特許第6893180号(P6893180)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6893180-モバイル電源に基づく給電制御方法 図000002
  • 特許6893180-モバイル電源に基づく給電制御方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6893180
(24)【登録日】2021年6月2日
(45)【発行日】2021年6月23日
(54)【発明の名称】モバイル電源に基づく給電制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20210614BHJP
【FI】
   H02J7/00 S
【請求項の数】10
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-566837(P2017-566837)
(86)(22)【出願日】2016年3月26日
(65)【公表番号】特表2018-524962(P2018-524962A)
(43)【公表日】2018年8月30日
(86)【国際出願番号】CN2016077444
(87)【国際公開番号】WO2017000597
(87)【国際公開日】20170105
【審査請求日】2018年2月5日
(31)【優先権主張番号】201510377011.6
(32)【優先日】2015年6月30日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516073819
【氏名又は名称】広東天物新材料科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】黄 偉聡
【審査官】 坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/090818(WO,A1)
【文献】 特開平02−226080(JP,A)
【文献】 特表2018−501771(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0122791(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0131341(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロコントローラを含む加熱回路を備える電気加熱製品へ接続されるモバイル電源から前記電気加熱製品への給電を、前記マイクロコントローラを用いて制御する方法であって、前記マイクロコントローラは、加熱回路へパルス電圧を入力可能であり、前記モバイル電源は、ユーザによりオンにされて給電を開始し、前記加熱回路内の電流Aの大きさが前記モバイル電源に設定された所定電流A0の大きさよりも所定時間継続して小さい場合に動作を停止し、
ユーザによりモバイル電源がオンにされると、前記モバイル電源からの給電により前記加熱回路による加熱を始めるステップ1と、
前記流Aの大きさを電流検出装置により検出し、前記電流Aの大きさと前記モバイル電源に設定された所定電流A0の大きさとを比較するステップ2と、
前記電流Aの大きさが前記所定電流A0の大きさよりも大きければ、前記加熱回路による加熱を継続させ、前記電流Aの大きさが前記所定電流A0の大きさよりも小さければ、次記するステップに進むステップと、
前記マイクロコントローラが、前記所定時間よりも短いt1時間おきに、継続時間が前記t1時間よりも短いt2時間となるパルス電圧を記加熱回路へ送信し、これにより前記電流Aの値を増大させて前記加熱回路に加熱動作をさせることにより前記モバイル電源をアクティブ状態に維持させステップと、
前記電気加熱製品における前記加熱回路の温度が設定値に達したことを前記マイクロコントローラが検出すると、前記マイクロコントローラは、前記加熱回路による加熱を停止させて、ステップ2からステップ4を繰り返すステップと、を含む
ことを特徴とする給電制御方法。
【請求項2】
マイクロコントローラを含む加熱回路を備える電気加熱製品へ接続されるモバイル電源から前記電気加熱製品への給電を、前記マイクロコントローラを用いて制御する方法であって、前記マイクロコントローラは、加熱回路へパルス電圧を入力可能であり、前記モバイル電源は、ユーザによりオンにされて給電を開始し、前記電気加熱製品への出力電圧が降圧してこの降圧出力が所定時間継続すると動作を停止し、
