特許第6893119号(P6893119)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6893119
(24)【登録日】2021年6月2日
(45)【発行日】2021年6月23日
(54)【発明の名称】加熱調理器の操作システム
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/12 20060101AFI20210614BHJP
   F24C 15/00 20060101ALI20210614BHJP
   H05B 6/12 20060101ALI20210614BHJP
【FI】
   F24C3/12 S
   F24C15/00 M
   H05B6/12 313
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-101181(P2017-101181)
(22)【出願日】2017年5月22日
(65)【公開番号】特開2018-194284(P2018-194284A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2020年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 光司
【審査官】 石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−230419(JP,A)
【文献】 特開2011−028345(JP,A)
【文献】 特開2003−280805(JP,A)
【文献】 特開2010−108612(JP,A)
【文献】 特開2012−099005(JP,A)
【文献】 特開2010−152860(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/12
F24C 5/16
F24C 7/08
F24C 15/00
H05B 6/12
G06F 3/033−3/039
G06F 3/048−3/0489
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱調理器の動作を指示するユーザーインターフェース端末を用いて構成される加熱調理器の操作システムであって、
ユーザーインターフェース端末は、所定の投影面に加熱調理器の動作を指示するための操作画面を投影する投影手段と、操作画面上にて使用者の手の動きを検出する操作検出手段と、操作検出手段によって検出された使用者の手の動きから操作情報を判別する操作判別手段と、前記操作情報を外部に送信する送信手段とを備え、
加熱調理器は、前記操作情報を受信する受信手段と、前記操作情報に基づいて加熱手段の動作を制御する加熱制御手段とを備え、
操作判別手段は、使用者の両手の特定の動きを、加熱手段の出力を変更させる操作情報として判別することを特徴とする、加熱調理器の操作システム。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理器の操作システムにおいて
投影手段は、加熱手段を操作するための操作部として、操作画面内に所定の距離離間した複数の擬似操作子を投影し、
操作判別手段は、使用者が両手で前記複数の擬似操作子を操作する動きを、加熱手段の出力を変更させる操作情報として判別することを特徴とする、加熱調理器の操作システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の加熱調理器の操作システムにおいて、
投影手段は、さらに、操作手順を示すメッセージを投影するように構成されている、加熱調理器の操作システム。
【請求項4】
請求項1からのいずれか一項に記載の加熱調理器の操作システムにおいて、
