特許第6893124号(P6893124)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6893124
(24)【登録日】2021年6月2日
(45)【発行日】2021年6月23日
(54)【発明の名称】樹脂組成物、樹脂層、および積層シート
(51)【国際特許分類】
   C08L 33/14 20060101AFI20210614BHJP
   C08K 5/29 20060101ALI20210614BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20210614BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20210614BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20210614BHJP
【FI】
   C08L33/14
   C08K5/29
   C08L63/00 A
   B32B27/30 A
   B32B27/00 M
【請求項の数】13
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2017-108906(P2017-108906)
(22)【出願日】2017年6月1日
(65)【公開番号】特開2018-16785(P2018-16785A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2020年3月11日
(31)【優先権主張番号】特願2016-139159(P2016-139159)
(32)【優先日】2016年7月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東 昌嗣
(72)【発明者】
【氏名】戸崎 裕
【審査官】 齋藤 光介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−124289(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/133497(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L
C08K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホモポリマーのTgが−50℃以下であり、かつ炭素数8〜18の分岐したアルキル基をエステル基の末端に有するアルキル(メタ)アクリレート(a1)を50〜95重量%、
ホモポリマーのTgが−40℃以下であり、かつ分子骨格内にエーテル結合を有する(メタ)アクリレート(a2)を3〜48重量%、及び
ヒドロキシル基を有するモノマーを0.01重量%〜3重量%を含むモノマー成分を重合することにより得られたTgが−40℃以下である(メタ)アクリル系ポリマーを含むことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
前記アルキル(メタ)アクリレート(a1)及び前記エーテル結合を有する(メタ)アクリレート(a2)の合計の割合が、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分に対して、75重量%以上であることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記エーテル結合を有する(メタ)アクリレート(a2)が、
一般式(1):CH=CR−COO−(AO)−R
[前記一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基、AOは炭素数2〜3のアルキレンオキシ基、nはアルキレンオキシ基の平均付加モル数を示す1〜8であり、Rは芳香環、又は直鎖、分岐鎖、もしくは脂環式アルキル基である。]で表されるモノマーであることを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記モノマー成分が、さらに、カルボキシル基を有するモノマー、及びエポキシ基を有するモノマーから選ばれるいずれか少なくとも1つの官能基を有するモノマーを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記モノマー成分が、さらに、多官能性モノマーを、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分に対して、5重量%以下含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量が、35万以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
さらに、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、架橋剤を、0.01〜5重量部含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
前記架橋剤が、イソシアネート系架橋剤、及び/又はエポキシ系架橋剤であることを特徴とする請求項7記載の樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物から得られることを特徴とする樹脂層。
【請求項10】
ゲル分率が20〜95重量%であることを特徴とする請求項9記載の樹脂層。
【請求項11】
支持体の少なくとも片側に、請求項9又は10記載の樹脂層が設けられていることを特徴とする積層シート。
【請求項12】
前記樹脂層の被着体に対する180°ピール接着力が、剥離速度300mm/分の条件下で、10N/20mm以上であることを特徴とする請求項11記載の積層シート。
【請求項13】
前記支持体が、プラスチックフィルム、紙、不織布及び気泡含有シート、のいずれかであることを特徴とする請求項11又は12記載の積層シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物、樹脂層、および積層シートに関する。
【背景技術】
【0002】
粘着剤に求められる基本性能の一つは、様々な被着体に対して強く接着し得ることである。一般的に、従来の粘着シート又は粘着テープ(以下、粘着シートと称する)等の積層シートでは、コンクリ−ト、モルタル、石膏ボード、針葉樹合板、木質系セメント板、ケイ酸カルシウム板、タイル、及び繊維強化セメント板等の粗面(凸凹形状を有する表面)を有する被着体への接着力が十分ではないため、これら粗面を有する被着体に対しては接着剤が用いられる事が多かった。しかし、近年、より簡便にそれらの被着体同士およびその他の被着体に貼りつけ固定したいというニーズの増加に伴い、これらの粗面を有する被着体に対しても、粘着シート等の積層シートを用いて接合することが強く望まれている。
【0003】
特許文献1では、コンクリート等の粗面を有する被着体に対して良好な接着力を示す、ゴム系粘着剤層が設けられた粘着シートが開示されている。しかし、ゴム系粘着剤層の形成には、ゴム系粘着剤の塗布後に養生が必要であり、生産効率の観点からの問題が懸念された。また、粘着付与剤が多く添加されているため、低温での接着力低下も懸念された。
【0004】
また、養生が不要な粘着剤としては、(メタ)アクリル系ポリマーを含む粘着剤が広く知られている。特許文献2では、種々の(メタ)アクリレートを用いた光学部材用の粘着剤が開示されている。しかし、上記のような粗面を有する被着体への接着力については開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08−104847号公報
【特許文献2】国際公開第2013/099683号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような粗面を有する被着体に対して用いられる粘着シート等の積層シートには、接着力のほかに、被着体に固定した重量物を固定した状態で長期に保持する観点から、保持力も必要とされる。
【0007】
本発明は、粗面を有する被着体に対して、高い接着力及び高い保持力を両立することができる樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、前記樹脂組成物により形成された樹脂層を提供すること、さらには、当該樹脂層を有する積層シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記樹脂組成物を見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、ホモポリマーのTgが−50℃以下であり、かつ炭素数8〜18の分岐したアルキル基をエステル基の末端に有するアルキル(メタ)アクリレート(a1)を50〜97重量%、及びホモポリマーのTgが−40℃以下であり、かつ分子骨格内にエーテル結合を有する(メタ)アクリレート(a2)を3〜50重量%を含むモノマー成分を重合することにより得られたTgが−40℃以下である(メタ)アクリル系ポリマーを含むことを特徴とする樹脂組成物、に関する。
【0011】
本発明の樹脂組成物は、前記アルキル(メタ)アクリレート(a1)及び前記エーテル結合を有する(メタ)アクリレート(a2)の合計の割合が、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分に対して、75重量%以上であることが好ましい。
【0012】
