特許第6893239号(P6893239)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6893239
(24)【登録日】2021年6月2日
(45)【発行日】2021年6月23日
(54)【発明の名称】車両用ブレーキシステム
(51)【国際特許分類】
   B60T 17/18 20060101AFI20210614BHJP
   B60T 8/88 20060101ALI20210614BHJP
   B60T 8/17 20060101ALI20210614BHJP
   B60T 8/171 20060101ALI20210614BHJP
【FI】
   B60T17/18
   B60T8/88
   B60T8/17 B
   B60T8/171 Z
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-510182(P2019-510182)
(86)(22)【出願日】2018年3月29日
(86)【国際出願番号】JP2018013436
(87)【国際公開番号】WO2018181808
(87)【国際公開日】20181004
【審査請求日】2020年6月3日
(31)【優先権主張番号】特願2017-71354(P2017-71354)
(32)【優先日】2017年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】315019735
【氏名又は名称】日立Astemo上田株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 寛将
(72)【発明者】
【氏名】小比賀 俊博
(72)【発明者】
【氏名】古賀 裕輔
(72)【発明者】
【氏名】豊田 博充
(72)【発明者】
【氏名】小寺 晴大
(72)【発明者】
【氏名】山崎 達也
(72)【発明者】
【氏名】増田 唯
【審査官】 山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/047496(WO,A1)
【文献】 特開2016−170786(JP,A)
【文献】 特開2013−212814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 15/00−17/22
B60T 7/12−8/1769
B60T 8/32−8/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
摩擦パッドをロータ側に押圧するための電動アクチュエータを少なくとも1つ備える電動ブレーキと、前記電動アクチュエータを駆動するドライバと、相互に接続された複数のコントローラを備える制御装置と、を備える車両用ブレーキシステムにおいて、
前記電動ブレーキは、車両の各車輪に備えられ、
前記複数のコントローラは、
前記ドライバを制御するドライバ制御部と、前記電動ブレーキの制動力を演算する制動力演算部と、前記車両の挙動を制御する挙動制御部と、を含むマスタコントローラと、
前記ドライバを制御するドライバ制御部と、前記電動ブレーキの制動力を演算する制動力演算部と、を含むサブコントローラと、
を含み、
少なくともいずれかの前記車輪に備えられた前記電動ブレーキは、前記マスタコントローラと前記サブコントローラとの両方から制御可能であり、
前記制御装置は、第1の制御装置と第2の制御装置とを含み、
前記第1の制御装置は、
前記マスタコントローラと、前記サブコントローラと、を備えることを特徴とする、車両用ブレーキシステム。
【請求項2】
請求項1において、
前記少なくともいずれかの前記車輪は、前記車両の前輪であることを特徴とする、車両
用ブレーキシステム。
【請求項3】
請求項1又は2において、
ブレーキペダルと、
前記ブレーキペダルに接続されたストロークシミュレータと、
前記ブレーキペダルの操作量を検出するストロークセンサと、をさらに備え、
前記第1の制御装置は、
前記ストロークシミュレータ及び前記ストロークセンサと一体に設けられることを特徴とする、車両用ブレーキシステム。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれか1項において、
前記マスタコントローラ及び前記サブコントローラは、
同じ前記ドライバを制御可能であることを特徴とする、車両用ブレーキシステム。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれか1項において、
前記少なくともいずれかの前記車輪に備えられた前記電動ブレーキが備える複数の前記電動アクチュエータをそれぞれ駆動する複数の前記ドライバを備え、
前記マスタコントローラは、前記複数の前記ドライバの1つを制御し、
