(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記入浴状態検出手段は、前記浴槽内の入浴者の心拍数を検出する心拍数検出手段、入浴者の位置を検出する人体検出手段、入浴者の血圧を検出する血圧検出手段、及び入浴者の心電図を検出する心電図検出手段の少なくとも1つ以上を備え、
前記制御部は、前記心拍数検出手段、前記人体検出手段、前記血圧検出手段、前記心電図検出手段の少なくとも1つ以上で検出された情報による入浴者の入浴状態に基づき、前記排水手段を作動させる請求項1に記載の排水システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の浴室システムでは、例えば、自動排水栓を後付で施工する場合、浴槽内に設けられるポップアップ排水栓を用いることとなり、適用できる浴槽が制限される。また、自動排水栓により開放された排水口から浴槽内の湯水を排水するため、排水に時間がかかる。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、自動排水栓により排水口を開放して浴槽内の湯水を排水する構成と比較して、浴槽内の湯水を短時間で排水することができる排水システム及び浴室システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に記載
の排水システムは、浴槽の壁部に設けられ、前記浴槽内の湯水を前記浴槽の上部側からあふれさせて排水し、又は前記壁部の一部を外して排水する排水手段と、前記浴槽内の入浴者が異常となり得る所定の入浴状態を検出する入浴状態検出手段と、前記入浴状態検出手段により前記所定の入浴状態が検出されたときに、前記排水手段を作動させる制御部と、を有する。
【0007】
第1態様に記載の
排水システムによれば、浴槽の壁部には、浴槽内の湯水を浴槽の上部側からあふれさせて排水し、又は壁部の一部を外して排水する排水手段が設けられている。制御部は、入浴状態検出手段により浴槽内の入浴者が異常となり得る所定の入浴状態が検出されたときに、排水手段を作動させる。これにより、排水手段によって、浴槽内の湯水が浴槽の上部側からあふれることで排水され、又は、壁部の一部が外されて浴槽内の湯水が排水される。このため、自動排水栓により排水口を開放して浴槽内の湯水を排水する構成と比較して、浴槽内の湯水を短時間で排水することができる。したがって、浴槽内で入浴者が、例えば意識を失った場合などに、入浴者が浴槽内で溺れてしまうことを未然に防止することができる。
【0008】
第2態様に記載の
排水システムは、
第1態様に記載の排水システムにおいて、前記排水手段は、前記浴槽の前記壁部に設けられたエアバックと、作動時に供給するガスによって前記エアバックを膨張させる膨張装置と、を有し、前記エアバックが膨張することで、前記浴槽内の湯水を押し出して前記浴槽の上部側からあふれさせて排水する構成とされている。
【0009】
第2態様に記載の
排水システムによれば、浴槽の壁部にエアバックが設けられている。膨張装置は、作動時にガスを供給することで、エアバックを膨張させる。エアバックが膨張することで、浴槽内の湯水がエアバックによって押し出され、湯水が浴槽の上部側からあふれることで排水される。このため、自動排水栓により排水口を開放して浴槽内の湯水を排水する構成と比較して、浴槽内の湯水を短時間で排水することができる。
【0010】
第3態様に記載の
排水システムは、
第1態様に記載の排水システムにおいて、前記排水手段は、前記浴槽の前記壁部の一部に設けられ、前記浴槽の前記壁部の他部に形成された被係合部に係合される係合部と、前記壁部の一部を前記係合部が前記被係合部から外れる方向に移動させる移動装置と、を有し、前記壁部の一部が前記壁部の他部から外されて形成された開口部から前記浴槽内の湯水を排水する構成とされている。
【0011】
第3態様に記載の
排水システムによれば、浴槽の壁部の一部には、係合部が設けられており、係合部が、浴槽の壁部の他部に形成された被係合部に係合されている。移動装置は、作動時に係合部が被係合部から外れる方向に壁部の一部を移動させることで、壁部の一部が浴槽の壁部の他部から外れて開口部が形成される。これにより、開口部から浴槽内の湯水が排水される。このため、自動排水栓により排水口を開放して浴槽内の湯水を排水する構成と比較して、浴槽内の湯水を短時間で排水することができる。
