(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
慣性マスに隣接して配置され、それぞれが容量性変換ギャップによってそれから離隔されている、複数の電極をさらに含み、複数の電極の各々の少なくとも一部分は、共振部材が面内に存在する第1の面に対して、第1の角度値と実質的に同じ角度値だけ傾斜している、請求項1に記載の慣性測定装置。
慣性マスに隣接して配置され、容量性変換ギャップによってそれから離隔されている、複数の電極をさらに含み、少なくとも1つの電極が、共振マスの傾斜表面に沿って配置されている、請求項1に記載の慣性測定装置。
半導体材料で形成されて、台形断面形状を有する、複数の機械的に変形可能なビームによって相互接続された、複数の長方形区域を画定する、共振マスを含み、前記変形可能なビームの少なくとも1つは、台形の断面形状を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
共振部材の側壁に隣接して配置された複数の電極であって、各電極は、それぞれの容量性ギャップによってそれから離隔されており、各々の少なくとも一部分が、共振部材の側壁に平行である、前記複数の電極をさらに含む、請求項12に記載の慣性測定装置。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明の一実施態様による共振構造を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施態様による共振構造を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施態様による共振構造を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施態様による共振構造を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施態様による共振構造を示す図である。
【
図6(a)】
図6(a)は、本発明の一実施態様による共振構造を示す図である。
【
図6(b)】
図6(b)は、本発明の一実施態様による共振構造を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施態様による共振構造を示す図である。
【
図8】
図8は、
図1〜7に示された共振構造の面内回転を示す図である。
【
図9】
図9は、
図1〜7に示された共振構造の面内回転を示す図である。
【
図13】
図13は、本発明の一実施態様による傾斜直交電極を示す図である。
【
図15】
図15は、台形機械共振ビームの断面図を概念的に示す図である。
【
図16】
図16は、本発明の一実施態様による、
図6および7の共振構造の動作のドライブモードおよびセンスモードを示す図である。
【
図17】
図17は、容量性変換表面を備える
図1〜6に示された共振構造の斜視図概略図を概念的に示す図である。
【
図19(a)】
図19(a)は、本開示による、厚さ不感性(thickness-insensitive)ジャイロスコープの製造における第1のウェットエッチング後のトレンチの上面図である。
【
図19(b)】
図19(b)は、厚さ不感性ジャイロスコープ凸形隅部近くの開口を備える窒化物マスクの図である。
【
図19(c)】
図19(c)は、第2のウェットエッチングステップ後の厚さ不感性ジャイロスコープの図である。
【
図19(d)】
図19(d)は、本開示による厚さ不感性ジャイロスコープの仕上げトレンチの上面図である。
【0025】
詳細な説明
本出願は、2015年6月11日付け出願の「Application Of Anisotropic Silicon Wet Etching In MEMS X/Y Gyroscopes for Thickness Variation Self-Compensation and Cross-Coupling (Quadrature) Correction」という名称の米国特許仮出願第62/174255号、および2016年7月6日付け出願の「An Anisotropic-Wet-Etched Pitch or Roll Mode-Matched Gyroscope with Slanted Quadrature-Cancellation Electrodes」という名称の米国特許仮出願第62/346855号の優先権を主張するものであり、それぞれの全文が全目的のために参照により本明細書に組み入れられている。