前記サブコントローラは、前記複数の前記ドライバの他の1つを制御することを特徴とする、車両用ブレーキシステム。
【請求項6】
請求項1乃至のいずれか1項において、
前記挙動制御部は、
前記車両の挙動の制御として、前記車輪のロックを防ぐ制御、前記車輪の空転を抑制する制御及び前記車両の横滑りを抑制する制御の少なくともいずれかを行うことを特徴とする、車両用ブレーキシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ブレーキを備えた信頼性の高い車両用ブレーキシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ブレーキシステムの電気制御システムとしては、中央制御装置と、車輪ごとのモータ制御装置とを備えたシステムが提案されている(特許文献1)。このシステムでは、各モータ制御装置に搭載された主マイコンによって駆動ICを介してモータを制御するようになっており、主マイコンに対応して設けられる監視マイコンによって主マイコンの故障を検出可能であるものの、例えば主マイコンが故障した場合でも、その車輪の電動ブレーキを引き続き作動できるような冗長化が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−138882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、電動ブレーキを備えた車両用ブレーキシステムであって、低コストで信頼性の高い車両用ブレーキシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[1]
本発明に係る車両用ブレーキシステムの一態様は、
摩擦パッドをロータ側に押圧するための電動アクチュエータを少なくとも1つ備える電動ブレーキと、前記電動アクチュエータを駆動するドライバと、相互に接続された複数のコントローラを備える制御装置と、を備える車両用ブレーキシステムにおいて、
前記電動ブレーキは、車両の各車輪に備えられ、
前記複数のコントローラは、
前記ドライバを制御するドライバ制御部と、前記電動ブレーキの制動力を演算する制動力演算部と、前記車両の挙動を制御する挙動制御部と、を含むマスタコントローラと、
前記ドライバを制御するドライバ制御部と、前記電動ブレーキの制動力を演算する制動力演算部と、を含むサブコントローラと、
を含み、
少なくともいずれかの前記車輪に備えられた前記電動ブレーキは、前記マスタコントローラと前記サブコントローラとの両方から制御可能であり、
前記制御装置は、第1の制御装置と第2の制御装置とを含み、
前記第1の制御装置は、
前記マスタコントローラと、前記サブコントローラと、を備えることを特徴とする。
【0007】
上記車両用ブレーキシステムの一態様によれば、少なくともいずれかの車輪に備えられた電動ブレーキは、マスタコントローラとサブコントローラとの両方から制御可能であるため、万が一、マスタコントローラ及びサブコントローラの一方が故障した場合でも他方によって当該電動ブレーキの制御が可能であるため冗長化が実現され、当該システムの信頼性が向上する。
【0008】
また、上記車両用ブレーキシステムの一態様によれば、少なくともいずれかの車輪に備えられた電動ブレーキは、マスタコントローラとサブコントローラとの両方から制御可能であるため、当該電動ブレーキに対して様々な制御が可能である。
【0009】
また、上記車両用ブレーキシステムの一態様によれば、複数のコントローラを使用することにより冗長化を達成しながらも、比較的高価なマスタコントローラを複数搭載しないことにより低コスト化を実現できる。
また、上記車両用ブレーキシステムの一態様によれば、マスタコントローラとサブコントローラとを同じ制御装置に搭載することにより、マスタコントローラとサブコントローラとの通信線が短くなるため、低コスト化が実現され、当該システムの信頼性も向上する。
【0010】
[2]
上記車両用ブレーキシステムの一態様において、
前記少なくともいずれかの前記車輪は、前記車両の前輪であるようにすることができる。
【0011】
上記車両用ブレーキシステムの一態様によれば、前輪に備えられた制動力の大きい電動ブレーキの制御が冗長化されるので、当該システムの信頼性がさらに向上する。
【0014】

上記車両用ブレーキシステムの一態様は、
前記制御装置は、第1の制御装置と第2の制御装置とを含み、
ブレーキペダルと、
前記ブレーキペダルに接続されたストロークシミュレータと、
前記ブレーキペダルの操作量を検出するストロークセンサと、をさらに備え、
前記第1の制御装置は、
前記ストロークシミュレータ及び前記ストロークセンサと一体に設けられることができる。
【0015】