【0012】
第4態様に記載の
排水システムは、
第1態様から
第3態様までのいずれか1
つの態様に記載の排水システムにおいて、前記入浴状態検出手段は、前記浴槽内の入浴者の心拍数を検出する心拍数検出手段、入浴者の位置を検出する人体検出手段、入浴者の血圧を検出する血圧検出手段、及び入浴者の心電図を検出する心電図検出手段の少なくとも1つ以上を備え、前記制御部は、前記心拍数検出手段、前記人体検出手段、前記血圧検出手段、前記心電図検出手段の少なくとも1つ以上で検出された情報による入浴者の入浴状態に基づき、前記排水手段を作動させる。
【0013】
第4態様に記載の
排水システムによれば、浴槽内の入浴者の心拍数を検出する心拍数検出手段、入浴者の位置を検出する人体検出手段、入浴者の血圧を検出する血圧検出手段、及び入浴者の心電図を検出する心電図検出手段の少なくとも1つ以上を備えている。制御部は、心拍数検出手段、人体検出手段、血圧検出手段、心電図検出手段の少なくとも1つ以上で検出された情報による入浴者の入浴状態に基づき、排水手段を作動させる。これにより、例えば、入浴者の心拍数や血圧が許容値よりも高い場合、入浴者が動かない場合などに、浴槽内の湯水を浴槽の上部側からあふれさせて短時間に排水し、又は壁部の一部を外して浴槽内の湯水を短時間に排水することができる。
【0014】
第5態様に記載の
排水システムは、
第1態様から
第4態様までのいずれか1
つの態様に記載の排水システムにおいて、浴室に設けられると共に、音声を出力する報知手段が配置されたリモートコントローラを備え、前記制御部は、前記排水手段を作動させる前に、前記浴槽内の湯水が排水されることを前記報知手段から報知する。
【0015】
第5態様に記載の
排水システムによれば、浴室に報知手段が配置されたリモートコントローラを備えており、制御部は、排水手段を作動させる前に、浴槽内の湯水が排水されることを音声で報知手段から入浴者に報知する。このため、入浴者に事前に知らせることなく、いきなり浴槽内の湯水が排水されることが回避される。
【0016】
第6態様に記載
の浴室システムは、
第1態様から
第5態様までのいずれか1
つの態様に記載の排水システムと、前記排水システムに設けられ、湯水が溜められる浴槽と、を有する。
【0017】
第6態様に記載の
浴室システムによれば、
第1態様から
第5態様までのいずれか1
つの態様に記載の排水システムを備えているので、排水手段を作動させることで、浴槽内の湯水を短時間で排水することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、自動排水栓により排水口を開放して浴槽内の湯水を排水する構成と比較して、浴槽内の湯水を短時間で排水することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
〔第1実施形態〕
図1〜
図3を用いて、本発明の第1実施形態である排水システムについて説明する。
【0022】
図1には、本発明の第1実施形態である排水システム12を備えた浴室システム10が概略構成図にて示されている。
図1に示されるように、浴室システム10は、浴室14に、湯水が溜められる浴槽18を備えている。浴槽18は、壁部としての底部19と、底部19の周囲を囲むように立ち上げられた側部20と、を備えている。本実施形態では、底部19と側部20とが一体的に成形されているが、この構成に代えて、側部20にエプロンが着脱可能に取り付けられている構成でもよい。
【0023】
浴槽18の底部19には、排水口22が設けられており、この排水口22を塞ぐ排水栓24が設けられている。排水栓24は、キャップ状とされており、排水口22に挿入される軸部24Aと、軸部24Aの一端に形成された頭部24Bと、を備えている。本実施形態では、排水栓24は、手動によって排水口22に抜き差しする通常の排水栓とされている。図示を省略するが、排水栓24の頭部24Bには、浴槽18の上部側から延びる鎖等の接続部材の一端部が繋がれている。
【0024】
浴槽18の底部19には、浴槽18内の湯水を浴槽18の上部側からあふれさせて排水する排水手段の一例としての排水装置30が設けられている。排水装置30は、浴槽18の底部19の上面に設けられたエアバック32と、底部19の下面側に設けられた膨張装置としてのインフレータ34と、を備えている。エアバック32は、底部19の上面に折り畳まれた状態で配置されている。