【0026】
以下の詳細な説明において、本発明の実施態様の完全な理解をもたらすために、多くの具体的な詳細が記載される。当業者によれば、本発明のこれらの実施態様は、これらの具体的な詳細のうちのいくつかはなくても実施できることが理解されるであろう。その他の場合には、周知の方法、手順、構成要素および構造については、本発明の実施態様を分かり難くしないように、詳細を記述していないことがある。
【0027】
本発明の少なくとも1つの実施態様を詳細に説明する前に、本発明はその応用において、以下の説明において記載されるか、または図面に図示された、構造の詳細、および構成要素の配設に限定されるものでないことを理解すべきである。本発明はその他の実施態様が可能であるか、または様々な方法で実施もしくは実行することができる。また、本明細書において使用される語法および用語は、説明の目的だけのものであり、限定とみなすべきではない。
【0028】
分かり易くするために、別個の実施態様の文脈で記載される、本発明の特定の特徴は、単一の実施態様に組み合わせて提示されることもあることを理解されたい。逆に、簡単にするために、単一の実施態様の文脈で記述される本発明の様々な特徴は、別個に、または任意好適な下位の組み合わせで提示されることもある。
【0029】
以下でより詳細に考察するように、異方性シリコンウェットエッチングによる、モード整合ピッチ(ロール)ジャイロスコープに見られる厚さおよび工程変動問題に対するアプローチが提示される。この方法に基づく設計は、厚さ変動に対してはるかに強いものである。さらに、ピッチ/ロールジャイロスコープの直交誤差の静電補正について提示する。
【0030】
さらに、面外のピッチ・ロールジャイロスコープにおける効率的な直交ナリング(quadrature nulling)用に使用される、ウェットエッチングされた(111)(ミラー指数)表面に沿った、傾斜電極について記述する。さらに、異方性ウェットエッチングを、振動体全体の製作に使用することができる。そうすることによって、駆動モードとセンスモードの間の周波数スプリットは、SOIデバイス層の厚さ変動には不感性となり、デバイス製作における高価なDRIEの使用を無くし、ジャイロスコープの工程変動依存性と製作コストの両方を低減する。
【0031】
知られているように、(100)シリコンウェハの異方性ウェットエッチング、例えば、KOH(水酸化カリウム)またはTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)エッチングは、(111)面で定義される傾斜側壁を露出させる。そのような傾斜側壁は、機械的構造の面内自由度と面外自由度の間の明確に定義された関係をもたらす。有利には、この関係を利用することによって、厚さ変動問題とモードクロスカップリング問題の両方に、以下により詳細に記述するように、効果的に対処することができる。
【0032】
デバイス層厚さ変動は、SOI(シリコン・オン・インシュレータ)ウェハにおける一般的な欠陥の1つである。この変動は、標準的なSOIウェハに対しては、±0.5μmであり、大量にドーピングされたウェハが必要な状況では、この変動は、数マイクロメートルにもなり得る。厚さ変動の少ないウェハは入手可能であるが、それらはより高価であり、大量の商用目的に対しては適していない。
【0033】
従来式設計においては、面内モード周波数は、通常、デバイス厚さとは独立であり、面外モード周波数は、厚さに対して線形依存性を有し、そのためにデバイス厚さ変動は、2つの共振モード間の周波数スプリットにつながる。このスプリットは、高周波設計に対して大きく、モードを整合不能にする可能性がある。
【0034】
以下に記述する一実施態様によれば、モード整合ピッチ/ロールジャイロスコープにおいて、1対の非縮退性(non-degenerate)の面内モードおよび面外モードは、一実施態様においては、厚さ変動によって生じる大きい周波数スプリットを避けるために、異方性ウェットエッチングが使用される、厚さ不感性ジャイロスコープ(TIG:thickness insensitive gyroscope)設計によって、同じ共振周波数を有するように設計される。
【0035】