上記車両用ブレーキシステムの一態様によれば、マスタコントローラとサブコントローラが搭載される制御装置がストロークシミュレータ及びストロークセンサと一体に設けられることにより、省スペース化が実現され、車両への搭載性が向上する。
【0016】

上記車両用ブレーキシステムの一態様において、
前記マスタコントローラ及び前記サブコントローラは、
同じ前記ドライバを制御可能であるようにすることができる。
【0017】
上記車両用ブレーキシステムの一態様によれば、いずれかの車輪に備えられた電動ブレーキが備える電動アクチュエータは、ドライバを介してマスタコントローラとサブコントローラとの両方から駆動可能であるため、万が一、マスタコントローラ及びサブコントローラの一方が故障した場合でも他方によって当該電動ブレーキの制御が可能であるため冗長化が実現され、当該システムの信頼性が向上する。
【0018】

上記車両用ブレーキシステムの一態様は、
前記少なくともいずれかの前記車輪に備えられた前記電動ブレーキが備える複数の前記電動アクチュエータをそれぞれ駆動する複数の前記ドライバを備え、
前記マスタコントローラは、前記複数の前記ドライバの1つを制御し、
前記サブコントローラは、前記複数の前記ドライバの他の1つを制御することができる。
【0019】
上記車両用ブレーキシステムの一態様によれば、マスタコントローラが制御するドライバとサブコントローラが制御するドライバが別々に設けられるため、万が一、一方のドライバが故障した場合でも、他方のドライバによって電動アクチュエータを駆動可能であり、当該システムの冗長化と信頼性が向上する。
【0020】
また、上記車両用ブレーキシステムの一態様によれば、電動ブレーキをより緻密に制御することが可能であり、電動ブレーキの制御性が向上する。
【0021】

上記車両用ブレーキシステムの一態様において、
前記挙動制御部は、
前記車両の挙動の制御として、前記車輪のロックを防ぐ制御、前記車輪の空転を抑制する制御及び前記車両の横滑りを抑制する制御の少なくともいずれかを行うことができる。
【0022】
上記車両用ブレーキシステムの一態様によれば、少なくともいずれかの車輪に備えられた電動ブレーキは、マスタコントローラとサブコントローラとの両方から制御可能であるため、当該電動ブレーキに対して様々な制御が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本実施形態に係る車両用ブレーキシステムを示す全体構成図である。
図2図2は、本実施形態に係る車両用ブレーキシステムのマスタコントローラ及び第1〜第3サブコントローラを示すブロック図である。
図3図3は、変形例1に係る車両用ブレーキシステムを示す全体構成図である。
図4図4は、変形例2に係る車両用ブレーキシステムを示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。この説明に用いる図面は説明の便宜上のものである。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0025】
本実施形態に係る車両用ブレーキシステムは、摩擦パッドをロータ側に押圧するための電動アクチュエータを少なくとも1つ備える電動ブレーキと、前記電動アクチュエータを駆動するドライバと、相互に接続された複数のコントローラを備える制御装置と、を備える車両用ブレーキシステムにおいて、前記電動ブレーキは、前記車両の各車輪に備えられ、前記複数のコントローラは、前記ドライバを制御するドライバ制御部と、前記電動ブレーキの制動力を演算する制動力演算部と、前記車両の挙動を制御する挙動制御部と、を含むマスタコントローラと、前記ドライバを制御するドライバ制御部と、前記電動ブレーキの制動力を演算する制動力演算部と、を含むサブコントローラと、を含み、少なくともいずれかの前記車輪に備えられた前記電動ブレーキは、前記マスタコントローラと前記サブコントローラとの両方から制御可能であることを特徴とする。
【0026】
1.車両用ブレーキシステム
図1及び図2を用いて本実施形態に係る車両用ブレーキシステム1について詳細に説明する。図1は本実施形態に係る車両用ブレーキシステム1を示す全体構成図であり、図2は本実施形態に係る車両用ブレーキシステム1のマスタコントローラ30及び第1〜第3サブコントローラ40〜42を示すブロック図である。
【0027】
図1に示すように、車両用ブレーキシステム1は、図示しない摩擦パッドを図示しないロータ側に押圧するための電動アクチュエータであるモータ80,82,84,85を少なくとも1つ備える電動ブレーキ16a〜16dと、モータ80,82,84,85を駆動するドライバ60,62,64,65と、相互に接続された複数のコントローラ(マスタコントローラ30、第1サブコントローラ40、第2サブコントローラ41、第3サブコントローラ42)を備える制御装置(10,11)と、を備える。図示しないロータは、4輪車である車両VBの各車輪Wa〜Wdに設けられて車輪Wa〜Wdと一体に回転する。なお、車両VBは4輪車に限られない。また、1つの電動ブレーキに対して複数のモータを備えていてもよいし、1つの車輪に複数の電動ブレーキを備えていてもよい。
