実施形態によっては約2:1〜約20:1である。
【0038】
所望であれば、ヒドロキシル官能性非イオン性ポリマーもまた、固体電解質中に含まれてもよい。用語「ヒドロキシ官能性」は、化合物が少なくとも1個のヒドロキシル官能基を含有する、または溶媒の存在下でかかる官能基を持つことが可能であることを、一般的に意味する。理論に制限されるものではないが、ヒドロキシ官能性非イオン性ポリマーは、導電性ポリマーと内部誘電体の表面との間の接触度を改善することができると考えられ、表面は、典型的に、より高いフォーミング電圧の結果として、本来、比較的滑らかである。接触度の改善によって、結果として得られるコンデンサの破壊電圧ならびに湿潤および乾燥静電容量は予想外に増加する。その上、ある特定の分子質量を有するヒドロキシ官能性ポリマーの使用はまた、高電圧での化学分解の尤度を最小化することができると考えられる。例えば、ヒドロキシ官能性ポリマーの分子質量は、約100〜10,000グラム毎モル、実施形態によっては約200〜2,000、実施形態によっては約300〜約1,200、および実施形態によっては約400〜約800であってもよい。
【0039】
多様なヒドロキシ官能性非イオン性ポリマーのいずれも、この目的のために一般的に使用され得る。一実施形態において、例えば、ヒドロキシ官能性ポリマーは、ポリアルキレンエーテルである。ポリアルキレンエーテルは、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエピクロロヒドリン等)、ポリオキセタン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトンなどを含んでもよい。典型的に、ポリアルキレンエーテルは、末端ヒドロキシ基を有する、主に直鎖状の非イオン性ポリマーである。特に適切なのは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびポリテトラメチレングリコール(ポリテトラヒドロフラン)であり、水への酸化エチレン、酸化プロピレン、またはテトラヒドロフランの重付加によって生成される。ポリアルキレンエーテルは、ジオールまたはポリオールから重縮合反応によって調製されてもよい。ジオール構成成分は、特に、5〜36個の炭素原子を含有する、飽和もしくは不飽和、分枝状もしくは非分枝状、脂肪族ジヒドロキシ化合物、または芳香族ジヒドロキシ化合物、例えば、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、ネオペンチルグリコール、ビス−(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサン、ビスフェノールA、ダイマージオール、水添ダイマージオール、または上述のジオールの混合物でさえからも選択されてよい。さらに、例えば、グリセロール、ジ−およびポリグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、またはソルビトールを含む多価アルコールもまた、重合反応に使用されてもよい。
【0040】
上に述べられたものに加えて、その他のヒドロキシ官能性非イオン性ポリマーもまた、本発明において使用されてもよい。かかるポリマーのいくつかの例としては、例えば、エトキシル化アルキルフェノール;エトキシル化またはプロポキシル化C
6−C
24脂肪族アルコール;一般式CH
3−(CH
2)
10-16−(O−C
2H
4)
1-25−OHを有するポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル(例えば、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテルおよびペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル);一般式CH
3−(CH
2)
10-16−(O−C
3H
6)
1-25−OHを有するポリオキシプロピレングリコールアルキルエーテル;以下の一般式C
8H
17−(C
6H
4)−(O−C
2H
4)
1-25−OHを有するポリオキシエチレングリコールオクチルフェノールエーテル(例えば、Triton(商標)X−100);以下の一般式C
9H
19−(C
6H
4)−(O−C
2H
4)
1-25−OHを有するポリオキシエチレングリコールアルキルフェノールエーテル(例えば、ノノキシノール−9);C
8−C
24脂肪酸のポリオキシエチレングリコールエステル、例えば、ポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル(例えば、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレート、PEG−20メチルグルコースジステアレート、PEG−20メチルグルコースセスキステアレート、PEG−80ヒマシ油、およびPEG−20ヒマシ油、PEG−3ヒマシ油、PEG600ジオレート、およびPEG400ジオレート)およびポリオキシエチレングリセロールアルキルエステル(例えば、ポリオキシエチレン−23グリセロールラウレートおよびポリオキシエチレン−20グリセロールステアレート);C
8−C
24脂肪酸のポリオキシエチレングリコールエーテル(例えば、ポリオキシエチレン−10セチルエーテル、ポリオキシエチレン−10ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン−20セチルエーテル、ポリオキシエチレン−10オレイルエーテル、ポリオキシエチレン−20オレイルエーテル、ポリオキシエチレン−20イソヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレン−15トリデシルエーテル、およびポリオキシエチレン−6トリデシルエーテル);ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのブロックコポリマー(例えば、ポロキサマー)など、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0041】
ヒドロキシ官能性非イオン性ポリマーは、多様な異なる方法で、固体電解質中へ組み込まれてもよい。特定の実施形態において、例えば、非イオン性ポリマーは、上に記載された方法によって形成されたいずれかの導電性ポリマー層に、単純に組み込まれてもよい(例えば、その場重合または予備重合された粒子の分散)。しかし、その他の実施形態において、非イオン性ポリマーは、最初のポリマー層が形成された後に、塗布されてもよい。
【0042】
D.