本発明の樹脂組成物は、前記エーテル結合を有する(メタ)アクリレート(a2)が、一般式(1):CH=CR−COO−(AO)−R[前記一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基、AOは炭素数2〜3のアルキレンオキシ基、nはアルキレンオキシ基の平均付加モル数を示す1〜8であり、Rは芳香環、又は直鎖、分岐鎖、もしくは脂環式アルキル基である。]で表されるモノマーであることが好ましい。
【0013】
本発明の樹脂組成物は、前記モノマー成分が、さらに、ヒドロキシル基を有するモノマー、カルボキシル基を有するモノマー、及びエポキシ基を有するモノマーから選ばれるいずれか少なくとも1つの官能基を有するモノマーを含むことが好ましい。
【0014】
本発明の樹脂組成物は、前記モノマー成分が、さらに、多官能性モノマーを、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分に対して、5重量%以下含むことができる。
【0015】
本発明の樹脂組成物は、前記(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量が、35万以上であることが好ましい。
【0016】
本発明の樹脂組成物は、さらに、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、架橋剤を、0.01〜5重量部含むことが好ましい。
【0017】
本発明の樹脂組成物は、前記架橋剤が、イソシアネート系架橋剤、及び/又はエポキシ系架橋剤であることが好ましい。
【0018】
本発明は、樹脂組成物から得られることを特徴とする樹脂層に関する。
【0019】
本発明の樹脂層は、ゲル分率が20〜95重量%であることが好ましい。
【0020】
本発明は、支持体の少なくとも片側に、前記樹脂層が設けられていることを特徴とする積層シート、に関する。
【0021】
本発明の積層シートは、前記樹脂層の被着体に対する180°ピール接着力が、剥離速度300mm/分の条件下で、10N/20mm以上であることが好ましい。
【0022】
本発明の積層シートは、前記支持体が、プラスチックフィルム、紙、不織布、気泡含有シートのいずれかであることが好ましい。
【0023】
本発明の樹脂組成物は、前記一般式(1)中のAOがオキシエチレン基であることが好ましい。
【0024】
本発明の樹脂組成物は、前記一般式(1)中のnが2〜8であることが好ましい。
【0025】
本発明の樹脂組成物は、前記一般式(1)中のRが、炭素数が1〜6である無置換の芳香環、又は直鎖、分岐鎖、もしくは脂環式アルキル基であることが好ましい。
【0026】
本発明の樹脂組成物は、前記ヒドロキシル基を有するモノマーが、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分に対して、0.01重量%以上、3重量%以下であることが好ましい。
【0027】
本発明の樹脂組成物は、前記カルボキシル基を有するモノマーが、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分に対して、0.1重量%以上、5重量%以下であることが好ましい。
【0028】
本発明の積層シートの被着体が、コンクリ−ト、モルタル、石膏ボード、針葉樹合板、木質系セメント板、ケイ酸カルシウム板、タイル、及び繊維強化セメント板のいずれかであることが好ましいが、その他の平滑な被着体にも強力に接着可能である。
【0029】
本発明の樹脂組成物、樹脂層および積層シートは、例えば粘着剤組成物、粘着層および粘着シートとして利用可能である。
【発明の効果】
【0030】
本発明の樹脂組成物における主成分となる(メタ)アクリル系ポリマーは、特定量の長鎖の分岐したアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとエーテル結合を有する(メタ)アクリレートを含有するモノマー成分を重合することにより得られたものである。また、前記長鎖の分岐したアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとエーテル結合を有する(メタ)アクリレートのそれぞれのホモポリマーは低ガラス転移温度(Tg)を有し、かつ得られた(メタ)アクリル系ポリマーも低Tgを有するものである。かかる本発明の樹脂組成物によれば、前記長鎖の分岐したアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートと、前記エーテル結合を有する(メタ)アクリレートの作用により、粗面を有する被着体に対して、高い接着力及び高い保持力を発現することができる。
【0031】
炭素数8〜18の分岐したアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートは、低Tgかつ適度な凝集力と粘着性を有し、前記エーテル結合を有する(メタ)アクリレートは、低Tgかつ適度な極性を有し、被着体表面との相互作用を有するため、結果として本発明の樹脂組成物は、適度な柔らかさと凝集力、界面との相互作用を有し、粗面を有する被着体に対して、高い接着力と高い保持力を発揮することができるものと推定される。
【0032】
また、本発明の樹脂組成物には、前記モノマー成分に、さらに、ヒドロキシル基を有するモノマー、カルボキシル基を有するモノマー、及びエポキシ基を有するモノマーから選ばれるいずれか少なくとも1つの官能基を有するモノマーを含有することにより、樹脂層の柔らかさを維持しつつ架橋ネットワーク形成と分子間相互作用のコントロールが可能となり、樹脂層の凝集力を高めることができ、粗面を有する被着体に対して、より高い保持力を発現することができるものと推定される。
【0033】
さらに、本発明の樹脂組成物から形成される樹脂層のゲル分率は、例えば、20〜95重量%程度であれば、樹脂層の柔らかさを維持でき、かつ適度な架橋ネットワークの形成によって凝集力を付与することができるため、粗面を有する被着体に対して、より高い接着力及び高い保持力を発現することができるものと推定される。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0035】
本発明の樹脂組成物は、ホモポリマーのTgが−50℃以下であり、かつ炭素数8〜18の分岐したアルキル基をエステル基の末端に有するアルキル(メタ)アクリレート(a1)を50〜97重量%、及びホモポリマーのTgが−40℃以下であり、かつ分子骨格内にエーテル結合を有する(メタ)アクリレート(a2)を3〜50重量%を含むモノマー成分を重合することにより得られたTgが−40℃以下である(メタ)アクリル系ポリマーを含む。尚、(メタ)アクリレートは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
【0036】
<炭素数8〜18の分岐したアルキル基をエステル基の末端に有するアルキル(メタ)アクリレート(a1)>
本発明の炭素数8〜18の分岐したアルキル基をエステル基の末端に有するアルキル(メタ)アクリレート(a1)のホモポリマーのTgは、−50℃以下である。前記アルキル(メタ)アクリレート(a1)のTgは、粗面を有する被着体に対する接着力を高める観点から、−55℃以下であることが好ましく、−60℃以下であることがより好ましい。前記アルキル(メタ)アクリレート(a1)のTgは、粗面を有する被着体に対する保持力を高める観点から、−80℃以上であることが好ましく、−75℃以上であることがより好ましい。前記アルキル(メタ)アクリレート(a1)のアルキル基の炭素数は、樹脂層に適度な柔らかさを付与する観点、及び樹脂層の凝集力を高める観点から、8〜16であることが好ましく、8〜14であることがより好ましい。
【0037】
本発明において、各モノマーのホモポリマーのTgは、「Polymer Handbook」(第3版、JohnWiley&Sons,Inc.1989年)に記載の数値である(数値が複数ある場合は、conventionalの値を採用する、記載がない場合はモノマー製造企業のカタログ値を採用する)。
【0038】
上記文献に記載されていないモノマーのホモポリマーのTgは、以下の測定方法により得られる値である。即ち、温度計、攪拌機、窒素導入管及び還流冷却管を備えた反応器に、測定対象のモノマー100重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部及び重合溶媒として酢酸エチル200重量部を投入し、窒素ガスを投入しながら1時間攪拌する。このようにして重合系内の酸素を除去した後、60℃に昇温し12時間反応させる。次いで、室温まで冷却し、このホモポリマー溶液を剥離ライナー上に流延塗布し、乾燥して厚さ約50μmの試験サンプル(シート状のホモポリマー)を作製する。得られた試料を2〜3mg採取し、アルミ製容器に入れ、クリンプしDSC測定(TA Instruments製 Q-2000)を行う。温度プログラムは−80℃〜150℃(測定速度10℃/min)、窒素(50ml/min)雰囲気ガス下で測定した。得られたチャートよりTmg(中点ガラス転移温度)の数値を読み取りこの値をホモポリマーのTgとした。
【0039】
前記アルキル(メタ)アクリレート(a1)としては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート(炭素数8,ホモポリマーのTg=−70℃)、イソオクチルアクリレート(炭素数8,ホモポリマーのTg=−58℃)、イソノニルアクリレート(炭素数9,ホモポリマーのTg=−58℃)、イソデシルアクリレート(炭素数10,ホモポリマーのTg=−60℃)、イソミスチリルアクリレート(炭素数14,Tg=−56℃)イソウンデシルアクリレート、イソドデシルアクリレート、イソペンタデシルアクリレート、イソヘキサデシルアクリレート、イソヘプタデシルアクリレート、イソオクタデシルアクリレート及び前記例示のメタクリレートを例示できる。前記アルキル(メタ)アクリレート(a1)は、単独でまたは組み合わせて使用できる。尚、前記アルキル(メタ)アクリレート(a1)は、樹脂層の粘着力を高める観点、重合反応性の観点から、アルキルアクリレートが好適である。