【0028】
1−1.電動ブレーキ
前輪左側(FL)の車輪Waに設けられる電動ブレーキ16aは、ブレーキキャリパ5aと、ブレーキキャリパ5aに減速機4aを介して固定されたモータ80と、モータ80によって図示しない摩擦パッドに加えられる荷重を検出する荷重センサ6aと、を備える。モータ80は、自身のステータに対する回転軸の相対位置を検出する回転角センサ90を備える。荷重センサ6aの検出信号は、第1サブコントローラ40に入力され、回転角センサ90の検出信号は、ドライバ60を介してマスタコントローラ30及び第1サブコントローラ40に入力される。
【0029】
前輪右側(FR)の車輪Wbに設けられる電動ブレーキ16bは、ブレーキキャリパ5bと、ブレーキキャリパ5bに減速機4bを介して固定されたモータ82と、モータ82によって図示しない摩擦パッドに加えられる荷重を検出する荷重センサ6bと、を備える。モータ82は、自身のステータに対する回転軸の相対位置を検出する回転角センサ92を備える。荷重センサ6bの検出信号は、第2サブコントローラ41に入力され、回転角センサ92の検出信号は、ドライバ62を介してマスタコントローラ30及び第2サブコントローラ41に入力される。
【0030】
後輪左側(RL)の車輪Wcに設けられる電動ブレーキ16cは、ブレーキキャリパ5cと、ブレーキキャリパ5cに減速機4cを介して固定されたモータ84と、モータ84によって図示しない摩擦パッドに加えられる荷重を検出する荷重センサ6cと、を備える。モータ84は、自身のステータに対する回転軸の相対位置を検出する回転角センサ94を備える。荷重センサ6cの検出信号は、第3サブコントローラ42に入力され、回転角センサ94の検出信号は、ドライバ64を介して第3サブコントローラ42に入力される。
【0031】
後輪右側(RR)の車輪Wdに設けられる電動ブレーキ16dは、ブレーキキャリパ5dと、ブレーキキャリパ5dに減速機4dを介して固定されたモータ85と、モータ85によって図示しない摩擦パッドに加えられる荷重を検出する荷重センサ6dと、を備える。モータ85は、自身のステータに対する回転軸の相対位置を検出する回転角センサ95を備える。荷重センサ6dの検出信号は、第3サブコントローラ42に入力され、回転角センサ95の検出信号は、ドライバ65を介して第3サブコントローラ42に入力される。
【0032】
ブレーキキャリパ5a〜5dは、略C字型に形成されて図示しないロータを跨いで反対側へ延びる爪部が一体的に設けられている。
【0033】
減速機4a〜4dは、ブレーキキャリパ5a〜5dに固定されて、モータ80,82,84,85の回転によって発生したトルクをブレーキキャリパ5a〜5dに内蔵された図示しない直動機構に伝える。
【0034】
直動機構は、電動ブレーキにおいて公知の機構を採用することができる。直動機構は、モータ80,82,84,85の回転を減速機4a〜4dを介して摩擦パッドの直線運動に変換する。直動機構は、摩擦パッドをロータに押し付けて車輪Wa〜Wdの回転を抑制する。
【0035】
モータ80,82,84,85は、公知の電動モータを採用することができ、例えばブラシレスDCモータである。モータ80,82,84,85の駆動により、減速機4a〜4d及び直動機構を介して摩擦パッドを移動させる。電動アクチュエータとしてモータを採用した例について説明するが、これに限らず、他の公知のアクチュエータを採用してもよい。
【0036】
1−2.入力装置
車両用ブレーキシステム1は、入力装置であるブレーキペダル2と、ブレーキペダル2に接続されたストロークシミュレータ3と、を含む。ブレーキペダル2は、運転者のブレーキペダル2の操作量を検出する第2ストロークセンサ21及び第3ストロークセンサ22を備える。ストロークシミュレータ3は、ブレーキペダル2の操作量を検出する第1ストロークセンサ20を備える。
【0037】
各ストロークセンサ20〜22は、ブレーキペダル2の操作量の一種である踏込ストローク及び/または踏力に対応した電気的な検出信号を互いに独立して発生させる。第1ストロークセンサ20は後述するマスタコントローラ30へ検出信号を送信し、第2ストロークセンサ21は後述する第1サブコントローラ40へ検出信号を送信し、第3ストロークセンサ22は後述する第2サブコントローラ41及び後述する第3サブコントローラ42へ検出信号を送信する。
【0038】