ユーザによりモバイル電源がオンされると、前記モバイル電源からの給電により前記加熱回路による加熱を始めるステップ1と、
温度検出装置を用いて前記熱回路の温度Tを検出し、前記マイクロコントローラにより、検出された温度Tを予め設定された温度T0と比較するステップ2と
前記温度Tの値が前記温度T0の値よりも小さければ、前記モバイル電源からの給電を受ける前記加熱回路による加熱を継続させるステップ3と
前記温度Tの値が前記温度T0の値よりも大きければ、前記マイクロコントローラが前記加熱回路による加熱を継続させなくして前記モバイル電源の前記加熱回路への出力電圧を下げさせて、次記するステップに進むステップと、
前記マイクロコントローラは、前記所定時間よりも短いt1時間おきに、継続時間が前記t1時間よりも短いt2時間となるパルス電圧を記加熱回路へ送信し、これにより、前記モバイル電源の出力電圧が下がっていない状態にして前記加熱回路に加熱動作をさせることにより前記モバイル電源をアクティブ状態に維持させるステップ5と
前記温度Tの値が設定値に達したことを前記マイクロコントローラが検出すると、前記マイクロコントローラは、加熱回路による加熱を停止させて、ステップ2からステップ4を繰り返すステップと、を含む
ことを特徴とする給電制御方法。
【請求項3】
前記t1時間が1〜30秒であり、記t2時間が0.1〜2秒である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の給電制御方法。
【請求項4】
前記所定電流A0の大きさは10〜20mAである
ことを特徴とする請求項1に記載の給電制御方法。
【請求項5】
前記マイクロコントローラは電流検出プログラムを実行することにより、前記電流検出装置を兼用する
ことを特徴とする請求項1に記載の給電制御方法。
【請求項6】
前記温度T0の値がブルートゥース(登録商標)通信モジュールを用いてユーザによって設定される
ことを特徴とする請求項2に記載の給電制御方法。
【請求項7】
ステップ2の比較より、前記電流Aの大きさ前記所定電流A0の大きさに等しければ、前記マイクロコントローラは、前記加熱回路による加熱を継続させる
ことを特徴とする請求項1に記載の給電制御方法。
【請求項8】
ステップ2の比較より前記電流Aの大きさ前記所定電流A0の大きさに等しければ、ステップに進む
ことを特徴とする請求項1に記載の給電制御方法。
【請求項9】
ステップ2の比較より前記温度Tが予め設定された値T0に等しければ、前記マイクロコントローラは、前記加熱回路による加熱を継続させる
ことを特徴とする請求項2に記載の給電制御方法。
【請求項10】
ステップ2において、前記温度Tが予め設定された値T0に等しければ、ステップに進む
ことを特徴とする請求項2に記載の給電制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路制御技術分野に関し、特に、モバイル電源に基づく給電制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル型電源付きの電気製品は、人々に多くの利便性を提供しているが、従来のモバイル型電源付きの電気製品に用いられる内蔵電源は、特製の電源になっており、その欠点として、特製の電源が壊れた際、市販の汎用モバイル電源を適用して給電することができない。これは、市販の汎用モバイル電源には休眠電流制限が設定されており、即ち、1分間継続して動作電流が所定の電流値よりも小さい場合、例えば、設定温度に達した際や動作状態の際に、出力電力を下げる必要がある場合、モバイル電源が動作を停止することになり、モバイル電源をアクティブにするためには、手動でモバイル電源のスイッチを入れなければならないので、使用者の使用に大きな影響を与えてしまうからである。
【0003】
また、電気加熱製品(例えば、電気毛布や電気加熱衣類)技術分野の発展動向としては、知能制御による加熱があり、知能制御による加熱では、省エネルギーの目的を実現できるとともに、人々により快適な温度環境を提供できる。しかしながら、汎用のモバイル電源が使えないため、電気加熱製品のさらなる発展が制限されてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、従来技術の問題点を克服し、加熱回路が設定温度値に達した際や降温の際に、モバイル電源が休眠状態に入ることを防止可能な制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記技術的問題を解決するために、本発明は、加熱回路へパルス電圧を入力可能なマイクロコントローラを含み、