外部ポリマーコーティング
必須ではないが、外部ポリマーコーティングをアノード体に塗布し、固体電解質の上に重ねてもよい。外部ポリマーコーティングは、上により詳細に記載されたような、予備重合された導電性粒子の分散系から形成された1つまたは複数の層を一般的に含有する。外部コーティングは、コンデンサ本体のエッジ領域へさらに浸透することができ、誘電体への接着を向上させ、より機械的に堅牢な部品を結果的にもたらし得て、そのことによって、等価直列抵抗および漏れ電流を減少させ得る。所望であれば、架橋剤もまた、固体電解質への接着度を高めるために、外部ポリマーコーティング中で使用されてもよい。典型的に、架橋剤は、外部コーティングに使用される分散系の塗布の前に、適用される。適切な架橋剤は、例えば、
Merkerらに付与された米国特許公開第2007/0064376号に記載されていて、例えば、アミン(例えば、ジアミン、トリアミン、オリゴマーアミン、ポリアミン等);多価金属カチオン、例えば、Mg、Al、Ca、Fe、Cr、Mn、Ba、Ti、Co、Ni、Cu、Ru、Ce、もしくはZnの塩または化合物、ホスホニウム化合物、スルホニウム化合物等を含む。
【0043】
E.
その他の構成成分
所望であれば、コンデンサ素子はまた、当技術分野において知られているように、その他の層を含有してもよい。例えば、保護コーティング、例えば、シェラック樹脂などの比較的絶縁性ある樹脂性材料(天然または合成)から作られたコーティングが、誘電体と固体電解質との間に形成されてもよい。これらおよびその他の保護コーティング材料は、
Fifeらに付与された米国特許第6,674,635号に、より詳細に記載されている。所望であれば、部品にまた、炭素層(例えば、黒鉛)および銀層をそれぞれ、付けてもよい。例えば、銀コーティングは、コンデンサのためのハンダ付け可能な導体、接触層、および/または電荷コレクタとして働き得るし、炭素コーティングは、銀コーティングと固体電解質との接触を制限し得る。かかるコーティングは、固体電解質の一部または全部を覆ってもよい。
【0044】
II.
筐体
上に示されている通り、コンデンサ素子は、筐体内に密封されて、本発明のコンデンサ組立体を形成する。特定の実施形態において、複数の、例えば、2〜約150個、実施形態によっては約5〜約100個、実施形態によっては約25〜約75個、および実施形態によっては約30〜約50個のコンデンサ素子が使用されてもよい。密封は、使用している間の固体電解質の酸化を抑制するため、少なくとも1種の不活性ガスを含有する気体雰囲気の存在下で典型的に行われる。不活性ガスは、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン、キセノン、ネオン、クリプトン、ラドンなど、ならびにこれらの混合物を含んでよい。典型的に、不活性ガスは、筐体内の気体雰囲気の大部分、例えば、雰囲気の約50質量%〜100質量%、実施形態によっては約75質量%〜100質量%、および実施形態によっては約90質量%〜約99質量%を構成する。所望であれば、比較的少量の非不活性ガス、例えば、二酸化炭素、酸素、水蒸気等もまた、使用されてもよい。しかし、かかる場合において、非不活性ガスは、筐体内の雰囲気の15質量%以下、実施形態によっては10質量%以下、実施形態によっては約5質量%以下、実施形態によっては約1質量%以下、および実施形態によっては約0.01質量%〜約1質量%を、典型的に構成する。例えば、含水量(相対湿度を用いて表される)は、約10%以下、実施形態によっては約5%以下、実施形態によっては約1%以下、および実施形態によっては約0.01〜約5%であってもよい。
【0045】
多様な異なる材料のいずれか、例えば、金属、プラスチック、セラミックスなどを、筐体を形成するために使用してもよい。一実施形態において、例えば、筐体は、金属、例えば、タンタル、ニオブ、アルミニウム、ニッケル、ハフニウム、チタン、銅、銀、鋼(例えば、ステンレス)、これらの合金(例えば、電気伝導性酸化物)、これらの複合物(例えば、電気伝導性酸化物でコーティングされた金属)などの1つまたは複数の層を含む。別の実施形態において、筐体は、セラミックス材料、例えば、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、ガラス等、ならびにこれらの組合せの1つまたは複数の層を含んでもよい。
【0046】