車両VBは、車両用ブレーキシステム1への入力装置として、車両用ブレーキシステム1以外のシステムに設けられた複数の制御装置(以下「他の制御装置1000」という)を備える。他の制御装置1000は、CAN(Controller Area Network)によって第1の制御装置10のマスタコントローラ30及び第2の制御装置11の第3サブコントローラ42に接続され、相互にブレーキ操作に関する情報を通信する。
【0039】
1−3.制御装置
制御装置は、第1の制御装置10と第2の制御装置11とを含む。第1の制御装置10は、第2の制御装置11とは独立して車両VBの所定位置に配置される。第1の制御装置10及び第2の制御装置11は、電子制御ユニット(ECU)である。第1の制御装置10及び第2の制御装置11のそれぞれは、合成樹脂製の筐体に収容される。したがって、第1の制御装置10と第2の制御装置11という2つの制御装置によって、冗長化されている。なお、制御装置を2つ用いた例について説明するが、車両VBにおける配置を考慮して1つとしてもよいし、さらに冗長性を高めるために3つ以上としてもよい。
【0040】
第1の制御装置10と第2の制御装置11との間はCANによって接続され、通信が行われる。CANの通信においては、一方向および双方向の情報の送信が行われる。なお、ECU間の通信はCANに限定されない。
【0041】
第1の制御装置10及び第2の制御装置11は、互いに独立した3つのバッテリ100,101,102と電気的に接続される。バッテリ100,101,102は、第1の制御装置10及び第2の制御装置11が備える電子部品に電力を供給する。車両用ブレーキシステム1のバッテリ100,101,102は、車両VBの所定の位置に配置される。
【0042】
第1の制御装置10は、マスタコントローラ30、第1サブコントローラ40、第2サブコントローラ41及びドライバ60,62を備え、第2の制御装置11は、第3サブコントローラ42及びドライバ64,65を備える。マスタコントローラ30及び第1〜第3サブコントローラ40〜42はそれぞれ、マイクロコンピュータである。第1の制御装置10が複数のコントローラを搭載することにより、第1の制御装置10における冗長化と信頼性が向上する。また、比較的高価なマスタコントローラを複数搭載しないので低コスト化を実現できる。マスタコントローラ30は、挙動制御部303(挙動制御部303については後述する)を設けるために高い性能が必要となり、第1〜第3サブコントローラ40〜42に比べて比較的高価なコントローラとなる。
【0043】
図1及び図2に示すように、マスタコントローラ30は、ドライバ60,62を制御するドライバ制御部301と、電動ブレーキ16a〜16dの制動力を演算する制動力演算部302と、車両VBの挙動を制御する挙動制御部303と、を含む。
【0044】
第1サブコントローラ40は、ドライバ60を制御するドライバ制御部400と、電動ブレーキ16a〜16dの制動力を演算する制動力演算部402と、を含む。第2サブコントローラ41は、ドライバ62を制御するドライバ制御部410と、電動ブレーキ16a〜16dの制動力を演算する制動力演算部412と、を含む。第3サブコントローラ42は、ドライバ64,65を制御するドライバ制御部420と、電動ブレーキ16a〜16dの制動力を演算する制動力演算部422と、を含む。第1〜第3サブコントローラ40〜42は、挙動制御部を備えない分、マスタコントローラ30より安価なマイクロコンピュータを採用できるため、低コスト化に貢献する。
【0045】
ドライバ60,62,64,65は、モータ80,82,84,85の駆動を制御する。具体的には、ドライバ60はモータ80の駆動を制御し、ドライバ62はモータ82の駆動を制御し、ドライバ64はモータ84の駆動を制御し、ドライバ65はモータ85の駆動を制御する。ドライバ60,62,64,65は、モータ80,82,84,85を例えば正弦波駆動方式によって制御する。また、ドライバ60,62,64,65は、正弦波駆動方式に限らず、例えば矩形波の電流で制御してもよい。
【0046】
ドライバ60,62,64,65は、ドライバ制御部301,400,410,420の指令に応じた電力をモータ80,82,84,85に供給する電源回路及びインバータを備える。
【0047】
制動力演算部302,402,412,422は、ブレーキペダル2の操作量に応じた各ストロークセンサ20〜22の検出信号に基づいて制動力(要求値)を算出する。また、制動力演算部302,402,412,422は、他の制御装置1000からの信号に基づいて制動力(要求値)を算出することができる。
【0048】