【0040】
<分子骨格内にエーテル結合を有する(メタ)アクリレート(a2)>
本発明のエーテル結合を有する(メタ)アクリレート(a2)のホモポリマーのTgは、−40℃以下である。前記エーテル結合を有する(メタ)アクリレート(a2)のTgは、粗面を有する被着体に対する接着力を高める観点から、−45℃以下であることが好ましく、−50℃以下であることがより好ましい。前記エーテル結合を有する(メタ)アクリレート(a2)のTgは、粗面を有する被着体に対する接着力及び保持力を高める観点から、−90℃以上であることが好ましく、−80℃以上であることがより好ましい。尚、前記エーテル結合は、鎖状エーテル結合を意味し、エポキシ基、オキセタン基等の環状エーテル結合とは異なる。
【0041】
前記エーテル結合を有する(メタ)アクリレート(a2)としては、(メタ)アクリロイル基の不飽和二重結合を有し、かつ鎖状エーテル結合を有するものを特に制限なく用いることができる。前記エーテル結合を有する(メタ)アクリレート(a2)としては、例えば、一般式(1):CH=CR−COO−(AO)−R[前記一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基、AOは炭素数2〜3のアルキレンオキシ基、nはアルキレンオキシ基の平均付加モル数を示す1〜8であり、Rは芳香環、又は直鎖、分岐鎖、もしくは脂環式アルキル基である。]で表されるモノマー(但し、前記一般式(1)中のRはエーテル結合を含まない)等が挙げられる。前記エーテル結合を有する(メタ)アクリレート(a2)は、単独でまたは組み合わせて使用できる。
【0042】
前記一般式(1)で表されるモノマーとしては、平均付加モル数1〜8のオキシエチレン基を有する、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、平均付加モル数1〜8のオキシプロピレン基を有する、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0043】
前記一般式(1)中のAOは、適度な極性バランスを有する観点から、炭素数2のアルキレンオキシ基である、オキシエチレン基が好ましい。また、前記一般式(1)中のnは、極性レベルと重合反応性の観点から、2〜8であることが好ましく、2〜5であることがより好ましい。具体的な化合物としては、エチルカルビトールアクリレート(エトキシエトキシエチルアクリレート)(ホモポリマーのTg=−67℃)、メトキシトリエチレングリコールアクリレート(ホモポリマーのTg=−57℃)等が挙げられる。
【0044】
前記一般式(1)中のRは、無置換の芳香環、又は直鎖、分岐鎖、もしくは脂環式アルキル基であることが好ましい。Rの芳香環としては、フェニル基等、Rの直鎖アルキル基、分岐鎖アルキルとしては、イソプロピル基、エチル基、メチル基等、Rの脂環式アルキル基としてはシクロヘキシル基等が挙げられ、中でも直鎖アルキル基が好ましい。Rは適度な極性を有する観点から、炭素数が1〜6であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。
【0045】
本発明において、前記アルキル(メタ)アクリレート(a1)は、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分に対して、50〜97重量%である。前記アルキル(メタ)アクリレート(a1)は、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分に対して、粗面を有する被着体に対する接着力及び保持力を高める観点から、55重量%以上であることが好ましく、58重量%以上であることがより好ましく、59重量%以上であることがさらに好ましい。前記アルキル(メタ)アクリレート(a1)は、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分に対して、粗面を有する被着体に対する接着力及び保持力を高める観点から、95重量%以下であることが好ましく、93重量%以下であることがより好ましく、91重量%以下であることがさらに好ましい。
【0046】
本発明において、前記エーテル結合を有する(メタ)アクリレート(a2)は、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分に対して、3〜50重量%である。前記エーテル結合を有する(メタ)アクリレート(a2)は、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分に対して、粗面を有する被着体に対する接着力及び保持力を高める観点から、3.5重量%以上であることが好ましく、4重量%以上であることがより好ましく、4.5重量%以上であることがさらに好ましい。前記エーテル結合を有する(メタ)アクリレート(a2)は、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分に対して、粗面を有する被着体に対する接着力及び保持力を高める観点から、48重量%以下であることが好ましく、45重量%以下であることがより好ましく、40重量%以下であることがさらに好ましい。
【0047】
本発明において、前記アルキル(メタ)アクリレート(a1)及び前記エーテル結合を有する(メタ)アクリレート(a2)の合計の割合は、75重量%以上であることが好ましい。前記アルキル(メタ)アクリレート(a1)及び前記エーテル結合を有する(メタ)アクリレート(a2)の合計の割合は、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分に対して、粗面を有する被着体に対する接着力及び保持力を高める観点から、80重量%以上であることがより好ましく、85重量%以上であることがさらに好ましく、90重量%以上であることがよりさらに好ましい。
【0048】
<官能基を有するモノマー>
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分には、さらに、ヒドロキシル基を有するモノマー、カルボキシル基を有するモノマー、及びエポキシ基を有するモノマーから選ばれるいずれか少なくとも1つの官能基を有するモノマーを含むことができる。
【0049】
前記ヒドロキシル基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつヒドロキシル基を有するものを特に制限なく用いることができる。前記ヒドロキシル基を有するモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキルシクロアルカン(メタ)アクリレートが挙げられる。その他、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル等が挙げられる。前記ヒドロキシル基を有するモノマーは単独でまたは組み合わせて使用できる。これらのなかでもヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好適であり、特に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0050】
前記カルボキシル基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつカルボキシル基を有するものを特に制限なく用いることができる。前記カルボキシル基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イソクロトン酸等が挙げられる。前記カルボキシル基を有するモノマーは単独でまたは組み合わせて使用できる。これらのなかでもアクリル酸、メタクリル酸が好適であり、特にアクリル酸が好適である。
【0051】
前記エポキシ基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつエポキシ基を有するものを特に制限なく用いることができる。前記エポキシ基を有するモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が挙げられる。前記エポキシ基を有するモノマーは単独でまたは組み合わせて使用できる。
【0052】
本発明において、前記ヒドロキシル基を有するモノマーは、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分に対して、凝集力を高める観点から、0.01重量%以上であることが好ましく、0.03重量%以上であることがより好ましい。前記ヒドロキシル基を有するモノマーは、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分に対して、ポリマーの過度な粘度上昇やゲル化を抑制する観点から、3重量%以下であることが好ましく、2重量%以下であることがより好ましい。
【0053】