ユーザーインターフェース端末は、使用者の身体の一部が近接したか否かを検出する近接検出手段と、近接検出手段によって前記近接が検出される毎に、ユーザーインターフェース端末の端末電源のオンオフを切り替える電源制御手段とを備えた、加熱調理器の操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器の操作システム、特に、ユーザーインターフェース端末により加熱調理器の動作を指示する操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンロやグリル装置などの加熱調理器の操作システムにおいて、ユーザーインターフェース端末によってキッチンのカウンタトップや調理台などに操作画面を投影し、その投影された操作画面に使用者が擬似的に触れる(ジェスチャー操作)ことで、加熱手段の作動や停止、出力変更等を行うことができるように構成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−230419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の加熱調理器の操作システムによれば、多様な人が容易に加熱調理器を操作することが可能となり、使い勝手も向上する。しかしながらその反面、子供などによって意図せず加熱手段の作動や出力の増加変更がなされてしまう可能性が高くなる。また、使用者が加熱調理器から離れた場所に居ると、被加熱物の発火や過熱、ふきこぼれ等、使用中の加熱手段の周辺にて異常が認められた場合に、対応する操作部を見つけるのに時間を要したり、操作を誤ったりして、迅速に対処することができない虞もあった。
【0005】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザーインターフェース端末により加熱調理器の動作を指示する操作システムにおいて、安全性の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、加熱調理器の動作を指示するユーザーインターフェース端末を用いて構成される加熱調理器の操作システムであって、ユーザーインターフェース端末は、所定の投影面に加熱調理器の動作を指示するための操作画面を投影する投影手段と、操作画面上にて使用者の手の動きを検出する操作検出手段と、操作検出手段によって検出された使用者の手の動きから操作情報を判別する操作判別手段と、前記操作情報を外部に送信する送信手段とを備え、加熱調理器は、前記操作情報を受信する受信手段と、前記操作情報に基づいて加熱手段の動作を制御する加熱制御手段とを備え、操作判別手段は、使用者の両手の特定の動きを、加熱手段の出力を変更させる操作情報として判別することを特徴とするものである。
【0007】
このものでは、加熱手段の出力を変更させるのに、両手で特定の動作を行なう必要があるから、子供などによって意図せず加熱手段が作動されたり出力が増加変更されたりし難い。よって、安全性が高い。
【0008】
好ましくは、上記加熱調理器の操作システムにおいて、投影手段は、加熱手段を操作するための操作部として、操作画面内に所定の距離離間した複数の擬似操作子を投影し、操作判別手段は、使用者が両手で前記複数の擬似操作子を操作する動きを、加熱手段の出力を変更させる操作情報として判別する。
【0009】
このものでは、加熱手段を操作するのに、所定の投影面に投影された操作画面内に離間して投影される複数の擬似操作子を両手で操作する必要があるから、意図せず加熱手段が作動されたり出力が増加変更されたりするのをより確実に防止できる。よって、安全性がより高い。
【0010】
好ましくは、上記加熱調理器の操作システムにおいて、投影手段は、さらに、操作手順を示すメッセージを投影するように構成してもよい。
【0016】
好ましくは、上記加熱調理器の操作システムにおいて、ユーザーインターフェース端末は、使用者の身体の一部が近接したか否かを検出する近接検出手段と、近接検出手段によって前記近接が検出される毎に、ユーザーインターフェース端末の端末電源のオンオフを切り替える電源制御手段とを備える。
【0017】
このものでは、たとえ使用者の手が汚れていたり濡れていたりしても、ユーザーインターフェース端末の近接検出手段に手などを近づけるだけで、ユーザーインターフェース端末の端末電源のオンオフを切り替えることができるから、使い勝手がより向上する。