ドライバ制御部301,400,410,420は、制動力演算部302,402,412,422が算出した制動力(要求値)と、荷重センサ6a〜6dの検出信号と、回転角センサ90,92,94,95の検出信号とに基づいてドライバ60,62,64,65を制御する。ドライバ60,62,64,65は、ドライバ制御部301,400,410,420からの指令に従ってモータ80,82,84,85に駆動用の正弦波電流を供給する。モータ80,82,84,85に供給された電流は、電流センサ70,72,74,75によって検出される。
【0049】
挙動制御部303は、車両VBの挙動を制御するための信号をドライバ制御部301,400,410,420に出力する。通常のブレーキペダル2の操作に応じた単純な制動以外の挙動であり、例えば、車輪のロックを防ぐ制御であるABS(Antilock Brake System)、車輪Wa〜Wdの空転を抑制する制御であるTCS(Traction Control System)、車両VBの横滑りを抑制する制御である挙動安定化制御である。
【0050】
マスタコントローラ30及び第1〜第3サブコントローラ40〜42は、他のコントローラの制動力演算結果を比較して制動力を決定する判定部304,404,414,424を含む。マスタコントローラ30及び第1〜第3サブコントローラ40〜42が判定部304,404,414,424を有することにより、制動力演算結果に応じてコントローラ(30,40,41,42)を使い分けることにより、車両用ブレーキシステム1の冗長化を実現できる。
【0051】
判定部304,404,414,424は、他のコントローラの制動力演算結果を比較して制動力を決定する。他のコントローラとは、判定部304にとっては第1サブコントローラ40、第2サブコントローラ41及び第3サブコントローラ42であり、判定部404にとってはマスタコントローラ30、第2サブコントローラ41及び第3サブコントローラ42であり、判定部414にとってはマスタコントローラ30、第1サブコントローラ40及び第3サブコントローラ42であり、判定部424にとってはマスタコントローラ30、第1サブコントローラ40及び第2サブコントローラ41である。例えば、判定部304,404,414,424は、マスタコントローラ30の制動力演算部302における演算結果、第1サブコントローラ40の制動力演算部402における演算結果、第2サブコントローラ41の制動力演算部412における演算結果及び第3サブコントローラ42の制動力演算部422における演算結果のうちの3つを比較し、多数決によっていずれの演算結果を制動力として採用するかを判定する。例えば、制動力演算部402の演算結果だけが他の2つの演算結果(例えば、制動力演算部302及び制動力演算部412における演算結果)と異なれば、制動力演算部302及び制動力演算部412の演算結果に基づいてマスタコントローラ30がドライバ60及びドライバ62を制御する。すなわち、判定部304,404,414,424により、車両用ブレーキシステム1を冗長化させている。
【0052】
本実施形態に係る車両用ブレーキシステム1によれば、車輪Wa,Wbに備えられた電動ブレーキ16a,16bは、マスタコントローラ30とサブコントローラ(第1サブコントローラ40又は第2サブコントローラ41)との両方から制御可能である。より詳細には、電動ブレーキ16aが備えるモータ80は、ドライバ60によって駆動され、マスタコントローラ30及び第1サブコントローラ40は、同じドライバ60を制御可能である。また、電動ブレーキ16bが備えるモータ82は、ドライバ62によって駆動され、マスタコントローラ30及び第2サブコントローラ41は、同じドライバ62を制御可能である。従って、本実施形態に係る車両用ブレーキシステム1によれば、万が一、マスタコントローラ30及び第1サブコントローラ40の一方が故障した場合でも他方によって電動ブレーキ16aの制御が可能であり、マスタコントローラ30及び第2サブコントローラ41の一方が故障した場合でも他方によって電動ブレーキ16bの制御が可能であるので、冗長化が実現され、信頼性が向上する。特に、本実施形態に係る車両用ブレーキシステム1によれば、前輪である車輪Wa,Wbに備えられた電動ブレーキ16a,16bの制御が冗長化されるので、信頼性がさらに向上する。
【0053】
また、本実施形態に係る車両用ブレーキシステム1によれば、車輪Wa,Wbに備えられた電動ブレーキ16a,16bは、マスタコントローラ30と第1サブコントローラ40又は第2サブコントローラ41との両方から制御可能であるため、電動ブレーキ16aに対して様々な制御が可能である。
【0054】
また、本実施形態に係る車両用ブレーキシステム1によれば、複数のコントローラ(マスタコントローラ30、第1サブコントローラ40及び第2サブコントローラ41)を使用することにより冗長化を達成しながらも、比較的高価なマスタコントローラを複数搭載しないことにより低コスト化を実現できる。
