特許第6893154号(P6893154)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6893154
(24)【登録日】2021年6月2日
(45)【発行日】2021年6月23日
(54)【発明の名称】内視鏡検査支援システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20210614BHJP
   A61B 1/12 20060101ALI20210614BHJP
【FI】
   A61B1/00 631
   A61B1/12 510
   A61B1/00 640
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-172446(P2017-172446)
(22)【出願日】2017年9月7日
(65)【公開番号】特開2019-47847(P2019-47847A)
(43)【公開日】2019年3月28日
【審査請求日】2020年1月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】堀 康之
【審査官】 遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−113082(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/199545(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0091398(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 −1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡を再使用可能にするための複数の工程の担当者候補を管理する担当者管理部と、
各工程の実績作業時間を担当者ごとに保持する作業時間保持部と、
内視鏡が再使用可能となる時間に関する時間情報を、前記担当者管理部に管理されている複数の工程の担当者候補、および前記作業時間保持部に保持された各担当者の実績作業時間にもとづいて導出する時間導出部と、
前記時間導出部が導出した時間情報を通知する通知処理部と、
内視鏡が希少内視鏡であるか否かを判定する希少内視鏡判定部と、を備え、
前記希少内視鏡判定部は、当該内視鏡が、所有本数AがN以下であり、且つ(1日の平均検査使用数B/所有本数A)がM以上となる機種の内視鏡である場合に、当該内視鏡を希少内視鏡と判定し、
内視鏡が希少内視鏡であることが判定された場合に、前記時間導出部は、実際に工程を担当した担当者の実績作業時間にもとづいて時間情報を再導出し、
前記通知処理部は、導出された時間情報を再通知
内視鏡が希少内視鏡でないことが判定された場合に、前記時間導出部は、時間情報を再導出しない、
ことを特徴とする内視鏡検査支援システム。
【請求項2】
前記時間導出部は、検査での使用が完了したとき、内視鏡が再使用可能となる時間に関する時間情報を導出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡検査支援システム。
【請求項3】
前記時間導出部は、漏水検査の開始時または用手洗浄の開始時に、内視鏡が再使用可能となる時間に関する時間情報を導出する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の内視鏡検査支援システム。
【請求項4】
実際に工程を担当する担当者が決定されたとき、前記時間導出部は、当該担当者の実績作業時間にもとづいて、内視鏡が再使用可能となる時間に関する時間情報を再導出する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の内視鏡検査支援システム。
【請求項5】
1つの工程に対して複数の担当者候補が存在する場合、前記時間導出部は、複数の担当者候補による実績作業時間の平均値を用いて、時間情報を導出する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の内視鏡検査支援システム。
【請求項6】
前記通知処理部は、
再導出された時間情報が通知済みの時間情報から変更されている場合に、再導出された時間情報を再通知し、
再導出された時間情報が通知済みの時間情報から変更されていない場合に、再導出された時間情報を再通知しない、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の内視鏡検査支援システム。
【請求項7】
前記時間導出部は、2つの工程の間の待ち時間も用いて、時間情報を導出する、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の内視鏡検査支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡検査を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、内視鏡ステータスが、使用可能な状態に戻すための作業を行っている状態すなわち洗浄中の状態にある場合に、洗浄工程が終了するまでの時間を推定することを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−117382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
内視鏡検査の準備担当者は、検査開始前に、検査種別に対応する内視鏡を検査室に運び込み、観測装置に接続する。この準備作業に時間がかかると、当日に予定されている他の検査にも影響を及ぼす可能性があるため、準備担当者は検査が終了すると、次の検査で使用する内視鏡を遅滞なく検査室に運び込むことが好ましい。通常、洗浄済の内視鏡は保管棚に収納されるが、一日に多くの内視鏡検査を実施する医療施設では、検査の準備担当者が洗浄室に、洗浄済の内視鏡を取りに行くことが多い。そのため検査の準備担当者に対して、内視鏡が再使用可能となる時間に関する情報を、効率的に知らせる仕組みを構築することが望まれている。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、内視鏡が再使用可能となる時間に関する情報を通知する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の内視鏡検査支援システムは、内視鏡を再使用可能にするための複数の工程の担当者候補を管理する担当者管理部と、各工程の実績作業時間を担当者ごとに保持する作業時間保持部と、内視鏡が再使用可能となる時間に関する時間情報を、担当者管理部に管理されている複数の工程の担当者候補、および作業時間保持部に保持された各担当者の実績作業時間にもとづいて導出する時間導出部と、時間導出部が導出した時間情報を通知する通知処理部と、内視鏡が希少内視鏡であるか否かを判定する希少内視鏡判定部と、を備える。内視鏡が希少内視鏡であることが判定された場合に、時間導出部は、実際に工程を担当した担当者の実績作業時間にもとづいて時間情報を再導出し、通知処理部は、導出された時間情報を再通知する。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、内視鏡が再使用可能となる時間に関する情報を通知する技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例にかかる内視鏡検査支援システムの構成を示す図である。
図2】管理装置の構成を示す図である。
図3】内視鏡のステータス遷移を示す図である。
図4】担当者管理部により管理される担当者候補の例を示す図である。
図5】担当者の実績作業時間の例を示す図である。
図6】希少機種の判定結果の例を示す図である。
図7】内視鏡が使用可能となる時間情報の通知制御フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、実施例にかかる内視鏡検査支援システム1の構成を示す。内視鏡3は識別情報(スコープID)を有し、管理装置10は内視鏡検査の業務フローにしたがって、スコープIDをもとに内視鏡3のステータスを管理する。実施例の内視鏡検査支援システム1において、管理装置10は、LAN(ローカルエリアネットワーク)などのネットワーク2を介して、検査室に設けられた観測装置4、シンク5、表示装置7、洗浄室に設けられた漏水検査装置12、シンク14、洗浄装置16、乾燥装置18および表示装置20とそれぞれ通信可能に接続している。なお実施例では各作業工程で使用する機器等に、スコープIDを読み取って管理装置10に送信する機能を持たせているが、たとえば各作業工程の実施場所に、スコープIDおよび担当者を識別するための識別情報(担当者ID)を読み取って作業工程に紐付け、管理装置10に送信する端末装置が用意されてもよい。また各担当者が端末装置を保持して、工程開始前または工程開始後に、スコープIDおよび担当者IDを作業工程に紐付けて、管理装置10に送信するようにしてもよい。いずれにしても内視鏡検査支援システム1においては、スコープIDおよび担当者IDが作業工程に紐付けられて管理装置10に送信される仕組みが用意されていることが好ましい。表示装置7は、検査室に設置されたモニタであってもよいが、検査の準備担当者により保持される端末装置であってもよい。
【0011】
図2は、管理装置10の構成を示す。管理装置10は、取得部30、ステータス管理部32、時間導出部34、希少内視鏡判定部36、通知処理部38、担当者管理部40、作業時間保持部42、情報記録部44および検査画像記録部50を備える。これらの構成はハードウエア的には、任意のプロセッサ、メモリ、補助記憶装置、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0012】
図3は、実施例における内視鏡3のステータス遷移図を示す。管理装置10は内視鏡3のステータスを、「使用中」(ST1)、「使用済」(ST2)、「ベッドサイド洗浄中」(ST3)、「ベッドサイド洗浄済」(ST4)、「漏水検査中」(ST5)、「漏水検査済」(ST6)、「用手洗浄中」(ST7)、「用手洗浄済」(ST8)、「機械洗浄中」(ST9)、「機械洗浄済」(ST10)、「乾燥中」(ST11)、「乾燥済」(ST12)の12のステータスで管理する。図3において、矢印の向きは、内視鏡ステータスの代表的な遷移方向を示している。
【0013】
検査開始前、内視鏡3が看護師によって観測装置4に接続されると、観測装置4は、内視鏡3のスコープIDを取得し、管理装置10に送信する。観測装置4に設けられた検査開始ボタンが操作されると、観測装置4は、検査開始を示す情報を管理装置10に送信して、内視鏡検査が開始される。検査中、観測装置4は、内視鏡3で取得した画像データをモニタにリアルタイム表示し、また内視鏡3のレリーズスイッチが押されたタイミングで検査画像を取得して、管理装置10に送信する。なお検査画像の送信先は、管理装置10以外のネットワークストレージや画像管理システムであってもよい。また取得した検査画像は観測装置4に蓄積されて、検査終了後に、USBメモリ等に読み出されてもよい。観測装置4に設けられた検査終了ボタンが操作されると、観測装置4は、検査終了を示す情報を管理装置10に送信して、内視鏡検査が終了する。
【0014】
内視鏡3が観測装置4に接続されると、管理装置10において取得部30が、スコープIDを取得して、情報記録部44に記録する。その後、取得部30が観測装置4から検査開始情報を受信すると、スコープIDに関連づけて、受信した受信時刻と検査開始情報を情報記録部44に記録する。ここで受信時刻は、検査開始時刻に等しい。このときステータス管理部32は、内視鏡3のステータスを「使用中」(ST1)に設定する。検査で内視鏡3を使用中、観測装置4が検査画像データを管理装置10に送信すると、取得部30が検査画像データを取得して、検査画像記録部50に記録する。その後、取得部30が、観測装置4から検査終了情報を受信すると、スコープIDに関連づけて、受信した受信時刻と検査終了情報を情報記録部44に記録する。この受信時刻は、検査終了時刻に等しい。このときステータス管理部32は、内視鏡3のステータスを「使用済」(ST2)に設定する。
【0015】
検査終了直後、看護師等は検査室のシンク5において、内視鏡外表面の拭き取りと、吸引・鉗子チャンネルの吸引洗浄を行う。この洗浄工程は、ベッドサイド洗浄とも呼ばれる。
【0016】
ベッドサイド洗浄の担当者は、自身を識別するための識別情報(担当者ID)を記録したIDカードを有し、ベッドサイド洗浄の開始前に、シンク5の脇に配置されたID読取部6にIDカードを接触またはかざすことで、ID読取部6に担当者IDを読み取らせる。また内視鏡には識別情報(スコープID)を印刷したテープが貼り付けられ、洗浄担当者は、ベッドサイド洗浄の開始前に、テープを貼り付けた箇所をID読取部6に接触またはかざすことで、ID読取部6にスコープIDを読み取らせる。スコープIDは、テープ以外の形態(たとえば防水加工が施された形態)で内視鏡に付加されていてもよく、ID読取部6により読み取り可能であればよい。なおベッドサイド洗浄の担当者は、担当者IDを記録したRFIDタグを有して、RFIDリーダであるID読取部6に担当者IDを読み取らせてもよい。このとき内視鏡もスコープIDを記録したRFIDタグを有して、ID読取部6にスコープIDを読み取らせてもよい。ID読取部6は、読み取った担当者IDおよびスコープIDを、ベッドサイド洗浄の開始情報として管理装置10に送信する。
【0017】
管理装置10において、取得部30が、ID読取部6から担当者IDおよびスコープIDをベッドサイド洗浄の開始情報として受信すると、受信した受信時刻とともに、担当者IDおよびスコープIDを、ベッドサイド洗浄の開始情報として情報記録部44に記録する。ここで受信時刻は、ベッドサイド洗浄の開始時刻に等しい。このときステータス管理部32は、内視鏡3のステータスを「ベッドサイド洗浄中」(ST3)に設定する。
【0018】
洗浄担当者は、担当者IDおよびスコープIDをID読取部6に読み取らせた後、ベッドサイド洗浄を開始する。ベッドサイド洗浄の担当者は、内視鏡外表面の拭き取りと、吸引・鉗子チャンネルの吸引洗浄を行う。ベッドサイド洗浄を終了すると、担当者は、担当者IDおよびスコープIDを、ベッドサイド洗浄の終了情報としてID読取部6に読み取らせる。ID読取部6は、読み取った担当者IDおよびスコープIDを、ベッドサイド洗浄の終了情報として管理装置10に送信する。管理装置10において、取得部30が、ID読取部6から担当者IDおよびスコープIDをベッドサイド洗浄の終了情報として受信すると、受信した受信時刻とともに、担当者IDおよびスコープIDを、ベッドサイド洗浄の終了情報として情報記録部44に記録する。この受信時刻は、ベッドサイド洗浄の終了時刻に等しい。このときステータス管理部32は、内視鏡3のステータスを「ベッドサイド洗浄済」(ST4)に設定する。
【0019】
ベッドサイド洗浄の担当者は、ベッドサイド洗浄した内視鏡3を専用容器に入れて、周囲に触れないように洗浄室に運び込む。洗浄室では、運び込まれた内視鏡3が、漏水検査、用手洗浄、機械洗浄、乾燥の各工程を実施されて、検査で再使用可能な状態となる。
【0020】
洗浄室には、運び込まれた内視鏡3を漏水検査するための漏水検査装置12、漏水検査された内視鏡3を担当者が用手洗浄するためのシンク14、用手洗浄された内視鏡3を自動機械洗浄するための洗浄装置16、自動機械洗浄された内視鏡3を乾燥するための乾燥装置18、内視鏡3のステータスなどを表示するための表示装置20が設けられている。なお実施例では内視鏡3が乾燥装置18による乾燥工程を実施されるが、担当者が手作業で乾燥工程を実施してもよい。表示装置20は、洗浄室にいる全ての人が見ることのできる位置に設置されていることが好ましい。
【0021】
漏水検査の担当者は、漏水検査の開始前に、漏水検査装置12に配置されたID読取部13に、担当者のIDカードを接触またはかざし、また内視鏡3のスコープIDを印刷したテープを接触またはかざして、担当者IDおよびスコープIDを読み取らせる。担当者IDおよびスコープIDのID読取部13における読取処理は、ID読取部6における読取処理と同様に実施される。漏水検査の担当者は、担当者IDおよびスコープIDをID読取部13に読み取らせた後、検査室から運び込まれた内視鏡3を漏水検査装置12にセットし、検査開始ボタンを操作して、漏水検査を開始する。検査開始ボタンが操作されると、ID読取部13は、読み取った担当者IDおよびスコープIDを、漏水検査の開始情報として管理装置10に送信する。管理装置10において、取得部30が、ID読取部13から担当者IDおよびスコープIDを漏水検査の開始情報として受信すると、受信した受信時刻とともに、担当者IDおよびスコープIDを、漏水検査の開始情報として情報記録部44に記録する。この受信時刻は、漏水検査の開始時刻に等しい。このときステータス管理部32は、内視鏡3のステータスを「漏水検査中」(ST5)に設定する。
【0022】
漏水検査が終了すると、漏水検査装置12は、漏水検査の終了情報を自動的に管理装置10に送信する。なお漏水検査の終了後、漏水検査の担当者が、担当者IDおよびスコープIDをID読取部13に読み取らせて、ID読取部13が、読み取った担当者IDおよびスコープIDを、漏水検査の終了情報として管理装置10に送信してもよい。管理装置10において、取得部30が漏水検査の終了情報を受信すると、受信した受信時刻とともに、担当者IDおよびスコープIDを、漏水検査の終了情報として情報記録部44に記録する。この受信時刻は、漏水検査の終了時刻に等しい。このときステータス管理部32は、内視鏡3のステータスを「漏水検査済」(ST6)に設定する。
【0023】
用手洗浄の担当者は、用手洗浄の開始前に、シンク14の脇に設置されたID読取部15に、担当者のIDカードを接触またはかざし、漏水検査で漏水のないことを確認された内視鏡3のスコープIDを印刷したテープを接触またはかざして、担当者IDおよびスコープIDを読み取らせる。担当者IDおよびスコープIDのID読取部15における読取処理は、ID読取部6における読取処理と同様に実施される。ID読取部15は、読み取った担当者IDおよびスコープIDを、用手洗浄の開始情報として管理装置10に送信する。管理装置10において、取得部30が、ID読取部15から担当者IDおよびスコープIDを用手洗浄の開始情報として受信すると、受信した受信時刻とともに、担当者IDおよびスコープIDを、用手洗浄の開始情報として情報記録部44に記録する。ここで受信時刻は、用手洗浄の開始時刻に等しい。このときステータス管理部32は、内視鏡3のステータスを「用手洗浄中」(ST7)に設定する。
【0024】
用手洗浄の担当者は、担当者IDおよびスコープIDをID読取部15に読み取らせた後、内視鏡3の用手洗浄を開始する。洗浄担当者は、内視鏡から送気・送水ボタン、吸引ボタン、鉗子栓などを取り外し、流水で内視鏡外表面を洗浄する。それから洗浄担当者は、専用のチャンネル洗浄ブラシを用いて、吸引・鉗子チャンネルをブラッシングする。また取り外した送気・送水ボタン、吸引ボタン、鉗子栓をブラシを用いて洗浄する。
【0025】
用手洗浄が終了すると、洗浄担当者は、担当者IDおよびスコープIDを、用手洗浄の終了情報としてID読取部15に読み取らせる。ID読取部15は、読み取った担当者IDおよびスコープIDを、用手洗浄の終了情報として管理装置10に送信する。管理装置10において、取得部30が、ID読取部15から担当者IDおよびスコープIDを用手洗浄の終了情報として受信すると、受信した受信時刻とともに、担当者IDおよびスコープIDを、用手洗浄の終了情報として情報記録部44に記録する。この受信時刻は、用手洗浄の終了時刻に等しい。このときステータス管理部32は、内視鏡3のステータスを「用手洗浄済」(ST8)に設定する。
【0026】
機械洗浄の担当者は、機械洗浄の開始前に、洗浄装置16に配置されたID読取部17に、担当者のIDカードを接触またはかざし、用手洗浄済みの内視鏡3のスコープIDを印刷したテープを接触またはかざして、担当者IDおよびスコープIDを読み取らせる。担当者IDおよびスコープIDのID読取部17における読取処理は、ID読取部6における読取処理と同様に実施される。洗浄担当者は、担当者IDおよびスコープIDをID読取部17に読み取らせた後、用手洗浄済の内視鏡3を、洗浄装置16の洗浄槽にセットし、内視鏡3の洗浄プログラムを選択してから洗浄開始ボタンを操作して、機械洗浄を開始する。洗浄開始ボタンが操作されると、ID読取部17は、読み取った担当者IDおよびスコープIDを、機械洗浄の開始情報として管理装置10に送信する。管理装置10において、取得部30が、ID読取部17から担当者IDおよびスコープIDを機械洗浄の開始情報として受信すると、受信した受信時刻とともに、担当者IDおよびスコープIDを、機械洗浄の開始情報として情報記録部44に記録する。この受信時刻は、機械洗浄の開始時刻に等しい。このときステータス管理部32は、内視鏡3のステータスを「機械洗浄中」(ST9)に設定する。
【0027】
機械洗浄が終了すると、洗浄装置16は、機械洗浄の終了情報を自動的に管理装置10に送信する。なお機械洗浄の終了後、洗浄担当者が、担当者IDおよびスコープIDをID読取部17に読み取らせて、ID読取部17が、読み取った担当者IDおよびスコープIDを、機械洗浄の終了情報として管理装置10に送信してもよい。管理装置10において、取得部30が機械洗浄の終了情報を受信すると、受信した受信時刻とともに、担当者IDおよびスコープIDを、機械洗浄の終了情報として情報記録部44に記録する。この受信時刻は、機械洗浄の終了時刻に等しい。このときステータス管理部32は、内視鏡3のステータスを「機械洗浄済」(ST10)に設定する。
【0028】
乾燥工程の担当者は、乾燥工程の開始前に、乾燥装置18に配置されたID読取部19に、担当者のIDカードを接触またはかざし、また内視鏡3のスコープIDを印刷したテープを接触またはかざして、担当者IDおよびスコープIDを読み取らせる。乾燥担当者は、担当者IDおよびスコープIDをID読取部19に読み取らせた後、機械洗浄した内視鏡3を乾燥装置18にセットし、乾燥工程を開始する。ID読取部19は、読み取った担当者IDおよびスコープIDを、乾燥工程の開始情報として管理装置10に送信する。管理装置10において、取得部30が、ID読取部19から担当者IDおよびスコープIDを乾燥工程の開始情報として受信すると、受信した受信時刻とともに、担当者IDおよびスコープIDを、乾燥工程の開始情報として情報記録部44に記録する。この受信時刻は、乾燥工程の開始時刻に等しい。このときステータス管理部32は、内視鏡3のステータスを「乾燥中」(ST11)に設定する。
【0029】
乾燥工程が終了すると、乾燥装置18は、乾燥工程の終了情報を自動的に管理装置10に送信する。なお乾燥工程の終了後、乾燥担当者が、担当者IDおよびスコープIDをID読取部19に読み取らせて、ID読取部19が、読み取った担当者IDおよびスコープIDを、乾燥工程の終了情報として管理装置10に送信してもよい。管理装置10において、取得部30が乾燥工程の終了情報を受信すると、受信した受信時刻とともに、担当者IDおよびスコープIDを、乾燥工程の終了情報として情報記録部44に記録する。この受信時刻は、乾燥工程の終了時刻に等しい。このときステータス管理部32は、内視鏡3のステータスを「乾燥済」(ST12)に設定する。
【0030】
なお乾燥工程は、乾燥装置18によらずに、担当者が、機械洗浄された内視鏡3に残った水分をタオルなどで拭き取ることで実施されてもよい。この場合であっても、洗浄室内にID読取部19が設けられ、乾燥担当者は、上記したように、乾燥作業の開始時および終了時に、担当者IDおよびスコープIDをID読取部19に読み取らせることで、ステータス管理部32が、内視鏡3のステータスを適切に管理することができる。
【0031】
このように内視鏡検査支援システム1においては、検査で使用済みの内視鏡3を再使用可能にするために、ベッドサイド洗浄、漏水検査、用手洗浄、機械洗浄、乾燥の各工程が、それぞれの担当者によって実施されて、検査に再使用可能な状態となる。なお使用済みの内視鏡3以外であっても、洗浄終了後、1週間以上使用されていない内視鏡であったり、また洗浄終了後の運搬中に落としてしまったような内視鏡も、あらためて洗浄する必要がある。そのため内視鏡検査支援システム1において洗浄対象となる内視鏡は、使用済み(未洗浄)のものに限らず、洗浄の必要がある内視鏡を含む。あらためて洗浄する必要がある場合、内視鏡は、漏水検査(ST5)または用手洗浄(ST7)から、再使用可能となるための工程を実施されることになる。
【0032】
内視鏡検査支援システム1では、以上のようにして管理装置10が、内視鏡のステータスを管理する。ステータス管理部32が、内視鏡検査の業務フローにしたがって内視鏡のステータスおよび担当者を管理することで、どの担当者が作業工程を実施しているかをリアルタイムで特定できる。ステータス管理部32は、表示装置20や表示装置7に現在の内視鏡のステータスを表示させてもよい。また情報記録部44が、内視鏡のステータス情報の履歴を担当者IDとともに記録することで、時間導出部34が、担当者を軸とした統計処理、具体的には各工程にかかった実績作業時間の算出を行うことができる。
【0033】
実施例の医療施設では、一日の検査業務の開始前に、工程ごとに1人以上の担当者候補が割り当てられ、各工程における作業は、担当者候補のうちの1人が実施するように運用される。管理装置10は検査が終了すると、当該検査で使用された内視鏡3が再使用可能となる時間に関する情報を、検査の準備担当者に通知する機能をもつ。検査終了時に通知される時間情報は、あくまでも検査終了時に予測される時間情報であり、1つの作業工程に複数の担当者候補が割り当てられている場合、どの担当者が作業工程を実施するかは、検査終了時のタイミングでは分かっていない。それでも、検査で使用された内視鏡3が再使用可能となる大まかな時間情報は、検査準備担当者からすると大体の目安として利用できるため、仮に正確な時間を導出できていない場合であっても、一応の役には立つと考えられる。
【0034】
一方で、医療施設において希少な機種の内視鏡については、所有本数が少ないために、検査準備担当者は、再使用可能となる時間に関する情報を、より正確に知りたいという要望をもっている。そこで希少機種の内視鏡(以下「希少内視鏡」とも呼ぶ)については、管理装置10は、再使用可能となる大まかな時間に関する情報を検査準備担当者に通知した後、より正確な時間を導出できたときに、あらためて通知することが好ましい。以下、その仕組みについて説明する。
【0035】
管理装置10において、担当者管理部40は、検査で使用済みの内視鏡を再使用可能にするための複数の工程の担当者候補を管理する。
図4は、担当者管理部40により管理される担当者候補の例を示す。たとえば一日の業務開始前に、検査に関与する看護師A〜Fのそれぞれの役割が割り当てられる。この例で看護師A、Bが、検査室の担当看護師として、ベッドサイド洗浄の担当者候補に割り当てられている。このことは、看護師Aか看護師Bのいずれかが、検査室におけるベッドサイド洗浄を実施することを意味する。
【0036】
洗浄室における各工程に関し、看護師C、Dは、漏水検査の担当者候補に割り当てられ、看護師C、D、Eは、用手洗浄の担当者候補に割り当てられ、看護師D、Eは、機械洗浄の担当者候補に割り当てられ、看護師E、Fは、乾燥工程の担当者候補にそれぞれ割り当てられている。担当者管理部40は、各工程の担当者候補を、図4に示すように管理する。なお各工程における担当者候補は、任意のタイミングで変更されてもよく、たとえばお昼休みを挟んで、各工程の担当者候補が更新されてもよい。担当者管理部40は、複数の工程の最新の担当者候補を管理し、具体的には最新の担当者候補を各工程ごとに記憶する。
【0037】
作業時間保持部42は、各工程の実績作業時間を担当者ごとに保持する。この実績作業時間は、各担当者が過去に複数回実施した工程の作業時間を平均した時間として算出されたものである。
図5は、担当者の実績作業時間の例を示す。各作業工程に要する時間は、作業者の熟練度に応じて異なることが通常である。たとえば用手洗浄のように手作業にかかる時間が作業者ごとに異なることは一般に知られているが、機械洗浄のような工程であっても、洗浄槽にセットする作業は手作業であるため、作業者によって作業時間も異なる。
【0038】
管理装置10では、時間導出部34が、情報記録部44に記録されたステータス情報をもとに、担当者により各作業に要した時間を導出する。たとえば看護師Aがベッドサイド洗浄を行った場合、時間導出部34は、当該看護師Aがベッドサイド洗浄を行った内視鏡ステータスがST3からST4となるまでの時間を算出して、ベッドサイド洗浄に要した時間を導出する。時間導出部34は、過去の全ての作業時間を、担当者ごとに、また作業工程ごとに平均化し、作業時間保持部42に保持させてよいが、たとえば直近の数ヶ月における作業時間を、担当者および作業工程ごとに平均化して、作業時間保持部42に保持させてもよい。
【0039】
時間導出部34は、検査での内視鏡3の使用が完了したとき、使用済みの内視鏡3が再使用可能となる時間に関する時間情報を導出する。この時間情報は、現時点から何分後に再使用可能になるという情報であってもよく、また再使用可能になる時刻(何時何分)を示す情報であってもよい。
【0040】
具体的に時間導出部34は、使用済みの内視鏡が再使用可能となる時間に関する時間情報を、担当者管理部40に管理されている複数の工程の担当者候補、および作業時間保持部42に保持された各担当者の実績作業時間にもとづいて導出する。なお検査での内視鏡3の使用が完了したとき、つまり検査終了時には、使用済みの内視鏡3を再使用可能とするための複数の工程で、誰が担当者となって作業をするかは定まっていない。そこで時間導出部34は、再使用可能となる時間を大まかに予想する。1つの工程に対して複数の担当者候補が存在する場合、時間導出部34は、複数の担当者候補による実績作業時間の平均値を用いて、当該1つの工程に要する時間情報を導出する。
【0041】
<ベッドサイド洗浄の所要時間>
図4を参照して、ベッドサイド洗浄の担当者候補は、看護師A、Bの2名である。図5を参照して、看護師Aのベッドサイド洗浄の実績作業時間は2分、看護師Bのベッドサイド洗浄の実績作業時間は4分である。したがって時間導出部34は、ベッドサイド洗浄の所要時間を、3分(=(2分+4分)/2)と導出する。なお、この時間には、検査室におけるベッドサイド洗浄の終了後、洗浄室に運び込む時間が含まれていてよい。
【0042】
<漏水検査の所要時間>
図4を参照して、漏水検査の担当者候補は、看護師C、Dの2名である。図5を参照して、看護師Cの漏水検査の実績作業時間は3分、看護師Dの漏水検査の実績作業時間は7分である。したがって時間導出部34は、漏水検査の所要時間を、5分(=(3分+7分)/2)と導出する。
【0043】
<用手洗浄の所要時間>
図4を参照して、用手洗浄の担当者候補は、看護師C、D、Eの3名である。図5を参照して、看護師Cの用手洗浄の実績作業時間は4分、看護師Dの用手洗浄の実績作業時間は6分であり、看護師Eの用手洗浄の実績作業時間は5分である。したがって時間導出部34は、用手洗浄の所要時間を、5分(=(4分+6分+5分)/3)と導出する。
【0044】
<機械洗浄の所要時間>
図4を参照して、機械洗浄の担当者候補は、看護師D、Eの2名である。図5を参照して、看護師Dの機械洗浄の実績作業時間は20分であり、看護師Eの機械洗浄の実績作業時間は20分である。したがって時間導出部34は、機械洗浄の所要時間を、20分(=(20分+20分)/2)と導出する。
【0045】
<乾燥工程の所要時間>
図4を参照して、乾燥工程の担当者候補は、看護師E、Fの2名である。図5を参照して、看護師Eの乾燥工程の実績作業時間は4分、看護師Fの乾燥工程の実績作業時間は6分である。したがって時間導出部34は、乾燥工程の所要時間を、5分(=(4分+6分)/2)と導出する。
【0046】
以上のように、時間導出部34は、各工程の所要時間を、複数の担当者候補の実績作業時間を平均することで導出する。これにより時間導出部34は、内視鏡が再使用可能となる時間に関する時間情報を、各工程の所要時間を加算して、38分(=3分+5分+5分+20分+5分)と導出する。つまり時間導出部34は、使用済みの内視鏡が38分後に使用可能となることを導出する。
【0047】
なお時間導出部34は、再使用可能となる時間情報を、2つの工程の間の待ち時間も用いて導出することが好ましい。たとえば用手洗浄用のシンク14が1台しかない場合、シンク14が使用中であって、用手洗浄の開始を待機しなければならないこともある。時間導出部34は、内視鏡の漏水検査が終了したときに、シンク14における用手洗浄の残り時間と、また用手洗浄を待機している他の内視鏡の本数とにもとづいて、漏水検査と用手洗浄の間の待ち時間を導出し、再使用可能となる時間情報に加算する。なお、この計算処理は、全ての工程間について実施され、時間導出部34は、各待ち時間を加算することで、使用済みの内視鏡が再使用可能となる時間に関する時間情報を導出する。たとえば漏水検査と用手洗浄の間で2分待ち、用手洗浄と機械洗浄の間で5分待ちと導出されると、時間導出部34は、45分(38分+2分+5分)後に、使用済みの内視鏡が使用可能となることを導出する。
【0048】
通知処理部38は、時間導出部34が導出した時間情報を、内視鏡の種別情報とともに、検査の準備担当者に通知する。具体的に通知処理部38は、時間情報を表示装置7に表示してよく、また準備担当者の端末装置に通知してもよい。
【0049】
このように実施例の管理装置10は、検査が終了すると、当該検査で使用した内視鏡3が再使用可能となる時間に関する時間情報を、検査準備担当者に通知する。この時間情報は、各工程における担当者が未定の状態で導出され、必ずしも正確な情報とは言えないが、検査準備担当者は、検査終了時に、再使用できるようになる時間を通知されることで、洗浄室に内視鏡3を取りに行く大体の目安となる時間を把握できる。
【0050】
たとえば、ルーチン検査で使用するルーチン機のように多数所有する機種の内視鏡に関しては、検査準備担当者は、いま検査で使用したばかりの内視鏡以外にも多くの内視鏡が存在していることを認識している。そのため検査で使用したばかりの内視鏡が再使用可能となる時間については、大体の目安が知れればよい。一方で、希少な機種の内視鏡については、所有本数が少ないため、検査準備担当者は、再使用可能となる時間に関する情報を、より正確に知りたい。そこで希少機種の内視鏡について管理装置10は、再使用可能となる大まかな時間に関する情報を検査準備担当者に通知した後に、より正確な時間が確認できたときに、あらためて通知するようにする。
【0051】
希少内視鏡判定部36は、使用済みの内視鏡が希少内視鏡であるか否かを判定する。希少内視鏡判定部36は、使用済みの内視鏡が、所有本数AがN以下であり、且つ(1日の平均検査使用数B/所有本数A)がM以上となる機種の内視鏡である場合に、当該機種の内視鏡を希少内視鏡と判定する。希少内視鏡判定部36は、一日の業務開始前に、希少内視鏡の機種を特定するための判定処理を実施しておいてよい。これにより希少内視鏡判定部36は、内視鏡3の機種によって、希少内視鏡であるか否かを瞬時に判定できる。なお希少内視鏡判定部36は、内視鏡の管理責任者などにより指定された希少内視鏡の機種を保持して、内視鏡3の機種が指定機種である場合に、希少内視鏡であることを判定するようにしてもよい。
【0052】
図6は、希少機種の判定結果の例を示す。所有本数Aは、医療施設が所有する同一機種の内視鏡の本数を示し、1日の平均検査使用数Bは、該当する機種を使用した検査の1日の平均数を示す。上記したように希少内視鏡判定部36は、所有本数AがN以下であり、且つ(1日の平均検査使用数B/所有本数A)がM以上となる機種の内視鏡を、希少内視鏡と判定する。医療施設において、N=1、M=3と設定されているものとする。
【0053】
ここで機種Pに関してみると、使用頻度(B/A)は4であり、M以上であるが、所有本数が4本と、Nより多い。そこで希少内視鏡判定部36は、機種Pの内視鏡を希少内視鏡と判定しない。図6に示す例で、希少機種として判定されるのは機種Rの内視鏡のみであり、希少内視鏡判定部36は、使用済みの内視鏡のスコープIDがGE0001である場合に、当該内視鏡が希少内視鏡であることを判定する。以下、使用済み内視鏡が、GE0001をスコープIDとする機種Rの内視鏡である場合について説明する。
【0054】
上記したように、検査終了直後、通知処理部38は、検査の準備担当者に、内視鏡(GE0001)が再使用可能となる時間情報を通知する。その後、内視鏡(GE0001)は、ベッドサイド洗浄、漏水検査、用手洗浄、機械洗浄、乾燥の各工程を実施されるが、各工程の実施前に、ステータス管理のために、担当者IDおよびスコープIDが、各工程ごとに設けられたID読取部から管理装置10に送信される。そのため時間導出部34は、実際に工程を担当する担当者IDを取得し、作業時間保持部42の保持内容を参照して、当該担当者による実績作業時間を読み出すことができる。そこで時間導出部34は、実際に作業工程を担当した担当者の実績作業時間にもとづいて、使用済みの内視鏡(GE0001)が再使用可能となる時間に関する時間情報を再導出する。
【0055】
たとえばベッドサイド洗浄が看護師Aにより実施される場合、図5に示す作業時間保持部42の保持内容を参照して、時間導出部34は、看護師Aによるベッドサイド洗浄の実績作業時間(2分)を読み出し、検査終了直後に導出した時間情報を更新する。時間導出部34は、検査終了直後、看護師A、Bの実績作業時間の平均値をとって、ベッドサイド洗浄にかかる時間を3分と算出していたため、看護師Aによりベッドサイド洗浄が実施されたことで、1分の短縮が見込まれることになる。通知処理部38は、時間導出部34により導出された時間情報を、検査準備担当者に再通知する。これにより検査準備担当者は、より正確な時間情報を知ることができるようになる。
【0056】
このように時間導出部34は、各工程を実施する担当者IDを取得するたびに、内視鏡が再使用可能となる時間に関する時間情報を再導出し、通知処理部38は、再導出された時間情報を、検査準備担当者に通知してよい。これにより検査準備担当者は、再使用可能な時間が近づくについて、より正確な時間情報の通知を受けられるようになる。
【0057】
図7は、内視鏡が使用可能となる時間情報の通知制御フローを示す。内視鏡の検査での使用が完了したとき(S100)、時間導出部34は、使用済みの内視鏡が再使用可能となる時間に関する時間情報を、担当者管理部40に管理されている複数の工程の担当者候補、および作業時間保持部42に保持された各担当者の実績作業時間にもとづいて導出する(S102)。通知処理部38は、時間導出部34が導出した時間情報を、検査の準備担当者に通知する(S104)。
【0058】
このとき希少内視鏡判定部36は、使用済み内視鏡が希少内視鏡であるか否かを判定する(S106)。当該内視鏡が希少内視鏡でない場合(S106のN)、たとえば当該内視鏡が機種Pの内視鏡である場合(図6参照)、本フローは終了する。当該内視鏡が希少内視鏡でない場合には、再使用可能となる正確な時間情報をあらためて通知する必要性に乏しいためである。
【0059】
当該内視鏡が希少内視鏡である場合(S106のY)、時間情報の再通知処理が継続して実行される。使用済み内視鏡を再使用可能にするための工程で、実際に工程を担当する担当者が決定されると(S108)、時間導出部34は、当該担当者の実績作業時間にもとづいて、使用済み内視鏡が再使用可能となる時間に関する時間情報を再導出する(S110)。このとき、通知済の時間情報から変更があれば(S112のY)、通知処理部38は、再導出された時間情報を、検査の準備担当者に再通知する(S114)。なお、通知済の時間情報から変更がなければ(S112のN)、通知処理部38は、あらためて通知する必要はない。担当者により実施された工程が最後の工程(乾燥工程)でなければ(S116のN)、再度、S108に戻って、処理を継続する。一方で、担当者により実施された工程が最後の工程であれば(S116のY)、本フローは終了する。
【0060】
なお図7に示す通知制御フローは、使用済み内視鏡に関するものであるが、上記したように、洗浄終了後、1週間以上使用されていない内視鏡であったり、また洗浄終了後の運搬中に落としてしまったような内視鏡も、あらためて洗浄する必要がある。このような内視鏡については、漏水検査の開始時または用手洗浄の開始時に、時間導出部34が、内視鏡が再使用可能となる時間に関する時間情報を導出し(S104)、以後、図7に示す各ステップが実施されることになる。
【0061】
以上、本発明を複数の実施例をもとに説明した。これらの実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。実施例では、希少内視鏡である場合に、時間情報の再通知処理を継続して実行することを示したが、待ち時間を正確に算出するためには、希少内視鏡以外の内視鏡についても各工程の担当者および実績作業時間にもとづいて、使用済み内視鏡が再使用可能となる時間に関する時間情報を逐次導出することが好ましい。
【0062】
実施例では、希少内視鏡判定部36は、内視鏡の所有本数Aおよび平均検査使用数Bにもとづいて、判定対象となる内視鏡が希少内視鏡であるか否かを判定している。変形例では、希少内視鏡の機種が予め指定されており、判定対象となる内視鏡が、予め指定された機種である場合に、希少内視鏡判定部36が、希少内視鏡であることを判定してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1・・・内視鏡検査支援システム、3・・・内視鏡、7・・・表示装置、10・・・管理装置、30・・・取得部、32・・・ステータス管理部、34・・・時間導出部、36・・・希少内視鏡判定部、38・・・通知処理部、40・・・担当者管理部、42・・・作業時間保持部、44・・・情報記録部、50・・・検査画像記録部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7