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、意図せず加熱手段が作動されたり出力が増加変更されたりし難く、また、使用中の加熱手段の周辺にて異常が認められた場合に、迅速に対処することもできるから、安全性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る操作システムを示す加熱調理器およびユーザーインターフェース端末の概略斜視図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る操作システムの概略構成図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る操作システムにより投影される操作画面例1を示す図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る操作システムにより投影される操作画面例2を示す図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係る操作システムにより投影される操作画面例3を示す図である。
図6図6は、本発明の実施の形態に係る操作システムにより投影される操作画面例4を示す図である。
図7図7は、本発明の実施の形態に係る操作システムにより投影される操作画面例5を示す図である。
図8図8は、本発明の実施の形態に係る操作システムにより投影される操作画面例6を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、上記した本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳述する。
【0021】
図1および図2に示すように、本発明の実施の形態に係る加熱調理器1の操作システムは、加熱調理器1との間でバーナ21,23の火力や自動調理のレシピデータなどの動作条件を無線で送信可能なユーザーインターフェース端末(以下、「UI端末」という)3を用いて構成される。
【0022】
加熱調理器1は、キッチンのカウンタトップ4に開設された取付口40に落とし込み状態で装着されるガスコンロ、所謂ビルトインコンロであり、天板11の上面には、五徳22上に載置された鍋やフライパン等を加熱する単数或いは複数のコンロバーナ21が設けられている。また、加熱調理器本体(以下、「コンロ本体」という)10の内部には、単数又は複数のグリルバーナ23が配され、食材のグリル調理を行うためのグリル庫12が設けられている。尚、本明細書では、コンロ本体10の前面(以下、「コンロ前面」という)13を加熱調理器1の正面とし、コンロ本体10を正面側から見たときの奥行き方向を前後方向、幅方向を左右方向、高さ方向を上下方向という。
【0023】
コンロバーナ21およびグリルバーナ23は何れも、燃料ガスと空気の混合ガスを燃焼させて燃焼排ガスを生成し、その燃焼排ガスを熱源として食材や調理容器などの被加熱物を加熱するバーナであり、図示しないガス配管からコンロ本体10内に組み込まれたバルブユニット24を介して燃料ガスが供給される。尚、図示しないが、バルブユニット24は、点消火操作子16,17による操作、および、コンロ本体10内に組み込まれた本体制御回路100からの指示に応じて開度調整される複数の弁体で構成されており、これら弁体によって各バーナ21,23へのガスの供給量が適宜調整される。
【0024】
コンロバーナ21の中央部には、五徳22上に載置された調理容器の底部に当接し、容器底面の温度状態を検出する鍋底温度センサ25が設けられている。グリル庫12内には、庫内の温度状態を検出する庫内温度センサ26が設けられている。コンロバーナ21およびグリルバーナ23の炎孔形成部の近傍にはそれぞれ、ガスの燃焼炎の有無を検出する炎検知センサ27と、炎孔形成部の近傍で火花放電させる点火プラグ28とが設けられている。
【0025】
コンロ前面13には、コンロバーナ21やグリルバーナ23による被加熱物の加熱条件を設定入力するための設定操作パネル14と、加熱調理器1の主電源のオンおよびオフを手動操作するための電源スイッチ15と、コンロバーナ21の点火や消火、火力調整を手動操作するためのコンロ点消火操作子16と、グリルバーナ23の点火や消火、火力調整を手動操作するためのグリル点消火操作子17とが設けられている。
【0026】