【0055】
また、本実施形態に係る車両用ブレーキシステム1によれば、マスタコントローラ30、第1サブコントローラ40及び第2サブコントローラ41を第1の制御装置10に搭載することにより、マスタコントローラ30、第1サブコントローラ40及び第2サブコントローラ41の間の通信線が短くなるため、低コスト化が実現され、信頼性も向上する。
【0056】
2.変形例1
図3を用いて変形例1に係る車両用ブレーキシステム1aについて説明する。図3は変形例1に係る車両用ブレーキシステム1aを示す全体構成図である。以下の説明において、図1及び図2の車両用ブレーキシステム1と同じ構成については図3でも同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0057】
図3に示すように、車両用ブレーキシステム1aにおいて、電動ブレーキ16aは、図1の構成に対して、ブレーキキャリパ5aに減速機4aを介して固定された電動アクチュエータであるモータ81をさらに備える。モータ81は、モータ80と同軸であるため回転角センサは不要である(モータ80と回転角センサ90を共有している)。電動ブレーキ16bは、ブレーキキャリパ5bに減速機4bを介して固定された電動アクチュエータであるモータ83をさらに備える。モータ83は、モータ82と同軸であるため回転角センサは不要である(モータ82と回転角センサ92を共有している)。モータ81,83は、公知の電動モータを採用することができ、例えばブラシレスDCモータである。
【0058】
また、第1の制御装置10は、モータ81,83を駆動するドライバ61,63をさらに備える。荷重センサ6aは、モータ80,81によって図示しない摩擦パッドに加えられる荷重を検出し、荷重センサ6aの検出信号は、第1サブコントローラ40に入力され、回転角センサ90の検出信号は、ドライバ60,61を介して第1サブコントローラ40及びマスタコントローラ30に入力される。荷重センサ6bは、モータ82,83によって図示しない摩擦パッドに加えられる荷重を検出し、荷重センサ6bの検出信号は、第2サブコントローラ41に入力され、回転角センサ92の検出信号は、ドライバ62,63を介して第2サブコントローラ41及びマスタコントローラ30に入力される。
【0059】
減速機4aは、モータ80,81の回転によって発生したトルクをブレーキキャリパ5aに内蔵された図示しない直動機構に伝える。この直動機構は、モータ80,81の回転を減速機4aを介して摩擦パッドの直線運動に変換し、摩擦パッドをロータに押し付けて車輪Waの回転を抑制する。減速機4bは、モータ82,83の回転によって発生したトルクをブレーキキャリパ5bに内蔵された図示しない直動機構に伝える。この直動機構は、モータ82,83の回転を減速機4bを介して摩擦パッドの直線運動に変換し、摩擦パッドをロータに押し付けて車輪Wbの回転を抑制する。
【0060】
車両用ブレーキシステム1aにおいて、マスタコントローラ30及び第1〜第3サブコントローラ40〜42の構成は図2と同様であるため、その図示及び説明を省略する。ただし、マスタコントローラ30の一部の機能は、車両用ブレーキシステム1と異なる。すなわち、マスタコントローラ30において、ドライバ制御部301は、ドライバ61,63を制御する。
【0061】
ドライバ61,63は、モータ81,83の駆動を制御する。具体的には、ドライバ61はモータ81の駆動を制御し、ドライバ63はモータ83の駆動を制御する。ドライバ61,63は、モータ81,83を例えば正弦波駆動方式によって制御する。また、ドライバ61,63は、正弦波駆動方式に限らず、例えば矩形波の電流で制御してもよい。
【0062】
ドライバ61,63は、ドライバ制御部301の指令に応じた電力をモータ81,83に供給する電源回路及びインバータを備える。ドライバ61,63は、ドライバ制御部301からの指令に従ってモータ81,83に駆動用の正弦波電流を供給する。モータ81,83に供給された電流は、電流センサ71,73によって検出される。
【0063】
変形例1に係る車両用ブレーキシステム1aによれば、車輪Waに備えられた電動ブレーキ16aは、マスタコントローラ30と第1サブコントローラ40との両方から制御可能であり、車輪Wbに備えられた電動ブレーキ16bは、マスタコントローラ30と第2サブコントローラ41との両方から制御可能である。より詳細には、電動ブレーキ16aが備える複数のモータ80,81は、複数のドライバ60,61によって駆動され、マスタコントローラ30は、複数のドライバ60,61の1つであるドライバ61を制御し、第1サブコントローラ40は、複数のドライバ60,61の他の1つであるドライバ60を制御する。