図1〜5を参照すると、本発明の一実施態様において、コリオリ振動ピッチ/ロールジャイロスコープは、この例では、4つの曲げ可能ビームによって互いに結合された4つのマスを有する共振構造200を含む。共振構造200は、2つの動作共振モード:面内および面外の各モードを有し、これらについて以下でより詳細に考察する。さらに、共振構造は、4つのアンカーによって基板(図示せず)に固定されており、それぞれのアンカーは、各々のマスそれぞれの中心に設けられている。すなわち、マスは、それぞれ
図2および5の上面図に示されるように、アンカーを包囲するフレームの形態をとり、ここで、
図5においては、アンカーは示されていない。
【0036】
各アンカーは、テザー(tether)によってそれぞれのマスに結合されているが、それ以外では、
図3(a)および3(b)に示されるように、アンカーの周辺のまわりに延びる垂直トレンチによってマスと離隔されている。さらに、
図3(a)および3(b)におけるマスおよびアンカーは、互いに対称に、すなわち同形状として示されているが、この設計に対して様々な修正が考えられる。1つの非限定の例においては、マスおよびそれぞれのアンカーは同じでなくてもよく、例えば、正方形アンカーと長方形マスにするか、またはその逆でもよい。
【0037】
一実施態様において、共振構造200は、シリコン異方性ウェットエッチングとDRIEの組合せによって形成され、この場合に、台形ビームと傾斜側壁が、異方性ウェットエッチングステップ(複数を含む)の間に形成され、垂直トレンチがDRIEステップ(複数を含む)の間に形成される。このアプローチにおいては、垂直側壁を有する薄いテザーを形成して、共振構造をアンカー(複数を含む)に接続することができる。
【0038】
図6(a)、6(b)および7を参照すると、本発明の別の実施態様において、共振構造300は、複数の曲げ可能ビーム(bendable beam)によって互いに接続された複数のマスを含む。共振構造300は、共振構造の中心に位置するアンカーによって基板に結合されている。アンカーは、テザーによって共振フレームに結合されている。共振構造300はまた、2つの動作共振モード:面内と面外の各モードを有する。
【0039】
さらに、
図6(a)、6(b)および7に示されるように、共振構造300のマスは、当業者には知られているように、デバイス解放目的の切欠きを含む、ブロックとしてもよい。使用される製作方法に応じて、切欠きは、(1)シリコン異方性ウェットエッチングによって画定される逆ピラミッド形、(2)シリコンDRIEにより画定される垂直解放穴/スリット、または(3)当業者には知られているようなその他のエッチング技術によって画定される他の形状を有することができる。代替的に、マスは、共振フレーム200どおりに、「オープンフレーム」として構成してもよい。
【0040】
一実施態様において、共振構造300は、シリコン異方性ウェットエッチングのみによって形成される。DRIEの省略は、製作コストを低減するが、デバイスは、傾斜した側壁だけを有する。このアプローチにおいては、台形断面を有するテザー構造が、共振構造をアンカー(複数を含む)に結合する。
【0041】
共振構造200、300は、ジャイロスコープ設計に有利に適用される、類似のコリオリ振動ピッチ/ロール特徴を有する。各々が、4つの曲げ可能ビームによって接続された4つのマスと、2つの動作共振モード、すなわち面内および面外の各モードとからなる、共振構造を有する。
【0042】
面内モードにおいて、ビームは、面内方向に曲がり、各マスを、1対のビームへの接続点のまわりに、面内で回転させる。
図8および9に示されるように、面内モードにおいては、マスは、X−Y面内で運動する。
【0043】
面外モードにおいては、1対のビームが、面外方向に曲がり、他方の対のビームが捩りで変形し、マスを、捩りビームと一致する軸のまわりに面外で回転させる。すなわち、
図10および11に示されるように、マスは、Z軸に沿って変位する。
【0044】
2つの共振モードは、互いにコリオリ結合される。一実施態様において、モードの1方は、ジャイロスコープのドライブモードとしての役割を果たすことができ、他方のモードは、ジャイロスコープのセンスモードとなる。
【0045】
共振構造200、300のそれぞれにおいて、曲げ可能ビームは、台形断面を有し、マスは、傾斜側壁を有することができる。有利には、それぞれの設計は、2つの共振モード間の周波数スプリットの厚さ依存性が大幅に低減されるという利点を活用して、以下に記述するように、共振構造の傾斜側壁に沿った、傾斜電極を実装することによって直交同調を達成する。