モバイル電源をオンにすると、加熱回路が加熱し始めるステップ1と、
電流検出装置によって現在の電流Aの大きさを検出し、電流Aが休眠電流A0よりも大きければ、加熱回路が加熱を継続し、電流Aが休眠電流A0よりも小さければ、ステップ3に進むステップ2と、
マイクロコントローラが、t1時間おきに、継続時間がt2となるパルス電圧を加熱回路へ送信し、モバイル電源をアクティブ状態に維持させ、ステップ2を繰り返すステップ3と、
温度が設定値に達すると、加熱回路が加熱を停止して、ステップ2を繰り返すステップ4と、を含む。
【0006】
上記の制御方法のほかに、本発明は、もう1つのモバイル電源に基づく給電制御方法を更に提供しており、この方法は、加熱回路へパルス電圧を入力可能なマイクロコントローラを含み、
モバイル電源をオンにすると、加熱回路が加熱し始めるステップ1と、
温度検出装置によって加熱領域の温度Tを検出し、温度Tが予め設定された温度T0よりも小さければ、加熱回路が加熱を継続し、温度Tが予め設定された温度T0よりも大きければ、モバイル電源が降圧出力し、ステップ3に進むステップ2と、
マイクロコントローラが、t1時間おきに、継続時間がt2となるパルス電圧を加熱回路へ送信し、モバイル電源をアクティブ状態に維持させ、ステップ2を繰り返すステップ3と、を含む。
【0007】
好ましくは、上記t1時間が1〜30秒であり、上記t2時間が0.1〜1秒である。
【0008】
好ましくは、上記電流A0が10〜20mAである。
【0009】
好ましくは、上記電流検出装置がマイクロコントローラである。
【0010】
好ましくは、上記温度Tが初期化制御回路板又はブルートゥース通信モジュールによって設定される。
【0011】
好ましくは、ステップ2において、電流Aが休眠電流A0に等しければ、加熱回路が加熱を継続する。
【0012】
好ましくは、ステップ2において、電流Aが休眠電流A0に等しければ、ステップ3に進む。
【0013】
好ましくは、ステップ2において、温度Tが予め設定された値T0に等しければ、加熱回路が加熱を継続する。
【0014】
好ましくは、ステップ2において、温度Tが予め設定された値T0に等しければ、ステップ3に進む。
【発明の効果】
【0015】
従来技術に比べると、本発明のモバイル電源に基づく給電制御方法を採用した場合、既に幅広く使用されているモバイル電源を用いて給電しても、モバイル電源が休眠状態に入ってしまう事態が発生することなく、具体的には、加熱回路にパルス電圧信号を加えることで、モバイル電源をアクティブにし続け、加熱回路の正常動作を保証し、使用者に最大限の利便性を提供している。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明による1つの実施例のステップを示すブロック図である。
図2図2は、本発明によるもう1つの実施例のステップを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面及び具体的な実施例を参照して、本発明を更に詳しく説明する。
【0018】
図1に示すように、本発明による第一実施例は、モバイル電源に基づく給電制御方法を提供しており、この方法は、加熱回路へパルス電圧を入力可能なマイクロコントローラを含み、ならびに、以下のステップ1〜ステップ4を含む。
【0019】
ステップ1としては、モバイル電源をオンにすると、加熱回路が加熱し始める。
【0020】
ステップ2としては、電流検出装置によって現在の電流Aの大きさを検出し、電流Aが休眠電流A0よりも大きければ、加熱回路が加熱を継続し、電流Aが、10〜20mAとなる休眠電流A0よりも小さければ、ステップ3に進む。また、電流Aが休眠電流A0に等しい場合は、2つの異なる制御方法が設定可能で、1つは、加熱回路が加熱を継続するように設定することであり、もう1つは、ステップ3に進むように設定することであり、後者の設定は、信頼性がより高く、これは、一部のモバイル電源の休眠電流がそもそもA0に等しくなっているからである。
【0021】
ステップ3としては、マイクロコントローラが、t1時間おきに、継続時間がt2となるパルス電圧を加熱回路へ送信し、モバイル電源をアクティブ状態に維持させ、ステップ2を繰り返す。好ましくは、t1時間が1〜30秒であり、t2時間が0.1〜1秒である。