本発明において、前記カルボキシル基を有するモノマーは、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分に対して、凝集力を高める観点、及び被着体表面との分子的な相互作用を付与する観点から、0.1重量%以上であることが好ましく、0.2重量%以上であることがより好ましい。前記カルボキシル基を有するモノマーは、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分に対して、粗面への追従性を高める観点や低温での粘着力を高く維持する観点から、5重量%以下であることが好ましく、3重量%以下であることがより好ましく、さらに2重量%以下であることがより好ましい。
【0054】
本発明において、前記エポキシ基を有するモノマーは、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分に対して、凝集力を高める観点から、0.1重量%以上であることが好ましく、0.2重量%以上であることがより好ましい。前記エポキシ基を有するモノマーは、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分に対して、ゲル化や高粘度化を抑制する観点から、1重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以下であることがより好ましい。(メタ)アクリル系ポリマーがグラフト重合体の場合、この限りではない。
【0055】
<共重合モノマー>
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分には、前記官能基を有するモノマー以外の共重合モノマーを含むことができる。前記共重合モノマーとしては、例えば、一般式(2):CH=CR−COO−R(前記Rは水素原子又はメチル基、Rは炭素数1〜24の無置換のアルキル基又は置換されたアルキル基を表す。但し、炭素数8〜18の分岐したアルキル基の場合を除く。)で表されるモノマーが挙げられる。共重合モノマーは単独でまたは組み合わせて使用できる。
【0056】
前記一般式(2)中のRとしての、炭素数1〜24(より好ましくは炭素数1〜18)の無置換のアルキル基または置換されたアルキル基は、直鎖、分岐鎖のアルキル基、あるいは環状のシクロアルキル基を示し、炭素数8〜18の分岐したアルキル基の場合を除く。Rは具体的には、炭素数1〜18の直鎖状アルキル基、炭素数3〜7の分岐したアルキル基、環状のアルキル基が挙げられる。置換されたアルキル基の場合は、置換基としては、炭素数3−7個のアリール基または炭素数3−7個のアリールオキシ基であることが好ましい。アリール基としては、限定はされないが、フェニル基が好ましい。
【0057】
前記一般式(2)で表されるモノマーの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テルペン(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0058】
また、前記共重合モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン等のビニル系モノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートや2−メトキシエチルアクリレート等のアクリル酸エステル系モノマー;アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、イミド基含有モノマー、N−アクリロイルモルホリン、ビニルエーテルモノマー等も使用することができる。
【0059】
さらに、前記共重合モノマーとしては、ケイ素原子を含有するシラン系モノマー等が挙げられる。シラン系モノマーとしては、例えば、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4−ビニルブチルトリメトキシシラン、4−ビニルブチルトリエトキシシラン、8−ビニルオクチルトリメトキシシラン、8−ビニルオクチルトリエトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0060】
本発明において、前記共重合モノマーは、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分に対して、20重量%以下であることが好ましく、15重量%以下であることがより好ましい。共重合モノマーの含有量が、20重量%を超えると、例えば、粗面への接着性が低下する場合がある。
【0061】
<多官能性モノマー>
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分には、樹脂組成物の凝集力を調整するために、必要に応じて多官能性モノマーを含有することができる。多官能性モノマーは単独でまたは組み合わせて使用できる。
【0062】
前記多官能性モノマーは、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を少なくとも2つ有するモノマーであり、例えば、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2−エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート等の多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物;アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのなかでも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが好適である。
【0063】
前記多官能性モノマーは、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分に対して、5重量%以下で用いることができる。前記多官能性モノマーは、その分子量や官能基数等により異なるが、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分に対して、3重量%以下が好ましく、さらには2重量%以下が好ましい。多官能性モノマーの含有量が、5重量%を超えると、例えば、樹脂組成物の弾性率が高くなりすぎ、接着力が低下する場合がある。
【0064】
<(メタ)アクリル系ポリマー、及びその製造方法>
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーのTgは、−40℃以下である。前記(メタ)アクリル系ポリマーのTgは、粗面を有する被着体に対する接着力を高める観点から、−45℃以下であることが好ましく、−50℃以下であることがより好ましい。前記(メタ)アクリル系ポリマーのTgは、粗面を有する被着体に対する接着力及び保持力を高める観点から、−85℃以上であることが好ましく、−80℃以上であることがより好ましい。尚、(メタ)アクリル系ポリマーのTgは、(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー単位とその割合から、以下のFOXの式より算出される理論値である。
【0065】
FOXの式:1/Tg=W/Tg+W/Tg+・・・+W/Tg
[式中、Tgは(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(単位:K)、Tg(i=1、2、・・・n)は、モノマーiがホモポリマーを形成した際のガラス転移温度(単位:K)、W(i=1、2、・・・n)は、モノマーiの全モノマー成分中の質量分率を表す。]
【0066】
前記(メタ)アクリル系ポリマーの製造は、溶液重合、電子線やUV等の放射線重合、塊状重合、乳化重合等の各種ラジカル重合等の公知の製造方法を適宜選択できる。また、得られる(メタ)アクリル系ポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等のいずれでもよい。
【0067】
前記ラジカル重合に用いられる重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤等は特に限定されず適宜選択して使用することができる。尚、(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、重合開始剤、連鎖移動剤の使用量、反応条件により制御可能であり、これらの種類に応じて適宜のその使用量が調整される。
【0068】
前記溶液重合においては、重合溶媒として、例えば、酢酸エチル、トルエン等が用いられる。具体的な溶液重合例としては、反応は窒素等の不活性ガス気流下で、重合開始剤を加え、通常、50〜70℃程度で、5〜30時間程度の反応条件で行われる。
【0069】
前記重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート(和光純薬社製、VA−057)等のアゾ系開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキシド、ジ−n−オクタノイルパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルハイドロパーオキシド、過酸化水素等の過酸化物系開始剤、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムの組み合わせ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムの組み合わせ等の過酸化物と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0070】