コンデンサ素子を、多様な異なる技術のいずれかを使用して、筐体に付着させてもよい。決して必須ではないが、アノードおよびカソードの終端部が、回路へのその後の統合のために筐体の外部に形成されるような方法で、コンデンサ素子を、筐体に付着させてもよい。終端部の特定の構造は、意図された適用例次第であってよい。一実施形態において、例えば、コンデンサ組立体は、表面設置可能で、なおかつ機械的に堅牢であるように形成され得る。例えば、アノードリードおよびコンデンサ素子のカソードは、外部の表面設置可能な終端部(例えば、パッド、シート、平板、フレーム等)に電気的に接続されてもよく、終端部は、筐体を通じて拡がり、アノードリードフレームを通じて、例えば、下により詳細に考察されている、導電性部材、メッキ層、ハンダパッド等を通じて、コンデンサ素子のアノードと接続してもよく、終端部は、筐体を通じて拡がり、メッキ層を通じてカソードと接続してもよい。別の実施形態において、アノードリードおよびコンデンサ素子のカソードは、外部の表面設置可能な終端部(例えば、パッド、シート、平板、フレーム等)に直接、電気的に接続されてもよく、終端部は、筐体を通じて拡がり、カソードおよびアノードリードと接続してもよい。
【0047】
外部の終端部の厚みまたは高さは、コンデンサ組立体の厚みを最小化するように、一般的に選択される。例えば、終端部の厚みは、約0.05ミリメートル〜約1ミリメートル、例えば、約0.05ミリメートル〜約0.5ミリメートル、例えば、約0.1ミリメートル〜約0.2ミリメートルの範囲であってもよい。所望であれば、終端部の表面を、当技術分野において知られているように、ニッケル、銀、金、錫、コバルト等またはこれらの合金で電気メッキして、最終部品が回路基板に設置可能であることを確実にしてもよい。一つの特定の実施形態において、終端部は、ニッケルおよび銀フラッシュで、それぞれ、沈着され、設置面はまた、錫ハンダ層でメッキされる。別の実施形態において、終端部は、ベースの金属層(例えば、銅合金)上に、薄い外側金属層(例えば、金)で沈着され、導電率をさらに向上させる。
【0048】
本発明の熱伝導性材料は、コンデンサ素子を少なくとも部分的に封入するように、筐体内に配置される。特定の実施形態において、例えば、材料は、コンデンサ素子を完全に封入してもよい。封入は、多様な方法で達成され得る。例えば、熱伝導性材料は、コンデンサ素子と直接接触して配置されてもよい。代替方法として、熱伝導性材料は、コンデンサ素子を覆うように、筐体自体の表面に単純に適用されてもよい(例えば、蓋)。
図9を参照すると、例えば、上に配置された熱伝導性封入材料143を含有し、そのようにして1個または複数のコンデンサ素子(図示せず)を封入しているコンデンサ組立体100の一実施形態が示されている。適用してすぐ、材料は、多様な技術のいずれかを使用して、硬化されてもよい。一実施形態において、例えば、材料は、約20℃〜約200℃、および実施形態によっては約25℃〜約150℃の温度で硬化され得る。所望であれば、硬化は、材料への硬化剤またはその他の硬化用薬剤の添加によって、促進されてもよい。
【0049】
多様な異なる筐体の構造のいずれも、本発明において一般的に使用され得る。例えば、決して必須ではないが、厚みが比較的薄い「ロープロファイル」コンデンサ組立体が、一実施形態において使用されてもよい。
図1〜4および7〜9を参照すると、例えば、筐体が、約1ミリメートル〜約20ミリメートル、例えば、約2ミリメートル〜約10ミリメートル、例えば、約3ミリメートル〜約6ミリメートルのz方向の高さH
1を有する、ロープロファイルコンデンサ組立体100の様々な実施形態が示されている。x方向の筐体の長さL
1は、同じように、約20ミリメートル〜約100ミリメートル、例えば、約40ミリメートル〜70ミリメートル、例えば、約45ミリメートル〜約65ミリメートルの範囲にあってもよく、y方向の筐体の幅W
1は、約10ミリメートル〜約60ミリメートル、例えば、約20ミリメートル〜約50ミリメートル、例えば、約25ミリメートル〜約45ミリメートルの範囲であってもよい。さらに、いくつかの実施形態において、筐体は、約7000mm
3〜約12,000mm
3、例えば、約7500mm
3〜約11,500mm
3、例えば、約8000mm
3〜約11,000mm
3の範囲の体積を有することができる。加えて、筐体は、x方向の筐体の長さL
1対z方向の筐体の高さH
1の比率が少なくとも約2になるような、ロープロファイルを有することができる。例えば、長さL
1対高さH
1の比率は、約2〜約80、例えば、約4〜約60、例えば、約10〜約40の範囲であることができる。
【0050】
決して必須ではないが、
図1〜4および7〜9に示されているコンデンサ組立体は、複数の平行な列(例えば、列1〜4)に配列された多数のコンデンサ素子(例えば、40個)を有していて、10個のコンデンサ素子のそれぞれの列が、筐体の長さL
1に沿って、長軸方向L