【0025】
エアバック32の下側には、底部19に貫通孔36が形成されており、インフレータ34は、貫通孔36に挿通された接続部35を介してエアバック32の流入口(図示省略)に接続されている。インフレータ34は、底部19の下面に図示しない支持部材によって支持されている。インフレータ34は、一例として、作動時に点火装置によりガス発生剤が燃焼し、ガスが発生する構成とされている。そして、インフレータ34の作動時に発生したガスが接続部35からエアバック32に流入し、エアバック32を膨張させるようになっている(
図3参照)。排水装置30は、浴槽18内に湯水が溜められた状態で、エアバック32を膨張させることで、浴槽18内の湯水を押し出し、湯水を浴槽18の側部20の上部側からあふれさせて排水するようになっている。
【0026】
本実施形態では、底部19の上面にエアバック32が露出しているが、エアバック32の上面を覆うように保護シートを設けてもよい。なお、
図1では、構成を分かりやすくするため、エアバック32が底部19の上面から突出する高さ(段差)が大きいが、実際には、エアバック32は、折り畳まれた状態でより平坦な形状であり、底部19の上面から突出する高さ(段差)は小さい。
【0027】
浴室システム10には、図示を省略するが、湯水を生成する熱源機と、熱源機と浴槽18とに接続されると共に湯水が流れる配管と、配管から浴槽18の側部20に接続されて浴槽18内に湯水を吐出する吐出口と、を備えている。これにより、浴槽18内に湯水が溜められるようになっている。なお、本実施形態では、浴槽18内に湯水を供給する方式については、特に制限されず、様々な方式が適用可能である。
【0028】
本実施形態の排水システム12を備えた浴室システム10は、リモートコントローラ40(以下、リモコン40と略称する)と、制御ユニット54と、を備えている。リモコン40は、浴室14の側壁38に設けられている。制御ユニット54は、一例として、浴室14の外部の熱源機(図示省略)の内部に設けられている。リモコン40と制御ユニット54とはケーブルによって接続されている。
【0029】
図2には、リモコン40及び制御ユニット54がブロック図にて示されている。
図2に示されるように、リモコン40は、浴室システム10の運転状況等を表示する表示部42と、浴室システム10の所定の運転等を選択する複数のボタン(
図3参照)を有する操作部44と、を備えている。また、リモコン40は、表示部42及び操作部44とそれぞれ電気的に接続されると共にリモコン40を制御する制御部46と、制御部46に電気的に接続されると共に制御ユニット54との通信を行う通信部48と、を備えている。また、リモコン40は、制御部46と電気的に接続されると共に運転状況等の情報を音声として出力する報知手段としてのスピーカ50を備えている。さらに、リモコン40は、制御部46と電気的に接続されると共に入浴者の生体情報を検出する生体情報センサ52を備えている。
【0030】
生体情報センサ52としては、例えば、浴室14(
図1参照)内にいる者(入浴しているとは限らない)の位置を検出する人体検出手段としての人感センサ、入浴者の心拍数を検出する心拍数検出手段としての心拍数センサ、入浴者の血圧を検出する血圧検出手段としての血圧センサ、入浴者の心電図を検知する心電図検出手段としての心電図センサ等の少なくとも1つ以上が設けられている。そして、排水システム12では、人感センサ、心拍数センサ、血圧センサ、心電図センサ等の少なくとも1つ以上で検出された生体情報による入浴者の入浴状態に基づき、排水装置30を作動させる構成とされている。本実施形態では、生体情報センサ52として、人感センサ、心拍数センサ、血圧センサ、及び心電図センサが設けられている。心拍数センサは、入浴者と非接触の状態で入浴者の心拍数を検出する構成とされている。また、血圧センサも同様に、入浴者と非接触の状態で入浴者の血圧を検出する構成とされている。また、心電図センサも同様に、入浴者と非接触の状態で入浴者の心電図を検出する構成とされている。
【0031】