【0046】
剛性非理想性を有する、一般的なMEMSジャイロスコープは、運動方程式を次式で記述される、2自由度バネ・マス・ダンパーシステムによって表わすことができる。
【数1】
ここで、q
1、q
2、k
11、k
22は、それぞれドライブモードおよびセンスモードの変位と、有効剛性であり;
k
12およびk
21は、直交誤差を引き起こす、クロスカップリングバネ常数である。式(1)の固有周波数は次式で与えられる。
【数2】
【0047】
理想的なモード整合ジャイロスコープに対して、剛性マトリックスK
mは、k
11=k
22=kおよびk
12=k
21=0である、スカラーマトリックスであり、これは縮約固有周波数ω
1=ω
2=(k/m)
1/2を与える。実際には、k
11≠k
22およびk
12=k
21≠0であり、これは周波数の発散を生じる。この非理想性を補償するために、静電同調が通常、使用される。容量性変換において、振動構造と固定された電極の間のキャパシタに蓄積された電気エネルギーは、q
1および/またはq
2の関数であり、これは静電剛性マトリックスを発生させる:
【数3】
【0048】
ジャイロスコープの全体剛性は、すべての電極からのK
mとK
eの重ね合わせである。異なる電極における同調電圧を変化させることによって、全体剛性を調節することができる。
【0049】
しかしながら、面内モードおよび面外モードを使用するピッチ・ロールジャイロスコープにおける静電同調は、効率が限定されている。方向性エッチングによって製作された、従来式ジャイロスコープは、
図12に示されるように、垂直電極および水平電極だけを可能にする。垂直容量の変化は、面外変位の下では無視できるものであり、水平容量の変化は、面内変位の下では無視できる。結果として、任意の電極組合せは、面内変位と面外変位との分離可能な関数として、キャパシタンスを与え、すなわち、C(q
1,q
2)=C
1(q
1)+C
2(q
2)である。例えば、直角電極において、電気エネルギーは、漏れ磁場(fringing field)からの小さい寄与を無視すると、次式で与えられる:
【数4】
【0050】
効率的な同調を達成するために、電極に対して、小さいギャップサイズと大きい変換面積が、一般に使用される。ギャップサイズと比較して、面積は、共振変形下では無視できる変化しかしない。一般性を失うことなく、水平キャパシタおよび垂直キャパシタの両方が、同じ、静止ギャップサイズ(rest gap size)g
0を有すると仮定すると、電気エネルギーの級数展開により次式が得られる:
【数5】
【0051】
(3)によれば、対応するK
eは、対角である:
【数6】
これは、面内周波数または面外周波数を独立して同調できるが、直交同調は達成されないことを意味する。
【0052】
対照的に、(100)SCSの異方性ウェットエッチングは、(111)結晶面によって境界が決められた傾斜側壁を形成し、このことは、面内と面外の自由度の間の明確に定義された関係をもたらす。ウェットエッチングされた(111)表面に沿った傾斜電極は、
図13に示されるように、面内運動および面外運動の両方に影響を受ける容量性ギャップを有する。傾斜電極に蓄積されたエネルギーは次式である:
【数7】
【0053】
対応して、静電剛性マトリックスK
eは:
【数8】
【0054】
示されるように、静電剛性は、直交相殺に適している、非ゼロの非対角項を有する。さらに、異方性ウェットエッチングによって、表面仕上げと最終幾何学形状の精密な制御が得られるので、それは自己有界(self-bounded)プロセスである。
【0055】
本発明の一実施態様によれば、単結晶シリコン(SCS)ピッチ/ロールジャイロスコープは、振動構造全体がSCSの異方性ウェットエッチングによって形成される、傾斜直交電極を含む。傾斜直交電極は、直交相殺に使用することのできる信号を提供する。
【0056】
異方性ウェットエッチングされたジャイロスコープは、
図14および15に示されるように、二等辺台形断面を特徴とする。台形の上端幅は、リソグラフィによって定義され、これに対して下端幅は、デバイスの上端幅および厚さの両方によって決まり、このことは、このジャイロスコープの面内共振周波数に対して厚さ依存性を導入する。結果として、面内モードおよび面外モードは、デバイス厚さ変動に対して、互いに追従して、周波数スプリットを厚さ不感性にする。