Gに伸びている。しかし、コンデンサ素子は、何個でも、それぞれの列に存在でき、何列でも、コンデンサ組立体の特定の要件に応じて使用できると理解されるべきである。示されている通り、コンデンサ組立体100の筐体は、底123ならびに向かい合わせの側壁124および125を含み、側壁の間には、コンデンサ素子20(1)〜20(40)を含む、キャビティ526が形成される。底123ならびに側壁124および125は、上に記載されているような、金属、プラスチック、またはセラミックス材料の1つまたは複数の層から形成されてもよい。コンデンサ素子20(1)〜20(40)は、筐体のキャビティ526の内部に平行に配列されていて、かかる平行な配列は、コンデンサ素子100のESRを減少させるのに役立ち、ESRの減少は、有効に熱を放散させる、コンデンサ組立体100の能力に寄与する。
【0051】
1個のコンデンサ素子(例えば、コンデンサ素子20(1))の小さい方の面25bが、隣のコンデンサ素子(例えば、コンデンサ素子20(2))の小さい方の面25aに隣接して置かれて対面するように、コンデンサ素子20(1)〜20(40)は並べられる。コンデンサ素子20(1)〜20(40)のそれぞれの下の大きい方の面23b(
図3参照)は、筐体の底123に対面し、例えば、下により詳細に考察されるメッキ層によって底123と接触していて、小さい方の向かい合う面25a、25b、27a、および27b(
図3参照)よりむしろ、下の大きい方の面23bが、底123と接触するように、コンデンサ素子20(1)〜(40)を配列することは、ケーシングに接触しているコンデンサ素子20(1)〜20(40)の表面積を増加させ、そのことが、有効に熱を放散させる、コンデンサ組立体100の能力にさらに寄与する。より詳細には、メッキ層によってケーシングに接触しているコンデンサ素子の下の大きい方の面の全表面積対筐体の体積の比率は、約0.05mm
-1、実施形態によっては約0.06mm
-1を超えていてもよく、実施形態によっては約0.06mm
-1〜約0.3mm
-1、例えば、約0.065mm
-1〜約0.25mm
-1、例えば、約0.07mm
-1〜約0.20mm
-1、例えば、約0.075mm
-1〜約0.15mm
-1の範囲であることができる。
【0052】
上に記載されている通り、および
図1〜2に示されている通り、コンデンサ組立体100はまた、アノードリード6およびコンデンサ素子20(1)〜20(40)のそれぞれの下の大きい方の面23b上の固体電解質/カソードが、平行に電気的に接続している、外部のアノード終端部135および外部のカソード終端部137を含有してもよい。さらに、リードフレームおよびメッキ層を、機械的に安定した方法で外部の終端部135および137の形成を促進するために、筐体の内部のキャビティ内で使用してもよい。例えば、
図4を参照すると、コンデンサ組立体100は、それぞれのコンデンサ素子20(1)〜20(40)のアノードリード6が伸びる方向に、一般的に垂直である平面に設けられているという意味で「直立している」、第1の平面部分65および第2の部分67を有する、アノードリードフレームを含んでもよい。このように、第2の部分67は、リード6の動きを制限して、使用の間の表面接触および機械的安定性を高めることができる。さらに、所望であれば、絶縁用材料7(例えば、Teflon(商標)ワッシャー)が、リード6の周りに使用されてもよい。第2の部分67は、アノードリード6に接続される設置領域(図示せず)を持ってもよい。この領域は、リード6の表面接触および機械的安定性をさらに高めるために、「U字形」を有してもよい。加えて、アノードリード6は、レーザー溶接、抵抗溶接、導電接着剤、またはいずれかのその他の適切な方法によって、アノードリードフレームの第2の部分67に接続できる。
【0053】
例えば、コンデンサ素子のそれぞれの列のための第1の部分65a、65b、65c、および65d、ならびに40個のコンデンサ素子のそれぞれに対応する40個の第2の部分67(1)〜67(40)(便宜上、67と標識を付ける)を含むことができるアノードリードフレームは、10個のコンデンサ素子の4列を接続するために使用されてもよい(例えば、列1は、第2の部分67(1)〜(10)でアノードリード6によってアノードリードフレームに接続されているコンデンサ素子20(1)〜20(10)を含み、列2は、第2の部分67(11)〜67(20)でアノードリード6によってアノードリードフレームに接続されているコンデンサ素子20(11)〜20(20)を含み、列3は、第2の部分67(21)〜67(30)でアノードリード6によってアノードリードフレーム構成部品65cに接続されているコンデンサ素子20(21)〜20(30)を含み、および列4は、第2の部分67(31)〜67(40)でアノードリード6によってアノードリードフレームに接続されているコンデンサ素子20(31)〜20(40)を含む)。