前記重合開始剤は単独でまたは組み合わせて使用できるが、全体としての使用量はモノマー成分100重量部に対して、0.005〜1重量部程度であることが好ましく、0.01〜0.5重量部程度であることがより好ましい。
【0071】
前記重合開始剤として、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを用いることが好ましい。
【0072】
前記連鎖移動剤としては、例えば、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグルコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール等が挙げられる。連鎖移動剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての使用量はモノマー成分の全量100重量部に対して、0.1重量部程度以下である。
【0073】
前記乳化重合する場合に用いる乳化剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のアニオン系乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー等のノニオン系乳化剤等が挙げられる。前記乳化剤は単独でまたは組み合わせて使用できる。
【0074】
前記反応性乳化剤として、プロペニル基、アリルエーテル基等のラジカル重合性官能基が導入された乳化剤として、具体的には、例えば、アクアロンHS−10、HS−20、KH−10、BC−05、BC−10、BC−20(以上、いずれも第一工業製薬社製)、アデカリアソープSE10N(ADEKA社製)等がある。反応性乳化剤は、重合後にポリマー鎖に取り込まれるため、耐水性がよくなり好ましい。乳化剤の使用量は、モノマー成分の全量100重量部に対して、0.3〜5重量部、重合安定性や機械的安定性から0.5〜1重量部がより好ましい。
【0075】
前記(メタ)アクリル系ポリマーは、放射線重合により製造する場合には、前記モノマー成分を、電子線、UV等の放射線を照射することにより重合して製造することができる。前記放射線重合を電子線で行う場合には、前記モノマー成分には光重合開始剤を含有させることは特に必要ではないが、前記放射線重合をUV重合で行う場合には、特に、重合時間を短くすることができる利点等から、モノマー成分に光重合開始剤を含有させることができる。光重合開始剤は単独でまたは組み合わせて使用できる。
【0076】
前記光重合開示剤としては、光重合を開始するものであれば特に制限されず、通常用いられる光重合開始剤を用いることができる。例えば、ベンゾインエーテル系、アセトフェノン系、α‐ケトール系、光活性オキシム系、ベンゾイン系、ベンジル系、ベンゾフェノン系、ケタール系、チオキサントン系等を用いることができる。光重合開始剤の使用量は、モノマー成分100重量部に対して、0.05〜1.5重量部であり、好ましくは0.1〜1重量部である。
【0077】
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、35万以上であることが好ましい。前記(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、樹脂層の耐久性及び凝集力を高める観点から、40万以上であることがより好ましく、50万以上であることがさらに好ましい。前記(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、貼り合わせ性、及び粘着力を高める観点、樹脂組成物の粘度を抑制する観点から、300万以下であることが好ましく、250万以下であることがより好ましく、200万以下であることがさらに好ましく、150万以下であることがよりさらに好ましく、120万以下であることがよりさらに好ましい。
【0078】
前記(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミネーション・クロマトグラフィー)により測定し、ポリスチレン換算により算出できる。サンプルは、試料をテトラヒドロフランに溶解して0.1重量%の溶液とし、これを一晩静置した後、0.45μmのメンブレンフィルターで濾過した濾液を用いた。
・分析装置:東ソー社製、HLC−8120GPC
・カラム:東ソー社製、(メタ)アクリル系ポリマー:GM7000HXL+GMHXL+GMHXL
芳香族系ポリマー:G3000HXL+2000HXL+G1000HXL
・カラムサイズ;各7.8mmφ×30cm 計90cm・溶離液:テトラヒドロフラン(濃度0.1重量%)
・流量:0.8ml/min
・入口圧:1.6MPa
・検出器:示差屈折計(RI)
・カラム温度:40℃
・注入量:100μl
・溶離液:テトラヒドロフラン
・検出器:示差屈折計
・標準試料:ポリスチレン
【0079】
<架橋剤>
本発明の樹脂組成物は、架橋剤を含有することができる。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、シリコーン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、シラン系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤、過酸化物等の架橋剤が含まれる。前記架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤が好適である。
【0080】
前記架橋剤は単独でまたは組み合わせて使用できるが、全体としての含有量は、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、前記架橋剤を0.01〜5重量部の範囲で含有することが好ましい。架橋剤の含有量は、0.01〜4重量部含有することがより好ましく、0.02〜3重量部含有することがさらに好ましい。また、架橋剤として、前記多官能性モノマーを用いてもよく、この場合、前記多官能性モノマーは、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、0.001〜2重量部の範囲で含有することが好ましく、0.003〜1重量部の範囲で含有することがさらに好ましい。
【0081】
前記イソシアネート系架橋剤は、イソシアネート基(イソシアネート基をブロック剤または数量体化等により一時的に保護したイソシアネート再生型官能基を含む)を1分子中に2つ以上有する化合物をいう。
【0082】
前記イソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート等が挙げられる。
【0083】
前記イソシアネート系架橋剤としては、より具体的には、例えば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の低級脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート類、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製,商品名コロネートL)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製,商品名コロネートHL)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製,商品名コロネートHX)等のイソシアネート付加物、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井化学社製,商品名:タケネートD110N)、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井化学社製,商品名:タケネートD120N)、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井化学社製,商品名:タケネートD140N)、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井化学社製,商品名:タケネートD160N);ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネート、ならびにこれらと各種のポリオールとの付加物、イソシアヌレート結合、ビューレット結合、アロファネート結合等で多官能化したポリイソシアネート等を挙げることができる。これらのなかでも芳香族イソシアネートや脂環式イソシアネートを用いることが、粘着力と保持力に関する特性をバランスよく発現させるために好ましい。
【0084】
前記イソシアネート系架橋剤は単独でまたは組み合わせて使用できるが、全体としての含有量は、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、前記イソシアネート系架橋剤を0.01〜5重量部含有することが好ましく、さらには0.03〜4重量部含有することが好ましく、さらには0.05〜3重量部含有することが好ましく、0.08〜2重量部含有することがよりさらに好ましい。凝集力、耐久性試験での剥離の阻止等を考慮して適宜含有させることが可能である。
【0085】
尚、前記乳化重合にて作製した変性(メタ)アクリル系ポリマーの水分散液では、イソシアネート系架橋剤を用いなくても良いが、必要な場合には、水と反応し易いために、ブロック化したイソシアネート系架橋剤を用いることもできる。
【0086】