【0057】
図14を参照すると、電極構成は、容量性変換に使用される、サブミクロンギャップサイズを有する、水平電極および傾斜電極を含む。ジャイロスコープの動作のドライブモードおよびセンスモードに対応する、共振マス300のモード形状が、
図16に記載されている。
【0058】
図14に示される、1対の傾斜電極は、電極における反対のモード対称性による、面外センスモードの励起を避けながら、200kHzで面内ドライブモードを作動させるのに使用される。別の2つの傾斜電極は、ドライブモード電流出力と、静電直交同調とに使用される。デバイスの上の水平電極は、差分センス出力と、センスモード周波数同調とに使用される。センスモードは、モード整合能力を確保するために、ドライブモードよりもわずかに高い周波数を有するように設計される。
【0059】
図17に示された、共振構造200は、約300kHzの動作周波数を有し、共振構造は、異方性ウェットエッチングとDRIEの組合せにより画定され、センス電極、ドライブ電極および同調電極は、ポリシリコンで形成されている。一般に、一実施態様において、アンカー(複数を含む)を備える、懸架された共振構造は、傾斜電極、上端電極、および場合によっては垂直電極によって包囲され、容量性変換ギャップが、共振構造と電極とを離隔している。各電極は容量性変換面の反対に配置されているが、ポリシリコン電極は、
図17には示されていない。変換ギャップの場所は、
図17にラベルが付けられており、当業者は、本明細書での考察に基づいて、それらのギャップとの関係で電極の設置を理解するであろう。
【0060】
開示された厚さ不感性ジャイロスコープ設計において、異方性ウェットエッチングは、傾斜側壁を露出させる。電極を傾斜側壁に平行に設置することによって、共振構造と、両モードの変位による影響を受ける電極との間の容量性ギャップを、
図13に表わされるように、定義することができる。
【0061】
非限定の例として、共振構造300の1つの製作工程は、異方性ウェットエッチングが挙げられる。異方性ウェットエッチング中に、凸形隅部は保護される必要がある。したがって、知られている2マスクLOCOS法、例えば、その全内容が、すべての目的で参照により組み入れられており、シリコンの局所酸化が(111)面の1つを保護するために使用されており、また凸形隅部保護ももたらす、Palらの「A Novel Process For Perfect Convex Corner Realization In Bulk Micromachining」, J. Micromech. Microeng. 14, (2004), pp. 1416-1420を、修正して使用して、調心不良の影響を除去してもよい。
【0062】
自己調心された(self-aligned)工程において、
図18(a)〜18(e)を参照すると、ジャイロスコープパターン全体が、第1の厚い窒化物マスク層上に画定されている。第2の薄い窒化層は、そのパターンを部分的に覆い、第1のウェットエッチングにおける凸形隅部の露出を回避する。薄い窒化物マスクは、不規則形状開口を有し、ウェットエッチングによって、薄い窒化物がアンダーカットされ、厚い窒化物マスクと調心されたトレンチが形成される。結果として、2つの窒化物マスク間のいかなる小さい調心不良も、最終デバイス幾何学形状に影響を与えることがない。局所酸化および第2のウェットエッチングステップが、第1のウェットエッチングの後に実行されて、未処理の凸形隅部を備える、最終SCS構造を形成する。デバイス幾何学形状が画定された後に、ポリシリコンおよび犠牲酸化物表面のマイクロマシニングステップを使用して、サブマイクロギャップを備える、水平電極および傾斜電極が形成される。
【0063】
次に
図18(a)を参照すると、厚いLPCVD窒化層が堆積されパターン形成されてトレンチ形状を画定し、薄いLPCVD窒化層が堆積されパターン形成されて自己調心された開口を形成し、次いで、第1のKOHウェットエッチングステップが実行される。次に、
図18(b)では、(111)側壁保護のための厚い熱酸化物を形成するための、SCSの湿式酸化が実行されて、窒化層が、RIEを使用してブランクエッチングされて、薄い窒化層を除去し、次いで第2のKOHウェットエッチングステップが実行される。