生体情報センサ52としての人感センサで検出された浴室14内にいる者の位置情報は、制御部46に伝達される。また、生体情報センサ52としての心拍数センサで検出された入浴者の心拍数の情報は、制御部46に伝達される。また、生体情報センサ52としての血圧センサで検出された入浴者の血圧の情報は、制御部46に伝達される。さらに、生体情報センサ52としての心電図センサで検出された入浴者の心電図の情報は、制御部46に伝達される。制御部46では、人感センサから出力された位置検出信号が処理されることで、浴室14内にいる者の位置が特定される。また、制御部46では、心拍数センサから出力された心拍数検出信号が処理されることで、入浴者の心拍数が計測される。同様に、制御部46では、血圧センサから出力された血圧検出信号が処理されることで、入浴者の血圧が計測される。同様に、制御部46では、心電図センサから出力された心電図検出信号が処理されることで、入浴者の心電図が計測される。制御部46は、入浴者の位置情報、入浴者の心拍数の情報、入浴者の血圧の情報、及び入浴者の心電図の情報に対応する信号をそれぞれ通信部48から制御ユニット54に出力する。また、制御部46は、操作部44で各ボタン等の操作が行われたときに、各ボタン等の操作に対応する信号を通信部48から制御ユニット54に出力する。
【0032】
制御ユニット54は、熱源機(図示省略)の構成機器を動作させる燃焼ユニット56と、燃焼ユニット56と電気的に接続されると共に浴室システム10の全体を制御する制御部58と、制御部58と電気的に接続されると共にリモコン40等との通信を行う通信部60と、を備えている。制御ユニット54の通信部60とリモコン40の通信部48とは電気的に接続されている。また、制御ユニット54は、時間を計測するタイマ62を備えており、タイマ62は、制御部58に電気的に接続されている。タイマ62は、例えば、入浴時間などを計測する。また、通信部60は、インフレータ34(
図1参照)を作動させるインフレータ作動部66と電気的に接続されている。制御部58は、通信部60を介して信号を送信することで、インフレータ作動部66によるインフレータ34の作動を制御する。
【0033】
制御部58は、各運転を行うためのプログラムなどを記憶したROM(読み出し専用メモリ)、リモコン40や各センサ等から出力された信号に基づくデータを一時的に記憶するRAM(書き換え可能メモリ)、及び、各プログラムを実行するCPU(中央演算素子)等を有している。
【0034】
リモコン40から出力された浴室14内にいる者の位置情報、入浴者の心拍数の情報、入浴者の血圧の情報、及び入浴者の心電図の情報に対応する信号は、それぞれ制御ユニット54の制御部58に入力されるようになっている。
【0035】
生体情報センサ52は、浴槽18内の入浴者が異常となり得る所定の入浴状態を検出する入浴状態検出手段として機能している。例えば、制御部58は、生体情報センサ52としての人感センサで検出された浴槽18内の入浴者の位置情報に基づき、入浴者の動きが一定時間以上無いことが検出されたときに、浴槽18内の入浴者が異常となり得る所定の入浴状態と判定する。又は、制御部58は、生体情報センサ52としての心拍数センサによって検出された入浴者の心拍数が、所定の心拍数の一例としての第1の閾値以上となったときに、浴槽18内の入浴者が異常となり得る所定の入浴状態と判定する。又は、生体情報センサ52としての血圧センサによって検出された入浴者の血圧が、所定の血圧の一例としての第2の閾値以上となったときに、浴槽18内の入浴者が異常となり得る所定の入浴状態と判定する。又は、生体情報センサ52としての心電図センサによって検出された入浴者の心電図から読み取れる情報が、ある一定の条件を満たした場合に、浴槽18内の入浴者が異常となり得る所定の入浴状態と判定する。制御部58は、所定の入浴状態と判定されたときに、インフレータ作動部66によりインフレータ34(
図1参照)を作動させる。これにより、インフレータ34の作動時に発生するガスにより、エアバック32を膨張させるようになっている(
図3参照)。
【0036】
本実施形態では、入浴者の心拍数の絶対値が、第1の閾値以上となったときに、排水装置30を作動させるが、入浴者の心拍数の変化分(上昇分)が、所定の心拍数の変化値(上昇値)以上となったときに、排水装置30を作動させるようにしてもよい。同様に、本実施形態では、入浴者の血圧の絶対値が、第2の閾値以上となったときに、排水装置30を作動させるが、入浴者の血圧の変化分(上昇分)が、所定の血圧の変化値(上昇値)以上となったときに、排水装置30を作動させるようにしてもよい。