設定操作パネル14は、被加熱物の加熱方法(調理モード)や加熱時間、加熱温度など自動調理の加熱条件を設定入力する複数の設定入力スイッチ14Aや、設定入力スイッチ14Aにより設定された加熱条件を表示する設定表示部14Bによって構成されている。尚、図示しないが、設定入力スイッチ14Aは、湯沸し、煮物、揚物、炊飯などの調理モードを選択設定するための調理モード設定スイッチ、自動調理時間を設定するためのタイマ設定スイッチ、被加熱物の加熱温度を設定するための温度設定スイッチ、設定された加熱時間や加熱温度を加減するための加減スイッチなどからなり、これら各スイッチを用いて被加熱物の加熱条件を設定入力することができる。
【0027】
天板11の下面側の中央前寄りの位置には、設定された調理モードや各バーナ21,23の設定火力、調理時間など、加熱調理器1の動作状態や設定情報を表示する情報表示部18が設けられている。また、コンロ本体10の内部には、UI端末3との間で動作状態や設定情報、操作情報等を無線により送受信する受信手段としての本体側通信部19と、加熱調理器1の動作を制御する本体制御回路100とが組み込まれている。
【0028】
設定入力スイッチ14A、設定表示部14B、電源スイッチ15、コンロ点消火操作子16の各スイッチ、グリル点消火操作子17の各スイッチ、情報表示部18、本体側通信部19、バルブユニット24の弁駆動部、鍋底温度センサ25、庫内温度センサ26、炎検知センサ27、および点火プラグ28に高電圧を印加する図示しないイグナイタは何れも、電気配線を通じて本体制御回路100に接続されている。
【0029】
本体制御回路100は、点消火操作子16,17の操作やUI端末3から送信された操作情報に基づいて各バーナ21,23の点火や消火、火力設定を行う加熱制御手段としてのバーナ制御部、情報表示部18および設定表示部14Bの表示を制御する表示制御部、炎検知センサ27の出力値に基づいて対応するバーナ21,23の点火や消火を判定する点消火判定部、鍋底温度センサ25の検出温度(鍋底温度)に基づいて五徳22上に載置された調理容器の温度状態を判定する鍋温度判定部、庫内温度センサ26の検出温度(庫内温度)に基づいてグリル庫12内の温度状態を判定する庫内温度判定部、設定入力スイッチ14Aにより設定された加熱条件やUI端末3から送信された加熱条件に基づいてバーナ21,23の火力や燃焼時間を自動で調整する自動調理動作の制御部、点消火操作子16,17の操作情報や設定入力スイッチ14Aにより設定された加熱条件、レシピデータなどの情報を本体側通信部19から外部に送信させる通信制御部等の回路構成を有している。
【0030】
UI端末3の端末本体30の上面(以下、「端末上面」という)31には、使用者の手など身体の一部が近接したか否かを検出する近接検出手段としての近接センサ32が設けられている。尚、近接センサ32は、使用者が端末本体30を持ったときに手の近接が検出され難く、且つ、使い勝手が損なわれない箇所であれば、端末本体30の前面(以下、「端末前面」という)33に設けられてもよいし、端末本体30の側面や後面に設けられてもよい。
【0031】
端末前面33には、所定の投影面(ここでは、キッチンのカウンタトップ4の上面)に加熱調理器1の動作を指示するための操作画面5を投影する投影手段としての投影部34と、一対の赤外線出力部35Aおよび赤外線入力部35Bにより構成され、赤外線出力部35Aから出力されて赤外線入力部35Bに帰還する赤外線の変化度合に基づいて操作画面5に対する使用者の手の動き(ジェスチャー操作)を検出する操作検出手段としての操作検出部35とが設けられている。尚、図示しないが、端末本体30には、UI端末3の主電源をオンオフする電源スイッチも設けられている。
【0032】
図2に示すように、端末本体30の内部には、端末本体30が動かされたときの加速度の変化度合を検出する加速度検出手段としての加速度センサ36と、加熱調理器1との間で操作情報を無線により送受信する送信手段としての端末側通信部39と、UI端末3の動作を制御する端末制御回路300と、UI端末3に駆動電力を供給する端末電源301とが組み込まれている。
【0033】
尚、本実施の形態では、図示しない電源線を用いて商用電源に接続することで、端末電源301に所定容量の電力を蓄えることができ、この端末電源301に蓄えられた電力をUI端末3の駆動電力として使用するように構成されているが、端末電源301を備えておらず、常に商用電源から図示しない電源線を通じてUI端末3の駆動電力を供給するように構成されたものであってもよいし、乾電池を用いてUI端末3の駆動電力を供給するように構成されたものであってもよい。
