特許第6893182号(P6893182)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6893182
(24)【登録日】2021年6月2日
(45)【発行日】2021年6月23日
(54)【発明の名称】リアクトル及び昇圧回路
(51)【国際特許分類】
   H01F 37/00 20060101AFI20210614BHJP
   H01F 27/24 20060101ALI20210614BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20210614BHJP
   H01F 27/255 20060101ALI20210614BHJP
   H01F 41/12 20060101ALI20210614BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20210614BHJP
【FI】
   H01F37/00 A
   H01F37/00 M
   H01F37/00 C
   H01F37/00 G
   H01F27/24 J
   H01F27/24 K
   H01F27/28 K
   H01F27/255
   H01F41/12 D
   H02M3/155 W
   H02M3/155 Y
【請求項の数】13
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2018-5438(P2018-5438)
(22)【出願日】2018年1月17日
(65)【公開番号】特開2019-125704(P2019-125704A)
(43)【公開日】2019年7月25日
【審査請求日】2020年4月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134257
【氏名又は名称】株式会社トーキン
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148840
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 健志
(74)【代理人】
【識別番号】100191673
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 久典
(72)【発明者】
【氏名】阿部 有希
(72)【発明者】
【氏名】山家 孝志
(72)【発明者】
【氏名】近藤 将寛
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】赤木 啓祐
【審査官】 秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−073052(JP,A)
【文献】 特開2014−078577(JP,A)
【文献】 特開2013−093921(JP,A)
【文献】 特開2017−045765(JP,A)
【文献】 特開2016−207992(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 37/00
H01F 27/24
H01F 27/255
H01F 27/28
H01F 41/12
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コイルと、第2コイルと、コアとを備えるリアクトルであって、
前記第1コイル及び前記第2コイルは、前記コアに埋設されており、
前記第1コイルは、上下方向に延びる第1巻軸を有する第1コイル本体部を備えており、
前記第2コイルは、前記上下方向に延びる第2巻軸を有する第2コイル本体部を備えており、
前記第1コイル本体部は、前記上下方向において前記第2コイル本体部から離れて上方に位置しており、
前記第1コイル及び前記第2コイルの夫々は、前記第1巻軸と前記第2巻軸とを含む平面内において、1つのコイル断面を更に有しており、
前記コイル断面は、外周部と、内周部と、上端部と、下端部とを有しており、
前記内周部は、前記第1巻軸と直交する径方向において前記外周部の内側に位置しており、
前記上端部は、前記上下方向において前記下端部の上方に位置しており、
前記コアは、外側コアと、内側コアと、上側コアと、下側コアと、中間コアとを有しており、
前記外側コアは、前記径方向において、前記第1コイルの前記コイル断面の前記外周部及び前記第2コイルの前記コイル断面の前記外周部の夫々の外側に位置しており、
前記内側コアは、前記径方向において、前記第1コイルの前記コイル断面の前記内周部及び前記第2コイルの前記コイル断面の前記内周部の内側に位置しており、
前記外側コア及び前記内側コアの夫々は、前記上下方向において前記上側コアと前記下側コアとの間に位置しており、
前記外側コアは、外側第1コアと、外側第2コアと、外側第3コアとを有しており、
前記内側コアは、内側第1コアと、内側第2コアと、内側第3コアとを有しており、
前記外側第1コア及び前記内側第1コアの夫々は、前記径方向において前記第1コイル本体部と対向しており、
前記外側第2コア及び前記内側第2コアの夫々は、前記径方向において前記中間コアと対向しており、
前記外側第3コア及び前記内側第3コアの夫々は、前記径方向において前記第2コイル本体部と対向しており、
前記上側コアは、前記上下方向において、前記第1コイルの前記コイル断面の前記上端部の上方に位置しており、
前記下側コアは、前記上下方向において、前記第2コイルの前記コイル断面の前記下端部の下方に位置しており、
前記中間コアは、前記上下方向において前記第1コイル本体部と前記第2コイル本体部との間に位置しており、
前記中間コアは、前記径方向において前記内側コアと前記外側コアとの間に位置しており、
前記コアは、低比透磁率材料と高比透磁率材料とで構成されており、
前記高比透磁率材料は、前記低比透磁率材料よりも高い比透磁率を有しており、
前記外側第1コア及び前記外側第2コアの一方は、前記低比透磁率材料で構成されており、
前記外側第1コア及び前記外側第2コアの残りの一方は、前記低比透磁率材料又は前記高比透磁率材料で構成されており、
前記外側第1コアが前記低比透磁率材料で構成されている場合、前記外側第3コアは前記低比透磁率材料で構成されており、
前記外側第1コアが前記高比透磁率材料で構成されている場合、前記外側第3コアは前記高比透磁率材料で構成されており、
前記内側第1コア及び前記内側第2コアの一方は、前記低比透磁率材料で構成されており、
前記内側第1コア及び前記内側第2コアの残りの一方は、前記低比透磁率材料又は前記高比透磁率材料で構成されており、
前記内側第1コアが前記低比透磁率材料で構成されている場合、前記内側第3コアは前記低比透磁率材料で構成されており、
前記内側第1コアが前記高比透磁率材料で構成されている場合、前記内側第3コアは前記高比透磁率材料で構成されており、
前記上側コア及び前記下側コアの夫々は、前記高比透磁率材料で構成されており、
前記中間コアは、前記低比透磁率材料又は前記高比透磁率材料で構成されており、
前記外側第1コア、前記外側第2コア及び前記外側第3コアの夫々は、前記低比透磁率材料で構成されており、
前記内側第1コア、前記内側第2コア及び前記内側第3コアの夫々は、前記低比透磁率材料で構成されている
リアクトル。
【請求項2】
第1コイルと、第2コイルと、コアとを備えるリアクトルであって、
前記第1コイル及び前記第2コイルは、前記コアに埋設されており、
前記第1コイルは、上下方向に延びる第1巻軸を有する第1コイル本体部を備えており、
前記第2コイルは、前記上下方向に延びる第2巻軸を有する第2コイル本体部を備えており、
前記第1コイル本体部は、前記上下方向において前記第2コイル本体部から離れて上方に位置しており、
前記第1コイル及び前記第2コイルの夫々は、前記第1巻軸と前記第2巻軸とを含む平面内において、1つのコイル断面を更に有しており、
前記コイル断面は、外周部と、内周部と、上端部と、下端部とを有しており、
前記内周部は、前記第1巻軸と直交する径方向において前記外周部の内側に位置しており、
前記上端部は、前記上下方向において前記下端部の上方に位置しており、
前記コアは、外側コアと、内側コアと、上側コアと、下側コアと、中間コアとを有しており、
前記外側コアは、前記径方向において、前記第1コイルの前記コイル断面の前記外周部及び前記第2コイルの前記コイル断面の前記外周部の夫々の外側に位置しており、
前記内側コアは、前記径方向において、前記第1コイルの前記コイル断面の前記内周部及び前記第2コイルの前記コイル断面の前記内周部の内側に位置しており、
前記外側コア及び前記内側コアの夫々は、前記上下方向において前記上側コアと前記下側コアとの間に位置しており、
前記外側コアは、外側第1コアと、外側第2コアと、外側第3コアとを有しており、
前記内側コアは、内側第1コアと、内側第2コアと、内側第3コアとを有しており、
前記外側第1コア及び前記内側第1コアの夫々は、前記径方向において前記第1コイル本体部と対向しており、
前記外側第2コア及び前記内側第2コアの夫々は、前記径方向において前記中間コアと対向しており、
前記外側第3コア及び前記内側第3コアの夫々は、前記径方向において前記第2コイル本体部と対向しており、
前記上側コアは、前記上下方向において、前記第1コイルの前記コイル断面の前記上端部の上方に位置しており、
前記下側コアは、前記上下方向において、前記第2コイルの前記コイル断面の前記下端部の下方に位置しており、
前記中間コアは、前記上下方向において前記第1コイル本体部と前記第2コイル本体部との間に位置しており、
前記中間コアは、前記径方向において前記内側コアと前記外側コアとの間に位置しており、
前記コアは、低比透磁率材料と高比透磁率材料とで構成されており、
前記高比透磁率材料は、前記低比透磁率材料よりも高い比透磁率を有しており、
前記外側第1コア及び前記外側第2コアの一方は、前記低比透磁率材料で構成されており、
前記外側第1コア及び前記外側第2コアの残りの一方は、前記低比透磁率材料又は前記高比透磁率材料で構成されており、
前記外側第1コアが前記低比透磁率材料で構成されている場合、前記外側第3コアは前記低比透磁率材料で構成されており、
前記外側第1コアが前記高比透磁率材料で構成されている場合、前記外側第3コアは前記高比透磁率材料で構成されており、
前記内側第1コア及び前記内側第2コアの一方は、前記低比透磁率材料で構成されており、
前記内側第1コア及び前記内側第2コアの残りの一方は、前記低比透磁率材料又は前記高比透磁率材料で構成されており、
前記内側第1コアが前記低比透磁率材料で構成されている場合、前記内側第3コアは前記低比透磁率材料で構成されており、
前記内側第1コアが前記高比透磁率材料で構成されている場合、前記内側第3コアは前記高比透磁率材料で構成されており、
前記上側コア及び前記下側コアの夫々は、前記高比透磁率材料で構成されており、
前記中間コアは、前記低比透磁率材料又は前記高比透磁率材料で構成されており、
前記外側第1コア及び前記外側第3コアの夫々は、前記高比透磁率材料で構成されており、
前記外側第2コアは、前記低比透磁率材料で構成されており、
前記内側第1コア及び前記内側第3コアの夫々は、前記高比透磁率材料で構成されており、
前記内側第2コアは、前記低比透磁率材料で構成されている
リアクトル。
【請求項3】
第1コイルと、第2コイルと、コアとを備えるリアクトルであって、
前記第1コイル及び前記第2コイルは、前記コアに埋設されており、
前記第1コイルは、上下方向に延びる第1巻軸を有する第1コイル本体部を備えており、
前記第2コイルは、前記上下方向に延びる第2巻軸を有する第2コイル本体部を備えており、
前記第1コイル本体部は、前記上下方向において前記第2コイル本体部から離れて上方に位置しており、
前記第1コイル及び前記第2コイルの夫々は、前記第1巻軸と前記第2巻軸とを含む平面内において、1つのコイル断面を更に有しており、
前記コイル断面は、外周部と、内周部と、上端部と、下端部とを有しており、
前記内周部は、前記第1巻軸と直交する径方向において前記外周部の内側に位置しており、
前記上端部は、前記上下方向において前記下端部の上方に位置しており、
前記コアは、外側コアと、内側コアと、上側コアと、下側コアと、中間コアとを有しており、