【0037】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0038】
<通常の入浴時>
図1に示されるように、通常の入浴時には、エアバック32が折り畳まれた状態で浴槽18の底部19に配置されている。浴槽18に湯水が張られる際は、排水栓24によって排水口22が塞がれた状態で、例えば、リモコン40の風呂自動ボタン(図示省略)が押されることで、浴槽18内に湯水が溜められる。
【0039】
<異常検出時>
制御部58は、生体情報センサ52(
図2等参照)によって検出された生体情報に基づき、所定の条件下で異常検出と判定したとき、排水モードとなる。例えば、制御部58は、生体情報センサ52としての人感センサで検出された浴槽18内の入浴者の位置情報に基づき、入浴者の動きが一定時間以上無いことが検出されたとき、生体情報センサ52としての心拍数センサによって検出された入浴者の心拍数が、所定の心拍数の一例としての第1の閾値以上となったとき、生体情報センサ52としての血圧センサによって検出された入浴者の血圧が、所定の血圧の一例としての第2の閾値以上となったとき、又は生体情報センサ52としての心電図センサによって検出された入浴者の心電図から読み取れる情報が、ある一定の条件を満たしたときに、異常検出と判定する。これにより、排水モードとなり、制御部58は、インフレータ作動部66に信号を出力することにより、排水装置30のインフレータ34を作動させる。
【0040】
図3に示されるように、インフレータ34の作動時にガスが発生することで、ガスが接続部35からエアバック32に流入し、エアバック32が膨張する。浴槽18内に湯水が溜められた状態で、エアバック32が膨張することで、エアバック32によって入浴者が持ち上げられると共に、浴槽18内の湯水がエアバック32によって押し出される。これにより、浴槽18内の湯水が浴槽18の側部20の上部側からあふれることで排水される。そのとき、エアバック32は、一般的な自動車に搭載されているエアバックと比較して、ゆっくりと膨張する(例えば、約10秒かけて膨張する)ように、インフレータ34のガス発生量及びガス発生時間が調整されている。これにより、入浴者に衝撃を与えずに浴槽18内の湯水を排水することができる。
【0041】
上記のような排水システム12では、制御部58は、生体情報センサ52により浴槽18内の入浴者が異常となり得る所定の入浴状態が検出されたときに、排水装置30のインフレータ34を作動させることで、エアバック32が膨張し、浴槽18内の湯水が排水される。その際、インフレータ34の作動時にガスが発生し、エアバック32が膨張することで、浴槽18内の入浴者が持ち上げられると共に、浴槽18内の湯水がエアバック32によって押し出され、湯水が浴槽18の上部側からあふれることで排水される。このため、自動排水栓により排水口を開放して浴槽内の湯水を排水する構成と比較して、浴槽18内の湯水を短時間で排水することができる。したがって、浴槽18内で入浴者が、例えば意識を失った場合などに、入浴者が浴槽内で溺れてしまうことを未然に防止することができる。
【0042】
また、排水システム12では、エアバック32の膨張によって浴槽18内の入浴者が持ち上げられるため、浴槽18内の入浴者の位置や状態にかかわらず、浴槽18内の湯水を上部側からあふれさせて排水することができる。
【0043】
さらに、排水システム12では、生体情報センサ52は、浴槽18内の入浴者の心拍数を検出する心拍数センサ、入浴者の位置を検出する人感センサと、入浴者の血圧を検出する血圧センサ、及び入浴者の心電図を検出する心電図センサの少なくとも1つ以上を備えている。制御部58は、心拍数センサ、人感センサ、血圧センサ、心電図センサの少なくとも1つ以上で検出された情報による入浴者の入浴状態に基づき、排水装置30のインフレータ34を作動させる。これにより、例えば、入浴者の心拍数や血圧が許容値よりも高い場合、入浴者が動かない場合などに、浴槽18内の湯水を上部側からあふれさせて短時間で排水することができる。
【0044】