また、電動ブレーキ16bが備える複数のモータ82,83は、複数のドライバ62,63によって駆動され、マスタコントローラ30は、複数のドライバ62,63の1つであるドライバ63を制御し、第2サブコントローラ41は、複数のドライバ62,63の他の1つであるドライバ62を制御する。従って、変形例1に係る車両用ブレーキシステム1aによれば、万が一、マスタコントローラ30及び第1サブコントローラ40の一方が故障した場合でも他方によって電動ブレーキ16aの制御が可能であり、マスタコントローラ30及び第2サブコントローラ41の一方が故障した場合でも他方によって電動ブレーキ16bの制御が可能であるので、冗長化が実現され、信頼性が向上する。特に、変形例1に係る車両用ブレーキシステム1aによれば、前輪である車輪Wa,Wbに備えられた電動ブレーキ16a,16bの制御が冗長化されるので、信頼性がさらに向上する。
【0064】
また、変形例1に係る車両用ブレーキシステム1aによれば、マスタコントローラ30が制御するドライバ61と第1サブコントローラ40が制御するドライバ60が別々に設けられるため、万が一、ドライバ60,61の一方が故障した場合でも、ドライバ60,61の他方によってモータ80,81の他方を駆動可能である。また、マスタコントローラ30が制御するドライバ63と第2サブコントローラ41が制御するドライバ62が別々に設けられるため、万が一、ドライバ62,63の一方が故障した場合でも、ドライバ62,63の他方によってモータ82,83の他方を駆動可能である。従って、変形例1に係る車両用ブレーキシステム1aによれば、冗長化と信頼性が向上する。
【0065】
また、変形例1に係る車両用ブレーキシステム1aによれば、電動ブレーキ16a,16bをより緻密に制御することが可能であり、電動ブレーキ16a,16bの制御性が向上する。
【0066】
3.変形例2
図4を用いて変形例2に係る車両用ブレーキシステム1bについて説明する。図4は、変形例2に係る車両用ブレーキシステム1bを示す全体構成図である。以下の説明において、図1図3の車両用ブレーキシステム1,1aと同じ構成については図4でも同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。また、車両用ブレーキシステム1bにおいて、マスタコントローラ30及び第1〜第3サブコントローラ40〜42の構成は図2と同様であるため、その図示及び説明を省略する。
【0067】
図4に示すように、車両用ブレーキシステム1bにおいて、第1の制御装置10は、ストロークシミュレータ3及びストロークセンサ20〜22と一体に設けられる。すなわち、ストロークシミュレータ3及びストロークセンサ20〜22は、合成樹脂製の筐体に収容され、第1の制御装置10が収容される筺体の一面とストロークシミュレータ3及びストロークセンサ20〜22が収容される筺体の一面とが接着されることにより、第1の制御装置10が、ストロークシミュレータ3及びストロークセンサ20〜22と一体に設けられてもよい。あるいは、第1の制御装置10及びストロークセンサ20〜22が収容される筺体の一面とストロークシミュレータ3が収容される筺体の一面とが接着されることにより、第1の制御装置10が、ストロークシミュレータ3及びストロークセンサ20〜22と一体に設けられてもよい。
【0068】
変形例2に係る車両用ブレーキシステム1bによれば、マスタコントローラ30、第1サブコントローラ40及び第2サブコントローラ41が搭載される第1の制御装置10がストロークシミュレータ3及びストロークセンサ20〜22と一体に設けられることにより、省スペース化が実現され、車両VBへの搭載性が向上する。
【0069】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0070】
1,1a,1b…車両用ブレーキシステム、2…ブレーキペダル、3…ストロークシミュレータ、4a〜4d…減速機、5a〜5d…ブレーキキャリパ、6a〜6d…荷重センサ、10…第1の制御装置、11…第2の制御装置、16a〜16d…電動ブレーキ、20…第1ストロークセンサ、21…第2ストロークセンサ、22…第3ストロークセンサ、30…マスタコントローラ、301…ドライバ制御部、302…制動力演算部、303…挙動制御部、304…判定部、40…第1サブコントローラ、400…ドライバ制御部、402…制動力演算部、404…判定部、41…第2サブコントローラ、410…ドライバ制御部、412…制動力演算部、414…判定部、42…第3サブコントローラ、420…ドライバ制御部、422…制動力演算部、424…判定部、60〜65…ドライバ、70〜75…電流センサ、80〜85…モータ、90,92,94,95…回転角センサ、100〜102…バッテリ、1000…他の制御装置、VB…車両、Wa〜Wd…車輪
図1
図2
図3
図4