前記外側コアは、前記径方向において、前記第1コイルの前記コイル断面の前記外周部及び前記第2コイルの前記コイル断面の前記外周部の夫々の外側に位置しており、
前記内側コアは、前記径方向において、前記第1コイルの前記コイル断面の前記内周部及び前記第2コイルの前記コイル断面の前記内周部の内側に位置しており、
前記外側コア及び前記内側コアの夫々は、前記上下方向において前記上側コアと前記下側コアとの間に位置しており、
前記外側コアは、外側第1コアと、外側第2コアと、外側第3コアとを有しており、
前記内側コアは、内側第1コアと、内側第2コアと、内側第3コアとを有しており、
前記外側第1コア及び前記内側第1コアの夫々は、前記径方向において前記第1コイル本体部と対向しており、
前記外側第2コア及び前記内側第2コアの夫々は、前記径方向において前記中間コアと対向しており、
前記外側第3コア及び前記内側第3コアの夫々は、前記径方向において前記第2コイル本体部と対向しており、
前記上側コアは、前記上下方向において、前記第1コイルの前記コイル断面の前記上端部の上方に位置しており、
前記下側コアは、前記上下方向において、前記第2コイルの前記コイル断面の前記下端部の下方に位置しており、
前記中間コアは、前記上下方向において前記第1コイル本体部と前記第2コイル本体部との間に位置しており、
前記中間コアは、前記径方向において前記内側コアと前記外側コアとの間に位置しており、
前記コアは、低比透磁率材料と高比透磁率材料とで構成されており、
前記高比透磁率材料は、前記低比透磁率材料よりも高い比透磁率を有しており、
前記外側第1コア及び前記外側第2コアの一方は、前記低比透磁率材料で構成されており、
前記外側第1コア及び前記外側第2コアの残りの一方は、前記低比透磁率材料又は前記高比透磁率材料で構成されており、
前記外側第1コアが前記低比透磁率材料で構成されている場合、前記外側第3コアは前記低比透磁率材料で構成されており、
前記外側第1コアが前記高比透磁率材料で構成されている場合、前記外側第3コアは前記高比透磁率材料で構成されており、
前記内側第1コア及び前記内側第2コアの一方は、前記低比透磁率材料で構成されており、
前記内側第1コア及び前記内側第2コアの残りの一方は、前記低比透磁率材料又は前記高比透磁率材料で構成されており、
前記内側第1コアが前記低比透磁率材料で構成されている場合、前記内側第3コアは前記低比透磁率材料で構成されており、
前記内側第1コアが前記高比透磁率材料で構成されている場合、前記内側第3コアは前記高比透磁率材料で構成されており、
前記上側コア及び前記下側コアの夫々は、前記高比透磁率材料で構成されており、
前記中間コアは、前記低比透磁率材料又は前記高比透磁率材料で構成されており、
前記外側第1コア、前記外側第2コア及び前記外側第3コアの夫々は、前記低比透磁率材料で構成されており、
前記内側第1コア及び前記内側第3コアの夫々は、前記高比透磁率材料で構成されており、
前記内側第2コアは、前記低比透磁率材料で構成されている
リアクトル。
【請求項4】
請求項1から請求項までのいずれかに記載のリアクトルであって、
前記第1コイル本体部及び前記第2コイル本体部の夫々は、平角線をフラットワイズ巻きしてなるものである
リアクトル。
【請求項5】
請求項1から請求項までのいずれかに記載のリアクトルであって、
前記第1コイル本体部及び前記第2コイル本体部の夫々は、平角線をエッジワイズ巻きしてなるものである
リアクトル。
【請求項6】
請求項1から請求項までのいずれかに記載のリアクトルであって、
前記高比透磁率材料は、圧粉コアであり、
前記低比透磁率材料は、硬化した結合剤と、前記結合剤内部に分散配置された磁性体粉末とを有する複合磁性体からなるコアである
リアクトル。
【請求項7】
請求項1から請求項までのいずれかに記載のリアクトルであって、
前記第1コイル本体部と前記第2コイル本体部との結合係数をkとするとき、零磁界において0.2≦k≦0.8を満たす
リアクトル。
【請求項8】
請求項1から請求項までのいずれかに記載のリアクトルであって、
前記第1コイル本体部と前記第2コイル本体部との間の距離をdとするとき、1mm≦d≦5mmを満たす
リアクトル。
【請求項9】
請求項1から請求項までのいずれかに記載のリアクトルであって、
前記低比透磁率材料の比透磁率をμLとするとき、3≦μL≦40を満たす
リアクトル。
【請求項10】
請求項1から請求項までのいずれかに記載のリアクトルであって、
前記高比透磁率材料の比透磁率をμとするとき、40<μ≦300を満たす
リアクトル。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれかに記載のリアクトルであって、
前記低比透磁率材料は、非磁性ギャップを有している
リアクトル。
【請求項12】
請求項1から請求項11までのいずれかに記載のリアクトルであって、
前記リアクトルは、ケースを更に有しており、
前記ケースは、アルミ製又は樹脂製であり、
前記第1コイル、前記第2コイル及び前記コアは、前記ケース内に配置されている
リアクトル。
【請求項13】
電源と、第1スイッチング素子と、第2スイッチング素子と、第1整流素子と、第2整流素子と、請求項1から請求項12までのいずれかに記載のリアクトルとを備える昇圧回路であって、
前記第1スイッチング素子と、前記第1整流素子と、前記リアクトルの前記第1コイルとは、前記電源の出力をチョッピングして昇圧する第1昇圧チョッパ回路を構成しており、
前記第2スイッチング素子と、前記第2整流素子と、前記リアクトルの前記第2コイルとは、前記電源の出力をチョッピングして昇圧する第2昇圧チョッパ回路を構成しており、
前記第1昇圧チョッパ回路と前記第2昇圧チョッパ回路とは、並列に接続されており、
前記第1昇圧チョッパ回路及び前記第2昇圧チョッパ回路の夫々をインターリーブ動作させる
昇圧回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つのコイルと、コアとを備えるリアクトル及びリアクトルを備える昇圧回路に関する。
【背景技術】
【0002】
大電流に対応した昇圧回路として、リアクトルを用いたインターリーブ方式の昇圧回路が求められている。リアクトルを用いたインターリーブ方式の昇圧回路としては、例えば特許文献1に開示されている。このような昇圧回路に用いられるリアクトルとしては、例えば、特許文献2に開示されたものがある。図10を参照すると、特許文献2のリアクトル800は、2つのコイル810と、コア850と、中蓋880とを有している。コア850は、磁性粉末と樹脂とを混合して、所定の型に充填し、成形された注型コアである。2つのコイル810は、コア850に埋め込まれている。中蓋880は、樹脂からなる円環状の平板である。中蓋880は、2つのコイル810の間に挟まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−127049号公報
【特許文献2】特開2017−168587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2のリアクトル800においては、2つのコイル810の結合係数が高いほど磁気特性が向上する。また、特許文献2のリアクトル800のようなリアクトルを2相のインターリーブ方式の昇圧回路に用いた場合、リップル電流抑制の観点から、昇圧比(Duty比)を0.5、2つのコイルの結合係数を1とした構成が最も望ましく、昇圧比を0.5から外れた値に設定した場合、結合係数を高くすると急激にリップル電流が増大することが知られている。
【0005】
一方、実際の仕様に合わせて、昇圧回路に適した昇圧比にある程度の幅を持たせたいとのニーズがある。このように、ある程度の幅の昇圧比の範囲において、高い磁気特性とリップル電流の抑制を両立するためには、2つのコイルの結合係数を適切な値に調整する必要がある。
【0006】
そこで本発明は、2つのコイルの結合係数を適切な値に調整可能なリアクトルを提供することを目的とする。また、本発明の目的は、このようなリアクトルを用いた昇圧回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願人は、鋭意検討を重ねた結果、2つのコイルの上下に高比透磁率材料で構成されるコアを配置し、2つのコイルの内側及び外側に低比透磁率材料で構成されるコアを配置することにより、2つのコイルの間の距離を調整して2つのコイルの結合係数を容易に調整可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、第1のリアクトルとして、
第1コイルと、第2コイルと、コアとを備えるリアクトルであって、
前記第1コイル及び前記第2コイルは、前記コアに埋設されており、
前記第1コイルは、上下方向に延びる第1巻軸を有する第1コイル本体部を備えており、
前記第2コイルは、前記上下方向に延びる第2巻軸を有する第2コイル本体部を備えており、
前記第1コイル本体部は、前記上下方向において前記第2コイル本体部から離れて上方に位置しており、
前記第1コイル及び前記第2コイルの夫々は、前記第1巻軸と前記第2巻軸とを含む平面内において、1つのコイル断面を更に有しており、
前記コイル断面は、外周部と、内周部と、上端部と、下端部とを有しており、
前記内周部は、前記第1巻軸と直交する径方向において前記外周部の内側に位置しており、
前記上端部は、前記上下方向において前記下端部の上方に位置しており、
前記コアは、外側コアと、内側コアと、上側コアと、下側コアと、中間コアとを有しており、
前記外側コアは、前記径方向において、前記第1コイルの前記コイル断面の前記外周部及び前記第2コイルの前記コイル断面の前記外周部の夫々の外側に位置しており、
前記内側コアは、前記径方向において、前記第1コイルの前記コイル断面の前記内周部及び前記第2コイルの前記コイル断面の前記内周部の内側に位置しており、
前記外側コア及び前記内側コアの夫々は、前記上下方向において前記上側コアと前記下側コアとの間に位置しており、
前記外側コアは、外側第1コアと、外側第2コアと、外側第3コアとを有しており、
前記内側コアは、内側第1コアと、内側第2コアと、内側第3コアとを有しており、
前記外側第1コア及び前記内側第1コアの夫々は、前記径方向において前記第1コイル本体部と対向しており、
前記外側第2コア及び前記内側第2コアの夫々は、前記径方向において前記中間コアと対向しており、
前記外側第3コア及び前記内側第3コアの夫々は、前記径方向において前記第2コイル本体部と対向しており、
前記上側コアは、前記上下方向において、前記第1コイルの前記コイル断面の前記上端部の上方に位置しており、
前記下側コアは、前記上下方向において、前記第2コイルの前記コイル断面の前記下端部の下方に位置しており、
前記中間コアは、前記上下方向において前記第1コイル本体部と前記第2コイル本体部との間に位置しており、
前記中間コアは、前記径方向において前記内側コアと前記外側コアとの間に位置しており、
前記コアは、低比透磁率材料と高比透磁率材料とで構成されており、
前記高比透磁率材料は、前記低比透磁率材料よりも高い比透磁率を有しており、
前記外側第1コア及び前記外側第2コアの一方は、前記低比透磁率材料で構成されており、
前記外側第1コア及び前記外側第2コアの残りの一方は、前記低比透磁率材料又は前記高比透磁率材料で構成されており、
前記外側第1コアが前記低比透磁率材料で構成されている場合、前記外側第3コアは前記低比透磁率材料で構成されており、
前記外側第1コアが前記高比透磁率材料で構成されている場合、前記外側第3コアは前記高比透磁率材料で構成されており、
前記内側第1コア及び前記内側第2コアの一方は、前記低比透磁率材料で構成されており、
前記内側第1コア及び前記内側第2コアの残りの一方は、前記低比透磁率材料又は前記高比透磁率材料で構成されており、
前記内側第1コアが前記低比透磁率材料で構成されている場合、前記内側第3コアは前記低比透磁率材料で構成されており、
前記内側第1コアが前記高比透磁率材料で構成されている場合、前記内側第3コアは前記高比透磁率材料で構成されており、
前記上側コア及び前記下側コアの夫々は、前記高比透磁率材料で構成されており、