前記エポキシ系架橋剤はエポキシ基を1分子中に2つ以上有する多官能エポキシ化合物をいう。エポキシ系架橋剤としては、例えば、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテルの他、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂等が挙げられる。上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、三菱ガス化学社製、商品名「テトラッドC」、「テトラッドX」等の市販品も挙げられる。
【0087】
前記エポキシ系架橋剤は単独でまたは組み合わせて使用できるが、全体としての含有量は、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、前記エポキシ系架橋剤を0.005〜1重量部含有することが好ましく、さらには0.01〜0.5重量部含有することが好ましく、さらには0.015〜0.3重量部含有することが好ましい。凝集力、耐久性試験での剥離の阻止等を考慮して適宜含有させることが可能である。
【0088】
前記過酸化物としては、加熱によりラジカル活性種を発生して樹脂組成物のベースポリマーの架橋を進行させるものであれば適宜使用可能であるが、作業性や安定性を勘案して、1分間半減期温度が80℃〜160℃である過酸化物を使用することが好ましく、90℃〜140℃である過酸化物を使用することがより好ましい。
【0089】
前記過酸化物としては、例えば、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:90.6℃)、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.1℃)、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.4℃)、t−ブチルパーオキシネオデカノエート(1分間半減期温度:103.5℃)、t−ヘキシルパーオキシピバレート(1分間半減期温度:109.1℃)、t−ブチルパーオキシピバレート(1分間半減期温度:110.3℃)、ジラウロイルパーオキシド(1分間半減期温度:116.4℃)、ジ−n−オクタノイルパーオキシド(1分間半減期温度:117.4℃)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(1分間半減期温度:124.3℃)、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド(1分間半減期温度:128.2℃)、ジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期温度:130.0℃)、t−ブチルパーオキシイソブチレート(1分間半減期温度:136.1℃)、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(1分間半減期温度:149.2℃)等が挙げられる。なかでも特に架橋反応効率が優れることから、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.1℃)、ジラウロイルパーオキシド(1分間半減期温度:116.4℃)、ジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期温度:130.0℃)等が好ましく用いられる。
【0090】
尚、前記過酸化物の半減期とは、過酸化物の分解速度を表す指標であり、過酸化物の残存量が半分になるまでの時間をいう。任意の時間で半減期を得るための分解温度や、任意の温度での半減期時間に関しては、メーカーカタログ等に記載されており、例えば、日本油脂株式会社の「有機過酸化物カタログ第9版(2003年5月)」等に記載されている。
【0091】
前記過酸化物は単独でまたは組み合わせて使用できるが、全体としての含有量は、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、前記過酸化物0.02〜2重量部であり、0.05〜1重量部含有することが好ましい。加工性、リワーク性、架橋安定性、剥離性等の調整の為に、この範囲内で適宜選択される。
【0092】
尚、反応処理後の残存した過酸化物分解量の測定方法としては、例えば、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定することができる。具体的には、例えば、反応処理後の樹脂層を約0.2gずつ取り出し、酢酸エチル10mlに浸漬し、振とう機で25℃下、120rpmで3時間振とう抽出した後、室温で3日間静置する。次いで、アセトニトリル10ml加えて、25℃下、120rpmで30分振とうし、メンブランフィルター(0.45μm)によりろ過して得られた抽出液約10μlをHPLCに注入して分析し、反応処理後の過酸化物量とすることができる。
【0093】
また、前記金属キレート系架橋剤としては、多価金属が有機化合物と共有結合または配位結合している多官能性金属キレートが挙げられる。多価金属原子としては、Al、Cr、Zr、Co、Cu、Fe、Ni、V、Zn、In、Ca、Mg、Mn、Y、Ce、Sr、Ba、Mo、La、Sn、Ti等が挙げられる。共有結合または配位結合する有機化合物中の原子としては酸素原子等が挙げられ、有機化合物としてはアルキルエステル、アルコール化合物、カルボン酸化合物、エーテル化合物、ケトン化合物等が挙げられる。
【0094】
本発明の樹脂組成物には、接着力を向上させるために、(メタ)アクリル系オリゴマーを含有させることができる。前記(メタ)アクリル系オリゴマーは、本発明の(メタ)アクリル系ポリマーよりもTgが高く、重量平均分子量が小さい重合体を用いるのが好ましい。前記(メタ)アクリル系オリゴマーは、粘着付与樹脂として機能し、かつ接着力を向上させることが可能である。
【0095】
前記(メタ)アクリル系オリゴマーは、Tgが約0℃以上300℃以下、好ましくは約20℃以上300℃以下、さらに好ましくは約40℃以上300℃以下であることが望ましい。Tgが約0℃未満であると樹脂層の室温以上での凝集力が低下し、保持特性や高温での接着性が低下する場合がある。尚、(メタ)アクリル系オリゴマーのTgは、(メタ)アクリル系ポリマーのTgと同じく、Foxの式に基づいて計算した理論値である。
【0096】
前記(メタ)アクリル系オリゴマーの重量平均分子量は、1000以上30000未満、好ましくは1500以上20000未満、さらに好ましくは2000以上10000未満である。重量平均分子量が30000以上であると、接着力の向上効果が充分には得られない場合がある。また、1000未満であると、低分子量となるため接着力や保持特性の低下を引き起こす場合がある。本発明において、(メタ)アクリル系オリゴマーの重量平均分子量の測定は、GPC法によりポリスチレン換算して求めることができる。具体的には東ソー株式会社製のHPLC8020に、カラムとしてTSKgelGMH−H(20)×2本を用いて、テトラヒドロフラン溶媒で流速約0.5ml/分の条件にて測定される。
【0097】
前記(メタ)アクリル系オリゴマーを構成するモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレートのようなアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリル酸と脂環族アルコールとのエステル;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートのようなアリール(メタ)アクリレート;テルペン化合物誘導体アルコールから得られる(メタ)アクリレート;等を挙げることができる。このような(メタ)アクリレートは単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0098】
前記(メタ)アクリル系オリゴマーとしては、イソブチル(メタ)アクリレートやt−ブチル(メタ)アクリレートのようなアルキル基が分岐構造を持ったアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレートや、イソボルニル(メタ)アクリレートジシクロペンタニル(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリル酸と脂環式アルコールとのエステル;フェニル(メタ)アクリレートやベンジル(メタ)アクリレートのようなアリール(メタ)アクリレート等の環状構造を持った(メタ)アクリレートに代表される、比較的嵩高い構造を有するアクリル系モノマーをモノマー単位として含んでいることが好ましい。このような嵩高い構造を(メタ)アクリル系オリゴマーに持たせることで、樹脂層の接着性をさらに向上させることができる。特に嵩高さという点で環状構造を持ったものは効果が高く、環を複数含有したものはさらに効果が高い。また、(メタ)アクリル系オリゴマーの合成の際や樹脂層の作製の際に紫外線(紫外線)を採用する場合には、重合阻害を起こしにくいという点で、飽和結合を有したものが好ましく、アルキル基が分岐構造を持ったアルキル(メタ)アクリレート、または脂環式アルコールとのエステルを、(メタ)アクリル系オリゴマーを構成するモノマーとして好適に用いることができる。
【0099】