図18(c)に示されるように、;窒化層および酸化層は除去され、テトラメチルオルトシリケート(TEOS)が堆積されパターン形成され、湿式酸化ステップが実行されて、犠牲薄酸化物を形成する。次いで、薄い酸化物は、パターン形成されて、次いで、
図18(d)に示されるように、LPCVDポリシリコンが堆積されパターン形成される。最終的に、デバイスは、HF溶液内に解放されて、
図18(e)を参照すると、超臨界ドライヤで乾燥される。
【0064】
本明細書に記述された製造工程および製作工程は、装置に対して複数の回転軸のまわりの回転を検知することのできる、単一の共振マスを備える、慣性測定MEMS半導体装置を製造するのに使用することができ、そのような装置は、
図15に示されるような断面を有する、部分を有してもよい。
【0065】
厚さ不感性ジャイロスコープの共振構造200は、SOIウェハのデバイス層上での、KOHウェットエッチングとDRIEの組合せによって画定してもよい。アンカーテザーは、ウェットエッチングまたはDRIEのいずれかによって形成することができ、電極は、犠牲酸化層によって画定された容量性ギャップを備えて、ポリシリコンによって形成される。予備エッチングステップが、当該技術において知られているように、精密な結晶位置合わせのために使用される。ウェットエッチングマスクは、結晶方位に対して適正な位置合わせでパターン形成され、次いで異方性ウェットエッチングが実行される。1組のマスクを使用して、DRIEとウェットエッチングパターンの自己調心を達成する。最初に、窒化物ハードマスクが、DRIEパターンとウェットエッチングパターンの両方でパターン形成され、次いで、ウェットエッチングパターンが、PECVD酸化物で覆われて、DRIE工程が実行される。DRIE後に、トレンチが、TEOSで再充填されて、窒化物の別の層で閉鎖される。次いで、PECVD酸化物は、除去されて、ウェットエッチングが実行される。
【0066】
異方性ウェットエッチングにおいて、アンダーカットが、凸形隅部において行われる。凸形隅部アンダーカットを回避して、所望の幾何学形状を得るために、特定の凸形隅部保護が必要とされる。J.W.KwonおよびE.S.Kimは、すべての目的でその全文が参照により組み入れられている、「Multi-Level Microfluidic Channel Routing With Protected Convex Corners」、Sensors and Actuators A: Physical, vol. 97-98, 1 April 2002, pp. 729-733において、追加の窒化層が、凸形隅部の形成前に凸形隅部において(111)面の1つを保護する、2ステップエッチング過程を使用する、凸形隅部保護方法を紹介した。Kwonらの方法によって、完全な凸形隅部が達成されている。
【0067】
マスク調心不良の影響を最小化するために、修正された凸形隅部保護方法が開示されている。この方法においては、水平トレンチと垂直トレンチの両方が、同じウェットエッチングステップにおいてエッチングされる。しかしながら、交差場所において、シリコンの小部分が、凸形隅部の露出を回避するために保存される。窒化物の層は、第1のウェットエッチングの後に堆積されて、すべての露出された(111)面を保護する。次いで、窒化物は、凸形隅部が形成される必要のある開口を備えて、パターン形成される。最終寸法は、
図19(a)〜19(d)に示されるように、開口の上端幅によって決まる。この方法においては、2つのマスクの間の調心不良は、凸形隅部の近くで小さいずれを生じさせるだけであり、トレンチの主要部は、影響を受けることがない。
【0068】
ウェットエッチングステップの後に、厚い酸化物マスク層が、容量性変換用に意図された表面に対して、堆積されパターン形成される。熱酸化層が、次いで、共振構造と電極の間の容量性ギャップサイズを画定する、犠牲層として成長させられる。ポリシリコン層が、堆積されパターン形成されて、実際の電極を形成する。最後に、デバイスがHF内に解放される。
【0069】
本明細書において開示された技法は、本明細書に含まれる開示を与えられれば、その他の半導体デバイスの設計、製造および製作に同様に応用できることは、当業者には明白であろう。
【0070】
開示された実施態様を参照して、本開示を説明的に記述した。開示された実施態様に対して、様々な修正および変更を、添付の特許請求の範囲に定義された本開示の範囲から逸脱することなく、当業者によって行うことができる。