前記中間コアは、前記低比透磁率材料又は前記高比透磁率材料で構成されている
リアクトルを提供する。
【0009】
また、本発明は、第2のリアクトルとして、第1のリアクトルであって、
前記外側第1コア、前記外側第2コア及び前記外側第3コアの夫々は、前記低比透磁率材料で構成されており、
前記内側第1コア、前記内側第2コア及び前記内側第3コアの夫々は、前記低比透磁率材料で構成されている
リアクトルを提供する。
【0010】
また、本発明は、第3のリアクトルとして、第1のリアクトルであって、
前記外側第1コア及び前記外側第3コアの夫々は、前記高比透磁率材料で構成されており、
前記外側第2コアは、前記低比透磁率材料で構成されており、
前記内側第1コア及び前記内側第3コアの夫々は、前記高比透磁率材料で構成されており、
前記内側第2コアは、前記低比透磁率材料で構成されている
リアクトルを提供する。
【0011】
また、本発明は、第4のリアクトルとして、第1のリアクトルであって、
前記外側第1コア、前記外側第2コア及び前記外側第3コアの夫々は、前記低比透磁率材料で構成されており、
前記内側第1コア及び前記内側第3コアの夫々は、前記高比透磁率材料で構成されており、
前記内側第2コアは、前記低比透磁率材料で構成されている
リアクトルを提供する。
【0012】
また、本発明は、第5のリアクトルとして、第1から第4までのいずれかのリアクトルであって、
前記第1コイル本体部及び前記第2コイル本体部の夫々は、平角線をフラットワイズ巻きしてなるものである
リアクトルを提供する。
【0013】
また、本発明は、第6のリアクトルとして、第1から第4までのいずれかのリアクトルであって、
前記第1コイル本体部及び前記第2コイル本体部の夫々は、平角線をエッジワイズ巻きしてなるものである
リアクトルを提供する。
【0014】
また、本発明は、第7のリアクトルとして、第1から第6までのいずれかのリアクトルであって、
前記高比透磁率材料は、圧粉コアであり、
前記低比透磁率材料は、硬化した結合剤と、前記結合剤内部に分散配置された磁性体粉末とを有する複合磁性体からなるコアである
リアクトルを提供する。
【0015】
また、本発明は、第8のリアクトルとして、第1から第7までのいずれかのリアクトルであって、
前記第1コイル本体部と前記第2コイル本体部との結合係数をkとするとき、零磁界において0.2≦k≦0.8を満たす
リアクトルを提供する。
【0016】
また、本発明は、第9のリアクトルとして、第1から第8までのいずれかのリアクトルであって、
前記第1コイル本体部と前記第2コイル本体部との間の距離をdとするとき、1mm≦d≦5mmを満たす
リアクトルを提供する。
【0017】
また、本発明は、第10のリアクトルとして、第1から9までのいずれかのリアクトルであって、
前記低比透磁率材料の比透磁率をμLとするとき、3≦μL≦40を満たす
リアクトルを提供する。
【0018】
また、本発明は、第11のリアクトルとして、第1から第10までのいずれかのリアクトルであって、
前記高比透磁率材料の比透磁率をμhとするとき、40<μh≦300を満たす
リアクトルを提供する。
【0019】
また、本発明は、第12のリアクトルとして、第1から第11までのいずれかのリアクトルであって、
前記低比透磁率材料は、非磁性ギャップを有している
リアクトルを提供する。
【0020】
また、本発明は、第13のリアクトルとして、第1から第12までのいずれかのリアクトルであって、
前記リアクトルは、ケースを更に有しており、
前記ケースは、アルミ製又は樹脂製であり
前記第1コイル、前記第2コイル及び前記コアは、前記ケース内に配置されている
リアクトルを提供する。
【0021】
また、本発明は、第1の昇圧回路として、
電源と、第1スイッチング素子と、第2スイッチング素子と、第1整流素子と、第2整流素子と、第1から第13までのいずれかのリアクトルとを備える昇圧回路であって、
前記第1スイッチング素子と、前記第1整流素子と、前記リアクトルの前記第1コイルとは、前記電源の出力をチョッピングして昇圧する第1昇圧チョッパ回路を構成しており、
前記第2スイッチング素子と、前記第2整流素子と、前記リアクトルの前記第2コイルとは、前記電源の出力をチョッピングして昇圧する第2昇圧チョッパ回路を構成しており、
前記第1昇圧チョッパ回路と前記第2昇圧チョッパ回路とは、並列に接続されており、
前記第1昇圧チョッパ回路及び前記第2昇圧チョッパ回路の夫々をインターリーブ動作させる
昇圧回路を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明のリアクトルのコアにおいて、外側第1コア及び外側第2コアの一方は、低比透磁率材料で構成されており、内側第1コア及び内側第2コアの一方は、低比透磁率材料で構成されており、上側コア及び下側コアの夫々は、低比透磁率材料よりも高い比透磁率を有する高比透磁率材料で構成されている。これにより、第1コイル本体部と第2コイル本体部との間の距離を調整して、第1コイルと第2コイルの結合係数を容易に調整可能となっている。特に、高比透磁率材料で構成される上側コアが第1コイル本体部の上側に配されており、且つ高比透磁率材料で構成される下側コアが第2コイル本体部の下側に配されていることから、適正な鎖交磁束を確保することができるよう構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1の実施の形態によるリアクトルを示す斜視図である。
図2図1のリアクトルの構造を示す断面図である。
図3】本発明の第2の実施の形態によるリアクトルの構造を示す断面図である。
図4】本発明の第3の実施の形態によるリアクトルの構造を示す断面図である。
図5】本発明の第4の実施の形態によるリアクトルの構造を示す断面図である。
図6】本発明の第5の実施の形態によるリアクトルの構造を示す断面図である。
図7】本発明の第6の実施の形態によるリアクトルの構造を示す断面図である。
図8】本発明の第7の実施の形態によるリアクトルの構造を示す断面図である。
図9】本発明の実施の形態による昇圧回路を示す図である。
図10】特許文献2のリアクトルの構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1の実施形態)
図2に示されるように、本発明の第1の実施の形態によるリアクトル100は、第1コイル230と、第2コイル240と、コア300と、ケース600とを備えている。ここで、第1コイル230及び第2コイル240は、コア300に埋設されている。
【0025】
図1及び図2を参照すると、本実施の形態の第1コイル230は、上下方向に延びる第1巻軸231を有する第1コイル本体部232と、第1コイル本体部232の両端から延びる2つの第1端部234とを備えている。本実施の形態において、上下方向はZ方向である。ここで、上方を+Z方向とし、下方を−Z方向とする。本実施の形態の第1コイル本体部232は、平角線233をフラットワイズ巻きしてなるものである。本実施の形態の第1コイル230は、1層巻である。しかしながら、本発明はこれに限定されず、第1コイル230は、2層巻以上であってもよく、例えばアルファ巻きコイルであってもよい。
【0026】
図1に示されるように、本実施の形態の第1端部234は、コア300の外部に引き出されている。より具体的には、第1端部234は、上下方向と直交するY方向に引き出されている。なお、図1において、第1端部234は、平角線233の長辺が上下方向と直交するようにコア300の外部に引き出されているが、本発明はこれに限定されず、例えば、平角線233の短辺が上下方向と直交するようにコア300の外部に引き出されていてもよく、また第1端部234のコア300におけるXZ平面上の位置についても任意に設定することができる。
【0027】
図1及び図2を参照すると、本実施の形態の第2コイル240は、上下方向に延びる第2巻軸241を有する第2コイル本体部242と、第2コイル本体部242の両端から延びる2つの第2端部244とを備えている。本実施の形態の第2コイル本体部242は、平角線243をフラットワイズ巻きしてなるものである。本実施の形態の第2コイル240は、1層巻である。しかしながら、本発明はこれに限定されず、第2コイル240は、2層巻以上であってもよく、例えばアルファ巻きコイルであってもよい。
【0028】
図1に示されるように、本実施の形態の第2端部244は、コア300の外部に引き出されている。より具体的には、第2端部244は、Y方向に引き出されている。なお、図1において、第2端部244は、平角線243の長辺が上下方向と直交するようにコア300の外部に引き出されているが、本発明はこれに限定されず、例えば、平角線243の短辺が上下方向と直交するようにコア300の外部に引き出されていてもよく、また第2端部244のコア300におけるXZ平面上の位置についても任意に設定することができる。
【0029】
図2に示されるように、本実施の形態において、第1巻軸231と第2巻軸241とは、同軸である。第1コイル230の第1コイル本体部232は、上下方向において第2コイル240の第2コイル本体部242から離れて上方に位置している。
【0030】
上述のように、本実施の形態のリアクトル100においては、第1巻軸231と第2巻軸241とが上下方向において同軸となるように、フラットワイズ巻きされた第1コイル230及び第2コイル240が上下に配置されている。これにより、エッジワイズ巻きの2つのコイルを同様に配置した場合と比較して、第1コイル230及び第2コイル240の作製が容易であり、また上下方向への放熱性が向上し、更にリアクトル100自体の低背化も図ることができる。
【0031】
図2に示されるように、本実施の形態の第1コイル230は、第1巻軸231と第2巻軸241とを含む平面内において、1つのコイル断面250を更に有している。また、本実施の形態の第2コイル240は、第1巻軸231と第2巻軸241とを含む平面内において、1つのコイル断面260を更に有している。
【0032】
図2に示されるように、本実施の形態の第1コイル230の第1コイル本体部232のコイル断面250は、外周部252と、内周部254と、上端部256と、下端部258とを有している。ここで、外周部252と、内周部254と、上端部256と、下端部258とは、コイル断面250の外縁を規定している。
【0033】
図2に示されるように、本実施の形態の内周部254は、第1巻軸231と直交する径方向において外周部252の内側に位置している。また、本実施の形態の上端部256は、上下方向において下端部258の上方に位置している。
【0034】
図2に示されるように、本実施の形態の第2コイル240の第2コイル本体部242のコイル断面260は、外周部262と、内周部264と、上端部266と、下端部268とを有している。ここで、外周部262と、内周部264と、上端部266と、下端部268とは、コイル断面260の外縁を規定している。
【0035】
図2に示されるように、本実施の形態の内周部264は、第1巻軸231と直交する径方向において外周部262の内側に位置している。また、本実施の形態の上端部266は、上下方向において下端部268の上方に位置している。
【0036】
図2を参照して、第1コイル本体部232と第2コイル本体部242との間の距離をdとするとき、1mm≦d≦5mmを満たしていることが好ましい。より詳しくは、第1コイル230のコイル断面250の下端部258と、第2コイル240のコイル断面260の上端部266との間の距離dは、1mm≦d≦5mmを満たしていることが好ましい。
【0037】
図2を参照すると、本実施の形態のコア300は、低比透磁率材料400と高比透磁率材料500とで構成されている。本実施の形態の高比透磁率材料500は、圧粉コアである。また、本実施の形態の低比透磁率材料400は、硬化した結合剤412と、結合剤412内部に分散配置された磁性体粉末414とを有する複合磁性体410からなるコアである。
【0038】
本実施の形態において、高比透磁率材料500は、低比透磁率材料400よりも高い比透磁率を有している。低比透磁率材料400の比透磁率をμLとするとき、3≦μL≦40を満たしていることが好ましい。また、高比透磁率材料500の比透磁率をμとするとき、40<μ≦300を満たしていることが好ましい。