このような点から、好適な(メタ)アクリル系オリゴマーとしては、例えば、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)とイソブチルメタクリレート(IBMA)の共重合体、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)とイソボルニルメタクリレート(IBXMA)の共重合体、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)とアクリロイルモルホリン(ACMO)の共重合体、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)とジエチルアクリルアミド(DEAA)の共重合体、1−アダマンチルアクリレート(ADA)とメチルメタクリレート(MMA)の共重合体、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPMA)とイソボルニルメタクリレート(IBXMA)の共重合体、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPMA)、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)、イソボルニルメタクリレート(IBXMA)、イソボルニルアクリレート(IBXA)、シクロペンタニルメタクリレート(DCPMA)とメチルメタクリレート(MMA)の共重合体、ジシクロペンタニルアクリレート(DCPA)、1−アダマンチルメタクリレート(ADMA)、1−アダマンチルアクリレート(ADA)の各単独重合体等を挙げることができる。特に、CHMAを主成分として含むオリゴマーが好ましい。
【0100】
本発明の樹脂組成物において、前記(メタ)アクリル系オリゴマーを用いる場合、その含有量は特に限定されないが、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して70重量部以下であるのが好ましく、さらに好ましくは1〜70重量部であり、さらに好ましくは2〜50重量部であり、さらに好ましくは3〜40重量部である。(メタ)アクリル系オリゴマーの添加量が70重量部を超えると、弾性率が高くなり過ぎ低温での接着性が悪くなるという不具合の可能性がある。尚、(メタ)アクリル系オリゴマーを1重量部以上配合する場合に、接着力の向上効果の点から有効である。
【0101】
また、本発明の樹脂組成物には、粘着付与剤(タッキファイヤー)を被着体界面との相互作用を向上させるため、及び樹脂組成物バルクの凝集力を付与するために含有する事ができる。例えば、ロジンエステル系のペンセルシリーズ(荒川化学工業社製)やテルペン系タッキファイヤー(ヤスハラケミカル社製)、ハリタックシリーズ(ハリマ化成社製)等が挙げられ、弾性率が高くなりタックが消失しない程度の量を添加できる。粘着付与剤(タッキファイヤー)は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して5〜40重量部添加することが好ましい。
【0102】
さらに、本発明の樹脂組成物には、被着体との界面での接着信頼性をあげるために、シランカップリング剤を含有することができる。シランカップリング剤の配合量は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して1重量部以下であるのが好ましく、さらに好ましくは0.01〜1重量部、さらに好ましくは0.02〜0.6重量部である。シランカップリング剤の配合が多過ぎると架橋を阻害したり粘着特性を損なわしたりする可能性があり、少なすぎると効果が得られないため好ましくない。
【0103】
前記シランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤、3−アミノプロピルトリメトキシシラン 、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基含有シランカップリング剤等が挙げられる。
【0104】
さらに本発明の樹脂組成物には、その他の公知の添加剤を含有していてもよく、たとえば、着色剤、顔料等の粉体、染料、界面活性剤、可塑剤、粘着性付与剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物等を使用する用途に応じて適宜添加することができる。
【0105】
<樹脂層>
本発明の樹脂層は、前記樹脂組成物から形成される。樹脂層の厚さは、特に制限されず、例えば、1〜1000μm程度である。前記樹脂層の厚さは、好ましくは、3〜500μm、より好ましくは5〜200μmである。
【0106】
前記樹脂層のゲル分率は、20〜95重量%であるのが好ましい。樹脂層のゲル分率は、樹脂層の凝集力や保持力を高める観点から、25重量%以上であることがより好ましく、30重量%以上であることがさらに好ましく、35重量%以上であることがよりさらに好ましい。樹脂層のゲル分率は、樹脂層の接着力を高める観点から、80重量%以下であることがより好ましく、70重量%以下であることがさらに好ましく、65重量%以下であることがよりさらに好ましい。尚、前記樹脂組成物が架橋剤を含有する場合には、架橋剤全体の添加量を調整することとともに、架橋処理温度や架橋処理時間の影響を十分考慮して、ゲル分率が制御することができる。
【0107】
前記樹脂層は、例えば、前記樹脂組成物を支持体の片面又は両面に塗布し、重合溶剤等を加熱乾燥によって除去することにより積層シートとして形成することができる。樹脂組成物の塗布にあたっては、適宜に、重合溶剤以外の一種以上の溶剤を新たに加えてもよい。
【0108】
前記樹脂組成物の塗布方法としては、各種方法が用いられる。具体的には、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーター等による押出しコート法等の方法が挙げられる。
【0109】
前記加熱乾燥の温度は、好ましくは40〜200℃であり、さらに好ましくは、50〜180℃であり、特に好ましくは70〜170℃である。加熱温度を上記の範囲とすることによって、優れた粘着特性を有する樹脂層を得ることができる。前記加熱乾燥の時間は、好ましくは5秒〜20分、さらに好ましくは5秒〜15分、特に好ましくは10秒〜10分である。
【0110】
また、前記樹脂層の形成は、本発明の(メタ)アクリル系ポリマーを、モノマー成分を紫外線照射することにより重合して製造する場合には、前記モノマー成分から(メタ)アクリル系ポリマーを製造するとともに、樹脂層を形成することができる。モノマー成分には、適宜に架橋剤等の前記樹脂組成物に配合することができる材料を含有することができる。前記モノマー成分は、紫外線照射にあたり、事前に一部を重合してシロップにしたものを用いることができる。紫外線照射には、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等を用いることができる。
【0111】
前記支持体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルフィルム等のプラスチックフィルム、ポリアクリルフィルム、紙、布、不織布等の多孔質材料、ネット、ポリエチレンフォームやアクリルフォーム等の気泡含有シート、金属箔、及びこれらのラミネート体等の各種の支持フィルムを挙げることができる。尚、前記気泡とは中空粒子等の含有によるものも含む。前記支持フィルムの厚みは、通常5〜3000μm、好ましくは10〜2500μm、さらに好ましくは20〜2000μm程度である。
【0112】
前記支持フィルムには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉等による離型及び防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型等の帯電防止処理もすることもできる。
【0113】
本発明の積層シートは、前記樹脂層が露出する場合には、実用に供されるまでセパレーターで樹脂層を保護してもよい。実用に際しては、前記セパレーターは剥離される。
【0114】
セパレーターの構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルフィルム等のプラスチックフィルム、紙、布、不織布等の多孔質材料、ネット、気泡含有シート、金属箔、及びこれらのラミネート体等の適宜な薄葉体等を挙げることができる。表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。
【0115】
前記プラスチックフィルムとしては、前記樹脂層を保護し得るフィルムであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフイルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム等が挙げられる。
【0116】
前記セパレーターの厚みは、通常5〜300μm、好ましくは5〜200μm程度である。前記セパレーターには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉等による離型及び防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型等の帯電防止処理もすることもできる。特に、前記セパレーターの表面にシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理等の剥離処理を適宜おこなうことにより、前記樹脂層からの剥離性をより高めることができる。
【0117】
本発明の樹脂組成物、樹脂層及び積層シートは、コンクリ−ト、モルタル、石膏ボード、針葉樹合板、木質系セメント板、ケイ酸カルシウム板、タイル、及び繊維強化セメント板等の粗面を有する被着体に貼り付ける用途に用いることが好ましい。
【0118】
前記粗面を有する被着体の表面凹凸(表面の粗さ)は、1μm〜数100μm程度のものを対象としている。前記積層シートは、特に、表面凹凸(表面の粗さ)が、1μm〜500μmである粗面を有する被着体に対して、好ましく用いられる。
【実施例】
【0119】
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。尚、各例中の部及び%はいずれも重量基準である。実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
【0120】
実施例1
<(メタ)アクリル系ポリマーの調製>
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)90重量部、エチルカルビトールアクリレート(CBA)10重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)0.25重量部、アクリル酸(AA)1重量部、重合開始剤として2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.07重量部を酢酸エチル105重量部と共に仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して1時間窒素置換した後、フラスコ内の液温を60〜65℃付近に保って10時間重合反応を行い、重量平均分子量77万の(メタ)アクリル系ポリマー溶液を調製した。得られた(メタ)アクリル系ポリマーのTgは−68.7℃であった。
【0121】
次いで、上記で得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液に、ポリマーの固形分100重量部に対して、架橋剤として、2,4−トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(東ソー社製,商品名コロネートL)を0.16重量部配合して樹脂組成物溶液を調製した。
【0122】
次いで、得られた樹脂組成物溶液を、シリコーン処理を施した38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムセパレーター(三菱樹脂社製,ダイアホイルMRF)の片面に、乾燥後の樹脂層の厚さが95μmになるように塗布し、130℃で5分間乾燥を行い、樹脂層を形成し、積層シートを作製した。
【0123】
実施例2〜29、比較例1〜5
実施例1において、(メタ)アクリル系ポリマーの調製に用いたモノマーの種類とその組成比、架橋剤の種類とその配合量を表1に示すように変えたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、積層シートを作製した。得られた(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量、Tgを表1に示す。
【0124】
実施例30
<(メタ)アクリル系ポリマーシロップの調製>
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)90重量部、エチルカルビトールアクリレート(CBA)10重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)0.25重量部、アクリル酸(AA)1重量部、光重合開始剤(商品名:イルガキュア184、BASF社製)0.15重量部および光重合開始剤(商品名:イルガキュア651、BASF社製)0.15重量部を4つ口フラスコに投入してモノマー混合物を調製した。次いで、前記モノマー混合物を窒素雰囲気下で紫外線に曝露して部分的に光重合させることによって、重合率約10重量%の部分重合物((メタ)アクリル系ポリマーシロップ)を得た。
【0125】
次いで、上述した(メタ)アクリル系ポリマーシロップの100重量部に、架橋剤として、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)0.01重量部を添加した後、これらを均一に混合してモノマー成分を調製した。
【0126】
次いで、上記で調整したモノマー成分を、片面をシリコーンで剥離処理した厚み38μmのポリエステルフィルム(商品名:ダイアホイルMRF、三菱樹脂株式会社製)の剥離処理面に、最終的な厚みが95μmになるように塗布して塗布層を形成した。次いで、塗布されたモノマー成分の表面に、片面をシリコーンで剥離処理した厚み38μmのポリエステルフィルム(商品名:ダイアホイルMRE、三菱樹脂株式会社製)を、当該フィルムの剥離処理面が塗布層側になるようにして被覆した。これにより、モノマー成分の塗布層を酸素から遮断した。このようにして得られた塗布層を有するシートにケミカルライトランプ(株式会社東芝製)を用いて照度5mW/cm(約350nmに最大感度をもつトプコンUVR−T1で測定)の紫外線を360秒間照射して、塗布層を硬化させて樹脂層を得た後、片面のポリエステルフィルム(ダイアホイルMRE)を剥離し、積層シートを作製した。
【0127】
実施例31〜33
実施例30において、(メタ)アクリル系ポリマーシロップの調製に用いたモノマーの組成比を表2に示すように変えたこと以外は、実施例30と同様の操作を行い、積層シートを作製した。得られた(メタ)アクリル系ポリマーのTgを表2に示す。
【0128】
上記の実施例及び比較例で得られた、積層シート(サンプル)について以下の評価を行った。評価結果を表1および2に示す。
【0129】
<ゲル分率の測定>
積層シートにおける樹脂層から所定量(最初の重量W1)を取り出し、酢酸エチル溶液に浸漬して、室温で1週間放置した後、不溶分を取り出し、乾燥させた重量(W2)を測定し、下記のように求めた。
ゲル分率(%)=(W2/W1)×100
【0130】
<ピール接着力の測定>
実施例及び比較例で得られたサンプルの粘着面に厚み25μmのPETフィルム(東レ社製,ルミラーS10)を貼り付けたものを評価用サンプルとした。当該評価用サンプルを、幅20mm×長さ約100mmに裁断した後、前記セパレーター(三菱樹脂社製,ダイアホイルMRF)を剥離して、各種被着体として、石膏ボード(吉野石膏社製、商品名タイガーボード 9.5mm厚)、針葉樹合板(島忠ホームズ入手 12mm厚)、又はケイ酸カルシウム板(ケイカル板、島忠ホームズ入手 5mm厚)に、2kgのロールを1往復で貼付けた。次いで、室温(23℃)で30分静置した後、剥離角度180°、剥離速度300mm/分でピール接着力(N/20mm)を測定した。尚、前記ピール接着力は、10N/20mm以上であることが好ましく、12N/20mm以上であることがより好ましく、15N/20mm以上であることがさらに好ましい。
【0131】
<保持力の測定>
実施例及び比較例で得られたサンプルの粘着面に厚み25μmのPETフィルム(東レ社製,ルミラーS10)を貼り付けたものを評価用サンプルとした。当該評価用サンプルを、幅10mm×長さ100mmに裁断した後、前記セパレーター(三菱樹脂社製,ダイアホイルMRF)を剥離して、被着体として、針葉樹合板(島忠ホームズ入手 12mm厚)に、貼りつけ面積が幅10mm×長さ20mmになるように2kgのロールを1往復で貼付けた。次いで、室温(23℃)で30分静置した後、針葉樹合板を垂下し、試料片の自由端に500gの荷重を付与した。当該荷重が付与された状態で40℃の環境下に1時間放置し、最初の貼り付け位置からの試料テープのズレ距離(mm)を測定し、保持力(mm/h)を算出した。尚、前記保持力は、2.0mm/h以下であることが好ましく、1.5mm/h以下であることがより好ましく、1.0mm/h以下であることがより好ましい。
【0132】
【表1】
【0133】
【表2】
【0134】
表1および2中、2EHAは、2−エチルヘキシルアクリレート(大阪有機化学工業社製,ホモポリマーのTg=−70℃);
INAは、イソノニルアクリレート(大阪有機化学工業社製,ホモポリマーのTg=−58℃);
IMAは、イソミスチリルアクリレート(共栄社化学株式会社,ホモポリマーのTg=−56℃);
CBAは、エチルカルビトールアクリレート(大阪有機化学工業社製,ホモポリマーのTg=−67℃);
♯MTGは、メトキシトリエチレングリコールアクリレート(大阪有機化学工業社製,ホモポリマーのTg=−57℃);
4HBAは、4−ヒドロキシブチルアクリレート(大阪有機化学工業社製,ホモポリマーのTg=−32℃);
HEAは、ヒドロキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業社製,ホモポリマーのTg=−15℃);
AAはアクリル酸(東亜合成社製,ホモポリマーのTg=106℃);
BAは、ブチルアクリレート(東亜合成社製,ホモポリマーのTg=−55℃);を示す。
【0135】
表1および2中、C/Lは、トリメチロールプロパン/2,4−トリレンジイソシアネート3量体付加物(東ソー社製,商品名コロネートL);
D110Nは、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井化学社製,商品名:タケネートD110N);
D120Nは、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井化学社製,商品名:タケネートD120N);
D140Nは、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井化学社製,商品名:タケネートD140N);
T/Cは、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(三菱ガス化学社製,商品名テトラッドC);
TMPTAは、トリメチロールプロパントリアクリレート((大阪有機化学工業社製);を示す。