さらに、図示されてはいないが、所望であれば、コンデンサ素子20(11)〜20(20)および20(21)〜20(30)は、それらのアノードリード6がお互いに対面するように置かれているので、列2および3に付随するアノードリードフレームの第1の部分65bおよび65cを組み合わせて、アノードリードフレームの単一の第1の部分にしてもよい。上に考察されている通り、一つの特定の実施形態において、それぞれのアノードリード6は、アノードリードフレームのそれぞれの第2の部分67にレーザー溶接される。しかし、これらの構成部品が、抵抗溶接、導電接着剤等によって接続できることもまた、理解されるべきである。一方、一つの特定の実施形態において、アノードリードフレームの第1の部分65a〜65dは、抵抗溶接によって、筐体の底123に接続できる。しかし、導電接着剤によって第1の部分65a〜65dを筐体の底123に接続するなど、いずれかのその他の適切な方法も同様に使用できることもまた、理解されるべきである。
【0054】
さらに、アノードリードフレームの第1の部分65a〜65dおよび第2の部分67(1)〜67(40)の表面を、当技術分野において知られているように、ニッケル、銀、金、錫、コバルト等、またはこれらの合金で電気メッキして、アノードリード6によるコンデンサ素子20(1)〜20(40)へおよび筐体の底123への十分な接続を確実にしてもよい。一つの特定の実施形態において、アノードリードフレームは、ニッケルおよび銀フラッシュで、それぞれ、沈着させることができ、設置面はまた、錫ハンダ層でメッキできる。別の実施形態において、アノードリードフレームは、ベースの金属層(例えば、銅合金)上に薄い外側金属層(例えば、金)で沈着させ、導電率をさらに上昇させることができる。さらに別の実施形態において、ニッケル−鉄合金のストリップ(例えば、NILO(登録商標)ストリップ)またはいずれかのその他の適切な金属材料のストリップ(図示せず)を、アノードリードフレームの第1の部分65a〜65bの下の筐体の底123上にハンダ付けできる。
【0055】
さらに、様々な構成部品もまた、10個のコンデンサ素子の4列を筐体の底123に接続するために使用されてもよい(例えば、列1は、下の大きい方の面23bで底123に接続されているコンデンサ素子20(1)〜20(10)を含み、列2は、下の大きい方の面23bで底123に接続されているコンデンサ素子20(11)〜20(20)を含み、列3は、下の大きい方の面23bで底123に接続されているコンデンサ素子20(21)〜20(30)を含み、および列4は、下の大きい方の面23bで底123に接続されているコンデンサ素子20(31)〜20(40)を含む)。一つの実施形態において、例えば、コンデンサ素子20(1)〜20(40)の下の大きい方の面23bは、導電接着剤によって筐体の底123に接続でき(図示せず)、そこでは、底123は、金属メッキ層29a、29b、29c、および29dの4列を含む。金属メッキ層29a、29b、29c、および29dは、いずれかの適切な金属から形成でき、一つの特定の実施形態において、ニッケルメッキ層であることができる。
【0056】
アノード側またはカソード側のいずれかの上でのコンデンサ素子の付着は、多様な既知の技術、例えば、溶接、レーザー溶接、導電接着剤等のいずれかを使用して、一般的に達成されてもよい。使用される場合、導電接着剤は、樹脂組成物と一緒に含有される、導電性金属粒子から形成されてもよい。金属粒子は、銀、銅、金、白金、ニッケル、亜鉛、ビスマス等であってもよい。樹脂組成物は、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂)、硬化用薬剤(例えば、酸無水物)、およびカップリング剤(例えば、シランカップリング剤)を含んでもよい。適切な導電接着剤は、
Osakoらに付与された米国特許出願公開第2006/0038304号に記載されている。
【0057】
図5を参照すると、コンデンサ組立体200の別の実施形態が示されている。熱を放散させるコンデンサ組立体の能力をさらに高めるために、コンデンサ組立体200は、y方向の金属ストリップ133、およびいくつかのコンデンサ素子20の上の大きい方の面23aと接触しているx方向の金属ストリップ131を含んでもよい。金属材料は、銅またはいずれかのその他の熱を放散させる材料であることができ、熱の放散のために利用可能な表面積をさらに増加させるのに役立つ。
【0058】
次に
図6に目を向けると、