【0039】
図2に示されるように、本実施の形態のコア300は、外側コア310と、内側コア330と、上側コア350と、下側コア360と、中間コア370とを有している。なお、図示された上側コア350は、第1巻軸231を挟んで2つに分割されているが、本発明はこれに限定されず、X方向において一体的に構成されていてもよい。同様に、図示された下側コア360は、第1巻軸231を挟んで2つに分割されているが、本発明はこれに限定されず、X方向において一体的に構成されていてもよい。
【0040】
図2に示されるように、本実施の形態の外側コア310は、径方向において、第1コイル230のコイル断面250の外周部252の外側に位置しており、且つ、第1コイル230のコイル断面250の外周部252と対向している。また、本実施の形態の外側コア310は、径方向において、第2コイル240のコイル断面260の外周部262の外側に位置しており、且つ、第2コイル240のコイル断面260の外周部262と対向している。外側コア310は、上下方向において上側コア350の下方に位置している。外側コア310は、上下方向において上側コア350の一部と接している。外側コア310は、上下方向において下側コア360の上方に位置している。外側コア310は、上下方向において下側コア360の一部と接している。外側コア310は、上下方向において上側コア350と下側コア360との間に位置している。
【0041】
図2に示されるように、本実施の形態の外側コア310は、外側第1コア312と、外側第2コア315と、外側第3コア318とを有している。
【0042】
図2に示されるように、本実施の形態の外側第1コア312は、上下方向において上側コア350の下方に位置している。外側第1コア312は、上下方向において上側コア350の一部と接している。外側第1コア312の上端は、上下方向において第1コイル230のコイル断面250の上端部256と同じ位置に位置している。外側第1コア312の下端は、上下方向において第1コイル230のコイル断面250の下端部258と同じ位置に位置している。
【0043】
図2に示されるように、本実施の形態の外側第2コア315は、上下方向において外側第1コア312の下方に位置している。外側第2コア315は、上下方向において外側第1コア312と接している。外側第2コア315の上端は、上下方向において第1コイル230のコイル断面250の下端部258と同じ位置に位置している。外側第2コア315の下端は、上下方向において第2コイル240のコイル断面260の上端部266と同じ位置に位置している。
【0044】
図2に示されるように、本実施の形態の外側第3コア318は、上下方向において外側第2コア315の下方に位置している。外側第3コア318は、上下方向において外側第2コア315と接している。外側第3コア318の上端は、上下方向において第2コイル240のコイル断面260の上端部266と同じ位置に位置している。外側第3コア318の下端は、上下方向において第2コイル240のコイル断面260の下端部268と同じ位置に位置している。外側第3コア318は、上下方向において下側コア360の上方に位置している。外側第3コア318は、上下方向において下側コア360の一部と接している。
【0045】
図2に示されるように、本実施の形態の外側第1コア312、外側第2コア315及び外側第3コア318の夫々は、低比透磁率材料400で構成されている。即ち、外側第1コア312、外側第2コア315及び外側第3コア318は、同質の材料で一体的に構成されている。しかしながら本発明はこれに限定されない。即ち、外側第1コア312及び外側第2コア315の一方が、低比透磁率材料400で構成されており、外側第1コア312及び外側第2コア315の残りの一方が、低比透磁率材料400又は高比透磁率材料500で構成されていてもよい。ここで、外側第1コア312が低比透磁率材料400で構成されている場合、外側第3コア318は低比透磁率材料400で構成されており、外側第1コア312が高比透磁率材料500で構成されている場合、外側第3コア318は高比透磁率材料500で構成されている。
【0046】
図2に示されるように、本実施の形態の内側コア330は、径方向において、第1コイル230のコイル断面250の内周部254の内側に位置しており、且つ、第1コイル230のコイル断面250の内周部254と対向している。内側コア330は、径方向において、第2コイル240のコイル断面260の内周部264の内側に位置しており、且つ、第2コイル240のコイル断面260の内周部264と対向している。内側コア330は、上下方向において上側コア350の下方に位置している。内側コア330は、上下方向において上側コア350の一部と接している。内側コア330は、上下方向において下側コア360の上方に位置している。内側コア330は、上下方向において下側コア360の一部と接している。内側コア330は、上下方向において上側コア350と下側コア360との間に位置している。
【0047】
図2に示されるように、本実施の形態の内側コア330は、内側第1コア332と、内側第2コア335と、内側第3コア338とを有している。
【0048】
図2に示されるように、本実施の形態の内側第1コア332は、上下方向において上側コア350の下方に位置している。内側第1コア332は、上下方向において上側コア350の一部と接している。内側第1コア332の上端は、上下方向において第1コイル230のコイル断面250の上端部256と同じ位置に位置している。内側第1コア332の下端は、上下方向において第1コイル230のコイル断面250の下端部258と同じ位置に位置している。
【0049】
図2に示されるように、本実施の形態の内側第2コア335は、上下方向において内側第1コア332の下方に位置している。内側第2コア335は、上下方向において内側第1コア332と接している。内側第2コア335の上端は、上下方向において第1コイル230のコイル断面250の下端部258と同じ位置に位置している。内側第2コア335の下端は、上下方向において第2コイル240のコイル断面260の上端部266と同じ位置に位置している。
【0050】
図2に示されるように、本実施の形態の内側第3コア338は、上下方向において内側第2コア335の下方に位置している。内側第3コア338は、上下方向において内側第2コア335と接している。内側第3コア338の上端は、上下方向において第2コイル240のコイル断面260の上端部266と同じ位置に位置している。内側第3コア338の下端は、上下方向において第2コイル240のコイル断面260の下端部268と同じ位置に位置している。内側第3コア338は、上下方向において下側コア360の上方に位置している。内側第3コア338は、上下方向において下側コア360の一部と接している。
【0051】
図2に示されるように、本実施の形態の外側第1コア312及び内側第1コア332の夫々は、径方向において第1コイル本体部232と対向している。外側第2コア315及び内側第2コア335の夫々は、径方向において中間コア370と対向している。外側第3コア318及び内側第3コア338の夫々は、径方向において第2コイル本体部242と対向している。
【0052】
図2に示されるように、本実施の形態の内側第1コア332、内側第2コア335及び内側第3コア338の夫々は、低比透磁率材料400で構成されている。即ち、内側第1コア332、内側第2コア335及び内側第3コア338は、同質の材料で一体的に構成されている。しかしながら本発明はこれに限定されない。即ち、内側第1コア332及び内側第2コア335の一方が、低比透磁率材料400で構成されており、内側第1コア332及び内側第2コア335の残りの一方が、低比透磁率材料400又は高比透磁率材料500で構成されていてもよい。ここで、内側第1コア332が低比透磁率材料400で構成されている場合、内側第3コア338は低比透磁率材料400で構成されており、内側第1コア332が高比透磁率材料500で構成されている場合、内側第3コア338は高比透磁率材料500で構成されている。
【0053】
図2に示されるように、本実施の形態の上側コア350は、上下方向において、第1コイル230のコイル断面250の上端部256の上方に位置しており、且つ、第1コイル230のコイル断面250の上端部256と対向している。上側コア350は、径方向において、第1コイル230のコイル断面250の上端部256よりも外側及び内側に張り出している。即ち、上側コア350の径方向内端は、径方向において第1コイル230のコイル断面250の内周部254よりも内側に位置しており、上側コア350の径方向外端は、径方向において第1コイル230のコイル断面250の外周部252よりも外側に位置している。上側コア350は、高比透磁率材料500で構成されている。
【0054】
図2に示されるように、本実施の形態の下側コア360は、上下方向において、第2コイル240のコイル断面260の下端部268の下方に位置しており、且つ、第2コイル240のコイル断面260の下端部268と対向している。下側コア360は、径方向において、第2コイル240のコイル断面260の下端部268よりも外側及び内側に張り出している。即ち、下側コア360の径方向内端は、径方向において第2コイル240のコイル断面260の内周部264よりも内側に位置しており、下側コア360の径方向外端は、径方向において第2コイル240のコイル断面260の外周部262よりも外側に位置している。下側コア360は、高比透磁率材料500で構成されている。
【0055】
図2に示されるように、本実施の形態の中間コア370は、上下方向において第1コイル本体部232と第2コイル本体部242との間に位置している。中間コア370は、径方向において内側コア330と外側コア310との間に位置している。中間コア370の上端は、上下方向において外側第2コア315の上端と同じ位置に位置している。中間コア370の上端は、上下方向において内側第2コア335の上端と同じ位置に位置している。中間コア370の下端は、上下方向において外側第2コア315の下端と同じ位置に位置している。中間コア370の下端は、上下方向において内側第2コア335の下端と同じ位置に位置している。本実施の形態の中間コア370は、低比透磁率材料400で構成されている。しかしながら、本発明はこれに限定されない。即ち、中間コア370は、低比透磁率材料400又は高比透磁率材料500で構成されていてもよい。しかしながら、本実施の形態のように中間コア370が低比透磁率材料400で構成されている場合、中間コア370の作製が容易となり、また第1コイル本体部232と第2コイル本体部242との間の距離dの調整が容易となるため、より好ましい。
【0056】
図2を参照して、本実施の形態のリアクトル100において、第1コイル本体部232と第2コイル本体部242との結合係数をkとするとき、零磁界において0.2≦k≦0.8を満たしていることが好ましい。
【0057】
図1及び図2を参照すると、本実施の形態のケース600は、アルミ製又は樹脂製である。本実施の形態のリアクトル100において、第1コイル230、第2コイル240及びコア300は、ケース600内に配置されている。なお、本発明はこれに限定されず、リアクトル100はケース600を有しなくてもよい。
【0058】
上述のように、本実施の形態のリアクトル100においては、フラットワイズ巻きされた第1コイル230の第1巻軸231と第2コイル240の第2巻軸241とが同軸となるように上下方向に延びており、また、第1コイル230の上方には上側コア350が配置されており、且つ、第2コイル240の下側には下側コア360が配置されている。これにより、第1コイル230及び第2コイル240からの放熱が、圧粉コアである上側コア350及び下側コア360を介してケース600に迅速に伝熱されるようになっている。
【0059】
(第2の実施形態)
図3に示されるように、本発明の第2の実施の形態によるリアクトル100Aは、コア300Aを除き、上述した第1の実施の形態によるリアクトル100(図1及び図2参照)と同じ構成を備えている。そのため、図3に示される構成要素のうち、第1の実施の形態と同様の構成要素に対しては同一の参照符号を付すこととする。
【0060】
図3を参照すると、本実施の形態のコア300Aは、低比透磁率材料400Aと高比透磁率材料500Aとで構成されている。本実施の形態の高比透磁率材料500Aは、圧粉コアである。また、本実施の形態の低比透磁率材料400Aは、硬化した結合剤412と、結合剤412内部に分散配置された磁性体粉末414とを有する複合磁性体410Aからなるコアである。
【0061】
本実施の形態において、高比透磁率材料500Aは、低比透磁率材料400Aよりも高い比透磁率を有している。低比透磁率材料400Aの比透磁率をμLとするとき、3≦μL≦40を満たしていることが好ましい。高比透磁率材料500Aの比透磁率をμとするとき、40<μ≦300を満たしていることが好ましい。
【0062】
図3に示されるように、本実施の形態のコア300Aは、外側コア310と、内側コア330と、上側コア350と、下側コア360と、中間コア370Aとを有している。なお、図示された上側コア350は、第1巻軸231を挟んで2つに分割されているが、本発明はこれに限定されず、X方向において一体的に構成されていてもよい。同様に、図示された下側コア360は、第1巻軸231を挟んで2つに分割されているが、本発明はこれに限定されず、X方向において一体的に構成されていてもよい。
【0063】
図3に示されるように、本実施の形態の中間コア370Aは、上下方向において第1コイル本体部232と第2コイル本体部242との間に位置している。中間コア370Aは、径方向において内側コア330と外側コア310との間に位置している。本実施の形態の中間コア370Aは、高比透磁率材料500Aで構成されている。
【0064】
より詳しくは、図3に示されるように、外側第2コア315及び内側第2コア335の夫々は、径方向において中間コア370Aと対向している。中間コア370Aの上端は、上下方向において外側第2コア315の上端と同じ位置に位置している。中間コア370Aの上端は、上下方向において内側第2コア335の上端と同じ位置に位置している。中間コア370Aの下端は、上下方向において外側第2コア315の下端と同じ位置に位置している。中間コア370Aの下端は、上下方向において内側第2コア335の下端と同じ位置に位置している。
【0065】
図3を参照して、本実施の形態のリアクトル100Aにおいて、第1コイル本体部232と第2コイル本体部242との結合係数をkとするとき、零磁界において0.2≦k≦0.8を満たしていることが好ましい。
【0066】
図3を参照すると、本実施の形態のリアクトル100Aにおいて、第1コイル230、第2コイル240及びコア300Aは、ケース600内に配置されている。
【0067】
(第3の実施形態)
図4に示されるように、本発明の第3の実施の形態によるリアクトル100Bは、コア300Bを除き、上述した第1の実施の形態によるリアクトル100(図1及び図2参照)と同じ構成を備えている。そのため、図4に示される構成要素のうち、第1の実施の形態と同様の構成要素に対しては同一の参照符号を付すこととする。
【0068】
図4を参照すると、本実施の形態のコア300Bは、低比透磁率材料400Bと高比透磁率材料500Bとで構成されている。本実施の形態の高比透磁率材料500Bは、圧粉コアである。また、本実施の形態の低比透磁率材料400Bは、硬化した結合剤412と、結合剤412内部に分散配置された磁性体粉末414とを有する複合磁性体410Bからなるコアである。
【0069】
本実施の形態において、高比透磁率材料500Bは、低比透磁率材料400Bよりも高い比透磁率を有している。低比透磁率材料400Bの比透磁率をμLとするとき、3≦μL≦40を満たしていることが好ましい。高比透磁率材料500Bの比透磁率をμとするとき、40<μ≦300を満たしていることが好ましい。
【0070】
図4に示されるように、本実施の形態のコア300Bは、外側コア310Bと、内側コア330Bと、上側コア350Bと、下側コア360Bと、中間コア370とを有している。なお、図示された上側コア350Bは、X方向において一体化されたものであるが、本発明はこれに限定されず、第1巻軸231を挟んで2つに分割されていてもよい。同様に、図示された下側コア360Bは、X方向において一体化されたものであるが、本発明はこれに限定されず、第1巻軸231を挟んで2つに分割されていてもよい。
【0071】
図4に示されるように、本実施の形態の外側コア310Bは、径方向において、第1コイル230のコイル断面250の外周部252の外側に位置しており、且つ、第1コイル230のコイル断面250の外周部252と対向している。また、本実施の形態の外側コア310Bは、径方向において、第2コイル240のコイル断面260の外周部262の外側に位置しており、且つ、第2コイル240のコイル断面260の外周部262と対向している。外側コア310Bは、上下方向において上側コア350Bの下方に位置している。外側コア310Bは、上下方向において上側コア350Bと連結されている。外側コア310Bは、上下方向において下側コア360Bの上方に位置している。外側コア310Bは、上下方向において下側コア360Bと連結されている。外側コア310Bは、上下方向において上側コア350Bと下側コア360Bとの間に位置している。
【0072】
図4に示されるように、本実施の形態の外側コア310Bは、外側第1コア312Bと、外側第2コア315と、外側第3コア318Bとを有している。
【0073】
図4に示されるように、本実施の形態の外側第1コア312Bは、上下方向において上側コア350Bの下方に位置している。外側第1コア312Bは、上下方向において上側コア350Bと連結されている。外側第1コア312Bの上端は、上下方向において第1コイル230のコイル断面250の上端部256と同じ位置に位置している。外側第1コア312Bの下端は、上下方向において第1コイル230のコイル断面250の下端部258と同じ位置に位置している。
【0074】
図4に示されるように、本実施の形態の外側第2コア315は、上下方向において外側第1コア312Bの下方に位置している。外側第2コア315は、上下方向において外側第1コア312Bと接している。
【0075】
図4に示されるように、本実施の形態の外側第3コア318Bは、上下方向において外側第2コア315の下方に位置している。外側第3コア318Bは、上下方向において外側第2コア315と接している。外側第3コア318Bの上端は、上下方向において第2コイル240のコイル断面260の上端部266と同じ位置に位置している。外側第3コア318Bの下端は、上下方向において第2コイル240のコイル断面260の下端部268と同じ位置に位置している。外側第3コア318Bは、上下方向において下側コア360Bの上方に位置している。外側第3コア318Bは、上下方向において下側コア360Bと連結されている。
【0076】
図4に示されるように、本実施の形態の外側第1コア312B及び外側第3コア318Bの夫々は、高比透磁率材料500Bで構成されている。
【0077】
図4に示されるように、本実施の形態の内側コア330Bは、径方向において、第1コイル230のコイル断面250の内周部254の内側に位置しており、且つ、第1コイル230のコイル断面250の内周部254と対向している。内側コア330Bは、径方向において、第2コイル240のコイル断面260の内周部264の内側に位置しており、且つ、第2コイル240のコイル断面260の内周部264と対向している。内側コア330Bは、上下方向において上側コア350Bの下方に位置している。内側コア330Bは、上下方向において上側コア350Bと連結されている。内側コア330Bは、上下方向において下側コア360Bの上方に位置している。内側コア330Bは、上下方向において下側コア360Bと連結されている。内側コア330Bは、上下方向において上側コア350Bと下側コア360Bとの間に位置している。
【0078】
図4に示されるように、本実施の形態の内側コア330Bは、内側第1コア332Bと、内側第2コア335と、内側第3コア338Bとを有している。
【0079】
図4に示されるように、本実施の形態の内側第1コア332Bは、上下方向において上側コア350Bの下方に位置している。内側第1コア332Bは、上下方向において上側コア350Bと連結されている。内側第1コア332Bの上端は、上下方向において第1コイル230のコイル断面250の上端部256と同じ位置に位置している。内側第1コア332Bの下端は、上下方向において第1コイル230のコイル断面250の下端部258と同じ位置に位置している。
【0080】
図4に示されるように、本実施の形態の内側第2コア335は、上下方向において内側第1コア332Bの下方に位置している。内側第2コア335は、上下方向において内側第1コア332Bと接している。
【0081】
図4に示されるように、本実施の形態の内側第3コア338Bは、上下方向において内側第2コア335の下方に位置している。内側第3コア338Bは、上下方向において内側第2コア335と接している。内側第3コア338Bの上端は、上下方向において第2コイル240のコイル断面260の上端部266と同じ位置に位置している。内側第3コア338Bの下端は、上下方向において第2コイル240のコイル断面260の下端部268と同じ位置に位置している。内側第3コア338Bは、上下方向において下側コア360Bの上方に位置している。内側第3コア338Bは、上下方向において下側コア360Bと連結されている。
【0082】
図4に示されるように、本実施の形態の外側第1コア312B及び内側第1コア332Bの夫々は、径方向において第1コイル本体部232と対向している。外側第3コア318B及び内側第3コア338Bの夫々は、径方向において第2コイル本体部242と対向している。
【0083】
図4に示されるように、本実施の形態の内側第1コア332B及び内側第3コア338Bの夫々は、高比透磁率材料500Bで構成されている。
【0084】
図4に示されるように、本実施の形態の上側コア350Bは、上下方向において、第1コイル230のコイル断面250の上端部256の上方に位置しており、且つ、第1コイル230のコイル断面250の上端部256と対向している。上側コア350Bは、径方向において、第1コイル230のコイル断面250の上端部256よりも外側及び内側に張り出している。即ち、上側コア350Bの径方向内端は、径方向において第1コイル230のコイル断面250の内周部254よりも内側に位置しており、上側コア350Bの径方向外端は、径方向において第1コイル230のコイル断面250の外周部252よりも外側に位置している。上側コア350Bは、高比透磁率材料500Bで構成されている。
【0085】
図4に示されるように、本実施の形態の下側コア360Bは、上下方向において、第2コイル240のコイル断面260の下端部268の下方に位置しており、且つ、第2コイル240のコイル断面260の下端部268と対向している。下側コア360Bは、径方向において、第2コイル240のコイル断面260の下端部268よりも外側及び内側に張り出している。即ち、下側コア360Bの径方向内端は、径方向において第2コイル240のコイル断面260の内周部264よりも内側に位置しており、下側コア360Bの径方向外端は、径方向において第2コイル240のコイル断面260の外周部262よりも外側に位置している。下側コア360Bは、高比透磁率材料500Bで構成されている。
【0086】
図4に示されるように、本実施の形態の中間コア370は、径方向において内側コア330Bと外側コア310Bとの間に位置している。
【0087】
図4を参照して、本実施の形態のリアクトル100Bにおいて、第1コイル本体部232と第2コイル本体部242との結合係数をkとするとき、零磁界において0.2≦k≦0.8を満たしていることが好ましい。
【0088】
図4を参照すると、本実施の形態のリアクトル100Bにおいて、第1コイル230、第2コイル240及びコア300Bは、ケース600内に配置されている。
【0089】
(第4の実施形態)
図5に示されるように、本発明の第4の実施の形態によるリアクトル100Cは、コア300Cを除き、上述した第1の実施の形態によるリアクトル100(図1及び図2参照)と同じ構成を備えている。そのため、図5に示される構成要素のうち、第1の実施の形態と同様の構成要素に対しては同一の参照符号を付すこととする。