なお、排水システム12には、浴室14に、音声を出力するスピーカ50が配置されたリモコン40が設けられており、制御部58は、排水装置30を作動させる前に、浴槽18内の湯水が排水されることをスピーカ50から入浴者に報知するようにしてもよい。これにより、入浴者に事前に知らせることなく、いきなり浴槽18内の湯水が排水されることが回避される。
【0045】
また、第1実施形態において、エアバックの位置や個数については、浴槽内の湯水を押し出して排水するという目的を達成するために、浴槽の形状に応じて、どの位置に何個設けても構わない。
【0046】
〔第2実施形態〕
次に、
図4〜
図7を用いて、本発明の第2実施形態の排水システム102を備えた浴室システム100について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0047】
図4及び
図5に示されるように、本実施形態の排水システム102では、第1実施形態の排水システム12の排水装置30(
図1参照)に代えて、浴槽104の壁部としての側部106に、壁部の一部としての側壁106Bを外して浴槽104内の湯水を排水する排水手段としての排水装置110が設けられている。
【0048】
図5に示されるように、浴槽104の側部106は、設置面130に据え付けられた壁部の他部としての側部本体106Aと、側部本体106Aに離脱可能に取り付けられた側壁106Bと、を備えている。側壁106Bの周縁部には、浴槽104の側部本体106A側に湾曲形状で突出する係合部としての湾曲部112が設けられている。湾曲部112は、側壁106Bの略上下方向に沿った平面状の一般面107から突出すると共に、一般面107の側から見て凹状に窪んだ凹状部112Aを備えている。側壁106Bの上下方向両側の上下の湾曲部112は、上下対称に形成されている。また、図示を省略するが、側壁106Bの左右方向両側の左右の湾曲部112は、左右対称に形成されている。
【0049】
また、側部本体106Aには、側壁106Bが取り付けられる位置に開口部114が形成されている。側部本体106Aにおける開口部114側の周縁部には、側壁106Bの一般面107の側に突出する被係合部としての突出部116が設けられている。突出部116は、側断面視にて略L字状に屈曲されると共に、湾曲部112の凹状部112Aに係合される凸状部116Aを備えている。凸状部116Aは、開口部114と反対側に屈曲されている。側部本体106Aの上下方向両側の上下の突出部116は、上下対称に形成されている。また、図示を省略するが、側部本体106Aの左右方向両側の左右の突出部116は、左右対称に形成されている。湾曲部112の凹状部112Aが、突出部116の凸状部116Aと係合することで、側壁106Bが側部本体106Aに取り付けられている。
【0050】
また、排水装置110は、側部106の内部に、湾曲部112の凹状部112Aが突出部116の凸状部116Aから外れる方向に側壁106Bを移動させる移動装置120を備えている。本実施形態では、移動装置120は、側壁106Bを側部本体106Aに対して浴槽18の内部側に移動させる構成とされている。移動装置120は、モータ122と、モータ122の回転により側壁106Bを押す方向に進出するロッド124と、を備えている。モータ122は、支持部材126によって側部106に支持されている。なお、支持部材126に代えて、モータ122は、設置面130に支持される構成としてもよい。ロッド124は、通常の状態では、側壁106Bの中央部付近に接触するように配置されている。
図7に示されるように、モータ122の回転によりロッド124が進出することで、ロッド124が側壁106Bを押し、湾曲部112の凹状部112Aが突出部116の凸状部116Aから外れる。これにより、側壁106Bが側部本体106Aから外れるようになっている。
【0051】
また、設置面130には、浴槽104内の湯水が開口部114から落下する位置に排水穴132が形成されている。
【0052】
図6に示されるように、制御部58は、通信部60を介してモータ122と電気的に接続されている。制御部58は、モータ122の作動を制御する。
【0053】
排水システム102では、