【0034】
上記のように、端末電源301に蓄えられた電力によってUI端末3が駆動するように構成されたものでは、UI端末3をシンク横や調理台、ダイニングテーブルなど、加熱調理器1から離れた所望の場所へ持ち運んで使用することが可能となる。
【0035】
近接センサ32、投影部34、赤外線出力部35A、赤外線入力部35B、加速度センサ36、端末側通信部39、および端末電源301は何れも、電気配線を通じて端末制御回路300に接続されている。上記電源スイッチは、端末電源301と端末制御回路300とを繋ぐ送電部に設けられている。
【0036】
端末制御回路300は、主電源がオンの状態において、使用者が手など身体の一部を近接センサ32に近接させる毎に、UI端末3の起動電源(端末電源)のオンオフを切り替える電源制御手段としての電源制御部、投影部34から所定の投影面に対して種々の操作画面を出力させる投影制御部、操作検出部35によって検出された使用者の手の動きや加速度センサ36によって検出された加速度の変化度合から操作情報を判別する操作判別手段としての操作判別部、操作判別部で判別された操作情報を端末側通信部39から外部に送信させる通信制御部等の回路構成を有している。
【0037】
尚、本実施の形態では、加熱調理器1とUI端末3との間の通信は、Bluetooth(登録商標)や赤外線通信などの近距離無線通信規格に基づいて行なわれるが、家庭内通信ネットワークを介して加熱調理器1およびUI端末3相互が通信接続されるように構成されたものであってもよい。また、図示しないが、UI端末3は、屋外に設置された通信基地局のアンテナや室内に設置された中継器を介して外部通信ネットワークに無線通信接続可能なネットワーク通信機能を備えており、外部通信ネットワークのサーバから自動調理のレシピデータや自動調理用の動作プログラム、食材情報、調理映像等を受信したり、ネットワーク配信されている動画やテレビ放送を投影させたり、インターネットサイトを投影させたりできる。
【0038】
次に、上記操作システムの使用手順の一例を説明する。まず、加熱調理器1の電源スイッチ15にて主電源のオン操作が行なわれると、本体制御回路100に組み込まれた加熱制御プログラムが起動し、各バーナ21,23が手動で点火可能な状態となる。また、情報表示部18には加熱調理器1の動作状態や設定情報などが表示され、設定表示部14Bには設定された調理時間や加熱温度などが表示される。
【0039】
一方、UI端末3の図示しない電源スイッチにて主電源のオン操作が行なわれると、端末制御回路300に組み込まれた遠隔操作制御プログラムが起動し、近接センサ32に手など使用者の身体の一部が近接したか否かの監視を開始する。そして、例えば使用者が手を近接センサ32に近づけると、UI端末3の起動電源をオン状態として、加速度センサ36によって検出された加速度が所定の変化を示したか否かの監視を開始する。
【0040】
また、UI端末3の起動電源がオン状態となると、投影部34から端末前面33の前下方へ向けて、予め設定された初期の操作画面5(初期操作画面50)の画像を出力し、カウンタトップ4に初期操作画面50を投影すると共に、上記操作画面5上にて使用者の手が所定の動きを示したか否かの監視を開始する。尚、UI端末3の起動電源がオン状態になった後、再び使用者が手を近接センサ32に近づけた場合は、UI端末3の起動電源をオフ状態にして投影部34からの画像の出力を停止させ、待機状態に戻る。また、UI端末3の起動電源がオン状態になってから一定時間が経過するまでの間に操作画面5の擬似操作がなされなかった場合も、タイムエラーとして投影部34からの画像の出力を停止させ、待機状態に戻る。
【0041】
図3に示すように、初期操作画面50には、例えば、自動調理のレシピデータを検索する画面に移動するための擬似操作子となるレシピ検索ボタン501、外部通信ネットワーク経由で食材を購入する画面に移動するための擬似操作子となる食材購入ボタン502などが表示される。
【0042】
カウンタトップ4に初期操作画面50が表示された状態において、レシピ検索ボタン501の表示面が触れられたことが操作検出部35によって検出されると、投影部34からカウンタトップ4上へ向けて、レシピを選択する操作画面5(レシピ選択画面51)の画像を出力する。
【0043】