【0090】
図5を参照すると、本実施の形態のコア300Cは、低比透磁率材料400Cと高比透磁率材料500Cとで構成されている。本実施の形態の高比透磁率材料500Cは、圧粉コアである。また、本実施の形態の低比透磁率材料400Cは、硬化した結合剤412と、結合剤412内部に分散配置された磁性体粉末414とを有する複合磁性体410Cからなるコアである。
【0091】
本実施の形態において、高比透磁率材料500Cは、低比透磁率材料400Cよりも高い比透磁率を有している。低比透磁率材料400Cの比透磁率をμLとするとき、3≦μL≦40を満たしていることが好ましい。高比透磁率材料500Cの比透磁率をμとするとき、40<μ≦300を満たしていることが好ましい。
【0092】
図5に示されるように、本実施の形態のコア300Cは、外側コア310Bと、内側コア330Bと、上側コア350Bと、下側コア360Bと、中間コア370Aとを有している。ここで、本実施の形態の外側コア310Bと、内側コア330Bと、上側コア350Bと、下側コア360Bとは、第3の実施の形態と同じであり、詳細は省略する。また、中間コア370Aは、第2の実施の形態と同じであり、詳細は省略する。また、本実施の形態における外側コア310B、内側コア330B、上側コア350B及び下側コア360Bの夫々と中間コア370Aとの関係は、第3の実施の形態における外側コア310B、内側コア330B、上側コア350B及び下側コア360Bの夫々と中間コア370との関係と同様であり、詳細は省略する。なお、図示された上側コア350Bは、X方向において一体化されたものであるが、本発明はこれに限定されず、第1巻軸231を挟んで2つに分割されていてもよい。同様に、図示された下側コア360Bは、X方向において一体化されたものであるが、本発明はこれに限定されず、第1巻軸231を挟んで2つに分割されていてもよい。
【0093】
図5を参照して、本実施の形態のリアクトル100Cにおいて、第1コイル本体部232と第2コイル本体部242との結合係数をkとするとき、零磁界において0.2≦k≦0.8を満たしていることが好ましい。
【0094】
図5を参照すると、本実施の形態のリアクトル100Cにおいて、第1コイル230、第2コイル240及びコア300Cは、ケース600内に配置されている。
【0095】
(第5の実施形態)
図6に示されるように、本発明の第5の実施の形態によるリアクトル100Dは、コア300Dを除き、上述した第1の実施の形態によるリアクトル100(図1及び図2参照)と同じ構成を備えている。そのため、図6に示される構成要素のうち、第1の実施の形態と同様の構成要素に対しては同一の参照符号を付すこととする。
【0096】
図6を参照すると、本実施の形態のコア300Dは、低比透磁率材料400Dと高比透磁率材料500Dとで構成されている。本実施の形態の高比透磁率材料500Dは、圧粉コアである。また、本実施の形態の低比透磁率材料400Dは、硬化した結合剤412と、結合剤412内部に分散配置された磁性体粉末414とを有する複合磁性体410Dからなるコアである。
【0097】
本実施の形態において、高比透磁率材料500Dは、低比透磁率材料400Dよりも高い比透磁率を有している。低比透磁率材料400Dの比透磁率をμLとするとき、3≦μL≦40を満たしていることが好ましい。高比透磁率材料500Dの比透磁率をμとするとき、40<μ≦300を満たしていることが好ましい。
【0098】
図6に示されるように、本実施の形態のコア300Dは、外側コア310と、内側コア330Bと、上側コア350Dと、下側コア360Dと、中間コア370とを有している。なお、図示された上側コア350Dは、X方向において一体化されたものであるが、本発明はこれに限定されず、第1巻軸231を挟んで2つに分割されていてもよい。同様に、図示された下側コア360Dは、X方向において一体化されたものであるが、本発明はこれに限定されず、第1巻軸231を挟んで2つに分割されていてもよい。
【0099】
図6に示されるように、外側コア310は、上下方向において上側コア350Dの下方に位置している。外側コア310は、上下方向において上側コア350Dの一部と接している。外側コア310は、上下方向において下側コア360Dの上方に位置している。外側コア310は、上下方向において下側コア360Dの一部と接している。外側コア310は、上下方向において上側コア350Dと下側コア360Dとの間に位置している。
【0100】
図6に示されるように、本実施の形態の外側コア310は、外側第1コア312と、外側第2コア315と、外側第3コア318とを有している。
【0101】
図6に示されるように、本実施の形態の外側第1コア312は、上下方向において上側コア350Dの下方に位置している。外側第1コア312は、上下方向において上側コア350Dの一部と接している。
【0102】
図6に示されるように、本実施の形態の外側第3コア318は、上下方向において下側コア360Dの上方に位置している。外側第3コア318は、上下方向において下側コア360Dの一部と接している。
【0103】
図6に示されるように、本実施の形態の内側コア330Bは、径方向において、第1コイル230のコイル断面250の内周部254の内側に位置しており、且つ、第1コイル230のコイル断面250の内周部254と対向している。内側コア330Bは、径方向において、第2コイル240のコイル断面260の内周部264の内側に位置しており、且つ、第2コイル240のコイル断面260の内周部264と対向している。内側コア330Bは、上下方向において上側コア350Dの下方に位置している。内側コア330Bは、上下方向において上側コア350Dと連結されている。内側コア330B、上下方向において下側コア360Dの上方に位置している。内側コア330Bは、上下方向において下側コア360Dと連結されている。内側コア330Bは、上下方向において上側コア350Dと下側コア360Dとの間に位置している。
【0104】
図6に示されるように、本実施の形態の内側コア330Bは、内側第1コア332Bと、内側第2コア335と、内側第3コア338Bとを有している。
【0105】
図6に示されるように、本実施の形態の内側第1コア332Bは、上下方向において上側コア350Dの下方に位置している。内側第1コア332Bは、上下方向において上側コア350Dと連結されている。内側第1コア332Bの上端は、上下方向において第1コイル230のコイル断面250の上端部256と同じ位置に位置している。内側第1コア332Bの下端は、上下方向において第1コイル230のコイル断面250の下端部258と同じ位置に位置している。
【0106】
図6に示されるように、本実施の形態の内側第2コア335は、上下方向において内側第1コア332Bの下方に位置している。内側第2コア335は、上下方向において内側第1コア332Bと接している。
【0107】
図6に示されるように、本実施の形態の内側第3コア338Bは、上下方向において内側第2コア335の下方に位置している。内側第3コア338Bは、上下方向において内側第2コア335と接している。内側第3コア338Bの上端は、上下方向において第2コイル240のコイル断面260の上端部266と同じ位置に位置している。内側第3コア338Bの下端は、上下方向において第2コイル240のコイル断面260の下端部268と同じ位置に位置している。内側第3コア338Bは、上下方向において下側コア360Dの上方に位置している。内側第3コア338Bは、上下方向において下側コア360Dと連結されている。
【0108】
図6に示されるように、本実施の形態の外側第1コア312及び内側第1コア332Bの夫々は、径方向において第1コイル本体部232と対向している。外側第3コア318及び内側第3コア338Bの夫々は、径方向において第2コイル本体部242と対向している。
【0109】
図6に示されるように、本実施の形態の内側第1コア332B及び内側第3コア338Bの夫々は、高比透磁率材料500Dで構成されている。
【0110】
図6に示されるように、本実施の形態の上側コア350Dは、上下方向において、第1コイル230のコイル断面250の上端部256の上方に位置しており、且つ、第1コイル230のコイル断面250の上端部256と対向している。上側コア350Dは、径方向において、第1コイル230のコイル断面250の上端部256よりも外側及び内側に張り出している。即ち、上側コア350Dの径方向内端は、径方向において第1コイル230のコイル断面250の内周部254よりも内側に位置しており、上側コア350Dの径方向外端は、径方向において第1コイル230のコイル断面250の外周部252よりも外側に位置している。上側コア350Dは、高比透磁率材料500Dで構成されている。
【0111】
図6に示されるように、本実施の形態の下側コア360Dは、上下方向において、第2コイル240のコイル断面260の下端部268の下方に位置しており、且つ、第2コイル240のコイル断面260の下端部268と対向している。下側コア360Dは、径方向において、第2コイル240のコイル断面260の下端部268よりも外側及び内側に張り出している。即ち、下側コア360Dの径方向内端は、径方向において第2コイル240のコイル断面260の内周部264よりも内側に位置しており、下側コア360Dの径方向外端は、径方向において第2コイル240のコイル断面260の外周部262よりも外側に位置している。下側コア360Dは、高比透磁率材料500Dで構成されている。
【0112】
図6を参照して、本実施の形態のリアクトル100Dにおいて、第1コイル本体部232と第2コイル本体部242との結合係数をkとするとき、零磁界において0.2≦k≦0.8を満たしていることが好ましい。
【0113】
図6を参照すると、本実施の形態のリアクトル100Dにおいて、第1コイル230、第2コイル240及びコア300Dは、ケース600内に配置されている。
【0114】
(第6の実施形態)
図7に示されるように、本発明の第6の実施の形態によるリアクトル100Eは、コア300Eを除き、上述した第1の実施の形態によるリアクトル100(図1及び図2参照)と同じ構成を備えている。そのため、図7に示される構成要素のうち、第1の実施の形態と同様の構成要素に対しては同一の参照符号を付すこととする。
【0115】
図7を参照すると、本実施の形態のコア300Eは、低比透磁率材料400Eと高比透磁率材料500とで構成されている。本実施の形態の低比透磁率材料400Eは、硬化した結合剤412と、結合剤412内部に分散配置された磁性体粉末414とを有する複合磁性体410Eからなるコアと、非磁性ギャップ430とを有している。
【0116】
本実施の形態において、高比透磁率材料500は、低比透磁率材料400Eよりも高い比透磁率を有している。低比透磁率材料400Eの比透磁率をμLとするとき、3≦μL≦40を満たしていることが好ましい。
【0117】
図7に示されるように、本実施の形態のコア300Eは、外側コア310と、内側コア330Eと、上側コア350と、下側コア360と、中間コア370とを有している。なお、図示された上側コア350は、第1巻軸231を挟んで2つに分割されているが、本発明はこれに限定されず、X方向において一体的に構成されていてもよい。同様に、図示された下側コア360は、第1巻軸231を挟んで2つに分割されているが、本発明はこれに限定されず、X方向において一体的に構成されていてもよい。
【0118】
図7に示されるように、本実施の形態の内側コア330Eは、径方向において、第1コイル230のコイル断面250の内周部254の内側に位置しており、且つ、第1コイル230のコイル断面250の内周部254と対向している。内側コア330Eは、径方向において、第2コイル240のコイル断面260の内周部264の内側に位置しており、且つ、第2コイル240のコイル断面260の内周部264と対向している。内側コア330Eは、上下方向において上側コア350の下方に位置している。内側コア330Eは、上下方向において上側コア350の一部と接している。内側コア330Eは、上下方向において下側コア360の上方に位置している。内側コア330Eは、上下方向において下側コア360の一部と接している。内側コア330Eは、上下方向において上側コア350と下側コア360との間に位置している。
【0119】
図7に示されるように、本実施の形態の内側コア330Eは、内側第1コア332と、内側第2コア335Eと、内側第3コア338とを有している。
【0120】
図7に示されるように、本実施の形態の内側第2コア335Eは、上下方向において内側第1コア332の下方に位置している。内側第2コア335Eは、上下方向において内側第1コア332と接している。内側第2コア335Eの上端は、上下方向において第1コイル230のコイル断面250の下端部258と同じ位置に位置している。内側第2コア335Eの下端は、上下方向において第2コイル240のコイル断面260の上端部266と同じ位置に位置している。
【0121】
図7に示されるように、本実施の形態の内側第3コア338は、上下方向において内側第2コア335Eの下方に位置している。内側第3コア338は、上下方向において内側第2コア335Eと接している。
【0122】
図7に示されるように、本実施の形態の内側第2コア335Eには、非磁性ギャップ430が設けられており、非磁性ギャップ430以外の部分は低比透磁率材料400Eで構成されている。
【0123】
図7に示されるように、本実施の形態の中間コア370は、径方向において内側コア330Eと外側コア310との間に位置している。外側第2コア315及び内側第2コア335Eの夫々は、径方向において中間コア370と対向している。中間コア370の上端は、上下方向において内側第2コア335Eの上端と同じ位置に位置している。中間コア370の下端は、上下方向において内側第2コア335Eの下端と同じ位置に位置している。
【0124】
図7を参照して、本実施の形態のリアクトル100Eにおいて、第1コイル本体部232と第2コイル本体部242との結合係数をkとするとき、零磁界において0.2≦k≦0.8を満たしていることが好ましい。
【0125】
図7を参照すると、本実施の形態のリアクトル100Eにおいて、第1コイル230、第2コイル240及びコア300Eは、ケース600内に配置されている。
【0126】
(第7の実施形態)
図8に示されるように、本発明の第7の実施の形態によるリアクトル100Fは、第1コイル230F及び第2コイル240Fを除き、上述した第1の実施の形態によるリアクトル100(図1及び図2参照)と同じ構成を備えている。そのため、図8に示される構成要素のうち、第1の実施の形態と同様の構成要素に対しては同一の参照符号を付すこととする。
【0127】
図8に示されるように、本実施の形態のリアクトル100Fは、第1コイル230Fと、第2コイル240Fと、コア300と、ケース600とを備えている。ここで、第1コイル230F及び第2コイル240Fは、コア300に埋設されている。
【0128】
図8を参照すると、本実施の形態の第1コイル230Fは、上下方向に延びる第1巻軸231Fを有する第1コイル本体部232Fと、第1コイル本体部232Fの両端から延びる2つの第1端部(図示せず)とを備えている。本実施の形態の第1コイル本体部232Fは、平角線233Fをエッジワイズ巻きしてなるものである。本実施の形態の第1端部(図示せず)は、コア300の外部に引き出されている。
【0129】
図8を参照すると、本実施の形態の第2コイル240Fは、上下方向に延びる第2巻軸241Fを有する第2コイル本体部242Fと、第2コイル本体部242Fの両端から延びる2つの第2端部(図示せず)とを備えている。本実施の形態の第2コイル本体部242Fは、平角線243Fをエッジワイズ巻きしてなるものである。本実施の形態の第2端部(図示せず)は、コア300の外部に引き出されている。
【0130】
図8に示されるように、本実施の形態において、第1巻軸231Fと第2巻軸241Fとは、同軸である。第1コイル230Fの第1コイル本体部232Fは、上下方向において第2コイル240Fの第2コイル本体部242Fから離れて上方に位置している。
【0131】
図8に示されるように、本実施の形態の第1コイル230Fは、第1巻軸231Fと第2巻軸241Fとを含む平面内において、1つのコイル断面250Fを更に有している。また、本実施の形態の第2コイル240F、第1巻軸231Fと第2巻軸241Fとを含む平面内において、1つのコイル断面260Fを更に有している。
【0132】
図8に示されるように、本実施の形態の第1コイル230Fの第1コイル本体部232Fのコイル断面250Fは、外周部252Fと、内周部254Fと、上端部256Fと、下端部258Fとを有している。ここで、外周部252Fと、内周部254Fと、上端部256Fと、下端部258Fとは、コイル断面250Fの外縁を規定している。
【0133】
図8に示されるように、本実施の形態の内周部254Fは、第1巻軸231Fと直交する径方向において外周部252Fの内側に位置している。また、本実施の形態の上端部256Fは、上下方向において下端部258Fの上方に位置している。
【0134】
図8に示されるように、本実施の形態の第2コイル240Fの第2コイル本体部242Fのコイル断面260Fは、外周部262Fと、内周部264Fと、上端部266Fと、下端部268Fとを有している。ここで、外周部262Fと、内周部264Fと、上端部266Fと、下端部268Fとは、コイル断面260Fの外縁を規定している。
【0135】
図8に示されるように、本実施の形態の内周部264Fは、第1巻軸231Fと直交する径方向において外周部262Fの内側に位置している。また、本実施の形態の上端部266Fは、上下方向において下端部268Fの上方に位置している。
【0136】
図8を参照して、第1コイル本体部232Fと第2コイル本体部242Fとの間の距離をdとするとき、1mm≦d≦5mmを満たしていることが好ましい。より詳しくは、第1コイル230Fのコイル断面250Fの下端部258Fと、第2コイル240Fのコイル断面260Fの上端部266Fとの間の距離dfは、1mm≦d≦5mmを満たしていることが好ましい。
【0137】
図8に示されるように、本実施の形態の外側コア310は、径方向において、第1コイル230Fのコイル断面250Fの外周部252Fの外側に位置しており、且つ、第1コイル230Fのコイル断面250Fの外周部252Fと対向している。また、本実施の形態の外側コア310は、径方向において、第2コイル240Fのコイル断面260Fの外周部262Fの外側に位置しており、且つ、第2コイル240Fのコイル断面260Fの外周部262Fと対向している。
【0138】
図8に示されるように、外側第1コア312の上端は、上下方向において第1コイル230Fのコイル断面250Fの上端部256Fと同じ位置に位置している。外側第1コア312の下端は、上下方向において第1コイル230Fのコイル断面250Fの下端部258Fと同じ位置に位置している。
【0139】
図8に示されるように、外側第2コア315の上端は、上下方向において第1コイル230Fのコイル断面250Fの下端部258Fと同じ位置に位置している。外側第2コア315の下端は、上下方向において第2コイル240Fのコイル断面260Fの上端部266Fと同じ位置に位置している。
【0140】
図8に示されるように、外側第3コア318の上端は、上下方向において第2コイル240Fのコイル断面260Fの上端部266Fと同じ位置に位置している。外側第3コア318の下端は、上下方向において第2コイル240Fのコイル断面260Fの下端部268Fと同じ位置に位置している。
【0141】
図8に示されるように、本実施の形態の内側コア330は、径方向において、第1コイル230Fのコイル断面250Fの内周部254Fの内側に位置しており、且つ、第1コイル230Fのコイル断面250Fの内周部254Fと対向している。内側コア330は、径方向において、第2コイル240Fのコイル断面260Fの内周部264Fの内側に位置しており、且つ、第2コイル240Fのコイル断面260Fの内周部264Fと対向している。
【0142】
図8に示されるように、内側第1コア332の上端は、上下方向において第1コイル230Fのコイル断面250Fの上端部256Fと同じ位置に位置している。内側第1コア332の下端は、上下方向において第1コイル230Fのコイル断面250Fの下端部258Fと同じ位置に位置している。
【0143】
図8に示されるように、内側第2コア335の上端は、上下方向において第1コイル230Fのコイル断面250Fの下端部258Fと同じ位置に位置している。内側第2コア335の下端は、上下方向において第2コイル240Fのコイル断面260Fの上端部266Fと同じ位置に位置している。
【0144】
図8に示されるように、内側第3コア338の上端は、上下方向において第2コイル240Fのコイル断面260Fの上端部266Fと同じ位置に位置している。内側第3コア338の下端は、上下方向において第2コイル240Fのコイル断面260Fの下端部268Fと同じ位置に位置している。
【0145】
図8に示されるように、本実施の形態の外側第1コア312及び内側第1コア332の夫々は、径方向において第1コイル本体部232Fと対向している。外側第3コア318及び内側第3コア338の夫々は、径方向において第2コイル本体部242Fと対向している。
【0146】
図8に示されるように、本実施の形態の上側コア350は、上下方向において、第1コイル230Fのコイル断面250Fの上端部256Fの上方に位置しており、且つ、第1コイル230Fのコイル断面250Fの上端部256Fと対向している。上側コア350は、径方向において、第1コイル230Fのコイル断面250Fの上端部256Fよりも外側及び内側に張り出している。即ち、上側コア350の径方向内端は、径方向において第1コイル230Fのコイル断面250Fの内周部254Fよりも内側に位置しており、上側コア350の径方向外端は、径方向において第1コイル230Fのコイル断面250Fの外周部252Fよりも外側に位置している。なお、図示された上側コア350は、第1巻軸231Fを挟んで2つに分割されているが、本発明はこれに限定されず、X方向において一体的に構成されていてもよい。
【0147】
図8に示されるように、本実施の形態の下側コア360は、上下方向において、第2コイル240Fのコイル断面260Fの下端部268Fの下方に位置しており、且つ、第2コイル240Fのコイル断面260Fの下端部268Fと対向している。下側コア360は、径方向において、第2コイル240Fのコイル断面260Fの下端部268Fよりも外側及び内側に張り出している。即ち、下側コア360の径方向内端は、径方向において第2コイル240Fのコイル断面260Fの内周部264Fよりも内側に位置しており、下側コア360の径方向外端は、径方向において第2コイル240Fのコイル断面260Fの外周部262Fよりも外側に位置している。なお、図示された下側コア360は、第1巻軸231Fを挟んで2つに分割されているが、本発明はこれに限定されず、X方向において一体的に構成されていてもよい。
【0148】
図8に示されるように、本実施の形態の中間コア370は、上下方向において第1コイル本体部232Fと第2コイル本体部242Fとの間に位置している。
【0149】
図8を参照して、本実施の形態のリアクトル100Fにおいて、第1コイル本体部232Fと第2コイル本体部242Fとの結合係数をkとするとき、零磁界において0.2≦k≦0.8を満たしていることが好ましい。
【0150】
図8を参照すると、本実施の形態のリアクトル100Fにおいて、第1コイル230F、第2コイル240F及びコア300は、ケース600内に配置されている。
【0151】
以上、本発明について、複数の実施の形態を掲げて具体的に説明してきたが、本発明はこれに限定されるわけではなく、種々の変形が可能である。
【0152】
本実施の形態の第1コイル230,230F及び第2コイル240,240Fは、平角線233,233F,243,243Fで構成されていたが、丸線、角線又は薄いシートコイルであってもよい。
【0153】
本実施の形態のリアクトル100,100A,100B,100C,100D,100E,100Fは、第1コイル230,230F及び第2コイル240,240Fの2つのコイルを有していたが、2列以上の巻き列を有していてもよい。
【0154】
本発明のリアクトルは、特に車載用として適しているが、これに限定されるわけではなく、その他のコイル部品にも適用可能である。
【0155】
本発明のリアクトルの製作においては、圧粉コア、第1コイル及び第2コイルの製造公差により、第1コイル、第2コイルと圧粉コアとの間に隙間が生じる場合がある。このため、第1コイル、第2コイルと圧粉コアとの間の隙間が低比透磁率材料で埋められていてもよい。
【0156】
(インダクタンス重畳特性のシミュレーション結果)
本実施の形態のリアクトル100,100A,100B,100C,100Dに係る実施例1〜9について、インダクタンス重畳特性のシミュレーションを行った。ここで、第1の実施の形態のリアクトル100は、実施例1〜3に対応している。第2の実施の形態のリアクトル100Aは、実施例4〜6に対応している。第3の実施の形態のリアクトル100Bは、実施例7に対応している。第4の実施の形態のリアクトル100Cは、実施例8に対応している。第5の実施の形態のリアクトル100Dは、実施例9に対応している。また、第1の実施の形態のリアクトル100において、中間コア370を非磁性体で構成したリアクトルについて、比較例1〜3として同様にシミュレーションを行った。シミュレーションにおいては、第1コイル本体部232と第2コイル本体部242との間の距離dを表1のように設定した。シミュレーション結果を表1に示す。
【0157】
【表1】
【0158】
表1に示されるように、直流電流値Idc=0の時のインダクタンスを比較すると、第1の実施の形態に係る実施例1〜3においては49.3〜52.3、第2の実施の形態に係る実施例4〜6においては60.2〜65.8、第3及び第4の実施の形態に係る実施例7,8においては118.3,172.4、第の実施の形態に係る実施例9においては81.6となっている一方、比較例1〜3においては41.3〜47.6となっている。これにより、実施例1〜9は、比較例1〜3の何れよりも高い自己インダクタンスを有していることが分かる。
【0159】
また表1から理解されるように、実施例1〜4、実施例7及び実施例9においては、直流電流値Idcの上昇による自己インダクタンスの急激な低下が抑制されており、良好な直流重畳特性が得られている。
【0160】
(結合係数のシミュレーション結果)
実施例1〜9及び比較例1〜3に係る結合係数のシミュレーションを行った。シミュレーション結果を表2に示す。
【0161】
【表2】
【0162】
表2に示されるように、直流電流値Idc=0における結合係数を比較すると、第1の実施の形態に係る実施例1〜3においては0.45〜0.78、第2の実施の形態に係る実施例4〜6においては0.19〜0.46となっている一方、比較例1〜3においては0.88〜0.97となっている。これにより、比較例1〜3のようなリアクトルにおいては、第1コイル本体部232と第2コイル本体部242との間の距離dを調整しても結合係数を容易に調整可能とはなっていないことが理解される一方、実施例1〜6においては、第1コイル本体部232と第2コイル本体部242との間の距離dを調整することにより、結合係数を容易に調整可能となっていることが分かる。
【0163】
また表2に示されるように、直流電流値Idcが上昇しても、実施例1の結合係数は0.78〜0.91の範囲に、実施例2の結合係数は0.58〜0.81の範囲に、実施例3の結合係数は0.45〜0.66の範囲に、実施例7の結合係数は0.77〜0.92の範囲に、実施例9の結合係数は0.69〜0.89の範囲に、夫々留まっている。これらのことから、実施例1,2,3,7及び9においては、直流電流値Idcが上昇しても、結合係数の急激な上昇が特に抑制されている。
【0164】
(リップル電流のシミュレーション結果)
実施例1〜9及び比較例1〜3に係るリップル電流のシミュレーションを行った。シミュレーションにおいては、周波数を20kHz、低比透磁率材料400,400A,400B,400C,400Dの比透磁率を10、高比透磁率材料500,500A,500B,500C,500Dの比透磁率を100に設定した。またシミュレーション条件として、入力電圧300V及び出力電圧600Vを条件1、入力電圧300V及び出力電圧650Vを条件2とした。ここで、条件1における昇圧比(Duty比(=1−入力電圧/出力電圧))は0.5となり、条件2における昇圧比は約0.54となる。シミュレーション結果を表3に示す。
【0165】
【表3】
【0166】
表3に示されるように、条件1におけるリップル電流値(α)と条件2におけるリップル電流値(β)を比較すると、比較例1〜3の条件2におけるリップル電流値(β)が105.2〜216.9と条件1におけるリップル電流値(α)と比較して大幅に増加するのに対し、実施例1〜9の条件2におけるリップル電流値は18.6〜69.8と大幅な増加が抑制されている。また、条件1におけるリップル電流値(α)と条件2におけるリップル電流値(β)との比(β/α)を比較すると、実施例1〜9においては1.1〜1.6となっているのに対し、比較例1〜3においては2.2〜5.4となっている。これにより、β/αにおいては、実施例1〜9の全てが比較例1〜3を下回っていることが分かり、実施例1〜9は比較例1〜3と比較して昇圧比の変動に対するリップル電流の増大が抑制されていることが分かる。
【0167】
(交流銅損のシミュレーション結果)
実施例1〜9及び比較例1〜3に係る交流銅損のシミュレーションを行った。シミュレーションの条件設定は上述のリップル電流のシミュレーションと同様に行った。シミュレーション結果を表4に示す。
【0168】
【表4】
【0169】
表4に示されるように、条件1における交流銅損(γ)と条件2における交流銅損(δ)を比較すると、比較例1〜3の条件2における交流銅損(δ)が488.9〜2791.1と条件1における交流銅損(γ)と比較して大幅に増加するのに対し、実施例1〜9の条件2における交流銅損(δ)は16.2〜281.7と大幅な増加が抑制されている。また、条件1における交流銅損(γ)と条件2における交流銅損(δ)との比(δ/γ)を比較すると、実施例1〜9においては1.2〜2.7となっているのに対し、比較例1〜3においては4.7〜29.3となっている。これにより、δ/γにおいては、実施例1〜9の全てが比較例1〜3を下回っていることが分かり、実施例1〜9は比較例1〜3と比較して昇圧比の変動に対する交流銅損の増大が抑制されていることが分かる。特に、実施例6においては、δ/γが実施例1〜9の中で最小値(1.2)を示し、昇圧比の変動に対する交流銅損の増大が特に抑制されていることが分かる。
【0170】
(昇圧回路)
本実施の形態のリアクトル100,100A,100B,100C,100D,100E、100Fを利用して、昇圧回路700を構成することができる。本実施の形態の昇圧回路700について、以下に詳述する。
【0171】
図9に示されるように、本実施の形態の昇圧回路700は、電源Eと、第1スイッチング素子S1と、第2スイッチング素子S2と、第1整流素子D1と、第2整流素子D2と、リアクトル100と、平滑コンデンサCとを備えている。なお、本発明はこれに限定されず、リアクトル100を、リアクトル100A,100B,100C,100D,100E,100Fのいずれかに置き換えて昇圧回路700を構成してもよい。
【0172】
本実施の形態の電源Eは、直流電源である。なお、本発明はこれに限定されず、電源Eは交流電源であってもよい。
【0173】
図9を参照して、本実施の形態の昇圧回路700において、第1スイッチング素子S1と、第1整流素子D1と、リアクトル100の第1コイル230とは、電源Eの出力をチョッピングして昇圧する第1昇圧チョッパ回路720を構成している。
【0174】
本実施の形態の第1スイッチング素子S1としては、GBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)等の半導体スイッチング素子を用いることができる。また、Siを用いた典型的なMOSFETの他、Siを用いたSJ−MOSFET(スーパージャンクション構造のMOSFET)や、SiC,GaN,Ga等を用いたワイドギャップの半導体を用いることもできる。
【0175】
本実施の形態の第1整流素子D1としては、Si(シリコン)−pnダイオード、SiC(炭化珪素)−SBダイオード、MOSFETの同期整流や、ボディダイオード、またそれらを並列したものを用いることが出来る。
【0176】
同様に、図9を参照して、本実施の形態の昇圧回路700において、第2スイッチング素子S2と、第2整流素子D2と、リアクトル100の第2コイル240とは、電源Eの出力をチョッピングして昇圧する第2昇圧チョッパ回路750を構成している。
【0177】
本実施の形態の第2スイッチング素子S2としては、GBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)等の半導体スイッチング素子を用いることができる。また、Siを用いた典型的なMOSFETの他、Siを用いたSJ−MOSFET(スーパージャンクション構造のMOSFET)や、SiC,GaN,Ga等を用いたワイドギャップの半導体を用いることもできる。なお、第2スイッチング素子S2は、第1スイッチング素子S1と同種のものであってもよいし、異種のものであってもよい。
【0178】
本実施の形態の第2整流素子D2としては、Si(シリコン)−pnダイオード、SiC(炭化珪素)−SBダイオード、MOSFETの同期整流や、ボディダイオード、またそれらを並列したものを用いることが出来る。なお、第2整流素子D2は、第1整流素子D1と同種のものであってもよいし、異種のものであってもよい。
【0179】
即ち、本実施の形態の昇圧回路700は、第1昇圧チョッパ回路720と、第2昇圧チョッパ回路750とを備えている。ここで、第1昇圧チョッパ回路720と第2昇圧チョッパ回路750とは、並列に接続されている。また、第1昇圧チョッパ回路720及び第2昇圧チョッパ回路750の夫々をインターリーブ動作させる。
【0180】
本実施の形態の平滑コンデンサCは、第1昇圧チョッパ回路720及び第2昇圧チョッパ回路750の出力電流を平滑化するものである。
【符号の説明】
【0181】
100,100A,100B,100C,100D,100E,100F リアクトル
230,230F 第1コイル
231,231F 第1巻軸
232,232F 第1コイル本体部
233,233F 平角線
234 第1端部
240,240F 第2コイル
241,241F 第2巻軸
242,242F 第2コイル本体部
243,243F 平角線
244 第2端部
250,250F コイル断面
252,252F 外周部
254,254F 内周部
256,256F 上端部
258,258F 下端部
260,260F コイル断面
262,262F 外周部
264,264F 内周部
266,266F 上端部
268,268F 下端部
300,300A,300B,300C,300D,300E コア
310,310B 外側コア
312,312B 外側第1コア
315 外側第2コア
318,318B 外側第3コア
330,330B,330E 内側コア
332,332B 内側第1コア
335,335E 内側第2コア
338,338B 内側第3コア
350,350B,350D 上側コア
360,360B,360D 下側コア
370,370A 中間コア
400,400A,400B,400C,400D,400E 低比透磁率材料
410,410A,410B,410C,410D,410E 複合磁性体
412 結合剤
414 磁性体粉末
430 非磁性ギャップ
500,500A,500B,500C,500D 高比透磁率材料(圧粉コア)
600 ケース
d 距離
距離
700 昇圧回路
E 電源
720 第1昇圧チョッパ回路
S1 第1スイッチング素子
D1 第1整流素子
750 第2昇圧チョッパ回路
S2 第2スイッチング素子
D2 第2整流素子
C 平滑コンデンサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10