【0022】
ステップ4としては、温度が設定値に達すると、加熱回路が加熱を停止して、ステップ2を繰り返す。
【0023】
現在の電流Aについては、マイクロコントローラによって現在の出力電圧を検出することで、電流Aの大きさを特定することが可能であり、好ましくは、マイクロコントローラに電流検出プログラムを組み込んで、電流検出プログラムによって現在の電流値を検出し、こうすれば、外部の電流検出回路が省かれ、製品の体積及び製造コストが効果的に低減される。
【0024】
本実施例の動作原理としては、まず、スイッチを押下して、加熱回路をオンにし、この時、電流検出プログラムは、加熱回路における電流量を検出することになり、現在の電流量が10〜20mAよりも少ないことが検出された場合、モバイル電源をアクティブにし、モバイル電源が休眠に入ることを防止するために、加熱回路におけるマイクロコントローラは、1〜30秒おきに、継続時間が0.1〜1秒となるパルス電圧を加熱回路へ送信し、現在の電流量が10〜20mAよりも大きいことが検出された場合、マイクロコントローラは、一旦パルス電圧を送信せず、加熱回路は、加熱を継続する。ただし、温度が予め設定された温度値に達すると、マイクロコントローラは、出力電力を下げて、加熱回路における電流量を低減させるようにし、電流量が10〜20mAよりも少なくなると、マイクロコントローラは、加熱回路へパルス電圧を送信して、モバイル電源を動作し続けさせ、温度を設定温度の範囲内に維持させる。
【0025】
図2に示すように、本発明は、もう1つのモバイル電源に基づく給電制御方法を提供しており、この方法は、加熱回路へパルス電圧を入力可能なマイクロコントローラを含み、ならびに、以下のステップ1〜ステップ3を含む。
【0026】
ステップ1としては、モバイル電源をオンにすると、加熱回路が加熱し始める。
【0027】
ステップ2としては、温度検出装置によって加熱領域の温度Tを検出し、温度Tが予め設定された温度T0よりも小さければ、加熱回路が加熱を継続し、温度Tが予め設定された温度T0よりも大きければ、モバイル電源が降圧出力し、ステップ3に進む。また、温度Tが予め設定された値T0に等しい場合は、2つの異なる制御方法が設定可能であり、1つは、加熱回路が加熱を継続するように設定することであり、もう1つは、ステップ3に進むように設定することであり、同様に、後者の設定は、信頼性のより高い動作状態が得られる。
【0028】
ステップ3としては、マイクロコントローラが、t1時間おきに、継続時間がt2となるパルス電圧を加熱回路へ送信し、モバイル電源をアクティブ状態に維持させ、ステップ2を繰り返す。同様に、t1時間が1〜30秒であり、t2時間が0.1〜1秒であることが好ましい。
【0029】
本実施例による制御方法は、設定された温度をパルスオンの節点とすることで、製品の操作性をより豊かにし、制御をより簡便にしている。
【0030】
また、加熱回路の給電電源の製品として、現在に使用されているモバイル電源は、その温度調節が、ノッチでしか調節できず、自身に適した温度を具体的に設定不能である一方、本発明の場合、温度値は、初期化制御回路板によって使用者のニーズに合った温度値に設定可能である。また、加熱回路にブルートゥース送受信モジュールを付設し、ブルートゥースデバイスを用いて、加熱回路におけるブルートゥース送受信モジュールと通信してもよく、こうすれば、ブルートゥースデバイスにて温度値を予め設定しておくことが可能になる。
【0031】
本発明は、特製の給電電源を用いることがなくなり、既に幅広く使用されているモバイル電源で給電を行うため、加熱製品の汎用性を大きく向上させている。また、モバイル電源が休眠状態に入ることを防止するために、本発明は、加熱回路にパルス電圧信号を加えることで、モバイル電源をアクティブにし続け、加熱回路の正常動作を保証しているので、モバイル電源を頻繁にオン/オフする必要がなくなり、使用者に最大限の利便性を提供している。
【0032】
当業者は、上述した明細書の開示及び教示に従って、上記の実施形態を変更や修正することも可能である。そのため、本発明は、上述に開示及び記載の具体的な実施形態に限定されるものではなく、本発明に対する何らかの修正や変更も、本発明の請求項の保護範囲内とするべきである。なお、本明細書には、一部の特定の用語が使用されているが、これらの用語は、説明の便宜のためであり、本発明へのいかなる制限にもならない。
図1
図2