図4に示すように、レシピ選択画面51には、例えば、前の操作画面5(ここでは、初期操作画面50)に戻るための擬似操作子となる戻るボタン511、自動調理のレシピを選択するための擬似操作子となる複数のレシピ情報512、レシピ情報512の一覧の表示位置を移動させるための擬似操作子となるスクロールバー513、操作手順を示すメッセージ514などが表示される。
【0044】
カウンタトップ4にレシピ選択画面51が表示された状態において、特定のレシピ情報512の表示面が触れられたことが操作検出部35によって検出されると、投影部34から使用するコンロバーナ21を選択する操作画面5(コンロ選択画面52)の画像を出力する。
【0045】
図5に示すように、コンロ選択画面52には、例えば、前の操作画面5(ここでは、レシピ選択画面51)に戻るための擬似操作子となる戻るボタン521、使用するコンロバーナ21を選択するための擬似操作子となるコンロ画像522、次の手順に進むための擬似操作子となる進むボタン523、操作手順を示すメッセージ524などが表示される。
【0046】
カウンタトップ4にコンロ選択画面52が表示された状態において、コンロ画像522の特定のコンロバーナ21の表示面が触れられた後、さらに進むボタン523の表示面が触れられたことが操作検出部35によって検出されると、投影部34から選択されたコンロバーナ21を点火させる操作画面5(点火操作画面53)の画像を出力する。
【0047】
図6に示すように、点火操作画面53には、例えば、前の操作画面5(ここでは、コンロ選択画面52)に戻るための擬似操作子となる戻るボタン531、コンロバーナ21の点火の準備をさせるための擬似操作子となる準備ボタン532、コンロバーナ21を点火させるための擬似操作子となる点火ボタン533、操作手順を示すメッセージ534などが表示される。このとき、準備ボタン532および点火ボタン533は、互いに片手で同時に触れられ難い程度離間した位置に表示される。
【0048】
カウンタトップ4に点火操作画面53が表示された状態において、準備ボタン532の表示面が一方の手で触れられた状態で、点火ボタン533の表示面が他方の手で複数回(例えば、2回)触れられたことが操作検出部35によって検出されると、選択されたコンロバーナ21において点火操作がなされたことを示す操作情報を、端末側通信部39から外部に送信する。
【0049】
加熱調理器1の本体側通信部19にて、UI端末3から送信された操作情報が受信されると、点火プラグ28から火花放電させると共に、選択されたコンロバーナ21のバルブユニット24を所定の開度に調整する。その結果、コンロバーナ21に設定量の燃料ガスが供給され、上記火花放電により点火される。また、対応する炎検知センサ27にて燃焼炎が検知されると、対応するバルブユニット24を調理段階に応じた開度に調整し、自動調理動作を開始する。また、自動調理動作が開始されると、投影部34から調理状態や次の手順を示す操作画面5(手順表示画面54)の画像を出力する。
【0050】
図7に示すように、手順表示画面54には、例えば、図示しない調理中止操作画面に移動するための擬似操作子となる戻るボタン541、被加熱物の温度状態やコンロバーナ21の制御状態などの加熱情報542、次の手順に進むための擬似操作子となる進むボタン543、調理手順を示すメッセージ544などが表示される。
【0051】
その後、選択されたレシピの調理手順が全て終了し、自動調理動作にて設定された調理時間が経過すれば、対応するバルブユニット24を閉じてコンロバーナ21を消火させ、自動調理動作を終了する。また、自動調理動作が終了すれば、投影部34から自動調理が終了したことを示すメッセージと共に、レシピ選択画面51又は初期操作画面50の画像を出力する。
【0052】
尚、図示しないが、初期操作画面50や他の操作画面5に、手動調理を選択するための擬似操作子となる手動調理ボタンが表示された状態で、手動調理ボタンの表示面が触れられたことが操作検出部35によって検出された場合は、まず、投影部34からコンロ選択画面52の画像を出力する(図5参照)。そして、コンロ画像522の特定のコンロバーナ21の表示面が触れられ、さらに進むボタン523の表示面が触れられたことが操作検出部35によって検出されると、投影部34から点火操作画面53の画像を出力する(図6参照)。
【0053】
カウンタトップ4に点火操作画面53が表示された状態において、上記のように点火の擬似操作(準備ボタン532および点火ボタン533を両手で各別に触れる動作)がなされると、選択されたコンロバーナ21において点火操作がなされたことを示す操作情報を端末側通信部39から外部に送信する。その結果、加熱調理器1の対応するコンロバーナ21が点火される。また、上記のようにしてコンロバーナ21が手動で点火されると、投影部34から点火されたコンロバーナ21の火力を調整させる操作画面5(火力調整操作画面55)の画像を出力する。
【0054】
図8に示すように、火力調整操作画面55には、例えば、図示しない消火操作画面に移動するための擬似操作子となる戻るボタン551、コンロバーナ21の火力変更の準備をさせるための擬似操作子となる変更ボタン552、コンロバーナ21の火力を調整するための擬似操作子となるスライドゲージ553、操作手順を示すメッセージ554などが表示される。このとき、変更ボタン552およびスライドゲージ553は、互いに片手で同時に触れられ難い程度離間した位置に表示される。
【0055】
カウンタトップ4に火力調整操作画面55が表示された状態において、変更ボタン552の表示面が一方の手で触れられた状態で、スライドゲージ553の表示面が他方の手でなぞられたことが操作検出部35によって検出されると、選択されたコンロバーナ21において火力調整操作がなされたことを示す操作情報を、端末側通信部39から外部に送信する。
【0056】
加熱調理器1の本体側通信部19にて、UI端末3から送信された操作情報が受信されると、選択されたコンロバーナ21のバルブユニット24を上記操作情報に合致する開度に調整する。その結果、コンロバーナ21に対する燃料ガスの供給量が調整され、火力が増減する。
【0057】
一方、コンロバーナ21の燃焼中に、端末本体30が前方や後方、側方へ所定以上の加速度で倒された場合、或いは、現在の配設位置から水平方向へ所定以上の加速度で移動された場合は、コンロバーナ21を消火させるための操作がなされたことを示す操作情報を、端末側通信部39から外部に送信する。
【0058】
加熱調理器1の本体側通信部19にて、UI端末3から送信された端末本体30の操作情報が受信されると、全てのバルブユニット24を閉じてコンロバーナ21を強制的に消火させる。
【0059】
コンロバーナ21の燃焼中に、端末本体30が水平方向へ所定以上の加速度で回転された場合は、コンロバーナ21の火力を減少させるための操作がなされたことを示す操作情報を、端末側通信部39から外部に送信する。
【0060】
加熱調理器1の本体側通信部19にて、UI端末3から送信された操作情報が受信されると、全てのバルブユニット24を上記操作情報に合致する開度(例えば、最小開度)に調整し、コンロバーナ21の火力を強制的に減少させる。
【0061】
上記実施の形態では、コンロバーナ21の点火や消火、火力調整を、UI端末3によって投影された操作画面5や端末本体3を用いて操作する場合について説明したが、グリルバーナ23についても同様の制御動作がなされる。
【0062】
このように、上記加熱調理器1の操作システムによれば、カウンタトップ4に投影された操作画面5に従って加熱調理器1の動作を指示することができるため、コンロ前面13に設けられた点消火操作子16,17や設定入力スイッチ14Aなどを用いて加熱調理器1の動作を指示するよりも作業性が格段に向上する。また、多様な人にとって扱い易い加熱調理器1の操作システムを提供できる。
【0063】
特に、上記加熱調理器1の操作システムによれば、バーナ21,23の点火や火力調整を行うのに、UI端末3によってカウンタトップ4に投影させた操作画面5に対して、両手で特定の操作を行なう必要があるから、子供などが操作画面5に触れたことで、意図せずバーナ21,23が点火されたり火力が増加変更されたりするのを防止できる。よって、安全性が向上する。
【0064】
しかも、このものでは、バーナ21,23を点火させたり火力を調整させたりするのに、操作画面5内に離間して投影された複数の擬似操作子(準備ボタン532および点火ボタン533、変更ボタン552およびスライドゲージ553)を両手で操作する必要があるから、意図せずバーナ21,23が点火されたり火力が増加変更されたりするのをより確実に防止できる。よって、安全性が一層向上する。
【0065】
さらに、このものでは、バーナ21,23の燃焼中に、端末本体30を前方や後方、側方へ所定以上の加速度で倒したり、或いは、現在の配設位置から水平方向へ所定以上の加速度で移動させたりすれば、バーナ21,23が消火されるから、被加熱物の発火や過熱、ふきこぼれなどの異常が認められた際に、たとえ加熱調理器1から離れた場所に居ても、速やか且つ直感的に対処することができる。よって、安全性が一層向上する。
【0066】
しかも、端末本体30を所定未満の加速度で倒したり、水平方向に所定未満の加速度で移動させたりするだけではバーナ21,23が消火されないから、意図せず被加熱物の加熱が中止されるのも防止できる。よって、使い勝手も良好である。
【0067】
また、このものでは、バーナ21,23の燃焼中に、端末本体30を水平方向へ所定以上の加速度で回動させれば、バーナ21,23の火力が減少されるから、ふきこぼれなどのように、バーナ21,23を完全に消火させる必要のない軽微な異常に対しても迅速且つ容易に対処することが可能である。よって、使い勝手が一層向上する。
【0068】
さらに、このものでは、使用者が手など身体の一部を近接センサ32に近接させる毎に、UI端末3の起動電源のオンオフが切り替えられるように構成されているから、たとえ使用者の手が汚れていたり濡れていたりしても、近接センサ32に手などを近づけるだけで、端末電源のオンオフを切り替えることができる。よって、使い勝手が一層向上する。
【0069】
尚、操作画面5は、操作性や視認性が損なわれなければ、カウンタトップ4に限らず、カウンタトップ4の奥壁や調理台、ダイニングテーブル、加熱調理器1の天板11の上面、投影用の平台、立て板、ロールスクリーン等に投影させてもよい。また、操作性や視認性が損なわれなければ、平面部に限らず、折曲面部や段差面部、凹凸面部、円弧曲面部、球面部に投影させてもよい。
【0070】
上記実施の形態では、UI端末3に外部通信ネットワークと無線通信接続可能なネットワーク通信機能が搭載されたものを説明したが、加熱調理器1に上記のようなネットワーク通信機能が搭載されており、外部通信ネットワークのサーバから加熱調理器1にて自動調理のレシピデータや食材情報、調理映像等を受信し、UI端末3は、加熱調理器1から送信された情報を受信して、所定の投影面に投影するように構成されたものとしてもよい。
【0071】
また、上記実施の形態では、使用者が手など身体の一部を近接センサ32に近接させる毎に、UI端末3の起動電源のオンオフが切り替えられるように構成されたものを説明したが、コンロ前面13や端末前面33に、人の存否を検知する人感知センサを設け、加熱調理器1やUI端末3の前方に使用者が近づいた場合に起動電源がオン状態となり、加熱調理器1やUI端末3の前方から使用者が一定時間以上離れた場合に起動電源がオフ状態となるように構成されたものとしてもよい。
【0072】
また、上記実施の形態では、カウンタトップ4に投影させた操作画面5に対して使用者の手が擬似的に触れる動きから操作情報を判別し、バーナ21,23の動作を制御するように構成されたものを説明したが、UI端末3に操作画面5を投影する機能が設けられておらず、特定の空間における使用者の手や指の動き(動作パターン)から操作情報を判別し、バーナ21,23の動作を制御するように構成されたものとしてもよい。
【0073】
上記実施の形態では、被加熱物を加熱する加熱手段として、ガスの燃焼排ガスを熱源とするバーナが用いられたものを説明したが、本発明は、加熱手段として、電熱部からの輻射熱や伝導熱により被加熱物を加熱する電熱ヒータが用いられた加熱調理器の操作システムにも適用できるし、電磁誘導により被加熱物を加熱する電磁誘導ヒータが用いられた加熱調理器の操作システムにも適用できるし、バーナや電熱ヒータ、電磁誘導ヒータが組み合わせて用いられた加熱調理器の操作システムにも適用できる。
【符号の説明】
【0074】
1 加熱調理器
100 本体制御回路
19 本体側通信部(受信手段)
21,23 バーナ(加熱手段)
3 ユーザーインターフェース端末
300 端末制御回路
35 操作検出部(操作検出手段)
39 端末側通信部(送信手段)
図1
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図8