図4〜5に示されている配列の代替を有するコンデンサ組立体300が図解されていて、上に定義されている、列1のコンデンサ素子20(1)〜20(10)および列2の20(11)〜20(20)に付随したアノードリード6は、互いに対面していて、所望であれば、組み合わせて単一の構成部品にするため、列1および2のためのアノードリードフレームの第1の部分65aおよび65bの組合せを可能にする。同様に、上に定義されている、列3のコンデンサ素子20(21)〜20(30)および列4の20(31)〜20(40)に付随したアノードリード6は、互いに対面していて、所望であれば、組み合わせて単一の構成部品にするため、列1および2のためのアノードリードフレームの第1の部分65cおよび65dの組合せを可能にする。さらに、上に定義されている、列2および3のコンデンサ素子の上の大きい方の面23aは、互いに隣接していて、所望であれば、メッキ層29bおよび29cを組み合わせて単一の構成部品にすることを可能にする。
上に考察されている通り、コンデンサ組立体は、アノード終端部135およびカソード終端部137を含有し、それらは、筐体の外部にあって、別々の平板、シート等から形成されてもよい。さらに、かかる終端部は、筐体の底123を通じて拡がる導電トレースによって、アノードリードフレームおよびカソードメッキ層/金属ストリップ(例えば、NILO(登録商標)ストリップ)構成部品に接続できる。
図4〜5のコンデンサ素子配列のための
図7、および
図6のコンデンサ素子配列のための
図8を参照すると、アノードリードフレームの第1の部分65a〜65dおよび金属メッキ層29a〜29dが、コンデンサ組立体100のケーシングの長さL
1および幅W
1を拡げるので、アノードリードフレームの第1の部分65a〜65dを外部のアノード終端部135に接続する導電トレース139は、外部のアノード終端部135のすぐ上およびアノードリードフレーム構成部品の第1の部分65a〜65dのすぐ下に配置されるケーシングの底123の部分を通じてのみ形成され、一方、金属メッキ層29a〜29dを外部のカソード終端部137に接続する、導電トレース141は、外部のカソード終端部137のすぐ上および金属メッキ層65a〜65dのすぐ下のケーシングの底123の部分を通じてのみ形成される。もちろん、本発明は、所望の終端部を形成するための導電トレースの使用に決して制限されず、接続のいずれかのその他の適切な手段を使用できる。例えば、いくつかの実施形態において(図示せず)、アノードリードフレームおよびカソードメッキ層の部分は、ケーシングを通じて拡がって、外部のアノード終端部および外部のカソード終端部もまた形成できることが理解されるべきである。
【0059】
使用される特定の構造にかかわらず、上に考察されている通り、コンデンサ素子20を底123に接続した後、コンデンサ素子20を、封入材料143でコーティングし、硬化できる。その後、結果として得られた組立体は、密封されてもよい。例えば、筐体はまた、コンデンサ素子を筐体内に置いた後、側壁124および125の上面に置かれる蓋127を含んでもよい。蓋は、セラミックス、金属(例えば、鉄、銅、ニッケル、コバルト等、ならびにこれらの合金)、プラスチックなどから形成されてもよい。所望であれば、密封部材(図示せず)は、良好な密封を実現するのに役立つように、蓋と側壁124および125との間に配置されてもよい。一実施形態において、例えば、密封部材は、ガラスと金属との密封剤、Kovar(登録商標)リング(Goodfellow Camridge、Ltd.)等を含んでもよい。側壁の高さは、一般的に、コンデンサ素子が汚染されないように、蓋がコンデンサ素子のいずれの表面にも接触しないような高さである。所望の位置に置かれる場合、蓋は、既知の技術、例えば、溶接(例えば、抵抗溶接、レーザー溶接等)、ハンダ付け等を使用して、側壁124および125で密閉される。いくつかの実施形態において、密封は、結果として得られる組立体に、反応性ガス、例えば、酸素または水蒸気が実質的にないように、上に記載されている通り、不活性ガスの存在下で行われる。
【0060】
特定の構造にかかわらず、本発明のコンデンサ組立体は、高電圧環境および高温に暴露された場合でさえ、優秀な電気特性を示し得る。例えば、熱を放散させる本発明のコンデンサ組立体の能力に起因して、比較的高いリップル電流が、コンデンサ組立体を破損することなく達成され得る。例えば、最大のリップル電流は、約25アンペア以上、実施形態によっては約50アンペア以上、および実施形態によっては約75アンペア以上であり得る。さらに、コンデンサ組立体の等価直列抵抗(ESR)は、約75ミリオーム未満、実施形態によっては約50ミリオーム未満、および実施形態によっては約25ミリオーム未満であり得る。例えば、ESRは、約0.5ミリオーム〜約50ミリオーム、例えば、約1ミリオーム〜約25ミリオーム、例えば、約2ミリオーム〜約10ミリオームの範囲であることができる。
【0061】
本発明は、以下の実施例を参照することによって、よりよく理解され得る。
【0062】
試験手順
等価直列抵抗(ESR)
等価直列抵抗は、Kelvinリードを有するAgilent E4980AプレシジョンLCRメータを使用して、2.2ボルトDCバイアスおよび0.5ボルトピークトゥピーク正弦信号で測定されてもよい。動作周波数は100kHzであり、温度は23℃土2℃であった。
静電容量(CAP)
静電容量は、Kelvinリードを有するAgilent E4980AプレシジョンLCRメータを使用して、2.2ボルトDCバイアスおよび0.5ボルトピークトゥピーク正弦信号で測定された。動作周波数は120Hzであった。
【0063】
漏れ電流(DCL)
漏れ電流は、最低限60秒後に、好適な電圧(25℃〜85℃のためのUr、60%の125℃のためのUrおよび50%の150℃のためのUr)で漏れ電流を測定する、Keithley2410ソースメータを使用して測定された。
【0064】
リップル電流
リップル電流は、GoldStar GP505電源、Agilent33210A信号発生器、Pt100熱電対を有するAlmemo2590−9データロガー、およびFluke80iオシロスコープを使用して測定された。リップル電流の好適な値がコンデンサを通過した場合、動作周波数は、AC信号および10ボルトDCバイアスで、20kHzであった。リップル電流の増加にともなって、温度もまた上昇し、サーモカメラによってモニターされた。
【実施例】
【0065】
(例1)
9,000μFV/gタンタル粉末を使用して、アノードサンプルを形成した。それぞれのアノードサンプルを、タンタルワイヤーで包埋し、1800℃で焼結し、密度5.3g/cm
3まで加圧した。結果として得られたペレットは、サイズ4.6mm×5.25mm×2.6mmを有した。ペレットを、85℃の温度で、導電率8.6mSを有する水/リン酸電解質中で、260Vまで陽極酸化して、誘電体層を形成した。次に、導電性ポリマーコーティングを、固体含有量1.1%および粘度20mPa・秒を有するポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(Clevios(商標)K、H.C.Starck)の分散系中にアノードを浸漬することによって形成した。コーティングに際して、部品を、125℃で20分間、乾燥させた。この方法を10回位繰り返した。その後、部品を、固体含有量2%および粘度20mPa・秒を有するポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(Clevios(商標)K、H.C.Starck)の分散系中に浸漬した。コーティングに際して、部品を、125℃で20分間、乾燥させた。この方法は、繰り返さなかった。次に、部品を、固体含有量2%および粘度160mPa・秒を有するポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(Clevios(商標)K、H.C.Starck)の分散系中に浸漬した。コーティングに際して、部品を、125℃で20分間、乾燥させた。この方法を、8回繰り返した。次に、部品を、黒鉛分散系中に浸漬して、乾燥させた。最後に、部品を、銀分散系中に浸漬して、乾燥させた。100Vコンデンサの複数の部品を、このようにして作った。
【0066】
銅ベースのリードフレーム材料を使用して、コンデンサ素子をセラミックス筐体に入れる組立て方法を完了した。コンデンサ組立体は、4列で平行に接続された(1列毎に9個のコンデンサ素子)、36個のコンデンサ素子を含んだ。次に、カソード接続部材を、ニッケルカソード終端部に接着し、アノードリードフレームを、長さ58.0mm、幅35.0mm、および厚み5.45mmを有するセラミックス筐体の底でニッケルアノード終端部に溶接した。筐体は、セラミックス筐体の底の内側表面上にハンダ付けされた、ニッケルメッキされたNILO(登録商標)ハンダパッドを有した。
全ての接続のために使用された接着剤は、銀ペーストであった。次に、組立体を、対流式オーブンに入れて、銀ペーストをハンダ付けした。その後、アノード接続のために使用された溶接は、100ミリ秒の間、リードフレーム部分とセラミックス筐体のニッケルメッキされたハンダパッドとの間に適用された、エネルギー300Wを使用する抵抗溶接であった。次に、熱伝導性シリコン封入剤(Thermoset SC−320)を、コンデンサ素子のアノード部分およびカソード部分の上部に塗布し、150℃で24時間、乾燥させた。次に、Kovar(登録商標)蓋を、セラミックスの密封剤リング上に密接させて、筐体の上部に載せた。結果として得られた組立体を、溶接チャンバーに入れ、密封剤リングと蓋との間のシーム溶接を実施する前に、窒素ガスでパージした。
【0067】
試験の後で、静電容量は340.1μFであり、一方で、ESRは4.3mΩであったと、測定された。漏れ電流およびリップル電流試験の結果の概要を、下に示す。
【表1】
【表2】
【0068】
示されている通り、この例に従って作られたコンデンサ組立体は、リップル電流25アンペアに耐えることができ、103.6℃の温度に達しただけであった。
【0069】
(例2A)
複数のコンデンサ素子を、上の例1に記載されているのと同じ方法で形成した。
【0070】
次に、銅ベースのリードフレーム材料を使用して、コンデンサ素子をセラミックス筐体に入れる組立て方法を完了した。コンデンサ組立体は、平行に接続された2個のコンデンサ素子を含んだ。次に、カソード接続部材を、金カソード終端部に接着し、アノードリードフレームを、長さ11.00mm、幅12.50mm、および厚み5.40mmを有するセラミックス筐体の底の金アノード終端部に溶接した。筐体は、セラミックス筐体の底の内部上に金メッキされたハンダパッドを有した。
カソード接続のために使用された接着剤は、銀ペーストであった。次に、組立体を、対流式オーブンに入れて、銀ペーストをハンダ付けした。アノード接続のために使用された溶接は、抵抗溶接であり、エネルギー300Wを、100ミリ秒の間に、リードフレーム部分とセラミックス筐体の金メッキされたハンダパッドの間に適用した。次に、熱伝導性シリコン封入剤(Thermoset SC−320)を、コンデンサ素子のアノード部分およびカソード部分の上部に塗布し、150℃で24時間、乾燥させた。次に、Kovar(登録商標)蓋を、セラミックスの密封剤リング上に密接させて、筐体の上部に載せた。結果として得られた組立体を、溶接チャンバーに入れ、密封剤リングと蓋との間のシーム溶接を実施する前に、窒素ガスでパージした。
試験の後、静電容量は18.3μFであり、一方で、ESRは53.0mΩであったと、測定された。漏れ電流およびリップル電流試験の結果の概要を、下に示す。
【0071】
(例2B)
複数のコンデンサ素子を、上の例2Aに記載されているのと同じ方法で形成した。
耐熱性保護シリコンコーティングを、コンデンサ素子のアノード部分およびカソード部分の上部に塗布し、23℃で24時間、乾燥させた。次に、Kovar(登録商標)蓋を、セラミックスの密封剤リング上に密接させて、筐体の上部に載せた。結果として得られた組立体を、溶接チャンバーに入れ、密封剤リングと蓋との間のシーム溶接を実施する前に、窒素ガスでパージした。
試験の後、静電容量は18.3μFであり、一方で、ESRは56.1mΩであったと、測定された。漏れ電流およびリップル電流試験の結果の概要を、下に示す。
【0072】
(例2C)
複数のコンデンサ素子を、上の例2Aに記載されているのと同じ方法で形成した。
一構成成分エポキシベースのシンタクチックフォーム粉末封入剤を、コンデンサ素子のアノード部分およびカソード部分の上部に塗布し、150℃で4時間、乾燥させた。次に、Kovar(登録商標)蓋を、セラミックスの密封剤リング上に密接させて、筐体の上部に載せた。結果として得られた組立体を、溶接チャンバーに入れ、密封剤リングと蓋との間のシーム溶接を実施する前に、窒素ガスでパージした。
試験の後、静電容量は19.5μFであり、一方で、ESRは54.6mΩであったと、測定された。漏れ電流およびリップル電流試験の結果の概要を、下に示す。
【0073】
(例2D)
複数のコンデンサ素子を、上の例2Aに記載されているのと同じ方法で形成した。
封入材を、アノードおよびカソードの上部に塗布しなかった。次に、Kovar(登録商標)蓋を、セラミックスの密封剤リング上に密接させて、筐体の上部に載せた。結果として得られた組立体を、溶接チャンバーに入れ、密封剤リングと蓋との間のシーム溶接を実施する前に、窒素ガスでパージした。
試験の後、静電容量は18.4μFであり、一方で、ESRは49.8mΩであったと、測定された。漏れ電流およびリップル電流試験の結果の概要を、下に示す。
【0074】
(例2E)
複数のコンデンサ素子を、上の例2Aに記載されているのと同じ方法で形成した。
封入材を、アノードおよびカソードの上部に塗布しなかった。次に、Kovar(登録商標)蓋を、セラミックスの密封剤リング上に密接させて、筐体の上部に載せた。結果として得られた組立体を、溶接チャンバーに入れ、密封剤リングと蓋との間のシーム溶接を実施する前に、空気でパージした。
試験の後、静電容量は18.8μFであり、一方で、ESRは47.6mΩであったと、測定された。漏れ電流およびリップル電流試験の結果の概要を、下に示す。
【表3】
【0075】
本発明のこれらならびにその他の変更および改変は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者によって実行されてもよい。さらに、様々な実施形態の態様は、全体的でも部分的でも、入れ替えられてよいことが理解されるべきである。その上、当業者は、前述の説明が、ほんの一例であり、かかる添付の特許請求の範囲にさらに説明されている本発明を制限することを意図されていないことを認識するであろう。