図5に示されるように、通常の入浴時には、湾曲部112の凹状部112Aが突出部116の凸状部116Aに係合していることで、側壁106Bが側部本体106Aに取り付けられている。図示を省略するが、側壁106Bと側部本体106Aとの接触部にはシール部材が設けられており、浴槽104内の湯水が漏れない構成とされている。この状態で、排水栓24が排水口22を塞ぐことで、浴槽18内に湯水が溜められる。
【0054】
制御部58(
図6参照)は、生体情報センサ52(
図6参照)により浴槽18内の入浴者が異常となり得る所定の入浴状態が検出されたとき(異常検出と判定されたとき)に、排水装置110を作動させる。すなわち、
図7に示されるように、制御部58は、モータ122を回転させてロッド124を矢印Aに示す側壁106Bを押す方向に移動させる。これにより、ロッド124により側壁106Bが押されることで、湾曲部112の凹状部112Aと突出部116の凸状部116Aとの係合が外れ、側壁106Bが側部本体106Aから外れる。これによって、側部本体106Aの開口部114が浴槽18内と連通し、浴槽18内の湯水が側部本体106Aの開口部114から排水される。
【0055】
上記のような排水システム102では、制御部58は、生体情報センサ52により浴槽18内の入浴者が異常となり得る所定の入浴状態が検出されたときに、排水装置110のモータ122を回転させることで、ロッド124により強い力で側壁106Bが押されて側部本体106Aから外れる。これにより、浴槽18内の湯水が側部本体106Aの開口部114から強制的に排水される。このため、排水システム102では、自動排水栓により排水口を開放して浴槽内の湯水を排水する構成と比較して、浴槽18内の湯水を短時間で排水することができる。したがって、浴槽18内で入浴者が、例えば意識を失った場合などに、入浴者が浴槽内で溺れてしまうことを未然に防止することができる。
【0056】
また、排水システム12では、側壁106Bが側部本体106Aから外れることで、開口部114から浴槽18内の湯水が排水されるため、浴槽18内の入浴者の位置や状態によって制限を受けにくい。
【0057】
また、第2実施形態の排水システム102でも、第1実施形態の排水システム12と同様に、制御部58は、排水装置110を作動させる前に、浴槽18内の湯水が排水されることをスピーカ50から入浴者に報知するようにしてもよい。
【0058】
なお、第2実施形態の排水システム102では、浴槽104の長手方向の側壁106Bが側部本体106Aから外れる構成であるが、本発明はこの構成に限定されるものでない。例えば、浴槽104の長手方向と直交する方向の側壁や底面が外れる構成でもよい。また、モータは、浴槽の大きさに合わせて何個設けてもよい。
【0059】
また、第1及び第2実施形態では、リモコン40に生体情報センサ52が1個設けられているが、本発明は、この構成に限定されるものではない。例えば、生体情報センサは、浴室の天井や、浴槽内など、他の位置に何個設置してもよい。また、第1及び第2実施形態では、生体情報センサ52は、入浴者と非接触で検出する方式であったが、本発明は、この構成に限定されるものではなく、浴槽内に、入浴者と接触させて検出する接触型のセンサを設けてもよい。また、例えば、人感センサ、心拍数センサ、血圧センサ、心電図センサのうちの一部(例えば心電図センサ)を接触型のセンサとし、他のセンサを非接触のセンサとしてもよい。
【0060】
また、第1実施形態では、エアバック32を膨張させる膨張装置として、インフレータ34が用いられているが、本発明は、この構成に限定されるものではない。例えば、膨張装置は、ボンベからガスを供給することで、エアバックを膨張させる構成でもよい。
【0061】
また、第2実施形態では、ロッド124をモータ122により側壁106Bを押す方向に移動させたが、本発明はこの構成に代えて、シリンダやソレノイドなどの他の部材によりロッドを側壁等の壁部を押す方向に移動させる構成でもよい。
【0062】
また、第1及び第2実施形態の排水システムでは、制御部58は、生体情報センサ52で検出された情報に基づいて、異常となり得る所定の入浴状態と判定したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、制御部は、外部からのなんらかの信号を受けて、異常となり得る所定の入浴状態と判定しても構わない。
【0063】
なお、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない。