(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6893178
(24)【登録日】2021年6月2日
(45)【発行日】2021年6月23日
(54)【発明の名称】クロスカントリー用の交換可能なプレートシステム
(51)【国際特許分類】
A63C 11/24 20060101AFI20210614BHJP
A63C 11/22 20060101ALI20210614BHJP
【FI】
A63C11/24
A63C11/22 A
【請求項の数】21
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-556166(P2017-556166)
(86)(22)【出願日】2016年4月8日
(65)【公表番号】特表2018-514294(P2018-514294A)
(43)【公表日】2018年6月7日
(86)【国際出願番号】EP2016057816
(87)【国際公開番号】WO2016173827
(87)【国際公開日】20161103
【審査請求日】2018年11月16日
(31)【優先権主張番号】00578/15
(32)【優先日】2015年4月27日
(33)【優先権主張国】CH
(31)【優先権主張番号】01733/15
(32)【優先日】2015年11月27日
(33)【優先権主張国】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】507189965
【氏名又は名称】レキスポルト アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】特許業務法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エベルハルト ハイム
【審査官】
松山 紗希
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭54−027871(JP,U)
【文献】
特開2000−279567(JP,A)
【文献】
実公昭25−005447(JP,Y2)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0209134(US,A1)
【文献】
特表2009−540967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63C 1/00−19/12
A45B 1/00−27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポール、特に、トレッキングポール、クロスカントリースキーポール、ノルディックウォーキングポール、又はアルペンスキーポールのためのアタッチメントであって、
前記アタッチメントは、ポール管(1)の下側自由端部(25)に留め付け可能で、且つ、前記ポール管(1)の前記下側自由端部(25)を受け入れるための上向きに開いた止まり穴(22)を有する、実質的に円筒形のスリーブ(3)を有し、
交換可能な要素(2)が、形状結合及び摩擦結合的に取り外し可能に前記スリーブ(3)に留め付け可能であり、
前記スリーブ(3)は、ヘッド領域(4)と、前記ヘッド領域(4)に下方に隣接するボディ領域(5)とを有し、
前記スリーブ(3)の前記ボディ領域(5)の少なくとも1つの軸方向部分が雄ねじ(6)を有し、
前記交換可能な要素(2)は、その下側端部(21)に先端部又は転がり面を有し、又は、その下側端部(21)に先端部(16)がはめ込まれており、
前記交換可能な要素(2)は、前記スリーブ(3)を受け入れるための軸方向上方に開いた止まり穴(15)を有し、
前記交換可能な要素(2)は、その止まり穴(15)内に雌ねじ(21’)を有し、前記雌ねじは、前記交換可能な要素(2)を前記スリーブ(3)に留め付ける目的で、前記スリーブ(3)上に配置される前記雄ねじ(6)に係合するのに適しており、
前記交換可能な要素(2)は軸方向(S)に延びる少なくとも1つのラッチラグ(12)を有し、これは、前記スリーブ(3)上に配置される、対応する凹部(8)に係合するのに適していることを特徴とする前記アタッチメント。
【請求項2】
前記交換可能な要素(2)は、前記軸方向に延びるただ1つだけのラッチラグ(12)を有することを特徴とする、請求項1に記載のアタッチメント。
【請求項3】
前記交換可能な要素(2)は、前記軸方向に延びるただ1つだけのラッチラグ(12)を有し、前記スリーブ(3)は、軸方向の対応する凹部(8)を1つだけ有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のアタッチメント。
【請求項4】
前記交換可能な要素(2)は、プレート領域(11,11’)を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のアタッチメント。
【請求項5】
前記交換可能な要素(2)は、非対称のプレート領域(11,11’)を有し、前記プレート領域(11,11’)は、実質的に、ポールの長手軸(S)に垂直な平面(E)で延び、前記プレート領域(11’)は、その下側端部に歯(23’)を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のアタッチメント。
【請求項6】
前記交換可能な要素(2)は、プレート領域(11,11’)を有し、
前記1つだけのラッチラグ(12)は、前記交換可能な要素(2)の、走行方向(L)と逆に向く側に配置され、この側に、前記プレート領域(11,11’)は、前記走行方向(L)と反対の方向に測定して、最大径(d3)を有することを特徴とする、請求項2又は3に記載のアタッチメント。
【請求項7】
前記交換可能な要素(2)は、前記凹部(8)から前記ラッチラグ(12)を取り除くことによって、及び、これに続いて、前記交換可能な要素(2)を、前記スリーブ(3)からねじをゆるめて外すことによって、前記スリーブ(3)から着脱可能であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のアタッチメント。
【請求項8】
前記交換可能な要素(2)は、プレート領域(11,11’)を有し、
前記交換可能な要素(2)は、前記プレート領域の変形により、前記凹部(8)から前記ラッチラグ(12)を取り除くことによって、及び、これに続いて、前記交換可能な要素(2)を、前記スリーブ(3)からねじをゆるめて外すことによって、前記スリーブ(3)から着脱可能であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のアタッチメント。
【請求項9】
前記交換可能な要素(2)は、前記プレート領域の変形により、前記プレート領域(11,11’)を前記軸方向に押し下げることにより、前記凹部(8)から前記ラッチラグ(12)を取り除くことによって、及び、これに続いて、前記交換可能な要素(2)を、前記スリーブ(3)からねじをゆるめて外すことによって、前記スリーブ(3)から着脱可能であることを特徴とする、請求項8に記載のアタッチメント。
【請求項10】
前記交換可能な要素(2)は、プレート領域(11,11’)を有し、
前記プレート領域(11,11’)は、補強リブ(18)を有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載のアタッチメント。
【請求項11】
前記交換可能な要素(2)は、プレート領域(11,11’)を有し、
前記プレート領域(11,11’)は、補強リブ(18)を有し、この補強リブ(18)は、前記ラッチラグ(12)から、前記プレート領域(11,11’)の最大径(d3)の位置にある前記プレート領域(11,11’)の径方向先端部(24)まで、走行方向(L)に反対の方向に延びることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載のアタッチメント。
【請求項12】
前記交換可能な要素(2)は、前記ラッチラグ(12)を前記凹部(8)から取り除くことによって、及び、これに続いて前記交換可能な要素(2)をねじをゆるめて外すことによって、前記スリーブ(3)から取り外すことができ、
前記ラッチラグ(12)は、前記凹部(8)にラッチされた状態において、少なくとも上部領域で、前記スリーブ(3)の表面輪郭を越えて突出し(32)、
又は、前記凹部(8)は、前記ラッチされた状態において、前記ラッチラグ(12)の自由端部の軸方向上側に、工具(30)との係合のための工具用の凹部(31)をあけておき、
又は、前記交換可能な要素(2)は、プレート領域(11,11’)を有し、前記交換可能な要素(2)に、前記プレート領域(11)が押し下げられるときの前記ラッチラグ(12)の可動性を促進し、
又は、前記ラッチラグ(12)は、ロッカーの形をした可動領域(35)を介して前記交換可能な要素(2)上に一体的に形成され;
又は、前記交換可能な要素(2)は、プレート領域(11,11’)を有し、前記交換可能な要素(2)の、前記スリーブ(3)のヘッド領域(4)の方を向く上縁(20)は、円周方向において前記ラッチラグ(12)の少なくとも片側に、前記プレート領域(11)に向かって前記軸方向に延びるくぼみ(38)を有し、その結果、前記ラッチラグ(12)の軸方向高さ(H)と、結果として前記ラッチラグ(12)の自由長が延長され;
又は、前記交換可能な要素(2)は、前記ラッチラグ(12)を備える部分的に可動な領域(37)を有し、この領域(37)は、前記交換可能な要素(2)の前記上部領域を形成し、前記ラッチラグ(12)に対向して位置する押圧領域(36)の操作によって、前記ラッチラグ(12)を前記凹部(8)から押し出すことができるように、前記交換可能な要素(2)の下部領域に対して径方向に移動できるように設計されていることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載のアタッチメント。
【請求項13】
前記交換可能な要素(2)は、前記ラッチラグ(12)を前記凹部(8)から取り除くことによって、及び、これに続いて前記交換可能な要素(2)をねじをゆるめて外すことによって、前記スリーブ(3)から取り外すことができ、
又は、前記交換可能な要素(2)は、プレート領域(11,11’)を有し、前記交換可能な要素(2)に、前記プレート領域(11)が押し下げられるときの前記ラッチラグ(12)の可動性を促進する、前記交換可能な要素(2)の壁内のスロット(33)の形を有する要素が設けられ、
又は、前記ラッチラグ(12)は、ロッカーの形をした可動領域(35)を介して前記交換可能な要素(2)上に一体的に形成され、及び、前記プレート領域(11)の方を向く下部領域に押圧領域(34)が配置され;
又は、前記交換可能な要素(2)は、プレート領域(11,11’)を有し、前記交換可能な要素(2)の、前記スリーブ(3)のヘッド領域(4)の方を向く上縁(20)は、円周方向において前記ラッチラグ(12)の片側又は両側に、前記プレート領域(11)に向かって前記軸方向に延びるくぼみ(38)を有し、その結果、前記ラッチラグ(12)の軸方向高さ(H)と、結果として前記ラッチラグ(12)の自由長が延長され、前記軸方向高さ(H)は、くぼみ(38)のない前記ラッチラグ(12)の高さ(h)より少なくとも1.5倍大きく、又は、前記円周方向における前記ラッチラグ(12)の横の側面(39)は傾斜していることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載のアタッチメント。
【請求項14】
前記スリーブ(3)の前記ボディ領域(5)上の前記雄ねじ(6)は、前記ヘッド領域(4)から軸方向に離間しており、又は、前記ヘッド領域(4)は、前記スリーブ(3)の前記ボディ領域(5)から環状の第1の段部(7)によって分離されていることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載のアタッチメント。
【請求項15】
前記スリーブ(3)の上側端部にある前記スリーブ(3)の上縁(9)が、前記ポールの長手軸(S)に垂直に延びる平面(E1)に対し傾けて配置される平面(E2)において延び、その結果、前記スリーブ(3)は、前記ポールの長手軸(S)に平行な長手方向に測定して、前記スリーブ(3)の前記上縁(9)から前記スリーブ(3)の下側端部にあるスリーブの下縁(10)まで測定した長さが異なる(l1,l2)ことを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載のアタッチメント。
【請求項16】
前記スリーブ(3)の前記ヘッド領域(4)は円錐形であり、前記ヘッド領域(4)の径は、前記ボディ領域(5)に向かって下方に広がることを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載のアタッチメント。
【請求項17】
前記スリーブ(3)の前記ヘッド領域(4)の下縁(13)は、前記交換可能な要素(2)の上側端部にある前記交換可能な要素(2)の上縁(20)と同じ径(d2)を有することを特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載のアタッチメント。
【請求項18】
前記スリーブ(3)の前記ヘッド領域(4)と前記ボディ領域(5)の間の環状の第1の段部(7)が、前記交換可能な要素(2)の上側端部にある前記交換可能な要素(2)の上縁(20)のための上側止め部を形成することを特徴とする、請求項1〜17のいずれかに記載のアタッチメント。
【請求項19】
上側自由端部にポール取っ手部を備えるポール管(1)を有し、前記ポール管(1)の前記下側自由端部(25)が、請求項1〜18のいずれかに記載のアタッチメントを有するポール、特に、トレッキングポール、クロスカントリースキーポール、ノルディックウォーキングポール、又はアルペンスキーポール。
【請求項20】
前記スリーブ(3)は、前記ポール管(1)の前記下側自由端部(25)に固定して取り付けられることを特徴とする、請求項19に記載のポール。
【請求項21】
前記スリーブ(3)は、接着接合又はプレス加工を含む、素材結合、摩擦結合、又は形状結合によって、前記ポール管(1)の前記下側自由端部(25)に固定して取り付けられることを特徴とする、請求項19に記載のポール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロスカントリースキーポール、ハイキングポール、ノルディックウォーキングポール、アルペンスキーポール等のための、交換可能なプレートシステムに関する。このシステムを用いて、各種先端アタッチメント、すなわち、プレートだけでなく、ポール用の他の端部アタッチメントも、機械的に安定した容易に交換可能な方法で、ポール管に留め付けることができる。
【背景技術】
【0002】
トレッキングポール、クロスカントリースキーポール、ノルディックウォーキングポール、又はアルペンスキーポールは、それらの上側自由端部に取っ手を、それらの下側自由端部に、たいていの場合ゴム緩衝器の形をした先端部又は転がり面を有する。特にノルディックウォーキングの分野では、先端部と転がり面との間で簡単に切り替えることのできるシステムもある。この場合、先端要素は、例えば、雪等の柔らかい下にある表面に深く沈み込みすぎないようにするために、プレート状に拡張した領域を、付加的に有することもできる。こうした先端要素は、使用時には外れないように、下側自由端部にできるだけうまく固定されなければならない。通常、上記下側自由端部は円錐状の自由端部であり、すなわち、ポールの径が下側自由端部に向かって細くなる。その結果、この領域は、非常に大きな負荷がかかるにもかかわらず、径が小さいことにより、特に安定しているわけでも摩耗に強いわけでもない。このため、先端要素は、一般的に別個の物体として形成され、これは上から止まり穴を有し、この止まり穴の中にポール管の自由端部が自動ロック式で押し込まれる、及び/又は、接着接続される。
【0003】
このような留め付けの利点は、先端要素とポール管との間の接続が概して良好なことであるが、修理の必要があるため、又は、例えば使用者の要求が変わったことにより根本的に異なる先端要素を装着しようとする場合、先端要素を容易に交換することができないことが欠点である。
【0004】
特許文献1は、交換可能なプレートシステムを開示する。ここでは、軸方向に互いから離間する2つの延長部が管の下側端部に配置されており、この間に、プレートアタッチメントの径方向の舌部をスナップ留めすることができる。特許文献2は、ポール先端部を開示し、ポール先端部上にバヨネット式接続(Bajonettverschlusses)によって各種プレートを下側ポール端部に固定できる。特許文献3は、スノープレートを備えたスキーポールを開示し、このスノープレートはスキーポールに着脱可能に留め付けることができる。この場合、プレートアタッチメントはフックを備えたラッチレバーを有し、このフックが、ポール上に下から取り付ける際、ポール管の端部にある傾斜部を備えた歯の後ろ側に引っかかる。レバーを押し下げると、フックが歯から再び外れて、プレートが解放される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】EP 1 025 883 B1
【特許文献2】EP 0 906 776 A1
【特許文献3】EP 0 035 200
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、特に、上記使用のための、すなわち、特に、トレッキングポール、クロスカントリースキーポール、ノルディックウォーキングポール、又はアルペンスキーポールのための、交換可能な要素を備えるアタッチメントの形をした改良された先端要素を提供することである。特に、この交換可能な要素は、ポール管の下側自由端部に着脱可能に留め付けることができるよう意図されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、請求項1の特徴によって達成される。
【0008】
ポール、特に、トレッキングポール、クロスカントリースキーポール、ノルディックウォーキングポール、又はアルペンスキーポールのための、本発明によるアタッチメントは、ポール管の下側自由端部に留め付け可能な、ほぼ円筒形のスリーブを有し、このスリーブは、ポール管の下側自由端部を受け入れるための、上向きに開いた止まり穴、すなわち下向きに閉じた凹部を有する。前記スリーブに
、交換可能な要素が、形状結合的(Formschluessig)及び摩擦結合的(Kraftschluessig)に着脱可能に留め付けられる。従って、前記スリーブは、いわば、ポール管と交換可能な要素との間のアダプタとして機能する。
【0009】
前記スリーブは、ヘッド領域と、このヘッド領域に下向きに、すなわち、ポール先端部の方に向かって隣接するボディ領域とを有し、前記スリーブのボディ領域の少なくとも1つの軸方向部分が雄ねじを有する。この交換可能な要素は、その下側端部に先端部又は転がり面を有する。これに代えて、先端部が、交換可能な要素の下側端部にはめ込まれる。さらに、交換可能な要素は、前記スリーブを受け入れるための軸方向の止まり穴を有し、これは、上向きに、すなわち、ポールの取っ手の方向に向かって開いている。交換可能な要素は、その止まり穴、又は、止まり穴の内壁の少なくとも1つの軸方向部分に雌ねじを有し、該雌ねじは、スリーブに交換可能な要素を留め付けるために、スリーブ上に配置される前記雄ねじに係合するのに適している。
【0010】
前記アタッチメントの特に好ましい実施形態は、前記スリーブに対しねじり防止部を有する交換可能な要素を有する。このねじり防止部は、交換可能な要素がスリーブに取り付けられるとき、交換可能な要素の、ポール管の長手軸周りの円周方向の回転を防ぐ。このために、交換可能な要素は、好ましくは、軸方向に延びるラッチラグ(Rastnase)を少なくとも1つ有し、このラッチラグは、スリーブ上に配置される対応する凹部に係合するのに適している。前記凹部は、好ましくは、スリーブのヘッド領域に配置され、好ましくは、ヘッド領域の下縁に配置される。特に好ましい実施形態では、交換可能な要素は、軸方向に延びるラッチラグを1つだけ有するが、ラッチラグを複数配置することも可能である。
【0011】
本発明の交換可能な要素は、有利には、プレート領域、好ましくは非対称のプレート領域を有し、このプレート領域は、好ましくは、実質的に、ポールの長手軸に垂直な平面において、好ましくは、一方向だけに、又は、交換可能な要素の片側に向かってのみ、好ましくは走行方向(Laufrichtung)とは逆の方向に延びる。
【0012】
交換可能な要素がラッチラグを1つだけ有する場合、このラッチラグは、好ましくは、交換可能な要素の、走行方向とは逆に向く側、すなわち、プレート領域が−走行方向と反対の向きに測定して−最大径を有する側に配置される。この非対称な配置により、プレート領域の変形、及び、ラッチラグのラッチ掛け及びラッチ外しが容易となる。
【0013】
交換可能な要素をスリーブから取り外すためには、まず、ラッチラグをスリーブの凹部から取り除かなければならない。これは、好ましくは、プレート領域の変形により、特に好ましくは、好ましくはプレート表面の外縁に圧力を加えて、プレート領域を軸方向下向きに、すなわち、ポールの先端部に向かって押し下げることによって達成される。例えば、別の交換可能な要素との交換のためには、ラッチラグが凹部の領域から出てしまうまで、通常、加えた圧力を保ったまま、交換可能な要素をスリーブからねじをゆるめて、その後、外す。
【0014】
さらなる好ましい実施形態によると、この過程を容易にするために、ラッチラグは、この目的のために、凹部にラッチされた状態で、少なくとも上部領域においてスリーブの表面輪郭の上に突出することができ、その結果、ラッチラグを、例えば工具を用いて、あるいは指で、凹部から持ち上げて取り出すことができる。
【0015】
さらなる好ましい実施形態によると、上記凹部は、ラッチされた状態で、ラッチラグの自由端部の軸方向上側に(あるいは横方向に)、工具との係合のための凹部をあけておくことができる。例えば、上記凹部を、単に、ラッチラグより上方にいくらか長くなるように構成してもよい。
【0016】
さらなる好ましい実施形態によると、交換可能な要素において、ポールプレートが押し下げられるときのラッチラグの可動性を高める要素を、好ましくは、交換可能な要素の壁内にスロットの形で設けることができる。
【0017】
さらに好ましくは、ラッチラグを、ロッカー(Wippe)の形をした可動領域を介して、交換可能な要素上に一体的に形成することができ、この場合、好ましくは、プレートの方に向く下部領域に押圧領域を配置することができる。
【0018】
同様に、上記交換可能な要素は、ラッチラグを備える部分的に可動な領域を有することができ、この領域は、交換可能な要素の上部領域を形成し、ラッチラグに対向して位置する押圧領域の操作によって、ラッチラグを凹部から押し出すことができるように、交換可能な要素の下部領域に対して径方向に移動可能に形成される。
【0019】
ラッチラグの除去を容易にするためのここに示された可能性は、個別に、あるいは組み合わせて用いることができる。
【0020】
さらなる好ましい実施形態によると、スリーブや交換可能な要素の適当な寸法や構成を用いて、交換可能な要素を工具の助けなしに交換することができるものの、目的とする使用時には交換可能な要素が外されない構造を提供することもできる。これは、スリーブのヘッド領域の方に向く、交換可能な要素の上縁(交換可能な要素を装置に留め付けた場合、スリーブのヘッド領域の下縁と接触する)が、円周方向においてラッチラグの片側又は好ましくは両側に、ポールプレートに向かって軸方向に延びるくぼみを有することによって可能となる。これにより、凹部から取り除くためのラッチラグの変形又は曲げのために用いられるラッチラグの軸方向高さHと、結果としてラッチラグの自由長が延長される。このより長いレバー、及び、特に、交換可能な要素の上縁がスリーブのヘッド領域にある凹部に円周方向に直接隣接して延びないという事実により、交換可能な要素のカフ(Manschette)がラッチラグの領域及び走行方向においてより弾力的となり、その結果、ラッチラグは、工具を用いずに、径方向に凹部から外へと十分に持ち上げることができる。このとき、軸方向高さHは、好ましくは、くぼみのない(すなわち、上縁が単純に外縁の周りを延びる、又は場合によりわずかに傾斜して外縁の周りを延びる状況とみなした)ラッチラグの高さhより少なくとも1.5倍大きい、好ましくは1.75倍大きい。凹部におけるラッチラグの形状結合の解除をさらに容易にするために、好ましくは、円周方向におけるラッチラグの横の側面の1つ又は両方を、傾斜させて形成することができる。
【0021】
好ましくは、上記プレート領域は補強リブを有し、これは、有利には、ラッチラグ(例えば、ラッチラグの真下、又は加えてラッチラグの外側)からプレート領域の径方向先端部まで、あるいは、少なくとも部分的にプレート領域上を外に向かって延びる。従って、上記リブは、ラッチラグとプレート領域との間の連結を形成する。径方向先端部は、好ましくは、上記プレート領域が−走行方向と反対の方向に測定して−最大径を有する位置に配置される。上記補強リブ、又はプレート領域の別の領域にも、1以上の凹部、切り込み、又は切り欠きを有することができ、これは、材料の節約、従って交換可能な要素の重量の削減につながる。上記リブは、プレート領域が下向きに押されると、ラッチラグも径方向外側に及びスリーブ内の凹部から外へと効果的に動かされるという事実をもたらし、又はこれを強める。これは、ある程度、補強リブによって、プレート領域の傾斜をラッチラグに直接的に又は間接的に連結させるので、これにより、プレート領域上に下向きに圧力が加わると、ラッチラグ又はその真下の交換可能な要素上に、補強リブを介して外側への引っ張りが生じ、ラッチラグが凹部から外へと持ち上げられ、その結果、交換可能な要素をスリーブに対して回転させることができる。
【0022】
土台(Unterlage)へのグリップのよさを高めるために、上記プレート領域は、特に好ましい実施形態により、特に、交換可能な要素が比較的径の大きいプレート領域を備える標準的なノルディック用の変形例の場合、その下側端部の下面に歯を有し、この歯は、好ましくは、下縁に沿って、プレート領域の周囲の一部、特に、後方、すなわち走行方向において後方の部分の周りに延びる。
【0023】
スリーブのボディ領域上の雄ねじは、好ましくは、ヘッド領域から軸方向に距離をおいて配置される、つまり、ボディ領域は、ヘッド領域と雄ねじの間にねじ山を持たない上部円筒状部分を有する。ヘッド領域は、好ましくは、スリーブのボディ領域から環状の第1の段部によって分離される。この第1の段部、又は、結果として形成されるヘッド領域の下縁は、有利には、交換可能な要素をスリーブ上に留め付ける際、交換可能な要素の上側端部にある、交換可能な要素の上縁のための上側止め部を形成する。
【0024】
スリーブの上側端部にあるスリーブの上縁は、好ましくは、ポールの長手軸に垂直に延びる平面に対して傾けて配置される平面で延びる。これは、スリーブが、−ポールの長手軸に平行な長手方向に測定して−スリーブの上縁からスリーブの下側端部にあるスリーブの下縁まで測定したとき、スリーブの前方側と後方側で異なる長さを有するという効果をもつ。
【0025】
好ましい実施形態において、スリーブのヘッド領域は円錐状に形成され、ヘッド領域の径が、ボディ領域に向かって下向きに広がっている。スリーブのヘッド領域の上述の下縁は、好ましくは、交換可能な要素の上側端部にある交換可能な要素の上縁と同じ径を有する。
【0026】
好ましくは、スリーブ又は交換可能な要素のいずれか、あるいは、特に好ましくはスリーブと交換可能な要素の両方は、少なくとも領域的に、プラスチック材料、好ましくは熱可塑性プラスチック材料からなる。特に好ましくは、前記プラスチックは熱可塑性ポリアミド、好ましくは、ポリアミド6、ポリアミド12、ポリアミド66、ポリアミド126又はポリアミド612等の、脂肪族ポリアミドである。上記材料は、好ましくは、通常の使用温度で柔らかすぎず、低温で脆すぎず、特にラッチラグの可動性に対し十分な柔軟性をもちながら、十分な衝撃靭性をもつように選択される。従って、曲げ係数は、通常、23℃で2.5〜3.5の範囲、好ましくは、2.75〜3MPaの範囲でなければならず、−40℃で好ましくは2.5〜4の範囲、特に好ましくは3〜3.75MPaの範囲でなければならない。スリーブと交換可能な要素は、それらの構成が別々であることにより、例えば機能、取り付け又は耐耗性に関するその特性を異なるように構成するために、異なる材料から製造することもできる。
【0027】
本発明は、さらに、上側自由端部にポールの取っ手を備えるポール管を有し、前記ポール管の下側自由端部、つまり、ポール先端部に向く、又は使用時に土台に向く自由端部が、上記実施形態の1つに記載のアタッチメントを有する、ポール、特にトレッキングポール、クロスカントリースキーポール、ノルディックウォーキングポール、又はアルペンスキーポールに関する。前記スリーブは、好ましくは、前記ポール管の下側自由端部に、好ましくは接着接合又はプレス加工により、固定して取り付けられる。
【0028】
さらなる例示の実施形態を、従属請求項に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明の好ましい実施形態を、図をもとにして以下に説明するが、これらの図は、説明のためだけのものであって、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0030】
【
図1】
図1は、「スケーティング」用−ポールプレートの形をした本発明の第1の好ましい例示の実施形態による交換可能な要素を留め付けた、ポール管の下側端部に取り付けたアタッチメントの概略図であり、後方右側からの斜視図で示したものである。
【
図2】
図2は、
図1のアタッチメントの概略図を、前方左側からの斜視図で示したものである。
【
図3】
図3は、スリーブを上に取り付けた
図1のポール管の下側端部のアタッチメントの後方左側からの図であり、
図1〜2の交換可能な要素をスリーブから取り外し、
図1〜2の前記第1の好ましい例示の実施形態による交換可能な要素の、「ノルディック」用−ポールプレートの形をした第2の好ましい例示の実施形態による交換可能な要素との交換可能性を示したものである。
【
図4】
図4は、「スケーティング」用−ポールプレートの形をした前記第1の好ましい実施形態による交換可能な要素を備えた
図1のアタッチメントの、前方から見た概略図である。
【
図5】
図5は、
図4の軸方向のA−A線に沿った断面図である。
【
図6】
図6は、「ノルディック」用−ポールプレートの形をした前記第2の好ましい実施形態による交換可能な要素を備えた
図1のアタッチメントの、前方から見た概略図である。
【
図7】
図7は、
図6の軸方向のB−B線に沿った断面図である。
【
図8】
図8は、
図1のアタッチメントの概略図であり、「スケーティング」用−ポールプレートの形をした前記第1の好ましい例示の実施形態による交換可能な要素の、「ノルディック」用−ポールプレートの形をした前記第2の好ましい例示の実施形態による交換可能な要素との交換可能性を、後方からの、つまり走行方向に沿って後方からの概略図で示したものである。
【
図9】
図9は、前記第1の好ましい例示の実施形態による交換可能な要素を備えた、
図8のアタッチメントの概略図を示し、さらにその右隣りに、前記第2の好ましい例示の実施形態による交換可能な要素をポールの長手軸に沿って上から見た図を示す。
【
図10】
図10は、前記第1の好ましい例示の実施形態による交換可能な要素を備えた、
図8のアタッチメントの概略図と、さらにその右隣りに、前記第2の好ましい例示の実施形態による交換可能な要素を、右からの側面図で示す。
【
図11】
図11は、前記第1の好ましい例示の実施形態による交換可能な要素を備えた、
図8のアタッチメントの概略図と、さらにその右隣りに、前記第2の好ましい例示の実施形態による交換可能な要素を、ポールの長手軸に沿って下から見た図で示す。
【
図12】
図12は、交換可能な要素の様々なさらなる実施形態を示し、a)は工具が利用できる凹部を備えた構造を示し、b)は、ラッチラグの突出する領域を備えた構造を示し、c)は、ラッチラグの可動性をよくするためのスロットを備えた構造を示し、d)は、ラッチラグがロッカーの形に構成されている構造を示し、e)は、ラッチラグを備える交換可能な要素の全領域を径方向に可動に形成した構造を示す。
【
図13】
図13は、さらなる例示の実施形態の図であり、交換可能な要素をスケーティングプレートとして形成し、a)は斜め後方上部からの斜視図を提供し(それぞれ走行方向に対し)、b)は斜め前方上部からの斜視図を提供し、c)は前方からの図を提供し、d)は図c)のA−A線による断面図を提供する。
【
図14】
図14は、さらなる交換可能な要素、平均的大きさのノルディックプレート(それぞれ中央)及び大きいノルディックプレート(それぞれ右側)を備えた、
図13の例示の実施形態の図であり、a)は、交換可能な要素のないスリーブを留め付けたポール管を示し、b)は、図a)のスリーブ上に交換可能に装着することのできる様々な考えられる交換可能な要素を斜め後方上部からの斜視図で示し(それぞれ走行方向に対して)、c)は後方からの図を示し、d)は上からの図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1及び2は、それぞれ、第1の例示の実施形態によるアタッチメントを上に取り付けた、ポール管1の下側部分を示す。これら2つの図においては、それぞれ、交換可能な要素2がスリーブ3に留め付けられている。スリーブ3は、ここでは、例えば、接着接合及び/又はプレス加工等の、素材結合(Stoffschluessige)、摩擦結合、又は形状結合によって、ポール管1の下側自由端部25に固定して留め付けられている。ここでは、交換可能な要素2は、スリーブ3のヘッド領域の下縁13(
図3参照)に、軸方向下方に隣接する。交換可能な要素2は、交換可能な要素の上縁20から軸方向上方に突出するラッチラグ12を有する上部領域を有する。交換可能な要素2の中央領域は非対称のプレート領域11をもち、これは、ここでは、ポールの長手軸Sにほぼ垂直な平面E1において、径方向に、交換可能な要素2の片側に向かってのみ延びる。交換可能な要素2の下部領域は先端部16を有し、これは、交換可能な要素の下側端部21にはめ込まれる。図の先端部16は、交換可能な要素2の、プレート領域11が延びる側と反対の側に向かう方向(走行方向)に曲げられている。
【0032】
ポール管1の下側自由端部に取り付けられるスリーブ3を、
図3の上側に示す。それによれば、本発明によるアタッチメントは、2つの部分、つまり、スリーブ3と交換可能な要素2又は2’とから構成される。ポール管1の下側自由端部25はスリーブ3内に挿入され、その中に留め付けられる。スリーブ3は、ヘッド領域4と、このヘッド領域4に軸方向Sに下方に隣接するボディ領域5とを有する。ヘッド領域4は、環状の段部7(
図5参照)によって形成される下縁13を有し、この段部にてヘッド領域4がボディ領域5へと移行し、又は、この段部がヘッド領域4とボディ領域5との間の境界を形成する。ヘッド領域4には、前記下縁13に、ポール取っ手部(図示せず)に向かって、凹部8又は切り込みが設けられ、これが、交換可能な要素2の上縁20から軸方向に延びるラッチラグ12の受け入れとラッチングに用いられる。交換可能な要素2をスリーブ3に留め付ける場合、このラッチ装置は、留め付けに加えて、交換可能な要素2を、スリーブ3に対して又はポール管1に対して円周方向Uに回転する恐れがないよう形状結合的に留め付けることにより、ねじり防止にも役立つ。これは、
図3に示す2つのような非対称のポールプレートの場合、特に重要である。
【0033】
図3に示した例示の実施形態において、スリーブ3は、ボディ領域5の中央領域において、第1の環状段部7の軸方向下側に、第2の環状段部14をも有する。ボディ領域5は、この第2の環状段部14の下に、ボディ領域5の軸方向部分にわたって下へと延びる雄ねじ6を有する。この好ましい実施形態では、スリーブ3の又はスリーブ3のヘッド領域4の上縁9が傾斜面を有する。この傾斜面は、平面E1(例えば
図6参照)に対し傾斜する平面E2にあり(
図7も参照)、平面E1は、ポールの長手軸Sに垂直に延び、且つ、平面E1内でプレート領域11,11’が実質的に延びる。
【0034】
図3の左側には、スリーブ3の真下に、既に
図1及び2で示した第1の好ましい例示の実施形態による交換可能な要素2を示す。この右隣に、第2の好ましい例示の実施形態による交換可能な要素2’を示す。これら2つの交換可能な要素2及び2’の必要に応じた交換可能性を2本の矢印で示す。左側に示す交換可能な要素2は、いわゆる「スケーティング」用−ポールプレートの形で示される。これは、右側に図示した、主として標準的な又はノルディッククロスカントリースポーツに用いられる径の大きないわゆる「ノルディック」用−ポールプレートの形をした交換可能な要素2’とは異なり、例えば、クロスカントリースポーツの「スケーティング」用−変形例で用いられる。
【0035】
交換可能な要素2,2’の両変形例は非対称なプレート領域11,11’を有し、これは、ポール管1から交換可能な要素2,2’の片側だけへ、実質的に走行方向Lとは逆の方向に延びる。交換可能な要素2,2’はそれぞれ一体的に形成され、下側端部21ではめ込まれるか、又はその中に留め付けられる硬質金属又はセラミックの先端部16を備える。交換可能な要素2,2’は、ポール管1の下側自由端部25にあるスリーブ3を受け入れるために、止まり穴15を有する。交換可能な要素2,2’の内部では、止まり穴15の壁が、
図5に示すように、ほぼ止まり穴15の中間の高さに雌ねじ21’を有する。雌ねじ21’は、交換可能な要素2,2’がポールの下側端部上にねじ留めされるとき、スリーブ3の雄ねじ6に係合する。取り付けた端部の位置では、交換可能な要素2,2’の上縁20のラッチラグ12が、スリーブ3のヘッド領域4内の上述の対応する凹部8に、実質的に形状結合的に係合する。図示した例示の実施形態におけるラッチラグ12は、上に向かって先細る輪郭を備えて形成される。
【0036】
右側に示した交換可能な要素2’は補強リブ18又は支柱を有し、これは、ラッチラグ12から、最大径
d’3の位置にある、プレート領域11’の径方向先端部24まで延びる。補強リブ18は、補強リブ18が延びる方向に対し横に配置される、通り抜け開口部の形をした凹部19と、この凹部を取り囲む切り込み又は切り欠き26をも有し、凹部19は、材料の節約、従って重量を抑えるために役立つ。
【0037】
図4は、本発明の第1の例示の実施形態による、すなわち「スケーティング」用−プレートを備えた交換可能な要素2を有する本発明のアタッチメントの図であり、走行方向Lとは逆に見た、つまり前から見た図である。ここでは、プレート領域11全体が、交換可能な要素2の、走行方向Lと反対の側に、すなわち走行方向において後方に形成されるのが分かる。交換可能な要素2は、プレート領域11が配置される位置において、その最も幅の広い位置又は最も幅の広い径d3を有し、上縁20に向かって及びその下側端部21に向かって下向きに先細るように形成される。スリーブ3は、スリーブのヘッド領域4だけが交換可能な要素2から外へ突出するように、交換可能な要素2にはめ込まれ、交換可能な要素2の、プレート領域11の上側に配置される上部領域が、交換可能な要素2の上縁20で、ヘッド領域4へと事実上継ぎ目なく移行する。この場合、ヘッド領域4の下縁13は、交換可能な要素2の上縁20上にのる。
図7にも対応して示すように、
図5に示すスリーブ3でも、平面E2(
図7参照)において、上縁9が垂直なプレートプロファイル平面E1に対し傾斜して形成されるため、スリーブ3の後方領域の長さl1は、前方領域の長さl2より長く形成されている。交換可能な要素2の下部領域は、
図4から分かるように、円錐状に下に向かって収束するように形成される。プレート領域11が実質的に延びる平面E1は、ポールの長手軸Sに垂直に位置する。
【0038】
図5の断面図では、交換可能な要素
2の止まり穴15の中央領域において、スリーブの雄ねじ6に、交換可能な要素2の雌ねじ21’が係合することが分かる。ここでは、ポール管1は、スリーブ3の止まり穴22に完全に挿入されている。スリーブ3が交換可能な要素2の止まり穴15に完全に挿入されるとき、このスリーブ3は、小さな軸方向の中間スペース27によって止まり穴15の底部から離間する。
【0039】
図6は、
図6のアタッチメントにおいて、第2の好ましい実施形態による、すなわち径のより大きいノルディックプレート領域11’を備える交換可能な要素2’がスリーブ3上に装着されていること以外は、
図4の図に対応する。
図6及び
図7の断面図では、交換可能な要素2の、プレート領域11’が配置される領域の径の、前方に向かう、すなわち走行方向Lに向かう広がり28が見られる。
図7の交換可能な要素2’の下面23’は、後方領域に歯17を有し、この歯はポールに土台へのグリップのよさを付与する。
【0040】
図8は、再び、交換可能な要素2,2’の2つの変形例の交換可能性を、矢印で図式的に示す。このとき、プレート領域11,11’が実質的に延びる平面E1は、プレート領域11,11’の径方向先端部24(
図11にも示す)と、プレート領域11,11’の最大幅b3をもつ位置でのプレート領域11,11’の側縁29の交点とに及ぶ(aufgespannt)。この平面E1は、ポールの長手軸Sにほぼ垂直に延びる。
【0041】
図9には、同じ交換可能な要素2,2’の2つの変形例が上から示されており、ポール管1、スリーブ3及び交換可能な要素2,2’の同心配置が分かる。また、ラッチラグ12が、走行方向Lと逆方向に、プレート領域11,11’の径方向先端部24と、この場合補強リブ18に沿って、径方向に、一直線に並んでいるのが分かる。プレート領域11,11’が最大径d3を有する(ポールの長手軸Sから走行方向Lとは逆に測定して)この位置で下向きに押されると、ラッチラグ12が凹部8から脱け出し、交換可能な要素2,2’をスリーブ3からねじをゆるめて外すことができる。ラッチラグ12のこの配置により、プレート領域11,11’の機械的な変形が容易になる。
【0042】
図10の2つの交換可能な要素2,2’の側面図は、側面の輪郭を示し、2つのプレート変形例の相対的な寸法は、
図11の底面図から容易に分かる。プレート領域11又は11’は、プレート領域11又は11’の側縁29の最も離れて突出する領域間に最大幅b3又はb3’を有し、この幅は、ポールの長手軸Sからの径方向先端部24の距離である、走行方向Lと逆方向に測定した径d3に、直角に測定した幅である。
【0043】
図12は、異なる手段を備えた、交換可能な要素の様々なさらなる変形例を示し、これらの手段により、ラッチされた状態での形状結合を解除するために、ラッチラグ12を凹部8から容易に取り外すことができる。
【0044】
例えば、
図12a)は、凹部8が、ラッチされた状態でのラッチラグ12の上側自由端部の軸方向上側に、工具、例えばねじ回し30と係合するための凹部31をあけておく変形例を示す。解除のためには、ねじ回し30を前記凹部31に差し込んで、ねじ回しを傾け、その後交換可能なプレートをねじることができる。
【0045】
図12b)は、ラッチラグ12が、この目的のために、凹部8にラッチされた状態において、少なくとも上部領域でスリーブ3の表面輪郭を越えて突出する32、変形例を示す。そのため、同様に、工具を用いて、あるいは単に指でも、ラッチラグ12の上縁をつかんで、ラッチラグを凹部8から取り除くことができる。この変形例は、好ましくは、
図12aに図示した凹部31と組み合わせることもできる。
【0046】
図12c)は、交換可能な要素2に、ポールプレート11を押し下げたときのラッチラグ12の可動性を促進する要素が、この場合、交換可能な要素2の壁内のスロット33の形で設けられている、さらなる変形例を示す。プレートが押し下げられると、交換可能な要素2の、スロット33の右側に配置される領域全体がずらされ、これにより、形状結合を容易に解除することができる。負荷時、圧力は
図12c)中の矢印とは別の方向に加わるので、使用時のしっかりした留め付けはやはり保証され得る。
【0047】
さらなる考えられる構造を、
図12d)に示す。この図では、ラッチラグ12が、交換可能な要素上のロッカー(Wippe)の形をした可動領域35を有する。このロッカーは、交換可能な要素2上に一体的に形成され、ある程度旋回点として働く可撓領域35がある。このロッカーの下部領域に押圧領域34が形成される場合、この下部領域は、プレートの方に向いており、及び、この下部押圧領域34を、例えば手で、矢印で示すように押圧する場合、ロッカーは可撓領域35の周りに傾いて、ラッチラグ12が凹部8から取り除かれる。
【0048】
最後に、
図12e)は、交換可能な要素2がラッチラグ12を備えた部分的に可動な領域37を有し、前記領域が、交換可能な要素2の上部領域を形成し、交換可能な要素2の下部領域に対し径方向に移動可能に形成される構造を示す。前記部分的に可動な領域は、上部領域のスリーブ3の周りに包囲するように係合し、その結果、ラッチラグ12に対向して位置する押圧領域36を、例えば指で操作することによって、ラッチラグ12を、凹部8から押し出すことができる。この構造は、プレートの負荷時、好ましくない方法で解除される恐れがないという利点を有する。
【0049】
図13及び14は、このような交換可能な先端部のさらなる例示の実施形態を示す。上述の例示の実施形態と同じ又は類似の要素は、同じ参照符号で示す。本例示の実施形態の、上述の例示の実施形態との実質的な違いは、交換可能な要素2の上縁20が特別な形状をしていることである。上記例示の実施形態の場合、上縁はほぼ同じ高さで延び、つまり、ある程度円形に取り囲んで、ラッチラグ12まで軸方向に同じ高さで延びるが、本例示の実施形態では、ラッチラグ12の両側にそれぞれ前記上縁20内のくぼみ38がある。上縁20の、ラッチラグ12に隣接する領域では、両側がプレートの方へと後退し、2つのくぼみ38を形成する。これにより、ラッチラグ12は、くぼみなしでは上縁20の通常の高さに対する高さhを有し(
図14cを参照)、2つのくぼみ38がラッチラグから側方に配置される結果、実質的により大きな高さHを有することになる。好ましくは、このとき、この2つのくぼみ38は、軸方向において、2つのくぼみ38なしのラッチラグの高さhの少なくとも半分の長さであり、特に好ましくは、くぼみを考慮した高さHは、2つのくぼみなしの高さhの大きさのほぼ2倍である。
【0050】
これは、舌状の軸方向ラッチラグ12がより長くなり、その結果、ラッチラグ12を曲げることに使用できる長さも長くなることを意味する。これにより、くぼみ8が、軸方向にかなりの長さ(示した実施例では3〜5mm)を有し、その結果、係合時に、ラッチラグ12による優れた形状結合が提供される構造が可能となる。他方、切り欠き38により、ラッチラグ12は、交換可能な要素を、工具なしで、単にいくらか大き目の始動力をかけることによっても回転させて取り外すことができるほど十分に柔軟であり、ラッチラグ12を、前記力によってくぼみ8から押し出すことができる。この操作を容易にするために、ポールの軸に対し径方向に延びる横の側面39を、ポール軸に向かって収束するように形成する。こうして、ラッチされている交換可能な要素に回転力がかかると、斜めの側面39(そのとき凹部8の横の境界と接触している)によって径方向外側に向く力成分が生じ、これにより、ラッチラグが凹部8内で解除不可能にかまずに、むしろ単に十分に高められた解除力を用いて初めて解放されることが可能となる。
【0051】
図14においてそれぞれ異なる交換可能性に対して示した、これによって可能となる工具なしで交換可能な形状は、交換可能な要素の解放力が、使用中は交換可能な要素を取り外せないが、使用者は依然工具なしで且つ過剰な力を使わずに、交換可能な要素を回転によりひねって外すことができる大きさとなるように、対応する材料の選択(例えば、ポリアミド66)や寸法(例えば、約9mmのH、約4〜5mmのh、約2mmのラッチラグの径方向の厚み、及び、3〜5mmのラッチラグの円周方向の幅、5mmの範囲の上縁の高さにあるくぼみ38の円周方向の長さ)により調整される。
【符号の説明】
【0052】
1 ポール管
2 交換可能な要素(スケーティング変形例)
2’ 交換可能な要素(ノルディック変形例)
3 スリーブ
4 3のヘッド領域
5 3のボディ領域
6 3上の雄ねじ
7 4,5の間の3上の第1の段部
8 12のための4内の凹部
9 3の環状の上縁
10 3の環状の下縁
11 2のプレート領域(スケーティングプレート)
11’ 2’のプレート領域(ノルディックプレート)
12 2,2’上のラッチラグ
13 4の下縁
14 3上の第2の段部
15 3のための2,2’内の止まり穴
16 2,2’内/上の先端部
17 23’上の歯
18 2’上の補強リブ
19 18内の凹部
20 2,2’の上縁
21 2,2’の下側端部
21’ 15内の雌ねじ
22 1のための3内の止まり穴
23 11の下面
23’ 11’の下面
24 11,11’の径方向先端部
25 1の下側自由端部
26 18内の切り込み/切り欠き
27 15内の軸方向中間スペース
28 2’上の広がり
29 11,11’の側縁
30 ねじ回し
31 4内の12の上方のあいたままの凹部
32 12の径方向外側に突出する領域
33 2の壁内のスロット
34 12の押圧領域
35 12の柔軟な留め付け領域
36 対向して位置する押圧領域
37 2の部分的に可動な領域
38 環状の上縁20内の切り欠き
39 12の横の側面
h 38のないラッチラグ12の軸方向高さ
H 38のあるラッチラグ12の軸方向高さ
L 走行方向
S ポールの長手軸
U 円周方向
l1 後方領域における3の長さ
l2 前方領域における3の長さ
b3 11の幅
b3’ 11’の幅
d1 9上の4の径
d2 13上の4の径
d3 11の最大径
d3’ 11’の最大径
E1 ポールの長手軸Sに垂直な平面、しばしばプレート平面、又はそれに平行な平面
E2 ポール管1の周りに係合するスリーブの露出される上縁によって形成される平面。